説明

3次元造形装置、3次元造形方法、及び3次元造形プログラム

【課題】吐出不良が生じた場合においても、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減した3次元造形装置、3次元造形方法、及び3次元造形プログラムを提供する。
【解決手段】図17の(A)に示すように、吐出部HDが、X軸方向に座標位置X1から座標位置X2へ相対移動される。ヘッドHDが、X軸方向だけでなく、Y軸方向にも相対移動される。よって、複数の吐出口PNのうちの吐出口ERに吐出不良が発生したとしても、二点鎖線矢印に示すように、座標位置X1の次の座標位置X2においては、他の吐出口OPにより着色または造形がなされる。従って、吐出部HDがX軸方向のみに相対移動される場合と比較して、吐出不良が発生した吐出口ERにより正常に着色、及び造形されなかった部分がX軸方向に連続しない。従って、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆積された粉末材料に対し造形液を吐出することで3次元構造物を形成する3次元造形装置、3次元造形方法、及び3次元造形プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、堆積された粉末材料に対し、造形液を吐出することで3次元構造物を形成する3次元造形装置が種々提案されている。その一例として特許文献1に開示されている3次元造形装置は、堆積された粉末材料に対し、ヘッドから着色造形液と無色造形液とを吐出する。着色造形液と無色造形液との総量は、粉末材料の特定位置でその粉末材料を結合するのに十分な造形液の総量にほぼ等しく設定されている。特許文献1に開示されている3次元造形装置は、このように設定された量の着色造形液と無色造形液とをヘッドから粉末材料に吐出することで3次元構造物の造形と着色とを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004−538191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような3次元造形装置は、造形液をヘッドから粉末材料に吐出することから、吐出時などに粉末材料が舞う。粉末材料が舞うことで、粉末材料がヘッドの吐出口周辺に付着する。粉末材料が吐出口周辺に付着することで、吐出口から正常に造形液が吐出されないという吐出不良が生ずる。吐出不良が生ずることで、造形液が粉末材料に正常に吐出されず、3次元構造物の特定部分が正常に着色されないという色抜けや3次元構造物がもろくなるという構造欠陥が生じるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、吐出不良が生じた場合においても、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減した3次元造形装置、3次元造形方法、及び3次元造形プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1記載の本発明は、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置であって、前記堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部と、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動部と、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動部と、前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御部と、前記所定時間を含む駆動時間において、前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記第1駆動部を制御し、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、前記複数の吐出口は、互いに等しい配列間隔に前記第1方向に並列され、前記第1駆動部は、前記吐出部を前記第1方向に前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、相対移動させることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記第2駆動部は、前記吐出部を前記第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させ、前記第1駆動部は、前記造形対象領域内で前記吐出部が吐出動作を行う前記第2方向における各位置において、前記第1方向における前記複数の吐出口の各々の配置位置が、前記一方向の相対移動時と前記他方向の相対移動時とで異なるように、前記吐出部を前記第1方向に相対移動させることを特徴とするものである。
【0009】
上記目的を達成するために、請求項4記載の本発明は、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置であって、前記堆積面に平行な面において定められた第1方向に互いに等しい配列間隔に並列され、前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部と、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動部と、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動部と、前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御部と、前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記第1駆動部を制御し、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5記載の本発明は、請求項2または4に記載の発明において、前記吐出制御部は、1滴の前記着色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記着色造形液の広がり直径、又は1滴の前記無色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記無色造形液の広がり直径が、前記配列間隔の2倍以上となる量の前記着色造形液、又は前記無色造形液を前記吐出部に吐出させることを特徴とするものである。
【0011】
請求項6記載の本発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記吐出部は、前記着色造形液を吐出する着色吐出部と前記無色造形液を吐出する無色吐出部とを有し、前記吐出制御部は、前記着色吐出部、及び前記無色吐出部の前記複数の吐出口のうち、少なくとも前記造形対象領域の外周領域上に位置する前記着色吐出部の吐出口に前記着色造形液を吐出させ、前記外周領域における着色領域の最外部輪郭部からの幅は、1滴の前記着色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記着色造形液の広がり直径の2倍以上の長さとなるように前記吐出部を制御することを特徴とするものである。
【0012】
請求項7記載の本発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の発明において、前記粉末材料を前記堆積面に供給する粉末供給部と、前記粉末供給部を制御し、前記粉末供給部に前記粉末材料を前記堆積面に供給させる粉末供給制御部と、を備え、前記吐出制御部は、前記粉末供給部により粉末供給部が制御され、前記粉末材料が前記堆積面に供給された後、前記吐出部を制御し、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させることを特徴とするものである。
【0013】
上記目的を達成するために、請求項8記載の本発明は、粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形方法であって、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動ステップと、前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、前記所定時間を含む駆動時間において、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
上記目的を達成するために、請求項9記載の本発明は、粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形プログラムであって、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動ステップと、前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、前記所定時間を含む駆動時間において、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備え、これらのステップがコンピューターにより実現されることを特徴とするものである。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項10記載の本発明は、粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形方法であって、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動ステップと、前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備えることを特徴とするものである。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項11記載の本発明は、粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形プログラムであって、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動ステップと、前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備え、これらのステップがコンピューターにより実現されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の3次元造形装置によれば、吐出部が第2方向のみならず、第1方向にも相対移動される。従って、吐出部が第2方向のみに相対移動されることで3次元構造物の着色または造形がなされる場合と比較して、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0018】
請求項1記載の本発明が奏する効果について、図17を用いて詳細に説明する。図17の(A)は、吐出部HDが有する複数の吐出口PNのうちの1つの吐出口ERに吐出不良が発生していることを示す図である。図17の(A)においてX軸方向は、複数の吐出口PNの配列方向に交差する方向である。Y軸方向は複数の吐出口PNの配列方向である。Z軸方向は、粉末材料が堆積される堆積面SFに交差する方向である。複数の吐出口PNは、配列間隔IMで配列されている。配列間隔IMは、隣り合う2つの吐出口PNの中心間の距離である。今、図17の(A)に示すように、吐出部HDが、X軸方向に座標位置X1から座標位置X2へ相対移動される。このとき、請求項1記載の本発明によれば、ヘッドHDは、X軸方向だけでなく、Y軸方向にも相対移動される。よって、複数の吐出口PNのうちの吐出口ERに吐出不良が発生したとしても、二点鎖線矢印に示すように、座標位置X1の次の座標位置X2においては、他の吐出口OPにより着色または造形がなされる。従って、図17の(B)に示すように、吐出部HDがX軸方向のみに相対移動される場合と比較して、吐出不良が発生した吐出口ERにより正常に着色、及び造形されなかった部分がX軸方向に連続しない。図17の(B)に示すように正常に着色、及び造形されなかった部分がX軸方向に連続すると、図17の(C)に示すように、3次元構造物の視認者にとってその連続部分CPでの色抜けが目立つ。なお、図17の(C)において、正常部分NPは、3次元構造物のうち、吐出不良が生じていない吐出口により正常に着色、及び造形がなされた部分である。また、3次元構造物が連続部分CPから裂けるなどの構造欠陥が起きやすくなる。しかし、請求項1記載の本発明によれば、図17の(A)に示すように、吐出不良が発生した吐出口ERにより正常に着色、及び造形されなかった部分がX軸方向に連続しないため、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0019】
請求項2記載の3次元造形装置によれば、吐出部は第1方向に隣り合う2つの吐出口が離間する配列間隔の2倍以上第1方向に相対移動される。従って、複数の吐出口のうちのいずれかに吐出不良が発生したとしても、その吐出口により正常に着色または造形がなされない部位が第2方向に対する斜め方向につながる可能性が低減される。正常に着色または造形がなされない部位が第2方向に対する斜め方向につながると、3次元構造物がその部位から裂けるなどの構造欠陥が起きやすくなる。従って、請求項2記載の3次元造形装置によれば、3次元構造物の構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0020】
請求項2記載の本発明が奏する効果について、図18を用いて詳細に説明する。今、図18の(A)に示すように、吐出部HDが、Y軸方向に配列間隔IM分相対移動される。このとき、図18の(C)に示すように、吐出不良した吐出口ERにより正常に着色、及び造形されなかった部分が斜め方向に連続する。このように、正常に着色、及び造形されなかった部分が斜め方向に連続すると、3次元構造物が連続部分CPから裂けるなどの構造欠陥が起きやすくなる。しかし、請求項2記載の3次元造形装置によれば、配列間隔IMの2倍以上Y軸方向に相対移動される。今、図18の(B)に示すように、吐出部HDが、Y軸方向に配列間隔IMの2倍の距離分相対移動される。このとき、図18の(D)に示すように、正常に着色、及び造形されなかった部分が斜め方向に連続しない。従って、請求項2記載の3次元造形装置によれば、3次元構造物の構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0021】
請求項3記載の3次元造形装置によれば、造形対象領域内の第2方向における各位置において、第1方向における複数の吐出口の各々の配置位置が、一方向の相対移動時と他方向の相対移動時とで異なるように、吐出部が第1方向に相対移動される。よって、吐出不良が発生した吐出口により一方向の相対移動時に着色または造形がなされなかった部分が他方向の相対移動時には他の吐出口により着色または造形がなされる。従って、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0022】
請求項4記載の3次元造形装置によれば、吐出部の第2方向の一方向相対移動後、吐出部が第1方向に相対移動される。吐出部は、第1方向の相対移動後、第2方向の他方向に相対移動される。従って、造形対象領域内の第2方向における各位置において、一方向の相対移動時と他方向の相対移動時とで各々の吐出口の配置位置が異なるように、吐出部が第1方向に相対移動される。よって、吐出不良が発生した吐出口により一方向の相対移動時に着色または造形がなされなかった部分が他方向の相対移動時には他の吐出口により着色または造形がなされる。従って、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。また、吐出部は第1方向に2つの吐出口が離間する配列間隔の2倍以上相対移動される。従って、複数の吐出口のうちのいずれかに吐出不良が発生したとしても、その吐出口により正常に着色または造形がなされない部位が第2方向に対する斜め方向につながる可能性が低減される。正常に着色または造形がなされない部位が第2方向に対する斜め方向につながると、3次元構造物がその部位から裂けるなどの構造欠陥が起きやすくなる。従って、請求項4記載の3次元造形装置によれば、3次元構造物の構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0023】
請求項5記載の3次元造形装置によれば、造形液の広がり直径が第1方向に2つの吐出口が離間する配列間隔の2倍以上となる量の造形液が吐出される。よって、この配列間隔の2倍分離間した2つの吐出口から吐出される造形液は、粉末材料において広がる。その各造形液が広がる2つの範囲は少なくとも接し、場合により重なる。従って、この2つの吐出口の間にある1つの吐出口に吐出不良が発生したとしても、間にある1つの吐出口により本来着色または造形されるはずであった部分が2つの吐出口により吐出された造形液により着色または造形される。よって、3次元構造物の色抜けまたは構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0024】
請求項5記載の本発明が奏する効果について、図19を用いて詳細に説明する。今、図19の(A)に示すように、複数の吐出口PNのうちの吐出口ERに吐出不良が発生したとする。このとき、図19の(B)に示すように、造形液の広がり直径DMが配列間隔IMの2倍未満であると、吐出不良が生じた吐出口ERが配置される部分は着色または造形されない。しかし、請求項5記載の3次元装置によれば、造形液の広がり直径DMが配列間隔IMの2倍以上となる量の造形液が吐出される。従って、図19の(C)に示すように、吐出口ERを挟む2つの吐出口PNから吐出された造形液が広がる2つの範囲REは少なくとも接し、場合により重なる。図19の(C)は、造形液の広がり直径DMが配列間隔IMの2倍以上であり、2つの範囲REが重なっている場合を示している。図19の(C)に示すように、吐出口ERにより本来着色または造形されるはずであった部分が2つの吐出口PNにより吐出された造形液により着色または造形される。よって、3次元構造物の色抜けまたは構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0025】
請求項6記載の3次元造形装置によれば、少なくとも造形対象領域内の外周領域が着色される。外周領域における着色領域は、着色造形液の広がり直径の2倍以上の長さとなる。外周領域が着色されると、吐出不良が発生しなければ、3次元構造物の側面は完全に着色されているように視認できる。しかし、吐出不良が発生すると、3次元構造物の側面に色抜けが視認される。しかし、請求項5記載の3次元造形装置によれば、外周領域における着色領域が着色造形液の広がり直径の2倍以上の長さとなるため、3次元構造物の側面に色抜けが視認される可能性を低減できる。
【0026】
請求項7記載の3次元造形装置によれば、粉末材料が堆積面に供給された後、堆積された粉末材料に着色造形液、及び無色造形液が吐出される。また、吐出部が第2方向のみならず、第1方向にも相対移動される。従って、吐出部が第2方向のみに相対移動されることで3次元構造物の着色または造形がなされる場合と比較して、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【0027】
請求項8記載の3次元造形方法、及び請求項9記載の3次元造形プログラムによれば、吐出部が第2方向のみならず、第1方向にも相対移動される。従って、吐出部が第2方向のみに相対移動されることで3次元構造物の着色または造形がなされる場合と比較して、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る3次元造形装置1を示す外観図である。
【図2】上記3次元造形装置1の内部構成を示す図である。
【図3】上記3次元造形装置1の内部構成の主要部を示す図である。
【図4】上記3次元造形装置1のヘッド110が有する複数の吐出口PNを示す図である。
【図5】上記3次元造形装置1の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図6】上記3次元造形装置1の制御部4の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【図7】上記ヘッド110による造形液の吐出のための吐出信号ES、及びヘッド110のX軸方向、並びにY軸方向の相対移動のためのX軸駆動信号DIx、及びY軸駆動信号DIyを示す図である。
【図8】上記3次元造形装置1のデータ記憶部480により記憶されている座標データ(X、Y、Z)、及び色データを説明するための説明図である。
【図9】仮想の3次元構造物TDの立体データを説明するための説明図である。
【図10】上記3次元造形装置1の動作制御を示すフローチャートである。
【図11】図10に示す動作制御のうちの構造形成処理を示すフローチャートである。
【図12】図11に示す構造形成処理により、形成される粉末材料の1層の造形対象領域RGを説明するための説明図である。
【図13】図10に示す動作制御のうちの吐出処理を示すフローチャートである。
【図14】図10に示す吐出処理を説明するための説明図である。
【図15】第2の実施形態に係る3次元造形装置1の吐出処理を示すフローチャートである。
【図16】上記第2の実施形態に係る3次元造形装置1の吐出処理を説明するための説明図である。
【図17】吐出部HDが有する複数の吐出口PNのうちの1つの吐出口ERに吐出不良が発生していることを示す図である。
【図18】吐出不良が発生した吐出口ERにより正常に着色、及び造形されなかった部分が斜め方向に連続する場合、及び斜め方向に連続しない場合を説明するための説明図である。
【図19】造形液の広がり直径DMが配列間隔IMの2倍以上となる量の造形液が吐出された場合に、吐出不良が発生した吐出口ERを挟む2つの吐出口PNから吐出された造形液が広がる2つの範囲REが少なくとも接し、場合により重なることを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
[3次元造形装置の外観]
図1は、本実施形態に係る3次元造形装置1の斜視図である。3次元造形装置1は、造形部2と、設定部3と、を備える。造形部2の開放部2aの図1に示すX軸正方向側には、イエロータンク111a、マゼンタタンク112a、シアンタンク113a及びクリアタンク114aが配置される。イエロータンク111a、マゼンタタンク112a、シアンタンク113a及びクリアタンク114aは、各々、造形部2内に配置され、図2に示すヘッド110に対して各色の造形液を供給するためのタンクである。設定部3は操作部500と外部インターフェース600とを備える。操作部500は、造形部2の図1に示すY軸負方向側に設けられる。操作部500は、電源スイッチや造形開始ボタン等、各種設定スイッチを備える。外部インターフェース600は、造形部2の図1に示すX方向正側の側面に設けられる。3次元造形装置1は、外部インターフェース600を介して、PC等の外部装置と接続することができる。
【0031】
図2、及び図3を用いて、造形部2について詳細に説明する。図2は、図1に示す造形部2の内部構成の一部をX軸正方向側から見た場合の側面図である。図3は、3次元造形装置1の内部の造形部2の一部を説明するための説明図である。造形部2は、図2に示すように、ヘッド110、ガントリ130、ヘッド吸引機構150、ステージ310、平坦化部320、粉末材料供給部330、粉末回収タンク340、及び制御部4を備える。以後、図2、及び図3に示すステージ310の堆積台310aの堆積面SFに平行な面をXY平面、XY平面に垂直な方向をZ軸方向と定義する。この定義は、他の図面においても共通のものとする。
【0032】
ヘッド110は、図3に示すように、イエローヘッド111と、マゼンタヘッド112と、シアンヘッド113と、クリアヘッド114とを有する。イエローヘッド111は、イエローの造形液を吐出可能に構成される。マゼンタヘッド112は、マゼンタの造形液を吐出可能に構成される。シアンヘッド113は、シアンの造形液を吐出可能に構成される。クリアヘッド114は、無色透明であるクリアの造形液を吐出可能に構成される。イエローヘッド111、マゼンタヘッド112、シアンヘッド113及びクリアヘッド114は、図1において示した中空のチューブTBを介して、イエロータンク111a、マゼンタタンク112a、シアンタンク113a、クリアタンク114aに各々接続される。
【0033】
図4を用いてヘッド110について詳細に説明する。図4は、ヘッド110の裏側を示す図である。図4に示すように、イエローヘッド111と、マゼンタヘッド112と、シアンヘッド113と、クリアヘッド114とは、各々、複数の吐出口PNを有する。複数の吐出口PNは、Y軸方向に並列されている。イエローヘッド111、マゼンタヘッド112、シアンヘッド113、及びクリアヘッド114は、X軸方向に並列されている。イエローヘッド111、マゼンタヘッド112、シアンヘッド113、及びクリアヘッド114が有する複数の吐出口PNから、各々、イエロー、マゼンタ、シアン、及びクリアの造形液が吐出される。
【0034】
ガントリ130は、ヘッド110をステージ310の上側に保持する。ガントリ130は、図2に示す造形部2のY軸方向に延びる両端に固定される。ガントリ130は、Y軸方向に延出したレール160により、レール160に沿って摺動可能に保持される。ガントリ130は、図3に示すように、X軸方向に平行に延出するガイドシャフト130aを有する。ヘッド110は、図3に示すように、ガイドシャフト130aに沿って摺動可能に、ガイドシャフト130aに取り付けられる。ヘッド110は、図示しないタイミングベルトとそのタイミングベルトを移動させるモータとによってガイドシャフト130aに沿ってX軸方向に移動される。ガントリ130は、図示しないタイミングベルトとそのタイミングベルトを移動させるモータとによってレール160に沿ってY軸方向に移動される。このように、ヘッド110とガントリ130とが移動されることにより、ヘッド110が堆積面SFに対し、X軸方向、及びY軸方向に相対移動される。
【0035】
ヘッド吸引機構150はキャップ150aを有する。ヘッド吸引機構150は、非図示の昇降機構によってZ軸方向に昇降可能に構成される。ヘッド吸引機構150は、非図示のポンプによって、キャップ150aの内部を吸引可能に構成される。ヘッド110が、ヘッド吸引機構150の上側に移動されると、ヘッド吸引機構150はZ軸正方向に上昇する。上昇したヘッド吸引機構150は、ヘッド110のZ軸負方向側の面に密着し、各色のヘッド111〜114の下面に存在する複数の吐出口PNに各色の造形液が達するまで吸引を行う。
【0036】
ステージ310は、堆積台310aと堆積台移動部310bとを備える。粉末材料供給部330から供給される粉末材料が堆積台310aの堆積面SF上に堆積される。堆積台移動部310bは、図示しない堆積台移動モータにより駆動される。堆積台移動部310bが駆動されると、堆積台移動部310bは、堆積台310aをZ軸方向に移動させる。この移動により、ヘッド110が、堆積面SFに対し、Z軸方向に相対移動される。
【0037】
平坦化部320は、図2に示すように、造形部2のY軸負方向側に固定される。平坦化部320は、スキージ部320aとスキージシャフト320bとを備える。スキージ部320aは、スキージシャフト320bに沿って摺動可能に、スキージシャフト320bに取り付けられる。スキージ部320aは、図示しないモータによりスキージシャフト320bに沿って摺動される。スキージシャフト320bは、図2に示すように造形部2のY軸負方向側に固定される。スキージシャフト320bは、Y軸正方向側に延出する。堆積面SFに堆積された粉末材料は、スキージシャフト320bに沿って摺動するスキージ部320aによって平坦化される。平坦化処理の基本構成は、特表2004−538191号公報に開示されている。
【0038】
粉末材料供給部330は、粉末材料を収容可能な粉末材料タンク330aと粉末供給路330bとを備える。粉末材料タンク330aに収容された粉末材料は、粉末供給路330b内を通って、堆積面SFに供給される。造形対象領域でない不要な粉末材料は、粉末回収タンク340により回収される。
【0039】
制御部4は、CPU、RAM、フラッシュROM等を有するコンピューターにより構成される。制御部4は、ヘッド110、ガントリ130、及び堆積台移動部310bの駆動制御を行う。ヘッド110のX軸方向への移動やガントリ130のY軸方向への移動により、ヘッド110が堆積面SF上に配置されることで、堆積面SFに堆積された粉末材料に各色の造形液が吐出可能となる。
【0040】
[3次元造形装置の電気的構成]
図5、及び図6を用いて、3次元造形装置1の電気的構成について説明する。図5は、3次元造形装置1の電気的構成を示す図である。図6は、制御部4の電気的構成を示す図である。図6において、制御部4は、説明の便宜上、複数の機能ブロックに分けて図示されている。しかし、実際には、CPU、ROM、フラッシュROM、RAM等を有するコンピューターにより構成される。制御部4と、図5に示す3次元造形装置1の各構成は、バス700により接続される。
【0041】
図5に示すX軸モータ210xは、ヘッド110をX軸方向に移動させる。Y軸モータ210yは、ガントリ130をY軸方向に移動させる。Z軸モータ210zは、堆積台移動部310bをZ軸方向に移動させる。X軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zは、各々、エンコーダを内蔵するステッピングモータにより構成される。X軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zは、エンコーダを有するため、各々、ヘッド110、ガントリ130、堆積台移動部310bの移動量及び原点位置を検出可能である。検出されたステージ310の移動量及び原点位置のデータはバス700を介して制御部4に供給される。
【0042】
吐出制御回路120は、制御部4から供給される吐出信号と色データとに従って、造形液の吐出タイミングと吐出すべき造形液の色を決定する。決定された造形液の色は、色選択信号としてヘッド110に供給される。ヘッド110は、色選択信号に従って、各色のヘッド111〜114の内、吐出すべき色のヘッドから造形液を吐出する。
【0043】
ヘッド吸引機構150は、制御部4から供給される信号に従い、Z軸方向への昇降、キャップの装着、及び吸引を行う。
【0044】
制御部4は、図6に示すように、吐出制御部410と、駆動制御部420と、粉末供給制御部430と、平坦化制御部440と、吸引制御部450と、統括制御部460と、プログラム記憶部470と、データ記憶部480と、判定部490と、吐出データ記憶部500と、駆動データ記憶部510と、を備える。
【0045】
吐出制御部410は、ヘッド110を制御し、ヘッド110に着色造形液、及び無色造形液を吐出させる。吐出のタイミングは、図7の(A)に示すような、吐出信号ESに基づき決まる。吐出信号ESは、吐出データ記憶部500によりあらかじめ記憶されている。図7の(A)は、吐出データ記憶部500により記憶されている吐出信号ESを示す図である。図7の(A)において横軸は、時点TMである。図7の(A)において縦軸は、吐出信号ESの値S1である。吐出信号ESの値S1が値Saである時点TMにおいて、ヘッド110により着色造形液、及び無色造形液は吐出されない。吐出信号ESの値S1が値Sbである時点TMにおいて、ヘッド110により着色造形液、及び無色造形液が吐出される。従って、吐出制御部410は、所定時間の時間間隔EIでヘッド110に着色造形液、及び無色造形液を吐出させる。なお、吐出信号ESの値S1は、各ヘッド111〜114に内蔵されているピエゾ素子に供給される電圧値に相当する値である。従って、吐出信号ESの値S1が大きいほど吐出される造形液の量が多い。本実施形態において、造形液の吐出量は、1滴の造形液が粉末材料に吐出された場合の造形液の広がり直径が図4に示した配列間隔IMの2倍以上となる量に設定されている。
【0046】
吐出制御部410は、所定時間の時間間隔EIで吐出制御回路120に吐出信号ESと色データとを供給することで、ヘッド110を制御する。色データは、データ記憶部480に記憶されている。吐出制御回路120は、色データに基づき、吐出すべき造形液の色を決定する。造形液の色は、色選択信号としてヘッド110に供給される。ヘッド110は、吐出制御回路120からの色選択信号に従って、各色のヘッド111〜114の内、吐出すべき色のヘッドから造形液を吐出する。
【0047】
駆動制御部420は、図5において示したX軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zを制御する。駆動制御部420は、X軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zの各々に駆動信号を供給する。駆動信号が供給されると、X軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zは、各々、ヘッド110、ガントリ130、及び堆積台移動部310bを、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動させる。
【0048】
駆動制御部420は、図7の(B)に示すX軸駆動信号DSxをX軸モータ210xに供給する。X軸駆動信号DSxは、駆動データ記憶部510にあらかじめ記憶されているX軸モータ210xの性能データとデータ記憶部480に記憶されている座標データとに基づき駆動制御部420により生成される。図7の(B)は、X軸駆動信号DSxを示す図である。図7の(B)において横軸は、時点TMである。縦軸は、X軸駆動信号DSxの値S2である。X軸駆動信号DSxの値S2が値Scである時点TMにおいて、X軸モータ210xは駆動されない。X軸駆動信号DSxの値S2が値Sdである時点TMにおいて、X軸モータ210xが駆動される。従って、所定の駆動時間DIxにおいて、ヘッド110が堆積面SFに対し、X軸方向に相対移動される。図7に示すように、駆動時間DIxは、時間間隔EI分の時間以上である。なお、図7の(B)に示す折り返し時点TTにおいて、X軸駆動信号DSxの値S2の符号が逆転している。本実施形態において、この符号の逆転は、ヘッド110がX軸正方向に移動された後、X軸負方向に移動されることを示す。図7の(B)に示す駆動時間DIxの間に、ヘッド110がX軸正方向に移動された後、X軸負方向に移動されることにより、ヘッド110の1ラインの相対移動がなされる。ヘッド110の1ラインの相対移動がなされ、その間、図7の(A)に示すように造形液の吐出が順次行われることにより、複数の層により形成される3次元構造物のうちの1層の1ラインが着色、及び造形される。
【0049】
駆動制御部420は、図7の(C)に示すY軸駆動信号DSyをY軸モータ210yに供給する。Y軸駆動信号DSyは、駆動データ記憶部510にあらかじめ記憶されているY軸モータ210yの性能データとデータ記憶部480に記憶されている座標データとに基づき駆動制御部420により生成される。図7の(C)は、Y軸駆動信号DSyを示す図である。図7の(C)において横軸は、時点TMである。縦軸は、Y軸駆動信号DSyの値S3である。Y軸駆動信号DSyの値S3が値Seである時点TMにおいて、Y軸モータ210yは駆動されない。Y軸駆動信号DSyの値S3が値Sfである時点TMにおいて、Y軸モータ210yが駆動される。値Sfと値Seとの差は、ヘッド110のY軸方向への相対移動距離に相当する値である。本実施形態において、値Sfと値Seとの差は、図4に示した複数の吐出口PNの配列間隔IMの2倍の距離分に相当する値である。
【0050】
図6に示す粉末供給制御部430は、図5に示す粉末供給部330を制御し、粉末供給部330に粉末材料を堆積面SFに供給させる。図6に示す平坦化制御部440は、図5に示す平坦化部320を制御し、堆積面SFに堆積された粉末材料を平坦化させる。図6に示す吸引制御部450は、図5に示すヘッド吸引機構150を制御する。この制御により、ヘッド吸引機構150はZ軸方向への昇降、及びキャップの吸引を行う。
【0051】
統括制御部460は、プログラム記憶部470に記憶されている各種プログラムに基づいて、吐出制御部410、駆動制御部420、粉末制御部430、平坦化制御部440、及び吸引制御部450を制御する。プログラム記憶部470に記憶されている各種プログラムは、3次元造形装置1による造形の手順に関するプログラムを含む。統括制御部460は、プログラム記憶部470に記憶されている手順に関するプログラムに基づいて、ある時点TMにおいて着色、平坦化、及び吸引などの処理のうちどの処理を行うかを決定する。統括制御部460によるこの決定により、吐出制御部410、駆動制御部420、粉末制御部430、平坦化制御部440、及び吸引制御部450の各々による処理の同期がとられる。統括制御部460によるこの同期処理により、図7に示したように、ヘッド110による吐出とヘッド110のX軸方向、及びY軸方向への相対移動との連動がなされる。
【0052】
図7を用いて、ヘッド110による吐出とヘッド110のX軸方向、及びY軸方向への相対移動との連動について詳細に説明する。図7の(B)に示すように、ヘッド110は、駆動時間DIxにおいて、X軸方向に相対移動される。ヘッド110のX軸方向への相対移動の間、ヘッド110により、図7の(A)に示すように、所定時間の時間間隔EIで造形液の吐出が行われる。ヘッド110は、図7の(C)に示すように、駆動時間DIxにおいて、Y軸方向に複数回相対移動される。このように、ヘッド110がX軸方向だけでなく、Y軸方向にも相対移動されることで、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減できる。なお、図7に示すように、駆動時間DIxにおける1ラインのヘッド110のX軸方向相対移動が終了すると、図7に示す次ライン移行時間NTにおいて、ヘッド110がY軸方向に大きく相対移動される。図7の(C)に示すように、次ライン移行時間NTにおけるヘッド110のY軸方向への相対移動距離は、少なくとも駆動時間DIxにおけるヘッド110のY軸方向相対移動距離より大きい。この相対移動は、ヘッド110の1ライン相対移動が終了する時点FT後に2ライン目にヘッド110を移行させるためのものである。次ライン移行時間NTが終了すると、図7に示すヘッド110の吐出、X軸方向相対移動、及びY軸方向相対移動が再び行われる。
【0053】
データ記憶部480は、図8に示すような3次元造形装置1により造形される3次元構造物のデータを記憶する。図8は、データ記憶部480により記憶されるデータを示す図である。データ記憶部480は、図8に示すように、座標データと色データとを対応付けて記憶する。ただし、図8に示す色データにおいてブランクのデータは、どの造形液も吐出されないことを示す。データ記憶部480により記憶される座標データ、及び色データは、ユーザが外部装置であるパーソナルコンピューター(Personal Computer、以後「PC」と記す)800を操作することにより生成される。生成されたデータは外部インターフェース600、及びバス700を介して、データ記憶部480に供給される。
【0054】
座標データは、3次元造形装置1により造形される3次元構造物の座標(X、Y、Z)のデータである。色データは、座標(X、Y、Z)における3次元構造物の色のデータである。ユーザがPC800を操作し、図9に示すような仮想の3次元構造物TDの立体データが生成される。PC800により立体データに基づいて座標データ、及び色データが生成される。データ記憶部480により記憶される座標データは、図9に示すようにPC800上の仮想の堆積面SV上の空間に対し割り振られた直交座標系における座標位置(X、Y、Z)である。仮想の堆積面SV上の空間に対し割り振られた直交座標系における座標位置(X、Y、Z)は、堆積面SF上の直交座標系における座標位置(X、Y、Z)と対応している。色データは座標位置(X、Y、Z)における仮想の3次元構造物TDの色のデータである。例えば、図9に示す座標位置(X1,Y1,Z1)において、仮想の3次元構造物TDの色はマゼンタである。従って、座標位置(X1,Y1,Z1)とマゼンタとが対応付けられてデータ記憶部480により記憶される。
【0055】
粉末供給制御部430は、データ記憶部480から、特定の座標位置Zにおける座標(X、Y)の座標データを読み出す。粉末供給制御部430は、特定の座標位置Zにおける全ての座標(X、Y)に対し、粉末材料が供給されるように、粉末供給部330を制御する。具体的には、全ての座標(X、Y)により構成される領域の面積と堆積台移動部310bのZ軸方向の移動距離から規定される1層分の堆積容積以上の量の粉末材料を粉末供給部330により堆積面SFに対し供給させる。このように、特定の座標位置Zにおける全ての座標(X、Y)に対し、粉末材料が供給されることで、特定の座標位置Zにおける造形対象領域が堆積面SF上に形成される。造形対象領域が堆積面SF上に形成された後、ヘッド110により造形液が吐出されることで、着色、及び造形が行われる。
【0056】
判定部490は、ヘッド110、ガントリ130、及び堆積台移動部310bの移動量及び原点位置のデータとデータ記憶部480に記憶されている座標データとに基づいてヘッド110が特定の座標(X、Y、Z)上に配置されているか否かを判定する。ステージ310の移動量及び原点位置のデータはX軸モータ210x、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zの各エンコーダにより検出される。ヘッド110、ガントリ130、及び堆積台移動部310bの移動量及び原点位置のデータは、バス700を介して、判定部490に供給される。吐出制御部410は、判定部490の判定結果に基づいて、吐出制御回路120に供給する吐出制御信号を決定する。
【0057】
駆動データ記憶部510は、図7において示したX軸駆動信号DSxの他に、Y軸モータ210y、及びZ軸モータ210zを各々駆動するためのY軸駆動信号、及びZ軸駆動信号を記憶している。Y軸駆動信号、及びZ軸駆動信号は、X軸駆動信号DSxと同様の駆動信号である。
【0058】
[3次元造形装置の動作制御]
以下、図10〜図14を用いて3次元造形装置1の動作制御について説明する。図10は、3次元造形装置1の動作制御を示すフローチャートである。図11は、図10に示す動作制御のうちの構造形成処理を示すフローチャートである。図13は、図10に示す動作制御のうちの吐出処理を示すフローチャートである。一連の動作制御は、制御部4により実行される。
【0059】
図10に示す処理では、先ず、制御部4に電源ONの指令が供給され、3次元造形装置1の駆動が開始される。3次元造形装置1の駆動が開始されると、初期化処理が行われる(ステップS1、以後S1と記す)。具体的には、ヘッド吸引機構150により、各色のヘッド111〜114の下面に存在する複数の吐出口PNに各色の造形液が達するまで吸引が行われる。この吸引により、各色のヘッド111〜114が吐出可能な状態となる。また、データ記憶部480に記憶されているデータが一旦消去される。
【0060】
初期化処理が行われると、データ記憶部480によりデータが記憶されているか否かが判定される(S2)。データ記憶部480によりデータが記憶されていないと判定されると(S2:No)、ユーザにより3次元構造物に関するデータがPC800、及びバス700を介して制御部4に供給されていないため、処理がS2に戻る。データ記憶部480によりデータが記憶されていると判定されると(S2:Yes)、処理が次のS3に移る。最初にS2からS3に処理が移るとき、データ記憶部480により記憶されている座標位置Zのうち、最小の座標位置Zが現在の座標位置Zとして指定される。座標位置Zは、造形される3次元構造物のZ軸方向の座標位置Zとして、データ記憶部480に記憶されている。この指定は、制御部4により行われる。
【0061】
処理がS3に移ると、構造形成処理が行われる(S3)。S3における構造形成処理により、堆積面SFにある座標位置Zにおける1層分の粉末材料が供給される。また、堆積面SFに供給された粉末材料が平坦化される。この際、余分な粉末材料は平坦化部320により堆積面SFから回収タンク340へ落下回収される。
【0062】
構造形成処理が行われると、吐出処理が行われる(S4)。S4における吐出処理により、堆積面に供給された粉末材料に造形液が吐出される。造形液の吐出により、粉末材料を結合される。粉末材料が結合されることで、造形される3次元構造物のうちの1層の造形がなされる。なお、下層がある場合は下層との結合造形もなされる。また、造形液の吐出により、造形と同時に着色がなされる。
【0063】
吐出処理が行われると、造形終了か否かが判定される(S5)。具体的には、制御部4に電源OFFの指令が供給されたか、または図8において示したデータ記憶部480に記憶されている全ての座標位置Zに対する処理が完了したかが判定される。造形終了でないと判定されると(S5:No)、処理がS6に移る。処理がS6に移ると、現在の座標位置Zが、データ記憶部480に記憶されている座標位置Zのうち、現在の座標位置Zの次の座標位置Zに変更される(S6)。S6において次の座標位置Zは、データ記憶部480に記憶されている座標位置Zのうち、現在の座標位置ZよりもZ軸正方向に大きい座標位置Zである。S6における変更は、制御部4により行われる。座標位置Zは、造形される3次元構造物のZ軸方向の座標位置Zとして、データ記憶部480に記憶されている。S3、及びS4の処理において、座標位置Zにおける座標位置(X、Y)の座標データ、及び座標位置(X、Y)に対応付けられた色データは、以後、各々、図11、及び図13に示すように、S3、及びS4の最初の処理によりデータ記憶部480から読み出される。複数の層から形成される3次元構造物のうちの1層に対応した座標位置Zと対応付けられた座標位置(X、Y)の座標データ、及び色データに基づき、構造形成処理、及び吐出処理が行われる。そして、S6において、座標位置Zが、現在の座標位置Zの次の座標位置Zに変更されることで、S3、及びS4の処理により、各々、3次元構造物のうちの次の層の構造形成処理、及び次の層に対する吐出処理が行われる。このように、3次元構造物の着色、及び造形が1層ずつ為される。S5において、造形終了と判定されると(S5:Yes)、全ての処理が終了する。
【0064】
図11を用いて、図10に示す動作制御におけるS3の構造形成処理について具体的に説明する。図11に示す構造形成処理では、まず現在の座標位置Zにおけるデータがデータ記憶部480から読み出される(SA1)。読み出されるデータは、座標位置Zにおける座標(X、Y)の座標データである。
【0065】
座標データが読み出されると、粉末供給処理が行われる(SA2)。具体的には、粉末供給制御部430により、粉末供給部330が制御される。この制御により、現在の座標位置Zにおける堆積面SF上の全ての座標(X、Y)に対し、粉末材料が供給される。即ち、堆積面SFに平行な面における所定の造形対象領域を含む領域の全面に対し、粉末材料が供給される。
【0066】
粉末供給処理が行われると、粉末材料の平坦化処理が行われる(SA3)。具体的には、平坦化制御部440により、平坦化部320が制御される。この制御により、堆積面SFに堆積された粉末材料が平坦化される。
【0067】
平坦化処理が行われると図11に示す構造形成処理が完了し、処理が図10に示すS4の吐出処理に移る。例えば、現在の座標位置Zがデータ記憶部480により記憶されている最初の座標位置Zである場合、図11に示す構造形成処理により、図12に示すような粉末材料の1層目の造形対象領域RGを含む領域が形成される。以後説明する吐出処理によりこの造形対象領域RGに対し造形液が吐出される。図11に示す構造形成処理により、形成される造形対象領域RG外の領域は、単に粉末材料が堆積された領域である。従って、この造形対象領域RG外の領域に、造形液は吐出されない。
【0068】
図13を用いて、図10に示す動作制御におけるS4の吐出処理について具体的に説明する。図13に示す吐出処理では、まず現在の座標位置Zにおけるデータがデータ記憶部480から読み出される(SB1)。読み出されるデータは、座標位置Zにおける座標(X、Y)の座標データ、及びその座標データにおける各座標(X、Y)と対応付けて記憶されている色データである。
【0069】
データが読み出されると、ヘッド110が造形対称領域RGの初期位置に相対移動される(SB2)。初期位置は、座標位置Zにおける造形対象領域RGの最小の座標位置Yとその座標位置Yにおける最小の座標位置Xとを有する座標(X、Y)の位置である。従って、図12において、初期位置は位置PIである。
【0070】
ヘッド110が造形対象領域RGの初期位置PIに相対移動されると、ヘッド110による造形対象領域RGに対する造形液の吐出、及びヘッド110のX軸方向とY軸方向との相対移動がなされる(SB3)。SB3における吐出、及び相対移動は、図7において示した吐出信号ES、X軸駆動信号DSx、及びY軸駆動信号DSyに基づき行われる。SB3においてヘッド110の相対移動が行われることにより、図12の二点鎖線双方向矢印に示すように、ヘッド110のX軸方向の往復相対移動が1ラインずつ行われる。図7の(B)に示した時点FTにて、ヘッド110のX軸方向往復相対移動が1ライン完了すると、図7の(C)に示した次ライン移行時間NTにて、Y軸正方向の次のラインにヘッド110が相対移動される。このようにして、ヘッド110は、初期位置PIからY軸正方向に向けて、X軸方向に1ラインずつ相対移動される。SB3において、ヘッド110が1ラインずつ相対移動され、その相対移動の間造形液の吐出が随時行われることで、現在の座標位置Zに対応した3次元構造物の1層の全ラインに対する吐出が為される。吐出信号ES、X軸駆動信号DSx、及びY軸駆動信号DSyの各々の値S1、S2、及びS3が全て「0」になると、現在の座標位置Zにおける吐出処理が終了する。現在の座標位置Zにおける吐出処理が終了すると、処理が、図10に示すS5に移る。図10に示すS5において、造形終了と判定されると、現在の座標位置Zに対応した3次元構造物の1層の全ラインに対する吐出処理が終了する。
【0071】
図14を用いて、図7、及び図13に示した第1の実施形態における吐出処理について詳細に説明する。図14の(A)〜(D)は、各々、図12に示す特定の1層の粉末材料の造形対象領域RGをZ軸正方向側から見た場合の上面図である。ヘッド110は、図12において示したように、初期位置PIからY軸正方向に向けて、X軸方向に1ラインずつ相対移動される。相対移動の間、ヘッド110から造形液が吐出される。図14は、図12の二点鎖線双方向矢印に示したヘッド110の各ラインのX軸方向相対移動のうちの2つのラインのX軸方向相対移動を例として抜き出して示す図である。図14の(A)は、1ライン目の往路相対移動を示す。図14の(B)は、1ライン目の復路相対移動を示す。図14の(C)は、1ライン目の次の2ライン目の往路相対移動を示す。図14の(D)は、2ライン目の復路相対移動を示す。
【0072】
図7の(B)に示す駆動時間DIxにおいて、図14の(A)の二点鎖線矢印に示すようにX軸正方向に往路相対移動されつつ、順次図7の(C)に示す所定時間DTの間において、ヘッド110がY軸方向に図14に示す微小距離ΔY相対移動される。そして、図7の(B)に示す折り返し時点TTから、図14の(B)の二点鎖線矢印に示すように復路相対移動が開始される。この折り返し時点TTは、造形対象領域RGのX軸正方向の端部EG上にヘッド110が到達する時点と略一致している。図7の(B)に示す次ライン移行時間NTに入ると、図7の(C)に示す次ライン移行時間NTにおけるY軸駆動信号DSyにより、図14の(B)の実線矢印に示すように、ヘッド110がY軸正方向に移動距離YW相対移動される。このY軸正方向の相対移動により、ヘッド110が次ラインに相対移動される。なお、移動距離YWは、少なくとも微小距離ΔYより大きい。ヘッド110が次ラインに相対移動されると、再び図7の(B)に示す駆動時間DIxにおいて、図14の(C)の二点鎖線矢印に示すようにX軸方向に往路相対移動されつつ、順次図7の(C)に示す所定時間DTにおいて、ヘッド110がY軸方向に微小距離ΔY相対移動される。そして、そして、図7の(B)に示す折り返し時点TTから、図14の(D)の二点鎖線矢印に示すように復路相対移動が開始される。以上のようにして、吐出処理がなされる。
【0073】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について図面を参照して説明する。第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成は、同一の番号を付して説明する。ヘッド110が現在どの座標位置(X、Y)上に配置されているか否かは、判定部490により、ヘッド110、及びガントリ130の移動量及び原点位置のデータとデータ記憶部480に記憶されている座標データとに基づいて判定される。本実施形態において、座標位置、距離、及び間隔等の単位は特に断りのない限り、cmとする。
【0074】
第1の実施形態において、図10に示した動作制御におけるS4の吐出処理は、図13に示した処理により行われていた。第2の実施形態において、S4の吐出処理は、図15に示すフローチャートに基づき行われる。図15に示す吐出処理では、まず現在の座標位置Zにおけるデータがデータ記憶部480から読み出される(SX1)。読み出されるデータは、座標位置Zにおける座標位置(X、Y)の座標データ、及びその座標データにおける各座標位置(X、Y)と対応付けて記憶されている色データである。今、SX1において、図8に示す座標位置Z=1のデータが読み出されたものとする。図8に示すように、座標位置(Y、Z)=(−2、1)である座標位置(X、Y、Z)の座標データは、5つある。図8に示すように、座標位置(Y、Z)=(−1、1)である座標位置(X、Y、Z)の座標データは、5つある。以後、例として、座標位置Z=1と対応付けられた1層に対する吐出処理を挙げ、S4の吐出処理について説明する。
【0075】
座標データが読み出されると、ヘッド110が初期位置(XI、YI)に相対移動される(SX2)。本実施形態において初期位置(XI、YI)は、図8に示す座標データのうち、最小のX座標位置、及び最小のY座標位置を有する座標位置(X、Y)である。今、図8に示す座標位置Z=1の座標位置(X、Y)において、最小のX座標位置が−2、最小のY座標位置が−2であるとすると、初期位置は、座標位置(X、Y)=(−2、−2)である。
【0076】
ヘッド110が造形対象領域RGの初期位置に相対移動されると、ヘッド110が所定の速度で往路移動され所定時間に距離ΔXだけ往路移動される(SX3)。本実施形態において、「往路移動」とは、ヘッド110が図12に示すX軸正方向に相対移動されることを示す。本実施形態において、距離ΔX=+0.1cmとする。
【0077】
ヘッド110が往路移動されると、データ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X+1、Y)にヘッド110が入ったか否かが判定される(SX4)。本実施形態において、ヘッド110が「入る」とは、ヘッド110の重心がデータ記憶部480に記憶されている座標位置(X、Y)に対応した堆積面SF上の座標位置(X、Y)に配置されることを示す。この判定処理は、ヘッド110、及びガントリ130の移動量及び原点位置のデータとデータ記憶部480に記憶されている座標位置(X、Y)の座標データとに基づき、判定部490によりなされる。本実施形態において、データ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X、Y)は、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)を座標位置(X,Y)とした場合、データ記憶部480に記憶されている座標位置(X+1、Y)である。従って、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)が座標位置(X,Y)=(−1.8、−2)であるとすると、データ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X+1、Y)は、座標位置(X、Y)=(−1、−2)である。次の座標位置(X+1、Y)にヘッド110が入っていないと判定されると(SX4:No)、処理がSX6に移る。
【0078】
SX4において、データ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X+1、Y)にヘッド110が入ったと判定されると(SX4:Yes)、対応ヘッドにより造形液が吐出される(SX5)。対応ヘッドとは、ヘッド111〜114のうち、ヘッド111〜114のうち、次の座標位置(X+1、Y)と対応付けられてデータ記憶部480により記憶されている色の造形液を吐出するヘッドである。なお、座標位置(X+1、Y)と対応付けられてブランクの色データが記憶されていた場合、いずれのヘッドからも造形液は吐出されない。
【0079】
対応ヘッドにより造形液が吐出されると、往路移動終了か否かが判定される(SX6)。また、SX4においてデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X+1、Y)にヘッド110が入っていないと判定されると(SX4:No)、往路移動終了か否かが判定される(SX6)。具体的には、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置Xよりも大きい座標位置Xが、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置Y、及びブランク以外の色データと対応付けられてデータ記憶部480に記憶されているか否かが判定される。従って、例えば、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)が、図8に示すデータ記憶部480に記憶されている座標位置(X、Y)=(0、−2)と等しいとすると、往路移動終了と判定される。SX6において、このように判定されるのは、図8に示すように、データ記憶部480に記憶されている座標位置(X、Y)=(0、−2)に続く座標位置(X、Y)=(1、−2)、(2、−2)と対応付けられている色データがブランクであるためである。往路移動終了でないと判定されると(SX6:No)、処理がSX3に戻る。
【0080】
SX6において、往路移動終了と判定されると(SX6:Yes)、ヘッド110がヘッド110の堆積面上SFの現在の座標位置Yを有するデータ記憶部480に記憶されている座標データのうち、最も大きい座標位置Xを有する座標位置(X、Y)に対応する堆積面SF上の座標位置(X、Y)まで相対移動される。例えば、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)が座標位置(X,Y)=(0、−2)であるとすると、座標位置(X、Y)=(2、−2)まで相対移動される。ヘッド110がこの位置まで相対移動されると、ヘッド110がY軸方向に距離ΔYだけ相対移動される(SX7)。距離ΔYは、駆動データ記憶部510により所定のY軸方向の微小移動距離ΔYとして記憶されている。本実施形態において、距離ΔYは、図4に示した複数の吐出口PNの配列間隔IMの2倍の距離分に相当する値である。ただし、以後ヘッド110の現在の座標位置Yはそのままの座標位置Yとして扱われる。即ち、距離ΔY相対移動前の座標位置Yが座標位置Y=−2であった場合、そのままヘッド110は、座標位置Y=−2上に配置されているものとして扱われる。なぜならば、距離ΔYは、配列間隔IMの2倍の距離であり、ヘッド110の堆積面SF上の座標位置Yが座標位置Y=1から座標位置Y=2へ移動する、即ちヘッド110が次ラインに相対移動される距離と比較して、小さいためである。
【0081】
ヘッド110が距離ΔY相対移動されると、ヘッドが距離−ΔXだけ復路移動される(SX8)。本実施形態において、「復路移動」とは、ヘッド110が図12に示すX軸負方向に相対移動されることを示す。また、距離−ΔXの絶対値は、SX3においてヘッド110が相対移動される距離ΔXとの絶対値と等しい。従って、距離−ΔX=−0.01cmである。
【0082】
ヘッドが距離−ΔXだけ復路移動されると、ヘッド110がデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X−1、Y)に入ったか否かが判定される(SX9)。SX9における判定処理は、SX4における判定処理と同様にして行われる。例えば、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)が、(X、Y)=(1.8、−2)である場合、データ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X−1、Y)は、座標位置(X、Y)=(1、−2)である。ヘッド110がデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X−1、Y)に入っていないと判定されると(SX9:No)、処理がSX11に移る。
【0083】
ヘッド110がデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X−1、Y)に入ったと判定されると(SX9:Yes)、対応ヘッドにより造形液が吐出される(SX10)。対応ヘッドにより造形液が吐出されると、復路移動終了か否かが判定される(SX11)。また、SX9においてデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置(X−1、Y)にヘッド110が入っていないと判定されると(SX9:No)、復路移動終了か否かが判定される(SX11)。具体的には、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置Xよりも小さい数値の座標位置Xが、堆積面SF上の現在の座標位置Y、及びブランク以外の色データと対応付けられてデータ記憶部480に記憶されているか否かが判定される。復路移動終了でないと判定されると(SX11:No)、処理がSX8に戻る。
【0084】
復路移動終了と判定されると(SX11:Yes)、吐出終了か否かが判定される(SX12)。具体的には、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置Yよりも大きい座標位置Yがデータ記憶部480により記憶されているか否かが判定される。吐出終了でないと判定されると(SX12:No)、ヘッド110がデータ記憶部480に記憶されている次の座標位置Yに移る、即ち次のラインに移る(SX13)。つまり、データ記憶部480に記憶されている座標位置(X、Y)のうち、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置Yよりも大きい数値の座標位置Yとその座標位置Yを有する座標位置(X、Y)のうち最小の座標位置Xを有する座標位置(X、Y)が現在の座標位置(X、Y)となるように、ヘッド110が相対移動される。従って、ヘッド110の堆積面SF上の現在の座標位置(X、Y)が、図8に示す座標位置(X、Y)=(0、−2)であるとすると、座標位置(X、Y)=(−2、−1)にヘッド110が移る。SX13においてヘッド110が次の座標位置Yに移ると、処理がSX3に戻り、ヘッド110のX軸方向の相対移動がなされる。吐出終了と判定されると(SX12:Yes)、図15に示す吐出処理が終了する。
【0085】
図16を用いて、図15に示した第2の実施形態における吐出処理について詳細に説明する。図16は、図12に示す堆積面SFに堆積された1層の粉末材料の造形対象領域RGをZ軸正方向側から見た場合の上面図である。なお、図16は、座標位置Z=1に対応した1層の粉末材料を示すものとする。
【0086】
SX2において、ヘッド110が図16に示すデータ記憶部480に記憶されている初期位置(XI、YI)に対応した堆積面SF上位置PIに相対移動される。SX3においてヘッド110が図16に示すX軸方向に距離ΔXずつ順次相対移動される。今、図8に示すように、データ記憶部480に座標位置(X、Y)=(0、−2)と対応付けられてマゼンタが記憶されている。この場合、対応ヘッドはマゼンタヘッド112である。従って、ヘッド110が座標位置(X、Y)=(0、−2)に入ると、SX5において、マゼンタヘッド112によりマゼンタの造形液が吐出される。造形液が吐出されると、図8に示すように、座標位置Z=1で、座標位置X=0よりも大きい座標位置Xを有する座標位置(X、−2)は、座標位置(X、Y)=(1、−2)(2、−2)の2つである。しかし、座標位置(X、Y)=(1、−2)(2、−2)と対応付けて記憶されている色データはブランクである。従って、SX6において往路移動終了と判定される。往路移動終了と判定されると、ヘッド110が、座標位置(X、Y)=(2、−2)に相対移動される。ヘッド110が、座標位置(X、Y)=(2、−2)に相対移動されると、SX7においてヘッド110が図16の実線矢印に示すようにY軸正方向に微小距離ΔY相対移動される。
【0087】
距離ΔY相対移動されると、ヘッド110がX軸負方向側に距離−ΔXずつ順次相対移動される。ヘッド110が座標位置(X、Y)=(0、−2)に入ると、と、SX10においてマゼンタヘッド112によりマゼンタの造形液が吐出される。図8に示すように、座標位置X=0よりも小さい座標位置Xを有し、ブランク以外の色データと対応付けられている座標位置(X、Y、1)は、データ記憶部480により記憶されていない。従って、復路移動終了と判定される。復路移動終了と判定されると、ヘッド110が次の座標位置Yに移る。即ち、ヘッド110が座標位置(X、Y)=(−2、−1)に相対移動される。図16に示すこのときの移動距離YWは、図16に示すように少なくとも微小距離ΔYよりも大きい。ヘッド110が座標位置(X、Y)=(−2、−1)に相対移動されると、処理がSX3に戻り、ヘッド110のX軸方向往路移動がなされる。その後、図16の二点鎖線矢印、及び実線矢印に示すようにヘッド110のX軸方向往路移動、距離ΔY相対移動、X軸方向復路移動、及び次の座標位置Yへの移行が繰り返される。以上示したように、図15に示す吐出処理により1層の粉末材料の造形対象領域RGに対する吐出がなされる。
【0088】
SX12において吐出終了と判定され、S5において造形終了と判定されると、座標位置Zが次の座標位置Zに移り、図11に示した構造形成処理がなされる。即ち、新たな粉末材料が堆積面SF上に供給される。従って、先の1層の造形対象領域RGの上に新たな造形対象領域が形成される。その後、再び、図15、及び図16において示した吐出処理が行われる。
【0089】
(変形例)
第1の実施形態において、ヘッド110による吐出、及びヘッド110の相対移動は、図7に示した吐出信号ES、X軸駆動信号DIx、及びY軸駆動信号DIyに基づき行われていた。しかし、これに限らず、例えば、第2の実施形態における図15のSX4、及びSX9等の判定処理が逐次行われることにより、ヘッド110による吐出、及びヘッド110の相対移動が行われてもよい。反対に、第2の実施形態において、ヘッド110による吐出、及びヘッド110の相対移動は、図15において示したフローチャートに基づき行われていたが、これに限らず、例えば、図7において示したような吐出信号、X軸駆動信号、及びY軸駆動信号に基づき行われてもよい。
【0090】
第1の実施形態において、ヘッド110による吐出、及びヘッド110の相対移動は、図7に示した吐出信号ES、X軸駆動信号DIx、及びY軸駆動信号DIyに基づき行われていた。しかし、これに限らず、例えば、X軸駆動信号は、ヘッド110をX軸方向の一方向のみに移動させるための駆動信号であってもよい。この場合、図7の(B)に示したようなX軸駆動信号は、X軸方向のヘッドの駆動時間において、正、及び負のうちのいずれかの符号の値をとればよい。また、これに限らず、例えば、Y軸駆動信号は、ヘッド110をY軸方向の一方向のみに移動させるための駆動信号であってもよい。この場合、図7の(C)に示したようなY軸駆動信号は、X軸方向のヘッドの駆動時間において、正、及び負のうちのいずれかの符号の値をとればよい。
【0091】
第1の実施形態において、値Sdと値Scとの差は、図4に示した複数の吐出口PNの配列間隔IMの2倍の距離分に相当する値であった。しかし、これに限らず、例えば、複数の吐出口PNの配列間隔IMの3倍の距離分であってもよい。
【0092】
第2の実施形態のSX7において、ヘッド110がY軸方向に相対移動される距離ΔYは、図4に示した複数の吐出口PNの配列間隔IMの2倍の距離分に相当する値であった。しかし、これに限らず、例えば、複数の吐出口PNの配列間隔IMの3倍の距離分であってもよい。距離ΔYは、配列間隔IMの2倍以上、且つ複数の吐出口PNの個数から1を減じた個数倍以下の距離であればよい。
【0093】
第1の実施形態において、往路移動における複数の吐出口PNの配置位置と復路移動における複数の吐出口PNの配置位置とが異なるように、吐出信号ES、X軸駆動信号DIx、及びY軸駆動信号DIyが調整されてもよい。
【0094】
第1、及び第2の実施形態において、造形液の吐出量は、1滴の造形液が粉末材料に吐出された場合の造形液の広がり直径が図4に示した配列間隔IMの2倍以上となる量に設定されていた。しかし、これに限らず、例えば、配列間隔IMの1.5倍となる量に設定されていてもよい。
【0095】
第1、及び第2の実施形態において、複数の吐出口PNのうち、造形対象領域RGの外周領域上に位置するイエローヘッド111、マゼンタヘッド112、及びシアンヘッド113の複数の吐出口PNに造形液を吐出させ、造形対象領域RGの外周領域以外の領域上に位置するクリアヘッドの複数の吐出口PNに造形液を吐出させてもよい。この場合、外周領域における着色領域の最外部輪郭部からの幅は、1滴の着色造形液が粉末材料に吐出された場合の着色造形液の広がり直径の2倍以上の長さとなるように設定されるのが望ましい。外周領域への着色造形液の吐出、外周領域以外の無色造形液の吐出、及び外周領域における着色領域の最外部輪郭部からの幅は、図6に示したデータ記憶部480、吐出データ記憶部500、及び駆動データ記憶部510に記憶される各種データが調整されることによりなされる。また、この場合、外周領域のみでヘッドがY軸方向に相対移動されてもよい。これにより、3次元構造物の内部領域において正常に着色、及び造形がなされなかった部分が連続したとしても、外周領域においては、色抜け、及び構造欠陥が生じる可能性が低減される。従って、3次元構造物全体としては、色抜け、及び構造欠陥が生じる可能性が低減される。
【0096】
第1、及び第2の実施形態において、ヘッド110、ガントリ130、及び堆積台移動部310bが各々X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動されることにより、ヘッド110が堆積面SFに対しX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に相対移動されていた。しかし、これに限らず、例えば、ステージがX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に移動されることによりヘッドが堆積面に対しX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向に相対移動されてもよい。
【0097】
第1、及び第2の実施形態において、粉末材料の供給は、粉末供給部330によりなされていた。また、第1、及び第2の実施形態において、堆積面SFに堆積された粉末材料の平坦化は、平坦化部320によりなされていた。しかし、これに限らず、例えば、粉末材料の供給、及び平坦化は、作業者によりなされてもよい。
【0098】
第1の実施形態において、ヘッド110のY軸方向の相対移動は、図7に示したY軸駆動信号DIyに基づき行われていた。しかし、これに限らず、例えば、3次元造形装置がセンサ又はカメラ等の検知部を備え、検知部により吐出不良により正常に着色、及び造形がなされなかった箇所が検知され、その結果ヘッドがY軸方向に相対移動されてもよい。同様に、第2の実施形態において、ヘッド110のY軸方向の相対移動は、往路移動から復路移動に移る間に行われていたが、往路移動又は復路移動中に、検知部により吐出不良により正常に着色、及び造形がなされなかった箇所が検知され、その結果ヘッドがY軸方向に相対移動されてもよい。これらの制御は、制御部4により行われればよい。
【0099】
第1、及び第2の実施形態において、ヘッド110は、斜め方向を含む一次直線状に相対移動されていたが、これに限らず、例えば、曲線状に相対移動されてもよい。
【0100】
第1、及び第2の実施形態において、造形液は対応ヘッドの複数の吐出口PNのうちの全ての吐出口PNから吐出されていた。しかし、これに限らず、対応ヘッドの複数の吐出口のうちの一部の吐出口から造形液が吐出されてもよい。この場合、データ記憶部により座標データ、及び色データとともに、造形液を吐出する吐出口の識別データが記憶される。識別データが吐出制御部に供給されることで、対応ヘッドの複数の吐出口のうちの一部の吐出口から造形液が吐出されことが可能となる。
【0101】
第1の実施形態において、ヘッド110は、1ライン相対移動中、X軸方向に所定時間、即ちX軸方向の所定距離相対移動し、造形液を吐出し、Y軸方向に相対移動され、そしてX軸方向に所定時間、即ちX軸方向の所定距離相対移動するという繰り返し動作をしていた。しかし、これに限らず、ヘッド110は、1ライン相対移動中、X軸方向に所定時間、即ちX軸方向の所定距離相対移動し、造形液を吐出し、Y軸方向に相対移動され、造形液を吐出し、そしてX軸方向に所定時間、即ちX軸方向の所定距離相対移動するという、特定のX座標位置における2度吐出動作、即ち2度打ちをしてもよい。また、2度打ちに限らず、2度打ち以上の複数回打ちであってもよい。このように、複数回打ちがなされることにより、1度打ちでは正常に着色、及び造形がなされなかった箇所が2度目以降の吐出により穴埋めされる。また、造形液が複数回打ちされることにより、1層の粉末材料がある程度厚い場合においても、造形液をより深く粉末材料に浸透させることができ、色抜けや構造欠陥が起きる可能性を低減できる。
【0102】
第2の実施形態において、往路相対移動中、ヘッド110により造形液が吐出されたX座標位置と略同じX座標位置において、復路相対移動においてもヘッド110により造形液が吐出されていた。しかし、これに限らず、例えば、復路相対移動においては、往路相対移動時にヘッド110により造形液が吐出された隣接する2つのX座標位置の間のX座標位置において、ヘッド110により造形液が吐出されてもよい。これにより、色抜けや構造欠陥が起きる可能性を低減できる。
【0103】
第1、及び第2の実施形態において、ヘッド110がX軸方向のみならず、Y軸方向に相対移動されることで、3次元構造物の色抜けや構造欠陥が生じる可能性を低減していた。しかし、これに限らず、例えば、層ごとにY軸方向への相対移動の仕方が変更されてもよい。また、例えば、特定の層とその上の層とがY軸方向に配列間隔分オフセットされてもよい。これにより、特定の層とその上の層とで、ヘッド111〜114のうちの同じヘッドの不良吐出口により正常に着色または造形がなされなかった箇所が粉末材料の積層方向に連続する可能性が低減される。従って、3次元構造物の構造欠陥が起きる可能性が低減される。この場合、例えば、図10において示したS6のような座標位置Zが変更される処理後、その変更された座標位置Zにおける構造形成処理がなされるまでの間にヘッド110がY軸方向にオフセットされればよい。また、例えば、図7において示したようなX軸駆動信号とY軸駆動信号とが調整され、層ごとにY軸方向への相対移動の仕方が変更されればよい。
【0104】
3次元構造物の動作制御に関する説明の簡略化、及び明確化のため、第2の実施形態におけるSX4、及びSX9おいて、各々、次の座標位置は、座標位置XからX軸方向に+1cm、及び−1cmずれた座標位置X+1、及びX−1とした。しかし、これに限らず、次の座標位置は、座標位置X+0.05、及びX−0.05であってもよい。また、これに関連して、第2の実施形態におけるSX3、及びSX8おいて、ΔX=0.1cmであったが、例えば、更に細かくΔX=0.001cmであってもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 3次元造形装置
110 ヘッド
111 イエローヘッド
112 マゼンタヘッド
113 シアンヘッド
114 クリアヘッド
130 ガントリ
210x X軸モータ
210y Y軸モータ
310 ステージ
310a 堆積台
310b 堆積台移動部
330 粉末供給部
410 吐出制御部
420 駆動制御部
430 粉末供給制御部
460 統括制御部
480 データ記憶部
500 吐出データ記憶部
510 駆動データ記憶部
SF 堆積面
PN 吐出口
IM 配列間隔
RG 造形対象領域
HD ヘッド
RE 造形液が広がる範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置であって、
前記堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部と、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動部と、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動部と、
前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御部と、
前記所定時間を含む駆動時間において、前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記第1駆動部を制御し、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とする3次元造形装置。
【請求項2】
前記複数の吐出口は、互いに等しい配列間隔に前記第1方向に並列され、
前記第1駆動部は、前記吐出部を前記第1方向に前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、相対移動させることを特徴とする請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項3】
前記第2駆動部は、前記吐出部を前記第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させ、
前記第1駆動部は、前記造形対象領域内で前記吐出部が吐出動作を行う前記第2方向における各位置において、前記第1方向における前記複数の吐出口の各々の配置位置が、前記一方向の相対移動時と前記他方向の相対移動時とで異なるように、前記吐出部を前記第1方向に相対移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の3次元造形装置。
【請求項4】
堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置であって、
前記堆積面に平行な面において定められた第1方向に互いに等しい配列間隔に並列され、前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部と、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動部と、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動部と、
前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御部と、
前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記第1駆動部を制御し、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記第2駆動部を制御し、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御部と、を備えることを特徴とする3次元造形装置。
【請求項5】
前記吐出制御部は、1滴の前記着色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記着色造形液の広がり直径、又は1滴の前記無色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記無色造形液の広がり直径が、前記配列間隔の2倍以上となる量の前記着色造形液、又は前記無色造形液を前記吐出部に吐出させることを特徴とする請求項2または4に記載の3次元造形装置。
【請求項6】
前記吐出部は、前記着色造形液を吐出する着色吐出部と前記無色造形液を吐出する無色吐出部とを有し、
前記吐出制御部は、前記着色吐出部、及び前記無色吐出部の前記複数の吐出口のうち、少なくとも前記造形対象領域の外周領域上に位置する前記着色吐出部の吐出口に前記着色造形液を吐出させ、前記外周領域における着色領域の最外部輪郭部からの幅は、1滴の前記着色造形液が前記粉末材料に吐出された場合の前記着色造形液の広がり直径の2倍以上の長さとなるように前記吐出部を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の3次元造形装置。
【請求項7】
前記粉末材料を前記堆積面に供給する粉末供給部と、
前記粉末供給部を制御し、前記粉末供給部に前記粉末材料を前記堆積面に供給させる粉末供給制御部と、を備え、
前記吐出制御部は、前記粉末供給部により粉末供給部が制御され、前記粉末材料が前記堆積面に供給された後、前記吐出部を制御し、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の3次元造形装置。
【請求項8】
粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形方法であって、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動ステップと、
前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、
前記所定時間を含む駆動時間において、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする3次元造形方法。
【請求項9】
粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形プログラムであって、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向に相対移動させる第2駆動ステップと、
前記吐出部を制御し、あらかじめ設定された所定時間の時間間隔で前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、
前記所定時間を含む駆動時間において、前記吐出部を前記第2方向に相対移動させ、前記吐出部を複数回前記第1方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備え、
これらのステップがコンピューターにより実現されることを特徴とする3次元造形プログラム。
【請求項10】
粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形方法であって、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動ステップと、
前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、
前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備えることを特徴とする3次元造形方法。
【請求項11】
粉末材料が堆積された堆積面に平行な面において定められた第1方向に並列され、堆積面に堆積された粉末材料のあらかじめ設定された造形対象領域に対し、着色造形液、及び無色造形液を吐出する複数の吐出口を有する吐出部を備え、着色造形液、及び無色造形液を吐出することで3次元構造物を造形する3次元造形装置に用いられる3次元造形プログラムであって、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記第1方向に相対移動させる第1駆動ステップと、
前記吐出部を、前記堆積面に対し、前記堆積面に平行な面において前記第1方向に交差する第2方向の一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記第2方向の他方向に相対移動させる第2駆動ステップと、
前記吐出部を制御し、前記吐出部の前記一方向、及び前記他方向の相対移動中、前記吐出部に前記着色造形液、及び前記無色造形液を吐出させる吐出制御ステップと、
前記吐出部を前記一方向に相対移動させた後、前記吐出部を前記配列間隔の2倍以上、且つ前記複数の吐出口の個数から1を減じた個数倍以下の距離分、前記第1方向に相対移動させ、前記吐出部の前記第1方向の相対移動後、前記吐出部を前記他方向に相対移動させる駆動制御ステップと、を備え、
これらのステップがコンピューターにより実現されることを特徴とする3次元造形プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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