説明

3次元複合織物

本発明は、基本パターンを有する織物に関し、互い違いの配置で配列され、4本の横繊維と3本の横繊維とを交互に配置して8列(C1・・・C8)を形成する少なくとも28本の横繊維(1・・・28)と、少なくとも4つのオフセットされた平行な面に配置され、各面が一の面と他の面とで異なる経路を進む少なくとも3本の平行な縦繊維を含む少なくとも12本の縦繊維(A・・・L)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元複合織物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、引張、圧縮または曲げの高いストレスを受ける、およびまたは衝撃を受ける複合材部品の生産に用いて好適な、多重リンク層型の最適な織り方を有する織物に関する。そのような部品には、例えば着陸装置のステイ、ロッドおよびストラットが含まれる。
【0003】
織物構造の繊維が一方向のみに延びているか異なる2方向に延びているかによって、1次元構造または2次元構造と呼ばれる織物構造が知られている。一般に、そのような構造は、上述のストレスに効果的に耐えることができない。3次元空間における3つの異なる方向に延びる繊維を備えるいわゆる3次元構造が、前記ストレスに耐える場合には好ましい。より多くの異なる方向に延びる繊維を備える、いわゆる4次元、5次元、9次元、11次元、・・・構造の存在も知られているが、それらの構造は非常に複雑であり、その生産を自動化することは難しい。
【0004】
従って、本発明は、より詳しくは3次元織物構造に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの構造には、縫合により一体に連結された多数の層を有する3次元構造が含まれる。これらの構造は、横繊維が曲げられるときに、良好な直線性を生じることが知られており、それらは補強材を含むという利点を提供する。しかしながら、連結するその方法は、こうした織物から生産された製品に良好な耐衝撃性を与えるものではない。
【0006】
製織によって一体に連結された多層の織物も知られており、その直交型の3次元織物(層を連結する繊維が層に対してほぼ直交して延びる)は、横繊維と縦繊維に対し最良の直線性(すなわち小さいリンク角度または少さな湾曲量を有する経路)を生じる織物であり、それによって圧縮に十分に耐える。それにも拘わらず、こうした織物に好ましい繊維体積率を生じさせるためには、その層に直交し、かつ、それらをお互いに接続するのに役立つ織り糸が大きな湾曲量を得るように圧縮されることが必要であり、これによりさほど直線的ではない極めて波状の経路をそれらに与え、すなわち、それらは力を移動させることに効果的に寄与することができないということである。
【0007】
この点において直交していない3次元織物がより多くの利点を有するが、それでもなおそれらは、織物の織り方が多層のタフタ、サテンまたはサージタイプのように簡易であるか、3Xタイプ織りのようにより複雑であるかに拘わらず、大きすぎるリンク角度または大きすぎる湾曲量を有する連結繊維を生じるという欠点に悩まされる。
【0008】
文書FR2610951に開示されている「2.5次元」織物として知られる織物は、とくに最適化され、少しの伸びと高い表面占有率を生じるが、その代償として直線性には乏しい(すなわち少なくとも幾つかの繊維が大きな湾曲量または大きなリンク角度を生じる)。その織物の定義は、それに衝撃に耐えるのに有害な角度特性を与え、低密度の構造物への可逆の織物構造(すなわち織り方を90°換えることにより得られる構造)を制限し、多数の追加の層が加えられなければ、製造の自動化を困難にする。
【0009】
文書US5899241に開示されている織物は、とくに衝撃に耐えるために最適化されている。それにも拘わらず、層間の高度の織り合わせが、そのような織物からなる要素の圧縮強度を制限する。
【0010】
発明の目的
本発明は、容易に変形可能であるが、とくに衝撃に耐える優れた性能を生じる最適な3次元織物を製織する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態における織物の基本パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の説明
本発明は、本発明の特定の実施形態における織物の基本パターンを示すただ一つの付随の図面を参照して直接的に説明され、図では、横繊維が真っ向から示され、縦繊維が図の面と平行な面で伸延している。ここでは、織物が次の構成の基本パターンを備える。
【0013】
織物は、互い違いの配置で配列され、1〜28の番号が付された少なくとも28本の横繊維(真っ向から見られる)を備え、横繊維は、織物の厚さ方向に垂直に伸延し、共通の所定空間Pによって分離されて、4本の横繊維と3本の横繊維とを交互に配置してなるC1・・C8の8列を形成し、その列を横切って延びる7段の高さを占拠する。それ故、第1列C1,第3列C3,第5列C5および第7列C7は、高さN1,N3,N5,N7においてそれぞれ伸延する4本の横繊維を有し、一方、第2列C2,第4列C4,第6列C6および第8列C8は、高さN2,N4,N6においてそれぞれ伸延する3本の横繊維を有する。
【0014】
織物は、横繊維に対し横断して延びる少なくとも4つの平行な面に配列された、少なくとも12本の縦繊維A・・・Lを備える。これらの各面は、以下の方法で上下に配列された少なくとも3本の平行な縦繊維を含む。
【0015】
図の平面と一致する第1の面において、対象とする縦繊維A,B,Cは実線で表されている。縦繊維Aは、第1列C1の1段目の横繊維1の上方を通り、第5列C5の2段目の横繊維16の下方を通り、次のパターンの第1列C1の1段目の横繊維1の上方を通る。同一の面では、縦繊維Bと縦繊維Cとが縦繊維Aに平行であるが、それらは1本の横繊維によりそのたびごとに織物の厚さ方向にオフセットされている。
【0016】
第1の面の背後にここでは位置する第2の面において、縦繊維は、高さN1・・・N7とほぼ平行であり、それらは破線で表されている。縦繊維Dは、第2列C2の1段目の横繊維5の上方を通り、第3列C3の1段目の横繊維8の下方を通り、第4列C4の一番目の横繊維12の下方を通るといったようになっている。縦繊維EとFとは、平行な経路を進みつつ、列と平行な方向に1本の横繊維によりそのたびごとにオフセットされている。
【0017】
第2の面の背後にここではある第3の面において、縦繊維G,H,Iが一点鎖線で表されている。それらは、第1の面の縦繊維A,BおよびCと平行な経路を進むが、それらは高さと平行な方向に4列により横方向にオフセットされている。
【0018】
そして、最後に第3の面の背後にここではある第4の面において、縦繊維J,KおよびLが点線で表されている。それらは、縦繊維D,EおよびFと平行であるが、縦繊維Jが第2列の一段目の横繊維5の下方を通り、縦繊維Kが同一列の横繊維6の下方を通り、縦繊維Lが同一列の横繊維7の下方を通るように、織物の厚さ方向にオフセットされている。
【0019】
この配列は、幾つかの効果をもたらす。
【0020】
層間剥離に対して良好な抵抗力を与える連結度合いが最適な多層構造を得ることができ、これにより良好な変形可能性を保ちつつ、衝撃と圧縮に対する抵抗力をより高めることができる。
【0021】
織物は、炭素繊維からだけではなく、ガラス繊維やアラミド繊維それどころかシリカ含有の繊維やセラミック繊維によっても構成することができる。いったん鋳型であるいは幾つかの他の方法を用いてプリフォームが形成されると、例えば樹脂トランスファー成形(RTM)の方法により樹脂の含浸に適したプリフォームを構成するのに有利である。
【0022】
その織物のおかげで、高度な機械的性能を有する繊維(例えば高い弾性率を有する炭素繊維)を用いて自動的に製織が行われることを可能にするが、それは製織時に壊れやすい。例えば48キロフィラメント(kilofilaments)〜90キロフィラメント(kilofilaments)あるいはそれ以上の重さのある繊維のように、単位長さ当たりのかなりの密度の炭素繊維を用いることも可能である。
【0023】
このような発明で得られた織物は、ここでは少なくとも57%に相当する大きな繊維体積率を生じさせる。
【0024】
複数のオフセット面における縦繊維の配列は、かなり小さなリンク角度θ、実際には15度以下のリンク角度を生じさせ、それにより縦繊維と横繊維とが、非常に良好な直線性を与え、そのおかげで繊維を圧縮状態でより効果的に機能させることができる。
【0025】
この配列は、横繊維の非直線性に対し補償するために、横繊維の割合に対し縦繊維の割合が不均衡を持つ(例えば70%の横繊維と30%の縦繊維)ことを可能にする。
【0026】
そして最後に、この配列は、直線性を向上させるため、逆にする(織り方を90°換える)ことができる。
【0027】
本発明は、上述の説明に限定されず、それどころか請求の範囲によって定義された領域に含まれるあらゆる変形に及ぶ。
【0028】
特に、ここで説明した織り方の基本パターンは、織物の厚さ方向(すなわち列方向)と横方向(すなわち高さの方向)の両方に容易に延ばすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基本パターンを有する織り方で配置された横繊維と縦繊維とを備える織糸または繊維の織物において、
互い違いの配置で配列され、共通の所定空間(P)によって分離された8つの平行な列(C1・・・C8)を形成する少なくとも28本の横繊維(1・・・28)であって、その第1列、第3列、第5列および第7列のそれぞれが4本の横繊維を有し、その第2列、第4列、第6列および第8列のそれぞれが3本の横繊維を有し、前記列を横切って延びる7段の高さ(N1・・・N7)において伸延する横繊維と、
前記横繊維に対し横断して延び、お互いからオフセットされた少なくとも4つの平行な面に配列された少なくとも12本の縦繊維(A・・・L)とを備え、
これらの各面は、上下に配列された少なくとも3本の平行な縦繊維を含み、
第1の面では、第1の縦繊維(A)が、前記第1列(C1)の1段目の横繊維(1)の上方を通り、前記第5列(C5)の2段目の横繊維(16)の下方を通り、さらに次のパターンの前記第1列(C1)の1段目の横繊維(1)の上方を通り、第2および第3の縦繊維(B),(C)は、前記第1の面で前記第1の縦繊維(A)と平行に伸延しつつ、前記列と平行な方向に1本の横繊維によりそのたびごとにオフセットされ、
第2の面では、第1の縦繊維(D)が、3本の横繊維を有する前記列(C2,C4,C6,C8)の1段目の横繊維(5)の上方および4本の横繊維を有する前記列(C1,C3,C5,C7)の1段目の横繊維の下方を通り、前記高さ(N1・・・N7)とほぼ平行に伸延し、第2および第3の縦繊維(E,F)は、前記第1の縦繊維(D)と平行に伸延しつつ、前記列と平行な方向に1本の横繊維によりそのたびごとにオフセットされ、
第3の面では、関係のある3本の縦繊維(G,H,I)が、前記第1の面の前記縦繊維(A,B,C)と平行に伸延しつつ、前記高さと平行な方向に4列により横方向にオフセットされ、最後に、
第4の面では、関係のある3本の縦繊維(J,K,L)が、前記第2の面の前記縦繊維(D,E,F)と平行に伸延しつつ、3つの横繊維を有する前記列(C2,C4,C6,C8)の前記横繊維の下方を通るように前記列と平行な方向にオフセットされる織物。
【請求項2】
請求項1に記載の織物において、
少なくとも57%の繊維体積率を有する織物。
【請求項3】
請求項1に記載の織物において、
前記繊維は、15°以下のリンク角度(θ)を有する織物。
【請求項4】
請求項1の織物から得られる部品。

【図1】
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【公表番号】特表2010−507027(P2010−507027A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532839(P2009−532839)
【出願日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際出願番号】PCT/FR2007/001659
【国際公開番号】WO2008/049988
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(597060689)メシエードウティ ソシエテ アノニム (8)
【Fターム(参考)】