ASK変調器
【課題】入出力に接続される回路の負荷変動に弱い。
【解決手段】本発明は、入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調信号を出力するASK変調器であって、前記入力端子と前記出力端子間の信号伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、更に、前記信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有するASK変調器である。
【解決手段】本発明は、入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調信号を出力するASK変調器であって、前記入力端子と前記出力端子間の信号伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、更に、前記信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有するASK変調器である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ASK変調器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のASK変調器として特許文献1の技術がある。図8に特許文献1のASK変調器1の回路構成を示す。図8に示すように、ASK変調器1は、デュアルゲートFETDGT1、DGT2と、整合回路HC1〜HC3とを有する。
【0003】
デュアルゲートFETDGT1は初段のASK変調回路MODU1、デュアルゲートFETDGT2は2段目のASK変調回路MODU2を構成している。デュアルゲートFETDGT1、DGT2は、それぞれ第1ゲート(G1)にベースバンド信号、第2ゲート(G2)に前段回路からのキャリア信号を入力する。整合回路HC1〜HC3は、それぞれ前後段の回路のインピーダンスをマッチングさせる機能を有する。これにより、後段回路による信号反射を防ぐことができる。
【0004】
ASK変調器1は、2段分のASK変調回路MODU1、MODU2を有することで、出力されるASK変調波信号の変調度を上げることができる。なお、ここで言う変調度について図9を用いて説明する。まず、図9(a)はベースバンド信号、図9(b)は、デジタル信号であるベースバンド信号によりキャリア信号をASK変調したASK変調信号である。
【0005】
ASK変調器1は、図9(a)(b)に示すように、ベースバンド信号がハイレベルのとき(期間T1、T3、T5)、キャリア信号を増幅して出力する。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき(期間T2、T4)、キャリア信号を出力しない。しかし、ここで期間T2、T4においても、トランジスタのゲート−ドレイン間の寄生容量等により、変調回路の後段へのキャリア信号の漏れが生じる場合がある。この漏れキャリア信号は、結果的に、出力端子TOUTにも出力される。
【0006】
ここで、期間T2、T4のようなキャリア信号の遮断期間での信号振幅をBとする。また、期間T1、T3、T5のようなキャリア信号の増幅期間での信号振幅をAとする。これら振幅AとBによる比を、変調度MIとする。そして、変調度MIは、以下のような式(1)で表すことができる。
MI=(A−B)/(A+B)×100[%]・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−320430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来のASK変調器1の出力端子TOUTには、出力されたASK変調信号を増幅するパワーアンプ等が接続される。そして、パワーアンプからの出力されたASK変調信号をアンテナが送信する。ここで、出力端子TOUTに接続するパワーアンプのゲインが変化すると、ASK変調器1から見た出力負荷も変動する。この負荷変動は、増幅器でもあるASK変調回路MODU2の特性にも影響を及ぼす。更に、ASK変調回路MODU2と接続されているASK変調回路MODU1も影響を受け、結果、ASK変調器1の特性が悪化する問題がある。この問題は、入力側に接続される回路の負荷変動に対しても同様である。よって、ASK変調器1は、入出力側に接続される回路の負荷変動に対して弱い問題点をかかえている。
【0009】
更に、RFID等の通信規格では、上述した変調度が所定の値(例えば90〜100%等)となるように規格されている。よって、変調度を高めつつ、且つ、入出力側回路の負荷変動にも強いASK変調器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調信号を出力するASK変調器であって、前記入力端子と前記出力端子間の信号伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、更に、前記信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有するASK変調器である。
【0011】
本発明にかかるASK変調器は、信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有する。この信号伝達ライン上のソースフォロア回路は、バッファ回路として機能し、入出力側に接続される回路の負荷変動の影響を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるASK変調器は、入出力側に接続される回路の負荷変動に強く、且つ、変調度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる送信システムの構成である。
【図2】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図3】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図4】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図5】実施の形態2にかかるASK変調器の構成である。
【図6】実施の形態3にかかるASK変調器の構成である。
【図7】その他の実施の形態にかかるASK変調器の構成である。
【図8】従来のASK変調器の構成である。
【図9】変調度について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態1
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1に本実施の形態1にかかるASK変調器100を含んだ、送信システム10のブロック図の一例を示す。
【0016】
送信システム10は、送信回路11と、パワーアンプ12と、アンテナ13とを有する。送信回路11は、ASK変調された送信信号をパワーアンプ12に出力する。また、送信回路11は、IC化されており、パワーアンプ12と端子T14とで接続されている。パワーアンプ12は、送信回路11から送られてきたASK変調波信号を増幅してアンテナ13に出力する。アンテナ13は、パワーアンプ12からのASK変調波信号を送信する。
【0017】
送信回路11は、ASK変調器100と、デジタル信号処理部110と、内部発振器120とを有する。なお、送信回路11は、ICでワンチップ化されているものとする。デジタル信号処理部110は、符号化部111を有する。符号化部111は、送信すべき送信データを符号化し、デジタルのベースバンド信号としてASK変調器100に出力する。符号化部111が行う符号化方式として、マンチェスター符号方式、NRZ(Non Return to Zero)方式等がある。
【0018】
内部発振器120は、PLL(Phase Locked Loop)121と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)122とを有する。内部発振器120は、所定の周波数の搬送波(キャリア)信号を生成し、ASK変調器100に出力する。
【0019】
本実施の形態1の特徴部分であるASK変調器100は、上述したキャリア信号をベースバンド信号でASK変調する。そして、そのASK変調波信号を端子TOUTからパワーアンプ12へ出力する。ASK変調器100の構成を図2に示す。図2に示すように、ASK変調器100は、ASK変調回路MODU101、MODU102と、ソースフォロア回路SFU101とを有する。
【0020】
ASK変調回路MODU101は、抵抗R101と、NMOSトランジスタQN101とを有する。抵抗R101は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA2に接続される。NMOSトランジスタQN101は、ドレインがノードA2、ソースが接地電圧端子GND、ゲートが入力端子TINに接続される。入力端子TINは、内部発振器120からのキャリア信号を入力する。また、ノードA2は、ASK変調回路MODU101の出力を構成する。更に、ノードA1には、デジタル信号処理部110からのベースバンド信号が印加されている。
【0021】
ソースフォロア回路SFU101は、NMOSトランジスタQN102と、定電流源CC101とを有する。NMOSトランジスタQN102は、ドレインが電源電圧端子VDD、ソースがノードA3、ゲートがノードA2に接続される。定電流源CC101は、ノードA3と接地電圧端子GNDとの間に接続される。ノードA2はソースフォロア回路SFU101の入力、ノードA3はソースフォロア回路SFU101の出力を構成する。
【0022】
ASK変調回路MODU102は、抵抗R102と、NMOSトランジスタQN103とを有する。抵抗R102は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA4に接続される。NMOSトランジスタQN103は、ドレインがノードA4、ソースが接地電圧端子GND、ゲートがノードA3に接続される。ノードA3は、ASK変調回路MODU102の入力を構成する。また、ノードA4は、ASK変調回路MODU102の出力を構成し、端子TOUTと接続される。
【0023】
以上のような構成により、入力端子TINと出力端子TOUT(ノードA4)間において、キャリア信号をベースバンド信号でASK変調したASK変調波信号を伝達する伝達ラインが構成されている。
【0024】
なお、ノードA1に印加されているベースバンド信号は、上述したように符号化部111から出力されたデジタル信号である。符号化部111がASK変調器100に送信する際に、アンプにより電流増幅される。このことにより、ノードA1に印加されるベースバンド信号により、ASK変調回路MODU101、MODU102を駆動することが可能である。
【0025】
以上のようなASK変調器100の動作について説明する。まず、ASK変調回路MODU101において、NMOSトランジスタQN101のゲートに内部発振器120からのキャリア信号が入力される。ノードA1に印加されているベースバンド信号がハイレベルのとき、NMOSトランジスタQN101の駆動電流が供給される。このため、ベースバンド信号がハイレベルのとき、ノードA2に増幅されたキャリア信号が出力される。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき、ノードA2にキャリア信号が出力されない。よって、ベースバンド信号に応じて、変調されたキャリア信号がノードA2に出力されることになる。ノードA2は、ASK変調回路MODU101の出力を構成することから、キャリア信号をベースバンド信号で変調したASK変調波信号が、ASK変調回路MODU101からソースフォロア回路SFU101に出力される。
【0026】
次に、ソースフォロア回路SFU101のNMOSトランジスタQN102は、ゲートにASK変調回路MODU101からのASK変調波信号を入力する。NMOSトランジスタQN102と定電流源CC101は、ソースフォロア回路を構成している。よって、ノードA3には、ASK変調回路MODU101からのASK変調波信号がそのまま出力される。ここで、一般的に知られるように、ソースフォロア回路は、前後段の回路のインピーダンスを遮断するバッファ機能を有する。
【0027】
次に、ASK変調回路MODU102において、NMOSトランジスタQN103のゲートに、ソースフォロア回路SFU101からの出力信号が入力される。ASK変調回路MODU102は、ASK変調回路MODU101と同様の構成となっており、動作も同様である。つまり、ノードA1に印加されているベースバンド信号がハイレベルのとき、NMOSトランジスタQN103の駆動電流が供給される。このため、ベースバンド信号がハイレベルのとき、ノードA4に増幅されたキャリア信号が出力される。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき、ノードA4にキャリア信号が出力されない。ノードA4は、出力端子TOUTを構成しているため、ASK変調回路MODU102で再度ASK変調された、ASK変調波信号が、ASK変調回路MODU102から出力される。
【0028】
ここで、従来のASK変調器1は、2段分のASK変調回路MODU1、MODU2を有し、出力信号であるASK変調波信号の変調度を高めている。しかし、ASK変調器1のASK変調回路MODU1、MODU2は、増幅器としても動作しており、前段、後段の負荷変動に弱い欠点を有している。このため、例えば、ASK変調器1の出力端子TOUTにパワーアンプが接続された場合、そのパワーアンプのゲインの変動による出力負荷変動に、ASK変調回路MODU2が影響を受ける。更に、ASK変調回路MODU2と接続されているASK変調回路MODU1も影響を受け、ASK変調器1の特性が悪化する問題がある。
【0029】
しかし、本実施の形態1のASK変調器100は、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上にソースフォロア回路SUF101を配置している。図1の例では、ASK変調回路MODU101、MODU102の間にソースフォロア回路SUF101が配置されている。このため、出力端子TOUTに接続されるパワーアンプ12の負荷変動によりASK変調回路MODU2が影響を受けたとしても、ASK変調回路MODU1にその影響は伝達されない。
【0030】
逆に、入力端子TINに接続される内部発振器120の負荷変動によりASK変調回路MODU1が影響を受けたとしても、ASK変調回路MODU2にその影響は伝達されない。このため、ASK変調器100は、入出力端子TIN、TOUTに接続される回路のどちらに負荷変動が発生しても、その影響を最小限に押さえることができ、安定した出力特性を得ることができる。
【0031】
また、ソースフォロア回路は、動作がオフ状態のとき、高いアイソレーション特性を有する。このため、ASK変調器100は、ソースフォロア回路SFU101の入力信号がなくなるベースバンド信号がロウレベル時に、ASK変調回路MODU101、MODU102の間のアイソレーションを高めることができる。よって、結果的に、出力信号であるASK変調波信号の変調度MIを、ソースフォロア回路SFU101がない場合に比べより高めることができる。更に、ASK変調器100は、IC化されているため、各構成要素間の配線ピッチが短い。このため、ASK変調器1のような整合回路HC1〜HC3を必要とせず、回路規模を減少させることができる。
【0032】
なお、図1では、ASK変調回路MODU101、MODU102の間にソースフォロア回路SFU101を接続している。しかし、ソースフォロア回路SFU101の配置場所は、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。例えば、出力端子TOUTに接続されるパワーアンプ12の負荷変動が問題となるならば、図3に示すASK変調器101のように、出力端子TOUTの直前に配置してもよい。また、図4に示すASK変調器102のように、入力端子TINの直後に配置してもよい。
【0033】
また、ASK変調回路MODU101、MODU102と同様のASK変調回路を更に複数接続してもよい。また、ソースフォロア回路SFU101と同様のソースフォロア回路を更に複数接続してもよい。
【0034】
発明の実施の形態2
【0035】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態2のASK変調器200は、図1の送信システム10においてASK変調器100と置き換えることが可能である。図5に本実施の形態2にかかるASK変調器200の構成を示す。図5に示すように、ASK変調器200は、ASK変調回路MODU101、MODU102と、ソースフォロア回路SFU201とを有する。なお、図5に示された符号のうち、図2と同じ符号を付した構成は、図2と同じか又は類似の構成を示している。実施の形態1のASK変調器100との相違点は、ソースフォロア回路SFU201の構成である。よって、本実施の形態2では、その相違点のみを重点的に説明する。その他の構成は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0036】
ソースフォロア回路SFU201は、NMOSトランジスタQN102と、定電流源CC101とを有する。NMOSトランジスタQN102は、ドレインがノードA1、ソースがノードA3、ゲートがノードA2に接続される。定電流源CC101は、ノードA3と接地電圧端子GNDとの間に接続される。
【0037】
このように、実施の形態1のソースフォロア回路SFU101とは異なり、ソースフォロア回路SFU201のNMOSトランジスタQN102のドレインは、電源電圧端子VDDではなく、ノードA1に接続されている。このため、NMOSトランジスタQN102は、ベースバンド信号により駆動される。よって、ベースバンド信号がロウレベルの場合、NMOSトランジスタQN102を駆動する駆動電流がなくなるため、ソースフォロア回路SFU201のオフ時のアイソレーションを高めることができる。このことにより、ソースフォロア回路SFU201の後段回路(ASK変調回路MODU102)に対してキャリア信号の漏れをより減少させることができる。よって、式(1)のBの値を、実施の形態1よりも下げることができ、結果的に変調度MIの値を増加させることができる。
【0038】
なお、実施の形態1と同様、ソースフォロア回路SFU201の配置場所も、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。また、ソースフォロア回路SFU201の接続数も複数であってよい。更に、ソースフォロア回路SFU101とSFU201を混在して使用してもよい。
【0039】
発明の実施の形態3
【0040】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態3のASK変調器300は、図1の送信システム10においてASK変調器100と置き換えることが可能である。図6に本実施の形態3にかかるASK変調器300の構成を示す。図6に示すように、ASK変調器300は、ASK変調回路MODU101、MODU302と、ソースフォロア回路SFU101とを有する。なお、図6に示された符号のうち、図2と同じ符号を付した構成は、図2と同じか又は類似の構成を示している。実施の形態1のASK変調器100との相違点は、ASK変調回路MODU3の構成である。よって、本実施の形態3では、その相違点のみを重点的に説明する。その他の構成は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0041】
ASK変調回路MODU302は、NMOSトランジスタQN103と、インダクタL301とを有する。NMOSトランジスタQN103は、ドレインがノードA4、ソースが接地電圧端子GND、ゲートがノードA3に接続される。インダクタL301は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA4に接続される。
【0042】
ASK変調回路MODU302は、実施の形態1のASK変調回路MODU102の抵抗R102がインダクタL301に置き換わった構成となっている。このことにより、実施の形態1のASK変調回路MODU101と比較して、抵抗R102分の抵抗損失が減少する利点を有する。特に、キャリア信号の周波数が高くなるほど、この利点が大きくなる。このため、式(1)のAの値を、実施の形態1よりも上げることができ、結果的に変調度MIの値を増加させることができる。なお、ASK変調回路MODU302の配置場所も、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。また、ASK変調回路MODU302の接続数も複数であってよい。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図7に示すように、MOSトランジスタの導電型を逆にした、ASK変調器400のような構成としてもよい。
【0044】
図7のASK変調器400は、実施の形態1のASK変調回路MODU101、102、ソースフォロア回路SFU101に相当する、ASK変調回路MODU401、402、ソースフォロア回路SFU401を有する。ASK変調回路MODU401は、PMOSトランジスタQP101と抵抗R101とを有する。ASK変調回路MODU402は、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102とを有する。PMOSトランジスタQP101と抵抗R101、及び、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102は、それぞれ電源電圧端子VDDとノードA1間に直列接続されている。PMOSトランジスタQP101のゲートが入力端子TINに接続されている。
【0045】
ソースフォロア回路SFU101は、定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102とを有する。定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102は、電源電圧端子VDDと接地電圧端子GND間に直列接続されている。PMOSトランジスタQP101のゲートが入力端子TINに接続されている。PMOSトランジスタQP102のゲートが、PMOSトランジスタQP101と抵抗R101の接続ノード(ノードA2)に接続される。PMOSトランジスタQP103のゲートが、定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102の接続ノード(ノードA3)に接続される。出力端子TOUTが、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102の接続ノード(ノードA4)に接続される。ノードA1には、内部発振器120からのベースバンド信号が印加される。このため、ベースバンド信号がロウレベルのときにASK変調回路MODU101、102が動作する。なお、基本的な動作は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0046】
このように、MOSトランジスタの導電型を逆にしたASK変調器400でも、実施の形態1のASK変調器100と同様の効果を得ることができる。また、本例と同様に、実施の形態2、3のMOSトランジスタの導電型を逆にしたASK変調器を構成してもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ASK変調器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のASK変調器として特許文献1の技術がある。図8に特許文献1のASK変調器1の回路構成を示す。図8に示すように、ASK変調器1は、デュアルゲートFETDGT1、DGT2と、整合回路HC1〜HC3とを有する。
【0003】
デュアルゲートFETDGT1は初段のASK変調回路MODU1、デュアルゲートFETDGT2は2段目のASK変調回路MODU2を構成している。デュアルゲートFETDGT1、DGT2は、それぞれ第1ゲート(G1)にベースバンド信号、第2ゲート(G2)に前段回路からのキャリア信号を入力する。整合回路HC1〜HC3は、それぞれ前後段の回路のインピーダンスをマッチングさせる機能を有する。これにより、後段回路による信号反射を防ぐことができる。
【0004】
ASK変調器1は、2段分のASK変調回路MODU1、MODU2を有することで、出力されるASK変調波信号の変調度を上げることができる。なお、ここで言う変調度について図9を用いて説明する。まず、図9(a)はベースバンド信号、図9(b)は、デジタル信号であるベースバンド信号によりキャリア信号をASK変調したASK変調信号である。
【0005】
ASK変調器1は、図9(a)(b)に示すように、ベースバンド信号がハイレベルのとき(期間T1、T3、T5)、キャリア信号を増幅して出力する。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき(期間T2、T4)、キャリア信号を出力しない。しかし、ここで期間T2、T4においても、トランジスタのゲート−ドレイン間の寄生容量等により、変調回路の後段へのキャリア信号の漏れが生じる場合がある。この漏れキャリア信号は、結果的に、出力端子TOUTにも出力される。
【0006】
ここで、期間T2、T4のようなキャリア信号の遮断期間での信号振幅をBとする。また、期間T1、T3、T5のようなキャリア信号の増幅期間での信号振幅をAとする。これら振幅AとBによる比を、変調度MIとする。そして、変調度MIは、以下のような式(1)で表すことができる。
MI=(A−B)/(A+B)×100[%]・・・(1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−320430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、従来のASK変調器1の出力端子TOUTには、出力されたASK変調信号を増幅するパワーアンプ等が接続される。そして、パワーアンプからの出力されたASK変調信号をアンテナが送信する。ここで、出力端子TOUTに接続するパワーアンプのゲインが変化すると、ASK変調器1から見た出力負荷も変動する。この負荷変動は、増幅器でもあるASK変調回路MODU2の特性にも影響を及ぼす。更に、ASK変調回路MODU2と接続されているASK変調回路MODU1も影響を受け、結果、ASK変調器1の特性が悪化する問題がある。この問題は、入力側に接続される回路の負荷変動に対しても同様である。よって、ASK変調器1は、入出力側に接続される回路の負荷変動に対して弱い問題点をかかえている。
【0009】
更に、RFID等の通信規格では、上述した変調度が所定の値(例えば90〜100%等)となるように規格されている。よって、変調度を高めつつ、且つ、入出力側回路の負荷変動にも強いASK変調器が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調信号を出力するASK変調器であって、前記入力端子と前記出力端子間の信号伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、更に、前記信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有するASK変調器である。
【0011】
本発明にかかるASK変調器は、信号伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有する。この信号伝達ライン上のソースフォロア回路は、バッファ回路として機能し、入出力側に接続される回路の負荷変動の影響を吸収することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるASK変調器は、入出力側に接続される回路の負荷変動に強く、且つ、変調度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態1にかかる送信システムの構成である。
【図2】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図3】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図4】実施の形態1にかかるASK変調器の構成である。
【図5】実施の形態2にかかるASK変調器の構成である。
【図6】実施の形態3にかかるASK変調器の構成である。
【図7】その他の実施の形態にかかるASK変調器の構成である。
【図8】従来のASK変調器の構成である。
【図9】変調度について説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態1
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態1について、図面を参照しながら詳細に説明する。まず、図1に本実施の形態1にかかるASK変調器100を含んだ、送信システム10のブロック図の一例を示す。
【0016】
送信システム10は、送信回路11と、パワーアンプ12と、アンテナ13とを有する。送信回路11は、ASK変調された送信信号をパワーアンプ12に出力する。また、送信回路11は、IC化されており、パワーアンプ12と端子T14とで接続されている。パワーアンプ12は、送信回路11から送られてきたASK変調波信号を増幅してアンテナ13に出力する。アンテナ13は、パワーアンプ12からのASK変調波信号を送信する。
【0017】
送信回路11は、ASK変調器100と、デジタル信号処理部110と、内部発振器120とを有する。なお、送信回路11は、ICでワンチップ化されているものとする。デジタル信号処理部110は、符号化部111を有する。符号化部111は、送信すべき送信データを符号化し、デジタルのベースバンド信号としてASK変調器100に出力する。符号化部111が行う符号化方式として、マンチェスター符号方式、NRZ(Non Return to Zero)方式等がある。
【0018】
内部発振器120は、PLL(Phase Locked Loop)121と、VCO(Voltage Controlled Oscillator)122とを有する。内部発振器120は、所定の周波数の搬送波(キャリア)信号を生成し、ASK変調器100に出力する。
【0019】
本実施の形態1の特徴部分であるASK変調器100は、上述したキャリア信号をベースバンド信号でASK変調する。そして、そのASK変調波信号を端子TOUTからパワーアンプ12へ出力する。ASK変調器100の構成を図2に示す。図2に示すように、ASK変調器100は、ASK変調回路MODU101、MODU102と、ソースフォロア回路SFU101とを有する。
【0020】
ASK変調回路MODU101は、抵抗R101と、NMOSトランジスタQN101とを有する。抵抗R101は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA2に接続される。NMOSトランジスタQN101は、ドレインがノードA2、ソースが接地電圧端子GND、ゲートが入力端子TINに接続される。入力端子TINは、内部発振器120からのキャリア信号を入力する。また、ノードA2は、ASK変調回路MODU101の出力を構成する。更に、ノードA1には、デジタル信号処理部110からのベースバンド信号が印加されている。
【0021】
ソースフォロア回路SFU101は、NMOSトランジスタQN102と、定電流源CC101とを有する。NMOSトランジスタQN102は、ドレインが電源電圧端子VDD、ソースがノードA3、ゲートがノードA2に接続される。定電流源CC101は、ノードA3と接地電圧端子GNDとの間に接続される。ノードA2はソースフォロア回路SFU101の入力、ノードA3はソースフォロア回路SFU101の出力を構成する。
【0022】
ASK変調回路MODU102は、抵抗R102と、NMOSトランジスタQN103とを有する。抵抗R102は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA4に接続される。NMOSトランジスタQN103は、ドレインがノードA4、ソースが接地電圧端子GND、ゲートがノードA3に接続される。ノードA3は、ASK変調回路MODU102の入力を構成する。また、ノードA4は、ASK変調回路MODU102の出力を構成し、端子TOUTと接続される。
【0023】
以上のような構成により、入力端子TINと出力端子TOUT(ノードA4)間において、キャリア信号をベースバンド信号でASK変調したASK変調波信号を伝達する伝達ラインが構成されている。
【0024】
なお、ノードA1に印加されているベースバンド信号は、上述したように符号化部111から出力されたデジタル信号である。符号化部111がASK変調器100に送信する際に、アンプにより電流増幅される。このことにより、ノードA1に印加されるベースバンド信号により、ASK変調回路MODU101、MODU102を駆動することが可能である。
【0025】
以上のようなASK変調器100の動作について説明する。まず、ASK変調回路MODU101において、NMOSトランジスタQN101のゲートに内部発振器120からのキャリア信号が入力される。ノードA1に印加されているベースバンド信号がハイレベルのとき、NMOSトランジスタQN101の駆動電流が供給される。このため、ベースバンド信号がハイレベルのとき、ノードA2に増幅されたキャリア信号が出力される。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき、ノードA2にキャリア信号が出力されない。よって、ベースバンド信号に応じて、変調されたキャリア信号がノードA2に出力されることになる。ノードA2は、ASK変調回路MODU101の出力を構成することから、キャリア信号をベースバンド信号で変調したASK変調波信号が、ASK変調回路MODU101からソースフォロア回路SFU101に出力される。
【0026】
次に、ソースフォロア回路SFU101のNMOSトランジスタQN102は、ゲートにASK変調回路MODU101からのASK変調波信号を入力する。NMOSトランジスタQN102と定電流源CC101は、ソースフォロア回路を構成している。よって、ノードA3には、ASK変調回路MODU101からのASK変調波信号がそのまま出力される。ここで、一般的に知られるように、ソースフォロア回路は、前後段の回路のインピーダンスを遮断するバッファ機能を有する。
【0027】
次に、ASK変調回路MODU102において、NMOSトランジスタQN103のゲートに、ソースフォロア回路SFU101からの出力信号が入力される。ASK変調回路MODU102は、ASK変調回路MODU101と同様の構成となっており、動作も同様である。つまり、ノードA1に印加されているベースバンド信号がハイレベルのとき、NMOSトランジスタQN103の駆動電流が供給される。このため、ベースバンド信号がハイレベルのとき、ノードA4に増幅されたキャリア信号が出力される。逆に、ベースバンド信号がロウレベルのとき、ノードA4にキャリア信号が出力されない。ノードA4は、出力端子TOUTを構成しているため、ASK変調回路MODU102で再度ASK変調された、ASK変調波信号が、ASK変調回路MODU102から出力される。
【0028】
ここで、従来のASK変調器1は、2段分のASK変調回路MODU1、MODU2を有し、出力信号であるASK変調波信号の変調度を高めている。しかし、ASK変調器1のASK変調回路MODU1、MODU2は、増幅器としても動作しており、前段、後段の負荷変動に弱い欠点を有している。このため、例えば、ASK変調器1の出力端子TOUTにパワーアンプが接続された場合、そのパワーアンプのゲインの変動による出力負荷変動に、ASK変調回路MODU2が影響を受ける。更に、ASK変調回路MODU2と接続されているASK変調回路MODU1も影響を受け、ASK変調器1の特性が悪化する問題がある。
【0029】
しかし、本実施の形態1のASK変調器100は、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上にソースフォロア回路SUF101を配置している。図1の例では、ASK変調回路MODU101、MODU102の間にソースフォロア回路SUF101が配置されている。このため、出力端子TOUTに接続されるパワーアンプ12の負荷変動によりASK変調回路MODU2が影響を受けたとしても、ASK変調回路MODU1にその影響は伝達されない。
【0030】
逆に、入力端子TINに接続される内部発振器120の負荷変動によりASK変調回路MODU1が影響を受けたとしても、ASK変調回路MODU2にその影響は伝達されない。このため、ASK変調器100は、入出力端子TIN、TOUTに接続される回路のどちらに負荷変動が発生しても、その影響を最小限に押さえることができ、安定した出力特性を得ることができる。
【0031】
また、ソースフォロア回路は、動作がオフ状態のとき、高いアイソレーション特性を有する。このため、ASK変調器100は、ソースフォロア回路SFU101の入力信号がなくなるベースバンド信号がロウレベル時に、ASK変調回路MODU101、MODU102の間のアイソレーションを高めることができる。よって、結果的に、出力信号であるASK変調波信号の変調度MIを、ソースフォロア回路SFU101がない場合に比べより高めることができる。更に、ASK変調器100は、IC化されているため、各構成要素間の配線ピッチが短い。このため、ASK変調器1のような整合回路HC1〜HC3を必要とせず、回路規模を減少させることができる。
【0032】
なお、図1では、ASK変調回路MODU101、MODU102の間にソースフォロア回路SFU101を接続している。しかし、ソースフォロア回路SFU101の配置場所は、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。例えば、出力端子TOUTに接続されるパワーアンプ12の負荷変動が問題となるならば、図3に示すASK変調器101のように、出力端子TOUTの直前に配置してもよい。また、図4に示すASK変調器102のように、入力端子TINの直後に配置してもよい。
【0033】
また、ASK変調回路MODU101、MODU102と同様のASK変調回路を更に複数接続してもよい。また、ソースフォロア回路SFU101と同様のソースフォロア回路を更に複数接続してもよい。
【0034】
発明の実施の形態2
【0035】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態2のASK変調器200は、図1の送信システム10においてASK変調器100と置き換えることが可能である。図5に本実施の形態2にかかるASK変調器200の構成を示す。図5に示すように、ASK変調器200は、ASK変調回路MODU101、MODU102と、ソースフォロア回路SFU201とを有する。なお、図5に示された符号のうち、図2と同じ符号を付した構成は、図2と同じか又は類似の構成を示している。実施の形態1のASK変調器100との相違点は、ソースフォロア回路SFU201の構成である。よって、本実施の形態2では、その相違点のみを重点的に説明する。その他の構成は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0036】
ソースフォロア回路SFU201は、NMOSトランジスタQN102と、定電流源CC101とを有する。NMOSトランジスタQN102は、ドレインがノードA1、ソースがノードA3、ゲートがノードA2に接続される。定電流源CC101は、ノードA3と接地電圧端子GNDとの間に接続される。
【0037】
このように、実施の形態1のソースフォロア回路SFU101とは異なり、ソースフォロア回路SFU201のNMOSトランジスタQN102のドレインは、電源電圧端子VDDではなく、ノードA1に接続されている。このため、NMOSトランジスタQN102は、ベースバンド信号により駆動される。よって、ベースバンド信号がロウレベルの場合、NMOSトランジスタQN102を駆動する駆動電流がなくなるため、ソースフォロア回路SFU201のオフ時のアイソレーションを高めることができる。このことにより、ソースフォロア回路SFU201の後段回路(ASK変調回路MODU102)に対してキャリア信号の漏れをより減少させることができる。よって、式(1)のBの値を、実施の形態1よりも下げることができ、結果的に変調度MIの値を増加させることができる。
【0038】
なお、実施の形態1と同様、ソースフォロア回路SFU201の配置場所も、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。また、ソースフォロア回路SFU201の接続数も複数であってよい。更に、ソースフォロア回路SFU101とSFU201を混在して使用してもよい。
【0039】
発明の実施の形態3
【0040】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。本実施の形態3のASK変調器300は、図1の送信システム10においてASK変調器100と置き換えることが可能である。図6に本実施の形態3にかかるASK変調器300の構成を示す。図6に示すように、ASK変調器300は、ASK変調回路MODU101、MODU302と、ソースフォロア回路SFU101とを有する。なお、図6に示された符号のうち、図2と同じ符号を付した構成は、図2と同じか又は類似の構成を示している。実施の形態1のASK変調器100との相違点は、ASK変調回路MODU3の構成である。よって、本実施の形態3では、その相違点のみを重点的に説明する。その他の構成は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0041】
ASK変調回路MODU302は、NMOSトランジスタQN103と、インダクタL301とを有する。NMOSトランジスタQN103は、ドレインがノードA4、ソースが接地電圧端子GND、ゲートがノードA3に接続される。インダクタL301は、一方の端子がノードA1、他方の端子がノードA4に接続される。
【0042】
ASK変調回路MODU302は、実施の形態1のASK変調回路MODU102の抵抗R102がインダクタL301に置き換わった構成となっている。このことにより、実施の形態1のASK変調回路MODU101と比較して、抵抗R102分の抵抗損失が減少する利点を有する。特に、キャリア信号の周波数が高くなるほど、この利点が大きくなる。このため、式(1)のAの値を、実施の形態1よりも上げることができ、結果的に変調度MIの値を増加させることができる。なお、ASK変調回路MODU302の配置場所も、入力端子TINと出力端子TOUT間のASK変調波信号を伝達する伝達ライン上であれば特定の箇所に固定されなくてよい。また、ASK変調回路MODU302の接続数も複数であってよい。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、図7に示すように、MOSトランジスタの導電型を逆にした、ASK変調器400のような構成としてもよい。
【0044】
図7のASK変調器400は、実施の形態1のASK変調回路MODU101、102、ソースフォロア回路SFU101に相当する、ASK変調回路MODU401、402、ソースフォロア回路SFU401を有する。ASK変調回路MODU401は、PMOSトランジスタQP101と抵抗R101とを有する。ASK変調回路MODU402は、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102とを有する。PMOSトランジスタQP101と抵抗R101、及び、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102は、それぞれ電源電圧端子VDDとノードA1間に直列接続されている。PMOSトランジスタQP101のゲートが入力端子TINに接続されている。
【0045】
ソースフォロア回路SFU101は、定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102とを有する。定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102は、電源電圧端子VDDと接地電圧端子GND間に直列接続されている。PMOSトランジスタQP101のゲートが入力端子TINに接続されている。PMOSトランジスタQP102のゲートが、PMOSトランジスタQP101と抵抗R101の接続ノード(ノードA2)に接続される。PMOSトランジスタQP103のゲートが、定電流源CC101とPMOSトランジスタQP102の接続ノード(ノードA3)に接続される。出力端子TOUTが、PMOSトランジスタQP103と抵抗R102の接続ノード(ノードA4)に接続される。ノードA1には、内部発振器120からのベースバンド信号が印加される。このため、ベースバンド信号がロウレベルのときにASK変調回路MODU101、102が動作する。なお、基本的な動作は、実施の形態1と同様なため、説明は省略する。
【0046】
このように、MOSトランジスタの導電型を逆にしたASK変調器400でも、実施の形態1のASK変調器100と同様の効果を得ることができる。また、本例と同様に、実施の形態2、3のMOSトランジスタの導電型を逆にしたASK変調器を構成してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調波信号を出力するASK変調器であって、
前記入力端子と前記出力端子間において信号を伝達する伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、
更に、前記伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有する
ASK変調器。
【請求項2】
前記ASK変調回路の少なくとも1つは、前記送信デジタルデータが印加される第1のノードと第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第1のトランジスタと第1の抵抗とを有し、
前記第1のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第1のトランジスタと前記第1の抵抗との接続ノードが当該ASK変調回路の出力を構成する
請求項1に記載のASK変調器。
【請求項3】
前記ASK変調回路の少なくとも1つは、前記送信デジタルデータが印加される第1のノードと第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第1のトランジスタと第1のインダクタを有し、
前記第1のトランジスタは、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第1のトランジスタと前記第1のインダクタとの接続ノードが当該ASK変調回路の出力を構成する
請求項1または請求項2に記載のASK変調器。
【請求項4】
前記ソースフォロア回路の少なくとも1つは、第2の電源端子と前記第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第2のトランジスタと第1の電流源を有し、
前記第2のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第2のトランジスタと前記第1の電流源との接続ノードが当該ソースフォロア回路の出力を構成する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のASK変調器。
【請求項5】
前記ソースフォロア回路の少なくとも1つは、前記第1のノードと前記第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第2のトランジスタと第1の電流源を有し、
前記第2のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第2のトランジスタと前記第1の電流源との接続ノードが当該ソースフォロア回路の出力を構成する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のASK変調器。
【請求項6】
当該ASK変調器が、ワンチップ集積回路として構成される
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のASK変調器。
【請求項1】
入力端子に入力する搬送波信号を、送信すべき送信データに応じた送信デジタルデータ信号でASK変調し、出力端子にASK変調波信号を出力するASK変調器であって、
前記入力端子と前記出力端子間において信号を伝達する伝達ライン上に、入力信号を前記送信デジタルデータでASK変調して出力するASK変調回路を、少なくとも2つ以上有し、
更に、前記伝達ライン上に、少なくとも1つ以上のソースフォロア回路を有する
ASK変調器。
【請求項2】
前記ASK変調回路の少なくとも1つは、前記送信デジタルデータが印加される第1のノードと第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第1のトランジスタと第1の抵抗とを有し、
前記第1のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第1のトランジスタと前記第1の抵抗との接続ノードが当該ASK変調回路の出力を構成する
請求項1に記載のASK変調器。
【請求項3】
前記ASK変調回路の少なくとも1つは、前記送信デジタルデータが印加される第1のノードと第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第1のトランジスタと第1のインダクタを有し、
前記第1のトランジスタは、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第1のトランジスタと前記第1のインダクタとの接続ノードが当該ASK変調回路の出力を構成する
請求項1または請求項2に記載のASK変調器。
【請求項4】
前記ソースフォロア回路の少なくとも1つは、第2の電源端子と前記第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第2のトランジスタと第1の電流源を有し、
前記第2のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第2のトランジスタと前記第1の電流源との接続ノードが当該ソースフォロア回路の出力を構成する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のASK変調器。
【請求項5】
前記ソースフォロア回路の少なくとも1つは、前記第1のノードと前記第1の電源電圧端子との間に直列接続された、第2のトランジスタと第1の電流源を有し、
前記第2のトランジスタが、制御端子に前段の信号を入力し、
前記第2のトランジスタと前記第1の電流源との接続ノードが当該ソースフォロア回路の出力を構成する
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のASK変調器。
【請求項6】
当該ASK変調器が、ワンチップ集積回路として構成される
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のASK変調器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2010−193258(P2010−193258A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36434(P2009−36434)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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