説明

APRILレセプター(BCMA)およびその使用

【課題】重症副作用を誘導することなく、効力を提供し得る癌増殖を処置するためのさらなる方法を、同定および開発すること。
【解決手段】TNFファミリーにおけるレセプター:APRIL−Rが提供される。キメラ分子およびAPRIL−Rに対する抗体、ならびにこれらを使用する方法もまた、提供される。また、本発明は、所望されない細胞増殖に関連する状態について哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、薬学的に受容可能な賦形剤と共にAPRIL−Rアンタゴニストを含む組成物の治療的な有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、該APRIL−Rアンタゴニストが、APRILと該APRILのコグネイトレセプターとの間の相互作用を拮抗するポリペプチドを含む、方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して、癌を処置する方法に関する。本発明の方法は、特定の腫瘍壊死薬剤(TNF)アンタゴニストの投与を包含する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
サイトカインの腫瘍壊死薬剤(TNF)ファミリーのメンバーは、ますます拡大しつつある重要な生物学的機能に関与する。TNFファミリーの各々のメンバーは、レセプタータンパク質の並列のファミリーの1つ以上のメンバーに結合することによって作用する。ついで、これらのレセプターは、広汎な生理学的応答および発生学的応答を誘導するように細胞内シグナル伝達を行う。これらのレセプターシグナルの多くは、細胞の運命に影響し、そしてしばしば末期分化を誘発する。細胞分化の例としては、増殖、成熟、移動および死が挙げられる。
【0003】
TNFファミリーメンバーは、II型膜結合タンパク質であり、短い細胞内N末端ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞表面の外側に存在するC末端レセプター結合ドメインを有する。いくつかの場合、そのタンパク質の細胞外部分が切断されて離され、サイトカインの分泌形態を生成する。膜結合型タンパク質は、おそらくそのレセプターとの細胞接触媒介相互作用を介して局所的に作用する一方で、分泌形態は、循環または分散させる能力を有し、それゆえ遠距離部位において作用し得る。膜結合型形態および分泌形態の両方は三量体として存在し、そしてレセプタークラスター化を容易にすることによってそのシグナルをレセプターに伝達すると考えられる。
【0004】
TNFレセプタータンパク質ファミリーは、1つ以上のシステインリッチ細胞外ドメインを有することによって特徴付けられる。各々のシステインリッチ領域は、ジスルフィド結合コアドメインを形成し、これは、リガンド結合ポケットを形成する三次元構造に寄与する。このレセプターは、I型膜結合型タンパク質であり、ここでは、細胞外ドメインがN末端、続いて膜貫通ドメインおよびC末端細胞内ドメインによってコードされる。細胞内ドメインは、レセプターシグナル伝達を担う。いくつかのレセプターは、細胞内「死ドメイン」を含み、これは、細胞アポトーシスをシグナル伝達し得、そしてこれらは、細胞氏の強力なインデューサーであり得る。別のクラスのレセプターは、細胞死を弱く誘導し得、これらは死ドメインを欠くようである。第三のクラスのレセプターは、細胞死を誘導しない。すべてのクラスのレセプターは、細胞型または他のシグナルの発生に依存して細胞死の代わりに細胞増殖または細胞分化をシグナル伝達し得る。
【0005】
TNFファミリー活性の多能性の性質において十分に研究された例は、主要なメンバーであるTNFである。TNFは、膜結合型サイトカインとして存在し得、または切断および分泌され得る。両方の形態が2つのTNFレセプターであるTNF−R55およびTNF−R75に結合する。もともとは、TNFが腫瘍細胞を直接殺傷する能力にもとづいて記載されたが、TNFはまた、広汎な免疫プロセスを制御し、これには、急性炎症反応を誘導すること、およびリンパ組織ホメオスタシスの維持が含まれる。二重の役割に起因して、このサイトカインは、種々の病理的設定において役割を果たし得、アゴニストおよびアンタゴニストの両方の試薬が疾患の改変薬剤として開発されている。例えば、TNFおよびLTα(これはまた、TNFレセプターを通じてシグナル伝達する)は、癌のための処置において使用されており、特に、四肢の肉腫のような周辺部位に存在するがんの処置において使用されている。この設定において、レセプターを介したサイトカインによる直接にシグナル伝達は、腫瘍細胞死を誘発する(AggarwalおよびNatarajan,1996、Eur Cytokine Netw 7:93−124)。
【0006】
免疫学的設定において、TNFレセプターシグナル伝達をブロックする薬剤(例えば、抗TNF mAb、可溶性TNF−R融合タンパク質)を使用して、慢性関節リウマチおよび炎症性腸疾患のような疾患が処置されている。これらの病理において、TNFは、細胞増殖およびエフェクター機能を誘導するように機能し、それにより、自己免疫疾患を悪化させ、そしてこの設定において、そのレセプターへのTNFの結合をブロックすることにより、治療的効果を有する(Beutler,1999.J Rheumatol 26 Suppl 57:16−21)。
【0007】
より最近になって発見されたリガンド/レセプター系が類似の操作に受け入れ可能であるようである。LTαとヘテロトリマーを形成するTNFファミリーメンバーであるリンホトキシンβ(LTβ)は、LTβ−Rに結合する。LTβ−Rを発現するいくつかの腺がん腫瘍細胞は、アゴニスト性抗LTβ−R mAbで処置されるときに、殺傷または分化され得る(Browning et al.1996.J Exp.Med 183:867−878)。免疫学的設定において、抗LTβ mAbまたは可溶性LTβ−R−Ig融合タンパク質が炎症性腸疾患の発生を、おそらく樹状細胞およびT細胞の相互作用に影響を与えることによって、ブロックし得る(Mackay et al.1998、Gastroenterology 115:1464−1475)。
【0008】
TRAIL系はまた、癌治療としての可能性を有する。TRAILは、多数の膜結合型レセプターおよび可溶性レセプターと相互作用する。これらのレセプターの2つTRAIL−RlおよびTRAIL−R2(これらはまた、DR4およびDR5とも呼ばれる)は、死を誘発するシグナルを腫瘍細胞に伝達するが、死を誘発しないさらなるTRAILレセプターを発現する正常細胞には伝達しない。これらのさらなるレセプターは、デコイとして機能すると考えられている。腫瘍細胞を殺傷するための可溶性TRAILの使用は、腫瘍細胞以外の正常細胞におけるデコイレセプターの選択的発現に依存する(Gura,1997.Science 277:768).
腫瘍細胞はそれ自体がしばしば、免疫認識またはエフェクター機能をブロックする、種々のデコイレセプターを発現する。実際、いくつかの腫瘍は、TRAILデコイレセプターを過剰発現し、TRAIL媒介性死を回避するようである(Sheikh et al.,1999.Oncogene 18:4153−4159)。これは、いくつかの設定において抗腫瘍薬剤としてのTRAILの有用性を制限する。類似の観察が、肺癌細胞および結腸癌細胞によって過剰発現される、FAS−Lに対するデコイレセプターについてなされており(Pitti et al.,1998.Nature 396:699−703)、そしてIL−1レセプターアンタゴニストについてもなされている(Mantovani et al.,1998.Ann.N Y Acad.Sci.840:338−351)。デコイレセプターはまた、宿主防御機構から宿主細胞を保護するために、ウイルスゲノムによって使用される。
【0009】
APRIL(増殖誘発リガンド(A Proliferation Inducing Ligand))は、TNFファミリーのタンパク質のあらたなメンバーである。APRIL発現および機能の研究によって、このタンパク質が腫瘍細胞によって利用されて迅速な増殖を誘発することが示唆されている。可溶性APRILタンパク質で処置されたかまたはAPRIL cDNAでトランスフェクトされた腫瘍細胞株は、インビトロで迅速に増殖する。免疫不全マウスに移植された、APRILでトランスフェクトされた細胞は、腫瘍のように迅速に増殖する。最後に、ヒト腫瘍細胞は、高レベルのAPRILメッセンジャーRNAを発現するが、正常な組織は発現しない。これらの観察によって、APRILは、腫瘍細胞によっても発現されるレセプターに結合し、オートクラインまたはパラクラインでの腫瘍細胞活性化を設定する。さらに、APRILは、他の疾患の状況において作用し、その結果、APRIL経路の活性化またはブロックがさらなる有用性を有することが可能である。例えば、APRILの過小発現または過剰発現は、発生欠損において役割を果たし得る。なぜなら、発生はしばしば、細胞増殖と細胞死との間の慎重に制御されたバランスによって特徴付けられるからである。同様に、APRILは、細胞増殖性疾患において作用し得、その結果、いくつかの自己免疫疾患(例えば、狼瘡)または細胞集団が迅速に拡大する炎症性疾患(例えば、細菌敗血症)との関連で生じる。
【0010】
TNFおよびTNFレセプターファミリーメンバーのアゴニストおよびアンタゴニストの疾患改変薬剤としての公知の有用性に基づいて、APRIL経路は、それ自体が、薬物開発の重要な標的として代表する。このことは、癌治療について特に当てはまる。なぜなら、腫瘍細胞は、APRILを生成および利用して、自分自身の増殖を抑制するようであり、そしてそれゆえAPRIL経路のデコイレセプターまたは他のアンタゴニストを生成しないようであるからである。従って、APRIL経路は、例えば、腫瘍デコイレセプターによって阻害され得る、TRAIL経路ともFAS−L経路とも特有に異なる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
癌についての現在の処置は、多くの腫瘍型について、貧弱な効力、生存率に対する低い印象、重症副作用を生じる毒性、またはそれらの組み合わせに起因して不適切である。従って、重症副作用を誘導することなく、効力を提供し得る癌増殖を処置するためのさらなる方法を、同定および開発するための必要性が存在する。従って、抗APRIL mAB、抗APRILレセプター mAb、可溶性APRILレセプター−Ig融合タンパク質、天然のアンタゴニスト、低分子アンタゴニスト、および化学的、薬学的または他のアンタゴニストを含む、APRIL経路のアンタゴニストは有用である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のために、本発明者らは、APRILに対するレセプターとして、B細胞媒介性タンパク質(BCMまたはBCMA)を同定した。
【0013】
(発明の要旨)
出願人は、BCMAが腫瘍壊死薬剤であるAPRILのレセプターであることを見出した。APRILは、WO99/12965において以前に記載されたのと同じ分子であり、これは、本明細書において参考として援用される。APRILレセプターは、本明細書において以後「APRIL−R」と称される。本発明は、癌を有するかまたはその危険のある哺乳動物種の処置のための方法、およびそれにおいて使用するための薬学的調製物に関する。そのような被験体としてはすでに癌に罹患した被験体、または癌治療をすでに受けた被験体が挙げられる。
【0014】
本発明の方法および組成物は、癌治療薬剤である特定の薬剤(本明細書においてAPRIL−Rアンタゴニスト(例えば、抗APRIL−R抗体を含む)と称される)が、本明細書において定義される癌を発生する危険があるか、または癌処置を必要とする被験体において使用され得るという発見を部分的に利用する。
【0015】
本発明の癌治療薬剤は、選択された薬剤に適合する任意の投与経路によって投与され得、そしてその投与経路に適切な任意の薬学的に受容可能なキャリアを用いて処方され得る。好ましい投与経路は、非経口であり、特に、静脈内、腹腔内および嚢内である。処置はまた、好ましくは、外来患者として長期にわたり行われる。この癌治療剤の一日投薬量は、0.01−1000μg/kg体重の範囲、およびより好ましくは約10−300μg/kg体重の範囲と予期されるが、正確な投薬量は、使用される特定の癌治療薬剤および特定の被験体の医学的状態および履歴に依存して、変動する。
【0016】
本発明の処置は、哺乳動物の身体から形質転換した細胞の実質的なクローン集団(コロニー)を消失させるにおいて、またはもっとも一般的に腫瘍と称される、コロニーの増殖を抑制もしくは弱毒化するために有用である。それ自体、それらは、寿命を延長するにおいて、および癌の危険にあるか、またはすでに癌に罹患した被験体の生命の品質を維持するにおいて有用である。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1) 所望されない細胞増殖に関連する状態について哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、薬学的に受容可能な賦形剤と共にAPRIL−Rアンタゴニストを含む組成物の治療的な有効量を該哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、該APRIL−Rアンタゴニストが、APRILと該APRILのコグネイトレセプターとの間の相互作用を拮抗するポリペプチドを含む、方法。
(項目2) 項目1に記載の方法であって、ここで前記APRIL−Rアンタゴニストが、以下:
a)可溶性APRIL−Rポリペプチド;
b)異種アミノ酸配列と融合された可溶性APRIL−Rポリペプチドを含む可溶性キメラ分子;および
c)抗APRIL−R抗体ホモログ
からなる群より選択される、方法。
(項目3) 項目2に記載の方法であって、ここで前記可溶性APRIL−Rポリペプチドが、以下:
a)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基184またはそれらのフラグメントを含むネイティブ配列APRIL−Rポリペプチドと、少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体;
b)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基52またはそれらのフラグメントと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド;および
c)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基8〜アミノ酸残基41またはそれらのフラグメントを含む、単離されたAPRIL−Rポリペプチド
からなる群より選択される、方法。
(項目4) 項目2に記載の方法であって、ここで前記可溶性キメラ分子が、以下:
a)以下:
i.配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基184またはそれらのフラグメントを含むネイティブ配列APRIL−Rポリペプチドと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体;
ii.配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基52またはそれらのフラグメントと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体;および
iii.配列番号8(図3A)のアミノ酸残基8〜アミノ酸残基41またはそれらのフラグメントを含む、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体、からなる群より選択される可溶性APRIL−Rポリペプチド、
b)異種アミノ酸配列と融合されたもの、
を含む、方法。
(項目5) 前記異種アミノ酸配列が、免疫グロブリンのIgG Fcドメイン由来である、項目4に記載の方法。
(項目6) 前記異種アミノ酸配列が、分泌タンパク質のシグナル配列由来である、項目4に記載の方法。
(項目7) 項目2に記載の方法であって、前記抗APRIL−R抗体ホモログが、以下:
a)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基184またはそれらのフラグメントを含むネイティブ配列APRIL−Rポリペプチドと、少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体;
b)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基1〜アミノ酸残基52またはそれらのフラグメントと少なくとも80%アミノ酸配列同一性を有する、単離されたAPRIL−Rポリペプチド変異体;および
c)配列番号8(図3A)のアミノ酸残基8〜アミノ酸残基41またはそれらのフラグメントを含む、単離されたAPRIL−Rポリペプチド、
からなる群より選択されるAPRIL−Rポリペプチドに結合する抗体を含む、方法。
(項目8) 所望されない細胞増殖に関連する状態について哺乳動物を処置する方法であって、該方法は、2つ以上のアンタゴニストの治療的に有効な量を該哺乳動物に投与する工程を包含し、ここで、該アンタゴニストのうちの少なくとも2つが、APRILとBCMAとの間の相互作用を拮抗する第1のAPRIL−Rアンタゴニスト、およびAPRILとBCMA以外の別のコグネイトAPRILレセプターとの間の相互作用を拮抗する第2のAPRIL−Rアンタゴニストを含む、方法。
(項目9) 前記所望されない細胞増殖が癌である、項目1〜8に記載の方法。
(項目10) 所望されない細胞増殖に関連する前記状態が癌である、項目1〜8に記載の方法。
(項目11) 前記哺乳動物がヒトである、項目1〜8に記載の方法。
(項目12) 癌増殖がAPRILによって調節される癌を有する患者を処置する方法であって、該方法は、APRIL−Rアンタゴニストを含む組成物の治療的に有効な量を該患者に投与する工程を包含し、ここで、該APRIL−Rアンタゴニストが、APRILとAPRIL−Rとの間の相互作用を拮抗するポリペプチドを含む、方法。
(項目13) 項目9に記載の方法であって、前記癌が、ヒト肺癌、結腸癌、乳癌、前立腺癌、および増殖がAPRILによって調節される他の癌からなる群より選択される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、ベクターpCCM213.10にマッピングされるマウスAPRILのcDNAの核酸配列(配列番号1)およびその誘導アミノ酸配列(配列番号3)を示す。下線で示されるものは、mycエピトープおよびFasLから誘導されるアミノ酸である。APRIL細胞外ドメインコード配列の始まりは、矢印で示される。
【図2】図2は、哺乳動物細胞において発現するFLAG−ヒトAPRIL構築物の核酸配列(配列番号4)およびその誘導アミノ酸配列(配列番号6)を示す。マップは、シグナル配列(1〜15);FLAGエピトープ(AA16〜23)およびヒトAPRIL細胞外ドメインコード配列の始まり(32〜末端)を示す。
【図3A】図3Aは、全長ヒトBCMAの核酸配列(配列番号7)およびアミノ酸配列(配列番号8)を示す。
【図3B】図3Bは、pJST538(ヒトAPRIL−R−hIgGFc融合構築物をコードするプラスミド)の核酸配列(配列番号11)およびその誘導アミノ酸配列(配列番号12)を示す。
【図4】図4は、マウスB細胞リンパ種株A20へのmyc−マウスAPRILの結合を示す。3つの異なる実験は、A)未染色細胞およびR1532のみで染色された細胞、B)RANKL−LおよびR1532で染色された細胞、ならびにC)APRILで染色された細胞、および無関係なウサギ血清と比較した、A20細胞へのAPRILの特異的結合を示す。
【図5】図5は、ヒトB細胞リンパ種株RAJIへのmyc−マウスAPRILの結合を示す。2つの異なる実験は、A)未染色細胞およびR1532のみで染色された細胞、およびRANK−1かつR1532で染色された細胞、ならびにB)APRILで染色された細胞、および無関係なウサギ血清と比較した、RAJI細胞へのAPRILの特異的結合を示す。
【図6】図6は、A20細胞(A)およびRaji細胞(B)へのAPRIL結合が、可溶性BAFFタンパク質または可溶性BCMA−Igタンパク質を用いて競争されることを示す。
【図7】図7は、種々の細胞株:A)A20細胞、B)HT29細胞、C)NIH3T3細胞へのFLAG−ヒトAPRILの結合を示す。特異的結合は、ビオチン化抗FLAG mAb M2検出を使用して、無関係のアイソタイプコントロールmAbを用いてまたはFLAG−APRILの添加なしで見られる結合と比較して示される。
【図8】図8は、BCMA−Fc融合タンパク質を使用するmyc−mAprilの免疫沈降を示す。上の左のパネルは、特異的hBMCA−Fc/myc−mAPRIL免疫沈降および陽性コントロールOPG−Fc/Rank−1免疫沈降を示し、上の右のパネルの陰性コントロールを比較する。下のパネルは、ロードされたタンパク質の量が、等価であることを示す。
【図9−1】図9は、FLAG−hAPRILがhBCMA−fc融合タンパク質に結合することを示すELISA形式実験を示す。種々のレセプター−Fc融合タンパク質が、ELISAプレート上へコートされ、FLAG−タグ化リガンドと結合された。A)APRILおよびhBAFFのみが、hBCMA−Fcに特異的に結合したが、hCD40−Fcには結合しないことを示す結合リガンドの検出。B)hBCMA−Fcコートプレート上へhAPRILまたはhBAFFを結合後、検出されるELISAシグナルが、添加されるタンパク質の量に直線的に依存することを示す用量滴定。
【図9−2】図9は、FLAG−hAPRILがhBCMA−fc融合タンパク質に結合することを示すELISA形式実験を示す。種々のレセプター−Fc融合タンパク質が、ELISAプレート上へコートされ、FLAG−タグ化リガンドと結合された。A)APRILおよびhBAFFのみが、hBCMA−Fcに特異的に結合したが、hCD40−Fcには結合しないことを示す結合リガンドの検出。B)hBCMA−Fcコートプレート上へhAPRILまたはhBAFFを結合後、検出されるELISAシグナルが、添加されるタンパク質の量に直線的に依存することを示す用量滴定。
【図10】図10は、hBMCA−Fc融合タンパク質によるFLAG−hAPRILおよびFLAG−hBAFFの免疫沈降を示す。上の4つのパネルは、免疫沈降におけるロードされたタンパク質の等価を示し、一方、下のパネルは、hAPRILおよびhBAFFが、hBCMA−Fcによって免疫沈降されるが、hTRAIN−Fcによって免疫沈降されないことを示す。
【図11】図11は、myc−mAPRIL、FLAG−hBAFF、およびFLAG−mBAFFのhBMCA、hLTβレセプター、もしくはhTNF−R80への結合のBiaCore分析を示し、またはブランクは、hBCMAだけへの特異的結合を示す。
【図12】図12は、BCMAトランスフェクト細胞へのAPRIL結合を示す。293EBNA細胞は、全長hBCMAを発現するプラスミドでトランスフェクトされる。細胞は、5mM EDTAを使用して48時間後に収穫され、そしてmyc−nAPRILで染色された。パネルAは、染色程度が用量依存であることを示す。パネルBは、染色が、可溶性BCMA−Igタンパク質を使用した場合バックグランドレベルへ減少したことを示す。
【図13】図13は、コントロール試薬でまたはBCMA−Ig融合タンパク質で処置された免疫不全(Nu/Nu)マウスにおいて皮下に移植されたNIH3T3細胞の増殖を示す。このモデルにおいて、NIH3T3細胞は、線維肉腫を形成する。
【図14】図14は、コントロール試薬でまたはhBCMA−Ig融合タンパク質で処置された免疫不全(Nu/Nu)マウスにおいて皮下に移植されたヒト結腸癌SW480の増殖を示す。
【図15A】図15Aは、コントロール試薬でまたはhBCMA−Ig融合タンパク質で処置された免疫不全(Nu/Nu)マウスにおいて皮下に移植されたヒト結腸癌HT29の増殖を示す。
【図15B】図15Bは、コントロール試薬でまたはhBCMA−Ig融合タンパク質で処置された免疫不全(Nu/Nu)マウスにおいて皮下に移植されたヒト肺癌A549の増殖を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(詳細な説明)
(定義)
請求される本発明の主題をより明確および簡潔に指摘するために、以下の定義を、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲において使用される特定の用語について提供する。
本発明は、今度は、以下の詳細な説明を参照して記載される。その中で以下の定義が包含される。
【0019】
用語「APRILレセプター」または「APRIL−R」とは、本明細書において使用されるとき、ネイティブ配列のAPRIL−RおよびAPRIL−R改変体を包含する。APRIL−Rは、種々の供給源(例えば、マウスまたはヒトの組織型または別の供給源)から単離され得るか、または組換えもしくは合成の方法によって調製され得る。用語APRIL−Rは、腫瘍壊死ファミリーメンバーAPRILまたはそのホモログもしくはフラグメントに結合し得るポリペプチドをさらにいう。APRIL−Rの例は、BCMAである。
【0020】
用語「BCMA」または「BCM」とは、以下に記載されるようなB細胞成熟のための新規タンパク質をいう:Gras et al.(1995),International Immunology,7:1093−1106,「BCMAp :an integral membrane protein in the golgi apparatus of human mature B lymphocytes」;Y.Laabi et al.(1992),EMBO J.,11,3897−3904,「A new gene BCM on Chromosome 16 is fused to the interleukin 2 gene by a t (4; 16) (q26; pl3) translocation in a malignantT cell lymphoma」。
「ネイティブ配列APRIL−R」とは、天然に由来するAPRIL−Rと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを包含する。そのようなネイティブ配列APRIL−Rは、天然から単離され得るか、または組換えもしくは合成の手段によって生成され得る。ネイティブ配列APRIL−Rは、天然に存在する、短縮形態かまたは分泌形態のAPRIL−R(例えば、例えば、細胞外ドメイン配列を含む可溶性形態)、APRIL−Rの天然に存在する改変体形態(例えば、選択的スプライシング形態)および天然に存在する対立遺伝子変異体をいう。本発明の1つの実施形態において、ネイティブ配列APRIL−Rは、配列番号8のアミノ酸1〜184を含む、成熟または全長のネイティブ配列APRIL−Rポリペプチド、あるいはそのフラグメントである。
【0021】
「ARPIL−R細胞外ドメイン」または「APRIL−R ECD」とは、APRIL−Rの膜ドメインおよび細胞質ドメインを本質的に含まない形態のAPRIL−Rをいう。通常、APRIL−R細胞外ドメインは、1%未満のそのような膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを有し、そして好ましくは、0.5%未満のそのようなドメインを有する。必要に応じて、APRIL−R ECDは、配列番号8のアミノ酸残基1〜51または1〜52または1〜53を含む。好ましい実施形態において、APRIL−ECDは、配列番号8のアミノ酸残基4〜51、またはより好ましくは、配列番号8のアミノ酸残基8〜51を包含する。当業者には、本発明のAPRIL−Rポリペプチドの膜貫通ドメインは、その型の疎水性ドメインを同定するについて当該分野において慣用的に使用される基準に従って同定される。膜貫通ドメインの正確な境界は、変動し得るが、最もおそらく、本明細書において具体的に言及されたドメインのいずれかの末端の5アミノ酸以内である。
【0022】
「APRIL−R改変体」とは、全長ネイティブ配列APRIL−Rについて配列番号5に示される推定アミノ酸配列を有するか、またはAPRIL−R ECD配列を有する、APRIL−Rと少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有すると以下に定義されるような活性APRIL−Rを意味する。そのようなAPRIL−R改変体としては、例えば、APRIL−Rポリペプチドであって、配列番号8の配列の末端またはC末端において1つ以上のアミノ酸残基が付加、または欠失されているものが挙げられる。通常、APRIL−R改変体は、少なくとも約80%または85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%のアミノ酸配列同一性、そしてさらにより好ましくは、少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を、配列番号8のアミノ酸配列に対して有する。
【0023】
「百分率(パーセント)(%)アミノ酸配列同一性」とは、本明細書において同定される、APRIL−R配列に関して、配列を整列し、そして必要に応じてギャップを導入して、最大の百分率配列同一性を達成し、配列同一性の部分として任意の保存置換を考慮した後の、APRIL−Rにおけるアミノ酸残基と同一である候補配列におけるアミノ酸残基の百分率と定義される。百分率アミノ酸配列同一性を決定する目的のための整列は、例えば、公に利用可能なコンピュータソフトウェア(例えば、BLAST、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェア)を用いた、当該分野の技術範囲内にある、種々の方法において達成され得る。当業者は、比較される配列の全長にわたり最大の整列を達成するに必要な任意のアルゴリズムを含め、整列を測定するための適切なパラメータを決定し得る。
【0024】
用語「エピトープタグ化」とは、本明細書において使用されるとき、APRIL−Rを含むキメラポリペプチド、またはそのドメイン配列であって、「タグポリペプチド」に融合されたものをいう。タグポリペプチドは、抗体が作成され得るエピトープか、または何らかの他の薬剤によって同定され得るエピトープを提供するに十分であるが、APRIL−Rの活性には干渉しないように十分短い残基を有する。このタグポリペプチドは、好ましくはまた、その抗体が実質的に他のエピトープとは交叉反応しないようにかなり独特である。適切なタグポリペプチドは、概して、少なくとも6アミノ酸残基、そして通常約8アミノ酸残基と約50アミノ酸残基との間を有する(好ましくは、約10残基〜約20残基である)。
【0025】
「単離された」とは、本明細書において開示される種々のポリペプチドを記載するために使用され、その天然の環境の成分から同定され、そして分離され、そして/または回収されたポリペプチドを意味する。その天然の環境の夾雑成分は、そのポリペプチドについて診断または治療上の使用を代表的に妨害し、そして酵素、ホルモンおよび他のタンパク質性もしくは非タンパク質性の溶質を含み得る。好ましい実施形態において、そのポリペプチドは、以下にまで精製される:(1)N末端の少なくとも15残基を得るに十分な程度、またはスピンカップ配列決定機の使用によるアミノ酸配列決定するに十分な程度、あるいは(2)クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いて非還元または還元の条件下でSDS−PAGEでの均質の程度。単離されたポリペプチドとしては、組換え細胞内のインサイチュのポリペプチドが挙げられる。なぜなら、APRIL−Rの天然の環境の少なくとも1つの成分が存在しないからである。しかし、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製工程によって調製される。
【0026】
用語「抗体」は、その最も広義な意味で使用され、そして具体的には単一のAPRIL−Rモノクローナル抗体(アゴニスト、アンタゴニストおよび中和抗体を含む)およびポリエピトープ特異性を有する抗APRIL−R抗体組成物を包含する。用語「モノクローナル抗体」は、本明細書において使用され、実質的に均質な抗体(すなわち、微量で存在し得る可能な天然に存在する変異体を除き、その集団を含む個々の抗体が同一である)の集団から得られる抗体をいう。
【0027】
ポリペプチドの「精製された調製物」または「実質的に純粋な調製物」とは、本明細書において使用され、天然においてはそれに付随する他のタンパク質、脂質および核酸から分離されたポリペプチドを意味する。好ましくは、そのポリペプチドはまた、それを精製するために使用される他の物質(例えば、抗体、マトリクスなど)からも分離されている。
【0028】
用語「処置する」、「処置」および「治療」とは、本明細書において使用され、治癒のための治療、予防(prophylactic)のための治療および予防(preventative)のための治療をいう。
【0029】
用語「ペプチド」、「タンパク質」および「ポリペプチド」とは、本明細書において互換的に使用される。
【0030】
本明細書中に使用される場合「生物学的に活性な」は、直接または間接的に実行され得るインビボ活性またはインビトロ活性を有することを意味する。APRIL−Rの生物学的に活性なフラグメントは、例えば、レセプターの活性部位と70%のアミノ酸相同性、より好ましくは少なくとも80%の相同性、最も好ましくは少なくとも90%の相同性を有し得る。レセプターに関する同一性または相同性は、本明細書において、配列番号8のAPRIL−R残基に対して同一である候補配列中のアミノ酸残基の百分率として規定される。
【0031】
本明細書中に使用される場合、用語「哺乳動物」は、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、マウスおよびネコを含む哺乳動物として分類される任意の動物をいう。本発明の好ましい実施形態において、哺乳動物は、ヒトである。
【0032】
本発明の実施には、他に示されない限り、細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、および免疫学の従来技術を使用し、これらは当業者の範囲内である。このような技術は文献中に記載される。
【0033】
ここで詳細に、本発明の好ましい実施形態に対する参照がなされる。本発明は、B細胞および非B細胞の増殖および成熟をもたららす(特にこれらが腫瘍細胞に関連する場合)ためのAPRIL−RおよびAPRIL−R関連分子の使用に関する。本発明はまた、免疫関連障害に必要とされるような免疫系の応答をもたらすためのAPRIL−RおよびAPRIL−R関連分子の使用に関する。さらに、本発明は、遺伝子治療法を介するAPRIL−RまたはAPRIL−R関連遺伝子の使用を通じた癌および免疫障害の処置を含む。
【0034】
本発明の配列で形質転換された宿主によって産生されるAPRIL−Rおよびそのホモログ、または既知のアミノ酸配列から産生されるAPRIL−Rおよびそのホモログ、ならびに当該分野で公知のプロセスによって精製されるネイティブなAPRIL−Rは、抗癌、抗腫瘍および免疫調節適用に関する種々の方法において有用である。これらはまた、他の疾患に向けられる治療および方法において有用である。
【0035】
本発明の別の局面は、APRIL−Rをコードする単離された核酸によってコードされるポリペプチドの「アンチセンス」治療における使用に関する。本明細書中に使用される場合、「アンチセンス」治療は、コードされるタンパク質の発現を阻害するように(例えば、転写および/または翻訳を阻害することによって)、細胞状態の下で目的のリガンドをコードする細胞性mRNAおよび/またはDNAと特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドまたはそれらの誘導体の、投与またはインサイチュ生成をいう。結合は、従来の塩基対相補性により得るか、または例えば、DNA二重鎖への結合の場合、二重らせんの主溝における特異的相互作用を介し得る。一般的に、「アンチセンス」治療は、当該分野で一般的に使用される技術範囲をいい、そしてオリゴヌクレオチド配列の特異的結合に依存する任意の治療が挙げられる。
【0036】
本発明のアンチセンス構築物は、例えば、発現プラスミドとして送達され得、この発現プラスミドは、細胞中で転写される場合、Kayリガンドをコードする細胞性mRNAの少なくとも一部に相補的であるRNAを産生する。あるいは、アンチセンス構築物は、エキソビボで生成されるオリゴヌクレオチドプローブであり得る。このようなオリゴヌクレオチドプローブは、好ましくは改変されたオリゴヌクレオチドであり、このオリゴヌクレオチドは、内因性ヌクレアーゼに耐性であり従ってインビボで安定である。アンチセンスオリゴヌとしての使用のための例示的な核酸分子は、ホスホラミデートアナログ、ホスホチオエートアナログ、およびメチルホスホネートアナログのDNAである(例えば、第5,176,996号;第5,264,564号;および第5,256,775号を参照のこと)。さらに、アンチセンス治療において有用なオリゴマーを構築するための一般的な手段は、例えば、Van Der Krolら(1988)Biotechniques 6:958−976;およびSteinら(1988)Cancer Res 48:2659−2668(これらは、詳細に本明細書中に参考として援用される)によって概説される。
【0037】
上記のように、本発明のAPRIL−RはTNFレセプターファミリーのメンバーである。タンパク質、そのフラグメントまたはホモログは、広範な治療適用および診断適用を有し得る。
【0038】
本発明のポリペプチドは、APRIL(本明細書中に参考として援用されるWO99/12964中に以前記載されたポリペプチド)と特異的に相互作用する。しかし、本明細書中に開示されるペプチドおよび方法は、APRIL−Rまたはそのフラグメントと特異的に相互作用する分子の同定を可能にする。
【0039】
特定の実施形態において、本願発明は、APRILへ結合する能力を有するAPRIL−R由来のペプチドを使用する方法を含む。APRIL−Rのフラグメントは、いくつかの方法(例えば、組換え的にか、PCRによってか、タンパク質分解消化、または化学合成によって)で産生され得る。ポリペプチドの内部フラグメントまたは末端フラグメントは、1つ以上のヌクレオチドを、このポリペプチドをコードする核酸の1つの末端または両末端から除去することによって作製され得る。変異誘発されたDNAの発現は、ポリペプチドフラグメントを産生する。
【0040】
ポリペプチドフラグメントはまた、従来のメリーフィールド固相f−mocまたはt−boc化学のような当該分野で公知の技術を用いて、化学合成され得る。例えば、本発明のペプチドおよびDNA配列は、フラグメントの重複を伴わずに所望の長さのフラグメントへ任意に分けられ得るか、または所望の長さの重複フラグメントへ分けられ得る。これらのような方法は、以下により詳細に記載される。
【0041】
(可溶性形態のAPRIL−Rの作製)
可溶性形態のAPRIL−Rは、しばしば、効果的にシグナルを伝達し得、それ故に、天然の膜形態を目下模倣する薬物として投与され得る。本明細書中に主張されるAPRIL−Rは可溶性サイトカインとして自然に分泌されることは可能であるが、そうでない場合、分泌を強いるためにその遺伝子を再操作し得る。可溶性分泌形態のAPRIL−Rを作製するために、DNAレベルでN末端膜貫通領域、および軸領域のいくらかの部分を除去して、これらを選択された発現系において有効なタンパク質分解性切断を可能にするI型リーダー配列あるいはII型リーダー配列で置換する。当業者は、分泌発現構築物中に保持される軸領域の量を変更して、リガンド結合特性および分泌効率の両方を最適化し得る。例えば、全ての可能な軸の長さを含む構築物(すなわち、N末端短縮)が調製されて、その結果アミノ酸1〜52で開始するタンパク質が生じ得る。最適な長さの軸配列は、この型の分析から生じる。
【0042】
(APRIL−Rと反応性の抗体の作製)
本発明はまた、本願発明のAPRIL−Rまたはそのコレセプターと特異的に反応する抗体を含む。抗タンパク質/抗ペプチドの抗血清またはモノクローナル抗体は、標準的なプロトコール(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual、HarlowおよびLane(編)(Cold Spring Harbor Press:1988)を参照のこと)によって作製され得る。マウス、ハムスターまたはウサギのような哺乳動物は、免疫原性形態のペプチドを用いて免疫され得る。タンパク質またはペプチドに免疫原性を与えるための技術としては、当該分野で周知のキャリアへの結合または他の技術が挙げられる。
【0043】
APRIL−Rまたはそのコレセプターの免疫原性部分は、アジュバントの存在下で投与され得る。免疫の進行は、血漿または血清中の抗体検出によってモニターされ得る。標準的なELISAまたは他のイムノアッセイを抗原としての免疫原を共に使用して、抗体レベルを評価し得る。
【0044】
好ましい実施形態において、本抗体は、APRIL−Rまたはそのコレセプターの抗原決定基(例えば、配列番号8のポリペプチドの抗原決定基)か、または密接に関連するヒト哺乳動物ホモログもしくは非ヒト哺乳動物ホモログ(例えば、70、80、または90%の相同性、より好ましくは少なくとも95%の相同性)に対して免疫特異的である。本発明のなおさらに好ましい実施形態において、抗APRIL−R抗体または抗APRILコレセプター抗体は、例えば、配列番号8と80%未満の相同性であるタンパク質;好ましくは配列番号8と90%未満の相同性であるタンパク質;および最も好ましくは配列番号8と95%未満の相同性であるタンパク質と、実質的に交差反応しない(すなわち、特異的に反応する)。「実質的に交差反応しない」により、抗体が、配列番号8のタンパク質に対する結合親和性の、10%未満、より好ましくは5%未満、なおより好ましくは1%未満である、非相同性タンパク質に対する結合親和性を有することが意味される。
【0045】
本明細書中に使用される場合、用語、抗体は、APRIL−Rまたはそのレセプターともまた特異的に反応するそのフラグメントを含むことが意図される。抗体は、従来技術を用いて断片化され得、そしてこのフラグメントは、全抗体に関して上部に記載された様式と同じ様式で有用性に関してスクリーニングされ得る。例えば、F(ab’)2フラグメントは、抗体をペプシンで処理することによって作製され得る。生じるF(ab’)2フラグメントは、ジスルフィド架橋を還元するために処置されて、Fab’フラグメントを生成し得る。本発明の抗体は、抗APRIL−R活性または抗APRILコレセプター活性を有する生物特異的分子およびキメラ分子を含むことがさらに意図される。従って、APRIL−Rおよびこれらのコレセプターに対するモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体(Ab)の両方、ならびにFab’およびF(ab’)2のような抗体フラグメントは、APRIL−Rおよびその各コレセプターの作用をブロックするために使用され得る。
【0046】
種々の形態の抗体がまた、標準的な組換えDNA技術を使用して作製され得る(WinterおよびMilstein、Nature 349:293−299(1991)(これらは、本明細書中に参考として詳細に援用される))。例えば、動物抗体由来の抗原結合ドメインがヒト定常ドメインに連結されたキメラ抗体が構築され得る(例えば、Cabillyら、米国4,816,567号(これは、本明細書中に参考として援用される))。キメラ抗体は、ヒト臨床処置に使用される場合、動物抗体によって誘発される観察される免疫原性応答を減少し得る。
【0047】
さらに、APRIL−Rまたはそのコレセプターを認識する組換え「ヒト化抗体」が合成され得る。ヒト化抗体は、ほとんどヒトIgG配列(これに、特定の抗原結合を担う領域が挿入される)を含むキメラである。動物は、所望の抗原を用いて免疫され、対応する抗体が単離され、そして特定の抗原結合を担う可変領域配列の部分が取り除かれる。次いで、動物由来の抗原結合領域が、抗原結合領域が欠失されているヒト抗体遺伝子の適切な位置へクローン化される。ヒト化抗体は、ヒト抗体中の異種(すなわち、種間)配列の使用を最小化し、従って、処置される被験体において免疫応答をおそらくほとんど誘発しない。
【0048】
異なるクラスの組換え抗体の構築はまた、可変ドメインおよび異なるクラスの免疫グロブリンから単離されたヒト定常ドメイン(CH1、CH2、CH3)を含む、キメラ抗体またはヒト化抗体を作製することによって達成され得る。例えば、増加した抗原結合部位価を有する抗体は、抗原結合部位をベクター(ヒト:鎖定常領域を保有する)へクローニングすることによって組換え産生され得る(Arulanandamら、J.Exp.Med.、177:1439−1450(1993)(これは、本明細書中に参考として援用される))。
【0049】
さらに、標準的な組換えDNA技術を使用して、抗原結合部位の付近でアミノ酸残基を変更することによって、組換え抗体のその抗原との結合親和性を変化し得る。ヒト化抗体の抗原結合親和性は、分子モデリングに基づく変異誘発によって増加され得る。(Queenら、Proc.Natl.Acad.Sci.86:10029−33(1989)(本明細書中に参考として援用される))。
【0050】
(アナログの作製:変更されたDNA配列およびペプチド配列の生成)
APRIL−Rのアナログは、アミノ酸配列においてかもしくは配列を含まない点において、またはこれら両方において、天然に存在するAPRIL−Rと異なり得る。非配列改変としては、インビボまたはインビトロのAPRIL−Rの化学誘導体化が挙げられる。非配列改変としては、アセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化、またはグリコシル化における変化が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
好ましいアナログとしては、APRIL−Rの生物学的に活性なそのフラグメントが挙げられ、その配列は、APRIL−リガンドの活性を破壊しない、1つ以上の保存的アミノ酸置換によってか、1つ以上の非保存的アミノ酸置換によってか、欠失または挿入によって、配列番号8に提供される配列と異なる。保存的置換としては、代表的に、類似した特徴を伴う別のアミノ酸の代わりの1つのアミノ酸の置換(例えば、以下の群内の置換:バリン、グリシン;グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸;アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リジン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン)が挙げられる。
【0052】
(用途)
全長APRIL−R遺伝子(配列番号8)またはその部分は、例えば、配列番号6に開示されるAPRIL−R配列に対して所望の配列同一性を有するさらに別の遺伝子を単離するためにcDNAライブラリーのハイブリダイゼーションプローブとして使用され得る。APRIL−Rをコードするヌクレオチド配列がまた使用されて、APRIL−Rをコードする遺伝子をマッピングするためおよび遺伝的障害を有する個体の遺伝分析のためのハイブリダイゼーションプローブを構築し得る。スクリーニングアッセイが設計されて、APRIL−Rの生物学的活性を模倣するリード化合物を見出し得る。このようなスクリーニングアッセイは、化学ライブラリーの高スループットスクリーニングを受けやすいアッセイが挙げられ、小分子薬物候補物を同定することにこの化学ライブラリーを特に適切にする。意図される小分子としては、合成有機化合物または合成無機化合物が挙げられる。APRIL−Rまたはその改変形態をコードする核酸がまた使用されて、トランスジェニック動物または「ノックアウト」動物のいずれかを作製し得、これらは次には治療的に有用な試薬(例えば、癌試薬を含む)の開発およびスクリーニングにおいて有用である。
【0053】
本発明の配列を用いて形質転換された宿主によって産生されるかまたは公知のアミノ酸配列から産生されるAPRIL−Rおよびそのホモログ、ならびに当該分野で公知のプロセスによって精製されるネイティブなAPRIL−Rは、抗癌適用のための種々の方法において有用である。
【0054】
1つの実施形態において、本発明は、APRIL−Rアンタゴニストを含む治療有効量の組成物を薬学的に受容可能な賦形剤と共に哺乳動物に投与することによって、所望されない細胞増殖と関連する状態に対してその哺乳動物を処置する方法であり、ここで、APRIL−Rアンタゴニストは、APRILとそのコグネイトレセプターとの間の相互作用を拮抗するペプチドを含む。
【0055】
好ましい実施形態において、細胞表面上のAPRILのコグネイトレセプターは、BCMAである。
【0056】
この方法は、APRILとそのコグネイトレセプターとの間の相互作用を拮抗するポリペプチドを有する任意のAPRIL−Rアンタゴニストと共に使用され得る。APRIL−Rアンタゴニストの例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:可溶性APRIL−Rポリペプチド(可溶性BCMAを含むが、これに限定されない);可溶性キメラAPRIL−R分子(BCMA−IgG−Fcを含むが、これに限定されない)および抗APRIL−R抗体ホモログ(抗BCMAモノクローナル抗体を含むが、これに限定されない)。
【0057】
本発明の方法は、所望されない細胞増殖と関連する任意の条件を用いて使用され得る。特に、本発明の方法は、APRILおよび/またはAPRIL−R(すなわち、BCMA)を発現する腫瘍細胞を処置するために使用され得る。
【0058】
細胞増殖がAPRILによって調節される癌の例は、インビトロで腫瘍組織ライブラリー中で発現されるAPRILおよび/またはAPRIL−R(すなわち、BCMA)メッセージのレベルを測定することによってスクリーニングされ得る。APRILおよび/またはAPRIL−R(すなわち、BCMA)メッセージが高度に発現される腫瘍組織ライブラリーが、候補物である。あるいは、候補物検索に関して公のデータベースおよび私的なデータベース(すなわち、Incyteデータベース)を、例えば、全長ヒトAPRIL cDNA配列を用いてスクリーニングし得る。これらの技術を適用することによって、例えば、APRIL mRNA発現は大多数の腫瘍型(以下の表1中に見出されるものを含むが、これらに限定されない)で検出されたことが見出された。
【0059】
(表1)
【0060】
【表1】




特定の腫瘍治療における所望されない細胞増殖に関連した状態を処置する際に使用される本発明のAPRIL−Rアンタゴニストは、10%、20%、30%、または40%を超える腫瘍細胞の増殖を有利に阻害し、そして最も有利には50%を超える腫瘍細胞の増殖を阻害する。APRIL−Rアンタゴニストはスクリーニングにより得られる(例えば、実施例6における考察を参照のこと)。例えば、APRIL−Rアンタゴニストは、結腸腫瘍および肺腫瘍にそれぞれ由来するヒト結腸癌HT29またはヒト肺癌A549(例えば、図15における考察を参照のこと)に対する増殖阻害活性(つまり、10%、20%、30%、40%または50%を超える)に基いて選択され得る。
【0061】
本発明の別の実施形態は、動物におけるB細胞および非B細胞の増殖、樹状細胞により誘導されるB細胞の増殖および成熟または免疫グロブリン産生をAPRIL−Rポリペプチドを使用して阻害する方法を提供する。
【0062】
別の実施形態において、本発明は、自己免疫疾患、高血圧症、心臓血管障害、腎障害、リンパB細胞増殖障害、免疫抑制性疾患、臓器移植、炎症、およびHIVの処置においてAPRIL−Rを使用する方法を提供する。APRIL−Rとそのリガンドとの間のシグナル経路を含む免疫応答を処置し、抑制し、または変化するための薬剤を使用する方法もまた含まれる。
【0063】
本発明はまた、APRIL−Rポリペプチドおよび薬学的に受容可能な賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。例えば、APRIL−Rポリペプチドのための適切なキャリア、およびそれらの処方物は、Osloらにより編集されたRemington’ Pharmaceutical Sciences、第16版、1980、Mack Publishing Co.に記載される。代表的には、適切な量の薬学的に受容可能な塩が、処方物に等張性を与えるために処方物中に使用される。キャリアの例として、生理食塩液、リンガー溶液およびデキストロース溶液などのバッファーが挙げられる。溶液のpHは、好ましくは約5〜約8であり、そしてより好ましくは約7.4〜約7.8である。さらなるキャリアは、さらに固形疎水性ポリマーの半透性マトリックスなどの徐放性製剤を含み、このマトリックスは、成形された物品の形態(例えば、リポソーム、フィルム、またはミクロ粒子)にある。例えば、投与経路および投与されるAPRIL−Rポリペプチドの濃度に依存して特定のキャリアが好ましいことが、当業者に明らかである。
【0064】
投与は、注射(例えば、静脈、腹腔内、皮下、筋内)または他の方法(例えば、効果のある形態で血流への送達を確実にする注入)により達成され得る。
【0065】
別に示さない限り、本発明の実行には、当該分野の技術範囲である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、微生物学、組換えDNA、タンパク質化学、および免疫学の慣習的な方法を用いる。このような技術は、文献に記載される。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版(Sambrook、FritschおよびManiatis編)、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989;DNA Cloning、Volume IおよびII(D.N.Glover編)、1985;Oligonucleotide Synthesis、(M.J.Gait編)、1984;米国特許第4,683,195号(Mullisら);Nucleic Acid Hybridization(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編)、1984;Transcription and Translation(B.D.HamesおよびS.J.Higgins編)、1984;Culture of Animal Cells(R.I.Freshney編)、Alan R.Liss,Inc.、1987;Immobilized Cells and Enzymes、IRL Press、1986;A Practical Guide to Molecular Cloning(B.Perbal)、1984;Methods in Enzymology、Volume 154および155(Wuら編)、Academic Press、New York;Gene Transfer Vector for Mammalian Cells(J.H.MillerおよびM.P.Calos編)、1987、ColdSpring Harbor Laboratory;Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(MayerおよびWalker編)、Academic Press、London、1987;Handbook of Experiment Immunology、Volume I〜IV(D.M.Weir および C.C.Blackwell編)、1986;Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1986を参照のこと。
【0066】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供され、これらの限定として解釈されるべきではない。
【実施例】
【0067】
(実施例)
以下に開示される実施例において以下の方法を使用した。
【0068】
(方法:Pichia pastorisにおけるmycタグマウスAPRIL(CCM776)のクローニングおよび発現)
発現ベクターpCCM213.10を、PDR004(FRAGエピトープタグと共にN末端に付加したスーパーFASリガンドストークを有するH98muAPRIL)を取得することおよびSacIからNot1までのmuAPRILコード配列を切り取ることにより構築した。合成オリゴヌクレオチドLTB−559およびLTB−560は、α接合因子リーダー配列、mycエピトープタグ、ならびにFASリガンド由来のKELモチーフを含むXho−1−Sac1リンカーを形成する。muAPRILフラグメントおよびmuAPRILリンカーの両方をPichia pastoris発現プラスミドであるpccm211のXho−1−Not1部位に連結した。
【0069】
PCCM213.10をStu1で直線化し、GS115株(his4−)にエレクトロポレートし、そしてデキストロースを含む最小培地にプレートした。リッチ培地(BMGY:緩衝化グリセロール複合培地)において代表的な単一コロニーを接種し、そしてそれを30℃で48時間の密度まで増殖させることにより、HIS4形質転換体をタンパク質発現について分析した。培養物をスパンし、そして1.5%メタノールを含む誘導リッチ培地(BMMY:緩衝化メタノール複合培地)に細胞ペレットを再懸濁(1:5)した。30℃で2日間のインキュベーションの後、上清をSDS−PAGEで泳動し、muAPRILの存在を評価した。クーマシー染色およびウェスタンブロット(抗myc mAb 9E10を用いる)は、1つの株(CCM776)が、十分な量のグリコシル化された形態のmycタグH98 muAPRILタンパク質を産生することを示した。
【0070】
(myc−mAPRILの精製)
アミノ酸149個のタンパク質であるmyc−mAprilをpichiaで発現した。このタンパク質は7.45の等電点を有する。175mlのpichia上清を透析し、そして一昼夜、緩衝液をpH6.8の10mM トリスに交換し、次に20mlのSPカラムを通した。カラムをpH6.8の10mM トリス−HClで十分に洗浄し、250n mM NaClのPBSで溶出した。精製工程の第2段階は、ゲル濾過カラム(S300)を使用して達成した。20mlのSPカラムからのmyc−Aprilを含むフラクションを遠心分離により7mlの容量まで濃縮した。ゲル濾過の後、ODおよびクーマシーゲルにより検出されたmyc−APRILの8mgを回収した。また、マウスモノクローナル9E10抗体(抗myc)を使用するウェスタンブロット分析を行い、mycタグが精製工程後に無傷であることを示した。精製されたタンパク質がmyc−mAprilと一致することをN末端配列で確かめた。
【0071】
(FLAG−ヒト Aprilの精製)
プラスミドps429(後にp1448と名づけられた)を使用してリポフェクタミン剤(Gibco−Brl)および無血清培地を使用して293T細胞を過渡的にトランスフェクトした。哺乳動物発現ベクターPCR3(Invitrogen)において構築されたプラスミドは、細胞培養培地へのN末端タンパク質を伴うヒトAPRILのレセプター結合ドメインをコードする。製造者の説明書(Kodak)に従って、抗FLAG mAb M2カラムおよび過剰の精製されたFLAGペプチドを使用してFLAG−APRILタンパク質を無血清培地から精製した。
【0072】
(HBMCA−Fcの精製)
HBMCA−Fcを293細胞に過渡的にトランスフェクトした。hBCM−Fcを過剰発現する293細胞由来の条件培地をプロテインAカラムに充填した。25mMリン酸100nM NaCl(pH2.8)を使用してタンパク質を溶出し、続いて1/20容量の0.5M NaPO4(pH8.6)で中和した。OD280に基いて選択したフラクションを還元SDS−PAGEゲルならびに非還元SDS−PAGEゲルおよび精製したタンパク質を同定するためのウェスタンブロットに供した。3mgのタンパク質を500mlの条件培地から回収した。
【0073】
(myc−mAPRILは、FACS分析において種々の細胞株と結合する)
450ng/mlの精製したmyc−mAPRILを100μlのPBS/2%FBS+Fcブロッキング剤であるFcBlock 20μg/ml(Pharmingen)および精製したヒトIgG 10μg/ml(Sandoz)中で細胞株と氷上で1時間結合させた。陽性結合を特異的ウサギ抗マウスAPRIL抗血清(1:500)およびロバ抗ウサギIgG−FITC(Jackson)を使用して明らかにした。細胞株A20、Raji、NIH3T3、およびHT29を提供者(ATCC Bethesda、MD)により示唆された培地中で維持した。BJAB細胞を10%FBSおよびL−グルタミンを補充したHEPES緩衝化RPMI中で培養した。競合アッセイにおいて、450ng/mlのmyc−マウスAPRILを1μg/mlの競合タンパク質と共に添加した。
【0074】
(実施例1:プレートアッセイを使用するAPRIL−Rに対するAPRIL結合の検出)
本実施例において、AprilとのBCMA会合を試験した。
【0075】
BCMAがAprilと会合するか否かを試験するために、共免疫沈降実験を実施した。この実験において、hBCMA−Fcおよびmyc−mAprilの両可溶性タンパク質を使用した。
【0076】
異なるTNFリガンド:myc−mApril;myc−CD40Lおよびmyc−RANKLと共にHBCMA−FcおよびLYbR−Fcを10%FBSを含む培地中に1/2時間室温で添加した。Fcタンパク質を1〜2時間でプロテインAビーズと結合させ、1mlのPBSで3回洗浄し、マウスモノクローナル9E10(抗myc)抗体を用いて免疫ブロット法により分析し、そして増強した化学発光を使用して発色させた。
【0077】
発明者らは、hBCMA−Fc免疫沈降物においてmyc−APRILを検出した。このことは、他のTNFリガンド、myc−CD40Lおよびmyc−RANKLはBCMAと結合する能力を有さなかったため、BCMAが特異的な手段でAprilと相互作用することを示す。myc−Aprilは、LTbR−Fcと会合しない。
【0078】
同じ膜をはがし、そして抗hIG−HRPを用いて再ブロットしてBCMA−Fcと共に同量のLTbR−Fcが免疫沈降物において使用されたことを示す。
【0079】
(実施例2:)
本実施例は、hBCMA−FCがFLAG−hAPRILと相互作用することを記載する。
【0080】
ELISA分析:pH9.6の炭酸塩中の1μg/mlのレセプター−Fc融合タンパク質(hBCMA−Fc−739またはhTNFR2−Fc−492)でプレートを一昼夜4℃でコートする。PBS/5%脱脂粉乳/0.5%Tween−20を使用して室温で2時間ブロックする。リガンドの倍々希釈を100μlのブロッキング緩衝液中で行った(TNFa−197は1000ng/mlから、muBAFF−657は1000ng/mlから、hApril−507(不活性)は2000ng/mlから、hApril−429は5倍濃縮培地から)。リガンドとインキュベーションした後、プレートをPBS0.5%Tween−20中で洗浄し、そして希釈緩衝液中の0.5μg/mlの抗FLAG mAb M2でプローブした。次に、抗体を抗マウスPO 1/2000を使用して酵素的発色(OPD)により検出した。
【0081】
免疫沈降実験:293T細胞を9cmのプレートにおいて示された発現プラスミド(Rec−Fcまたはflagリガンド)でトランスフェクトした。トランスフェクトした細胞を、8mlのOptimem培地(Gibco−BRL)中で5日間置いた。200μlの各レセプターの条件培地を200μlの各リガンドの条件培地+400μlのPBS+10μlのProtGセファロ−スと混合することにより免疫沈降を実施した。これらをホイール上で1時間回転し、1mlのPBSで4回洗浄し、次に50μlのサンプル緩衝液(+DTT)中で煮沸した。20μlの各免疫沈降物をレーン毎にロードした。明らかなブロッティングを1μg/mlの抗FLAG M2 mAb(Sigma、St Louis MO)および抗マウスPO(1/2000)を用いて行った。また、抗ヒトPOを用いた再プローブのブロットをチェックした:100μlの条件培地をMeOH/CHCl3/リゾチームで沈降した。この混合物を50μlサンプル緩衝液(+DDT)中で煮沸し、20μlをロードした。明らかなブロットを抗FLAG mAb M2(1μg/ml)および抗マウスPO(1/2000)を用いて行った。
【0082】
(実施例3:)
本実施例は、myc−mAPRIL;hKayL−440(hBAFF);およびFlag−mBAFFのhBCMA−Ig、hLT−R−Tg、またはhp80 TNFR−Igへの結合を記載する。すべての実験を、25℃で10μl/ml/分の流速で行った。
【0083】
各実験をHBS緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、0.005%のP20界面活性剤、pH7.4)を使用して行った。同じ溶液を実施緩衝液およびサンプル希釈液の両方に使用した。
【0084】
最初に、CM5チップ(BIAcore,Inc.)表面をN−ヒドロキシスクシンイミド/N−エチル−N’−(3−ジエチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロライド(BIAcore)を用いて活性化した。次いで、20μlのhBCMA−Ig;15μlのhLT−R05−Igおよび10μlのhp80−TNFR(10mMの酢酸中30g/mlに希釈)を30μlのエタノールアミン−HCl(pH8.5)で1回、そして15μlのエタノールアミン−HCl(pH8.5)で再度ブロックした。これにより1600〜3700の共鳴単位(RU)の表面密度が生じた。チップを1mMの蟻酸20μlで再生した。これら廃棄を5回繰り返し、再現可能な、そして安定なベースラインを達成した。
【0085】
実験のために、100μlのmyc−mApril、hKayL−440、およびFLAG−mBAFFそれぞれを希釈緩衝液で30μg/mlまで希釈し、そしてチップの表面上に注入した。各注入後迅速に、そのチップを500μlの希釈緩衝液で洗浄した。1mMの蟻酸20μl;続いて別の15μlの注入蟻酸を注入することにより、実験の間にその表面を再生した。再生後、チップを希釈緩衝液で平衡化した。
【0086】
(実施例4:可溶性レセプター形態の生成)
ヒトに使用するためのレセプターインヒビターを形成するために、細胞外ドメインのヒトレセプターcDNA配列が必要である。マウスの形態が既知の場合、マウスcDNA配列を使用してヒトcDNAライブラリーを容易にスクリーンし得、そしてこのような操作は当該分野において慣用的に行われる。ヒトcDNA配列を用いて、膜内外ドメインおよび細胞内ドメインを存在させずにレセプターの細胞外ドメインをPCR増幅するためのオリゴヌクレオチドプライマーを設計し得る。代表的には、アミノ酸のほとんどを、最後のジスルフィド結合「TNFドメイン」と膜内外ドメインとの間に含む。結果物の可溶性レセプター力価を最適化するために、含まれる「ストーク(stalk)」領域の量を変化し得た。種々のC末端Ig融合キメラベクターへのクローニングを可能にするために、適切な制限部位を含むように、この増幅片を操作する。あるいは、3’末端に停止シグナルを挿入し、そしてIg融合キメラアプローチの使用に頼ることなく、レセプターの可溶性形態を作製し得る。その結果物であるベクターは、バイオテクノロジーで使用されるほとんどの系(酵母、昆虫細胞、細菌細胞および哺乳動物細胞を含む)で発現され得、そして全ての発現タイプに対して例が存在する。所望であれば、種々のヒトFcドメインをFcRおよび補体の相互作用を最適化または排除するために付着し得る。あるいは、これらのFcドメインの変異形態を使用し、FcRもしくは補体の相互作用または特定の利点を有するFcドメインへのN−結合糖の付着を選択的に除去し得る。
【0087】
(実施例5:アゴニストまたはアンタゴニスト抗体の生成:)
上記可溶性レセプター形態を使用し、マウスを免疫化し、そして従来の方法によりモノクローナル抗体を作製し得る。ELISA法により同定したその結果物であるmAbsを、種々のインビトロでの細胞アッセイにおいて、可溶性抗体としてのアゴニスト活性またはプラスチック上に固定されたアゴニスト活性のいずれかに対してさらにスクリーニングし得る。しばしば、HT29細胞株の死が、多くのTNFレセプターを介するシグナル伝達に対して感受性のある簡便な系である。この株が目的のレセプターを有さない場合、全長レセプターをHT29株に安定にトランスフェクトして、ここで細胞傷害性アッセイを行うことが可能にし得る。あるいは、このような細胞を細胞センサー(Cytosensor)装置で使用し、レセプターの活性化が、シグナル伝達事象を示すpH変化を誘発し得るか否かを評価し得る。TNFファミリーレセプターは、このような形式で良好にシグナル伝達し、そしてこの方法は、レセプターにより引き起こされる実際の生物学的事象を知ることを必要としない。アゴニストmAbを臨床的使用のためヒト化する。また、この手順を使用してアンタゴニストmAbを規定し得る。このようなmAbは、アゴニスト活性の欠如およびELISA、古典的結合またはBIAcore技術によりモニターされるレセプター−リガンド相互作用阻害能により規定される。最後に、アゴニスト抗体に応答した種々の細胞によるケモカイン分泌の誘導は、スクリーニングアッセイを形成し得る。
【0088】
(実施例6:レセプター−リガンド相互作用のインヒビターについてのスクリーニング)
レセプターIg融合タンパク質を用いて、レセプターと直接的に結合し得る分子について、いずれの組み合わせライブラリーをもスクリーンし得る。次に、これらの分子を、レセプター−Ig融合タンパク質およびリガンドの可溶性形態を使用するELISA形式のアッセイにおいてレセプター−リガンド相互作用阻害能について試験し得る。このELISAを直接使用して、阻害化合物について種々の天然産物ライブラリーなどをスクリーニングし得る。レセプターをHT29株などの細胞株にトランスフェクトし、次いでスクリーニングアッセイを形成し得る生物学的アッセイ(この場合、細胞傷害性)を形成し得る。
(実施例7:インビボにおける腫瘍増殖阻害)
腫瘍増殖アンタゴニストとしてのBCMA−Igの有効性をインビボで増殖させた多数の異種腫瘍細胞株を使用して試験した。胸腺欠損(Nu/Nu)免疫不全マウスをこれらの研究のために使用し、そして腫瘍細胞を皮下に移植した。積極的に増殖するSW480腫瘍株については、100μlの無パイロジェン滅菌PBSに8×105個の細胞を移植した。1つのコントロール群を非処置のまま(n=5)にし、一方、他の群には100μgのコントロール−Ig(n=6)タンパク質または100μgのBCMA−Ig(n=6)タンパク質を投薬した。移植の直前に投薬を開始し、その後続けて7日毎に投薬した。マイクロメーターを使用して腫瘍の直径を測定し、そしてその体積を式、体積=4/3πr3を使用して計算する。
【0089】
SW480結腸癌の腫瘍は、Nu/Nuマウスモデルを使用して非常に迅速に増殖し、そして明白な腫瘍が10日以内に検出された。24日後にコントロールの平均腫瘍体積は、0.3cm3であり、一方、BCMA−Ig処置した腫瘍の平均体積は、0.19cm3であり、腫瘍負荷において46%の減少であった。結腸癌HT29もまた、Nu/Nuモデルにおいて積極的に増殖する。これらの実験のために、100μlの無パイロジェン滅菌PBS中1×106個の細胞を皮下に移植し、そして投薬レジメンはSW480について記載の通りであった。明らかな腫瘍が7日後に検出され、そしてコントロール群においては、ほとんどの腫瘍が非常に迅速に増殖した。42日後、コントロール群(非処置およびコントロールIg処置、n=12)における腫瘍の平均体積は、0.485cm3であり、一方、BCMA−Ig処置群(n=5)における平均腫瘍サイズは、0.095cm3であり、腫瘍負荷において80%の減少であった。50日後、コントロール群におけるマウスの30%を腫瘍サイズが1.5cmより大きくなったため終点として記録し、実験を中止した。コントロール群と比較して、BCMA−Ig処置群のマウスの0%を終点として記録した。これらの結果を、表2に示す。
【0090】
【表2】

これは、腫瘍の平均体積における70%の減少およびBCMA−Ig処置を使用する腫瘍増殖のHT29モデルにおける死亡率への顕著な影響を示す。
【0091】
肺癌腫瘍株A549は上記した結腸癌株よりもゆっくりと増殖する。この細胞株について、100μlの無パイロジェン滅菌PBS中に1×106個の細胞を移植し、そして前述したレジメンを使用して処置した。明白な腫瘍が移植の約20日後に検出された。腫瘍移植50日後、コントロール群(非処置およびコントロール−Ig処置;n=16)における腫瘍の平均体積は0.2cm3であり、一方、BCMA−Ig処置群(n=7)における腫瘍の平均体積は0.1cm3であり、腫瘍の体積において50%の減少であった。BCMA−Ig処置群では、50日後に57%のマウスが0.1cm3より小さい腫瘍を有し、一方、コントロール処置マウスの6%のみがこのような小さな腫瘍負荷を維持した。腫瘍移植60日後、コントロール群の腫瘍の平均体積は0.3cm3に増加した。一方、BCMA−Ig処置した群における腫瘍の平均体積は、まだ0.2cm3より小さかった(0.188)。
【0092】
結腸癌株よりもよりゆっくり増殖する、マウスNIH3T3株についてもまた、本発明者らは、100μl発熱物質のない滅菌PBS中の5×106細胞を移植して、上に記載されるように処置した。NITH3T3細胞は、Nu/Nuマウスにおいて皮下に移植された場合、線維肉腫を形成する。4週間後、明白な腫瘍が、検出され、そしてコントロール群(n=11)においては、これらの腫瘍は、容量が拡大し、次の10日後で0.136cm3の平均サイズに達した。対照的に、BCMA−Ig処置群(n=5)における腫瘍容量だけは、0.03cm3のサイズ(腫瘍負加量において78%減少)に達した。腫瘍移植48日後、コントロール群における平均腫瘍容量は、1.6cm3に達したが、一方BCMA−Ig処置群おける平均腫瘍容量は、ほんの0.8cm3(腫瘍容量の50%減少)であった。52日目で、まだ生存している18%だけの動物を残して、コントロール群における動物の82%(9/11)を、1.5cm3より大きい腫瘍容量に基づいて末期としてスコア付けした。対照的に、まだ生存している60%の動物を残して、BCMA−Ig処置群における40%(2/5)の動物は、屠殺されなければならないような容量の腫瘍を有した。これらの結果は、表3に表にされる。
【0093】
【表3−1】

経時的なNIH3T3の増殖を示す結果を、図13に示す。経時的なSW480の増殖を示す結果を、図14に示す。経時的なHT29の増殖を示す結果、および腫瘍移植後42日の個々の動物を示す散布図を、図15Aに示す。腫瘍移植後50日後および60日後の個々の動物におけるA549腫瘍の増殖を示す結果を、図15Bに示す。
【0094】
NIH3T3腫瘍細胞株に対する腫瘍増殖阻害の結果を、図13に示す。SW480腫瘍細胞株に対する腫瘍増殖阻害の結果を、図14に示す。HT29腫瘍細胞株およびA549腫瘍細胞株に対する腫瘍増殖阻害の結果を、図15に示す。
【0095】
(実施例8:BCMA−IgGは、正常マウスにおけるB細胞の数を減少する原因となる。)
8週齢雌BALB/cマウスを、The Jackson Laboratory(Bar Harbor,ME)から購入した。
【0096】
マウス(3/群)は、8日前、5日前、1日前および2日後に、腹腔内へPBS、400μgのヒトBCMA−huIgG1(hBCMA−Ig)融合タンパク質(Teresa Cachero,Biogenによって提供される)、または400μgの精製ヒトIgG(HuIgG)(Sandoz,Basel,Switzerland)のいずれかを受けた。マウスは、100μgの10%ヒツジ赤血球細胞(SRBC)(Colorado Serum Company、Denver,CO)を0日目に受けた。
【0097】
屠殺時、血液を、心臓穿刺を介してEDTを含むチューブへ収集し、赤血球を低張緩衝液の中で溶解した。血液をまた、血清調製のためにEDTAなしで収集した。単一細胞の懸濁液を、脾臓および腸間膜リンパ節(MLN)から調製し、赤血球を、低張緩衝液の中で溶解した。フローサイトメトリ−を、PE結合体化抗CD45R/B220、PE結合体化抗シンデカン(syndecan)/CD138、PE結合体化抗B7.2、ならびにFITC結合体化抗IgMおよびFITC結合体化抗CD45R/B220を使用して実施した。全てのmAbを、Pharmingen(San Diego,CA)から購入した。手短に言えば、Fcレセプターを、氷の上で15分間10μg/mlのFcBlock(Pharmingen)でブロックし、次いでPE結合体化mAbおよびFITC結合体化mAbを添加し、そして氷の上で20〜30分インキュベートした。細胞を、1回洗浄し、そして0.5%のパラホルムアルデヒド内に懸濁した。細胞蛍光データを、FACSCaliburTMフローサイトメーター(Becton Dickinson,San Jose,CA)で獲得し、そしてCELLQuestTMソフトウェア(Becton Dickinson)を使用して分析した。
【0098】
hBCMA−Igでの処置後、試験した末梢血中および末梢リンパ系器官中のB細胞の数が約50%減少した。B220highIgMlowB細胞は、PBS処置およびHuIgG処置マウスにおいて、それぞれ23.4%および21.5%の細胞となったが、この集団は、hBCMA−Ig処置マウスにおいてはほんの9.9%の細胞を示した。形質細胞(シンデカン/CD138+)は、hBCMA−Ig処置マウスにおける3.9%と比較して、PBS処置およびHuIgG処置マウスの血液中に、それぞれ同じように5.7%および4.8%存在で、わずかに減少されたようである。B7.2分子は、hBCMA−Ig処置マウスでの1.9%と比較して、PBS処置およびHuIgG処置マウスではそれぞれ3.1%および4.5%のB220+細胞で上流調節された。
【0099】
脾臓において、B220highB細胞は、PBS処置およびHuIgG処置マウスにおいてそれぞれ36.7%および40%と比較して、hBCMA−Ig処置マウスにおいて著しく減少し、18.8%を示した。この減少は、IgMhighおよびIgMlowの分集団の両方において観察された(表1を参照のこと)。脾臓において新たに形成されたB細胞画分(B220lowIgMhigh)において観察される変化はなかった(データは示さず)。形質細胞(シンデカン/CD138+)は、hBCMA−Ig処置マウスにおける2.4%と比較して、PBS処置およびHuIgG処置マウスの脾臓中に、それぞれ同じように3.3%および3.4%存在で、わずかに減少されたようである。
【0100】
MLNは、B220+B細胞において、PBS処置およびHuIgG処置マウスではそれぞれ26.7%および35.8%と比較して、hBCMA−Ig処置マウスでは14.1%存在と減少を示した。このデータを、表3に要約する。
【0101】
【表3−2】

SRBCで免疫化された後の、血液中のB7.2+B細胞ならびにhBCMA−Ig処置マウスの血液および脾臓中の形質細胞の減少パーセンテージは、B細胞活性化および/または成熟化の阻害、ならびに活性化B細胞の潜在的に増加した排出があることを示唆する。SRBCのこの場合において、非常に小さいパーセントの抗原特異的B細胞は、活性化され、そして任意の抗原に応答する。hBCMA−Ig処置は、試験された全ての組織中のB細胞のパーセント(約50%)によってこのような劇的な減少を生じるので、hBCMA−Igの活性はまた、静止、成熟B細胞を標的とするようである。
【0102】
従って、BCMA融合タンパク質を、B細胞媒介疾患における臨床的適用で治療的薬物として使用し得ることを、熟考する。疾患としては、性質が自己免疫である疾患(全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、自己免疫溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、抗リン脂質症候群、シャーガス病、グレーヴズ病、ヴェーゲナー肉芽腫症、結節性多発動脈炎および急速進行性糸球体腎炎など)が挙げられる。治療的薬剤はまた、形質細胞障害(多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、H鎖病、原発性または免疫担当細胞関連アミロイドーシス、および未定量有意性の単一クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS))における適用を有する。腫瘍学標的としては、B細胞癌、白血病、およびリンパ種が挙げられる。
【0103】
当業者にとって、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに本発明のポリペプチド、組成物および方法において種々の改変および変異がなされ得ることは、明白である。従って、本発明は、当業者が、本発明の添付される請求の範囲およびそれらと等価の範囲内に入ることを条件として、本発明の改変および変異を包含することを示す。
[配列表]
【表4】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2011−79863(P2011−79863A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2461(P2011−2461)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【分割の表示】特願2001−527810(P2001−527810)の分割
【原出願日】平成12年10月5日(2000.10.5)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【出願人】(501223984)
【Fターム(参考)】