説明

2−トリフルオロメチルキノリン類およびその製造方法

【課題】2−トリフルオロメチルキノリン類およびその効率的製造方法を提供する。
【解決手段】一般式(1)


[式中、R、R、RおよびRは水素原子、アルキル基など、RおよびRは水素原子またはRとRが一体となって1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン基を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類、およびその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−トリフルオロメチルキノリン類およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
キノリン類は特異な生理活性をもち、種々の医農薬の骨格に含まれる化合物である。特にトリフルオロメチル基をもつキノリン類、例えば4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類は、従来、抗マラリア薬のリーディング化合物として用いられていた(例えば非特許文献1)。最近では、胃潰瘍、高血圧、鬱血性心不全、急性型または慢性型神経変性等に対する医薬品中間体としても注目されている(例えば特許文献1)。4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の製造方法として、次の2つの方法が知られている。第一の方法は、アニリンとトリフルオロアセト酢酸エチルを環化させて4−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチルキノリンを得、さらにオキシ塩化リンで4−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリンへと変換した後、アンモニア、アミン等でアミノ化する方法である(非特許文献2、特許文献2)。第二の方法は、アニリンと2−フェニルイミノ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロブタンを水酸化カリウムの存在下に反応させて、4−(N−フェニルアミノ)−2−トリフルオロメチルキノリンを得るものである(非特許文献3)。いずれの反応も、多段階である、原料が特殊である、反応時間が長い、等の理由で、工業的に使用し難い方法である。
【0003】
【非特許文献1】Australian Journal of Chemistry、1993年、46巻、21−29ページ
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0070573号明細書
【非特許文献2】Journal of Heterocyclic Chemistry、1965年、第2巻、113−119ページ
【特許文献2】特開平5−213884号公報
【非特許文献3】Tetrahedron、1998年、54巻、4949−4964ページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、2−トリフルオロメチルキノリン類およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、先の課題を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、パラジウム触媒と塩基の存在下に、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを反応させることにより、2位にトリフルオロメチル基、4位にアミノ基をもつキノリン類が一段で収率良く得られることを見出した。また、4位のアミノ基は、もう一分子の2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンと、パラジウム触媒と塩基の存在下にさらに反応し、[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノ基へと容易に変換できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、一般式(1)
【0007】
【化1】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。RおよびRは、水素原子またはRとRが一体となって1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン基を示す。]であらわされることを特徴とする4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類(但し、4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6,8−ジクロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−ヨード−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−ブロモ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−ヨード−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−ブロモ−2−トリフルオロメチルキノリンおよび4−アミノ−6−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンを除く)である。
【0008】
また本発明は、一般式(1a)
【0009】
【化2】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)
【0010】
【化3】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類の製造方法である。
【0011】
さらに本発明は、一般式(2)
【0012】
【化4】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類および/または一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の製造方法である。
【0013】
また本発明は、一般式(3)
【0014】
【化5】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−アミノベンゾニトリル類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類および/または一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類および/または一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類の製造方法である。
【0015】
さらに本発明は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類をパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の製造方法である。以下に、本発明を更に詳細に説明する。
【0016】
炭素数1〜4のアルキル基としては具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基またはシクロプロピルメチル基等が例示できる。
【0017】
またこれらのアルキル基はハロゲン原子で1個以上置換されていても良く、具体的には、クロロメチル基、2−クロロエチル基、3−クロロプロピル基、ジフルオロメチル基、3−フルオロプロピル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基または2,2,2−トリクロロエチル基等が例示できる。
【0018】
炭素数2〜4のアルケニル基としては具体的には、ビニル基、1−メチルビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、3−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルビニル基、2−ブテニル基または1,3−ブタンジエニル基等が例示できる。
【0019】
またこれらのアルケニル基はハロゲン原子で1個以上置換されていても良く、具体的には、1−(ジフルオロメチル)ビニル基、1−(トリフルオロメチル)ビニル基、2−クロロメチル−2−プロペニル基、2−ジフルオロメチル−プロペニル基、2−トリフルオロメチル−2−プロペニル基、1−(2−クロロエチル)ビニル基、1−(2−フルオロエチル)ビニル基、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ビニル基または1−(2,2,2−トリクロロエチル)ビニル基等が例示できる。
【0020】
炭素数2〜4のアルキニル基としては具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基または3−ブチニル基等が例示できる。
【0021】
これらのアルキニル基はハロゲン原子で1個以上置換されていても良く、具体的には、3−クロロ−1−プロペニル基、3,3−ジフルオロ−1−プロペニル基、3,3,3−トリフルオロ−1−プロペニル基、4−クロロ−1−ブチニル基、4−フルオロ−1−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−1−ブチニル基、4,4,4−トリフルオロ−1−ブチニル基、4−クロロ−2−ブチニル基、4,4−ジフルオロ−2−ブチニル基または4,4,4−トリフルオロ−2−ブチニル基等が例示できる。
【0022】
炭素数1〜4のアルコキシ基としては具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、シクロブチルオキシ基またはシクロプロピルメチルオキシ基等が例示できる。
【0023】
またこれらのアルコキシ基はハロゲン原子で1つ以上置換されていてもよく、具体的には、クロロメトキシ基、2−クロロエトキシ基、3−クロロプロポキシ基、ジフルオロメトキシ基、3−フルオロプロポキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基または2,2,2−トリクロロエトキシ基等が例示できる。
【0024】
炭素数2〜5のアシル基としては具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、sec−ブチルカルボニル基またはピバロイル基等が例示できる。
【0025】
またこれらのアシル基は、アルキル基がハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、2−クロロエチルカルボニル基、3−クロロプロピルカルボニル基、ジフルオロメチルカルボニル基、3−フルオロプロピルカルボニル基、トリフルオロメチルカルボニル基、2−フルオロエチルカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエチルカルボニル基または2,2,2−トリクロロエチルカルボニル基等が例示できる。
【0026】
(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基としては具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基またはtert−ブチルオキシカルボニル基等が例示できる。
【0027】
またこれらのアルコキシカルボニル基は、アルキル基がハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、2−クロロエトキシカルボニル基、3−クロロプロピルオキシカルボニル基、ジフルオロメトキシカルボニル基、3−フルオロプロピルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、2−フルオロエトキシカルボニル基、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル基または2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル基等が例示できる。
【0028】
(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基としては具体的には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基またはtert−ブチルアミノ基等が例示できる。
【0029】
またこれらのアルキル基はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、クロロメチルアミノ基、2−クロロエチルアミノ基、3−クロロプロピルアミノ基、ジフルオロメチルアミノ基、3−フルオロプロピルアミノ基、トリフルオロメチルアミノ基、2−フルオロエチルアミノ基、2,2,2−トリフルオロエチルアミノ基または2,2,2−トリクロロエチルアミノ基等が例示できる。
【0030】
ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基としては具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、ジイソブチルアミノ基、ジ(sec−ブチル)アミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルプロピルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、メチルブチルアミノ基、メチルイソブチルアミノ基、メチル(sec−ブチル)アミノ基、エチルプロピルアミノ基、エチルブチルアミノ基またはプロピルブチルアミノ基等が例示できる。
【0031】
またこれらのアルキル基はハロゲン原子で1つ以上置換されていても良く、具体的には、ジ(クロロメチル)アミノ基、ジ(2−クロロエチル)アミノ基、ジ(3−クロロプロピル)アミノ基、ビス(ジフルオロメチル)アミノ基、ジ(3−フルオロプロピル)アミノ基、ビス(トリフルオロメチル)アミノ基、ジ(2−フルオロエチル)アミノ基、ジ(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ基またはジ(2,2,2−トリクロロエチル)アミノ基等が例示できる。
【0032】
ハロゲン原子としては具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。
【0033】
次に本発明の製造法について、詳細に説明する。工程Aは、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類を製造する方法である。
[工程A]
【0034】
【化6】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]
工程Aで用いることのできるパラジウム触媒としては、パラジウム黒、パラジウムスポンジ等のパラジウム金属、パラジウム/アルミナ、パラジウム/炭素、パラジウム/シリカ、パラジウム/Y型ゼオライト、パラジウム/A型ゼオライト、パラジウム/X型ゼオライト、パラジウム/モルデナイト、パラジウム/ZSM−5等の担持パラジウム金属が例示できる。また、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、酢酸パラジウム、トリフルオロ酢酸パラジウム、硝酸パラジウム、酸化パラジウム、硫酸パラジウム、シアン化パラジウム、ヘキサクロロパラジウム酸四ナトリウム、ヘキサクロロパラジウム酸四カリウム、テトラクロロパラジウム酸二ナトリウム、テトラクロロパラジウム酸二カリウム等の金属塩を例示できる。
【0035】
さらに、π―アリルパラジウムクロリドダイマー、パラジウムアセチルアセトナト、ホウフッ化テトラ(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、硝酸テトラアンミンパラジウム、ジクロロジピリジンパラジウム、ジクロロ(2,2’−ビピリジル)パラジウム、ジクロロ(フェナントロリン)パラジウム、硝酸(テトラメチルフェナントロリン)パラジウム、硝酸ジフェナントロリンパラジウム、硝酸ビス(テトラメチルフェナントロリン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリシクロヘキシルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウムおよびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム等の錯化合物を例示できる。
【0036】
パラジウム触媒は、これらの金属、担持金属、金属塩および錯化合物のいずれでも良いが、収率が良い点で、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、パラジウム/アルミナおよびパラジウム/炭素が望ましく、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムがさらに望ましい。
【0037】
パラジウム触媒は、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類に対して、0.01当量以上が望ましく、好ましくは0.5当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0038】
また工程Aで用いることのできるパラジウム触媒としては、例えばパラジウム化合物と三級ホスフィンからなる触媒系をあげることができ、このときの三級ホスフィンとしては、例えばトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリイソブチルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリネオペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(2−ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3−ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリス(2−シアノエチル)ホスフィン、(+)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジエチルホスホラノ]エタン、トリアリルホスフィン、トリアミルホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等をあげることができる。
【0039】
また、エチルジフェニルホスフィン、プロピルジフェニルホスフィン、イソプロピルジフェニルホスフィン、ブチルジフェニルホスフィン、イソブチルジフェニルホスフィン、tert−ブチルジフェニルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、(R)−(+)−2−(ジフェニルホスフィノ)−2’−メトキシ−1,1’−ビナフチル、(−)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジメチルホスホラノ]ベンゼン、(−)−1,2−ビス((2R,5R)−2,5−ジエチルホスホラノ)ベンゼン、(+)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジエチルホスホラノ]ベンゼン、1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン等をあげることができる。
【0040】
また、(−)−1,1’−ビス[(2S,4S)−2,4−ジエチルホスホラノ]フェロセン、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジシクロヘキシルホスフィン、(+)−1,2−ビス[(2R,5R)−2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ]ベンゼン、(−)−1,2−ビス[(2S,5S)−2,5−ジ−イソプロピルホスホラノ]ベンゼン、(±)−2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’−メチルビフェニル、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,2−ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン等をあげることができる。
【0041】
また、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(2R,3R)−(−)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、(2S,3S)−(+)−2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン、(2S,3S)−(−)−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、cis−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エチレン、ビス(2−ジフェニルホスフィノエチル)フェニルホスフィン、(2S,4S)−(−)−2,4−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、(2R,4R)−(−)−2,4−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、R−(+)−1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン等をあげることができる。
【0042】
また、(2S,3S)−(+)−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)−2,3−O−イソプロピリデン−2,3−ブタンジオール、トリ(2−フリル)ホスフィン、トリ(1−ナフチル)ホスフィン、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ホスフィン、トリス(3−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(4−クロロフェニル)ホスフィン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン、トリス(3−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリス(2−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(2,4,6−トリメトキシフェニル)ホスフィン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホスフィン、トリス[4−(ペルフルオロへキシル)フェニル]ホスフィン、トリス(2−チエニル)ホスフィン等をあげることができる。
【0043】
また、トリス(m−トリル)ホスフィン、トリス(o−トリル)ホスフィン、トリス(p−トリル)ホスフィン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリ(2,5−キシリル)ホスフィン、トリ(3,5−キシリル)ホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル、(S)−(+)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2.2]−パラシクロファン、(R)−(−)−4,12−ビス(ジフェニルホスフィノ)−[2.2]−パラシクロファン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等をあげることができる。
【0044】
また、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジ−p−トリルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、ビス(2−メトキシフェニル)フェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、(1R,2R)−(+)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(1S,2S)−(+)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(±)−N,N’−ビス(2’−ジフェニルホスフィノベンゾイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(1S,2S)−(−)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(1R,2R)−(+)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)−1,2−ジアミノシクロヘキサン、(±)−N,N’−ビス(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフトイル)ジアミノシクロヘキサン等をあげることができる。
【0045】
また、トリス(ジエチルアミノ)ホスフィン、ビス(ジフェニルホスフィノ)アセチレン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)フェロセニル]エチルジフェニルホスフィン、(R)−(−)−1−[(S)−2−(ジフェニルホスフィノ)フェロセニル]エチルジ−tert−ブチルホスフィン、ビス(p−スルホナトフェニル)フェニルホスフィン二カリウム塩、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、(S)−(−)−1−(2−ジフェニルホスフィノ−1−ナフチル)イソキノリン、トリス(トリメチルシリル)ホスフィン、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等が例示できる。
【0046】
三級ホスフィンは、上記の三級ホスフィンのいずれでも良いが、収率が良い点で、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルおよび(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルが望ましい。
【0047】
特に、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニルがさらに望ましい。
【0048】
三級ホスフィンの使用量は、パラジウム化合物に対して、0.1当量以上が望ましく、好ましくは1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0049】
工程Aで用いることのできる塩基としては例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の有機塩基や、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブトキシド、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基を挙げることができる。収率が良い点で無機塩基が望ましく、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシドがさらに望ましい。
【0050】
塩基の使用量は、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0051】
工程Aでは、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンそのものを用いても良いが、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン等の有機塩基を作用させて反応系内で2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを発生させ、これを用いても良い。その際に用いる有機塩基の量は、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンに対して、1当量以上が望ましく、2当量以上が、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを収率よく発生させることができる点で望ましい。
【0052】
2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの使用量は、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0053】
本反応は溶媒中で実施することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチル等を用いることができる。中でも収率が良い点でテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチルが望ましく、トルエンがさらに望ましい。
【0054】
反応温度には特に制限はないが、−10℃から溶媒還流温度の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度にもよるが、10分から48時間である。
【0055】
反応後の溶液から、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類を単離する方法に特に制限はなく、蒸留、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の生成物に適した汎用的な方法で行うことができる。
【0056】
原料となる一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の一部の化合物は、前記の非特許文献2または特許文献2に記載の方法で製造できるが、以下に示す工程B、工程Cまたは工程Dで製造することが、収率が良い点、工程が簡単な点で望ましい。
【0057】
工程Bは、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類と一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の混合物を製造する方法である。
[工程B]
【0058】
【化7】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]
工程Bで用いることのできるパラジウム触媒は、工程Aの説明で記載の塩化パラジウム、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、パラジウム/アルミナおよびパラジウム/炭素等を用いることができる。
【0059】
パラジウム触媒の使用量は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類に対して、0.01当量以上が望ましく、好ましくは0.5当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0060】
また工程Bで用いることのできるパラジウム触媒としては、例えばパラジウム化合物と三級ホスフィンとからなる触媒系をあげることができ、このときの三級ホスフィンは、工程Aの説明で記載のトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等を用いることができる。
【0061】
三級ホスフィンの使用量は、パラジウム化合物に対して、0.1当量以上が望ましく、好ましくは1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0062】
工程Bで用いることのできる塩基は、工程Aの説明で記載の無機塩基が望ましく、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシドがさらに望ましい。
【0063】
塩基の使用量は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0064】
工程Bでは、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンそのものを用いても良いが、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンにトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ピリジン等の有機塩基を作用させて反応系内で2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを発生させ、これを用いても良い。その際に用いる有機塩基の量は、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンに対して、1当量以上が望ましく、2当量以上が、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを収率よく発生させることができる点で望ましい。
【0065】
2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの使用量は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。また、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類を収率良く得るためには、2当量以上用いることが望ましい。
【0066】
本反応は溶媒中で実施することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチル等を用いることができる。中でも収率が良い点でテトラヒドロフラン、トルエン、ジクロロメタン、酢酸エチルが望ましく、トルエンがさらに望ましい。
【0067】
反応温度には特に制限はないが、−10℃から溶媒還流温度の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度にもよるが、10分から48時間である。
【0068】
反応後の溶液から、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類と一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類を分離し、各々を単離することができる。その方法に特に制限はなく、蒸留、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の目的物に適した汎用的な方法で行うことができる。また、基質の種類や反応条件により、(1b)または(1a)のみが得られる場合もある。
【0069】
工程Bの原料となる一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類の一部の化合物は、例えばIzvestiya Akademii Nauk USSR,Seriya Khimicheskaya,1965年,3巻,450−456ページに記載のアニリン類と1,1,1−トリフルオロアセトンから製造することもできるが、以下に示す工程Cで製造することが、収率が良い点、工程が簡単な点で望ましい。
【0070】
工程Cは、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類および/または一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類および/または一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類を製造する方法である。
[工程C]
【0071】
【化8】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]
工程Cで用いることのできるパラジウム触媒は、工程Aの説明で記載の塩化パラジウム、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、パラジウム/アルミナおよびパラジウム/炭素等を用いることができる。
【0072】
パラジウム触媒の使用量は、一般式(3)で表される2−アミノベンゾニトリル類に対して、0.01当量以上が望ましく、好ましくは0.5当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0073】
また、工程Cで用いることのできるパラジウム触媒としては、例えばパラジウム化合物と三級ホスフィンとからなる触媒系をあげることができ、このときの三級ホスフィンは、工程Aの説明で記載のトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等を用いることができる。
【0074】
三級ホスフィンの使用量は、パラジウム化合物に対して、0.1当量以上が望ましく、好ましくは1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
工程Cで用いることのできる塩基は、工程Aの説明で記載の無機塩基が望ましく、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシドがさらに望ましい。
【0075】
塩基の使用量は、一般式(3)で表される2−アミノベンゾニトリル類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0076】
工程Cでは、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンそのものを用いても良いが、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンにトリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、ピリジン等の有機塩基を作用させて反応系内で2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを発生させ、これを用いても良い。その際に用いる有機塩基の量は、1,2−ジブロモ−3,3,3−トリフルオロプロパンに対して、1当量以上が望ましく、2当量以上が、2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンを収率よく発生させることができる点で望ましい。
【0077】
2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンの使用量は、一般式(3)で表される2−アミノベンゾニトリル類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。また、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類を収率良く得るためには、2当量以上用いることが望ましい。
【0078】
本反応は溶媒中で実施することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチル等を用いることができる。中でも収率が良い点でトルエンが望ましい。
【0079】
反応温度には特に制限はないが、−10℃から溶媒還流温度の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度にもよるが、10分から48時間である。
【0080】
反応後の溶液から、一般式(1b)で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類を分離し、各々を単離することができる。その方法に特に制限はなく、蒸留、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の目的物に適した汎用的な方法で行うことができる。また、基質の種類や反応条件により、(1b)および(1a)または(1a)および(2)または(1b)、(1a)、(2)のいずれかのみが得られる場合もある。
【0081】
工程Dは、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類を製造する方法である。
【0082】
[工程D]
【0083】
【化9】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]
工程Dで用いることのできるパラジウム触媒は、工程Aの説明で記載の塩化パラジウム、酢酸パラジウム、π−アリルパラジウムクロリドダイマー、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]パラジウム、ジクロロ[1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン]パラジウム、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム、パラジウム/アルミナおよびパラジウム/炭素等を用いることができる。
【0084】
パラジウム触媒の使用量は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類に対して、0.01当量以上が望ましく、好ましくは0.5当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0085】
工程Dで用いることのできるパラジウム触媒としては、例えばパラジウム化合物と三級ホスフィンとからなる触媒系をあげることができ、このときの三級ホスフィンとしては、工程Aの説明で記載のトリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリオクチルホスフィン、2−(ジ−tert−ブチルホスフィノ)ビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、(R)−(+)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(S)−(−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、(±)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル、2−ジ−tert−ブチルホスフィノ−2’−メチルビフェニル、2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)ビフェニル、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニルおよび2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−2’,4’,6’−トリイソプロピル−1,1’−ビフェニル等を用いることができる。
【0086】
三級ホスフィンの使用量は、パラジウム化合物に対して、0.1当量以上が望ましく、好ましくは1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0087】
工程Dで用いることのできる塩基は、工程Aの説明で記載の無機塩基が望ましく、炭酸セシウム、リン酸カリウム、ナトリウム−tert−ブトキシドがさらに望ましい。
【0088】
塩基の使用量は、一般式(2)で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類に対して、1当量以上用いると目的物を収率良く得ることができる点で望ましい。
【0089】
本反応は溶媒中で実施することができ、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、アセトニトリル、酢酸エチル等を用いることができる。中でも収率が良い点でトルエンが望ましい。
【0090】
反応温度には特に制限はないが、−10℃から溶媒還流温度の範囲から適宜選ばれた温度で行うことが好ましい。また反応時間は、反応温度にもよるが、10分から48時間である。
【0091】
反応後の溶液から、一般式(1a)で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類を単離する方法に特に制限はなく、蒸留、溶媒抽出、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、再結晶または昇華等の目的物に適した汎用的な方法で行うことができる。
【発明の効果】
【0092】
本発明は、医農薬や電子材料等の有用な中間体として期待される2−トリフルオロメチルキノリン類およびその効率的な製造方法を提供する。
【実施例】
【0093】
次に本発明を参考例、実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0094】
(参考例1)
2−アミノベンゾニトリル118.0mg(1.0mmol)、1,1,1−トリフルオロアセトン110μL(1.23mmol)をベンゼン0.5mLに溶解し、110℃で15時間加熱攪拌した。内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率6%で、生成していることを確認した。
【0095】
(参考例2)
2−アミノベンゾニトリル118.0mg(1.0mmol)、1,1,1−トリフルオロアセトン110μL(1.23mmol)、炭酸セシウム391mg(1.2mmol)をベンゼン0.5mLに溶解し、室温で48時間加熱攪拌した。内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率42%で生成していることを確認した。
【0096】
(実施例1)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム391mg(1.2mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノベンゾニトリル118.0mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率3%で、4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率41%で、4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率17%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン(褐色固体、収率35%、74.3mg)および2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質、収率11%、33.7mg)を各々単離して得た。
【0097】
2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル
19F−NMR(CDCl,ppm):−75.0。
【0098】
4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):5.17(s,2H),6.89(s,1H),7.52(ddd,JHH=8.4Hz,JHH=7.0Hz,JHH=1.2Hz,1H),7.71(ddd,JHH=8.5Hz,JHH=7.0Hz,JHH=1.4Hz,1H),7.79(d,JHH=8.4Hz,1H),8.09(d,JHH=8.5Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):99.1(q,JCF=2.4Hz),118.7,120.2,121.8(q,JCF=275.3Hz),126.6,130.4,130.6,148.0,148.6(q,JCF=33.6Hz),151.4.
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.2。
【0099】
2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
H−NMR(CDCl,ppm):2.04(s,3H),7.06(s,1H),7.66−7.67(m,2H),7.86(ddd,JHH=8.5Hz,JHH=5.7Hz,JHH=2.7Hz,1H),8.25(d,JHH=8.5Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.5,103.7,119.8(q,JCF=279.0Hz),120.9,122.1(q,JCF=275.4Hz),123.2,129.7,131.3,132.3,148.9,149.2(q,JCF=34.9Hz),154.5,162.0(q,JCF=35.0Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.0,−74.7。
【0100】
(実施例2)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム391mg(1.2mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−6−メチルベンゾニトリル132.2mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率43%で、4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率7%で、5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率13%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル(黄色油状物質、収率33%、74.6mg)および5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質、収率72%、230.1mg)を各々単離して得た。
【0101】
6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル
H−NMR(CDCl,ppm):2.07(s,3H),2.57(s,3H),6.70(d,JHH=7.9Hz,1H),7.12(d,JHH=7.8Hz,1H),7.47(dd,JHH=7.9Hz,JHH=7.8Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.2,20.7,103.1,115.0,116.0,119.2(q,JCF=278.7Hz),126.4,133.2,143.4,150.6,160.4(q,JCF=35.0Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−74.9。
4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリン
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.7。
【0102】
5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
H−NMR(CDCl,ppm):2.06(s,3H),2.61(s,3H),6.83(s,1H),7.41(d,JHH=7.1Hz,1H),7.69(dd,JHH=8.5Hz,JHH=7.1Hz,1H),8.08(d,JHH=8.5Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.5,24.3,103.9,119.2(q,JCF=276.7),120.8,122.4(q,JCF=275.3Hz),129.0,130.9,131.2,135.0,147.6(q,JCF=35.0Hz),149.8,154.9,157.9(q,JCF=35.2Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.1,−75.3。
【0103】
(実施例3)
実施例2の炭酸セシウムを782mgに変えた以外は、実施例2と同様に反応を行い、19F−NMRにより6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率21%で、4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率6%で、5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率73%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質、収率72%、230.1mg)を単離して得た。
【0104】
(実施例4)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム782mg(2.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−4−メチルベンゾニトリル132.0mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率4%で、4−アミノ−7−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率26%で、7−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率44%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、4−アミノ−7−メチル−2−トリフルオロメチルキノリン(褐色固体、収率17%、39.2mg)を単離して得た。
【0105】
4−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル
19F−NMR(CDCl,ppm):−75.0.
4−アミノ−7−メチル−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):2.54(s,3H),4.94(s,2H),6.86(s,1H),7.38(dd,JHH=8.6Hz,JHH=1.6Hz,1H),7.68(d,JHH=8.6Hz,1H),7.90(s,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):21.6,99.4(q,JCF=2.4Hz),116.6,119.7,122.5(q,JCF=275.2Hz),128.8,129.7,141.0,148.3,149.5(q,JCF=33.5Hz),151.0.
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.4.
7−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.2,−74.8。
【0106】
(実施例5)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム782mg(2.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−5−クロロベンゾニトリル152.4mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−6−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率66%で、6−クロロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率5%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、4−アミノ−6−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン(黄色固体、収率39%、95.7mg)を単離して得た。
【0107】
4−アミノ−6−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):4.96(s,2H),6.94(s,1H),7.68(dd,JHH=9.0Hz,JHH=2.2Hz,1H),7.78(d,JHH=2.2Hz,1H),8.05(d,JHH=9.0Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):99.9(q,JCF=2.3Hz),120.1,120.2,122.3(q,JCF=275.5Hz),132.2,133.1,133.4,147.4,149.7(q,JCF=33.9Hz),151.2.
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.6.
6−クロロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.1,−75.0。
【0108】
(実施例6)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム782mg(2.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−4−クロロベンゾニトリル153.0mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−7−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率35%で生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で精製することにより、4−アミノ−7−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン(褐色固体、収率10%、25.3mg)を単離して得た。
【0109】
4−アミノ−7−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):5.01(s,2H),6.90(s,1H),7.50(dd,JHH=9.0Hz,JHH=2.1Hz,1H),7.72(d,JHH=9.0Hz,1H),8.11(d,JHH=2.1Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):99.6(q,JCF=2.4Hz),117.0,121.5,121.5(q,JCF=275.4Hz),127.5,129.6,136.6,148.7,149.7(q,JCF=34.0Hz),151.2.
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.6。
【0110】
(実施例7)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム782mg(2.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−4,5−ジメトキシベンゾニトリル179.0mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4,5−ジメトキシ−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリルが生成率19%で、4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率23%で、6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率33%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、4,5−ジメトキシ−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル(黄色液体、収率11%、29.9mg)、4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチルキノリン(褐色固体、収率20%、54.4mg)および6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(白桃色固体、収率23%、83.9mg)を各々単離して得た。
【0111】
4,5−ジメトキシ−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]ベンゾニトリル
H−NMR(CDCl,ppm):2.12(s,3H),3.90(s,3H),3.92(s,3H),6.40(s,1H),7.03(s,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.3,56.4,92.7,103.0,113.7,116.4,119.2(q,JCF=278.7Hz),145.5,146.6,153.7,161.0(q,JCF=34.8Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−74.8。
【0112】
4−アミノ−6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):3.94(s,3H),3.96(s,3H),5.00(s,2H),6.84(s,1H),6.98(s,1H),7.39(s,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):56.0,56.2,98.6,99.0(q,JCF=2.5Hz),109.0,113.5,122.0(q,JCF=274.7Hz),145.2,146.6(q,JCF=33.6Hz),149.9,153.1,171.3。
19F−NMR(CDCl,ppm):−67.9。
【0113】
6,7−ジメトキシ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
H−NMR(CDCl,ppm):2.06(s,3H),3.99(s,3H),4.06(s,3H),6.79(s,1H),6.94(s,1H),7.54(s,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.3,56.1,56.4,99.4,102.8,108.8,115.9,119.2(q,JCF=278.6Hz),121.6(q,JCF=274.8Hz),145.5,146.1(q,JCF=34.7Hz),151.3,151.6,154.1,160.6(q,JCF=35.2Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−67.6,−74.6。
【0114】
(実施例8)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム57.5mg(0.10mmol)、炭酸セシウム782mg(2.4mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン83.2mg(0.15mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、2−アミノ−6−フルオロベンゾニトリル136.0mg(1.0mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−5−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率48%で、5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率20%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、4−アミノ−5−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン(褐色固体、収率48%、110.9mg)を単離して得た。また、5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質)の粗生成物も得られた。
【0115】
4−アミノ−5−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン
H−NMR(CDCl,ppm):5.61(s,2H),6.81(s,1H),7.14(ddd,JHF=13.7Hz,JHH=7.8Hz,JHH=0.8Hz,1H),7.61(ddd,JHH=8.4Hz,JHF=8.1Hz,JHH=7.8Hz,1H),7.87(d,JHH=8.4Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):99.8(q,JCF=2.1Hz),109.6(d,JCF=9.0Hz),111.4(d,JCF=23.0Hz),122.2(q,JCF=275.3Hz),127.3(d,JCF=3.8Hz),130.7(d,JCF=11.0Hz),150.4(q,JCF=35.4Hz),151.2,152.4(d,JCF=2.7Hz),160.4(d,JCF=250.7Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.7,−115.1(ddd,JFH=13.7Hz,JFH=8.1Hz,JFH=4.0Hz)。
【0116】
5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン
H−NMR(CDCl,ppm):2.06(s,3H),7.02(s,1H),7.30(ddd,JHF=11.5Hz,JHH=8.0Hz,JHH=0.6Hz,1H),7.78(ddd,JHH=8.4Hz,JHH=8.0Hz,JHF=5.6Hz,1H),8.06(d,JHH=8.4Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.7,105.4,111.7(d,JCF=10.8Hz),114.2(d,JCF=20.9Hz),119.7(q,JCF=278.7Hz),121.8(q,JCF=275.6Hz),127.4(d,JCF=4.5Hz),131.9(d,JCF=15.8Hz),144.1(q,JCF=34.7Hz),150.2(q,JCF=35.2Hz),150.4,153.6(d,JCF=3.6Hz),158.6(d,JCF=259.4Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.3,−72.1,−111.8(dd,JFH=11.5Hz,JFH=5.6Hz)。
【0117】
(実施例9)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム28.8mg(0.05mmol)、炭酸セシウム391mg(1.2mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン41.6mg(0.075mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例2で得られた6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル113.1mg(0.5mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率33%で、生成していることを確認した。
【0118】
(実施例10)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム28.8mg(0.05mmol)、炭酸セシウム196mg(0.6mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン41.6mg(0.075mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン1mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例2で得られた6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル113.1mg(0.5mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン70μL(0.67mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率9%で、5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率22%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質、収率14%、22.4mg)を単離して得た。
【0119】
H−NMR(CDCl,ppm):2.06(s,3H),2.61(s,3H)、6.83(s,1H),7.41(d,JHH=7.1Hz,1H),7.69(dd,JHH=8.5Hz,JHH=7.1Hz,1H),8.08(d,JHH=8.5Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.5,24.3,103.9,119.2(q,JCF=276.7Hz),120.8,122.4(q,JCF=275.3Hz),129.0,130.9,131.2,135.0,147.6(q,JCF=35.0Hz),149.8,154.9,157.9(q,JCF=35.2Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.1,−75.3。
【0120】
(参考例3)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、炭酸セシウム391mg(1.2mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例2で得られた6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル113.1mg(0.5mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンおよび5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成していないことを確認した。
【0121】
(参考例4)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ナトリウム−tert−ブトキシド23.1mg(0.24mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン0.5mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例2で得られた6−メチル−2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル22.6mg(0.1mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンおよび5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成していないことを確認した。
【0122】
(参考例5)
参考例4でナトリウム−tert−ブトキシドに替えて水酸化ナトリウム151.4mg(3.8mmol)を加え、参考例4と同様に反応を行ったところ、19F−NMRにより4−アミノ−5−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンおよび5−メチル−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成していないことを確認した。
【0123】
(実施例11)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム11.5mg(0.02mmol)、炭酸セシウム78.2mg(0.24mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン16.6mg(0.03mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン0.5mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例1で得られた4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン42.4mg(0.20mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン30μL(0.29mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率19%で、生成していることを確認した。
【0124】
(実施例12)
10mLのスクリューキャップ付試験管に、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム13.6mg(0.024mmol)、炭酸セシウム92.9mg(0.28mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン20.5mg(0.037mmol)を入れ、試験管内をアルゴンガスで置換した。次にトルエン2mLを加え、室温で5分攪拌した。試験管を氷浴で冷却しながら、実施例8で得られた4−アミノ−5−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン54.0mg(0.23mmol)と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペン250μL(2.4mmol)を加えた。これを110℃で15時間加熱し撹拌した。反応終了後、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリンが生成率90%で、生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で分離・精製することにより、5−フルオロ−2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]キノリン(褐色油状物質、収率80%、59.6mg)を単離して得た。
【0125】
H−NMR(CDCl,ppm):2.06(s,3H),7.02(s,1H),7.30(ddd,JHF=11.5Hz,JHH=8.0Hz,JHH=0.6Hz,1H),7.78(ddd,JHH=8.4Hz,JHH=8.0Hz,JHH=5.6Hz,1H),8.06(d,JHH=8.4Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):15.7,105.4,111.7(d,JCF=10.8Hz),114.2(d,JCF=20.9Hz),119.7(q,JCF=278.7Hz),121.8(q,JCF=275.6Hz),127.4(d,JCF=4.5Hz),131.9(d,JCF=15.8Hz),144.1(q,JCF=34.7Hz),150.2(q,JCF=35.2Hz),150.4,153.6(d,JCF=3.6Hz),158.6(d,JCF=259.4Hz).
19F−NMR(CDCl,ppm):−68.3,−72.1,−111.8(dd,JFH=11.5Hz,JFH=5.6Hz)。
【0126】
(参考例6)
20mLの二口ナスフラスコに、水素化アルミニウムリチウム37mg(0.97mmol)を入れ、反応容器内をアルゴンガスで置換した。次に脱水ジエチルエーテル1mLを加え、室温で5分攪拌した。これに、4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)アミノ]−2−トリフルオロメチルキノリン336.5mg(1.10mmol)を溶解した脱水エーテル2mLを加え、室温で24時間撹拌した。反応終了後、酢酸エチルを加え、固形物をセライトろ過し、内部標準として2,2,2−トリフルオロエタノールを加え、19F−NMRにより4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピル)アミノ]−2−トリフルオロメチルキノリンが生成率92%で生成していることを確認した。ろ液を濃縮後、シリカゲルカラム(溶離液 ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜1:1)で精製することにより、淡黄色固体(収率83%,282.5mg)を得た。
【0127】
H−NMR(CDCl,ppm):1.60(d,JHH=6.8Hz,3H),4.36−4.44(m,1H),5.12(brd,JHH=8.7Hz,1H),6.87(s,1H),7.59(ddd,JHH=8.1Hz,JHH=7.3Hz,JHH=1.0Hz,1H),7.76(ddd,JHH=8.4Hz,JHH=7.3Hz,JHH=1.2Hz,1H),7.79(d,JHH=8.1Hz,1H),8.14(d,JHH=8.4Hz,1H).
13C−NMR(CDCl,ppm):14.9(q,JCF=2.2Hz),50.5(q,JCF=31.5Hz),95.3,118.4,118.9,121.7(q,JCF=275.5Hz),125.6(q,JCF=282.5Hz),127.1,130.5,131.0,147.7,148.8(q,JCF=33.7Hz),149.5.
19F−NMR(CDCl,ppm):−77.2(d,JFH=6.3Hz),−68.4。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
【化1】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。RおよびRは、水素原子またはRとRが一体となって1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン基を示す。]であらわされることを特徴とする4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類(但し、4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6,8−ジクロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−ヨード−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−ブロモ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−8−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−ヨード−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−クロロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−フルオロ−2−トリフルオロメチルキノリン、4−アミノ−6−ブロモ−2−トリフルオロメチルキノリンおよび4−アミノ−6−メチル−2−トリフルオロメチルキノリンを除く)。
【請求項2】
一般式(1a)
【化2】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)
【化3】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類の製造方法。
【請求項3】
一般式(2)
【化4】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。]で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)
【化5】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類および/または一般式(1a)
【化6】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の製造方法。
【請求項4】
一般式(3)
【化7】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。]で表される2−アミノベンゾニトリル類と2−ブロモ−3,3,3−トリフルオロプロペンをパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1b)
【化8】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−トリフルオロメチル−4−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノキノリン類および/または一般式(1a)
【化9】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類および/または一般式(2)
【化10】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類の製造方法。
【請求項5】
一般式(2)
【化11】

[式中、R、R、RおよびRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数2〜5のアシル基、(炭素数1〜4のアルコキシ)カルボニル基、(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、ジ(炭素数1〜4のアルキル)アミノ基、シアノ基、水酸基またはハロゲン原子を示す。]で表される2−[N−(1,1,1−トリフルオロ−2−プロピリデン)]アミノベンゾニトリル類をパラジウム触媒および塩基の存在下に反応させることを特徴とする、一般式(1a)
【化12】

[式中、R、R、RおよびRは、前記と同じ内容を示す。]で表される4−アミノ−2−トリフルオロメチルキノリン類の製造方法。
【請求項6】
パラジウム触媒がパラジウム化合物と三級ホスフィンからなる触媒系である請求項2から請求項5のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−37761(P2008−37761A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210260(P2006−210260)
【出願日】平成18年8月1日(2006.8.1)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【出願人】(000173762)財団法人相模中央化学研究所 (151)
【Fターム(参考)】