説明

2段階危険制御システムのための方法及び装置

本発明のさまざまな態様に係る2段階危険抑制システムのための方法及び装置は、危険源の近くに位置されるように構成された第1の危険制御物質を含むハウジングと、危険源から所定の距離のところに位置された第2の危険制御物質を含む容器とを含む。ハウジングは、ハウジングと危険源との少なくとも一方の破損に応じて第1の危険制御物質を放出するように構成されることができる。容器は、第1の危険制御物質の放出に応じて第2の危険制御物質の設定した時間での放出のために構成されることができる。代わって、センサが、ハウジングと危険源との少なくとも一方の初期の破損とは別の、引き起こされる事象に応じて第2の危険制御物質の放出を引き起こすために使用されることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
地表と空中との両方で運転されるようにして使用される乗物が、多様なシナリオに晒され、乗物に、又は乗物での火炎(火災)の発生をもたらしうる。例えば、混雑した都市環境で運転される軍用機は、小さな兵器の火炎、航空機以外の(anti-aircraft)大砲、及び地対空発射体のような多様な攻撃の形態に晒されうる。これら高エネルギ弾道の脅威の各々は、燃料タンクのような、乗物の区画室を破り、火炎や爆発を引き起こす。
【0002】
牽制システムの破損(breach)から生じる火炎又は他の危険な事象の可能性を低減させるために、さまざまな方法及び装置が提供されてきている。例えば、火薬パネル(powder panel)が、高エネルギ弾道の脅威から守るために、非電気的な受動システムとして使用されてきている。一実施の形態では、これらパネルは、弾道の衝突の点での火炎抑制能力を与えることによって、燃料タンク及びこれらの関連する乾燥した爆弾倉(bay)を弾道の誘導された火炎から保護するように設計されている。これらシステムは、瞬間的な火炎(instantaneous fire)が起こるのを防ぐのに効果的であるが、初期の弾道の破損から生じうる、潜在的な、即ち成長の遅い火炎に対してあまり効果的でない。
【発明の概要】
【0003】
本発明のさまざまな態様に係る2段階危険抑制システムのための方法及び装置は、危険源の近くに位置されるように構成された第1の危険制御物質を収容するハウジングと、前記危険源から所定の距離のところに位置された第2の危険制御物質を収容する容器とを含む。前記ハウジングは、前記ハウジングと前記危険源との少なくとも一方の破損に応じて前記第1の危険制御物質を放出するように構成されることができる。前記容器は、前記第1の危険制御物質の放出に応じて前記第2の危険制御物質の設定した時間での(timed)放出のために構成されることができる。代わって、センサが、前記ハウジングと前記危険源との少なくとも一方の初期の破損とは別の、引き起こされる事象に応じて前記第2の危険制御物質の放出を引き起こすために使用されることができる。
【0004】
本発明のさらなる完全な理解が、以下の例示的な図と関連して、詳細な説明並びに特許請求の範囲を参照することによって得られることができる。以下の図では、同じ参照符号は図全体を通して同じ要素及び工程を参照している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、受動火炎抑制システムの例示的な一実施の形態を代表的に示す図である。
【図2】図2は、危険源及び危険制御システムの破損を代表的に示す横断面図である。
【図3】図3は、ハウジングを囲んでいる領域に第2の火炎抑制剤を放出するように構成された2段階システムの例示的な一実施の形態を代表的に示す図である。
【図4】図4は、図3に代表的に示される2段階システムを代表的に示す拡大図である。
【図5】図5は、ハウジングに第2の火炎抑制剤を放出するように構成された2段階システムの例示的な一実施の形態を代表的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図の要素及び工程は、簡略かつ明確に示され、これらは、特定のシーケンスに必ずしも従わない。例えば、同時に、又は異なる順番で行われることができる工程が、本発明のいくつかの実施の形態の理解をより良くするのを助けるために図示される。
【0007】
本発明は、機能的なブロックの構成要素及びさまざまな処理工程に関してここに説明されることができる。このような機能的なブロックは、特定の機能を行うように、及びさまざまな結果を達成するように構成されたハードウェアの構成要素によって実現されることができる。例えば、本発明は、さまざまな機能を実行することができるさまざまなハウジング、パネル、コネクタ、センサなどを利用することができる。さらに、本発明は、危険物の容器、又はトラック、固定翼航空機、回転翼航空機のような乗物と共に使用されることができ、説明されるシステムは、本発明にとって単なる1つの例示的なアプリケーションである。さらに、本発明は、火炎又は他の危険な状態、検出する環境の状態などを抑制するための通常の技術を利用することができる。
【0008】
本発明のさまざまな態様に係る2段階危険抑制システムのための方法及び装置は、適切な移動式と固定式との少なくとも一方のアプリケーションと共に動作することができる。本発明のさまざまな代表的な実施は、火炎を抑制するためのシステムに適用されることができる。所定の代表的な実施は、例えば、航空機の燃料タンク、燃料ライン、又は貯蔵タンクを含むことができる。
【0009】
図1を参照すると、一実施の形態では、2段階危険抑制システム100のための方法及び装置が、第1の危険制御物質104を収容するように構成された第1の危険制御システム102を有することができる。第1の危険制御システム102は、危険源106を少なくとも部分的に覆っているか、囲んでいるか、すぐ近くに隣接して位置されているかの少なくとも1つであることができる。第1の危険制御システム102は、分配システム110によって、第2の危険制御物質を収容している第2の危険制御システム108に連結されることができる。
【0010】
危険源106は、燃料、化学物質、酸などのような危険な、又は潜在的に危険な物質を収容している。危険源106は、タンク、分配ライン、容器又はポンプのような送出システムのような、危険物質を収容するための適切な装置を有することができる。危険源106はまた、任意の環境、位置又は比較的大きなシステム中に配置されることができ、固定位置に限定される必要はない。例えば、一実施の形態では、危険源106は、トラックのような移動する乗物に位置された燃料タンクを有する。他の実施の形態では、危険源106は、航空機の燃料タンクと航空機のエンジンとの間に配置された燃料ラインを有することができる。
【0011】
危険源106は、プラスチック、金属、エラストマ、ポリマ、又は適切な複合材料のような、適切な物質を含むことができ、アーマープレートのような添加物質で補強されてもよいし、されなくてもよい。例えば、危険源106は、さまざまな構造体を通してさまざまな構造体の周りに送られた燃料ラインを含むことができる。他の実施の形態では、危険源106は、特定の非均一な形状の容積内に係合されるように適切に構成された燃料タンクを含むことができる。他の実施の形態では、危険源106は、燃料タンクを含んだ翼(wet wing)のような比較的大きな構造体のシールされた容積を有することができる。
【0012】
第1の危険制御システム102は、危険源106に隣接して配置されることができ、燃料タンクの高エネルギ弾道の破損のような過渡事象(transient event)から結果として生じる危険物質の放出と関連した直接の危険を低減させるように構成されることができる。第1の危険制御システム102は、燃料タンクの高エネルギの破損から結果として生じる火炎又は爆発のような危険物質の放出とほぼ同時に生じる危険な事象を抑制するのに適切なシステムを有することができる。例えば、図2を参照すると、一実施の形態では、第1の危険制御システム102は、危険源106の表面の少なくとも一部を覆うように適切に構成され、かつ、第1の火炎抑制剤204を収容するように構成された、火薬パネル202のような、実質的に中空の複数の壁で囲まれた(multi-walled)ハウジングを有することができる。火薬パネル202は、軌道パス210に従う発射体による危険源106及び火薬パネル202の破損に応じて、第1の火炎抑制剤204を放出するように適切に構成されることができる。
【0013】
図3ないし図5を参照すると、第2の代表的な実施の形態では、第1の危険制御システム102は、図2に示されるように、第1の火炎抑制剤204を収容するように構成され、かつ、燃料ライン306又は燃料ポンプ(図示されない)のような多面の周りを囲むようにしてほぼ適合されるように適切に構成されたハウジング302を有することができる。ハウジング302は、さらに、燃料ライン306を破損し、かつ、図2に示されるのと同じようにして火炎又は爆発を生じる可能性がある弾丸、榴散弾、又は他の発射体から生じうるようなハウジング302の破損に応じて第1の火炎抑制剤204の少なくとも一部を放出するように構成されることができる。ハウジング302は、燃料爆弾倉又は他の同様の区画室304のような、破損したかなり大きな領域又は容積を充填するのと同じようにして、第1の火炎抑制剤を放出するように構成されることができる。代わって、ハウジング302は、破損の位置へと第1の火炎抑制剤204をほぼ局所的な領域又は容積に放出するように適切に構成されることができる。
【0014】
第1の危険制御システム102はまた、破損に応じて局所的に、又は全体として第1の危険制御システム102の構造上の完全性を壊すか、損なうか、あるいは傷付けるように構成された適切な物質を含むことができる。例えば、一実施の形態では、第1の危険制御システム102の物質は、破損を囲んでいる領域で破裂し、一方、第1の危険制御システム102の残り部分をほぼ無傷で残すように適切に構成された硬質プラスチックを含むことができる。第2の実施の形態では、第1の危険制御システム102は、内部容積を規定しているハウジングを有することができ、このハウジングは、複数の複合パネルで構成されており、これらパネルの各々が、異なる物質ででき、他のパネルよりも多い、又は少ない全破損箇所のような特定の目的のために適切に適用される。第3の実施の形態では、第1の危険制御システム102は、全体的に、又は部分的に、アクリル樹脂材料の部分に加えられる過渡事象に応じて完全に損なわれる(粉砕される)ように適切に構成されたアクリル樹脂材料を含むことができる。
【0015】
第1の危険制御システム102は、さらに、周囲環境と危険源106との少なくとも一方に対して圧力下で第1の危険制御物質104を収容するように構成されることができる。代わって、第1の危険制御システム102は、平方インチ当たり(psi)数百ポンドまでの内部圧力の増加に耐えるように構成されることができる。例えば、一実施の形態では、第1の危険制御システム102は、13〜17psiの圧力よりも高いが約50psi未満の第1の危険制御物質104を格納するように構成されることができる。他の実施の形態では、第1の危険制御システム102は、実質的に地上レベルの大気圧でシールされるように適切に適用されることができるが、約15,000フィートの高度よりも高い、航空機の運転時の一定の気圧に保たれていない区画室のような低圧環境で使用されることができる。
【0016】
第2の危険制御システム108は、第1の危険制御システム104が放出された後に発達する危険状態の潜在可能性を低減させるために、第2の危険制御物質を利用する。第2の危険制御システム108は、制御された放出危険制御物質に適したシステムを含むことができる。例えば、第2の危険制御システム108は、第1の危険制御システム102の状態の変化に反応(応答)することができ、状態変化に応じて所定の時間にわたって第2の危険制御物質を放出するように適切に構成されることができる。代わって、第2の危険制御システム108は、センサによって与えられる信号に応じて第2の危険制御物質を放出するように構成されることができる。
【0017】
図1を参照すると、一実施の形態では、第2の危険制御システム108は、第2の危険制御物質を収容する容器116を有することができる。容器116は、チューブ114とセンサ112との少なくとも一方を有する分配システム110によって第1の危険制御システム102に接続するように連結されることができる。
【0018】
容器116は、第2の危険制御物質を収容しており、加圧容器、袋状物、ダクトなどのような、第2の危険制御物質を保持するのに適したシステムを有することができる。容器116は、液体、気体又は固体物質のような適切な危険制御物質の質量又は容量を収容するように適切に構成されることができる。容器116はまた、金属、プラスチック又は複合材のような所定のアプリケーションに適した物質を含むことができる。例えば、図3を参照すると、容器116は、加圧された空気圧ボトル(pneumatic bottle)316を含むことができる。
【0019】
容器116は、第1の危険制御システム102の近くに位置されるか、第1の危険制御システム102から離れて配置されることができる。例えば、図3を参照すると、加圧された空気圧ボトル316は、構造体の同じ爆弾倉領域に位置されることができるが、ハウジング302と加圧された空気圧ボトル316との両方への同時のダメージの可能性を低減させるように、所定の距離だけハウジング302から離れている。他の実施の形態では、容器116は、隔壁により第1の危険制御システム102から分離されるか、離れた爆弾倉に収容されるか、ダメージに耐性のある包囲壁内に配置されることができる。
【0020】
容器116はまた、圧力下で第2の危険制御物質を収容するように適切に構成されることができる。例えば、一実施の形態では、容器116は、平方インチ当たり(psi)約360ポンドまでの圧力で第2の危険制御物質を保持することができる。第2の実施の形態では、容器116は、約800〜850psiまでの圧力で第2の危険制御物質を収容するように構成されることができる。第3の実施の形態では、容器116は、第1の危険制御システム102の圧力にほぼ等しい圧力で第2の危険制御物質を保持するように構成されることができる。
【0021】
容器116はまた、分配システム110を容器116内の第2の危険制御物質に接続する弁を有することができる。弁はまた、第2の危険制御物質の放出、又は放出の比率を制御することができる。弁は、危険制御物質の加圧された容積を維持し、かつ、必要に応じた量を放出するための適切なシステムを含むことができる。例えば、弁は、第2の危険制御物質と分配システム110のチューブ114との間のシールを有することができる。弁は、センサ112からの信号に反応することができ、センサ112からの信号に応じてシールを壊すか、開くか、あるいはなくすように適切に構成されることができる。シールがいったん壊されると、第2の危険制御物質の全量が分配システム110に放出されることができる。
【0022】
他の実施の形態では、弁は、第2の危険制御物質の放出の比率を制御するように適切に構成されることができる。例えば、弁は、所定の量のフロー比率の危険制御物質を放出するように構成されたボール弁又はゲート弁のような選択的に駆動される開口を有することができる。放出の比率は、所定のアプリケーション又は位置によって決められることができ、第1の危険制御システムの周囲圧力又は周囲環境に対する容器116内の圧力に関連することができる。
【0023】
弁はまた、特定の時間にわたって第2の危険制御物質を放出するように構成されることができる。例えば、弁は、第2の危険制御物質の全放出が約60秒の時間にわたって起こるようにサイズ設定されることができる。代わって、弁は、0.1秒のような相対的に短い時間にわたって第2の危険制御物質を放出するように適切に構成されることができる。弁はまた、センサ112からの信号に基づいて、第2の危険制御の一定のレベルを所定の量で維持するように構成されることができる。
【0024】
分配システム110は、第2の危険制御システム108が駆動された後、第2の危険制御物質を送出する。分配システム110は、空気圧チューブ、パイプ、ダクト、穴あきホース又は噴霧器のような、危険制御物質を送出するための適切なシステムを含むことができる。分配システム110はまた、第1の危険制御システム102の破損又は火炎の感知に基づくような所定の事象に応じて第2の危険制御システム108を駆動させるように構成されることができる。
【0025】
分配システム110は、所定の事象を検出して、その後、第2の危険制御システム108を駆動させることと、第2の危険制御システム108に駆動信号を与えることとの少なくとも一方をするように構成されたセンサ112を有することができる。センサ112は、赤外検出器、ショックセンサ、熱電対、圧力計又は温度感知素子のような、検出及び信号化のための適切なシステムを含むことができる。
【0026】
分配システム110は、さらに、チューブ114のような危険制御物質送出装置と共に構成されることができる。チューブ114は、第2の危険制御システム108から、第2の危険制御物質が必要とされる位置まで、第2の危険制御物質のための導管パスを与えるように構成されることができる。例えば、図5を参照すると、一実施の形態では、チューブ114は、加圧された空気圧ボトル316からハウジング302の内部容積までの導管パスを与えることができ、これにより、第2の危険制御物質は、第1の危険制御物質の初期の放出に続いて、保持される時間にわたって、破損したハウジング302の位置で送出される。図4を参照すると、第2の実施の形態では、チューブ114は、ハウジング302を囲んでいる領域に送られることができ、これにより、第2の危険制御物質は、単に破損したハウジング302の位置によりも周囲環境に送出される。
【0027】
チューブ114は、金属、プラスチック又はポリマのような適切な物質を含むことができ、火炎、又は苛性化学物質に晒されることに関する上昇した温度に耐えるのに適切に構成されることができる。チューブ114はまた、特に、上昇した温度に耐えないように構成された物質を含んでもよい。チューブ114はまた、加圧されるか、800psiまでの圧力に耐えるように構成されることができる。例えば、一実施の形態では、チューブ114は、プラスチックの加圧チューブを有することができ、プラスチックは、火炎のような加えられる熱負荷に応じて破裂する、あるいは壊れるように構成されている。
【0028】
チューブ114はまた、センサ112として機能するように構成されることができる。例えば、一実施の形態では、加圧チューブ114の破裂は、第2の危険制御物質を放出するように弁を駆動させることができる。代わって、チューブ114は、第2の危険制御物質に直接接続されることができ、チューブ114の破損が、第2の危険制御物質の放出を引き起こすようにして、第2の危険制御物質の圧力に等しい圧力で保持されることができる。
【0029】
チューブ114はまた、第1の危険制御システム102の圧力の減少に反応することができる。例えば、再び図5を参照すると、加圧チューブ114は、ハウジング302の内部容積に結合されることができ、これにより、チューブ114の内部の圧力は、ハウジング302の内部容積の圧力に等しい。それ故、ハウジング302が破損されて、ハウジング302の圧力の減少を結果としてもたらすならば、チューブ114は、圧力の減少を感知し、弁を駆動させるか、あるいは第2の危険制御物質の放出に影響を及ぼす。
【0030】
他の実施の形態では、シールされ、かつ加圧されたチューブ114は、チューブ114が第1の危険制御システム102とほぼ同時に破損されるようにして、第1の危険制御システム102の少なくとも1つの表面にわたって送られることができる。そして、破損したチューブ114は、圧力の減少を受けることができ、弁と第2の危険制御システム108との少なくとも一方に駆動信号を引き起こす。
【0031】
2段階危険制御抑制システム100は、抑制剤、中和物質又はガスのような、少なくとも1つの危険制御物質を含むことができる。例えば、第1の危険制御物質は、爆発又は他の急速燃焼のような過渡事象のために適切に構成された火炎抑制剤を含むことができ、また、第2の危険制御物質は、潜在的な火炎又は他のほとんど急速でなく発達する火炎を抑制するのに適切に構成された火炎抑制剤を含むことができる。一実施の形態では、第1の危険制御物質104は、ABC、BC、又はDの乾燥火薬消火器のような一般的な乾燥化学抑制剤を含むことができる。他の実施の形態では、第1の危険制御物質104は、さらなる化学物質、さまざまな形態のような化合物、あるいはリチウム、ナトリウム、カリウム、塩化物、グラファイト、アセチレン、酸化物及び磁鉄鉱の組合せをさらに含む抑制物質を含むことができる。
【0032】
危険制御物質はまた、危険を制御する複数の方法を有するように構成されることができる。例えば、危険制御物質は、複数の構成要素又は化合物を含むことができ、各化合物は、熱に対して反応性又は非反応性である、火炎の酸素を奪うように作用する、火炎から熱を吸収する、火炎から他の化合物に熱を輸送する、の少なくとも1つのような、さまざまな特性を有する。
【0033】
他の実施の形態では、第1及び第2の危険制御物質は、同じ物質と、異なる物質と、各々の濃度に関してのみ異なる物質との少なくとも1つを含むことができる。第1及び第2の危険制御物質はまた、圧力下に保たれるか、所定の容積内に分散されることができる。例えば、図2を参照すると、第1の抑制剤204は、ハウジング202全体にわたってほぼ均等に分散されることができ、一方、第2の火炎抑制剤は、空気圧ボトル316内で圧力下に維持される。
【0034】
図1を参照すると、動作中、第1の危険制御物質104を収容する第1の危険制御システム102は、危険源104に隣接して位置されることができる。第1の危険制御システム102は、分配システム110によって第2の危険制御システム108に接続するように連結されることができる。第1の危険制御システム102は、第1の危険制御システム102と危険源106との少なくとも一方の破損のような過渡事象に応じて第1の危険制御物質104を供給するように適切に構成されることができる。
【0035】
例えば、図2を参照すると、火薬パネル202及び危険源106は、軌道210に沿って移動する高エネルギ弾道の軌道によって破損されることができる。破損に応じて、火薬パネル202は、危険源106からの危険物質の放出により生じうる火炎又は爆発を抑制するように、第1の火炎抑制剤204を放出する。火薬パネル202は、全ての第1の火炎抑制剤が過渡事象の発生とほぼ同時に放出されるように構成されることができる。再び図1を参照すると、破損に続いて、分配システム110が、第1の危険制御物質104の放出を感知し、第2の危険制御システム108を駆動させることができる。
【0036】
センサ112は、破損と、第1の危険制御物質104の放出と、ゆっくり成長する火炎のような後に発達する危険状態との少なくとも1つを検出するために使用されることができる。例えば、センサ112は、第1の危険制御システム102の内部容積に連結された圧力感知素子を有することができる。破損と、これに続く第1の危険制御物質104の放出との少なくとも一方が、内部容積に圧力の減少をもたらしうる。センサ112は、圧力のこの変化を検出し、チューブ114を通して第2の危険制御物質を放出するために、第2の危険制御システム108を引き起こすことができる。
【0037】
代わって、特定のレベルよりも高い温度に晒されたとき、センサ112は、破裂するように構成された第2の危険制御システム108に、弁に接続されたシールされた熱感知圧力チューブ114を有することができる。例えば、チューブ114が火炎と関連する熱に晒されるならば、チューブ114は、弁に圧力の減少を引き起こして破裂する可能性があり、これにより、第2の危険制御物質の放出を引き起こす。
【0038】
図3を参照すると、第2の危険制御システム108は、圧力下で第2の危険制御物質を保持するように適切に構成された加圧された空気圧ボトル316を有することができる。例えば、第2の危険制御システム108は、約360psi未満の圧力で第2の危険制御物質を保持するように構成された低圧送出システムを有することができる。代わって、第2の危険制御システム108は、約850psiまでの圧力で第2の危険制御物質を保持するように適切に構成された高圧送出システムを有することができる。
【0039】
第2の危険制御システム108が駆動されたとき、弁が、第2の危険制御物質の放出の比率を制御することができる。分配システムはまた、第2の危険制御物質が送出されるところを制御することができる。例えば、図5を参照すると、ハウジング302の圧力の減少は、約60秒の時間にわたってハウジング302の内部容積に第2の危険制御物質を開けて放出するように、低圧送出システムの弁を駆動することができる。図4を参照すると、高圧送出システムでは、弁は、1秒未満の時間にわたってチューブ114を通して第2の危険制御物質の放出をするように構成されることができ、これにより、ハウジング302を囲んでいる全容積が第2の危険制御物質で充填されることができる。
【0040】
上述の説明では、本発明は、特定の例示的ないくつかの実施の形態を参照して記載されてきた。しかし、特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変形及び変更がなされることができる。明細書並びに図は、限定的であるのではなく、実例となるものであり、本発明の範囲内に変形が含まれることが意図されている。従って、本発明の範囲は、記載される単なるいくつかの例よりも、特許請求の範囲並びにこれらの法律上の均等物によって決定されるべきである。
【0041】
例えば、方法又はプロセスの請求項に規定されるいくつかの工程は、任意の順序で行われることができ、特許請求の範囲に示される特定の順序に限定されない。さらに、装置の請求項に規定される構成要素と要素との少なくとも一方が、組み合わせられることができるか、あるいは、さまざまな並び替えで作用するように構成されることができ、従って、特許請求の範囲に規定される特定の構成に限定されない。
【0042】
問題に対する利益、他の効果並びに解決策が、特定のいくつかの実施の形態に関して上に記載されてきた。しかし、特定の利益、効果又は解決策が生じるかさらに顕著になりうる、問題に対する利益、効果並びに解決策、又は任意の要素が、いくつかの、又は全ての請求項の必須の、必要な、又は必要不可欠な特徴部分又は構成要素として解釈されない。
【0043】
ここに使用されるような、「有する」、「含む」又はこれらの異形の用語は、非排他的な含有を参照することを意図しており、列挙された要素を含むプロセス、方法、物品、構成物又は装置が、規定されるこれらの要素のみを含むものではないが、このようなプロセス、方法、物品、構成物又は装置に明確に列挙されていない、又は固有の他の要素をまた含むことができる。本発明の実施において使用される上に記載された構造、配置、アプリケーション、比率、要素、物質又は構成要素の他の組合せと変更との少なくとも一方が、さらに特に規定されることなく、変更されることができるか、あるいは、同様の一般原理から逸脱することなく、特定の環境、製造上の仕様、設計パラメータ又は他の動作条件に特に適用されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜在的な火炎源の破損から生じる、瞬間的な、及び成長の遅い火炎から保護するための2段階火炎抑制システムであって、
第1の火炎抑制剤と、
第1の壁と、
前記第1の壁に接続され、内部容積を規定している第2の壁とを有し、
第1の圧力下で前記内部容積内に前記第1の火炎抑制剤を収容し、かつ、前記潜在的な火炎源の前記破損に応じて前記第1の火炎抑制剤を放出するように構成されたハウジングと、
を有する第1の火炎抑制システムと、
第2の火炎抑制剤と、
前記ハウジングから離れて配置され、第2の圧力下で前記第2の火炎抑制剤を収容するように構成された容器とを有し、
前記第1の火炎抑制システムに反応するように連結された第2の火炎抑制システムと、
前記容器に接続され、所定の事象に応じて前記容器に信号を与えて、前記信号に応じて前記容器から前記ハウジングに前記第2の火炎抑制剤を送るように構成された分配システムとを具備する2段階火炎抑制システム。
【請求項2】
前記ハウジングの前記第1及び第2の壁の少なくとも一方は、前記潜在的な火炎源の表面にほぼ適合するように構成されている請求項1の2段階火炎抑制システム。
【請求項3】
前記所定の事象は、前記ハウジングの圧力の減少を含み、
前記分配システムは、さらに、前記ハウジングの前記内部容積に連結され、かつ、前記ハウジングの圧力の減少に応じて前記信号を与えるように構成された圧力センサを有する請求項1の火炎抑制システム。
【請求項4】
前記分配システムは、さらに、熱感知素子を有し、
前記熱感知性素子は、加えられる熱負荷に応じて破裂して、前記熱感知素子の破裂に応じて前記信号を与えるように構成されている請求項1の火炎抑制システム。
【請求項5】
前記熱感知素子は、圧力チューブを含み、
前記信号は、前記圧力チューブの圧力の減少に応じて生成される請求項4の火炎抑制システム。
【請求項6】
前記分配システムは、さらに、前記ハウジングの表面の領域にわたって分配され、かつ、前記ハウジングの前記破損に応じて前記信号を与えるように構成されたセンサを有する請求項1の火炎抑制システム。
【請求項7】
前記容器は、さらに、前記第2の火炎抑制剤の放出の比率を制御するように構成された弁を有する請求項1の火炎抑制システム。
【請求項8】
前記第2の火炎抑制剤は、前記ハウジングの前記内部容積に放出される請求項1の火炎抑制システム。
【請求項9】
前記第2の火炎抑制剤は、前記ハウジングに近接した領域に放出される請求項1の火炎抑制システム。
【請求項10】
過渡事象の間に放出されることができる、危険源のための2段階危険制御システムであって、
第1の危険制御物質と、
第2の危険制御物質と、
前記第1の危険制御物質を収容するように構成され、前記過渡事象に反応する第1の危険制御システムであって、前記過渡事象の発生とほぼ同時に前記第1の危険制御物質を前記危険源に送出するように構成されている、第1の危険制御システムと、
前記第1の危険制御システムに連結され、前記第2の危険制御物質を収容し、かつ、前記第1の危険制御物質が送出された後、所定の時間にわたって前記第2の危険制御物質を放出するように構成された第2の危険制御システムとを具備する2段階危険制御システム。
【請求項11】
前記第1の危険制御システムは、前記危険源に隣接して配置されたハウジングを有し、
前記ハウジングは、第1の圧力下で前記第1の危険制御物質を収容するための容積を規定し、
前記ハウジングの少なくとも1つの面が、前記過渡事象に応じて破裂して、前記破裂の位置に少なくとも近接して前記第1の危険制御物質を放出するように構成されている請求項10の2段階危険制御システム。
【請求項12】
前記第2の危険制御システムは、第2の圧力下で前記第2の危険制御物質を収容する容器を有する請求項10の2段階危険制御システム。
【請求項13】
前記第1の危険制御システムに近接しているセンサをさらに具備し、
前記センサは、前記第2の危険制御システムを駆動させるように構成されている請求項10の2段階危険制御システム。
【請求項14】
前記第2の危険制御システムは、前記第2の危険制御物質を前記ハウジングの前記内部容積に送出するように構成されている請求項10の2段階危険制御システム。
【請求項15】
前記第2の危険制御システムは、前記第2の危険制御物質を前記ハウジングに近接している領域に送出するように構成されている請求項10の2段階危険制御システム。
【請求項16】
火炎源の破損から生じる火炎を制御する方法であって、
内部容積を有するシールされたハウジングで前記火炎源を少なくとも部分的に覆うことであって、第1の火炎抑制剤が、第1の圧力下で前記ハウジングの前記内部容積内に収容され、前記ハウジングが、前記ハウジングの破損に応じて前記第1の火炎抑制剤を放出するように構成されている、内部容積を有するシールされたハウジングで前記火炎源を少なくとも部分的に覆うことと、
所定の事象に応じて信号を生成するように構成されたセンサを前記ハウジングに近接して配置することと、
容器を前記センサ及び前記ハウジングに連結することであって、第2の火炎抑制剤が、第2の圧力下で前記容器内に維持され、前記容器は、前記センサによって生成される前記信号に応じて前記第2の火炎抑制剤を放出するように構成されている、容器を前記センサ及び前記ハウジングに連結することとを具備する火炎を制御する方法。
【請求項17】
前記所定の事象は、前記シールされたハウジングからの圧力の減少を含み、
前記信号を生成することは、前記ハウジングの前記内部容積からの圧力の減少を感知することを含む請求項16の火炎を制御する方法。
【請求項18】
前記所定の事象は、熱感知素子で火炎を感知することを含み、
前記信号を生成することは、前記熱感知素子の状態の変化を含む請求項16の火炎を制御する方法。
【請求項19】
前記熱感知素子は、前記内部容積を前記容器に連結する圧力チューブを有し、
前記圧力チューブは、加えられる熱負荷に応じて破裂するように構成されている請求項18の火炎を制御する方法。
【請求項20】
前記容器は、さらに、所定の時間にわたって前記第2の火炎抑制剤を放出するように構成されている請求項16の火炎を制御する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2013−509910(P2013−509910A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537049(P2012−537049)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054440
【国際公開番号】WO2011/056704
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(504428913)ファイア−トレース ユーエスエー, エルエルシー (5)
【Fターム(参考)】