説明

2液混合容器

【課題】構造を簡素化した上で、別々の容器に充填された2液を、容器の蓋を開くだけという簡単な動作で混合する2液混合容器を提供する。
【解決手段】大容器2の口部6に装着される連結体15と、小容器3の口部11及び連結体15のそれぞれに螺合装着される蓋体16と、小容器3と連結体15との間に設けられ小容器3の連結体15に対する回転を規制する回転規制手段31とを備えているので、通常の開栓操作によって、大容器2内の第1液と小容器3内の第2液とを混合させて使用することができ、使用勝手が非常に良く、蓋体16を完全に開くことなく2液を混合できるので衛生的にも良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、別々の容器に充填された2液を使用時に混合する2液混合容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2液混合容器として、例えば、特許文献1に開示されたものがある。該特許文献1に係る2液混合容器は、第1液を収容する第1容器と、第2液を収容する第2容器と、第1容器の胴部壁に形成した円筒カムにより上下にスライドするスライドキャップとを有し、第1容器の底壁の傾斜面部にスコアによって切取部を区画し、切取部の上面に設けた破断作動片をスライドキャップによって回転させることにより、切取部を底壁から切離して、底壁に液が流通する開口を形成して、第1液を該開口から第2容器内に流下させて両液が混合するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−59373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る2液混合容器では、第1容器と第2容器との間に存在する底壁をスライドキャップによって破断、開口するものであるから一方の容器を廃棄する構造であり、破断した際に生じる異物が内容液に入る可能性があるため使途が限られ、これに加えて、その構造が複雑で製造コストが高くなるなどの問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、構造を簡素化した上で、別々の容器に充填された2液を、容器の蓋を開くだけという簡単な動作で混合でき、切断片等の異物を発生させることのない2液混合容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明は、第1液用の大容器と、該大容器の口部に装着され、上部にねじ部を備えた筒状壁部を有する筒状の連結体と、該連結体の内側に配置され、口部にねじ部を備えた第2液用の小容器と、ねじ部をそれぞれ備えた、同心状に配置された2つの筒状壁部を天面部から垂設させ、外側の筒状壁部のねじ部は前記連結体の筒状壁部のねじ部に螺合し、内側の筒状壁部のねじ部は前記小容器の口部のねじ部に螺合してなる蓋体と、前記小容器の外壁と前記連結体の内壁との間に設けた回転規制手段とからなり、前記蓋体をねじの締結位置から緩めたとき、前記連結体に対して前記蓋体と共に前記小容器を上昇させ、その途中で前記回転規制手段により前記連結体に対する前記小容器の回転を規制することを特徴とするものである。
請求項1の発明では、使用時に、蓋体を開方向に回転させると、蓋体は連結体に対して上方に徐々に移動すると共に、小容器も同方向に回転しながら上方に徐々に移動する。その後も蓋体の回転操作を続けると、回転規制手段により連結体に対する小容器の回転が規制されると、蓋体と小容器の口部との螺合が解除されたその時点で小容器が大容器内に落下して、大容器内の第1液と小容器内の第2液とが大容器の内部で混合されて、該混合液を使用することができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記回転規制手段は、前記小容器の外壁に設けた突起部と、前記連結体の内壁に設けた突片とから構成されることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、蓋体を開方向に回転させる際、小容器も同方向に回転しながら上方に移動するが、その途中で小容器の外壁に設けた突起部と、連結体の内壁に設けた突片とが係合して小容器の連結体に対する回転が規制されると、ねじ作用で蓋体と小容器とは分離し、小容器は大容器内に落下する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る2液混合容器によれば、通常の開栓操作によって、大容器内の第1液と小容器内の第2液とを混合させて該混合液を使用することができるので、使用勝手が非常に良い。また、構造が簡素化されているので、製造コストが高くなることもない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る2液混合容器の断面図である。
【図2】図2(a)は、図1の小容器の上面図で、(b)は断面図である。
【図3】図3(a)は、図1の連結体の上面図で、(c)は下面図で、(b)は(a)及び(c)のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図4(a)は、図1の蓋体の断面図で、(b)は下面図である。
【図5】図5は、本2液混合容器の組立手順を示す図である。
【図6】図6は、本2液混合容器の作用を示す図である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施形態に係る2液混合容器の断面図である。
【図8】図8(a)は、図7の小容器の上面図で、(b)は断面図である。
【図9】図9は、図7の連結体の下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図1〜図9に基づいて詳細に説明する。
まず、本発明の第1の実施形態に係る2液混合容器1aを、図1〜図6に基づいて説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る2液混合容器1aは、図1に示すように、第1液用の大容器2と、該大容器2の口部6から挿入され、口部11の外周面に雄ねじ部13を備えた第2液用の小容器3と、大容器2の口部6に着脱自在に装着され、上部に向かって延び外周面に雄ねじ部30を備えた筒状の螺合壁部24(筒状壁部)を有する筒状の連結体15と、雌ねじ部38、39をそれぞれ備えた、同心状に配置された胴部35(外側の筒状壁部)及び螺合壁部36(内側の筒状壁部)を天面部34から垂設させ、胴部35の雌ねじ部38は連結体15の螺合壁部24の雄ねじ部30に螺合し、螺合壁部36の雌ねじ部39は小容器3の口部11の雄ねじ部13に螺合してなる蓋体16とを備えている。
以下に詳細に説明する。
【0011】
大容器2は、図1に示すように、合成樹脂製の容器本体5と、円筒状の口部6とを一体的に備えており、口部6の外周面には、連結体15が螺合される雄ねじ部7が形成される。大容器2の内部には第1液が充填される。なお、後述するように大容器2内で混合された混合液を口部6を経由して注ぎ出すか、または、大容器2の容器本体5の底部にチューブ等(図示略)を接続する連結栓を設け、大容器2内で混合された混合液をチューブ等を経由して使用することも可能である。
【0012】
小容器3は、図1及び図2に示すように、合成樹脂製の容器本体10と口部11とを一体的に備えており、容器本体10の上端と口部11の下端とは下方傾斜する肩部12で接続される。小容器3の容器本体10は筒状体であり大容器2の口部6を少なくとも通過する外径を有する。小容器3の口部11の外周面には、後述の蓋体16と螺合される雄ねじ部13が形成される。また、小容器3の肩部12には、周方向に間隔をおいて複数の突起部14が形成される。各突起部14は肩部12の径方向全域に亘って形成される。本実施の形態では、図2(a)から解るように、突起部14は周方向に180°ピッチで2箇所形成される。また、図1に示すように、小容器3の口部11は、後述の連結体15の開口部20よりも小径に形成される。なお、小容器3の内部には第2液が充填される。
なお、大容器2及び小容器3の容器本体5、10は、例えば、軟質合成フィルム等からなる可撓性を有する袋体を含み、この場合袋状の容器本体5、10の開口部に硬質の合成樹脂からなる円筒状の口部6、11が接続される。
【0013】
連結体15は、硬質の合成樹脂からなり、図1及び図3に示すように、略扁平な円筒体であって、円筒状の胴部22と、該胴部22の上部に連設された、中心部に上下に貫通する開口部20を有する水平壁部21と、胴部22の内側に間隔を置いて同心状に水平壁部21から垂設された円筒状の密着壁部23と、水平壁部21の上面から立設され、外周に雄ねじ部30を有する円筒状の螺合壁部24と、該螺合壁部24の内側で同心状に開口部20周辺の水平壁部21の上面から立設された円筒状の接触壁部25と、密着壁部23の上部内壁と水平壁部21の内縁とから周方向に間隔を置いて複数垂設された突片26とを備えている。なお、本実施形態では、図3(c)から解るように、突片26は周方向に60°ピッチで6箇所形成される。また、連結体15の接触壁部25は螺合壁部24より大幅に低く形成される。
【0014】
連結体15の胴部22の内周面には、大容器2の口部6の外周面に形成された雄ねじ部7に螺合される雌ねじ部27が形成される。該胴部22の下端には外方に延設される環状鍔部28が形成される。また、胴部22の外周面には周方向に間隔を置いて複数の縦長突部29が形成される。これら各縦長突部29は、断面半円状で胴部22の上端から環状鍔部28の上面に至る範囲で形成される。本実施形態では、各縦長突部29は、図3(a)から解るように、周方向に60°ピッチで6箇所形成され、突片26と径方向で重なる位置に形成される。また、連結体15の螺合壁部24の外周面には、蓋体16の胴部35の内周面に形成された雌ねじ部38に螺合される雄ねじ部30が形成される。
なお、小容器3の肩部12に設けた各突起部14と、連結体15に設けた各突片26とが連結体15に対する小容器3の回転を規制する回転規制手段31となる。また、連結体15の密着壁部23は、その内径が小容器3の容器本体10の外径よりも大径に形成され、その外径は大容器2の口部6の内径に略一致して、水密性が維持される。
【0015】
蓋体16は、硬質の合成樹脂からなり、図1及び図4に示すように、円板状の天面部34と、該天面部34の外周縁から垂設された円筒状の胴部35(外側の円筒状壁部)と、該胴部35の内側に間隔を置いて同心状に天面部34から垂設された円筒状の螺合壁部36(内側の円筒状壁部)と、該螺合壁部36の内側で同心状に天面部34から垂設された円筒状の接触壁部37とを備えている。
【0016】
蓋体16の胴部35の内周面には、連結体15の螺合壁部24の雄ねじ部30に螺合する雌ねじ部38が形成される。蓋体16の螺合壁部36の内周面には、小容器3の口部11の外周面に形成された雄ねじ部13に螺合する雌ねじ部39が形成される。蓋体16の接触壁部37の先端外縁には、小容器3の口部11の上端内縁の角部が係合される切欠き部40が形成される。胴部35と螺合壁部36とはその高さが略同一に形成され、接触壁部37は、その下端部が螺合壁部36の内側にあって、螺合壁部36の最上部を包む状態に位置する。
なお、蓋体16の螺合壁部36に形成された雌ねじ部39と小容器3の口部11に形成された雄ねじ部13との螺合方向(螺旋方向)と、蓋体16の胴部35に形成された雌ねじ部38と連結体15の螺合壁部24に形成された雄ねじ部30との螺合方向(螺旋方向)は同一方向となる。また、蓋体16の螺合壁部36と小容器3の口部11との螺合長さは、蓋体16の胴部35と連結体15の螺合壁部24との螺合長さよりも短く設定されることが好ましい。
【0017】
そして、図5(a)に示すように、まず、連結体15の螺合壁部24の雄ねじ部30と、蓋体16の胴部35の雌ねじ部38とを螺合して、連結体15に蓋体16を螺合装着する。この時、連結体15の接触壁部25の内周面が蓋体16の螺合壁部36の先端部の外周面に当接して、水密性を確保する。
【0018】
次に、図5(b)に示すように、小容器3内に第2液を所定量充填した後、小容器3の口部11を下方から連結体15の開口部20に挿入すると共に、小容器3の口部11の雄ねじ部13と、蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39とを螺合する。この時、蓋体16の接触壁部37先端の切欠き部40が小容器3の口部11の上端内縁に係合する。また、連結体15に設けた各突片26と、小容器3の肩部12に設けた各突起部14との間には僅かな隙間が設けられる。この状態で、蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39と小容器3の口部11の雄ねじ部13との螺合部は、その上部の内側が蓋体16の接触壁部37に、また、その下部の外側が連結体15の接触壁部25に接触しているので、蓋体16と小容器3の口部11との螺合部の密着性を高めている。
【0019】
次に、図5(c)に示すように、大容器2内に第1液を所定量充填した後、連結体6及び蓋体16が螺合装着された小容器3を大容器2の口部6から挿入して、連結体15の胴部22の雌ねじ部27と、大容器2の口部6の雄ねじ部7とを螺合して2液混合容器1aの組立が完了する。この時、連結体15の密着壁部23の外周面が大容器2の口部6の内周面に密着して、若干密着壁部23により大容器2の口部6の内周面を外方に押圧するようになる。これにより、大容器2の口部6と連結体15とが強固に装着される。なお、連結体6及び蓋体16が螺合装着された小容器3を大容器2の口部6から挿入して、連結体15を大容器2の口部6に螺合した後に、大容器2の底部から内部に第1液を所定量充填してもよい。
【0020】
次に、本発明の第1の実施形態に係る2液混合容器1aにおいて、大容器2内の第1液と小容器3内の第2液との混合を望むとき、その作用を図6に基づいて説明する。
混合する際には、蓋体16を開方向に回転させると、図6(a)に示すように、蓋体16は連結体15に対して上方に移動すると共に、小容器3も同方向に回転しながら上方に移動する。蓋体16が連結体15に対してH1の位置まで移動すると、小容器3の肩部12に設けた各突起部14と連結体15の各突片26とが係合し、該係合時点で小容器3の回転が規制されると共に上方への移動が規制される。
【0021】
さらに蓋体16の回転操作を続けると、図6(b)に示すように、蓋体16のみがねじに沿って上方に移動することになる。さらに回転操作を続け、蓋体16がH2の位置近辺まで移動すれば、蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39と小容器3の口部11の雄ねじ部13との螺合が解除され、この時点で何ものにも拘束されなくなった小容器3は自重で大容器2内に落下する(矢印)。その結果、小容器3内の第2液が大容器2内に流れ込み、第1液と第2液が大容器2内で混合される。この時点では、図6(b)に示すように、まだ、蓋体16の胴部35の雌ねじ部38と、連結体15の螺合壁部24の雄ねじ部30との螺合状態は維持された状態である。
【0022】
なお、蓋体16の開方向の回転操作時に、連結体15には、大容器3の口部6から開栓方向の力が作用するが、連結体15の密着壁部23が大容器2の口部6の内周面を外方に向かって押圧して、大容器2の口部6と連結体15の胴部22との螺合部の摩擦抵抗を高めているので連結体15が開栓する方向に回転することはない。しかも、連結体15の胴部22にはその外周面に縦長突部29が周方向に間隔を置いて複数形成され、胴部22の剛性を高めているので前記螺合部の摩擦抵抗をさらに高めることができる。
【0023】
小容器3を大容器2内に落下させた後は、再度蓋体16を連結体15の雄ねじ部30にねじ込み大容器2を上下に振り2液を攪拌することが望ましい。その後、蓋体16を連結体15から取り除き、大容器2内の混合液を連結体15の開口部20から外部に注出させて使用する。または、蓋体16を連結体15の雄ねじ部30に螺合させた状態で、大容器2内の混合液を、例えば、大容器2の容器本体5の底部に接続されたチューブ等から注出して使用することも勿論可能である。
【0024】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態に係る2液混合容器1aでは、大容器2の口部6に装着される連結体15と、小容器3の口部11及び連結体15のそれぞれに螺合装着される蓋体16と、小容器3と連結体15との間に設けられ小容器3の連結体15に対する回転を規制する回転規制手段31とを備えているので、通常の開栓操作によって、大容器2内の第1液と小容器3内の第2液とを大容器2内で混合させて使用することができ、使用勝手が非常に良い。しかも、2液を混合させる際、蓋体16を完全に開くことなく、すなわち、蓋体16により連結体15の開口部20を閉鎖したままで混合させることができるので、衛生的にも良好である。
【0025】
なお、本発明の第1の実施形態に係る2液混合容器1aでは、回転規制手段31を、小容器3に設けた各突起部14と連結体15に設けた各突片26とから構成したが、小容器3の肩部12の外壁と連結体15の内壁とに両者が係合して回転を規制する係合部をそれぞれ設ければ良い。また、小容器3の肩部12の外壁面と連結体15の内壁面との摩擦抵抗によって連結体15に対する小容器3の回転を規制してもよい。
【0026】
次に、本発明の第2の実施形態に係る2液混合容器1bを、図7〜図9に基づいて説明する。第2の実施形態に係る2液混合容器1bを説明する際には、第1の実施形態に係る2液混合容器1aとの相違点を主に説明する。なお、第1の実施形態に係る2液混合容器1aと同一または相当する部位は同じ符号を使用して説明する。
大容器2は、図7に示すように、例えば、軟質合成フィルム等からなる可撓性を有する袋体で構成される容器本体5と、該容器本体5に設けられ、連結体15が装着される口部6とからなる。
【0027】
小容器3は、図7及び図8に示すように、有底円筒体であり、その上部外周面には、後述する蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39と螺合される雄ねじ部13が形成される。また、小容器3の下端外周面には、複数の突起部14が略水平方向で放射状に突設される。なお、本実施の形態では、図8(a)から解るように、各突起部14は周方向に90°ピッチで4箇所形成される。また、小容器3は、後述する連結体15の円筒状壁部50よりも小径に形成される。
【0028】
連結体15は、硬質の合成樹脂からなり、図7及び図9に示すように、全体として筒状に形成され、円筒状壁部50と、該円筒状壁部50の下端に一体的に接続された、紡錘状または楕円状に開口した本体壁部51とからなる。連結体15の円筒状壁部50の上部外周面には、蓋体16の胴部35の内周面に形成された雌ねじ部38に螺合される雄ねじ部30が形成される。連結体15の肩部52の上端内壁面には、周方向に間隔を置いて複数垂設される突片26が設けられる。なお、本実施形態では、図9から解るように、各突片26は周方向に90°ピッチで4箇所形成される。また、連結体15の円筒状壁部50の上部内壁面には、環状段部53が設けられる。
なお、小容器3の下端外周面に設けた各突起部14と、連結体15に設けた各突片26とが、連結体15に対する小容器3の回転を規制する回転規制手段31となる。
【0029】
蓋体16は、硬質の合成樹脂からなり、図7に示すように、円板状の天面部34と、該天面部34の外周縁から垂設された円筒状の胴部35(外側の円筒状壁部)と、該胴部35の内側に間隔を置いて同心状に天面部34から垂設された円筒状の螺合壁部36(内側の円筒状壁部)と、該螺合壁部36の内側で同心状に天面部34から垂設され、小容器3の内壁面に接触する円筒状の接触壁部37と、胴部35と螺合壁部36との間で同心状に天面部34から垂設された円筒状の密着壁部55とを備えている。
【0030】
蓋体16の胴部35の内周面には、連結体15の円筒状壁部50の雄ねじ部30に螺合する雌ねじ部38が形成される。蓋体16の螺合壁部36の内周面には、小容器3の円筒状壁部50の外周面に形成された雄ねじ部13に螺合する雌ねじ部39が形成される。また、蓋体16の密着壁部55の上部外周面には、連結体15の上部内周面に設けた環状段部53に係合する環状突部56が形成される。また、密着壁部55の外周面には環状突部56と間隔を開けて下方の位置に連結体15の円筒状壁部50の内壁面に密着する環状密着部57が突設されている。
【0031】
なお、蓋体16の螺合壁部36に形成された雌ねじ部39と小容器3に形成された雄ねじ部13との螺合方向(螺旋方向)と、蓋体16の胴部35に形成された雌ねじ部38と連結体15の円筒状壁部50に形成された雄ねじ部30との螺合方向(螺旋方向)とは同一方向となる。また、蓋体16の螺合壁部36と小容器3との螺合長さは、蓋体16の胴部35と連結体15の円筒状壁部50との螺合長さよりも短く設定されることが好ましい。
【0032】
そして、まず、連結体15の円筒状壁部50の雄ねじ部30と、蓋体16の胴部35の雌ねじ部38とを螺合して、連結体15に蓋体16を螺合装着する。すると、連結体15の円筒状壁部50が蓋体16の胴部35と密着壁部55との間に挿入され、蓋体16の密着壁部55の上部外周面に設けた環状突部56が、連結体15の円筒状壁部50の上部内周面に設けた環状段部53に係合すると共に、蓋体16の密着壁部55の外周面に設けた環状密着部57が連結体15の円筒状壁部50の内壁面に密着して、水密性が確保される。
【0033】
次に、小容器3内に第2液を所定量充填した後、該小容器3を連結体15の内部に配置して、小容器3の雄ねじ部13と、蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39とを螺合する。すると、蓋体16の接触壁部37が小容器3の上端内周面に接触して、また、連結体15に設けた各突片26と、小容器3の下端に設けた各突起部14との間に僅かな隙間が設けられる。
【0034】
次に、大容器2内に第1液を所定量充填した後、小容器3及び蓋体15が螺合装着された連結体15の本体壁部51を大容器2の口部6内に装填して、連結体15の本体壁部51の外周壁に大容器2の口部6を重ねてその箇所を、例えば高周波溶接して一体化し、本2液混合容器1bの組立を完了する。なお、小容器3及び蓋体15が螺合装着された連結体15を大容器2の口部6に一体化した後に、大容器2の底部から内部に第1液を所定量充填してもよい。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態に係る2液混合容器1bにおける大容器2内の第1液と小容器3内の第2液とを混合させる作用を簡単に説明する。
まず、蓋体16を開方向に回転させると、蓋体16の密着壁部55に設けた環状突部56と、連結体15の円筒状壁部50に設けた環状段部53との係合が解消され、蓋体16が連結体15に対して上方に移動すると共に、小容器3も同方向に回転しながら上方に移動する。引き続き蓋体16を開方向に回転させ、蓋体16が連結体15に対して所定高さまで移動すると、小容器3の下端外周面に設けた各突起部14と連結体15の各突片26とが干渉して、この時点で小容器3の連結体15に対する回転が規制されると共に上方への移動が規制される。
【0036】
さらに蓋体16の回転操作を続けると、蓋体16のみがねじに沿って上方に移動することになり、最終的に、蓋体16の螺合壁部36の雌ねじ部39と小容器3の雄ねじ部13との螺合が解除され、この時点で小容器3は自重で大容器2内に落下する。その結果、小容器3内の第2液が大容器2内に流れ込み、第1液と第2液が大容器2内で混合される。
【0037】
そして、以上説明した第2の実施形態に係る2液混合容器1bにおいても、第1の実施形態に係る2液混合容器1aと同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0038】
1a、1b 2液混合容器,2 大容器,3 小容器,6 口部(大容器側),7 雄ねじ部(大容器側),11 口部(小容器側),13 雄ねじ部(小容器側),15 連結体,14 突起部(小容器側),16 蓋体,20 開口部,24 螺合壁部(連結体の筒状壁部),26 突片(連結体側),30 雄ねじ部(連結体側),31 回転規制手段,34 天面部,35 胴部(蓋体の外側の筒状壁部),36 螺合壁部(蓋体の内側の筒状壁部),38、39 雌ねじ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1液用の大容器と、
該大容器の口部に装着され、上部にねじ部を備えた筒状壁部を有する筒状の連結体と、
該連結体の内側に配置され、口部にねじ部を備えた第2液用の小容器と、
ねじ部をそれぞれ備えた、同心状に配置された2つの筒状壁部を天面部から垂設させ、外側の筒状壁部のねじ部は前記連結体の筒状壁部のねじ部に螺合し、内側の筒状壁部のねじ部は前記小容器の口部のねじ部に螺合してなる蓋体と、
前記小容器の外壁と前記連結体の内壁との間に設けた回転規制手段とからなり、
前記蓋体をねじの締結位置から緩めたとき、前記連結体に対して前記蓋体と共に前記小容器を上昇させ、その途中で前記回転規制手段により前記連結体に対する前記小容器の回転を規制することを特徴とする2液混合容器。
【請求項2】
前記回転規制手段は、前記小容器の外壁に設けた突起部と、前記連結体の内壁に設けた突片とから構成されることを特徴とする請求項1に記載の2液混合容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−136288(P2012−136288A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247460(P2011−247460)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000220206)東京ライト工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】