説明

4導体スペーサ

【課題】架空送電線間に配設される、着雪防止可能な4導体スペーサを提供する。
【解決手段】4本の架空送電線40をそれぞれ単独に把持する導体把持部10と、導体把持部10に連結される2本の連結体30と2本の枠体20とを有し、連結体30は、架空送電線40を把持し水平方向の関係に位置する導体把持部10にそれぞれ連結され、枠体20は、架空送電線40を把持し垂直方向の関係に位置する導体把持部10にそれぞれ連結され、連結体30は、枠体20と、枠体を覆うアタッチメント30とを有し、アタッチメント30は、凸状部31と枠体接触部32と開閉部33とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、架空送電線間に配設されるスペーサに係り、より詳しくは、着雪防止を可能とする4導体スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
鉄塔などに架設された架空送電線により交流電力を送電する場合、各々の架空送電線は、互いに接触しないように各送電線間にはスペーサが取付けられる。これにより、各送電線間は送電電圧に応じた所定の距離に保持され、強風などによる接触事故を事前に防止することができる。
【0003】
図3は、従来の4導体スペーサの架空送電線への取付けを示す構成図である。図3において、複数の架空送電線40が、4本ずつ各引止め金具50により引止められて、2本の鉄塔70間に架設されている。引止め金具50により引止められた4本の架空送電線40には、それぞれ所定の間隔で、4導体スペーサ200が取付けられ、各送電線間が所定の距離に保持されている。鉄塔70の最上部には、接地線60が取付けられ、落雷による架空送電線40への事故を防止している。
【0004】
上記のような架設構成により、各送電線間は送電電圧に応じた所定の距離に保持され、強風などによる接触事故を事前に防止することができる。ところが、従来の4導体スペーサ200は、特許文献1に記載される枠体12、特許文献2に記載される連結部20のとおり、送電線間を所定の距離に保持するためだけのものであり、着雪に対しては何らの対策も取られていない。このため、枠体と把持部それぞれへの着雪がつながって、スペーサ全体への着雪となって発達し、架空送電線のトラブルの原因となっていた。
【0005】
特許文献1には、枠体の軸対象にある偶数個の位置で、対称軸のいずれか一方の片側に設けられた導体把持部が素導体を固定把持し、他方の片側に設けられたルーズ導体把持部が、素導体をルーズ用クランプ本体で把持し、このルーズ用クランプ本体を、把持した素導体の軸回りに予め設定された角度範囲で揺動自在に枠体に連結して構成する、旨の記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−9544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、架空送電線間に配設される、着雪防止可能な4導体スペーサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の4導体スペーサは、4本の架空送電線間に配設される4導体スペーサであって、4本の架空送電線をそれぞれ単独に把持する導体把持部と、導体把持部に連結される2本の連結体と2本の枠体とを有し、連結体は、架空送電線を把持し水平方向の関係に位置する導体把持部にそれぞれ連結され、枠体は、架空送電線を把持し垂直方向の関係に位置する導体把持部にそれぞれ連結され、連結体は、枠体と、枠体を覆うアタッチメントとを有し、アタッチメントは、凸状部と枠体接触部と開閉部とを有し、開閉部を開口させ、凸状部が該枠体の上方向となるよう、該枠体に枠体接触部を接触させて取付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、架空送電線間に配設される、着雪防止可能な4導体スペーサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による4導体スペーサの構成を示す構成図。
【図2】本発明による2導体スペーサの構成を示す構成図。
【図3】従来の4導体スペーサの架空送電線への取付けを示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0011】
本発明における第1の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態による4導体スペーサの構成を示す構成図である。本発明の4導体スペーサ100は、図3に示される従来の4導体スペーサ200と同様に、4本の架空送電線40を把持し、所定の間隔で鉄塔70間に複数個取付けられている。
【0012】
図1aにおいて、4導体スペーサ100は、4本の架空送電線40をそれぞれ単独に把持する導体把持部10と、導体把持部10に連結される2本の連結体30と2本の枠体20とを有している。連結体30は、4本の架空送電線40を把持し水平方向の関係に位置する導体把持部10にそれぞれ連結され、枠体20は、架空送電線40を把持し垂直方向の関係に位置する導体把持部10にそれぞれ連結されている。また枠体20は円形の棒状を成し、両端は導体把持部10と連結されるため、所定の角度に折り曲げられている。
【0013】
図1bにおいて、連結体30は、枠体20と、枠体20を覆うアタッチメント34とを有している。アタッチメント34は、凸状部31と枠体接触部32と開閉部33とを有している。枠体20への取付けにおいて、アタッチメント34は開閉部33が開口され、凸状部31が枠体20の上方向、すなわち地上に対し反対方向となるよう、枠体20に枠体接触部32を接触させて取付けられる。アタッチメント34は、低摩擦の撥水性を有する材料であることが望ましい。また凸状部31は、左右非対称であっても良い。さらに、アタッチメント34は、丸棒状の枠体20に取付けられて回転しないように、枠体20の両端の折り曲げられた部分を覆うことにより、回転を防止する構造であっても良い。
【0014】
このように、連結体30のアタッチメント34の凸状部31が、上空に向かって取付けられているため、連結体30への着雪を防止できる。これにより、連結体30と導体把持部10それぞれへの着雪がつながって、4導体スペーサ100全体への着雪となって発達し、架空送電線のトラブルの原因となることを防止できる。また、既設の従来の4導体スペーサについては、水平方向に位置する枠体にアタッチメントを取付け、本願発明の連結体の構成とすることにより、容易に着雪を防止することができる。
【0015】
つぎに、本発明における第2の実施の形態について、図を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態による2導体スペーサの構成を示す構成図である。図2aにおいて、2導体スペーサ150は、2本の架空送電線40をそれぞれ単独に把持する導体把持部15と、導体把持部15に連結される連結体35を有している。連結体35は、2本の架空送電線40を把持し、水平方向の関係に位置する導体把持部15にそれぞれ連結されている。
【0016】
図2bにおいて、連結体35は、枠体25と、枠体25を覆うアタッチメント39とを有している。アタッチメント39は、凸状部36と枠体接触部37と開閉部38とを有している。また枠体25は、矩形の棒状体である。枠体25への取付けにおいて、アタッチメント39は開閉部38が開口され、凸状部36が枠体25の上方向、すなわち地上に対し反対方向となるよう、枠体25に枠体接触部37を接触させて取付けられる。アタッチメント39は、低摩擦の撥水性を有する材料であることが望ましい。また凸状部36は、左右非対称であっても良い。
【0017】
このように、連結体35のアタッチメント39の凸状部36が、上空に向かって取付けられているため、連結体35への着雪を防止できる。これのより、連結体35と導体把持部15それぞれへの着雪がつながって、2導体スペーサ150全体への着雪となって発達し、架空送電線のトラブルの原因となることを防止できる。また、既設の従来の2導体スペーサについては、既設の従来の4導体スペーサの場合と同様に、枠体にアタッチメントを取付け連結体の構成とすることにより、容易に着雪を防止することができる。
【符号の説明】
【0018】
10、15 導体把持部
20、25 枠体
30、35 連結体
31、36 凸状部
32、37 枠体接触部
33、38 開閉部
34、39 アタッチメント
40 架空送電線
50 引止め金具
60 接地線
70 鉄塔
100 本発明の4導体スペーサ
150 本発明の2導体スペーサ
200 従来の4導体スペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4本の架空送電線間に配設される4導体スペーサであって、
前記4本の架空送電線をそれぞれ単独に把持する導体把持部と、前記導体把持部に連結される2本の連結体と2本の枠体とを有し、
前記連結体は、前記架空送電線を把持し水平方向の関係に位置する前記導体把持部にそれぞれ連結され、前記枠体は、前記架空送電線を把持し垂直方向の関係に位置する前記導体把持部にそれぞれ連結され、
前記連結体は、前記枠体と、前記枠体を覆うアタッチメントとを有し、
前記アタッチメントは、凸状部と枠体接触部と開閉部とを有し、
前記開閉部を開口させ、前記凸状部が該枠体の上方向となるよう、該枠体に前記枠体接触部を接触させて取付けられることを特徴とする4導体スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−80639(P2012−80639A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222164(P2010−222164)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000117010)旭電機株式会社 (127)
【Fターム(参考)】