説明

3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を含有する液体医薬組成物および抗不整脈事象に関する治療法

本発明は3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、有利には9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、および最も有利にはテディサミル、およびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物の使用に関し、これのヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における、液体医薬組成物の形での使用に関する。更に、本発明は治療方法および医薬製品に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、有利には9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、および最も有利にはテディサミル、およびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物の使用に関し、これのヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における、液体医薬組成物の形での使用に関する。更に、本発明は治療方法および医薬製品に関する。
【0002】
式Iの9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物およびその薬理学的活性は公開されたヨーロッパ特許EP103833および相当するUS特許4550112、およびフィンランドの特許FI 76338から公知である。式Iの化合物は前記特許明細書中に記載されている9,9−N,N′−テトラ置換した3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物のサブグループであり、そこに記載された方法で製造することができる。前記の特許明細書は、該化合物が一般に有用な心臓活性特性、特に酸素節約効果および心拍数および心リズムに効果を有し、かつ高い生理学的許容性により優れていることを開示している。こうして、この化合物は低投与量でさえ十分な抗不整脈作用を示す。更に、心臓の収縮力に関する不所望なマイナスの効果は著しく低い;すなわちこの化合物はマイナスの筋変力第2活性に対する抗不整脈性活性または心臓不応期延長活性の特に有利な比を有している。
【0003】
更に、Burow等は米国特許第5164401号明細書中に、この化合物が有利なナトリウムとカリウム間の排泄比を有する明白な利尿作用を有していることも記載している。
【0004】
更に、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、特に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物の特別な塩およびその製造がUS5324732に記載されている。こうして、US5324732は該化合物1モルあたりフマル酸1.5モルを含有する該化合物のフマル酸塩を記載している。
【0005】
心房細動(AFib)は入院を必要とする最も一般的な持続性心臓不整脈であり、世界中の数百万の人々が冒されている。AFibの罹患率は年齢および構造的心臓疾患に伴って上昇し、同様に女性より男性に僅かに多い。AFibは重大な死亡率および罹患率と関連し、生活の質に著しい影響を与える。この不整脈を有する患者の正常洞リズム(NSR)の回復は血行力学的条件の改善、症状の軽減、および多分塞栓症の危険性を減少する。このことはDCカルジオバージョンを用いて達成することができるが、この技術は全身麻酔および入院の必要のような制限を有する。従って、薬理学的変換は魅力的な代替法として提案されており;種々の抗不整脈剤がこの目的のために試験されている。しかしながら、これらの薬剤の多くは、例えば前不整脈に関する潜在性、LV機能の損傷、または必要とされない心外性効果のような重大な副作用を有する。従って、良好な臨床的効果を有しているだけでなく、好適な安全プロフィールを有する新規抗不整脈剤の開発が必要とされている。
【0006】
テディサミルは新規のクラスIII抗不整脈剤であり、マルチプルカリウムチャネルをブロックし、洞拍数を遅くする。これは一過性外向Ito、ATP−依存性IK−ATPおよび遅延調整カリウム流IKr、IKsおよびIKuをブロックする際に、心房および心室活動電位期間の両方を延長する。テディサミルは心室より心房において活動電位期間をより強力に延長する。他の選択的カリウムチャネルブロック剤とは異なり、テディサミルは心室不応性に関してリバース拍数依存効果を示さず、このことは前不整脈になる傾向から遠ざけている。最終的に、テディサミルは明らかに抗狭心症および抗虚血性を有している。予測、ランダム化、コントロールされた試験がAFibまたはAFluの迅速な変換に関する効果および安全性を評価した。
【0007】
本発明の課題は、抗不整脈事象の治療および/または予防を必要とするヒト患者のための新規医薬組成物および新規医学的治療を提供することである。
【0008】
本発明のその他の課題は、抗不整脈事象の治療および/または予防を必要とするヒト患者に改善された効果を有する新規抗不整脈医薬組成物を提供することである。その他の本発明の課題は、前記課題に関連する医薬製品を提供することである。
【0009】
本発明の課題は、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、および最も有利にはテディサミルの、およびこれらの化合物の生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの公知有用な薬理学的特性が、特にヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防において、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換において、これを液体組成物として、完全な一回投与および/または連続的な投与に代えて、特別な投与ルートまたは計画により投与する場合に、更に強化されうることを、意外にも見いだしたことにより達せられた。本発明による更なる観点によれば、この課題は本発明に記載されたような少なくとも1種の抗不整脈活性の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物をヒト患者の抗不整脈に有効な量で含有する抗不整脈液体医薬組成物、治療法、および特別なおよび発明性を有する投与ルートまたは投与計画に適合されたまたは好適である方法および医薬製剤を提供することにより達せられる。
【0010】
従って、本発明の対象は少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、少なくともその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療に有効な量を含有する、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における液体医薬組成物であって、段階的投与のために、全体的に非連続的投与および/または場合により部分的にのみ連続的投与のために好適であり、有利に2連続的投与相の二段階投与のために適当である液体医薬組成物である。
【0011】
特に、本発明の対象は液体薬組成物に関し、この液体医薬組成物は注入投与のために、有利に段階的な注入投与のために、場合により各段階が部分的に連続的な注入投与であり、有利には2連続的注入投与相の二段階注入投与のために適当であることを特徴とする。
【0012】
用語“液体”とは、ヒト患者に投与するために好適である、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの任意の液体の形を意味する。従って、この液体組成物は、溶液、マイクロエマルジョンおよびナノエマルジョンを包含するエマルジョンまたはマイクロ懸濁液またはナノ懸濁液を包含する懸濁液であってよい。用語“段階的および/または全体的に非連続的”とは、本発明による液体組成物を完全に一回および/または連続的段階で、または完全に一回および/または連続的投与計画で投与するのではなく、別個の投与量計画を有する少なくとも2つの相を有する一段階で、または別個の投与量計画を有する少なくとも2段階で投与することを意味する。それぞれの相および段階自体は連続的であるか、または部分的にのみ連続的であってよい。それぞれの相または段階が連続的であるのが最も有利である。
【0013】
ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における医薬組成物中に本発明により使用することのできる3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、およびこれらの化合物の生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグは、式I:
【0014】
【化1】

[式中、
R1は炭素原子1〜6個を有するアルキル基、窒素原子に直接結合していない二重結合を有する、炭素原子3〜6個を有するアルキレン基、炭素原子4〜9個を有するシクロアルキルアルキル基またはベンジル基を表し、
R2は低級アルキル基を表し、かつR3は低級アルキル基を表すか、または
R2およびR3は一緒になって炭素原子3〜6個を有するアルキレン鎖を形成し、かつ
R4は炭素原子1〜6個を有するアルキル基、窒素原子に直接結合していない二重結合を有する、炭素原子3〜6個を有するアルケニレン基、炭素原子4〜9個を有するシクロアルキルアルキル基、式a:
【0015】
【化2】

(ここで、R5は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表し、かつ
Zは炭素原子1〜3個を有するアルキレン鎖を表すかまたはフェニレン基と共役結合している二重結合を有するプロペニレン鎖を表す)に相当する基、または式b:
【0016】
【化3】

(ここで、R6は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表し、かつ
R7は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表す)に相当する基を表す]に相当する3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、またはこれらの化合物の生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物である。
【0017】
本発明による特に有利な化合物は、式中、R1が炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表す、式Iの化合物である。更に有利な式Iの化合物においては、式中、置換基R4が炭素原子1〜6個を有するアルキル基、炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基または式bに相当する基を表す。
【0018】
本発明による好適な化合物は、式中、R1が炭素原子3〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表し、R4が炭素原子3〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表す、式Iの化合物である。該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が、式I中のR2およびR3が一緒になって炭素原子4〜5個を有するアルキレン鎖を形成し、R1およびR4が相互に独立して炭素原子3〜4個を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表すか、またはシクロプロピルメチル基を表す、式Iの9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、およびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物であってよい。この化合物の群のための有利な塩は式Iの化合物1モルあたりフマル酸1.5モルを有する9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物のフマル酸塩である。
【0019】
本発明による、更に好適な化合物は、N,N′−ジシクロプロピル−メチル−9,9−テトラメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン(テディサミル)、N−イソブチル−N′−イソプロピル−9,9−ペンタメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンおよびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物からなる群から選択されている化合物である。この群の化合物の有利な塩は、N,N′−ジシクロプロピルメチル−9,9−テトラメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン(テディサミル)の、またはN−イソブチル−N′−イソプロピル−9,9−ペンタメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物の、前記9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物1モル当たりフマル酸1.5モルを含有するフマル酸塩である。
【0020】
選択的に、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物の酸付加塩として塩酸塩が本発明において同様に非常に好適である。
【0021】
特に有利な3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物は9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、テディサミルおよびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグである。これらは液体医薬組成物中の化合物として最も有利に使用される。テディサミル酸付加塩を使用する場合には、本発明によりテディサミル塩酸塩またはテディサミルセスキフマル酸塩の形で使用するのが有利である。その他の、テディサミルの薬理学的に認容性の酸付加塩は、ヨーロッパ特許103833から公知である。こうして、無機酸、例えば硫酸またはハロゲン化水素酸、特に塩酸との;または有機酸、例えば低級脂肪族モノカルボン酸またはジカルボン酸、例えば酢酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸またはサリチル酸との;またはスルホン酸との、例えば低級アルキルスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、または場合によりベンゼン環がハロゲンまたは低級アルキルで置換されたベンゼンスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸との塩が、式Iの化合物の生理学的に認容性の酸付加塩として好適である。
【0022】
意外にも、式Iに相当する3,7,9,9−テトラ−置換した3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が、これを液体医薬組成物として、段階的、全体的に非連続的および/または場合により部分的にのみ連続的投与により投与する場合に、特に2連続的投与相の二段階投与として、より詳細には以下に例示するように本発明による計画で投与する場合に、特に注入法として投与する場合に、すでに前記の公知の一般的心臓作用特性に加えて、抗不整脈のヒト患者において、特にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換において、著しく強化された効果により優れていることが見いだされた。
【0023】
例えば、本発明による液体医薬組成物が、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの第1の治療有効量を含有していてよく、これはヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分であり、これは約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって投与され、および次いで3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグ第2の治療有効量を含有していてよく、これは治療および/または予防を続けるために十分であり、これは約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与される。
【0024】
本発明の更なる実施態様は、医薬製品である。従って、本発明は前記のように、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、少なくとも1種のその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を液体医薬組成物中に薬剤として含有し、かつ該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を段階的に、全体的に非連続的および/または場合により部分的にのみ連続的に、有利に2連続的投与相の二段階投与のために投与することが可能であることを指示するラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物を含有する医薬製品および/またはパッケージに関する。そのような本発明による医薬製品および/またはパッケージは、ラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物が、液体医薬組成物が、注入投与のために、有利に段階的注入投与のために、場合により各段階が部分的に連続的注入投与であり、有利に2連続的注入投与相の二段階注入投与のために適当であるということを概説することを特徴とする。特に、本発明の実施態様においては、医薬製品および/またはパッケージが、そのなかでラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物が、液体医薬組成物が3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である第1の治療有効量を含有し、これは約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって投与され、かつ該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、治療および/または予防を続けるために十分である第2の治療有効量を含有し、これは約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与されるという投与計画に従って、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を投与することができることを概説していることを特徴とする。本発明のこの実施態様による医薬製品および/またはパッケージが、前記のように、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を薬剤として液体医薬組成物中に含有しているのが有利である。
【0025】
更なる実施態様において、本発明は治療および/または予防法に関する。従って、本発明はヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための方法、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における治療および/または予防法を包含し、その際、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有する液体医薬組成物を、該患者に、段階的投与ルート、全体的に非連続的投与ルートおよび/または場合により部分的にのみ連続的投与ルートで、有利には2連続的投与相の二段階投与のために投与する。特にこの本発明による治療および/または予防法においては、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有する液体医薬組成物が注入投与ルートにより、有利に段階的注入投与により、場合により各段階が部分的に連続的注入投与であり、有利には2連続的投与相の二段階投与のために投与される。本発明による有利な治療および/または予防法は液体医薬組成物を投与することを特徴とし、これは3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である第1の治療有効量を含有し、これを約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって投与し、かつこれは3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療および/または予防を続けるために十分である第2の治療有効量を含有し、これを約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与することを特徴とする。この本発明による治療および/または予防法においては、前に詳細を記載したように、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量が投与されるのが有利である。
【0026】
本発明の最も有利な実施態様によれば、例えば液体医薬組成物を、二段階注入法として投与することが適していて、その際、約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である第1の治療有効量を投与し、かつ次いで治療および/または予防を続けるために十分である3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの第2の治療有効量を約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与する。所定の時間帯に関しては、2つの段階または相に関しての最も推奨される投与量をより詳細に以下に例示する。しかしながら、所望の場合には、当業者はこの投与量計画をある程度広げるように変更することができることは明らかである。通常、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、有利にはテディサミルまたはその塩の1つの全量は、この塩基化合物の量をベースとして約0.16mg/kg〜約0.64mg/kgの範囲である。好ましい2段階注入法において投与されるべき特別な量の例は、この範囲の中で0.16mg/kg、0.24mg/kg、0.32mg/kg、0.48mg/kgまたは0.64mg/kgである。この全量(100質量%)の約半量(例えば50±5質量%)は最初の時間帯、例えば約10±2分間で投与され、約半量(例えば100質量%までの残りの50±5質量%)は第2の時間帯、例えば約20±5分間をかけて投与される。本発明の特別な例においては、テディサミル塩基0.32mg/kgが使用され、10分間をかけて投与量の半分を注入し、半分を20分間かけて注入する。
【0027】
一般に、本発明は全ての年齢および/または両方の性の患者に投与可能である。しかしながら、特別な実施態様においては、本発明の発見は、特に男性の患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のためにも好適であり、有利に男性患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換に好適である。このために、この特別な観点から、本発明は男性患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために、有利に男性患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における治療および/または予防のために特に好適であり、その際、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有する液体医薬組成物を、該男性該患者に、段階的投与ルート、全体的に非連続的投与ルートおよび/または場合により部分的にのみ連続的投与ルートで投与するが、しかし2連続的投与相の二段階投与として投与する場合が最も有利である。この明細書においては、発明は液体医薬組成物からなり、これは男性患者に段階的投与、全体的に非連続的投与および/または場合により部分的にのみ連続的投与に好適であり、しかしながら最も有利には3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、例えば有利にはテディサミルおよびその酸付加塩の2連続的投与相の二段階投与として投与するために最も好適である。男性患者の治療に関連する本発明の実施態様の更なる観点は、薬剤として液体医薬組成物中に、前記のような、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、少なくとも1種のその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有し、かつ該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を段階的に、全体的に非連続的および/または場合により部分的にのみ連続的に、最も有利には、2連続的投与相の二段階投与として男子患者に投与することが可能であることを指示するラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物を含有する医薬製品および/またはパッケージに向けられている。本発明の前記実施態様の内容に記載されている詳細は男性患者における抗不整脈の治療および/または予防に関する特別な実施態様にも完全に適用される。
【0028】
ヒト患者における式Iの化合物の著しく優れた抗不整脈効果は、PK/PDモデリングにより示すことができ、臨床検査データにより証明されている。この臨床検査データは、液体医薬組成物として、段階的に、全体的に非連続的におよび/または場合により部分的にのみ連続的投与計画で、本発明により投与する場合に、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、例えばテディサミル、およびその酸付加塩がヒト患者における抗不整脈の治療および/または予防のために、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換のために、適性と効果とが驚くほど強化されたことを証明する。
【0029】
臨床検査計画および結果の報告
PK/PDモデリングを使用する心房細動/粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への迅速な変換のための2段階注入法の開発
背景:テディサミル(TEDI)は新規III抗不整脈剤であり、これは種々のカリウム外向電流、例えば一過性外向電流IKur、Ito、IKr、IKsおよびIKATPをブロックし、心房細動(AF)/粗動(AFL)の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への迅速な変換のための開発下にある。10分間かけて注入されたTEDI塩基0.24mg/kgまでの静脈内投与量はAF/AFL患者におけるどんな変換をも生じさせなかった。2段階注入法は効果部位でのドラッグ濃度/暴露を強化するためにPK/PDモデルを用いて開発された。PK/PDモデルは一回注入検査からのデータをベースにした。3コンパートメント注入PKモデルおよび線形リンクを有する効果コンパートメントモデルは最適な適合を与える。PD効果のためのモデルは単純な線形モデルである。モデリング結果は18人の健康男性対象において、二重盲検、プラシーボコントロールした、ランダム化、2期間交差検査において検査し、ここではTEDI塩基0.32mg/kgの二段階注入法を使用し、投与量の半分を10分間かけてかつ投与量の半分を20分間かけて注入した。
【0030】
目的:検査の目的は安全性および許容性を評価およびTEDI血漿濃度とQT、QTcおよび心拍数との相関性、およびこれらの結果とシミュレーションデータとの比較であった。
【0031】
方法および結果:TEDIは安全でかつ良好な許容性である。期待されたPD作用、すなわちQTおよびQTc間隔の延長および心拍数における明確な減少は2時間にわたって観察された。PKおよびPD結果は、一回注入PK/PDモデルをベースとするシミュレーションと近い一致であった:一回注入をベースとしたシミュレーションは検査の予想母平均の周辺の95%信頼区間にあった。
【0032】
結論:二段階注入法は、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、例えばテディサミルおよびその酸付加塩を、液体医薬組成物として、段階的に、全体的に非連続的投与ルートおよび/または場合により部分的にのみ連続的投与計画で投与する場合に、抗不整脈作用の治療および/または予防のために、有利には心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換のために投与することは有利であり、その際生理学的な効果部位での暴露の時間が増大する。
【0033】
臨床検査報告の次の抜粋は例示された2段階注入法の更なる詳細を記載している。
【0034】
健康男性対象におけるテディサミルの二段階注入の間のおよびその後の安全性、許容性、薬力学および薬動力学を評価するための二重盲検、プラシーボコントロールした、ランダム化、一回iv投与量、2期間交差検査を次の薬剤および投与量で実施した:テディサミル二塩酸塩/体重1kg当たり0.4mgを30分間かけて注入。
【0035】
目的:
1. 二段階注入計画の間のおよびその後の健康男性対象におけるテディサミルの安全性および許容性を評価(体重1kg当たり0.4mgを30分間かけて注入、その際、投与量の半分は10分間かけて注入しかつ投与量の半分は残りの20分間をかけて注入する)。
2. テディサミルの血漿濃度と薬力学的変数、QT、QTcおよび心拍数の間の相関性を試験すること、RR間隔から計算、PK/PDモデルを使用、およびこれらの結果を従前のシミュレーション検査から得られた結果と比較すること。
【0036】
方法論:
これは1つのセンターの、二重盲検、プラシーボコントロールした、ランダム化、一回iv投与量、2期間交差検査であった。対象を処置順序テディサミル−プラシーボまたはプラシーボ−テディサミルにランダムに配分した。患者の数(計画された、スクリーニングされた、ランダム化された、および分析された):計画された:18人、スクリーニングされた:27人、ランダム化された:18人、および分析された:18人、PK/PDおよび安全分析において)
包含するための診断および主要な判定基準:
対象者は、彼らが健康な男性である場合にのみ検査に含まれ、その年齢が18〜40才(両方を含む)、その体重インデックス(BMI)が18kg/m〜28kg/mであった。試験物質および投与量および投与モード:テディサミル二塩酸塩;濃度:2mg/ml;投与量:体重1kg当たり0.4mgを30分間かけて注入、その際、投与量の半分は10分間かけて注入しかつ投与量の半分は残りの20分間をかけて注入した。
ルート:静脈内投与。
【0037】
処置の期間:
期間当たり1日、その時に30分間の全期間にわたる注入を投与した。両方の薬剤投与は1週間のウォッシュアウト期間により分離された。
【0038】
評価の判定基準:
効果/薬力学:
注入の間およびその後のテディサミルの薬力学的効果(QTおよびQTcに関する効果)を検査するためにいくつかの時点で12−リードECGを実施した。最大値および最大増大はQTcおよびQTに関して誘導し、最少値および最大減少は心拍数に関して誘導した。プラシーボ補正QTcおよびQTに関するAUC(0−24)および最大およびプラシーボ補正心拍数に関するAUC(0−24)および最少を同様に計算した。
【0039】
安全性:
スクリーニング評価は身体的検査、ECG、HIV/肝炎スクリーニング、血圧および心拍数測定、臨床実験室測定、薬剤の尿検査、アルコール呼気検査および病歴を含む。追跡評価は身体的検査、ECG、血圧および心拍数測定、臨床実験室検査、および有害事象および並行薬物治療に関する質問を含む。テディサミルの並行薬物治療の間の血圧、心拍数、およびECGを記録した。有害事象および並行薬物治療は検査の間監視した。
【0040】
薬動力学:
テディサミル血漿濃度の測定のための血液サンプルは両方の検査期間において静脈内薬剤投与の間およびその後のいくつかの時点において実施された。次の薬動力学的パラメータを測定した:AUC(0−inf)、AUT(0−t)、Cmax、Tmax、t1/2、λ、Vss、CL、MRTおよび最終半減期を考慮したデータ測定点の数。
【0041】
統計学的方法:
薬力学的:
両方の検査期間を完了した対象のデータは薬力学/薬動力学分析のために有効であると認められた。
【0042】
記述統計はECG間隔QT、QTc、RR、PR、QRSに関しておよび心拍数に関して、処置(テディサミル、プラシーボおよび“テディサミル−プラシーボ”)および時点で実施した。
【0043】
ECG間隔および心拍数に関する個別のおよび平均(相加平均±1SD)時間プロフィールは両方の処置に関してグラフを用いて示した。
【0044】
誘導されたパラメータ、すなわちQTcおよびQTに関する最大値および最大増加、および心拍数に関する最少値および最大減少に関して、別々の(共)分散(最大および最少値に関しては共分散のみ)の分析を実施した、これは対象、処置、順番およびクラス効果としての期間(および共分散体としての個々の前投与量)を含む。推定値および95%信頼区間は残留分散を用いる差異“テディサミル−プラシーボ”のために構成された。モデル仮定は残留プロットの目視検査によりチェックした。更に、記述統計が処置当たり誘導されたパラメータおよび差異“テディサミル−プラシーボ”に関して計算された。
【0045】
プラシーボ補正したQTc、QTおよび心拍数のAUC(0−24)およびプラシーボ補正した最大効果(QTcおよびQTに関する最大および心拍数の最少)に関する記述統計を計算した。更に、正規の分布結果をベースとして95%信頼区間を誘導した。
【0046】
安全性:
検査薬物治療を受けた対象は安全な評価のために有効であると認められた。
【0047】
検査薬物治療での処置後に、基準線に存在する任意の有害事象を悪化させるかまたは開始する任意の事象として定義される、治療による緊急な有害事象を各処置群に関して用語“COSTART”においてまとめた。それぞれの有害事象は、出現の頻度、期間、強度、起こる作用、結果、および検査薬物の投与との関連を評価した。有害事象に関しては各対象に関して記載した。
【0048】
各対象に関する不正常または範囲値を越えるリストは、生命徴候、実験室アッセイおよび身体的検査に関して示した。有害事象、血圧、心拍数および臨床実験室データを記述的に分析し、かつ全てのランダム化した対象の安全性を評価するために調査した。全ての臨床的異常性は記録された。
【0049】
薬動力学:
相乗平均および相当する90%信頼区間を各時点でのテディサミルの血漿濃度に関して、AUC、AUT(0−t)、CLおよびCmaxに関して計算した。
【0050】
相加平均および相当する90%信頼区間を他の変数(Vss、λ、t1/2、MRT)に関して計算した。Tmaxは最少、中央値、最大および頻度数を用いて記載した。個別のおよび平均血漿濃度対時間曲線を両方の線形スケールのまたは半対数スケールを使用してプロットした。
【0051】
薬力学/薬動力学
非線形混合効果モデルを二段階注入後のテディサミルの薬動力学および薬力学を特徴付けるために使用した。時間にわたっての母平均予測プロフィールおよび信頼限界は各対象に関して作られた予測PKおよびPDから得られた。
【0052】
以前の一回注入検査において確立されたテディサミル注入の薬動力学および薬力学的モデルは3つのステージで実証されている:
i)一回注入検査データセットに関する最適PKモデルが決定された。
ii)ジョイントPK/PD分析は一回注入検査のデータにおいて拡大されたデータセットに関して達成された。
iii)シミュレーションをベースとする母平均PK/PD予測プロフィールは一回注入研究をベースとしたものと比較した。
【0053】
異常値チェックは全体的な残留プロットにより、および観察されたプロット対期待プロットにより実施された。
【0054】
PK/PDコンパートメントモデル:
血漿濃度、CpのためのPKモデルは3コンパートメントコンスタント注入モデルであった。ECGパラメータに関するPD効果を観察するためのモデルには、逐次PK/PD効果−コンパートメント線形リンクモデルが使用された。
【0055】
母集団分析:
NONMEM Vが全ての薬動力学のモデリングのために使用された。PK/PD線形リンクモデルを非線形モデルのためのSAS Macro NLINMIXの使用に適合させた。
【0056】
概要および結論
効果の結果:
薬力学:
QT、QTc間隔および心拍数の誘導されたパラメータに関する記述統計を下記の表Aにまとめた。
【0057】
【表1】

【0058】
テディサミル−プラシーボの比較のためのQT、QTc間隔および心拍数の誘導されたパラメータに関する分析の概要を下記の表にまとめた:
【0059】
【表2】

【0060】
最大または最少の分析のために、前投与量を共変量として考慮した。前記の誘導されたパラメータの統計的分析において、QTおよびQTc間隔における明らかな延長および心拍数における明確な減少が示された。前記比較のそれぞれが統計的に有意であった(p<0.002)。
【0061】
前記分析に加えて、プラシーボ補正した誘導されたECG間隔のパラメータが検査された。下記の表はプラシーボ補正した誘導されたパラメータの平均、変動および一致する95%信頼区間を示す。
【0062】
【表3】

【0063】
プラシーボ補正したQTおよびQTc間隔における明らかな増大およびプラシーボ補正した心拍数における明確な減少が最大(QTおよびQTc)および最少(心拍数)値に関して95%信頼区間において示された。
【0064】
テディサミルの明らかな効果は、AUC(0−24)値には見いだすことはできなかった。このことは間隔の選択された長さにおいて説明することができる。テディサミルは投与後の最初の2時間にQTおよびQTc間隔および心拍数における強い効果を有する。こうして考慮されたAUC(0−24)においては、テディサミル効果は選択された間隔おいて遮蔽された。
【0065】
安全性の結果:
全体的に、6人の対象において7つのAEが生じた。
・テディサミルでの処置後に6つのAEが5人の対象に観察された。全てのAEは多分検査薬剤に関連するとして判定された:注入部位の反応(軽度および中程度)、注射位置での痛み(軽度×2、中程度×1)および知覚異常(軽度)。
・プラシーボの治療の間に1つのAEが1人の対象において生じた:注射部位が軽度に反応し、これは多分検査薬剤に関すると思われる。
【0066】
全体として、体重1kgあたりテディサミル二塩酸塩0.4mgでの二段階注入は十分に許容性であった。臨床的に問題となる所見は血液学的、臨床化学的、尿分析および生命徴候のパラメータにおいて観察されなかった。それにもかかわらず、テディサミル群においては投与後最初の4時間に収縮期および拡張期血圧の相加平均において僅かな増加および投与後の最初の1時間に心拍数における減少があり、かつプラシーボにおいてはほとんど変化がなかった。この結果は初期の検査において得られた安全性および許容性の結果と一致している。
【0067】
薬動力学的結果:
主要な薬動力学的パラメータの記述統計は次の表Dにおいて示されている。
【0068】
【表4】

【0069】
ピーク血漿濃度の時間は(Tmax)注入の開始後5〜75分の範囲で変動し、平均値12.5分を示す。
【0070】
PK/PDモデリング結果
最適薬動力学的モデルは三成分一定注入モデルである。この検査のPKモデリングおよびPK/PDモデリングは一回注入検査のPK/PDモデルをベースとするシミュレーションと近接して一致した。テディサミルの予測血漿濃度における対象間の可動性は一回注入検査におけるよりこの検査において大きかった。
【0071】
注入投与のための効果−コンパートメントPK/PDモデルは実際の特別な予測したQTおよびQTcに関する力を提供し:効果コンパートメントにおける予測テディサミル濃度とQTおよびQTc(それぞれ0.93と0.807)間の相関性は、観察された血漿濃度と未修正のQTおよびQTc(それぞれ0.696と0.513)との間の相関性より高かった。
【0072】
血漿濃度と最大効果との間のタイムラグは一回注入においてみられるより小さいが、しかしその差は小さかった。
【0073】
結論:
テディサミルは、健康男性対象への体重kg当たりテディサミル二塩酸塩0.4mgの二段階注入により安全で、かつ十分に許容性であった。テディサミルの期待された薬力学的作用、すなわち明らかなQTおよびQTc間隔の延長および心拍数に関する明らかな減少は、投与後の2時間にわたって観察された。PK分析は両方の一回および二段階注入薬動力学を記述するために三成分一定注入モデルを有効とし、一方PK/PD分析は両方の一回および二段階注入薬力学を記述するために効果コンパートメントリンクモデルを有効とした。これらのモデルをベースとするシミュレーションは良好な予測値を有する。
【0074】
実施された臨床検査からのデータに関する次の概要報告書は二段階注入の有用性を示す臨床効果に関する更なる詳細を示す。
【0075】
マルチセンター、二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロールされた逐次上昇投与量群検査を、心房細動または粗動を有する患者において迅速な正常洞リズムへの変換における、静脈内テディサミル投与の効果および安全性を評価するために実施した。
【0076】
薬剤/投与量:
テディサミル(体重kgあたり0.4mg)
テディサミル(体重kgあたり0.6mg)
プラシーボ
投与量は、30分間の静脈内注入法として投与された。
【0077】
1.検査デザイン
マルチセンター試験は心房細動または粗動を有する症候性患者(>3時間および<48時間)におけるテディサミル処置対プラシーボの効果および安全性を比較する二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロールされた逐次上昇投与量群検査であった。この検査の一次効果終点は注入の開始後2.5時間以内の心房細動または粗動(少なくとも60秒間)の停止であった。
【0078】
この検査は心房細動および心房粗動に関して等級化され2ステージで実施された。投与量は暫定的な安全性評価のために順次に与え、それぞれの投与量をプラシーボ群に比較した。
【0079】
この検査への登録のための対象者は、調査者のプラクシスおよびレフェラルベースからスクリーニングされた。
【0080】
スクリーニングおよび基準線の評価により適性の患者は、逐次投与量上昇アプローチでのテディサミルまたはプラシーボにランダム化される。最初のステージでは、患者は体重kgあたりテディサミル0.4mg/kgまたはプラシーボを注入期間30分間にわたって受け、その際、投与量の半分を最初の10分間で注入され、投与量の半分を残りの20分間をかけて注入される。暫定安全評価の後に、第2のステージで、患者は同じ注入法で、テディサミル0.6mg/kg体重またはプラシーボを受ける。
【0081】
検査薬剤注入の開始後、患者の心リズムを連続的に24時間、テレメトリーにより監視した。ジギタリスおよび/またはβ−ブロッカーまたはジルチアゼムはこの検査の間の心拍数コントロールに関しては許可された。
【0082】
抗不整脈剤は、テディサミルとの何らかの潜在的薬剤相互作用を回避するために、注入開始後の24時間後においてのみ許可される。
【0083】
臨床的に指示されるならば、注入に直接続けて、または検査の間の任意の時間に、調査者がDCカルジオバージョンステップアッププロトコールに従って、DCカルジオバージョンにより、洞リズムを回復することも可能である。しかしながら,注入の開始後2.5時間以内でのDCカルジオバージョンは強く防止された。
【0084】
患者は、注入の後24時間単位でテレメトリーから解放され、安全性の追跡は28日後まで受けなければならなかった。12−リードECG(60秒リズムストリップを含む)および臨床終点(正常洞リズムへの変換)を判定する24時間ホルターを標準ガイドラインによりセンターにより実施される。
【0085】
図1:検査のフローチャートを図1に示した。
【0086】
2. 検査目的
2.1 一次効果目的
検査の一次目的は、注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズム(NSR)(少なくとも60秒間で)に変換した患者のパーセンテージにより心房細動/粗動の終結における、プラシーボに対する任意の投与量のテディサミルの優位性を示すことであった。
【0087】
2.2 二次効果目的
二次効果目的は:
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後2.5時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージを決定すること。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後24時間以内の任意の時間での正常洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した患者のパーセンテージを決定すること。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後24時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後24時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージを決定すること。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後24時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージを決定すること。
・プラシーボに対するテディサミルの注入の開始後変換のための時間を測定すること。
・プラシーボに対するテディサミルの投与量−応答および濃度−応答の相関を決定すること。
【0088】
2.3 安全性の目的
安全性の目的は:プラシーボに対するテディサミルの安全性および許容性を決定すること。
【0089】
3. 包含基準および排除基準
3.1 包含基準
・スクリーニング試験が開始される前および検査薬剤が投与される前にインフォームドコンセントに自発的にサインがなされたこと。
・男性または女性、年齢18才より上。
・ランダム化の時に、最初の症状の発現または反復性の発現として生じる、記録された(60秒間リズムストリップ)徴候性心房細動または粗動(期間>3時間および<48時間)を有する患者。心房細動または粗動は前に症状の発現が記録され、かつ自然に終結したかまたは薬剤によりまたは直接電流(direct-current:DC)カルジオバージョンにより十分に治療されている場合には反復性として認められる。ランダム化の時には患者は心房細動または粗動を示さなければならない。
・血行力学的に安定である患者(仰臥位収縮期血圧>90mmHgおよび拡張期血圧<105mmHg)。
【0090】
3.2 排除基準
患者は以下の理由のいずれかに関して検査から排除されるべきである。
・妊娠した、泌乳する、または医学的に認容性の避妊を使用していない女性、
・外科的に避妊をしていない妊娠分娩可能性を有する全ての女性はスクリーニング訪問においてなされる血清妊娠テストにおいてマイナスに記録されなければならず、医学的に認容性の避妊法(例えば、卵管結紮、妊娠コントロールピル、または任意のバリヤー法)をランダム化の前に少なくとも3暦月実施していなければならない。妊娠分娩年齢の女性は、検査期間の間、妊娠することを意図してはならない、
・検査への参加を制限するか、または検査の慣性を阻止することのある、いくつかの血液学的、免疫学的、呼吸性の、尿生殖器の、胃腸の、肝性の、腎性の、内分泌学的、代謝的、栄養的に、精神医学的に、皮膚科学的に、結合組織に、筋骨格の、悪性腫瘍または関連する疾患、アレルギーまたは外科手術の形跡が、経歴、身体的検査および/または実験室評価において現れた際、
・甲状腺機能亢進症の臨床的証拠、
・経食道エコーカルジオグラムの際の、示された心房または心室の血栓または弁肥大。
・ランダム化の前の6ヶ月以内の脳血管性発作の経歴、
・NYHA機能クラスIII、IVのうっ血性心不全、
・ランダム化の時点での急性冠血管症候群、
・心室前興奮の知られた経歴および/または心電図による証拠、
・トルサード・ド・ポワントを含む生命を脅かす心室性不整脈の経歴、
・第2度または第3度のAVブロックの明らかな心電図による証拠、
・12−リードECGにより記録された心室拍数<50ppmまたは>200bpm、
・ランダム化の前30日以内での心筋梗塞、
・ランダム化前の3ヶ月以内の心臓外科手術、
・ランダム化前30日以内のステント設置またはPTCA、
・先天性長期QTシンドローム、
・ランダム化の前QT間隔>470ms、
・血漿クレアチニン>1.8mg/dl、
・血清カリウム<4.0mEq/L、
・ジギタリス中毒の形跡、
・抗不整脈剤(ジギタリス、ジルチアゼムまたはβ−ブロッカーを除く)での同時治療で、ランダム化の前に半減期×5の非連続の不実施、
・ランダム化の前の3ヶ月以内のアミオダロンでの治療、
・以前のテディサミル臨床検査における参加、
・スクリーニング訪問4週間前以内に治検薬の臨床検査および/または摂取における参加、
・スクリーニング訪問の1年以内にアルコールを含む、薬物乱用の経歴、
・重い薬剤アレルギーまたは重い異常な薬剤反応の経歴。
【0091】
4. 並行薬物療法
クラス−Iまたはクラス−IIIの抗不整脈剤の並行使用は許可されない。クラス−Iまたはクラス−IIIの抗不整脈剤をランダム化の前に5倍の排泄半減期より長く中断すべきである。アミノダロンはランダム化の3か月前に中断すべきである。更に、ベラパミルおよび全ての潜在的なPR延長薬剤は許可されない。許可される薬剤は、抗凝血剤、ワルファリンおよびその他のクマリン誘導体、ヘパリン、カリウム節約利尿剤(単独で、または他の利尿剤との組合せで)を含む抗高血圧剤、β−ブロッカー(ソタロール以外)、ジヒドロピリジンカルシウムチャネルブロッカー、ジルチアゼム、アスピリン、ジゴキシンおよびジギトキシンを含む。
【0092】
5. テスト製品、投与量および投与のモード
テディサミル二塩酸塩、体重kgあたり0.4mg、体重kgあたり0.6mgを静脈内投与した。全注入時間は30分間であり、その際、投与量の半分は10分間以内に注入し、投与量の半分は残りの20分間以内に注入した。マッチングプラシーボを静脈内投与した。
【0093】
6. 評価の判定基準
6.1効果
6.1.1 一次効果
検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常の洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した患者のパーセンテージ。
【0094】
6.1.2 二次効果
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後2.5時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージ。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後24時間以内の任意の時間での正常洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した患者のパーセンテージ。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後24時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後24時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージ。
・ プラシーボに対するテディサミルの、静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換され、かつ静脈内注入の開始後24時間まで洞リズムにおける状態の存続する患者のパーセンテージ。
・プラシーボに対するテディサミルの注入の開始後変換のための時間。
・プラシーボに対するテディサミルの投与量−応答および濃度−応答の相関。
【0095】
6.2 安全性
安全性は、身体的検査、ECG、24時間ホルター監視、生命徴候、実験室評価および有害事象に関して監視した。
【0096】
7. 統計法
処置目的の患者サンプルを効果に関して分析した。全てのテストは両側検定であり、かつp−値<0.05が有意と認められた。変換のパーセンテージにおける差異はピアソンχ二乗統計を用いて、処置群の中で比較した。安全性分析は安全性患者サンプルに関して実施した。有害事象を有する患者の数およびパーセンテージは、MedDRA有利な期間およびボディシステム用いてそれぞれの治療群に関して計算された。記述統計は、QT、心拍数および血圧における基準線からの変化に関して処置群においてまとめられた。
【0097】
8. 患者集団
8.1 患者の数
全体で、203人の患者がインフォームドコンセントにサインし、200人の患者がランダム化され、20人の患者が検査薬物治療を受けなかった。分析は2つのサンプル、安全性サンプルおよび処置目的サンプルをベースとした。
【0098】
8.1.1 安全性サンプル
安全性サンプルは180人の患者を含んだ:プラシーボ群に61人、テディサミル0.4mg/kg群(今後、0.4mg群)に65人、およびテディサミル0.6mg/kg群(今後、0.6mg群)に54人。
【0099】
8.1.2 処置目的サンプル
処置目的サンプルは175人の患者を含んだ:プラシーボ群に59人、0.4mg群に63人、および0.6mg群に54人。ランダム化されかつ薬物療法試験された180人の患者から、5人の患者が注入の開始後に効果の測定(ECGおよびホルター)を有さなかったので、ITTサンプルから除かなければならなかった。
【0100】
9. 安全性の結果
9.1 デモグラフィクス
この検査においては、全体で、患者の62%は男性で、38%が女性であり;平均年齢は63才(範囲29〜87才)。患者の45%はβ−ブロッカーで治療中であった。ランダム化の際に、患者の81%が心房細動を有し、19%が心房粗動を有した。患者の63%はNYHAクラスIの、34%はNYHAクラスIIの鬱血性心不全を有した。心房細動または心房粗動の平均期間は、24時間であり、患者の63%は、反復性発作としての心房細動または心房粗動を有した。最初に記録される心房細動または心房粗動発作からの平均時間は2.3年間であった。デモグラフィックデータは処置群の間の差のいずれもが臨床的関連性に十分に大きくはなかった。
【0101】
9.2 一次効果パラメータ
心房細動を有する患者に関して検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズムに変換した患者のパーセンテージは、プラシーボ群においては9%(N=4)であり、テディサミル0.4mg群及び0.6mg群においてはそれぞれ46%(N=24)および57%(N=24)であった。プラシーボに対する処置比較は両方の処置群に関して明らかに統計学的に有意であった(p<0.001)。
【0102】
心房粗動を有する患者に関して検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した患者のパーセンテージは、プラシーボ群においては0%であり、テディサミル0.4mg群および0.6mg群においてはそれぞれ11%および27%であった。プラシーボに対する処置比較は、テディサミル0.6mg投与群に関して明らかに統計学的に有意であった(p<0.044)。検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間で正常な洞リズムに変換した患者のパーセンテージは、β−ブロッカーを取っている心房細動を有する患者に関してはプラシーボ群においては7%(N=1)であり、テディサミル0.4mg群および0.6mg群においてはそれぞれ52%(N=14)および60%(N=12)であった。
【0103】
9.2 二次効果パラメータ
一次および二次効果パラメータのための結果を下記の第1表および第2表に記載する:
【0104】
【表5】

【0105】
【表6】

【0106】
本発明による結果、例えばランダム化したプラシーボによりコントロールされた検査の結果は、静脈内投与されたテディサミルが48時間の期間までの心房細動または粗動を有する患者の急性の変換において効果的であることを示す。テディサミル0.4mg/kgで46%の変換率が観察され、投与量0.6mg/kgで57%の変換率が観察された。テディサミル投与の開始後、35分間のカルジオバージョンへの平均時間で作用の迅速な開始であった。
【0107】
10. 結論
一次および二次効果パラメータの結果は、心房細動の正常な洞リズムへの迅速な変換において、投与量依存性およびプラシーボとテディサミル0.4mg/kgおよびテディサミル0.6mg/kgの両方との間の統計学的に有意な差異を示した。心房粗動を有する患者の結果は、高い投与量群に関して統計学的に有意であった。
【0108】
全体として、二段階注入法として投与されるテディサミルは、心房細動または粗動のNSRへの変換に有効であることが示された。テディサミルは十分に許容性であり、持続性の多形のVTは観察されず、全ての患者はVTの処置のためにDCカルジオバージョンを必要としなかった。
【0109】
最近発病した心房細動/粗動の正常洞リズムへの迅速な変換のための二段階注入法は特に男性患者において有利であろう。
【0110】
A)臨床検査第II期
最初の検査の分析は、驚くべきことに効果に関して性による差異があることを示した、例えばテディサミルで処置する場合に、男性患者は女性患者に比較してより高い変換率を示す。更に、男性患者は女性患者より安全性の問題点がより低いことを示した。従って、女性患者に比較する際に、テディサミルは抗不整脈治療において、および特に心房細動(Afib)の最近の発病の正常な洞リズム(NSR)への変換において、特に男性患者のために特異性を有することが見いだされたことは驚きであった。
【0111】
この最初の臨床検査は、心房細動または粗動を有する患者における正常な洞リズムへの迅速な変換における静脈内テディサミルの効果および安全性を評価するためのマルチセンター、二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロール、逐次上昇投与群検査であった。使用された活性成分は、テディサミル二塩酸塩であった。この検査は第II期相としてデザインされ、かつ3〜4カ国において35〜40センターで実施された。検査期間:スクリーニング:48時間まで;処置(患者において):一回30分間注入;安全性の追跡:連続的テレメトリーにおいて24時間(患者において)および28日間の安全追跡。
【0112】
検査の一次効果目的は、心房細動/粗動の終結におけるプラシーボに対するテディサミルの任意の投与量の優位性を示すべきことであり、その際注入の開始後の2.5時間以内の任意の時間で正常洞リズム(NSR)(少なくとも60秒)に変換された患者のパーセンテージにおいて測定される。二次効果目的は、プラシーボに対するテディサミルの静脈内注入の開始後2.5時間で洞リズムにおいて状態の存続する患者のパーセンテージを決定すること;プラシーボに対するテディサミルの静脈内注入の開始後24時間で洞リズムにおいて状態の存続する患者のパーセンテージを決定すること;プラシーボに対するテディサミルの注入の開始後変換するための時間を決定すること;およびプラシーボに対するテディサミルの投与量−応答および血漿濃度−応答相関を決定すること。安全性の目的:プラシーボに対するテディサミルの安全性および許容性を決定すること。
【0113】
以下の方法を適用した:マルチセンター、二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロール、逐次上昇投与群検査を静脈内テディサミル対プラシーボの効果および安全性を評価した。検査薬剤を30分間かけて注入し、その際、投与量の半分を10分間以内に、および投与量の半分を残りの20分間以内に受ける。最初の患者群は0.4mg/kg体重(bw)を受けるが、10分間以内に0.2mg/kgbwを注入され、20分間以内に0.2mg/kgbwの注入が続けられる。次に高い投与量0.6mg/kgbw(10分間以内に0.3mg/kgbwが注入され、20分間以内に0.3mg/kgbwの注入が続けられる)は、最初の投与量が評価され(盲検)、安全であることが見いだされた後に初めて投与される。第3ステージはより高い投与量を投与することができる。テディサミル血中濃度は、注入の間(10分および30分で)、正常な洞リズムに変換した時点で、再発した時点で、および注入の24時間後に評価される。
【0114】
対象の計画数:330人のランダム化(各投与群あたり患者110人)。
【0115】
包含されるための診断および主たる判定基準:
最初のまたは再発の発作として生じる、>3時間および<48時間の期間を有する心房細動および粗動。
【0116】
製品、投与量および投与法:
・テディサミル(0.4mg/kg体重)
・テディサミル(0.6mg/kg体重)
両方の投与量は30分間静脈内法により与えられる。
【0117】
対照治療、投与量および投与法:
プラシーボ(ベヒクル)を30分間の静脈内注入として投与する。
【0118】
治療の期間
全注入時間は30分間であり、その際、投与量の半分は10分間以内に注入され、かつ投与量の半分は残りの20分間以内に注入される。
【0119】
評価のための判定基準:
1)効果:
一次効果:検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した患者のパーセンテージ。
【0120】
二次効果:注入の開始後2.5時間および24時間でのNSRにおける患者のパーセンテージ;変換のための時間;投与量−応答および濃度−応答相関。
【0121】
2)安全性:
身体的検査、ECG、24時間ホルター監視、生命徴候、実験室評価および有害事象。
【0122】
統計学的方法:
全ての効果の変数を、心房細動を有する患者および心房粗動を有する患者に関して別々に評価した。変換のパーセンテージは処置群およびセンターに関するファクターで理論回帰モデルを用いて、処置群間で比較した。変換のための時間は処置群およびセンターに関するファクターで、コックス比例ハザードモデルを用いて試験した。投与量−応答および濃度−応答相関は記述統計を用いて試験された。患者の数の計算のために次の仮定が作られた:
1. 心房細動患者のためには、プラシーボ群において正常洞リズムに変換するパーセンテージ(注入の開始後2.5時間内の任意の時間で)を20%に等しくし、臨床的に適切な差は20%である。
2. 心房粗動患者のためには、プラシーボ群において正常洞リズムに変換するパーセンテージを10%に等しくし、臨床的に適切な差は40%である。
【0123】
効果に関する暫定的な分析は、外部の統計学者により第1及び第2ステージの中間に実施された。目的は、そのステージにおいて使用されるテディサミル投与量により効果がない場合にステージを終結することである。技術的には、各暫定的な分析は一次効果変数に関してテディサミルおよびプラシーボの比較のための予測能力計算であった。盲検安全審査は同時に効果分析として実施され、更に各ステージの最後にも実施される(適当な場合)。
【0124】
B)臨床検査第III期
第2の検査の分析は最初の検査の発見を確認した、すなわち効果に関して性による差異があることを示した、例えばテディサミルで処置する場合に、男性患者は女性患者に比較してより高い変換率を示す。
【0125】
第2の臨床検査は、心房細動または粗動を最近発病した対象における正常な洞リズムへの迅速な変換における静脈内テディサミルセスキフマレートの効果および安全性を評価するためのマルチセンター、二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロール、並行デザイン検査であった。
【0126】
使用された活性成分は、テディサミルセスキフマレートであった。この検査は第II期相検査としてデザインされ、かつ5カ国において30〜40センターで実施された。検査期間:スクリーニング:48時間まで;処置(入院患者):一回30分間注入;安全性の追跡:連続的テレメトリーにおいて24時間(入院患者)および28日間の安全追跡。
【0127】
検査の一次効果目的は、正常洞リズム(NSR)(少なくとも60秒)への迅速な変換におけるプラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの任意の投与量の優位性を示すことであり、その際注入の開始後の2.5時間以内の任意の時間でされた対象のパーセンテージにおいて測定された。二次効果目的は、プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの、静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズムに変換し、静脈内注入の開始後2.5時間で正常な洞リズムである対象におけるパーセンテージを決定すること;プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズムに変換し、かつ静脈内注入の開始後24時間で正常な洞リズムである対象のパーセンテージを決定すること;静脈内注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズムに変換し、かつ退院時に正常な洞リズムである対象のパーセンテージを決定すること;プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの静脈内注入の開始後正常な洞リズムに変換するための時間を決定すること;プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの投与量−応答関係および濃度−応答相関を決定すること;プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートのDCカルジオバージョンのために必要なエネルギーを決定することであった。安全性対象:プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの安全性および許容性を決定すること。
【0128】
以下の方法論を適用した:静脈内プラシーボに対するテディサミルセスキフマレートの効果および安全性を評価するためにマルチセンター、二重盲検、ランダム化、プラシーボコントロールされた検査をした。検査薬剤を30分間かけて注入し、その際、投与量の半分を10分間以内に、および投与量の半分を残りの20分間以内に受ける。対象は以下のいずれかを受けるためにランダムに割り当てられた:
−体重(bw)kgあたりテディサミル遊離塩基0.32mg(10分間以内に0.16mg/kgbw、次いで20分間以内に0.16mg/kgbw);または
−体重(bw)kgあたりテディサミル遊離塩基0.48mg(10分間以内に0.24mg/kgbw、次いで20分間以内に0.24mg/kgbw);または
−体重(bw)kgあたりテディサミル遊離塩基0.64mg(10分間以内に0.32mg/kgbw、次いで20分間以内に0.32mg/kgbw);または
−30分間のプラシーボ注入。
【0129】
計画した対象人数:
212人のランダム化された心房細動対象者(処置群あたり対象者53人)。これらの対象者は一次ターゲット集団である。更に、心房粗動を有する対象者80人(処置群あたり20人)をこの検査の範囲において登録するべきであると考慮された。しかしながら、この検査は、心房細動対象の計画した人数が達せられている場合には、心房粗動対象者を全く含まずに終結することができる。
【0130】
包含のための診断および主要な判定基準
>3時間〜<45日間の期間を有する心房細動または粗動が、最初のまたは反復性の発作として生じる。
【0131】
試験製品、投与量および投与法:
試験製品、投与量および投与法:
−テディサミル遊離塩基0.32mg/kg体重(テディサミルセスキフマレート0.51mg/kgおよびテディサミル二塩酸塩0.4mg/kgに相当);または
−テディサミル遊離塩基0.48mg/kg体重(テディサミルセスキフマレート0.77mg/kgおよびテディサミル二塩酸塩0.6mg/kgに相当);または
−テディサミル遊離塩基0.64mg/kg体重(テディサミルセスキフマレート1.02mg/kgおよびテディサミル二塩酸塩0.8mg/kgに相当)。
【0132】
これらの投与量は静脈内投与法として投与される。
【0133】
実験報告書中でのテディサミルの投与量はテディサミル遊離塩基に関する。
【0134】
対照治療、投与量および投与法:
プラシーボ(ビヒクル)をテディサミル注入と同様に30分間静脈内注入として投与する。
【0135】
処置期間:
全注入時間は30分間:投与量の半分は10分間以内に注入し、かつ半分は残りの20分間に注入した。
【0136】
評価のための判定基準:
1)効果:
一次効果:検査薬剤の注入の開始後2.5時間以内の任意の時間に正常な洞リズム(少なくとも60秒間)に変換した対象者のパーセンテージ。
【0137】
二次効果:注入の開始後2.5時間以内の任意の時間での、および24時間並びに退院時での、正常な洞リズム内の対象者のパーセンテージ、変換のための時間、投与量−応答相関および濃度−応答相関およびDCカルジオバージョンエネルギー。
【0138】
2)安全性:
物理的な試験、ECG、24時間ホルター監視、生命徴候、実験室評価および有害事象。
【0139】
統計学的方法:
変換のパーセンテージは処置群間でピアソンχ二乗統計を用いて比較される。変換のための時間は、ログ−ランクテストを用いて処置群間で比較する。投与量−応答および濃度−応答相関およびDCコンバージョンに必要なエネルギーを記述統計を用いて試験する。心房細動および心房粗動を有する対象者は別々に分析する。更に、両用の集団を分析のためにプールする。心房粗動対象集団を含む全ての分析は診査として検討される。
【0140】
【表7】

【0141】
【表8】

【0142】
【表9】

【0143】
これらのデータから、抗不整脈処置において、かつ特に心房細動(Afib)/粗動の最近の発症の正常な洞リズム(NSR)への変換において、抗不整脈の男性患者は女性患者よりテディサミルでの処置に対してより特異的に応答することがわかる。
【0144】
検査の前記結果が示すように、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、および最も有利にテディサミル、その薬学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物の男性患者における、男性患者の抗不整脈事象の治療および/または予防における、特に男性患者の心房粗動(Afib)の最近の発病のNSRへの変換における効果は、そのような効果に関する性差は、両方の性におけるテディサミルでの様々な治療において従来全く観察されなかったので、特に驚くべきことである。
【0145】
検査において見いだされたテディサミルの効果に関する結果から、テディサミル類似の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、および最も有利にテディサミル自体、同様に酸付加塩は女性患者に比べて男性患者において高い変換率を示すと要約することができる。前記の時間を越えて注入を延長する場合、より高い変換率は示されなかった。この結果から、安全に関して以下のように要約することができる:30分法において観察されるほとんど全てのTdP(トルサード・ド・ポワント)は、女性患者においてであった。ただ1人の男性は検査において0.72という高い投与量でTdPを示した。
【0146】
液体医薬組成物
治療薬剤として、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、および最も有利にはテディサミルおよびその薬学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物を、静脈内注射および注入において使用するために好適の任意の常用のおよび/または新たに開発された医薬製剤成分、例えば賦形剤、液体担体、助剤、および/またはアジュバントと共に、本発明による液体医薬組成物中に含有していてよい。液体組成物の例は、特に3,7−ジアザビシクロ−[3.3.1]−ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、および最も有利にはテディサミルの、およびその薬学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの静脈内注射のためにまたは注入のために好適な、液体、懸濁液またはエマルジョン、リポソーム、固体脂質ナノ粒子、および任意の他の常用のおよび/または新規の薬物送達システムである。注入は、例えば、滅菌した水溶液または連続相として水を有するエマルジョン;これらは通常血液と等張にされる。これらは、原則的に大容量で投与するために予定されている。
【0147】
液体組成物は通常水、オイルおよび/または脂質、有機溶剤または共溶剤、懸濁剤などのような希釈剤を含有することができる。同様に静脈内注射および特に注入に使用するために好適な、その他の常用のおよび/または新規の助剤を付加的に添加することができる、例えば保存剤、安定剤、抗酸化剤、pH調節剤、緩衝剤、例えば張度の調節または粘度の調節のためのアジュバント、抗菌剤および/または抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を添加することができる。有利に、液体医薬組成物が注入法、例えば静脈内注入のために好適であるのが有利である。活性剤の液体医薬組成物に必要とされる成分、技術および方法は当業者にとっては十分に公知である。
【0148】
3,7−ジアザビシクロ−[3.3.1]−ノナン化合物、有利に9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]−ノナン化合物、および最も有利にはテディサミルの、およびその薬学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグは、公知法で医薬賦形剤、助剤、液体担体、および/またはアジュバントと混合し、成形することができる。例えば、活性化合物および必要とされる液体医薬賦形剤または担体および所望の助剤およびアジュバント等のような成分を一緒に混合し、場合により凍結乾燥し、かつ例えば生じた溶液、エマルジョンまたはリポソームを好適な一次包装材料、例えば注入目的のために好適なバイアル、アンプル、容器、注入パウチまたは二重チャンバシステム中に充填し、かつ付加的に滅菌することができる。通常、注入溶液は非常に注意深く製造しなければならず;特にこの溶液は等張であるか、または少なくともほぼ等張でなければならない。pH値の調整は、通常塩酸または水酸化ナトリウムの添加により実施する。注入は等張またはほぼ等張で、例えば等浸透圧またはほぼ等浸透圧であるべきである。例えば、低浸透圧の溶液を等浸透圧条件にするためには塩化ナトリウム、グルコースまたはマンニトールを添加することができる。場合により、等張条件、体水分正常条件、生理学的必要性、および活性剤の安定性に関して妥協が必要である。安定化および/または滅菌は好適である。分散した粒子を含有する注入液の製造においては、目的の使用を考慮して好適でかつ制御された粒度を確実にするために測定を実施する。容器中の注入液の体積は、標準の技術を用いる標準の投与量の取出しおよび投与を可能にするために十分である。注入液を製造するために好適な方法、成分および合わせるべき条件は、例えば、研究論文および/またはヨーロッパ薬局方またはUS薬局方のような薬局方から、当業者に十分に公知である。
【0149】
本発明の特別な観点によれば、液体医薬品は注入による投与のために好適であり、特に静脈内投与において好適である。当該分野の当業者は注入溶液および/または静脈内注射溶液を如何に製造するか、およびどのような条件が満たされるべきであるか、または如何に注入液を患者に投与するべきであるかを承知している。注入液は注射または注入のためのコンセントレートから調製することができる。注射または注入のためのコンセントレートは希釈後の注射または注入のために滅菌溶液である。これは投与の前に処方された液体で処方された体積に希釈される。希釈の後に、これは注射または注入のための要求を満たしている。注入は、患者に投与する直前に好適な滅菌溶媒の必要量中に溶解される注射または注入用の固体粉末から製造することも可能である。注射または注入のための粉末は、最終的な容器中で分配される固体の滅菌物質であり、これは処方された滅菌溶液の処方された体積と振盪する場合に、迅速に透明であり実質的に粒子不含の溶液を形成するか、または不均質な懸濁液を形成する。溶解または懸濁の後に、これらは完全に注射または注入のための要求を満たしている。通常非経口使用のための凍結乾燥した製品は、注射または注入のための粉末として考慮される。
【0150】
静脈内投与は大容量の迅速な投与を可能にする。注入の利点は、例えば活性剤の薬学的効果の、特に緊急の状態における迅速な開始である。例えば、注入は投与の第一段階または第一相の間に迅速な注入として投与することができ、次いで投与の期間にわたって薬剤の一定の血中濃度を達成し、かつ/または保持することのできる点滴による静脈内投与を実施する。投与は、投与前の薬剤不安定性を回避するために、二重チャンバシステムにおいても可能である。
【実施例】
【0151】

次の実施例は本発明による式Iの活性物質を含有する液体医薬組成物、およびそのような医薬製剤の製法をも記載する。次の例は、テディサミル二塩酸塩を含有する液体医薬製剤の製法を例示する。テディサミルセスキフマレートを含有する液体医薬製剤は同様の方法で得ることができる。
【0152】
例:アンプル組成(アンプルあたり)
N,N′−ジシクロプロピルメチル−9,9−テトラメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン二塩酸塩 5mg
塩化ナトリウム 16mg
注射用水で2.0mlまでにする。
【0153】
製法
塩化ナトリウムを注射用水中に溶解した。活性物質を撹拌下に添加し溶解する。注入目的に十分な水を最終体積まで添加した。混合物を0.25μのメンブランフィルターを通過させた。2.15mlの部分量を茶褐色ガラスアンプルに充填し、このアンプルを気密に封鎖した。このアンプルを121DEGCで30分間スチームで滅菌した。生じた注射液2mlは活性物質5mgを含有する。


【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】検査のフローチャートを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、少なくとも1種のその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療に効果的な量を含有する、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における液体医薬組成物であって、段階的投与のために、全体的に非連続的な投与および/または場合により部分的にのみ連続的な投与のために好適であり、有利に2連続的投与相の二段階投与のために好適である液体医薬組成物。
【請求項2】
この液体医薬組成物が注入投与のために、有利に段階的な注入投与のために、場合により各段階が部分的に連続的な注入投与、有利には2連続的注入投与相の二段階注入投与のために好適である、請求項1記載の液体医薬組成物。
【請求項3】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が式I:
【化1】

[式中、
R1は炭素原子1〜6個を有するアルキル基、窒素原子に直接結合していない二重結合を有する、炭素原子3〜6個を有するアルキレン基、炭素原子4〜9個を有するシクロアルキルアルキル基またはベンジル基を表し、
R2は低級アルキル基を表し、かつR3は低級アルキル基を表すか、または
R2およびR3は一緒になって炭素原子3〜6個を有するアルキレン鎖を形成し、かつ
R4は炭素原子1〜6個を有するアルキル基、窒素原子に直接結合していない二重結合を有する、炭素原子3〜6個を有するアルケニル基、炭素原子4〜9個を有するシクロアルキルアルキル基、式a:
【化2】

(ここで、R5は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表し、かつ
Zは炭素原子1〜3個を有するアルキレン鎖を表すかまたはフェニレン基と共役結合している二重結合を有するプロペニレン鎖を表す)に相当する基、または式b:
【化3】

(ここで、R6は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表し、かつ
R7は水素、ハロゲン、低級アルキルまたは低級アルコキシ基を表す)に相当する基を表す]に相当するか、またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグである、請求項1または2記載の液体医薬組成物。
【請求項4】
式中、R1が炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表す、請求項3記載の液体医薬組成物。
【請求項5】
式中、R4が炭素原子1〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基または式bに相当する基を表す、請求項3記載の液体医薬組成物。
【請求項6】
式中、R1は炭素原子3〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表し、R4が炭素原子3〜6個を有するアルキル基または炭素原子4〜7個を有するシクロアルキルアルキル基を表す、請求項3記載の液体医薬組成物。
【請求項7】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が、式I中のR2およびR3が一緒になって炭素原子4〜5個を有するアルキレン鎖を形成し、R1およびR4が相互に独立して炭素原子3〜4個を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表すか、またはシクロプロピルメチル基を表す、式Iの9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、およびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグである請求項3記載の液体医薬組成物。
【請求項8】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が式Iの化合物1モルあたりフマル酸1.5モルを有する9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物のフマル酸塩である、請求項7記載の液体医薬組成物。
【請求項9】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物がN,N′−ジシクロプロピルメチル−9,9−テトラメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン、N−イソブチル−N′−イソプロピル−9,9−ペンタメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物およびその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグからなる群から選択されている、請求項3記載の液体医薬組成物。
【請求項10】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物がN,N′−ジシクロプロピルメチル−9,9−テトラメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの、またはN−イソブチル−N′−イソプロピル−9,9−ペンタメチレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナンの、前記9,9−アルキレン−3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物1モル当たりフマル酸1.5モルを含有するフマル酸塩である、請求項9記載の液体医薬組成物。
【請求項11】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物が塩酸塩である、請求項3から7、および9項のいずれか1項記載の液体医薬組成物。
【請求項12】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたってのヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である、第1の治療有効量を含有し、かつ3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、治療および/または予防を約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって続けるために十分である、第2の治療有効量を含有する、請求項1から11までのいずれか1項記載の液体医薬組成物。
【請求項13】
ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のための方法、有利にヒト患者の心房細動(Afib)または粗動の最近の発病の正常洞リズム(NSR)への変換における方法において、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有する液体医薬組成物を、該ヒト患者に、段階的投与ルート、全体的に非連続的投与ルートおよび/または場合により部分的にのみ連続的投与ルートで、有利には2連続的投与相の二段階投与のために投与する、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防法。
【請求項14】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、またはその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有する液体医薬組成物を注入投与ルートにより、有利に段階的注入投与により、場合により各段階が部分的に連続的注入投与であり、有利には2連続的投与相の二段階投与のために投与する、請求項13記載の治療および/または予防法。
【請求項15】
3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である第1の治療有効量および3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療および/または予防を続けるために十分である第2の治療有効量を含有する液体医薬組成物を、第1有効量を約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって投与し、第2の有効量を約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与する、請求項13または14記載の治療および/または予防法。
【請求項16】
請求項3から11までのいずれか1項記載に定義されたような、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を投与する、請求項13から15までのいずれか1項記載の治療および/または予防法。
【請求項17】
請求項3から11までのいずれか1項記載に定義されたような、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、少なくとも1種のその生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を液体医薬組成物中に薬剤として含有し、かつ該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を段階的に、全体的に非連続的および/または場合により部分的にのみ連続的に、有利に2連続的投与相の二段階投与のために投与することが可能であることを指示するラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物を含有する医薬製品および/またはパッケージ。
【請求項18】
ラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物が、液体医薬組成物が、注入投与のために、有利に段階的注入投与のために、場合により各段階が部分的に連続的注入投与であり、有利に2連続的注入投与相の二段階注入投与のために適当であるということを概説する、請求項17記載の医薬製品および/またはパッケージ。
【請求項19】
ラベル、リーフレットおよび/またはパッケージ装入物が、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、ヒト患者の抗不整脈事象の治療および/または予防のために十分である第1の治療有効量および該3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの、治療および/または予防を続けるために十分である第2の治療有効量を含有する液体医薬組成物を、第1有効量を約10±2分間の、有利に約10±1分間の、最も有利には約10±0.5分間の第1の時間帯にわたって投与し、第2有効量を約20±5分間、有利に約20±3分間、最も有利に約20±1分間の第2の時間帯にわたって投与するという投与計画に従って、3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物を投与することができることを概説している、請求項17または18記載の医薬製品および/またはパッケージ。
【請求項20】
液体医薬組成物が薬剤として、請求項3から11までのいずれか1項記載に定義されたような、少なくとも1種の3,7−ジアザビシクロ[3.3.1]ノナン化合物、その生理学的に認容性の酸付加塩および/または溶媒化合物および/またはプロドラッグの治療有効量を含有している、請求項17から19までのいずれか1項記載の医薬製品および/またはパッケージ。

【図1】
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【公表番号】特表2006−510613(P2006−510613A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552627(P2004−552627)
【出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012844
【国際公開番号】WO2004/045591
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(391027619)ゾルファイ ファーマスーティカルズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (46)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Pharmaceuticals GmbH
【Fターム(参考)】