3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法
【課題】簡単な構造で3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを小さくすることができ、しかも、リフロー時におけるスルーホールへの半田の流出入を防止することができる3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法を提供する。
【解決手段】半田111〜114を回路基板2上の信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に盛り、3端子コンデンサ1の信号用外部電極13,14及びグランド用外部電極15,16を、半田111〜114の上から信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に載置した後、リフローにより、半田111〜114を溶融させる。このとき、溶融した半田111,112が貫通スルーホール3に流入しないように、開口31を熱硬化性接着剤4によって塞いでおく。
【解決手段】半田111〜114を回路基板2上の信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に盛り、3端子コンデンサ1の信号用外部電極13,14及びグランド用外部電極15,16を、半田111〜114の上から信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に載置した後、リフローにより、半田111〜114を溶融させる。このとき、溶融した半田111,112が貫通スルーホール3に流入しないように、開口31を熱硬化性接着剤4によって塞いでおく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを小さくすることができる3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の3端子コンデンサ実装構造としては、例えば、図13に示すような技術がある(例えば、特許文献1参照)。
図13に示すように、この3端子コンデンサ実装構造では、グランド用ランド201,202が、回路基板200の表面に形成され、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16がこれらグランド用ランド201,202にそれぞれ電気的に接続されている。そして、グランド側導体パターン210が、回路基板200の内部に設けられ、回路基板200に設けたスルーホール211,212を介してグランド用ランド201,202に電気的に接続されている。さらに、共通スルーホール213が、グランド側導体パターン210の中央部に設けられ、回路基板200の裏面側の導体パターン220に電気的に接続されている。
これにより、3端子コンデンサ1の貫通電極11に侵入したノイズ電流の略半分が、グランド電極12の左半分部−グランド用外部電極15−グランド用ランド201−スルーホール211−グランド用導体パターン210の左半分部−共通スルーホール213と流れる。そして、残りのノイズ電流が、3端子コンデンサ1のグランド電極12の右半分部−グランド用外部電極16−グランド用ランド202−スルーホール212−グランド側導体パターン210の右半分部−共通スルーホール213と流れる。
このとき、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15(16)から半田111(112)を介してグランド用ランド201(202)の中を左方向(右方向)に流れるノイズ電流I1(I2)の磁界と、グランド側導体パターン210のグランド用ランド201(202)と対向する部分の中を流れるノイズ電流I3(I4)の磁界とが、互いに打ち消し合う。そして、互いに逆向きに流れるノイズ電流I3,I4の磁界が互いに打ち消し合う。
この結果、3端子コンデンサ1と回路基板200とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
【0003】
しかしながら、図13に示した3端子コンデンサ実装構造では、回路基板200を多層構造にすると共に多数のスルーホール211〜213を設ける必要があり、回路基板200の構造が複雑となり、製造コストが高くなってしまう。
そこで、図14に示すように、回路基板の構造を簡単にして、製造コストを抑えた3端子コンデンサ実装構造が提案されている(例えば、特許文献1の
【0004】
参照)。
図14に示すように、この3端子コンデンサ実装構造では、グランド用ランド23が、回路基板2の表面2aに形成され、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16がこグランド用ランド23に電気的に接続されている。そして、導体パターン25が、回路基板200の裏面2bに設けられ、1本の貫通スルーホール3を介してグランド用ランド23に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3948321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図14に示した従来の3端子コンデンサ実装構造では、次のような問題がある。
3端子コンデンサ1を回路基板2に実装する際には、3端子コンデンサ1を、半田111,112を載せたグランド用ランド23上に載置した状態で、リフローする。このとき、溶融した半田111,112が、貫通スルーホール3内に流入して、回路基板2の裏面2b側に流出するおそれがある。
また、電子部品等を導体パターン25側に実装した場合には、電子部品実装の際の溶融半田が貫通スルーホール3を通って、表面2a側に流出して、3端子コンデンサ1の信号用外部電極を接続するための1対の信号用ランド(図示せず)を短絡させてしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、簡単な構造で3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを小さくすることができ、しかも、リフロー時におけるスルーホールへの半田の流出入を防止することができる3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、チップ素体と、このチップ素体の内部に設けられた貫通電極と、貫通電極に対向するように設けられたグランド電極と、チップ素体の両端部に設けられ且つ貫通電極の両端にそれぞれ接続された1対の信号用外部電極と、チップ素体の中央部の両側面に設けられ且つグランド電極の両端に接続されたグランド用外部電極とを有する3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設された1つのグランド用ランドとを有する回路基板に実装した3端子コンデンサ実装構造であって、回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールが、グランド用ランドのほぼ中央部で開口され、熱硬化性接着剤が、貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着され、3端子コンデンサの1対の信号用外部電極が、半田により1対の信号用ランドにそれぞれ電気的に接続されると共に、グランド用外部電極が、スルーホールの開口を跨いだ状態で、半田によりグランド用ランドに電気的に接続されている構成とした。
かかる構成により、3端子コンデンサの貫通電極に侵入したノイズ電流は、グランド電極を通じて、グランド用外部電極からグランド用ランドに流れ、当該グランド用ランド中央部の貫通スルーホール内に流出する。
この際、グランド電極の中央から一方のグランド用外部電極方向に向かう第1のノイズ電流と、グランド電極の中央から他方のグランド用外部電極方向に向かう第2のノイズ電流とが生じる。また、一方のグランド用外部電極からグランド用ランドに流出した後、貫通スルーホール側に向かう第3のノイズ電流と、他方のグランド用外部電極からグランド用ランドに流出した後、貫通スルーホール側に向かう第4のノイズ電流とが生じる。
これにより、第1のノイズ電流と第3のノイズ電流との向きが逆になり、これら互いに逆向きに流れる第1,第3のノイズ電流の磁界が互いに打ち消し合う。また、第2のノイズ電流と第4のノイズ電流との向きが逆になり、これら互いに逆向きに流れる第2,第4のノイズ電流の磁界が互いに打ち消し合う。この結果、3端子コンデンサと回路基板とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
ところで、貫通スルーホールが回路基板の他方面側で開口しているので、電子部品を回路基板の他方面側に半田付け処理するような場合には、溶融した半田が貫通スルーホール内に流入して、貫通スルーホールの一方面側開口から流出するおそれがある。
しかし、この発明の3端子コンデンサ実装構造では、熱硬化性接着剤が、貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着されているので、貫通スルーホール内に流入した半田が熱硬化性接着剤によって塞き止められ、一方面側開口から流出することはない。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3端子コンデンサ実装構造において、熱硬化性接着剤は、非導電性素材で形成されている構成とした。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の3端子コンデンサ実装構造において、熱硬化性接着剤は、エポキシ樹脂である構成とした。
【0011】
請求項4の発明に係る3端子コンデンサ実装方法は、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、半田を、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を、開口を塞ぐように貫通スルーホールに詰め込む第3の工程と、3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、半田の上から1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で半田の上からグランド用ランド上に載せる第4の工程と、3端子コンデンサと回路基板とを、半田の溶融温度以上の温度で加熱する第5の工程と、を具備する構成とした。
かかる構成により、第1の工程を実行することで、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板が、所定箇所に配置される。そして、第2の工程を実行することで、半田が回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配され、第3の工程を実行することで、熱硬化性接着剤が、開口を塞ぐように貫通スルーホールに詰め込まれる。しかる後、第4の工程を実行することで、3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極が、半田の上から1対の信号用ランド上に載せられると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極が、貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で半田の上からグランド用ランド上に載せられる。
かかる状態で、第5の工程を実行することで、3端子コンデンサと回路基板とが半田の溶融温度以上の温度で加熱される。
この第5の工程においては、加熱温度が順次上昇していくが、熱硬化性接着剤の熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低く設定されているので、熱硬化性接着剤が、半田が溶融する前に、硬化する。このため、半田が溶融したときには、貫通スルーホールの開口が硬化した熱硬化性接着剤によって完全に塞がれた状態になっているので、溶融半田が貫通スルーホール内に流入することはない。また、回路基板の他方面側の開口から流入した溶融半田が、回路基板の一方面側の開口から流出することもない。
【0012】
請求項5の発明は、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、半田を、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサを、1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配すると共に、熱硬化性接着剤を貫通スルーホールの開口に圧入させた状態で、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、半田の上から1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、半田の上からグランド用ランド上に載せる第3の工程と、3端子コンデンサと回路基板とを、半田の溶融温度以上の温度で加熱する第4の工程と、を具備する構成とした。
かかる構成により、第1の工程を実行することで、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板が、所定箇所に配置され、第2の工程を実行することで、半田が、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配される。そして、第3の工程を実行することで、熱硬化性接着剤を素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサが、1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配されると共に、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極が半田の上から1対の信号用ランド上に載せられると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極が半田の上からグランド用ランド上に載せられる。
かかる状態で、第4の工程を実行することで、3端子コンデンサと回路基板とが半田の溶融温度以上の温度で加熱される。
この第4の工程においては、加熱温度が順次上昇していくが、熱硬化性接着剤の熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低く設定されているので、貫通スルーホールの開口に圧入された熱硬化性接着剤が、半田が溶融する前に、硬化する。このため、半田が溶融したときには、貫通スルーホールの開口が硬化した熱硬化性接着剤によって完全に塞がれた状態になっているので、溶融半田が貫通スルーホール内に流入することはない。また、回路基板の他方面側の開口から流入した溶融半田が、回路基板の一方面側の開口から流出することもない。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサ実装方法において、熱硬化性接着剤を、非導電性素材で形成した構成とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載の3端子コンデンサ実装方法において、熱硬化性接着剤を、エポキシ樹脂で形成した構成とする。
【発明の効果】
【0015】
以上詳しく説明したように、この発明の3端子コンデンサ実装構造によれば、3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと1つのグランド用ランドと1本の貫通スルーホールとを有する簡単な構造の回路基板に実装するだけで、3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを極めて小さくすることができるという優れた効果がある。
また、この発明の3端子コンデンサ実装方法によれば、簡単な構造で等価直列インダクタンスを小さくすることができる3端子コンデンサ実装構造を実現することができるだけでなく、リフロー時におけるスルーホールへの溶融半田の流出入を防止することもできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサ実装構造を3端子コンデンサを分離して示す斜視図である。
【図2】3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視A−A断面図である。
【図3】3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視B−B断面図である。
【図4】3端子コンデンサの等価直列インダクタンス低下作用を説明するための断面図である。
【図5】熱硬化性接着剤による半田流出防止作用を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図である。
【図7】基板配置工程からコンデンサ載置工程迄の工程を示す断面図である。
【図8】リフロー工程を示す断面図である。
【図9】この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図である。
【図10】第3実施例に適用される3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図11】コンデンサ載置工程とリフロー工程とを示す断面図である。
【図12】グランド用外部電極の一変形例を示す斜視図である。
【図13】第1従来例にかかる3端子コンデンサ実装構造を示す断面図である。
【図14】第2従来例にかかる3端子コンデンサ実装構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は、この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサ実装構造を3端子コンデンサを分離して示す斜視図であり、図2は、3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視A−A断面図であり、図3は、3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視B−B断面図である。なお、図13に示した部材と同一部材については、同一符号を付して説明する。
【0019】
この実施例の3端子コンデンサ実装構造は、図1に示すように、3端子コンデンサ1を回路基板2の一方面である表面2aに半田付けした構造である。
3端子コンデンサ1は、図2及び図3に示すように、互いに対向する貫通電極11及びグランド電極12,12を内包したチップ素体10と、一対の信号用外部電極13,14と、グランド用外部電極15,16とを備えている。
チップ素体10は、セラミックス等で形成されている。
信号用外部電極13,14は、このチップ素体10の両端部(図3の左端部,右端部)にそれぞれ設けられ、貫通電極11の両端がこれら信号用外部電極13,14にそれぞれ接続されている。
グランド用外部電極15,16は、チップ素体10の中央部の両側面(図2の左面,右面)にそれぞれ設けられ、グランド電極12,12の両端がこれらグランド用外部電極15,16にそれぞれ接続されている。
【0020】
一方、回路基板2は、図1に示すように、1対の信号用ランド21,22と1つのグランド用ランド23とをその表面2aに有している。
信号用ランド21,22は、所定間隔をおいて対向配置され、グランド用ランド23は、これら1対の信号用ランド21,22の中間に配設されている。
このようなグランド用ランド23には、貫通スルーホール3が設けられている。
【0021】
貫通スルーホール3は、図2に示すように、回路基板2の一方面としての表面2aから他方面としての裏面2bを貫通しており、その上方の開口31がグランド用ランド23の中央部で開口し、下方の開口32が回路基板裏面2bの導体パターン25で開口している。
つまり、上下で開口する貫通スルーホール3がグランド用ランド23と導体パターン25とを電気的に接続している。なお、この実施例では、ベタのグランドパターンを導体パターン25としている。
このような貫通スルーホール3には、熱硬化性接着剤4が、取り付けられている。
【0022】
熱硬化性接着剤4は、非導電性素材で形成されており、この実施例では、エポキシ樹脂が熱硬化性接着剤4として用いられている。
このような熱硬化性接着剤4は、グランド用ランド23の中央で開口する貫通スルーホール3の上部に接着されており、貫通スルーホール3の開口31が熱硬化性接着剤4によって塞がれた状態になっている。
【0023】
3端子コンデンサ1は、上記のような貫通スルーホール3を有したグランド用ランド23と信号用ランド21,22とに半田111〜114によって電気的に接続されている。
具体的には、グランド用外部電極15,16が、貫通スルーホール3の開口31を跨いだ状態で、半田111,112によりグランド用ランド23に電気的に接続されると共に、図3に示すように、1対の信号用外部電極13,14が、半田113,114により1対の信号用ランド21,22にそれぞれ電気的に接続されている、
【0024】
次に、この実施例の3端子コンデンサ実装構造が示す作用及び効果について説明する。
図4は、3端子コンデンサの等価直列インダクタンス低下作用を説明するための断面図であり、図5は、熱硬化性接着剤による半田流出防止作用を説明するための断面図である。
【0025】
図4に示すように、ノイズ電流が3端子コンデンサの貫通電極11に侵入すると、グランド電極12,12を通じて、グランド用外部電極15,16からグランド用ランド23を流れ、グランド用ランド23中央部の貫通スルーホール3内に流出する。
このとき、グランド電極12,12の中央Mから左方のグランド用外部電極15に向かう第1のノイズ電流I1と、右方のグランド用外部電極16に向かう第2のノイズ電流I2とが生じる。また、グランド用外部電極15から半田111を通じてグランド用ランド23の左半部23aに流出した後、貫通スルーホール3側に向かう第3のノイズ電流I3と、グランド用外部電極16から半田112を通じてグランド用ランド23の右半部23bに流出した後、貫通スルーホール3側に向かう第4のノイズ電流I4とが生じる。
かかる状態では、グランド電極12,12内を流れる第1のノイズ電流I1と第2のノイズ電流I2とが逆向きに流れているため、第1のノイズ電流I1の磁界と第2のノイズ電流I2の磁界とが互いに打ち消しあう。
そして、第1のノイズ電流I1と第3のノイズ電流I3との向きも逆であるので、第1及び第3のノイズ電流I1,I3の磁界も互いに打ち消し合う。また、第2のノイズ電流I2と第4のノイズ電流I4との向きも逆であるので、第2及び第4のノイズ電流I2,I4の磁界も互いに打ち消し合う。
さらに、グランド用ランド23を流れる第3のノイズ電流I3と第4のノイズ電流I4も互いに逆向きに流れているため、第3及び第4のノイズ電流I3,I4の磁界も互いに打ち消しあう。
この結果、3端子コンデンサ1と回路基板2とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
すなわち、この実施例の3端子コンデンサ実装構造によれば、簡単な実装構造で、3端子コンデンサ1の等価直列インダクタンスを極めて小さくすることができるという効果がある。
【0026】
ところで、導体パターン25が、例えば、電子部品を取り付けるランドのような場合には、貫通スルーホール3が回路基板2の裏面2b側に開口しているので、図示しない電子部品を導体パターン25に半田付けすると、溶融した半田115が開口32から貫通スルーホール3内に流入して、表面側の開口31から流出するおそれがある。
しかし、この実施例の3端子コンデンサ実装構造では、熱硬化性接着剤4が、貫通スルーホール3の開口31を塞ぐように開口31に接着されている。このため、貫通スルーホール3内に流入した半田115が熱硬化性接着剤4によって塞き止められ、表面側開口31から流出することはない。
【0027】
(実施例2)
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図6は、この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図であり、図7は、基板配置工程からコンデンサ載置工程迄の工程を示す断面図であり、図8は、リフロー工程を示す断面図である。なお、図1〜図5の部材と同一部材については、同一符号を付して説明する。
この実施例は、上記第1実施例の3端子コンデンサ実装構造を実現するための3端子コンデンサ実装方法であり、図6に示すように、第1の工程としての基板配置工程S1と、第2の工程としての半田盛り工程S2と、第3の工程としての接着剤詰込工程S3と、第4の工程としてのコンデンサ載置工程S4と、第5の工程としてのリフロー工程S5とを備える。
【0028】
基板配置工程S1は、図7の(a)に示すように、回路基板2の表面2aに配されたグランド用ランド23と1対の信号用ランド21,22(図1参照)とを上に向けた状態で、回路基板2を所定箇所に配置する工程である。
【0029】
また、半田盛り工程S2は、図7の(b)に示すように、半田111,112を、グランド用ランド23上に配し、半田113,114(図1参照)を信号用ランド21,22上に配する工程である。
【0030】
また、接着剤詰込工程S3は、図7の(c)に示すように、熱硬化性接着剤4を開口31を塞ぐように貫通スルーホール3に詰め込む工程である。
ここで、熱硬化性接着剤4は、非導電性素材のエポキシ樹脂であり、その熱硬化温度は半田111〜114の溶融温度よりも低い。
【0031】
また、コンデンサ載置工程S4は、図7の(d)に示すように、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16を、貫通スルーホール3の開口31を跨いだ状態で半田111,112の上からグランド用ランド23上に載せると共に、信号用外部電極13,14(図1参照)を、半田113,114の上から信号用ランド21,22上に載せる工程である。
【0032】
そして、リフロー工程S5は、図8の(a)に示すように、回路基板2とこの回路基板2の上に載せられた3端子コンデンサ1とを、半田111〜114の溶融温度以上の温度で加熱する工程である。
【0033】
次に、この実施例の3端子コンデンサ実装方法が示す作用及び効果について説明する。
基板配置工程S1〜コンデンサ載置工程S4を実行することで、図7の(d)に示すように、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16が半田111,112の上からグランド用ランド23上に載せられると共に、信号用外部電極13,14が半田113,114の上から信号用ランド21,22上に載せられた状態になる。
【0034】
かかる状態で、リフロー工程S5を実行すると、図8の(a)に示すように、回路基板2と3端子コンデンサ1とが、半田111〜114の溶融温度以上の温度で加熱される。
【0035】
ところで、リフロー工程S5において、図8の(b)に示すように、貫通スルーホール3の開口31が開いていると、溶融した半田111,112が、開口31から貫通スルーホール3内に流入し、開口32から回路基板裏面2b側に流出してしまう。
【0036】
しかし、この実施例の3端子コンデンサ実装方法では、図7の(c)に示したように、接着剤詰込工程S3において、熱硬化温度は半田111〜114の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤4を、開口31を塞ぐように貫通スルーホール3に詰め込んでいる。
したがって、加熱温度が順次上昇していくと、熱硬化性接着剤4が、半田111〜114が溶融する前に、硬化する。このため、図8の(c)に示すように、半田111,112が溶融したときには、貫通スルーホール3の開口31が硬化した熱硬化性接着剤4によって完全に塞がれた状態になっているので、矢印で示すように、溶融半田111,112が貫通スルーホール3側に流れてきても、硬化した熱硬化性接着剤4によって阻止され、溶融半田111,112が貫通スルーホール3内に流入することはない。
また、図示しない溶融半田が、回路基板裏面2b側の開口32から流入した場合においても、表面2a側の開口31から流出することはない。
【0037】
そして、リフロー工程S5を終了させ、3端子コンデンサ1と回路基板2と冷却することで、図8の(d)に示すように、3端子コンデンサ1が、硬化した半田111〜114によって、ランド21〜23に強固に固定される。
【0038】
以上のように、この実施例の3端子コンデンサ実装方法によれば、第1実施例の実現することができるだけでなく、リフロー工程時における貫通スルーホール3への溶融半田の流出入を防止することもできるという効果がある。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0039】
(実施例3)
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図9は、この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図であり、図10は、第3実施例に適用される3端子コンデンサを示す斜視図であり、図11は、コンデンサ載置工程とリフロー工程とを示す断面図である。
この実施例は、コンデンサ載置工程において、接着剤詰込処理とコンデンサ載置処理とを同時に行うことができるようにした点が、上記第2実施例と異なる。
【0040】
この実施例の3端子コンデンサ実装方法は、図9に示すように、第1の工程としての基板配置工程S11と、第2の工程としての半田盛り工程S12と、第3の工程としてのコンデンサ載置工程S13と、第4の工程としてのリフロー工程S14とを備えている。
基板配置工程S11及び半田盛り工程S12は、上記第2実施例の基板配置工程S1及び半田盛り工程S2と同工程であるので、その記載は省略する。
【0041】
コンデンサ載置工程S13は、熱硬化性接着剤4を有する3端子コンデンサ1を信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に載せる工程である。
具体的には、図10に示すように、熱硬化性接着剤4が、3端子コンデンサ1の下面10bの中央部、即ちグランド用外部電極15,16との間に取り付けられている。
コンデンサ載置工程S13では、図11の(a)に示すように、下面10bを下側にして、3端子コンデンサ1をグランド用外部電極15,16がグランド用ランド23の上に来るように配し、熱硬化性接着剤4が貫通スルーホール3の開口31の真上に来るように位置決めする。
そして、図11の(b)に示すように、3端子コンデンサ1を回路基板2側に下降させ、熱硬化性接着剤4を貫通スルーホール3の開口31に圧入させる。
【0042】
かかる状態で、図11の(c)に示すように、リフロー工程S14を実行することで、半田111〜114を溶融させる。
この場合も、上記第2実施例のリフロー工程S5と同様に、熱硬化性接着剤4が、半田111〜114の溶融前に熱硬化するので、溶融した半田111,112が貫通スルーホール3内に流入することはない。また、回路基板2の裏面側の開口31から流入した溶融半田が、回路基板2の表面側の開口31から流出することもない。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0043】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、熱硬化性接着剤4を、非導電性素材で形成したが、導電性素材で形成した熱硬化性接着剤を用いた3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法も、この発明の範囲に含まれることは勿論である。また、エポキシ樹脂以外の熱硬化性接着剤を適用した3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法も、この発明の範囲に含まれる。
また、上記実施例では、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極として、一対の電極15,16を用いたが、図12に示すように、グランド用外部電極として、チップ素体10の胴部に巻き付けたリング状の電極17を用いることもできることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1…3端子コンデンサ、 10b…下面、 2…回路基板、 2a…表面、 2b…裏面、 3…貫通スルーホール、 4…熱硬化性接着剤、 10…チップ素体、 11…貫通電極、 13,14…信号用外部電極、 15,16…グランド用外部電極、 21,22…信号用ランド、 23…グランド用ランド、 23a…左半部、 23b…右半部、 25…導体パターン、 31,32…開口、 111〜115…半田、 I1〜I4…ノイズ電流、 S1,S11…基板配置工程、 S2,S12…半田盛り工程、 S3…接着剤詰込工程、 S4,S13…コンデンサ載置工程、 S5,S14…リフロー工程。
【技術分野】
【0001】
この発明は、3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを小さくすることができる3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の3端子コンデンサ実装構造としては、例えば、図13に示すような技術がある(例えば、特許文献1参照)。
図13に示すように、この3端子コンデンサ実装構造では、グランド用ランド201,202が、回路基板200の表面に形成され、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16がこれらグランド用ランド201,202にそれぞれ電気的に接続されている。そして、グランド側導体パターン210が、回路基板200の内部に設けられ、回路基板200に設けたスルーホール211,212を介してグランド用ランド201,202に電気的に接続されている。さらに、共通スルーホール213が、グランド側導体パターン210の中央部に設けられ、回路基板200の裏面側の導体パターン220に電気的に接続されている。
これにより、3端子コンデンサ1の貫通電極11に侵入したノイズ電流の略半分が、グランド電極12の左半分部−グランド用外部電極15−グランド用ランド201−スルーホール211−グランド用導体パターン210の左半分部−共通スルーホール213と流れる。そして、残りのノイズ電流が、3端子コンデンサ1のグランド電極12の右半分部−グランド用外部電極16−グランド用ランド202−スルーホール212−グランド側導体パターン210の右半分部−共通スルーホール213と流れる。
このとき、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15(16)から半田111(112)を介してグランド用ランド201(202)の中を左方向(右方向)に流れるノイズ電流I1(I2)の磁界と、グランド側導体パターン210のグランド用ランド201(202)と対向する部分の中を流れるノイズ電流I3(I4)の磁界とが、互いに打ち消し合う。そして、互いに逆向きに流れるノイズ電流I3,I4の磁界が互いに打ち消し合う。
この結果、3端子コンデンサ1と回路基板200とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
【0003】
しかしながら、図13に示した3端子コンデンサ実装構造では、回路基板200を多層構造にすると共に多数のスルーホール211〜213を設ける必要があり、回路基板200の構造が複雑となり、製造コストが高くなってしまう。
そこで、図14に示すように、回路基板の構造を簡単にして、製造コストを抑えた3端子コンデンサ実装構造が提案されている(例えば、特許文献1の
【0004】
参照)。
図14に示すように、この3端子コンデンサ実装構造では、グランド用ランド23が、回路基板2の表面2aに形成され、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16がこグランド用ランド23に電気的に接続されている。そして、導体パターン25が、回路基板200の裏面2bに設けられ、1本の貫通スルーホール3を介してグランド用ランド23に電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3948321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図14に示した従来の3端子コンデンサ実装構造では、次のような問題がある。
3端子コンデンサ1を回路基板2に実装する際には、3端子コンデンサ1を、半田111,112を載せたグランド用ランド23上に載置した状態で、リフローする。このとき、溶融した半田111,112が、貫通スルーホール3内に流入して、回路基板2の裏面2b側に流出するおそれがある。
また、電子部品等を導体パターン25側に実装した場合には、電子部品実装の際の溶融半田が貫通スルーホール3を通って、表面2a側に流出して、3端子コンデンサ1の信号用外部電極を接続するための1対の信号用ランド(図示せず)を短絡させてしまうおそれがある。
【0007】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、簡単な構造で3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを小さくすることができ、しかも、リフロー時におけるスルーホールへの半田の流出入を防止することができる3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、チップ素体と、このチップ素体の内部に設けられた貫通電極と、貫通電極に対向するように設けられたグランド電極と、チップ素体の両端部に設けられ且つ貫通電極の両端にそれぞれ接続された1対の信号用外部電極と、チップ素体の中央部の両側面に設けられ且つグランド電極の両端に接続されたグランド用外部電極とを有する3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設された1つのグランド用ランドとを有する回路基板に実装した3端子コンデンサ実装構造であって、回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールが、グランド用ランドのほぼ中央部で開口され、熱硬化性接着剤が、貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着され、3端子コンデンサの1対の信号用外部電極が、半田により1対の信号用ランドにそれぞれ電気的に接続されると共に、グランド用外部電極が、スルーホールの開口を跨いだ状態で、半田によりグランド用ランドに電気的に接続されている構成とした。
かかる構成により、3端子コンデンサの貫通電極に侵入したノイズ電流は、グランド電極を通じて、グランド用外部電極からグランド用ランドに流れ、当該グランド用ランド中央部の貫通スルーホール内に流出する。
この際、グランド電極の中央から一方のグランド用外部電極方向に向かう第1のノイズ電流と、グランド電極の中央から他方のグランド用外部電極方向に向かう第2のノイズ電流とが生じる。また、一方のグランド用外部電極からグランド用ランドに流出した後、貫通スルーホール側に向かう第3のノイズ電流と、他方のグランド用外部電極からグランド用ランドに流出した後、貫通スルーホール側に向かう第4のノイズ電流とが生じる。
これにより、第1のノイズ電流と第3のノイズ電流との向きが逆になり、これら互いに逆向きに流れる第1,第3のノイズ電流の磁界が互いに打ち消し合う。また、第2のノイズ電流と第4のノイズ電流との向きが逆になり、これら互いに逆向きに流れる第2,第4のノイズ電流の磁界が互いに打ち消し合う。この結果、3端子コンデンサと回路基板とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
ところで、貫通スルーホールが回路基板の他方面側で開口しているので、電子部品を回路基板の他方面側に半田付け処理するような場合には、溶融した半田が貫通スルーホール内に流入して、貫通スルーホールの一方面側開口から流出するおそれがある。
しかし、この発明の3端子コンデンサ実装構造では、熱硬化性接着剤が、貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着されているので、貫通スルーホール内に流入した半田が熱硬化性接着剤によって塞き止められ、一方面側開口から流出することはない。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3端子コンデンサ実装構造において、熱硬化性接着剤は、非導電性素材で形成されている構成とした。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2に記載の3端子コンデンサ実装構造において、熱硬化性接着剤は、エポキシ樹脂である構成とした。
【0011】
請求項4の発明に係る3端子コンデンサ実装方法は、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、半田を、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を、開口を塞ぐように貫通スルーホールに詰め込む第3の工程と、3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、半田の上から1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で半田の上からグランド用ランド上に載せる第4の工程と、3端子コンデンサと回路基板とを、半田の溶融温度以上の温度で加熱する第5の工程と、を具備する構成とした。
かかる構成により、第1の工程を実行することで、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板が、所定箇所に配置される。そして、第2の工程を実行することで、半田が回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配され、第3の工程を実行することで、熱硬化性接着剤が、開口を塞ぐように貫通スルーホールに詰め込まれる。しかる後、第4の工程を実行することで、3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極が、半田の上から1対の信号用ランド上に載せられると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極が、貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で半田の上からグランド用ランド上に載せられる。
かかる状態で、第5の工程を実行することで、3端子コンデンサと回路基板とが半田の溶融温度以上の温度で加熱される。
この第5の工程においては、加熱温度が順次上昇していくが、熱硬化性接着剤の熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低く設定されているので、熱硬化性接着剤が、半田が溶融する前に、硬化する。このため、半田が溶融したときには、貫通スルーホールの開口が硬化した熱硬化性接着剤によって完全に塞がれた状態になっているので、溶融半田が貫通スルーホール内に流入することはない。また、回路基板の他方面側の開口から流入した溶融半田が、回路基板の一方面側の開口から流出することもない。
【0012】
請求項5の発明は、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、半田を、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサを、1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配すると共に、熱硬化性接着剤を貫通スルーホールの開口に圧入させた状態で、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、半田の上から1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、半田の上からグランド用ランド上に載せる第3の工程と、3端子コンデンサと回路基板とを、半田の溶融温度以上の温度で加熱する第4の工程と、を具備する構成とした。
かかる構成により、第1の工程を実行することで、回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板が、所定箇所に配置され、第2の工程を実行することで、半田が、回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配される。そして、第3の工程を実行することで、熱硬化性接着剤を素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサが、1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配されると共に、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極が半田の上から1対の信号用ランド上に載せられると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極が半田の上からグランド用ランド上に載せられる。
かかる状態で、第4の工程を実行することで、3端子コンデンサと回路基板とが半田の溶融温度以上の温度で加熱される。
この第4の工程においては、加熱温度が順次上昇していくが、熱硬化性接着剤の熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低く設定されているので、貫通スルーホールの開口に圧入された熱硬化性接着剤が、半田が溶融する前に、硬化する。このため、半田が溶融したときには、貫通スルーホールの開口が硬化した熱硬化性接着剤によって完全に塞がれた状態になっているので、溶融半田が貫通スルーホール内に流入することはない。また、回路基板の他方面側の開口から流入した溶融半田が、回路基板の一方面側の開口から流出することもない。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサ実装方法において、熱硬化性接着剤を、非導電性素材で形成した構成とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項6に記載の3端子コンデンサ実装方法において、熱硬化性接着剤を、エポキシ樹脂で形成した構成とする。
【発明の効果】
【0015】
以上詳しく説明したように、この発明の3端子コンデンサ実装構造によれば、3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと1つのグランド用ランドと1本の貫通スルーホールとを有する簡単な構造の回路基板に実装するだけで、3端子コンデンサの等価直列インダクタンスを極めて小さくすることができるという優れた効果がある。
また、この発明の3端子コンデンサ実装方法によれば、簡単な構造で等価直列インダクタンスを小さくすることができる3端子コンデンサ実装構造を実現することができるだけでなく、リフロー時におけるスルーホールへの溶融半田の流出入を防止することもできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサ実装構造を3端子コンデンサを分離して示す斜視図である。
【図2】3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視A−A断面図である。
【図3】3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視B−B断面図である。
【図4】3端子コンデンサの等価直列インダクタンス低下作用を説明するための断面図である。
【図5】熱硬化性接着剤による半田流出防止作用を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図である。
【図7】基板配置工程からコンデンサ載置工程迄の工程を示す断面図である。
【図8】リフロー工程を示す断面図である。
【図9】この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図である。
【図10】第3実施例に適用される3端子コンデンサを示す斜視図である。
【図11】コンデンサ載置工程とリフロー工程とを示す断面図である。
【図12】グランド用外部電極の一変形例を示す斜視図である。
【図13】第1従来例にかかる3端子コンデンサ実装構造を示す断面図である。
【図14】第2従来例にかかる3端子コンデンサ実装構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施例1)
図1は、この発明の第1実施例に係る3端子コンデンサ実装構造を3端子コンデンサを分離して示す斜視図であり、図2は、3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視A−A断面図であり、図3は、3端子コンデンサを実装した状態時における図1の矢視B−B断面図である。なお、図13に示した部材と同一部材については、同一符号を付して説明する。
【0019】
この実施例の3端子コンデンサ実装構造は、図1に示すように、3端子コンデンサ1を回路基板2の一方面である表面2aに半田付けした構造である。
3端子コンデンサ1は、図2及び図3に示すように、互いに対向する貫通電極11及びグランド電極12,12を内包したチップ素体10と、一対の信号用外部電極13,14と、グランド用外部電極15,16とを備えている。
チップ素体10は、セラミックス等で形成されている。
信号用外部電極13,14は、このチップ素体10の両端部(図3の左端部,右端部)にそれぞれ設けられ、貫通電極11の両端がこれら信号用外部電極13,14にそれぞれ接続されている。
グランド用外部電極15,16は、チップ素体10の中央部の両側面(図2の左面,右面)にそれぞれ設けられ、グランド電極12,12の両端がこれらグランド用外部電極15,16にそれぞれ接続されている。
【0020】
一方、回路基板2は、図1に示すように、1対の信号用ランド21,22と1つのグランド用ランド23とをその表面2aに有している。
信号用ランド21,22は、所定間隔をおいて対向配置され、グランド用ランド23は、これら1対の信号用ランド21,22の中間に配設されている。
このようなグランド用ランド23には、貫通スルーホール3が設けられている。
【0021】
貫通スルーホール3は、図2に示すように、回路基板2の一方面としての表面2aから他方面としての裏面2bを貫通しており、その上方の開口31がグランド用ランド23の中央部で開口し、下方の開口32が回路基板裏面2bの導体パターン25で開口している。
つまり、上下で開口する貫通スルーホール3がグランド用ランド23と導体パターン25とを電気的に接続している。なお、この実施例では、ベタのグランドパターンを導体パターン25としている。
このような貫通スルーホール3には、熱硬化性接着剤4が、取り付けられている。
【0022】
熱硬化性接着剤4は、非導電性素材で形成されており、この実施例では、エポキシ樹脂が熱硬化性接着剤4として用いられている。
このような熱硬化性接着剤4は、グランド用ランド23の中央で開口する貫通スルーホール3の上部に接着されており、貫通スルーホール3の開口31が熱硬化性接着剤4によって塞がれた状態になっている。
【0023】
3端子コンデンサ1は、上記のような貫通スルーホール3を有したグランド用ランド23と信号用ランド21,22とに半田111〜114によって電気的に接続されている。
具体的には、グランド用外部電極15,16が、貫通スルーホール3の開口31を跨いだ状態で、半田111,112によりグランド用ランド23に電気的に接続されると共に、図3に示すように、1対の信号用外部電極13,14が、半田113,114により1対の信号用ランド21,22にそれぞれ電気的に接続されている、
【0024】
次に、この実施例の3端子コンデンサ実装構造が示す作用及び効果について説明する。
図4は、3端子コンデンサの等価直列インダクタンス低下作用を説明するための断面図であり、図5は、熱硬化性接着剤による半田流出防止作用を説明するための断面図である。
【0025】
図4に示すように、ノイズ電流が3端子コンデンサの貫通電極11に侵入すると、グランド電極12,12を通じて、グランド用外部電極15,16からグランド用ランド23を流れ、グランド用ランド23中央部の貫通スルーホール3内に流出する。
このとき、グランド電極12,12の中央Mから左方のグランド用外部電極15に向かう第1のノイズ電流I1と、右方のグランド用外部電極16に向かう第2のノイズ電流I2とが生じる。また、グランド用外部電極15から半田111を通じてグランド用ランド23の左半部23aに流出した後、貫通スルーホール3側に向かう第3のノイズ電流I3と、グランド用外部電極16から半田112を通じてグランド用ランド23の右半部23bに流出した後、貫通スルーホール3側に向かう第4のノイズ電流I4とが生じる。
かかる状態では、グランド電極12,12内を流れる第1のノイズ電流I1と第2のノイズ電流I2とが逆向きに流れているため、第1のノイズ電流I1の磁界と第2のノイズ電流I2の磁界とが互いに打ち消しあう。
そして、第1のノイズ電流I1と第3のノイズ電流I3との向きも逆であるので、第1及び第3のノイズ電流I1,I3の磁界も互いに打ち消し合う。また、第2のノイズ電流I2と第4のノイズ電流I4との向きも逆であるので、第2及び第4のノイズ電流I2,I4の磁界も互いに打ち消し合う。
さらに、グランド用ランド23を流れる第3のノイズ電流I3と第4のノイズ電流I4も互いに逆向きに流れているため、第3及び第4のノイズ電流I3,I4の磁界も互いに打ち消しあう。
この結果、3端子コンデンサ1と回路基板2とのトータルの等価直列インダクタンスが極めて小さくなる。
すなわち、この実施例の3端子コンデンサ実装構造によれば、簡単な実装構造で、3端子コンデンサ1の等価直列インダクタンスを極めて小さくすることができるという効果がある。
【0026】
ところで、導体パターン25が、例えば、電子部品を取り付けるランドのような場合には、貫通スルーホール3が回路基板2の裏面2b側に開口しているので、図示しない電子部品を導体パターン25に半田付けすると、溶融した半田115が開口32から貫通スルーホール3内に流入して、表面側の開口31から流出するおそれがある。
しかし、この実施例の3端子コンデンサ実装構造では、熱硬化性接着剤4が、貫通スルーホール3の開口31を塞ぐように開口31に接着されている。このため、貫通スルーホール3内に流入した半田115が熱硬化性接着剤4によって塞き止められ、表面側開口31から流出することはない。
【0027】
(実施例2)
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図6は、この発明の第2実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図であり、図7は、基板配置工程からコンデンサ載置工程迄の工程を示す断面図であり、図8は、リフロー工程を示す断面図である。なお、図1〜図5の部材と同一部材については、同一符号を付して説明する。
この実施例は、上記第1実施例の3端子コンデンサ実装構造を実現するための3端子コンデンサ実装方法であり、図6に示すように、第1の工程としての基板配置工程S1と、第2の工程としての半田盛り工程S2と、第3の工程としての接着剤詰込工程S3と、第4の工程としてのコンデンサ載置工程S4と、第5の工程としてのリフロー工程S5とを備える。
【0028】
基板配置工程S1は、図7の(a)に示すように、回路基板2の表面2aに配されたグランド用ランド23と1対の信号用ランド21,22(図1参照)とを上に向けた状態で、回路基板2を所定箇所に配置する工程である。
【0029】
また、半田盛り工程S2は、図7の(b)に示すように、半田111,112を、グランド用ランド23上に配し、半田113,114(図1参照)を信号用ランド21,22上に配する工程である。
【0030】
また、接着剤詰込工程S3は、図7の(c)に示すように、熱硬化性接着剤4を開口31を塞ぐように貫通スルーホール3に詰め込む工程である。
ここで、熱硬化性接着剤4は、非導電性素材のエポキシ樹脂であり、その熱硬化温度は半田111〜114の溶融温度よりも低い。
【0031】
また、コンデンサ載置工程S4は、図7の(d)に示すように、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16を、貫通スルーホール3の開口31を跨いだ状態で半田111,112の上からグランド用ランド23上に載せると共に、信号用外部電極13,14(図1参照)を、半田113,114の上から信号用ランド21,22上に載せる工程である。
【0032】
そして、リフロー工程S5は、図8の(a)に示すように、回路基板2とこの回路基板2の上に載せられた3端子コンデンサ1とを、半田111〜114の溶融温度以上の温度で加熱する工程である。
【0033】
次に、この実施例の3端子コンデンサ実装方法が示す作用及び効果について説明する。
基板配置工程S1〜コンデンサ載置工程S4を実行することで、図7の(d)に示すように、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極15,16が半田111,112の上からグランド用ランド23上に載せられると共に、信号用外部電極13,14が半田113,114の上から信号用ランド21,22上に載せられた状態になる。
【0034】
かかる状態で、リフロー工程S5を実行すると、図8の(a)に示すように、回路基板2と3端子コンデンサ1とが、半田111〜114の溶融温度以上の温度で加熱される。
【0035】
ところで、リフロー工程S5において、図8の(b)に示すように、貫通スルーホール3の開口31が開いていると、溶融した半田111,112が、開口31から貫通スルーホール3内に流入し、開口32から回路基板裏面2b側に流出してしまう。
【0036】
しかし、この実施例の3端子コンデンサ実装方法では、図7の(c)に示したように、接着剤詰込工程S3において、熱硬化温度は半田111〜114の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤4を、開口31を塞ぐように貫通スルーホール3に詰め込んでいる。
したがって、加熱温度が順次上昇していくと、熱硬化性接着剤4が、半田111〜114が溶融する前に、硬化する。このため、図8の(c)に示すように、半田111,112が溶融したときには、貫通スルーホール3の開口31が硬化した熱硬化性接着剤4によって完全に塞がれた状態になっているので、矢印で示すように、溶融半田111,112が貫通スルーホール3側に流れてきても、硬化した熱硬化性接着剤4によって阻止され、溶融半田111,112が貫通スルーホール3内に流入することはない。
また、図示しない溶融半田が、回路基板裏面2b側の開口32から流入した場合においても、表面2a側の開口31から流出することはない。
【0037】
そして、リフロー工程S5を終了させ、3端子コンデンサ1と回路基板2と冷却することで、図8の(d)に示すように、3端子コンデンサ1が、硬化した半田111〜114によって、ランド21〜23に強固に固定される。
【0038】
以上のように、この実施例の3端子コンデンサ実装方法によれば、第1実施例の実現することができるだけでなく、リフロー工程時における貫通スルーホール3への溶融半田の流出入を防止することもできるという効果がある。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0039】
(実施例3)
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図9は、この発明の第3実施例に係る3端子コンデンサ実装方法の工程を示すフロー図であり、図10は、第3実施例に適用される3端子コンデンサを示す斜視図であり、図11は、コンデンサ載置工程とリフロー工程とを示す断面図である。
この実施例は、コンデンサ載置工程において、接着剤詰込処理とコンデンサ載置処理とを同時に行うことができるようにした点が、上記第2実施例と異なる。
【0040】
この実施例の3端子コンデンサ実装方法は、図9に示すように、第1の工程としての基板配置工程S11と、第2の工程としての半田盛り工程S12と、第3の工程としてのコンデンサ載置工程S13と、第4の工程としてのリフロー工程S14とを備えている。
基板配置工程S11及び半田盛り工程S12は、上記第2実施例の基板配置工程S1及び半田盛り工程S2と同工程であるので、その記載は省略する。
【0041】
コンデンサ載置工程S13は、熱硬化性接着剤4を有する3端子コンデンサ1を信号用ランド21,22及びグランド用ランド23に載せる工程である。
具体的には、図10に示すように、熱硬化性接着剤4が、3端子コンデンサ1の下面10bの中央部、即ちグランド用外部電極15,16との間に取り付けられている。
コンデンサ載置工程S13では、図11の(a)に示すように、下面10bを下側にして、3端子コンデンサ1をグランド用外部電極15,16がグランド用ランド23の上に来るように配し、熱硬化性接着剤4が貫通スルーホール3の開口31の真上に来るように位置決めする。
そして、図11の(b)に示すように、3端子コンデンサ1を回路基板2側に下降させ、熱硬化性接着剤4を貫通スルーホール3の開口31に圧入させる。
【0042】
かかる状態で、図11の(c)に示すように、リフロー工程S14を実行することで、半田111〜114を溶融させる。
この場合も、上記第2実施例のリフロー工程S5と同様に、熱硬化性接着剤4が、半田111〜114の溶融前に熱硬化するので、溶融した半田111,112が貫通スルーホール3内に流入することはない。また、回路基板2の裏面側の開口31から流入した溶融半田が、回路基板2の表面側の開口31から流出することもない。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0043】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、熱硬化性接着剤4を、非導電性素材で形成したが、導電性素材で形成した熱硬化性接着剤を用いた3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法も、この発明の範囲に含まれることは勿論である。また、エポキシ樹脂以外の熱硬化性接着剤を適用した3端子コンデンサ実装構造及び3端子コンデンサ実装方法も、この発明の範囲に含まれる。
また、上記実施例では、3端子コンデンサ1のグランド用外部電極として、一対の電極15,16を用いたが、図12に示すように、グランド用外部電極として、チップ素体10の胴部に巻き付けたリング状の電極17を用いることもできることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
1…3端子コンデンサ、 10b…下面、 2…回路基板、 2a…表面、 2b…裏面、 3…貫通スルーホール、 4…熱硬化性接着剤、 10…チップ素体、 11…貫通電極、 13,14…信号用外部電極、 15,16…グランド用外部電極、 21,22…信号用ランド、 23…グランド用ランド、 23a…左半部、 23b…右半部、 25…導体パターン、 31,32…開口、 111〜115…半田、 I1〜I4…ノイズ電流、 S1,S11…基板配置工程、 S2,S12…半田盛り工程、 S3…接着剤詰込工程、 S4,S13…コンデンサ載置工程、 S5,S14…リフロー工程。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ素体と、このチップ素体の内部に設けられた貫通電極と、貫通電極に対向するように設けられたグランド電極と、上記チップ素体の両端部に設けられ且つ貫通電極の両端にそれぞれ接続された1対の信号用外部電極と、上記チップ素体の中央部の両側面に設けられ且つ上記グランド電極の両端に接続されたグランド用外部電極とを有する3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設された1つのグランド用ランドとを有する回路基板に実装した3端子コンデンサ実装構造であって、
上記回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールが、上記グランド用ランドのほぼ中央部で開口され、
熱硬化性接着剤が、上記貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着され、
上記3端子コンデンサの1対の信号用外部電極が、半田により上記1対の信号用ランドにそれぞれ電気的に接続されると共に、上記グランド用外部電極が、上記スルーホールの開口を跨いだ状態で、半田により上記グランド用ランドに電気的に接続されている、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の3端子コンデンサ実装構造において、
上記熱硬化性接着剤は、非導電性素材で形成されている、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項3】
請求項2に記載の3端子コンデンサ実装構造において、
上記熱硬化性接着剤は、エポキシ樹脂である、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項4】
回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、
半田を、上記回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、
熱硬化温度が上記半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を、上記開口を塞ぐように上記貫通スルーホールに詰め込む第3の工程と、
3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、上記半田の上から上記1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、上記貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で上記半田の上から上記グランド用ランド上に載せる第4の工程と、
上記3端子コンデンサと回路基板とを、上記半田の溶融温度以上の温度で加熱する第5の工程と、
を具備することを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項5】
回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、
半田を、上記回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、
熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を上記素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサを、上記1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配すると共に、上記熱硬化性接着剤を上記貫通スルーホールの開口に圧入させた状態で、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、上記半田の上から上記1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、上記半田の上から上記グランド用ランド上に載せる第3の工程と、
上記3端子コンデンサと回路基板とを、上記半田の溶融温度以上の温度で加熱する第4の工程と、
を具備することを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサ実装方法において、
上記熱硬化性接着剤を、非導電性素材で形成した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項7】
請求項6に記載の3端子コンデンサ実装方法において、
上記熱硬化性接着剤を、エポキシ樹脂で形成した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項1】
チップ素体と、このチップ素体の内部に設けられた貫通電極と、貫通電極に対向するように設けられたグランド電極と、上記チップ素体の両端部に設けられ且つ貫通電極の両端にそれぞれ接続された1対の信号用外部電極と、上記チップ素体の中央部の両側面に設けられ且つ上記グランド電極の両端に接続されたグランド用外部電極とを有する3端子コンデンサを、1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設された1つのグランド用ランドとを有する回路基板に実装した3端子コンデンサ実装構造であって、
上記回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールが、上記グランド用ランドのほぼ中央部で開口され、
熱硬化性接着剤が、上記貫通スルーホールの開口を塞ぐように当該開口に接着され、
上記3端子コンデンサの1対の信号用外部電極が、半田により上記1対の信号用ランドにそれぞれ電気的に接続されると共に、上記グランド用外部電極が、上記スルーホールの開口を跨いだ状態で、半田により上記グランド用ランドに電気的に接続されている、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の3端子コンデンサ実装構造において、
上記熱硬化性接着剤は、非導電性素材で形成されている、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項3】
請求項2に記載の3端子コンデンサ実装構造において、
上記熱硬化性接着剤は、エポキシ樹脂である、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装構造。
【請求項4】
回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、
半田を、上記回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、
熱硬化温度が上記半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を、上記開口を塞ぐように上記貫通スルーホールに詰め込む第3の工程と、
3端子コンデンサのチップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、上記半田の上から上記1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、上記貫通スルーホールの開口を跨いだ状態で上記半田の上から上記グランド用ランド上に載せる第4の工程と、
上記3端子コンデンサと回路基板とを、上記半田の溶融温度以上の温度で加熱する第5の工程と、
を具備することを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項5】
回路基板の一方面に配された1対の信号用ランドと、これら1対の信号用ランドの中間に配設され且つ回路基板の一方面から他方面に貫通する貫通スルーホールがほぼ中央部で開口した1つのグランド用ランドとを有する回路基板を、所定箇所に配置する第1の工程と、
半田を、上記回路基板の1対の信号用ランドとグランド用ランドとの上に配する第2の工程と、
熱硬化温度が半田の溶融温度よりも低い熱硬化性接着剤を上記素体下面中央部に取り付けた3端子コンデンサを、上記1対の信号用ランドとグランド用ランドの真上に配すると共に、上記熱硬化性接着剤を上記貫通スルーホールの開口に圧入させた状態で、チップ素体の両端部に設けられた1対の信号用外部電極を、上記半田の上から上記1対の信号用ランド上に載せると共に、当該チップ素体の中央部の両側面に設けられたグランド用外部電極を、上記半田の上から上記グランド用ランド上に載せる第3の工程と、
上記3端子コンデンサと回路基板とを、上記半田の溶融温度以上の温度で加熱する第4の工程と、
を具備することを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の3端子コンデンサ実装方法において、
上記熱硬化性接着剤を、非導電性素材で形成した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【請求項7】
請求項6に記載の3端子コンデンサ実装方法において、
上記熱硬化性接着剤を、エポキシ樹脂で形成した、
ことを特徴とする3端子コンデンサ実装方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−164744(P2012−164744A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22709(P2011−22709)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】
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