説明

5−アミノピラゾール誘導体の製造方法

【課題】簡便で高収率かつ高純度に一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法を提供すること。
【解決手段】一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体とのモル比が1:1.10〜1:5.00の範囲で用いられることを特徴とする下記一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法。


(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、5−アミノピラゾール誘導体の製造方法に関するものである。より詳細には、本発明は、5−アミノピラゾール誘導体を簡便で高収率かつ高純度に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
5−アミノピラゾール誘導体は、写真用添加剤,増感色素,染料,顔料,電子材料,医農薬品などの機能性化合物の中間体として有用な化合物であり、合成法は古くから知られている。例えば、特許文献1、2では、5−ヒドラジノ−1,3−イソフタル酸とエトキシメチルデンマロノニトリルから定量的に5−アミノピラゾール誘導体を製造する方法が開示されている。特許文献1の条件では、メチルヒドラジン及びエトキシメチルデンシアノ酢酸エチルから得られる5−アミノピラゾール誘導体には異性体が含まれ収率が悪化することが分かった。ヒドラジン化合物の立体因子によって、ヒドラジンに置換する分子構造が小さい場合に、特異的に異性体が副生するものと推測される。
特許文献3では、メチルヒドラジンとエトキシメチリデンマロノニトリルとから、5−アミノピラゾール誘導体する合成例が記載されている。特許文献3では、反応が20時間弱及ぶばかりでなく、異性体の副生に関する記述はないが、反応混合物の再結晶による精製が必要で定量的に目的物を得るに至っていない。安価製造を目指すには反応が定量的であって、精製の負荷がないことが望まれるが、現在までに異性体の副生を抑制し反応を定量的に進める技術は見出されていない。
一方、エトキシメチリデンマロノニトリルやエトキシメチルデン酢酸エチル等のメチリデン化合物類の合成は、非特許文献1に開示されている。記載されている方法は何れの場合も目的のメチリデン化合物の単離には減圧蒸留などの精製を伴い、安価製造には適していない。また反応率向上をねらい触媒の検討がなされているが、顕著な効果が得られていない。
5−アミノピラゾール誘導体の製造において、更に安価合成を目指すには、原料となるメチリデン化合物を定量的に誘導し、続けて5−アミノピラゾールを製造することが望まれるが、このような一貫合成の技術は見出されていない。
【0003】
【特許文献1】特開2006−057076号公報
【特許文献2】国際公開第06/082669号パンフレット
【特許文献3】米国特許第3336285号明細書
【非特許文献1】Reuben G. Jones, J. Am.Chem. Soc.,74 4889 (1952).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡便で高収率かつ高純度に一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来のこうした課題を克服すべく検討した結果、特定の反応条件を用いることで、副成分の生成を抑制し、目的の5−アミノピラゾール誘導体を高収率で単離できることを見出した。すなわち、一般式(3)で表される化合物を製造する際に、一般式(2)で表される化合物に対して、過剰の一般式(1)で表される化合物を低温で混合することで、副成分の生成が抑制された。
本発明の上記目的は下記方法によって達成された。
【0006】
〔1〕
一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体とのモル比が1:1.10〜1:5.00の範囲で用いられることを特徴とする下記一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。)
〔2〕
前記製造方法において、水若しくはアルコール性溶媒又は、その混合溶媒を反応溶媒として用いることを特徴とする〔1〕に記載の製造方法。
〔3〕
〔1〕の製造方法であって、少なくとも製造の仕込における温度が20℃以下であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法。
〔4〕
前記製造方法において、下記(A)、(B)の工程を含むことを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の製造方法。
(A)下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させ下記一般式(2)で表される化合物を含有する混合物を得る工程
(B)一般式(2)で表される化合物を含有する混合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させて、一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体を生成する工程
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立に脱離基を表す。)
〔5〕
前記製造方法において、前記(A)、(B)の工程を連続して行うことを特徴とする〔4〕に記載の製造方法。
〔6〕
前記(A)の工程において、反応促進剤として、酸無水物又はpKaが−3〜6の酸、から選ばれる少なくとも一つを用いることを特徴とする〔4〕又は〔5〕に記載の製造方法。
〔7〕
前記(A)の工程において、一般式(5)で表される化合物と反応促進剤のモル比を1:0.01〜1:5.00の範囲で用いることを特徴とする〔4〕〜〔6〕のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の製造方法によれば、一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体が、簡便で高収率かつ高純度に得られる。また、(B)の工程を水単独溶媒で行うことも可能なため、環境への負荷が小さい製造方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施について詳細に説明する。
まず、本明細書において用いられる置換基について若干説明する。本明細書において用いられる置換基としては、以下の基(これらの基を「置換基A」と称する)が挙げられる。
例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、ヒドラジノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又は複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
【0013】
本明細書において用いられる脂肪族基とは、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基を意味する。また、本明細書で用いられる芳香族基とは、アリール基及び置換アリール基を意味する。
【0014】
更に詳しくは、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0015】
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。詳細には、アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
【0016】
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を包含する。詳細には、アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
【0017】
アリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
複素環基としては、好ましくは、5または6員の置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族の複素環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5または6員の芳香族の複素環基であり、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよい。また、上記複素環基としては、N、O、S原子のいずれかを少なくとも含む複素環基が好ましい。例えば、チエニル基、フリル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、1,3,5−トリアジル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0018】
アリールオキシ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
シリルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から20の置換もしくは無置換のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
複素環オキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換の複素環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
カルバモイルオキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
【0020】
アミノカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等が挙げられる。
【0021】
アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
複素環チオ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換の複素環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等が挙げられる。
【0022】
アルキルまたはアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキルまたはアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
アシル基としては、好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合している複素環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0023】
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等が挙げられる。
アリールまたは複素環アゾ基としては、好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換もしくは無置換の複素環アゾ基、例えば、フェニルアゾ、p−クロロフェニルアゾ、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ等が挙げられる。
【0024】
イミド基としては、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
ホスフィノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等が挙げられる。
ホスフィニル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等が挙げられる。
ホスフィニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等が挙げられる。
ホスフィニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基が挙げられる。
シリル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
【0025】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、該水素原子が上記の置換基で置換されていても良い。そのような置換基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0026】
本発明における電子求引性基とは、電子効果で電子求引的な性質を有する置換基であり、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、σp値が大きい置換基である。例えば、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、スルホ基、トリフルオロメチル基、アルコキシカルボニル基、アシル基などが挙げられる。
ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるため、1935年にL.P.Hammettより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編“Lange’s Handbook of Chemistry”第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しく記載されている。
【0027】
本発明の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体のモル比が1:1.10〜1:5.00の範囲で用いられることを特徴とする下記一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法である。
【0028】
【化3】

【0029】
(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはNHを表す。Rは水素原子又は置換基を表す。)
【0030】
以下、一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物について説明する。
【0031】
以下、一般式(1)について説明する。
1は脂肪族基を表し、更に置換基を有していてもよい。
1における脂肪族基としては前記置換基Aで記載した脂肪族基を挙げることができ、R1として好ましくは、置換基を有していてもよい炭素数1から30の脂肪族基であり、R1として特に好ましい構造は、置換基を有していてもよい炭素数1から15の脂肪族基である。中でも好ましくは無置換の脂肪族基であり、より好ましくは、炭素数5以下のアルキル基であり、更に好ましくは、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基又はtert−ブチル基である。これらの好ましい基の場合、原料が安価であり入手性に優れ、5−アミノピラゾールの製造においてろ過性が良好である。
1が置換基を有する場合は、該置換基として前記置換基Aが挙げられる。置換基Aの中でも入手性に優れ製造におけるろ過性、生産性の観点で炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数0〜15のアミノ基、炭素数1〜15のアミノカルボニルアミノ基、炭素数1〜15の複素環基、炭素数1〜15のアシルアミノ基、炭素数1〜15のカルバモイル基、炭素数0〜15のスルファモイルアミノ基、炭素数0〜15のスルファモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数0〜10のアミノ基、炭素数1〜10のアミノカルボニルアミノ基、炭素数1〜10の複素環基、炭素数1〜10のアシルアミノ基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数0〜10のスルファモイルアミノ基、炭素数0〜10のスルファモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数0〜5のアミノ基、炭素数0〜5のカルバモイル基、炭素数1〜5の複素環基、炭素数1〜5のアシルアミノ基、炭素数1〜5のカルバモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が最も好ましい。
以上をまとめると本発明の製造方法で使用される一般式(1)は、下記(イ)と(ロ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R1は脂肪族基を表し、より好ましくは、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基又はtert−ブチル基である。
(ロ)R1が置換基を有する場合は、置換基としてヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数0〜5のアミノ基、炭素数0〜5のカルバモイル基、炭素数1〜5の複素環基、炭素数1〜5のアシルアミノ基、炭素数1〜5のカルバモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が最も好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物のR1と、R1が更に有することのできる置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、全ての置換基が前記の好ましい基である化合物が最も好ましく、特に好ましくは、R1が無置換の場合である。
【0032】
続いて一般式(2)について説明する。
2は、電子求引性基を表し更に置換基を有していてもよい。
2における電子求引性基としては前記した電子求引性基を挙げることができ、好ましくは、σp値が0.2以上の電子求引性基であり、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシル基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基であり、より好ましくは、シアノ基、カルバモイル基、カルボキシル基、スルファモイル基、スルホ基、アルコキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルコキシカルボニル基及びアリールオキシカルボニル基であり、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシスルホニル基またはアルコキシカルボニル基である。R2がこれらの電子求引性基の場合、原料の入手性及び反応の生産性、5−アミノピラゾール誘導体の単離の際のろ過性に優れる。
これらの基は更に置換基を有していても良い。更なる置換基としては、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアリール基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアリール基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアリール基が更に好ましい。
3は、水素原子または置換基を表し、更に置換基を有していても良い。より好ましくは、R3は水素原子、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキル又はアリールスルフィニル基、及びアルキル又はアリールスルホニル基であり、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アミノ基、及びアルキルチオ基であり、特に好ましくは、水素原子、アルキル基およびアルキルチオ基である。R3がこれらより選択されることにより、5−アミノピラゾール誘導体を製造する上で、生産性及びろ過性が良いため安価に製造することができる。
3が有することのできる置換基としては、置換基Aが挙げられる。置換基Aの中でも原料の入手性に優れる点及び5−アミノピラゾール誘導体の製造におけるろ過性、生産性の観点で炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数0〜15のアミノ基、炭素数1〜15のアミノカルボニルアミノ基、炭素数1〜15の複素環基、炭素数1〜15のアシルアミノ基、炭素数1〜15のカルバモイル基、炭素数0〜15のスルファモイルアミノ基、炭素数0〜15のスルファモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基、ヒドロキシル基、炭素数0〜10のアミノ基、炭素数1〜10のアミノカルボニルアミノ基、炭素数1〜10の複素環基、炭素数1〜10のアシルアミノ基、炭素数1〜10のカルバモイル基、炭素数0〜10のスルファモイルアミノ基、炭素数0〜10のスルファモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が更に好ましく、ヒドロキシル基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数0〜5のアミノ基、炭素数0〜5のカルバモイル基、炭素数1〜5の複素環基、炭素数1〜5のアシルアミノ基、炭素数1〜5のカルバモイル基、スルホ基及びカルボキシル基が最も好ましい。
【0033】
Xは、ハロゲン原子、−OR及びアミノ基を表し、Rは脂肪族基、アリール基及び複素環基を表す。これらの基は更なる置換基を有していても良い。
Xは、より好ましくは、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基またはアリールオキシ基を表し、これらの基は更なる置換基を有していてもよい。Xとして更に好ましくは、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルコキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。Xがこれらの置換基を表す場合、一般式(2)で表される化合物を誘導する上で、その原料の入手性、一般式(2)で表される化合物を製造の際の生産性、非結晶性に優れており、一般式(3)で表される化合物を製造する上で、生産性が良好でかつろ過性に優れ、製造の適性がある。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(2)のR2、R3、Xは、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R2が表す電子求引性基として、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシスルホニル基またはアルコキシカルボニル基である。
(ロ)R3が表す水素原子または置換基として、特に好ましくは、水素原子、アルキル基およびアルキルチオ基である。
(ハ)Xが表すハロゲン原子、−OR及びアミノ基として、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
なお、一般式(2)で表される化合物のR2、R3、Xの組み合わせについては、種々のR2、R3、Xの少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のR2、R3、Xが前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのR2、R3、Xが前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0034】
一般式(2)で表される化合物は一般式(2’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0035】
【化4】

【0036】
X及びR2は一般式(2)におけるX及びR2と同義であり、好ましい例も同義である。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(2’)のR2、Xは、下記(イ)と(ロ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R2が表す電子求引性基として、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシスルホニル基またはアルコキシカルボニル基である。
(ロ)Xが表すハロゲン原子、−OR及びアミノ基として、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
なお、一般式(2’)で表される化合物のR2、Xの組み合わせについては、種々のR2、Xの少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、全てのR2、Xが前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
更に、一般式(2’)で表される化合物は一般式(2’’)で表される化合物であることが更に好ましい。
【0037】
【化5】

【0038】
Xは一般式(2)におけるXと同義であり、好ましい例も同義である。
Lは、−C(O)−及びS(O)2−を表す。R6は脂肪族基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基及びアミノ基を表す。
【0039】
Lは、−C(O)−及びS(O)2−を表す。好ましくは、−C(O)−である。
6は脂肪族基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基及びアミノ基を表す。これらの基は更なる置換基を有していても良い。R6として好ましくはアルコキシ基、アリールオキシ基及びアミノ基であり、更に好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
上記を選択することにより、安価な原料を調達でき、このため安価に製造することが可能となり、製造における生産性やろ過性が良好となる。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(2’’)のX、LおよびR6は、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)Xが表すハロゲン原子、−OR及びアミノ基として、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
(ロ)Lが表す−C(O)−及びS(O)2−において、より好ましくは、−C(O)−である。
(ハ)R6が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基及びアミノ基において、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
なお、一般式(2’’)で表される化合物のX、LおよびR6の組み合わせについては、種々のX、LおよびR6の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のX、LおよびR6が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのX、LおよびR6が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0040】
一般式(2)で表される化合物としては下記の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
【化6】

【0042】
【化7】

【0043】
【化8】

【0044】
【化9】

【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
以下、一般式(3)について説明する。
一般式(3)のR1、R2およびR3は、一般式(1)および一般式(2)におけるR1、R2およびR3と同義であり、また、好ましい例も同義である。
一般式(3)で表される化合物は、R1、R2及びR3を介して複数連結してもよい。この場合、R1、R2及びR3は2価の有機基を表すことが好ましい。R1、R2及びR3が表す2価の有機基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO2−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH2−、及びこれらを組み合わせて形成される基であることが好ましい。より好ましくは、オキシ基−O−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO2−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH2−から選ばれる単独もしくは組合わせであり、更に好ましくはオキシ基−O−カルボニル基−CO−、イミノ基−NH−、メチレン基−CH2−から選ばれる単独もしくは組合わせである。これらの2価の有機基を選択すれば、安価な5−アミノピラゾールを製造することが可能となる。
以上をまとめると、本発明の製造方法で得られる一般式(3)のR1、R2およびR3は、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R1は脂肪族基を表し、より好ましくは、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基又はtert−ブチル基である。
(ロ)R2が表す電子求引性基として、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシスルホニル基またはアルコキシカルボニル基である。
(ハ)R3が表す水素原子または置換基として、特に好ましくは、水素原子、アルキル基およびアルキルチオ基である。
なお、一般式(3)で表される化合物のR1、R2およびR3の組み合わせについては、種々のR1、R2およびR3の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のR1、R2およびR3が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのR1、R2およびR3が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(3)で表される化合物は一般式(3’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0048】
【化12】

【0049】
1及びR2については、上述のR1、R2と同義であり、好ましい例も同義である。
以上をまとめると、本発明の製造方法で得られる一般式(3’)のR1およびR2は、下記(イ)と(ロ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R1は脂肪族基を表し、より好ましくは、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基又はtert−ブチル基である。
(ロ)R2が表す電子求引性基として、特に好ましくは、シアノ基、アルコキシスルホニル基またはアルコキシカルボニル基である。
なお、一般式(3’)で表される化合物のR1およびR2の組み合わせについては、種々のR1およびR2の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、全てのR1およびR2が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
更に一般式(3’)で表される化合物は一般式(3'')で表される化合物が好ましい。
【0050】
【化13】

【0051】
1、R6及びLについては、上述のR1、R6及びLと同義であり、好ましい例も同義である。
以上をまとめると、本発明の製造方法で得られる一般式(3’’)のR1、R6およびLは、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R1は脂肪族基を表し、より好ましくは、メチル基、イソプロピル基又はtert−ブチル基であり、特に好ましくは、メチル基又はtert−ブチル基である。
(ロ)Lが表す−C(O)−及びS(O)2−において、より好ましくは、−C(O)−である。
(ハ)R6が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基及びアミノ基において、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
なお、一般式(3’’)で表される化合物のR1、R6およびLの組み合わせについては、種々のR1、R6およびLの少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のR1、R6およびLが前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのR1、R6およびLが前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0052】
上記の一般式(3)、より好ましくは一般式(3’)、更に好ましくは一般式(3’’)を選択することによって、一層の安価製造及び製造における生産性、ろ過性が良好となり、5−アミノピラゾールが簡便に製造できる。
【0053】
次に具体例として一般式(3)の好ましい例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
【化14】

【0055】
【化15】

【0056】
【化16】

【0057】
【化17】

【0058】
本発明の化合物は、置換基の種類によっては、互変異性体として存在することがある。純粋な形態の任意の互変異性体、互変異性体の任意の混合物は、いずれも本発明の化合物に包含される。
【0059】
また、本発明では、一般式(1)から一般式(5)で表される化合物は、構造中に同位元素(例えば、2H、3H、13C、15N)を含有していてもよい。
【0060】
本発明に用いられる化合物には、その合成過程や単離法などによって対塩を伴っているものも含まれる。対塩はいずれのものでもよいが、例えば、ハロゲン化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、金属イオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。構造によっては分子内塩を形成しても良い。
【0061】
以下、一般式(3)で示される化合物の製造方法について説明する。
本発明において、一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体のモル比が1:1.10〜1:5.00の範囲で用いられる。好ましくは1:1.15〜1:4.00の範囲であり、より好ましくは1:1.20〜1:3.00の範囲である。
一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体のモル比を上記の範囲とすることで、異性体の生成を抑制でき、高収率で一般式(3)で表される化合物を得ることができ好ましい。
本発明の製造方法において、反応溶媒を用い、該反応溶媒が水若しくはアルコール性溶媒又は、水若しくはアルコール性溶媒の混合溶媒であることが好ましい。
アルコール性溶媒としては例えば、炭素数1〜10のアルキルアルコール、炭素数2〜10のアルキレングリコール及びグリセリンが好ましく、より好ましくはメタノール、エタノール、i−プロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールが挙げられる。更に好ましくは、メタノール、エタノール及びi−プロピルアルコールである。水及びこれらのアルコール性溶媒を適宜組み合わせて混合溶媒として用いてもよい。これらの溶媒を選択することで安価製造が可能となるばかりでなく、5−アミノピラゾールを結晶として取り出す際のろ過性が良好となり、5−アミノピラゾールの化学的純度が高くなる。
水またはアルコール性溶媒の混合溶媒を用いる場合、混合する溶媒は、炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒及びスルホキシド系溶媒が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜10の炭化水素、炭素数1〜10のエーテル、炭素数1〜10のエステル、炭素数1〜10のアミド、炭素数1〜10のケトン、炭素数1〜10のニトリル及び炭素数1〜10のスルホキシド系溶媒であり、更に好ましくは炭素数1〜10の炭化水素、炭素数1〜10のエーテルである。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、トルエン、及び2−エチルヘキサンが挙げられ、より好ましくはn−ペンタン、n−ヘキサン、及びトルエンである。これらの混合溶媒を選択することで、5−アミノピラゾールを高純度かつ高収率で得ることが可能となる。
水またはアルコール性溶媒の混合溶媒を用いる場合、その混合比は特に制限はないが、重量比で1:99〜99:1の範囲であることが好ましく、1:4〜4:1の範囲であることがより好ましい。この条件を選択することで、5−アミノピラゾールをロスなく結晶として単離が可能となる。
また混合溶媒の場合、均一状態であっても層分離するような不均一状態であっても、どちらも選択できる。
【0062】
また、反応に用いる混合溶媒の使用量は特に限定されず、反応系の種類などに応じて適宜選択することができるが、通常は一般式(1)のヒドラジン誘導体に対して溶媒を質量比でそれぞれ0.5〜100倍程度が適当であり、1〜50倍が好ましく、特に好ましくは、1〜20倍である。この条件を選択することで、生産性が増すため安価製造が可能となる。また廃溶剤が少なくなるため環境にもやさしい。
本発明の製造方法において、反応温度は、0℃〜100℃が好ましい。より好ましくは0℃〜90℃であり、更に好ましくは4℃〜80℃である。この条件を選択することで、5−アミノピラゾールの分解や異性体の副生が抑制され、かつ、加熱による時間を短縮できるため安価製造が可能となる。
反応時間は、20分〜7時間が好ましい。より好ましくは30分〜6時間であり、更に好ましくは1時間〜5時間である。この条件を選択すると、定量的に5−アミノピラゾールを得ることができ、かつ経済的な反応時間となるため安価製造が可能となる。
本工程において、一般式(2)で表される化合物と一般式(1)で表されるヒドラジン化合物の仕込における添加順序は任意であり、特に限定されないが、好ましくは、一般式(2)で表される化合物と、水若しくはアルコール性溶媒又はそれからなる混合溶媒を添加し、その中に、一般式(1)で表される化合物を滴下することである。
所望の5−アミノピラゾールを単離する方法は特に限定されない。例えば、反応で析出する5−アミノピラゾールをろ過後、反応溶媒の例で記載した溶媒で洗浄後乾燥する方法や、反応終了後、反応溶媒の例で記載した溶媒を添加し5−アミノピラゾールを晶析させ、単離・洗浄後乾燥する方法や、反応液から反応溶媒、過剰な原料を留去後に残渣を得る方法、更に反応溶媒の例で記載した溶媒で生成した5−アミノピラゾールを抽出後、水で洗浄し、有機層を乾燥する方法が挙げられる。より好ましくは、析出固体をろ別する方法であるが、反応が定量的に進行する場合には、濃縮法や溶媒抽出法が有効となる。
以上をまとめると、一般式(1)で表される化合物の製造条件としては(イ)〜(ヘ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体のモル比として1:1.10〜1:5.00の範囲で使用でき、特に好ましくは1:1.20〜1:3.00の範囲である。
(ロ)反応溶媒としては、水若しくはアルコール性溶媒又は、水若しくはアルコール性溶媒の混合溶媒であり、より好ましくは水もしくはメタノール、エタノール、i−プロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコールの単独か、もしくは、これらとn−ペンタン、n−ヘキサン、及びトルエン混合溶媒である。
(ハ)上記(ロ)の混合溶媒の混合比は重量で1:4〜4:1の範囲である。
(ニ)溶媒量として一般式(1)のヒドラジン誘導体に対して、質量比で1〜20倍が好ましい。
(ホ)反応温度として特に好ましくは4℃〜80℃である。
(ヘ)反応時間として特に好ましくは1時間〜5時間である。
なお、一般式(1)で表される化合物を製造における条件の組み合わせについては、種々の条件の少なくとも1つが前記の好ましい条件である製造が好ましく、より多くの種々の条件が前記の好ましい条件である製造がより好ましく、全てが前記の条件である製造が最も好ましい。
【0063】
前記製造方法においては、下記(A)、(B)の工程を含むことが好ましい。
(A)下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させ下記一般式(2)で表される化合物を含有する混合物を得る工程
(B)一般式(2)で表される化合物を含有する混合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させて、一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体を生成する工程
【0064】
【化18】

【0065】
(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立に脱離基を表す。)
【0066】
続いて、一般式(4)について説明する。
【0067】
一般式(4)中のXは前述の一般式(2)中のXの説明及び好ましい例と同義である。
【0068】
一般式(4)中のR4及びR5はそれぞれ独立に脱離基を表す。すなわち、一般式(4)と一般式(5)の反応によって容易に脱離する基を表す。
【0069】
脱離基とは、一般式(5)の一般式(4)への求核反応によって新たに共有単結合が形成することによって、一般式(4)の置換基がR4、R5及びXの置換する炭素原子からR4あるいはR5が離脱する置換基であることを意味する。一般的にはこれらの基を脱離基という。このR4あるいはR5はプロトンを受け取って安定なノニオンを形成する。更に反応が進行すると、先の共有単結合が二重結合へ誘導され、これに伴い先の離脱で残存するR4あるいはR5のどちらかが分子中のプロトンを伴って分子から排除される。上記2種の反応は、脱離基の離脱性によって反応が進行しなかったり、進行に時間を要したりする。すなわち、一般式(4)と一般式(5)の反応は、脱離基R4及びR5の離脱性でコントロールされ、離脱が容易なほど反応は進行しやすい。
【0070】
4及びR5の好ましい例としてはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を表し、より好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基または炭素数6〜12のアリールスルホニルオキシ基であり、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。上記ハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、及びアルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基中のアルキルスルホニルまたはアリールスルホニルについては前記置換基Aに例示された好ましいもの等が挙げられる。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(4)のR4およびR5は、下記(イ)と(ロ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)R4が表す脱離基として、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
(ロ)R5が表す脱離基として、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
なお、一般式(4)で表される化合物のR4およびR5の組み合わせについては、種々のR4およびR5の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、全てのR4およびR5が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(4)で表される化合物は一般式(4’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0071】
【化19】

【0072】
5及びXは前述のR5、Xと同義であり、好ましい例も同義である。
7は脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表し、より好ましくは脂肪族基であり、更に好ましくはアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。これらの基を選択することにより、一般式(2)で表される化合物を誘導する上で、高収率化が達成でき、安価製造が可能となる。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(4’)のX、R5およびR7は、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)Xが表すハロゲン原子、−OR及びアミノ基として、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
(ロ)R5が表す脱離基として、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
(ハ)R7が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基において、特に好ましくは最も好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。
なお、一般式(4’)で表される化合物のX、R5およびR7の組み合わせについては、種々のX、R5およびR7の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のX、R5およびR7が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのX、R5およびR7が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(4’)で表される化合物は、一般式(4’’)で表される化合物が更に好ましい。
【0073】
【化20】

【0074】
Xは前述のXと同義であり、好ましい例も同義である。
7及びR8はそれぞれ独立に脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基を表わす。より好ましくは脂肪族基であり、更に好ましくはアルキル基であり、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、最も好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。これらの基を選択することにより、一般式(2)で表される化合物を誘導する上で、高収率化が達成でき、安価製造が可能となる。
以上をまとめると、本発明の製造方法で使用される一般式(4’’)のX、R7およびR8は、下記(イ)〜(ハ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)Xが表すハロゲン原子、−OR及びアミノ基として、特に好ましくは、メトキシ基またはエトキシ基である。
(ロ)R7が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基において、特に好ましくは最も好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。
(ハ)R8が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルキルスルホニル基またはアリールスルホニル基において、特に好ましくは最も好ましくは炭素数2〜5のアルキル基である。
なお、一般式(4’’)で表される化合物のX、R7およびR8の組み合わせについては、種々のX、R7およびR8の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々のX、R7およびR8が前記の好ましい基である化合物がより好ましく、全てのX、R7およびR8が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0075】
以下に、一般式(4)で表される化合物としては下記の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【化21】

【0076】
【化22】

【0077】
次に、一般式(5)について説明する。
【0078】
一般式(5)中のR2は前述の一般式(2)及び一般式(3)のR2の説明と好ましい例と同義である。
【0079】
一般式(5)で表される化合物は一般式(5’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0080】
【化23】

【0081】
L及びR6は前述の一般式(2)で説明した際のL及びR6と同義であり、好ましい例も同義である。
すなわち、本発明の製造方法で使用される一般式(5’)のLおよびR6は、下記(イ)と(ロ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)Lが表す−C(O)−及びS(O)2−において、より好ましくは、−C(O)−である。
(ロ)R6が表す脂肪族基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基及びアミノ基において、特に好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基である。
なお、一般式(5’)で表される化合物のX、LおよびR6の組み合わせについては、種々のX、LおよびR6の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、全てのX、LおよびR6が前記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
一般式(5’)で表される化合物は一般式(5’’)で表される化合物であることがより好ましい。
【0082】
【化24】

【0083】
6は前述の一般式(2)で説明した際のR6と同義であり、好ましい例も同義である。
一般式(5)で表される化合物としては下記の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0084】
【化25】

【0085】
続いて(A)の反応工程について説明する。
(A)の反応工程は、下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させ下記一般式(2)で表される化合物を含有する混合物を製造する工程である。
【0086】
一般式(4)及び一般式(5)の反応における一般式(4)で表される化合物の一般式(5)で表される化合物に対する使用比率(モル比)は好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2.5であり、更に好ましくは1〜2.0である。この条件を選択することで反応を定量的に進行することが可能となる。
一般式(4)及び一般式(5)の反応における溶媒は、特に必要ではないが、製造において攪拌性が必要となる等の場合、反応に不活性であれば使用が可能である。その場合、例えば、炭素数1〜10の有機酸、水、炭素数1〜10のケトン、炭素数1〜10のニトリル、炭素数1〜10のアルキルアルコール、炭素数1〜10のアルキレングリコール、炭素数1〜10のエーテル、炭素数1〜10のアミド、炭素数1〜10のスルホキシド、炭素数1〜10のエステルが挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜5の有機酸、水、炭素数1〜5のケトン、炭素数1〜5のニトリル、炭素数1〜5のアルキルアルコール、炭素数1〜5のアルキレングリコール、炭素数1〜5のエーテル、炭素数1〜5のアミド、炭素数1〜5のスルホキシド、炭素数1〜5のエステルが挙げられる。具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸や、水、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等)、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステルや、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルイミダゾリジノン(DMI)、スルホラン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン(NMP)等の親水性有機溶媒が挙げられる。また、これらの溶媒を混合して用いることも可能である。溶媒として好ましくは、アルコール、有機酸、アセトニトリルまたはアセトンであり、特に好ましくは、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、酢酸、DMFまたはDMAcである。一般式(5)に対する溶媒量は質量比で100倍以下であり、より好ましくは50倍以下であり、更に好ましくは10倍以下である。100倍以上であると生産性が悪く不経済となる。これらの溶媒及び溶媒量を選択することで、5−アミノピラゾールを生産性よくかつろ過性よく安価に製造することが可能となる。
【0087】
一般式(4)及び一般式(5)の反応は、無溶媒(ニート)でも達成される。その際、塩基を伴っても良い。例えば、炭素数1〜10のアルキルアミン、炭素数1〜10の複素環アミン、炭素数1〜10の芳香族アミン等の有機塩基や無機塩基が好ましい。より好ましくは、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン)などの有機塩基や炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基が挙げられる。他に有機酸と強塩基の塩として、酢酸リチウム、酢酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩等も挙げられる。好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、トリエチルアミンまたはピリジンであり、更に好ましくは、トリエチルアミン、ピリジン、水酸化リチウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウムである。
これらの塩基を用いることで、反応を加速することが可能となり、製造への負荷を軽減することが可能となる。
【0088】
一般式(5)に対する塩基の量は、一般式(5)に対するモル(mol)比で0〜5倍であり、より好ましくは、0〜2倍であり、更に好ましくは0〜1倍である。
【0089】
反応温度においては、70℃〜140℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましく、85℃〜120℃が更に好ましい。この温度条件を選択することで、反応が定量的で時間短縮が可能となり製造の負荷が小さく、かつ原料の分解を抑制することが可能となる。一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物から一般式(2)で表される化合物の混合物を製造する際には、副成分を常圧で留去することが好ましい。また、ガスをフローあるいはバブリングしたり、減圧で副成分の留去をすることが好ましい。フローあるいはバブリングに使用するガスには不活性ガスなどの窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガスや空気を用いるのが好ましく、窒素ガスや乾燥空気が好ましく、窒素ガスを用いることが好ましい。
また、副成分を留去する時期は特に限定されず、反応中に実施したり反応後に実施することが可能である。より好ましくは反応中に実施することである。
上記の副成分を留去する際のフローあるいはバブリングについて、ガスの流量は0.01〜30mL/minが好ましい。より好ましくは0.1〜30mL/minであり、更に好ましくは0.1〜20mL/minである。これらの条件を選択することで経済的、かつ高速で副成分の留去が可能となる。
【0090】
反応時間においては、30分〜12時間が好ましく、1時間〜11時間がより好ましく、2時間〜10時間が更に好ましい。反応時間が30分以上であれば反応が十分に進行し、10時間以下であれば目的の一般式(2)で表される化合物の分解を防ぐことができ好ましい。
以上をまとめると、一般式(2)で表される化合物の製造条件としては(イ)〜(チ)の組み合わせからなるものが好ましい。
(イ)一般式(4)及び一般式(5)の反応における一般式(4)で表される化合物の一般式(5)で表される化合物に対する使用比率(モル比)は好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2.5であり、更に好ましくは1〜2.0である。
(ロ)一般式(4)及び一般式(5)の反応において、溶媒が必要な場合は、メタノール、イソプロパノール、アセトン、アセトニトリル、酢酸、DMFまたはDMAcが特に好ましい。
(ハ)溶媒を必要とする場合には、溶媒量は一般式(5)に対し、質量比で10倍以下である。
(ニ)伴っていても良い塩基として、特に好ましくはトリエチルアミン、ピリジン、水酸化リチウム、水酸化カリウム、酢酸リチウム、酢酸カリウムである。
(ホ)塩基の量は、一般式(5)に対するモル(mol)比で0〜1倍である。
(ヘ)反応温度として特に好ましくは85℃〜120℃である。
(ト)反応時間は2時間〜10時間が好ましい。
(チ)反応に使用できるガスとしては、窒素ガスが好ましく、その流量は0.1〜20mL/minが好ましい。
なお、一般式(1)で表される化合物を製造における条件の組み合わせについては、種々の条件の少なくとも1つが前記の好ましい条件である製造が好ましく、より多くの種々の条件が前記の好ましい条件である製造がより好ましく、全てが前記の条件である製造が最も好ましい。
【0091】
(B)の反応工程については、前述した一般式(3)の製造方法における製造条件と同義であり、好ましい条件も同義である。
(B)の反応工程において、一般式(2)で表される化合物を(A)の反応工程で得られた一般式(2)で表される化合物を含む混合物に変更して一般式(3)で表される化合物を製造することが出来る。
前記製造方法において、更に前記(A)、(B)の工程を連続して行うことが好ましい。
すなわち、(A)の反応工程で得られる一般式(2)で表される化合物の混合物をそのまま連続で一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造に使用することが好ましい。その場合について詳しく説明する。
(A)、(B)の工程を連続して行うことで、(A)の工程において、化合物(2)で表される化合物の析出を抑制でき、不要な溶媒の使用を回避することが可能で、そのまま(b)の工程に供することができる。更に、反応釜からの取り出しが不要となるため、(A)の工程の一般式(2)で表される化合物のロスがなく一般式(3)で表される化合物の安価製造が可能となる。
【0092】
本発明の製造方法における(B)の反応工程において、一般式(2)で表される化合物の反応混合物と一般式(1)で表される化合物の添加量については、反応混合物中に含まれる一般式(2)で表される化合物の量と一般式(1)で表される化合物はモル比が1:1.10から1:5.00の範囲で用いられることが好ましく、より好ましくは1:1.15〜1:4.00の範囲であり、特に好ましくは1:1.20〜1:3.00の範囲である。一般式(2)で表わされる化合物の反応混合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体のモル比を上記の範囲とすることで、異性体の生成を抑制でき、高収率で一般式(3)で表される化合物を得ることができ好ましい。
反応温度は、特に限定されず、反応系の種類や反応種の化合物の濃度などに応じて適宜選択できるが、(A)工程の場合0℃〜100℃が好ましい。より好ましくは0℃〜90℃であり、更に好ましくは4℃〜80℃である。この条件を選択することで、5−アミノピラゾールの分解や異性体の副生が抑制され、かつ、加熱による時間を短縮できるため安価製造が可能となる。(B)工程の場合70℃〜140℃が好ましく、80℃〜130℃がより好ましく、85℃〜120℃が更に好ましい。この温度条件を選択することで、反応が定量的で時間短縮が可能となり製造の負荷が小さく、かつ原料の分解を抑制することが可能となる。
【0093】
反応時間は、(A)工程の場合、反応時間においては、30分〜12時間が好ましく、1時間〜11時間がより好ましく、2時間〜10時間が更に好ましい。反応時間が30分以上であれば反応が十分に進行し、12時間以下であれば目的の一般式(2)で表される化合物の分解を防ぐことができ好ましい。(B)工程の場合、反応時間は、20分〜7時間が好ましい。より好ましくは30分〜6時間であり、更に好ましくは1時間〜5時間である。この条件を選択すると、定量的に5−アミノピラゾールを得ることができ、かつ経済的な反応時間となるため安価製造が可能となる。
【0094】
本工程において、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物の反応による一般式(2)で表される化合物を含む反応混合物と一般式(1)で表されるヒドラジン化合物の仕込みにおける添加順序は任意であり、特に限定されないが、好ましくは、(A)工程終了後に水若しくはアルコール性溶媒又は、その混合溶媒を添加し、その中に、一般式(1)で表される化合物を滴下することである。
【0095】
所望の5−アミノピラゾールを単離する方法は特に限定されない。例えば、反応で析出する5−アミノピラゾールをろ過後、反応溶媒の例で記載した溶媒で洗浄後乾燥する方法や、反応終了後、反応溶媒の例で記載した溶媒を添加し5−アミノピラゾールを晶析させ、単離・洗浄後乾燥する方法や、反応液から反応溶媒、過剰な原料を留去後に残渣を得る方法、更に反応溶媒の例で記載した溶媒で生成した5−アミノピラゾールを抽出後、水で洗浄し、有機相を乾燥する方法が挙げられる。より好ましくは、析出固体をろ別する方法であるが、反応が定量的に進行する場合には、濃縮法や溶媒抽出法が有効となる。
【0096】
(A)の工程において、反応促進剤として、酸無水物又はpKaが−3〜6の酸、から選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。この反応促進剤を添加することで、反応を促進することが可能となり、製造時間が短縮でき5−アミノピラゾールを安価に製造することが可能となる。
酸無水物としては、炭素数2〜10の酸無水物が好ましい。より好ましくは炭素数4〜8の酸無水物が好ましい。例えば、無水酢酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水プロピオン酸、無水フタル酸、ピロ硫酸、五酸化二窒素、ピロリン酸(二リン酸)、五酸化二リン(十酸化四リン)及び三酸化二リンが挙げられ、好ましくは、無水酢酸、無水コハク酸、無水プロピオン酸及びピロ硫酸であり、更に好ましくは、無水酢酸、無水コハク酸及び無水プロピオン酸である。
pKaがー3〜6の酸としては、この範囲のものなら特に限定はされないが、無機酸(鉱酸とも呼ばれる)及び有機酸が使用できる。無機酸としては塩酸、リン酸、硫酸が挙げられ、有機酸には蟻酸、酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸、クロロ酢酸及びトリフルオロ酢酸が挙げられ、好ましくは酢酸、プロピオン酸、メタンスルホン酸であり、更に好ましくは酢酸、メタンスルホン酸である。また、これらの酸は単独で用いても良いし、混合して用いても良い。
本発明における反応促進剤としては、無水酢酸もしくは酢酸、あるいは無水酢酸と酢酸の併用が特に好ましい。
【0097】
前記(A)の工程において、一般式(5)で表される化合物と全反応促進剤のモル比を1:0.50〜1:5.00の範囲で用いることが好ましい。
好ましくは1:1.00〜1:4.00であり、更に好ましくは1:1.20〜1:3.00である。この範囲の量の反応促進剤により、5−アミノピラゾールをより経済的に製造することが可能となる。
【0098】
反応機構として以下が考えられる。本発明者らは反応の詳細は以下のとおりであると推定している。
スキーム1は一般式(3)で表される化合物が誘導される反応機構を表す。一般式(1)で表される化合物のR1の結合する窒素原子がニトリルの炭素原子を求核攻撃し、続いて一方の窒素原子がXが結合する炭素原子へ求核攻撃することで一般式(1)で表される化合物に誘導される。
スキーム2は副成分である一般式(1)で表される化合物の異性体が生成する反応機構を表す。一般式(1)で表される化合物のR1の結合する窒素原子が、Xが結合する炭素原子へ求核攻撃し、一方の窒素原子末端がニトリルの炭素原子を求核攻撃することで一般式(3)で表される化合物の異性体が生成する。
一般式(1)で表される化合物が過剰の条件では、スキーム3で反応が進行する。すなわち、一個目の一般式(1)で表される化合物が付加し中間体1が生成した後、過剰分の2個目のヒドラジンの攻撃が起こり、一個目に付加した一般式(1)で表される化合物が脱離しながら一般式(3)で表される化合物へ誘導される。
以上のことから一般式(1)で表される化合物が一般式(2)で表される化合物よりもモルで過剰の条件では、一般式(3)で表される化合物の異性体の生成が抑制され、所望の一般式(3)で表される化合物が定量的に生成することが可能となったと考えられる。
なお、以下のスキームは本発明の内容をなんら限定するものではなく、他の反応ルートによる一般式(3)で表される化合物の製造方法も本発明に含まれる。
【0099】
【化26】

【実施例】
【0100】
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【0101】
以下に一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体(例示化合物D−13)の合成スキームを以下に示す。
【0102】
【化27】

【0103】
<実施例1:例示化合物(D−13)の製造方法>
(1)化合物Aの合成
ディーンスタークを装着した2L三口フラスコに、オルトギ酸トリメチル 770.0g(7.11mol)とシアノ酢酸メチル 355.8 g (3.56 mol)と塩化亜鉛 48.52 g (0.36 mol)を混合し、内温 90℃で攪拌した。30分後、留分を6時間掛けて留去した。液状の残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル 1/1 v/v)で生成し、256 gの化合物Aを単離した。収率 51.1%。
1H−NMR(400MHz、d6−DMSO) 8.3 ppm(s,1H)、4.1 ppm(s,3H)、3.7 ppm(s,3H)
【0104】
(2)例示化合物(D−13)の合成
イオン交換水 30 mLを約5℃まで冷却し、そこへメチルヒドラジン 4.47 g (0.10 mol)を滴下した。続いて、内温 65 ℃で攪拌し、そこへ、化合物A 10.0 g (0.07 mol)を30分かけて添加した。この反応混合物をHPLCで分析したところ、例示化合物D−13の異性体と思われる副成分が0.2%含有することが分かった。添加後、30分間攪拌し、室温まで冷却した。この反応混合物に塩化ナトリウム 5 gを添加した。酢酸エチル 150 mLを加えて浸透し、抽出操作を3回実施した。酢酸エチル相を芒硝で乾燥後、エバポレータで濃縮した。残渣を酢酸エチルを用いて再結晶し、白色の例示化合物D−13 6.6gを得た。収率60.0%。
【0105】
<実施例2〜4及び比較例1〜3:例示化合物(D−13)の製造方法>
続いて、化合物Aに対するメチルヒドラジンのモル比を表1で示される値に変更した以外は、上記の例示化合物D−13の反応条件にならって合成した。
【0106】
【表1】

【0107】
<合成例1:例示化合物(M−18)の製造方法>
【0108】
【化28】

【0109】
オルトギ酸トリエチル50.0g(0.34mol)とシアノ酢酸メチル 16.72 g (0.17 mol)と無水酢酸 34.44 g (0.34 mol)を混合し、内温 105℃で攪拌した。6時間攪拌後、室温まで冷却し例示化合物M−18を合成した。M−18の生成率を1H−NMRで追跡したところ、92%だった。このとき、原料のシアノ酢酸メチル(N−2)の残量は8%であった。
【0110】
<合成例1〜17:例示化合物(M−18)の製造方法>
続いて、シアノ酢酸メチル(N−2)に対するオルトギ酸トリエチル(O−3)、無水酢酸及び酢酸のモル比を表2に示される値になるように混合し、上記合成例1の条件で反応を実施した。
【0111】
【表2】

【0112】
<実施例5:例示化合物(D−13)の2工程一貫製造方法>
表2の合成例3で合成のM−18を用い、そのまま例示化合物D−13の合成を実施した。
M−18反応混合物 2.77g(17.9mmol相当)にメタノール7.7mLを加え、4℃まで氷浴で冷却した。続いて、メチルヒドラジンを1.0mL(25.0mmol)滴下した。4℃で1時間攪拌後、50℃まで昇温し、その温度で2時間攪拌した。このとき、反応液のHPLC(島津製作所製 LC−10A)で例示化合物(D−13)の生成率(HPLC面積%)を測定したところ、93.9%だった。また異性体は0.2%だった。その後、室温まで冷却し、ロータリーエバポレータ−で濃縮乾固した。単離収率101%、純度94.0%だった。
【0113】
<実施例6〜12、比較例4、5:例示化合物D−13の一貫製造方法>
実施例5の反応条件を表3に示すように変更した以外は、実施例5と同様に実施した。なお表中の単離方法が抽出の場合は、酢酸エチル30mL及び水5mLを添加し、十分振盪した上で、酢酸エチル層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、結晶を単離した。晶析の操作は、ヘキサン30mLを添加後、析出した結晶をろ別し、IPA/ヘキサン 1/4の混合溶媒20mLで洗浄後乾燥した。ろ過の操作は、反応終了後に析出した固体をろ別し、IPA/ヘキサン 1/4の混合溶媒20mLで洗浄後乾燥した。
【0114】
【表3】

【0115】
以上のように、本発明の例示化合物(D−13)を得る上で、一般式(1)で表されるヒドラジン化合物の量を一般式(2)で表される化合物に対してモル比で1.10以上用いると、例示化合物D−13の異性体の副生を抑制でき、収率が良化することが分かった。更に、一般式(2)で表される化合物を、一般式(4)と一般式(5)の反応により生成させ、一般式(2)で表される化合物を単離することなく、そのまま用いると収率が向上することが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(2)で表わされる化合物と一般式(1)で表わされるヒドラジン誘導体とのモル比が1:1.10〜1:5.00の範囲で用いられることを特徴とする下記一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体の製造方法。
【化1】

(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表す。)
【請求項2】
前記製造方法において、水若しくはアルコール性溶媒又は、その混合溶媒を反応溶媒として用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
請求項1の製造方法であって、少なくとも製造の仕込における温度が20℃以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記製造方法において、下記(A)、(B)の工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
(A) 下記一般式(4)で表される化合物と下記一般式(5)で表される化合物とを反応させ下記一般式(2)で表される化合物を含有する混合物を得る工程
(B) 一般式(2)で表される化合物を含有する混合物と一般式(1)で表される化合物とを反応させて、一般式(3)で表される5−アミノピラゾール誘導体を生成する工程
【化2】

(式中、R1は、脂肪族基を表し、R2は、電子求引性基を表し、R3は、水素原子または置換基を表し、Xは、ハロゲン原子、−ORまたはアミノ基を表す。Rは水素原子又は置換基を表し、R4及びR5はそれぞれ独立に脱離基を表す。)
【請求項5】
前記製造方法において、前記(A)、(B)の工程を連続して行うことを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
前記(A)の工程において、反応促進剤として、酸無水物又はpKaが−3〜6の酸、から選ばれる少なくとも一つを用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記(A)の工程において、一般式(5)で表される化合物と反応促進剤のモル比を1:0.01〜1:5.00の範囲で用いることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−83812(P2010−83812A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255372(P2008−255372)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】