説明

3点支持2連耐張装置

【課題】3連耐張装置取付用の既設支持アームを改造することなく2連耐張装置を取り付けることが可能で、簡単な構成で且つ安定性を備えた安価な3点支持2連耐張装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る3点支持2連耐張装置1は、既設支持アーム50に設けられた3連耐張装置取付のための3つの取付点10、10、10に連結される連結金具を介して地側バランスヨーク13を連結し、この地側バランスヨーク13に2連耐張装置の2連碍子連23、23から線側ヨーク26を介して電線クランプ36に至る連結金具2を連結してなり、地側バランスヨーク13は、既設支持アーム50の3つの取付点10、10、10にそれぞれ連結された連結金具によって連結された並設の2つの地側ヨーク14、14からなり、各碍子連23、23の地側端部が互いに独立した状態で地側ヨーク14、14にそれぞれ直接的に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既設鉄塔の支持アームに3点支持で連結される3点支持2連耐張装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来装置としては、例えば特許文献1の図1(以下、従来例1と称す)及び図2(以下、従来例2と称す)に開示されている3点支持2連耐張装置がある。
【0003】
従来例1における3点支持2連耐張装置は、既存支持アームに設けられた3連耐張装置取付のための3つの取付点に、それぞれ連結金具が連結され、この連結金具を介して地側バランスヨークが連結され、この地側バランスヨークに平行クレビスを介して地側2連ヨークが連結され、さらに地側2連ヨークに2連碍子連、線側2連ヨークを介して多導体固定ヨークが連結され、この多導体固定ヨークの上下両側にそれぞれ連結金具を介して電線クランプが連結されることで構成されている。
【0004】
詳しくは、地側バランスヨークが、既設支持アームの3つの取付点にそれぞれ連結された連結金具によって、中間連結部と両端連結点とが連結された並設の2つのヨークと、各ヨークの中間連結点に一端を連結した長さの等しい2つの平行リンクと、平行リンクの他端に連結された水平ヨークとで構成されている。また、2つのヨークの中間連結部及び両端連結点と、平行リンクの一端が連結される中間連結点とは、一直線上(オフセット零)になるよう位置されており、有風時でもアンバランスが生じない構成となっている。
【0005】
また、この水平ヨークと地側2連ヨークとが、一端が水平ヨークの両リンク連結点の中点に連結され、他端が2等辺3角形状の地側2連ヨークの頂点部に連結された平行クレビスで連結されている。そのため、2連碍子連にそれぞれ異なる荷重が作用したとしても、水平ヨークの両リンク連結点の中点に合計荷重が作用し、既存支持アームの取付点には、合計荷重を均等に分配した荷重が作用するとともに、水平角を有する取付箇所においても、バーニア金具を使用することなく取り付けることができるようになっている。また、水平ヨークの平行リンク連結点と、平行クレビスの一端が連結される両リンク連結点の中点とは、オフセット零になるよう位置されているため、有風時でもアンバランスが生じない。
【0006】
さらに、2連碍子連の線側には、それぞれ連結金具を介して2等辺3角形状の線側2連ヨークの両端部が連結されているとともに、線側2連ヨークの頂点部と多導体固定ヨークとが支軸を介して水平動可能に連結されている。
【0007】
従って、従来例1の3点支持2連耐張装置は、大まかに言えば、地側バランスヨーク(2つのヨークと水平ヨークとからなる)と、地側2連ヨークと、2連碍子連と、線側2連ヨークと、多導体固定ヨークとから構成されていると言える。
【0008】
従来例2の3点支持2連耐張装置においては、地側バランスヨークが、既存支持アームの3つの取付点にそれぞれ連結されたバーニア金具を含む連結金具によって、中間連結部と両端連結部とを連結された並設の2つのヨークと、各ヨークの中間連結点に一端を連結した長さの等しい2つの平行リンクと、平行リンクの他端に連結された碍子側ヨークとから構成されている。また、2つのヨークの中間連結部及び両端連結点と、平行リンクの一端が連結される中間連結点とが、オフセット零になるよう位置されており、有風時でもアンバランスが生じない構成とされている。
【0009】
また、2連碍子連の線側には、それぞれ連結金具を介して2等辺3角形状の線側2連ヨークの両端部が連結されているとともに、線側2連ヨークの頂点部と垂直ヨーク及び水平ヨーク(多導体固定ヨークを構成するヨークが互いに独立してなるヨーク)とが直角クレビスを介して連結されている。
【0010】
従って、従来例2の3点支持2連耐張装置は、大まかに言えば、地側バランスヨーク(2つのヨークと碍子側ヨークとからなる)と、2連碍子連と、線側2連ヨークと、多導体固定ヨークとから構成されていると言え、従来例1の3点支持2連耐張装置の水平ヨークと地側2連ヨークとを、碍子側ヨークで兼用した形態となっている。これに加えて、従来例1の水平ヨークと地側2連ヨークとを連結する平行クレビスが省略されているため、装置長を短くすることができ、余裕をもって旧装置の3連耐張装置と同長とすることができる。また、3つの取付点と、並設の2つのヨークとを連結する連結金具にバーニア金具が付加された状態であるため、水平角を有する取付箇所においても、バーニア金具の長さを調節することで取り付けが可能となる。
【0011】
上記に示した従来例1及び2の3点支持2連耐張装置は、3連耐張装置の老朽化に伴う取替えにあたって、現行の2連耐張装置へと移行すべく考案されたものであって、この耐張装置によれば、既設支持アームの改造や3連耐張装置の再製造を行うことなく、3連耐張装置取付用に製作された既設支持アームに2連耐張装置を取り付けることが可能となり、低コストで取替え作業が完了する。
【0012】
また、取替え前の旧装置である3連耐張装置の電線クランプを、電線をクランプしたままで流用することができるとともに、3点支持2連耐張装置の長さを旧装置である3連耐張装置と同長とすることで、煩雑な電線弛度調節作業を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】第2969504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記に示した従来例1の3点支持2連耐張装置においては、1点支持とされた連結部分があるため、安定性に問題があった。詳しくは、地側バランスヨークの水平ヨークに、地側2連ヨークが平行クレビスを介して1点で連結されているとともに、線側2連ヨークの頂点部と多導体固定ヨークとが、支軸を介して1点で水平動可能に連結されているため、捩れ抵抗が小さく、風圧等によって捩れが発生し易く、また、回転や揺れを収束させることが困難で安定性に問題があった。従来例2の3点支持2連耐張装置も同様に、線側2連ヨークの頂点部と垂直ヨークが直角クレビスを介して1点支持で連結されているため、従来例1の3点支持2連耐張装置と比べれば安定性は向上しているものの、依然として捩れ抵抗が小さく、風圧等によって捩れが発生し易く、また、回転や揺れを収束させることが困難で安定性に問題があった。
【0015】
また、上記に示したように、従来例1においては、地側2連ヨーク及び線側2連ヨークが1点で連結され、また、従来例2においては、線側2連ヨークが1点で連結されているため、不慮の事態で1点支持部分が破断した場合、電線や耐張装置が鉄塔の支持アームから外れ、落下する危険性があった。
【0016】
さらに、従来例1では、2連碍子連の地側において、2つのヨークと、水平ヨークと、地側2連ヨークとが使用され、線側において、線側2連ヨークと、多導体固定ヨークとが使用されているため、部品点数が多く、コスト高を招いていたとともに、装置長が長くなってしまうため、3連耐張装置と同長とするためには、バーニア金具無しで水平角を有する取付箇所に取付可能な1点支持とせざるを得なかった。従来例2においても、2連碍子連の地側において、2つのヨークと、碍子側ヨークとが使用され、線側においては、線側2連ヨークと、垂直ヨークと、水平ヨークとが使用されており、部品点数が多く、コスト高を招いていたとともに、装置長が長くなってしまうために、短いバーニア金具を使用せねばならず、大きな水平角を有する取付箇所に取り付けることができなかった。
【0017】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、3連耐張装置取付用の既設支持アームを改造することなく2連耐張装置を取り付けることが可能で、簡単な構成で且つ安定性を備えた安価な3点支持2連耐張装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、この発明に係る3点支持2連耐張装置1は、既設支持アーム50に設けられた3連耐張装置取付のための3つの取付点10、10、10に連結される連結金具を介して地側バランスヨーク13を連結し、この地側バランスヨーク13に2連耐張装置の2連碍子連23、23から線側ヨーク26を介して電線クランプ36に至る連結金具2を連結してなる3点支持2連耐張装置であって、前記地側バランスヨーク13は、既設支持アーム50の3つの取付点10、10、10にそれぞれ連結された連結金具によって中間連結部と両端部とを連結された並設の2つの地側ヨーク14、14からなり、各碍子連23、23の地側端部が互いに独立した状態で地側ヨーク14、14にそれぞれ直接的に連結されていることを特徴としている。
【0019】
また、各碍子連23、23の線側端部が互いに独立した状態で線側ヨーク26にそれぞれ直接的に連結されている。
【0020】
さらに、地側バランスヨーク13の中間連結部と両端部及び2連碍子連23、23の連結点とが一直線上に形成されている。また、線側ヨーク26に設けられた2連碍子連23、23の連結金具連結点と、電線クランプ36の連結点とが一直線上に形成されている。
【0021】
さらにまた、地側バランスヨーク13の各地側ヨーク14、14の両連結金具連結点の間の内側を外側の2倍の比に分かつ中間連結点に一端を連結した連結金具の他端に2連碍子連23、23をそれぞれ連結している。
【0022】
また、地側バランスヨーク13と2連碍子連23とを連結する連結金具にバーニア金具18を介装している。また、既設支持アーム50の3つの取付点10、10、10と地側バランスヨーク13とを連結する連結金具にバーニア金具38を介装している。
【発明の効果】
【0023】
この発明の3点支持2連耐張装置においては、2連碍子連の地側に取り付けられるヨークが、2つの地側ヨーク(従来例1及び2の2つのヨークに相当するヨーク)のみであり、2連碍子連の線側に取り付けられるヨークが、線側ヨーク(従来例1の多導体固定ヨーク、従来例2の垂直ヨーク及び水平ヨークに相当するヨーク)のみであることから、従来例1と比べると、水平ヨークと地側2連ヨークと線側2連ヨークを削減でき、また、従来例2と比べると、碍子側ヨークと線側2連ヨークを削減できる。そのため、3点支持2連耐張装置を安価に製作することができるとともに、削減した部品長だけ余裕が生じ、長さの長いバーニア金具を用いることができ、水平角の大きな取付箇所にも取り付けることが可能となる。また、各連碍子連の地側端部が互いに独立した状態、すなわち、それぞれ接続されることなく分離した状態で地側ヨークにそれぞれ直接的に連結されていることで、2点で地側バランスヨークと連結金具が連結されることとなり、地側バランスヨークと碍子連とが1点で連結されている場合に比べて、捩り抵抗が大きくなり、風圧等による回転や揺れを抑え、安定した架線が可能となるとともに、1点の連結に破断が生じても、電線や耐張装置が直ちに落下する虞はなく、安全性の高い耐張装置とすることができる。
【0024】
また、各連碍子連の線側端部が互いに独立した状態、すなわち、それぞれ接続されることなく分離した状態で線側ヨークにそれぞれ直接的に連結されていることで、さらに捩り抵抗が大きくなり、風圧等による回転や揺れを一段と抑え、安定した架線が可能となる。また、2連碍子連が線側において、2点で連結されているため、1点の連結に破断が生じても、電線や耐張装置が直ちに落下する虞はなく、さらに安全性の高い耐張装置とすることができる。
【0025】
さらに、地側バランスヨークの中間連結部と両端部及び2連碍子連の連結点とを一直線上(オフセット零)に形成することで、有風時におけるバランス性能の向上を図ることができる。また、線側ヨークの両端に設けた連結金具連結点と、電線クランプ連結点とを一直線上(オフセット零)に形成することで、有風時におけるバランス性能をさらに向上させることができる。
【0026】
さらにまた、地側バランスヨークの各地側ヨークの両連結金具連結点の間の内側を外側の2倍の比に分けた箇所に中間連結点を設けることで、2連碍子連から伝達される荷重が互いに等しい場合、既設支持アームに設けられた3つの取付点に、それぞれ荷重を等分割させて伝達させることができる。
【0027】
また、地側ヨークと2連碍子連とを連結する連結金具にバーニア金具を設けることで、水平角を有する箇所に3点支持2連耐張装置を取り付けることが可能となる。若しくは、既設支持アームの3つの取付点と地側ヨークとを連結する連結金具にバーニア金具を設けることで、水平角を有する箇所に3点支持2連耐張装置を取り付けることが可能となるとともに、取替え前の3連耐張装置に使用されていたバーニア金具を流用することもでき、より安価な耐張装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の3点支持2連耐張装置の実施形態を示す平面図である。
【図2】同じくその側面図である。
【図3】本発明の3点支持2連耐張装置の別の実施形態を示す平面図である。
【図4】同じくその側面図である。
【図5】本発明の3点支持2連耐張装置のさらに別の実施形態を示す平面図である。
【図6】同じくその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
この発明の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。この発明の第1の実施形態に係る3点支持2連耐張装置1は、図1及び図2に示すように、地側バランスヨーク13と、2連碍子連23、23と、線側ヨーク26と、これらを連結する連結金具とから構成されている。なお、地側バランスヨーク13は、並設の2つの地側ヨーク14、14から構成され、線側ヨーク26は、水平ヨーク27と、水平ヨーク27に一体的に接続された2枚の水平固定ヨーク29、29とから構成されている。以下、それらの構成及び取り合いについて具体的に説明していく。
【0030】
並設の2つの地側ヨーク14、14には、図1及び図2に示すように、既設支持アーム50の3連耐張装置取付のための3つの取付点10、10、10の間隔と等間隔とされた3つの連結点15、15、15が設けられており、地側ヨーク14、14は、取付点10、10、10に、それぞれ連結された直角クレビスリンク11、11、11と直角クレビスリンク12、12、12を介して既設支持アーム50に連結されている。
【0031】
また、地側ヨーク14の両端に形成された連結点15、15の間には、内側を外側の2倍の比に分かつ位置16に、直角クレビスリンク17の一端が取り付けられ、この直角クレビスリンク17の他端には、ホーン21の接続された1枚の調整片19と、この調整片19を両側から挟むように配された一対の略扇形状の調整片20、20からなるバーニア金具18が連結され、バーニア金具18の1枚の調節片19の他端にボールクレビス22を介して碍子連23から電線クランプ(圧縮クランプ)36に至る連結金具2が連結されている。すなわち、各碍子連23、23の地側端部が互いに独立した状態、換言すればそれぞれ接続されることなく分離した状態で、地側ヨーク14、14にそれぞれ直接的に連結された状態となっている。従って、2連碍子連23、23から電線クランプ36に至る連結金具2は、既設支持アーム50の3つの取付点10、10、10に至る過程において、2点以上で支持(連結)された状態であり、捩れ抵抗が大きく、風圧等に対して安定的である。
【0032】
また、並列の2つの地側ヨーク14、14の両端連結点15、15及び中間連結点15と、地側ヨーク14、14に連結される直角クレビスリンク17、17の連結点16、16とを、一直線上、すなわちオフセット零に形成しており、有風時におけるバランス性能を向上させている。
【0033】
水平角を有する箇所への取り付けにおいては、各碍子連23、23の地側にそれぞれ取り付けられたバーニア金具18の長さを適宜調節することで対応することができる。バーニア金具18の長さ調節においては、1枚の調整片19に直列配置された調節孔の適所と略扇形状の調節片20、20に円弧配置された調節孔とを重ね合わせボルトで連結することで行う。なお、水平角が零の場合は、バーニア金具18は無くても良い。また、バーニア金具18の長さを調節して、元の3連耐張装置と同じ長さとすれば、耐張装置交換時に電線弛度調節作業を行う必要がなくなる。
【0034】
次に2連碍子連23、23の線側に位置する部材の構成及び取り合いについて詳細に説明する。2連碍子連23、23の線側端部には、平行ソケット24、24が取り付けられており、この平行ソケット24、24と、ホーン取付金具を兼ねる直角クレビスリンク25、25の一端が連結され、直角クレビスリンク25、25の他端と多導体固定ヨーク(線側ヨーク)26が連結されている。すなわち、各碍子連23、23の線側端部が互いに独立した状態、換言すれば、それぞれ接続されることなく分離した状態で多導体固定ヨーク26にそれぞれ直接的に連結された状態となっている。また、多導体固定ヨーク26は、両端に直角クレビスリンク25、25の連結点28、28が形成され、略中央部から上下方向に垂直板が延出された水平ヨーク27と、水平ヨーク27の垂直板と略中央部において接続された上下一対の水平固定ヨーク29、29とからなる。この水平固定ヨーク29、29の両端部には、それぞれ取付点30、30が形成されており、上側の水平固定ヨーク29には、直角クレビス31、調整片32、平行クレビス33を介して圧縮クランプ36が連結され、下側の水平固定ヨーク29には、直角クレビス31、リンク34、平行クレビス35、調整片32、平行クレビス33を介して圧縮クランプ36が連結されている。なお、圧縮クランプ36の一端には、下方に向かってジャンパソケット37が接続されている。また、圧縮クランプ36には、図示しない電線が接続されている。
【0035】
従って、各碍子連23、23から平行ソケット24、24、直角クレビスリンク25、25を介して多導体固定ヨーク26の水平ヨーク27に至る過程において、常に2点で連結された状態であり、捩れ抵抗が大きく、風圧等に対して安定的である。また、水平ヨーク27の両端の連結点28、28と、水平ヨーク27を挟むように上下に設けられた一対の水平固定ヨーク29、29の両端にそれぞれ設けられた取付点30、30とを、一直線上、すなわち、オフセット零に形成しており、有風時におけるバランス性能を向上させている。
【0036】
このように、第1の実施形態の3点支持2連耐張装置1によれば、2連碍子連23、23の地側に連結されているヨークが、2つの並設の地側ヨーク14、14のみであるとともに、2連碍子連23、23の線側に連結されているヨークが、多導体固定ヨーク26のみであるため、従来の3点支持2連耐張装置に比べて、部品(ヨーク)の使用量が少なく、コスト削減を図ることができるとともに、装置長も短くすることができる。また、各碍子連23、23の地側端部は、並設の2つの地側ヨーク14、14に対して、各碍子連23、23の線側端部は、水平ヨーク27に対して互いに独立した状態、すなわちそれぞれ接続されることなく分離した状態で、それぞれ直接的に連結されているため、捩れ抵抗が大きく、安定的な架線を行うことができる。
【0037】
次に、第2の実施形態の3点支持2連耐張装置1について詳細に説明を行う。第2の実施形態に係る3点支持2連耐張装置1は、図3及び図4に示すように、バーニア金具38、38、38が、既設支持アーム50の3つの取付点10、10、10にそれぞれ連結された直角クレビスリンク11、11、11と、地側ヨーク14、14の連結点15、15、15にそれぞれ連結された直角クレビスリンク12、12、12との間に連結された形態とされている。バーニア金具38は、1枚の調整片39と、その調整片39を挟むように両側に配置された一対の調整片40、40とからなり、各調整片39、40、40には調整孔が直列配置されている。そのため、水平角を有する箇所に対しては、3つのバーニア金具38、38、38の長さを適宜調節することで取り付けることができる。なお、バーニア金具38の取付位置及びその形状以外は、第1の実施形態と略同様であり、同符号を付し説明を省略している。
【0038】
第2の実施形態の3点支持2連耐張装置1によれば、上記第1の実施形態の3点支持2連耐張装置1の効果に加えて、既設の3連耐張装置のバーニア金具を流用可能であり、第1の実施形態に比べてさらに低コストで耐張装置の取替えを行うことができる。
【0039】
次に第3の実施形態の3点支持2点耐張装置1について詳細に説明を行う。第3の実施形態に係る3点支持2連耐張装置1は、図5及び図6に示すように、2連碍子連23、23の線側端部に、平行リンク24、24を取り付け、この平行リンク24、24に、ホーン取付金具を兼ねる直角クレビス41、41と、平行クレビスリンク42、42と、多導体固定ヨーク26とが連結された形態である。このように、直角クレビス41と多導体固定ヨーク26との間に平行クレビスリンク42を介装することで、多導体固定ヨーク26が2連碍子連23、23に対して平行移動可能となり、そのため、水平方向のずれを吸収させることができ、3点支持2連耐張装置1への水平方向の曲げ応力の発生を防止することができる。
【0040】
第3の実施形態の多導体固定ヨーク26は、両端に平行クレビスリンク42、42の連結点44、44が形成され、略中央部の2箇所から上下方向に一対の垂直板が延出された水平ヨーク43と、水平ヨーク43の垂直板と略中央部において接続された上下一対の水平固定ヨーク45、45とから構成されている。また、この水平固定ヨーク45、45の両端部には、それぞれ取付点46、46が形成されており、第1及び第2の実施形態と略同様の連結金具を介して圧縮クランプ36・・が連結されている。
【0041】
第3の実施形態の3点支持2連耐張装置1においても、第1及び第2の実施形態の3点支持2連耐張装置1と同様に、各碍子連23、23から平行ソケット24、24、直角クレビス41、41、平行クレビスリンク42、42を介して多導体固定ヨーク26の水平ヨーク43に至る過程において、常に2点で連結された状態である。また、水平ヨーク43の両端の連結点44、44と、水平ヨーク43を挟むように上下に設けられた一対の水平固定ヨーク45、45の両端にそれぞれ設けられた取付点46、46は、オフセット零に形成されており、有風時におけるバランス性能を向上させている。なお、多導体固定ヨーク26の形状及び2連碍子連23、23と多導体固定ヨーク26との間に平行クレビスリンク42、42を介装させた以外は、第2の実施形態と略同様であり、同符号を付し説明を省略している。
【0042】
以上、本発明の3点支持2連耐張装置1について説明したように、本発明によれば、既設支持アーム50に設けられた3連耐張装置取付のための3つの取付点10、10、10に連結金具を介して地側バランスヨーク13を連結し、この地側バランスヨーク13に現行の2連耐張装置の2連碍子連23、23を連結しているので、既設支持アーム50を改造することなく、しかも現行の2連耐張装置の大半の連結金具を流用でき、旧装置である3連耐張装置の再製作費や取替え工事費等を削減できる。また、地側バランスヨーク13を、2つの地側ヨーク14、14のみとし、線側ヨーク26を多導体固定ヨークのみとしていることで、従来の3点支持2連耐張装置より装置長を短くすることができるとともに、ヨーク使用量を減らすことができ、コスト削減に繋げることができる。
【0043】
また、2連碍子連23、23の地側端部を、それぞれ接続することなく分離した状態で地側ヨーク14、14に接続していることで、捩れ抵抗が大きくなり、安定性の高い耐張装置とすることができる。また、2連碍子連23、23の線側端部を、それぞれ接続することなく分離した状態で多導体固定ヨーク(線側ヨーク)26に接続していることで、さらに捩れ抵抗が大きくなり、より安定性の高い耐張装置とすることができる。さらに、圧縮クランプ36に接続される電線からの荷重が常に2つ以上の経路を通って、既設支持アーム50に伝達されるよう構成されているため、連結金具の破断による耐張装置及び電線の落下を防止することができる。
【0044】
さらに、3点支持2連耐張装置1は、旧装置の3連耐張装置の圧縮クランプを、電線をクランプしたまま流用することが可能であり、また、部品点数を削減し、装置長を短くしているから、容易に3連耐張装置と同長とすることができる。従って、電線弛度調整を不要とすることも可能となり、取替え工事費を大幅に削減することができる。
【0045】
以上にこの発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施例において、電線クランプ36として圧縮クランプが用いられていたが、楔型クランプでも良く、楔形クランプとした場合でも、上記実施例と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
2・・連結金具、10・・取付点、13・・地側バランスヨーク、14・・地側ヨーク、18・・バーニア金具、23・・碍子連、26・・多導体固定ヨーク、36・・圧縮クランプ、38・・バーニア金具、50・・支持アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設支持アーム(50)に設けられた3連耐張装置取付のための3つの取付点(10)(10)(10)に連結金具を介して地側バランスヨーク(13)を連結し、この地側バランスヨーク(13)に、2連耐張装置の2連碍子連(23)(23)から線側ヨーク(26)を介して電線クランプ(36)に至る連結金具(2)を連結してなる3点支持2連耐張装置において、地側バランスヨーク(13)は、既設支持アーム(50)の3つの取付点(10)(10)(10)にそれぞれ連結された連結金具によって中間連結部と両端部とを連結された並設の2つの地側ヨーク(14)(14)からなり、各碍子連(23)(23)の地側端部が互いに独立した状態で、地側ヨーク(14)(14)にそれぞれ直接的に連結されていることを特徴とする3点支持2連耐張装置。
【請求項2】
各碍子連(23)(23)の線側端部が互いに独立した状態で線側ヨーク(26)にそれぞれ直接的に連結されている請求項1に記載の3点支持2連耐張装置。
【請求項3】
地側バランスヨーク(13)の中間連結部と両端部及び2連碍子連(23)(23)の連結点とが一直線上に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の3点支持2連耐張装置。
【請求項4】
線側ヨーク(26)に設けられた2連碍子連(23)(23)の連結金具連結点と、電線クランプ(36)の連結点とが一直線上に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の3点支持2連耐張装置。
【請求項5】
地側バランスヨーク(13)の各地側ヨーク(14)(14)の両連結金具連結点の間の内側を外側の2倍の比に分かつ中間連結点に一端を連結した連結金具の他端に2連碍子連(23)(23)をそれぞれ連結した請求項1乃至4のいずれかに記載の3点支持2連耐張装置。
【請求項6】
地側バランスヨーク(13)と碍子連(23)とを連結する連結金具にバーニア金具(18)を介装した請求項1乃至5のいずれかに記載の3点支持2連耐張装置。
【請求項7】
既設支持アーム(50)の3つの取付点(10)(10)(10)と地側バランスヨーク(13)とを連結する連結金具にバーニア金具(38)を介装した請求項1乃至5のいずれかに記載の3点支持2連耐張装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−172368(P2011−172368A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33163(P2010−33163)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(391001538)日本カタン株式会社 (20)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】