説明

2液型水性防食塗料及び防食塗装方法

【課題】 常温乾燥の条件でも硬化性に優れ、高腐食環境下においても防食性に優れた塗膜を形成するのに適する2液型水性防食塗料及び防食塗装方法を提案する。
【解決手段】
(I)エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料分を含む主剤と(II)アミン硬化剤の組み合わせからなり、それらを使用直前に混合して塗装する2液型の水性防食塗料であって、主剤(I)中の顔料分が、その成分の一部としてリン酸系防錆顔料を含んでなり、アミン硬化剤(II)が、その成分の一部として活性水素当量が80以上で且つ1000未満の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIa)を含むことを特徴とする2液型水性防食塗料、及び亜鉛めっきなどの基材面に、該2液型水性防食塗料を塗装することを特徴とする防食塗装方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温乾燥の条件下でも防食性および硬化性に優れた塗膜を形成することができる2液型水性防食塗料及び防食塗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、橋梁、鉄塔、船舶、プラント等の大型の鋼構造物の防食性を維持するための塗装、いわゆる重防食塗装には、エポキシ樹脂を主剤とし、ポリアミンを硬化剤とする2液型の常温乾燥型の塗料が使用されている。近年、環境に対する負荷の低減が望まれていることから、重防食塗料の分野においても塗料の水性化の開発が急ピッチで行われている。
【0003】
水系の重防食塗料に関して例えば特許文献1には、無公害防錆顔料を含有した水性エポキシ樹脂系防食塗料を用いた耐候性鋼の防食法が開示されている。この水性エポキシ樹脂系防食塗料の上に特定の水性着色上塗り塗料を塗装した防食法によれば、有機溶剤を多量に使用することなく、環境汚染や臭気の発生を少なくし、防錆性及び耐候性を長期間保持した省工程の防食が可能となるものである。
【0004】
また、特許文献2には、エポキシ化合物と脂肪族ポリオール化合物との縮合物を含有する水性主剤とポリアミンを含有する硬化剤からなる2液硬化型水性被覆組成物が開示されている。この組成物によれば、密着性、耐薬品性、硬化性、ポットライフ等に優れているものである。
【0005】
しかしながら、特許文献1または2に記載の組成物によれば、使用する防錆顔料の種類によっては、防食性、硬化性の低下があることは否めない。特に水性エポキシ樹脂を主剤とし、ポリアミンを硬化剤とする硬化型組成物においてリン酸系防錆顔料を使用すると防食性、硬化性が著しく低下する傾向が見られ、その改良検討が強く望まれている。
【0006】
また、特許文献3には、主剤としてエポキシ系樹脂と、アダクト変性させたメタキシレンジアミンなどのアミン系硬化剤成分と、フェノール基を有するオリゴマー成分と脱水剤とを含有する塗料組成物が開示されている。この組成物によれば亜鉛めっき上に塗装することで、耐久性に優れる防食材料を作製することができるものであるが、高腐食環境下では基材との付着性が低下する傾向がある。特に亜鉛めっき鋼板上に適用した場合においては付着力の低下とともにフクレが発生し、急激にハガレが進行する場合もある。
【0007】
【特許文献1】特開2002−35687号公報
【特許文献2】特開2006−257142号公報
【特許文献3】特開2006−348109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、常温乾燥の条件でも硬化性に優れ、高腐食環境下においても防食性に優れた塗膜を形成するのに適する2液型水性防食塗料及び防食塗装方法を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記した課題に鋭意検討した結果、エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料を含む主剤と、ポリアミンを含む硬化剤とで構成される2液型水性防食塗料として、リン酸系防錆顔料を主剤中に、特定範囲の活性水素当量を有し、分子中に環状構造を有する特定のポリアミンを硬化剤中に含ませることで、硬化性と防食性が共に優れる塗膜が形成することを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、
1.(I)エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料分を含む主剤と(II)アミン硬化剤の組み合わせからなり、それらを使用直前に混合して塗装する2液型の水性防食塗料であって、主剤(I)中の顔料分が、その成分の一部としてリン酸系防錆顔料を含んでなり、アミン硬化剤(II)が、その成分の一部として活性水素当量が80以上で且つ1000未満の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIa)を含むことを特徴とする2液型水性防食塗料、
2. エポキシ樹脂エマルジョンが、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(i)をポリオキシアルキレンに由来する乳化成分の存在下で水性媒体中に乳化分散してなるものである1項に記載の2液型水性防食塗料、
3. リン酸系防錆顔料が、0.01Nの塩酸水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後48時間経過後の水溶液と、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの塩酸水溶液とのpHの差の絶対値が4.0〜8.0の範囲内であって、且つ0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後48時間経過後の水溶液のpHと、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液とのpHの差の絶対値が2.0〜4.0の範囲内にあるものである1項または2項に記載の2液型水性防食塗料、
4. アミン硬化剤(II)が、活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)をさらに含む1項ないし3項のいずれか1項に記載の2液型水性防食塗料、
5. 活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)の固形分含有量が、アミン硬化剤(II)固形分中25〜75質量%の範囲内にある4項に記載の2液型水性防食塗料、
6. 基材面に、1項ないし5項のいずれか1項に記載の2液型水性防食塗料を塗装することを特徴とする防食塗装方法、
7. 亜鉛めっき鋼板に、4項または5項に記載の2液型水性防食塗料を塗装する亜鉛めっき鋼板の防食塗装方法、
に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の2液型水性防食塗料によれば、常温乾燥の条件でも硬化性が良好であり、また、鉄、亜鉛めっきなどの鋼材や非鉄材などの基材に対する防食性に優れた防食塗膜を形成することができるので、厳しい環境下においても被塗物の美観を長期にわたって維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の2液型水性防食塗料は、(I)エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料分としてリン酸系防錆顔料を含む主剤と、(II)特定範囲の活性水素当量を有し、分子中に環状構造を有するポリアミンを含むアミン硬化剤の組み合わせからなり、それらを使用直前に混合して塗装する2液型の組成物である。
【0012】
主剤(I)
本発明の2液型水性防食塗料に主剤(I)として使用されるエポキシ樹脂エマルジョンは、エポキシ樹脂(i)が水性媒体中に乳化分散してなるものであり、アニオン性、ノニオン性またはカチオン性のいずれのタイプであってもよいが、塗料貯蔵安定性、形成塗膜の防食性、硬化性などの点から、ノニオン性であることが好ましい。
【0013】
該エポキシ樹脂(i)は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有する樹脂であり、形成塗膜の常温における仕上がり性、硬化性、防食性などの点から、通常、エポキシ当量が100〜10,000、特に150〜5,000、さらに特に160〜1,000の範囲内にあり、かつ数平均分子量が200〜20,000、特に300〜10,000、さらに特に320〜2,000の範囲内にあるものが好適である。
【0014】
本明細書において数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(東ソー(株)社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量をポリスチレンの数平均分子量を基準にして換算した値である。
【0015】
エポキシ樹脂(i)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;該ビスフェノール型エポキシ樹脂を二塩基酸等で変性したエポキシエステル樹脂;脂環式エポキシ樹脂;ポリグリコール型エポキシ樹脂;エポキシ基含有アクリル樹脂等が挙げられ、形成塗膜の防食性、付着性などの点から、なかでもビスフェノール型エポキシ樹脂、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が好適である。
【0016】
エポキシ樹脂エマルジョン(I)としては、塗料貯蔵安定性、形成塗膜の防食性、硬化性などの点から、エポキシ樹脂(i)をポリオキシアルキレンに由来する乳化成分の存在下に乳化分散したものが適している。
【0017】
上記ポリオキシアルキレンに由来する乳化成分としては、分子中にポリオキシアルキレン単位を有する化合物が包含され、例えば、アニオン性ポリオキシアルキレン化合物、ノニオン性ポリオキシアルキレン化合物などが挙げられる。
【0018】
アニオン性ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸アンモニウム等のポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩などが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0019】
一方、ノニオン性ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル化合物;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル化合物;ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン多環フェニルエーテル化合物;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート等のポリオキシアルキレンアルキルエステル化合物;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のソルビタン化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0020】
また、上記ポリオキシアルキレンに由来する乳化成分としては、形成塗膜の防食性などの点から、エポキシ樹脂(i)を上記アニオン性またはノニオン性のポリオキシアルキレン化合物で変性したポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂であることが適している。
【0021】
上記ポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂は、分子中にポリオキシアルキレン単位とエポキシ基を有する樹脂であり、例えば、数平均分子量が400〜20,000、特に600〜10,000の範囲内のポリオキシエチレングリコール(a)と、水酸基とエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b)と、1分子中に活性水素を1個有する化合物(c)と、1分子中に2個以上イソシアネート基を有する化合物(d)との反応により得られる変性エポキシ樹脂が好適である。
【0022】
水酸基とエポキシ基を有するエポキシ樹脂(b)としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂が挙げられ、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が適している。
【0023】
1分子中に活性水素を1個有する化合物(c)は、上記変性エポキシ樹脂中のイソシアネート基のブロッキングのために使用されるものであり、例えば、メタノール、エタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等の1価アルコール;酢酸、プロピオン酸等の1価カルボン酸;エチルメルカプタン等の1価チオール;ジエチルアミン等の第2級アミン;ジエチレントリアミン、モノエタノールアミン等の1個の2級アミノ基またはヒドロキシル基と少なくとも1個の第1級アミノ基を含有するアミン化合物の第1級アミノ基をケトン、アルデヒドもしくはカルボン酸と例えば100〜230℃の温度で加熱反応させることによりアルジミン、ケチミン、オキサゾリンもしくはイミダゾリンに変性した化合物;メチルエチルケトキシムのようなオキシム;フェノール、ノニルフェノール等のフェノール類等が挙げられる。
【0024】
これらの活性水素基含有化合物(c)は、一般に30〜2,000、好ましくは30〜200の範囲内の分子量を有することが望ましい。
【0025】
1分子中に少なくとも2個イソシアネート基を有する化合物(d)としては、それ自体既知の脂肪族系、脂環族系または芳香族系のポリイソシアネート化合物を使用することができ、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加4,4´―ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等およびこれらのポリイソシアネート化合物のビウレット化物やイソシアヌレート化物等が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
上記ポリオキシアルキレン変性エポキシ樹脂は、それ自体既知の方法に従い、例えば、上記(a)〜(d)の各成分を混合し、実質的に未反応のイソシアネート基が存在しなくなるまで反応させることにより製造することができる。
【0027】
上記変性エポキシ樹脂を分散安定樹脂として用いて、エポキシ樹脂(i)を水性媒体中に乳化分散する際のその使用割合は、エポキシ樹脂(i)/変性エポキシ樹脂の質量固形分比で50/50〜80/20、好ましくは60/40〜75/25の範囲内が適当であり、エポキシ樹脂(i)および変性エポキシ樹脂に水を加えて混合攪拌することにより、エポキシ樹脂エマルジョンを得ることができる。
【0028】
本発明において、上記主剤(I)中に含まれる顔料分は、防食性の点からリン酸系防錆顔料を含有する。
【0029】
上記リン酸系防錆顔料としては、例えば、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸等のリン酸系化合物のマグネシウム塩、カルシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、またはリンモリブデン酸塩のいずれかの化合物、もしくはこれら化合物を2種以上含むものが利用できる。また、これら化合物をシリカで変性したものもリン酸系防錆顔料として包含する。
【0030】
本発明において、上記リン酸系防錆顔料としては酸性及び塩基性の水溶液に対して特定の性状を示すリン酸系防錆顔料であることが望ましい。
【0031】
具体的には本発明に使用されるリン酸系防錆顔料としては、0.01Nの塩酸水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後、可変速ディスパーで回転速度300rpmで攪拌し、20℃、48時間静置後の水溶液と、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの塩酸水溶液とのpHの差の絶対値が4.0〜8.0の範囲内、好ましくは4.0〜6.0の範囲内であって、且つ0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後、可変速ディスパーで回転速度300rpmで攪拌し、20℃、48時間静置後の水溶液のpHと、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液とのpHの差の絶対値が2.0〜4.0の範囲内、好ましくは3.0〜4.0の範囲内にあるものであることが望ましい。
【0032】
上記条件によれば防錆顔料添加による酸性および塩基性水溶液のpH変化を誤差なく測定することが可能である。
【0033】
本発明においては添加により酸性、塩基性水溶液のpH変化が上記範囲内であるうような防錆顔料を使用すると、鉄板、亜鉛メッキ鋼板等の鋼板の防食効果が著しく向上する効果がある。
【0034】
上記リン酸系防錆顔料の配合量は、本発明の2液型水性防食塗料に含まれる樹脂固形分に対する顔料質量濃度で10〜40%、特に15〜30%の範囲内にあることが適している。顔料質量濃度がこの範囲内にあると、顔料による防錆能と樹脂分による環境遮断能とのバランスがよい塗膜を形成でき、防食性に優れる効果がある。
【0035】
上記主剤に含まれる顔料分としては、上記した如きリン酸系防錆顔料に加えて、該リン酸系防錆顔料以外のその他の防錆顔料、体質顔料、着色顔料を含ませることができる。
【0036】
その他の防錆顔料としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸カルシウム等のモリブデン酸塩系、ホウ酸塩系;メタホウ酸バリウム等のメタホウ酸塩系;シアナミド亜鉛カルシウム系;カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、ストロンチウム、バリウム等のカチオンを多孔質シリカ粒子に結合させた変性シリカ、カチオンをイオン交換によって結合させることによるイオン交換シリカ;ピロリン酸アルミニウム系などの防錆顔料を挙げることができる。
【0037】
体質顔料としては、それ自体既知のものを使用することができ、例えば、シリカ、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、クレー、ホワイトカーボン、珪藻土、タルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、タンカルなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。本発明の水性防食塗料において、上記体質顔料としてタルクを使用すると、形成塗膜の耐水性を向上させることができ好適である。
【0038】
顔料分が体質顔料を含む場合における体質顔料の配合割合は、本発明の2液型水性防食塗料に含まれる樹脂固形分に対する顔料質量濃度で5〜40%、特に20〜30%の範囲内にあることが耐水性と防食性を両立させる上で好ましい。
【0039】
上記着色顔料としては、それ自体既知のものを使用することができ、例えば、酸化チタン、ベンガラ、シアニン系着色顔料、カーボンブラック、ジルコン粉末等が挙げられる。
【0040】
顔料分が着色顔料を含む場合における着色顔料の配合割合は一般に、本発明の水性防食塗料に含まれる樹脂固形分に対する顔料質量濃度で10〜40%、特に20〜30%の範囲内にあることができる。
【0041】
主剤(I)は、上記エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料分の他に、必要に応じて、1−(ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸、(2−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸ジ−(C12−C14アルキルアンモニウム塩などのベンゾチアゾール系化合物;4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とN−エチルモルフォリンとの付加反応物、4−メチル−γオキソ−ベンゼンブタン酸とジルコニウムとの付加反応物のケトカルボン酸系等の有機防錆剤;エポキシエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂等の改質用樹脂;分散剤、消泡剤、防腐剤、フラッシュラスト抑制剤、増粘剤、造膜助剤等の通常の塗料用添加剤;等を含むことができる。
【0042】
アミン硬化剤(II)
本発明の水性防食塗料においては、アミン硬化剤(II)として、環状構造を有するポリアミンを含んでなるものを使用する。
【0043】
アミン硬化剤(II)が上記環状構造を有するポリアミンを含むことによって、形成塗膜の常温における硬化性と防食性に優れるという顕著な効果を発揮する。
【0044】
環状構造を有するポリアミンを使用することによって上記の如き効果が得られる理由は定かではないが、塗膜形成段階において、アミノ基近傍に存在する環状構造によってリン酸とアミンの中和反応が抑制され、リン酸系防錆顔料が基材に配向されるとともにポリアミン中に含まれるアミノ基が主剤(I)中に含まれるエポキシ基と効率的に反応することができ、その結果、架橋塗膜の形成とリン酸系防錆顔料による防食作用とを両立させることができるものと推察される。
【0045】
本発明に使用されるアミン硬化剤(II)は、その成分の一部として活性水素当量が80以上で且つ1000未満の範囲内、特に80〜200の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIa)を含むことを特徴とする。かかる範囲の活性水素当量を有する環状ポリアミン(IIa)をアミン硬化剤(II)中に必須成分として含ませることによって、本発明の2液型水性防食塗料により形成される塗膜の防食性、硬化性向上に効果がある。
【0046】
また、上記アミン硬化剤(II)は、上記活性水素当量が80以上で且つ1000未満の範囲内の環状構造を有するポリアミン(IIa)に加えて、活性水素当量が1000〜5000の範囲内、特に2000〜3000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)を含むことが適している。これにより本発明の2液型水性防食塗料から形成される塗膜の応力が緩和され、防食性をより一層向上させる効果がある。また、理由は定かではないが、活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)を併用することによって、亜鉛メッキ鋼板に対する付着性向上に特に効果がある。
【0047】
本明細書においてポリアミンの活性水素当量とは、活性水素1個あたりの分子量を意味する。
【0048】
上記環状構造を有するポリアミン(IIa)の好ましい固形分含有量としては、アミン硬化剤(II)固形分中25〜75質量%の範囲内、特に30〜50質量%の範囲内にあることが防食性、硬化性の点から好ましく、活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)を併用する場合における好ましい固形分含有量としては、アミン硬化剤(II)固形分中25〜75質量%の範囲内、特に50〜70質量%の範囲内にあることが形成塗膜の防食性の点から好適である。
【0049】
このような目的で使用される環状構造(例えば、シクロアルキル環、ベンゼン環、複素環など)を有するポリアミンとしては、例えば、N−アミノエチルピペラジン等のピペラジン類、1,3−ビスアミノエチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、イソホロンジアミン、1−シクロヘキシルアミノ−3−アミノプロパン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ジ(アミノシクロヘキシル)メタン、1,3−ジ−(アミノシクロヘキシル)プロパン、2,4−ジアミノ−シクロヘキサンN,N´−ジエチル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノシクロヘキシルメタン等の脂環族ポリアミン;メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等の芳香族ポリアミン等を挙げることができる。
【0050】
アミン硬化剤(II)は、水溶性または水分散性であることが望ましく、したがって、上記ポリアミンは、例えば、ポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物などを用いてポリオキシアルキレン変性したものであることが望ましい。
【0051】
上記ポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物は、1分子中にエポキシ基とポリオキシアルキレン単位を有する化合物であれば特に制限はなく、例えば、数平均分子量が400〜20,000の範囲内にあるポリオキシエチレングリコール(a)と、水酸基およびエポキシ基を有する樹脂(b)と、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(d)とを反応させることにより得られるもの;数平均分子量が400〜20,000の範囲内にあるポリオキシエチレングリコール(a)と、水酸基およびエポキシ基を有する樹脂(b)と、ラクトン類(e)とを反応させることにより得られるもの;を使用することができる。
【0052】
数平均分子量が400〜20,000のポリオキシエチレングリコール(a)水酸基およびエポキシ基を有する樹脂(b)、ならびに1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物(d)としては主剤(I)の項で述べたものが同様に使用可能である。
【0053】
上記ラクトン類(e)としては、例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等が挙げられる。
【0054】
上記(a)、(b)および(d)もしくは(e)の3成分は、一括して反応させてもよく或いは3成分を任意の順序で逐次反応させてもよい。必要に応じて触媒としてBF−アミン錯塩の存在下で行うこともできる。該BF−アミン錯塩としては、例えば、BF−ベンジルアミン、BF−モノエチルアミン、BF−トリエチルアミン、BF−プロピルアミン、BF−アニリン、BF−ジメチルアニリン等が挙げられる。
【0055】
上記ポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物を用いるポリアミンの変性は、エポキシ基に対し、アミノ基が過剰となるような割合で行うことができる。
【0056】
また、この反応の際に活性水素当量を調整する目的で上記エポキシ樹脂(i)の如きエポキシ基を有する化合物を反応させてもよい。
【0057】
本発明においてアミン硬化剤(II)は、本発明の水性防食塗料の性能を損なわない範囲で、上記環状構造を有するポリアミン以外のポリアミンを含んでいてもよい。
【0058】
かかる環状構造を有するポリアミン以外のポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン等のポリアルキレンアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(3−アミノプロピルアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、ネオペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,3−ジアミノペンタン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミンなどが挙げられる。
【0059】
上記環状構造を有するポリアミン以外のポリアミンを使用する場合は該アミンの固形分含有量がアミン硬化剤(II)固形分中20質量%未満、特に10質量%未満の範囲内にすることが望ましい。
【0060】
上記アミン硬化剤(II)は必要に応じて水を含有してもよい。その際の水の量は、アミン硬化剤(II)の粘度、水性防食塗料の調合のし易さ、塗装作業性などの観点から、ポリアミン/水質量比で、通常10/90〜100/0、好ましくは30/70〜70/30の範囲内が適当である。
【0061】
上記アミン硬化剤(II)は、シランカップリング剤、分散剤、消泡剤、防腐剤、フラッシュラスト抑制剤、増粘剤、造膜助剤等の通常の塗料用添加剤を含んでいても差し支えない。
【0062】
本発明の水性防食塗料におけるアミン硬化剤(II)の配合割合は、塗膜の硬化性、耐水性などの観点から、主剤(I)中に含まれるエポキシ樹脂エマルジョン中のエポキシ基1当量に対してアミン系硬化剤(II)の活性水素が通常、0.4〜1.2当量、特に0.5〜0.8当量の範囲内となるような割合で用いるのが望ましい。
【0063】
防食塗装方法
本発明の防食塗装方法が適用される基材面としては、防食を必要とするものであれば特に制限されるものではなく、例えば、鋼構造物の構成部材となる鋼管、鋼管矢板、鋼矢板、鋼板等の鋼材面が挙げられる。
【0064】
上記鋼材としては、例えば、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系などのステンレス鋼板;チタンまたはチタン合金板;アルミニウム板;溶融亜鉛または亜鉛合金めっき板等の耐食性鋼材;SPA材、SMA材等の耐候性鋼材などが包含される。
【0065】
なお、上記基材面表面には、予めさび止め塗装、プライマー塗装等が施されていてもよい。
【0066】
本発明の水性防食塗料は2液型であり、使用直前に主剤(I)およびアミン硬化剤(II)を混合することによって容易に調製することができ、乾燥膜厚で通常20〜250μm、好ましくは40〜150μmの範囲内となるようにして前記の基材面に塗装することができる。その塗装は、それ自体既知の塗装手段、例えば、エアスプレー、エアレススプレー、刷毛塗り、ローラー塗り等で行うことができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。なお、下記例中の「部」および「%」はそれぞれ「質量部」および「質量%」を意味する。
【0068】
エポキシ樹脂水分散物の製造
製造例1
温度計、攪拌機、冷却管を備えたガラス製3つ口フラスコに数平均分子量6000のポリエチレングリコール600gとプロピレングリコールモノメチルエーテル13.5gと「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190、数平均分子量380)380gを加え、100℃で攪拌混合し均一になった後、トリレンジイソシアネート52.2gを加え、2時間反応させた後、120℃に昇温し、さらに4時間反応させた。そして、イソシアネート価が0.5以下になったことを確認し、プロピレングリコールモノメチルエーテル117gを加えて希釈したものを分散安定樹脂とした。この分散安定樹脂35gに対して「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190、数平均分子量380)65gを加え、攪拌機で攪拌しながら水を100g加え、エポキシ樹脂水分散物(I−1)を得た。
【0069】
製造例2
製造例1においてプロピレングリコールモノメチルエーテルの代わりにメチルエチルケトキシム13.1gを用いた以外は製造例1と同様にして反応を行い、エポキシ樹脂水分散物(I−2)を得た。
【0070】
ポリアミンをポリオキシアルキレン変性するためのポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物の製造
製造例3
温度計、攪拌機、冷却管を備えたガラス製3つ口フラスコに、数平均分子量2000のポリエチレングリコール2000gとε−カプロラクトン228gと「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190、数平均分子量380)1900gを加え80℃、2時間反応させた後、BF−モノエチルアミン錯塩6.7gを加え、140℃、4時間反応させてエポキシ当量;480のポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物を得た。
【0071】
自己乳化型アミン硬化剤の製造
製造例4
温度計、攪拌機、冷却管を備えたガラス製3つ口フラスコに、メタキシリレンジアミン140gと製造例3で得たポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物210gと「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190、数平均分子量380)10gを加え、90℃、2時間反応させて、水90g加え活性水素当量120の自己乳化型アミン硬化剤(II−1)を得た。
【0072】
製造例5
製造例4において、メタキシリレンジアミンにかえてイソホロンジアミン140gを用いる以外はすべて製造例4と同様にして、活性水素当量125の自己乳化型アミン硬化剤(II−2)を得た。
【0073】
製造例6
製造例4において、メタキシリレンジアミンにかえて1.3−ビスアミノエチルシクロヘキサン140gを用いる以外はすべて製造例4と同様にして、活性水素当量125の自己乳化型アミン硬化剤(II−3)を得た。
【0074】
製造例7
温度計、攪拌機、冷却管を備えたガラス製3つ口フラスコに、メタキシリレンジアミン140g、数平均分子量2000のポリエチレングリコール95gおよび製造例3で得たポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物210gと「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190、数平均分子量380)10gを90℃で2時間反応させ、水326gを加え活性水素当量3000の均一な自己乳化型アミン硬化剤(II−4)を得た。
【0075】
製造例8
数平均分子量2,000のポリエチレングリコール1,000gとトリレンジイソシアネート174gでイソシアネートプレポリマーを作った後、「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190)900gを加え反応させ、ポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物(A)を調製した。また、数平均分子量2,000のポリエチレングリコール1,000gとトリレンジイソシアネート174gでイソシアネートプレポリマーを作った後、「jER−828」(商品名、ジャパンエポキシレジン製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量;190)450gを加え反応させ、ポリオキシアルキレン変性エポキシ基含有化合物(B)を調製した。エポキシ基含有化合物(A)20gとエポキシ基含有化合物(B)100gとメタキシリレンジアミン140gを90℃、2時間反応させ、水80gを加え、活性水素当量が7000の均一な自己乳化型アミン硬化剤(II−5)を得た。
【0076】
防食塗料組成物の製造
実施例1〜9及び比較例1〜3
製造例1、2で得られたエポキシ樹脂水分散物に、顔料として表1に示す性状、特性を有する各防錆顔料(注*)と体質顔料を表2に示す配合割合で混合し得られた各主剤に対して、製造例4〜8で得られた自己乳化型アミン硬化剤及びジエチレントリアミンを表2に示すような配合割合で混合し各水性防食塗料を得た。次いで得られた各水性防食塗料について、サンドブラスト鋼板(新しい黒皮鋼板をサンドブラスト処理にてISO Sa2.5まで処理)及び溶融亜鉛メッキ鋼板でHDZ55規格(亜鉛の付着量が550g/m以上)の鋼板に、実施例1〜9及び比較例1〜3で得た各塗料を、乾燥膜厚60〜80μmになるようにエアースプレーで塗布し、23℃、50%相対湿度で7日間乾燥して得た塗板について防食性、硬化性の評価に供した。結果を表2に示す。
【0077】
(注*)防錆顔料
防錆顔料として表1に示す性状、特性を有する化合物を使用した。尚、表1中ブランクとは防錆顔料添加無しの意味である。
【0078】
【表1】

【0079】
(*1)ΔpHa:
0.01Nの塩酸水溶液40gに対して各防錆顔料を1.2g添加した後、可変速ディスパーで回転速度300rpmで攪拌し、20℃、48時間静置後の水溶液と、防錆顔料を添加する前の0.01Nの塩酸水溶液とのpHの差の絶対値。
(*2)ΔpHb:
0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液40gに対して各防錆顔料を1.2g添加した後、可変速ディスパーで回転速度300rpmで攪拌し、20℃、48時間静置後の水溶液のpHと、防錆顔料を添加する前の0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液とのpHの差の絶対値。
(*3)防錆性a:
0.01Nの塩酸水溶液40gに対して各防錆顔料を1.2g添加した水溶液に軟鋼板を48時間、20℃の条件で浸漬した後の錆の有無。
(*4)防錆性b:
0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液40gに対して各防錆顔料を1.2g添加した水溶液に軟鋼板を48時間、20℃の条件で浸漬した後の錆の有無。
【0080】
【表2】

【0081】

防食性:
JIS Z2371塩水噴霧試験2000時間後のサビ、フクレの発生程度について下記の基準で評価した。
◎:サビ全くなし、フクレ全くなし、
△:サビごくわずかに発生、フクレごくわずかに発生、
×:サビ少し発生、フクレ少し発生。
【0082】
硬化性:
塗板から塗膜を一定量はがし取り、このものをテトラヒドロフラン溶剤に浸漬して、20℃、24時間放置後、(浸漬後の塗膜の質量/浸漬前の塗膜の質量)×100の計算式を用いてゲル分率を求め、下記の基準で評価した。
◎:ゲル分率70%以上、
○:ゲル分率60%以上且つ70%未満、
△:ゲル分率50%以上且つ60%未満、
×:ゲル分率50%未満。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)エポキシ樹脂エマルジョン及び顔料分を含む主剤と(II)アミン硬化剤の組み合わせからなり、それらを使用直前に混合して塗装する2液型の水性防食塗料であって、主剤(I)中の顔料分が、その成分の一部としてリン酸系防錆顔料を含んでなり、アミン硬化剤(II)が、その成分の一部として活性水素当量が80以上で且つ1000未満の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIa)を含むことを特徴とする2液型水性防食塗料。
【請求項2】
エポキシ樹脂エマルジョンが、分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(i)をポリオキシアルキレンに由来する乳化成分の存在下で水性媒体中に乳化分散してなるものである請求項1に記載の2液型水性防食塗料。
【請求項3】
リン酸系防錆顔料が、0.01Nの塩酸水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後48時間経過後の水溶液と、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの塩酸水溶液とのpHの差の絶対値が4.0〜8.0の範囲内であって、且つ0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液40gに対して該リン酸系防錆顔料を1.2g添加した後48時間経過後の水溶液のpHと、リン酸系防錆顔料を添加する前の0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液とのpHの差の絶対値が2.0〜4.0の範囲内にあるものである請求項1または2に記載の2液型水性防食塗料。
【請求項4】
アミン硬化剤(II)が、活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)をさらに含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の2液型水性防食塗料。
【請求項5】
活性水素当量が1000〜5000の範囲内にある環状構造を有するポリアミン(IIb)の固形分含有量が、アミン硬化剤(II)固形分中25〜75質量%の範囲内にある請求項4に記載の2液型水性防食塗料。
【請求項6】
基材面に、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の2液型水性防食塗料を塗装することを特徴とする防食塗装方法。
【請求項7】
亜鉛めっき鋼板に、請求項4または5に記載の2液型水性防食塗料を塗装する亜鉛めっき鋼板の防食塗装方法。

【公開番号】特開2009−149791(P2009−149791A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−329696(P2007−329696)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】