説明

2液混合吐出容器

【課題】2液混合吐出容器においてリフィル容器を使用する場合に生じ得る2液の不用意な混合を解消する。
【解決手段】2液混合吐出容器1Aが液体を独立的に収容する第1の容器本体2Aと第2の容器本体2B、及び第1の容器本体2Aと第2の容器本体2Bの口部21に装着される吐出装置3Aを備える。吐出装置3Aは、第1の容器本体2Aに収容されている液体を吐出孔33Aから吐出させる第1の吐出経路36Aと第2の容器本体2Bに収容されている液体を吐出孔33Bから吐出させる第2の吐出経路36Bを有する。第1の吐出経路36Aの容器本体側の端部に、第1の容器本体2Aに挿入されるディップチューブ32Aが取り付けられ、第2の容器本体2Bの内部にディップチューブ32Bが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種の液体を別々に収納し、同時に吐出する2液混合吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の吐出装置は、衣料用仕上げ剤、住宅用液体洗剤等などの容器として広く使用されており、住宅用液体洗剤には、過酸化水素を含む第1液とアルカリ性の第2液の2種の液体を使用するなど、使用時に2液を混合して効果的に洗浄を行うものがある。
【0003】
このために使用する2液混合吐出容器としては、2種の液体を別々の容器に収納して同時に吐出させるトリガー式噴出容器であって、トリガーの牽曳による一つのピストンの往復で、シリンダー内に区切られた2室に2種の液体をそれぞれ吸引し、加圧して混合経路に吐出させ、噴出ノズルから2液の混合液体を噴出させるものがある(特許文献1)。しかしながら、この2液混合吐出容器では、トリガー式噴出装置内の混合経路で、液体の性質によっては、2液の混合時にガスが発生し、ガス抜きをする必要が生じる。
【0004】
これに対し、2種の液体を2つの噴出孔から別々に噴出させて噴出後に混合する2液混合吐出容器がある(特許文献2)。この2液混合吐出容器では、噴出孔からの液体の噴出範囲を調整することで、2液が噴出孔から別々に噴出されるのとほぼ同時に2液が混合される。このため、この2液混合吐出容器によれば、容器内のガス抜きを不要にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許5094440号
【特許文献2】特開平8−84946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、近年、環境負荷を抑えると共に、製品価格を下げるために、リフィル容器が普及している。2種混合吐出容器においてリフィル容器を使用する態様としては、本来の2種混合吐出容器の容器本体に、リフィル容器から内容液を詰め替える方法もあるが、詰め替え時に液体が溢れるおそれをなくす点から、2液混合吐出容器の吐出装置をリフィル容器に付け替えることが望ましい。
【0007】
しかしながら、2液混合吐出容器のリフィル容器に吐出装置を付け替える場合、2種の液体のリフィル容器と吐出装置の連結を付け間違えると2液が不用意に混合してしまう。また、吐出装置からの液だれがリフィル容器内に混入することによっても2液の不用意な混合が生じる。
【0008】
このような問題に対し、本発明は、2液混合吐出容器においてリフィル容器を使用する場合に生じ得る2液の不用意な混合を極力なくすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、2つの吐出孔と吐出経路を備えた2液吐混合出容器に、2種の液体をそれぞれディップチューブを用いて容器本体から供給するにあたり、ディップチューブの一方を容器本体に取り付けておき、他方を吐出装置に取り付けておくと、容器本体と吐出装置との連結の付け間違えの虞を完全に解消できることを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、液体を独立的に収容する第1の容器本体と第2の容器本体、及び第1の容器本体と第2の容器本体の口部に装着される吐出装置を備えた2液混合吐出容器であって、
吐出装置が、第1の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第1の吐出経路と第2の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第2の吐出経路を有し、第1の吐出経路の容器本体側の端部に、第1の容器本体用のディップチューブが取り付けられ、
第2の容器本体の内部にディップチューブが取り付けられている2液混合吐出容器を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の2液混合吐出容器によれば、第1の容器本体と第2の容器本体の口部に装着される吐出装置が、該吐出装置内に第1の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第1の吐出経路と第2の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第2の吐出経路を有し、第1の吐出経路の容器本体側の端部に、第1の容器本体に挿入されるディップチューブが取り付けられており、第2の容器本体の内部にディップチューブが取り付けられているので、容器本体の口部に吐出装置を装着する場合に、吐出装置に取り付けられている第1の容器本体用のディップチューブが、既にディップチューブが取り付けられている第2の容器本体に挿入されることはなく、必ず、第1の容器本体に挿入される。よって、第1、第2の容器本体としてリフィル容器を使用し、リフィル容器である第1、第2の容器本体に吐出装置を装着する場合であっても、吐出装置内の第1、第2の吐出経路と、第1、第2の容器本体との連結を付け間違えることはなく、2液の不用意な混合を完全に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施例の2液混合吐出容器1Aの(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図2】図2は、実施例の2液混合吐出容器1Aの(a)吐出装置の正面図及び(b)連結袴を外した状態の容器本体の正面図である。
【図3】図3は、容器本体の(a)上面図、(b)正面図、(c)側面図である。
【図4】図4は、容器本体を第1の容器本体と第2の容器本体に外した状態の(a)上面図及び(b)正面図である。
【図5】図5は、容器本体がリフィル容器として提供される形態の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図6】図6は、吐出装置の変形態様の正面図である。
【図7】図7は、2液混合吐出容器1Cの(a)正面図及び(b)側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図を参照しつつ本発明を具体的に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
図1は、本発明の一実施例の2液混合吐出容器1Aの(a)正面図、及び(b)側面図である。この2液混合吐出容器1Aは容器本体2と吐出装置3Aを備え、吐出装置3Aは、容器本体2の口部21に着脱自在に螺合し、容器本体2の底部には、該底部外表面を被う袴部材4が着脱自在に嵌められており、図2に示すように、容器本体2と吐出装置3Aと袴部材4を取り外すことができる。
【0014】
容器本体2は、図3に示すように、第1の容器本体2Aと第2の容器本体2Bを組み合わせたものからなり、第1の容器本体2Aと第2の容器本体2Bは、それぞれ独立的に収容部を有する扁平な有底筒状形状をなしており、図4に示すように、2つのパーツに離すことができる。第1の容器本体2Aと第2の容器本体2Bの口部壁には、互いに嵌合する凹部22と凸部23が設けられており、第1の容器本体2Aと第2の容器本体2Bの組み合わせ形態を安定化させている。
【0015】
吐出装置3Aは、図1(b)に矢印で示したトリガー31の引き寄せと解除によりシリンダー内のピストンを往復させ、それによりディップチューブ32A、32Bを通して第1、第2の容器本体2A、2Bからシリンダー34内へ液体を吸い上げることと、シリンダー34に吸い上げた液体をピストン35で加圧することにより液体を第1、第2の吐出孔33A、33Bから吐出させることを交互に繰り返すトリガー式吐出装置である。吐出装置3Aにおいて、第1、第2の容器本体2A、2Bからシリンダー34への液体の吸い上げや、シリンダー34に吸い上げた液体の第1、第2の吐出孔33A、33Bからの吐出自体は、公知のトリガー式吐出装置と同様の機構とすることができるが、この吐出装置3Aでは、2つの容器本体2A、2Bからそれぞれ液体を吸い上げ、各液体を2つの吐出孔33A、33Bから別々に吐出させられるように、2つの吐出経路36A、36Bが並列的に吐出装置3A内に形成されている。なお、このように2つの吐出経路36A、36Bを有する吐出装置自体の構成は、例えば、特開平8−84946号公報の図1のスプレー容器と同様にすることができる。
【0016】
第1、第2の吐出経路36A、36Bがそれぞれ連通する第1、第2の吐出孔33A、33Bの構成に関しては、そこから吐出される液体の吐出範囲が重なり合い、それらが、2つの吐出孔33A、33Bから吐出されるのと同時に混合しあうように、特開平8−84946号公報のスプレー容器と同様に、2つの吐出孔33A、33Bは適宜その開口径が定められる。2つの吐出孔33A、33Bの間には突出片を起立させてもよい。
【0017】
また、容器本体2に対して、第1、第2の吐出孔33A、33Bを所定の向きにしたところで、吐出装置3Aを容器本体2に固定できるように、図2に示すように、螺合により吐出装置3A内の中栓を容器本体2の口部21に押さえ付け、吐出装置3Aを容器本体2に固定するキャップ5が設けられている。
【0018】
本実施例では、吐出装置3A内の2つの吐出経路36A、36Bのうち、図2に示すように、第1の容器本体2Aの液体を吐出させる第1の吐出経路36Aの容器本体2A側の端部には、第1の容器本体2A用のディップチューブ32Aが固定的に取り付けられているが、第2の容器本体2Bの液体を吐出させる第2の吐出経路36Bの容器本体2B側の端部にはディップチューブ32Bが取り付けられておらず、また、第1の容器本体2Aの内部にはディップチューブ32Aが取り付けられていないが、第2の容器本体2Bの内部にはディップチューブ32Bが固定的に取り付けられている。また、第2の容器本体2Bの内部に取り付けられたディップチューブ32Bの上端部には、容器本体2B内の液体の吐出を可能とする逆止弁37が設けられており、同様の逆止弁が、第1の容器本体2A用のディップチューブ32Aの下流にも設けられている(図示せず)。
【0019】
これにより、第1、第2の容器本体2A、2Bを組み合わせた容器本体2の口部21に吐出装置3Aを装着するときに、第1の容器本体2A用のディップチューブ32Aは、既にディップチューブ32Bが取り付けられている第2の容器本体2Bには挿入される余地が無いため、必ず、第1の容器本体2Aに挿入される。したがって、第1の容器本体2A用のディップチューブ32Aが、誤って第2の容器本体2Bに挿入されることによる2液の不用意な混合を完全になくすことができる。よって、例えば、図5に示すようにリフィル容器として提供される容器本体2A’、2B’に吐出装置3Aを装着するときにも、2液の不用意な混合を完全になくすことができる。
【0020】
この実施例の2液吐出混合容器1Aは、次のように使用される。まず、図1(b)の矢印方向へのトリガー31の引き寄せと、その解除を繰り返すことにより、第1、第2の容器本体2A、2Bにそれぞれ収容されている液体を、吐出装置3A内のシリンダー34へ吸い上げ、そうして吸い上げた液体をそれぞれの吐出経路36A、36Bを通して別々の吐出孔33A、33Bから同時に吐出させる。このとき、2つの吐出孔33A、33Bの吐出範囲が重なっていることにより、吐出孔33A、33Bから吐出した液体は、吐出とほぼ同時に混合する。
【0021】
容器本体2A、2B内の液体が消費された場合には、キャップ5を回して緩め、図2に示すように容器本体2A、2Bから吐出装置3Aを外す。そして、図5に示すようにリフィル容器として提供される第1、第2の容器本体2A’、2B’からそれらの蓋6を取り外し、容器本体2A’、2B’の口部に吐出装置3Aを装着し、キャップ5を締めて吐出装置3Aと容器本体2A’、2B’の連結を固定する。このとき、吐出装置3Aに取り付けられていた第1の容器本体用のディップチューブ32Aは、第1の容器本体2A’に挿入され、吐出装置3A内の第2の容器本体用の吐出経路36Bの容器本体側の端部が、第2の容器本体2B’内のディップチューブ32B上に押し付けられる。こうして2液が不用意に混合することなく、再度、容器本体2A’、2B’から液体を混合吐出させることが可能となる。
【0022】
本発明は、種々の態様をとることができる。
例えば、吐出装置の構成としては、図6に示す吐出装置3Bのように、吐出孔33A、33Bの前方に、吐出孔33A,33Bからそれぞれ吐出した液体を衝突させる先端部壁38を設け、その先端部壁38に混合液吐出ノズル39を形成し、先端部壁38に衝突して混合した2つの液体を混合液吐出ノズル39から吐出させるようにしてもよい。これにより、混合液吐出ノズル39から完全に混合された液体を噴出させることができる。
【0023】
さらに、吐出装置はトリガー式に限られず、ポンプ式吐出装置を使用してもよい。図7は、ポンプ式吐出装置3Cを備えた2液混合吐出容器1Cの(a)正面図及び(b)側面図である。このポンプ式吐出装置3C内には、シリンダーとピストンからなるポンプ装置が2個組み込まれ、それらのピストンが共通の押圧部40で押し込めるように構成されている。
【0024】
一方、容器本体に関し、第1,第2の容器本体2A、2Bのそれぞれ内部の液体の残量がわかるように、第1,第2の容器本体2A、2Bを透明材料で形成してもよく、2液の区別を付けやすいように色分けしてもよい。
【0025】
また、第1、第2の容器本体2A、2B中の一方だけが先に消費された場合に、消費された一方の容器本体だけを付け替えられるように、第1,第2の容器本体2A、2B用のリフィル容器を別々に提供しても良い。反対に、第1、第2の容器本体2A、2Bに収容されている液体を、同量ずつ吐出させる場合には、第1、第2の容器本体2A、2Bは、必ずしも別パーツに構成する必要はなく、外形的には一体に構成してもよい。したがって、上述の2液混合容器1Aにおいて、第1,第2の容器本体2A、2Bと袴部材4とを固着させてもよい。なお、廃棄時の容器内洗浄を容易にする点からは、第1,第2の容器本体2A、2Bは、着脱自在とすることが好ましい。
【0026】
また、第1,第2のディップチューブ32A、32Bとしては、可撓性のものも硬質のものも使用することができるが、容器本体2A、2Bの付け替え時に、容器本体2Aへの挿入が必要とされるディップチューブ32Aについては、挿入しやすく、チューブ内に残存している液体のはねの問題を回避できる点から、略直線状で硬質のものを使用することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の2液混合吐出容器は、2種の液体を混合して使用する2液式の住宅用洗剤、漂白剤、衣料用仕上げ剤等の容器として有用である。
【符号の説明】
【0028】
1A、1C 2液混合吐出容器
2 容器本体
2A 第1の容器本体
2A’ リフィル容器の第1の容器本体
2B 第2の容器本体
2B’ リフィル容器の第2の容器本体
21 口部
22 凹部
23 凸部
3A、3B、3C 吐出装置
31 トリガー
32A 第1のディップチューブ
32B 第2のディップチューブ
33A 第1の吐出孔
33B 第2の吐出孔
34 シリンダー
35 ピストン
36A 第1の吐出経路
36B 第2の吐出経路
37 逆止弁
38 先端部壁
39 混合液吐出ノズル
4 袴部材
5 キャップ
6 リフィル容器の蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を独立的に収容する第1の容器本体と第2の容器本体、及び第1の容器本体と第2の容器本体の口部に装着される吐出装置を備えた2液混合吐出容器であって、
吐出装置が、第1の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第1の吐出経路と第2の容器本体に収容されている液体を吐出孔から吐出させる第2の吐出経路を有し、第1の吐出経路の容器本体側の端部に、第1の容器本体用のディップチューブが取り付けられ、
第2の容器本体の内部にディップチューブが取り付けられている2液混合吐出容器。
【請求項2】
第1の容器本体と第2の容器本体が、互いに嵌合する凹凸面を有する請求項1記載の2液混合吐出容器。
【請求項3】
第1の吐出経路が連通する第1の吐出孔と第2の吐出経路が連通する第2の吐出孔が別々に設けられている請求項1又は2記載の2液混合吐出容器。
【請求項4】
第1の吐出孔から吐出された液体と、第2の吐出孔から吐出された液体とが、吐出と同時に混合するように双方の吐出孔からの吐出範囲が重なり合う請求項3記載の2液混合吐出容器。
【請求項5】
吐出装置が、トリガー式吐出装置である請求項1〜4のいずれかに記載の2液混合吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−214234(P2012−214234A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79269(P2011−79269)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】