説明

3次元周期構造及びそれを有する機能素子

【課題】 広い波長領域で完全フォトニックバンドギャップを呈し、しかも製造が容易な3次元周期構造及びそれを有する機能素子を得ること。
【解決手段】 フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造であって、複数の柱状構造が所定の間隔を空けて配列された層が付加層を介して順次積層され、該付加層に含まれる離散構造は該柱状構造の交点に相当する位置に配置され、該離散構造の面積は前記柱状構造の交差領域の面積より大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造、およびそれを有するフィルタ、発光素子、光回路などの機能素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、波長以下の大きさの構造物によって電磁波の透過・反射特性などを制御するという概念は、Yablonovitchによって提唱されている(非特許文献1)。この非特許文献1によると、波長以下の構造を周期的に配列することによって電磁波の透過・反射特性などを制御可能で、電磁波の波長を光の波長オーダーにまで小さくすることによって、光の透過・反射特性を制御することができる。このような構造物はフォトニック結晶として知られており、ある波長域において、光損失が無損失の100%の反射率を有する反射ミラーを実現できることが示唆されている。このように、ある波長域で反射率を100%にすることができる概念は、従来の半導体が持つエネルギーギャップとの比較から、フォトニックバンドギャップと言われている。また、構造を3次元的な微細周期構造にすることによって、あらゆる方向から入射した光に対してフォトニックバンドギャップを実現することができ、以下、これを完全フォトニックバンドギャップと呼ぶことにする。完全フォトニックバンドギャップが実現できると、発光素子における自然放出の抑制など様々な応用が可能となり、従来にない新しい機能素子の実現が可能となる。また、より広い波長域で完全フォトニックバンドギャップが実現できる構造の機能素子が求められている。
【0003】
このようなフォトニックバンドギャップを呈する構造体がこれまでにも幾つか提案されている(特許文献1、2、非特許文献2)。完全フォトニックバンドギャップを実現可能な3次元周期構造としては図12(a)〜(f)に示すようないくつかの構造が挙げられ、それぞれ順に、ダイヤモンドオパール構造、ウッドパイル構造、らせん構造、独自な3次元周期構造、前記3次元周期構造の反転構造(インバース構造)、ダイヤモンドウッドパイル構造等がある。
【非特許文献1】Physical Review Letters,Vol.58,pp.2059,1987年
【非特許文献2】Applied Physics Letters,Vol.84,No.3,pp.362,2004年
【特許文献1】特開2002−148463号公報
【特許文献2】特表2002−522810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にフォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造は、構造の大きさが小さく作製が容易でないことから、これら3次元周期構造を光波領域(真空中での波長が数μm以下)で動作させたものは、非常に少ない。
【0005】
そのような中、図12(b)に示す米国特許5,335,240号にて提案されたウッドパイル構造は、2次元周期構造を積層することにより作製ができる構造であることから、3次元構造では唯一実験的にフォトニックバンドギャップが観測されている。しかし、ウッドパイル構造は、最も広いフォトニックバンドギャップの波長幅が得られるとされるインバースオパール構造に対して、フォトニックバンドギャップ幅が狭く、広い波長帯域で動作する導波路や波長選択フィルタなどの光学素子を実現することが難しいという問題がある。また、図12(f)に示す非特許文献2にて提案されたダイヤモンドウッドパイル構造は、ウッドパイル構造の角柱の間に、底辺が正方形でかつ一辺の長さが角柱の幅と同一幅の正方角柱を付加した構造である。ダイヤモンドウッドパイル構造は,ウッドパイル構造よりも若干広いフォトニックバンドギャップを有するが、その差は小さい。一方、インバースオパール構造は従来の半導体製造プロセスに用いられる手法によっては製造が困難である。
【0006】
本発明は、広い波長領域でフォトニックバンドギャップを呈し、しかも製造が容易な3次元周期構造及びそれを有する機能素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の3次元周期構造は、フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造であって、複数の柱状構造が所定の間隔を空けて配列された第1の層と、該第1の層の前記柱状構造とは異なる方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第2の層と、該第1の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第3の層と、該第2の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第4の層と、前記4つの層の各層に平行な面内において離散的に配置された離散構造を含む層を1層含む付加層を有し、該第1の層から該第4の層が各層の間にそれぞれ該付加層を介して順次積層され、該第1の層と該第3の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、該第2の層と該第4の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、該付加層に含まれる離散構造は該柱状構造の交点に相当する位置に配置され、前記各層に平行な平面内における該離散構造の面積は該柱状構造の交差領域の面積より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、広い波長領域でフォトニックバンドギャップを呈し、しかも製造が容易な3次元周期構造及びそれを有する機能素子が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に実施例を説明する。
【実施例1】
【0010】
図1(a)は本発明の3次元周期構造の実施例1の要部概略図である。3次元周期構造100は、xy平面を含む層101〜108の8層を基本周期として構成されている。図1(b)は各層101〜108のxy断面の一部の概略図を示す。第1の層101および第5の層105は、第1の媒質(高屈折率)によるy軸(第1の軸)方向に延びる複数の柱状構造101aおよび105aが等間隔(ピッチ)Pでx方向に配置されており、柱状構造101aおよび105aはx軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。また、第3の層103および第7の層107は、第1の媒質によるx軸(第2の軸)方向に延びる複数の柱状構造103aおよび107aが等間隔(ピッチ)Pでy方向に配置されており、柱状構造103aおよび107aはy軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。
【0011】
第2の層(付加層)102には、第1の層101中の柱状構造101aおよび第3の層103中の柱状構造103aの交点に相当する位置に、xy平面内において互いに接しないように離散的に配置された第1の媒質による離散構造102aが配置されている。ここで、離散構造102aのxy平面内における面積は、第1の層101中の柱状構造101aと第3の層103中の柱状構造103aが交差する領域の面積より大きい。
【0012】
同様に、柱状構造を含む層の間にある第4の層(付加層)104、第6の層(付加層)106、第8の層(付加層)108には、隣接する層中の柱状構造の交点に相当する位置に、xy平面内において離散的に配置された離散構造102aと同一形状の第1の媒質による離散構造104a、106a、108aが配置されている。
【0013】
各層中の柱状構造101a、103a、105a、107aおよび離散構造102a、104a、106a、108aは互いに接しており、各層中の柱状構造以外の領域および離散構造以外の部分1aは第2の媒質(低屈折率)で充填されている。本実施例では、第1、第2の媒質の屈折率、柱状構造および離散構造の形状や間隔、各層の厚さなどを最適化することにより、所望の周波数域(波長域)に非常に広い周波数帯域(波長帯域)で完全なフォトニックバンドギャップ(全方位の反射率が100%に近い波長領域)を得ている。
【0014】
例えば、第1の媒質の屈折率を4、第2の媒質の屈折率を1として、柱状構造101a、103a、105a、107aの間隔をPとして、柱状構造を含む全ての層のz軸方向の厚さを0.23×P、離散構造102a、104a、106a、108aを含む全ての層102、104、106、108のz軸方向の厚さを0.123×P、全ての柱状構造を断面の一辺の長さDaが0.23×Pの正方形の角柱、全ての離散構造をxy断面の一辺の長さDxyが0.48×Pの正方形でz軸方向厚さDzが0.123×Pの直方体として、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析した結果を図2に示す。
【0015】
図1(a)に示した構成においては、異なる層に含まれる角柱に挟まれる直方体がダイヤモンド型格子の格子位置に対応する位置に配置される。特に上記の構成を有することで、当該直方体の作るダイヤモンド型格子が立方体となっている。
【0016】
平面波展開法をフォトニック結晶に適用することはPhysical Review Letters Vol.65,p.p.3152,1990.“Existence of a photonic gap in periodic dielectric structures”にも記載がなされている。
【0017】
図2において、横軸は、波数ベクトルすなわちフォトニック結晶に入射する電磁波の入射方向を表しており、例えばK点はx軸(もしくはy軸)に平行な波数ベクトル、X点はxy平面内において、x軸(あるいはy軸)に対して45°の傾きをもった波数ベクトルを表している。一方、縦軸は格子周期で規格化した周波数(規格化周波数)を示している。図2中のハッチングで示した規格化周波数においては、光の入射方向によらず光が存在できず、完全フォトニックバンドギャップが形成されている。この構造における完全フォトニックバンドギャップ中心(規格化)周波数ω0で正規化された完全フォトニックバンドギャップ(規格化)周波数帯域幅△ωである完全フォトニックバンドギャップ比△ω/ω0は0.281となる。
【0018】
同じ屈折率の媒質(角柱の媒質の屈折率を4、角柱以外の媒質の屈折率1)を用いた従来技術であるウッドパイル構造のフォトニックバンド図を図3(a)に示す。なお比較に用いたウッドパイル構造は、各層内の角柱と角柱との間隔をPとした際に、角柱の幅L1およびZ方向の高さL2を数1で示されるものとした。
【0019】
【数1】

【0020】
数1で示されるL1、L2は、ウッドパイル構造中の隣接する層に含まれる角柱の交点の位置を立方体のダイヤモンド構造の格子位置に対応させるものである。
【0021】
図3(a)に示したフォトニックバンド図における完全フォトニックバンドギャップ比△ω/ω0は0.212となり、本発明による構造に対してかなり狭い完全フォトニックバンドギャップしか得られないことがわかる。
【0022】
また、L1およびL2を数2で示されるものとした場合のフォトニックバンド図を図3(b)に示す。
L1=0.25×P,L2=0.3×P (数2)
数2で示されるL1、L2は、ウッドパイル構造中の隣接する層に含まれる角柱の交点の位置を直方体のダイヤモンド構造の格子位置に対応させるものである。
【0023】
図3(b)に示したフォトニックバンド図における完全フォトニックバンドギャップ比△ω/ω0は0.263となり、本発明による構造に対して狭い完全フォトニックバンドギャップしか得られないことがわかる。
【0024】
さらに、同じ屈折率の媒質(角柱の媒質の屈折率を4、角柱以外の媒質の屈折率1)を用いた従来技術であるダイヤモンドウッドパイル構造のフォトニックバンド図を図3(c)に示す。比較に用いたダイヤモンドウッドパイル構造は、角柱と角柱の間隔をPとした際に、全ての角柱のXまたはY方向の幅が0.28×P、Z方向の高さ0.22×Pで、角柱間に配置された角柱と同じ幅(0.28×P)の正方角柱のZ方向の高さが0.13×Pとした。図3(c)に示したフォトニックバンド図における完全フォトニックバンドギャップ比△ω/ω0は0.274となり、本発明による構造に対して狭い完全フォトニックバンドギャップしか得られないことがわかる。
【0025】
従来のウッドパイル構造(△ω/ω=0.263)及びダイヤモンドウッドパイル構造(△ω/ω=0.274)に比較して、本実施例の3次元周期構造100によれば広い完全フォトニックバンドギャップ(△ω/ω=0.281)が得られる理由を以下に説明する。3次元周期構造100は、柱状構造の交点に相当する位置にXY平面内において柱状構造の交差領域より広い面積を有する離散構造を含む層102、104、106、108を付加することにより、図1(a)におけるz方向に繋がった構造部分がウッドパイル構造に対して増加する。また、付加した離散構造が柱状構造の交差領域より広い面積を有するため、斜め方向(例えば,XZの対角方向)に繋がった部分がダイヤモンドウッドパイル構造に対して増加する。このため、z方向および斜め方向に電界の振動方向を持つ偏光成分の電磁波に対して第1の媒質中にエネルギーが集中する定在波および第2の媒質中にエネルギーが集中する定在波が存在しやすくなり、またそれぞれのエネルギーの集中度合いが高いため、完全フォトニックバンドギャップの帯域が広くなる。以上のように、本実施例では、柱状構造の間に柱状構造の交差領域より広い面積を有する離散構造を設けることによって、完全フォトニックバンドギャップの帯域を拡大している。なお、x方向、y方向に電界の振動方向を持つ偏光成分の電磁波に関しては、従来のウッドパイル構造やダイヤモンドウッドパイル構造と同様に広いフォトニックバンドギャップが得られる。このように、付加層を離散構造を含む一つの層で構成した場合は、フォトニックバンドギャップの方向依存性を低減するために、XZ断面およびYZ断面で形状の対称性を持つことが望ましい。このため、離散構造のXY平面内の形状はX軸方向の長さとY軸方向の長さは等しい方が望ましく、特に角柱の場合はXY平面内の形状が正方形が望ましい.
以上の効果を得るために、図1および図2に示した実施例1においては、柱状構造101a、103a、105a、107aとして角柱を用いたが、円柱、楕円柱、多角柱でもよい。また、離散構造102a、104a、106a、108aとしてx軸、y軸を含む面を有した直方体を用いたが、図4(a)から(e)に示すような断面形状の直方体、円柱、楕円柱、三角柱、多角柱でもよく、またxy断面形状が層中で変化するような、四角錘台、円錐台、多角錘台などでも良い。
【0026】
さらに、それぞれの柱状構造を配置する方向をx軸、y軸として垂直な方向に設定したが、各軸の成す角度を90度以外の角度に設定してもよく、またx軸に平行な角柱構造の間隔とy軸に平行な角柱構造の間隔を異なる値に設定しても良い。このような構成は、特に所定の角度の入射光に対して所望の性能を得たい場合や、構造に異方性を導入したい場合などは有用である。これらの構造を形成する媒質としては、従来の構造と同様に、高い屈折率比を有する2種類以上の媒質を用いる。高屈折率媒質としては、GaAs、InPやGaNなどの化合物半導体、Siなどの半導体、TiO2などの誘電体や金属を用いる。低屈折率媒質としては、SiO2などの誘電体や、PMMAなどの高分子有機材料、空気などを用いる。フォトニック結晶の持つフォトニックバンドギャップは、上記で説明したように、結晶内の誘電率分布に起因して得られるものである。このため、相互の誘電率の比が大きい媒質同士を組合わせる程、より広い完全フォトニックバンドギャップを得ることが出来る。有効な広さを持つ完全フォトニックバンドギャップを得るためには、屈折率比が2以上が望ましい。また、柱状構造および離散構造を同じ媒質で構成したが、異なる媒質で構成しても良い。
【0027】
なお、誘電率εと屈折率nは以下の式で関係付けられる。(μは透磁率を示す)
【0028】
【数2】

【0029】
なお、本実施例では、第1の層101〜第8の層108を基本構成としたが、第1の層101と第3の層103との間に、離散構造を含む層を1層以上有する付加層を設け、全体として3層若しくは3層以上の層を基本構成としても良い。
【0030】
即ち、第1の軸(y軸)に平行に間隔を空けて配置された柱状構造を含む第1の層と、第2の軸(x軸)に平行に間隔を空けて配置された柱状構造を含む第2の層を有し、該柱状構造を含む層の間に、該柱状構造の交点に相当する位置に、該第1および第2の軸を含む平面内において離散的に配置された離散構造を含む層を1層以上有する付加層を設け、該第1、第2の層中の柱状構造以外の領域および該付加層中の離散構造以外の領域を、該第1、第2の層中の柱状構造を構成する媒質および該付加層中の離散構造を構成する媒質とは異なる媒質で充填した場合でも比較的広い完全フォトニックバンドギャップを呈する構造が実現できる。
【0031】
尚、第1、第5の層101、105や第3、第7の層103、107の柱状構造の配置ピッチのずれは、略ピッチPの1/2となることが好ましい。これは以下の各実施例においても全く同じである。
【実施例2】
【0032】
図5(a)は本発明の3次元周期構造の実施例2の要部概略図である。3次元周期構造200は、xy平面を含む層201〜212の12層を基本周期として構成されている。図5(b)は各層のxy断面の一部を示す。第1の層201および第7の層207は、第1の媒質によるy軸方向に延びる複数の柱状構造201aおよび207aが等間隔Pでx方向に配置されており、柱状構造201aおよび207aはx軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。また、第4の層204および第10の層210は、第1の媒質によるx軸方向に延びる複数の柱状構造204aおよび210aが等間隔Pでy方向に配置されており、柱状構造204aおよび210aはy軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。第2の層202および第3の層203には、第1の層201中の柱状構造201aおよび第4の層204中の柱状構造204aの交点に相当する位置に、xy平面内において互いに接しないように離散的に配置された第1の媒質による離散構造202aおよび203aが配置されている。なお、離散構造202aと203aはxy面内における90度の回転により相互に重なる対称性を有している。同様に、柱状構造を含む層の間にある第5の層205、第6の層206、第8の層208、第9の層209、第11の層211、第12の層212には、隣接する層中の柱状構造の交点に相当する位置に、xy平面内において離散的に配置された第1の媒質による離散構造205a、206a、208a、209a、211a、212aが配置されている。各層中の柱状構造および離散構造は互いに接しており、各層中の柱状構造および離散構造以外の部分は第2の媒質で充填されている。第1、第2の媒質の屈折率、柱状構造および離散構造の形状や間隔、各層の厚さなどを最適化することにより、所望の周波数域(波長域)に非常に広い周波数帯域(波長帯域)で完全フォトニックバンドギャップを得ている。
【0033】
本実施例では、例えば、第1の媒質の屈折率を4、第2の媒質の屈折率を1として、柱状構造の間隔をPとして、柱状構造を含む全ての層のz軸方向の厚さを0.174×P、離散構造を含む全ての層のz方向の厚さを0.09×P、全ての柱状構造を断面の一辺の長さが0.174×Pの正方形の角柱、全ての離散構造をxy断面の一辺の長さが0.655×P、0.31×Pの長方形でz方向厚さ0.09×Pの直方体として、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析した結果を図6に示す。
【0034】
この3次元周期構造における完全フォトニックバンドギャップ比は0.303となり、実施例1と同様の理由でウッドパイル構造やダイヤモンドウッドパイル構造よりも完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造が実現できる。このように、2層以上の離散構造を含む層で付加層を構成することにより、特に斜め方向(例えば,XZの対角方向)に繋がった部分がダイヤモンドウッドパイル構造に対して増加するため、斜め方向に電界の振動方向を持つ偏光成分の電磁波に対して第1の媒質中にエネルギーが集中する定在波および第2の媒質中にエネルギーが集中する定在波が存在しやすくなり、またそれぞれのエネルギーの集中度合いが高いため、1層で付加層を構成する場合に比べ、完全フォトニックバンドギャップの帯域が非常に広くなる。また、2層以上で付加層を構成する場合は、フォトニックバンドギャップの方向依存性を低減するために、付加層毎にXZ断面およびYZ断面の形状対称性を持つほうが望ましい。付加層内に含まれる各離散構造のXY平面内の形状は、X軸方向の長さとY軸方向の長さを一致させる必要は無く、異なる値としたほうが設計の自由度が増し、より広いフォトニックバンドギャップが得られるため望ましい。特に本実施例に示すように、X軸方向に延びる柱状構造に隣接する離散構造の形状はX軸方向の長さをY軸方向の長さより長く、Y軸方向に延びる柱状構造に隣接する離散構造の形状はY軸方向の長さをX軸方向の長さより長くすることにより、より広いフォトニックバンドギャップを得ることができるため、より望ましい。このように、本実施例によれば実施例1よりもさらに完全フォトニックバンドギャップの広い構造が実現できる。
【0035】
なお、実施例1と同様に柱状構造、離散構造形状、柱状構造の方向、間隔、構成する媒質の屈折率はこれに制限されるものではない。また、柱状構造を含む層の間に設けた2つの付加層中の離散構造の持つ、回転により相互に重なる対称性は、回転角度が90度の場合に制限されるものではなく、さらに回転により重ならなくても良い。
【0036】
柱状構造を含む層の間に設けた付加層中の2つの離散構造は、xy平面内において、異なる面積であっても良い。例えば、z方向に順に面積が変化する2つの離散構造を含む層からなる付加層であっても良い。
【0037】
また、図5(a)に示す3次元周期構造において、第1の媒質の屈折率を2.33、第2の媒質の屈折率を1.0として、柱状構造の間隔をPとして、柱状構造を含む全ての層のz軸方向の厚さを0.174×P、離散構造を含む全ての層のz方向の厚さを0.09×P、全ての柱状構造を断面の一辺の長さが0.31×Pの長方形の角柱、全ての離散構造をxy断面の一辺の長さが0.66×P、0.37×Pの長方形でz方向厚さ0.09×Pの直方体として、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析すると、完全フォトニックバンドギャップ比は0.088となる。
【0038】
同様の媒質(角柱の屈折率2.33、角柱以外の部分の屈折率1.0)を用いて、従来技術であるウッドパイル構造を形成すると、完全フォトニックバンドギャップ比は0.059となり、第1の媒質の屈折率と第2の媒質の屈折率との比を小さくしても、本発明による構造がウッドパイル構造よりも完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造であることが分かる。なお比較に用いたウッドパイル構造は、各層内の角柱と角柱との間隔をPとした際に、角柱の幅L1およびz方向の高さL2を数1で示されるものとした。また、同様の媒質(角柱の屈折率2.33、角柱以外の部分の屈折率1.0)を用いて、従来技術であるダイヤモンドウッドパイル構造を形成すると、完全フォトニックバンドギャップ比は0.065となり、第1の媒質の屈折率と第2の媒質の屈折率との比を小さくしても、本発明による構造がダイヤモンドウッドパイル構造よりも完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造であることが分かる。
【0039】
さらに、本実施例と同じ形状を有する3次元周期構造で、柱状構造を形成する媒質の屈折率を2.33、離散構造を形成する媒質の屈折率を3.0とし、柱状構造および離散構造以外の部分の媒質の屈折率を1.0としたときの完全フォトニックバンドギャップ比は0.129となり、同じ形状を有する3次元周期構造であっても、付加層中の離散構造を、高い屈折率を有する媒質で形成することによって、さらに完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造を実現することができる。なお、付加層が複数の層で構成され、そのうちの一部の層に含まれる離散構造を、高い屈折率を有する媒質で形成した場合でも、完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造を実現することができる。
【実施例3】
【0040】
図7(a)は本発明の3次元周期構造の実施例3の要部概略図である。3次元周期構造300は、xy平面を含む層301〜316の16層を基本周期として構成されている。図7(b)は各層のxy断面の一部を示す。第1の層301および第9の層309は、第1の媒質によるy軸方向に延びる複数の柱状構造301aおよび309aが等間隔Pでx方向に配置されており、柱状構造301aおよび309aはx軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。
【0041】
また、第5の層305および第13の層313は、第1の媒質によるx軸方向に延びる複数の柱状構造305aおよび313aが等間隔Pでy方向に配置されており、柱状構造305aおよび313aはy軸方向にP/2ずれた位置に配置されている。第2の層302、第3の層303および第4の層304には、第1の層301中の柱状構造301aおよび第5の層305中の柱状構造305aの交点に相当する位置に、xy平面内において互いに接しないように離散的に配置された第1の媒質による離散構造302a、303aおよび304aが配置されている。
【0042】
なお、離散構造302aと304aはxy面内における90度の回転により相互に重なる対称性を有している。同様に、柱状構造を含む層の間にある第6の層306、第7の層307、第8の層308、第10の層310、第11の層311、第12の層312、第14の層314、第15の層315、第16の層316には、隣接する層中の柱状構造の交点に相当する位置に、xy平面内において離散的に配置された第1の媒質による離散構造306a、307a、308a、310a、311a、312a、314a、315a、316aが配置されている。各層中の柱状構造および離散構造は互いに接しており、各層中の柱状構造および離散構造以外の部分は第2の媒質で充填されている。第1、第2の媒質の屈折率、柱状構造および離散構造の形状や間隔、各層の厚さなどを最適化することにより、所望の周波数域(波長域)に非常に広い周波数帯域(波長帯域)で完全フォトニックバンドギャップを得ることができる。
【0043】
例えば、第1の媒質の屈折率を4、第2の媒質の屈折率を1として、柱状構造の間隔をPとして、柱状構造を含む全ての層のz軸方向の厚さを0.174×P、離散構造を含む全ての層のz方向の厚さを0.06×P、全ての柱状構造を断面のz方向の一辺の長さが0.174×P、xあるいはy方向で0.22×Pの長方形の角柱、離散構造をxy断面の一辺の長さが0.28×P、0.66×Pの長方形でz方向厚さ0.06×Pの直方体およびxy断面の一辺の長さが0.43×Pの正方形でz方向厚さ0.06×Pの直方体として、平面波展開法によりフォトニックバンド構造を解析した結果を図8に示す。この構造における完全フォトニックバンドギャップ比は0.307となり、実施例2と同様の理由でウッドパイル構造およびダイヤモンドウッドパイル構造よりも完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造が実現できる。また本実施例によれば、実施例1および実施例2よりもさらに完全フォトニックバンドギャップの帯域幅の広い構造が実現できる。
【0044】
なお、実施例1と同様に柱状構造、離散構造の形状、柱状構造の方向、間隔、構成する媒質の屈折率はこれに制限されるものではない。また、柱状構造を含む層の間に設けた3つの付加層中の離散構造の持つ、回転により相互に重なる対称性は、回転角度が90度の場合に制限されるものではなく、さらに回転により重ならなくても良い。また全ての付加層の厚みを同じにしなくても良い。
【0045】
柱状構造を含む層の間に設けた付加層中の3つの離散構造は、xy平面内において、異なる面積であっても良い。例えば、z方向に順に面積が変化する3つの離散構造を含む層からなる付加層であっても良い。
【0046】
また、より広い完全フォトニックバンドギャップを得るためには離散構造を含む層が4層以上であるとよいが、作成プロセスが煩雑化するので目的によって選択すればよい。
【0047】
以上述べたように、間隔を空けて平行に配置した柱状構造を含む層の間に、離散的に配置された離散構造を含む層を設けることにより、従来の構造よりも広い完全フォトニックバンドギャップを得ることができる。
【実施例4】
【0048】
次に本発明の3次元周期構造を用いた機能素子の実施例4を示す。図9(a)、(b)は本発明の3次元周期構造中に線状に周期欠陥を配置した導波路400を有した機能素子の断面図である。本実施例では、線状の周期欠陥を設けることにより、周期構造が持つフォトニックバンドギャップ内の波長域中の一部の波長域の電磁波に対して、欠陥部のみ電磁波が存在できる状態にすることができ、低損失で急峻な曲げ角度を実現できる導波路を構成している。図9(a)は本発明の3次元周期構造中の柱状構造を所定の領域だけ除去し直線状の導波路を構成したものの断面図、図9(b)は本発明の3次元周期構造中の柱状構造および離散構造を所定の領域だけ除去し曲げ導波路を構成したものの断面図を示す。線状周期欠陥は、柱状構造部のみでなく、導波波長域など所望の性能の導波路となるように、離散構造部や両構造部を除去、あるいは位置をずらすなどして形成する。これにより、基礎となる周期構造部が広いフォトニックバンドギャップ帯域を有するため、従来の構造を用いたものより、広い波長帯域で動作する導波路を実現することができる。
【0049】
図10は本発明の3次元周期構造中に孤立した周期欠陥を配置した共振器410の断面図である。図10の本実施例では、孤立した周期欠陥を設けることにより、周期構造が持つフォトニックバンドギャップ内の波長域中の一部の波長域の電磁波に対して、欠陥部のみ電磁波が存在できる状態にすることができ、非常に小さい領域に電磁波を閉じ込め、かつ閉じ込め効果の高い高性能な共振器を構成している。この共振器を用いることにより、入射波から共振器の共振波長に対応した非常に狭い波長域の電磁波を取り出す波長選択フィルタなどが実現できる。孤立した点状の周期欠陥は、選択波長など所望の性能の共振器となるように、柱状構造、離散構造および両構造部を除去、あるいは位置をずらすなどして形成する。これにより、基礎となる周期構造部が広いフォトニックバンドギャップ帯域を有するため、従来の構造を用いたものより、広い波長帯域で動作する共振器を実現している。
【0050】
本実施例において、図10に示した共振器内に活性媒質を充填し、共振器外部から電磁波や電流などでエネルギーを供給することにより、非常に効率の高いレーザやLEDなどの発光素子を実現している。活性媒質としては、化合物半導体、無機発光材料、有機発光材料、高分子発光材料、量子ドット、ナノクリスタルなど様々な材料を利用することができる。例えば、前記共振器の共振波長を赤外光通信波長帯域(800nm−1800nm)に対応させることで光通信用光源に用いることができ、光の三原色である赤(R)緑(G)青(B)に対応させることで画像表示装置用光源に用いることができ、またCDやDVDなどの光ディスクのピックアップ用光源に用いることが出きる。なお、図9(a)、(b)に示した導波路や図10に示した共振器、発光素子、フォトニックバンド内の分散異常を用いた偏向素子などの様々な機能素子を組み合わせることで、超小型高機能集積回路を実現することができる。また、図9(a)、(b)、図10に示した実施例では、基礎構造として、図1(a)、(b)で示した周期構造を用いたが、図5(a)、(b)に示したような構造や図7(a)、(b)に示したような構造またはそれ以外の3次元周期構造を用いても良い。
【0051】
以上述べたように、間隔を空けて平行に配置した柱状構造を含む層の間に、離散的に配置された離散構造を含む層を設けることにより、従来の構造よりも広い完全フォトニックバンドギャップが得られ、本発明の3次元周期構造を用いて機能素子を構成することにより、より広い波長帯域で動作する機能素子を実現することができる。
【実施例5】
【0052】
次に、本発明の実施例5の3次元周期構造を作製する方法について図11を用いて述べる。図11においては、図1(a)、(b)で示した周期構造の作製方法を述べるが、同様の方法で図5(a)、(b)に示したような構造や図7(a)、(b)に示したような構造を作製することができる。
【0053】
図11(a)、(b)に示すように、基板501上に、第1の媒質によるx軸方向に延びかつ間隔Pに配置された柱状構造511を含み、柱状構造511以外の領域512を第2の媒質により充填された2次元周期構造510を有する層を形成する。
【0054】
このような複数の領域を含む層の形成には、リソグラフィ、成膜、エッチングの各工程を含む、公知の半導体製造プロセスと同様の方法が使用可能である。
【0055】
次に図11(c)、(d)に示すように、xy方向に間隔Pで配置された第1の媒質による離散構造521を含み、離散構造521以外の領域522を第2の媒質により充填された2次元周期構造520を有する層を形成する。
【0056】
次に図11(e)、(f)に示すように、第1の媒質によるy軸方向に延びかつ間隔Pに配置された柱状構造531を含み、柱状構造531以外の領域532を第2の媒質により充填された2次元周期構造530を有する層を形成する。
【0057】
次に図11(g)、(h)に示すように、xy方向に間隔Pで配置された第1の媒質による離散構造541を含み、離散構造541以外の領域542を第2の媒質により充填された2次元周期構造540を有する層を形成する。
【0058】
次に図11(i)、(j)に示すように、第1の媒質によるx軸方向に延びかつ間隔Pで柱状構造511とはy軸方向にP/2ずれた位置に配置された柱状構造551を含み、柱状構造551以外の領域552を第2の媒質により充填された2次元周期構造550を有する層を形成する。
【0059】
このように柱状構造を含む2次元周期構造を有する層と離散構造を含む2次元周期構造を有する層を交互に形成することにより図11(k)に示すように3次元周期構造の基本周期を作製し、さらに本工程を繰り返すことにより、図1(a)に示すような、完全フォトニックバンドギャップの広い3次元周期構造を作製している。2次元周期構造は、干渉露光法、ナノインプリント法、超短パルス光による多光子吸収過程を用いた方法や、電子ビーム露光、近接場露光などリソグラフィ技術を用いた方法などで作製し、さらにウェハ融着法などで積層することで3次元周期構造を作製する。
【0060】
また、第2の媒質が空気である場合には、第1の媒質に対して選択的に溶解除去が可能な物質により上記3次元周期構造を作製し、その後に当該第2の媒質の部分を溶解除去することが好ましい。
【0061】
以上のように、本発明によれば、従来の3次元周期構造よりも波長帯域の広い完全フォトニックバンドギャップが得られ、本発明の3次元周期構造を用いて機能素子を構成すれば、より広い波長帯域で動作する機能素子を実現することができる。またそれら機能素子を組み合わせることで、超小型高機能集積回路を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】(a)は本発明の実施例1の要部概略図、(b)は図1(a)の各層のxy断面図
【図2】本発明の実施例1のフォトニックバンド構造の説明図
【図3】(a)はウッドパイル構造のフォトニックバンド構造の説明図、(b)はウッドパイル構造のフォトニックバンド構造の説明図、(c)はダイヤモンドウッドパイル構造のフォトニックバンド構造の説明図
【図4】本発明に係る複数構造の断面形状の説明図
【図5】(a)は本発明の実施例2の要部概略図、(b)は図5(a)の各層のxy断面図
【図6】本発明の実施例2のフォトニックバンド構造の説明図
【図7】(a)は本発明の実施例3の要部概略図、(b)は図7(a)の各層のxy断面図
【図8】本発明の実施例3のフォトニックバンド構造の説明図
【図9】本発明の実施例4の要部概略図
【図10】本発明の実施例4の要部概略図
【図11】(a)〜(k)本発明の実施例5の3次元周期構造の製造方法の説明図
【図12】フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造の概略図、(a)ダイヤモンド構造、(b)ウッドパイル構造、(c)らせん構造、(d)独自3次元構造、(e)インバース構造、(f)ダイヤモンドウッドパイル構造
【符号の説明】
【0063】
100、200、300 3次元周期構造
101〜108 第1〜第8の層
201〜212 第1〜第12の層
301〜316 第1〜第16の層
101a、103a、105a、107a、201a、204a、207a、210a、301a、305a、309a、313a 柱状構造
102a、104a、106a、108a、202a、203a、205a、206a、208a、209a、211a、212a、302a、303a、304a、306a、307a、308a、310a、311a、312a、314a、315a、316a 離散構造
P ピッチ
400 導波路
410 共振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造であって、
複数の柱状構造が所定の間隔を空けて配列された第1の層と、
該第1の層の前記柱状構造とは異なる方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第2の層と、
該第1の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第3の層と、
該第2の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第4の層と、
前記4つの層の各層に平行な面内において離散的に配置された離散構造を含む層を1層含む付加層を有し、
該第1の層から該第4の層が各層の間にそれぞれ該付加層を介して順次積層され、
該第1の層と該第3の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、
該第2の層と該第4の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、
該付加層に含まれる離散構造は該柱状構造の交点に相当する位置に配置され、
前記各層に平行な平面内における該離散構造の面積は該柱状構造の交差領域の面積より大きいことを特徴とする3次元周期構造。
【請求項2】
フォトニックバンドギャップを呈する3次元周期構造であって、
複数の柱状構造が所定の間隔を空けて配列された第1の層と、
該第1の層の前記柱状構造とは異なる方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第2の層と、
該第1の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第3の層と、
該第2の層の前記柱状構造と同じ方向に延びる複数の柱状構造が、所定の間隔を空けて配列された第4の層と、
前記4つの層の各層に平行な面内において離散的に配置された離散構造を含む層を2層以上含む付加層を有し、
該第1の層から該第4の層が各層の間にそれぞれ該付加層を介して順次積層され、
該第1の層と該第3の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、
該第2の層と該第4の層に含まれる柱状構造が、相互に該柱状構造の延びる方向と垂直な方向に前記所定の間隔の半分ずれるように積層され、
該付加層に含まれる離散構造は該柱状構造の交点に相当する位置に配置されることを特徴とする3次元周期構造。
【請求項3】
前記付加層に平行な平面内における前記離散構造の面積は前記柱状構造の交差領域の面積より大きいことを特徴とする請求項2に記載の3次元周期構造。
【請求項4】
前記付加層は、該付加層に平行な面内において、前記第1の層に含まれる柱状構造の延びる方向の長さと、前記第2の層に含まれる柱状構造の延びる方向の長さが等しい離散構造を含む層を含むことを特徴とする請求項1乃至3に記載の3次元周期構造。
【請求項5】
前記付加層は、該付加層に平行な面内において、前記第1の層に含まれる柱状構造の延びる方向の長さと、前記第2の層に含まれる柱状構造の延びる方向の長さのうち、該離散構造を含む層に隣接する前記柱状構造を含む層に含まれる柱状構造の延びる方向の長さが長い離散構造を含む層を含むことを特徴とする請求項2または3に記載の3次元周期構造。
【請求項6】
前記柱状構造を構成する媒質と、前記付加層に含まれる離散構造を構成する媒質は同じ屈折率を有することを特徴とする請求項1乃至5に記載の3次元周期構造。
【請求項7】
前記付加層は、前記柱状構造を構成する媒質とは異なる屈折率を有する媒質で構成された離散構造を含む層を、1層以上含むことを特徴とする請求項1乃至5に記載の3次元周期構造。
【請求項8】
前記付加層に含まれる離散構造を構成する媒質は、全て同じ屈折率を有する媒質で構成されていることを特徴とする請求項7に記載の3次元周期構造。
【請求項9】
前記付加層中の離散構造を構成する媒質は、前記柱状構造を構成する媒質の屈折率よりも高い屈折率を有することを特徴とする請求項7に記載の3次元周期構造。
【請求項10】
前記第1の層に含まれる柱状構造の延びる方向と、前記第2の層に含まれる柱状構造の延びる方向の成す角度は90度であることを特徴とする請求項1乃至9に記載の3次元周期構造。
【請求項11】
請求項1乃至10に記載の3次元周期構造を複数積層した構造を含み、該構造は線状の周期欠陥部を有し、該周期欠陥部は導波路として機能することを特徴とする機能素子。
【請求項12】
請求項1乃至10に記載の3次元周期構造を複数積層した構造を含み、該構造は孤立した周期欠陥部を有し、該周期欠陥部は共振器として機能することを特徴とする機能素子。
【請求項13】
前記周期欠陥部に発光作用を呈する活性媒質を有する請求項12に記載の機能素子と該活性媒質を励起する励起手段とを有することを特徴とする発光素子。
【請求項14】
レーザー発振することを特徴とする請求項13に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−65273(P2006−65273A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16792(P2005−16792)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】