説明

6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノピコリネートおよびその除草剤としての使用

6位に(1,1−ジフルオロアルキル)置換基を有する式(I)、
【化7】


(式中、Yは、−CF2(C1〜C3アルキル)を表し、Wは、−NO2、−N3、−NR12、−N=CR34または−NHN=CR34を表す)の4−アミノピコリン酸ならびにそのアミンおよび酸誘導体は、広範囲の雑草防除を示す強力な除草剤である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の新規な6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノピコリネートおよびその誘導体ならびに除草剤としてのこれらの化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において多くのピコリン酸類およびその殺虫性が示されている。例えば、米国特許第3,285,925号明細書には、4−アミノ−3,5,6−トリクロロピコリン酸誘導体ならびにその植物生長調節剤および除草剤としての使用が開示されている。米国特許第3,325,272号明細書には、4−アミノ−3,5−ジクロロピコリン酸誘導体およびその植物生長調節のための使用が開示されている。米国特許第3,317,549号明細書には、3,6−ジクロロピコリン酸誘導体およびその植物生長調節剤としての使用が開示されている。米国特許第3,334,108号明細書には、塩素化されたジチオピコリン酸誘導体およびその駆虫剤としての使用が開示されている。米国特許第3,234,229号明細書には、4−アミノ−ポリクロロ−2−トリクロロメチルピリジンおよびその除草剤としての使用が開示されている。米国特許第3,755,338号明細書には、殺菌剤としての4−アミノ−3,5−ジクロロ−6−ブロモ−ピコリネートが開示されている。ベルギー特許788756号明細書には、除草剤としての6−アルキル−4−アミノ−3,5−ジハロピコリン酸が開示されている。アプライド・アンド・エンバイロンメンタル・マイクロバイオロジー(Applied and Environmental Microbiology)、1993年7月、第59巻、第7号、pp.2251〜2256においては、4−アミノ−3,5,6−トリクロロ−ピコリン酸すなわち市販の除草剤であるピクロラムの嫌気性分解による生成物として4−アミノ−3,6−ジクロロピコリン酸が同定されている。より最近では、米国特許第6,297,197B1号明細書において、特定の4−アミノピコリネートおよびその除草剤としての使用が記載されている。米国特許第5,783,522号明細書には、特定の6−フェニルピコリン酸およびその除草剤、枯凋剤および落葉剤としての使用が開示されている。国際公開第0311853号パンフレットには、特定の6−アリール−4−アミノピコリネートおよびその除草剤としての使用が記載されている。国際公開第9821199号パンフレットには、6−ピラゾリルピリジンおよびその除草剤としての使用が開示されている。米国特許第5,958,837号明細書には、6−アリールピコリン酸の合成ならびにその除草剤、枯凋剤および落葉剤としての使用が開示されている。米国特許第6,077,650号明細書には、6−フェニルピコリン酸の写真用漂白剤としての使用が開示されており、欧州特許出願公開第0972765A1号明細書には、2−,3−または4−アリールピリジンの合成が開示されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
特定の6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノ−ピコリン酸およびその誘導体が、木本、イネ科植物およびカヤツリグサ科植物に加えて広葉植物も対象とする広範囲の雑草防除を有するとともに優れた作物選択性を示す強力な除草剤であることがここに見出された。本発明は、式I、
【化2】

(式中、
Yは、−CF2(C1〜C3アルキル)を表し、
Wは、−NO2、−N3、−NR12、−N=CR34または−NHN=CR34
(ここで、
1およびR2は、独立に、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C6アシル、C1〜C6カルボアルコキシ、C1〜C6アルキルカルバミル、C1〜C6アルキルスルホニル、C1〜C6トリアルキルシリルもしくはC1〜C6ジアルキルホスホニルを表すか、またはR1およびR2がNと一緒になって、ヘテロ原子であるO、SもしくはNをさらに含んでいてもよい飽和もしくは不飽和の5もしくは6員環を表し、
3およびR4は、独立に、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールを表すか、またはR3およびR4が=Cと一緒になって飽和の5もしくは6員環を表す)を表す)の化合物およびカルボン酸基または4−アミノ基の農業的に許容される誘導体を包含する。
【0004】
式Iの化合物において、Yが−CF2CH3を表すものおよびWが−NR12を表しかつR1およびR2がHまたはC1〜C6アルキルを表すものが独立に好ましい。
【0005】
本発明は、除草有効量の式Iの化合物およびそのカルボン酸基または4−アミノ基の農業的に許容される誘導体を、農業的に許容される補助剤または担体との混合物として含む除草剤組成物を包含する。さらに本発明は、本発明の化合物および組成物を望ましくない植生を枯殺または防除するために使用する方法であって、除草量の該化合物を該植生または該植生の場所(locus)および該植生が出芽する前の土壌に施用することによる方法を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の除草剤化合物は、式II、の4−アミノピコリン酸の誘導体である。
【化3】

この化合物は、3位にClを有することおよび6位に−CF2(C1〜C3アルキル)置換基(好ましくは−CF2CH3)を有することを特徴とする。
【0007】
4位のアミノ基は、非置換であっても、1種またはそれ以上のC1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシまたはアミノ置換基で置換されていてもよい。このアミノ基はさらに、アミド、カルバメート、ウレア、スルホンアミド、シリルアミン、ホスホルアミデート、イミンまたはヒドラゾンとして誘導体化されていてもよい。このような誘導体はアミンに分解することが可能である。非置換または1もしくは2個のアルキル置換基で置換されたアミノ基が好ましい。
【0008】
式Iのカルボン酸は、望ましくない植生を実際に枯殺また防除する化合物であると考えられており、典型的な好ましい化合物である。この化合物のピコリン酸の酸基が誘導体化されて、植物内または環境内で酸基に変換され得る類縁置換基を形成している類似体も本質的に同等の除草効力を有しており、本発明の範囲に包含される。したがって、2位のカルボン酸官能基を説明する際に用いられる「農業的に許容される誘導体」は、任意の塩、エステル、アシルヒドラジド、イミデート、チオイミデート、アミジン、アミド、オルトエステル、アシルシアニド、アシルハライド、チオエステル、チオノエステル、ジチオールエステル、ニトリルまたは(a)有効成分すなわち6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノピコリン酸の除草活性に実質的に影響せず、かつ(b)植物内または土壌内で加水分解、酸化もしくは代謝されることによってpHに応じた解離または非解離形態の式Iのピコリン酸になるかまたはなり得る、当該技術分野においてよく知られている他の任意の酸誘導体と定義される。農業的に許容される好ましいカルボン酸誘導体は、農業的に許容される塩、エステルおよびアミドである。同様に、4位のアミン官能基を説明する際に用いられる「農業的に許容される誘導体」は、任意の塩、シリルアミン、ホスホリルアミン、ホスフィンイミン、ホスホルアミデート、スルホンアミド、スルフィルイミン、スルホキシイミン、アミナール、ヘミアミナール、アミド、チオアミド、カルバメート、チオカルバメート、アミジン、ウレア、イミン、ニトロ、ニトロソ、アジドまたは(a)有効成分すなわち6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノピコリン酸の除草活性に実質的に影響せず、かつ(b)植物内または土壌内で加水分解されることによって式IIの遊離アミンになるかまたはなり得る、当該技術分野においてよく知られている他の任意の含窒素誘導体と定義される。分解されることによって親化合物である式IIのピリジンにもなり得るN−オキシドも本発明の範囲に包含される。
【0009】
好適な塩としては、アルカリまたはアルカリ土類金属から誘導されたものおよびアンモニアおよびアミンから誘導されたものが挙げられる。好ましい陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよび式、
567NH+
(式中、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素またはそれぞれ1種もしくはそれ以上のヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオもしくはフェニル基で場合により置換されていてもよいC1〜C12アルキル、C3〜C12アルケニルもしくはC3〜C12アルキニルを表し、ただしR5、R6およびR7は立体的に互換性である)のアンモニウム陽イオンが挙げられる。さらに、R5、R6およびR7のうちの任意の2つが一緒になって1〜12個の炭素原子および2個までの酸素または硫黄原子を含む二官能性の脂肪族部分を表してもよい。式Iの化合物の塩は、式Iの化合物を金属水酸化物(例えば水酸化ナトリウム)またはアミン(例えば、アンモニア、トリメチルアミン、ジエタノールアミン、2−メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2−ブトキシエチルアミン、モルホリン、シクロドデシルアミンまたはベンジルアミン)で処理することによって調製してもよい。式Iの化合物はアミン塩の形態が好ましい場合が多い。それは、これらが水溶性であり、望ましい水系除草剤組成物が調製しやすくなるからである。
【0010】
好適なエステルとしては、C1〜C12アルキル、C3〜C12アルケニルまたはC3〜C12アルキニルアルコール、例えば、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、ブトキシエタノール、メトキシプロパノール、アリルアルコール、プロパギルアルコールまたはシクロヘキサノールから誘導されたものが挙げられる。エステルの調製は、任意の数の好適な活性化剤、例えばペプチドカップリングに用いられるジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)やカルボニルジイミダゾール(CDI)等を使用してピコリン酸をアルコールとカップリングさせるか、式Iのピコリン酸の対応する酸塩化物を適切なアルコールと反応させるかまたは酸触媒の存在下で対応する式Iのピコリン酸を適切なアルコールと反応させることによって行ってもよい。
【0011】
好適なアミドとしては、アンモニアから誘導されたものまたはC1〜C12アルキル、C3〜C12アルケニルもしくはC3〜C12アルキニルで一−もしくは二置換されたアミン(例えば、これらに限定されるものではないが、ジメチルアミン、ジエタノールアミン、2−メチルチオプロピルアミン、ビスアリルアミン、2−ブトキシエチルアミン、シクロドデシルアミン、ベンジルアミン)もしくはヘテロ原子をさらに有するかもしくは有しない環式もしくは芳香族のアミン(例えば、これらに限定されるものではないが、アジリジン、アゼチジン、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、テトラゾールまたはモルホリン)から誘導されたものが挙げられる。アミドの調製は、対応する式Iのピコリン酸の塩化物、混合無水物またはカルボン酸エステルをアンモニアまたは適切なアミンと反応させることによって行ってもよい。
【0012】
本明細書において用いられる「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」という用語の範囲には、直鎖、分枝鎖および環式部分が包含され、その誘導体用語である「アルコキシ」、「アシル」、「アルキルチオ」、「アルキルスルホニル」等についても同様である。特段の指定がない限り、それぞれ、非置換であっても、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、C1〜C6アシル、ホルミル、シアノ、アリールオキシまたはアリールから選択される(ただしこれらに限定されるものではない)1種またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、ただし、置換基は立体的に互換性であり、かつ化学結合およびひずみエネルギーの規則を満たしている。「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、1またはそれ以上の不飽和結合を含むことを意味する。
【0013】
「アリール」という用語は、フェニル、インダニルまたはナフチル基を指し、フェニルが好ましく、その誘導体用語である「アリールオキシ」等についても同様である。「ヘテロアリール」という用語は、1種またはそれ以上のヘテロ原子すなわちN、OまたはSを含む5または6員環の芳香環を指し、その誘導体用語である「ヘテロアリールオキシ」等についても同様である。これらの複素芳香環は他の芳香族系と縮合していてもよい。以下に示すヘテロアリール基が好ましい。
【化4】

このアリールまたはヘテロアリール置換基は、非置換であっても、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、アリールオキシ、ホルミル、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C1〜C6アルコキシ、ハロゲン化C1〜C6アルキル、ハロゲン化C1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシル、C1〜C6アルキルチオ、C1〜C6アルキルスルフィニル、C1〜C6アルキルスルホニル、アリール、C1〜C6OC(O)アルキル、C1〜C6NHC(O)アルキル、C(O)OH、C1〜C6C(O)Oアルキル、C(O)NH2、C1〜C6C(O)NHアルキル、C1〜C6C(O)N(アルキル)2、−OCH2CH2−、−OCH2CH2CH2−、−OCH2O−または−OCH2CH2O−から選択される1種またはそれ以上の置換基で置換されていてもよく、ただし、置換基は立体的に互換性であり、かつ化学結合およびひずみエネルギーの規則を満たしている。好ましい置換基としては、ハロゲン、C1〜C2アルキルおよびC1〜C2ハロアルキルが挙げられる。
【0014】
特に限定しない限り、「ハロゲン」という用語(その誘導体用語である「ハロ」等の用語も含む)は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。「ハロアルキル」および「ハロアルコキシ」という用語は、1個〜可能な最大数のハロゲン原子で置換されたアルキルおよびアルコキシ基を指す。
【0015】
式Iの化合物は、よく知られている化学的手順を用いて作製してもよい。必要な出発物質は市販されているかまたは標準的な手順を利用して容易に調製される。米国特許第6,297,197B1号明細書を参照されたい。
【0016】
式Iの6−(1,1−ジフルオロアルキル)−ピリジンを調製することができる典型的な合成順序をスキーム1および2に示す。
【化5】

【化6】

【0017】
アルコキシビニルオルガノスズ化合物の反応は、以下の参考文献に例示されるようによく知られている。
(1)サトウ・ノブヒロ(Sato,Nobuhiro)ら、シンセシス(Synthesis)、2001年、第10巻、pp.1551〜1555
(2)レグロス・ジェー・ワイ(Legros,J.-Y.)ら、テトラヘドロン(Tetrahedron)、2001年、第57巻、第13号、pp.2507〜2514
(3)ギリアー・エフ(Guillier,F.)ら、シンセティック・コミュニケーションズ(Synthetic Communications)、1996年、第26巻、第23号、pp.4421〜4436
(4)ブラヒャー・フランツ(Bracher,Franz)ら、リービッヒス・アナーレン・デア・キミー(Liebigs Annalen der Chemie)、1993年、第8巻、pp.837〜9
【0018】
典型的なフッ素化試薬、例えば(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド(DAST)を用いたカルボニルのジフッ素化等の適切な反応により、6位のジフルオロアルキル基が得られる。
【0019】
対応する4−ハロピリジンをNaN3で置換し、次いで、対応する4−アジド誘導体を還元するなどの適切な反応により、4位のアミノ基が得られる。
【0020】
この遊離アミノ化合物を、例えば、好適な酸ハライド、クロロホルメート、カルバミルクロライド、スルホニルクロライド、シリルクロライドまたはクロロホスフェートと反応させることによって、4−N−アミド、カルバメート、ウレア、スルホンアミド、シリルアミンおよびホスホルアミデートアミノ誘導体を調製してもよい。遊離アミンまたはヒドラジンを好適なアルデヒドまたはケトンと反応させることによって、イミンまたはヒドラゾンを調製してもよい。
【0021】
対応する4−ハロピリジン−2−カルボキシレートまたは他の任意の置換可能な4位の置換基を置換されたアミンと反応させることによって、置換された4−アミノ類似体を調製してもよい。
【0022】
上記いずれかの方法によって得られる式Iの化合物を、従来の手段によって回収してもよい。典型的には、反応混合物を水性酸(例えば塩酸)で酸性化した後、有機溶媒(例えば、エチルアセテートまたはジクロロメタン)で抽出する。この有機溶媒および他の揮発性物質を蒸留または蒸発により除去することによって所望の式Iの化合物を得てもよく、これを標準的な手順(例えば、再結晶またはクロマトグラフィー)によって精製してもよい。
【0023】
式Iの化合物は出芽前および出芽後の除草剤として有用であることが見出された。これらは、所定の区域の広範な種類の植生を防除することを目的として非選択的な(より高い)施用量で用いても、望ましくない植生を選択的に防除することを目的としてより低い施用量で用いてもよい。施用区域としては、牧草地および放牧地、道路端および鉄道用地や天然ガス輸送パイプライン用地等の公共用地(right of way)、送電線用地(power line)ならびに望ましくない植生の防除が望ましい任意の産業用地が挙げられる。それ以外では、コムギ等の作物における望ましくない植生の防除に使用される。これらはまた、樹木作物、例えば、柑橘類、リンゴ、ゴム、油ヤシ、森林などにおける望ましくない植生の防除に使用してもよい。普通は該化合物を出芽後に使用することが好ましい。普通は該化合物を広範な種類の木本、広葉およびイネ科雑草ならびにカヤツリグサ科植物を防除することを目的として使用することがさらに好ましい。該化合物を、定着した作物における望ましくない植生を防除することを目的として使用することが特に望ましい。式Iに包含される6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノピコリネート化合物はそれぞれ本発明の範囲内に含まれるが、除草活性の程度、作物選択性および得られる広範な雑草防除は存在する置換基に応じて異なる。特定の除草効用を得るのに適切な化合物は、本明細書において提示する情報および慣用の試験を用いることによって特定することができる。
【0024】
本明細書において用いられる除草剤という用語は、植物を枯殺、防除またはそれ以外で生長を不利に修正するのに有効な成分を意味する。除草有効量または植生防除量とは、有効成分が不利な修正効果を生じさせる量であって、これには、自然の生長過程からの逸脱、枯殺、調節、枯凋、遅延等が含まれる。植物および植生という用語には、発芽する種子、出芽する幼植物および定着した植生が含まれる。
【0025】
本発明の化合物は、植物に直接施用するかまたは植物が任意の生育段階にあるかもしくは定植もしくは出芽前の場所に施用する場合に、除草作用を発揮する。認められる効果は、防除対象となる植物の種類、その植物の生育段階、希釈および噴霧滴の大きさに関する施用条件、固形成分の粒度、使用時期の環境条件、使用する具体的な化合物、使用する具体的な補助剤および担体、土壌型等に加えて化学物質の施用量に応じて異なる。非選択性または選択性の除草作用を奏するために、上記および他の要素を当該技術分野において知られているように調整してもよい。一般には、最大限の雑草防除を達成するために、出芽後の比較的未熟な状態にある望ましくない植生に式Iの化合物を施用することが好ましい。
【0026】
施用量は、出芽後に作業を行う場合は1〜2000g/Haが通常用いられ、出芽前に施用する場合は1〜2000g/Haの量が通常用いられる。一般に、ここに示したうちのより高用量側では、広範な種々の望ましくない植生に対する非選択的な防除が得られる。より低用量側では、典型的には選択的な防除が得られ、作物の場所に用いることができる。
【0027】
本発明の除草化合物は、1種またはそれ以上の他の除草剤と併用することで最適に施用される場合が多く、それによって、より広範な種類の望ましくない植生が防除される。他の除草剤を併用する場合、本願出願において請求された化合物を、他の1種または複数の除草剤と一緒に配合しても、他の1種または複数の除草剤とタンクミックスしても、他の1種または複数の除草剤と順に施用してもよい。本発明の化合物と併用してもよい幾つかの除草剤としては、スルホンアミド類、例えば、メトスラム(metosulam)、フルメトスラム(flumetsulam)、クロランスラムメチル(cloransulam-methyl)、ジクロスラム(diclosulam)、ペノクスラム(penoxsulam)およびフロラスラム(florasulam)、スルホニルウレア類、例えば、クロリムロン(chlorimuron)、トリベヌロン(tribenuron)、スルホメツロン(sulfometuron)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、クロロスルフロン(chlorsulfuron)、アミドスルフロン(amidosulfuron)、トリアスルフロン(triasulfuron)、プロスルフロン(prosulfuron)、トリトスルフロン(tritosulfuron)、チフェンスルフロン(thifensulfuron)、スルホスルフロン(sulfosulfuron)およびメトスルフロン(metsulfuron)、イミダゾリノン類、例えば、イマザキン(imazaquin)、イマザピック(imazapic)、イマゼタピル(imazethapyr)、イマザピル(imzapyr)、イマザメタベンズ(imazamethabenz)およびイマザモックス(imazamox)、フェノキシアルカン酸類、例えば、2,4−D、MCPA、ジクロロプロップ(dichlorprop)およびメコプロップ(mecoprop)、ピリジニルオキシ酢酸類、例えば、トリクロピル(triclopyr)およびフルロキシピル(fluroxypyr)、カルボン酸類、例えば、クロピラリド(clopyralid)、ピクロラム(picloram)、アミノピラリド(aminopyralid)およびジカンバ(dicamba)、ジニトロアニリン類、例えば、トリフルラリン(trifluralin)、バナフィン(benefin)、ベンフルラリン(benfluralin)およびペンジメタリン(pendimethalin)、クロロアセトアニリド類、例えば、アラクロール(alachlor)、アセトクロール(acetochlor)およびメトラクロール(metolachlor)、セミカルバゾン類(オーキシン輸送阻害剤)、例えば、クロルフルレノール(chlorflurenol)およびジフルフェンゾピル(diflufenzopyr)、アリールオキシフェノキシプロピオネート類、例えば、フルアジホップ(fluazifop)、ハロキシホップ(haloxyfop)、ジクロホップ(diclofop)、クロジナホップ(clodinafop)およびフェノキサプロップ(fenoxaprop)ならびに他の慣用の除草剤(グリホサート(glyphosate)、グルホシネート(glufosinate)、アシフルオルフェン(acifluorfen)、ベンタゾン(bentazon)、クロマゾン(clomazone)、フルミクロラック(fumiclorac)、フルオメツロン(fluometuron)、ホメサフェン(fomesafen)、ラクトフェン(lactofen)、リヌロン(linuron)、イソプロツロン(isoproturon)、シマジン(simazine)、ノルフルラゾン(norflurazon)、パラコート(paraquat)、ジウロン(diuron)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ピコリナフェン(picolinafen)、シニドン(cinidon)、セトキシジム(sethoxydim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、キンメラック(quinmerac)、イソキサベン(isoxaben)、ブロモキシニル(bromoxynil)、メトリブジン(metribuzin)、メソトリオン(mesotrione)等)が挙げられる。さらに、本発明の除草剤化合物をグリホサートおよびグルホシネートと併せて、グリホサート耐性またはグルホシネート耐性作物に使用してもよい。本発明の化合物を、被処理作物に対する選択性を有し、かつ用いられる施用量において該化合物により防除される広範囲の雑草を補完する除草剤と併用することが一般に好ましい。さらに、本発明の化合物および他の相補的な除草剤を、混合製剤またはタンクミックスのいずれかとして同時に施用することが一般に好ましい。
【0028】
通常、本発明の化合物の選択性を高めることを目的として、公知の除草剤薬害軽減剤、例えば、クロキントセット(cloquintocet)、フリラゾール(furilazole)、ジクロルミド(dichlormid)、ベノキサコール(benoxacor)、メフェンピルエチル(mefenpyr-ethyl)、フェンクロラゾールエチル(fenclorazole-ethyl)、フルラゾール(flurazole)、ダイムロン(daimuron)、ジメピペレート(dimepiperate)、チオベンカーブ(thiobencarb)、フェンクロリム(fenclorim)およびフルキソフェニム(fluxofenim)を組み合わせて使用してもよい。これらは、遺伝子操作または突然変異および淘汰によって、これらまたは他の除草剤に対する耐性または抵抗性が付与された多くの作物における望ましくない植生を防除することを目的として付加的に使用してもよい。例えば、感受性植物中においてアセト乳酸合成酵素阻害剤となる化合物に対する耐性または抵抗性を付与されたトウモロコシ、コムギ、イネ、ダイズ、テンサイ、ワタ、ナタネその他の作物を処理してもよい。同様に、グリホサートおよびグルホシネート耐性を有する作物の多くは、単独でまたは上記除草剤を組み合わせて処理することが可能である。2,4−ジクロロフェノキシ酢酸等のオーキシン型除草剤に対する耐性を付与された作物(例えばワタ)もある。上記除草剤を、このような抵抗性作物または他のオーキシン耐性作物を処理するために使用してもよい。
【0029】
式Iの6−(1,1−ジフルオロアルキル)−4−アミノ−ピコリネート化合物はそのまま除草剤として利用することも可能であるが、除草有効量の該化合物を、少なくとも1種の農業的に許容される補助剤または担体を一緒に含む混合物として使用することが好ましい。好適な補助剤または担体は、作物の存在下で該組成物を施用して選択的な雑草防除を行う場合に用いられる濃度においては特に、有益な作物に対する植物毒性を有するべきではなく、かつ式Iの化合物または他の組成物成分と化学反応するべきではない。このような混合物は、そのまま雑草またはその場所に施用するように設計してもよいし、施用前に普通はさらなる担体および補助剤で希釈する濃縮物または配合物としてもよい。これらは、固体、例えば、粉剤、顆粒剤、顆粒状水和剤、水和剤等であっても、液体、例えば、乳剤、液剤、エマルジョン、懸濁剤等であってもよい。
【0030】
本発明の除草混合剤の調製に有用な好適な農業用補助剤および担体は当業者によく知られている。
【0031】
使用してもよい液体担体としては、水、トルエン、キシレン、石油ナフサ、クロップオイル、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、エチルアセテート、アミルアセテート、ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルおよびジエチレングリコールモノメチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アミルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。一般に、濃縮物を希釈する担体としては、水が好ましい。
【0032】
好適な固体担体としては、タルク、パイロフィライトクレー、シリカ、アタパルガスクレー、カオリンクレー、珪藻土(kieselguhr)、チョーク、珪藻土(diatomaceous earth)、石灰、炭酸カルシウム、ベントナイトクレー、フラー土、綿実殻、小麦粉、大豆粉、軽石、木粉、クルミ殻粉、リグニン等が挙げられる。
【0033】
通常は、本発明の組成物中に1種またはそれ以上の界面活性剤を加えることが望ましい。このような界面活性剤は、固体組成物にも液体組成物にも、特に、施用前に担体で希釈するように設計されたものに有利に用いられる。界面活性剤の性質は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であってもよく、これを乳化剤、湿潤剤もしくは懸濁剤として、あるいは他の目的で使用してもよい。典型的な界面活性剤としては、アルキル硫酸エステルの塩、例えば、ジエタノールアンモニウムラウリルサルフェート;アルキルアリールスルホン酸塩、例えば、カルシウムドデシルベンゼンスルホネート;アルキルフェノール−アルキレンオキシド付加物、例えば、ノニルフェノール−C18エトキシレート;アルコール−アルキレンオキシド付加物、例えば、トリデシルアルコール−C16エトキシレート;石鹸、例えば、ステアリン酸ナトリウム;アルキルナフタレンスルホン酸塩、例えば、ナトリウムジブチルナフタレンスルホネート;スルホコハク酸塩のジアルキルエステル、例えば、ナトリウムジ(2−エチルヘキシル)スルホサクシネート;ソルビトールエステル、例えば、ソルビトールオレエート;第四級アミン、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド;脂肪酸のポリエチレングリコールエステル、例えば、ポリエチレングリコールステアレート;エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー;ならびにモノおよびジアルキルリン酸エステルの塩が挙げられる。
【0034】
農業用組成物に慣用される他の補助剤としては、相溶化剤、消泡剤、金属イオン封鎖剤、中和剤および緩衝剤、腐食防止剤、染料、着臭剤、展着剤、浸透助剤、固着剤、分散剤、増粘剤、凝固点降下剤、抗菌剤等が挙げられる。この組成物はさらに、相溶性を有する他の成分、例えば、他の除草剤、植物生長調節剤、殺菌剤、殺虫剤等を含有していてもよく、液体肥料または固体の顆粒状肥料担体、例えば、硝酸アンモニウム、尿素等を一緒に配合してもよい。
【0035】
通常、本発明の除草剤組成物中の有効成分の濃度は0.001〜98重量%である。多くの場合は、0.01〜90重量%の濃度が用いられる。濃縮物として用いるように設計された組成物においては、有効成分は、通常は5〜98重量%、好ましくは10〜90重量%の濃度で存在する。このような組成物は、典型的には、施用前に水等の不活性担体で希釈される。普通は雑草または雑草の場所に施用される希釈組成物は、有効成分を通常は0.0001〜1重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%含んでいる。
【0036】
本組成物を雑草またはその場所に施用する際は、従来の地上または空中散粉機、噴霧機および散粒機を使用しても、潅水に添加しても、当業者に周知の他の従来手段を用いてもよい。
【0037】
以下に示す実施例は、本発明の様々な態様を例示することを目的として提示するものであって、特許請求の範囲を制限するものと見なすべきではない。本発明の化合物の調製に有用な出発物質は、例えば、米国特許第6,297,197B1号明細書に記載されている3,4,6−トリクロロピリジン−2−カルボン酸である。
【実施例】
【0038】
1. メチル6−アセチル−3,4−ジクロロピリジン−2−カルボキシレートの調製
メチル3,4,6−トリクロロピリジン−2−カルボキシレート(2.00g、8.31mmol)と、エトキシビニルトリブチルスズ(3.09ml、9.15mmol)と、フッ化セシウム(2.78g、18.30mmol)とのジオキサン(50ml)溶液に15分間窒素を通気した。次いで、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(292mg、0.42mmol)を加え、この混合物を100℃で3時間加熱した。冷却後、この混合物を濃縮し、エチルアセテートに溶解させ、シリカゲルプラグ(silica gel plug)で濾過した。溶媒を除去した後、粗製エトキシビニル反応中間体をテトラヒドロフラン(50ml)および1NのHCl酸(20ml)の溶液に溶解させた。この混合物を室温で一夜撹拌した後、テトラヒドロフランを減圧除去し、残留した水相をエチルアセテートで抽出した。有機層を合一して乾燥(MgSO4)および濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10%エチルアセテート/ヘキサン)で精製し、メチル3,4−ジクロロ−6−アセチルピリジン−2−カルボキシレート(0.98g、3.95mmol)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl3):δ8.20(s,1H),4.05(s,3H),2.71(s,3H)
【0039】
同様にして調製を行った。
メチル6−アセチル−4−アミノ−3−クロロピリジン−2−カルボキシレート
1H NMR(CDC13):δ7.06(s,1H),6.95(br.s,2H),1.90(t,3H)
【0040】
2. メチル3,4−ジクロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル(difluroethyl))ピリジン−2−カルボキシレートの調製
メチル6−アセチル−3,4−ジクロロピリジン−2−カルボキシレート(0.50g、2mmol)のメチレンクロライド(25ml)溶液に、(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド(DAST、2.66ml、20mmol)を加えた。室温で3日間撹拌した後、反応混合物を食塩水に注いだ。有機層を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。有機層を合一して乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィー(10%エチルアセテート/ヘキサン)で精製し、メチル3,4−ジクロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボキシレート(0.36g、1.33mmol)を黄色液体として得た。
1H NMR(CDC13):δ7.85(s,1H),4.02(s,3H),2.02 (t,d=18.7Hz,3H)
【0041】
3. メチル4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボキシレート(化合物1)の調製
メチル3,4−ジクロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボキシレート(100mg、0.37mmol)のジメチルホルムアミド(2ml)および水(0.2ml)の溶液にナトリウムアジド(26.5mg、0.41mmol)を加えた。反応混合物を50℃で5時間撹拌した後、水で反応を停止し、エチルエーテルで抽出した。有機相を乾燥および濃縮し、粗製4−アジド化合物を得た。これを即座にメタノール(2ml)中に溶解させ、ナトリウムボロハイドライド(21mg、0.55mmol)を慎重に加えた。10分間撹拌した後、水を加えて、この混合物を濃縮した。エチルアセテートを加え、この混合物を食塩水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO4)し、濾過して濃縮乾固した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(20%エチルアセテート/ヘキサン)で精製し、メチル4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボキシレート(53mg、0.21mmol)を油状物として得た。
1H NMR(CDC13):δ7.04(s,1H),4.92(b.s,2H),3.98(s,3H),1.97(t,d=18.7 Hz,3H)
【0042】
4. 4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボン酸(化合物2)の調製
水酸化リチウム(159mg、1.27mmol)の水(6ml)溶液をメチル4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)−ピリジン−2−カルボキシレート(159mg、0.63mmol)のテトラヒドロフラン(6ml)溶液に加えた。この混合物を室温で一夜激しく撹拌した後、ほぼ乾固状態になるまで濃縮した。反応混合物に水を加えた後、エチルアセテートで一回洗浄することにより未反応の出発物質を除去した。次いで、1NのHClを用いて水層をpH3未満に酸性化した後、エチルアセテートで抽出した。有機層を乾燥(MgSO4)および濃縮し、残渣を冷ヘキサンと一緒に磨砕して、4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)−ピリジン−2−カルボン酸(105mg、0.44mmol)を白色固体として得た。
1H NMR(DMSO−d6):δ7.02(s,1H),6.94(br.s,2H),1.90(t,3H)
【0043】
別法として、メチル6−アセチル−4−アミノ−3−クロロピリジン−2−カルボキシレートから調製を行った。
メチル6−アセチル−4−アミノ−3−クロロピリジン−2−カルボキシレート(0.50g、2.19mmol)のメチレンクロライド(40ml)溶液に(ジエチルアミノ)硫黄トリフルオライド(2.66ml、20mmol)を加えた。室温で3日間撹拌した後、反応混合物を食塩水に注いだ。有機層を分離し、水相をジクロロメタンで抽出した。有機層を合一し、乾燥(MgSO4)および減圧濃縮した。粗製残渣をTHF(25ml)に溶解させ、LiOH(0.46g、10.9mmol)の水溶液を加えた。一夜撹拌した後、半量に濃縮し、EtOAcで1回洗浄した。次いで、水相(aqueous)を飽和クエン酸で洗浄した。これをEtOAcで抽出し、乾燥して粗製酸を得た。分取HPLC(70%CH3CN、保持時間3.5分)で精製し、4−アミノ−3−クロロ−6−(1,1−ジフルオロエチル)ピリジン−2−カルボン酸238mgを白色固体酸として得た(2段階で46%)。
【0044】
5.除草剤組成物の調製
以下に例示する組成物における部および百分率は重量による。
【0045】
乳剤

【0046】

【0047】

【0048】

【0049】

【0050】
これらの濃縮物を水で希釈することにより、雑草の防除に好適な濃度のエマルジョンを得ることができる。
【0051】
水和剤

【0052】

【0053】

【0054】
対応する担体に有効成分を適用した後、これらを混合および粉砕することによって、湿潤性および懸濁性に優れた水和剤を得る。これらの水和剤を水で希釈することにより、雑草防除に好適な濃度の懸濁液を得ることができる。
【0055】
顆粒状水和剤

【0056】
含水シリカに有効成分を加え、次いでこれを他の成分と一緒に混合し、粉砕して粉末にする。この粉末を水で凝集させ、これを篩別することによって、−10〜+60メッシュの範囲の顆粒を得る。この顆粒を水中に分散させることによって、雑草防除に好適な濃度の懸濁液を得ることができる。
【0057】
顆粒

【0058】
有効成分を極性溶剤(例えば、N−メチル−ピロリジノン、シクロヘキサノン、ガンマ−ブチロラクトン等)中でセレトムMP88担体または他の好適な担体に適用する。結果として得られた顆粒は、雑草防除の際に、手、散粒機、航空機等を用いて施用することができる。
【0059】

【0060】
原料をすべてブレンドし、これを粉砕して粉末にし、次いで水を加え、このクレー混合物がペーストを形成するまで撹拌する。この混合物をダイを通して押出成形して、適切な大きさの顆粒を得る。
【0061】
水溶液剤

【0062】
有効成分を適量の水に溶解させ、緩衝剤としてモノエタノールアミンをさらに加える。水溶性界面活性剤を加えてもよい。物理的、化学的および/または配合特性を改善するために他の助剤を加えてもよい。
【0063】
6.出芽後除草活性の評価
グレース−シエラ・メトロミックス(Grace-Sierra MetroMix)306植栽用土(planting mixture)(典型的にはpH6.0〜6.8、有機物含有量30%)をプラスチックポットに詰めて表面積を64cm2とし、所望の供試植物種の種子を播種した。良好な発芽および健全な植物を確実に得る必要がある場合は、殺菌剤処理および/またはそれ以外の化学的もしくは物理的処理を施した。温室内の温度を日中は23〜29℃、夜間は22〜28℃に維持し、照明時間を約15時間として7〜21日間植物を育成した。栄養および水は定期的に与え、必要に応じて上方の金属ハライドランプ(1000ワット)により補助的な照明を行った。第1または第2本葉段階に達した後、この植物を試験に供した。
【0064】
各供試化合物を秤量(この量は試験を実施する最大量によって定まる)し、20mlのガラス瓶に入れてアセトンとジメチルスルホキシド(DMSO)との97:3 v/v(容量/容量)混合液4mlに溶解することによって濃厚原液を得た。供試化合物が容易に溶解しなかった場合は、混合物を加温および/または超音波分解に付した。得られた濃厚原液を、アセトン、水、イソプロピルアルコール、DMSO、アトプラス(Atplus)411Fクロップオイルコンセントレートおよびトリトン(Triton)X−155界面活性剤を48.5:39:10:1.5:1.0:0.02のv/v比で含む水性混合物で希釈することによって、既知の濃度の噴霧液を得た。原液2mlを分取し上記混合物13mlで希釈することによって試験に付す最大濃度の溶液を調製し、この原液を順に希釈していくことによってより低濃度のものを調製した。既知の濃度の各溶液から約1.5mlを分取し、デビルビス(DeVilbiss)噴霧器を使用し、これを2〜4psi(140〜280キロパスカル)の圧縮空気圧で動作させて、各供試植物のポットに均等に噴霧することによって各植物全体を覆った。対照植物については、水性混合物を同様の方法で噴霧した。この試験において施用量を1ppmとすると約1g/Haを施用したことになる。
【0065】
処理された植物および対照植物を上述したように温室に入れて、供試化合物が洗い流されないよう、地下潅がいによって水を供給した。2週間後、無処理の植物と比較した供試植物の状態を肉眼で確認し、0〜100%(0は損傷なし、100は完全枯死に相当)のスケールで採点した。
【0066】
ジェー・バークソン(J.Berkson)により、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・スタティスティカル・ソサイエティー(Journal of the American Statistical Society)、1953年、第48巻、p.565において、またディー・フィニー(D.Finney)により、「プロビット分析(Probit Analysis)」、ケンブリッジ・ユニバーシティ・プレス(Cambridge University Press)、1952年、において説明されている、一般に受け入れられているプロビット分析を適用することによって、上記データを用いてGR50およびGR80値を算出することができる。これらは生長抑制因子(growth reduction factor)として定義され、対象植物の50%および80%をそれぞれ枯殺および防除するのに必要とされる除草剤の有効用量に相当する。
【0067】
供試化合物のうちの数種類に関し、用いた施用量、試験に供した植物種およびその結果を表1に示す。コムギに対する選択性を表2に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
7.出芽前除草活性の評価
ローム土(シルト43%、粘土19%および砂土38%、pH8.1、有機物含有量1.5%)および砂土を70対30の比率で混合することによって調製した土壌基質に所望の供試植物種の種子を播種した。この土壌基質はプラスチックポットに詰められており、表面積は113cm2であった。良好な発芽および健全な植物を確実に得る必要がある場合は、殺菌剤処理および/またはそれ以外の化学的もしくは物理的処理を施した。
【0071】
各供試化合物を秤量(この量は試験を実施する最大量によって定まる)し、20mlのガラス瓶に入れてアセトンとジメチルスルホキシドとの97:3(容量/容量)混合液4mlに溶解することによって濃厚原液を得た。供試化合物が容易に溶解しなかった場合は、混合物を加温および/または超音波分解に付した。得られた原液を水およびトゥイーン(Tween)(登録商標)155界面活性剤の99.9:0.1混合物で希釈することによって既知の濃度の施用液を得た。原液2mlを分取し上記混合物15mlで希釈することによって試験に付す最大濃度の溶液を調製し、この原液を順に希釈していくことによってより低濃度のものを調製した。既知の濃度の各溶液から2.5mlを分取し、各溶液を、ティージェット(TeeJet)TN−3中空円錐ノズルを取り付けた5.0mlのコーンウォール(Cornwall)ガラスシリンジを用いて、播種後の各ポットの土壌表面(113cm2)に均等に噴霧することによって各ポットの土壌全体を覆った。対照ポットについては、水性混合物を同様の方法で噴霧した。
【0072】
処理されたポットおよび対照ポットを温室に入れて、照明時間を約15時間、温度を日中は23〜29℃、夜間は22〜28℃に維持した。栄養および水は定期的に与え、必要に応じて上方の金属ハライドランプ(1000ワット)により補助的な照明を行った。水は上からの潅水によって与えた。3週間後、無処理の発芽後および生育後の植物と比較した発芽後および生育後の供試植物の状態を肉眼で確認し、0〜100%(0は損傷なし、100は完全枯死または未発芽に相当)のスケールで採点した。
【0073】
供試化合物のうちの数種類に関し、用いた施用量、試験に用いた植物種およびその結果を表3に示す。
【0074】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I、
【化1】

(式中、
Yは、−CF2(C1〜C3アルキル)を表し、
Wは、−NO2、−N3、−NR12、−N=CR34または−NHN=CR34
(ここで、
1およびR2は、独立に、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、アミノ、C1〜C6アシル、C1〜C6カルボアルコキシ、C1〜C6アルキルカルバミル、C1〜C6アルキルスルホニル、C1〜C6トリアルキルシリルもしくはC1〜C6ジアルキルホスホニルを表すか、またはR1およびR2がNと一緒になって、ヘテロ原子であるO、SもしくはNをさらに含んでいてもよい飽和もしくは不飽和の5もしくは6員環を表し、
3およびR4は、独立に、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、C3〜C6アルキニル、アリールもしくはヘテロアリールを表すか、またはR3およびR4が=Cと一緒になって飽和の5もしくは6員環を表す)を表す)の化合物および該カルボン酸基または該4−アミノ基の農業的に許容される誘導体。
【請求項2】
Yが−CF2CH3を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Wが−NR12(式中、R1およびR2は、独立に、HまたはC1〜C6アルキルを表す)を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが−CF2CH3を表し、かつWが−NH2を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
除草有効量の請求項1に記載の式Iの化合物を、農業的に許容される補助剤または担体との混合物として含む除草剤組成物。
【請求項6】
望ましくない植生を防除する方法であって、除草有効量の請求項1に記載の式Iの化合物を、前記植生もしくはその場所(locus)に接触させることまたは植生の出芽を防止するべくその土壌に適用することを含む方法。


【公表番号】特表2007−501247(P2007−501247A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522683(P2006−522683)
【出願日】平成16年8月4日(2004.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/025116
【国際公開番号】WO2005/016887
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】