2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを用いたアルツハイマー病の予防と/またおよび/または治療においての役割への適用
本発明は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムがアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる薬を調製する時の使用を公開した。また、本発明は予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる医薬組成物を公開した。および必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項8に記載の医薬組成物を使用することを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムがアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる薬を調製する時の役割に関する。上記アルツハイマー病は、初老期認知症・脳血管性認知症またはこの両方とも持つ混合症状から選択される。上記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選択される。また、本発明は、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用い、予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含む医薬組成物に関する。上記医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放出または徐放性製剤から選ばれる。また、本発明は必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項4に記載の医薬組成物を使用を含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法に関する。患者への投与経路は非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。上記器官から選んで、経由して患者に投薬する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、初老期認知症(アルツハイマー病、Alzheimer’s disease,AD)と血管性認知症(vascular dementia, VD)の二種類および両方の混合症状に分けられる。ADは年齢に関わる進行性認知障害と記憶障害を主としての中枢神経系の変性疾患である。主な臨床症状は記憶(特に最近の記憶)減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調である。最も特徴的な2つの病理学での変化は脳細胞外アミロイドペプチド沈着と神経原線維変化(neurofibrillary tangles,NFT)である。本疾患は60歳以上の人間に多発で、わが国は65歳以上の老人の有病率は4%前後、全世界では約5000万の高齢者がそれぞれ程度のアルツハイマー病にかかっている。VDは脳血管病によって脳機能障害で発生した病気である。欧米には、VD患者はアルツハイマー病患者総数の10〜20%を占め、アジアでは、中国と日本の発生率はさらぶ高い。わが国は高齢化時代に入っているので、アルツハイマー病の患者は年々増加している。脳への血液供給が長期に不足が続けることも脳血管性認知症になる重要な原因である。アルツハイマー病患者は本人が苦しく感じるだけではなく、家庭にも社会にも重い負担になるが、今のところ効果的な治療薬がまだできていないので、有効な薬を見つけ、ADとVDの発生・進行を遅延・制御することは極めて重要になる。
【0003】
本請求項で用いた2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム(Potassium 2−(1−hydroxypentyl)−benzoate,dl−PHPB)は化学合成の新規物質で、核磁気共鳴、MSおよび赤外線などのスペクトル分析によって、単一の化合物であることを証明し、高性能液相の分析によっては、化学の純度は98%以上であることを証明した。その調製工程は特許「2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムおよびその作り方と役割」、公報1382682。その化学一般式は次式で表される。
【0004】
【化1】
【0005】
今までdl−PHPBでアルツハイマー病を治療したという報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許公報第1382682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムがアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる薬を調製する時の役割に関する。
【0008】
本発明で記載のアルツハイマー病は、初老期認知症・血管性認知症またはこの両方の混合症状から選択される。上記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選択される。
【0009】
本発明で記載の予防とは、アルツハイマー病が発生する前に、特にアルツハイマー病初期の前で記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を抑える。記載の緩和とは、アルツハイマー病中に、またはアルツハイマー病が出た後、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を改善する。記載の治療とは、アルツハイマー病中に、またはアルツハイマー病が出た後、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を臨床上の改善を図る。
【0010】
また、本発明は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが脳組織の酸化ストレス損傷の軽減、コリン作動性神経機能の向上、ニューロンの保護および/または脳源性神経成長因子含有量の向上に用いる薬を調製する時の役割に関わる。記載の脳組織の酸化ストレス損傷の軽減とは、脳組織代償性が異常増加の酸化防止酵素の活性を抑えることで、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。記載の酸化防止酵素とは、スーパーオキシドジスムターゼで、脂質過酸化産物とはマロンアルデヒドである。コリン作動性神経機能の改善は、アセチルコリン合成酵素の活性を上げることで、アセチルコリン加水分解酵素の活性を下げる。
【0011】
本発明の中のdl−PHPBは2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。本発明では、記載の哺乳動物は人間が好ましい。
【0012】
アルツハイマー病患者として、主要な表現は認知障害、特に最近の記憶と空間知覚のプログレッシブ減退である。高齢者と関わる認知症はいろいろな原因で引き起こされ、例えば脳血管性(脳虚血)、β−アミロイドペプチド沈着相関の変化およびその他老年と関わる未知の原因がある。上記要因に対して、本発明は下記の認定されたモデル三種類を取り入れた。2−VOラットが臨床的な脳への血液供給不足で起こった脳血管性認知症が模擬できる;ラットの側脳室にAβ(25−35)を注射したことで起こった学習・記憶障害は観測薬物が初老期認知症(アルツハイマー病、Alzheimer’s disease,AD)に治療作用のモデルであることはすでに認定されている;SAMP8は学習・記憶障害が現れるだけでなく、ADの一部の病理学の特徴も有し、すばやく自然な疾患モデルであり、人間の老衰や認知症の臨床特徴と類似しており、理想的なADの代替モデルである。本研究は国際で認定された方法で、すなわちMorris水迷路実験、水迷路実験およびステップダウンのテストでラット・マウスの学習・記憶能力を測定し、三種類の動物モデルでdl−PHPBが脳血管性認知症、β−アミロイドペプチド(Aβ)誘導への認知障害およびすばやく老衰に伴って出た学習・記憶衰退の役割を観察した。
【0013】
要するに、本発明は、この3つのモデルでdl−PHPBが認知症動物の学習記憶に対する改善効果を観察して、dl−PHPBは慢性脳虚血ラット、Aβ認知傷害ラットと加速老衰マウスの学習・記憶能力を顕著に改善できることを発見した。また、本発明はそれ以上の作用メカニズムの可能性に対しても研究してみた。dl−PHPBは、慢性脳虚血原因の脳組織形態異常の改善、アストロサイト活性化の減少とニューロン保護作用の再生ができる;上記三種類モデルの動物脳組織代償性増加のSOD活性の下降、MDAレベルアップ、酸化損害の減少およびニューロン保護もできる;上記三種類モデル動物の脳内ChAT活性を強め、脳内アセチルコリン合成を増加させて、動物の学習・記憶能力を強化することができる;慢性脳虚血後脳組織神経営養因子(BDNF)の含有量を増加させることができるということは脳組織の保護と認知症抵抗のメカニズムの1つであることを発見した。上記のことは、dl−PHPBは多原因の学習・記憶障害症を改善でき、アルツハイマー病に対して著しい治療作用があり、老衰原因の学習・記憶衰退に対しても改善ができるということは十分に説明された。
【0014】
具体的には、本発明は、慢性脳虚血モデルに対する研究を通して、dl−PHPBは脳血液供給不足ラットの最近記憶と空間識失調を改善することができる。VDは脳血管病が原因の脳機能障害でかかった認知症であり、ほとんどの脳動脈梗塞あるいはラクナ脳梗塞あるいは脳低循環に関連付けられている。脳低循環程度は認知症の重さにと関連している。慢性進行性脳供血不足は酸素とグルコースおよび他の必要代謝物の利用率を低下させた結果は、酸化損傷を引き起こし、ミトコンドリア機能と神経細胞の生物合成も損害され、シナプス伝達をブロックされ、最後に神経病理学的異常、すなわち神経変性の変更になってしまう。VD患者の症状は主に最近の記憶と空間感の進行性低下および認知障害である。
【0015】
Morris水迷路実験は動物の空間学習と最近の記憶能力を検出する典型的な実験である。本発明は、大鼠の両側頚動脈(2−VO)を永久的に結紮することで継続性脳低循環のモデルを作り、Morris水迷路法でdl−PHPBの動物最近記憶と空間識失調に対する影響を検測してみた。この実験を通して、dl−PHPBは脳低循環ラットの学習・記憶を改善できることを発見した。ラットが慢性脳虚血にかかった1ヶ月後に、本発明の発明者は二項の実験を行った。1つはナビゲーションテスト実験、もう1つは空間探査実験。
【0016】
ナビゲーションテストで、ラットがプラットフォーム見つける時間(潜伏期間)、サーチ策略および水泳スピードの三項指標を観察した。dl−PHPBは慢性脳低循環ラットの学習記憶能力の減退に対しては顕著な改善効果を持っている。潜伏期間から見ると、dl−PHPBが脳低循環ラットの空間学習と最近記憶障害に明らかな改善効果を持っている。プラットフォーム探査策略から分析すると、dl−PHPB群はリニア式とトレンドスタイル式策略を使う回数は明らかに増えたことは、dl−PHPBは脳低循環ラットが空間位置への記憶能力を向上できることが示された。実験中に、各群ラットの水泳スピードに明らかな変化がなく、群の間にも明らかな差異がないことは、当該実験方法は体力が妨害にならないことから、よりよいラットの学習記憶能力を測定できる。dl−PHPBはアルツハイマー病、特に脳血管性認知症の空間学習と最近記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療ができることが示された。
【0017】
ナビゲーションテストが終わってから、プラットフォーム探査実験を行い、安全島をはずして、ラットが目標象限での活動時間と第一回目標を通る時間を記録することで、ラットが安全島に対する空間記憶ができたかどうかおよび記憶の強度を測定する。dl−PHPB投与群で、ラットが目標象限での活動時間は溶媒対照群よりは明らかに長い。第一回目標を通る時間から見ると、dl−PHPB群も溶媒対照群より明らかに短い。これはdl−PHPBが慢性脳低循環ラットの空間学習記憶賞がいいを改善できることが示された。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に脳血管性認知症の空間学習記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療ができることが示された。
【0018】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に脳血管性認知症に対する予防・緩和および/または治療の機能を述べるために、本発明は生化学の方法でdl−PHPBが酸化損傷への相関指数と、コリン作動性神経システムへの影響を測定し、特にdl−PHPBが脳組織SOD活性・MDA含有量とアセチルコリンのシンターゼ(ChAT)活性への影響を測定した。
【0019】
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つで、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。ラットが慢性脳虚血の一ヵ月後、皮質のSOD活性とMDA含有量が溶媒対照群より顕著に低いことは、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織代償性が異常に増加した酸化防止酵素の活性を修正すると、脂質過酸化産物を低減し、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復が示された。
【0020】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットが永久に頚部両側の総動脈を結紮した一ヵ月後、海馬ChAT活性が顕著に下降した。投薬21日後は、dl−PHPBが低循環ラット海馬のChAT活性を顕著に向上し、コリン作動性神経機能を改善できる。
【0021】
脳低循環で起こった行動変化と共に、脳グリア細胞が活性化し、白質と灰白質も変化するので、本発明の機能をさらに述べるため、本発明は病理学および免疫組織化学の方法で、dl−PHPBが脳組織形態の変化への影響を観察した。HEとKluever−Barrera染色(後者はニューロン髄鞘の病理学的変化を反映する)によって、グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP、アストロサイト活性化の兆候)と脳源性神経成長因子(BDNF、認知機能とニューロンの生存と関わり、虚血に敏感である)を指標とする。
【0022】
HE染色は異なる色で細胞質と細胞核を表示するので、細胞の姿をはっきり見える。本研究の溶媒対照群が皮質ニューロンが収縮、深い色素と細胞核が明らかでない現象を見え、海馬のCA1、CA3エリアも類似な変化が出た。上記のことで、dl−PHPBが慢性脳低循環で起こった皮質・海馬ニューロン損傷に保護や治療作用を持っていることが表明した。
【0023】
K−B染色はニューロン髄鞘が完備であるかどうかを反映でき、さらに神経繊維の形態学の変化を反映できる。本実験では、溶媒対照群ラット脳梁と視神経管が明らかな空胞変性および神経繊維障害が出たことが発見した。dl−PHPB3つの用量は脳梁の病理変化に対する改善が顕著で、空胞変性が減少し、神経繊維の配置も少し回復していた。dl−PHPB3つの用量は視神経管の病理変化へも改善がある。上記のことで、dl−PHPBが脳低循環で起こった脳梁と視神経管の損傷に明らかな保護作用を持っていることが表明した。
【0024】
本発明ではdl−PHPBが脳低循環ラット脳組織GFAP陽性アストロサイトへの影響を研究した。脳低循環で起こった組織学異常は空間学習記憶損傷の基礎になるかもしれない。その内、白質がもっとも早く損傷され、それと共に反応性アストロサイトの増加とミクログリアの活性化が出る。グリア酸性タンパク質(GFAP)免疫組織化学染色は活性化したアストロサイトにマック付けに使用する。本発明は皮質・海馬・脳梁と視神経管四箇所を選び観察対象にした。皮質にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術よりさらに勢いがあり、dl−PHPB投与群は投与21日後、GFAP陽性細胞数は明らかに溶媒対照群より少ない。海馬にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より明らかに多い各投与群の当該指標値も溶媒対照群よりも明らかに低い。脳梁にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より顕著な差がないが、dl−PHPB投与群の当該指標値は溶媒対照群より低い。視神経管にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より明らかに多い。dl−PHPB投与21日後、GFAP陽性細胞数は溶媒対照群より明らかに少ない。上記のことでは、特に海馬、視神経管と皮質で、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織損傷と、活性化したアストロサイト量を明らかに減少させることができる。
【0025】
本発明はさらにdl−PHPBが脳低循環ラット脳組織BDNF分布面積と含有量への影響を研究した。脳源性神経成長因子(BDNF)はニューロンの生存と発育を維持し、正常な動物の脳組織に存在する。虚血の早期で高く表示できるが、虚血24時間以降は通常下降して表示する。BDNF免疫組織化学染色密度から見れば、溶媒対照群と偽手術と比べると、皮質でも海馬でも、BDNFとも顕著に減少し、投与群と溶媒対照群と比べると、皮質ではdl−PHPBがBDNFの表示を増加できる。海馬のCA1、CA2、CA3エリアで、dl−PHPBがBDNFの表示を明らかに増加できる。染色密度とBDNFの含有量と正比例する。以上のことでは、dl−PHPBは慢性脳虚血脳組織のBDNFの含有量を増加できる。
【0026】
本発明はβ−アミロイドペプチド認知症モデルの研究を通し、dl−PHPBがβ−アミロイドペプチド25−35)で起こったラット記憶と空間識失調障害を明らかに改善できる。
【0027】
ADは高齢者の認知機能プログレッシブ減退の一番重要な原因で、その主要な病理変化はβ−アミロイドペプチド(β−amyloid,Aβ)沈着を核心とするシミと神経原線維変化を形成する。Aβは39〜43のアミノ酸で成り立ち、β前駆体蛋白質の分解産物である。Aβ沈着の範囲は神経損傷や認知機能損傷と密接に関連している。Aβ(25−35)はAβの毒性断片で、Aβ(1−40)やAβ(1−42)と類似しているが、より強く速い毒性を持っている。過去の言及によっては、一回性脳室にAβ(25−35)を注射(i.c.v.)すると、ラットの学習と記憶の損傷を起こし、AD患者のような症状が出る。脳室にAβ(25−35)の注射はADを模擬できるので、本実験はラットi.c.v.Aβ(25−35)をモデルにする。
【0028】
本発明はMorris水迷路でdl−PHPBが動物の最近記憶と空間位置記憶の能力への影響を測定した。結果として、dl−PHPBは認知症ラットの学習記憶の改善に効果がある。ナビゲーションテストで、dl−PHPBが用量依存的にAβ(25−35)誘導した認知症ラットの潜伏期間を短縮できることは、dl−PHPBが用量依存性的に認知症ラットの学習記憶能力を改善できることを証明できる。四日間の訓練で、各群のラットの水泳スピードに差がないことはi.c.v.Aβ(25−35)が動物の体力に影響がないということである。水迷路実験は動物の学習記憶能力を確かに反映できることは、dl−PHPBがアルツハイマー病、特に初老期認知症の最近記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療の効果があることを証明した。
【0029】
プラットフォーム探査テストで、dl−PHPB群がターゲット象限での活動タイミングの百分比は溶媒対照群より明らかに長い。一回目プラットフォームを通過する時間について、dl−PHPB群も短縮の勢いが見える。dl−PHPBが用量依存性的に認知症ラットの空間位置学習記憶を増加可能であることは、dl−PHPBはアルツハイマー病、特に初老期認知症の空間位置学習記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療の効果があることを証明した。
【0030】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に初老期認知症に対する予防・緩和および/または治療の機能を述べるために、生物化学方法で酸化ストレス損傷およびコリン作動性神経機能障害の影響をそれぞれ測定し、特にdl−PHPBが認知症ラット脳組織SOD活性・MDA含有量とChAT活性に対する影響を測定した。
【0031】
本発明では、i.c.v.Aβ(25−35)が14日後、SODの活性代償性が向上し、経口でdl−PHPB投与二週間後は、皮質内SOD活性がそれぞれ顕著に下降したことは、dl−PHPBは用量依存性的に皮質内SOD活性を下降できることを証明した。
【0032】
皮質で、溶媒対照群のMDA含有量が顕著に向上した。連続で経口してdl−PHPB投与二週間後、皮質内MDA含有量が下降し、溶媒対照群と比べ顕著な差が出、dl−PHPBが用量依存性的にAβ(25−35)で起こったラット皮質内MDA含有量の増加を下げられる。
【0033】
ラットi.c.v.Aβ(25−35)後、皮質内ChAT活性が顕著な変化がなかったが、経口でdl−PHPB投与二週間後で、溶媒対照群と比べると、39mg/kgがChAT活性を顕著に上げられる(P<0.05)、129mg/kgも当該酵素の活性を上げる傾向が強い。これがAβ(25−35)は皮質内ChAT活性の下降をさせなかったが、dl−PHPBは認知症ラットのChAT活性を増加する可能性があることを証明した。
【0034】
結論として、dl−PHPBは用量依存的に初老期認知症患者の皮質のSOD活性とMDA含有量を下げられることは、当該薬物は初老期認知症患者の皮質代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直し、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。さらに、dl−PHPBは初老期認知症患者の皮質内ChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善することができる可能性も高い。
【0035】
本発明は加速老化マウスのモデルに対する研究によっては、dl−PHPBは加速老化マウスの学習記憶障害への改善効果を発見した。加速老化マウス(senescence accelerated mouse,SAM)は2つの亜系、すなわちP系とR系に分けられる。前者は加速老化マウス(SAM/prone,SAMP)といわれ、脱毛や肌荒れと行動障害や生存期間短縮などの老衰現象に現れ、遺伝の傾向も出てくる。後者は加速老化抵抗マウス、正常な老衰過程にいる。SAMPはすべて12の亜系に分けられ、その内SAMP8は学習記憶機能が年齢に従い衰退になり、中枢神経システム、例えば皮質や海馬などの病理的な変化が主要な状態として表現される。文献の報道によると、SAMP8は加齢中に脳内に大量のAβが沈着し、学習記憶機能と関連する脳内神経伝達物質も相応に変化し、例えば皮質や海馬のアセチルコリンレベルが下降、オピオイドペプチド、γ−アミノ酪酸レベルが向上、5−HTが先に向上しそれで下降するなど。脳内脂質過酸化物の含有量も増加し、酸化−酸化防止システムが障害になって、酸化ストレス損傷が出る。それと共に顕著なミトコンドリア機能障害も出る。つまり、SAMP8は自然な老衰過程中緩慢に出てくる認知症を模擬できるので、老衰と学習記憶機能および学習記憶機能障害発生原因を研究するためのより動物モデルである。
【0036】
本発明はステップダウンテストでSAMP8の受動回避反応能力を、水迷路で最近記憶と空間学習記憶能力を測定する。その結果から、dl−PHPBはSAMP8の学習記憶障害への改善効果と、アルツハイマー病への治療と知力衰退への延長効果を発見した。
【0037】
本発明では、dl−PHPB投与群SAMP8が受けた電気ショック回数は対照群より明らかに少ない、第一回でステップから飛び下りる潜伏期間は対照群より明らかに長い。尚且つ用量依存関係もある。これはdl−PHPBの長期間投与がSAMP8マウスの受動回避反応能力を向上でき、哺乳動物の学習能力と記憶保持能力を改善できることを証明した。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症患者の学習能力と記憶保持能力を改善できることを証明した。
【0038】
水迷路実験は動物の最近記憶と空間学習記憶能力の測定に常用する。動物がブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間でその学習記憶能力を反映できる。本発明では、dl−PHPB投与群がブラインドサイドに入る回数は対照群より明らかに少ない、潜伏期間も対照群より明らかに短い。dl−PHPBがSAMP8の最近記憶と空間学習記憶障害を改善でき、なお一定の用量依存性もある。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症患者の最近記憶と空間学習記憶障害の症状を予防、緩和および/または治療することができることを証明した。
【0039】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症病を予防、緩和および/または治療する機能を述べるために、生物化学方法でその脳組織と学習記憶および老衰と関連する生物化学指標を測定し、特にdl−PHPBが脳組織SOD活性・MDA含有量・ChAT活性とAChE活性に対する影響を測定した。
【0040】
本発明では、SAMP8マウスは連続して経口dl−PHPB投与35日後は、海馬SOD活性を明らかに下降し、対照群より顕著な差が出た。投与35日後は、dl−PHPB投与群の海馬のMDA含有量は対照群と比べ、下降する勢いが明らかである。dl−PHPBが海馬のMDA含有量を下降する可能性があることを証明した。上記のことで、dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直すことができ、脂質過酸化産物を下げる可能性があり、さらに脳組織正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させ、酸化ストレス損傷を軽減させることが示された。
【0041】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、AChEはアセチルコリンの加水分解酵素として、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。
【0042】
連続で投与35日後は、dl−PHPB投与群SAMP8マウス海馬のChAT活性が増加し、対照群と比べ、顕著な統計学差異があり、なお一定の用量依存性がある。dl−PHPB投与群海馬のAChE活性は対照群より勢いがないことが明らかである。これはdl−PHPBがSAMP8マウス海馬AChE活性を下降させる可能性があることが示された。
【0043】
結論として、dl−PHPBは用量依存性的に混合型認知症患者の海馬組織のChAT活性を向上でき、その海馬AChE活性にもある程度の下降ができる。dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬アセチルコリン含有量の増加によって、コリン作動性神経機能を改善できる可能性があることが示された。
【0044】
つまり、dl−PHPBは脳血管性認知症に対して予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBが脳血管性認知症患者の最近記憶と空間位置記憶障害を顕著に改善できる。dl−PHPBが脳血管性認知症患者の脳組織代償性増加のSOD活性と脂質過酸化産物MDAレベルを顕著に下降できることは、酸化ストレスが神経細胞に対して損傷を顕著に抑えることを証明した。dl−PHPBは脳血管認知症患者の脳組織のChAT活性を向上でき、脳内のアセチルコリンレベルを向上させる可能性が高いので、学習記憶の改善に効く。白質がまばらや空泡形成やグリア細胞増加やニューロン形態異常も含み、dl−PHPBは脳血管性認知症患者の脳組織の病理的な変化を改善でき、さらに虚血で起こった脳組織脳源性神経成長因子の現象を改善する。
【0045】
dl−PHPBは初老期認知症に対しては予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBは初老期認知症患者の学習と記憶障害に顕著な改善効果を持っている。dl−PHPBは初老期認知症患者の代償性増加の脳組織SOD活性とMDAレベル増加を下降でき、酸化損傷を軽減でき、ニューロンを保護する。dl−PHPBはコリン作動性神経伝達物質アセチルコリン合成酵素ChATの活性を上げられ、コリン作動性神経機能の改善によって、初老期認知症患者の学習記憶障害を改善する可能性は高い。
【0046】
dl−PHPBは混合型認知症に対しては予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBは混合型認知症患者の最近記憶および空間位置記憶障害を顕著に改善できる。dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬S0D活性を下降でき、さらに海馬MDAレベルを下降することは、それは酸化損傷を軽減でき、ニューロンを保護できることを証明した。dl−PHPBは海馬コリン作動性神経伝達物質アセチルコリン合成酵素ChATの活性を上げられ、さらにその加水分解酵素AChEの活性を下げる。コリン作動性神経機能の改善によって、混合型認知症患者の学習記憶障害を改善する可能性は高いことが示された。
【0047】
つまり、dl−PHPBはアルツハイマー病の治療に効果を持って、加速老衰に伴う認知衰退を軽減できる。その作動原理は脳組織の酸化ストレス損傷の軽減と、コリン作動性神経機能の向上と、脳組織脳源性神経成長因子含有量の向上などを含む。
【0048】
もう1つ、本発明は、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用い、予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含む医薬組成物に関する。本発明では、使用ルートによって、記載の医薬組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤から選ばれる。
【0049】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、既知の方法で調製しても良い。下記のなんかのルートで受験者に使用する。非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。
【0050】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは既知の調製方法を通して作成する。
【0051】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物のオプションはいずれの通常の方法で一種や多種の薬学で認めるキャリアおよび/または賦形剤で調製する。したがって、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとそれの溶媒は特別な調合をしても良い、例えば吸入や吹き込み(口や鼻を介して)、または経口、舌下腺、非経口または直腸投与。
【0052】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤などの形を使ってもよい。これらの製剤は治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、純化形式は好ましい、および適当のキャリアを含み、患者に適用する投与形式を提供する。製剤は投与方式に適用すべきである。
【0053】
本発明では、記載の純化形式2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとは、ほとんど純化の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。特に純度は80%より大きい、好ましいのは85%より大きい、さらに好ましいのは90%より大きい、特に好ましいのは98%より大きな2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムである。具体的にいうと、記載の純化形式は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの純度範囲は例えば95%−99%である。
【0054】
非経口投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は注射で例えばボーラスで非経口投与のため調合できる。注射用の製剤は単位製剤でオプションの防腐剤入れのアンプルや複数回投与用容器に保存してもよい。非経口製剤はガラスやプラスチックで作ったアンプルや、使い捨ての注射器やマルチ瓶に保存してもよい。製剤は、例えば油性や水性のキャリアにおいている懸濁液、溶液、エマルジョンの形式で、さらに例えば、懸濁剤や安定剤および/または分散剤のアクセサリを含んでもよい。
【0055】
例えば、非経口製剤は無毒非経口で好ましいシンナーや溶剤の中の無菌注射溶液または懸濁液であってもよい(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)。好ましいキャリアと使える溶剤は水、リンガーおよび等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、通常は無菌非発揮油を溶剤や懸濁培地としている。そのため、合成したグリセロールエステルおよびジアシルグリセロールを含み、軽度の非揮発性油をいずれも使ってもよい。また、非経口製剤の中にオレイン酸などの脂肪酸を使ってもよい。
【0056】
その他、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は粉末式に調合してもよい。使用前に適合なキャリアで、例えば滅菌水で再建する。例えば、非経口投与に適合する2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、体積毎に0.1%〜90%重量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを含む無菌等張塩溶液を含んでもよい。例えば、溶液は約5%〜約20%含有、より好ましいのは約5%〜約17%、さらに好ましいのは約8%〜約14%、特に好ましいのは約10%の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム。注射部の痛みを軽減するため、溶液や粉末製剤は可溶化剤と局所麻酔薬、例えばリドカイン、を含んでもよい。その他の非経口化合物投与方法は本分野で既知され、尚且つ本発明範囲内である。
【0057】
経口投与
経口投与に対し、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は錠剤やカプセルの形で、通常の方法で、薬学で認める賦形剤、例えば粘着剤や充填剤、潤滑剤、崩壊剤を使って調製する。
【0058】
A. 粘着剤
粘着剤はコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、またはその他のでん粉、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、ウェストレンゲ粉、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、第2208、2906、2910)、微結晶性セルロースおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適合な微結晶性セルロースの形は、例えばAVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103とAVICEL−PH−105で販売の材料(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales, Marcus Hook,Pennsylvania,USAに由来)。適合な粘着剤の例はFMC CorporationがAVICEL RC−581で販売している微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。
【0059】
B. 充填剤
充填剤はタルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、ラクトース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、グルカン結合剤(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、アルファ化デンプンおよびその混合物を含むが、これらに限定されない。
【0060】
C. 潤滑剤
潤滑剤はステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクのエステル、硬化植物油(たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウリン酸エチル、寒天およびその混合物を含むが、これらに限定されない。その他の潤滑剤は、例えば、固体シリカ(AEROSIL 200, Baltimore,Maryland,USAのW.R. Grace Co.生産)、合成シリカ縮合エアロゾル(Deaussa Co. of Plano,Texas,USA販売)、CAB−O−SIL(Boston, Massachusetts,USAのCabot Co.から販売されている発熱シリカ製品)とそれらの混合物を含む。
【0061】
D. 崩壊剤
崩壊剤は寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、polacrilinカリウム、ナトリウム澱粉グリコール酸、ジャガイモやタピオカでんぷん、他の澱粉、アルファ化デンプン、他の澱粉、粘土、他の藻類、他のセルロース、ガムおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0062】
錠剤やカプセルは本分野の公知のいずれの方法でコーティングする。もし本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は粘着剤や充填剤を使うと、約50%〜約99%重量の化合物に調合する。一方、約0.5%〜約15%重量の崩壊剤、特に約1%〜約5%重量の崩壊剤が、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとあわせて使用できる。潤滑剤はいずれの材料でもよい、用量は通常2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの約1%重量未満にする。固体経口製剤調製の技術や薬学で認める添加物はMarshall,Solid Oral Dosage Forms,Modern Pharmaceutics(BankerとRhodes,Eds.),7:359−427(1979)に載っている。その他の不典型の製剤は本分野で公知するものである。
【0063】
経口の液体製剤は溶液やシロップまたは懸濁液の形を使う。または、液体製剤は固体製品の形にしてもよく、使用する前に水や適合なキャリアで再建する。これらの液体製剤は通常の方法で薬学で認める添加物、例えば懸濁液(ソルビトールシロップ、セルロースの誘導体または水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油)、および/または防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル対ヒドロキシ酸またはソルビン酸)で調製する。これらの製剤は適当の緩衝塩や調味料や着色剤や香味剤や甘味料を含んでもよい。経口の製剤は化合物の制御放出の実現するように調合してもよい。経口製剤は10%〜95%の化合物は好ましい。また、本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、通常方法で舌下腺投与用のタブレットやトローチを調合してもよい。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物のその他の経口投与方法は本分野で公知でありるもので、さらに本発明の範囲内である。
【0064】
制御放性投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの活性の延長と投与頻度減少のため、制御放性(徐放性)製剤を調合する。制御放性製剤は発効タイミングやその他の特徴への影響に使ってもよい、例えば血液化合物のレベル、副作用の発生に支障する。
【0065】
制御放性製剤は最初から必要効果の一定量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを放出させ、徐々に連続で残りの2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの量を放出させることで、長時間で治療効果を維持する。体内で不変に近い化合物状態を保持するため、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが一定のスピードで製剤から放出させ、体内から代謝および/または分泌した2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを代わる。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの制御放出は多種の誘導要素、例えば、PH変化や、温度変化、酵素、水またはその他の生理条件や分子で刺激される。
【0066】
制御放出システムは、特定の臓器や腫瘍へインスリンや化学療法剤の転送と類似している方式で化合物の転送に使う、例えば注射ポンプを含む。このようなシステムを使うと、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは通常分解可能・生体適合の高分子インプラントとあわせて使用する。選択される位置にコントロールされた時間内で2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを放出する。高分子インプラントはポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレン酢酸ビニルおよびその共重合体と組合を含む。また、制御放出システムは治療目標の付近においってもよいので、全身用量の一部しか使わない。
【0067】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは、本分野で公知でありた他の制御放出方法や投与装置を使ってもよい。例えば、HPMC、他のポリマーマトリックス、ゲル、浸透膜、浸透システム、多層コーティング、粒子、リポソーム、微小球など、または上記組合が、異なる比例で必要な放出スペクトルを提供する。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の制御放出投与方法は本分野で公知であり、なお本発明の範囲内である。
【0068】
吸入投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは吸入で直接肺へ使用できる。吸入投与に対しては、いろいろ装置で便利に2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを肺に輸送できる。例えば、計量吸入器(”MDI”)、使われる缶は低沸点推進剤が付き、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適合な気体で、直接肺に化合物を輸送できる。MDI装置は数多くの仕入先からもらえる、例えば3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo−Wellcome、Schering PloughとVectura。
【0069】
また、乾燥粉末吸入器(DPI)装置を使って肺へ化合物を使用してもよい。DPI装置は通常一種の機構を使い、例えば、爆発の気体が容器内で雲の形の乾燥粉末を生じ、患者に吸入される。DPI装置も本分野で公知であり、多くの仕入先から購買できる、例えばFisons、Glaxo−Wellcome、Inhale Therapeutic Systems、ML Laboratories、QdoseおよびVectura。通用しているのは多用量DPI(“MDDPI”)システム、一個以上で治療用量を使っても許される。MDDPI装置は例のAstraZeneca、GlaxoWellcome、IVAX、Schering Plough、SkyePharmaおよびVecturaのような会社から入手できる。例えば、吸入器と吹き込み器のゼラチンカプセルとカートリッジは、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムと当該システムに適用する粉末マトリックス、例えば乳糖やでんぷんを含有する粉末混合物に調製できる。
【0070】
肺へ化合物を使用するもう1つのタイプの装置はAradigm Corporationが提供したスプレー装置。スプレー装置システムはごく小さなノズルで液体化合物を噴霧化して、直接肺に吸入される。例えば、噴霧器装置で肺に化合物を使用する。噴霧器は超音波を使えば、液体化合物製剤からエアロゾルを生じ、吸入しやすい細かい顆粒にする。噴霧器の製品はSheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd.、AventisとBatelle Pulmonary Therapeuticsより提供する装置を含む。
【0071】
もう1つの実験で、電流体力学(“EHD”)エアロゾル装置で肺に化合物を使用する。EHDエアロゾル装置は電気で液体化合物の溶液や懸濁液を噴霧する。EHDエアロゾル装置で肺に当該化合物を使用する時に、化合物製剤の電気化学性質は重要なデータとして最適化しなければならない。この最適化は本分野通常操作で行われる。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の肺に投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0072】
噴霧器や液体噴霧装置とEHDエアロゾル装置に適用する液体2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム製剤は、通常2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムと薬学で認めるキャリアを含む。代表的な案で、薬学で認める液は、例えばアルコール、水、ポリエチレングリコールまたはパーフルオロカーボン。また別の物質をオプションして化合物溶液や懸濁液のエアロゾル性質を変更できる。例えば、この物質は液体で、たとえばアルコール、グリコール、ポリエチレングリコールまたは脂肪酸。エアロゾル装置に適用する液体化合物溶液や懸濁液を調製する他の方法は本分野で公知でありる。
【0073】
貯蔵式投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは貯蔵式製剤に調製してもよい。このような長時間作用型製剤は注入(皮下または筋肉内)や筋肉注射で投与する。そのため、化合物は好適なポリマーまたは疎水性材料、例えば、好ましい油やイオン交換樹脂中のエマルジョン、または難溶性の誘導体としても難溶性の塩類と一斉に調製する。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の貯蔵式投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0074】
局所投与
局所投与に対しては、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムはキャリアと組み合って、実効線量を輸送する。必要な活性によって、実効線量は、例えば1.0μM〜1.0mM。本発明の一方では、局所投与の医薬組成物は皮膚にも使える。キャリアとしては、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、発泡、エアゾール、坐剤、パッドまたはスティックゲルを含むが、これらに限定されない。
【0075】
局所製剤は眼科で認める賦形剤、例えばバッファ生理食塩水、鉱物油、植物油例えばコーン油やピーナッツ油、ワセリン、Miglyol 182、アルコール溶液またはリポソームやリポソームのような製品の中に、実効線量の化合物を含んでもよい。これらの化合物はどれも防腐剤、酸化防止剤、抗生物質、免疫抑制剤とその他の悪い影響がない生物学や薬学で有効な製剤を含んでもよい。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムのその他の局所投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0076】
その他の投与システム
その他の投与システムは本分野で公知であり、本発明の化合物の使用に使えるものである。尚且つ、その他の投与システムと連合や/または変更で、本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの投与を最適化できる。
【0077】
また、本発明は必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムやそれを含む医薬組成物を含み、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法に関する。投与ルートは非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。
【0078】
本発明で、治療実効線量2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは0.5−200mg/kg体重の間のいずれも良い。好ましいのは1−150mg/kg体重、より好ましいのは2−100mg/kg体重、さらに好ましいのは3−50mg/kg体重、特に好ましいのは4−35mg/kg体重、特に好ましいのは5−20mg/kg体重の間のいずれも良い。
【0079】
治療実効線量の確認原則
本発明で記載の「治療実効線量」とは、受験者の病気や病症の性質や重大度によって、特定の受験者に使用する時に、必要の治療効果を持っている線量、例えば、目標病気や病症を治療、予防、抑制または少なくとも一部防止や一部予防への必要量。
【0080】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの毒性と治療効果は細胞培養物や動物実験中に、LD50(50%致死用量群)とED50(50%有効用量群)測定のスタンダード薬学方法で確定できる。毒性と治療効果との用量比例は治療指数として、比率LD50/ED50で表示される。
【0081】
細胞培養実験と動物研究中にできたデータは、人間やその他の哺乳動物向け調製する時の用量範囲として使える。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの用量は、ED50の循環血漿やその他の体液濃度の範囲内を含み、ごく少ない毒性や毒性なしのは好ましい。
【0082】
当該用量は使用する製剤や投与ルーとによって、この範囲内で変化する可能性がある。本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムに対しては、治療実効線量は最初から動物実験で推定できる。動物モデルで用量を設計して、IC50も含む測定した循環血漿濃度範囲に入る。これらの情報で人間やその他の哺乳動物に有効用量を精確に確定できる。血漿の中の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムのレベルは高性能液相分析で測定する。
【0083】
薬学で認めるキャリアと組み合って生じた単一剤形の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの用量は、治療宿主と投与パターンによって異なる。当業者は、各製剤の個別用量の中に含んだ2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの単位含有量本体は実効線量になる必要がないことは事前に理解するであろう。個別用量の数個使用で需要な実効線量にいたるからだ。用量の選択は使用する製剤と、治療する病気と当業者の判断によって決める。
【0084】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムで病気や病症を治療する用量の案はを多種の要素を考えてから選択する。それは患者のタイプ、年齢、体重、性別、飲食と医学状況、投与ルート、薬理学の考慮要素、例えば活性、有効性、使用する化合物の具体の薬物代謝動力学と毒理学分布を含んで考え、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム投与システムを使うかどうかを決める。そのため、実際に使用する用量案は受験者の間でも大違いがある。
【0085】
専門用語と略称
dl−PHPB、PHPBは2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。
【0086】
SODはスーパーオキシドジスムターゼを指す。
【0087】
MDAはマロンアルデヒドを指す。
【0088】
ChATはコリンアセチルトランスフェラーゼを指す。
【0089】
AchEはアセチルコリンエステラーゼを指す。
【0090】
ATPaseはアデノシントリホスファターゼを指す。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストで逃避潜時期間に対する影響。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=17−20)。#P<0.05,##P<0.01は偽手術(sham)と比較する;*P<0.05は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図2】永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストで典型なサーチ策略。A:エッジ式;B:ランダム式;C:トレンドスタイル式;D:リニア式。
【図3】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路プラットフォーム探査テストでターゲット象限活動タイミングと一回目プラットフォーム通る時間に対する影響。図Aはターゲット象限活動タイミングの変化を表示する、図Bは一回目プラットフォーム通る時間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=17−20)。##P<0.01は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,***P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図4】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳組織生物化学に対する影響。図Aは皮質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の変化を表示する、図Bは皮質マロンアルデヒド(MDA)含有量の変化を表示する。図Cは海馬コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=5−8)。
【0092】
###P<0.001は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01,***P<0.001は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図5】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳皮質ニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図6】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬CA1エリアニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図7】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬CA3エリアニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図8】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳梁形態に対する影響(K−B染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図9】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの視神経管形態に対する影響(K−B染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図10】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群;C:ピラセタム600mg/kg群;D:PHPB13mg/kg群;E: PHPB39mg/kg群;F:PHPB129mg/kg群。200倍。
【図11】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの視神経管GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群;C:ピラセタム600mg/kg群;D:PHPB13mg/kg群;E:PHPB39mg/kg群;F: PHPB129mg/kg群。200倍。
【図12】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳組織GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。図Aは皮質を表示する、図Bは海馬を表示する、図Cは脳梁を表示する、図Dは視神経管を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=4)。##P<0.01は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図13】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット皮質の脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。200倍。
【図14】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA1エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図15】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA2エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図16】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA3エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図17】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット脳組織脳源性神経成長因子(BDNF)含有量に対する影響。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=4)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図18】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットが水迷路ナビゲーションテストでの潜伏期間に対する影響。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する;*P<0.05、**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図19】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットが水迷路プラットフォーム探査テストで空間位置記憶障害対する影響。図Aはターゲット象限活動タイミング百分比の変化を表示する、図Bは一回目プラットフォーム通る時間の変化を表示する。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)と比較する;*P<0.05は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図20】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットの脳組織生物化学に対する影響。図Aは皮質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の変化を表示する、図Bは皮質マロンアルデヒド(MDA)含有量の変化を表示する。図Cは皮質コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する;*P<0.05、**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図21】経口dl−PHPBはSAMP8マウスがステップダウンテストで受けた電気ショック回数と電気ショック潜伏期間に対する影響。図Aは電気ショック回数の変化を表示する、図Bは電気ショック潜伏期間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05,**P<0.01,***P<0.001は対照群(control)と比較する(Dunnett検査)。
【図22】経口dl−PHPBはSAMP8マウスが水迷路実験でブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間に対する影響。図Aはブラインドサイドに入るミスの回数の変化を表示する。図Bは潜伏期間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05,**P<0.01は対照群(control)と比較する(Dunnett検査)。
【図23】経口dl−PHPBはSAMP8マウスの脳組織スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性とマロンアルデヒド(MDA)含有量に対する影響。図Aは海馬SOD活性の変化を表示する、図Bは海馬MDA含有量の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05は対照群(control)と比較する(LSD検査)。
【図24】経口dl−PHPBはSAMP8マウスの脳組織コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)と、アセチルコリンエステラーゼ(AchE)および皮質ミトコンドリア・アデノシントリホスファターゼ(ATPase)活性に対する影響。図Aは海馬ChAT活性の変化を表示する、図Bは海馬AchE 活性の変化を表示する、図Cは皮質ミトコンドリアATPase活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05は対照群(control)と比較する(LSD検査)。
【図25】実施例1の実験プロセス。
【図26】実施例2の実験プロセス。
【図27】実施例3の実験プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0093】
実施例
下記の実施例は具体的本発明の応用を示すが、本実施例は本発明の使用範囲には限らない。
【0094】
実施例1
慢性脳虚血モデル研究:dl−PHPBが供血不足のラットの最近記憶と空間識失調を改善できる
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。ピラセタム錠、天津金世製薬有限公司生産。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。ニュートラルレッド、固体ブルーはSigma会社から購入。炭酸リチウムは北京化学製剤会社生産。Triton X−100は北京中山生物技術有限公司から購入。グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)ポリクローナル抗体はChemicon会社から購入。脳源性神経成長因子(BDNF)ポリクローナル抗体はSanta Cruz Biotechnology会社から購入。二次抗体、ビオチン化抗マウス /ウサギIgG;三次抗体、ホースラディッシュ酵素標記のストレプトアビジンアビジン、DABカラーキット;抗体希釈液とも北京中杉金橋生物技術有限公司から購入。
【0095】
2、器具
Morris水迷路オートモニターは中国医学化学院薬物研究所より開発したものである。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。IR2135タイプのパラフィンマイクロトームはドイツLeica会社の製品、620−Eタイプの恒温冷凍マイクロトームはイギリスShandon会社の製品、Nikon ECLIPSE 80i自動顕微撮影システムは日本Nikon Corportionの製品である。
【0096】
3、2−VOモデル設立
永久にラットの頚部両側の総動脈の結紮で、連続の脳低循環モデルを作る。10%の抱水クロラールで腹部注射(i.p.)でラットを麻酔にして、仰臥位で手術台に固定し、体温を36.5±0.5℃に維持させる。ヨードフォアで手術部位を消毒して、正中頸部に沿って皮膚および皮下組織を縦方向で切開し、左右の頸動脈を引き離し、5−0の手術シルクで結紮する。切り口を縫合し、動物をかごに入れる。手術後三日間は連続で毎日i.p.ペニシリン20万単位/匹を注入する。
【0097】
4、グループ分けと実験設計
ラットをランダムに6群に分け、群ごとに20匹にする。(1)偽手術群:頚部両側の総動脈の結紮をしない以外に、ほかの操作は低循環群と同じ;(2)溶媒対照群:経口で蒸留水;(3)ピラセタム600mg/kg群;(4)dl−PHPB 13mg/kg群;(5)dl−PHPB 39mg/kg群;(6)dl−PHPB 129mg/kg群。手術後十日間で薬物や溶剤を投与する。毎日一回、21日間続く。25−30日目に、Morris水迷路法でラットの空間学習記憶能力を測定する。行動的な実験は全部で投与後40分で行われる。動物は30日目で殺して、脳組織生物化学測定および病理学検査を行う。群の間で実験の結果を比較する。(実験のプロセスは図25を参考)
5、水迷路実験
Morris水迷路は金属製の円筒形タンク(60cm高さ、径120cm)とオートショー、モニター、記録装置および安全島(径10cmのプラットフォーム)からなる。事前にタンクの壁とプラットフォームを黒いテープで真っ黒にして、水の色が黒く見えるようにし、水面はプラットフォームより15mm高くして、これで動物が聴覚、視覚、嗅覚でプラットフォームに登ることができなくなるので、動物が空間位置に対する記憶能力を測定できる。水温は25士1℃に保持して、タンクを4個の象限(東北、東南、西北、西南)に分ける。プラットフォームは西北象限のセンターに置く。毎匹ラットの水泳活動をモニターで観測し、記録できるので、コンピューターとリンクして分析する。ナビゲーションテストは五日間連続でやる。それぞれのラットは毎日東南と西南象限のセンターから、頭を壁に向かって水に入れて、2回のプラットフォーム探しの訓練をやらせる。2回の訓練の間に10分間を間隔にする。プラットフォームを見つけるタイミング(潜伏期間)、サーチ策略と水泳スピードこの三項目を記録し、毎日の2次実験結果を平均にする(サーチ策略除外)。もしラットは60秒以内にプラットフォームを見つけなかったら、潜伏期間を60秒とする。60秒以内にプラットフォームを見つけるかどうかに関わらず、ラットをプラットフォームに10秒に逗留させる。一回目の実験が始まる前にラットをプラットフォームにおいて、順応させる。訓練の進行につれて、各群ラットが安全島を見つける潜伏期期間が短縮していく。実験の結果は水泳のスピードでラットが実験中の体力の変化を反映できる。その他の2項目指標はラットが空間位置に対する学習記憶能力を反映する。最後の訓練が終わってから、空間探査実験を実施する。プラットフォームをはずして、ラットにプラットフォーム探しに60秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録する。もしラットが元のプラットフォームある象限に止まる時間が長くて、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
【0098】
サーチ策略を4類に分け:(1)エッジ式、ラットがずっとタンクのエッジを沿い、探す動機がない;(2)ランダム式、ラットが安全島を探すときに明確な方向がない;(3)トレンドスタイル式、ラットがすでに安全島の大よその位置がわかり、安全島を見つける前にカーブが4回未満;(4)リニア式、ラットがすでに安全島の位置を覚えて、直接安全島に向く。
【0099】
6、SOD、MDAとChATの検査測定
行動学実験が終わってから、ラットの頭部を切断し、氷浴中に皮質および海馬を分離して、濾紙で乾燥させ、重量を測る。重量体積比1:9の通り、4℃予冷の生理食塩水をいれ、内接式パルプリファイナーで10%の組織ホモジネートを調製し、低温低速遠心10分間して、上清を取り、沈殿物を廃棄する。
【0100】
クマシーブリリアントブルータンパク質およびSOD、MDA、ChATの測定は全部で南京建成生物工程研究所のキット説明書で行う。
【0101】
7、病理学と免疫組織化学検査測定
毎群はランダムで4匹の動物を選び、行動学実験後10%抱水クロラールで麻酔して、皮膚、胸腔を切って、心臓を充分露出させ、心膜を開き、7番の注入針で動脈方向に心尖に差し込んで、生理食塩水を注入すると同時に、右心耳から右心房を切って、15−20分(200−300ml)を注入し、流出液が清くなるまで、それで予冷の4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖に換え、定着剤を15−20分(150−200ml)を徐々に速度をゆるめながら、動物が全身硬直し肝臓が白くなるまで引き続き注入する。それから頭を取り、ナイフで前部の終脳と後部の小脳を切って、4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖を入れてから、定着剤で48時間続けて固定する。標本が完全に沈下した後、新鮮な定着剤に変更して、4℃で冷蔵する。片側の脳半球はパラフィン切片、固定、埋め込みを行い、海馬の位置に冠状切片(厚さ5μm)をして、HEとKB染色に使う。もう片側の脳半球は恒温冷凍マイクロトームで冷凍切片をして、切片位置と方式は前と同じ、OCT埋め込み、厚さは40μm、動物毎匹に4枚を切って、GFAPとBDNF免疫組織化学染色に使う。
【0102】
8、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各指標の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。水迷路空間探査実験、生物化学測定各項指標および免疫組織化学の半定量分析は全部単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD(水迷路ナビゲーションテストのサーチ策略の比較はRidit分析を採用する)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
【0103】
結果
1、dl−PHPBは脳低循環ラットの学習記憶に対する改善効果
Morris水迷路実験は動物の空間学習と最近記憶能力を測定する経典実験である。本研究では、ラットが慢性脳虚血後の1ヶ月当たりに行う。実験は2つに分け、1つはナビゲーションテスト、もう1つは空間探査実験を行う。ナビゲーションテストで、ラットがプラットフォームを見つける時間(潜伏期間)と、サーチ策略と水泳スピードを含む3項の指標を観察した。潜伏期間から見ると、訓練回数の増加につれて、各群ラットの潜伏期間とも徐々に短縮していくにつれ、各群のラットはプラットフォームの位置に対する記憶が精確になることが示された。翌日から、溶媒対照群ラットの潜伏期間は偽手術群より顕著に長くなり、その間の差も拡大していく(P<0.05あるいはP<0.01)ことは、慢性脳低循環はラットの学習記憶能力に顕著な損害を掛けた。しかし、それはモデルの成功とも証明した。前の三日間で、各投与群の潜伏期間は溶媒対照群と比べ、顕著な短縮がないが、四日目から、dl−PHPB 129mg/kg群はピラセタム600mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群(P<0.05)より顕著に短くなる。五日目で、dl−PHPB 39mg/kg群と129mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群(P<0.05)より短いのは、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも慢性脳低循環ラットの学習記憶能力の減退に顕著な改善効果を持っているが、dl−PHPB 13mg/kgが顕著な治療効果を持っていない(図1)ことを証明した。そのため、潜伏期間から見ると、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも脳低循環ラットの空間学習記憶障害を顕著に改善できる。
【0104】
ラットがプラットフォーム探す策略から分析すると、訓練回数の増加につれて、動物はエッジ式やランダム式策略の回数も減少していき、トレンドスタイル式とリニア式策略の回数が増加していく。level data orderingで分析すると、最後の日で測定するときに、dl−PHPB 39mg/kgは溶媒対照群と比べ、顕著な差異(P<0.01)が出てくる、すなわち前者はリニア式やトレンドスタイル式策略の回数は後者より多い、その他の各薬や各用量はリニア式やトレンドスタイル式策略の回数は溶媒対照群より多くが、統計学上無意味である。dl−PHPB 39mg/kgは低循環ラットが空間位置の記憶能力を向上できることを証明した(図1、表1と2)。
【0105】
それと同時に、ナビゲーションテストで、実験がラットの体力に影響がないかを判断するため、ラットの水泳スピードを測定した。結果によって、実験の過程中に、各群ラットの水泳スピードがほとんど変化がないことと、群の間に差異もない(データ未提出)ことを発見した。これは、一方で、本モデルのやり方はラットの活動能力に影響がなく、もう一方で、水迷路実験はラットの活動能力にも影響がないということを証明した。そのため、この実験方法は体力が妨害にならないため、よりよいラットの学習記憶能力を測定できる。
【0106】
ナビゲーションテストが終わってから、プラットフォーム探査実験を行い、安全島(プラットフォーム)をはずして、ラットが目標象限での活動時間と第一回目標を通る時間を記録することで、ラットが安全島に対する空間記憶ができたかどうかおよび記憶の強度を測定する。結果によっては、偽手術群のラットは目標象限での活動時間は溶媒対照群(P<0.01)より長い、dl−PHPB129mg/kg以外に、各投与群のラットは目標象限での活動時間も溶媒対照群より長い、特にdl−PHPB 39mg/kg群のラット(P<0.001)(図3A)。一回目に目標を通る時間から見ると、偽手術群は溶媒対照群(P<0.01)より短い、dl−PHPB 39mg/kg群も溶媒対照群(P<0.05)より短い。これはdl−PHPBが慢性脳低循環ラットの空間学習記憶障害を改善できる、特にdl−PHPB 39mg/kgは一番顕著である(図3B)。
【0107】
結論として、水迷路ナビゲーションテストの2つの主要指標(潜伏期間とサーチ策略)およびプラットフォーム探査実験の目標象限の時間から見れば、dl−PHPB 13、39、129mg/kgこの3つの用量は慢性脳低循環ラットの空間学習と最近記憶障害を改善できる。効果強度はdl−PHPB 39mg/kgは一番強い、次がdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kg群が一番弱い。それと同時にdl−PHPB 129mg/kgは五倍用量のピラセタムと比べ、顕著な差もない。
【0108】
表1. dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響
【0109】
表2. dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響
【0110】
表1と2は、経口dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響。データはサーチ策略の回数で表示する(n=17−20)。#P<0.05, ##P<0.01は偽手術と比較、**P<0.01は溶媒対照群と比較(Ridit分析)。M:エッジ式;R:ランダム式;T:トレンドスタイル式;L:リニア式。
【0111】
2.dl−PHPBが脳組織SOD活性、MDA含有量とChAT活性に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。ラットが慢性脳虚血の一ヵ月後、皮質のSOD活性が向上し、溶媒対照群SOD活性は77.39±8.70U/mgタンパク質で、偽手術群より35.03±5.20U/mgタンパク質高い(P<0.001)。投与治療21日後は、dl−PHPB 13と39mg/kg群のSOD活性は53.92±4.32、48.86±8.97U/mgタンパク質であり、溶媒対照群より低い(P<0.05)。ピラセタム600mg/kg群が51.83±8.88U/mgタンパク質で、溶媒対照群よりも低い(P<0.05)。だが、dl−PHPB 129mg/kgが当該酵素の活性への影響は顕著な意味がない(図4A)。海馬では、慢性脳虚血はSOD活性の下降や向上には影響がなく、各薬や各用量も当該酵素の活性に顕著な影響がない(データ未提出)。
【0112】
ラットが慢性脳低循環後の一ヶ月、皮質内MDA含有量が顕著に向上した(偽手術群は0.69±0.06nmol/mgタンパク質、溶媒対照群は1.31±0.22nmol/mgタンパク質、P<0.001)。投与三週後、dl−PHPB 13、39、129mg/kg群のMDA含有量はそれぞれ0.60±0.06、0.77±0.10、0.67±0.07nmol/mgタンパク質で、溶媒対照群より顕著に低い(P<0.01あるいはP<0.001)。ピラセタム600mg/kgは顕著な影響がない(図4B)。海馬では、慢性脳虚血はMDA含有量の変化がなく、各薬や各用量もそれに顕著な影響がない(データ未提出)。
【0113】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットが永久に頚部両側の総動脈を結紮した一ヵ月後、海馬ChAT活性が顕著に下降した。偽手術群より24%下降した。投薬21日後は、dl−PHPB 129mg/kgが低循環ラット海馬のChAT活性(P<0.05)を顕著に向上し、dl−PHPB 39mg/kgとピラセタム600mg/kgも向上の。しかしdl−PHPB 13mg/kgが顕著な効果がない(図4C)。皮質では、慢性脳虚血はChAT活性への影響がなく、各薬や各用量もそれに対する影響は、溶媒対照群と比べ、顕著な差がない(データ未提出)。
【0114】
結論として、dl−PHPBは慢性脳低循環ラット皮質のSOD活性を下げることができる。皮質のMDA含有量の向上にもよい下降効果を持っている。これらの効果はdl−PHPB 39と129mg/kgがもっと強い。当該薬は慢性脳低循環ラットの脳組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直せると、脂質過酸化産物を下げることと、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復されることが示された。また、dl−PHPB 39と129mg/kgは慢性脳低循環ラットの海馬のChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善する可能性が高い。
【0115】
3、dl−PHPBが脳低循環ラット脳組織病理に対する影響
(1)HE染色
HE染色は異なる色で細胞質と細胞核を表示するので、細胞の姿をはっきり見える。本研究の溶媒対照群が皮質ニューロンが収縮、深い色素と細胞核が明らかでない現象を見え、海馬のCA1、CA3エリアも類似な変化が出たが、程度は軽い、海馬CA2エリアは顕著な変化がない。dl−PHPB 39mg/kgは皮質、海馬CA1、CA3エリアのニューロン形態異常を顕著に改善でき、dl−PHPB 129mg/kgは皮質と海馬CA1エリアのニューロン形態異常を改善でき、dl−PHPB13mg/kgは皮質のニューロン形態異常を軽微に改善できる(図5−7)。上記のことで、dl−PHPBが慢性脳低循環で起こった皮質・海馬ニューロン損傷に保護や治療作用を持っていることが表明した。
【0116】
(2)K−B染色
K−B染色はニューロン髄鞘が完備であるかどうかを反映でき、さらに神経繊維の形態学の変化を反映できる。本実験では、溶剤対照群のラット脳梁と視神経管が明らかな空胞変性および神経繊維障害が出たことが発見した。dl−PHPB3つの用量は脳梁の病理変化に対する改善が顕著で、空胞変性が減少し、神経繊維の配置も少し回復していた。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果は一番強い、次がdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgが一番弱い(図8)。dl−PHPB3つの用量は視神経管の病理変化へも改善があるその内、dl−PHPB 39mg/kgの効果はもっと強い(図9)。上記のことで、dl−PHPBが脳低循環で起こった脳梁と視神経管の損傷に明らかな保護作用を持っていることが表明した。
【0117】
4、dl−PHPBが低循環ラット脳組織GFAP陽性アストロサイトに対する影響
脳低循環で起こった組織学異常は空間学習記憶損傷の基礎になるかもしれない。その内、白質が一番早く損傷され、それと共に反応性アストロサイトの増加とミクログリアの活性化が出る。グリア酸性タンパク質(GFAP)免疫組織化学染色は活性化したアストロサイトの標識化に使用する。毎枚切片から選んだ同じエリアを2−3枚の写真を取って、写真の一定視野の中のアストロサイトの数を記録して、その平均値を当エリアの値として計算する。皮質・海馬・脳梁と視神経管四箇所を選び観察対象にした。皮質にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(16.9±6.9)は偽手術(9.9±2.0)より多いが、標準誤差が大きすぎるので統計学上の意味がなくなる。dl−PHPB投与の三群およびピラセタム600mg/kg群は投与21日後、GFAP陽性細胞数は明らかに溶剤対照群より少ない、特にdl−PHPB 39mg/kg群の効果は一番顕著である(P<0.01)(図12A)。海馬にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(26.8±5.5)は偽手術群(12.0±3.0,P<0.01)より明らかに多い。各投与群の当該指標値も溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに低い、特にdl−PHPB 39、129mg/kg群はもっと顕著である(図10と12B)。脳梁にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より顕著な差がないが、dl−PHPB39mg/kg群の当該指標値は溶剤対照群(P<0.05)より低い(図12C)。視神経管にで、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(4.4±0.7)は偽手術群(0.8±0.3,P<0.01)より明らかに多い、dl−PHPB 39、129mg/kgおよびピラセタム600mg/kg群が動物21日間投与した後、GFAP陽性細胞数は溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)(図11と12D)より明らかに少ない。上記のことでは、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織損傷と、活性化したアストロサイト量を明らかに軽減、減少できる。特に海馬、視神経管と皮質で、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強いことが多くて、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い。
【0118】
5、dl−PHPBが脳低循環ラット脳組織BDNFの分布面積と含有量に対する影響
脳源性神経成長因子(BDNF)はニューロンの生存と発育を維持し、正常な動物の脳組織に存在する。虚血の早期で高く表示できるが、虚血24時間以降は通常下降すると表示する。BDNF免疫組織化学染色面積から見れば、皮質と海馬にて、溶剤対照群と偽手術群と顕著な差がなく、投与群と溶剤対照群とも顕著な差がない(データ未提出)。だが、染色密度から見れば、溶剤対照群と偽手術群と比べると、皮質でも海馬でも、BDNFとも顕著に減少し、投与群と溶剤対照群と比べると、皮質ではdl−PHPB3つの用量ともBDNFの表示を増加できる。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強い、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い(図13と17)。海馬のCA1、CA2、CA3エリアで、dl−PHPB 39mg/kgがBDNFの表示(P<0.05またはP<0.01)を明らかに増加できるが、dl−PHPB 129mg/kgがBDNF増加の勢いしかないので、統計学上の意味がない(図14−17)。染色密度とBDNFの含有量とは正比例するが、染色面積はある程度で染色の深さを考慮しないので、染色密度は染色面積よりBDNFの含有量をもっと精確的に反映できる。以上のことでは、dl−PHPBは慢性脳虚血脳組織のBDNFの含有量を増加できることを証明した。
【0119】
実施例2、β−アミロイドペプチド認知症モデルでの研究:dl−PHPBがβ−アミロイドペプチド(25−35)で起こったラット記憶と空間識失調を改善できる
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、PBSで調合する。Aβ(25−35)はSigma会社から購入。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
【0120】
2、器具
Morris水迷路オートモニターとマイクロプレートリーダーは同上。
【0121】
3、モデル設立
雄Wistarラット、10ヶ月、体重は600gあたり、かごに2匹、室温は23±1℃に維持し、自由に飲食させる。ナトリウムペントバルビタール(45mg/kg)でラットを麻酔して、腹ばいで定位装置に固定し、頭のてっぺんの皮膚を切って、頭頂骨を露出させ、PaxionsとWatsonラット脳立体定位マップによって、歯科ドリルで前の泉門後ろの1.2mm、中間線右1.5mmのところで頭蓋骨と硬膜をあけ、微量注射器で垂直で4.0mmの深さを差込、15nmol(容積が5μl)集合態のAβ(25−35)をゆっくり注入する。対照群は5μlの溶剤PBSしか注入しない。手術後は毎日腹腔にペニシリン20万単位を四日間連続で注射する。
【0122】
4、群分けと実験設計
ラットをランダムに4群に分け、群ごとに10匹にする。偽手術群:脳室に溶剤PBSしか注入しない。モデル群、dl−PHPB 39と129mg/kg群:脳室にAβ(25−35)+溶剤を注入する。手術後の第一日から薬を投与する(偽手術とモデル群は蒸留水を飲ませる)。水迷路ナビゲーションテストは手術後の第9−12日に行い、13日目からプラットフォーム探査実験を行い。動物が14日目に投与40分間後殺し、頭部を切断し生物化学測定を行う。行動学実験は全部で実験前の40分で投与する。(実験のプロセスは図26に参考してください)
5、水迷路実験
i.c.v. Aβ(25−35)後の第9−12日に水迷路ナビゲーションテストを行い、方法は前と同じ。13日目にプラットフォーム探査実験を行い、プラットフォームをおろし、ラットにプラットフォーム探しに自由に30秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録して、目標象限で活動時間の百分比を計算する。もしラットが目標象限で活動時間の百分比が大きければ、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
【0123】
6、SOD、MDAとChATの検査測定
方法は同上。
【0124】
7、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各群の潜伏期間の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD検査を採用する。水迷路プラットフォーム探査実験、生物化学測定は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
【0125】
結果
1、dl−PHPBが認知症ラットの学習記憶に対する改善効果
ナビゲーションテストで、四日間の訓練で、各群の潜伏期間が徐々に短縮していくことは、ラットがプラットフォームの位置に対する記憶が強くなることを証明した。1日目は、各群の間に顕著な差異がないが、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群より長い。2日目、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群より短い。3−4日目は、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群(P<0.05)より顕著に長い、dl−PHPB 129mg/kg群は溶媒対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに短い、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群より短い。これは二週間の治療によって、dl−PHPBは用量依存性的にAβ(25−35)で誘導した認知症ラットの潜伏期間を短縮できることを証明した。すなわち、dl−PHPBは用量依存性的に認知症ラットの学習記憶能力を改善できる(図18)。4日間の訓練で、各群のラットの水泳スピードが顕著な差異がない(データなし)ことはi.c.v. Aβ(25−35)が動物の体力に影響がないから、水迷路実験は動物の学習記憶能力を真実に反映できることを証明した。
【0126】
プラットフォーム探査実験で、溶媒対照群の目標象限活動時間百分比(21.6±1.6%)は偽手術群(32.8±4.0%,P<0.05)より少ないが、dl−PHPB 129mg/kg群(30.2±2.5%)が溶媒対照群(P<0.05)より明らかに長い、dl−PHPB 39mg/kg群(24.6±3.0%)も溶媒対照群より長い(図19A)。dl−PHPBは用量依存性的に認知症ラットが目標象限での活動時間の百分比を増加できることを証明した。第一回目標を通る時間から見ると、溶媒対照群が偽手術群より長くなる。溶媒対照群と比べ、dl−PHPBが第一回目標を通る時間を短縮する。実感の例数を増加すると、顕著な意味を見える可能性がある(図19B)。
【0127】
つまり、dl−PHPBは用量依存性的にAβ(25−35)で誘導した認知症ラットの最近記憶と空間位置学習記憶障害を改善できる。
【0128】
2、dl−PHPBが認知症ラット脳組織SOD活性、MDA含有量とChAT活性に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中、偽手術群の皮質のSOD活性が216.9±14.5U/mgタンパク質、i.c.v. Aβ(25−35)後14日間、SOD活性代償性が32%向上し、286.8±18.3U/mgタンパク質に達し、顕著な差(P<0.05)がある。経口でdl−PHPB 39と129mg/kg投与二週間後、皮質内SOD活性がそれぞれ238.2±32.7と185.2±21.6U/mgタンパク質に下降し、後者は溶媒対照群と比べ顕著な差も出る(P<0.01)。これはdl−PHPBが用量依存性的に皮質内SOD活性を下げれる(図20A)ことが示された。海馬では、Aβ(25−35)がSOD活性の顕著な変化が起こさなく、dl−PHPBも SOD活性の顕著な変化が起こさない。
【0129】
皮質で、溶媒対照群のMDA含有量(5.43±0.55nmol/mgタンパク質)が偽手術群(3.69±0.52nmol/mgタンパク質)より顕著に高い(P<0.05)。連続で経口してdl−PHPB 39と129mg/kg投与二週間後、皮質内MDA含有量がそれぞれ3.62±0.21と3.28±0.25nmol/mgまで下降し、溶媒対照群と比べ顕著な差(P<0.05とP<0.01)が出た。これはdl−PHPBが用量依存性的にAβ(25−35)で誘導したラット皮質内MDA含有量の増加を下げれる(図20B)。
【0130】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットi.c.v. Aβ(25−35)後、皮質内ChAT活性が顕著な変化がなかったが、経口でdl−PHPB投与二週間後で、溶媒対照群と比べると、39mg/kgがChAT活性を顕著に増加し(P<0.05)、129mg/kgも当該酵素の活性を上げる傾向が強い。これがAβ(25−35)は皮質内ChAT活性の下降させなかったが、dl−PHPBは認知症ラットのChAT活性を増加する可能性があることを証明した(図20C)。
【0131】
結論として、dl−PHPBは用量依存的にAβ(25−35)で誘導したラット皮質のSOD活性とMDA含有量を下げられることは、当該薬物はAβ(25−35)で誘導したラット皮質代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直し、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。さらに、dl−PHPBは認知症ラット皮質内ChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善することができる可能性も高い。しかし、正常なラット皮質内ChAT活性に影響がないかまだ研究中である。
【0132】
実施例3 加速老化マウスのモデルに対する研究:dl−PHPBは加速老化マウスの学習記憶障害に対する改善効果
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、アデノシントリホスファターゼ(ATPase)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
【0133】
2、器具
STT−2タイプのジャンプ装置と水迷路は中国医学化学院薬物研究所より開発。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。
【0134】
3、動物
10ヶ月SAMP8、雄、SPFレベル、北京維通利華実験動物技術有限公司より購入。
【0135】
4、グループ分けと実験設計
動物が一週間適応後、行動学実験を行い、実験結果で平均に三群に分け:対照群、dl−PHPB 50mg/kgとdl−PHPB160mg/kg群(それぞれラットの39と129mg/kgに相当する)、毎日1回、35日に連続で蒸留水や薬物を投与する。投与後の第31−35日にステップダウンテストと水迷路実験を行い、36日目に群ごとにランダムで8−10匹の動物を取り、頭を切って、皮質と海馬を分離して、指標が包括SOD、MDA、ChAT、AChE、ミトコンドリアATPaseを含む生物化学測定をやる。(実験のプロセスは図27参照)
5、ステップダウンテスト
ジャンプ装置は矩形の電気ショック装置で、五軒に分け、底に36ボルトのACを鉄柵が付き、底の角に電気絶縁の径3cmの円形ゴムプラットフォームが置いているので、動物がそれに上って電気ショックから逃げれる。回りはプラスチックシートで、実験者向けの面は透明で、その他は黒くて不透明で、天井は動物を取ったり置いたり用に開ける。
【0136】
マウスをジャンプ装置の一軒に置き、3分間適応後、電源を入れ、マウスに電気ショックをかけ、5分間を観察して、電気ショック受けた回数を記録する。24時間後、電源を入れて、マウスをプラットフォームに置き、第一回プラットフォームから飛び下りる潜伏期間および三分間に受けた電気ショックの回数を記録する。これでマウスの受動回避反応能力を判断する。
【0137】
6、水迷路実験
水迷路装置は黒い不透明の矩形プラスチックボックス(80cm×50cm×20cm)で、その中にブラインドサイド4個と終点ステップ1個があり、マウスはそのステップで水面に出られる。またもう一枚の15cm×20cmサイズの黒いプラスチックシートがあり、異なる位置に置き、異なる出発点とする。異なる出発点には含むブラインドサイド数も異なる。実験の際、深さが12cm、水温が25±1℃の水を入れる。マウスを異なる出発点において、異なるブラインドサイド数の折れ曲がったコースで終点に行き、水面に出る。マウスがブラインドサイドに入る回数と終点に着くにかかる時間でその最近記憶と学習記憶能力を判断する。
【0138】
毎回実験するときに、マウスを終点のステップに置いて5秒適応させる。それで頭を出発点のブラインドサイド壁に向かって、水に入れる。それがブラインドサイドに入る回数とステップを見つける時間、すなわち逃避潜時期間を記録する。時間を3分間に限定して、もし3分間内にステップを見つけなかったら、実験者で終点までガイドして、潜伏期間を3分間にする。4回訓練して、それぞれ2、3、4、4個ブラインドサイドを含むコースで行う。一回テストして、同様にマウスがブラインドサイドに入る回数とステップを見つける時間を記録する。
【0139】
7、脳組織SOD、MDA、ChAT、AChEとATPaseの測定
皮質と海馬のSOD、MDA、ChATとAChEの測定方法は同上。また別に一部の皮質組織を取って、組織ホモジネートを調製する。勾配遠心法でミトコンドリアを抽出し、超音波法で粉砕して、そのATPase活性を測定する。測定方法はキット説明書に従って行う。
【0140】
8、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路実験指標の差異は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。その他の各指標の差異は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群の間の差異はpost hoc Dunnett またはLSD検査を採用する。
【0141】
結 果
1、dl−PHPBがSAMP8の学習記憶障害に対する改善効果
ステップダウンテストは動物の受動回避反応能力を測定する経典な実験の1つである。動物が受けた電気ショックの回数と潜伏期間で動物の受動回避反応能力を判断する。第一日の訓練中に、dl−PHPB 50と160mg/kg群が受けた電気ショック回数(5.8±0.5,4.9±0.5)は対照群SAMP8(8.3±0.6)より明らかに少ない。Dunnett検査で、顕著な差(P<0.01和P<0.001)があり、さらに一定の用量依存性もある。第二日の測定で、2つの投与群SAMP8が受けた電気ショック回数(3.4±0.3,2.1±0.3)も対照群(4.6±0.3)(P<0.05和P<0.01)より明らかに少ない。尚且つ2つの投与群は第一回ステップから飛び下りる潜伏期間(5.5±0.8,10.2±2.4)も対照群(0.7±0.2) (P<0.01)より明らかに長くて、用量依存関係もある。以上のことでは、dl−PHPB 50と160mg/kgの長期投与ともSAMP8マウスの受動回避反応能力を向上でき、用量依存関係もあり、すなわちdl−PHPBがその学習能力と記憶保持能力を顕著に改善できることが示された。
【0142】
水迷路実験は動物の最近記憶と空間学習記憶能力の測定に常用する。動物がブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間でその学習記憶能力を反映できる。本発明では、第一、二回で使うブラインドサイドの数はそれぞれ2個と3個、第三ないし第五回は4個になる。前の三回の訓練で、投与群SAMP8はブラインドサイドに入る回数は対照群と比べ、顕著な差がない。第三ないし第五回のテストで、投与群の動物がブラインドサイドに入る回数とも減少になることは動物がステップに対する記憶が強くなることが示されたが、対照群がブラインドサイドに入る回数の変化がない。2つの投与群が第四回のテストでブラインドサイドに入る回数は対照群より少なくなる。第五回のテストで、2つの投与群のミス回数(それぞれ3.1±0.9和2.7±0.3)は、対照群(6.1±1.1)(P<0.05)より明らかに少ない。第一、二回の訓練で、各群の動物がステップを見つける潜伏期間の差異がない。第三回の訓練で、2つの投与群の潜伏期間が対照群より短くなる。その以降は、訓練回数の増加につれて、各群がステップを見つける潜伏期間が徐々に短縮していく。第四回の訓練で、dl−PHPB 50mg/kg群の潜伏期間は対照群より短くなる勢いがあり、dl−PHPB 160mg/kg群の潜伏期間が対照群(P<0.05)より明らかに短い。最後のテストで、2つの投与群の潜伏期間とも対照群(P<0.01)より明らかに短い。それはdl−PHPBがSAMP8の最近記憶と空間学習記憶障害を改善できることが示された。
【0143】
結論として、dl−PHPB 50と160mg/kgともSAMP8マウス学習記憶能力を改善でき、なお一定の用量依存性もある。
【0144】
2、dl−PHPBが脳組織SOD活性とMDA含有量に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つで、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中に、対照群の海馬組織SODの活性は279.4±65.7U/mgタンパク質、dl−PHPB 50と160mg/kgを連続で35日間投与した後、SOD活性はそれぞれ156.2±7.8および158.7±11.4U/mgタンパク質まで下降し、対照群と顕著な差(P<0.05)がある。dl−PHPBは海馬SODの活性を下げることができることが示された。皮質では、dl−PHPB2つの用量ともSOD活性の顕著な変化を起こさなかった(データなし)。
【0145】
投与35日後は、dl−PHPB50と160mg/kg群の海馬のMDA含有量はそれぞれ1.23±0.05と1.26±0.09nmol/mgタンパク質、対照群(1.90±0.50nmol/mgタンパク質)と比べ、それぞれ35.3%と33.7%下降したので,下降する勢いが明らかだが、統計学上は意味がない(図23B)。dl−PHPBが海馬のMDA含有量を下降する可能性があることを証明した。皮質では、各群のMDA含有量は顕著な差がない(データなし)。
【0146】
上記のことで、dl−PHPBはSAMP8マウス海馬組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直すことができ、脂質過酸化産物を下げる可能性があり、さらに脳組織正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させ、酸化ストレス損傷を軽減させることが示された。
【0147】
3、dl−PHPBが脳組織ChATとAChE活性および皮質ミトコンドリアATP酵素活性に対する影響
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、AChEはアセチルコリンの加水分解酵素として,それらの活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。連続で投与35日後は、dl−PHPB50と160mg/kg群SAMP8マウス海馬のChAT活性が対照群と比べ、それぞれ40%と61%が増加し、顕著な統計学差異があり、なお一定の用量依存性がある(図24A)。皮質では、2つの投与群のChAT活性は対照群と比べ、顕著な差がない(データなし)。2つの投与群の海馬のAChE活性(0.632±0.036和0.597±0.030U/mgタンパク質)は対照群(0.850±0.195U/mgタンパク質)より明らかに低い。dl−PHPBがSAMP8マウス海馬AChE活性を下降させる可能性があることが示された(図24B)。皮質では、各投与群のAChE活性が顕著な差がない(データなし)。
【0148】
ミトコンドリアATPaseはミトコンドリア生産機能の重要な指標の1つである。本研究では、dl−PHPB 160mg/kg群SAMP8マウスのATPase活性(9.82±0.51U/mgタンパク質)は対照群(8.58±0.21U/mgタンパク質)(P<0.05)より高い。dl−PHPB 50mg/kg群(8.79±0.33U/mgタンパク質)は対照群と顕著な差がない。多い用量群の増加範囲は14%しかないことを考慮したうえ、dl−PHPBがSAMP8マウス皮質ミトコンドリアATPaseの活性に影響がないことを推定した(図24C)。
【0149】
結論として、dl−PHPBは用量依存性的にSAMP8マウス海馬組織のChAT活性を向上でき、その海馬AChE活性にもある程度の下降ができる。dl−PHPBは認知症マウスの海馬アセチルコリン含有量の増加によって、コリン作動性神経機能を改善できる可能性があることが示された。また、dl−PHPBは認知症マウスの皮質ミトコンドリアATPaseの活性に対する影響はごく小さい。
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムがアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる薬を調製する時の役割に関する。上記アルツハイマー病は、初老期認知症・脳血管性認知症またはこの両方とも持つ混合症状から選択される。上記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選択される。また、本発明は、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用い、予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含む医薬組成物に関する。上記医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放出または徐放性製剤から選ばれる。また、本発明は必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項4に記載の医薬組成物を使用を含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法に関する。患者への投与経路は非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。上記器官から選んで、経由して患者に投薬する。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病は、初老期認知症(アルツハイマー病、Alzheimer’s disease,AD)と血管性認知症(vascular dementia, VD)の二種類および両方の混合症状に分けられる。ADは年齢に関わる進行性認知障害と記憶障害を主としての中枢神経系の変性疾患である。主な臨床症状は記憶(特に最近の記憶)減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調である。最も特徴的な2つの病理学での変化は脳細胞外アミロイドペプチド沈着と神経原線維変化(neurofibrillary tangles,NFT)である。本疾患は60歳以上の人間に多発で、わが国は65歳以上の老人の有病率は4%前後、全世界では約5000万の高齢者がそれぞれ程度のアルツハイマー病にかかっている。VDは脳血管病によって脳機能障害で発生した病気である。欧米には、VD患者はアルツハイマー病患者総数の10〜20%を占め、アジアでは、中国と日本の発生率はさらぶ高い。わが国は高齢化時代に入っているので、アルツハイマー病の患者は年々増加している。脳への血液供給が長期に不足が続けることも脳血管性認知症になる重要な原因である。アルツハイマー病患者は本人が苦しく感じるだけではなく、家庭にも社会にも重い負担になるが、今のところ効果的な治療薬がまだできていないので、有効な薬を見つけ、ADとVDの発生・進行を遅延・制御することは極めて重要になる。
【0003】
本請求項で用いた2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム(Potassium 2−(1−hydroxypentyl)−benzoate,dl−PHPB)は化学合成の新規物質で、核磁気共鳴、MSおよび赤外線などのスペクトル分析によって、単一の化合物であることを証明し、高性能液相の分析によっては、化学の純度は98%以上であることを証明した。その調製工程は特許「2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムおよびその作り方と役割」、公報1382682。その化学一般式は次式で表される。
【0004】
【化1】
【0005】
今までdl−PHPBでアルツハイマー病を治療したという報告はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許公報第1382682号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムがアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いる薬を調製する時の役割に関する。
【0008】
本発明で記載のアルツハイマー病は、初老期認知症・血管性認知症またはこの両方の混合症状から選択される。上記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選択される。
【0009】
本発明で記載の予防とは、アルツハイマー病が発生する前に、特にアルツハイマー病初期の前で記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を抑える。記載の緩和とは、アルツハイマー病中に、またはアルツハイマー病が出た後、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を改善する。記載の治療とは、アルツハイマー病中に、またはアルツハイマー病が出た後、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調などの症状を臨床上の改善を図る。
【0010】
また、本発明は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが脳組織の酸化ストレス損傷の軽減、コリン作動性神経機能の向上、ニューロンの保護および/または脳源性神経成長因子含有量の向上に用いる薬を調製する時の役割に関わる。記載の脳組織の酸化ストレス損傷の軽減とは、脳組織代償性が異常増加の酸化防止酵素の活性を抑えることで、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。記載の酸化防止酵素とは、スーパーオキシドジスムターゼで、脂質過酸化産物とはマロンアルデヒドである。コリン作動性神経機能の改善は、アセチルコリン合成酵素の活性を上げることで、アセチルコリン加水分解酵素の活性を下げる。
【0011】
本発明の中のdl−PHPBは2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。本発明では、記載の哺乳動物は人間が好ましい。
【0012】
アルツハイマー病患者として、主要な表現は認知障害、特に最近の記憶と空間知覚のプログレッシブ減退である。高齢者と関わる認知症はいろいろな原因で引き起こされ、例えば脳血管性(脳虚血)、β−アミロイドペプチド沈着相関の変化およびその他老年と関わる未知の原因がある。上記要因に対して、本発明は下記の認定されたモデル三種類を取り入れた。2−VOラットが臨床的な脳への血液供給不足で起こった脳血管性認知症が模擬できる;ラットの側脳室にAβ(25−35)を注射したことで起こった学習・記憶障害は観測薬物が初老期認知症(アルツハイマー病、Alzheimer’s disease,AD)に治療作用のモデルであることはすでに認定されている;SAMP8は学習・記憶障害が現れるだけでなく、ADの一部の病理学の特徴も有し、すばやく自然な疾患モデルであり、人間の老衰や認知症の臨床特徴と類似しており、理想的なADの代替モデルである。本研究は国際で認定された方法で、すなわちMorris水迷路実験、水迷路実験およびステップダウンのテストでラット・マウスの学習・記憶能力を測定し、三種類の動物モデルでdl−PHPBが脳血管性認知症、β−アミロイドペプチド(Aβ)誘導への認知障害およびすばやく老衰に伴って出た学習・記憶衰退の役割を観察した。
【0013】
要するに、本発明は、この3つのモデルでdl−PHPBが認知症動物の学習記憶に対する改善効果を観察して、dl−PHPBは慢性脳虚血ラット、Aβ認知傷害ラットと加速老衰マウスの学習・記憶能力を顕著に改善できることを発見した。また、本発明はそれ以上の作用メカニズムの可能性に対しても研究してみた。dl−PHPBは、慢性脳虚血原因の脳組織形態異常の改善、アストロサイト活性化の減少とニューロン保護作用の再生ができる;上記三種類モデルの動物脳組織代償性増加のSOD活性の下降、MDAレベルアップ、酸化損害の減少およびニューロン保護もできる;上記三種類モデル動物の脳内ChAT活性を強め、脳内アセチルコリン合成を増加させて、動物の学習・記憶能力を強化することができる;慢性脳虚血後脳組織神経営養因子(BDNF)の含有量を増加させることができるということは脳組織の保護と認知症抵抗のメカニズムの1つであることを発見した。上記のことは、dl−PHPBは多原因の学習・記憶障害症を改善でき、アルツハイマー病に対して著しい治療作用があり、老衰原因の学習・記憶衰退に対しても改善ができるということは十分に説明された。
【0014】
具体的には、本発明は、慢性脳虚血モデルに対する研究を通して、dl−PHPBは脳血液供給不足ラットの最近記憶と空間識失調を改善することができる。VDは脳血管病が原因の脳機能障害でかかった認知症であり、ほとんどの脳動脈梗塞あるいはラクナ脳梗塞あるいは脳低循環に関連付けられている。脳低循環程度は認知症の重さにと関連している。慢性進行性脳供血不足は酸素とグルコースおよび他の必要代謝物の利用率を低下させた結果は、酸化損傷を引き起こし、ミトコンドリア機能と神経細胞の生物合成も損害され、シナプス伝達をブロックされ、最後に神経病理学的異常、すなわち神経変性の変更になってしまう。VD患者の症状は主に最近の記憶と空間感の進行性低下および認知障害である。
【0015】
Morris水迷路実験は動物の空間学習と最近の記憶能力を検出する典型的な実験である。本発明は、大鼠の両側頚動脈(2−VO)を永久的に結紮することで継続性脳低循環のモデルを作り、Morris水迷路法でdl−PHPBの動物最近記憶と空間識失調に対する影響を検測してみた。この実験を通して、dl−PHPBは脳低循環ラットの学習・記憶を改善できることを発見した。ラットが慢性脳虚血にかかった1ヶ月後に、本発明の発明者は二項の実験を行った。1つはナビゲーションテスト実験、もう1つは空間探査実験。
【0016】
ナビゲーションテストで、ラットがプラットフォーム見つける時間(潜伏期間)、サーチ策略および水泳スピードの三項指標を観察した。dl−PHPBは慢性脳低循環ラットの学習記憶能力の減退に対しては顕著な改善効果を持っている。潜伏期間から見ると、dl−PHPBが脳低循環ラットの空間学習と最近記憶障害に明らかな改善効果を持っている。プラットフォーム探査策略から分析すると、dl−PHPB群はリニア式とトレンドスタイル式策略を使う回数は明らかに増えたことは、dl−PHPBは脳低循環ラットが空間位置への記憶能力を向上できることが示された。実験中に、各群ラットの水泳スピードに明らかな変化がなく、群の間にも明らかな差異がないことは、当該実験方法は体力が妨害にならないことから、よりよいラットの学習記憶能力を測定できる。dl−PHPBはアルツハイマー病、特に脳血管性認知症の空間学習と最近記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療ができることが示された。
【0017】
ナビゲーションテストが終わってから、プラットフォーム探査実験を行い、安全島をはずして、ラットが目標象限での活動時間と第一回目標を通る時間を記録することで、ラットが安全島に対する空間記憶ができたかどうかおよび記憶の強度を測定する。dl−PHPB投与群で、ラットが目標象限での活動時間は溶媒対照群よりは明らかに長い。第一回目標を通る時間から見ると、dl−PHPB群も溶媒対照群より明らかに短い。これはdl−PHPBが慢性脳低循環ラットの空間学習記憶賞がいいを改善できることが示された。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に脳血管性認知症の空間学習記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療ができることが示された。
【0018】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に脳血管性認知症に対する予防・緩和および/または治療の機能を述べるために、本発明は生化学の方法でdl−PHPBが酸化損傷への相関指数と、コリン作動性神経システムへの影響を測定し、特にdl−PHPBが脳組織SOD活性・MDA含有量とアセチルコリンのシンターゼ(ChAT)活性への影響を測定した。
【0019】
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つで、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。ラットが慢性脳虚血の一ヵ月後、皮質のSOD活性とMDA含有量が溶媒対照群より顕著に低いことは、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織代償性が異常に増加した酸化防止酵素の活性を修正すると、脂質過酸化産物を低減し、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復が示された。
【0020】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットが永久に頚部両側の総動脈を結紮した一ヵ月後、海馬ChAT活性が顕著に下降した。投薬21日後は、dl−PHPBが低循環ラット海馬のChAT活性を顕著に向上し、コリン作動性神経機能を改善できる。
【0021】
脳低循環で起こった行動変化と共に、脳グリア細胞が活性化し、白質と灰白質も変化するので、本発明の機能をさらに述べるため、本発明は病理学および免疫組織化学の方法で、dl−PHPBが脳組織形態の変化への影響を観察した。HEとKluever−Barrera染色(後者はニューロン髄鞘の病理学的変化を反映する)によって、グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP、アストロサイト活性化の兆候)と脳源性神経成長因子(BDNF、認知機能とニューロンの生存と関わり、虚血に敏感である)を指標とする。
【0022】
HE染色は異なる色で細胞質と細胞核を表示するので、細胞の姿をはっきり見える。本研究の溶媒対照群が皮質ニューロンが収縮、深い色素と細胞核が明らかでない現象を見え、海馬のCA1、CA3エリアも類似な変化が出た。上記のことで、dl−PHPBが慢性脳低循環で起こった皮質・海馬ニューロン損傷に保護や治療作用を持っていることが表明した。
【0023】
K−B染色はニューロン髄鞘が完備であるかどうかを反映でき、さらに神経繊維の形態学の変化を反映できる。本実験では、溶媒対照群ラット脳梁と視神経管が明らかな空胞変性および神経繊維障害が出たことが発見した。dl−PHPB3つの用量は脳梁の病理変化に対する改善が顕著で、空胞変性が減少し、神経繊維の配置も少し回復していた。dl−PHPB3つの用量は視神経管の病理変化へも改善がある。上記のことで、dl−PHPBが脳低循環で起こった脳梁と視神経管の損傷に明らかな保護作用を持っていることが表明した。
【0024】
本発明ではdl−PHPBが脳低循環ラット脳組織GFAP陽性アストロサイトへの影響を研究した。脳低循環で起こった組織学異常は空間学習記憶損傷の基礎になるかもしれない。その内、白質がもっとも早く損傷され、それと共に反応性アストロサイトの増加とミクログリアの活性化が出る。グリア酸性タンパク質(GFAP)免疫組織化学染色は活性化したアストロサイトにマック付けに使用する。本発明は皮質・海馬・脳梁と視神経管四箇所を選び観察対象にした。皮質にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術よりさらに勢いがあり、dl−PHPB投与群は投与21日後、GFAP陽性細胞数は明らかに溶媒対照群より少ない。海馬にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より明らかに多い各投与群の当該指標値も溶媒対照群よりも明らかに低い。脳梁にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より顕著な差がないが、dl−PHPB投与群の当該指標値は溶媒対照群より低い。視神経管にて、溶媒対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より明らかに多い。dl−PHPB投与21日後、GFAP陽性細胞数は溶媒対照群より明らかに少ない。上記のことでは、特に海馬、視神経管と皮質で、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織損傷と、活性化したアストロサイト量を明らかに減少させることができる。
【0025】
本発明はさらにdl−PHPBが脳低循環ラット脳組織BDNF分布面積と含有量への影響を研究した。脳源性神経成長因子(BDNF)はニューロンの生存と発育を維持し、正常な動物の脳組織に存在する。虚血の早期で高く表示できるが、虚血24時間以降は通常下降して表示する。BDNF免疫組織化学染色密度から見れば、溶媒対照群と偽手術と比べると、皮質でも海馬でも、BDNFとも顕著に減少し、投与群と溶媒対照群と比べると、皮質ではdl−PHPBがBDNFの表示を増加できる。海馬のCA1、CA2、CA3エリアで、dl−PHPBがBDNFの表示を明らかに増加できる。染色密度とBDNFの含有量と正比例する。以上のことでは、dl−PHPBは慢性脳虚血脳組織のBDNFの含有量を増加できる。
【0026】
本発明はβ−アミロイドペプチド認知症モデルの研究を通し、dl−PHPBがβ−アミロイドペプチド25−35)で起こったラット記憶と空間識失調障害を明らかに改善できる。
【0027】
ADは高齢者の認知機能プログレッシブ減退の一番重要な原因で、その主要な病理変化はβ−アミロイドペプチド(β−amyloid,Aβ)沈着を核心とするシミと神経原線維変化を形成する。Aβは39〜43のアミノ酸で成り立ち、β前駆体蛋白質の分解産物である。Aβ沈着の範囲は神経損傷や認知機能損傷と密接に関連している。Aβ(25−35)はAβの毒性断片で、Aβ(1−40)やAβ(1−42)と類似しているが、より強く速い毒性を持っている。過去の言及によっては、一回性脳室にAβ(25−35)を注射(i.c.v.)すると、ラットの学習と記憶の損傷を起こし、AD患者のような症状が出る。脳室にAβ(25−35)の注射はADを模擬できるので、本実験はラットi.c.v.Aβ(25−35)をモデルにする。
【0028】
本発明はMorris水迷路でdl−PHPBが動物の最近記憶と空間位置記憶の能力への影響を測定した。結果として、dl−PHPBは認知症ラットの学習記憶の改善に効果がある。ナビゲーションテストで、dl−PHPBが用量依存的にAβ(25−35)誘導した認知症ラットの潜伏期間を短縮できることは、dl−PHPBが用量依存性的に認知症ラットの学習記憶能力を改善できることを証明できる。四日間の訓練で、各群のラットの水泳スピードに差がないことはi.c.v.Aβ(25−35)が動物の体力に影響がないということである。水迷路実験は動物の学習記憶能力を確かに反映できることは、dl−PHPBがアルツハイマー病、特に初老期認知症の最近記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療の効果があることを証明した。
【0029】
プラットフォーム探査テストで、dl−PHPB群がターゲット象限での活動タイミングの百分比は溶媒対照群より明らかに長い。一回目プラットフォームを通過する時間について、dl−PHPB群も短縮の勢いが見える。dl−PHPBが用量依存性的に認知症ラットの空間位置学習記憶を増加可能であることは、dl−PHPBはアルツハイマー病、特に初老期認知症の空間位置学習記憶障害の症状に対する予防・緩和および/または治療の効果があることを証明した。
【0030】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に初老期認知症に対する予防・緩和および/または治療の機能を述べるために、生物化学方法で酸化ストレス損傷およびコリン作動性神経機能障害の影響をそれぞれ測定し、特にdl−PHPBが認知症ラット脳組織SOD活性・MDA含有量とChAT活性に対する影響を測定した。
【0031】
本発明では、i.c.v.Aβ(25−35)が14日後、SODの活性代償性が向上し、経口でdl−PHPB投与二週間後は、皮質内SOD活性がそれぞれ顕著に下降したことは、dl−PHPBは用量依存性的に皮質内SOD活性を下降できることを証明した。
【0032】
皮質で、溶媒対照群のMDA含有量が顕著に向上した。連続で経口してdl−PHPB投与二週間後、皮質内MDA含有量が下降し、溶媒対照群と比べ顕著な差が出、dl−PHPBが用量依存性的にAβ(25−35)で起こったラット皮質内MDA含有量の増加を下げられる。
【0033】
ラットi.c.v.Aβ(25−35)後、皮質内ChAT活性が顕著な変化がなかったが、経口でdl−PHPB投与二週間後で、溶媒対照群と比べると、39mg/kgがChAT活性を顕著に上げられる(P<0.05)、129mg/kgも当該酵素の活性を上げる傾向が強い。これがAβ(25−35)は皮質内ChAT活性の下降をさせなかったが、dl−PHPBは認知症ラットのChAT活性を増加する可能性があることを証明した。
【0034】
結論として、dl−PHPBは用量依存的に初老期認知症患者の皮質のSOD活性とMDA含有量を下げられることは、当該薬物は初老期認知症患者の皮質代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直し、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。さらに、dl−PHPBは初老期認知症患者の皮質内ChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善することができる可能性も高い。
【0035】
本発明は加速老化マウスのモデルに対する研究によっては、dl−PHPBは加速老化マウスの学習記憶障害への改善効果を発見した。加速老化マウス(senescence accelerated mouse,SAM)は2つの亜系、すなわちP系とR系に分けられる。前者は加速老化マウス(SAM/prone,SAMP)といわれ、脱毛や肌荒れと行動障害や生存期間短縮などの老衰現象に現れ、遺伝の傾向も出てくる。後者は加速老化抵抗マウス、正常な老衰過程にいる。SAMPはすべて12の亜系に分けられ、その内SAMP8は学習記憶機能が年齢に従い衰退になり、中枢神経システム、例えば皮質や海馬などの病理的な変化が主要な状態として表現される。文献の報道によると、SAMP8は加齢中に脳内に大量のAβが沈着し、学習記憶機能と関連する脳内神経伝達物質も相応に変化し、例えば皮質や海馬のアセチルコリンレベルが下降、オピオイドペプチド、γ−アミノ酪酸レベルが向上、5−HTが先に向上しそれで下降するなど。脳内脂質過酸化物の含有量も増加し、酸化−酸化防止システムが障害になって、酸化ストレス損傷が出る。それと共に顕著なミトコンドリア機能障害も出る。つまり、SAMP8は自然な老衰過程中緩慢に出てくる認知症を模擬できるので、老衰と学習記憶機能および学習記憶機能障害発生原因を研究するためのより動物モデルである。
【0036】
本発明はステップダウンテストでSAMP8の受動回避反応能力を、水迷路で最近記憶と空間学習記憶能力を測定する。その結果から、dl−PHPBはSAMP8の学習記憶障害への改善効果と、アルツハイマー病への治療と知力衰退への延長効果を発見した。
【0037】
本発明では、dl−PHPB投与群SAMP8が受けた電気ショック回数は対照群より明らかに少ない、第一回でステップから飛び下りる潜伏期間は対照群より明らかに長い。尚且つ用量依存関係もある。これはdl−PHPBの長期間投与がSAMP8マウスの受動回避反応能力を向上でき、哺乳動物の学習能力と記憶保持能力を改善できることを証明した。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症患者の学習能力と記憶保持能力を改善できることを証明した。
【0038】
水迷路実験は動物の最近記憶と空間学習記憶能力の測定に常用する。動物がブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間でその学習記憶能力を反映できる。本発明では、dl−PHPB投与群がブラインドサイドに入る回数は対照群より明らかに少ない、潜伏期間も対照群より明らかに短い。dl−PHPBがSAMP8の最近記憶と空間学習記憶障害を改善でき、なお一定の用量依存性もある。dl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症患者の最近記憶と空間学習記憶障害の症状を予防、緩和および/または治療することができることを証明した。
【0039】
本発明のdl−PHPBがアルツハイマー病、特に混合型認知症病を予防、緩和および/または治療する機能を述べるために、生物化学方法でその脳組織と学習記憶および老衰と関連する生物化学指標を測定し、特にdl−PHPBが脳組織SOD活性・MDA含有量・ChAT活性とAChE活性に対する影響を測定した。
【0040】
本発明では、SAMP8マウスは連続して経口dl−PHPB投与35日後は、海馬SOD活性を明らかに下降し、対照群より顕著な差が出た。投与35日後は、dl−PHPB投与群の海馬のMDA含有量は対照群と比べ、下降する勢いが明らかである。dl−PHPBが海馬のMDA含有量を下降する可能性があることを証明した。上記のことで、dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直すことができ、脂質過酸化産物を下げる可能性があり、さらに脳組織正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させ、酸化ストレス損傷を軽減させることが示された。
【0041】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、AChEはアセチルコリンの加水分解酵素として、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。
【0042】
連続で投与35日後は、dl−PHPB投与群SAMP8マウス海馬のChAT活性が増加し、対照群と比べ、顕著な統計学差異があり、なお一定の用量依存性がある。dl−PHPB投与群海馬のAChE活性は対照群より勢いがないことが明らかである。これはdl−PHPBがSAMP8マウス海馬AChE活性を下降させる可能性があることが示された。
【0043】
結論として、dl−PHPBは用量依存性的に混合型認知症患者の海馬組織のChAT活性を向上でき、その海馬AChE活性にもある程度の下降ができる。dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬アセチルコリン含有量の増加によって、コリン作動性神経機能を改善できる可能性があることが示された。
【0044】
つまり、dl−PHPBは脳血管性認知症に対して予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBが脳血管性認知症患者の最近記憶と空間位置記憶障害を顕著に改善できる。dl−PHPBが脳血管性認知症患者の脳組織代償性増加のSOD活性と脂質過酸化産物MDAレベルを顕著に下降できることは、酸化ストレスが神経細胞に対して損傷を顕著に抑えることを証明した。dl−PHPBは脳血管認知症患者の脳組織のChAT活性を向上でき、脳内のアセチルコリンレベルを向上させる可能性が高いので、学習記憶の改善に効く。白質がまばらや空泡形成やグリア細胞増加やニューロン形態異常も含み、dl−PHPBは脳血管性認知症患者の脳組織の病理的な変化を改善でき、さらに虚血で起こった脳組織脳源性神経成長因子の現象を改善する。
【0045】
dl−PHPBは初老期認知症に対しては予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBは初老期認知症患者の学習と記憶障害に顕著な改善効果を持っている。dl−PHPBは初老期認知症患者の代償性増加の脳組織SOD活性とMDAレベル増加を下降でき、酸化損傷を軽減でき、ニューロンを保護する。dl−PHPBはコリン作動性神経伝達物質アセチルコリン合成酵素ChATの活性を上げられ、コリン作動性神経機能の改善によって、初老期認知症患者の学習記憶障害を改善する可能性は高い。
【0046】
dl−PHPBは混合型認知症に対しては予防、緩和および/または治療効果を持っている。dl−PHPBは混合型認知症患者の最近記憶および空間位置記憶障害を顕著に改善できる。dl−PHPBは混合型認知症患者の海馬S0D活性を下降でき、さらに海馬MDAレベルを下降することは、それは酸化損傷を軽減でき、ニューロンを保護できることを証明した。dl−PHPBは海馬コリン作動性神経伝達物質アセチルコリン合成酵素ChATの活性を上げられ、さらにその加水分解酵素AChEの活性を下げる。コリン作動性神経機能の改善によって、混合型認知症患者の学習記憶障害を改善する可能性は高いことが示された。
【0047】
つまり、dl−PHPBはアルツハイマー病の治療に効果を持って、加速老衰に伴う認知衰退を軽減できる。その作動原理は脳組織の酸化ストレス損傷の軽減と、コリン作動性神経機能の向上と、脳組織脳源性神経成長因子含有量の向上などを含む。
【0048】
もう1つ、本発明は、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用い、予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含む医薬組成物に関する。本発明では、使用ルートによって、記載の医薬組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤から選ばれる。
【0049】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、既知の方法で調製しても良い。下記のなんかのルートで受験者に使用する。非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。
【0050】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは既知の調製方法を通して作成する。
【0051】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物のオプションはいずれの通常の方法で一種や多種の薬学で認めるキャリアおよび/または賦形剤で調製する。したがって、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとそれの溶媒は特別な調合をしても良い、例えば吸入や吹き込み(口や鼻を介して)、または経口、舌下腺、非経口または直腸投与。
【0052】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤などの形を使ってもよい。これらの製剤は治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、純化形式は好ましい、および適当のキャリアを含み、患者に適用する投与形式を提供する。製剤は投与方式に適用すべきである。
【0053】
本発明では、記載の純化形式2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとは、ほとんど純化の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。特に純度は80%より大きい、好ましいのは85%より大きい、さらに好ましいのは90%より大きい、特に好ましいのは98%より大きな2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムである。具体的にいうと、記載の純化形式は2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの純度範囲は例えば95%−99%である。
【0054】
非経口投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は注射で例えばボーラスで非経口投与のため調合できる。注射用の製剤は単位製剤でオプションの防腐剤入れのアンプルや複数回投与用容器に保存してもよい。非経口製剤はガラスやプラスチックで作ったアンプルや、使い捨ての注射器やマルチ瓶に保存してもよい。製剤は、例えば油性や水性のキャリアにおいている懸濁液、溶液、エマルジョンの形式で、さらに例えば、懸濁剤や安定剤および/または分散剤のアクセサリを含んでもよい。
【0055】
例えば、非経口製剤は無毒非経口で好ましいシンナーや溶剤の中の無菌注射溶液または懸濁液であってもよい(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)。好ましいキャリアと使える溶剤は水、リンガーおよび等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、通常は無菌非発揮油を溶剤や懸濁培地としている。そのため、合成したグリセロールエステルおよびジアシルグリセロールを含み、軽度の非揮発性油をいずれも使ってもよい。また、非経口製剤の中にオレイン酸などの脂肪酸を使ってもよい。
【0056】
その他、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は粉末式に調合してもよい。使用前に適合なキャリアで、例えば滅菌水で再建する。例えば、非経口投与に適合する2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、体積毎に0.1%〜90%重量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを含む無菌等張塩溶液を含んでもよい。例えば、溶液は約5%〜約20%含有、より好ましいのは約5%〜約17%、さらに好ましいのは約8%〜約14%、特に好ましいのは約10%の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム。注射部の痛みを軽減するため、溶液や粉末製剤は可溶化剤と局所麻酔薬、例えばリドカイン、を含んでもよい。その他の非経口化合物投与方法は本分野で既知され、尚且つ本発明範囲内である。
【0057】
経口投与
経口投与に対し、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は錠剤やカプセルの形で、通常の方法で、薬学で認める賦形剤、例えば粘着剤や充填剤、潤滑剤、崩壊剤を使って調製する。
【0058】
A. 粘着剤
粘着剤はコーンスターチ、ジャガイモ澱粉、またはその他のでん粉、ゼラチン、天然および合成ゴム、例えばアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、ウェストレンゲ粉、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、第2208、2906、2910)、微結晶性セルロースおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。適合な微結晶性セルロースの形は、例えばAVICEL−PH−101、AVICEL−PH−103とAVICEL−PH−105で販売の材料(FMC Corporation,American Viscose Division,Avicel Sales, Marcus Hook,Pennsylvania,USAに由来)。適合な粘着剤の例はFMC CorporationがAVICEL RC−581で販売している微結晶性セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物である。
【0059】
B. 充填剤
充填剤はタルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、ラクトース、微結晶性セルロース、粉末セルロース、グルカン結合剤(dextrates)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、澱粉、アルファ化デンプンおよびその混合物を含むが、これらに限定されない。
【0060】
C. 潤滑剤
潤滑剤はステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルクのエステル、硬化植物油(たとえば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウリン酸エチル、寒天およびその混合物を含むが、これらに限定されない。その他の潤滑剤は、例えば、固体シリカ(AEROSIL 200, Baltimore,Maryland,USAのW.R. Grace Co.生産)、合成シリカ縮合エアロゾル(Deaussa Co. of Plano,Texas,USA販売)、CAB−O−SIL(Boston, Massachusetts,USAのCabot Co.から販売されている発熱シリカ製品)とそれらの混合物を含む。
【0061】
D. 崩壊剤
崩壊剤は寒天−寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、クロスポビドン、polacrilinカリウム、ナトリウム澱粉グリコール酸、ジャガイモやタピオカでんぷん、他の澱粉、アルファ化デンプン、他の澱粉、粘土、他の藻類、他のセルロース、ガムおよびそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0062】
錠剤やカプセルは本分野の公知のいずれの方法でコーティングする。もし本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は粘着剤や充填剤を使うと、約50%〜約99%重量の化合物に調合する。一方、約0.5%〜約15%重量の崩壊剤、特に約1%〜約5%重量の崩壊剤が、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムとあわせて使用できる。潤滑剤はいずれの材料でもよい、用量は通常2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの約1%重量未満にする。固体経口製剤調製の技術や薬学で認める添加物はMarshall,Solid Oral Dosage Forms,Modern Pharmaceutics(BankerとRhodes,Eds.),7:359−427(1979)に載っている。その他の不典型の製剤は本分野で公知するものである。
【0063】
経口の液体製剤は溶液やシロップまたは懸濁液の形を使う。または、液体製剤は固体製品の形にしてもよく、使用する前に水や適合なキャリアで再建する。これらの液体製剤は通常の方法で薬学で認める添加物、例えば懸濁液(ソルビトールシロップ、セルロースの誘導体または水素化食用脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアラビアゴム)、非水性担体(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分別植物油)、および/または防腐剤(例えば、メチルまたはプロピル対ヒドロキシ酸またはソルビン酸)で調製する。これらの製剤は適当の緩衝塩や調味料や着色剤や香味剤や甘味料を含んでもよい。経口の製剤は化合物の制御放出の実現するように調合してもよい。経口製剤は10%〜95%の化合物は好ましい。また、本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物は、通常方法で舌下腺投与用のタブレットやトローチを調合してもよい。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム医薬組成物のその他の経口投与方法は本分野で公知でありるもので、さらに本発明の範囲内である。
【0064】
制御放性投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの活性の延長と投与頻度減少のため、制御放性(徐放性)製剤を調合する。制御放性製剤は発効タイミングやその他の特徴への影響に使ってもよい、例えば血液化合物のレベル、副作用の発生に支障する。
【0065】
制御放性製剤は最初から必要効果の一定量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを放出させ、徐々に連続で残りの2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの量を放出させることで、長時間で治療効果を維持する。体内で不変に近い化合物状態を保持するため、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが一定のスピードで製剤から放出させ、体内から代謝および/または分泌した2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを代わる。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの制御放出は多種の誘導要素、例えば、PH変化や、温度変化、酵素、水またはその他の生理条件や分子で刺激される。
【0066】
制御放出システムは、特定の臓器や腫瘍へインスリンや化学療法剤の転送と類似している方式で化合物の転送に使う、例えば注射ポンプを含む。このようなシステムを使うと、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは通常分解可能・生体適合の高分子インプラントとあわせて使用する。選択される位置にコントロールされた時間内で2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを放出する。高分子インプラントはポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリエチレン酢酸ビニルおよびその共重合体と組合を含む。また、制御放出システムは治療目標の付近においってもよいので、全身用量の一部しか使わない。
【0067】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは、本分野で公知でありた他の制御放出方法や投与装置を使ってもよい。例えば、HPMC、他のポリマーマトリックス、ゲル、浸透膜、浸透システム、多層コーティング、粒子、リポソーム、微小球など、または上記組合が、異なる比例で必要な放出スペクトルを提供する。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の制御放出投与方法は本分野で公知であり、なお本発明の範囲内である。
【0068】
吸入投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは吸入で直接肺へ使用できる。吸入投与に対しては、いろいろ装置で便利に2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを肺に輸送できる。例えば、計量吸入器(”MDI”)、使われる缶は低沸点推進剤が付き、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の適合な気体で、直接肺に化合物を輸送できる。MDI装置は数多くの仕入先からもらえる、例えば3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo−Wellcome、Schering PloughとVectura。
【0069】
また、乾燥粉末吸入器(DPI)装置を使って肺へ化合物を使用してもよい。DPI装置は通常一種の機構を使い、例えば、爆発の気体が容器内で雲の形の乾燥粉末を生じ、患者に吸入される。DPI装置も本分野で公知であり、多くの仕入先から購買できる、例えばFisons、Glaxo−Wellcome、Inhale Therapeutic Systems、ML Laboratories、QdoseおよびVectura。通用しているのは多用量DPI(“MDDPI”)システム、一個以上で治療用量を使っても許される。MDDPI装置は例のAstraZeneca、GlaxoWellcome、IVAX、Schering Plough、SkyePharmaおよびVecturaのような会社から入手できる。例えば、吸入器と吹き込み器のゼラチンカプセルとカートリッジは、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムと当該システムに適用する粉末マトリックス、例えば乳糖やでんぷんを含有する粉末混合物に調製できる。
【0070】
肺へ化合物を使用するもう1つのタイプの装置はAradigm Corporationが提供したスプレー装置。スプレー装置システムはごく小さなノズルで液体化合物を噴霧化して、直接肺に吸入される。例えば、噴霧器装置で肺に化合物を使用する。噴霧器は超音波を使えば、液体化合物製剤からエアロゾルを生じ、吸入しやすい細かい顆粒にする。噴霧器の製品はSheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd.、AventisとBatelle Pulmonary Therapeuticsより提供する装置を含む。
【0071】
もう1つの実験で、電流体力学(“EHD”)エアロゾル装置で肺に化合物を使用する。EHDエアロゾル装置は電気で液体化合物の溶液や懸濁液を噴霧する。EHDエアロゾル装置で肺に当該化合物を使用する時に、化合物製剤の電気化学性質は重要なデータとして最適化しなければならない。この最適化は本分野通常操作で行われる。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の肺に投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0072】
噴霧器や液体噴霧装置とEHDエアロゾル装置に適用する液体2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム製剤は、通常2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムと薬学で認めるキャリアを含む。代表的な案で、薬学で認める液は、例えばアルコール、水、ポリエチレングリコールまたはパーフルオロカーボン。また別の物質をオプションして化合物溶液や懸濁液のエアロゾル性質を変更できる。例えば、この物質は液体で、たとえばアルコール、グリコール、ポリエチレングリコールまたは脂肪酸。エアロゾル装置に適用する液体化合物溶液や懸濁液を調製する他の方法は本分野で公知でありる。
【0073】
貯蔵式投与
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは貯蔵式製剤に調製してもよい。このような長時間作用型製剤は注入(皮下または筋肉内)や筋肉注射で投与する。そのため、化合物は好適なポリマーまたは疎水性材料、例えば、好ましい油やイオン交換樹脂中のエマルジョン、または難溶性の誘導体としても難溶性の塩類と一斉に調製する。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの他の貯蔵式投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0074】
局所投与
局所投与に対しては、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムはキャリアと組み合って、実効線量を輸送する。必要な活性によって、実効線量は、例えば1.0μM〜1.0mM。本発明の一方では、局所投与の医薬組成物は皮膚にも使える。キャリアとしては、軟膏、クリーム、ゲル、ペースト、発泡、エアゾール、坐剤、パッドまたはスティックゲルを含むが、これらに限定されない。
【0075】
局所製剤は眼科で認める賦形剤、例えばバッファ生理食塩水、鉱物油、植物油例えばコーン油やピーナッツ油、ワセリン、Miglyol 182、アルコール溶液またはリポソームやリポソームのような製品の中に、実効線量の化合物を含んでもよい。これらの化合物はどれも防腐剤、酸化防止剤、抗生物質、免疫抑制剤とその他の悪い影響がない生物学や薬学で有効な製剤を含んでもよい。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムのその他の局所投与方法は本分野で公知であり、なお且つ本発明の範囲内である。
【0076】
その他の投与システム
その他の投与システムは本分野で公知であり、本発明の化合物の使用に使えるものである。尚且つ、その他の投与システムと連合や/または変更で、本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの投与を最適化できる。
【0077】
また、本発明は必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムやそれを含む医薬組成物を含み、アルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法に関する。投与ルートは非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これに限定されない。
【0078】
本発明で、治療実効線量2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは0.5−200mg/kg体重の間のいずれも良い。好ましいのは1−150mg/kg体重、より好ましいのは2−100mg/kg体重、さらに好ましいのは3−50mg/kg体重、特に好ましいのは4−35mg/kg体重、特に好ましいのは5−20mg/kg体重の間のいずれも良い。
【0079】
治療実効線量の確認原則
本発明で記載の「治療実効線量」とは、受験者の病気や病症の性質や重大度によって、特定の受験者に使用する時に、必要の治療効果を持っている線量、例えば、目標病気や病症を治療、予防、抑制または少なくとも一部防止や一部予防への必要量。
【0080】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの毒性と治療効果は細胞培養物や動物実験中に、LD50(50%致死用量群)とED50(50%有効用量群)測定のスタンダード薬学方法で確定できる。毒性と治療効果との用量比例は治療指数として、比率LD50/ED50で表示される。
【0081】
細胞培養実験と動物研究中にできたデータは、人間やその他の哺乳動物向け調製する時の用量範囲として使える。2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの用量は、ED50の循環血漿やその他の体液濃度の範囲内を含み、ごく少ない毒性や毒性なしのは好ましい。
【0082】
当該用量は使用する製剤や投与ルーとによって、この範囲内で変化する可能性がある。本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムに対しては、治療実効線量は最初から動物実験で推定できる。動物モデルで用量を設計して、IC50も含む測定した循環血漿濃度範囲に入る。これらの情報で人間やその他の哺乳動物に有効用量を精確に確定できる。血漿の中の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムのレベルは高性能液相分析で測定する。
【0083】
薬学で認めるキャリアと組み合って生じた単一剤形の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの用量は、治療宿主と投与パターンによって異なる。当業者は、各製剤の個別用量の中に含んだ2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの単位含有量本体は実効線量になる必要がないことは事前に理解するであろう。個別用量の数個使用で需要な実効線量にいたるからだ。用量の選択は使用する製剤と、治療する病気と当業者の判断によって決める。
【0084】
本発明の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムで病気や病症を治療する用量の案はを多種の要素を考えてから選択する。それは患者のタイプ、年齢、体重、性別、飲食と医学状況、投与ルート、薬理学の考慮要素、例えば活性、有効性、使用する化合物の具体の薬物代謝動力学と毒理学分布を含んで考え、2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム投与システムを使うかどうかを決める。そのため、実際に使用する用量案は受験者の間でも大違いがある。
【0085】
専門用語と略称
dl−PHPB、PHPBは2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムを指す。
【0086】
SODはスーパーオキシドジスムターゼを指す。
【0087】
MDAはマロンアルデヒドを指す。
【0088】
ChATはコリンアセチルトランスフェラーゼを指す。
【0089】
AchEはアセチルコリンエステラーゼを指す。
【0090】
ATPaseはアデノシントリホスファターゼを指す。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストで逃避潜時期間に対する影響。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=17−20)。#P<0.05,##P<0.01は偽手術(sham)と比較する;*P<0.05は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図2】永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストで典型なサーチ策略。A:エッジ式;B:ランダム式;C:トレンドスタイル式;D:リニア式。
【図3】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路プラットフォーム探査テストでターゲット象限活動タイミングと一回目プラットフォーム通る時間に対する影響。図Aはターゲット象限活動タイミングの変化を表示する、図Bは一回目プラットフォーム通る時間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=17−20)。##P<0.01は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,***P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図4】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳組織生物化学に対する影響。図Aは皮質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の変化を表示する、図Bは皮質マロンアルデヒド(MDA)含有量の変化を表示する。図Cは海馬コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=5−8)。
【0092】
###P<0.001は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01,***P<0.001は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図5】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳皮質ニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図6】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬CA1エリアニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図7】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬CA3エリアニューロン形態に対する影響(HE染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図8】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳梁形態に対する影響(K−B染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図9】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの視神経管形態に対する影響(K−B染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。400倍。
【図10】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳海馬GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群;C:ピラセタム600mg/kg群;D:PHPB13mg/kg群;E: PHPB39mg/kg群;F:PHPB129mg/kg群。200倍。
【図11】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの視神経管GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群;C:ピラセタム600mg/kg群;D:PHPB13mg/kg群;E:PHPB39mg/kg群;F: PHPB129mg/kg群。200倍。
【図12】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットの脳組織GFAP陽性アストロサイト数量に対する影響。図Aは皮質を表示する、図Bは海馬を表示する、図Cは脳梁を表示する、図Dは視神経管を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=4)。##P<0.01は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図13】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット皮質の脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。Sham:偽手術群;Vehicle:溶媒対照群。200倍。
【図14】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA1エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図15】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA2エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図16】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット海馬のCA3エリアの脳源性神経成長因子(BDNF)分布と含有量に対する影響(免疫組織化学染色)。A:偽手術群;B:溶媒対照群。C:PHPB39mg/kg群。200倍。
【図17】経口dl−PHPBは永久に頚部両側の総動脈を結紮したラット脳組織脳源性神経成長因子(BDNF)含有量に対する影響。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=4)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する。*P<0.05,**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図18】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットが水迷路ナビゲーションテストでの潜伏期間に対する影響。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する;*P<0.05、**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図19】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットが水迷路プラットフォーム探査テストで空間位置記憶障害対する影響。図Aはターゲット象限活動タイミング百分比の変化を表示する、図Bは一回目プラットフォーム通る時間の変化を表示する。すべてのデータは平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)と比較する;*P<0.05は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図20】経口dl−PHPBはAβ(25−35) 誘導した認知症ラットの脳組織生物化学に対する影響。図Aは皮質スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の変化を表示する、図Bは皮質マロンアルデヒド(MDA)含有量の変化を表示する。図Cは皮質コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=7−9)。#P<0.05は偽手術(sham)群と比較する;*P<0.05、**P<0.01は溶媒対照群(vehicle)と比較する(LSD検査)。
【図21】経口dl−PHPBはSAMP8マウスがステップダウンテストで受けた電気ショック回数と電気ショック潜伏期間に対する影響。図Aは電気ショック回数の変化を表示する、図Bは電気ショック潜伏期間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05,**P<0.01,***P<0.001は対照群(control)と比較する(Dunnett検査)。
【図22】経口dl−PHPBはSAMP8マウスが水迷路実験でブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間に対する影響。図Aはブラインドサイドに入るミスの回数の変化を表示する。図Bは潜伏期間の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05,**P<0.01は対照群(control)と比較する(Dunnett検査)。
【図23】経口dl−PHPBはSAMP8マウスの脳組織スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性とマロンアルデヒド(MDA)含有量に対する影響。図Aは海馬SOD活性の変化を表示する、図Bは海馬MDA含有量の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05は対照群(control)と比較する(LSD検査)。
【図24】経口dl−PHPBはSAMP8マウスの脳組織コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)と、アセチルコリンエステラーゼ(AchE)および皮質ミトコンドリア・アデノシントリホスファターゼ(ATPase)活性に対する影響。図Aは海馬ChAT活性の変化を表示する、図Bは海馬AchE 活性の変化を表示する、図Cは皮質ミトコンドリアATPase活性の変化を表示する。すべての数値は平均±標準誤差で表示する(n=11−14)。*P<0.05は対照群(control)と比較する(LSD検査)。
【図25】実施例1の実験プロセス。
【図26】実施例2の実験プロセス。
【図27】実施例3の実験プロセス。
【発明を実施するための形態】
【0093】
実施例
下記の実施例は具体的本発明の応用を示すが、本実施例は本発明の使用範囲には限らない。
【0094】
実施例1
慢性脳虚血モデル研究:dl−PHPBが供血不足のラットの最近記憶と空間識失調を改善できる
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。ピラセタム錠、天津金世製薬有限公司生産。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。ニュートラルレッド、固体ブルーはSigma会社から購入。炭酸リチウムは北京化学製剤会社生産。Triton X−100は北京中山生物技術有限公司から購入。グリア繊維性酸性タンパク質(GFAP)ポリクローナル抗体はChemicon会社から購入。脳源性神経成長因子(BDNF)ポリクローナル抗体はSanta Cruz Biotechnology会社から購入。二次抗体、ビオチン化抗マウス /ウサギIgG;三次抗体、ホースラディッシュ酵素標記のストレプトアビジンアビジン、DABカラーキット;抗体希釈液とも北京中杉金橋生物技術有限公司から購入。
【0095】
2、器具
Morris水迷路オートモニターは中国医学化学院薬物研究所より開発したものである。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。IR2135タイプのパラフィンマイクロトームはドイツLeica会社の製品、620−Eタイプの恒温冷凍マイクロトームはイギリスShandon会社の製品、Nikon ECLIPSE 80i自動顕微撮影システムは日本Nikon Corportionの製品である。
【0096】
3、2−VOモデル設立
永久にラットの頚部両側の総動脈の結紮で、連続の脳低循環モデルを作る。10%の抱水クロラールで腹部注射(i.p.)でラットを麻酔にして、仰臥位で手術台に固定し、体温を36.5±0.5℃に維持させる。ヨードフォアで手術部位を消毒して、正中頸部に沿って皮膚および皮下組織を縦方向で切開し、左右の頸動脈を引き離し、5−0の手術シルクで結紮する。切り口を縫合し、動物をかごに入れる。手術後三日間は連続で毎日i.p.ペニシリン20万単位/匹を注入する。
【0097】
4、グループ分けと実験設計
ラットをランダムに6群に分け、群ごとに20匹にする。(1)偽手術群:頚部両側の総動脈の結紮をしない以外に、ほかの操作は低循環群と同じ;(2)溶媒対照群:経口で蒸留水;(3)ピラセタム600mg/kg群;(4)dl−PHPB 13mg/kg群;(5)dl−PHPB 39mg/kg群;(6)dl−PHPB 129mg/kg群。手術後十日間で薬物や溶剤を投与する。毎日一回、21日間続く。25−30日目に、Morris水迷路法でラットの空間学習記憶能力を測定する。行動的な実験は全部で投与後40分で行われる。動物は30日目で殺して、脳組織生物化学測定および病理学検査を行う。群の間で実験の結果を比較する。(実験のプロセスは図25を参考)
5、水迷路実験
Morris水迷路は金属製の円筒形タンク(60cm高さ、径120cm)とオートショー、モニター、記録装置および安全島(径10cmのプラットフォーム)からなる。事前にタンクの壁とプラットフォームを黒いテープで真っ黒にして、水の色が黒く見えるようにし、水面はプラットフォームより15mm高くして、これで動物が聴覚、視覚、嗅覚でプラットフォームに登ることができなくなるので、動物が空間位置に対する記憶能力を測定できる。水温は25士1℃に保持して、タンクを4個の象限(東北、東南、西北、西南)に分ける。プラットフォームは西北象限のセンターに置く。毎匹ラットの水泳活動をモニターで観測し、記録できるので、コンピューターとリンクして分析する。ナビゲーションテストは五日間連続でやる。それぞれのラットは毎日東南と西南象限のセンターから、頭を壁に向かって水に入れて、2回のプラットフォーム探しの訓練をやらせる。2回の訓練の間に10分間を間隔にする。プラットフォームを見つけるタイミング(潜伏期間)、サーチ策略と水泳スピードこの三項目を記録し、毎日の2次実験結果を平均にする(サーチ策略除外)。もしラットは60秒以内にプラットフォームを見つけなかったら、潜伏期間を60秒とする。60秒以内にプラットフォームを見つけるかどうかに関わらず、ラットをプラットフォームに10秒に逗留させる。一回目の実験が始まる前にラットをプラットフォームにおいて、順応させる。訓練の進行につれて、各群ラットが安全島を見つける潜伏期期間が短縮していく。実験の結果は水泳のスピードでラットが実験中の体力の変化を反映できる。その他の2項目指標はラットが空間位置に対する学習記憶能力を反映する。最後の訓練が終わってから、空間探査実験を実施する。プラットフォームをはずして、ラットにプラットフォーム探しに60秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録する。もしラットが元のプラットフォームある象限に止まる時間が長くて、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
【0098】
サーチ策略を4類に分け:(1)エッジ式、ラットがずっとタンクのエッジを沿い、探す動機がない;(2)ランダム式、ラットが安全島を探すときに明確な方向がない;(3)トレンドスタイル式、ラットがすでに安全島の大よその位置がわかり、安全島を見つける前にカーブが4回未満;(4)リニア式、ラットがすでに安全島の位置を覚えて、直接安全島に向く。
【0099】
6、SOD、MDAとChATの検査測定
行動学実験が終わってから、ラットの頭部を切断し、氷浴中に皮質および海馬を分離して、濾紙で乾燥させ、重量を測る。重量体積比1:9の通り、4℃予冷の生理食塩水をいれ、内接式パルプリファイナーで10%の組織ホモジネートを調製し、低温低速遠心10分間して、上清を取り、沈殿物を廃棄する。
【0100】
クマシーブリリアントブルータンパク質およびSOD、MDA、ChATの測定は全部で南京建成生物工程研究所のキット説明書で行う。
【0101】
7、病理学と免疫組織化学検査測定
毎群はランダムで4匹の動物を選び、行動学実験後10%抱水クロラールで麻酔して、皮膚、胸腔を切って、心臓を充分露出させ、心膜を開き、7番の注入針で動脈方向に心尖に差し込んで、生理食塩水を注入すると同時に、右心耳から右心房を切って、15−20分(200−300ml)を注入し、流出液が清くなるまで、それで予冷の4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖に換え、定着剤を15−20分(150−200ml)を徐々に速度をゆるめながら、動物が全身硬直し肝臓が白くなるまで引き続き注入する。それから頭を取り、ナイフで前部の終脳と後部の小脳を切って、4%パラホルムアルデヒド−3%ショ糖を入れてから、定着剤で48時間続けて固定する。標本が完全に沈下した後、新鮮な定着剤に変更して、4℃で冷蔵する。片側の脳半球はパラフィン切片、固定、埋め込みを行い、海馬の位置に冠状切片(厚さ5μm)をして、HEとKB染色に使う。もう片側の脳半球は恒温冷凍マイクロトームで冷凍切片をして、切片位置と方式は前と同じ、OCT埋め込み、厚さは40μm、動物毎匹に4枚を切って、GFAPとBDNF免疫組織化学染色に使う。
【0102】
8、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各指標の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。水迷路空間探査実験、生物化学測定各項指標および免疫組織化学の半定量分析は全部単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD(水迷路ナビゲーションテストのサーチ策略の比較はRidit分析を採用する)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
【0103】
結果
1、dl−PHPBは脳低循環ラットの学習記憶に対する改善効果
Morris水迷路実験は動物の空間学習と最近記憶能力を測定する経典実験である。本研究では、ラットが慢性脳虚血後の1ヶ月当たりに行う。実験は2つに分け、1つはナビゲーションテスト、もう1つは空間探査実験を行う。ナビゲーションテストで、ラットがプラットフォームを見つける時間(潜伏期間)と、サーチ策略と水泳スピードを含む3項の指標を観察した。潜伏期間から見ると、訓練回数の増加につれて、各群ラットの潜伏期間とも徐々に短縮していくにつれ、各群のラットはプラットフォームの位置に対する記憶が精確になることが示された。翌日から、溶媒対照群ラットの潜伏期間は偽手術群より顕著に長くなり、その間の差も拡大していく(P<0.05あるいはP<0.01)ことは、慢性脳低循環はラットの学習記憶能力に顕著な損害を掛けた。しかし、それはモデルの成功とも証明した。前の三日間で、各投与群の潜伏期間は溶媒対照群と比べ、顕著な短縮がないが、四日目から、dl−PHPB 129mg/kg群はピラセタム600mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群(P<0.05)より顕著に短くなる。五日目で、dl−PHPB 39mg/kg群と129mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群(P<0.05)より短いのは、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも慢性脳低循環ラットの学習記憶能力の減退に顕著な改善効果を持っているが、dl−PHPB 13mg/kgが顕著な治療効果を持っていない(図1)ことを証明した。そのため、潜伏期間から見ると、dl−PHPB 39、129mg/kg、ピラセタム600mg/kgとも脳低循環ラットの空間学習記憶障害を顕著に改善できる。
【0104】
ラットがプラットフォーム探す策略から分析すると、訓練回数の増加につれて、動物はエッジ式やランダム式策略の回数も減少していき、トレンドスタイル式とリニア式策略の回数が増加していく。level data orderingで分析すると、最後の日で測定するときに、dl−PHPB 39mg/kgは溶媒対照群と比べ、顕著な差異(P<0.01)が出てくる、すなわち前者はリニア式やトレンドスタイル式策略の回数は後者より多い、その他の各薬や各用量はリニア式やトレンドスタイル式策略の回数は溶媒対照群より多くが、統計学上無意味である。dl−PHPB 39mg/kgは低循環ラットが空間位置の記憶能力を向上できることを証明した(図1、表1と2)。
【0105】
それと同時に、ナビゲーションテストで、実験がラットの体力に影響がないかを判断するため、ラットの水泳スピードを測定した。結果によって、実験の過程中に、各群ラットの水泳スピードがほとんど変化がないことと、群の間に差異もない(データ未提出)ことを発見した。これは、一方で、本モデルのやり方はラットの活動能力に影響がなく、もう一方で、水迷路実験はラットの活動能力にも影響がないということを証明した。そのため、この実験方法は体力が妨害にならないため、よりよいラットの学習記憶能力を測定できる。
【0106】
ナビゲーションテストが終わってから、プラットフォーム探査実験を行い、安全島(プラットフォーム)をはずして、ラットが目標象限での活動時間と第一回目標を通る時間を記録することで、ラットが安全島に対する空間記憶ができたかどうかおよび記憶の強度を測定する。結果によっては、偽手術群のラットは目標象限での活動時間は溶媒対照群(P<0.01)より長い、dl−PHPB129mg/kg以外に、各投与群のラットは目標象限での活動時間も溶媒対照群より長い、特にdl−PHPB 39mg/kg群のラット(P<0.001)(図3A)。一回目に目標を通る時間から見ると、偽手術群は溶媒対照群(P<0.01)より短い、dl−PHPB 39mg/kg群も溶媒対照群(P<0.05)より短い。これはdl−PHPBが慢性脳低循環ラットの空間学習記憶障害を改善できる、特にdl−PHPB 39mg/kgは一番顕著である(図3B)。
【0107】
結論として、水迷路ナビゲーションテストの2つの主要指標(潜伏期間とサーチ策略)およびプラットフォーム探査実験の目標象限の時間から見れば、dl−PHPB 13、39、129mg/kgこの3つの用量は慢性脳低循環ラットの空間学習と最近記憶障害を改善できる。効果強度はdl−PHPB 39mg/kgは一番強い、次がdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kg群が一番弱い。それと同時にdl−PHPB 129mg/kgは五倍用量のピラセタムと比べ、顕著な差もない。
【0108】
表1. dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響
【0109】
表2. dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響
【0110】
表1と2は、経口dl−PHPBが永久に頚部両側の総動脈を結紮したラットが水迷路ナビゲーションテストでサーチ策略に対する影響。データはサーチ策略の回数で表示する(n=17−20)。#P<0.05, ##P<0.01は偽手術と比較、**P<0.01は溶媒対照群と比較(Ridit分析)。M:エッジ式;R:ランダム式;T:トレンドスタイル式;L:リニア式。
【0111】
2.dl−PHPBが脳組織SOD活性、MDA含有量とChAT活性に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。ラットが慢性脳虚血の一ヵ月後、皮質のSOD活性が向上し、溶媒対照群SOD活性は77.39±8.70U/mgタンパク質で、偽手術群より35.03±5.20U/mgタンパク質高い(P<0.001)。投与治療21日後は、dl−PHPB 13と39mg/kg群のSOD活性は53.92±4.32、48.86±8.97U/mgタンパク質であり、溶媒対照群より低い(P<0.05)。ピラセタム600mg/kg群が51.83±8.88U/mgタンパク質で、溶媒対照群よりも低い(P<0.05)。だが、dl−PHPB 129mg/kgが当該酵素の活性への影響は顕著な意味がない(図4A)。海馬では、慢性脳虚血はSOD活性の下降や向上には影響がなく、各薬や各用量も当該酵素の活性に顕著な影響がない(データ未提出)。
【0112】
ラットが慢性脳低循環後の一ヶ月、皮質内MDA含有量が顕著に向上した(偽手術群は0.69±0.06nmol/mgタンパク質、溶媒対照群は1.31±0.22nmol/mgタンパク質、P<0.001)。投与三週後、dl−PHPB 13、39、129mg/kg群のMDA含有量はそれぞれ0.60±0.06、0.77±0.10、0.67±0.07nmol/mgタンパク質で、溶媒対照群より顕著に低い(P<0.01あるいはP<0.001)。ピラセタム600mg/kgは顕著な影響がない(図4B)。海馬では、慢性脳虚血はMDA含有量の変化がなく、各薬や各用量もそれに顕著な影響がない(データ未提出)。
【0113】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットが永久に頚部両側の総動脈を結紮した一ヵ月後、海馬ChAT活性が顕著に下降した。偽手術群より24%下降した。投薬21日後は、dl−PHPB 129mg/kgが低循環ラット海馬のChAT活性(P<0.05)を顕著に向上し、dl−PHPB 39mg/kgとピラセタム600mg/kgも向上の。しかしdl−PHPB 13mg/kgが顕著な効果がない(図4C)。皮質では、慢性脳虚血はChAT活性への影響がなく、各薬や各用量もそれに対する影響は、溶媒対照群と比べ、顕著な差がない(データ未提出)。
【0114】
結論として、dl−PHPBは慢性脳低循環ラット皮質のSOD活性を下げることができる。皮質のMDA含有量の向上にもよい下降効果を持っている。これらの効果はdl−PHPB 39と129mg/kgがもっと強い。当該薬は慢性脳低循環ラットの脳組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直せると、脂質過酸化産物を下げることと、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復されることが示された。また、dl−PHPB 39と129mg/kgは慢性脳低循環ラットの海馬のChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善する可能性が高い。
【0115】
3、dl−PHPBが脳低循環ラット脳組織病理に対する影響
(1)HE染色
HE染色は異なる色で細胞質と細胞核を表示するので、細胞の姿をはっきり見える。本研究の溶媒対照群が皮質ニューロンが収縮、深い色素と細胞核が明らかでない現象を見え、海馬のCA1、CA3エリアも類似な変化が出たが、程度は軽い、海馬CA2エリアは顕著な変化がない。dl−PHPB 39mg/kgは皮質、海馬CA1、CA3エリアのニューロン形態異常を顕著に改善でき、dl−PHPB 129mg/kgは皮質と海馬CA1エリアのニューロン形態異常を改善でき、dl−PHPB13mg/kgは皮質のニューロン形態異常を軽微に改善できる(図5−7)。上記のことで、dl−PHPBが慢性脳低循環で起こった皮質・海馬ニューロン損傷に保護や治療作用を持っていることが表明した。
【0116】
(2)K−B染色
K−B染色はニューロン髄鞘が完備であるかどうかを反映でき、さらに神経繊維の形態学の変化を反映できる。本実験では、溶剤対照群のラット脳梁と視神経管が明らかな空胞変性および神経繊維障害が出たことが発見した。dl−PHPB3つの用量は脳梁の病理変化に対する改善が顕著で、空胞変性が減少し、神経繊維の配置も少し回復していた。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果は一番強い、次がdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgが一番弱い(図8)。dl−PHPB3つの用量は視神経管の病理変化へも改善があるその内、dl−PHPB 39mg/kgの効果はもっと強い(図9)。上記のことで、dl−PHPBが脳低循環で起こった脳梁と視神経管の損傷に明らかな保護作用を持っていることが表明した。
【0117】
4、dl−PHPBが低循環ラット脳組織GFAP陽性アストロサイトに対する影響
脳低循環で起こった組織学異常は空間学習記憶損傷の基礎になるかもしれない。その内、白質が一番早く損傷され、それと共に反応性アストロサイトの増加とミクログリアの活性化が出る。グリア酸性タンパク質(GFAP)免疫組織化学染色は活性化したアストロサイトの標識化に使用する。毎枚切片から選んだ同じエリアを2−3枚の写真を取って、写真の一定視野の中のアストロサイトの数を記録して、その平均値を当エリアの値として計算する。皮質・海馬・脳梁と視神経管四箇所を選び観察対象にした。皮質にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(16.9±6.9)は偽手術(9.9±2.0)より多いが、標準誤差が大きすぎるので統計学上の意味がなくなる。dl−PHPB投与の三群およびピラセタム600mg/kg群は投与21日後、GFAP陽性細胞数は明らかに溶剤対照群より少ない、特にdl−PHPB 39mg/kg群の効果は一番顕著である(P<0.01)(図12A)。海馬にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(26.8±5.5)は偽手術群(12.0±3.0,P<0.01)より明らかに多い。各投与群の当該指標値も溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに低い、特にdl−PHPB 39、129mg/kg群はもっと顕著である(図10と12B)。脳梁にて、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数は偽手術より顕著な差がないが、dl−PHPB39mg/kg群の当該指標値は溶剤対照群(P<0.05)より低い(図12C)。視神経管にで、溶剤対照群のGFAP陽性細胞数(4.4±0.7)は偽手術群(0.8±0.3,P<0.01)より明らかに多い、dl−PHPB 39、129mg/kgおよびピラセタム600mg/kg群が動物21日間投与した後、GFAP陽性細胞数は溶剤対照群(P<0.05あるいはP<0.01)(図11と12D)より明らかに少ない。上記のことでは、dl−PHPBが慢性脳低循環ラット脳組織損傷と、活性化したアストロサイト量を明らかに軽減、減少できる。特に海馬、視神経管と皮質で、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強いことが多くて、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い。
【0118】
5、dl−PHPBが脳低循環ラット脳組織BDNFの分布面積と含有量に対する影響
脳源性神経成長因子(BDNF)はニューロンの生存と発育を維持し、正常な動物の脳組織に存在する。虚血の早期で高く表示できるが、虚血24時間以降は通常下降すると表示する。BDNF免疫組織化学染色面積から見れば、皮質と海馬にて、溶剤対照群と偽手術群と顕著な差がなく、投与群と溶剤対照群とも顕著な差がない(データ未提出)。だが、染色密度から見れば、溶剤対照群と偽手術群と比べると、皮質でも海馬でも、BDNFとも顕著に減少し、投与群と溶剤対照群と比べると、皮質ではdl−PHPB3つの用量ともBDNFの表示を増加できる。その内、dl−PHPB 39mg/kgの効果が一番強い、次はdl−PHPB 129mg/kg、dl−PHPB 13mg/kgは一番弱い(図13と17)。海馬のCA1、CA2、CA3エリアで、dl−PHPB 39mg/kgがBDNFの表示(P<0.05またはP<0.01)を明らかに増加できるが、dl−PHPB 129mg/kgがBDNF増加の勢いしかないので、統計学上の意味がない(図14−17)。染色密度とBDNFの含有量とは正比例するが、染色面積はある程度で染色の深さを考慮しないので、染色密度は染色面積よりBDNFの含有量をもっと精確的に反映できる。以上のことでは、dl−PHPBは慢性脳虚血脳組織のBDNFの含有量を増加できることを証明した。
【0119】
実施例2、β−アミロイドペプチド認知症モデルでの研究:dl−PHPBがβ−アミロイドペプチド(25−35)で起こったラット記憶と空間識失調を改善できる
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、PBSで調合する。Aβ(25−35)はSigma会社から購入。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
【0120】
2、器具
Morris水迷路オートモニターとマイクロプレートリーダーは同上。
【0121】
3、モデル設立
雄Wistarラット、10ヶ月、体重は600gあたり、かごに2匹、室温は23±1℃に維持し、自由に飲食させる。ナトリウムペントバルビタール(45mg/kg)でラットを麻酔して、腹ばいで定位装置に固定し、頭のてっぺんの皮膚を切って、頭頂骨を露出させ、PaxionsとWatsonラット脳立体定位マップによって、歯科ドリルで前の泉門後ろの1.2mm、中間線右1.5mmのところで頭蓋骨と硬膜をあけ、微量注射器で垂直で4.0mmの深さを差込、15nmol(容積が5μl)集合態のAβ(25−35)をゆっくり注入する。対照群は5μlの溶剤PBSしか注入しない。手術後は毎日腹腔にペニシリン20万単位を四日間連続で注射する。
【0122】
4、群分けと実験設計
ラットをランダムに4群に分け、群ごとに10匹にする。偽手術群:脳室に溶剤PBSしか注入しない。モデル群、dl−PHPB 39と129mg/kg群:脳室にAβ(25−35)+溶剤を注入する。手術後の第一日から薬を投与する(偽手術とモデル群は蒸留水を飲ませる)。水迷路ナビゲーションテストは手術後の第9−12日に行い、13日目からプラットフォーム探査実験を行い。動物が14日目に投与40分間後殺し、頭部を切断し生物化学測定を行う。行動学実験は全部で実験前の40分で投与する。(実験のプロセスは図26に参考してください)
5、水迷路実験
i.c.v. Aβ(25−35)後の第9−12日に水迷路ナビゲーションテストを行い、方法は前と同じ。13日目にプラットフォーム探査実験を行い、プラットフォームをおろし、ラットにプラットフォーム探しに自由に30秒水泳させて、各象限でかかる時間および第一回目標を通る時間を記録して、目標象限で活動時間の百分比を計算する。もしラットが目標象限で活動時間の百分比が大きければ、第一回目標を通る時間が短ければ、ラットがすでにこの空間目標に記憶が残っていることを証明した。
【0123】
6、SOD、MDAとChATの検査測定
方法は同上。
【0124】
7、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路ナビゲーションテストで各群の潜伏期間の差異比較は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。群間の差異はpost hoc LSD検査を採用する。水迷路プラットフォーム探査実験、生物化学測定は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。P<0.05の場合は顕著な差異であると判断する。
【0125】
結果
1、dl−PHPBが認知症ラットの学習記憶に対する改善効果
ナビゲーションテストで、四日間の訓練で、各群の潜伏期間が徐々に短縮していくことは、ラットがプラットフォームの位置に対する記憶が強くなることを証明した。1日目は、各群の間に顕著な差異がないが、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群より長い。2日目、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間は溶媒対照群より短い。3−4日目は、溶媒対照群の潜伏期間は偽手術群(P<0.05)より顕著に長い、dl−PHPB 129mg/kg群は溶媒対照群(P<0.05あるいはP<0.01)より明らかに短い、dl−PHPB 39mg/kg群の潜伏期間も溶媒対照群より短い。これは二週間の治療によって、dl−PHPBは用量依存性的にAβ(25−35)で誘導した認知症ラットの潜伏期間を短縮できることを証明した。すなわち、dl−PHPBは用量依存性的に認知症ラットの学習記憶能力を改善できる(図18)。4日間の訓練で、各群のラットの水泳スピードが顕著な差異がない(データなし)ことはi.c.v. Aβ(25−35)が動物の体力に影響がないから、水迷路実験は動物の学習記憶能力を真実に反映できることを証明した。
【0126】
プラットフォーム探査実験で、溶媒対照群の目標象限活動時間百分比(21.6±1.6%)は偽手術群(32.8±4.0%,P<0.05)より少ないが、dl−PHPB 129mg/kg群(30.2±2.5%)が溶媒対照群(P<0.05)より明らかに長い、dl−PHPB 39mg/kg群(24.6±3.0%)も溶媒対照群より長い(図19A)。dl−PHPBは用量依存性的に認知症ラットが目標象限での活動時間の百分比を増加できることを証明した。第一回目標を通る時間から見ると、溶媒対照群が偽手術群より長くなる。溶媒対照群と比べ、dl−PHPBが第一回目標を通る時間を短縮する。実感の例数を増加すると、顕著な意味を見える可能性がある(図19B)。
【0127】
つまり、dl−PHPBは用量依存性的にAβ(25−35)で誘導した認知症ラットの最近記憶と空間位置学習記憶障害を改善できる。
【0128】
2、dl−PHPBが認知症ラット脳組織SOD活性、MDA含有量とChAT活性に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つであり、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中、偽手術群の皮質のSOD活性が216.9±14.5U/mgタンパク質、i.c.v. Aβ(25−35)後14日間、SOD活性代償性が32%向上し、286.8±18.3U/mgタンパク質に達し、顕著な差(P<0.05)がある。経口でdl−PHPB 39と129mg/kg投与二週間後、皮質内SOD活性がそれぞれ238.2±32.7と185.2±21.6U/mgタンパク質に下降し、後者は溶媒対照群と比べ顕著な差も出る(P<0.01)。これはdl−PHPBが用量依存性的に皮質内SOD活性を下げれる(図20A)ことが示された。海馬では、Aβ(25−35)がSOD活性の顕著な変化が起こさなく、dl−PHPBも SOD活性の顕著な変化が起こさない。
【0129】
皮質で、溶媒対照群のMDA含有量(5.43±0.55nmol/mgタンパク質)が偽手術群(3.69±0.52nmol/mgタンパク質)より顕著に高い(P<0.05)。連続で経口してdl−PHPB 39と129mg/kg投与二週間後、皮質内MDA含有量がそれぞれ3.62±0.21と3.28±0.25nmol/mgまで下降し、溶媒対照群と比べ顕著な差(P<0.05とP<0.01)が出た。これはdl−PHPBが用量依存性的にAβ(25−35)で誘導したラット皮質内MDA含有量の増加を下げれる(図20B)。
【0130】
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、その活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。ラットi.c.v. Aβ(25−35)後、皮質内ChAT活性が顕著な変化がなかったが、経口でdl−PHPB投与二週間後で、溶媒対照群と比べると、39mg/kgがChAT活性を顕著に増加し(P<0.05)、129mg/kgも当該酵素の活性を上げる傾向が強い。これがAβ(25−35)は皮質内ChAT活性の下降させなかったが、dl−PHPBは認知症ラットのChAT活性を増加する可能性があることを証明した(図20C)。
【0131】
結論として、dl−PHPBは用量依存的にAβ(25−35)で誘導したラット皮質のSOD活性とMDA含有量を下げられることは、当該薬物はAβ(25−35)で誘導したラット皮質代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直し、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる。さらに、dl−PHPBは認知症ラット皮質内ChAT活性を向上し、コリン作動性神経機能を改善することができる可能性も高い。しかし、正常なラット皮質内ChAT活性に影響がないかまだ研究中である。
【0132】
実施例3 加速老化マウスのモデルに対する研究:dl−PHPBは加速老化マウスの学習記憶障害に対する改善効果
材料と方法
1、製剤と薬品
dl−PHPBは本所合成室より提供し、化学純度は98.5%(HPLC法で測定)、蒸留水で調製した。スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)キット、マロンアルデヒド(MDA)キット、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)キット、アデノシントリホスファターゼ(ATPase)キット、クマシーブリリアントブルータンパク質測定キットとも南京建成生物工程研究所より購入した。
【0133】
2、器具
STT−2タイプのジャンプ装置と水迷路は中国医学化学院薬物研究所より開発。MQX 200タイプのマイクロプレートリーダーはアメリカBio Tek Instrumentsの製品。
【0134】
3、動物
10ヶ月SAMP8、雄、SPFレベル、北京維通利華実験動物技術有限公司より購入。
【0135】
4、グループ分けと実験設計
動物が一週間適応後、行動学実験を行い、実験結果で平均に三群に分け:対照群、dl−PHPB 50mg/kgとdl−PHPB160mg/kg群(それぞれラットの39と129mg/kgに相当する)、毎日1回、35日に連続で蒸留水や薬物を投与する。投与後の第31−35日にステップダウンテストと水迷路実験を行い、36日目に群ごとにランダムで8−10匹の動物を取り、頭を切って、皮質と海馬を分離して、指標が包括SOD、MDA、ChAT、AChE、ミトコンドリアATPaseを含む生物化学測定をやる。(実験のプロセスは図27参照)
5、ステップダウンテスト
ジャンプ装置は矩形の電気ショック装置で、五軒に分け、底に36ボルトのACを鉄柵が付き、底の角に電気絶縁の径3cmの円形ゴムプラットフォームが置いているので、動物がそれに上って電気ショックから逃げれる。回りはプラスチックシートで、実験者向けの面は透明で、その他は黒くて不透明で、天井は動物を取ったり置いたり用に開ける。
【0136】
マウスをジャンプ装置の一軒に置き、3分間適応後、電源を入れ、マウスに電気ショックをかけ、5分間を観察して、電気ショック受けた回数を記録する。24時間後、電源を入れて、マウスをプラットフォームに置き、第一回プラットフォームから飛び下りる潜伏期間および三分間に受けた電気ショックの回数を記録する。これでマウスの受動回避反応能力を判断する。
【0137】
6、水迷路実験
水迷路装置は黒い不透明の矩形プラスチックボックス(80cm×50cm×20cm)で、その中にブラインドサイド4個と終点ステップ1個があり、マウスはそのステップで水面に出られる。またもう一枚の15cm×20cmサイズの黒いプラスチックシートがあり、異なる位置に置き、異なる出発点とする。異なる出発点には含むブラインドサイド数も異なる。実験の際、深さが12cm、水温が25±1℃の水を入れる。マウスを異なる出発点において、異なるブラインドサイド数の折れ曲がったコースで終点に行き、水面に出る。マウスがブラインドサイドに入る回数と終点に着くにかかる時間でその最近記憶と学習記憶能力を判断する。
【0138】
毎回実験するときに、マウスを終点のステップに置いて5秒適応させる。それで頭を出発点のブラインドサイド壁に向かって、水に入れる。それがブラインドサイドに入る回数とステップを見つける時間、すなわち逃避潜時期間を記録する。時間を3分間に限定して、もし3分間内にステップを見つけなかったら、実験者で終点までガイドして、潜伏期間を3分間にする。4回訓練して、それぞれ2、3、4、4個ブラインドサイドを含むコースで行う。一回テストして、同様にマウスがブラインドサイドに入る回数とステップを見つける時間を記録する。
【0139】
7、脳組織SOD、MDA、ChAT、AChEとATPaseの測定
皮質と海馬のSOD、MDA、ChATとAChEの測定方法は同上。また別に一部の皮質組織を取って、組織ホモジネートを調製する。勾配遠心法でミトコンドリアを抽出し、超音波法で粉砕して、そのATPase活性を測定する。測定方法はキット説明書に従って行う。
【0140】
8、統計分析
すべての結果は平均±標準誤差で表示する。水迷路実験指標の差異は繰り返し測定の双方向分散分析(two−way ANOVA)を採用する。その他の各指標の差異は単方向分散分析(one−way ANOVA)を採用する。群の間の差異はpost hoc Dunnett またはLSD検査を採用する。
【0141】
結 果
1、dl−PHPBがSAMP8の学習記憶障害に対する改善効果
ステップダウンテストは動物の受動回避反応能力を測定する経典な実験の1つである。動物が受けた電気ショックの回数と潜伏期間で動物の受動回避反応能力を判断する。第一日の訓練中に、dl−PHPB 50と160mg/kg群が受けた電気ショック回数(5.8±0.5,4.9±0.5)は対照群SAMP8(8.3±0.6)より明らかに少ない。Dunnett検査で、顕著な差(P<0.01和P<0.001)があり、さらに一定の用量依存性もある。第二日の測定で、2つの投与群SAMP8が受けた電気ショック回数(3.4±0.3,2.1±0.3)も対照群(4.6±0.3)(P<0.05和P<0.01)より明らかに少ない。尚且つ2つの投与群は第一回ステップから飛び下りる潜伏期間(5.5±0.8,10.2±2.4)も対照群(0.7±0.2) (P<0.01)より明らかに長くて、用量依存関係もある。以上のことでは、dl−PHPB 50と160mg/kgの長期投与ともSAMP8マウスの受動回避反応能力を向上でき、用量依存関係もあり、すなわちdl−PHPBがその学習能力と記憶保持能力を顕著に改善できることが示された。
【0142】
水迷路実験は動物の最近記憶と空間学習記憶能力の測定に常用する。動物がブラインドサイドに入る回数とステップを見つける潜伏期間でその学習記憶能力を反映できる。本発明では、第一、二回で使うブラインドサイドの数はそれぞれ2個と3個、第三ないし第五回は4個になる。前の三回の訓練で、投与群SAMP8はブラインドサイドに入る回数は対照群と比べ、顕著な差がない。第三ないし第五回のテストで、投与群の動物がブラインドサイドに入る回数とも減少になることは動物がステップに対する記憶が強くなることが示されたが、対照群がブラインドサイドに入る回数の変化がない。2つの投与群が第四回のテストでブラインドサイドに入る回数は対照群より少なくなる。第五回のテストで、2つの投与群のミス回数(それぞれ3.1±0.9和2.7±0.3)は、対照群(6.1±1.1)(P<0.05)より明らかに少ない。第一、二回の訓練で、各群の動物がステップを見つける潜伏期間の差異がない。第三回の訓練で、2つの投与群の潜伏期間が対照群より短くなる。その以降は、訓練回数の増加につれて、各群がステップを見つける潜伏期間が徐々に短縮していく。第四回の訓練で、dl−PHPB 50mg/kg群の潜伏期間は対照群より短くなる勢いがあり、dl−PHPB 160mg/kg群の潜伏期間が対照群(P<0.05)より明らかに短い。最後のテストで、2つの投与群の潜伏期間とも対照群(P<0.01)より明らかに短い。それはdl−PHPBがSAMP8の最近記憶と空間学習記憶障害を改善できることが示された。
【0143】
結論として、dl−PHPB 50と160mg/kgともSAMP8マウス学習記憶能力を改善でき、なお一定の用量依存性もある。
【0144】
2、dl−PHPBが脳組織SOD活性とMDA含有量に対する影響
SODは体内の主要な酸化防止酵素の1つで、有効に酸素フリーラジカルを取り除き、過酸化の損害を軽減する。MDAは主要な過酸化産物の1つである。SODの活性は脳組織の酸化抵抗レベルを反映し、MDAは脳組織の脂質過酸化の状況を反映できる。実験中に、対照群の海馬組織SODの活性は279.4±65.7U/mgタンパク質、dl−PHPB 50と160mg/kgを連続で35日間投与した後、SOD活性はそれぞれ156.2±7.8および158.7±11.4U/mgタンパク質まで下降し、対照群と顕著な差(P<0.05)がある。dl−PHPBは海馬SODの活性を下げることができることが示された。皮質では、dl−PHPB2つの用量ともSOD活性の顕著な変化を起こさなかった(データなし)。
【0145】
投与35日後は、dl−PHPB50と160mg/kg群の海馬のMDA含有量はそれぞれ1.23±0.05と1.26±0.09nmol/mgタンパク質、対照群(1.90±0.50nmol/mgタンパク質)と比べ、それぞれ35.3%と33.7%下降したので,下降する勢いが明らかだが、統計学上は意味がない(図23B)。dl−PHPBが海馬のMDA含有量を下降する可能性があることを証明した。皮質では、各群のMDA含有量は顕著な差がない(データなし)。
【0146】
上記のことで、dl−PHPBはSAMP8マウス海馬組織代償性異常増加の酸化防止酵素の活性を直すことができ、脂質過酸化産物を下げる可能性があり、さらに脳組織正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させ、酸化ストレス損傷を軽減させることが示された。
【0147】
3、dl−PHPBが脳組織ChATとAChE活性および皮質ミトコンドリアATP酵素活性に対する影響
アセチルコリンは中枢神経系における主要な神経伝達物質の1つで、コリン作動性神経のシグナリングを仲介し、学習・記憶と密接に関連している。ChATはアセチルコリンのシンターゼとして、AChEはアセチルコリンの加水分解酵素として,それらの活性は間接的に脳内のアセチルコリンの含有量と、コリン作動性神経機能の状況を反映できる。連続で投与35日後は、dl−PHPB50と160mg/kg群SAMP8マウス海馬のChAT活性が対照群と比べ、それぞれ40%と61%が増加し、顕著な統計学差異があり、なお一定の用量依存性がある(図24A)。皮質では、2つの投与群のChAT活性は対照群と比べ、顕著な差がない(データなし)。2つの投与群の海馬のAChE活性(0.632±0.036和0.597±0.030U/mgタンパク質)は対照群(0.850±0.195U/mgタンパク質)より明らかに低い。dl−PHPBがSAMP8マウス海馬AChE活性を下降させる可能性があることが示された(図24B)。皮質では、各投与群のAChE活性が顕著な差がない(データなし)。
【0148】
ミトコンドリアATPaseはミトコンドリア生産機能の重要な指標の1つである。本研究では、dl−PHPB 160mg/kg群SAMP8マウスのATPase活性(9.82±0.51U/mgタンパク質)は対照群(8.58±0.21U/mgタンパク質)(P<0.05)より高い。dl−PHPB 50mg/kg群(8.79±0.33U/mgタンパク質)は対照群と顕著な差がない。多い用量群の増加範囲は14%しかないことを考慮したうえ、dl−PHPBがSAMP8マウス皮質ミトコンドリアATPaseの活性に影響がないことを推定した(図24C)。
【0149】
結論として、dl−PHPBは用量依存性的にSAMP8マウス海馬組織のChAT活性を向上でき、その海馬AChE活性にもある程度の下降ができる。dl−PHPBは認知症マウスの海馬アセチルコリン含有量の増加によって、コリン作動性神経機能を改善できる可能性があることが示された。また、dl−PHPBは認知症マウスの皮質ミトコンドリアATPaseの活性に対する影響はごく小さい。
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルツハイマー病やその症状の予防・緩和および/または治療に用いる2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの使用。
【請求項2】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項1に記載の使用。
【請求項4】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが脳組織の酸化ストレス損傷の軽減、コリン作動性神経機能の向上、ニューロンの保護および/または脳源性神経成長因子含有量の向上に用いる薬を調製する時の使用。
【請求項5】
前記脳組織の酸化ストレス損傷の軽減とは、脳組織代償性が異常増加の酸化防止酵素の活性を抑えることで、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記酸化防止酵素とは、スーパーオキシドジスムターゼで、脂質過酸化産物とはマロンアルデヒドである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記コリン作動性神経機能の改善は、アセチルコリン合成酵素の活性を上げることで、アセチルコリン加水分解酵素の活性を下げる請求項4に記載の使用。
【請求項8】
予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いることを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、使用ルートよって溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項8に記載の医薬組成物を使用することを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法。
【請求項13】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
患者に使用するルートは非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これらに限定されない請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは、0.5−200mg/kg体重の間のいずれの量。好ましいのは1−150mg/kg体重、より好ましいのは2−100mg/kg体重、さらに好ましいのは3−50mg/kg体重、特に好ましいのは4−35mg/kg体重、特に好ましいのは5−20mg/kg体重の間のいずれかの量である請求項12に記載の方法。
【請求項1】
アルツハイマー病やその症状の予防・緩和および/または治療に用いる2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムの使用。
【請求項2】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項1に記載の使用。
【請求項4】
2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムが脳組織の酸化ストレス損傷の軽減、コリン作動性神経機能の向上、ニューロンの保護および/または脳源性神経成長因子含有量の向上に用いる薬を調製する時の使用。
【請求項5】
前記脳組織の酸化ストレス損傷の軽減とは、脳組織代償性が異常増加の酸化防止酵素の活性を抑えることで、脂質過酸化産物を減少させ、脳組織の正常な酸化−酸化防止の動的なバランスを回復させる請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記酸化防止酵素とは、スーパーオキシドジスムターゼで、脂質過酸化産物とはマロンアルデヒドである請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記コリン作動性神経機能の改善は、アセチルコリン合成酵素の活性を上げることで、アセチルコリン加水分解酵素の活性を下げる請求項4に記載の使用。
【請求項8】
予防や治療に実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウム、および薬学で認めるオプションのキャリアおよび/またはアクセサリを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療に用いることを特徴とする医薬組成物。
【請求項9】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物は、使用ルートよって溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、カプセル、粉末、制御放性または徐放性製剤から選ばれる請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項12】
必要がある患者に治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムや請求項8に記載の医薬組成物を使用することを含むアルツハイマー病や症状の予防・緩和および/または治療の方法。
【請求項13】
前記アルツハイマー病は、初老期認知症と脳血管性認知症または両方の混合症状である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アルツハイマー病や症状は、記憶減退・認知機能低下・精神遅滞や空間識失調から選ばれる請求項12に記載の方法。
【請求項15】
患者に使用するルートは非経口、経口、局所、皮内、筋肉内、腹腔内、皮下、鼻腔を含むが、これらに限定されない請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記治療実効線量の2−(α−ヒドロキシ−ペンチル)安息香酸カリウムは、0.5−200mg/kg体重の間のいずれの量。好ましいのは1−150mg/kg体重、より好ましいのは2−100mg/kg体重、さらに好ましいのは3−50mg/kg体重、特に好ましいのは4−35mg/kg体重、特に好ましいのは5−20mg/kg体重の間のいずれかの量である請求項12に記載の方法。
【図4】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図27】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図8】
【図10】
【図11】
【図14】
【図15】
【図16】
【図27】
【図1】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図12】
【図13】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2011−527290(P2011−527290A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516943(P2011−516943)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071588
【国際公開番号】WO2010/003287
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511008230)インスティトゥート オブ マタリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシズ (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/CN2008/071588
【国際公開番号】WO2010/003287
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(511008230)インスティトゥート オブ マタリア メディカ,チャイニーズ アカデミー オブ メディカル サイエンシズ (1)
【Fターム(参考)】
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