説明

2次元心臓マッピング

【課題】時変電気生理学的電位を視検するための方法を提供する。
【解決手段】 体腔の3次元表面上の場所と、その場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築することからなる方法。本方法はまた、その場所での、それぞれの時変電位を記録することも含む。本方法は、2次元座標フレームのマップを表示すること、及びその場所の座標に対応するマップ内の位置で、時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示することを更に含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、心臓電気生理学に関し、具体的には、心臓電気生理学的挙動の可視化に関する。
【背景技術】
【0002】
拍動心の電気生理学(EP)データを、理解可能かつ明確な方式で表示することは、困難な課題である。拍動による運動を無視する場合であっても、EPデータは、振幅及び位置の双方で経時的に変化し、その変化は、比較的急速である。更には、EPデータは、3次元で発生する。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれる、PCT出願国際公開第2008/135731号(Francisら)は、心臓表面のモデルを生成する方法を記載している。この方法は、心臓内部の複数個の地点で、電位図電圧を測定すること、及び各電位図電圧を表す画像を生成することを含む。
【0004】
参照により本特許出願に組み込まれる文書は、いずれかの用語が、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗黙的に行なわれる定義と相反するように定義される場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0005】
上記の説明は、当該技術分野における関連技術の一般的な概論として提示されるものであり、その説明に含まれる情報のいずれかが本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものとして解釈するべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、
体腔の3次元表面上の場所と、その場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築することと、
その場所での、それぞれの時変電位を記録することと、
2次元座標フレームのマップを表示することと、
その場所の座標に対応するマップ内の位置で、時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示することとを含む方法を提供する。
【0007】
典型的には、本方法は、電極を有するプローブの遠位先端部を、体腔内に挿入することを含み、時変電位を記録することは、その電極を使用して電位を記録することを含む。本方法はまた、電極を使用して、3次元表面上の場所を判定することも含み得る。
【0008】
開示される実施形態では、マップは、3次元表面の特徴に対応するマーキングを含む。
【0009】
開示される代替的実施形態では、マップは、3次元表面の要素を説明する注記を含む。
【0010】
開示される更なる実施形態では、グラフィック表現は、電位に応じて選択される長さを有する、長方形バーを含む。あるいは、又はそれに加えて、グラフィック表現は、電位に応じて選択される色を有する、バーを含む。
【0011】
本方法は、グラフィック表現以外の、体腔に関する情報を、マップ上に提示することを含み得る。
【0012】
代替的実施形態では、マップを表示することは、体腔の一区画を選択すること、及びその区画に関してのみ、グラフィック表現を提示することを含む。典型的には、この選択は、手動選択、半自動選択、及び自動選択を含む群から選ぶことを含む。
【0013】
更なる代替的実施形態では、時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示することは、電位のウィンドウを選択すること、及びそのウィンドウに応じて表現を提示することを含む。典型的には、本方法は、体腔の一区画を選択すること、及びその区画に関してのみ、ウィンドウのグラフィック表現を提示することを含む。
【0014】
また更なる代替的実施形態では、本方法は、体腔内で時変電位がたどる経路を描写すること、及びマップ上にその経路を表示することを含む。典型的には、本方法は、その経路に関してのみ、電位のグラフィック表現を提示することを更に含む。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、
制御装置であって、
体腔の3次元表面上の場所と、その場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一対応を構築し、
その場所での、それぞれの時変電位を記録するように構成される制御装置と、
この制御装置に結合される、スクリーンであって、
2次元座標フレームのマップを表示し、
その場所の座標に対応するマップ内の位置で、時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示するように構成されるスクリーンとを含む、装置が更に提供される。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、コンピュータプログラム命令が内部に記録された非一過性コンピュータ読み取り可能媒体を含む、コンピュータソフトウェア製品が更に提供され、この命令は、コンピュータによって読み取られると、コンピュータに、
体腔の3次元表面上の場所と、その場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一対応を構築させ、
その場所での、それぞれの時変電位を記録させ、
2次元座標フレームのマップを表示させ、
その場所の座標に対応するマップ内の位置で、時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示させる。
【0017】
本開示は、以下の発明を実施するための形態を、以下の図面と併せ読むことによって、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による、心臓電気生理学(EP)システムの概略絵図。
【図2】本発明の一実施形態による、心臓の要素の2つの異なる像を示す、概略図。
【図3】本発明の一実施形態による、2次元(2D)マップの概略図。
【図4】本発明の一実施形態による、電圧対時間のグラフの概略図。
【図5】本発明の一実施形態による、ゲート制御された記録の再生のグラフィック表示を示す、概略図。
【図6】本発明の一実施形態による、ゲート制御された記録の再生の代替的グラフィック表示を示す、概略図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
概論
本発明の一実施形態は、心臓の1つ以上の心腔などの体腔の3次元(3D)表面の、時変電気生理学的電位を視検するための方法を提供する。本方法により、電位が測定される表面上の場所には関わりなく、電位と場所との間の視覚的相関関係を維持しつつ、電位の同時視検が可能になる。
【0020】
3Dの場所と、その場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一対応が構築され、2次元座標フレームのマップが、スクリーン上に表示される。電位は、3D表面の様々な場所で記録される。電位の再生の間、グラフィック表現、典型的には、時変電位の値に対応する可変長及び/又は可変色を有するバーが、マップ上に、その場所の座標に対応する位置で提示される。
【0021】
3D表面を2次元マップへと変換することによって、表面上の全ての場所、及び上述の電位の表現などの関連要素を、マップを全く操作することなく、同時に視検することができる。このことは、関連表現を伴う未変換の3D表面を視検することとは対照的である。この場合、体腔表面の3Dの性質により、全ての表面の場所の同時視検が妨げられ、典型的には、全ての場所、及びそれらの関連表現を視検するためには、表面を回転させることが必要とされる。
【0022】
システムの説明
ここで、本発明の一実施形態による、心臓電気生理学(EP)システム20の概略絵図である、図1を参照する。システム20では、プローブ22は、被験者26の、心臓24の心腔などの、体腔23内に挿入される。典型的には、このプローブは、被験者26に対して実施される調査医療処置の間、医療施術者28によって使用される。
【0023】
システム20の機能は、メモリ34と通信する処理ユニット32を含む、システム制御装置(SC)30によって管理され、メモリ34内には、システム20の動作に関するソフトウェアが記憶されている。制御装置30は、典型的には、汎用コンピュータプロセッサを含む、業界標準のパーソナルコンピュータ(PC)である。しかしながら、一部の実施形態では、制御装置の機能の少なくとも一部は、特定用途向け集積回路(ASIC)若しくは現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA)などの、カスタム設計のハードウェア及びソフトウェアを使用して実行される。制御装置30は、典型的には、施術者28によって、ポインティングデバイス36、及びスクリーン38上のグラフィカルユーザーインタフェース(GUI)を使用して操作され、このデバイス及びGUIにより、施術者は、システム20のパラメーターを設定することが可能になる。スクリーン38はまた、典型的には、GUIによって、医療施術者に対して処置の結果も表示する。
【0024】
メモリ34内のソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して、電子的形態で、制御装置にダウンロードすることができる。あるいは、又はそれに加えて、このソフトウェアは、光学式、磁気式、又は電子式の記憶媒体などの、非一過性の有形媒体上に提供することができる。
【0025】
プローブ22は、図1の拡大区画44に示すような、プローブの遠位先端部40上に配置される1つ以上の電極42を使用して、心臓組織の電気生理学的電位を経時的に測定するように構成される。この1つ以上の電極は、遠位先端部の場所及び/又は配向を追跡するためなど、他の目的のためにも使用することができる。電極42は、プローブ22内のワイヤー(図示せず)によって、システム制御装置30内の駆動回路機構及び測定回路機構に接続される。
【0026】
あるいは、又はそれに加えて、遠位先端部の場所及び/又は配向は、当該技術分野において既知の他のシステムによって、例えば、磁気追跡システムによって、確認することができる。そのような磁気追跡システムの1つは、Biosense Webster,Inc.(Diamond Bar,CA)製のCARTO 3システムであり、このシステムは、交流磁場を使用して、先端部内のコイル内に、対応する位置決め電流を誘起することによって、遠位先端部を追跡する。
【0027】
上述の調査医療処置の間、施術者28は、心臓24内の多数の場所にプローブ22を配置し、その場所での電位を測定する。典型的には、各場所で、施術者は制御装置30を使用して、時間変動している電位を、その時間と併せて記録する。あるいは、又はそれに加えて、施術者は、種々の場所のうちの一部に、実質的にプローブ22と同様の、複数のプローブを配置することにより、それらの場所での電位及び時間を、実質的に同時に測定し、記録することができる。
【0028】
電位が測定される場所の数は、典型的には、約100であるが、本発明の実施形態は、その場所数に限定されるものではなく、それゆえ、100よりも少ない場所数、及び100よりも多い場所数を含む。簡潔性及び明瞭性のために、以下の説明では、6つの場所からの結果を考察するが、当業者であれば、その説明を、他の場所数に適合させることが可能であろう。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態による、心臓24の要素の2つの異なる像を示す、概略図である。この図は、心臓24の3次元(3D)内側表面70の表現を示す。これらの表現は、上述の追跡システムのうちの1つを使用し、遠位先端部40を使用して表面の空間内の場所を確定することによって生成される。それらの場所は、システム制御装置30によって記録され、システム制御装置30は、それらの場所を使用して、典型的には補間手順で、表面の3Dマップを構築する。
【0030】
像80は、第1の視点からの3D表面70を示し、像82は、第2の視点からの表面を示す。像80はまた、本明細書では、正面像80とも称される。像82はまた、本明細書では、側面像82とも称され、垂直軸線84を中心として約90°回転させることによる正面像80に関連している。回転の方向は、軸線に沿って見下ろして、反時計回りである。この回転は、2つの視点での表面の地点を、一部の地点は双方の視点で可視のまま維持されるが、一部は一方の視点でのみ可視であるように移動させる。
【0031】
例えば、地点86及び地点88は、正面像では軸線84の左にあり、側面像では軸線84の右へと回転する。地点90及び地点94は、正面像では軸線84の右で可視であるが、側面像では不可視であり、地点92及び地点96は、正面像では不可視であるが、回転によって、側面像では可視となる。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による、2次元(2D)マップ120の概略図である。マップ120は、3D表面70の2次元投影であるため、3D表面上のあらゆる場所が、2Dマップ120上の、それぞれの異なる地点へと、一対一対応でマッピングされる。マップ120は、直交するx軸及びy軸を有する、2次元座標フレーム内に構築され、マップの各地点は、このフレーム内にそれぞれの座標を有する。例として、表面70の地点86、88、90、92、94、及び地点96は、マップ120上の、それぞれの異なる地点86M、88M、90M、92M、94M、及び地点96Mへとマッピングされる。3D表面上の地点とマップ120上の地点との間の一対一対応、すなわちマッピングは、3D表面の座標を、2Dマップ120を定義する2次元座標、すなわち順序(x,y)対へと変換する、任意の数学関数によるものとすることができる。
【0033】
例として、マップ120の外辺部122は、円形であるように示されるが、本発明の代替的実施形態では、このマップは、曲線状区画及び直線状区画を含む、任意の便利な2次元外辺部を有し得る。外辺部122内部の内側領域124は、例として、この外辺部を完全に満たす、単一の連続区域であると想定される。しかしながら、他の実施形態では、内側領域124は、2つ以上の連続区域を含む。そのような各区域は、領域124内部の他のそのような領域と接触してもよく、又は接触しなくともよい。全ての場合で、外辺部122及び領域124内の各地点は、3D表面70のそれぞれの地点と、一対一対応でマッピングされる。
【0034】
例として、マップ120は、心尖部と左心室の中心との間の軸線に対して直角な平面上への、幾何学的投影として見なすことができる。図示では、このマップは、9つの領域へと分割され、これらの領域は、3つの同心性サブ領域である、尖端中心領域121、中間領域123、及び基底外側領域125として形成される。領域121から外辺部122への移動は、心尖部から左心室の基底部への移動に対応する。この分割は、当業者には明らかとなるように、総頚動脈の血液供給と一致するが、しかしながら、マップ120の任意の他の便利な分割を使用してもよく、又はこのマップは、細分化しなくともよい。
【0035】
マップ120は、スクリーン38上に表示される。典型的には、「前部」及び「後部」などの注記126を、マップ上に、又はマップの横に配置して、施術者28が、マップ120の要素を3D表面70の対応する要素と関連付けることを支援することができる。この注記は、典型的には、関連要素を説明するものである。あるいは、又はそれに加えて、内側領域124は、表面70の瘢痕、又は境界、又は描写などの特徴に対応するために、線、及び/又は陰影表示、及び/又は彩色などの、マップマーキング128を含み得る。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態による、電圧対時間のグラフの概略図である。典型的には、上述のように、操作者がプローブを移動させて心臓の表面に接触させることによって、心臓24の3D表面70に関するデータが集められている間に、プローブは、接触点での電位を測定する。電位が測定される各地点に関して、制御装置30は、電位及び対応する時間のセットを記録し、そのセットをメモリ34内に記憶する。あるいは、又はそれに加えて、表面70上の地点に関する電位及び時間のセットは、3D表面に関する場所データの集合とは独立して記録し、メモリ34内に記憶することができる。
【0037】
以下の説明では、制御装置30は、地点86、88、90、92、94、及び地点96に関する、電位及び時間の調査セットを記録すると想定される。記録は、逐次的に行なうことができる。あるいは、又はそれに加えて、複数のプローブを使用する場合には、記録の少なくとも一部を、同時に行なうことができる。典型的には、電位/時間の読み取りの所定の調査セットを記録する間に、制御装置30は、別のプローブを使用して、電位/時間の読み取りの参照セットを記録する。この参照セットは、プローブを、冠状静脈洞内に、又は反復性の電気生理学的信号を生成する、心臓の任意の他の便利な位置に配置することによって取得することができる。あるいは、又はそれに加えて、身体表面の電気生理学的信号などの、任意の他の心臓関連の信号を、参照セットとして使用することができる。
【0038】
制御装置が、調査電位/時間のセットを記録した後、その記録は、読み取りの参照セットを使用してゲート制御することができる。このゲート制御は、記録の各セットが、共通の時間軸を有し、それぞれのゲート制御された記録のセットへと変換されるように、調査セットを時間的に移し変える。ゲート制御された記録の調査セットは、メモリ34内に記憶される。グラフ156、158、160、162、164、及びグラフ166は、本明細書では、グラフ168とも総称され、それぞれ、地点86、88、90、92、94、及び96に関する、ゲート制御された読み取りの調査セットのグラフ表示である。グラフ168は、共通の時間軸170を有する。
【0039】
施術者28は、軸上の各時間に到達したときに、制御装置30が、メモリ34内に記憶されている各接触点に関するそれぞれの電位を呼び戻すように、時間軸170に沿って横移動することによって、ゲート制御された記録を再生する。上記で想定される6つの接触点86、88、90、92、94、及び接触点96の場合では、各時間的瞬間で、制御装置は、6つの電位を呼び戻す。時間の横移動は、移動する垂直線172によって、グラフ168上に便利に示すことができる。ゲート制御された記録の再生は、施術者が、時間軸上で線172の位置を効果的に移動させることによる、手動式とすることができる。あるいは、ゲート制御された記録の再生は、制御装置30が、時間軸上で線172を自動的に、典型的には反復的に移動させることによって、履行することができる。例として、線172は、4つの異なる時間T1、T2、T3、及び時間T4で示される。
【0040】
上述のように、ゲート制御された記録は、表面70の選択地点に関する、電位対時間の記録を含む。表示200では、2Dマップ120が、再生のための基底として使用され、特定の地点に関する記録電位を表す、グラフィック表現、すなわちグラフィックシンボルが、2Dマップ上のそれぞれの地点に結合される。このグラフィックシンボルは、電位レベルを一意的に表すように選択される。
【0041】
第1の実施形態では、グラフィックシンボルは長方形バーを含み、このバーの長さが、電位のレベルに従って調整される。第2の実施形態では、グラフィックシンボルは長方形バーを含み、このバーの色が、電位のレベルに従って変化する。第3の実施形態は、長方形バーによって電位を表し、このバーの色及び長さの双方が、電位レベルに従って変化する。典型的には、グラフィックシンボルと電位レベルとの関係を示す参照スケールが、スクリーン38上に示される。
【0042】
図は、第4の実施形態の実施例を、図4のグラフに基づいて示す。地点86、88、90、92、94、及び地点96での、それぞれのグラフィック表現86G、88G、90G、92G、94G、及び96Gは、これらの地点での種々の電位を表示する。グラフィック表現86G、88G、90G、92G、94G、及び96Gは、表現98Gと総称される。グラフィック表現98Gは、可変長及び対応する種々の陰影表示を有する、バーである。電位、バーの長さ、及び陰影表示の間の照合は、参照スケール202内に示される。第1の略図204は、時間T1で登録された電位に対応し、略図206、208、及び略図210は、それぞれ時間T2、T3、及び時間T4での電位に対応する。
【0043】
例として、電位を表すバーは、互いに平行であるように表示されるが、マップ120のx軸又はy軸には平行でないように表示される。しかしながら、バーは、任意の便利な方向で表示することができる。
【0044】
表示200から明らかであるように、常に施術者28は、表面70上の全ての地点によって生成される電位を見ることが可能であり、また全ての電位を同時に見ることが可能である。更には、電位のグラフィック表現が、電位を生成する地点に結合されるため、施術者は、電位をその地点と容易に関連付けることが可能である。それゆえ、施術者がマップ120を操作する必要なしに、全ての電位の「総体的」な像が、施術者に利用可能である。
【0045】
このことは、表面70上の全ての地点を視検するために、表面を回転させる必要がある、図2に示す状況とは対照的である。同様に、地点での電位のグラフィック表現が、その地点に結合されている場合には、いずれの時間的瞬間にも、それらの表現の一部は、必然的に視界から隠されることになるが、これは、それらの結合された地点が視界から隠されるためである。
【0046】
図6は、本発明の一実施形態による、ゲート制御された記録の再生の代替的グラフィック表示300を示す、概略図である。後述の差異を除けば、表示300は、表示200(図5)のうちの1つに概ね類似しており、表示300及び表示200の双方で同一の参照番号によって示される要素は、構成及び動作が概ね類似する。簡潔性のために、図6は、図5の略図204に対応する、1つの略図のみを示す。
【0047】
表示300は、略図204の要素を提示することに加えて、施術者28によって実施されている処置に関連する、体腔23に関する更なる情報を提示する。この情報は、マップ120内に組み込まれる。表示300内に示される他の情報は、等時電位の線302及び線304を含み、これらの線は、所定の時間で、等しい電位を有する領域を示す、マップ120上の線である。線302及び線304は、表面70上の、対応する等時電位の線へと移し変えられる。表示300内に示される等時電位の線は、略図204内に示される関連情報以外の、マップ120内に組み込むことができる関連情報の例であり、そのため本発明の実施形態には、全てのそのような情報のマップ内への組み込みが含まれることが理解されよう。
【0048】
上記の実施形態は、マップ120が心臓全体のものであることを想定しているが、本発明の実施形態は、瘢痕組織を含む部分などの、心臓の一区画を表示することを含むことが理解されよう。表示される区画は、手動式、半自動式、又は自動式に選択することができる。
【0049】
代替的実施形態では、一地点での電位の全ての値を表示するグラフィック表現よりも、電位のウィンドウを、表示のために選択することができる。またあるいは、グラフィック表現は、電位の1つの特定の値を表示するように構成することができる。
【0050】
上述の実施形態を使用して、心臓内で電位がたどる興奮旋回伝導路及び/又は遅伝導路などの経路を描写し、表示することができることが理解されよう。
【0051】
それゆえ、上述の実施形態は例として引用したものであり、本発明は、上記に具体的に示し、説明しているものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲には、上記で説明した様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの双方、並びに当業者であれば上記の説明文を読むことで想到されるであろう、先行技術に開示されていないそれらの変型及び修正が含まれる。
【0052】
〔実施の態様〕
(1) 体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築することと、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録することと、
前記2次元座標フレームのマップを表示することと、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示することと、を含む、方法。
(2) 前記体腔内に、電極を有するプローブの遠位先端部を挿入することを含み、前記時変電位を記録することが、前記電極を使用して前記電位を記録することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記電極を使用して、前記3次元表面上の前記場所を判定することを含む、実施態様2に記載の方法。
(4) 前記マップが、前記3次元表面の特徴に対応するマーキングを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記マップが、前記3次元表面の要素を説明する注記を含む、実施態様1に記載の方法。
(6) 前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される長さを有する長方形バーを含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される色を有するバーを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記マップ上に、前記グラフィック表現以外の、前記体腔に関する情報を提示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記マップを表示することが、前記体腔の一区画を選択すること、及び前記区画に関してのみ、前記グラフィック表現を提示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記選択することが、手動選択、半自動選択、及び自動選択を含む群から選ぶことを含む、実施態様9に記載の方法。
【0053】
(11) 前記時変電位の前記それぞれのグラフィック表現を提示することが、前記電位のウィンドウを選択すること、及び前記ウィンドウに応じて前記表現を提示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記体腔の一区画を選択すること、及び前記区画に関してのみ、前記ウィンドウの前記グラフィック表現を提示することを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記体腔内で前記時変電位がたどる経路を描写すること、及び前記マップ上に前記経路を表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 前記経路に関してのみ、前記電位の前記グラフィック表現を提示することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 装置であって、
制御装置であって、
体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築し、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録するように構成される、制御装置と、
スクリーンであって、前記制御装置に結合され、
前記2次元座標フレームのマップを表示し、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示するように構成される、スクリーンとを含む、装置。
(16) 電極を有するプローブを含み、前記プローブの遠位先端部が、前記体腔内に挿入され、前記時変電位を記録することが、前記電極を使用して前記電位を記録することを含む、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記電極を使用して、前記3次元表面上の前記場所を判定することを含む、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記マップが、前記3次元表面の特徴に対応するマーキングを含む、実施態様15に記載の装置。
(19) 前記マップが、前記3次元表面の要素を説明する注記を含む、実施態様15に記載の装置。
(20) 前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される長さを有する長方形バーを含む、実施態様15に記載の装置。
【0054】
(21) 前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される色を有するバーを含む、実施態様15に記載の装置。
(22) 前記スクリーンが、前記マップ上に、前記グラフィック表現以外の、前記体腔に関する情報を提示するように構成される、実施態様15に記載の装置。
(23) コンピュータソフトウェア製品であって、コンピュータプログラム命令が内部に記録された非一過性コンピュータ読み取り可能媒体を含み、この命令が、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築させ、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録させ、
前記2次元座標フレームのマップを表示させ、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示させる、コンピュータソフトウェア製品。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築することと、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録することと、
前記2次元座標フレームのマップを表示することと、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記体腔内に、電極を有するプローブの遠位先端部を挿入することを含み、前記時変電位を記録することが、前記電極を使用して前記電位を記録することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電極を使用して、前記3次元表面上の前記場所を判定することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記マップが、前記3次元表面の特徴に対応するマーキングを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記マップが、前記3次元表面の要素を説明する注記を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される長さを有する長方形バーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される色を有するバーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マップ上に、前記グラフィック表現以外の、前記体腔に関する情報を提示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マップを表示することが、前記体腔の一区画を選択すること、及び前記区画に関してのみ、前記グラフィック表現を提示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択することが、手動選択、半自動選択、及び自動選択を含む群から選ぶことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記時変電位の前記それぞれのグラフィック表現を提示することが、前記電位のウィンドウを選択すること、及び前記ウィンドウに応じて前記表現を提示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記体腔の一区画を選択すること、及び前記区画に関してのみ、前記ウィンドウの前記グラフィック表現を提示することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記体腔内で前記時変電位がたどる経路を描写すること、及び前記マップ上に前記経路を表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記経路に関してのみ、前記電位の前記グラフィック表現を提示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
装置であって、
制御装置であって、
体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築し、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録するように構成される、制御装置と、
スクリーンであって、前記制御装置に結合され、
前記2次元座標フレームのマップを表示し、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示するように構成される、スクリーンとを含む、装置。
【請求項16】
電極を有するプローブを含み、前記プローブの遠位先端部が、前記体腔内に挿入され、前記時変電位を記録することが、前記電極を使用して前記電位を記録することを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記電極を使用して、前記3次元表面上の前記場所を判定することを含む、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記マップが、前記3次元表面の特徴に対応するマーキングを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記マップが、前記3次元表面の要素を説明する注記を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される長さを有する長方形バーを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項21】
前記グラフィック表現が、前記電位に応じて選択される色を有するバーを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項22】
前記スクリーンが、前記マップ上に、前記グラフィック表現以外の、前記体腔に関する情報を提示するように構成される、請求項15に記載の装置。
【請求項23】
コンピュータソフトウェア製品であって、コンピュータプログラム命令が内部に記録された非一過性コンピュータ読み取り可能媒体を含み、この命令が、コンピュータによって読み取られると、前記コンピュータに、
体腔の3次元表面上の場所と、前記場所を表す2次元座標フレーム内の座標との間に、一対一の対応を構築させ、
前記場所での、それぞれの時変電位を記録させ、
前記2次元座標フレームのマップを表示させ、
前記場所の前記座標に対応する前記マップ内の位置で、前記時変電位のそれぞれのグラフィック表現を提示させる、コンピュータソフトウェア製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−192183(P2012−192183A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−58269(P2012−58269)
【出願日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【出願人】(511099630)バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド (50)
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
【住所又は居所原語表記】4 Hatnufa Street, Yokneam 20692, Israel
【Fターム(参考)】