説明

3種のポリマーの相乗的組み合わせを含む眼科用組成物

人工涙液としての使用もしくは眼科用薬物用のビヒクルとしての使用に適した眼科用組成物が、開示される。上記組成物は、粘性に対して相乗効果を有する3種のポリマーの組み合わせを含む。上記組成物は、ヒアルロン酸、グアールガム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーのいずれかを含む。上記組成物は、人工涙液製品として有用であるが、眼科用薬物を送達するためのビヒクルとしても働き得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本発明は、薬学的組成物に関する。特に、本発明は、3種のポリマー成分を含む局所投与可能な眼科用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
局所投与可能な眼科用組成物におけるポリマー成分の使用は、周知である。ポリマー成分は、代表的には、物理的安定性補助物質として懸濁組成物において使用され、懸濁されるかもしくは容易に再分散可能な不溶性成分を保持するのを助ける。溶液組成物において、ポリマー成分は、代表的には、上記組成物の粘性を増大させるために使用される。
【0003】
多くのポリマーは、局所投与可能な眼科用組成物において使用されてきた。これらの中でも、セルロース性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびエチルヒドロキシエチルセルロース)が含まれる。また、合成ポリマー(例えば、カルボキシビニルポリマーおよびポリビニルアルコール)が含まれる。さらに他のものは、ポリサッカリド(例えば、キサンタンガム、グアールガム、およびデキストラン)が含まれる。
【0004】
ポリマーの組み合わせもまた、眼科用組成物において使用されてきた。特定のポリマーの組み合わせは、粘性に対して相乗効果を提供することが公知であり、いくつかの場合においては、さらに液体からゲルへの相転移を提供することが公知である。例えば、特許文献1は、キサンタンガムとローカストビーンガムとの組み合わせを含む眼科用組成物を開示する。
【0005】
局所投与可能な眼科用組成物において目的粘性を達成する1つのアプローチは、十分な量の1種のポリマー成分を単純に添加することを包含し得る。しかし、しばしば、局所投与可能な眼科用組成物におけるポリマー添加物の総量を最小にすることが望ましい。1種より多いポリマーを含む混合されたポリマー系は、組成物の粘性および潤滑特性を顕著に増加し得ると同時に、総ポリマー濃度および材料費を最小にし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,136,173号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、3種のポリマー成分を含む眼科用組成物に関する。上記組成物は、ヒアルロン酸、グアールガム、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーのいずれかを含む。上記組成物は、人工涙液製品として有用であるが、眼科用薬物を送達するためのビヒクルとしても働き得る。
【0008】
本発明は、3種のポリマーの特定の組み合わせが粘性に対して相乗効果を有するという知見に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、ヒアルロン酸ナトリウム、グアールガム、およびカルボポル(carbopol)の組み合わせの、粘性に対する相乗効果を示す。
【図2】図2は、ヒアルロン酸ナトリウム、グアールガムおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースの組み合わせの、粘性に対する相乗効果を示す。
【図3】図3は、ヒアルロン酸ナトリウムおよびグアールガムと、カルボポルもしくはヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組み合わせについての、粘性に対する総ポリマー濃度の効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
別段記載されなければ、すべての成分濃度は、重量/体積パーセンテージベース(%w/v)として列挙される。
【0011】
本発明の眼科用組成物は、3種のポリマー成分:ヒアルロン酸(「HA」)、グアールガム(「グアール」)、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)もしくはカルボキシビニルポリマー(「カルボマー」)のいずれかの組み合わせを含む、水性組成物である。これらタイプのポリマーのすべては公知であり、眼科用組成物において使用されてきた。これらタイプのポリマーのすべてはまた、市販されている。
【0012】
ヒアルロン酸は、種々の供給源(Genzyme and Hyaluron Incが挙げられる)から市販されている。ヒアルロン酸は、多くのグレードで入手可能であり、分子量は、100,000から300万ダルトン超の範囲に及ぶ。本明細書で使用される場合、ヒアルロン酸はまた、ヒアルロン酸のナトリウム塩形態(ヒアルロン酸ナトリウムとして公知であり、市販もされている)を包含する。
【0013】
グアールとしては、グアールガムおよびグアールガム誘導体(例えば、グアールガムのヒドロキシプロピル誘導体もしくはヒドロキシプロピルトリアンモニウム(trimonium)クロリド誘導体が挙げられる。グアールおよびその誘導体は、米国特許第6,316,506号(その内容全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。本願の目的で、グアールは、置換されていないグアールガムおよびその置換された誘導体を含む。グアールガムおよびその誘導体の多くは、Rhone−Poulenc(Cranbury,New Jersey)、Hercules,Inc.(Wilmington,Delaware)およびTIC Gum,Inc.(Belcamp,Maryland)から市販されている。本発明の組成物における使用のために好ましい誘導体は、ヒドロキシプロピルグアール(「HP−グアール」)である。本発明の組成物におけるグアールの濃度は、一般に、0.01〜0.2%の範囲に及び、好ましくは、0.1%である。
【0014】
HPMCは、商標名Methocel(登録商標)の下でDow Chemical Companyから市販されている。HPMCは、種々のグレードにおいて利用可能である。本発明の組成物における使用に最も好ましいのは、Methocel E4M(HPMC 2910)であり、これは、約86,000ダルトンの数平均分子量を有する。本発明の組成物におけるHPMCの濃度は、一般に、0.05〜0.5%に範囲に及び、好ましくは、0.3%である。
【0015】
本発明における使用に適切なカルボキシビニルポリマーはまた、「カルボマー」もしくはカルボキシポリメチレンとして公知である。それらは、Noveon,Inc.(Cleveland,Ohio)のような供給源から市販されており、これは、商品名カルボポル(Carbopol)(登録商標)の下で普及している。カルボポルポリマーは、架橋されたアクリル酸ベースのポリマーである。それらは、アリルスクロースもしくはアリルペンタエリスリトールで架橋されている。カルボポルコポリマーは、C10−30アルキルアクリレートによって改変され、アリルペンタエリスリトールで架橋されているアクリル酸のポリマーである。本発明の組成物において使用するための好ましいカルボマーは、アリルスクロースもしくはアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸のポリマーであり、カルボポル(登録商標)974Pとして市販されている。本発明の組成物におけるカルボマーの濃度は、一般に、0.01〜0.2%の範囲に及び、好ましくは、0.1%である。
【0016】
本発明の水性組成物は、1:1:1〜3:3:3の範囲に及ぶ比で3種の特定のポリマー成分を含み、3:1:1の比が最も好ましく、ここでHAの量が最初に列挙され、グアールの量が第2に列挙され、そしてHPMCもしくはカルボマーのいずれかの量が第3に列挙される。上記3種のポリマー成分の総濃度は、0.1〜1%の範囲に及ぶべきであり、好ましくは、0.3〜0.9%の範囲に及ぶべきであり、および最も好ましくは、0.3〜0.7%の範囲に及ぶべきである。
【0017】
上記3種の必要とされるポリマー成分に加えて、本発明の水性組成物は、賦形剤として他の成分を含み得る。例えば、上記組成物は、1種以上の薬学的に受容可能な緩衝化剤、保存剤(保存剤添加物を含む)、張性調節剤(tonicity−adjusting agent)、界面活性剤、可溶化剤、安定化剤、快適性を高める薬剤(comfort−enhancing agent)、緩和薬、pH調節剤および/もしくは潤滑剤を含み得る。好ましくは、上記水性組成物は、保存剤を含む組成物のためのポリマー保存剤を除いて、上記で特定される3種のポリマー成分の相乗的組み合わせ以外のいかなるポリマー成分をも含まない。上記組成物がカルボマーを含む場合、本発明の組成物は、いかなるイオン性張性調節剤(例えば、塩化ナトリウム)も、他のイオン性賦形剤(例えば、ホウ酸)も、含まない。なぜなら、これら成分は、上記組成物の粘性に対して顕著な有害な効果を有するからである。
【0018】
本発明の組成物は、4〜9の範囲、好ましくは、6〜8の範囲、および最も好ましくは、6.5〜7.5の範囲のpHを有する。上記組成物が上記3種のポリマーのうちの1種としてカルボマーを含む場合、上記組成物は、目的pHが超えないように配合されることが重要である。一旦目的pHがカルボマーを含む組成物において過ぎると、酸(例えば、塩酸)を添加して、上記pHを調節して下げることは、上記相乗効果的粘性に欠陥を生じさせてしまい得る。0.005%の規模での比較的少量の酸もしくは塩が、カルボマーを含む組成物の粘性に対して顕著な効果を有し得ることは、公知である。
【0019】
本発明の組成物は、一般に、220〜340mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度(osmolality)を有し、好ましくは、235〜300mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する。
【0020】
本発明の水性組成物は、ドライアイの症状を軽減するために、人工涙液製品として使用するのに適している。あるいは、本発明の組成物は、眼科用薬物のためのビヒクルとして作用し得る。本発明の組成物において使用するために適した眼科用薬物としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗緑内障薬剤(例えば、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロールを含むβ遮断薬)、縮瞳薬(ピロカルピンが挙げられる)、炭酸脱水酵素インヒビター、プロスタグランジン、セロトニン作動薬(seretonergic)、ムスカリン様作用物質(muscarinic)、ドパミン作用性アゴニスト、アドレナリン作動性アゴニスト(アプラクロニジンおよびブリモニジンが挙げられる);抗脈管形成薬剤;抗感染剤(キノロン(例えば、シプロフロキサシン)、およびアミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)が挙げられる);非ステロイド性抗炎症剤およびステロイド性抗炎症剤(例えば、スプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、リメキソロンおよびテトラヒドロコルチゾール);増殖因子(例えば、EGF);免疫抑制剤;および抗アレルギー剤(オロパタジンが挙げられる)。上記眼科用薬物は、薬学的に受容可能な塩の形態(例えば、マレイン酸チモロール、酒石酸ブリモニジンもしくはジクロフェナクナトリウム)において存在し得る。本発明の組成物はまた、眼科用薬物の組み合わせ、例えば、(i)ベタキソロールおよびチモロールからなる群より選択されるβ遮断薬と、(ii)ラタノプロスト;15−ケトラタノプロスト;トラボプロスト;およびウノプロストンイソプロピルからなる群より選択されるプロスタグランジンとの組み合わせを含み得る。カチオン性薬物の場合、薬物の量および/もしくはカルボキシビニルポリマーの量ならびに/または他の配合物成分の正体(identity)および量は、上記カルボキシビニルポリマーと上記カチオン性薬物との間の相互作用を最小化もしくは排除するために調節されることが必要であり得る。好ましくは、上記眼科用薬物は、中性もしくは負に荷電した薬物である。
【0021】
本発明の組成物において含まれる薬物の量は、治療上有効である量すべてであり、多くの要因(選択される薬物の正体および効力が挙げられる)に依存するが、薬物の総濃度は、一般に、約5%以下である。
【0022】
本発明の組成物は、好ましくは、眼に投与されるとゲルへの相転移を受ける液剤としては配合されない。以下の実施例において例示される組成物は、眼への投与の際にゲル化しない。
【0023】
本発明の組成物は、標的部位および処置されるべき疾患もしくは状態に依存して、眼に局所的に適用され得るか、または眼に注射され得る。眼の表面よりむしろ、眼の内部の疾患もしくは状態を処置するために、本発明の組成物は、例えば、硝子体内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、脈絡膜上注射、もしくは眼周囲注射によって投与され得る。適切なサイズにした針(例えば、27ゲージ針もしくは30ゲージ針)を含むシリンジ装置は、ヒトもしくは動物の眼の後方部分に上記組成物を注射するために効果的に使用され得る。上記ポリマーの組み合わせは、以下の理由から、眼への注射の為に特に有利であり得る:逆流の防止、反復する注射の間の時間を延ばすための作用持続時間の長期化、および目的粘性を達成するために必要とされるポリマーの総量の減少(それによって、眼の後ろの上記ポリマー沈着を低下させる)。
【0024】
以下の実施例は、本発明のさらなる種々の局面を例示するために提示されるが、本発明の範囲をいずれかの局面においても制限することを意図しない。
【実施例】
【0025】
(実施例1:人工涙液組成物)
本発明に従う人工涙液製品についての代表的配合は、表1に示される。
【0026】
【表1】

表1に示される組成物を、以下の方法によって調製し得る。以下の成分をゆっくりとかつ以下の順番で、混合しながら加熱した精製水(70〜80℃)(望ましいバッチ堆積の約80%)へと添加する:マンニトール、カルボポル 974P、HP−グアールおよびヒアルロン酸ナトリウム(次の成分を添加する前に、各成分が十分に混合されるまで待つ)。次いで、pHを、1N NaOHで調節し、残りの量の精製水を添加し、最終体積へと調節する。
【0027】
(実施例2:粘性に対する相乗効果)
表2Aおよび表2Bに示される組成物を調製し、それらの粘性を、粘性が低いサンプル(20cps未満の粘性)および20〜50cpsの間の粘性のサンプル(25℃において6rpm)について、ナンバー42のコーン/プレートセット(25℃において30rpm)を備えるBrookfieldコーン/プレート粘度計を使用して決定した。ナンバー52のコーン/プレートセット(25℃において6rpm)を、粘性の高いサンプル(50cpsより高い粘性)について使用した。その結果を、表2Aおよび表2Bに示す。その結果をまた、図1および図2に示す。
【0028】
【表2A】

【0029】
【表2B】

実質的相乗効果:上記3種それぞれの単一のポリマー溶液の単純な和の150%より大きい。
【0030】
(実施例3)
実施例2に記載される実験を、上記ヒアルロン酸ナトリウム、グアールガム、およびカルボマー系に関して反復した。その結果を、表3に示す。表3に示される測定された粘性は、(おそらく、原材料、装備変動性、およびサンプルが経た時間の差異におけるロット間変動に起因して)表2Aおよび表2Bに示されるものと正確にはマッチしないが、この実験は、にもかかわらず、ヒアルロン酸ナトリウム、グアールガム、およびカルボマーの組み合わせの、粘性に対する相乗効果を確認する。
【0031】
【表3】

*上記それぞれ2種および3種のポリマー溶液の単純な和と比較した場合の、粘性変化(%)


(実施例4:粘性に対する相乗効果の欠如(ポリビニルアルコール+コンドロイチン硫酸+ポリビニルピロリドン))
表4に示される組成物を調製し、それらの粘性を、ナンバー42コーン/プレートセット(25℃において30rpm)を備えるBrookfieldコーン/プレート粘度計を使用して決定した。2名のヒトがその示されるサンプルを独立して調製し、各ヒトについての粘性値(n=1)を測定した。各セットの値の平均を、表4に示す。Airvol 523Sは、市販のポリビニルアルコールポリマーである。コンドロイチン硫酸は、市販のポリマーである。K90は、市販のポリビニルピロリドンポリマーである。
【0032】
【表4】

わずかな透明な沈殿物が認められた
実質的相乗効果=実質的相乗効果:上記3種それぞれの単一ポリマー溶液の単純な和の150%を超える
(実施例5:粘性に対する相乗効果の欠如(ポリビニルアルコール+コンドロイチン硫酸+カルボマー;ポリビニルアルコール+ポリビニルピロリドン+カルボマー;コンドロイチン硫酸+ポリビニルピロリドン+カルボマー))
表5に示される組成物を調製し、それらの粘性を、粘性の低いサンプル(20cps未満の粘性)についてナンバー42コーン/プレートセット(25℃において30rpm)、および粘性の高いサンプル(20cpsより高い粘性)についてナンバー52コーン/プレートセット(25℃において3rpm)を備えるBrookfieldコーン/プレート粘度計を使用して決定した。2名のヒトが、独立して示されたサンプルを調製し、各ヒトについてそれらの粘性値(n=1)を測定した。各セットの結果の平均を、表5に示す。Airvol 523Sは、市販のポリビニルアルコールポリマーである。コンドロイチン硫酸は、市販のポリマーである。K90は、市販のポリビニルピロリドンポリマーである。ポリビニルアルコール、コンドロイチン硫酸およびポリビニルピロリドンの単一のポリマー溶液の粘性は、表4−実施例20〜22に見いだされ得る。
【0033】
【表5】

PVPは、カルボポル 974Pと不適合性であった。これは、沈殿物を形成した。
** 特定の順番で混合することによってのみ溶液が得られた:マンニトール、次いでコンドロイチン硫酸、次いでPVP、次いでカルボマー。
実質的相乗効果=実質的相乗効果:上記3種それぞれの単一ポリマー溶液の単純な和の150%より大きい。
【0034】
(実施例6:粘性に対する総ポリマー濃度の効果)
HA、HP−グアール、およびカルボポル 974PもしくはHPMC 2910のいずれかの組み合わせを含む組成物の粘性に対する 総ポリマー濃度の効果を、上記3種の指定されたポリマー、マンニトールおよび精製水のみを含む6つの組成物を使用して評価した。各場合において、上記組成物は、4.0%(w/w)のマンニトールを含み、7.0の調節pHを有した。上記総ポリマー濃度は、0.3〜0.9に及んだ。上記粘性は、Brookfield粘度計(モデルNo.RVTDV−IICP #14797)を使用して、5rpmで25℃において決定した。その結果を、表6A(ヒアルロン酸ナトリウム:ヒドロキシプロピルメチルセルロース:HP グアール)表6B(ヒアルロン酸ナトリウム:カルボポル:HP グアール)において示す。その結果を、図3にも示す。
【0035】
【表6A】

【0036】
【表6B】

高粘性に起因して決定できなかった。
【0037】
本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して記載してきた;しかし、本発明が、その趣旨もしくは本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態もしくはそのバリエーションにおいて具現化され得ることが理解されるべきである。上記の実施形態は、従って、すべての局面において例示であって、限定ではないとみなされ、本発明の範囲は、前述の詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科的投与に適した水性組成物であって、該組成物は、該組成物の粘性に対して相乗効果を有する3種のポリマー成分を含み、ここで該3種のポリマー成分は、a)ヒアルロン酸、b)グアールガム、およびc)ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーであり、ただし、該組成物がカルボキシビニルポリマーを含む場合、該組成物は、塩化ナトリウムもホウ酸も含まない、組成物。
【請求項2】
前記ヒアルロン酸成分は、ヒアルロン酸ナトリウムであり、前記グアールガム成分は、ヒドロキシプロピルグアールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物は、カルボキシビニルポリマーを含み、該カルボキシビニルポリマーは、アリルスクロースもしくはアリルペンタエリスリトールで架橋したアクリル酸のポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記3種のポリマー成分は、1:1:1〜3:3:3の比で存在し、該3種のポリマー成分の総濃度は、0.1〜1%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記3種のポリマー成分の総濃度は、0.3〜0.9%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記3種のポリマー成分の総濃度は、0.3〜0.7%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
薬学的に受容可能な緩衝化剤;保存剤;張性調節剤;界面活性剤;可溶化剤;安定化剤;快適性を高める薬剤;緩和薬;pH調節剤;および潤滑剤からなる群より選択される成分をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
眼科用薬物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記眼科用薬物は、抗緑内障薬剤;抗脈管形成薬剤;抗感染剤;非ステロイド性抗炎症剤およびステロイド性抗炎症剤;増殖因子;免疫抑制剤;ならびに抗アレルギー剤からなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
人工涙液として使用するための水性組成物であって、ここで該組成物は、a)ヒアルロン酸;b)ヒドロキシプロピルグアール;c)ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマー;およびd)マンニトールから本質的になり、該組成物は、6〜8のpHおよび220〜340mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する、組成物。
【請求項11】
ドライアイの症状を緩和するための方法であって、該方法は、組成物の粘性に対して相乗効果を有する3種のポリマー成分を含む組成物を、眼に局所投与する工程を包含し、ここで該3種のポリマー成分は、a)ヒアルロン酸、b)グアールガム、およびc)ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーであり、ただし該組成物がカルボキシビニルポリマーを含む場合、該組成物は、塩化ナトリウムもホウ酸も含まない、方法。
【請求項12】
前記ヒアルロン酸成分はヒアルロン酸ナトリウムであり、前記グアールガム成分はヒドロキシプロピルグアールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物は、カルボキシビニルポリマーを含み、該カルボキシビニルポリマーは、アリルスクロースもしくはアリルペンタエリスリトールで架橋されたアクリル酸のポリマーである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記3種のポリマー成分は、1:1:1〜3:3:3の比で存在し、該3種のポリマー成分の総濃度は、0.1〜1%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記3種のポリマー成分の総濃度は、0.3〜0.9%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物は、ヒアルロン酸;ヒドロキシプロピルグアール;ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーのいずれか;およびマンニトールから本質的になり、ここで該組成物は、6〜8のpHおよび235〜300mOsm/kgの範囲の重量オスモル濃度を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
眼の疾患もしくは状態を処置するための方法であって、該方法は、眼科用薬物およびキャリアを含む組成物を眼に投与する工程を包含し、ここで該キャリアは、該組成物の粘性に対して相乗効果を有する3種のポリマー成分を含み、該3種のポリマー成分は、a)ヒアルロン酸、b)グアールガム、およびc)ヒドロキシプロピルメチルセルロースもしくはカルボキシビニルポリマーであり、ただし該組成物がカルボキシビニルポリマーを含む場合、該組成物は、塩化ナトリウムもホウ酸も含まない、方法。
【請求項18】
前記組成物は、眼に局所投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物は注射される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物は、硝子体内注射、結膜下注射、テノン嚢下注射、球後注射、脈絡膜上注射、もしくは眼周囲注射として注射される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記3種のポリマー成分は、1:1:1〜3:3:3の比で存在し、該3種のポリマー成分の総濃度は、0.1〜1%(w/v)の範囲に及ぶ、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−518116(P2010−518116A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549248(P2009−549248)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053378
【国際公開番号】WO2008/100807
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(399054697)アルコン,インコーポレイテッド (102)
【Fターム(参考)】