説明

2面コーナーリフレクタアレイ光学素子およびその製造方法並びに2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置

【課題】基盤表面から突出した複数の筒状体を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を、成型後にスタンパから容易に取り出すことを可能とする製造方法を提供する。
【解決手段】筒状体51の各々の端面の面積が、基盤60側との接合平面51の面積より小となり、且つ筒状体の各々が2面コーナーリフレクタ61となる2つの直交する平面61a,61bを含む直方体形状部と、これと一体となった直交側面に非平行な側面を含むテーパー部62a,62bとからなる筒状体の反転形状を備えた金型を用意する。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法は、かかる金型を型締してキャビティを画定する工程と、金型キャビティ内にて樹脂からなる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を形成する工程と、樹脂冷却後に、直交側面から金型が真っ先に離れる離型方向に金型を移動させて、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を離型する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子に関し、特に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子およびその製造方法並びにそれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
反射型実鏡映像結像光学素子を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて、それを観察者が見ることができるようにした表示装置が提案されている(特許文献1、参照)。
【0003】
具体的には、かかる表示装置は、被観察物の実像(実鏡映像)を観察者側の空間に結像させる反射型実鏡映像結像光学素子と、当該反射型実鏡映像結像光学素子の該観察者側とは反対側の空間に配置される該実鏡映像を形成するための被観察物と、を備えたものである。
【0004】
特許文献1には、互いに直交する2つの鏡面からなる単位光学素子(2面コーナーリフレクタと称する)の複数を、1つの平面を構成する素子面にアレイ状にすなわち整列配置した反射型実鏡映像結像光学素子(2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と称する)が開示されている。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体例として、特許文献1においては、素子面を貫通する方向に穿孔された正方形穴の内壁を2面コーナーリフレクタとして利用するものや、図1に示すように、透明材料からなる基盤60の表面(XY平面)からその厚さ方向(Z方向)に垂直に突出した透明な立方体形状の筒状体5の内壁(鏡面61a、61b)を2面コーナーリフレクタ61として利用し該筒状体を碁盤目状に複数を形成した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が示されている。
【0005】
2面コーナーリフレクタアレイ光学素子においては、複数の整列された2面コーナーリフレクタの各鏡面が素子面にほぼ垂直に直立配置されているので、該素子面の一方側に配置した被投影物からの光は、該素子面を通過する際に2面コーナーリフレクタに2回反射して、被投影物のない該素子面の他方側の空間に実像として結像する。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、被観察物が2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の素子面(対称面とも称する)に対して対称位置に存在するように、その実像を結像させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2007−116639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の立方体形状の筒状体5の内側壁を2面コーナーリフレクタとして利用した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造においては、樹脂による射出成型法を利用することができる。かかる射出成型法では、図1に示すような複数の立方体筒状体の反転形状を備えたスタンパ(金型)を使用して、金型キャビティに溶融樹脂を充填して、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を離型する。しかし、当該光学素子の複数の筒状体のスタンパへの食い付きにより、成型後に光学素子をスタンパから外すことが非常に困難になる。たとえば、当該光学素子がスタンパ側に貼り付いてしまう問題があった。さらに、当該光学素子をスタンパから無理に剥がした場合、スタンパから剥がした2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が歪んで、当該光学素子により結像される像がぼやけたり、ひどい場合には結像ができない(観察できない)という問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、透明材料で一体的に成型された基盤とその表面内の接合平面から突出し整列した複数の筒状体とからなり、その筒状体の各々には2面コーナーリフレクタとして2つの直交する平面の側面が形成され、その基盤の一方の主面側にある被観察物の実像をその他方の主面側の空間に結像させる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を、成型後にスタンパから容易に取り出すことができるとともに、その鮮明な実像を結像できる性能を維持できる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法並びに2面コーナーリフレクタアレイ光学素子およびそれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
筒状体のテーパー部として、傾斜(いわゆる「抜きテーパー」)を筒状体に付けることにより、課題であるスタンパ(金型)からの2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の取り外しを容易にすることができる。この時の、テーパーの傾斜方向は該筒状体の基盤側の底面(接合平面)より、基盤側とは反対側の端面(天面)の方が小さくなるような傾斜方向である。
【0010】
図1に示す立方体の突出した筒状体にしろ、抜きテーパーを有する筒状体にしろ、最も大切なことは、2面コーナーリフレクタを形成する直交側面の形状を如何に精度良く、かつ、平面性(鏡面性)良く作製するかにある。
【0011】
2面コーナーリフレクタを形成する2側面は基盤に対して垂直な面であるために、通常の成型法のように射出成型された後の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を金型(スタンパ)から外す時に、基盤に垂直な線方向に移動しながら外した場合に、2面コーナーリフレクタ面はスタンパ面に擦り合わされながら移動することになり、2面コーナーリフレクタ面に擦り傷が付いてしまい、被観察物の実像(実鏡映像)がぼやけてしまう(結像性能の低下)という問題点を知見して、それに基づき本発明に至った。
【0012】
本発明による上記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法では、前記筒状体の各々の端面の面積が前記基盤側との接合平面の面積より小となり且つ前記筒状体の各々が前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部とからなる切頭錐台形状を有するような前記筒状体の反転形状を備えた金型を用意する。そして、この本発明の製造方法は、かかる金型を型締してキャビティを画定する工程と、該金型キャビティ内にて樹脂からなる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を形成する工程と、樹脂冷却後に、直交側面から金型が真っ先に離れる離型方向に金型を移動させて、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を離型する工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
ここで前記筒状体の切頭錐台形状は、例えば、テーパー部の非平行な側面を平面として切頭角錐台形状とすることができる。
【0014】
さらに、2面コーナーリフレクタとした側面から金型が真っ先に離れる離型方向は、前記テーパー部の非平行な側面に平行に延在するテーパー仮想面と前記直交側面に平行に延在する直交側面仮想面で囲まれかつ前記筒状体の端面と前記直交側面との交点を頂点とする錐体状空間範囲内において、前記頂点から前記直交側面の交線の方向に対して傾いて逸れる方向に設定することが、好ましい。例えば、離型方向は、切頭角錐台形状の筒状体の場合、前記テーパー部の非平行な平面側面の交線と前記直交側面の交線の2つの線で決められる角度の半分の角度で規定される方向とすることができる。
【0015】
テーパー部のテーパー角度(基盤に垂直な面からの角度)はスタンパからの光学素子の取り外しを考えると大きい方が良いが、大き過ぎると2面コーナーリフレクタで反射した光の出射面である筒状体端面の面積が小さくなることにより、被観察物の実像(実鏡映像)が暗くなってしまう。また、上記端面面積を確保した場合には上記筒状体の底面の面積が大きくなり単位面積当りの2面コーナーリフレクタ数が減少してしまうためやはり被観察物の実像(実鏡映像)が暗くなってしまう。
【0016】
これら相反する現象に対して様々なテーパー角度のスタンパを用いて成型実験を行った結果、上記テーパー角度(基盤に垂直な面からの角度)は、5度以上、25度以下にすることが好適であることが分かった。
【0017】
四角錐の切頭錐台形状の筒状体の場合、2面コーナーリフレクタを形成する2面以外の側面(端面と底面除く)は2面存在することになり、その両面に上記傾斜を付けることになるが、それら両面のテーパー角度は等しくても良いし、等しくなくても良い。ただし電鋳加工等の反転工法で金型を作製する場合にはそれら両面の角度が等しい方が切削工具(バイト)を1種類だけ作製すれば良いので都合が良い。
【0018】
また、本発明の上記製造方法により透明材料で一体的に成型された、基盤とその表面内の接合平面から突出し整列した複数の筒状体とからなり、前記筒状体の各々には2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面が形成され、前記基盤の接合平面側にある被観察物の実像を前記筒状体の端面側の空間に結像させる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、前記筒状体の各々は前記2面コーナーリフレクタを含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記2面コーナーリフレクタに非平行な側面を含むテーパー部とからなる切頭錐台形状を有し、前記筒状体の各々の端面の面積が前記基盤側との接合平面の面積より小であることを特徴とする。
【0019】
さらにまた、本発明の上記製造方法で作製した2面コーナーリフレクタ光学素子を用いて、前記基盤の一方の主面側に被観察物を配置すれば、前記被観察物の実像を前記基盤の他方の空間に結像させることができる表示装置が実現できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の筒状体の各々の2面コーナーリフレクタを形成する2面以外の側面に傾斜を付けたことにより、スタンパ(金型)と2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の接触面間で生じる摩擦力は小さくなるため成型後にスタンパから2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を容易に取り出すことができる。さらに、本発明によれば、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の2面コーナーリフレクタ鏡面に擦り傷が付くことを防止でき、鮮明な観察像を観察できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】従来の立方体形状筒状体を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体的構成例を模式的に示す概略部分切欠斜視図である。
【図2】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の具体的構成例を模式的に示す概略部分切欠斜視図である。
【図3】図2のA−A断面およびB−B断面における断面図である。
【図4】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の筒状体を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の手順を説明するための金型の概略断面図である。
【図6】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の筒状体を模式的に説明するための筒状体の断面図、上面図および斜視図である。
【図7】本発明による他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の手順を説明するための金型の概略断面図である。
【図8】本発明による他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の手順を説明するための金型の概略断面図である。
【図9】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の金型の温度制御を説明するための金型の概略断面図である。
【図10】本発明による他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の金型の概略断面図である。
【図11】本発明による他の実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の金型の概略断面図である。
【図12】本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を作製するためのスタンパ作製時に使用するダイヤバイトの形状を説明するための概略断面図である。
【図13】切削加工後のスタンパ作成用の銅マスター板を示す部分拡大断面図である。
【図14】電鋳反転加工で得られたスタンパの部分拡大断面図である。
【図15】比較例の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を射出成型法により作製する場合の手順の説明するための金型の概略断面図である。
【図16】同実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を模式的に示す概略平面図および部分切欠斜視図である。
【図17】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の結像様式を模式的に示す概略斜視図である。
【図18】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略平面図である。
【図19】本発明による実施形態の表示装置に適用される2面コーナーリフレクタアレイ光学素子による結像様式を模式的に示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明による実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子やその製造方法および2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いた表示装置について、図面を用いて説明する。
【0023】
−−実施例1−−
図2に、本発明が適用された、突出した筒状体51を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の実施形態の拡大部分斜視図を示す。また、図3(a)(b)に図2のA−A断面およびB−B断面における拡大部分断面図を示す。
【0024】
本実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、透明材料で一体的に成型された平板状の基盤60とその表面内の接合平面から突出した筒状体51の複数とからなる。筒状体の各々には2面コーナーリフレクタ61として交線CLにて2つの直交する平面の側面(鏡面61a、61b)が形成されている。筒状体の各々の2面コーナーリフレクタを除く2鏡面以外の平面の側面62a、62bは基盤60主面の法線から一定の角度(傾斜)を持っている。図3には、筒状体51の寸法、高さH、端面一辺L、間隔Dおよび角度θ(端面となす傾斜角度)が記載してあるが、これらの値は、一例としての高さH=170μm、正方形一辺L=150μm、間隔D=10μm、傾斜角度θ=108°であるが、これらは代表値であり、これに限定されるものではない。
【0025】
図4に示すように、筒状体51の2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bは、筒状体の基盤側の基盤との接合平面52(底面)の面積より筒状体の基盤側とは反対側の端面53の面積の方が小となるような切頭角錐台形状の筒状体51のテーパー部を画定する。2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bはテーパー面となる。テーパー面のテーパー角度φ(基盤に垂直な面からの角度)は、5度以上、25度以下に設定することが好適である。テーパー角度が5度未満または25度を超えると、離型が難しくなり、又は、筒状体密度が下がり結像のための光量が減る。
【0026】
筒状体51は、図4に示すように、切頭角錐台であって、2面コーナーリフレクタとした直交側面61a、61bを含む直方体形状部C(例えは立方体)と直方体形状部Cと一体となった2面コーナーリフレクタに非平行な側面62a、62bを平面として含むテーパー部Tとからなる。
【0027】
具体的に、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子は、図5に示すように、基盤および筒状体が樹脂成型法により作製できるので、その一例を説明する。
【0028】
図2に示すような複数の切頭角錐台形状筒状体のアレイの反転形状を備えたスタンパ(金型)を予め作成しておく。
【0029】
まず、図5(a)に示すように、所定のスタンパ101と平坦な金型102を密着させた状態で、これらを、充填すべき樹脂の軟化温度以上(アクリル樹脂を使用する場合は例えば200℃)に加熱しておく。
【0030】
次に、図5(b)に示すように、金型ゲート部103より溶融した樹脂104を金型102内キャビティに高圧にて充填する。
【0031】
次に、図5(c)に示すように、樹脂104の充填終了後にスタンパ101と金型102を密着させたまま樹脂104を軟化温度以下(アクリル樹脂を使用する場合は例えば80℃)まで冷却する。
【0032】
次に、図5(d)に示すように、基盤法線から傾けた線分方向に沿って斜めに移動させながら、2面コーナーリフレクタ(図4に示す側面61a、61b)から金型102が真っ先に離れる離型方向Rへ金型102とスタンパ101を互いに離す。この時、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が金型102とともにスタンパ101から離すことができるようにすることが好ましい。
【0033】
次に、図5(e)に示すように、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子6を金型102から外す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の金型側の面は平面であるため比較的簡単に取り外すことができる。ゲート部により形成された樹脂部分を切り落とせば2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が完成する。
【0034】
この実施例での前記傾けた線分方向(離型方向R)は、例えば、図3に示した寸法および角度に従い計算された角度である基盤法線から12.3度に設定した。この設定角度は、図4に示すように基盤法線からφ=18度傾いている2つの側面62a、62b(テーパー面)の交線が基盤法線からψ=24.6度傾いているので、図6に示すように、角度ψの半分の角度である。なお、図6は、実施形態の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の筒状体に対する離型方向Rを模式的に説明するための筒状体の図4のE−E断面図(図6(a))、筒状体の上面図(図6(b))および筒状体の斜視図(図6(c))を示す。
【0035】
図6(c)に示すように、実施形態における離型方向Rは、筒状体51の端面53の頂点Fから直交側面の交線CLの方向(基盤の法線)に対して傾いて逸れる方向である。そして、離型方向Rは、テーパー部の非平行な側面62a、62bに平行に延在するテーパー仮想面62aa、62bbと直交側面61a、61bに平行に延在する直交側面仮想面61aa、61bbで囲まれかつ筒状体の端面53と直交側面61a、61bとの交点F(頂点F)を頂点とする錐体状空間範囲内に設定される。
【0036】
−−実施例2−−
図5に示す方法において成型装置の都合上、上記離型方向Rに金型102又はスタンパ101を相対的に移動させることが不可能であることが多い。一般的な成型装置ではスタンパ又は金型の基準面に対して垂直方向に移動させるのが通常である。この問題に対しては、図7に示すようにスタンパ自体および金型の素子面側を所定の角度傾けた状態で成型装置にセットする方法で解決可能である。スタンパ自体および少なくとも金型の素子面側を所定の角度傾けてセットするために、金型102およびスタンパ101をそれぞれの移動方向に対して傾けてセットするための金属ブロック部品102aおよびスタンパ101aを追加している。これらは、具体的にはテーパー上の平板でテーパーの角度を相補的に所定の角度(12.3度である)とした金属ブロックである。なお、この例では追加の金属ブロック部品としているが、スタンパおよび金型を作製する時にこの部品に相当する部分まで一体的に作製しても良い。
【0037】
まず、図7(a)に示すように、所定のスタンパ101と平坦な金型102を密着させた状態で、これらを、充填すべき樹脂の軟化温度以上(アクリル樹脂を使用する場合は例えば200℃)に加熱しておく。
【0038】
次に、図7(b)に示すように、金型ゲート部103より溶融した樹脂104を金型102内キャビティに高圧にて充填する。
【0039】
次に、図7(c)に示すように、樹脂104の充填終了後にスタンパ101と金型102を密着させたまま樹脂104を軟化温度以下(アクリル樹脂を使用する場合は例えば80℃)まで冷却する。
【0040】
次に、図7(d)に示すように、成型装置の移動方向(離型方向R)に移動させながら金型102とスタンパ101を互いに離す。金型102およびスタンパ101を所定の角度傾けてあることにより、成型された光学素子にとっては、2面あるテーパー部を有する面の交線の方向に傾けた線分方向に沿って斜めに移動させながら外されている状態と同じことになる。この時、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が金型102とともにスタンパ101から離すことができるようにすることが好ましい。
【0041】
次に、図7(e)に示すように、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子6を金型102から外す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の金型側の面は平面であるため比較的簡単に取り外すことができる。ゲート部により形成された樹脂部分を切り落とせば2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が完成する。
【0042】
実施例1および実施例2により作製された光学素子の2面コーナーリフレクタ面を顕微鏡で観察したところ、擦り傷のない奇麗な鏡面が観察できた。
【0043】
−−実施例3−−
さらに、成型時の転写性を向上させるために、溶融樹脂を金型内に充填する時には金型(スタンパ)の温度を所定の温度以上にし、樹脂充填後に前記金型の温度を所定の温度以下に冷やした後に、成型された後の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を金型(スタンパ)から外す作製方法について実施例3として以下に説明する。
【0044】
この実施例で使用するスタンパと金型の基本構造は実施例2のものと同じであるが、さらに、それらを加熱するためのヒーターと、冷却するための冷却装置が前記金属ブロックに内蔵されている。
【0045】
まず、図8(a)に示すように、かかる所定のスタンパ101と平坦な金型102を密着させた状態で、これらを、充填すべき樹脂の軟化温度以上(アクリル樹脂を使用する場合は例えば200℃、軟化温度は100℃)に加熱して温度を保持しておく。本実施形態で使用するスタンパ101にはスタンパ加熱用のヒーターSHとスタンパ冷却用の冷却装置SCが、金型102には金型加熱用のヒーターMHと金型冷却用の冷却装置MCがそれぞれ内蔵されている。冷却装置SC、MCは例えば水冷式の場合は循環器に接続された水管であり、ヒーターSH、MHは例えば抵抗加熱器である。
【0046】
次に、図8(b)に示すように、金型ゲート部103より溶融した樹脂104を金型102内キャビティに高圧にて充填する。この時、スタンパ101と金型102はヒーターにより120℃(アクリル樹脂の軟化温度以上に)に加熱して温度を保持しておく。かかる温度保持は、ヒーターSH、MHと冷却装置SC、MCの制御により行う。
【0047】
次に、図8(c)に示すように、樹脂104の充填終了後にスタンパ101と金型102を密着させたまま樹脂104を軟化温度以下(アクリル樹脂を使用する場合は例えば80℃)まで冷却する。かかる冷却制御もヒーターSH、MHと冷却装置SC、MCの制御により行う。
【0048】
次に、図8(d)に示すように、成型装置の移動方向(離型方向R)に移動させながら金型102とスタンパ101を互いに離す。この時、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が金型102とともにスタンパ101から離すことができるようにすることが好ましい。
【0049】
次に、図8(e)に示すように、成型された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を金型102から外す。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の金型側の面は平面であるため比較的簡単に取り外すことができる。本実施形態の特徴の1つである切頭角錐台形状筒状体の「抜きテーパー」が役立つからである。ゲート部により形成された樹脂部分を切り落とせば2面コーナーリフレクタアレイ光学素子が完成する。これら離型ステップ中においても、ヒーターSH、MHと冷却装置SC、MCの温度制御により行うことが好ましい。
【0050】
ヒーターSH、MHと冷却装置SC、MCによるスタンパ101と金型102の温度制御を図9により説明する。
【0051】
スタンパ101と金型102のそれぞれのヒーターSH、MHは制御ユニット105に接続され、制御ユニット105が各ヒーターのオンオフ制御をする。
【0052】
スタンパ101と金型102のそれぞれの冷却装置SC、MCが例えば水冷式の場合、冷却装置SC、MCの水管が循環器106S、106Mに接続されている。循環器106S、106Mは制御ユニット105に接続され、制御ユニット105が各循環器による水の流量制御をする。
【0053】
スタンパ101と金型102のそれぞれの所定位置には、熱電対などの温度センサ107S、107Mが設けられ、温度センサ107S、107Mはスタンパ101と金型102の温度をそれぞれ検出する。
【0054】
予熱としてスタンパ101と金型102がヒーターSH、MHにて加熱される時、或いは樹脂104がスタンパ101と金型102による金型キャビティ空間に流れてきた時、両者の温度が上昇する。この温度をスタンパ101と金型102に装着された温度センサ107S、107Mが検出し、その信号を制御ユニット105が受信し、設定温度より高いと判断した場合、指令により、循環器106S、106Mを動作させクーラントである水の流量をゼロから循環器106S、106Mの許容流量までの間で増大させることで温度下降制御ができる。スタンパ101と金型102の両者の温度は水流の流量増加により低下していく。この低下温度を金型1に装着された温度センサ107S、107Mが検出し、その信号を制御ユニット105が受信し、設定温度より低いと判断した場合、指令により、循環器106S、106Mを動作させ水流の流量を循環器106S、106Mの許容流量からゼロまでの間で減少させて温度上昇制御ができる。スタンパ101と金型102の両者の温度は水流の流量減少により上昇していく。このようにして制御ユニット105はスタンパ101と金型102の温度設定を行う。
【0055】
ここで、ヒーターと冷却装置をスタンパ101と金型102のそれぞれに設けた例を示したが、この他にも、ヒーターSHと冷却装置SCをスタンパ101の側にだけ設けた例(図10、参照)や、スタンパ101の側にヒーターSHと冷却装置SCを設け金型102の側にだけ冷却装置MCを設けた例(図11、参照)など様々な形態を取ることが可能である。実験の結果、図9および図11に示すスタンパ101と金型102に少なくとも冷却装置を備える制御形態が好適であることが判った。
【0056】
実施例3により作製された光学素子の2面コーナーリフレクタ面を顕微鏡で観察したところ、擦り傷のない奇麗な鏡面が観察できた。さらに、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の頂点部分の転写性が上記実施例1および2の場合により改善されたために、被観察物の実像を観察したところ非常に鮮明な像が観察できた。
【0057】
また、スタンパおよび金型を作製する時に前記金属ブロックに相当する部分まで一体的に作製した場合には、それらの中にヒーターや冷却装置を組み込んでもよい。
【0058】
上記所定スタンパ101は、ダイヤバイトによる切削加工と電鋳反転加工により作製できる。以下にその手順を示す。
【0059】
まず、図12に示すように、片側は垂直面に対応して、もう片側は筒状体の傾斜面に対応した角度を有するダイヤバイト(切削のための刃)を準備する。
【0060】
次に、例えば、所定厚さの正方形の銅マスター板に図12のダイヤバイトにより2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の反転パターンになるように切削加工を施す。具体的には、正方形の銅マスター板の一辺に平行な水平溝を所定のピッチで複数順番に切削して行き、次に、先に切削した溝に対して直角方向に、やはり所定ピッチで複数の垂直溝を順番に切削して行く。上記の図3に示す断面形状を作製するのに、1本の溝に対して1回当たり5μmずつの切削を繰り返すことにより170μmの深さに達するまで切削後、次の溝の位置まで所定ピッチでダイヤバイトを移動させる動作を繰り返した。切削加工後の銅マスター板150は複数の突出した筒状体51を有する2面コーナーリフレクタアレイ光学素子のモックアップになる。図13はかかる銅マスター板150の部分拡大断面図を示す。
【0061】
次に、切削加工後の銅マスター板を用いてニッケルの電鋳反転加工により、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と同じ筒状体形状を有する銅マスター板の反転パターンを有する成型用のスタンパ101を作製できる。図14に電鋳反転加工で得られたスタンパ101の部分拡大断面図を示す。
【0062】
比較例として通常の射出成形方法により2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を作製した場合を、図15を用いて説明する。基盤面に垂直方向に離型したことを除けば図5に示した前記実施例と基本構成は同じである。
【0063】
図15(a)に示すように、スタンパ101と金型102を密着させた状態で、これらを、充填すべき樹脂の軟化温度以上(アクリル樹脂を使用する場合は例えば200℃)に加熱しておく。
【0064】
図15(b)に示すように、ゲート部より溶融した樹脂104を金型内キャビティに高圧にて充填する。
【0065】
図15(c)に示すように、樹脂の充填終了後、スタンパ101と金型102を密着させたまま樹脂104を軟化温度以下(アクリル樹脂を使用する場合は例えば80℃)まで冷却する。
【0066】
図15(d)に示すように、金型102とスタンパ101を互いに離す。この時、成型された光学素子が金型102とともにスタンパ101から離すことができるようにすることが好ましい。
【0067】
図15(e)に示すように、成型された光学素子を金型102から外す。光学素子の金型側の面は平面であるため比較的簡単に取り外すことができる。ゲート部により形成された樹脂部分を切り落とせば光学素子が完成する。
【0068】
図15に示す比較例に従って作製された2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の形状を拡大観察した結果、鏡面に傷がついてしまっていた。実際に比較例で作製した2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を用いて像を結像したところ、甚だぼやけた像しか観察されなかった。
【0069】
本発明によれば、図16(a)に示すように、薄い平板状の基盤60に、平面視でほぼ切頭角錐台(例えば正方形底面)であって、その接合平面(底面)乃至天面すなわち端面の間を光線が屈曲して通過する透明な筒状体51(一辺が例えば50〜200μm)を多数形成し、各筒状体51のうち隣接して直交する2つの内壁面61a,61bを2面コーナーリフレクタ61とする2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を得ることができる。なお、2面コーナーリフレクタ61を構成しないテーパー部分には、つや消しなど反射不能な面とすることができる。また、各2面コーナーリフレクタ61は、基盤60上において鏡面61a,61bがなす内角が全て同じ向きとなるように、規則的な格子点上に整列させて形成することが好ましい。よって、図16(b)に示すように、各2面コーナーリフレクタでは、2つの直交する鏡面の交線CLが素子面6Sに直交することが好ましい。この鏡面61a,61bの内角の向きを、2面コーナーリフレクタ61の向き(方向)と称する。また、2面コーナーリフレクタとして機能する各筒状体51の外側面(内壁面61a,61bの部分)に金属反射膜をさらに付けることで、反射効率が向上する。
【0070】
本発明の表示装置は、図17に模式的に示すように、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と基盤の一方の主面側にある被観察物4とを含み、被観察物の実像5(実鏡映像)を基盤の他方側の空間に結像させる。2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、2つの相互に直交する鏡面61a,61bから構成される2面コーナーリフレクタ61の多数の集合であり、全2面コーナーリフレクタ61を構成するそれぞれ2つの鏡面61a,61bに対してほぼ垂直な平面を素子面6Sとし、この素子面6Sを対称面とする面対称位置に被観察物2の実鏡映像5を結像させることができるものである。なお、本実施形態において2面コーナーリフレクタ61は2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の全体の大きさ(cmオーダ)と比べて非常に微小(μmオーダ)であるので、図17では2面コーナーリフレクタ61の集合全体をグレーで表し、その内角の向きをV字形状で表してある。
【0071】
本発明では2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66は、突出した筒状体の側面のうち本発明の特徴である傾斜した面以外の基盤に垂直な面として設けられている(図17の61a,61b)。
【0072】
そして、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66では、各2面コーナーリフレクタ61は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の裏面側(被観察物4)から、突出した筒状体に入った光を一方の鏡面61a(または61b)で反射させ、さらにその反射光を他方の鏡面61b(または61a)で反射させて表面側へと通過させる機能を有し、この光の進入経路と射出経路とが素子面6Sを挟んで面対称をなすこととなる。すなわち、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6S(各鏡面の高さ方向中央部を通り且つ各鏡面と直交する面を仮定)は、被観察物4の実像(実鏡映像)を、面対称位置に空中像(実鏡映像)5として結像させる対称面となる。
【0073】
ここで、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66による結像様式について、被観察物として点光源oから発せられた光の経路とともに簡単に説明する。図18に平面的な模式図で、図19に模式的な側面図でそれぞれ示すように、点光源oから発せられる光(一点鎖線矢印で示す。図18において3次元的には紙面奥側から紙面手前側へ進行する)は、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を通過する際に、2面コーナーリフレクタ61を構成する一方の鏡面61a(または61b)で反射して更に他方の鏡面61b(または61a)で反射した後に素子面6Sを通過し、2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66の素子面6Sに対して点光源oの面対称位置を広がりながら通過する。図18では入射光と反射光とが平行をなすように表されているが、これは同図では点光源oに対して2面コーナーリフレクタ61を誇張して大きく記載しているためであり、実際には各2面コーナーリフレクタ61は極めて微小なものであるため、同図のように2面コーナーリフレクタアレイ光学素子66を上方から見た場合には、入射光と反射光とは殆ど重なってみえる(図18では2面コーナーリフレクタ61の2つの鏡面(61a,61b)それぞれに最初に当たる光の経路、つまり2本の経路を描いて説明しているが、図19では煩雑さを避けるためにどちらか一方の鏡面に最初に当たる光のみを描いている)。すなわち、結局は点光源oの素子面6Sに対する面対称位置に透過光が集まり、図18、図19においてpの位置に実鏡映像として結像することになる。
【0074】
このように2面コーナーリフレクタは反射鏡として働くため、樹脂成型品の突出した筒状体の側面のうちの2面コーナーリフレクタとして働く基盤に垂直な面には、例えば金属膜などの反射面を付けることが好ましいが、発明者は樹脂成型品だけ、つまり反射面を追加加工しなくても、樹脂と空気界面の屈折率差によって十分な反射が得られるため実用上問題ない明るさの実鏡映像を空中に結像させることができることを発見した。
【0075】
反射面を設けることなく樹脂成型品のみの2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を利用して、空中に被観察物の実像(実鏡映像)を結像させて見ることができるので低コストで表示装置を作製することができる。
【0076】
上記の実施形態においては筒状体として四角錐の切頭角錐体形状を用いたがこれに限らず、断面形状が、例えば扇状や、三角形でも、2面コーナーリフレクタとなる直交側面を有していればかまわない。この場合でも金型とスタンパの離型方向は2面コーナーリフレクタの作る直角を2等分(リフレクタ面と45℃)する交線方向に対し傾いて逸れる方向となる。たとえば、金型とスタンパの離型方向の基盤法線とのなす角度は、交線方向で基盤平面とは垂直に切断した時の筒状体断面図におけるテーパーの基盤法線と形成する角度の1/2として考えればよい。
【符号の説明】
【0077】
4 被観察物
5 空中映像(実鏡映像)
6S 素子面(対称面)
51 筒状体
52 接合平面
53 端面
60 基盤
61 2面コーナーリフレクタ
61a、61b 鏡面(側面)
62a、62b 2面コーナーリフレクタに非平行な側面(テーパー面)
66 2面コーナーリフレクタアレイ光学素子
101、201 スタンパ
102、202 金型
103 金型ゲート部
104 樹脂
105 制御ユニット
106S、106M 循環器
107S、107M 温度センサ
CL 鏡面の交線
C 直方体形状部
SH、MH ヒーター
SC、MC 冷却装置
T テーパー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明材料で一体的に成型された基盤とその表面内の接合平面から突出し整列した複数の筒状体とからなり、前記筒状体の各々には2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面が形成され、前記基盤の一方の主面側にある被観察物の実像を他方側の空間に結像させる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法であって、
前記筒状体の各々の端面の面積が前記基盤側との接合平面の面積より小となり且つ前記筒状体の各々が前記2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面を含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記直交側面に非平行な側面を含むテーパー部とからなる切頭錐台形状を有するような前記筒状体の反転形状を備えた金型を型締する工程と、
前記金型内にて樹脂からなる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を形成する工程と、
樹脂冷却後に、前記直交側面から前記金型が真っ先に離れる離型方向に前記金型を移動させて、前記2面コーナーリフレクタアレイ光学素子を離型する工程と、を含むことを特徴とする2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記離型方向は、前記テーパー部の非平行な側面に平行に延在するテーパー仮想面と前記直交側面に平行に延在する直交側面仮想面で囲まれかつ前記筒状体の端面と前記直交側面との交点を頂点とする錐体状空間範囲内において、前記頂点から前記直交側面の交線の方向に対して傾いて逸れる方向であることを特徴とする請求項1に記載の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記直交側面に金属反射膜をさらに付ける工程と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記直交側面の交線からの前記テーパー部の非平行な側面のテーパー角度が、5度以上、25度以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子の製造方法により透明材料で一体的に成型された、基盤とその表面内の接合平面から突出し整列した複数の筒状体とからなり、前記筒状体の各々には2面コーナーリフレクタとなる2つの直交する平面の直交側面が形成され、前記基盤の接合平面側にある被観察物の実像を前記筒状体の端面側の空間に結像させる2面コーナーリフレクタアレイ光学素子であって、
前記筒状体の各々は前記2面コーナーリフレクタを含む直方体形状部と前記直方体形状部と一体となった前記2面コーナーリフレクタに非平行な側面を含むテーパー部とからなる切頭錐台形状を有し、前記筒状体の各々の端面の面積が前記基盤側との接合平面の面積より小であることを特徴とする2面コーナーリフレクタアレイ光学素子。
【請求項6】
請求項5に記載の2面コーナーリフレクタアレイ光学素子と前記基盤の一方の主面側にある被観察物とを含み、前記被観察物の実像を前記基盤の他方側の空間に結像させることを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−118095(P2012−118095A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264820(P2010−264820)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】