説明

2−シアノアクリレート系接着剤組成物

【課題】長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)2−シアノアクリレートモノマーに(B)酸性ガス、(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩、(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物を、2−シアノアクリレート100重量部に対してそれぞれ0.0001〜0.01重量部含有する2−シアノアクリレート系接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する2−シアノアクリレート系接着剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2−シアノアクリレート系接着剤は、一液でかつ、常温で硬化速度が速いという優れた長所を持つ反面、湿気や熱に弱いために、空気に接触する時間が長い場合、空気中の水分により貯蔵中や作業中に接着剤の粘度が上昇するといった増粘問題を発生する。それを避けるために出来るだけ接着剤から空気を遮断し、密閉された状態での使用及び保管といった制限をしなければ製品寿命が短くなるといった問題があった。
【0003】
一般的に2−シアノアクリレート系接着剤の塗布方法としては、ポリエチレンボトルやアルミチューブといった密閉型の容器に接着剤が充填され、容器に取り付けられたポリエチレン製又はポリプロピレン製ノズルを介して接着剤を塗布する方法かロータリー型、圧力型のディスペンサー等で樹脂製チューブを介して機械的に塗布する方法が行われてきた。いずれにおいても接着剤が被着物に塗布される直前まで、接着剤ができるだけ空気に接触しないようにして塗布することで接着剤自身の安定性が保たれることとなった。しかしながら、近年、2−シアノアクリレート系接着剤の塗布方法についても多様化しており、被着物の用途や形状によっては従来のノズルや樹脂製チューブを介しての滴下による塗布方法だけでなく刷毛・へら・綿棒等を使った塗布方法を採用する場合が多くなってきた。そのような刷毛・へら・綿棒等を使った塗布方法を採用する場合には、2−シアノアクリレート系接着剤を皿やトレイの様な開放型の容器に移しかえる必要があり、従来の2−シアノアクリレート系接着剤では、開放型の容器による長時間にわたり接着剤の液表面が空気に接触している状態においては、急速に増粘して塗布が出来なかったり、硬化速度等の接着性能の低下の為に充分な接着が行えなくなる等の不都合が生じた。
【0004】
これまでに様々な安定性の改善された2−シアノアクリレート系接着剤組成物(特許文献1〜3)が提案されてきた。これらの2−シアノアクリレート系接着剤に用いられてきた代表的な化合物として、常温でガス状の化合物としては、例えば、SOが挙げられる。 常温で液状の化合物としては種々の無機酸や有機酸が挙げられる。しかしSOは常温でガスである性質上、常温で液状の2−シアノアクリレート系接着剤に添加した場合、気相部への拡散によるノズル内や密閉容器中の空隙部の気相部での効果は認められるが、気-液界面や液相部での効果は小さく、又その効果の持続時間も短いため、相対的に多くの量を使う必要があり、それが硬化速度の遅れや着色といった問題を引起す要因となる。
【0005】
一方、常温で液状の化合物である無機酸や有機酸は、液相部での効果は認められ、密閉された容器内での接着剤の安定性には寄与するが、その性状から気相部や気-液界面での安定化作用は小さく、接着剤が開放された皿やトレイに置かれる等の長時間にわたり接着剤の液表面が空気と接触している状態では、接着剤の液表面の増粘や性能劣化が急速に進むといった問題が生じた。又、ガス状の化合物との併用においても接着剤の液表面が空気と接触している気-液界面の安定性を高める為には、相対的に多くの量を使わざるを得ない事による硬化速度の遅れや着色といった問題が生じ、本質的な解決に至っていない。
【0006】
さらに近年、市場の要望として接着速度がより速いタイプにおいて刷毛・へら・綿棒等を使った塗布方法が採用されるケースが多くなり、長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する2−シアノアクリレート系接着剤組成物の開発が望まれていた。
【0007】
【特許文献1】特開昭58−63771号公報
【特許文献2】特開昭62−100568号公報
【特許文献3】特開2002−285107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために気相部、液相部だけでなく、特に気−液界面に強い安定性効果を保持するような種々の2−シアノアクリレート系接着剤組成物について鋭意検討した結果、特定範囲の蒸気圧をもつ特定の化合物が2−シアノアクリレート系接着剤と空気との気−液界面の安定化効果を非常に高める作用が有ることを見出した。
更に気相部、液相部に効果の有る特定の安定剤との組合せによって、ノズル内や樹脂製チューブ内の気相部の安定性と容器内に密閉保管した場合の液相部の安定性に加え、皿やトレイ等の開放型容器に置かれる等の長時間にわたり接着剤の液表面が空気と接触している場合の気−液界面に強い安定性効果が発現することを見出した。すなわち、2−シアノアクリレート系接着剤組成物であって、(A)2−シアノアクリレートモノマーに(B)酸性ガス、(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩、(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物を、2−シアノアクリレート100重量部に対してそれぞれ0.0001〜0.01重量部含有することを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いることにより、長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する事を見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0010】
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物を用いることにより、長時間、空気に接触している状態においても硬化速度を損なわずに優れた安定性を保持する2−シアノアクリレート系接着剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施の形態と共に記載する。
【0012】
本発明における(A)2−シアノアクリレ−トの具体例としては、例えば、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、オクチル、ネオペンチル、シクロヘキシル、エチルヘキシル、ドデシル、アリル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、ベンジル、フェニル、クロロエチル、テトラヒドロフルフリル等のエステル類が挙げられる。また、これらの(A)2−シアノアクリレートは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0013】
本発明において用いられる(B)酸性ガスとしては、SO、SO、BF、HF、CO、NO、NO等が挙げられる。これらのうち、SO、BF、HFが好ましい。また、これらの(B)酸性ガスは1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0014】
本発明において用いられる(B)酸性ガスの使用量は、(A)2−シアノアクリレ−ト100重量部に対して、0.0001〜0.01重量部であり、好ましくは、0.0002〜0.005重量部である。0.0001重量部未満であると安定剤としての効果の持続期間が短く、0.01重量部を超えると硬化速度を遅くしたり、着色の原因となるので好ましくない。
【0015】
本発明において用いられる(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩としては、例えば、HBF、リン酸、五酸化リン等の無機酸やBFジエチルエーテル錯体、BF酢酸錯体等のBF錯塩が挙げられる。これらのうち、HBFまたはBF錯塩が好ましい。また、これらの(C)は1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0016】
本発明において用いられる(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩、の使用量は、(A)2−シアノアクリレ−ト100重量部に対して、0.0001〜0.01重量部であり、好ましくは、0.0001〜0.005重量部である。
0.0001重量部未満であると安定剤の効果の持続期間が短く、0.01重量部を超えると硬化速度を遅くしたり、着色の原因となるので好ましくない。
【0017】
本発明において用いられる(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸(0.1Pa)等のアルキルスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸(40Pa)、ノナフルオロブタンスルホン酸(2Pa)等のハロゲン化アルキルスルホン酸等が挙げられる。これらのうちハロゲン化アルキルスルホン酸が好ましい。また、これらの(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物は1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
本発明において用いられる(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物の使用量は、2−シアノアクリレート100重量部に対して0.0001〜0.01重量部であり、好ましくは0.0001〜0.005重量部である。0.0001重量部未満であると安定剤の効果、特に液表面での効果の持続期間が短く、0.01重量部を超えると硬化速度を遅くしたり、着色の原因となるので好ましくない。
【0019】
本発明の2−シアノアクリレート系接着剤には、本発明の効果が阻害されない範囲で、硬化促進剤を配合する事が出来る。
【0020】
本発明において必要に応じて用いられる硬化促進剤としては、(E)ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン化合物等が挙げられる。
【0021】
本発明において、必要に応じて用いられる硬化促進剤である(E)ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン誘導体のうち、ポリアルキレンオキサイド誘導体としては、式(3)
【化3】

(式中、X4 およびX5 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換若しくは非置換のアルキル、アルケニル、アリール又はアラルキル基を示す。pは1以上の整数、qは2以上の整数を示し、末端は環形成されていてもよい。)
なる繰り返し単位を有する化合物から選ばれた1種以上が挙げられる。
【0022】
ポリアルキレンオキサイド誘導体の具体的な例としては次の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
ホルムアルデヒド縮合体、アセトアルデヒド縮合体、トリオキサン重合体、ポリアルキレングリコール(例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(400 、1000、etc )、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンオキシド、ポリ3,3−ビス(クロロメチル)ブチレンオキシド、ポリ1,3−ジオキソラン、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックポリマーなど。)
【0024】
ポリアルキレングリコールモノエーテル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールベンジルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコールプロピルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールアリルエーテルなど。)、ポリアルキレングリコールジエーテル(例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジステアリルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテルなど。
【0025】
ポリアルキレングリコールモノエステル(例えば、ジエチレングリコールモノプロピオネート、テトラエチレングリコールモノアセテート、トリプロピレングリコールモノ−n−ブチレート、ポリエチレングリコールモノアセテート、ポリエチレングリコールモノプロピオネート、ポリエチレングリコールラウレート、ポリエチレングリコールセバケート、ポリエチレングリコールステアレート、ポリエチレングリコールオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジエチレングリコールクロトネートなど。)、ポリアルキレングリコールジエステル(例えば、ジエチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジプロピオネート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジアセテート、ポリエチレングリコールジ−n−ブチレート、ポリエチレングリコールジウラレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジクロトネート、ポリエチレングリコールジ−2−シアノアクリレート、ポリエチレングリコールステアリル−メタクリレート、ポリエチレングリコールラウリル−アクリレートなど。)、
【0026】
ポリアルキレングリコールモノエーテルモノエステル(例えば、メチルカルビトール、カルビトール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラオキシエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレングリコールモノノニルフェニルエーテル等のグリコールモノエーテル化合物のアクリレート、メタクリレート、クロトネート、又は2−シアノアクリレートなど。)、その他ビスフェノールA−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−ポリアルキレンオキシド付加物、グリセリン−ポリアルキレンオキシド付加物、アジピン酸−ポリアルキレンオキシド付加物、トリメット酸−ポリアルキレンオキシド付加物などが挙げられる。その他環状化合物としては例えば、18−クラウン−6−エーテル、15−クラウン−5−エーテル、18−クラウン−5−エーテル、ジチオ−15−クラウンエーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6−エーテル、 1,2−ナフト−15−クラウン−5−エーテル、 1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6−エーテルなども使用することができ、これらの添加剤は1種又は2種以上を使用してもよい。
【0027】
カリックスアレン化合物としては、下記式(4)
【0028】
【化4】


(式中、R4は水素原子、更に置換されていてもよいアルキル基および置換されていてもよいアルコキシ基であり、R5は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である。また、yは4,6又は8である。)
【0029】
で示されるカリックスアレン化合物があげられる。このようなカリックスアレン化合物としては、具体的には、5,11,17,23,29,35 −ヘキサ−tert−ブチル−37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42−ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、或いは例えば特開昭60−179482号公報に記載されている 37,38,39,40,41,42−ヘキサ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔6〕アレン、 25,26,27,28−テトラ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔4〕アレン等が好ましく用いられる。
【0030】
本発明において、必要に応じて用いられる硬化促進剤の使用量は2−シアノアクリレート100重量部に対して通常、0.005〜5.0重量部であり、好ましくは0.01〜1.0重量部である。
【0031】
また、本発明の2−シアノアクリレート系接着剤組成物には、従来、2−シアノアクリレート系接着剤に添加して用いられている安定剤(例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、カテコール、ピロガロール等のラジカル重合禁止剤等)、可塑剤(フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソデシル等)、増粘剤(アクリル酸エステル系共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン共重合体系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、クロロプレン系エラストマー、カルボキシル化アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、フッ素系エラストマー、ポリイソプレン系エラストマー、エピクロルヒドリン系エラストマー、エチレン−プロピレン共重合体系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体系エラストマー等)、着色剤、香料、溶剤、強度向上剤、脂肪族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸等、目的に応じ、2−シアノアクリレートモノマーの安定性を阻害しない範囲で適宜、添加配合して使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。

【0032】
(実施例)
本発明について実施例をもって詳述するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0033】
〔試験方法〕
【0034】
実施例中の測定及び評価は次の方法によった。
〈安定性試験1:耐ノズル詰まり性試験〉
接着剤組成物3gをアルミチューブに充填する。開封後ポリエチレン製のノズルおよびノズルの先端にキャップを取り付ける。次に市販のNBR試験片(エンジニアリングテストサービス社製1×25×100mm)上にノズルの先を接触させながら約10cm塗布する。キャップでノズル先端部に蓋をして30分間放置した後、同様にNBR上に塗布しキャップでノズル先端部に蓋をする。この状態で60℃95%RH雰囲気下に暴露し、ノズル内部に溜まった接着剤組成物が固化し、ノズルを塞いだ為に接着剤が出なくなった日数を測定した。ノズル詰まり日数が長いほど気相部の安定性に優れている。
ノズルが閉塞するまでの日数により耐ノズル詰まり性を以下のように評価した。○:7日以上、△:4〜6日、×:3日以下
〈安定性試験2:高温・高湿下での強制暴露試験〉
接着剤組成物20gをポリエチレン製容器(内径25mm×高さ50mmの円筒形容器)に充填した後ノズルを装着して密閉し、60℃95%RH雰囲気下で7日間養生した後に粘度をJIS−K6861に準じて測定した。粘度上昇が小さいほど液相部の安定性に優れている。
〈安定性試験3:長期空気暴露試験〉
刷毛やへらによる塗布作業時の開放された容器中の状態での安定性を再現する目的で接着剤組成物1gをポリエチレン製容器(内径15mm×高さ8mmの円筒形容器)に充填し、開放状態にして20℃50〜70%RHの雰囲気下で放置し、10日後の粘度をJIS−K6861に準じて測定した。粘度上昇が小さいほど気−液界面の安定性に優れている。
〈長期空気暴露後のセットタイムの測定(硬化時間の測定及び評価)〉
安定性試験3の長期空気暴露試験を行った接着剤を用いて硬化時間の測定を行った。
被着物としてEPDMゴム、CRゴムを用い、JISK6861に準じて測定した。
【実施例1】
【0035】
(A)2―エチルシアノエチルアクリレート100重量部に対して、(B)SO0.0005重量部、(C)HBF0.0005重量部、(D)メタンスルホン酸0.0005重量部を添加して2−シアノアクリレート接着剤組成物を調製した。 得られた接着剤組成物について安定性試験1〜3および長期空気暴露後のセットタイムの測定結果を表2に示した。
【0036】
(実施例2〜7、比較例1〜4)
各成分を表1に示した組成にする以外は、実施例1と同様に2−エチルシアノアクリレート接着剤を調製した。得られた接着剤組成物それぞれについて安定性試験1〜3および長期空気暴露後のセットタイムの測定結果を表2に示した。














【0037】
【表1】

B-1:SO
B-2:SO
C-1:HBF
C-2:BFジエチルエーテル錯体
C-3:リン酸
D-1:メタンスルホン酸(25℃での蒸気圧:0.1Pa)
D-2:トリフルオロメタンスルホン酸(25℃での蒸気圧:40Pa)
D-3:ノナフルオロブタンスルホン酸(25℃での蒸気圧:2Pa)
E-1:ポリエチレングリコール#400モノメチルエーテルモノメタクリレート
E-2:37,38,39,40,41,42−ヘキサ−(2−エトキシ−2−オキソエトキシ)−カリックス〔6〕アレン
F-1:プロピオン酸



【0038】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−シアノアクリレート系接着剤組成物であって、(A)2−シアノアクリレートモノマーに(B)酸性ガス、(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩、(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物を、2−シアノアクリレート100重量部に対してそれぞれ0.0001〜0.01重量部含有することを特徴とする2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
【請求項2】
(B)酸性ガスがSO、BF、HFから選ばれる少なくとも1つの化合物であり、(C)無機酸(硫酸を除く)またはBF錯塩がHBFまたはBF錯塩から選ばれる少なくとも1つの化合物であり、(D)25℃での蒸気圧が0.01〜5000Paであるスルホン酸化合物がアルキルスルホン酸又はハロゲン化アルキルスルホン酸から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。
【請求項3】
硬化促進剤として(E)ポリアルキレンオキサイド誘導体、カリックスアレン誘導体から選ばれる少なくとも1つの化合物を2−シアノアクリレート100重量部に対して0.005〜5重量部含有することを特徴とする請求項1〜2いずれかに記載の2−シアノアクリレート系接着剤組成物。

【公開番号】特開2010−174149(P2010−174149A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−18836(P2009−18836)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(000216243)田岡化学工業株式会社 (115)
【Fターム(参考)】