説明

2輪走行装置及び走行停止方法

【課題】
本発明は、直進方向への走行を容易に走行停止する。
【解決手段】
本発明は、楕円体状筐体2に同一の水平回動軸L1を中心にして回動可能に枢支された右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動して楕円体状筐体2を直進方向へ走行させ、これを走行停止させるとき、右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動して楕円体状筐体2を、直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該一方向とは逆の他方向に回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止することにより、楕円体状筐体2に生じていた直進方向の慣性力をほぼ消去して右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させ、楕円体状筐体2が直進方向側に転がることをほぼ確実に回避でき、直進方向への走行を容易に走行停止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2輪走行装置及び走行停止方法に関し、例えば同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪を回転駆動させて走行可能な音楽再生ロボット装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来の同軸二輪車は、一対の車輪間に架設された車輪軸上に傾動可能にベースが支持され、かかるベース上の負荷が、車輪の路面との接地領域に対応する停止領域内に位置すると、一対の車輪を駆動する一対の駆動用モータに対し走行指令を送らないようにする。また同軸二輪車は、ベース上の負荷が停止領域外に位置すると、一対の駆動用モータに対し当該位置に応じた走行命令を送る。このようにして同軸二輪車は、ベース上で負荷の重心位置が移動しても、安定して走行していた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−1554公報(第1頁、第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところがこのような同軸二輪車は、一対の車輪を回転駆動して前方向のように直進可能な方向(以下、これを直進方向と呼ぶ)へ向けて走行している状態から単に一対の車輪の回転駆動を停止させると、このとき当該同軸二輪車に生じている直進方向へ進もうとする慣性力により当該直進方向側に回転しようとする力が働く。このため同軸二輪車は、直進方向へ走行している状態から走行停止のために一対の車輪の回転駆動を停止させると、かかる慣性力により直進方向側に転がる場合があり、直進方向への走行を容易には走行停止し難いという問題があった。
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、直進方向への走行を容易に走行停止し得る2輪走行装置及び走行停止方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するため本発明においては、2輪走行装置において、所定の筐体に対し、同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪を回転駆動して筐体を直進方向へ走行させ、当該直進方向へ走行させた筐体を走行停止させるとき、第1及び第2の車輪を異なる条件で回転駆動して筐体を、直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該右方向及び左方向のうち一方向とは逆の他方向に回転させて第1及び第2の車輪の回転駆動を停止するようにした。
【0006】
従って本発明では、直進方向へ走行させた筐体を走行停止させるとき、当該筐体に対し直進方向への走行によって生じていた当該直進方向へ進もうとする慣性力を、筐体に対する一方向への回転によってその一方向へ回転しようとする慣性力に変換した後、当該一方向への回転の慣性力を、続く筐体に対する他方向への回転により新たに生じる当該他方向へ回転しようとする慣性力でほぼ相殺した状態で第1及び第2の車輪の回転駆動を停止させることができる。すなわち本発明では、直進方向へ走行させた筐体を走行停止させるとき、当該筐体を一旦一方向へ回転させ、引き続き他方向へ回転させることで、直進方向への走行によって生じていた当該直進方向の慣性力をほぼ消去することができ、かくして第1及び第2の車輪の回転駆動を停止させても、筐体が直進方向の慣性力により直進方向側に転がることをほぼ確実に回避することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定の筐体に対し、同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪を同一の条件で回転駆動して筐体を直進方向へ走行させ、当該直進方向へ走行させた筐体を走行停止させるとき、第1及び第2の車輪を異なる条件で回転駆動して筐体を、直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該右方向及び左方向のうち一方向とは逆の他方向に回転させて第1及び第2の車輪の回転駆動を停止するようにしたことにより、筐体に対し直進方向への走行によって生じていた直進方向の慣性力をほぼ消去して第1及び第2の車輪の回転駆動を停止させ、その結果、筐体が直進方向の慣性力により直進方向側に転がることをほぼ確実に回避することができ、かくして直進方向への走行を容易に走行停止し得る2輪走行装置及び走行停止方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
図1(A)及び(B)並びに図2において、1は全体として本発明を適用した音楽再生ロボット装置を示し、例えば略楕円体状の装置筺体(以下、これを楕円体状筐体と呼ぶ)2を有している。かかる楕円体状筺体2は、その中央の略樽型形状の部分でなる筺体中央部3と、当該筺体中央部3の互いに対向する一対の端部のうち一方の端部(以下、これを右側端部と呼ぶ)側に位置する略円錐台形状の部分でなる第1の筐体回動部(以下、これを筐体右側回動部と呼ぶ)4と、他方の端部(以下、これを左側端部と呼ぶ)側に位置する略円錐台形状の部分でなる第2の筐体回動部(以下、これを筐体左側回動部と呼ぶ)5と、当該筐体右側回動部4の右端面4A側に位置し、第1の凹部を有する略円錐形状の部分でなる第1の筐体開閉部(以下、これを筺体右側開閉部と呼ぶ)6と、筐体左側回動部5の左端面5A側に位置し、第2の凹部を有する略円錐形状の部分でなる第2の筐体開閉部(以下、これを筺体左側開閉部と呼ぶ)7とから構成されている。
【0010】
この場合、楕円体状筐体2の中心点P1から当該楕円体状筐体2表面の最も遠い右側及び左側の両頂点P2、P3を直線で結ぶ線分(すなわち、楕円体の長軸)を水平回動軸L1とすると、筐体右側回動部4は、筺体中央部3の右側端部に対し、当該水平回動軸L1を中心にして軸回り一方向D1及びこれとは逆の軸回り他方向に回動可能に枢支されている。また筐体左側回動部5は、筺体中央部3の左側端部に対し、水平回動軸L1を中心にして軸回り一方向D1及び軸回り他方向に回動可能に枢支されている。
【0011】
さらに図3に示すように、筺体右側開閉部6は、筐体右側回動部4に対し、当該筐体右側回動部4の右端面4A縁部の所定位置に設けられたヒンジ部8を介して所定角度範囲で開閉可能に取り付けられている。因みに筐体右側開閉部6は、筐体右側回動部4に対し、右端面4Aと第1の凹部の第1の開口6A全体とを当接させる 位置から、例えば右端面4Aと第1の開口6Aとの開き角度が略90度となる位置まで等の所定角度範囲内で任意の角度に開く。一方、筺体左側開閉部7(図3)は、筐体左側回動部5に対し、当該筐体左側回動部5の左端面5A縁部の所定位置に設けられたヒンジ部9を介して所定角度範囲で開閉可能に取り付けられている。因みに筐体左側開閉部7は、筐体左側回動部5に対し、左端面5Aと第2の凹部の第2の開口7A全体とを当接させる位置から、例えば左端面5Aと第2の開口7Aとの開き角度が略90度となる位置まで等の所定角度範囲で任意の角度に開く。
【0012】
そして筺体右側開閉部6の第1の凹部(図1(B)及び図2)には、ステレオ用の一対の第1及び第2のスピーカ10及び11のうち右チャンネル用の第1のスピーカ(以下、これを右スピーカと呼ぶ)10が円形の振動板の正面のみを当該第1の凹部の第1の開口6Aから露出させて収納されている。筐体右側開閉部6は、筐体左側開閉部7とは独立して開閉し得るようになされており、ヒンジ部8を介して回転して、第1の開口6A全体を筐体右側回動部4の右端面4Aに当接させて閉じた場合、右スピーカ10の振動板を外部から隠すことができる。これに対して筐体右側開閉部6は、ヒンジ部8を介して回転して、第1の開口6Aを筐体右側回動部4の右端面4Aから離間させるように開いた場合、右スピーカ10の振動板の正面を外部の任意の方向に向けることができる。
【0013】
一方、筺体左側開閉部7の第2の凹部には、右スピーカ10と同様構成及び同様形状の左チャンネル用の第2のスピーカ(以下、これを左スピーカと呼ぶ)11が円形の振動板の正面のみを当該第2の凹部の第2の開口7Aから露出させて収納されている。これにより筐体左側開閉部7は、ヒンジ部9を介して回転して、第2の開口7A全体を筐体左側回動部5の左端面5Aに当接させて閉じた場合、左スピーカ11の振動板を外部から隠すことができる。これに対して筐体左側開閉部7は、ヒンジ部9を介して回転して、第2の開口7Aを筐体左側回動部5の左端面5Aから離間させるように開いた場合、左スピーカ11の振動板の正面を外部の任意の方向に向けることができる。
【0014】
ところで右スピーカ10及び左スピーカ11は、振動板の正面から背面方向への全体的な厚みよりも、当該振動板の直径が大きく形成されている。また図4に示すように、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7は、右スピーカ10及び左スピーカ11の形状に応じて、第1及び第2の開口6A及び7Aを基準とした頂点P2及びP3までの幅L5よりも当該第1及び第2の開口6A及び7Aの直径L6が長く形成されている。このため楕円体状筐体2は、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ開かれた場合、水平回動軸L1に沿った全体の長さ(すなわち、楕円体状筐体2の長手方向の長さであり、以下、これを筐体幅と呼ぶ)が当該水平回動軸L1(すなわち、楕円体の長軸)よりも長くなる。しかしながら楕円体状筐体2は、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7の両方が閉じられた場合、筐体全体を極力小さくまとまった状態にする(すなわち、筐体幅を水平回動軸L1である楕円体の長軸と同じ長さにしてコンパクト化する)ことができ、収納性を向上させている。
【0015】
また図5及び図6に示すように、筐体右側回動部4は、筐体左側回動部5とは独立して回動し得るようになされており、筐体右側開閉部6が任意の角度に開いた状態で回動した場合、当該筐体右側開閉部6に収納された右スピーカ10の振動板の正面を筐体中央部3の正面方向や背面方向、また上方向や下方向等の種々の方向に向けさせることができる。一方、筐体左側回動部5も、筐体左側開閉部7が任意の角度に開いた状態で回動した場合、当該筐体左側開閉部7に収納された左スピーカ10の振動板の正面を筐体中央部3の正面方向や背面方向、また上方向や下方向等の種々の方向に向けさせることができる。
【0016】
これに加えて図1(A)及び(B)並びに図2に示すように、筐体中央部3の右側端部には、当該筺体中央部3の最大外径よりも大きい所定外径を有する円環形状の第1の車輪(以下、これを右側車輪と呼ぶ)12が水平回動軸L1を中心にして軸回り一方向D1及び軸回り他方向の回転方向に回動可能に枢支されている。また筺体中央部3の左側端部には、右側車輪12と同様形状及び同様外形の第2の車輪(以下、これを左側車輪と呼ぶ)13が当該右側車輪12の場合と同一の水平回動軸L1を中心にして軸回り一方向D1及び軸回り他方向の回転方向に回動可能に枢支されている。かかる右側車輪12及び左側車輪13は、ゴム等の弾性体によって形成され、所定の間隔を介してほぼ平行に配置されている。また右側車輪12及び左側車輪13は、共に回転することで楕円体状筐体2を自走させ得るものの、互いが独立して回動し得るため、楕円体状筐体2を直進や回転等の種々の状態に走行させることができる。
【0017】
そして筐体中央部3内には、内壁所定位置にバッテリ等でなる重り14が固定されている。また筐体中央部3は、楕円体状筐体2の中心点P1から右側端部(すなわち、右側車輪12)までの距離と、当該楕円体状筐体2の中心点P1から左側端部(すなわち、左側車輪13)までの距離とがほぼ等しい所定距離に選定されている。さらに筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5は、互いに同じ形状でなり、互いの幅がほぼ等しい所定幅に選定されている。さらに筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7も、互いに同じ形状でなり、それぞれ第1及び第2の凹部の第1及び第2の開口6A及び7Aから表面の頂点P2及びP3までの幅L5がほぼ等しい所定長さに選定されている。すなわち楕円体状筐体2は、当該楕円体状筐体2の中心点P1を通り、水平回動軸L1を垂線とする仮想平面(図示せず)に対し左右が面対称に形成されている。
【0018】
このため楕円体状筐体2は、机の天板や床等(以下、これらをまとめて床と呼ぶ)に載上される場合、筐体中央部3の最大外形部分の外周面を当該床の表面から僅かに離間させ、かつ水平回動軸L1を床の表面と並行にした姿勢で右側車輪12及び左側車輪13により支持される。これに加えて楕円体状筐体2は、筐体中央部3内の重り14により当該筐体中央部3の重心が中心点P1から内壁寄りにずれているため、床に載上された場合、当該重り14を鉛直下側に位置させた(すなわち、重り14部分でなる重心を床の表面に極力近づけた)姿勢(以下、これを基準姿勢と呼ぶ)となる。そして筺体中央部3内の重り14は、その重さが比較的重く選定されている。従って楕円体状筐体2は、右側車輪12及び左側車輪13によって支持された状態で床に載上された場合、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ独立して任意の角度に開かれても右側及び左側等に傾くことなく基準姿勢を維持することができる。
【0019】
また楕円体状筐体2は、床の上を右側車輪12及び左側車輪13の回転により自走する場合でも、筐体中央部3内の重り14により当該筐体中央部3の重心が中心点P1から内壁寄りにずれているため、当該筐体中央部3が水平回動軸L1を中心にして軸回り一方向D1及び軸回り他方向に回転することを抑制し得るようになされている。さらに楕円体状筐体2は、重り14が比較的重いため、自走する際に筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7がそれぞれ独立して任意の角度に開かれても右側及び左側等にほとんど傾くことなく基準姿勢をほぼ維持することができる。
【0020】
これに加えて筐体中央部3の表面には、基準姿勢で上側となる位置に、指や手等が接触したことを検知するための接触検知センサ部15が設けられている。かかる接触検知センサ部15は、例えば、筐体中央部3の表面における指先大の領域に接触した指や手等を検知するようになされている。また筐体右側回動部4の表面には、光を発する円弧形状の右側発光部16が設けられている。さらに筐体左側回動部5の表面にも、光を発する円弧形状の左側発光部17が設けられている。そしてかかる右側発光部16及び左側発光部17は、それぞれ全体や一部分、また発光色等のように発光状態を可変して発光するように形成されている。
【0021】
次いで図7を用いて、音楽再生ロボット装置1に対し音楽データを転送する音楽データ転送システム20について説明する。かかる音楽データ転送システム20は、音楽データを提供する音楽データ提供サーバ21からネットワーク22を介して音楽データを取得し、又は音楽データの記録された記録媒体(例えばCD(Compact Disc))23から当該音楽データを再生して取得する、例えばパーソナルコンピュータ構成のデータ転送装置24を有する。
【0022】
かかるデータ転送装置24は、音楽再生ロボット装置1に供給する音楽データに対し例えば周波数解析処理を施す。これによりデータ転送装置24は、図8に示すように、再生時間軸AX1に沿ってこの音楽データの周波数解析結果を示す音楽解析結果情報INF1を得る。またデータ転送装置24は、音楽解析結果情報INF1に基づいて、音楽再生ロボット装置1の右側車輪12及び左側車輪13の回転方向や回転速度、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5の回転方向や回転角度、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7の開閉角度等を再生時間軸AX1に沿って示す駆動部制御情報INF2を生成する。さらにデータ転送装置24は、かかる音楽解析結果情報INF1に基づいて、音楽再生ロボット装置1の右側発光部16及び左側発光部17を発光させる発光状態等を再生時間軸AX1に沿って示す駆動情報(図示せず)も生成する。
【0023】
このようにしてデータ転送装置24は、音楽データの曲調に応じて音楽再生ロボット装置1の可動部(すなわち、筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7、右側車輪12及び左側車輪13)を動作させるための駆動部制御情報INF2や右側発光部16及び左側発光部17を駆動させるための駆動情報を得る。因みに図8に示す駆動部制御情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って、筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉させる開閉角度が示されている。
【0024】
そしてデータ転送装置24は、例えばユーザにより転送操作が行われると、供給対象の音楽データとこの音楽データに対応する駆動部制御情報INF2及び駆動情報とを、USB(Universal Serial Bus)ケーブル25、及び音楽再生ロボット装置1が載置されるクレードル26を順次介して当該音楽再生ロボット装置1に転送する。
【0025】
次いで図9を用いて音楽再生ロボット装置1の回路構成を説明する。かかる音楽再生ロボット装置1は、各回路が楕円体状筐体2内に収納されており、当該回路として音楽再生ロボット装置1全体を統括的に制御する制御部30を有している。そして制御部30は、内部のメモリに予め記憶している各種プログラムに従って各種処理を実行する。これにより制御部30は、外部のデータ転送装置24から供給される音楽データとこの音楽データに対応する駆動部制御情報INF2及び駆動情報とをクレードル26を介して記憶部31に取り込み、当該記憶部31に対し、かかる音楽データ及び駆動部制御情報INF2並びに駆動情報を記憶する。
【0026】
また音楽再生ロボット装置1には加速度センサ部32が設けられている。図10に示すように、かかる加速度センサ部32は、楕円体状筐体2に生じる例えば互いに直交する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)の加速度をそれぞれ検出し、その検出結果をX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値として制御部30に通知する。因みに加速度検出用の3軸のうちX軸は、楕円体状筐体2の水平回動軸L1とほぼ並行又は一致する軸であり、楕円体状筐体2に対する左右方向とほぼ並行な軸でもある。またZ軸は楕円体状筐体2が基準姿勢の際の鉛直方向とほぼ並行な軸であり、楕円体状筐体2に対する上下方向とほぼ並行な軸でもある。さらにY軸は、水平回動軸L1、及び楕円体状筐体2が基準姿勢の際の鉛直方向とそれぞれ直交する軸であり、楕円体状筐体2に対する前後方向とほぼ並行な軸でもある。
【0027】
制御部30は、楕円体状筐体2がほぼ水平な床に載上され全ての可動部を動作させずに静止させた状態のときの3軸(X軸、Y軸及びZ軸)それぞれの加速度をX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値として例えば内部のメモリに予め記憶している。因みにX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値には、楕円体状筐体2の載上される床が必ずしも完全な水平ではないことや、加速度センサ部32による加速度の検出誤差等を考慮して、それぞれX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値を中心値として選定された許容範囲の情報が付加されている。そして制御部30は、加速度センサ部32からX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が与えられると、これらをそれぞれ対応するX軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値と比較する。
【0028】
その結果、制御部30は、X軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値をそれぞれ中心値とする許容範囲内に、対応するX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が入っていると、楕円体状筐体2が停止していると判別する。これに対して制御部30は、X軸基準加速度値、Y軸基準加速度値及びZ軸基準加速度値をそれぞれ中心値とする許容範囲からX軸検出加速度値、Y軸検出加速度値及びZ軸検出加速度値が外れると、楕円体状筐体2が例えばユーザの加える外力により動かされたと判別する。このようにして制御部30は、楕円体状筐体2が外力により動かされたか否かを検出することができる。
【0029】
そして制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、例えば楕円体状筐体2が床の上で静止した状態からユーザの手によって持ち上げるように動かされたことを検出した後、筐体中央部3の表面に設けられた接触検知センサ部15にユーザの指や手等が接触したことを検知すると、命令入力モードに移行する。この状態で制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、楕円体状筐体2が所定値以上の加速度で振り動かされていることを検知すると、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向を判別する。その結果、制御部30は、筐体振り動かし方向が音楽データを再生開始するように命令するための方向であることを認識すると、これに応じて記憶部31に記憶していた音楽データの読み出しを開始すると共に、当該読み出した音楽データに対し音楽処理部33でデジタルアナログ変換処理や増幅処理等の所定の音楽再生処理を施し、得られた音楽信号を右スピーカ10及び左スピーカ11に送出する。このようにして制御部30は、記憶部31に記憶していた音楽データに基づく音楽を右スピーカ10及び左スピーカ11から出力してユーザに聴かせることができる。
【0030】
続いて制御部30は、加速度センサ部32による加速度の検出結果に基づいて、右側車輪12及び左側車輪13の両方を床に接触させるようにして楕円体状筐体2が床に置かれたことを検出すると、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調(テンポや音程等)に応じて楕円体状筐体2の各可動部と、右側発光部16及び左側発光部17とを動作させる再生曲調動作処理を実行する。この場合、制御部30は、記憶部31から再生処理中の音楽データに対応する駆動部制御情報INF2及び駆動情報を読み出し、当該読み出した駆動部制御情報INF2に基づいて車輪駆動部34、回動駆動部35及び開閉駆動部36を制御すると共に、駆動情報に基づいて右側発光部16及び左側発光部17を駆動制御する。これにより車輪駆動部34は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて右側車輪12及び左側車輪13を軸回り一方向D1又は軸回り他方向に回転駆動する。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして床の上を安定して走行させる。
【0031】
また回動駆動部35は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5を軸回り一方向D1又は軸回り他方向に回転駆動する。さらに開閉駆動部36は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉駆動する。これにより制御部30は、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして筐体右側回動部4及び筐体左側回動部5を回転させながら筐体右側開閉部6及び筐体左側開閉部7を開閉させる。さらにまた制御部30は、再生処理中の音楽データに基づく音楽の曲調に応じて右側発光部16及び左側発光部17を種々の発光状態で発光させる。これにより制御部30は、右スピーカ10及び左スピーカ11から出力させている音楽の曲調に同期させるようにして右側発光部16及び左側発光部17を発光させる。このようにして音楽再生ロボット装置1は、音楽データの再生処理時、再生中の音楽に合わせて、あたかも音楽再生ロボット装置1自体が踊っているかのように動作することができる。
【0032】
因みに制御部30は、命令入力モードに移行した場合、楕円体状筐体2の振り動かされている筐体振り動かし方向に応じて、音楽データに対する再生の停止や、再生処理中の音楽データを切り替える早送り及び早戻し等のように、種々の命令を入力させることができる。
【0033】
ところで図11に示すように、上述した駆動部制御情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って変化する、右側車輪12の回転方向及び回転速度を指示する指示値(以下、これを右側車輪駆動指示値と呼ぶ)RDが当該再生時間軸AX1に沿って含まれている。また駆動部制御情報INF2には、音楽データの再生時間軸AX1に沿って変化する、左側車輪13の回転方向及び回転速度を指示する指示値(以下、これを左側車輪駆動指示値と呼ぶ)LDも当該再生時間軸AX1に沿って含まれている。因みに右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDは、「0」の値のとき右側車輪12及び左側車輪13を軸回り一方向D1及び軸回り他方向の何れにも回転させないことを示す。また右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDは、例えば正の値のとき右側車輪12及び左側車輪13を軸回り一方向D1へ回転させることを示すと共に、そのときの回転速度も示している。さらに右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDは、例えば負の値のとき右側車輪12及び左側車輪13を軸回り他方向へ回転させることを示すと共に、そのときの回転速度も示している。そして右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDは、正の値及び負の値のとき、かかる正の値及び負の値の絶対値が大きい程、速い回転速度を示している(すなわち、正の値及び負の値の絶対値の大きさが回転速度に比例している)。
【0034】
また図12に示すように、車輪駆動部34は右側車輪駆動機構40及び左側車輪駆動機構41を有している。かかる右側車輪駆動機構40には、右側車輪12を軸回り一方向D1及び軸回り他方向に回転駆動させるブラシレスモータ等でなる右側車輪用モータ42と、当該右側車輪用モータ42の出力軸に対する回転方向及び回転速度を検出するためのロータリエンコーダ等でなる回転検出センサ43とが設けられている。また左側車輪駆動機構41には、左側車輪13を軸回り一方向D1及び軸回り他方向に回転駆動させるブラシレスモータ等でなる左側車輪用モータ44と、当該左側車輪用モータ44の出力軸に対する回転方向及び回転速度を検出するためのロータリエンコーダ等でなる回転検出センサ45とが設けられている。
【0035】
そして制御部30は、再生曲調動作処理の開始時、駆動部制御情報INF2に含まれる右側車輪駆動指示値RDに基づいて、右側車輪駆動機構40の右側車輪用モータ42の出力軸をその右側車輪駆動指示値RDの示す回転方向及び回転速度で回転させるための駆動信号を生成すると共に、当該生成した駆動信号を右側車輪用モータ42に送出する。これにより右側車輪用モータ42は、制御部30から与えられた駆動信号に応じて出力軸を回転させ、かくしてかかる出力軸の回転を右側車輪12に伝達して回転駆動させる。また右側車輪駆動機構40の回転検出センサ43は、右側車輪用モータ42の出力軸が回転し始めると、例えば、かかる右側車輪用モータ42の出力軸に対する回転方向及び回転速度に応じた矩形波パルスでなる回転検出信号を制御部30に送出する。
【0036】
そして制御部30は、右側車輪駆動機構40の回転検出センサ43から回転検出信号が与えられると、当該回転検出信号に基づいて、右側車輪用モータ42の出力軸に対する回転方向及び回転速度を示す右側車輪検出値を生成する。そして制御部30は、その時点に右側車輪12の回転駆動に用いる右側車輪駆動指示値RDから右側車輪検出値を減算し、得られた差分値に基づいて右側車輪用モータ42の出力軸をその差分値の示す回転方向及び回転速度で回転させるための駆動信号を生成すると共に、当該生成した駆動信号を右側車輪用モータ42に送出する。その結果、右側車輪駆動機構40の右側車輪用モータ42は、制御部30から与えられた駆動信号に応じて出力軸をさらに回転させ、かくしてかかる出力軸の回転を右側車輪12に伝達し回転駆動させる。このようにして制御部30は、再生曲調動作処理を実行している間、右側車輪駆動機構40の右側車輪用モータ42及び回転検出センサ43との間でフィードバックループを構築して当該右側車輪用モータ42をフィードバック制御する。
【0037】
一方、制御部30は、再生曲調動作処理の開始時、駆動部制御情報INF2に含まれる左側車輪駆動指示値LDに基づいて、左側車輪駆動機構41の左側車輪用モータ44の出力軸をその左側車輪駆動指示値LDの示す回転方向及び回転速度で回転させるための駆動信号を生成すると共に、当該生成した駆動信号を左側車輪用モータ44に送出する。これにより左側車輪用モータ44は、制御部30から与えられた駆動信号に応じて出力軸を回転させ、かくしてかかる出力軸の回転を左側車輪13に伝達して回転駆動させる。また左側車輪駆動機構41の回転検出センサ45は、左側車輪用モータ44の出力軸が回転し始めると、例えば、かかる左側車輪用モータ44の出力軸に対する回転方向及び回転速度に応じた矩形波パルスでなる回転検出信号を制御部30に送出する。
【0038】
そして制御部30は、左側車輪駆動機構41の回転検出センサ45から回転検出信号が与えられると、当該回転検出信号に基づいて、左側車輪用モータ44の出力軸に対する回転方向及び回転速度を示す左側車輪検出値を生成する。そして制御部30は、その時点に左側車輪13の回転駆動に用いる左側車輪駆動指示値LDから左側車輪検出値を減算し、得られた差分値に基づいて左側車輪用モータ44の出力軸をその差分値の示す回転方向及び回転速度で回転させるための駆動信号を生成すると共に、当該生成した駆動信号を左側車輪用モータ44に送出する。その結果、左側車輪駆動機構41の左側車輪用モータ44は、制御部30から与えられた駆動信号に応じて出力軸をさらに回転させ、かくしてかかる出力軸の回転を左側車輪13に伝達し回転駆動させる。このようにして制御部30は、再生曲調動作処理を実行している間、左側車輪駆動機構41の左側車輪用モータ44及び回転検出センサ45との間でフィードバックループを構築して当該左側車輪用モータ44をフィードバック制御する。
【0039】
このようにして制御部30は、右側車輪駆動機構40の右側車輪用モータ42及び左側車輪駆動機構41の左側車輪用モータ44をそれぞれ個別に制御して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させることにより、これら右側車輪12及び左側車輪13を同一の回転方向及び同一の回転速度で回転駆動させたときには楕円体状筐体2を前方向及び後方向のように直進可能な方向(以下、これを直進方向と呼ぶ)に直進させるように走行(以下、この走行を特に直進走行と呼ぶ)させることができる。また制御部30は、右側車輪12及び左側車輪13を異なる回転方向に同一の回転速度で回転駆動させたときには楕円体状筐体2をその場で回転させるように走行(以下、この走行を特に回転走行と呼ぶ)させることができる。さらに制御部30は、右側車輪12及び左側車輪13を同一の回転方向に異なる回転速度で回転駆動させたときには楕円体状筐体2を右又は左に旋回させるように走行(以下、この走行を特に旋回走行と呼ぶ)させることもできる。
【0040】
実際上、制御部30は、楕円体状筐体2を例えばその前方向に直進走行させる場合、図11に示す右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い車輪駆動部34を介して、音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t1に右側車輪12及び左側車輪13を例えば同一の軸回り一方向D1に回転駆動させ始め、時点t2にかけて両方の回転速度を同じ割合で増加させる。そして制御部30は、再生時間軸AX1に沿って時点t2以降では右側車輪12及び左側車輪13の両方ともに同一の一定な回転速度で回転駆動させる。このようにして制御部30は、音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t1乃至時点t3の区間(以下、これを直進動作区間と呼ぶ)SAでは、右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い右側車輪12及び左側車輪13を同一の条件で回転駆動する。これにより制御部30は、かかる直進動作区間SAで楕円体状筐体2を停止状態から直進走行させながら徐々に加速させ、一定速度に到達すると、そのままで直進走行させる。因みに以下の説明では、楕円体状筐体2をその前方向に直進走行させる場合、当該前方向でなる直進方向に向いた楕円体状筐体2の筐体表面を筐体正面と呼ぶ。
【0041】
そして制御部30は、このように楕円体状筐体2を一定速度で直進走行させた状態から走行停止させるとき、右側車輪12については右側車輪駆動指示値RDに従い音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t3から時点t4までは所定の割合で回転速度を徐々に減少させ、引き続き時点t4から時点t5までは減少の割合を大きくして回転速度を徐々に減少させる。そして制御部30は、再生時間軸AX1に沿って時点t5から時点t6まではさらに減少の割合を大きくして回転速度を急激に減少させてその回転駆動を一旦停止させる。また制御部30は、左側車輪13については左側車輪駆動指示値LDに従い音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t3から所定の割合で回転速度を急激に減少させて時点t4で回転方向を反転させ(すなわち、軸回り一方向D1から軸回り他方向に逆回転させ)、そのまま時点t5までは所定の割合で回転速度を急激に増加させる。そして制御部30は、再生時間軸AX1に沿って時点t5から時点t6にかけては回転速度を急激に減少させてその回転駆動を一旦停止させる。
【0042】
このようにして制御部は30は、音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t3乃至時点t6の区間(以下、これを一方向回転動作区間と呼ぶ)IAでは、右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動させる。因みに駆動部制御情報INF2に含まれる右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDについては、時点t5から時点t6までの区間で、互いに異なる回転方向を示すものの、回転速度をそれぞれほぼ同じ割合で減少させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を一旦停止させるような値に選定されている。
【0043】
従って図13に示すように、制御部30は、再生時間軸AX1に沿って時点t3に楕円体状筐体2の直進走行を走行停止させる走行停止動作を開始し、まず楕円体状筐体2をその時点に到達していた場所(以下、これを走行停止場所と呼ぶ)で当該楕円体状筐体2の右側を直進方向にわずかに進めつつ、左側を直進方向とは逆の方向にわずかに戻す(すなわち、後退させる)ようにする。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を走行停止場所で、筐体正面を直進方向から例えば右側に振り向けるように右方向へ所定角度回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を一旦停止させる。その結果、制御部30は、楕円体状筐体2に対し直進走行によって生じていた直進方向に進もうとする慣性力(以下、これを直進方向慣性力と呼ぶ)を、当該楕円体状筐体2に対する右方向への回転により当該右方向へ回転しようとする慣性力(以下、これを第1の回転慣性力と呼ぶ)に変換する。
【0044】
また制御部30(図11)は、このように楕円体状筐体2を直進走行させた状態から一旦右方向へ回転させると、引き続き右側車輪12については右側車輪駆動指示値RDに従い音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t6で回転方向を反転させ(すなわち、軸回り一方向D1から軸回り他方向に逆回転させ)、そのまま時点t7までは所定の割合で回転速度を急激に増加させた後、時点t8にかけて回転速度を徐々に減少させて回転駆動を停止させる。一方、制御部30は、左側車輪13については左側車輪駆動指示値LDに従い音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t6で再び回転方向を反転させ(すなわち、軸回り他方向から軸回り一方向D1に逆回転させ)、そのまま時点t7までは所定の割合で回転速度を急激に増加させた後、時点t8にかけて回転速度を徐々に減少させて回転駆動を停止させる。
【0045】
このようにして制御部30は、音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t6乃至時点t8の区間(以下、これを他方向回転動作区間と呼ぶ)TAでも、右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動する。因みに右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDについては、時点t6から時点t7までの区間で、互いに時点t6までの回転方向を反転させることを示した後、回転速度をそれぞれほぼ同じ割合で増加させて右側車輪12及び左側車輪13を再び回転駆動させるような値に選定されている。また、かかる右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDについては、時点t7から時点t8までの区間で、互いに異なる回転方向を示すものの、回転速度をそれぞれほぼ同じ割合で減少させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させるような値に選定されている。
【0046】
従って制御部30(図13)は、楕円体状筐体2に対する右方向への回転に引き続き、右側車輪12及び左側車輪13を互いに異なる回転方向に回転させながら回転速度を一旦は急激に増加させた後、徐々に減少させることで、楕円体状筐体2の右側を直進方向とは逆の方向にわずかに戻しつつ(すなわち、後退させつつ)、左側を直進方向にわずかに進めるようにする。これにより制御部30は、楕円体状筐体2をほぼ走行停止場所で、その右方向への所定角度の回転から筐体正面を直進方向に振り向けるように左方向へ所定角度回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を完全に停止させる。その結果、制御部30は、楕円体状筐体2に対する右方向への回転によって直進方向慣性力から変換させていた第1の回転慣性力のほとんどを、左方向への回転によって生じる当該左方向へ回転しようとする慣性力(以下、これを第2の回転慣性力と呼ぶ)によって相殺する。
【0047】
ここで制御部30は、楕円体状筐体2を比較的低速で直進走行させている状態から、音楽データの再生時間軸AX1に沿って時点t3乃至時点t8の区間(以下、これをまとめて走行停止動作区間と呼ぶ)RSAで走行停止させるとき、当該楕円体状筐体2を走行停止場所で一旦右方向に回転させ、引き続き左方向へ回転させることで、その右方向への回転により直進方向慣性力から変換した第1の回転慣性力を左方向への回転によって生じる第2の回転慣性力でほぼ相殺することができる。しかしながら制御部30は、楕円体状筐体2を比較的高速に直進走行させている状態から走行停止させるときには、当該楕円体状筐体2に対する走行停止場所での右方向への回転により直進方向慣性力から変換した第1の回転慣性力を、続く左方向への回転によって生じさせる第2の回転慣性力でも完全には相殺することができない場合がある。
【0048】
このため音楽再生ロボット装置1では、右側車輪12及び左側車輪13が弾性係数の適宜選定されたゴム等の弾性体によって形成されている。従って制御部30は、楕円体状筐体2に対する走行停止場所での右方向への回転により直進方向慣性力から変換した第1の回転慣性力を、続く左方向への回転によって生じさせる第2の回転慣性力でも完全には相殺することができない場合、その相殺されずに残ったわずかな第1の回転慣性力を、かかる楕円体状筐体2を左方向へ回転させたときに生じる右側車輪12及び左側車輪13と床との接触部分の摩擦力と、当該右側車輪12及び左側車輪13における床との接触部分の変形とによって吸収する。これにより制御部30は、楕円体状筐体2を比較的低速及び高速の何れで直進走行させたときでも、直進方向慣性力をほぼ消去して楕円体状筐体2を的確に走行停止させることができる。
【0049】
また図14に示すように、右側車輪12及び左側車輪13は、断面U字状又は断面V字状のように表面(すなわち、床と接触する側の表面)がその中央部を一周に亘って突出させるように山形状に形成されている。従って右側車輪12及び左側車輪13は、楕円体状筐体2が床に載上されたとき、それぞれ床に対する接触部分を面ではなく極力小さくしている。このため制御部30は、楕円体状筐体2を直進走行から走行停止させるために、右方向及び左方向に連続的に回転させるとき、当該楕円体状筐体2を横滑り等することなくスムーズに回転させることができる。これにより制御部30は、楕円体状筐体2に対し直進走行によって生じていた直進方向慣性力を、当該楕円体状筐体2に対する右方向への回転によって第1の回転慣性力に的確に変換し得ると共に、楕円体状筐体2を左方向へ回転させたとき、当該第1の回転慣性力をほぼ相殺し得る第2の回転慣性力を的確に発生させることができる。
【0050】
なお、この実施の形態の場合、制御部30は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、当該楕円体状筐体2を一旦右方向に回転させ、引き続き左方向に回転させて走行停止させた。しかしながら制御部30は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、これとは逆に楕円体状筐体2を一旦左方向に回転させ、引き続き右方向に回転させるようにしても、上述と同様に走行停止させることができる。
【0051】
また制御部30は、車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を同一の条件で回転駆動させることにより楕円体状筐体2を後方向にも直進走行させることができる。そして制御部30は、楕円体状筐体2を後方向に直進走行させた場合も、上述と同様に車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動させる。これにより制御部30は、まず後方向に直進走行させていた楕円体状筐体2を走行停止場所で、後方向である直進方向に向けていた筐体表面(以下、これを筐体背面と呼ぶ)を当該直進方向から例えば右側に振り向けるように右方向へ所定角度回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を一旦停止させる。その結果、制御部30は、楕円体状筐体2に対し直進走行によって生じていた直進方向慣性力を、当該楕円体状筐体2に対する右方向への回転により第1の回転慣性力に変換する。引き続き制御部30は、楕円体状筐体2をほぼ走行停止場所で、その右方向への所定角度の回転から筐体背面を直進方向に振り向けるように左方向へ所定角度回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を完全に停止させる。その結果、制御部30は、楕円体状筐体2に対し右方向への回転によって直進方向慣性力から変換させていた第1の回転慣性力のほとんどを、左方向への回転によって生じる第2の回転慣性力によって相殺する。このようにして制御部30は、楕円体状筐体2を後方向に直進走行させたときでも、直進方向慣性力をほぼ消去して楕円体状筐体2を的確に走行停止させることができる。
【0052】
以上の構成において、音楽再生ロボット装置1は、制御部30により車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を同一の条件(図11に示す直進動作区間SAの右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従った同一の条件)で回転駆動することにより楕円体状筐体2をその前方向又は後方向に直進走行させる。そして音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、制御部30により車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件(図11に示す走行停止動作区間RSAの右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従った異なる条件)で回転駆動することにより楕円体状筐体2を、直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き筐体正面又は筐体背面を直進方向に向けるように当該右方向及び左方向のうち一方向とは逆の他方向に回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させる。
【0053】
従って音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、当該楕円体状筐体2に対し直進走行によって生じていた直進方向慣性力を、楕円体状筐体2に対する一方向への回転によって第1の回転慣性力に変換した後、当該第1の回転慣性力を、続く楕円体状筐体2に対する他方向への回転よって生じる第2の回転慣性力でほぼ相殺した状態で右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させることができる。すなわち音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、当該楕円体状筐体2を一旦一方向へ回転させ、引き続き他方向へ回転させることで、直進走行によって生じていた直進方向慣性力をほぼ消去して走行停止させることができる。よって音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させても、当該楕円体状筐体2が直進方向慣性力により直進方向側に転がることをほぼ確実に回避することができる。
【0054】
以上の構成によれば、音楽再生ロボット装置1において、制御部30により車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を同一の条件で回転駆動させて楕円体状筐体2を直進走行させ、当該直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、制御部30により車輪駆動部34を制御して右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動させて当該楕円体状筐体2を、一旦は直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該右方向及び左方向のうち一方向とは逆の他方向に回転させて右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させるようにした。これにより音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、当該楕円体状筐体2に対し直進走行によって生じていた直進方向慣性力を、楕円体状筐体2に対する一方向及び他方向への連続的な回転によって消去し、その結果、右側車輪12及び左側車輪13の回転駆動を停止させても、当該楕円体状筐体2が直進方向側に転がることをほぼ確実に回避することができる。よって音楽再生ロボット装置1は、直進走行を容易に走行停止させることができる。
【0055】
また音楽再生ロボット装置1は、弾性体でなる右側車輪12及び左側車輪13を設けるようにした。従って音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2を走行停止場所で一方向へ回転させることにより直進方向慣性力から変換した第1の回転慣性力を、続く他方向への回転によって生じさせる第2の回転慣性力で完全には相殺することができない場合でも、その相殺されずに残ったわずかな第1の回転慣性力を、かかる楕円体状筐体2を他方向へ回転させたときに右側車輪12及び左側車輪13と床との接触部分に生じる摩擦力と、当該右側車輪12及び左側車輪13における床との接触部分の変形とによって吸収することができる。これにより音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2を比較的高速で直進走行させていたときでも、かかる楕円体状筐体2を直進方向に転がらせることなく的確に走行停止(すなわち、急停止)させることができる。
【0056】
これに加えて音楽再生ロボット装置1は、右側車輪12及び左側車輪13の表面がその中央部を一周に亘って突出させるように山形状に形成され、その結果、当該右側車輪12及び左側車輪13と床との接触部分を面ではなく極力小さくしている。このため音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2を直進走行から走行停止させるために、一方向及び他方向に連続的に回転させるとき、当該楕円体状筐体2を横滑り等しないようにスムーズに回転させることができる。従って音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2に生じていた直進方向慣性力を、当該楕円体状筐体2に対する一方向への回転によって第1の回転慣性力に的確に変換し得ると共に、楕円体状筐体2を他方向へ回転させたとき、当該第1の回転慣性力をほぼ相殺し得る第2の回転慣性力を的確に発生させることができ、その結果として走行停止の際に直進方向慣性力をほぼ確実に消去することができる。
【0057】
さらに音楽再生ロボット装置1は、筐体中央部3の重心を重り14の配置位置により中心点P1からずらして床に極力近づけている。このため音楽再生ロボット装置1は、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき、かかる直進走行によって生じる直進方向慣性力により筐体中央部3が直進方向に回転しようとすることを抑制し得ると共に、楕円体状筐体2を一方向及び他方向に連続的に回転させた際に筐体中央部3と共に楕円体状筐体2全体が前後左右にふらつくことも抑制することができる。さらにまた音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2を左右対称に形成しているため、楕円体状筐体2の走行停止時に、楕円体状筐体2を一方向及び他方向に連続的に回転させる際、楕円体状筐体2が左右に傾いたりすることを防止している。
【0058】
そして音楽再生ロボット装置1は、楕円体状筐体2が左右対称であると共に、重り14により筐体中央部3の重心が中心点P1の真下に存在し、さらに右側車輪12及び左側車輪13と床との接触部分も極力小さいため、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるために、楕円体状筐体2を一方向及び他方向に連続的に回転させたとき、かかる楕円体状筐体2をふらつかせずに基準姿勢をほぼ維持した状態で走行停止させることができる。その結果、音楽再生ロボット装置1は、直進走行から連続的に回転走行や旋回走行に移行するときでも、直進走行させていた楕円体状筐体2をほとんどふらつかせずに走行停止させた上で、当該回転走行や旋回走行に移行するため、直進走行に続く回転走行や旋回走行自体も何らふらつかせずに実行させることができる。
【0059】
なお上述した実施の形態においては、直進走行させた楕円体状筐体2を走行停止させるとき当該楕円体状筐体2を一方向に回転させ、引き続き筐体正面又は筐体背面を直進方向に振り向けるように他方向に回転させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、楕円体状筐体2に対する直進走行の速度に応じて、当該楕円体状筐体2を一方向に回転させ、引き続き筐体正面又は筐体背面を直進方向よりも手前の一方向側に振り向け、又は筐体正面又は筐体背面を直進方向よりも奥の他方向側に振り向けるように他方向に回転させるようにしても良い。このようにしても上述した実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0060】
また上述した実施の形態においては、制御部30が音楽データに基づいて生成された駆動部制御情報INF2に含まれる右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い車輪駆動部34を介して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させ楕円体状筐体2を直進走行から走行停止させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、駆動部制御情報INF2に対し音楽データの再生時間軸AX1に沿って走行停止命令を含ませておくと共に、制御部30が内部のメモリに例えば上述した走行停止動作区間RSAの右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDを予め記憶しておき、当該制御部30が駆動部制御情報INF2に含まれる走行停止命令を検出したとき、メモリ内の右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い車輪駆動部34を介して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させ楕円体状筐体2を直進走行から走行停止させるようにしても良い。
【0061】
すなわち制御部30は、かかる構成の場合、例えば再生曲調動作処理を開始すると、これに応じてメモリ内の走行停止プログラムに従い図15に示す走行停止処理手順RT1を開始する。制御部30は、かかる走行停止処理手順RT1を開始すると、ステップSP1において、楕円体状筐体2を走行停止させるか否かを検出するようにして、駆動部制御情報INF2に含まれる走行停止命令を検出すると、次のステップSP2に移る。ステップSP2において制御部30は、走行停止させる走行状態が直進走行であるか否かを判別する。この場合、制御部30は、例えば駆動部制御情報INF2に含まれる右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDを解析して楕円体状筐体2の走行状態を判別する。
【0062】
その結果、制御部30は、かかるステップSP2において楕円体状筐体2の走行状態が直進走行であるために肯定結果を得ると、次のステップSP3に移る。そしてステップSP3において制御部30は、メモリ内の右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い車輪駆動部34を介して右側車輪12及び左側車輪13を異なる条件で回転駆動させ楕円体状筐体2を直進走行から走行停止させた後、次のステップSP4に移って、かかる走行停止処理手順RT1を終了する。
【0063】
これに対して制御部30は、ステップSP2において楕円体状筐体2の走行状態が回転走行や旋回走行であるために否定結果を得ると、ステップSP5に移る。そしてステップSP5において制御部30は、例えばメモリに予め記憶している回転走行や旋回走行を走行停止させるための所定の右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDに従い車輪駆動部34を介して右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させ楕円体状筐体2を回転走行や旋回走行から走行停止させた後、ステップSP4に移って、かかる走行停止処理手順RT1を終了する。このようにしても音楽再生ロボット装置1は、上述した実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、かかる構成の場合、制御部30は、内部のメモリに直進走行の走行速度に応じた複数種類の右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDを記憶しておき、かかる右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDを、直進走行している楕円体状筐体2の走行速度に応じて選択的に使用するようにしても良い。また制御部30は、内部のメモリに対し直進走行を走行停止させるための右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDのみを記憶しておき、回転走行や旋回走行を走行停止させるための右側車輪駆動指示値RD及び左側車輪駆動指示値LDは駆動部制御情報INF2に含ませておくようにしても良い。
【0065】
さらに上述した実施の形態においては、制御部30が右側車輪12及び左側車輪13を同一の条件で回転駆動させるように車輪駆動部34を制御して楕円体状筐体2を直進走行させ、当該直進走行させた楕円体状筐体2を一方向に回転させ、引き続き他方向に回転させて走行停止させるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、制御部30が右側車輪12及び左側車輪13を同一の回転方向に異なる回転速度で回転駆動させるように車輪駆動部34を制御して楕円体状筐体2を直進方向に向けてわずかに蛇行させ、又はわずかに弧を描くように走行させる等のように、当該右側車輪12及び左側車輪13を回転駆動させるように車輪駆動部34を制御して楕円体状筐体2を直進方向へ走行させた状態で、かかる楕円体状筐体2を一方向に回転させ、引き続き他方向に回転させて走行停止させるようにしても良い。そして楕円体状筐体2を厳密に直進走行させずに直進方向へ走行させたときには、当該楕円体状筐体2を走行停止させるときの右側車輪12及び左側車輪13に対する回転方向及び回転速度に応じて、かかる楕円体状筐体2を一旦回転させる一方向や回転角度、また引き続き回転させる他方向や回転角度を適宜選定することにより、上述した実施の形態の場合と同様に楕円体状筐体2をこれに生じていた直進方向に進もうとする慣性力をほぼ消去して当該直進方向側に転がることを回避し的確に走行停止させることができる。
【0066】
さらに上述した実施の形態においては、本発明による2輪走行装置を、図1乃至図15について上述した音楽再生ロボット装置1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、同一の回動軸に枢支された2つの車輪で走行し得るものであれば、音楽再生機能を持たないロボット装置や、遠隔操作可能なラジオコントロールカー等のように、この他種々の2輪走行装置に広く適用することができる。
【0067】
さらに上述した実施の形態においては、所定の筐体として、図1乃至図15について上述した楕円体状筐体2を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、直方体状や立方体状、球体状、多面体状等のように、この他種々の形状の筐体を広く適用することができる。
【0068】
さらに上述した実施の形態においては、筐体に対し、平行に、かつ同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪として、図1乃至図15について上述した円環形状の右側車輪12及び左側車輪13を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、円盤状の第1及び第2の車輪を適用するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、2輪走行可能なロボット装置やラジオコントロールカー等の2輪走行装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本実施の形態における音楽再生ロボット装置の外観構成の一実施の形態を示す略線的斜視図である。
【図2】音楽再生ロボット装置の背面構成を示す略線図である。
【図3】筐体右側回動部及び筐体左側回動部に対する筐体右側開閉部及び筐体左側開閉部の開閉の説明に供する略線図である。
【図4】筐体右側開閉部及び筐体左側開閉部の形状の説明に供する略線図である。
【図5】筐体右側回動部及び筐体左側回動部の回動の説明に供する略線図である。
【図6】筐体右側回動部及び筐体左側回動部の回動による右スピーカ及び左スピーカの向きの可変の説明に供する略線図である。
【図7】音楽データ転送システムの構成を示す略線図である。
【図8】音楽解析結果情報及び駆動部制御情報を示す略線図である。
【図9】音楽再生ロボット装置の回路構成を示すブロック図である。
【図10】加速度センサ部による加速度の検出の説明に供する略線的斜視図である。
【図11】駆動部制御情報に含まれる右側車輪駆動指示値及び左側車輪駆動指示値の説明に供する略線図である。
【図12】車輪駆動部の回路構成を示すブロック図である。
【図13】楕円体状筐体に対する直進走行からの走行停止の説明に供する略線的上面図である。
【図14】右側車輪及び左側車輪の表面形状の説明に供する略線的正面図である。
【図15】他の実施の形態による走行停止処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0071】
1……音楽再生ロボット装置、2……楕円体状筐体、3……筐体中央部、4……筐体右側回動部、5……筐体左側回動部、6……筐体右側開閉部、7……筐体左側開閉部、12……右側車輪、13……左側車輪、14……重り、30……制御部、34……車輪駆動部、40……右側車輪駆動機構、41……左側車輪駆動機構、42……右側車輪用モータ、43、45……回転検出センサ、44……左側車輪用モータ、RT1……走行停止処理手順。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の筐体と、
上記筐体に対し、同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪と、
上記第1及び第2の車輪をそれぞれ個別に回転駆動する車輪駆動部と、
上記車輪駆動部を制御する制御部と
を具え、
上記制御部は、
上記第1及び第2の車輪を回転駆動させるように上記車輪駆動部を制御することにより上記筐体を直進方向へ走行させ、当該直進方向へ走行させた上記筐体を走行停止させるとき、上記第1及び第2の車輪を異なる条件で回転駆動させるように上記車輪駆動部を制御することにより上記筐体を、上記直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該右方向及び左方向のうち上記一方向とは逆の他方向に回転させて上記第1及び第2の車輪の回転駆動を停止させる
ことを特徴とする2輪走行装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記直進方向へ走行させた上記筐体を上記走行停止させるとき、上記第1及び第2の車輪を上記異なる条件で回転駆動させるように上記車輪駆動部を制御することにより上記筐体を、上記直進方向に向けていた筐体表面を当該直進方向に対する右側又は左側に振り向けるように上記一方向に回転させ、引き続き上記筐体表面を再び上記直進方向に振り向けるように上記他方向に回転させて上記第1及び第2の車輪の回転駆動を停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の2輪走行装置。
【請求項3】
上記第1及び第2の車輪は、
弾性体でなる
ことを特徴とする請求項2に記載の2輪走行装置。
【請求項4】
上記第1及び第2の車輪は、
それぞれ表面が中央部を一周に亘って突出させるように山形状に形成された
ことを特徴とする請求項3に記載の2輪走行装置。
【請求項5】
上記筐体は、
上記回動軸から重心がずれている
ことを特徴とする請求項4に記載の2輪走行装置。
【請求項6】
上記筐体は、
上記直進方向へ走行する際の当該直進方向から見て左右対称に形成された所定形状でなり、
上記第1及び第2の車輪は、
上記筐体に対し、当該筐体の中心点からそれぞれ等距離の位置に枢支された
ことを特徴とする請求項5に記載の2輪走行装置。
【請求項7】
所定の筐体に対し、同一の回動軸を中心にして一方及び他方の回転方向に回動可能に枢支された第1及び第2の車輪を回転駆動することにより上記筐体を直進方向へ走行させる直進方向走行ステップと、
上記第1及び第2の車輪を異なる条件で回転駆動することにより上記筐体を、上記直進方向に対する右方向及び左方向のうち一方向に回転させ、引き続き当該右方向及び左方向のうち上記一方向とは逆の他方向に回転させて上記第1及び第2の車輪の回転駆動を停止する走行停止ステップと
を具えることを特徴とする走行停止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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