説明

AAD−1事象DAS−40278−9の検出

本発明は、一部には除草剤耐性植物、より詳細にはコーン植物におけるaad−1形質転換事象を検出することに関する。本発明は、(例えば、コーン穀粒の)サンプル中における本事象の存在を検出するためのアッセイをさらに提供する。アッセイを実施する際に有用なキット及び条件も又提供される。本発明は、一部には本方法を使用した植物育種にさらに関する。一部の実施形態では、前記事象/ポリヌクレオチド配列は、他の形質と「積み重ねる」ことができる。より詳細には、本発明は、一部にはAAD−1コーン事象40278−9についてのエンドポイントTaqMan PCRアッセイに関する。一部の実施形態は、高スループット接合生殖性分析が可能なアッセイに向けられる。本発明は、一部には、接合生殖性を決定する際に使用するための好ましい参照遺伝子の使用にさらに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
aad−1遺伝子(スフィンゴビウム・ハービシドボランス(Sphingobium herbicidovorans)に由来する)は、アリールオキシアルカノエートジオキシゲナーゼ(AAD−1)タンパク質をコードする。この形質は2,4−ジクロロフェノキシ酢酸及びアリールオキシフェノキシプロピオネート(一般には「ホップ」除草剤と呼ばれており、例えばジクロホップ及びキザロホップなど)除草剤に対する耐性を付与し、植物形質転換中及び育種圃場において選択可能なマーカーとして使用できる。植物における除草剤耐性に対するaad−1遺伝子自体については、国際公開第2005/107437号パンフレットに最初に開示された(米国特許出願第2009−0093366号も参照)。
【背景技術】
【0002】
事象を検出する様々な方法は公知である。しかし、それらには各々問題がある。1つの方法は、Winge (Innov. Pharma. Tech. 00:18-24, 2000)によって記載されたパイロシーケンシング技法である。この方法では、隣接するゲノムDNAと挿入DNAの接合部に重複するオリゴヌクレオチドが設計される。このオリゴヌクレオチドは、関心領域由来の一本鎖PCR産物にハイブリダイズさせられ(挿入配列内の1つのプライマー及びフランキングゲノム配列内の1つのプライマー)、DNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホスルフェート及びルシフェリンの存在下でインキュベートされる。DNTPは個別に加えられ、この組み込みは光シグナルを生じさせ、光シグナルは測定される。光シグナルは、成功した増幅、ハイブリダイゼーション、及び一塩基又は多塩基伸長に起因する導入遺伝子挿入/フランキング配列の存在を指示する。
【0003】
蛍光偏光は、本発明のアンプリコンを検出するために使用できる又別の方法である。この方法に従うと、ゲノムフランキングDNAと挿入DNAとの接合部に重複するオリゴヌクレオチドが設計される。このオリゴヌクレオチドは、関心領域由来の一本鎖PCR産物にハイブリダイズさせられ(挿入DNA内の1つのプライマー及びフランキングゲノムDNA配列内の1つのプライマー)、DNAポリメラーゼ及び蛍光標識ddNTPの存在下でインキュベートされる。一塩基伸長は、ddNTPの組み込みを生じさせる。組み込みは、蛍光光度計を使用して偏光における変化として測定できる。偏光における変化は、成功した増幅、ハイブリダイゼーション、及び一塩基伸長に起因する導入遺伝子挿入/フランキング配列の存在を指示する。
【0004】
分子ビーコン(Molecular Beacons)は、配列検出において使用するために記載されている。手短には、フランキングゲノムと挿入DNAの接合部に重複するFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)オリゴヌクレオチドプローブが設計される。FRETプローブの固有の構造は、蛍光成分及び消光成分を極めて近接させて保持する二次構造を含有する構造を生じさせる。FRETプローブ及びPCRプライマー(挿入DNA配列内の1つのプライマー及びフランキングゲノム配列内の1つのプライマー)は、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクリングさせられる。成功したPCR増幅後、FRETプローブの標的配列へのハイブリダイゼーションは、結果としてプローブ二次構造の除去並びに蛍光成分及び消光成分の空間的隔離を生じさせる。蛍光シグナルが結果として生じる。蛍光シグナルは、成功した増幅及びハイブリダイゼーションに起因するフランキングゲノム/導入遺伝子挿入配列の存在を指示する。
【0005】
加水分解プローブアッセイは、他にはTAQMAN(PE Applied Biosystems社、カリフォルニア州フォスターシティ)として公知であり、DNA配列の存在を検出及び定量する方法である。手短には、ゲノムフランキングDNAと挿入DNAの接合部に重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。FRETプローブ及びPCRプライマー(挿入DNA配列内の1つのプライマー及びフランキングゲノム配列内の1つのプライマー)は、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクリングさせられる。特異的増幅後、Taq DNAポリメラーゼは、FRETプローブ上の消光成分から蛍光成分を浄化して放出する。蛍光シグナルは、成功した増幅及びハイブリダイゼーションに起因するフランキング/導入遺伝子挿入配列の存在を指示する。
【0006】
又別の挑戦課題は、特に、所定の試験のために適合する参照遺伝子を見いだすことである。例えば、Czechowski et al.の要約では次のように記載されている「Affymetrix ATH1全ゲノムGeneChip試験からの極めて大きなデータセットは、モデル植物種であるアラビドプシス(Arabidopsis)(シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana))において極めて安定性発現レベルを示す新世代の参照遺伝子を同定するための手段を提供した。発達を通してある範囲の環境条件下で発現安定性に関して伝統的参照遺伝子より機能が優れている、数百個のアラビドプシス遺伝子が見いだされた。」(Czechowski et al. (2005) Genome-wide identification and testing of superior reference genes for transcript normalization in Arabidopsis. Plant Physiol. 139, 5-17.)
【0007】
Brodmann et al. (2002)は、欧州連合において承認された4種のトウモロコシ(maize)品種について食品中のトランスジェニックトウモロコシ含量のリアルタイム定量的PCR検出に関する。
【0008】
Brodmann, P.D., P.D., Ilg E.C., Berthoud H., and Herrmann, A. Real-Time Quantitative Polymerase Chain Reaction Methods for Four Genetically Modified Maize Varieties and Maize DNA Content in Food. J. of AOAC international 2002 85(3).
【0009】
Hernandez et al. (2004)は、リアルタイムPCRとともに使用するための4種の可能性のある遺伝子について言及している。Hernandez, M., Duplan, M.-N., Berthier, G., Vaitilingom, M., Hauser, W., Freyer, R., Pla, M., and Bertheau, Y. Development and comparison of four real-time polymerase chain reaction systems for specific detection and quantification of Zea mays L. J.Agric. Food Chem. 2004, 52, 4632-4637.
【0010】
Costa et al. (2007)は、(同様にリアルタイムPCR状況において)これらの4つの遺伝子に目を向け、アルコールデヒドロゲナーゼ及びゼイン遺伝子がトランスジェニック飼料混入問題のためにサンプル「事象」(レクチン遺伝子)を検出するための最善の参照遺伝子であると結論付けた。Costa, L.D., and Martinelli L. Development of a Real-Time PCR Method Based on Duplo Target Plasmids for Determining an Unexpected Genetically Modified Soybean Intermix with Feed Components. J. Agric. Food Chem. 2007, 55, 1264-1273.
【0011】
Huang et al. (2004)は、トウモロコシにおいてMON810及びNK603導入遺伝子を検出するための参照分子としてプラスミドpMulM2を使用した。Huang and Pan, 「Detection of Genetically Modified Maize MON810 and NK603 by Multiplex and Real-Time Polymerase Chain Reaction Methods,」 J. Agric. Food Chem., 2004, 52 (11), pp 3264-3268.
【0012】
Gasparic et al. (2008)は、トウモロコシ事象(例えば、MON810)を定量的に分析するために、サイクリングプローブテクノロジー、TaqMan、及び様々なリアルタイムPCR化学との比較からLNAテクノロジーを提案している。Gasparic,Cankar, Zel, and Gruden, 「Comparison of different real-time PCR chemistries and their suitability for detection and quantification of genetically modified organisms,」 BMC Biotechnol. 2008; 8: 26.
【0013】
米国特許第20070148646号は、組み込まれたヌクレオチドの量によって検出及び定量できる個別ヌクレオチドの制御された分配を必要とする定量のためのプライマー伸長法に関する。これは、内部参照遺伝子を使用するTaqMan PCR法とは相違する。
【0014】
TC1507のホモ接合生殖性及びヘミ接合生殖性遺伝子型を識別するために、この事象に対してInvaderアッセイが使用されて成功している。Gupta, M., Nirunsuksiri, W., Schulenberg, G., Hartl, T., Novak, S., Bryan, J., Vanopdorp, N., Bing, J. and Thompson, S. A non-PCR-based Invader Assay Quantitatively Detects Single-Copy Genes in Complex Plant Genomes. Mol. Breeding 2008, 21, 173-181.
【0015】
Huabang (2009)は、トランスジェニックトウモロコシのPCRに基づく接合生殖性試験に関する。しかし、参照遺伝子は使用されていないと思われる。Huabang, 「An Accurate and Rapid PCR-Based Zygosity Testing Method for Genetically Modified Maize,」 Molecular Plant Breeding, 2009, Vol.7, No.3, 619-623.
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第20070148646号
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Winge (Innov. Pharma. Tech. 00:18-24, 2000)
【非特許文献2】Czechowski et al. (2005) Genome-wide identification and testing of superior reference genes for transcript normalization in Arabidopsis. Plant Physiol. 139, 5-17.
【非特許文献3】Brodmann, P.D., P.D., Ilg E.C., Berthoud H., and Herrmann, A. Real-Time Quantitative Polymerase Chain Reaction Methods for Four Genetically Modified Maize Varieties and Maize DNA Content in Food. J. of AOAC international 2002 85(3).
【非特許文献4】Hernandez, M., Duplan, M.-N., Berthier, G., Vaitilingom, M., Hauser, W., Freyer, R., Pla, M., and Bertheau, Y. Development and comparison of four real-time polymerase chain reaction systems for specific detection and quantification of Zea mays L. J.Agric. Food Chem. 2004, 52, 4632-4637.
【非特許文献5】Costa, L.D., and Martinelli L. Development of a Real-Time PCR Method Based on Duplo Target Plasmids for Determining an Unexpected Genetically Modified Soybean Intermix with Feed Components. J. Agric. Food Chem. 2007, 55, 1264-1273.
【非特許文献6】Huang and Pan, 「Detection of Genetically Modified Maize MON810 and NK603 by Multiplex and Real-Time Polymerase Chain Reaction Methods,」 J. Agric. Food Chem., 2004, 52 (11), pp 3264-3268.
【非特許文献7】Huang and Pan, 「Detection of Genetically Modified Maize MON810 and NK603 by Multiplex and Real-Time Polymerase Chain Reaction Methods,」 J. Agric. Food Chem., 2004, 52 (11), pp 3264-3268.
【非特許文献8】Gasparic,Cankar, Zel, and Gruden, 「Comparison of different real-time PCR chemistries and their suitability for detection and quantification of genetically modified organisms,」 BMC Biotechnol. 2008; 8: 26.
【非特許文献9】Gupta, M., Nirunsuksiri, W., Schulenberg, G., Hartl, T., Novak, S., Bryan, J., Vanopdorp, N., Bing, J. and Thompson, S. A non-PCR-based Invader Assay Quantitatively Detects Single-Copy Genes in Complex Plant Genomes. Mol. Breeding 2008, 21, 173-181.
【非特許文献10】Huabang, 「An Accurate and Rapid PCR-Based Zygosity Testing Method for Genetically Modified Maize,」 Molecular Plant Breeding, 2009, Vol.7, No.3, 619-623.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、サンプル(例えば、コーン(corn)穀粒)中のDAS−40278−9と指名されたAAD−1コーン事象の存在を検出するためのアッセイを提供する(代表的な種子は、アクセッション番号PTA−10244を付してアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)に預託された(イエローデントトウモロコシハイブリット種子(Yellow Dent maize hybrid seed)(Zea Mays L.);DAS−40278−9; Dow AgroSciences LLC社のためにブダペスト条約を順守して預託された;ATTCによる種子/菌株の受領日:2009年7月10日;生存性確認日、2009年8月17日)。アッセイを実施する際に有用なキット及び条件も又提供される。
【0019】
より詳細には、本発明は、一部にはトウモロコシ内因性参照遺伝子を利用するコーンにおけるAAD−1事象についてのエンドポイントTaqMan PCRアッセイに関する。一部の実施形態は、高スループット接合生殖性分析が可能なアッセイに向けられる。本発明は、さらに、一部には、接合生殖性を決定する際に使用するための好ましいインベルターゼ参照遺伝子の発見に関する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明は、また、一部には、本検出法のいずれかを組み込んでいる植物育種に関する。一部の実施形態では、前記事象は、例えば、その他の除草剤耐性遺伝子及び/又は昆虫阻害性タンパク質を含む他の形質と「積み重ねる」ことができる。本方法は、本発明の事象を含むコーン系を一意的に同定するために使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】コーン事象DAS−40278−9におけるDNAインサートに対するクローニング戦略を示す図である。
【0022】
【図2】コーン事象DAS−40278−9のフランキング境界領域を確認するためのPCR増幅に使用されるプライマーの図である。この略図は、AAD−1コーン事象DAS−40278−9の5’〜3’境界の全長シーケンシングを確認するためのプライマーの位置を示す図である。
【0023】
【図3】コーン事象DAS−40278−9からのフランキング境界配列についてのクローニング戦略を示す図である。コーン事象DAS−40278−9のゲノムDNAはEcoR V、Stu I、又はSca Iを用いて消化し、対応するGenomeWalker(商標)ライブラリーを生成し、これらを標的DNA配列を増幅させるための鋳型として使用した。
【発明を実施するための形態】
【0024】
配列の簡単な説明
配列番号1は、コーン事象DAS−40278−9についてのインサートを含むAAD−1挿入のどちらかの側での5’及び3’ゲノムフランキング配列の配列を提供する。
配列番号2〜7は、本発明に従って使用するためのプライマー及びプローブである。
配列番号8は、実証された事象アンプリコンである。
配列番号9は、実証された参照アンプリコンである。
【0025】
トランスジェニックAAD−1(除草剤耐性を提供する)コーン事象DAS−40278−9は、Whisker媒介形質転換によって生成させた。このAAD−1導入遺伝子インサートの両方の5’及び3’末端フランキング配列は、USSN61/235,248(2009年8月19日に出願)に詳述されたようにクローニングし、シーケンシングし、特性解析した。
【0026】
特異的TAQMANプライマー及びプローブは、本明細書に詳述したように、一部には5’挿入−植物接合部に位置するDNA配列に従って設計された。プライマー及びプローブの事象特異性は、16種のAAD−1コーン事象に対するリアルタイムPCRにおける参照遺伝子としてのコーンインベルターゼ及び2種の非トランスジェニックコーン品種を用いて二重フォーマットで試験して成功が得られた。AAD−1コーン事象DAS−40278−9についてのエンドポイント事象特異的TAQMANアッセイのための方法は、本明細書に詳述したように開発された。
【0027】
このAAD−1コーンにおける宿主植物DNAと統合遺伝子構築物との間の統合接合部の領域に渡る配列は、固有の配列である。この配列は、GMO試験のためのAAD−1コーンDAS−40278−9の存在を検出し、育種集団における植物の接合生殖性状態を決定する目的で事象特異的アッセイ(従来型PCR又はリアルタイムPCR)を開発するために使用された。本明細書に報告した事象特異的TAQMANアッセイは、両方の適用のために使用することができる。
【0028】
本発明は、サンプル中の本トランスジェニックコーン事象DAS−40278−9(pDAS1740−278としても公知である)の存在を検出するためのアッセイを提供する。本発明の態様には、本明細書で実証又は提案した任意の診断的核酸分子を設計及び/又は生成する方法が含まれる。
【0029】
本発明は、一部には、これらの方法のいずれかを組み込んでいる植物育種にさらに関する。一部の実施形態では、本事象は、例えば他の形質(例えばその他の除草剤耐性遺伝子及び/又は昆虫阻害性タンパク質をコードする遺伝子)と「積み重ねる」ことができる。本事象を含む植物系は、本明細書に開示及び提案した配列を使用して検出することができる。
【0030】
一部の実施形態では、本発明は、除草剤耐性コーン系の同定に関する。本発明は、一部には、性的交配の子孫が関心事象を含有するかどうかを決定する目的で本事象の存在を検出することに関する。さらに、本事象を検出するための方法が含まれ、本方法は、例えば、リコンビナント作物に由来する食品の市場導入前承認及びラベル表示を必要とする規制に従うために有用である。
【0031】
本発明は、一部には、AAD−1トウモロコシ事象の高スループット接合生殖性分析のための参照(コピー数)コントロールとしての内因性遺伝子を利用する蛍光に基づくエンドポイントTaqMan PCRアッセイに関する。本発明は、一部には、好ましい参照遺伝子であるインベルターゼの発見にさらに関する。幾つかの参照遺伝子が可能性のある選択肢として同定された。
【0032】
本発明は、一部には、AAD−1事象特異的接合生殖性分析のためのバイプレックスエンドポイントTaqMan PCRの開発にさらに関する。さらに、本発明は、一部には、AAD−1育種試験キットの開発に関する。
【0033】
エンドポイントTaqMan アッセイは、「プラス」がサンプルがアッセイされた遺伝子に対して陽性であり、「マイナス」がサンプルがアッセイされた遺伝子に対して陰性であることを明示するプラス/マイナス戦略に基づいている。これらのアッセイは、典型的にはAAD−1導入遺伝子配列及び野生型遺伝子配列各々を同定するために2セットのオリゴヌクレオチド、並びに導入遺伝子及び野生型配列の含量を測定するための二重標識プローブを利用する。
【0034】
Invaderアッセイは事象を特性解析するための堅固な技術であったが、このアッセイは、DNAの品質に対して極めて影響を受けやすい。さらに、このアッセイは、多量のDNAを必要とする。Invaderアッセイは、さらに又適正に取り扱われないとInvaderアッセイの結果を失敗に終わらせる可能性がある追加の変性工程を必要とする。さらに、Invaderアッセイの長いアッセイ時間は、商業的環境において分析するために多数のAAD−1サンプルを効率的に取り扱う柔軟性を制限される。本発明の1つの主要な利点は、時間の節約と変性する工程の排除である。
【0035】
AAD−1事象を検出するための本エンドポイントTaqMan分析は、Invader法に比較して、特に多数のサンプルを分析する際に驚くべき利点を提供する。
【0036】
本発明は、コーン、大豆、及び綿を含む作物におけるAAD−1除草剤耐性形質の開発及び特性解析に影響を及ぼすことができる。
【0037】
用語の定義及び実施例は、本発明を説明するのに役立つために、及び当業者が本発明を実施できるように導くために本明細書に提供されている。他に明記されない限り、用語は関連分野における当業者の慣例的用法に従うと理解されたい。37CFR(米連邦規則集)§1.822に規定されたDNA塩基についての術語が使用される。本明細書で使用する用語「子孫」は、AAD−1コーン事象DAS−40278−9を含む親植物のいずれかの世代の子を意味する。
【0038】
トランスジェニック「事象」は、異種DNA、すなわち関心導入遺伝子を含む核酸構築物を備える植物細胞の形質転換、該植物のゲノム内への導入遺伝子の挿入の結果として生じる植物集団の再生、及び特定ゲノム位置内への挿入を特徴とする特定植物の選択によって生成される。用語「事象」は、原形質転換体及び異種DNAを含む形質転換体の子孫を意味する。用語「事象」は、形質転換体とゲノム/導入遺伝子DNAを含む又別の種との性的異種交配によって生成される子孫も又意味する。反復親への繰り返し戻し交配後でさえ、形質転換された親からの挿入された導入遺伝子DNA及びフランキングゲノムDNA(ゲノム/導入遺伝子DNA)は、交配の子孫中に同一染色体位置で存在する。用語「事象」は、挿入されたDNA配列、並びに該挿入されたDNA(例えば、原形質転換体及び自植の結果として生じる子孫)を含む1つの親系と該挿入されたDNAを含有しない親系との性的交配の結果としての関心導入遺伝子を含む挿入されたDNA受け入れる子孫へ転移させられると予測される該挿入されたDNAに直接隣接するフランキングゲノム配列を含む原形質転換体及びその子孫由来のDNAも意味する。
【0039】
「接合部配列」は、ゲノム内に挿入されたDNAが挿入点に隣接するコーン天然ゲノム由来のDNAに連結する地点に広がっている。本明細書に記載したコーン事象における挿入と類似の長さのフランキングDNAとに渡るDNA配列が含まれる。
【0040】
本発明は、本事象の同定に関する。本発明には、関連するPCRプライマー及びアンプリコンが含まれる。これらの分子を使用すると、本トランスジェニックコーン系に由来する商業化されたトランスジェニックコーン品種又は系を検出又は同定することができる。
【0041】
挿入の全配列は、各フランキング配列の部分と一緒に、本明細書では配列番号1として提供されている。配列番号1(計8,557塩基対)に関する本事象についての挿入及びフランキング配列の配位は、下記に表示した。
【表1】

【0042】
本事象についてのAAD−1挿入及びフランキング配列の構成要素は、図1〜3にさらに例示した。
【0043】
本発明の検出技術は、植物育種と結び付けて使用すると、子孫に1つ又はそれ以上の追加の関心形質を付与する努力において関心事象を含む親植物が他の植物系と交配させられた後に、どの子孫植物が所定の事象を含むかを決定することができる。本方法は、例えば、コーン育種プログラム並びに特に商業化トランスジェニックコーン種子についての品質管理において有用である。これはさらに、製品規制及びプロダクト・スチュワードシップにも利益を与えることができる。これらの方法は、育種戦略を加速するために使用できる。
【0044】
一部の実施形態では、接合生殖性分析のための蛍光に基づくエンドポイントTaqManアッセイは、コーン及び参照遺伝子におけるAAD−1事象を同定するためにプレートリーダーにおいて結果を直接的に読み取ることを可能にする。
【0045】
本発明は、育種用途、例えば他のコーン系内へのAAD−1事象の遺伝子移入の試験を含む。
【0046】
本発明の検出法及びキットは、本発明による事象を同定するために使用できる。本発明の検出法及びキットは、育種戦略を加速するため、及び連鎖データを確立するために使用できる。
【0047】
本発明の検出技術は、植物育種と結び付けて使用すると、子孫に1つ又はそれ以上の追加の関心形質を付与する努力において関心事象を含む親植物が他の植物系と交配させられた後に、どの子孫植物が所定の事象を含むかを決定する際に特に有用である。これらのTaqman PCR分析法は、トウモロコシ育種プログラム、並びに特に商業化されたトランスジェニックトウモロコシ種子についての品質管理にとって利益がある。今では、これらのトランスジェニックトウモロコシ系のためのTaqman PCR検出キットも又作成及び使用することができる。これはさらに、製品規制及びプロダクト・スチュワードシップにも利益を与えることができる。
【0048】
さらになお、本方法は、導入遺伝子統合プロセス、ゲノム統合部位特性、事象ソーティング、導入遺伝子及びそれらのフランキング配列の安定性、並びに遺伝子発現(特に遺伝子サイレンシング、導入遺伝子メチル化パターン、位置効果、及び潜在的発現関連エレメント、例えばMARS(マトリックス付着領域[matrix attachment regions])などに関連する)を試験及び特性解析するために使用できる。
【0049】
本明細書において使用する用語「コーン」はトウモロコシ(Zea mays)を意味し、コーンとともに栽培できるそれらの全品種を含む。
【0050】
本発明はさらに、交配種を作成し、及び本発明の方法を使用するプロセスを含む。例えば、本発明は、Fハイブリッド種子を生成する方法であって、例示した植物を相違する(例、同系親)植物と交配させる工程と、結果として生じたハイブリッド種子を収穫する工程と、及び本事象を検出する工程とによる方法を含む。結果として生じる植物の特性は、本発明の方法を組み込むことによっても改良することができる。
【0051】
除草剤耐性コーン植物は、本明細書で言及した系の種子から栽培したコーン植物からなる第1親コーン植物及び第2親コーン植物を最初に性的に交配させる工程と、それにより複数の第1子孫植物を生成する工程と、次に除草剤に耐性である(又は本事象を有する)第1子孫植物を選択する工程と、該第1子孫植物を自植させ、それにより複数の第2子孫植物を生成する工程と、次に該第2子孫植物から除草剤に耐性である(又は該事象の内の少なくとも1つを有する)植物を選択する工程によって栽培することができる。これらの工程は、第1子孫植物又は第2子孫植物を第2親コーン植物又は第3親コーン植物へ戻し交配する工程をさらに含むことができる。本発明のコーン種子を含むコーン作物、又はそれらの子孫を次に植えることができる。
【0052】
さらに、2種の相違するトランスジェニック植物は、2つの独立して分離して加えられる、外来遺伝子を含有する子孫を生成するためにさらに対合させられると理解されたい。適切な子孫の自植は、両方の加えられた外来遺伝子に対してホモ接合生殖性である植物を生成することができる。親植物への戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配も又、栄養繁殖と同様に企図されている。様々な形質及び作物のために一般に使用されるその他の育種方法は、当分野において公知である。戻し交配育種は、反復親である、望ましいホモ接合生殖性の栽培品種系若しくは近交系内への単純に遺伝で受け継いだ、高度の遺伝性の形質のための遺伝子を転移させるために使用されてきた。転移対象の形質の起源は、ドナー親と呼ばれる。結果として生じる植物は、反復親(例、栽培品種)の属性及びドナー親から転移した望ましい形質を有すると予期される。初期交配後、ドナー親の表現型を有する個体が選択され、反復親へ繰り返し交配(戻し交配)される。結果として生じる親は、反復親(例、栽培品種)の属性及びドナー親から転移した望ましい形質を有すると予期される。
【0053】
本発明は、マーカー支援育種(MAB)法と結び付けて使用できる。同様に、本発明のDNA分子は、遺伝的に連結している農学的に有用な形質を同定する他の方法(例えばAFLPマーカー、RFLPマーカー、RAPDマーカー、SNP、及びSSR)とともに使用することができる。除草剤耐性形質は、MAB法を使用すると交配の子孫(又はそれらの子孫及び任意の他のコーン栽培品種若しくは品種)において追跡することができる。本発明の方法は、本事象を有する任意のコーン品種を同定するために使用できる。
【0054】
本発明の方法は、除草剤耐性コーン植物を作成する方法であって、前記方法は本事象を有する植物を用いて育種する工程を含む方法を含む。好ましい方法は、本発明によって検出可能な事象について前記子孫を分析する工程によって前記交配種の子孫を選択する工程をさらに含む。例えば、本発明を使用すると、他の望ましい形質、例えば農業形質を含む植物を用いた育種サイクルを通して本事象を追跡することができる。本事象及び所望の形質を含む植物は、検出し、同定し、選択し、及び例えばその後の一連の育種において迅速に使用することができる。本事象/形質はさらに又、育種を通して結合し、そして昆虫耐性形質及び/又はさらになる除草剤耐性形質を用いて、本発明によって追跡することができる。後者の1つの好ましい実施形態は、イミダゾリノン系除草剤、グリホセート、及び/又はグルホシネートに対する耐性をコードする遺伝子と結合された本事象を含む植物である。一部の実施形態では、ジカンバ耐性遺伝子を使用できる。
【0055】
そこで本発明は、例えば、グリホセート耐性(例、耐性植物若しくは細菌EPSPS、GOX、GAT)、グルホシネート耐性(例、Pat、bar)、アセトラクテートシンターゼ(ALS)−阻害性除草剤耐性(例、イミダゾリノン類[例えば、イマゼタピル]、
スルホニルウレア類、チリアゾロピリミジンスルホンアニリド、ピルミジニルチオベンゾエート類、及びその他の化学薬品[Csr1、SurAなど])、
ブロモキシニル耐性(例、Bxn)、HPPD(4−ヒドロキシルフェニル−ピルベート−ジオキシゲナーゼ)酵素の阻害剤に対する耐性、フィトエンデサチュラーゼ(PDS)の阻害剤に対する耐性、光化学系II阻害性除草剤(例、psbA)に対する耐性、光化学系I阻害性除草剤に対する耐性、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼIX(PPO)−阻害性除草剤(例、PPO−1)に対する耐性、フェニルウレア系除草剤(例、CYP76B1)に対する耐性、ジカンバ分解酵素(例、例えば、米国特許出願第20030135879号を参照されたい)をコードする形質と結合することができ、その他の形質は、雑草シフト及び/又は上述したクラスの任意の除草剤への耐性を効果的に制御若しくは防止する能力を提供するために、単独で、又は複数の組み合わせで積み重ねることができよう。
【0056】
追加の除草剤に関して、一部の追加の好ましいALS(AHASとしても公知である)阻害剤には、トリアゾロピリミジンスルホンアニリド類(例えば、クロランスラム−メチル、ジクロスラム、フロラスラム、フルメトスラム、メトスラム、及びペノキススラム)、ピリミジニルチオベンゾエート類(例えば、ビスピリバック及びピリチオバック)、並びにフルカルバゾンが含まれる。一部の好ましいHPPD阻害剤には、メソトリオン、イソキサフルトール、及びスルコトリオンが含まれる。一部の好ましいPPO阻害剤には、フルミクロラック、フルミオキサジン、フルフェンピル、ピラフルフェン、フルチアセット、ブタフェナシル、カルフェントラゾン、スルフェントラゾン、及びジフェニルエーテル類(例えば、アシフルオルフェン、フォメサフェン、ラクトフェン、及びオキシフルオルフェン)が含まれる。
【0057】
さらに、単独又は1つ又はそれ以上の追加のHTC形質と積み重ねられたAAD−1には、1つ又はそれ以上の追加のインプット(例、昆虫耐性、真菌耐性、又はストレス耐性その他)又はアウトプット(例、増加した収率、改良された油プロファイル、改良された繊維品質その他)形質を積み重ねることができる。そこで、本発明を使用すると、任意の数の農業害虫を柔軟に及び費用効果的に制御する能力を備える改良された作物品質の完全農業パッケージを提供することができる。
【0058】
本明細書で使用する「系」は、少なくとも1つの形質についての個体間の遺伝的変異をほとんど又は全く示さない植物の群である。そのような系は、数世代の自家受粉及び選択、又は組織若しくは細胞培養技術を使用して単一親からの栄養繁殖によって作り出すことができる。
【0059】
本明細書で使用する用語「栽培品種」及び「品種」は、同義語であり、商業的生産のために使用される系を意味する。
【0060】
「安定性」又は「安定した」は、所定の構成要素に関して、該構成要素が世代から世代に、及び好ましくは、少なくとも3世代に渡って実質的に同一レベルで、例えば好ましくは±15%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%で維持されることを意味する。安定性は、植え付けの温度、位置、ストレス及び時間によって影響される可能性がある。現場条件下でのその後の世代の比較は、類似方法で該構成要素を生成するはずである。
【0061】
「商業的有用性」は、作物を従来型工作機械を使用して農業従事者が生産することができ、本明細書に記載した構成成分を備える油を従来型破砕及び抽出装置を使用して種子から抽出できるように、優れた植物活力及び高繁殖力を有すると規定されている。商業的に有用であるためには、種子重量、油含量、及び1エーカー(4,4046.86m)当たりに生産される全油によって測定される収量は、同一領域内で栽培されたプレミアム価値形質を備えていない、他の点では匹敵する商業的トウモロコシ品種の平均収率の15%以内である。
【0062】
「農学的精鋭」は、1つの系が望ましい農業的特性、例えば収率、成熟度、疾患耐性などを本事象に起因する昆虫耐性に加えて有することを意味する。個別又は任意の組み合わせで取り入れられた農学的形質。
【0063】
当業者であれば本開示に照らして理解できるように、検出キットの好ましい実施形態は、例えばプローブ及び/又はプライマーを含むことができる。例えば、これは本明細書に示したポリヌクレオチドプローブ、プライマー、及び/又はアンプリコンを含む。
【0064】
当業者であれば、又プライマー及びプローブがある範囲の標準ハイブリダイゼーション及び/又はPCR条件下で配列番号1(又はその相補体)、及びそれらの相補体のセグメントにハイブリダイズするように設計することができることを認識できるであろうが、このとき該プライマー又はプローブは、例示した配列に対して完全に相補的ではない。つまり、ある程度のミスマッチは忍容することができる。およそ20ヌクレオチドプライマーについては、例えば、典型的には1つ又は2つ又はその位のヌクレオチドは、ミスマッチ塩基がアンプリコンとは反対のプライマーの内部若しくは末端にある場合は逆鎖と結合する必要はない。様々な適切なハイブリダイゼーション条件を下記に提供する。合成ヌクレオチドアナログ、例えばイノシンも又プローブ内で使用することができる。ペプチド核酸(PNA)プローブ、並びにDNA及びRNAプローブも又使用できる。重要であるのは、そのようなプローブ及びプライマーが本発明の事象の存在について診断的である(一意的に同定及び識別することができる)点である。
【0065】
「インサート」の各々の構成要素は、図1〜3に例示した。これらの構成要素、又はそれらのフラグメントのDNAポリヌクレオチド配列は、本発明の方法におけるDNAプライマー又はプローブとして使用できる。
【0066】
本発明の一部の実施形態では、コーン植物由来の植物及び種子などにおける導入遺伝子/ゲノム挿入領域の存在を検出するための組成物及び方法が提供される。
【0067】
一部の実施形態では、新規導入遺伝子/ゲノム挿入領域の隣接フラグメントを含むDNA配列が本発明の1つの態様である。導入遺伝子挿入配列の十分な長さのポリヌクレオチド並びにコーンゲノム配列及び/又はこれらのコーン植物の1つ又はそれ以上に対して診断的であるアンプリコン産物を生成するためのプライマー配列として有用である配列の十分な長さのポリヌクレオチドを含むDNA配列が含まれる。
【0068】
関連実施形態は、本明細書で同定したDNA配列、又はそれらの相補体の導入遺伝子部分の少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又はそれ以上の隣接ヌクレオチドを含むDNA配列に関する。そのような配列は、DNA増幅法におけるDNAプライマーとして有用な可能性がある。これらのプライマーを使用して生成されたアンプリコンは、本明細書で言及したコーン事象に対して診断的である。このため、本発明は、アンプリコン並びにそのようなDNAプライマー及び相同プライマーによって生成されたアンプリコンも又含む。
【0069】
本発明は、サンプル中における本明細書で言及したコーン事象に対応するDNAの存在を検出する方法を含む。そのような方法は、(a)DNAを含むサンプルを、これらのコーン事象の内の少なくとも1つ由来のDNAを用いる核酸増幅反応において使用した場合に前記事象に対して診断的であるアンプリコンを生成するプライマーセットと接触させる工程と、(b)核酸増幅反応を実施し、それにより該アンプリコンを生成する工程と、(c)該アンプリコンを検出する工程とを含むことができる。
【0070】
本発明の又別の検出方法は、サンプル中における前記事象の少なくとも1つに対応するDNAの存在を検出する方法であって、前記方法は、(a)DNAを含む該サンプルをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、前記コーン事象の内の少なくとも1つ由来のDNAとはハイブリダイズするが、該ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でコントロールコーン植物(非関心事象DNA)とはハイブリダイズしないプローブと接触させる工程と、(b)該サンプル及びプローブをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供する工程と、(c)該プローブの該DNAへのハイブリダイゼーションを検出する工程とを含む方法を含む。
【0071】
本発明は、サンプル中において、本明細書で言及したトウモロコシ植物の内の少なくとも1つ由来のDNAの存在を検出する方法を含む。そのような方法は、(a)DNAを含む該サンプルを、これらのトウモロコシ事象の内の少なくとも1つを由来とするDNAを用いる本発明の核酸増幅反応において使用した場合に、プライマーセットと接触させる工程と、(b)本明細書に同定した参照遺伝子を使用してTAQMAN PCR増幅反応を実施する工程と、(c)結果を分析する工程とを含むことができる。
【0072】
さらに又別の実施形態では、本発明は、本発明のAAD−1事象を含むコーン植物を生成する方法であって、前記方法が、(a)第1親コーン系(前記除草剤耐性形質を前記系の植物に付与する、本発明の発現カセットを含む)及び第2親コーン系(この除草剤耐性形質が欠如する)を性的交配させ、それにより複数の子孫植物を生成する工程と、(b)分子マーカーの使用によって子孫植物を選択する工程とを含む方法を含む。そのような方法は任意で、前記除草剤耐性形質を含む何世代にも渡って同じ特徴を示すコーン植物を生成するために該子孫植物を該第2親コーン系へ戻し交配する又別の工程を含むことができる。
【0073】
本発明の又別の態様によると、本事象を含む交配種の子孫の接合生殖性を決定する方法が提供される。前記方法は、コーンDNAを含むサンプルを本発明のプライマーセットと接触させる工程を含むことができる。前記プライマーは、前記コーン事象の内の少なくとも1つ由来のゲノムDNAを用いる核酸増幅反応において使用されると、前記コーン事象の内の少なくとも1つに対して診断的である第1アンプリコンを生成する。そのような方法は、核酸増幅反応を実施し、それにより第1アンプリコンを生成する工程と、該第1アンプリコンを検出する工程と、コーンDNAを含む該サンプルを、コーン植物からのゲノムDNAを用いた核酸増幅反応において使用されると該コーンゲノム領域と相同である天然コーンゲノムDNAを含む第2アンプリコンを生成する前記プライマーセットと接触させる工程と、核酸増幅反応を実施し、それにより第2アンプリコンを生成する工程とをさらに含んでいる。本方法は、第2アンプリコンを検出する工程と、及びサンプル中の第1及び第2アンプリコンを比較する工程とをさらに含み、このとき両方のアンプリコンの存在は該サンプルが導入遺伝子挿入に対してヘテロ接合生殖性であることを示す。
【0074】
DNA検出キットは、本明細書に開示した組成物及びDNA検出の分野において周知である方法を使用して開発することができる。本キットは、サンプル中の本コーン事象DNAを同定するために有用であり、このDNAを含有するコーン植物を育種するための方法に適用することができる。本キットは、例えば本明細書に開示したアンプリコン、又は本事象の導入遺伝子エレメントに含有されたDNAと相同又は相補的であるDNA配列に相同又は相補的であるDNA配列を含有する。これらのDNA配列はDNA増幅反応において、又はDNAハイブリダイゼーション法におけるプローブとして使用できる。本キットは、検出法を実施するために必要な試薬及び材料も又含有することができる。
【0075】
「プローブ」は、従来型の検出可能な標識又はレポーター分子(例えば、放射性同位体、リガンド、化学発光剤、又は酵素)に付着している単離された核酸分子である。そのようなプローブは、標的核酸の鎖に対して、本発明の場合には、コーン植物由来であろうと、又は該事象由来のDNAを含むサンプル由来であろうと、前記コーン事象の内の1つ由来のゲノムDNAの鎖に対して相補的である。本発明によるプローブには、デオキシリボ核酸若しくはリボ核酸だけではなくポリアミド類及び標的DNA配列に特異的に結合する他のプローブ材料も又含まれ、その標的DNA配列の存在を検出するために使用できる。
【0076】
「プライマー」は、該プライマーと標的DNA鎖との間のハイブリッドを形成し、その後にポリメラーゼ、例えばDNAポリメラーゼによって該DNA鎖に沿って伸長させるために、核酸ハイブリダイゼーションによって相補的標的DNA鎖にアニーリングされる単離/合成された核酸である。本発明のプライマー対は、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はその他の従来型核酸増幅法によって標的核酸配列を増幅させるためのそれらの使用について述べられる。
【0077】
プローブ及びプライマーは、一般には長さが5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、または500ポリヌクレオチド又はそれ以上である。そのようなプローブ及びプライマーは、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件下で標的配列へ特異的にハイブリダイズする。好ましくは、本発明によるプローブ及びプライマーは標的配列との完全な配列類似性を有するが、標的配列とは相違して標的配列にハイブリダイズする能力を保持するプローブは、従来型方法によって設計することができる。
【0078】
プローブ及びプライマーを調製及び使用するための方法は、例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2nd ed., vol.1-3, ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989に記載されている。 PCRプライマー対は、公知の配列から、例えばその目的に合うことが意図されたコンピュータプログラムを使用して引き出すことができる。
【0079】
本明細書に開示したフランキングDNA及び挿入配列に基づくプライマー及びプローブを使用すると、従来法、例えばそのような配列を再クローニング及びシーケンシングする工程によって開示された配列を確認する(及び、必要であれば修正する)ことができる。
【0080】
本発明の核酸プローブ及びプライマーは、標的DNA配列へストリンジェント条件下でハイブリダイズする。サンプル中のトランスジェニック事象からDNAの存在を同定するためには、任意の従来型核酸ハイブリダイゼーション又は増幅法を使用することができる。核酸分子又はそれらのフラグメントは、所定の状況下で他の核酸分子へ特異的にハイブリダイズすることができる。本明細書で使用する2つの核酸分子は、該2つの分子が逆平行二本鎖核酸構造を形成できる場合は、相互へ特異的にハイブリダイズすることができると言われる。核酸分子は、それらが完全相補性を示す場合は又別の核酸分子の「相補体」であると言われる。本明細書で使用する「分子」は、該分子の1つの各ヌクレオチドが他のヌクレオチドに相補性である場合に「完全相補性」を示すと言われる。2つの分子は、それらが少なくとも従来型「低ストリンジェンシー」条件下で相互にアニーリングしたままとなることを許容する十分な安定性で相互にハイブリダイズすることができれば「最小相補的」であると言われる。同様に、分子は、それらが従来型「高ストリンジェンシー」条件下で相互にアニーリングしたままとなることを許容する十分な安定性で相互にハイブリダイズすることができれば「相補的」であると言われる。従来型ストリンジェンシー条件は、Sambrook et al.,1989によって記載されている。このため完全相補性からの逸脱は、そのような逸脱が分子が二本鎖構造を形成する能力を完全には除外しない限り容認できる。核酸分子がプライマー又はプローブとして機能するためには、使用される特定の溶媒及び塩濃度下で安定性二本鎖構造を形成できるために配列において十分に相補性であることだけが必要とされる。
【0081】
本明細書で使用する「実質的に相同の配列」は、高ストリンジェンシー条件下での比較対象の核酸配列の相補体へ特異的にハイブリダイズする核酸配列である。用語「ストリンジェント条件」は、Sambrook et al., 1989, at 9.52-9.55において考察された特異的ハイブリダイゼーション法による標的核酸(すなわち、特定の関心核酸配列)への核酸プローブのハイブリダイゼーションに関して機能的に規定される。さらに、Sambrook et al., 1989 at 9.47-9.52 and 9.56-9.58も参照されたい。従って、本発明のヌクレオチド配列は、DNAフラグメントの相補的伸長を備える二重鎖分子を選択的に形成するそれらの能力に対しても使用されることがある。
【0082】
想定された適用に依存して、標的配列に関するプローブの様々な程度の選択性を達成するために様々なハイブリダイゼーション条件を使用することができる。高選択性を必要とする適用のためには、典型的にはハイブリッドを形成するための相当にストリンジェントな条件を使用するが、例えば、約50℃〜約70℃の温度で約0.02M〜約0.15M NaClのような、例えば相当に低い塩及び/又は高い温度条件を選択することになる。ストリンジェント条件は、例えば、高ストリンジェンシー洗浄バッファー(0.2×SSC、0.1% SDS、65℃)を用いてハイブリダイゼーションフィルターを少なくとも2回洗浄する工程を含むことができよう。DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェント条件、例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、その後の50℃で2.0×SSCの洗浄は、当業者には公知である。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃での低ストリンジェンシーの約2.0×SSCから50℃での高ストリンジェンシーの約0.2×SSCまでから選択することができる。さらに、洗浄工程における温度は、低ストリンジェンシー条件での約22℃の室温から高ストリンジェンシー条件での約65℃まで増加させることができる。温度及び塩はどちらも変化させることができる、又は温度若しくは塩濃度のいずれかは他方の変量を変化させながら一定に保持することができる。そのような選択条件は、プローブと鋳型若しくは標的鎖との間のミスマッチが万一あっても、ほとんど許容しない。ハイブリダイゼーションによるDNA配列の検出は当業者には周知であり、米国特許第4,965,188号及び第5,176,995号の教示は、ハイブリダイゼーション分析法の典型例である。
【0083】
特に好ましい実施形態では、本発明の核酸は、高ストリンジェンシー条件下で、相補体及びそれらのフラグメントを含む、本明細書で例示又は提案した1つ又はそれ以上のプライマー(又はアンプリコン若しくはその他の配列)へ特異的にハイブリダイズすることになる。本発明の1つの態様では、本発明の核酸分子は、配列番号2〜7に規定した核酸配列、又はそれらの相補体及び/又はフラグメントを有する。
【0084】
本発明の又別の態様では、本発明のマーカー核酸分子は、そのような核酸配列との80%〜100%又は90%〜100%の配列同一性を共有する。本発明のさらに別の態様では、本発明のマーカー核酸分子は、そのような配列との95%〜100%の配列同一性を共有する。そのような配列は、遺伝的交配の子孫を同定するための植物育種法においてマーカーとして使用できる。プローブの標的DNA分子へのハイブリダイゼーションは、当業者に公知の任意の数の方法によって検出でき、これらには蛍光タグ、放射性タグ、抗体に基づくタグ、及び化学発光タグが含まれるがそれらに限定されない。
【0085】
特定増幅プライマー対を使用した標的核酸配列の増幅(例、PCRによる)に関しては、「ストリンジェント条件」は、プライマー対がそれに対応する野生型配列(若しくはその相補体)を有するプライマーが結合し、及び好ましくは固有の増幅産物であるアンプリコンを生成する標的核酸配列にのみハイブリダイズすることを許容する条件である。
【0086】
用語「(標的配列)に対して特異的」は、プローブ又はプライマーがストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で標的配列を含むサンプル中で該標的配列にしかハイブリダイズしないことを意味する。
【0087】
本明細書で使用する用語「増幅したDNA」若しくは「アンプリコン」は、核酸鋳型の一部である標的核酸配列の核酸増幅の産物を意味する。例えば、性的交配の結果として生じるコーン植物が本発明のコーン植物由来のトランスジェニック事象ゲノムDNAを含有するかどうかを決定するために、コーン植物組織サンプルから抽出されたDNAは、該事象DNAの存在に対して診断的であるアンプリコンを生成するために、挿入された異種DNAの挿入部位に隣接する植物のゲノム内のフランキング配列に由来するプライマー、及び挿入された異種DNAに由来する第2プライマーを含む1つのプライマー対を使用する核酸増幅法に供することができる。アンプリコンは、ある長さを有し、本事象に対して診断的である配列を有する。アンプリコンは、プライマー対+1ヌクレオチド塩基対の結合長及び/又はプライマー対+約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、または500、750、1000、1250、1500、1750、2000又はそれ以上のヌクレオチド塩基対(±上記に列挙した増分のいずれか)の結合長の長さの範囲内であってよい。或いは、プライマー対は、全挿入ヌクレオチド配列を含むアンプリコンを生成できるように挿入されたDNAの両方の部位上のフランキング配列から引き出すことができる。本植物ゲノム配列から引き出されたプライマー対のメンバーは、挿入されたDNA配列から間隔をあけて位置してよい。この間隔は、1ヌクレオチド塩基対から約20,000ヌクレオチド塩基対の範囲に及んでよい。用語「アンプリコン」の使用は、詳細にはDNA熱増幅反応において形成できるプライマー二量体を除外する。
【0088】
核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、当分野において公知の様々な核酸増幅法によって遂行できる。様々な増幅法は当分野において公知であり、特に、米国特許第4,683,195号及び同第4,683,202号に記載されている。PCR増幅法は、ゲノムDNAを22kbまで増幅させるために開発されている。DNA増幅の分野において公知のこれらの方法並びに他の方法は、本発明の実施において使用できる。本コーン事象由来の異種導入遺伝子DNAインサート若しくはフランキングゲノム配列は、本明細書に提供した配列に由来するプライマーを使用して本事象からそのような配列を増幅させ、その後にPCRアンプリコン若しくはクローニングされたDNAの標準DNAシーケンシングを行うことで確証する(及び必要であれば修正する)ことができる。
【0089】
これらの方法によって生成されたアンプリコンは、複数の技法によって検出することができる。アガロースゲル電気泳動法及びエチジウムブロミド染色は、DNAアンプリコンを検出する一般的に周知の方法である。又別のそのような方法は、隣接フランキングゲノムDNA配列及び挿入されたDNA配列の両方に重複するDNAオリゴヌクレオチドが設計されるGenetic Bit Analysis法である。オリゴヌクレオチドは、マイクロウエルプレートのウエル内で固定化される。関心領域のPCR(挿入された配列内の1つのプライマー及び隣接フランキングゲノム配列内の1つのプライマーを使用する)後、一本鎖PCR産物は固定化されたオリゴヌクレオチドにハイブリダイズすることができ、DNAポリメラーゼ及び予想される次の塩基に対して特異的な標識されたddNTPを使用する一塩基伸長反応のための鋳型として機能することができる。読出しは、蛍光又はELISAに基づいてよい。シグナルは、上首尾の増幅、ハイブリダイゼーション、及び一塩基伸長に起因する挿入/フランキング配列の存在を指示する。
【0090】
本明細書で参照又は言及する全特許、特許出願、仮出願、及び刊行物は、それらが本明細書の明示的教示と矛盾しない程度まで全体として参照により組み込まれる。
【0091】
他に指示されない限り、以下の略語を使用する。
AAD−1 アリールオキシアルカノエートジオキシゲナーゼ−1
bp 塩基対
℃ 摂氏温度
DNA デオキシリボ核酸
DIG ジゴキシゲニン
EDTA エチレンジアミン四酢酸
kb キロベース
μg マイクログラム
μL マイクロリットル
mL ミリリットル
M モル質量
OLP 重複プローブ
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
PTU 植物転写単位
SDS ドデシル硫酸ナトリウム
SOP 標準操作手順書
SSC 塩化ナトリウム及びクエン酸ナトリウムの混合液を含有するバッファー溶液(pH7.0)
TBE Tris塩基、ホウ酸及びEDTAの混合液を含有するバッファー溶液(pH8.3)
V ボルト
【実施例】
【0092】
実施例1.事象特異的Taqmanアッセイ
事象特異的Taqmanアッセイは、トウモロコシ事象DAS−40278−9の存在を検出するため、及び育種集団における植物の接合生殖性状態を決定するために開発した。事象特異的アッセイを開発するために、特異的Taqmanプライマー及びプローブは、5’挿入−植物接合部に位置するDNA配列に従って設計した。DAS−40278−9の特異的検出のために、この5’−統合接合部に渡る73bpのDNAフラグメントは、2つの特異的プライマーを使用して増幅させた。このPCR産物の増幅は、その5’末端でFAMレポーターを含有するApplied Biosystems社によって合成された標的特異的MGBプローブによって測定した。AAD−1コーン事象DAS−40278−9に対するこのTaqman検出法の特異性は、16種の相違するAAD−1コーン事象及び非トランスジェニックコーン品種に対してコーン特異的内因性参照遺伝子であるインベルターゼを用いた二重フォーマットにおいて試験した。
【0093】
実施例1.1.gDNAの単離
この試験では16種の相違するAAD−1コーン事象及び非トランスジェニックコーン品種のgDNAサンプルについて試験した。gDNAは、2つのアプローチ、Qiagenキット又はCTABを用いて抽出した。Qiagenキットを用いて抽出したgDNAサンプルに対しては、修正Qiagen DNeasy 96植物キットプロトコールに従ってgDNA抽出のために8枚のコーン新鮮葉片を使用した。CTAB手順を使用することによって抽出したgDNAサンプルに対しては、約0.3gの凍結乾燥葉組織をPermingeat et al., 1998からのプロトコールに従って使用した。gDNAは、販売業者の取扱説明書(Molecular Probes社、オレゴン州ユージーン)に従ってPico Green法を用いて定量した。gDNAサンプルは、この試験のためにDNase無含有水で希釈して10ng/μLの濃度を生じさせた。
【0094】
実施例1.2.Taqmanアッセイ及び結果
特異的Taqmanプライマー及びプローブは、DAS−40278−9事象特異的Taqmanアッセイのために設計した。これらの試薬は、AAD−1コーン事象DAS−40278−9を検出するために下記に列挙した条件を用いて使用できる。表1は、事象DAS−40278−9を検出するために特異的に開発されたプライマー及びプローブ配列を列挙している。
【表2】



【0095】
増幅についての多重PCR条件は、以下の通りである:総反応液25μL中で1×PCRバッファー、0.5〜2.5mM MgCl、0.2mM dNTP、0.2μMプライマー Corn−278−F、0.2μMプライマー Corn−278−R、0.2μMプライマー_IV−F、0.2μMプライマー_IV−R、0.08μMプローブ_Corn−278−プローブ、0.08μMプローブ_IV−プローブ、40U/mL HotStart Taq、0.6〜2.4μg/mL DNA。様々な濃度のMgCl及びDNAを試験した。0.5mM、1.0mM、1.8mM、及び2.5mMの濃度のMgClを使用した。カクテルは、以下の条件を使用して増幅させた:i)15分間に渡り95℃、ii)20秒間に渡り95℃、iii)60秒間に渡り60℃、iv)50サイクルに渡り工程ii〜iiiを繰り返す、v)4℃を保持する。リアルタイムPCRは、Bio−rad iCycler(商標)システム上で実施した。データ分析は、蛍光測定値が設定値に到達した時点のPCRサイクル数であるサイクル閾値(CT)の測定に基づいていた。CT値は、iCyclerソフトウエアによって自動的に計算した。
【0096】
上記のプライマーを使用して生成したアンプリコン配列は、以下の通りであった:
278F及び278R:
ttacaatcaacagcaccgtaccttgaagcggaatacaatgaaggttagctacgatttacagcaaagccagaat
(配列番号8)
IVF及びIVR:
tggcggacgacgacttgtccgagcagaccgccgtgtacttctacctgctcaagggcacggacggcagcctccaaacttt
(配列番号9)
【0097】
AAD−1コーン事象DAS−40278−9に対するこのTaqman検出法は、16種の相違するAAD−1コーン事象及び非トランスジェニックコーン品種に対して参照遺伝子としてのコーン特異的内因性インベルターゼを用いた二重フォーマットにおいて試験した。このアッセイはAAD−1コーン事象DAS−40278−9を特異的に検出し、コントロールからは偽陽性結果(即ち、16種の相違するAAD−1コーン事象及び非トランスジェニックコーン品種)を生成も増幅もさせなかった。事象特異的プライマー及びプローブは、AAD−1コーン事象DAS−40278−9を検出するために使用することができ、これらの条件及び試薬は接合生殖性アッセイのために適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AAD−1コーン事象DAS−40278−9を含むコーン植物の接合生殖性を決定するための方法であって、前記事象はAAD−1遺伝子を含む導入遺伝子構築物を含み、前記導入遺伝子構築物は5’フランキングコーンゲノムDNA及び3’フランキングコーンゲノムDNAに隣接しており、前記方法は、
前記コーン植物からゲノムDNAのDNAサンプルを得る工程と、
前記DNAサンプルを
a.第1事象プライマー及び第2事象プライマーであって、前記第1事象プライマーは前記導入遺伝子構築物へ特異的に結合し、前記第2事象プライマーは前記5’コーンゲノムフランキングDNA若しくは前記3’コーンゲノムフランキングDNAに特異的に結合し、そして前記第1事象プライマー及び前記第2事象プライマーはTAQMAN PCR条件に供されると事象アンプリコンを生成する第1事象プライマー及び第2事象プライマーと、
b.TAQMAN PCR条件に供されると内因性コーン参照遺伝子から参照アンプリコンを生成する参照フォーワードプライマー及び参照リバースプライマーと、
c.前記事象アンプリコンとハイブリダイズする蛍光事象プローブと、
d.前記事象アンプリコンとハイブリダイズする蛍光参照プローブと接触させることにより接触したサンプルを生成する工程と、
前記接触したサンプルを蛍光に基づくエンドポイントTAQMAN PCR条件に供する工程と、
前記事象アンプリコンとハイブリダイズした前記蛍光事象プローブを定量する工程と、
前記参照アンプリコンとハイブリダイズした前記蛍光参照プローブを定量する工程と、
ハイブリダイズした蛍光事象プローブとハイブリダイズした蛍光参照プローブとの量を比較する工程と、
ハイブリダイズした蛍光事象プローブとハイブリダイズした蛍光参照プローブの蛍光比率を比較することによってDAS−40278−9の接合生殖性を決定する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記アンプリコンは、50〜100残基からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記5’フランキングDNAは配列番号29の残基1〜1873を含み、前記3’フランキングDNAは配列番号29の残基6690〜8557を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記導入遺伝子構築物は、配列番号29の残基1874〜6689からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記参照遺伝子は、内因性トウモロコシ(Zea mays)インベルターゼ遺伝子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2事象プライマーは、配列番号29の残基1673〜1873又はそれらの相補体に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2事象プライマーは、配列番号29の残基6690〜6890に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記事象の又別のコーン系内への育種遺伝子移入のために使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記又別のコーン系には前記事象が欠如する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記事象アンプリコンは、73塩基対である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記参照遺伝子は、配列番号5、配列番号6、及び配列番号7からなる群から選択される配列を含む、又はそれにハイブリダイズする、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記参照プライマーは配列番号5及び配列番号6を含み、前記参照プローブは配列番号7を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記プローブは、蛍光色素及びクエンチャーを用いて標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記事象プローブは、前記事象プローブの5’末端で前記蛍光色素としてのFAM及び前記事象プローブの3’末端でMGBクエンチャーを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記参照アンプリコンは、前記プライマーによって増幅させた79塩基対フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記参照プローブは、前記参照プローブの5’末端でHEX、及び前記参照プローブの3’末端でBlack Hole Quencher2(BHQ2)を用いて標識される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記事象アンプリコンは配列番号8からなり、前記参照アンプリコンは配列番号9からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記事象プローブは、配列番号4を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記事象プライマーは、配列番号2及び配列番号3からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記方法の結果は、プレートリーダーで直接的に読み取られる、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記DNAサンプルは、農場内のコーン植物から得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法を実施するためのキットであって、前記キットは、前記第1事象プライマー、前記第2事象プライマー、前記参照フォーワードプライマー、前記参照リバースプライマー、前記事象プローブ、及び前記参照プローブを含むキット。
【請求項23】
前記事象プライマーは、配列番号2及び配列番号3からなり、前記参照プライマーは配列番号5及び配列番号6からなり、前記事象プローブは配列番号4からなり、及び前記参照プローブは配列番号7からなる、請求項22に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2013−505706(P2013−505706A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525662(P2012−525662)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/045871
【国際公開番号】WO2011/022471
【国際公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】