説明

3缶用マルチパック

【課題】少量の材料で3缶を包装でき、訴求効果も期待できるマルチパックを提供する。
【解決手段】3個の缶Cを寄せ合って包装するマルチパックにおいて、天面板1、底面板2、開立板3及び閉立板4を連設して、開立板3が両側方へ張り出し、開立板3の中間部分が開口したスリーブ9を形成し、天面板1及び底面板2の両側縁と、開立板3の開口の上下縁とに保持片6を連設すると共に、開立板3の外側縁及び開口の両側縁に押圧片7,8を連設し、スリーブ9の両端及び開立板3の開口から缶Cを挿入して、各缶Cの上下面に内側へ折り込んだ保持片6を係合させ、各缶Cの外周に内側へ折り曲げた押圧片7,8を弾力的に当接させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、3個の缶を寄せ合って包装する紙製マルチパックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1には、3個の缶を寄せ合って包装するマルチパックとして、六角形状の天面板及び底面板を有し、外周の各面に交互に開口部と閉立板とを設け、開口部の幅を缶の直径よりも小さく設定し、天面板と底面板の間に挟んだ各缶を、開口部から突出させた状態で、閉立板により保持するものが記載されている。
【0003】
【特許文献1】実登3112877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記マルチパックは、直径に比べて背の低い食品等の缶の包装を想定したものであり、このような構成で背の高い飲料の缶を包装しようとすると、缶の直径よりも幅が広い閉立板を背を高くして3枚設ける必要があることから、用紙の使用量が増大してコストがかかるほか、缶の露出が少なく、訴求効果が得られにくいという問題もある。
【0005】
そこで、この発明は、少量の材料で3缶を包装でき、訴求効果も期待できるマルチパックを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明は、3個の缶を寄せ合って包装するマルチパックにおいて、天面板、底面板、開立板及び閉立板を連設して、開立板が両側方へ張り出し、開立板の中間部分が開口したスリーブを形成し、天面板及び底面板の両側縁と、開立板の開口の上下縁とに保持片を連設すると共に、開立板の外側縁及び開口の両側縁に押圧片を連設し、スリーブの両端及び開立板の開口から缶を挿入して、各缶の上下面に内側へ折り込んだ保持片を係合させ、各缶の外周に内側へ折り曲げた押圧片を弾力的に当接させることとしたのである。
【発明の効果】
【0007】
このようなマルチパックでは、スリーブの高さ方向の構造材が対向する開立板と閉立板のみであり、隣り合う2個の缶に接する閉立板の幅を2個の缶の半径の和、すなわち1個の缶の直径と同程度に設定でき、天面板及び底面板を、3個の缶の上下面を半分ずつ覆い開立板が繋がる最小限の面積に設定できるので、材料の使用量を抑制でき、包装コストを削減することができる。
【0008】
また、3個の缶を寄せ合って保持する珍しい形態であり、缶がスリーブから大きく露出するので、缶自体のデザインにより高い訴求効果が得られ、開立板やその両側の押圧片を利用して、各缶ごとに特徴を表示することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0010】
このマルチパックの段ボール製ブランクでは、図1に示すように、天面板1及び底面板2が対向するT字状とされている。天面板1の長い端縁に開立板3が連設され、天面板1と底面板2の短い端縁が閉立板4を介して繋がれている。開立板3の中間部分は、上下にわたって開口し、開立板3の下端には貼着板5が連設されている。
【0011】
天面板1及び底面板2の狭幅部分の両側縁と、開立板3の開口の上下縁には、半円形の保持片6が連設されている。開立板3の外側縁には長い押圧片7が連設され、開口の両側縁には短い押圧片8が連設されている。
【0012】
このマルチパックの製造に際しては、図2に示すように、ブランクを2箇所で180°折り曲げて、底面板2と貼着板5とを貼り合わせる。この作業は、機械により簡単に行うことができる。この扁平な折畳状態では、嵩張ることなく、マルチパックを飲料メーカーや小売店に効率的に配送することができる。
【0013】
そして、3個の缶を包装する際には、図3に示すように、開立板3及び閉立板4を起立させて、スリーブ9を形成し、図4乃至図6に示すように、スリーブ9の両端及び開立板3の開口から缶Cを挿入して、各缶Cの上下面に内側へ折り込んだ保持片6を係合させ、各缶Cの外周に内側へ折り曲げた押圧片7,8を弾力的に当接させる。
【0014】
このとき、3個の缶Cは、保持片6により開口から抜け止めされると共に、スリーブ9の両端の開口から挿入した缶Cは、押圧片7により閉立板4側へ寄せられて、がたつくことなく保持され、開立板3の開口から挿入した缶Cは、押圧片8により挟持されて、がたつくことなく保持される。
【0015】
このようなマルチパックでは、スリーブ9の高さ方向の構造材が対向する開立板3と閉立板4のみであり、隣り合う2個の缶Cに接する閉立板4の幅を2個の缶Cの半径の和、すなわち1個の缶Cの直径と同程度に設定でき、天面板1及び底面板2を、3個の缶Cの上下面を半分ずつ覆い開立板3が繋がる最小限の面積に設定できるので、材料の使用量を抑制でき、包装コストを削減することができる。
【0016】
また、3個の缶Cを寄せ合って保持する珍しい形態であり、缶Cがスリーブ9から大きく露出するので、缶C自体のデザインにより高い訴求効果が得られ、開立板3やその両側の押圧片7を利用して、各缶Cごとに特徴を表示することもできる。
【0017】
なお、この実施形態では、底面板2に貼着板5を貼り付けてスリーブ9を形成したが、差込片を穴に差し込んでロックする構造や、テープ等の接合部材を用いる構造等、他の接合構造を採用してもよい。
【0018】
また、押圧片7を、両方の開立板3の外側縁に連設したが、さらに長い押圧片7を、一方の開立板3の外側縁にのみ連設し、スリーブ9の両端から挿入される缶Cと、開立板3の開口から挿入される缶Cとの間に挟み込むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施形態に係る3缶用マルチパックのブランクを示す図
【図2】同上の折畳状態を示す図
【図3】同上の組立過程を示す斜視図
【図4】同上の使用状態を示す斜視図
【図5】同上の縦断正面図
【図6】同上の横断平面図
【符号の説明】
【0020】
1 天面板
2 底面板
3 開立板
4 閉立板
5 貼着板
6 保持片
7,8 押圧片
9 スリーブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個の缶を寄せ合って包装するマルチパックにおいて、天面板1、底面板2、開立板3及び閉立板4を連設して、開立板3が両側方へ張り出し、開立板3の中間部分が開口したスリーブ9を形成し、天面板1及び底面板2の両側縁と、開立板3の開口の上下縁とに保持片6を連設すると共に、開立板3の外側縁及び開口の両側縁に押圧片7,8を連設し、スリーブ9の両端及び開立板3の開口から缶を挿入して、各缶の上下面に内側へ折り込んだ保持片6を係合させ、各缶の外周に内側へ折り曲げた押圧片7,8を弾力的に当接させる3缶用マルチパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−137501(P2007−137501A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−336911(P2005−336911)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】