説明

4ラインCCDユニットの駆動方法、画像読取方法、画像読取装置及び画像形成装置

【課題】4ラインCCDユニットの駆動方法において、カラーからモノクロ又はモノクロからカラーへのモード切り替え時に発生する過大電圧を、制御を複雑にすることなく容易に抑制する。
【解決手段】 カラー用の駆動クロック入力端子とモノクロ用の駆動クロック入力端子とを別々に持つ4ラインCCDユニット103の駆動方法であって、4ラインCCDユニット103をカラーモードで動作させる場合も、モノクロモードで動作させる場合も、カラー用の駆動クロック(シフトパルスSP1、転送クロックTC1及びTC2)とモノクロ用の駆動クロック(シフトパルスSP2、転送クロックTC1′及びTC2′)との双方を、それぞれ対応する入力端子から4ラインCCDユニット103に入力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラー用の駆動クロック入力端子とモノクロ用の駆動クロック入力端子とを別々に持つ4ラインCCDユニットの駆動方法、この駆動方法により駆動する4ラインCCDユニットを用いて原稿画像を読み取る画像読取方法、4ラインCCDユニットを備えた画像読取装置及びこの画像読取装置を画像読取手段として備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿等の画像情報を読み取るために、ラインイメージセンサであるCCD(Charge
Coupled Device)が広く用いられている。
このCCDは一般的に、光電変換素子としてのフォトダイオードなどが画素数分配列された受光部、受光部から受け取った電荷を一時的に蓄積して出力部に向かって順次転送する転送レジスタからなる転送部及び転送部の最終段にある転送レジスタに蓄積され転送されてきた電荷をアナログ電圧に変換して出力する出力部などを備えている。
【0003】
このようなCCDにおいて1回の原稿走査でカラー画像を読み取る場合は、通常R(レッド)、G(グリーン)及びB(ブルー)それぞれの受光部を有する3ラインCCDが使用されている。
一方で、モノクロ画像を読み取る場合は、K(モノクロ)の受光部を有する1ラインCCDが使用されている。
そして、これらカラー用の3ラインCCDとモノクロ用の1ラインCCDとをユニット化して、カラー及びモノクロ何れの画像にも対応できるようにした4ラインCCDユニットも知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、4ラインCCDユニットの構成の一例として、CCDの受光部に蓄積された電荷を転送する転送レジスタのうち、カラー用の転送レジスタを駆動させるための駆動クロック入力端子と、モノクロ用の転送レジスタを駆動させるための駆動クロック入力端子とをそれぞれ設けて、カラー用とモノクロ用の転送レジスタを別々に駆動するようにした構成が開示されている。
【0005】
ここで、上述したCCDならびに4ラインCCDユニットを駆動する際の従来の駆動方法について図7及び図8を参照しながらそれぞれ説明する。図7は、CCDに入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図であり、図8は、モノクロモードにおいて4ラインCCDユニットに入力される従来の駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。
図7に示すように、CCDを駆動させるための主要な駆動クロックとしては、第1転送クロック、第2転送クロック、リセットパルス及びクランプパルスなどがあり、これらの駆動クロックの立ち上がり、あるいは立ち下がりによりCCDの駆動制御がなされる。また、図中には、CCDからのアナログ出力信号も示す。
【0006】
これら駆動クロックのうち、第1転送クロックは、CCDの転送レジスタに蓄積された電荷を後段にある出力部側の転送レジスタに順次転送していくために入力されるクロックである。第2転送クロックは、第1転送クロックの反転信号である。
リセットパルスは、アナログ電圧をリセットしてGNDへと破棄するために入力されるパルスである。クランプパルスは、リセット後の電位を所定の基準電位へとクランプするために入力されるパルスである。
【0007】
そして、このようなタイミングでCCDを駆動すると、第1転送クロックの立ち下がり(第2転送クロックの立ち上がり)のタイミングで、原稿からの反射光の強さに比例した、最終段転送レジスタに蓄積された電荷と対応するアナログ電圧が、基準となる直流オフセット電位に足されアナログ出力信号に現れる。
このアナログ電圧はその後、リセットパルスの入力によりリセットされリセットノイズが重畳される。そのリセットノイズは、クランプパルスを入力することによって、所定の基準電位へとクランプされ、基準の直流オフセット電位に安定化される。
【0008】
より具体的には、CCDの転送レジスタに蓄積された電荷は、2相駆動の第1及び第2転送クロックの入力によって、画素数分配列された転送レジスタ上を順に後段へと転送されていく。そして、最終段の電荷転送レジスタに蓄積された電荷は、第1転送クロックの立ち下がりタイミングでアナログ電圧に変換される。
その後、アナログ電圧は、次の第1転送クロックの立ち下がりタイミングが来る前に、リセットパルスによりリセットされGNDへと破棄され、リセット後の電位はクランプパルスにより直流オフセット電位へとクランプされる。このような動作を、最終段手前の転送レジスタに蓄積される電荷が最終段の転送レジスタへと転送されてくる前に毎回行うことで、適切なアナログ電圧値を取り出すようにしている。
なお、入力する第1及び第2転送クロックの数は、画素数分配列されたフォトダイオードと同じ数のクロック数を入力して1ライン全ての電荷を転送するようにする。
【0009】
一方で、4ラインCCDユニットの従来のモノクロモードの駆動方法については、図8に示すように、主要な駆動クロックとしてカラー/モノクロ切替信号、モノクロ用シフトパルス、第1モノクロ用転送クロック、第2モノクロ用転送クロック、リセットパルス、クランプパルス、カラー用シフトパルス、第1カラー用転送クロック及び第2カラー用転送クロックなどが入力される。
【0010】
なお、この4ラインCCDユニットは、カラー用のシフトパルス入力端子及び転送クロック入力端子とモノクロ用のシフトパルス入力端子及び転送クロック入力端子とを別々に備えた4ラインCCDユニットである。また、これら駆動クロックのうち、リセットパルス及びクランプパルスの説明については上述した通りなので、その説明を省略する。また、図中波線は、クロックあるいはパルスが連続して入力されることを示している。
【0011】
まず、カラー/モノクロ切替信号は、Hレベル固定をモノクロとし、Lレベル固定をカラーとして、信号をHからLあるいはLからHにすることにより、モード切り替えを行うためのものである。図示の状態では、Hレベル固定によりモノクロモードになっている。
モノクロ用シフトパルスは、モノクロ用の1ラインCCDにおける受光部のフォトダイオードにそれぞれ蓄積された電荷を、転送レジスタにシフトさせるために入力されるパルスである。このシフトパルス入力により、1ラインに画素数分配列されたフォトダイオードから、電荷が全て転送レジスタ側にシフトする。
第1モノクロ用転送クロックは、転送レジスタ側にシフトされた電荷を後段の転送レジスタに転送するために入力されるクロックである。第2モノクロ用転送クロックは、第1モノクロ用転送クロックの反転信号である。
【0012】
カラー用シフトパルスは、カラー用の3ラインCCDにおける受光部のフォトダイオードにそれぞれ蓄積された電荷を、転送レジスタ側にシフトさせるために入力されるパルスである。このシフトパルス入力により、3ラインに画素数分配列されたフォトダイオードから電荷が全て転送レジスタ側にシフトする。
第1及び第2カラー用転送クロックは、モノクロ用転送クロックと同じクロックであって、カラー読取時には3ライン全てに同時に入力される。
【0013】
このような4ラインCCDユニットにおいて、モノクロモード時は、図中に示すように、まずモノクロ用シフトパルスの入力によりモノクロ用の1ラインCCDにおける全てのフォトダイオードに蓄積された電荷が転送レジスタ側にシフトされ、その後、第1及び第2モノクロ用転送クロックが連続して入力されていき、次々と画素毎の電荷がアナログ電圧に変換されて出力されていく。これを、1ライン全ての電荷が出力されるまで繰り返し、全ての電荷の出力が終えると、次のシフトパルスが入力され上記と同様の処理を繰り返してモノクロの原稿画像を読み取っていく。
【0014】
その一方、モノクロモードにおいては、カラー用の3ラインCCDを駆動する必要がないため、カラー用シフトパルスと第1及び第2カラー用転送クロックは、図示するように、H又はLレベルへ固定する。このように、使用しないカラー用の3ラインCCDには、パルスやクロックを入力しないようにして、その動作を停止することで、消費電力の削減及び不要輻射(Electromagnetic Interference:EMI)を抑制することが一般的に行われている。
なお、カラー画像を読み取る際は、上記カラー/モノクロ切替信号がHからLになってカラーモードに切替わり、モノクロ用シフトパルス及びモノクロ用転送クロックとカラー用シフトパルス及びカラー用転送クロックとがそれぞれ入れ替わる形となる。
【0015】
ところで、上述したCCDの後段には、一般的に、出力から得られたアナログ電圧(アナログ画像信号)に対して種々のアナログ処理を行うと共に、デジタル画像信号へと変換するアナログ・フロント・エンド(以下、「AFE」という)と呼ばれるアナログ処理用の各回路を集積化したICが接続されており、そのAFEとCCDとの間には、AC結合用のACカップリングコンデンサが直列に挿入されている。
【0016】
そしてこのため、AFEには、CCDから出力されるアナログ画像信号の変化分(AC成分)しか伝わらないことになる。すなわち、これはCCDから出力されるアナログ画像信号の変化分である出力変動は、AFEに必ず伝わってしまうということになる。このため、例えば、CCDが一時的にAFEの定格を超える過大電圧を発生した場合などには、それがそのままAFEに伝わってしまい、AFEの特性劣化や、最悪デバイス破壊を引き起こす可能性がある。この点については4ラインCCDユニットを用いた場合でも同様に起こる。
このようなことから、従来より、AFEへの入力過大電圧の問題が知られており、既に過大電圧を抑制する方法がいくつか提案されている。
【0017】
例えば、特許文献2では、CCDの電源がOFF時に蓄積された不要電荷がCCDの電源をONした直後に一度にAFEに吐きだされるために発生する過大電圧を抑制することを目的に、AC結合コンデンサの充放電によってアナログ画像信号の基準電位を任意の電位に固定するクランプ手段を備え、過大電圧対応シーケンスとして、CCDの電源をOFFからONにする前に、予めクランプ処理を1ライン中の全期間を通じて行い十分な時間が経過した後にCCD電源をOFFからONにし、ON後もさらに過大電圧の影響が十分に小さくなるまでの時間の経過を待って通常クランプ動作に移行することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上述した4ラインCCDユニットにおいては、ユニットへの電源供給がON状態で継続されている場合においても、カラーからモノクロ又はモノクロからカラーへのモード切り替え時において、それまで使用していなかった方のCCD(例えば、カラーモードを使用していた場合はモノクロの1ラインCCD、モノクロモードを使用していた場合はカラーの3ラインCCD)に蓄積された不要電荷がモード切り替え直後に一度に吐き出されて過大電圧が発生するという問題があった。
【0019】
この問題について、図9を参照しながら説明する。図9は、従来の駆動方法による4ラインCCDユニットにおいて、モノクロモードからカラーモードに切り替えた場合に生じる過大電圧について説明するための図である。
なお、図中に示すモノクロ用又はカラー用のパルスやクロックは、図8で説明したものと同じものであるため、その説明を省略する。また、この図においては、アナログ出力信号もあわせて示す。このアナログ出力信号はOS1、OS2及びOS3とあるが、これらはそれぞれRGBの各ラインのCCDから出力される出力信号とRGBの順で対応しており、何れか一つがモノクロ用の出力信号としても兼用される。この例では、OS1が兼用されており、OS1には、モノクロのアナログ出力信号と、カラーのうちRのアナログ出力信号が出力されるものとする。また、ここでの4ラインCCDユニットは、図8と同様、カラー用のシフトパルス入力端子及び転送クロック入力端子とモノクロ用のシフトパルス入力端子及び転送クロック入力端子とを別々に備えたものを用いるものとする。
【0020】
そして、モノクロモード時においては、第1及び第2カラー用転送クロックが停止しているため、3ラインCCDにおいて各ライン毎に画素数分配列されたフォトダイオードには不要電荷が蓄積され、カラーモードへと切り換えた直後に、図中に示すように、過大電圧が発生してしまう。この過大電圧は、カラーモードからモノクロモードへ切り換えた直後においても同様に生じる。
【0021】
この点、特許文献1の技術では、この問題を解決するための手段については記載されていない。
一方、特許文献2の技術を用いた場合、モード切り替え以外の過大電圧対応シーケンスを別途行う必要があり、このシーケンス実行のための制御信号も必要となることから、モード切り替えにあたっての制御が複雑化し、切り替えに時間を要するという問題がある。
【0022】
この発明は、このような問題を解決し、4ラインCCDユニットの駆動方法において、カラーからモノクロ又はモノクロからカラーへのモード切り替え時に発生する過大電圧を、制御を複雑にすることなく容易に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明は、上記の目的を達成するため、カラー用の駆動クロック入力端子とモノクロ用の駆動クロック入力端子とを別々に持つ4ラインCCDユニットの駆動方法であって、上記4ラインCCDユニットをカラーモードで動作させる場合も、モノクロモードで動作させる場合も、カラー用の駆動クロックとモノクロ用の駆動クロックとの双方を、それぞれ対応する入力端子から上記4ラインCCDユニットに入力するようにしたものである。
【0024】
また、上記4ラインCCDユニットの駆動方法において、上記カラー用及びモノクロ用の駆動クロックは少なくともシフトパルスと転送クロックとをそれぞれ含むものであり、上記4ラインCCDユニットをカラーモードで動作させる場合には、上記モノクロ用の駆動クロックのうち少なくとも1つの信号周期を、モノクロモードで動作させる場合の上記モノクロ用の駆動クロックの信号周期よりも長くし、上記4ラインCCDユニットをモノクロモードで動作させる場合には、上記カラー用の駆動クロックのうち少なくとも1つの信号周期を、カラーモードで動作させる場合の上記カラー用の駆動クロックの信号周期よりも長くするようにするとよい。
【0025】
また、上記4ラインCCDユニットの駆動方法において、上記カラー用の駆動クロックと上記モノクロ用の駆動クロックとの双方を上記4ラインCCDユニットに入力する動作を、上記4ラインCCDユニットを上記カラーモードから上記モノクロモードに切り替える直前の所定期間及び、上記4ラインCCDユニットを上記モノクロモードから上記カラーモードに切り替える直前の所定期間にのみ行うようにするとよい。
そして、上記所定期間は、上記カラーモードから上記モノクロモードに切り替える場合には上記モノクロモードにおけるモノクロ用のシフトパルスの周期を、上記モノクロモードから上記カラーモードに切り替える場合には上記カラーモードにおけるカラー用のシフトパルスの周期を、それぞれ1単位とし、その自然数倍の期間にするとよい。
【0026】
また、この発明による画像読取方法は、4ラインCCDユニットを備えた画像読取装置がその4ラインCCDユニットにより原稿の画像を読み取る画像読取方法であって、上記画像読取装置の駆動手段が、上記4ラインCCDユニットを、上記いずれかの4ラインCCDユニットの駆動方法により駆動するようにしたものである。
また、この発明による画像読取装置は、4ラインCCDユニットを備えた画像読取装置であって、上記4ラインCCDユニットを上記いずれかの4ラインCCDユニットの駆動方法により駆動する駆動手段を備えたものである。
また、この発明による画像形成装置は、上記画像読取装置を画像読取手段として備えたものである。
【発明の効果】
【0027】
以上のようなこの発明の4ラインCCDユニットの駆動方法によれば、カラーからモノクロ又はモノクロからカラーへのモード切り替え時に発生する過大電圧を、制御を複雑にすることなく容易に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施形態である画像読取装置のハードウェア構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示す4ラインCCDユニットの模式図である。
【図3】図1における4ラインCCDユニットとAFEとの間の詳細な回路図である。
【図4】モノクロモードにおいて4ラインCCDユニットに入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。
【図5】モノクロモードからカラーモードへ切り替える際に4ラインCCDユニットに入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。
【図6】モノクロモードにおいて4ラインCCDユニットに入力される駆動クロックの別のタイミングチャートを示した図である。
【図7】CCDに入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。
【図8】モノクロモードにおいて4ラインCCDユニットに入力される従来の駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。
【図9】従来の駆動方法による4ラインCCDユニットにおいて、モノクロモードからカラーモードに切り替えた場合に生じる過大電圧について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明の実施形態である画像読取装置100のハードウェア構成を示したブロック図である。
図1に示すように、画像読取装置100は、照明光源101、光源点灯装置102、4ラインCCDユニット103、エミッタフォロア104、ACカップリングコンデンサ105、AFE106、データ処理部107、制御部109、及び記憶部114を備えている。なお、書込み部108は、図示しない画像形成装置が備えるものであって、データ処理部107から直接送信されたデジタル画像データ又は記憶部114に記憶され制御部109を介して送信されたデジタル画像データを、原稿に書き込むためのものである。
【0030】
このうち、照明光源101は、画像読取りを行う対象である原稿に光を照射する光源である。光源点灯装置102は、光源駆動制御部110から入力される直流電圧を交流電圧に変換して照明光源101に供給して点灯させるためのインバータ回路である。
4ラインCCDユニット103は、モノクロとカラーの原稿読取可能なラインイメージセンサであって、原稿からの反射光の強さに応じた電荷を蓄積し、その電荷をアナログ電圧に変換して出力するためのものである。なお、この4ラインCCDユニット103の構成については、図2を参照しながら後述する。
エミッタフォロア104は、4ラインCCDユニット103とAFE106の間のインピーダンス整合を行うためのものである。
ACカップリングコンデンサ105は、DC(直流)成分を除去して、4ラインCCDユニット103から出力されたアナログ電圧(アナログ画像信号)のAC(交流)成分のみを後段のAFE106へ入力するためのものである。なお、エミッタフォロア104及びACカップリングコンデンサ105については、図3を参照しながら後述する。
【0031】
AFE106は、A/D変換回路、クランプ回路、S/H回路、ゲイン調整を行う可変利得回路等の各回路を集積化したICである。このAFE106はA/D変換回路により、AFE106に入力されるアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する他、クランプ回路により入力されるアナログ画像信号のレベルを希望の一定電圧レベルに安定させるクランプ機能、変換されたデジタル画像信号のピークレベルを希望のレベルに調整する自動利得制御(Auto Gain Control:AGC)機能及びデジタル画像信号の基準となる黒レベルを希望の出力に設定する黒オフセット調整機能等も備えている。
データ処理部107は、AFE106から出力されたデジタル画像信号に対して、シェーディング補正やガンマ補正等の各種データ処理を行うためのものである。処理後のデジタル画像データは、書込み部108へ直接送信されるか、制御部109を介して記憶部114に一時記憶された後、再び、制御部109を介して書込み部108へ送信される。
【0032】
制御部109は、画像読取装置100の全体を制御するためのものであって、光源駆動制御部110、CCD駆動制御部111、AFE駆動制御部112、及びデータ処理制御部113を備えている。
このうち、光源駆動制御部110は、光源点灯装置102の駆動を制御することにより、照明光源101の放出光量を制御するためのものである。具体的には、光源点灯装置102に直流電圧を入力(印加)したり、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)信号を入力することにより照明光源101の放出光量を制御したりする。
【0033】
CCD駆動制御部111は、4ラインCCDユニット103の駆動を制御する。具体的には、4ラインCCDユニット103が有するモノクロ又はカラーの読取りモードの中から、どちらの読取りモードで4ラインCCDユニット103に原稿を読取らせるかを選択し、それを4ラインCCDユニット103に指示したりする。また、4ラインCCDユニット103へのクロックやパルスの入力タイミングも制御する。
AFE駆動制御部112は、AFE106の駆動を制御するためのものであり、データ処理制御部113は、データ処理部107の駆動を制御するためのものである。
記憶部114は、各種の駆動設定データ及びデータ処理部107によってデータ処理されたデジタル画像データを記憶するためのものである。例えば、記憶部114は、ROM、RAM、又はHDD等の記憶媒体であるものとする。ここで、各種の駆動設定データとは、光源点灯装置102の駆動設定データ、4ラインCCDユニット103の駆動設定データ、AFE106の駆動設定データ及びデータ処理部107のデータ処理設定データ等である。
【0034】
このような画像読取装置100において、原稿画像を読み取る際には、まず光源駆動制御部110が記憶部114に記憶されている駆動設定データに基づいて光源点灯装置102を制御して、照明光源101から光を照射させる。その照明光は原稿に照射され、その反射光が図示しない複数枚のミラーを経由して4ラインCCDユニット103に入力される。
そして、CCD駆動制御部111が記憶部114に記憶されている駆動設定データに基づいて4ラインCCDユニットを制御して、入力された光量に応じたアナログ画像信号を出力させる。出力されたアナログ画像信号は、エミッタフォロア104を経由し、ACカップリングコンデンサ105へ入力される。
【0035】
ここで、4ラインCCDユニット103から出力された段階のアナログ画像信号は、一定の直流オフセット電圧を基準としているが、このオフセット電圧はAFE106の入力定格電圧を超えており、そのままAFE106に入力すると、直流オフセット電圧は、ACカップリングコンデンサ105により除去できるものの、その直流オフセット電圧を基準としたアナログ画像信号は後段に伝わって入力定格電圧を超えたAC成分が伝わる場合がある。このため、ACカップリングコンデンサ105を用いて、AFE106の入力定格電圧を超えないようにアナログ画像信号の基準となる直流オフセット電圧をシフトさせた上で、アナログ画像信号をAFE106へ入力させるようにしている。なお、この点については、後述する。
【0036】
次に、エミッタフォロア104とACカップリングコンデンサ105を経たアナログ画像信号は、AFE106に入力される。そして、AFE駆動制御部112が記憶部114に記憶されている駆動設定データに基づいてAFE106を制御することにより、アナログ画像信号をデジタル画像信号へと変換し、ゲイン調整などが行われる。その後、デジタル画像信号は、データ処理制御部113により制御されるデータ処理部107にてシェーディング補正やガンマ補正などが施されデジタル画像データとなる。
このように、制御部109の備える各種制御部が、画像読取装置100内の照明光源101、4ラインCCDユニット103及びAFE106などを適宜制御することにより原稿画像を読み取ってデジタル画像データを生成することができる。
【0037】
次に、4ラインCCDユニット103の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、図1に示す4ラインCCDユニット103の模式図である。
図中に示すように、4ラインCCDユニット103は、レッド(R)用1ラインCCD103R、グリーン(G)用1ラインCCD103G、ブルー(B)用1ラインCCD103B及びモノクロ(K)用1ラインCCD103Kを備えている。そして、レッド用1ラインCCD103R、グリーン用1ラインCCD103G及びブルー用1ラインCCD103Bによりカラー用3ラインCCDを構成している。
【0038】
なお、この4ラインCCDユニット103は、図2に示すように、カラー用の転送クロック(Transfer Clock)TC1及びTC2を入力する入力端子及びカラー用のシフトパルス(Shift Pulse)SP1を入力する入力端子(以下、これら入力端子をまとめて「カラー用の駆動クロック入力端子」という)と、モノクロ用の転送クロックTC1′,TC2′を入力する入力端子及びモノクロ用のシフトパルスSP2を入力する入力端子(以下、これら入力端子をまとめて「モノクロ用の駆動クロック入力端子」という)とを別々に備えた4ラインCCDユニットである。
【0039】
また、この図においては図示しないが、4ラインCCDユニット103は、リセットパルスを入力するための入力端子とクランプパルスを入力するための入力端子を、各ラインCCDにおいてそれぞれ備えており、これら入力端子へはカラー又はモノクロ何れのモードにおいても、リセットパルスとクランプパルスが所定のタイミングでそれぞれ対応する入力端子に一括して入力されるものとする。すなわち、リセットパルスとクランプパルスは、モノクロモードとカラーモードで共通して用いられるものとする。
【0040】
このような、4ラインCCDユニット103において、レッド用1ラインCCD103Rは、レッド用フォトダイオードアレイR1、レッド用シフトゲートR2、レッド用転送レジスタR3及びレッド用出力アンプR4を備えている。
このうち、レッド用フォトダイオードアレイR1は、図示しないレッドのカラーフィルタが受光面の上に設けられたものであって、反射光の強さに応じた電荷を蓄積するフォトダイオードが画素数分配列された受光部である。
レッド用シフトゲートR2は、シフトパルスSP1の入力によりレッド用フォトダイオードアレイR1のフォトダイオードそれぞれに蓄積された電荷が一括してレッド用転送レジスタR3にシフトされる際に、その電荷の通路となるゲートである。
【0041】
レッド用転送レジスタR3は、シフトされた電荷を一時的に蓄積するとともに、転送クロックTC1及び2の入力により、蓄積された電荷を順次後段のレジスタへと転送するための転送部である。
レッド用出力アンプR4は、レッド用転送レジスタR3のうち、最終段のレジスタに蓄積された電荷をアナログ電圧に変換して出力する出力部である。このレッド用出力アンプR4から出力されるアナログ電圧が出力信号としてOS1にあらわれる。
【0042】
グリーン用1ラインCCD103G及びブルー用1ラインCCD103Bの構成については、これらそれぞれのフォトダイオードアレイに図示しないグリーンとブルーのカラーフィルタを設けた点のみがレッド用1ラインCCD103Rと異なるため、説明を省略する。
【0043】
モノクロ用1ラインCCD103Kは、モノクロ用フォトダイオードアレイK1、モノクロ用シフトゲートK2,K2′、モノクロ用転送レジスタK3,K3′及びモノクロ用出力アンプK4,K4′を備えている。
このうち、モノクロ用フォトダイオードアレイK1は、カラーフィルタが受光面上に設けられていないものであって、反射光の強さに応じた電荷を蓄積するフォトダイオードが画素数分配列された受光部である。
【0044】
モノクロ用シフトゲートK2,K2′、モノクロ用転送レジスタK3,K3′及びモノクロ用出力アンプK4,K4′は、レッド用のシフトゲートR2、転送レジスタR3及び出力アンプR4とそれぞれ同じ構成であって、モノクロ用においては、これらシフトゲートK2,K2′、転送レジスタK3,K3′及び出力アンプK4,K4′がモノクロ用フォトダイオードアレイK1を挟んでそれぞれ対称に配置され、デュアルチャネル型のラインCCDとなっている。
【0045】
このデュアルチャネル型のラインCCDにおいては、モノクロ用フォトダイオードアレイK1に蓄積された電荷のうち、奇数画素(ODD)と対応するフォトダイオードに蓄積された電荷については、シフトパルスSP2の入力によってシフトゲートK2′を介して転送レジスタK3′にシフトされる。一方、偶数画素(EVEN)と対応するフォトダイオードに蓄積された電荷については、シフトパルスSP2の入力によってシフトゲートK2を介して転送レジスタK3にシフトされる。
【0046】
これら転送レジスタK3,K3′にシフトされた奇数画素及び偶数画素に対応する電荷はそれぞれ、転送クロックTC1′及びTC2′の入力により順次後段へと転送されていき、出力アンプK4及びK4′を介してアナログ電圧に変換されて出力信号OS1及びOS2にそれぞれあらわれる。なお、OS1には、奇数画素と対応したアナログ電圧があらわれ、OS2には、偶数画素と対応したアナログ電圧があらわれる。このように、デュアルチャネル型では、同時に2ch分のアナログ電圧を出力できるので、カラー用の3ラインCCDと比べて、より高速にモノクロ画像を読み取ることができる。
【0047】
このような4ラインCCDユニット103において、モノクロ又はカラーのモード切り替えを行う際には、CCD駆動制御部111からの切替信号(Change Signal)CSにより、4ラインCCDユニット内部の各ソフトウェアを操作し、カラーの3ラインCCD又はモノクロの1ラインCCDから出力されるアナログ電圧を選択して4ラインCCDユニット103の外部に出力するようにしている。これは、図中に示すように、CCD駆動制御部111からの切り替え信号CSをインバータ201及び202を介して4ラインCCDユニット103の出力段に入力するようにしておき、切り替え信号CSの入力によって信号のH又はLを切替えてモノクロ又はカラーのスイッチ(SW)の開閉動作を行って何れか一方からのアナログ電圧を選択出力するようにしている。
【0048】
そして、4ラインCCDユニット103がカラーモードで動作する場合、CCD駆動制御部111がカラー用の駆動クロック入力端子に入力する転送クロックTC1及びTC2ならびにシフトパルスSP1の入力タイミングを制御して、合計3ch分のアナログ電圧を出力する。
【0049】
一方、モノクロモードで動作する場合、CCD駆動制御部111がモノクロ用の駆動クロック入力端子に入力する転送クロックTC1′及びTC2′ならびにシフトパルスSP2の入力タイミングを制御して、合計2ch分のアナログ電圧を出力する。
なお、CCD駆動制御部111は、上述したカラーモード又はモノクロモードにおいて、アナログ電圧をリセットしてGNDへと破棄するために入力される図示しないリセットパルスの入力タイミングと、リセット後の出力段の電位を所定の基準電位へとクランプするために入力される図示しないクランプパルスの入力タイミングもそれぞれ制御しているものとする。
【0050】
また、図2に示した4ラインCCDユニット103の構成は、あくまでも模式図であって、各ラインCCDの物理的な構成は、これに限られる訳ではない。例えば、モノクロ用1ラインCCD103Kは、デュアルチャネル型である必要はなく、カラー用の1ラインCCDと同じ構成にして、1ch分のアナログ電圧を出力するようにしても構わない。また、レッド用フォトダイオードアレイR1を互い違いになるようにもう一段設けて解像度を上げるようにしてもよい。
【0051】
次に、上述した4ラインCCDユニット103からのアナログ電圧が、AFE106の入力定格電圧を超えないようにするしくみについて、図3を参照しながら説明する。図3は、図1における4ラインCCDユニット103とAFE106との間の詳細な回路図である。
【0052】
この図においては、4ラインCCDユニット103及びエミッタフォロア104に供給される電源電圧は10〜12Vであり、AFE106に供給される電源電圧は3.3Vであるものとして説明する。また、AFE106の入力定格電圧は、0〜2Vであるものとする。また、図中出力信号Aは、5Vの直流オフセット電圧を基準として、4ラインCCDユニット103から出力された段階のマイナスパルスのアナログ電圧が重畳されている状態を示しており、出力信号Bは、2Vのオフセット電圧を基準として、AFE106へ入力される段階のマイナスパルスのアナログ電圧が重畳されている状態を示している。
【0053】
図中に示すように、エミッタフォロア104は、NPN型のバイポーラトランジスタを用いて構成される。このエミッタフォロア104は、入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いことから、4ラインCCDユニット103とAFE106の間に挿入して、AFE106の入力段における低いインピーダンスと整合をとるためのものである。なお、エミッタフォロア104用のトランジスタとしては、PNP型を用いてもよい。
【0054】
また、AFE106の入力側のオフセット電圧は、AFE106の図示しないクランプ回路によりACカップリングコンデンサ105を用いて2Vにクランプされており、AC
カップリングコンデンサ105は、2Vを基準として重畳されたアナログ電圧を後段のAFE106に入力する。すなわちこれは、入力されるアナログ電圧がAFE106の入力定格電圧の範囲内に収まるように、オフセット電圧の基準を5Vから2Vへレベルシフトさせたものであって、このことによりAFE106の入力定格電圧を超えないアナログ電圧をAFE106に入力することができる。
なお、上述した電源電圧値やオフセット電圧値は一例であって、4ラインCCDユニット103やAFE106のデバイス特性に合わせて別の値を用いても構わない。
【0055】
ここで、4ラインCCDユニット103から出力された段階のアナログ電圧の振幅値(絶対値)がもともと2V以上あると、オフセット電圧2Vを基準とした場合であっても、振幅値がGNDよりも下回ってしまい、AFE106の入力定格電圧の下限0Vを超えて、AFE106に悪影響を及ぼし、最悪の場合はデバイス破壊に至る。このため、アナログ電圧の振幅値はAFE106の入力定格電圧内に収まる範囲で使用するのが一般である。
【0056】
しかしながら、4ラインCCDユニット103の状態遷移中など過渡的な状態において、入力定格電圧の範囲を超える過大電圧が発生してしまう場合がある。例えば4ラインCCDユニット103の電源をOFFからON状態に移行する際に、電源OFF時に蓄積された不要電荷が電源をONした直後に一度に吐き出されるために過大電圧が発生してしまう。これは、背景技術の項で説明した通りである。
また、4ラインCCDユニット103においては、CCD電源ONが継続された状態においても、カラーとモノクロ間のモード切り替え時において、それまで使用していなかった方のセンサに蓄積された不要電荷がモードを切替えた直後に一度に吐き出され過大電圧が発生してしまう。これも、背景技術の項で説明した通りである。
【0057】
この問題に対処するために、上述した画像読取装置100において特徴的な点は、4ラインCCDユニット103の駆動方法である。そこで、以下この点に関連して、CCD駆動制御部111が4ラインCCDユニット103に対して行う駆動方法について図4及び図5を参照しながら説明する。
図4は、モノクロモードにおいて4ラインCCDユニット103に入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。なお、この図において示す、各種クロックやパルスの説明については、背景技術の項で説明した通りなので、その説明を省略する。
【0058】
まず、CCD駆動制御部111は、モノクロ画像を読み取るため、モノクロ用の駆動クロック入力端子のうち、モノクロ用のシフトパルス入力端子にシフトパルスSP2を入力し、モノクロ用フォトダイオードアレイK1に蓄積された電荷を、モノクロ用転送レジスタK3及びK3′にそれぞれ転送させる。その後、モノクロ用の転送クロックTC1′,TC2′を、モノクロ用転送クロック入力端子に入力して電荷を順次転送しながら、その転送の合間にリセットパルスとクランプパルスを入力してアナログ電圧をリセットし、リセット後の電位を所定の基準電位に戻す。
このように、CCD駆動制御部111が、図中に示すタイミングでモノクロ用のシフトパルスSP2と転送クロックTC1′及びTC2′を、モノクロ用の駆動クロック入力端子に入力することで、モノクロ用1ラインCCD103Kを駆動して、通常のモノクロ画像の読み取りを行う。
【0059】
一方、CCD駆動制御部111は、カラー用の3ラインCCD103R、G及びBに対しても、モノクロと同じように、カラー用のシフトパルスSP1と転送クロックTC1及びTC2を、カラー用の駆動クロック入力端子に入力してカラー用の3ラインCCD103R、G及びBを駆動するようにしている。
そして、このことにより、使用していないカラー用の3ラインCCD103R、G及びBそれぞれのフォトダイオードアレイに蓄積された不要電荷を常に転送及びリセットしておくことができ、モノクロからカラーモードに切り替えた直後の過大電圧を抑制することができる。逆に、カラーモードにおいても、モノクロ用1ラインCCD103Kを駆動するようにすれば、カラーからモノクロモードに切り替えた直後の過大電圧を抑制することができる。
【0060】
このことは、カラーモード又はモノクロモード何れのモードで動作させる場合も、カラー用の駆動クロックとモノクロ用の駆動クロックとの双方を、それぞれ対応する入力端子に入力して、カラー用の3ラインCCD103R、G及びBならびにモノクロ用1ラインCCD103Kをそれぞれ駆動することを意味している。そしてカラー用とモノクロ用の駆動クロック(シフトパルス及び転送クロック)は同じタイミングで入力されるため、モノクロモードとカラーモードそれぞれの駆動クロックを共通にすることもでき、CCD駆動制御部111の制御や駆動回路の構成を簡素化することができる。
【0061】
また、カラーモード又はモノクロモード何れのモードにおいても、同じタイミングの駆動クロックを入力すればいいため、制御を特段複雑にすることなく容易にモード切り替え直後の過大電圧を抑制することができる。なお、図4は、モノクロモードにおけるタイミングチャートを示しているが、カラーモードになった場合は切替信号CSがカラー用のLに固定される以外は、図中に示すタイミングと同じである。
【0062】
次に、図5を参照しながら、CCD駆動制御部111が4ラインCCDユニット103に対して行う別の駆動方法について説明する。図5は、モノクロモードからカラーモードへ切り替える際に4ラインCCDユニットに入力される駆動クロックのタイミングチャートを示した図である。なお、図5においては、アナログ出力信号OS1、OS2及びOS3も示しており、モノクロモードにおいては、OS1に奇数画素と対応するアナログ電圧が、OS2に偶数画素と対応するアナログ電圧がそれぞれ出力されている。
【0063】
この図5におけるタイミングチャートにおいて、図4と異なる点は、モノクロモード時においてカラー用の3ラインCCD103R、G及びBを常時駆動するのではなく、CCD駆動制御部111が、カラーに切り替わる直前の1ラインの期間だけ図4と同様にカラー用の3ラインCCD103R、G及びBを駆動するようにする。そして、このことにより、カラーモードに切り替わる直前に3ラインCCD103R、G及びBのフォトダイオードアレイそれぞれに蓄積した不要電荷を全てリセットしておくことができるので、カラーモード切り替え直後の過大電圧を抑制することができる。
また、カラーモードにおいても、CCD駆動制御部111が、モノクロモードに切り替わる直前の1ラインの期間だけモノクロ用1ラインCCD103Kを駆動するようにすれば、上記と同様の効果が得られる。
【0064】
また、モードを切り替える直前以外は、カラー又はモノクロ何れかのシフトパルスおよび転送クロックが停止しているため、駆動回路の消費電力を低減し、不要輻射をより一層抑制する効果もある。
なお、図5では、直前の1ラインの期間だけ駆動するようにしたが、これを複数ラインの期間としても構わない。また、ここでいう1ラインの期間とは、モノクロモードからカラーモードに切り替える場合にはカラーモードにおけるカラー用のシフトパルスSP1の周期を、カラーモードからモノクロモードに切り替える場合にはモノクロモードにおけるモノクロ用のシフトパルスSP2の周期を、それぞれ1単位とした場合の1周期を指しており、複数ラインの期間とは、その自然数倍の期間を意味している。
【0065】
〔変形例:図6〕
以上で実施形態の説明を終了するが、この発明において、画像読取装置100の構成、CCD駆動制御部111が4ラインCCDユニット103に入力する各種クロック又はパルスの入力タイミングが前述した実施形態で説明したものに限られないことはもちろんである。
【0066】
例えば、上述した実施形態における画像読取装置100では、各ラインCCDが備える図示しないリセットパルス入力端子及びクランプパルス入力端子には、リセットパルスとクランプパルスがそれぞれ、モノクロモードかカラーモードかに関わらず一括して入力されるものとして説明したが、モノクロモードとカラーモードとで別々にリセットパルスとクランプパルスとを入力しても構わない。
【0067】
そして、このモノクロモードとカラーモードとで別々にリセットパルスとクランプパルスとを入力する形態においては、例えばCCD駆動制御部111が4ラインCCDユニット103に対して行う別の駆動方法として、図6のような変形例に係るタイミングチャートが考えられる。図6は、モノクロモードにおいて4ラインCCDユニットに入力される駆動クロックの別のタイミングチャートを示した図である。この図においては、図中示すように、CCD駆動制御部111が、モノクロ用とカラー用のリセットパルス及びクランプパルスをそれぞれ別々に入力するようにしている。
【0068】
まず、モノクロ側については、CCD駆動制御部111が、図4と同様のタイミングでモノクロ用のシフトパルスSP2、転送クロックTC1′,TC2′、リセットパルス及びクランプパルスを入力し、通常モノクロモードにおけるモノクロ用1ラインCCD103Kの駆動を行う。
一方、カラー側についても、CCD駆動制御部111が、カラー用のシフトパルスSP1、転送クロックTC1,TC2、リセットパルス及びクランプパルスを入力し、カラー用3ラインCCD103R、G及びBの駆動を行う。この際、CCD駆動制御部111は、入力するカラー用のシフトパルスSP1、転送クロックTC1,TC2、リセットパルス及びクランプパルスのうち少なくとも1つ、あるいは全てのパルス及びクロックの周期を通常カラーモードにおける周期よりも長くするようにしている。
【0069】
ここで、CCD駆動制御部111は、周期を長くするに際して、シフトパルスSP1の1周期の間に、カラー用3ラインCCD103R、G及びBの各フォトダイオードアレイに蓄積した電荷を全て転送して出力し終えるように、入力する転送クロックTC1,TC2の数を各フォトダイオードアレイと対応する転送レジスタ数以上に設定するようにする。
このように、モノクロモード時におけるカラー用の3ラインCCD103R、G及びBを駆動するための駆動クロックの周期のうち、少なくとも1つの周期を、通常カラーモードにおける周期よりも長くすることで、カラーモードへ切り替え直後の過大電圧を抑制することに加えて、駆動回路の消費電力を低減し、不要輻射を抑制することができる。
【0070】
なお、カラーモードにおいては、図示しないが、カラー/モノクロ切替信号CSがL固定のカラーモードに切替わると、モノクロ用のシフトパルスSP2、転送クロックTC1′,TC2′、リセットパルス及びクランプパルスと、カラー用のシフトパルスSP1、転送クロックTC1,TC2、リセットパルス及びクランプパルスとがそれぞれ入れ替わる形となる。このことにより、カラーモード時におけるモノクロ用の1ラインCCD103Kを駆動するための駆動クロックの周期のうち、少なくとも1つの周期を、通常カラーモードにおける周期よりも長くすることができるので、上記と同様の効果が得られる。
また、図6ではモノクロモードにおいて、カラー用リセットパルス及びクランプパルスを通常カラーモードよりも長い周期で入力しているが、Hレベル又はLレベル固定としてリセットあるいはクランプを常時かける状態にしてもよい。
【0071】
また、4ラインCCDユニット103を備えた画像読取装置100において、原稿画像を読み取る際は、CCD駆動制御部111が上述したいずれかの駆動方法により4ラインCCDユニット103を駆動させて原稿画像を読み取るとよい。
また、4ラインCCDユニット103を備えた画像読取装置100を画像読取手段としてデジタル複写機、ファクシミリ装置、あるいはこれらの機能を複合した複合機等の画像形成装置に備えても構わない。
また、以上説明してきた実施形態及び変形例は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明してきたように、この発明の4ラインCCDユニットの駆動方法によれば、カラーからモノクロ又はモノクロからカラーへのモード切り替え時に発生する過大電圧を、制御を複雑にすることなく容易に抑制することができる。
従って、この発明を適用することにより、後段の回路ブロックに悪影響を与えない安全性の高い4ラインCCDユニットを提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
100:画像読取装置、101:照明光源、102:光源点灯装置、103:4ラインCCDユニット、103R:レッド用1ラインCCD、103G:グリーン用1ラインCCD、103B:ブルー用1ラインCCD、103K:モノクロ用1ラインCCD、104:エミッタフォロア、105:ACカップリングコンデンサ、106:AFE、107:データ処理部、108:書込み部、109:制御部、110:光源駆動制御部、111:CCD駆動制御部、112:AFE駆動制御部、113:データ処理制御部、114:記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特開2003−348296号公報
【特許文献2】特開2006−314039号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー用の駆動クロック入力端子とモノクロ用の駆動クロック入力端子とを別々に持つ4ラインCCDユニットの駆動方法であって、
前記4ラインCCDユニットをカラーモードで動作させる場合も、モノクロモードで動作させる場合も、カラー用の駆動クロックとモノクロ用の駆動クロックとの双方を、それぞれ対応する入力端子から前記4ラインCCDユニットに入力することを特徴とする4ラインCCDユニットの駆動方法。
【請求項2】
請求項1に記載の4ラインCCDユニットの駆動方法であって、
前記カラー用及びモノクロ用の駆動クロックは少なくともシフトパルスと転送クロックとをそれぞれ含むものであり、
前記4ラインCCDユニットをカラーモードで動作させる場合には、前記モノクロ用の駆動クロックのうち少なくとも1つの信号周期を、モノクロモードで動作させる場合の前記モノクロ用の駆動クロックの信号周期よりも長くし、前記4ラインCCDユニットをモノクロモードで動作させる場合には、前記カラー用の駆動クロックのうち少なくとも1つの信号周期を、カラーモードで動作させる場合の前記カラー用の駆動クロックの信号周期よりも長くすることを特徴とする4ラインCCDユニットの駆動方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の4ラインCCDユニットの駆動方法であって、
前記カラー用の駆動クロックと前記モノクロ用の駆動クロックとの双方を前記4ラインCCDユニットに入力する動作を、前記4ラインCCDユニットを前記カラーモードから前記モノクロモードに切り替える直前の所定期間及び、前記4ラインCCDユニットを前記モノクロモードから前記カラーモードに切り替える直前の所定期間にのみ行うことを特徴とする4ラインCCDユニットの駆動方法。
【請求項4】
請求項3に記載の4ラインCCDユニットの駆動方法であって、
前記所定期間は、前記カラーモードから前記モノクロモードに切り替える場合には前記モノクロモードにおけるモノクロ用のシフトパルスの周期を、前記モノクロモードから前記カラーモードに切り替える場合には前記カラーモードにおけるカラー用のシフトパルスの周期を、それぞれ1単位とし、その自然数倍の期間であることを特徴とする4ラインCCDユニットの駆動方法。
【請求項5】
4ラインCCDユニットを備えた画像読取装置が該4ラインCCDユニットにより原稿の画像を読み取る画像読取方法であって、
前記画像読取装置の駆動手段が、前記4ラインCCDユニットを、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の4ラインCCDユニットの駆動方法により駆動することを特徴とする画像読取方法。
【請求項6】
4ラインCCDユニットを備えた画像読取装置であって、
前記4ラインCCDユニットを請求項1乃至4のいずれか一項に記載の4ラインCCDユニットの駆動方法により駆動する駆動手段を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置を画像読取手段として備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−191578(P2012−191578A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55595(P2011−55595)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】