説明

ACC検波回路

【課題】ACC検波期間をカラーバースト信号位相に同期した期間とし、カラーバースト信号位相の変化に影響されること無く安定したACC検波を行うことができるACC検波回路を提供することである。
【解決手段】水平同期信号を基準として開始位相および終了位相を定めたバースト開始位相検出パルスcを出力するバースト開始検波期間作成回路3と、バースト開始位相検出パルスcの期間中にカラーバースト信号が所定のレベルを最初に越えるタイミングをカラーバースト開始位相パルスdとして出力するバースト開始検出回路5と、カラーバースト開始位相パルスdを基準として開始位相および終了位相を定めた第1のバーストゲートパルスeを出力するバースト検波期間作成回路6と、第1のバーストゲートパルスeの期間に入力するカラーバースト信号のACC検波を行う手段(11,12)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーテレビジョン信号の搬送色信号の振幅制御に使用されるACC検波回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーテレビジョン信号の搬送色信号振幅を一定に保つオートカラーコントロール回路(ACC回路と呼ぶ)におけるカラーバースト信号の振幅を検出する回路(以下、ACC検波回路)において、そのカラーバースト信号の振幅を検出する期間(ACC検波期間)は、水平同期信号を基準として作成されるバーストゲートパルスによって定めた期間とされ、その期間にカラーバースト信号をACC検波レベル信号で検波することによりカラーバースト信号の振幅を検出している。つまり、従来のACC検波期間は水平同期信号に同期して設定されている。
【0003】
しかしながら、カラーバースト信号はチャンネル毎や機器・伝送系の変動により水平同期信号に対してさまざまな位相をとり得る。また、カラーバースト信号は、例えば、NTSCの場合、色副搬送波の9周期分の信号幅を持ち、そのカラーバースト信号の両端部分即ち始まりと終わりの部分で、位相および振幅が歪んでいることもある。
【0004】
これに対して、例えば特許文献1には、入力された信号のバースト振幅をバースト振幅算出回路において算出し、バースト前エッジ検出回路及びバースト後エッジ検出回路において、上記バースト振幅からカラーバースト信号の前エッジ及び後エッジを検出し、可変幅バーストゲートパルス(BGP)生成回路においてその両エッジ間である可変幅のバーストゲートパルスを生成したり、或いは、入力された信号のバースト振幅をバースト振幅算出回路において算出し、バースト前エッジ検出回路において、上記バースト振幅からカラーバースト信号の前エッジを検出し、その前エッジパルスのエッジ位置を開始点として三角波を生成し、上記バースト振幅と上記三角波とを加算し、加算信号から振幅最大位置を検出することで、バースト中心の前後に所定の固定幅を持つバーストゲートパルスを生成することにより、色飽和度制御をするACC回路が開示されている。
【0005】
ところが、特許文献1では、アナログ信号回路で構成されるACC回路において、検出されたバースト振幅からカラーバースト信号の立上がり時の前エッジを検出し、さらにカラーバースト信号の立下がり時の後エッジを検出し両エッジ間のバーストゲートパルスを得たり、或いは、バースト中心を検出しそのバースト中心の前後に所定幅のバーストゲートパルスを得る構成となっているので、そのバーストゲートパルスの両端によって定められた期間、即ちACC検波期間は必ずしもカラーバースト信号位相に同期した期間とはならず、カラーバースト信号の位相変化に影響されて、安定したACC検波を行うことができないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−186767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題に鑑み、ACC検波期間をカラーバースト信号位相に同期した期間とし、カラーバースト信号位相の変化に影響されること無く安定したACC検波を行うことができるACC検波回路を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の一態様によれば、水平同期信号を基準として開始位相および終了位相を定めたバースト開始位相検出パルスを出力する手段と、前記バースト開始位相検出パルスのパルス期間中にカラーバースト信号が所定のレベルを最初に越えるタイミングをカラーバースト開始位相パルスとして出力する手段と、前記カラーバースト開始位相パルスを基準として開始位相および終了位相を定めた第1のバーストゲートパルスを出力する手段と、前記第1のバーストゲートパルスで定めた期間に前記カラーバースト信号のACC検波を行う手段と、を具備したACC検波回路が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ACC検波期間をカラーバースト信号位相に同期した期間とすることで、カラーバースト信号位相の変化に影響されること無く安定したACC検波を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1乃至図5を参照して本発明の実施形態を説明する前に、図6及び図7を参照して本発明のACC検波回路が用いられるカラーテレビジョン受像機の帯域増幅回路及び複合カラー映像信号の信号成分について説明する。
【0010】
図6は、帯域増幅回路の構成を示すブロック図である。図6において、帯域増幅回路20は、第1帯域増幅回路22、色の濃さ調節回路23、第2帯域増幅回路24、ACC検波回路25及びカラーキラー回路26で構成されている。入力端子21は、図示しない第1映像増幅回路から複合カラー映像信号が供給されており、入力端子21は、第1帯域増幅回路22に接続されている。第1帯域増幅回路22は、色の濃さ調節回路23、バースト信号増幅回路27、及びACC検波回路25に接続されている。バースト信号増幅回路27は、ACC検波回路25、カラーキラー回路26及び3.58MHz信号発生回路28と接続されている。色の濃さ調節回路23は、第2帯域増幅回路24と接続されており、カラーキラー回路26は、バースト信号増幅回路27、3.58MHz 信号発生回路28及び第2帯域増幅回路24と接続されている。また、3.58MHz 信号発生回路28は、バースト信号増幅回路27と接続されており、バースト信号に基づいて基準副搬送波(3.58MHz)を生成し、次段の図示しない色復調回路へ基準副搬送波(3.58MHz)を送出している。さらに、第2帯域増幅回路24は、搬送色信号を次段の図示しない色復調回路へ送出している。
【0011】
そして、前記帯域増幅回路20中のACC検波回路25は、放送局から送信されるバースト信号の振幅が常に一定であることを利用して、バースト信号増幅回路27よりのカラーバースト信号の振幅を検出することで、受信チャンネルを切り換えたり、受信電波の変動やアンテナ系の不整合が発生する等による、本来起こって欲しくない搬送色信号の振幅の変動を検知し、第1帯域増幅回路22の利得を変化させることで、テレビジョン受像機の画面の色の濃さが、常に一定となるよう制御を行っている。
【0012】
図7は、複合カラー映像信号31を信号成分に分解した図であり、複合カラー映像信号31を分解して得られる、水平同期信号32、映像(輝度)信号33、カラーバースト信号34、カラーバースト信号及び搬送色信号を含むクロミナンス信号(以下、クロマ信号という)35を表わしている。
【0013】
[第1の実施形態]
図1は本発明の第1の実施形態のACC検波回路のブロック図を示している。図1の各部の信号a〜eはそれぞれ図2の(a)〜(e)の信号に対応している。図1の信号fは図3の(f)の信号に対応している。
【0014】
図1に示すACC検波回路は、水平及び垂直の同期信号を含む複合映像信号が入力する入力端子1と、前記複合映像信号から水平同期信号を分離する同期分離回路2と、水平同期信号を基準としてカラーバースト信号期間を示すためにそのカラーバースト信号期間より若干大きい期間の開始位相および終了位相を定めたバースト開始位相検出パルスcを出力するバースト開始検波期間作成回路3と、バースト開始検出レベル信号gが入力する入力端子4と、前記バースト開始位相検出パルスcのパルス期間中にカラーバースト信号が所定のレベルを最初に越えるタイミングを示すカラーバースト開始位相パルスdを出力するバースト開始検出回路5と、前記カラーバースト開始位相パルスdを基準として開始位相および終了位相を定めた第1のバーストゲートパルスeを出力するバースト検波期間作成回路6と、カラーバースト信号及び搬送色信号を含むクロマ信号bが入力する入力端子7と、制御信号にて増幅率(ゲイン)が制御可能であって、前記クロマ信号bを入力して増幅するACCアンプ回路8と、増幅したクロマ信号を全波整流してクロマ整流信号fを出力する全波整流回路9と、ACC検波レベル信号hが入力する入力端子10と、前記第1のバーストゲートパルスeで定めた期間にACC検波レベル信号hを用いて前記クロマ整流信号fのカラーバースト信号部分のレベル検波を行い、ACC検波出力を得る、比較回路11とサンプル/ホールド回路12で構成される検波手段と、を備えている。
【0015】
同期分離回路2は、入力端子1から入力された複合映像信号(同期信号を含む)から水平同期信号(Hsync)aを分離して抜き出す。
バースト開始検波期間作成回路3は、水平同期信号aを基準とし、カラーバースト信号期間を含みそれより若干大きい期間の開始位相及び終了位相を定めるバースト開始位相検出パルスcを作成する。
入力端子7から入力されたクロマ信号bはACCアンプ回路8により振幅制御され、次に全波整流回路9により一方の極性に整流を行ったクロマ整流信号fとなり出力される。クロマ整流信号fのバースト信号部分については、図3[A],[B]の(f)を参照のこと。
【0016】
バースト開始検出回路5には、バースト開始位相検出パルスcとクロマ整流信号fが入力されると共に、カラーバースト信号の開始位相の検出レベルを定めるバースト開始検出レベル信号gが入力されており、バースト開始検出回路5は、バースト開始位相検出パルスcにより定められた期間にクロマ整流信号fがバースト開始検出レベル信号gのレベルを最初に越えるタイミングを検出し、その検出タイミングを伝えるカラーバースト開始位相パルスdを出力する。
【0017】
バースト検波期間作成回路6は、カラーバースト開始位相パルスdを基準とし、カラーバースト信号の振幅を検出する期間(即ちACC検波期間)を定める第1のバーストゲートパルスeを作成し出力する。すなわち、バースト検波期間作成回路6は、カラーバースト開始位相パルスdを基準とし、カラーバースト信号期間のうちの安定した所定期間の開始位相及び終了位相を定める第1のバーストゲートパルスeを出力する。従って、第1のバーストゲートパルスeは、カラーバースト信号位相に精確に同期したACC検波を与えるものとなる。
【0018】
比較回路11には、クロマ整流信号fと第1のバーストゲートパルスeが入力されると共に、入力端子10からのACC検波レベルを定めるACC検波レベル信号hが入力されている。
比較回路11及びサンプル/ホールド回路12の検波手段は、第1のバーストゲートパルスeによって定められた期間に、クロマ整流信号fのバースト信号部分とACC検波レベル信号hのレベル検波を行い、クロマ整流信号fのバースト信号部分がACC検波レベル信号hよりも大きい部分の面積S1と小さい部分の面積S2の算出を行い、この面積S1とS2の面積比率をサンプル/ホールド回路12で保持してACC検波信号として出力する。
【0019】
ACC検波信号は、ACCアンプ制御信号としてACCアンプ回路8に入力され、ACCアンプ回路8ではその増幅率(ゲイン)の制御が行われ、前記面積の比率が一定となるようにフィードバック制御される。
【0020】
図2は図1の各部の信号のタイミングチャートを示している。図2の(a)〜(e)はそれぞれ図1の各部の信号a〜eに対応している。
図2(a)は同期分離回路で複合映像信号から分離された水平同期信号Hsync、図2(b)はカラーバースト信号及び搬送色信号を含むクロマ信号であり、図7で説明したものと同様である。図2(c)はバースト開始検波期間作成回路3で水平同期信号Hsyncを基準に図示しないカウンタにてクロックを時間t1に相当する数だけカウントして立上りタイミング即ち開始位相を定め更にクロックを時間t2に相当する数だけカウントして立下りタイミング即ち終了位相を定めたバースト開始位相検出パルスであり、(b)に示したクロマ信号のカラーバースト信号CBのパルス期間を全て含みそれより若干大きい期間のパルス幅を有している。
図2(d)はバースト開始検出回路5でバースト開始検出レベル信号gのレベルを用いて生成されるカラーバースト信号の立上り(開始位相)を示すカラーバースト開始位相パルスである。
【0021】
図2(e)はバースト検波期間作成回路6で(d)のカラーバースト開始位相パルスの立上りを基準にカウンタにてクロックを時間t3に相当する数だけカウントして開始位相を定め更にクロックを時間t4に相当する数だけカウントして終了位相を定めた第1のバーストゲートパルスであり、(b)に示したクロマ信号のカラーバースト信号CBのパルス期間内におけるバースト信号が安定した期間(ACC検波期間)を示すパルスである。
なお、第1のバーストゲートパルスeの開始位相および終了位相間のパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数は、高い精度でACC検波期間を計測(カウント)することが必要であるために、バースト開始位相検出パルスcの開始位相および終了位相間のパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数よりも高いことが好ましい。第1のバーストゲートパルスeのパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数は例えば108MHzであり、バースト開始位相検出パルスcのパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数は例えば27MHz(=第1のバーストゲートパルスeの場合の1/4)の周波数であってもよい。このように、バースト開始位相検出パルスcのパルス期間を定めるのに使用するクロック周波数が低くてもよい理由は、バースト開始位相検出パルスcのパルス期間は、カラーバースト信号期間を含みこれより大きな期間に設定されればよいので、第1のバーストゲートパルスeのパルス期間を定めるのに要求される高い計測(カウント)精度を必要としないためである。
【0022】
図3[A]および[B]は、上記の構成によるACC検波動作を説明するものであり、図2のタイミングチャートの(b)に示したクロマ信号を全波整流回路9にて整流して得られたクロマ整流信号における、バースト信号期間の部分を抜き出し拡大した波形を示している。図3[A]に対して図3[B]はカラーバースト信号の位相が変化し遅れた状態を示している。図3[A]および[B]における(a),(f),(c),(d),(e)はそれぞれ図1の各部の信号a,f,c,d,eに対応している。
【0023】
図3[A]および[B]において、バースト開始位相検出パルスcは、水平同期信号aの立上りのタイミングから図示しないカウンタでクロックを所定数カウントし時間t1を経過した時に開始位相と定められ、更に時間t2を経過した時に終了位相と定められている。
バースト開始位相検出パルスcのパルス幅に相当する時間t2は、カラーバースト信号の期間を含みそれより大きい所定の時間幅に設定されている。
【0024】
図3(f)はクロマ信号を整流して得られたクロマ整流信号のカラーバースト信号部分を拡大して示している。
カラーバースト開始位相パルスdは(f)のクロマ整流信号のバースト信号部分が所定レベル即ちバースト開始検出レベルを最初に越えたことを検出したときに出力されるパルスである。このカラーバースト開始位相パルスdはカラーバースト信号の立上りタイミング即ち開始位相が図3[A]の(f)から図3[B]の(f)に変化した場合でもその立上り(開始位相)がバースト開始検出レベルによって検出され、その検出タイミングからクロックをカウントすることによって時間t3後に第1のバーストゲートパルスeが立ち上がり更にクロックをカウントして時間t4経過後に第1のバーストゲートパルスeが立ち下がることによってACC検波期間が規定されることになる。
【0025】
そして、この第1のバーストゲートパルスの期間に、比較回路11及びサンプル/ホールド回路12においてクロマ整流信号のバースト信号部分がACC検波レベルより大きい部分と小さい部分の面積比較が行われ、その比較結果を示すACC検波信号が制御信号としてACCアンプ回路8に供給されてそのゲイン制御がなされる結果、面積S1,S2の比率が一定になるようにフィードバック制御が行われる。
【0026】
従って、ACC検波レベルを高いレベルに設定(ただし、ACC検波レベルはバースト開始検出レベルよりも高く設定することが必要)すれば、これと比較されるバースト信号即ちクロマ信号の振幅も高いレベルとなるようにACCアンプ回路8のゲインがACC検波信号によって制御される。また、ACC検波レベルを低いレベルに設定すれば、バースト信号即ちクロマ信号の振幅も低いレベルとなるようにACCアンプ回路8のゲインがACC検波信号によって制御されることになる。なお、ACC検波回路が搭載される機器例えばカラーテレビジョン受像機では受像機ごとにクロマ信号の入力振幅が違っていたり或いは後段の回路のゲインが不足していたりするので、ACC検波レベルは工場段階で受像機ごとに調整される。なお、ACC検波レベルはバースト開始検出レベルと同じ値に設定してもよい。
【0027】
なお、本発明のACC検波回路をデジタル回路で構成した場合には、ACC検波回路にはデジタルで1サンプリングクロックごとに信号データが入力してくる。従って、第1のバーストゲートパルスeの開始位相と終了位相間のパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数を、デジタルのカラーバースト信号のサンプリング周波数の逓倍(正の整数倍)とすることが好ましい。すなわち、第1のバーストゲートパルスeのパルス期間を定めるのに使用するカウント用クロックの周波数を、デジタルのカラーバースト信号のサンプリング周波数の逓倍とすることによって、ACC検波期間を決める第1のバーストゲートパルスeの開始位相(図3[A]及び[B]で全波整流パルスとACC検波レベルとの交点P1)及び終了位相(図3[A]及び[B]で全波整流パルスとACC検波レベルとの交点P2)を、バースト位相変化があっても、常にカラーバースト信号の立上りを示すカラーバースト開始位相パルスdを基準として精確に定めることが可能となる。
【0028】
以上の構成により、カラーバースト信号CBに位相的な変化があっても、カラーバースト信号位相とバーストゲートパルス位相は、バースト位相が変化する前と後のそれぞれの場合において一致する。すなわち、バーストゲートパルスeは常にカラーバースト信号CBに同期した位相となり、カラーバースト信号位相の変化に影響されることなくACC検波を行うことができる。
【0029】
さらに、ACC検波回路をデジタル信号処理にて行う場合、カラーバースト開始位相パルスd即ちカラーバースト信号の立上りからカウンタにてクロックを精確に所定数カウントした時点から第1のバーストゲートパルスが立ち上がり(開始し)かつ第1のバーストゲートパルスがカラーバースト信号の期間の終了前に立ち下がる(終了する)ようにクロックを精確に所定数カウントしているので、バースト信号の始まりと終わり部分を除いた安定した期間にACC検波を行うことが可能となる。
【0030】
[第2の実施形態]
図4は本発明の第2の実施形態のACC検波回路のブロック図を示している。図1と同一部分には同一符号を付して説明する。
本第2の実施形態は、第1の実施形態にバースト検波期間作成回路13と切替え回路14を追加した構成となっている。すなわち、バースト検波期間作成回路6からの第1のバーストゲートパルスeとバースト検波期間作成回路13からの第2のバーストゲートパルスiを切替え回路14に入力し、第1,第2のバーストゲートパルスのいずれか一方のバーストゲートパルスに切り替えて、比較回路11へ出力できるように構成している。その他の構成は、図1の実施形態と同様である。
【0031】
バースト検波期間作成回路13は、同期分離回路2により抜き出された水平同期信号aを基準としてカラーバースト信号の振幅を検出する期間(即ちACC検波期間)を定める第2のバーストゲートパルスiを作成し出力する。つまり、第2のバーストゲートパルスは水平同期信号に同期したタイミングで出力される。
切替え回路14は、第2のバーストゲートパルスiおよび第1の実施形態で示した第1のバーストゲートパルスeのいずれか一方を選択しバーストゲートパルスjとして出力する。
バーストゲートパルスjをACC検波期間として第1の実施形態と同様に比較回路11によってACC検波レベル信号hを用いてACC検波が行われる。
【0032】
切替え回路14の切り替えは、入力端子7に入力されるクロマ信号bの状態により制御される。すなわち、入力されているクロマ信号bの状態が正常に場合は、カラーバースト信号の位相に同期した(前述のカラーバースト開始位相パルスdを基準として作成される)第1のバーストゲートパルスeを出力するように切り替えが行われ、入力されているクロマ信号にノイズが多い場合やカラーバースト信号が無い場合、またはカラーバースト信号の信号レベルが非常に小さい場合などの理由により、バースト開始検出回路5によるカラーバースト開始位相パルスdが正確に検出できないときは、水平同期信号(Hsync)aを基準として作成される第2のバーストゲートパルスiを出力するように切り替えが行われる。
【0033】
図5[A]及び[B]は図4で追加したバースト検波期間作成回路13から出力される第2のバーストゲートパルスの生成を、クロマ整流信号との関係において説明するタイミングチャートである。すなわち、図5[A]及び[B]は、図4の入力端子7に入力されているクロマ信号にノイズが多い場合やカラーバースト信号が無かったり非常に小さい場合などにおいて、切替え回路14がバースト検波期間作成回路13の出力を選択したときの動作を説明するタイミングチャートを示している。図5[B]は図5[A]に対してカラーバースト信号の位相が変化し遅れた状態を示している。
【0034】
図5[A]で、(a)は複合映像信号から同期分離された水平同期信号Hsync、(f)はクロマ信号を整流して得られたクロマ整流信号のカラーバースト信号部分を拡大して示している。(i)は バースト検波期間作成回路13で作成される第2のバーストゲートパルスを示しており、(a)の水平同期信号Hsyncを基準にして(水平同期信号aの立上りのタイミングから)図示しないカウンタでクロックを所定数カウントし時間t5を経過した時に開始位相と定められ、更に時間t6を経過した時に終了位相と定められる。このとき使用するカウントクロックの周波数は、例えば27MHzである。
しかしながら、図5[B]のように、図5[A]の状態からクロマ信号のカラーバースト信号位相が変化した場合、第2のバーストゲートパルスiは水平同期信号に同期しているがクロマ信号のカラーバースト信号には同期していないので、比較回路11及びサンプル/ホールド回路12によるクロマ整流信号のバースト信号部分がACC検波レベルより大きい面積S1と小さい面積S2の比較を行うと、バースト位相の変化の前[A]と後[B]とで、ACC検波レベルよりも大きい部分の面積S1と小さい部分の面積S2が異なってくる。従って、バースト位相変化の影響を受け易いACC検波となる。
【0035】
このように、入力されているクロマ信号にノイズが多い場合やカラーバースト信号が無かったり非常に小さかったりする場合においては、カラーバースト信号を基準にした第1のバーストゲートパルスを使用できないために、バースト検波期間作成回路13に切り替えると、バースト位相変化の影響を受け易い欠点はあるが、水平同期信号を基準として作成できる第2のバーストゲートパルスをACC検波期間としてACC検波を行うことができる。従って、カラーテレビジョン受像機に第2の実施形態のACC検波回路を搭載すれば受像機の機能性を広げることが可能となる。
なお、以上述べた実施形態では、カラーバースト振幅のレベルを検出する手段として、サンプル/ホールドの面積比較になっているが、ピーク検波で行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態のACC検波回路のブロック図。
【図2】図1の各部の信号のタイミングチャート。
【図3】ACC検波動作を説明するタイミングチャート。
【図4】本発明の第2の実施形態のACC検波回路のブロック図。
【図5】図4で設けたバースト検波期間作成回路から出力される第2のバーストゲートパルスの生成を、クロマ信号との関係において説明するタイミングチャート。
【図6】帯域増幅回路の構成を示すブロック図。
【図7】複合カラー映像信号を信号成分に分解した図。
【符号の説明】
【0037】
1…複合映像信号の入力端子
2…同期分離回路
3…バースト開始検波期間作成回路
4…バースト開始検出レベル信号の入力端子
5…バースト開始検出回路
6,13…バースト検波期間作成回路
7…クロマ信号の入力端子
11…比較回路
12…サンプル/ホールド回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平同期信号を基準として開始位相および終了位相を定めたバースト開始位相検出パルスを出力する手段と、
前記バースト開始位相検出パルスのパルス期間中にカラーバースト信号が所定のレベルを最初に越えるタイミングをカラーバースト開始位相パルスとして出力する手段と、
前記カラーバースト開始位相パルスを基準として開始位相および終了位相を定めた第1のバーストゲートパルスを出力する手段と、
前記第1のバーストゲートパルスで定めた期間に前記カラーバースト信号のACC検波を行う手段と、
を具備したことを特徴とするACC検波回路。
【請求項2】
水平同期信号を基準として開始位相および終了位相を定めた第2のバーストゲートパルスを出力する手段と、
前記第1のバーストゲートパルスと前記第2のバーストゲートパルスのいずれか一方のバーストゲートパルスを選択して出力する手段と、をさらに具備し、
前記ACC検波を行う手段は、前記第1,第2のバーストゲートのうちの選択された一方のバーストゲートパルスで定めた期間に前記カラーバースト信号のACC検波を行うことを特徴とする請求項1に記載のACC検波回路。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のACC検波回路は、デジタル信号回路で構成され、前記第1のバーストゲートパルスの前記開始位相および終了位相間のパルス期間をカウントするクロックの周波数は、デジタルのカラーバースト信号のサンプリング周波数の逓倍とされることを特徴とする請求項1又は2に記載のACC検波回路。
【請求項4】
前記第1のバーストゲートパルスの前記開始位相および終了位相間のパルス期間をカウントするクロックの周波数は、前記バースト開始位相検出パルスの前記開始位相および終了位相間のパルス期間をカウントするクロックの周波数よりも高いことを特徴とする請求項1に記載のACC検波回路。
【請求項5】
前記ACC検波を行う期間は、所定のカラーテレビジョン信号方式において予め定められたサイクル数のカラーバースト信号期間よりも少ないサイクル数の期間に設定されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1つに記載のACC検波回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−208942(P2007−208942A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−29016(P2006−29016)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390010308)東芝デジタルメディアエンジニアリング株式会社 (192)
【Fターム(参考)】