3次元CADモデルデータ管理装置
【課題】サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を、簡便な構成でアクセスして把握する。
【解決手段】3次元CADモデルデータ管理装置は、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと3Dモデルデータ編集クライアント装置Bを備えて構成されており、クライアント装置Bの3Dモデルデータ登録処理装置B5は、3D−CADシステムB6で表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを3D−CADシステムから取得して、3Dモデルデータとともにサーバ装置Aの外部記憶装置A4に保管する。一方、サーバ装置Aの3Dモデルデータ管理処理装置A5は、クライアント装置Bからのアクセス要求に対して、3Dモデル登録リストファイルを参照し、このファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可否を回答する。
【解決手段】3次元CADモデルデータ管理装置は、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと3Dモデルデータ編集クライアント装置Bを備えて構成されており、クライアント装置Bの3Dモデルデータ登録処理装置B5は、3D−CADシステムB6で表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを3D−CADシステムから取得して、3Dモデルデータとともにサーバ装置Aの外部記憶装置A4に保管する。一方、サーバ装置Aの3Dモデルデータ管理処理装置A5は、クライアント装置Bからのアクセス要求に対して、3Dモデル登録リストファイルを参照し、このファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可否を回答する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元CADモデルデータ管理装置に係り、具体的には、3次元コンピュータ支援設計(3D−CAD:Computer Aided Design)システムを用いて編集される3Dモデルデータを管理する製品データ管理(PDM:Product Data Management)システム、及び製品ライフサイクル管理(PLM:Product Lifecycle Management)システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3D−CADシステムを用いた3次元設計は、従来の図面ベースの2次元設計に比べ、部品単位での形状、員数管理をすることができるため、大いに活用されている。3D−CADシステムで扱われる3Dモデルデータは、複数部品からなる製品に対して、各部品形状を管理するパートファイルと、各部品の組み付け情報を管理するアセンブリファイルと、パートファイル或いはアセンブリファイルを使用して2次元図面化した図面ファイルなどで構成されるのが一般的である。
【0003】
これらのファイルは、それぞれ関連性をファイル内部に持っているため、クライアント装置に配置された3D−CADシステムからサーバ装置へアクセスしてファイルを読込むと、関連するファイルも同時に読込まれて全体が表示される。
【0004】
ところで、製品の設計・開発・保守などの場面において、このような3D−CADシステムで編集される3Dモデルデータなどの設計情報を一元管理するPDM,或いはPLMシステムが開発されている。例えば特許文献1には、複数設計者による協調設計を考慮して、3次元設計情報の整合性を保つとともに、設計・開発効率を高めるPDM/PLMシステムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−155186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているようなPDM/PLMシステムは、3D−CADシステムで3Dモデルデータを編集してクライアント装置に保存する度に、その変更をリアルタイムでサーバ装置に反映するのが一般的である。
【0007】
これは、複数の設計者が、3D−CADシステムを通じて、サーバ装置に格納された3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態をリアルタイムに把握できるといった面ではメリットがある。各ファイルの状態とは、例えば、ファイルをサーバ装置から借用することが可能か、サーバ装置に格納されたファイルに対して承認設定をすることが可能か、クライアント装置で編集したファイルをサーバ装置に保管することが可能か、といったものである。
【0008】
しかしながら、このようなシステム構成では、サーバ装置とクライアント装置との間で通信が密に行われるため、クライアント装置の負荷が大きく、処理速度が低下するというデメリットがある。
【0009】
このような状況下、3D−CADシステムを用いた製品開発現場では、従来システムの密なデータ通信機能を排除して処理負荷を軽減しつつ、ユーザの所望のタイミングで、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を知りたいという要望が高まっている。
【0010】
そこで、本発明は、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を、容易にアクセスして把握できる3次元CADモデルデータ管理装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の3次元CADモデルデータ管理装置は、基本構成として、演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置とを有する3Dモデルデータ管理サーバ装置と、3D−CADシステムを含んでなる演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置と、入力装置と、表示装置とを有する複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置とを備えており、各装置のデータ通信装置を介して接続されて構成されている。また、複数の部品の形状をそれぞれ表す複数のパートファイルと、各パートファイルの組み付け情報を表す1又は複数のアセンブリファイルとを含む3Dモデルデータを管理するものである。
【0012】
また、上記課題を解決するための特徴構成として、3Dモデルデータ編集クライアント装置の演算処理装置は、3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを3D−CADシステムから取得して、この3Dモデル登録リストファイルを3Dモデルデータとともに3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管する。一方、3Dモデルデータ管理サーバ装置の演算処理装置は、3Dモデルデータ編集クライアント装置からのアクセス要求に対して、保管された3Dモデル登録リストファイルを参照し、3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルのアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答する。
【0013】
すなわち、クライアント装置の演算処理装置は、3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータから、この3Dモデルデータを構成する各ファイルのファイル名のリストなどのみからなる3Dモデル登録リストファイルを抽出して管理サーバ装置に保管している。このリストファイルは、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示すリストなどを切り出して作成されたファイルであり、3D−CADシステムを介してアクセスする必要もないため、容易にアクセスできるものである。したがって、管理サーバ装置は、クライアント装置(ユーザ)からの各ファイルへのアクセス要求に対して、容易に、保管されているリストファイルを参照し、このリストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づいて回答することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を、容易にアクセスして把握できる3次元CADモデルデータ管理装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用してなる3次元CADモデルデータ管理装置の実施形態を、図1〜図12を用いて説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置の全体構成を示す図である。本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3次元CADモデルを保管・管理する3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと、3次元CADモデルを作成し保管依頼などを行う3Dモデルデータ編集クライアント装置Bとが、互いにデータ通信装置A2とデータ通信装置B2を介して接続されて構成されている。なお、図1では、1の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bついての詳細しか記載していないが、同様の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bが複数配置され、同様に3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと接続される。
【0017】
3Dモデルデータ管理サーバ装置Aは、演算処理装置A1と、データ通信装置A2と、作業用データメモリA3と、外部記憶装置A4とを有して構成されている。
【0018】
外部記憶装置A4は、3Dモデルデータ編集クライント装置からデータを登録できる共用スプーラフォルダA4−1と、3次元モデルデータを保管・管理する共有3DモデルデータフォルダA4−2と、3次元モデルデータを管理するデータベースである3Dモデルデータ管理フォルダA4−3と、3次元モデルデータの履歴データを保管する3DモデルデータバックアップフォルダA4−4とを有して構成されている。
【0019】
また、演算処理装置A1には、3Dモデルデータ管理処理装置A5が組み込まれている。3Dモデルデータ管理処理装置A5は、共用スプーラフォルダA4−1に書き込まれた内容を読み取る入力処理部A5−1と、入力処理部A5−1で取得した情報が保管処理指示の場合、共用スプーラフォルダA4−1より3Dモデルデータを整理・保管する保管処理部A5−2と、入力処理部A5−1で取得した情報が承認処理指示の場合、保管している3Dモデルデータを承認設定する承認処理部A5−3と、入力処理部A5−1で取得した情報が借用処理指示の場合、承認している3Dモデルデータを借用状態に設定する借用処理部A5−4とを有している。
【0020】
さらに、3Dモデルデータ管理処理装置A5には、入力処理部A5−1で取得した情報が問合せ処理の場合、各種問合せ回答処理を行う本発明の特徴部の1つである問合せ処理部A5−5が設けられている。問合せ処理部A5−5の詳細については後述する。
【0021】
一方、3Dモデルデータ編集クライアント装置Bは、演算処理装置B1と、データ通信装置B2と、作業用データメモリB3と、外部記憶装置B4と、入力装置B7と、表示装置B8とを有して構成されている。演算処理装置B1には、3D−CADシステムB6と、本発明の特徴部の1つである3Dモデルデータ登録処理装置B5とが配置されている。
【0022】
3Dモデルデータ登録処理装置B5は、3D−CADシステムB6で表示している3Dモデルデータのファイル構成情報、つまり3Dモデルデータを構成する各ファイルのファイル名リストなどを3D−CADシステムB6から抽出して取得し、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへ登録・保管するための情報である3Dモデル登録リストファイルB4−1を出力するモデル取得部B5−1と、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへ保管依頼をする保管依頼部B5−2と、各種問合せを行う問合せ部B5−3とを有して構成されている。
続いて、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置を利用して3Dモデルデータを管理・操作する全体動作のワークフローを、図2を用いて説明する。
【0023】
まず始めに、設計者は、3Dモデルデータ編集クライアント装置B上の3D−CADシステムB6を使用して3Dモデルデータや図面データ(以下3Dモデルデータに含めて呼称する)を新規に作成し(S2−1)、外部記憶装置B4に3DモデルファイルB4−2として保存する。
【0024】
次に、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへの保管が可能か否かの問合せを、問合せ部B5−3を使用して確認し、保管可であれば、保管依頼部B5−2にて保管処理を開始する(S2−2)。保管処理が終了すると、外部記憶装置A4の各フォルダに3Dモデルデータが整理・保管され、3Dモデルデータの保管状態となる(S2−3)。
【0025】
次に、承認が可能か否かを問合せて確認し、承認可であれば、承認処理を開始する(S2−4)。承認処理が終了すると、3Dモデルデータが承認状態となる(S2−5)。なお、承認処理は、例えば設計部門の責任者などにより操作される場合が一般的である。
【0026】
次に、承認済みの3Dモデルを変更する場合、借用が可能か否かを問合せて確認し、借用可であれば、借用処理を開始する(S2−6)。借用処理が終了すると、3Dモデルデータは借用状態(S2−7)となり、借用した設計者は、3Dモデルデータ編集クライアント装置B上の外部記憶装置に3Dモデルデータをコピーして、3Dモデルデータの修正(S2−8)を行った後再び、保管処理S2−2の処理に戻る。
【0027】
借用状態(S2−7)から借用取消しを行う場合は、借用取消しが可能か否かの問合せを行い、取消し可であれば、借用取消し処理を行い(S2−9)、借用取消し処理終了後、3Dモデルデータは借用取消状態になる(S2−10)。
【0028】
なお、承認前の保管状態では、保管したユーザの権限となっているため、保管したユーザは何度も保管を繰り返すことができる。
【0029】
以上のように、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3D−CADシステムを用いて3Dモデルデータを作成・編集するとともに、複数設計者による協調設計を可能とするため、3Dモデルデータを構成する各ファイルの各種状態設定などを管理している。
【0030】
次に、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置の特徴部の1つである3Dモデルデータ登録処理装置による保管処理のフローチャートを、図3を用いて説明する。
【0031】
まず始めに、保管登録する図番と登録フォルダ名称がユーザにより入力装置B7から入力され、モデル取得部B5−1により、図番に関連する3Dモデルデータ登録ファイル(以下、MRLファイルと称す)が生成され、3Dモデル登録リストファイルB4−1が作成される(S3−1)。なお、MRLファイルの詳細については後述する。
【0032】
続いて、保管依頼部B5−2により、3Dモデルデータ管理サーバ装置AにMRLファイルが入力される(S3−2)。次に、共用スプーラフォルダA4−1にステップS3−1で入力した登録フォルダとユーザ名称を使用してフォルダが生成される(S3−3)。
【0033】
次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S3−4)に入り、始めに、処理対象ファイルが、図番ファイル、Drawファイル又はMRLファイルかのチェックを行い、チェック結果がYesの場合は、共有スプーラフォルダの生成したフォルダに対象ファイルがコピーされる(S3−7)。ステップS3−5のチェック結果がNoの場合は、次のステップの処理対象ファイルが、モデルファイルでかつ、サーバ登録日付より修正日付の方が大きい、すなわち、新しい日付のチェックを行い(S3−6)、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−7の処理が行われる。
【0034】
上記ステップS3−4のループ処理が終了すると、次に、3Dモデルデータを登録するための保管依頼する情報が登録され、共用スプーラフォルダのフォルダ名とMRLファイル名が記載されたリクエストファイルが生成される(S3−8)。
【0035】
続いて、3Dモデルデータ保管依頼が3Dモデルデータ管理処理装置A5の保管処理部A5−2に渡され、保管処理部A5−2処理に移行し、まず始めに、3Dモデルデータ登録リクエストファイル名に記載されているMRLファイルが入力される(S3−10)。そして、共用3DモデルデータフォルダA4−2に、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成される(S3−11)。
【0036】
次に、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3にも、同じく、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成され(S3−12)、3DモデルデータバックアップフォルダA4−4にも、同じく、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成される(S3−13)。
【0037】
次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S3−14)に入り、始めに、処理対象ファイルが、図番ファイル、又は、Drawファイル又はMRLファイルかのチェックが行われ、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−17に移行する。
【0038】
ステップS3−15のチェック結果がNoの場合は、処理対象ファイルが、モデルファイルでかつ、サーバ登録日付より修正日付の方が大きい、すなわち、新しい日付のチェックが行われ(S3−16)、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−17に移行する。
【0039】
ステップS3−17は、共用3DモデルデータフォルダA4−2の登録フォルダに既に登録対象ファイル名と同名のファイルがある場合、3DモデルデータバックアップフォルダA4−4の作成フォルダに元のファイルを移動処理する(S3−17)。続いて、登録対象ファイルのタイムスタンプ情報、すなわち、ファイル修正日時をファイルプロパティに登録してファイルを保存する(S3−18)。本発明において、ステップS3−18の修正日付をファイルプロパティに保持することは、サーバで管理しているファイルと、クライントで修正したか否かの判定をするために重要な要素である。
【0040】
次に、登録対象ファイルを所定の共用3DモデルデータフォルダA4−2の登録フォルダに移動する(S3−19)。次に、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3の登録フォルダに同名のファイルを生成し、登録日時と状態値を保管とし、ユーザ名称を書き込んでファイルを保存する(S3−20)。上記ステップS3−14のループ処理が終了すれば、保管処理は終了となる。
【0041】
図4は、このような保管処理がなされた後の3Dモデルデータ管理サーバ装置Aの外部記憶装置A4の共用3DモデルデータフォルダA4−2のフォルダ内容構成の一例である。この共用3DモデルデータフォルダA4−2は、読込み専用の共用設定を行い、複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bよりアクセスできる体系としておく。また、保管依頼部B5−2による保管処理において、保管先の指定登録フォルダは設計者に指定されたフォルダ(A4−2−1,A4−2−2)となる。また、保管指示する3Dモデルデータファイルは、モデル取得部B5−1で取得されて、3Dモデル登録リストファイルB4−1として出力されたファイルの内容に従っている。
【0042】
図5は、3Dモデル登録リストファイルB4−1の構成内容の一例を示す図である。3Dモデル登録リストファイルB4−1は、設計者が指示した3Dモデルサーバ登録先(登録フォルダ名)と、3D−CADシステムB6で現在表示している図面の図番と、Drawファイルと、参照されている全3Dモデルファイル名で構成されている。
【0043】
図4に示すように、この3Dモデル登録リストファイルB4−1に記載されている3Dモデルデータ(実データ)が、指定された指定登録フォルダにコピーされることになり(A4−2−3〜7)、合わせて、本発明の特徴として、3Dモデル登録リストファイル(A4−2−8)も同時にコピーされる。この3Dモデル登録リストファイルは、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示すリストなどを切り出して作成されたファイルであり、3D−CADシステムを介さず、一般のコンピュータから容易にアクセスできるものである。
【0044】
図6は、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aの外部記憶装置A4上で管理される3Dモデルデータ管理フォルダA4−3のファイル内容構成の一例であり、共用3DモデルデータフォルダA4−2の指定登録フォルダ1(A4−2−1)に登録した3Dモデルデータの管理例である。3Dモデルデータ管理においては、保管している3Dモデル登録リストファイルA4−2−8を除く、全ての同名の3Dモデルデータファイルを保管しており(A4−3−3〜7)、それらのファイル内容は、図7に示すような構成内容である。すなわち、保管時の登録日時と保管、承認、借用中、借用取消しの3Dモデルデータファイルの状態値と登録したユーザ名称である。
【0045】
続いて、図8を用いて、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置における保管可能かの問合せ処理を説明する。まず始めに、設計者が問合せ部B5−3を起動して入力装置B7より問合せする図番を入力する(S8−1)と、問合せ部B5−3により、問合せ処理部A5−5に図番が渡され、図面と同名のMRLファイル名が共用3DモデルデータフォルダA4−2より検索(S8−2)され、MRLファイルが入力される(S8−3)。次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S8−4)に入り、始めに、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3内の同名称ファイルの内容が取得される(S8−5)。
【0046】
次に、同名ファイル存在がチェックされ(S8−7)、ファイルが存在しない場合と、状態値が借用で、かつ、同一ユーザの問合せ(S8−8)の場合は、保管可の登録(S8−9)が行われ、それ以外は保管不可の登録(S8−10)が行われる。上記ステップS8−4のループ処理を終了すると、各ファイルの保管可、不可の結果のリストが出力される(S8−11)。
【0047】
なお、ステップS8−7からステップS8−10を、以下の図9〜図11に示す承認可、借用可、借用取消可の処理ステップに置き換えることにより、それぞれの問合せ処理を行うことができる。
【0048】
図9は、承認可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S9−1)、存在しない場合は、承認不可が登録される(S9−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は状態値が保管かのチェックが行われ(S9−2)、保管であれば、承認可が登録される(S9−3)。
【0049】
図10は、借用可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S10−1)、存在しない場合は、借用不可が登録される(S10−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は、状態値が承認かのチェックが行われ(S10−2)、承認であれば、借用可が登録される(S10−3)。
【0050】
図11は、借用取消可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S11−1)、存在しない場合は、借用取消不可が登録される(S11−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は状態値が借用、かつ、同一ユーザかのチェックが行われ(S11−2)、チェック結果がYesであれば、借用取消可が登録される(S11−3)。
【0051】
以上のように、本実施形態の3Dモデルデータ管理サーバ装置の問合せ処理部A5−5は、3Dモデルデータ編集クライアント装置からの、各種問合せアクセス要求に対して、保管されたMRLファイルを参照し、MRLファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答している。
【0052】
図12は、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置における承認処理のフローチャートである。まず始めに、承認者が問合せ部B5−3を起動し、入力装置B7より、承認する図番を入力する(S12−1)と、問合せ部B5−3により、承認処理部A5−3に図番が渡され、図面と同名のMRLファイル名が共用3DモデルデータフォルダA4−2より検索(S12−2)され、MRLファイルが入力される(S12−3)。続いて、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S12−4)に入り、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3内の同名称ファイル状態値が承認に更新されてファイルが保存される(S12−5)。上記S12−4ステップのループ処理が終了すると、各ファイルの承認設定結果のリストが出力される(S12−6)。
【0053】
なお、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置において、借用処理と借用取消処理を行う場合は、上記承認処理のフローチャートにおいて、ステップS12−5で状態値を承認に更新する処理を、それぞれ状態値を借用、借用取消と更新する処理に置き換えれば、処理は成立する。
【0054】
以上、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3Dモデルデータを3Dモデルデータ管理サーバ装置に保管するに際して、実データである3Dモデルデータとともに、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示す3Dモデル登録リストファイルを切り出して作成して保管している。したがって、3Dモデルデータ編集クライアント装置のユーザから、3Dモデルデータ管理サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を知りたいというアクセスがあった場合に、容易に回答することができる。つまり、3Dモデルデータ管理サーバ装置は、アクセス要求があったら、保管されている3Dモデル登録リストファイルを参照して、このリストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づけば、容易に回答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の形態となる3次元CADモデルデータ管理装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の3次元CADモデルデータ管理装置の利用形態となるワークフロー図である。
【図3】保管処理のフローチャート図である。
【図4】共用3Dモデルデータフォルダの構成の一例を示す図である。
【図5】3Dモデル登録リストファイルの構成内容の一例を示す図である。
【図6】3Dモデルデータ管理フォルダの構成の一例を示す図である。
【図7】3Dモデルデータ管理フォルダ内の各ファイルの構成内容の一例を示す図である。
【図8】保管可能かを問合せ処理のフローチャート図である。
【図9】承認可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図10】借用可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図11】借用取消可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図12】承認処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0056】
A 3Dモデルデータ管理サーバ装置
B 3Dモデルデータ編集クライアント装置
A1,B1 演算処理装置
A2,B2 データ通信装置
A3,B3 作業用データメモリ
A4,B4 外部記憶装置
B4−1 3Dモデル登録リストファイル
B4−2 3Dモデルファイル
A5 3Dモデルデータ管理処理装置
A5−2 保管処理部
A5−3 承認処理部
A5−4 借用処理部
A5−5 問合せ処理部
B5 3Dモデルデータ登録処理装置
B5−1 モデル取得部
B5−2 保管依頼部
B5−3 問合せ部
B6 3D−CADシステム
B7 入力装置
B8 表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元CADモデルデータ管理装置に係り、具体的には、3次元コンピュータ支援設計(3D−CAD:Computer Aided Design)システムを用いて編集される3Dモデルデータを管理する製品データ管理(PDM:Product Data Management)システム、及び製品ライフサイクル管理(PLM:Product Lifecycle Management)システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
3D−CADシステムを用いた3次元設計は、従来の図面ベースの2次元設計に比べ、部品単位での形状、員数管理をすることができるため、大いに活用されている。3D−CADシステムで扱われる3Dモデルデータは、複数部品からなる製品に対して、各部品形状を管理するパートファイルと、各部品の組み付け情報を管理するアセンブリファイルと、パートファイル或いはアセンブリファイルを使用して2次元図面化した図面ファイルなどで構成されるのが一般的である。
【0003】
これらのファイルは、それぞれ関連性をファイル内部に持っているため、クライアント装置に配置された3D−CADシステムからサーバ装置へアクセスしてファイルを読込むと、関連するファイルも同時に読込まれて全体が表示される。
【0004】
ところで、製品の設計・開発・保守などの場面において、このような3D−CADシステムで編集される3Dモデルデータなどの設計情報を一元管理するPDM,或いはPLMシステムが開発されている。例えば特許文献1には、複数設計者による協調設計を考慮して、3次元設計情報の整合性を保つとともに、設計・開発効率を高めるPDM/PLMシステムが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−155186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているようなPDM/PLMシステムは、3D−CADシステムで3Dモデルデータを編集してクライアント装置に保存する度に、その変更をリアルタイムでサーバ装置に反映するのが一般的である。
【0007】
これは、複数の設計者が、3D−CADシステムを通じて、サーバ装置に格納された3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態をリアルタイムに把握できるといった面ではメリットがある。各ファイルの状態とは、例えば、ファイルをサーバ装置から借用することが可能か、サーバ装置に格納されたファイルに対して承認設定をすることが可能か、クライアント装置で編集したファイルをサーバ装置に保管することが可能か、といったものである。
【0008】
しかしながら、このようなシステム構成では、サーバ装置とクライアント装置との間で通信が密に行われるため、クライアント装置の負荷が大きく、処理速度が低下するというデメリットがある。
【0009】
このような状況下、3D−CADシステムを用いた製品開発現場では、従来システムの密なデータ通信機能を排除して処理負荷を軽減しつつ、ユーザの所望のタイミングで、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を知りたいという要望が高まっている。
【0010】
そこで、本発明は、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を、容易にアクセスして把握できる3次元CADモデルデータ管理装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の3次元CADモデルデータ管理装置は、基本構成として、演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置とを有する3Dモデルデータ管理サーバ装置と、3D−CADシステムを含んでなる演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置と、入力装置と、表示装置とを有する複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置とを備えており、各装置のデータ通信装置を介して接続されて構成されている。また、複数の部品の形状をそれぞれ表す複数のパートファイルと、各パートファイルの組み付け情報を表す1又は複数のアセンブリファイルとを含む3Dモデルデータを管理するものである。
【0012】
また、上記課題を解決するための特徴構成として、3Dモデルデータ編集クライアント装置の演算処理装置は、3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを3D−CADシステムから取得して、この3Dモデル登録リストファイルを3Dモデルデータとともに3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管する。一方、3Dモデルデータ管理サーバ装置の演算処理装置は、3Dモデルデータ編集クライアント装置からのアクセス要求に対して、保管された3Dモデル登録リストファイルを参照し、3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルのアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答する。
【0013】
すなわち、クライアント装置の演算処理装置は、3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータから、この3Dモデルデータを構成する各ファイルのファイル名のリストなどのみからなる3Dモデル登録リストファイルを抽出して管理サーバ装置に保管している。このリストファイルは、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示すリストなどを切り出して作成されたファイルであり、3D−CADシステムを介してアクセスする必要もないため、容易にアクセスできるものである。したがって、管理サーバ装置は、クライアント装置(ユーザ)からの各ファイルへのアクセス要求に対して、容易に、保管されているリストファイルを参照し、このリストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づいて回答することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を、容易にアクセスして把握できる3次元CADモデルデータ管理装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を適用してなる3次元CADモデルデータ管理装置の実施形態を、図1〜図12を用いて説明する。なお、以下の説明では、同一機能部品については同一符号を付して重複説明を省略する。
【0016】
図1は、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置の全体構成を示す図である。本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3次元CADモデルを保管・管理する3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと、3次元CADモデルを作成し保管依頼などを行う3Dモデルデータ編集クライアント装置Bとが、互いにデータ通信装置A2とデータ通信装置B2を介して接続されて構成されている。なお、図1では、1の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bついての詳細しか記載していないが、同様の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bが複数配置され、同様に3Dモデルデータ管理サーバ装置Aと接続される。
【0017】
3Dモデルデータ管理サーバ装置Aは、演算処理装置A1と、データ通信装置A2と、作業用データメモリA3と、外部記憶装置A4とを有して構成されている。
【0018】
外部記憶装置A4は、3Dモデルデータ編集クライント装置からデータを登録できる共用スプーラフォルダA4−1と、3次元モデルデータを保管・管理する共有3DモデルデータフォルダA4−2と、3次元モデルデータを管理するデータベースである3Dモデルデータ管理フォルダA4−3と、3次元モデルデータの履歴データを保管する3DモデルデータバックアップフォルダA4−4とを有して構成されている。
【0019】
また、演算処理装置A1には、3Dモデルデータ管理処理装置A5が組み込まれている。3Dモデルデータ管理処理装置A5は、共用スプーラフォルダA4−1に書き込まれた内容を読み取る入力処理部A5−1と、入力処理部A5−1で取得した情報が保管処理指示の場合、共用スプーラフォルダA4−1より3Dモデルデータを整理・保管する保管処理部A5−2と、入力処理部A5−1で取得した情報が承認処理指示の場合、保管している3Dモデルデータを承認設定する承認処理部A5−3と、入力処理部A5−1で取得した情報が借用処理指示の場合、承認している3Dモデルデータを借用状態に設定する借用処理部A5−4とを有している。
【0020】
さらに、3Dモデルデータ管理処理装置A5には、入力処理部A5−1で取得した情報が問合せ処理の場合、各種問合せ回答処理を行う本発明の特徴部の1つである問合せ処理部A5−5が設けられている。問合せ処理部A5−5の詳細については後述する。
【0021】
一方、3Dモデルデータ編集クライアント装置Bは、演算処理装置B1と、データ通信装置B2と、作業用データメモリB3と、外部記憶装置B4と、入力装置B7と、表示装置B8とを有して構成されている。演算処理装置B1には、3D−CADシステムB6と、本発明の特徴部の1つである3Dモデルデータ登録処理装置B5とが配置されている。
【0022】
3Dモデルデータ登録処理装置B5は、3D−CADシステムB6で表示している3Dモデルデータのファイル構成情報、つまり3Dモデルデータを構成する各ファイルのファイル名リストなどを3D−CADシステムB6から抽出して取得し、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへ登録・保管するための情報である3Dモデル登録リストファイルB4−1を出力するモデル取得部B5−1と、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへ保管依頼をする保管依頼部B5−2と、各種問合せを行う問合せ部B5−3とを有して構成されている。
続いて、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置を利用して3Dモデルデータを管理・操作する全体動作のワークフローを、図2を用いて説明する。
【0023】
まず始めに、設計者は、3Dモデルデータ編集クライアント装置B上の3D−CADシステムB6を使用して3Dモデルデータや図面データ(以下3Dモデルデータに含めて呼称する)を新規に作成し(S2−1)、外部記憶装置B4に3DモデルファイルB4−2として保存する。
【0024】
次に、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aへの保管が可能か否かの問合せを、問合せ部B5−3を使用して確認し、保管可であれば、保管依頼部B5−2にて保管処理を開始する(S2−2)。保管処理が終了すると、外部記憶装置A4の各フォルダに3Dモデルデータが整理・保管され、3Dモデルデータの保管状態となる(S2−3)。
【0025】
次に、承認が可能か否かを問合せて確認し、承認可であれば、承認処理を開始する(S2−4)。承認処理が終了すると、3Dモデルデータが承認状態となる(S2−5)。なお、承認処理は、例えば設計部門の責任者などにより操作される場合が一般的である。
【0026】
次に、承認済みの3Dモデルを変更する場合、借用が可能か否かを問合せて確認し、借用可であれば、借用処理を開始する(S2−6)。借用処理が終了すると、3Dモデルデータは借用状態(S2−7)となり、借用した設計者は、3Dモデルデータ編集クライアント装置B上の外部記憶装置に3Dモデルデータをコピーして、3Dモデルデータの修正(S2−8)を行った後再び、保管処理S2−2の処理に戻る。
【0027】
借用状態(S2−7)から借用取消しを行う場合は、借用取消しが可能か否かの問合せを行い、取消し可であれば、借用取消し処理を行い(S2−9)、借用取消し処理終了後、3Dモデルデータは借用取消状態になる(S2−10)。
【0028】
なお、承認前の保管状態では、保管したユーザの権限となっているため、保管したユーザは何度も保管を繰り返すことができる。
【0029】
以上のように、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3D−CADシステムを用いて3Dモデルデータを作成・編集するとともに、複数設計者による協調設計を可能とするため、3Dモデルデータを構成する各ファイルの各種状態設定などを管理している。
【0030】
次に、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置の特徴部の1つである3Dモデルデータ登録処理装置による保管処理のフローチャートを、図3を用いて説明する。
【0031】
まず始めに、保管登録する図番と登録フォルダ名称がユーザにより入力装置B7から入力され、モデル取得部B5−1により、図番に関連する3Dモデルデータ登録ファイル(以下、MRLファイルと称す)が生成され、3Dモデル登録リストファイルB4−1が作成される(S3−1)。なお、MRLファイルの詳細については後述する。
【0032】
続いて、保管依頼部B5−2により、3Dモデルデータ管理サーバ装置AにMRLファイルが入力される(S3−2)。次に、共用スプーラフォルダA4−1にステップS3−1で入力した登録フォルダとユーザ名称を使用してフォルダが生成される(S3−3)。
【0033】
次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S3−4)に入り、始めに、処理対象ファイルが、図番ファイル、Drawファイル又はMRLファイルかのチェックを行い、チェック結果がYesの場合は、共有スプーラフォルダの生成したフォルダに対象ファイルがコピーされる(S3−7)。ステップS3−5のチェック結果がNoの場合は、次のステップの処理対象ファイルが、モデルファイルでかつ、サーバ登録日付より修正日付の方が大きい、すなわち、新しい日付のチェックを行い(S3−6)、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−7の処理が行われる。
【0034】
上記ステップS3−4のループ処理が終了すると、次に、3Dモデルデータを登録するための保管依頼する情報が登録され、共用スプーラフォルダのフォルダ名とMRLファイル名が記載されたリクエストファイルが生成される(S3−8)。
【0035】
続いて、3Dモデルデータ保管依頼が3Dモデルデータ管理処理装置A5の保管処理部A5−2に渡され、保管処理部A5−2処理に移行し、まず始めに、3Dモデルデータ登録リクエストファイル名に記載されているMRLファイルが入力される(S3−10)。そして、共用3DモデルデータフォルダA4−2に、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成される(S3−11)。
【0036】
次に、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3にも、同じく、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成され(S3−12)、3DモデルデータバックアップフォルダA4−4にも、同じく、MRLファイルに記載されている3Dモデルサーバ登録先名称でフォルダが生成される(S3−13)。
【0037】
次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S3−14)に入り、始めに、処理対象ファイルが、図番ファイル、又は、Drawファイル又はMRLファイルかのチェックが行われ、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−17に移行する。
【0038】
ステップS3−15のチェック結果がNoの場合は、処理対象ファイルが、モデルファイルでかつ、サーバ登録日付より修正日付の方が大きい、すなわち、新しい日付のチェックが行われ(S3−16)、チェック結果がYesの場合は、ステップS3−17に移行する。
【0039】
ステップS3−17は、共用3DモデルデータフォルダA4−2の登録フォルダに既に登録対象ファイル名と同名のファイルがある場合、3DモデルデータバックアップフォルダA4−4の作成フォルダに元のファイルを移動処理する(S3−17)。続いて、登録対象ファイルのタイムスタンプ情報、すなわち、ファイル修正日時をファイルプロパティに登録してファイルを保存する(S3−18)。本発明において、ステップS3−18の修正日付をファイルプロパティに保持することは、サーバで管理しているファイルと、クライントで修正したか否かの判定をするために重要な要素である。
【0040】
次に、登録対象ファイルを所定の共用3DモデルデータフォルダA4−2の登録フォルダに移動する(S3−19)。次に、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3の登録フォルダに同名のファイルを生成し、登録日時と状態値を保管とし、ユーザ名称を書き込んでファイルを保存する(S3−20)。上記ステップS3−14のループ処理が終了すれば、保管処理は終了となる。
【0041】
図4は、このような保管処理がなされた後の3Dモデルデータ管理サーバ装置Aの外部記憶装置A4の共用3DモデルデータフォルダA4−2のフォルダ内容構成の一例である。この共用3DモデルデータフォルダA4−2は、読込み専用の共用設定を行い、複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置Bよりアクセスできる体系としておく。また、保管依頼部B5−2による保管処理において、保管先の指定登録フォルダは設計者に指定されたフォルダ(A4−2−1,A4−2−2)となる。また、保管指示する3Dモデルデータファイルは、モデル取得部B5−1で取得されて、3Dモデル登録リストファイルB4−1として出力されたファイルの内容に従っている。
【0042】
図5は、3Dモデル登録リストファイルB4−1の構成内容の一例を示す図である。3Dモデル登録リストファイルB4−1は、設計者が指示した3Dモデルサーバ登録先(登録フォルダ名)と、3D−CADシステムB6で現在表示している図面の図番と、Drawファイルと、参照されている全3Dモデルファイル名で構成されている。
【0043】
図4に示すように、この3Dモデル登録リストファイルB4−1に記載されている3Dモデルデータ(実データ)が、指定された指定登録フォルダにコピーされることになり(A4−2−3〜7)、合わせて、本発明の特徴として、3Dモデル登録リストファイル(A4−2−8)も同時にコピーされる。この3Dモデル登録リストファイルは、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示すリストなどを切り出して作成されたファイルであり、3D−CADシステムを介さず、一般のコンピュータから容易にアクセスできるものである。
【0044】
図6は、3Dモデルデータ管理サーバ装置Aの外部記憶装置A4上で管理される3Dモデルデータ管理フォルダA4−3のファイル内容構成の一例であり、共用3DモデルデータフォルダA4−2の指定登録フォルダ1(A4−2−1)に登録した3Dモデルデータの管理例である。3Dモデルデータ管理においては、保管している3Dモデル登録リストファイルA4−2−8を除く、全ての同名の3Dモデルデータファイルを保管しており(A4−3−3〜7)、それらのファイル内容は、図7に示すような構成内容である。すなわち、保管時の登録日時と保管、承認、借用中、借用取消しの3Dモデルデータファイルの状態値と登録したユーザ名称である。
【0045】
続いて、図8を用いて、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置における保管可能かの問合せ処理を説明する。まず始めに、設計者が問合せ部B5−3を起動して入力装置B7より問合せする図番を入力する(S8−1)と、問合せ部B5−3により、問合せ処理部A5−5に図番が渡され、図面と同名のMRLファイル名が共用3DモデルデータフォルダA4−2より検索(S8−2)され、MRLファイルが入力される(S8−3)。次に、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S8−4)に入り、始めに、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3内の同名称ファイルの内容が取得される(S8−5)。
【0046】
次に、同名ファイル存在がチェックされ(S8−7)、ファイルが存在しない場合と、状態値が借用で、かつ、同一ユーザの問合せ(S8−8)の場合は、保管可の登録(S8−9)が行われ、それ以外は保管不可の登録(S8−10)が行われる。上記ステップS8−4のループ処理を終了すると、各ファイルの保管可、不可の結果のリストが出力される(S8−11)。
【0047】
なお、ステップS8−7からステップS8−10を、以下の図9〜図11に示す承認可、借用可、借用取消可の処理ステップに置き換えることにより、それぞれの問合せ処理を行うことができる。
【0048】
図9は、承認可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S9−1)、存在しない場合は、承認不可が登録される(S9−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は状態値が保管かのチェックが行われ(S9−2)、保管であれば、承認可が登録される(S9−3)。
【0049】
図10は、借用可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S10−1)、存在しない場合は、借用不可が登録される(S10−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は、状態値が承認かのチェックが行われ(S10−2)、承認であれば、借用可が登録される(S10−3)。
【0050】
図11は、借用取消可能かの問合せ処理の置き換え部である。まず始めに、問合せファイル名の存在がチェックされ(S11−1)、存在しない場合は、借用取消不可が登録される(S11−4)。一方、同名ファイルが存在する場合は状態値が借用、かつ、同一ユーザかのチェックが行われ(S11−2)、チェック結果がYesであれば、借用取消可が登録される(S11−3)。
【0051】
以上のように、本実施形態の3Dモデルデータ管理サーバ装置の問合せ処理部A5−5は、3Dモデルデータ編集クライアント装置からの、各種問合せアクセス要求に対して、保管されたMRLファイルを参照し、MRLファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答している。
【0052】
図12は、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置における承認処理のフローチャートである。まず始めに、承認者が問合せ部B5−3を起動し、入力装置B7より、承認する図番を入力する(S12−1)と、問合せ部B5−3により、承認処理部A5−3に図番が渡され、図面と同名のMRLファイル名が共用3DモデルデータフォルダA4−2より検索(S12−2)され、MRLファイルが入力される(S12−3)。続いて、MRLファイル内の使用ファイル名分のループ処理(S12−4)に入り、3Dモデルデータ管理フォルダA4−3内の同名称ファイル状態値が承認に更新されてファイルが保存される(S12−5)。上記S12−4ステップのループ処理が終了すると、各ファイルの承認設定結果のリストが出力される(S12−6)。
【0053】
なお、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置において、借用処理と借用取消処理を行う場合は、上記承認処理のフローチャートにおいて、ステップS12−5で状態値を承認に更新する処理を、それぞれ状態値を借用、借用取消と更新する処理に置き換えれば、処理は成立する。
【0054】
以上、本実施形態の3次元CADモデルデータ管理装置は、3Dモデルデータを3Dモデルデータ管理サーバ装置に保管するに際して、実データである3Dモデルデータとともに、従来、3Dモデルデータの各ファイルがそれぞれ内部に有していたファイル間の関連性を示す3Dモデル登録リストファイルを切り出して作成して保管している。したがって、3Dモデルデータ編集クライアント装置のユーザから、3Dモデルデータ管理サーバ装置に保管されている3Dモデルデータを構成する各ファイルの状態を知りたいというアクセスがあった場合に、容易に回答することができる。つまり、3Dモデルデータ管理サーバ装置は、アクセス要求があったら、保管されている3Dモデル登録リストファイルを参照して、このリストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づけば、容易に回答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の形態となる3次元CADモデルデータ管理装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の3次元CADモデルデータ管理装置の利用形態となるワークフロー図である。
【図3】保管処理のフローチャート図である。
【図4】共用3Dモデルデータフォルダの構成の一例を示す図である。
【図5】3Dモデル登録リストファイルの構成内容の一例を示す図である。
【図6】3Dモデルデータ管理フォルダの構成の一例を示す図である。
【図7】3Dモデルデータ管理フォルダ内の各ファイルの構成内容の一例を示す図である。
【図8】保管可能かを問合せ処理のフローチャート図である。
【図9】承認可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図10】借用可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図11】借用取消可能かを問合せ処理するフローチャート図である。
【図12】承認処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0056】
A 3Dモデルデータ管理サーバ装置
B 3Dモデルデータ編集クライアント装置
A1,B1 演算処理装置
A2,B2 データ通信装置
A3,B3 作業用データメモリ
A4,B4 外部記憶装置
B4−1 3Dモデル登録リストファイル
B4−2 3Dモデルファイル
A5 3Dモデルデータ管理処理装置
A5−2 保管処理部
A5−3 承認処理部
A5−4 借用処理部
A5−5 問合せ処理部
B5 3Dモデルデータ登録処理装置
B5−1 モデル取得部
B5−2 保管依頼部
B5−3 問合せ部
B6 3D−CADシステム
B7 入力装置
B8 表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置とを有する3Dモデルデータ管理サーバ装置と、
3D−CADシステムを含んでなる演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置と、入力装置と、表示装置とを有する複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置とを、各装置の前記データ通信装置を介して接続して構成され、
複数の部品の形状をそれぞれ表す複数のパートファイルと、各パートファイルの組み付け情報を表す1又は複数のアセンブリファイルとを含む3Dモデルデータを管理する3次元CADモデルデータ管理装置において、
前記3Dモデルデータ編集クライアント装置の前記演算処理装置は、前記3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを前記3D−CADシステムから取得して、該3Dモデル登録リストファイルを前記3Dモデルデータとともに前記3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管し、
前記3Dモデルデータ管理サーバ装置の前記演算処理装置は、前記3Dモデルデータ編集クライアント装置からのアクセス要求に対して、保管された3Dモデル登録リストファイルを参照し、該3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答することを特徴とする3次元CADモデルデータ管理装置。
【請求項2】
前記3Dモデルデータ編集クライアント装置の前記アクセス要求は、前記3Dモデルデータを3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管して保管状態に設定する保管処理と、保管している3Dモデルデータを承認状態に設定する承認処理と、承認している3Dモデルデータを借用させて借用状態に設定する借用処理と、借用させている3Dモデルデータの借用を取り消し状態に設定する借用取り消し処理とを含み、
前記保管された3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報は、各ファイルに設定された保管、承認、借用、借用取り消しの各状態値と、各状態値設定を行ったユーザ名称とを含む請求項1の3次元CADモデルデータ管理装置。
【請求項1】
演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置とを有する3Dモデルデータ管理サーバ装置と、
3D−CADシステムを含んでなる演算処理装置と、データ通信装置と、作業用データメモリと、外部記憶装置と、入力装置と、表示装置とを有する複数の3Dモデルデータ編集クライアント装置とを、各装置の前記データ通信装置を介して接続して構成され、
複数の部品の形状をそれぞれ表す複数のパートファイルと、各パートファイルの組み付け情報を表す1又は複数のアセンブリファイルとを含む3Dモデルデータを管理する3次元CADモデルデータ管理装置において、
前記3Dモデルデータ編集クライアント装置の前記演算処理装置は、前記3D−CADシステムで表示している3Dモデルデータを構成する各ファイルの3Dモデル登録リストファイルを前記3D−CADシステムから取得して、該3Dモデル登録リストファイルを前記3Dモデルデータとともに前記3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管し、
前記3Dモデルデータ管理サーバ装置の前記演算処理装置は、前記3Dモデルデータ編集クライアント装置からのアクセス要求に対して、保管された3Dモデル登録リストファイルを参照し、該3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報に基づき、アクセス可能か否かを回答することを特徴とする3次元CADモデルデータ管理装置。
【請求項2】
前記3Dモデルデータ編集クライアント装置の前記アクセス要求は、前記3Dモデルデータを3Dモデルデータ管理サーバ装置の外部記憶装置に保管して保管状態に設定する保管処理と、保管している3Dモデルデータを承認状態に設定する承認処理と、承認している3Dモデルデータを借用させて借用状態に設定する借用処理と、借用させている3Dモデルデータの借用を取り消し状態に設定する借用取り消し処理とを含み、
前記保管された3Dモデル登録リストファイルを構成する各ファイルに設定されたアクセス可否を表す管理情報は、各ファイルに設定された保管、承認、借用、借用取り消しの各状態値と、各状態値設定を行ったユーザ名称とを含む請求項1の3次元CADモデルデータ管理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−157529(P2009−157529A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333207(P2007−333207)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】
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