ActRIIBから誘導されたバリアントおよびその使用
ある態様では、本発明は、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/または神経組織などの組織の成長の調整(促進または阻害)のための組成物および方法を提供する。本発明はまた、ActRIIBタンパク質および/またはActRIIBリガンドの活性を調整する化合物をスクリーニングする方法を提供する。本要約書中に提供した組成物および方法は、ActRIIBタンパク質および/またはActRIIBリガンドの異常な活性に関連する疾患の治療に有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年2月2日に出願された米国仮出願第60/899,304号、2007年5月1日に出願された米国仮出願第60/927,088号および2007年5月25日に出願された米国仮出願第60/931,880号の利益を主張する。上記で言及された出願の全ての教示は、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)スーパーファミリーは、共通の配列要素および構造モチーフを有する種々の成長因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および無脊椎動物において多種多様な細胞型に生物学的影響を及ぼすことが公知である。スーパーファミリーのメンバーは、パターン形成および組織特異化における胚発生中で重要な機能を果たし、種々の分化過程(脂質生成、筋形成、軟骨形成、心臓発生、血液生成、神経発生、および上皮細胞分化が含まれる)に影響を及ぼし得る。このファミリーは2つの一般的な種類(BMP/GDF類およびTGF−β/アクチビン/BMP10類)に分類され、このメンバーは、多様で、しばしば、補完性の効果がある。TGF−βファミリーメンバーの活性の操作により、しばしば、生物において有意に生理学的変化を起こすことが可能である。例えば、ピエモンテ牛およびビルギアンブルー牛は、筋肉量が顕著に増加するGDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子の機能喪失型変異を有する。非特許文献1。さらに、ヒトでは、GDF8の不活性対立遺伝子は、筋肉量の増加、報告によれば、異常な強さに関連する。非特許文献2。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Grobetら、Nat.Genet.1997、17(1):71−4
【非特許文献2】Schuelkeら、N Engl J Med 2004、350:2682−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筋肉、骨、軟骨、および他の組織を、適切なTGF−βファミリーメンバーによって媒介されるシグナル伝達の刺激または拮抗によって変化させることができる。したがって、TGF−βシグナル伝達の強力なレギュレーターとして機能する作用薬が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
ある態様では、本開示は、ActRIIBポリペプチド、特に、ActRIIBバリアント(アミノ末端およびカルボキシ末端の短縮および配列の変化を含む)を提供する。かかるActRIIBポリペプチドを、種々の傷害または容態、特に筋肉および神経筋の障害(例えば、筋ジストロフィ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および筋萎縮)、脂肪組織障害(例えば、肥満)、代謝障害(例えば、2型糖尿病)、神経変性障害、ならびに高齢に関連する筋肉の消耗(サルコペニア)、前立腺癌療法、ならびに癌悪液質の治療のために使用することができる。特定の実施形態では、ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)は、ActRIIB活性に関連する任意の過程でActRIIB受容体を拮抗することができる。任意選択的に、本発明のActRIIBポリペプチドを、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンド(GDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)、GDF11、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、およびBMP7(OP−1とも呼ばれる)など)を優先的に拮抗するようにデザインすることができる。したがって、さらなる障害の治療で有用であり得る。ActRIIBポリペプチドの例には、天然に存在するActRIIBポリペプチドおよびその機能的バリアントが含まれる。開示はまた、GDF11への結合を保持しながらアクチビン親和性を著しく減少させたActRIIB由来のバリアント組を提供する。これらのバリアントは、他の組織に及ぼす影響を減少させながら筋肉に望ましい影響を及ぼす。
【0006】
ある態様では、本開示は、GDF8、GDF11、アクチビン、BMP7、またはNodalなどのActRIIBリガンドに結合する可溶性ActRIIBポリペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的調製物を提供する。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、10マイクロモル未満または1マイクロモル未満、100ナノモル、10ナノモル、または1ナノモルのKdでActRIIBリガンドに結合する。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBシグナル伝達(ActRIIBリガンドによって誘発される細胞内シグナル伝達事象など)を阻害する。かかる調製物で用いる可溶性ActRIIBポリペプチドは、本明細暑中に開示のいずれか(配列番号1、2、5、6、および12から選択されるアミノ酸配列または配列番号1、2、5、6、および12から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドなど)であり得る。可溶性ActRIIBポリペプチドには、天然のActRIIBポリペプチドの機能的フラグメント(配列番号1、2、5、6、および12から選択される配列の少なくとも10、20、または30個のアミノ酸またはC末端の1、2、3、4、5、もしくは10〜15個のアミノ酸を欠き、且つN末端の1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸を欠く配列番号1の配列を含むものなど)が含まれ得る。好ましいポリペプチドは、配列番号1と比較して、N末端に2個と5個との間のアミノ酸およびC末端に3個以下のアミノ酸が短縮しているであろう。別の好ましいポリペプチドは、配列番号12として示すポリペプチドである。可溶性ActRIIBポリペプチドは、天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較して、アミノ酸配列中(例えば、リガンド結合ドメイン中)に1つまたは複数の変化を含むことができる。アミノ酸配列の変化により、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または他の真核生物細胞中で産生した場合にポリペプチドのグリコシル化を変化することができるか、天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク質切断を変えることができる。可溶性ActRIIBポリペプチドは、1つのドメインとしてActRIIBポリペプチド(例えば、ActRIIBのリガンド結合ドメインまたはそのバリアント)および望ましい性質(改善された薬物動態学、より容易な精製、特定組織へのターゲティングなど)をもたらす1つまたは複数のさらなるドメインを有する融合タンパク質であり得る。例えば、融合タンパク質のドメインは、1つまたは複数のin vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、組織の局在化または分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化、および/または精製を増強することができる。可溶性ActRIIB融合タンパク質は、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または変異体)または血清アルブミンを含むことができる。ある実施形態では、ActRIIB−Fc融合物は、Fcドメインと細胞外ActRIIBドメインとの間に存在する相対的に構造化されていないリンカーを含む。この非構造化リンカーは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端(「テール」)のおよそ15個のアミノ酸非構造化領域に応答することができるか、相対的に二次構造を含まない5と15、20、30、50、またはそれを超えるアミノ酸との間の人工的配列であり得る。リンカーは、グリシン残基およびプロリン残基が豊富であり得、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列(例えば、TG4またはSG4反復)を含むことができる。融合タンパク質は、精製サブシーケンス(エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合物など)を含むことができる。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に抱合したアミノ酸、および有機誘導体化剤に抱合したアミノ酸から選択される1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む。薬学的調製物はまた、ActRIIB関連障害を治療するために使用される化合物などの1つまたは複数のさらなる化合物を含むことができる。好ましくは、薬学的調製物は、実質的に発熱物質を含まない。一般に、ActRIIBタンパク質を、ActRIIBタンパク質の適切に天然のグリコシル化を媒介する哺乳動物細胞株中で発現させて、患者の好ましくない免疫応答の可能性を減少させることが好ましい。ヒト細胞株およびCHO細胞株が首尾よく使用されており、他の一般的な哺乳動物発現ベクターが有用であると予想される。
【0007】
ある態様では、ヒト組織の成長の促進またはヒト組織喪失の減少もしくは防止で用いる本明細書中に記載され、ラベリングされた薬学的調製物を含むパッケージ化された医薬品を提供する。組織の例には、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および神経組織が含まれる。
【0008】
ある態様では、本開示は、変化したリガンド結合(例えば、GDF8結合)ドメインを含む可溶性ActRIIBポリペプチドを提供する。かかるActRIIB受容体の変化したリガンド結合ドメインは、アミノ酸残基に1つまたは複数の変異(ヒトActRIIBのE37、E39、R40、K55、R56、Y60、A64、K74、W78、L79、D80、F82、およびF101など)(ナンバリングは配列番号2に対する)を含む。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、ActRIIB受容体の野生型リガンド結合ドメインと比較してGDF8/GDF11などのリガンドに対する選択性を増加させることができた。例証するために、これらの変異によって、アクチビンを超えるGDF11(したがって、おそらくGDF8)の変化したリガンド結合ドメインの選択性を増加させることを本明細書中に証明する(ActRIIBに関して示す):K74Y、K74F、K74I、およびD80I。以下の変異は逆効果であり、GDF11に対するアクチビンの結合比が増加する:D54A、K55A、L79A、およびF82A。全ての(GDF11およびアクチビン)結合活性を、「テール」領域(おそらく、非構造化リンカー領域)の包含によって増加させることができ、K74A変異の使用によっても増加させることができる。リガンド結合親和性を全体的に減少させる他の変異には、以下が含まれる:R40A、E37A、R56A、W78A、D80K、D80R、D80A、D80G、D80F、D80M、およびD80N。変異を組み合わせて、所望の効果を達成することができる。例えば、GDF11:アクチビン結合比に影響を及ぼす多数の変異は、リガンド結合に全体として負の影響を及ぼし、したがって、これらを、一般にリガンド結合を増加させる変異と組み合わせてリガンド選択性を有する改良された結合タンパク質を産生することができる。
【0009】
任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、野生型リガンド結合ドメインの比と比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍のアクチビン結合のKdのGDF8結合のKdに対する比を有する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、野生型リガンド結合ドメインと比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍のアクチビン阻害についてのIC50のGDF8/GDF11阻害についてのIC50に対する比を有する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害についてのIC50の少なくとも1/2、1/5、1/10、またはさらに1/100のIC50でGDF8/GDF11を阻害する。これらの可溶性ActRIIBポリペプチドは、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または変異体のいずれか)を含む融合タンパク質であり得る。ある場合において、本可溶性ActRIIBポリペプチドは、GDF8/GDF11のアンタゴニスト(インヒビター)である。
【0010】
ActRIIBの他のバリアント(以下など)を意図する。ActRIIB由来の部分が配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応し、ActRIIB融合タンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記のバリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号4のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。驚いたことに、配列番号2の22〜25から始まる構築物の活性レベルが、ヒトActRIIBの全細胞外ドメインを有するタンパク質より高い。上記バリアントActRIIB融合タンパク質のいずれかを、ホモ二量体として産生することができる。上記ActRIIB融合タンパク質のいずれかは、IgG重鎖由来の定常領域(Fcドメインなど)を含む異種部分を有することができる。
【0011】
他のバリアントActRIIBタンパク質(以下など)を意図する。配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、配列番号2の64に対応する位置がRまたはKであり、バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケットの外側に位置する、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。上記配列番号2に関する少なくとも1つの変化がK74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質がActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、上記バリアントActRIIBタンパク質。
【0012】
他のバリアントActRIIBタンパク質(以下など)を意図する。タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むActRIIBタンパク質。タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がK74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、上記バリアントActRIIBタンパク質。上記バリアントActRIIB融合タンパク質のいずれかを、ホモ二量体として産生することができる。上記ActRIIB融合タンパク質のいずれかは、IgG重鎖由来の定常領域(Fcドメインなど)を含む異種部分を有することができる。
【0013】
ある態様では、本開示は、完全なActRIIBポリペプチドをコードしない可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸を提供する。単離ポリヌクレオチドは、可溶性ActRIIBポリペプチドのコード配列(上記のものなど)を含むことができる。例えば、単離核酸は、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメイン内に存在するか、細胞外ドメインと膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインとの間に存在する終止コドンを別にすれば、ActRIIBの細胞外ドメイン(例えば、リガンド結合ドメイン)をコードする配列およびActRIIBの膜貫通ドメインの一部もしくは全部および/またはActRIIB の細胞質ドメインをコードするであろう配列を含むことができる。例えば、単離ポリヌクレオチドは、全長ActRIIBポリヌクレオチド配列(配列番号4など)または部分短縮バージョンを含むことができ、この単離ポリヌクレオチドは、3’末端から少なくとも600ヌクレオチド前に転写終結コドンをさらに含むか、そうでなければ、任意選択的に全長ActRIIBの短縮部分に融合した細胞外ドメインに対してポリヌクレオチドの翻訳が起こるように存在する。本明細書中に開示の核酸を、発現用プロモーターに作動可能に連結することができ、本開示は、かかる組換えポリヌクレオチドで形質転換した細胞を提供する。好ましくは、細胞は、CHO細胞などの哺乳動物細胞である。
【0014】
ある態様では、本開示は、可溶性ActRIIBポリペプチドの作製方法を提供する。かかる方法は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの適切な細胞中での本明細書中に開示の任意の核酸(例えば、配列番号3)の発現を含むことができる。かかる方法は、a)可溶性ActRIIBポリペプチド発現に適切な条件下で細胞を培養する工程であって、細胞が可溶性ActRIIB発現構築物で形質転換される、工程;およびb)このようにして発現した可溶性ActRIIBポリペプチドを回収する工程を含むことができる。可溶性ActRIIBポリペプチドを、細胞培養物からタンパク質を得るための任意の周知の方法を使用して、粗画分、部分精製画分、または高度に精製された画分として回収することができる。
【0015】
ある態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体の治療方法で使用することができる。かかる障害には、筋萎縮、筋ジストロフィ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および筋消耗障害(例えば、悪液質、食欲不振、DMD症候群、BMD症候群、AIDS消耗症候群、筋ジストロフィ、神経筋疾患、運動ニューロン疾患、神経筋接合部疾患、および炎症性筋障害)が含まれる。本方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0016】
ある態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、体脂肪含有量を減少するか体脂肪含有量の増加速度を低下する方法、ならびに望ましくない体重増加に関連する障害(肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患など)を治療するための方法で使用することができる。これらの方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0017】
ある種の特定の態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、GDF8の異常な活性に関連する障害の治療方法で使用することができる。かかる障害には、代謝障害(2型糖尿病、耐糖能異常、代謝症候群(例えば、X症候群)、および(例えば、熱傷または窒素不均衡)によって誘導されるインスリン抵抗性など);脂肪組織障害(例えば、肥満);筋ジストロフィ(ディシュンヌ型筋ジストロフィが含まれる);筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋萎縮;臓器萎縮症;脆弱;手根管症候群;鬱血性閉塞性肺疾患;サルコペニア、悪液質、および他の筋消耗症候群;骨粗鬆症;糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症;骨減少症;変形性関節症;骨粗鬆症関連骨折;慢性糖質コルチコイド療法に起因する骨量低下、早発性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性副甲状腺機能亢進症、栄養失調、ならびに神経性食欲不振が含まれる。本方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0018】
ある態様では、本開示は、骨、軟骨、筋肉、および脂肪などの組織の成長を刺激する薬剤の同定方法を提供する。本方法は、a)可溶性ActRIIBポリペプチドと競合してActRIIBポリペプチドのリガンド結合ドメインに結合する試験薬を同定する工程、およびb)組織成長に及ぼす薬剤の影響を評価する工程を含む。
【0019】
ある態様では、開示は、細胞中のActRIIBポリペプチドまたはActRIIBリガンド(例えば、GDF8、GDF11、アクチビン、BMP7、およびNodal)の活性を拮抗する方法を提供する。本方法は、細胞を可溶性ActRIIBポリペプチドと接触させる工程を含む。任意選択的に、ActRIIBポリペプチドまたはActRIIBリガンドの活性を、ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体によって媒介されるシグナル伝達によってモニタリングする(例えば、細胞増殖のモニタリングによる)。本方法の細胞には、骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞、脂肪細胞、および筋肉細胞が含まれる。
【0020】
ある態様では、本開示は、本明細書中に記載の障害または容態の治療薬の作製のための可溶性ActRIIBポリペプチドの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ヒトActRIIB可溶性(細胞外)ポリペプチド配列(配列番号1)を示す。C末端「テール」に下線を引いている。
【図2】図2は、ヒトActRIIB前駆体タンパク質配列(配列番号2)を示す。シグナルペプチドに下線を引いている。細胞外ドメインを太字で示している(配列番号1ともいう)。潜在的N結合グリコシル化部位を囲んでいる。
【図3】図3は、配列番号3と示したヒトActRIIB可溶性(細胞外)ポリペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図4】図4は、配列番号4と示したヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図5】図5は、ビヒクル(菱形)、ActRIIB(R64 20−134)−mFc(四角)、または長半減期形態のActRIIB(R64A24N 20−134)(三角)で処置したマウスの体重増加を示す。
【図6】図6は、研究終了時の切開した筋肉の重量を示す。ビヒクル:各群の左のカラム(薄い陰影);ActRIIB(R64 20−134)−mFc:各群の中央のカラム(中間の陰影);ActRIIB(R64A24N 20−134):各群の右側のカラム(濃い陰影)。
【図7】図7は、PBSおよびマウスActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc(または「K74A+15テール」)で処置したSODマウスの握力測定(それぞれ白色および黒色のバー)を示す。図は、疾患の初期段階(117日目)および後期段階(149日目)におけるPBS群と比較したマウスActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc群の強度の増加を示す。*P<0.05、両側スチューデントt検定。
【図8】図8は、PBSおよびActRIIB(R64 K74A 20−134)−mFcで処置したSODマウスのカプラン・マイヤー生存比較(それぞれ、白色線および黒色線)を示す。ActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc処置コホートは、PBS群と比較して、平均生存日数が増加した。
【図9】図9は、PBSおよびActRIIB(R64 20−134)−mFc HFDを与えたマウスの体組成の比率(それぞれ、白色および黒色のバー)を示す。マウスActRIIB(R64 20−134)−Fcタンパク質での処置により、脂肪量が有意に低下し、除脂肪組織が増加する。
【図10】図10は、高齢マウス(A)またはActRIIB(R64 20−134)−mFcで処置した高齢マウス(B)由来の大腿筋の断面(4倍)を示す。
【図11】図11は、CT26結腸癌細胞を使用した癌悪液質実験におけるマウスの平均体重を示す。菱形:非腫瘍化生理食塩水処置マウス;四角:非腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス;三角:腫瘍化生理食塩水処置マウス;「x」:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(10mg/kg);「*」:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(30mg/kg);円:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(10mg/kg)(予防方法のために腫瘍移植時に開始した処置)。
【図12】図12は、ボックスで示したリガンドに直接接触するための複数のActRIIBおよびActRIIA結晶構造(リガンド結合ポケット)の合成解析に基づいた本明細書中で予想される残基とのヒトActRIIAおよびActRIIBのアラインメントを示す。
【図13】図13は、種々の脊椎動物ActRIIBタンパク質およびヒトActRIIAのマルチプル配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
1.概説
ある態様では、本発明は、ActRIIBポリペプチドに関する。本明細書中で使用される場合、用語「ActRIIB」は、任意の種由来のアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質およびActRIIB関連タンパク質のファミリーに関する。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、全てがシステインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。ヒトActRIIA前駆体タンパク質(比較のために提供する)およびActRIIB前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ図1(配列番号1)および図2(配列番号2)に示す。
【0023】
用語「ActRIIBポリペプチド」を、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドおよび有用な活性を保持するその任意のバリアント(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物の形態が含まれる)を含むポリペプチドをいうために使用する。例えば、ActRIIBポリペプチドには、ActRIIBポリペプチド配列と少なくとも約80%同一、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、またはそれを超えて同一の配列を有する任意の公知のActRIIBの配列に由来するポリペプチドが含まれる。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、可溶性ActRIIBポリペプチドに関する。本明細書中で使用される場合、用語「可溶性ActRIIBポリペプチド」は、一般に、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチドをいう。本明細書中で使用される場合、用語「可溶性ActRIIBポリペプチド」には、任意の天然に存在するActRIIBタンパク質の細胞外ドメインおよび有用な活性を保持するその任意のバリアント(変異体、フラグメント、およびペプチド模倣物の形態が含まれる)が含まれる。例えば、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインは、リガンドに結合し、一般に可溶性である。可溶性ActRIIBポリペプチドの例には、図1(配列番号1)に示したActRIIB可溶性ポリペプチドが含まれる。可溶性ActRIIBポリペプチドの他の例は、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインに加えてシグナル配列を含む(実施例1を参照のこと)。シグナル配列は、ActRIIBの未変性のシグナル配列または別のタンパク質由来のシグナル配列(組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA)シグナル配列またはミツバチメラチン(HBM)シグナル配列など)であり得る。
【0025】
TGF−βシグナルは、I型およびII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体によって媒介されるシグナルである。このシグナルは、リガンド刺激の際に下流Smadタンパク質をリン酸化および活性化する(Massague、2000、Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.1:169−178)。これらのI型およびII型受容体は、全てがシステインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。I型受容体は、シグナル伝達に不可欠であり、II型受容体は、リガンド結合およびI型受容体発現に必要である。I型およびII型アクチビン受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、II型受容体によってI型受容体がリン酸化される。
【0026】
2つの関連するII型受容体であるActRIIAおよびActRIIBは、アクチビンのII型受容体と同定されている(MathewsおよびVale、1991、Cell 65:973−982;Attisanoら、1992、Cell 68:97−108)。アクチビンに加えて、ActRIIAおよびActRIIBは、いくつかの他のTGF−βファミリータンパク質(BMP7、Nodal、GDF8、およびGDF11が含まれる)と生化学的に相互作用することができる(Yamashitaら、1995、J.Cell Biol.130:217−226;LeeおよびMcPherron、2001、Proc.Natl.Acad.Sci.98:9306−9311;YeoおよびWhitman、2001、Mol.Cell.7:949−957;Ohら、2002、Genes Dev.16:2749−54)。出願人は、可溶性ActRIIA−Fc融合タンパク質およびActRIIB−Fc融合タンパク質は、in vivoで実質的に異なる効果を有し、ActRIIA−Fcは主に骨に影響を及ぼし、ActRIIB−Fcは主に骨格筋に影響を及ぼすことを見出した。
【0027】
ある実施形態では、本発明は、本ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)でのActRIIB受容体のリガンド(ActRIIBリガンドとも呼ばれる)の拮抗に関する。したがって、本発明の組成物および方法は、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンドの異常な活性に関連する障害の治療に有用である。ActRIIB受容体の例示的リガンドには、いくつかのTGF−βファミリーメンバー(アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、およびBMP7など)が含まれる。
【0028】
アクチビンは、二量体ポリペプチド成長因子であり、TGF−βスーパーファミリーに属する。2つの密接に関連するβサブユニットのホモ/ヘテロ二量体(βAβA、βBβB、およびβAβB)である3つのアクチビン(A、B、およびAB)が存在する。TGF−βスーパーファミリーでは、アクチビンは、卵巣細胞および胎盤細胞中でのホルモン産生を刺激し、神経細胞生存を支持し、細胞型に正および負に依存する細胞周期の進行に影響を及ぼし、少なくとも両生類胚中で中葉胚分化を誘導することができる固有且つ多機能の因子である(DePaoloら、1991、Proc SocEp Biol Med.198:500−512;Dysonら、1997、Curr Biol.7:81−84;Woodruff、1998、Biochem Pharmacol.55:953−963)。さらに、刺激された単球性白血病細胞から単離した赤芽球分化誘導因子(EDF)は、アクチビンAと同一であることが見い出された(Murataら、1988、PNAS、85:2434)。アクチビンAが骨髄中で赤血球生成の天然のレギュレーターとして作用することが示唆された。いくつかの組織では、アクチビンシグナル伝達は、その関連するヘテロ二量体であるインヒビンによって拮抗される。例えば、下垂体からの濾胞刺激ホルモン(FSH)の放出中、アクチビンはFSHの分泌および合成を促進する一方で、インヒビンはFSHの分泌および合成を阻害する。アクチビンの生物活性を調節し、そして/またはアクチビンに結合することができる他のタンパク質には、下記のフォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP)、α2−マクログロブリン、サーベラス、およびエンドグリンが含まれる。
【0029】
Nodalタンパク質は、中胚葉および内胚葉の誘導および形成ならびに初期胚形成におけるその後の軸構造(心臓および胃など)の組織化で機能する。発生中の脊椎動物胚中の背側組織が脊索および脊索前板の軸構造に主に寄与する一方で、周辺細胞を動員して非軸胚構造を形成することが証明された。Nodalは、I型とII型受容体との両方およびSmadタンパク質として公知の細胞内エフェクターを介してシグナル伝達するようである。最近の研究は、ActRIIAおよびActRIIBがNodalのII型受容体としての機能を果たすという概念を支持する(Sakumaら、Genes Cells.2002、7:401−12)。Nodalリガンドはその補因子(例えば、cripto)と相互作用して、アクチビンI型およびII型を活性化し、Smad2をリン酸化することが示唆される。Nodalタンパク質は、初期脊椎動物胚形成に極めて重要な多数の事象(中胚葉形成、前部パターン形成、および左右軸の特定化が含まれる)に関与する。実験的証拠により、Nodalシグナル伝達がpAR3−Lux(アクチビンおよびTGF−βに特異的に応答することが以前に示されているルシフェラーゼレポーター)を活性化することが証明されている。しかし、Nodalは、pTlx2−Lux(骨形成タンパク質に特異的に応答するレポーター)を誘導することができない。最近の結果は、Nodalシグナル伝達がアクチビン−TGF−β経路のSmadであるSmad2およびSmad3の両方によって媒介されるという直接的な生化学的証拠が得られている。さらなる証拠により、細胞外Criptoタンパク質がNodalシグナル伝達に必要であり、そのことがアクチビンまたはTGF−βのシグナル伝達と異ならせていることが示されている。
【0030】
成長分化因子8(GDF8)はまた、ミオスタチンとしても公知である。GDF8は、骨格筋量の負のレギュレーターである。GDF8は、発生中および成体の骨格筋で高度に発現される。トランスジェニックマウスにおけるGDF8ヌル変異は、骨格筋の顕著な肥大および過形成によって特徴づけられる(McPherronら、Nature、1997、387:83−90)。骨格筋量の類似の増加は、ウシ(Ashmoreら、1974、Growth、38:501−507;SwatlandおよびKieffer、J.Anim.Sci.、1994、38:752−757;McPherronおよびLee、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1997、94:12457−12461;およびKambadurら、Genome Res.、1997、7:910−915)および、特にヒト(Schuelkeら、N Engl J Med 2004;350:2682−8)でのGDF8の天然に存在する変異で明らかである。研究により、ヒトにおけるHIV感染に関連する筋肉消耗がGDF8タンパク質発現の増加を伴うことも示されている(Gonzalez−Cadavidら、PNAS、1998、95:14938−43)。さらに、GDF8は、筋肉特異的酵素の産生を調整し(例えば、クレアチンキナーゼ)、筋芽細胞増殖を調整することができる(WO00/43781号)。GDF8プロペプチドは、成熟したGDF8ドメイン二量体に非共有結合して、その生物活性を不活化することができる(Miyazonoら(1988)J.Biol.Chem.、263:6407−6415;Wakefieldら(1988)J.Biol.Chem.、263;7646−7654;およびBrownら(1990)Growth Factors、3:35−43)。GDF8または構造的に関連するタンパク質に結合し、その生物活性を阻害する他のタンパク質には、フォリスタチン、および潜在的には、フォリスタチン関連タンパク質が含まれる(Gamerら(1999)Dev.Biol.、208:222−232)。
【0031】
BMP11としても公知の成長分化因子11(GDF11)は、分泌タンパク質である(McPherronら、1999、Nat.Genet.22:260−264)。GDF11は、マウス成長において尾芽、肢芽、上顎弓および下顎弓、ならびに脊髄後根神経節中に発現する(Nakashimaら、1999、Mech.Dev.80:185−189)。GDF11は、中胚葉および神経組織の両方のパターン形成において固有の役割を果たす(Gamerら、1999、Dev Biol.、208:222−32)。GDF11は、ニワトリ肢の発生における軟骨形成および筋形成の負のレギュレーターであることが示された(Gamerら、2001、Dev Biol.229:407−20)。筋肉中でのGDF11の発現はまた、GDF8と類似の方法での筋肉成長調節でのその役割も示唆される。さらに、脳内でのGDF11の発現により、GDF11が神経系の機能に関連する活性も保有することが示唆される。興味深いことに、GDF11は、嗅上皮中の神経発生を阻害することが見出された(Wuら、2003、Neuron.37:197−207)。したがって、GDF11は、筋肉疾患および神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)などの疾患の治療においてin vitroおよびin vivoで適用することができる。
【0032】
骨形成タンパク質−1(OP−1)とも呼ばれる骨形成タンパク質(BMP7)は、軟骨および骨の形成を誘導することが周知である。さらに、BMP7は、広範な一連の生理学的過程を調節する。例えば、BMP7は、上皮骨形成現象を担う骨誘導因子であり得る。BMP7がカルシウム調節および骨ホメオスタシスで役割を果たすことも見出されている。アクチビンと同様に、BMP7はII型受容体ActRIIAおよびIIBに結合する。しかし、BMP7およびアクチビンは、異なるI型受容体をヘテロマー受容体複合体に動員する。認められている主なBMP7I型受容体はALK2である一方で、アクチビンはALK4(ActRIIB)に排他的に結合した。BMP7およびアクチビンは、異なる生物学的応答を誘発し、異なるSmad経路を活性化した(Macias−Silvaら、1998、J Biol Chem.273:25628−36)。
【0033】
ある態様では、本発明は、一般に、ActRIIB活性に関連する任意の過程においてActRIIBリガンドのシグナル伝達を拮抗するためのある種のActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)の使用に関する。任意選択的に、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンド(アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、およびBMP7など)を拮抗することができる。したがって、さらなる障害の治療で有用であり得る。
【0034】
したがって、本発明は、ActRIIBまたはActRIIBリガンドの異常な活性に関連する疾患または容態の治療または防止におけるActRIIBポリペプチドの使用を意図する。ActRIIBまたはActRIIBリガンドは、多数の極めて重要な生物学的過程の調節に関与する。これらの過程における重要な機能により、これらは、治療介入の望ましい標的であり得る。例えば、ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)を使用して、ヒトまたは動物の障害または容態を治療することができる。かかる障害または容態の例には、代謝障害(2型糖尿病、耐糖能異常、代謝症候群(例えば、X症候群)、および外傷(例えば、熱傷または窒素不均衡)によって誘導されるインスリン抵抗性など);脂肪組織障害(例えば、肥満);筋ジストロフィ(ディシュンヌ型筋ジストロフィが含まれる)などの筋肉および神経筋障害;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋萎縮;臓器萎縮症;脆弱;手根管症候群;鬱血性閉塞性肺疾患;ならびにサルコペニア、悪液質、および他の筋消耗症候群が含まれるが、これらに限定されない。他の例には、特に高齢女性および/または閉経後女性における骨粗鬆症;糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症;骨減少症;変形性関節症;および骨粗鬆症関連骨折が含まれる。なおさらなる例には、慢性糖質コルチコイド療法に起因する骨量低下、早発性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性副甲状腺機能亢進症、栄養失調、および神経性食欲不振が含まれる。これらの障害および容態は、以下の「治療への使用例」で考察している。
【0035】
本明細書中で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内および各用語が使用される特定の文脈において、当該分野におけるその通常の意味を有する。ある種の用語を以下または本明細書中のほかの場所で考察しており、それにより、本発明の組成物および方法の説明およびこれらの作製および使用方法で実施者にさらなる助言が与えられる。用語の任意の使用範囲または意味は、用語が使用される特定の文脈から明らかであろう。
【0036】
「約」および「およそ」は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な誤差の程度を意味するものとする。典型的には、誤差の程度の例は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。
【0037】
あるいは、特に生体系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内である値を意味し得る。本明細書中に記載の数量は、他で記載しない限り近似値であり、明示しない場合、用語「約」または「およそ」を推測することができることを意味する。
【0038】
本発明の方法は、配列を相互に比較する工程(野生型配列と1つまたは複数の変異体(配列バリアント)との比較が含まれる)を含むことができる。かかる比較は、典型的には、例えば、配列アラインメントプログラムおよび/または当該分野で周知のアルゴリズム(例えば、2〜3例を挙げると、BLAST、FASTA、およびMEGALIGN)を使用したポリマー配列のアラインメントを含む。当業者は、かかるアラインメントにおいて、変異が残基の挿入または欠失を含む場合、配列アラインメントは、挿入または欠失した残基を含まないポリマー配列中に「ギャップ」(典型的には、ダッシュ、または「A」で示す)を導入することを容易に認識することができる。
【0039】
「相同な」は、全てのその文法的形態および綴りの異形において、「共通の進化的起源」を保有する2つのタンパク質(同種の生物におけるスーパーファミリー由来のタンパク質および異種の生物由来の相同タンパク質が含まれる)の間の関係をいう。かかるタンパク質(およびそのコード核酸)は、配列相同性を有し、これは、その配列類似性(同一率の観点から)または特定の残基もしくはモチーフの存在および保存された位置を反映する。
【0040】
用語「配列類似性」は、全てのその文法的形態において、核酸配列間またはアミノ酸配列間の同一または対応の程度をいい、共通の進化的起源を含んでも含んでいなくても良い。
【0041】
しかし、一般的な用法および本願では、用語「相同な」は、「高度に」などの副詞で修飾した場合、配列類似性をいうことができ、共通の進化的起源に関連しても関連しなくても良い。
【0042】
2.ActRIIBポリペプチド
ある態様では、本発明は、ActRIIBバリアントポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)に関する。任意選択的に、フラグメント、機能的バリアント、および修飾形態は、その対応する野生型ActRIIBポリペプチドと類似または同一の生物活性を有する。例えば、本発明のActRIIBバリアントは、ActRIIBリガンド(例えば、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンB、Nodal、GDF8、GDF11、またはBMP7)に結合してその機能を阻害することができる。任意選択的に、ActRIIBポリペプチドは、骨、軟骨、筋肉、または脂肪などの組織の成長を調整する。ActRIIBポリペプチドの例には、ヒトActRIIB前駆体ポリペプチド(配列番号2)、および可溶性ヒトActRIIBポリペプチド(例えば、配列番号1、5、6、および12)が含まれる。
【0043】
本開示は、ActRIIBの機能的に活性な部分およびバリアントを同定する。出願人は、Fc融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸64(A64)に対応する部分にアラニンを有し、アクチビンおよびGDF−11に対する親和性が比較的低い、Hildenら(Blood.1994 Apr.15;83(8):2163−70)によって開示された配列を有することを確認した。それに反して、64位にアルギニンを有する(R64)同一のFc融合タンパク質は、低ナノモルから高ピコモルの範囲でアクチビンおよびGDF−11に対して親和性を有する。したがって、R64を有する配列を、本開示においてヒトActRIIBの野生型基準配列として使用する。
【0044】
Attisanoら(Cell.1992 Jan.10;68(1):97−108)は、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端のプロリンノットの欠失がアクチビンに対する受容体の親和性を減少させることを示した。ここに示したデータは、配列番号2のアミノ酸20〜119を含むActRIIB−Fc融合タンパク質(「ActRIIB(20−119)−Fc」)が、プロリンノット領域および完全な膜近傍ドメインを含むActRIIB(20−134)−Fcと比較してGDF−11およびアクチビンへの結合が減少したことを示す。しかし、ActRIIB(20−129)−Fcタンパク質は、プロリンノット領域が破壊された場合でさえ、野生型と比較して、類似しているがいくらか減少した活性を保持する。したがって、アミノ酸134、133、132、131、130、および129で終結するActRIIB細胞外ドメインは全て活性であると予想されるが、134または133で終結する構築物がもっとも活性であり得る。同様に、残基129〜134のいずれかの変異は、大きなマージンによってリガンド結合親和性を変化させないと予想される。これの裏付けとして、P129およびP130は、リガンド結合を実質的に減少させない。したがって、ActRIIB−Fc融合タンパク質は、アミノ酸109(最終システイン)ほどの早期に終結し得るが、109および119またはその間で終結する形態はリガンド結合が減少したと予想される。アミノ酸119は不十分に保存されており、したがって、容易に変化または短縮される。128以後で終結する形態は、リガンド結合活性を保持する。119および127またはその間で終結する形態は、中程度の結合能力を有するであろう。任意のこれらの形態は、臨床的設定または実験的設定に応じて使用することが望ましいかもしれない。
【0045】
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29以前から始まるタンパク質がリガンド結合活性を保持すると予想される。アミノ酸29は、最初のシステインを示す。24位でのアラニンからアスパラギンへの変異により、リガンド結合に実質的に影響を及ぼすことなくN結合グリコシル化配列が導入される。これにより、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域(アミノ酸20〜29に対応する)との間の領域の変異が十分に許容されることが確認される。特に、20、21、22、23、および24位から始まる構築物は活性を保持し、25、26、27、28、および29位から始まる構築物も活性を保持することが予想される。実施例に示すデータは、驚いたことに、22、23、24、または25位から始まる構築物が最も活性が高いことを証明する。
【0046】
まとめると、ActRIIBの活性部分は配列番号2のアミノ酸29〜109を含み、構築物は、例えば、アミノ酸20〜29に対応する残基から始まり、アミノ酸109〜134に対応する位置で終了し得る。他の例には、20〜29または21〜29由来の位置から始まり、119〜134、119〜133、または129〜134、129〜133由来の位置で終了する構築物が含まれる。他の例には、20〜24(または21〜24または22〜25)由来の位置から始まり、109〜134(または109〜133)、119〜134(または119〜133)、または129〜134(または129〜133)由来の位置で終了する構築物が含まれる。これらの範囲内のバリアント、特に配列番号4の対応する部分と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一のバリアントも意図する。
【0047】
本開示は、図22に示す複合ActRIIB構造の分析結果を含む。この結果は、リガンド結合ポケットが、残基Y31、N33、N35、L38〜T41、E47、E50、Q53〜K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78〜N83、Y85、R87、A92、およびE94〜F101によって定義されることを証明している。これらの位置では、K74A変異が十分に許容されるにも関わらず、保存的変異が許容され、R40A、K55A、F82A、およびL79位の変異も同様であると予想される。R40は、ツメガエルのKであり、この位置の塩基性アミノ酸が許容されることを示す。Q53は、ウシActRIIB中のRおよびツメガエルActRIIB中のKであり、したがって、アミノ酸(R、K、Q、N、およびHが含まれる)がこの位置で許容されるであろう。したがって、活性なActRIIBバリアントタンパク質の一般的形態は、アミノ酸29〜109を含むが、任意選択的に、20〜24または22〜25の範囲の位置から始まり、129〜134の範囲の位置で終了し、リガンド結合ポケット中にたった1、2、5、10、または15個の保存的アミノ酸変化を含み、リガンド結合ポケット中の40、53、55、74、79および/または82位に0、1つまたは複数の非保存的変化を含む、形態である。かかるタンパク質は、配列番号4のアミノ酸29〜109の配列と80%、90%、95%、または99%を超える配列同一性を保持することができる。特に、変化を十分に許容することができる結合ポケットの外側の部位には、細胞外ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端(上記)ならびに42〜46位および65〜73位が含まれる。65位でのアスパラギンからアラニンへの変化(N65A)は、A64バックグラウンド中でリガンド結合を実際に改善する。したがって、R64バックグラウンド中のリガンド結合に悪影響を及ぼさないと予想される。この変化は、おそらく、A64バックグランド中でN65のグリコシル化を排除する。したがって、この領域中の有意な変化が許容される可能性が高いことが証明される。R64Aの変化はあまり許容されない一方で、R64Kは十分に許容される。したがって、別の塩基性残基(Hなど)は、64位で許容され得る。
【0048】
ActRIIBは、ほぼ全ての脊椎動物で十分に保存されており、巨大な細胞外ドメインが完全に保存されている。ActRIIBに結合する多数のリガンドも高度に保存されている。したがって、種々の脊椎動物由来のActRIIB配列の比較により、変化することができる残基が洞察される。したがって、活性なヒトActRIIBバリアントは、別の脊椎動物ActRIIB配列由来の対応する位置に1つまたは複数のアミノ酸を含むことができるか、ヒトまたは他の脊椎動物中の残基に類似する残基を含むことができる。以下の例は、活性なActRIIBバリアントの定義のためのこのアプローチを示す。L46はツメガエルActRIIB中のバリンであるため、この位置を変化させることができ、任意選択的に別の疎水性残基(V、I、またはFなど)または非極性残基(Aなど)に変化させることができる。E52はツメガエル中でKであり、この部位は、広範な種々の変化(E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、おそらくAが含まれる)を許容することができることを示す。T93は、ツメガエル中でKであり、好ましい極性残基(S、K、R、E、D、H、G、P、G、およびYなど)を用いた広範な構造の異形がこの位置で許容されることを示す。F108はツメガエル中でYである。したがって、Yまたは他の疎水性基(I、V、またはL)が許容されるはずである。E111はツメガエル中でKであり、残基の変化(D、R、K、およびH、ならびにQおよびNが含まれる)がこの位置で許容されることを示す。R112はツメガエル中でKであり、塩基性残基(RおよびHが含まれる)がこの位置で許容されることを示す。119位のAは相対的にあまり保存されず、げっ歯類中でPおよびツメガエル中でVとして出現しする。したがって、本質的に任意のアミノ酸がこの位置で許容されるはずである。
【0049】
開示は、さらなるN結合グリコシル化部位(N−X−S/T)の付加が、ActRIIB(R64)−Fc形態と比較してActRIIB−Fc融合タンパク質の血清半減期を増加させることを証明する。24位でのアスパラギンの導入により(A24N構築物)、より長い半減期を付与するNXT配列が作製される。他のNX(T/S)配列が42〜44(NQS)および65〜67(NSS)で見出されるが、後者は、64位でRと有効にグリコシル化できない。N−X−S/T配列を、一般に、図12に定義したリガンド結合ポケットの外側の位置に導入することができる。非内因性N−X−S/T配列の特に適切な導入部位には、アミノ酸20〜29、20〜24、22〜25、109〜134、120〜134、または129〜134が含まれる。N−X−S/T配列を、ActRIIB配列とFcまたは他の融合成分との間のリンカーに導入することもできる。かかる部位を、既存のSもしくはTに関して正確な位置にNを導入すること、または既存のNに対応する位置にSもしくはTを導入することによって最小の労力で導入することができる。したがって、N結合グリコシル化部位を作製するであろう望ましい変化は以下である:A24N、R64N、S67N(おそらくN65A変化と組み合わせた)、E106N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112S、およびR112T。グリコシル化されると予想される任意のSを、免疫原性部位を作製することなくTに変化することができると予想される。これは、グリコシル化によって保護されるためである。同様にグリコシル化されると予想される任意のTを、Sに変化することができる。したがって、変化S67TおよびS44Tが示唆される。同様に、A24Nバリアントでは、S26T変化を使用することができる。したがって、ActRIIBバリアントは、1つまたは複数のさらなる非内因性N結合グリコシル化コンセンサス配列を含むことができる。
【0050】
L79位を、変化したアクチビン−ミオスタチン(GDF−11)結合特性が付与されるように変化することができる。L79AまたはL79Pは、アクチビン結合よりも広範にGDF−11結合を減少させる。L79EまたはL79Dは、GDF−11結合を保持する。際立って、L79EおよびL79Dバリアントは、アクチビン結合を大きく減少させた。in vivo実験により、これらの非アクチビン受容体は有意に筋肉量を増加させる能力を保持するが、他の組織に及ぼす影響が減少することが示されている。これらのデータは、アクチビンに及ぼす影響が減少したポリペプチドを得るための望ましさおよび実現可能性を示す。
【0051】
記載の異形を、種々の方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書中に記載の変異誘発プログラムの結果は、ActRIIb中にしばしば保存に有利なアミノ酸位置が存在することを示す。これらの位置には、64位(塩基性アミノ酸)、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、特にトリプトファン)、37位(酸性、特に、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特に、フェニルアラニンまたはチロシン)が含まれる。したがって、本明細書中に開示の各バリアントでは、本開示は、保存することができるアミノ酸のフレームワークを提供する。保存することが望ましいかも知れない他の位置は以下である:52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98(極性または荷電、特に、E、D、R、またはK)。
【0052】
ある実施形態では、ActRIIBポリペプチドの単離フラグメントを、ActRIIBポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号3および4)の対応するフラグメントから組換え的に産生したポリペプチドのスクリーニングによって得ることができる。さらに、フラグメントを、従来のMerrifield固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当該分野で公知の技術を使用して化学合成することができる。(組換えまたは化学合成によって)フラグメントを産生し、これを試験して、例えば、ActRIIBタンパク質またはActRIIBリガンドのアンタゴニスト(インヒビター)またはアゴニスト(アクチベーター)として機能することができるペプチジルフラグメントを同定することができる。
【0053】
ある実施形態では、ActRIIBポリペプチドの機能的バリアントは、配列番号3、4、および10から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有する。ある場合において、機能的バリアントは、配列番号3、4、および10から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0054】
ある実施形態では、本発明は、治療効率または安定性(例えば、ex vivo有効期間およびin vivoでのタンパク質分解耐性)の増強などの目的のためのActRIIBポリペプチドの構造の修飾による機能的バリアントの作製を意図する。修飾ActRIIBポリペプチドを、例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加によって産生することもできる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単独の置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単独の置換、トレオニンのセリンとの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似の置換(例えば、保存的変異)は得られた分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないと予想することが妥当である。保存的置換は、その側鎖中の関連するアミノ酸ファミリー内に起こるものである。ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列の変化によって機能的ホモログが得られるかどうかを、バリアントActRIIBポリペプチドが野生型ActRIIBポリペプチドに類似の様式で細胞中で応答するか、野生型に類似の様式でアクチビン、GDF−11、またはミオスタチンなどの1つまたは複数のリガンドに結合する能力の評価によって容易に決定することができる。
【0055】
ある種の特定の実施形態では、本発明は、バリアント(または変異)ActRIIBポリペプチドのリガンド結合活性(例えば、結合親和性または結合特異性)が変化するような、ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメイン(リガンド結合ドメインともいわれる)の変異の作製を意図する。ある場合において、かかるバリアントActRIIBポリペプチドは、特異的リガンドに対する結合親和性が変化(上昇または低下)した。他の場合、バリアントActRIIBポリペプチドは、そのリガンドに対する結合親和性が変化した。
【0056】
例えば、本開示は、アクチビンと比較してGDF8/GDF11に優先的に結合するバリアントActRIIBポリペプチドを提供する。本開示は、さらに、的外れの影響を減少させるためのかかるポリペプチドの望ましさを確立するが、かかる選択的バリアントは、治療効果を得るために非常に大きな筋肉量の増加を必要とし得、いくらかのレベルの的外れの影響が許容可能な重症疾患の治療にはあまり望ましくないかもしれない。例えば、ActRIIBタンパク質のアミノ酸残基(E39、K55、Y60、K74、W78、D80、およびF101など)は、リガンド結合ポケット中に存在し、アクチビンおよびGDF8などのそのリガンドへの結合を媒介する。したがって、本発明は、アミノ酸残基に1つまたは複数の変異を含むActRIIB受容体の変化したリガンド結合ドメイン(例えば、GDF8結合ドメイン)を提供する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、ActRIIB受容体の野生型リガンド結合ドメインと比較してGDF8などのリガンドに対する選択性を増加させることができる。例えば、これらの変異により、アクチビンよりもGDF8の変化したリガンド結合ドメインの選択性が増加する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインについてのアクチビン結合のKdのGDF8結合のKdに対する比は、野生型リガンド結合ドメインについての比と比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍である。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインについてのアクチビン阻害のIC50のGDF8阻害のIC50の比は、野生型リガンド結合ドメインと比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍である。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害についてのIC50の少なくとも1/2、1/5、1/10、またはさらに1/100のIC50でGDF8を阻害する。
【0057】
特定の例として、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正電荷のアミノ酸残基Asp(D80)を、バリアントActRIIBポリペプチドがGDF8に優先的に結合するが、アクチビンには結合しないように、異なるアミノ酸残基に変異することができる。好ましくは、D80残基を、無電荷アミノ酸残基、負のアミノ酸残基、および疎水性アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基に変化させる。さらなる特定の例として、疎水性残基L79を、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸またはグルタミン酸に変化させて、GDF11結合を保持しながらアクチビン結合を非常に減少させることができる。当業者に認識されるように、ほとんどの記載の変異体、バリアント、または修飾物を核酸レベルで作製することができるか、いくつかの場合、翻訳後修飾または化学合成によって作製することができる。かかる技術は、当該分野で周知である。
【0058】
ある実施形態では、本発明は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるためのActRIIBポリペプチドの特異的変異を意図する。ActRIIBポリペプチド中のグリコシル化部位の例を、図2に示す。かかる変異を、1つまたは複数のグリコシル化部位(O結合またはN結合グリコシル化部位など)を導入または排除するために選択することができる。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列(アスパラギン−X−トレオニン(式中、「X」は任意のアミノ酸である))を含む。野生型ActRIIBポリペプチド配列(O結合グリコシル化部位のため)に対する1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基の付加または置換によって変化させることもできる。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方の種々のアミノ酸の置換または欠失(および/または第2の位置でのアミノ酸欠失)により、修飾トリペプチド配列でグリコシル化されない。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分数の別の増加手段は、ActRIIBポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる手段である。使用したカプリング様式に応じて、糖を、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基(システインの遊離スルフヒドリル基など);(d)遊離ヒドロキシル基(セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基など);(e)芳香族残基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの芳香族残基など);または(f)グルタミンのアミド基に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO87/05330号およびAplinおよびWriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.、pp.259−306(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。ActRIIBポリペプチド上に存在する1つまたは複数の炭水化物部分の除去を、化学的および/または酵素的に行うことができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのActRIIBポリペプチドの暴露を含むことができる。この処理により、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外のほとんどまたは全ての糖が切断される一方で、アミノ酸配列はインタクトなままである。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら(1987)Arch.Biochem.Biophys.259:52およびEdgeら(1981)Anal.Biochem.118:131によってさらに説明されている。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断を、Thotakuraら(1987)Meth.Enzymol.138:350に記載のように、種々のエンドグリコシダーゼまたはエクソグリコシダーゼの使用によって行うことができる。哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞の全てがペプチドのアミノ酸配列に影響を受け得る異なるグリコシル化パターンを導入することができるので、ActRIIBポリペプチド配列を、必要に応じて、使用した発現系の型に依存して調整することができる。一般に、ヒトで用いるActRIIBタンパク質を、適切なグリコシル化が得られる哺乳動物細胞株(HEK293細胞株またはCHO細胞株など)中で発現するが、他の哺乳動物発現細胞株も同様に有用であると予想される。
【0059】
この開示は、さらに、バリアント、特に、ActRIIBポリペプチドの組み合わせバリアント組(任意選択的に、短縮バリアントが含まれる)を生成する方法を意図する。組み合わせ変異体のプールは、機能的バリアント配列の同定に特に有用である。かかる組み合わせライブラリーのスクリーニングの目的は、例えば、変化した薬物動態学または変化したリガンド結合などの変化した性質を有するActRIIBポリペプチドバリアントを生成することであり得る。種々のスクリーニングアッセイを以下に提供し、かかるアッセイを使用して、バリアントを評価することができる。例えば、ActRIIBポリペプチドバリアントを、ActRIIBポリペプチドに結合する能力(ActRIIBリガンドのActRIIBポリペプチドへの結合を防止する能力)についてスクリーニングすることができる。
【0060】
ActRIIBポリペプチドまたはそのバリアントの活性を、細胞ベースの活性またはin vivoアッセイで試験することもできる。例えば、骨芽細胞または前駆体中の骨産生に関与する遺伝子発現に及ぼすActRIIBポリペプチドバリアントの影響を評価することができる。これを、必要に応じて、1つまたは複数の組換えActRIIBリガンドタンパク質(例えば、BMP7)の存在下で行うことができ、細胞をトランスフェクトしてActRIIBポリペプチドおよび/またはそのバリアント、任意選択的にActRIIBリガンドを産生することができる。同様に、ActRIIBポリペプチドを、マウスまたは他の動物に投与し、密度または体積などの1つまたは複数の骨の性質を評価することができる。骨折の治癒率も評価することができる。同様に、筋肉細胞、脂肪細胞、および神経細胞中のActRIIBポリペプチドまたはそのバリアントの活性を、これらの細胞の成長に及ぼす任意の影響について、例えば、下記のアッセイによって試験することができる。かかるアッセイは当該分野で周知であり、日常的アッセイである。SMAD反応性レポーター遺伝子を、かかる細胞株で使用して、下流シグナル伝達に及ぼう影響をモニタリングすることができる。
【0061】
天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較して選択能力を有する組み合わせ由来のバリアントを生成することができる。かかるバリアントタンパク質を、組換えDNA構築物から発現する場合、遺伝子療法プロトコルで使用することができる。同様に、変異誘発により、対応する野生型ActRIIBポリペプチドと劇的に異なる細胞内半減期を有するバリアントが生じ得る。例えば、変化したタンパク質により、未変性のActRIIBポリペプチドを破壊するか、そうでなければ、不活化するタンパク質分解または他の過程に対してより安定にするか、不安定にすることができる。かかるバリアントおよびバリアントをコードする遺伝子を使用して、ActRIIBポリペプチドの半減期の調整によって、ActRIIBポリペプチドレベルを変化させることができる。例えば、短い半減期により、より一過性の生物学的影響を得ることができ、誘導性発現系の一部である場合、細胞内の組換えActRIIBポリペプチドレベルの調節を強化することができる。
【0062】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチド中に天然に存在する任意のものに加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。かかる修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。結果として、修飾ActRIIBポリペプチドは、非アミノ酸成分(ポリエチレングリコール、脂質、ポリサッカリドまたはモノサッカリド、およびリン酸塩など)を含むことができる。ActRIIBポリペプチドの機能性に及ぼすかかる非アミノ酸成分の影響を、他のActRIIBポリペプチドバリアントについて本明細書中に記載のように試験することができる。ActRIIBポリペプチドをActRIIBポリペプチドの初期の形態の切断によって細胞中に産生する場合、翻訳後プロセシングはまた、本発明のタンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能に重要であり得る。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH−3T3、またはHEK293など)は、かかる翻訳後活性の特異的細胞機構および特徴的機構を有し、ActRIIBポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。
【0063】
ある態様では、ActRIIBポリペプチドの機能的バリアントまたは修飾形態には、ActRIIBポリペプチドの少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインを有する融合タンパク質が含まれる。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(例えば、Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されない。融合ドメインを、所望の性質が付与されるように選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製のために、アフィニティクロマトグラフィのための関連マトリックス(グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトに抱合した樹脂など)を使用する。多数のかかるマトリックスは、「キット」形態((HIS6)融合パートナーとともに使用するPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)など)で利用可能である。別の例として、ActRIIBポリペプチドの検出を容易にするために融合ドメインを選択することができる。かかる検出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびに特異的抗体が利用可能な通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能な周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc−mycタグが含まれる。場合によっては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアーゼ切断部位を有する。この部位により、関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それにより、融合タンパク質から組換えタンパク質が遊離する。次いで、その後のクロマトグラフィ分離によって、遊離タンパク質を融合ドメインから単離することができる。ある好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドを、in vivoでActRIIBポリペプチドを安定にするドメイン(「安定剤」ドメイン)と融合する。「安定化」は、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態作用に起因するかどうかと無関係に血清半減期を増加させる全てのものを意味する。免疫グロブリンのFc部分内の融合は、広範なタンパク質に望ましい薬物動態学的性質を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合により、望ましい性質を付与することができる。選択することができる他の融合ドメイン型には、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能的ドメイン(筋肉成長のさらなる刺激などのさらなる生物学的機能を付与する)が含まれる。
【0064】
特定の例として、本発明は、Fcドメインに融合した細胞外(例えば、GDF8結合)ドメイン(例えば、配列番号13)を含むGDF8アンタゴニストとしての融合タンパク質を提供する。
【0065】
【化1】
好ましくは、Fcドメインは、Asp−265、リジン322、およびAsn−434などの残基に1つまたは複数の変異を有する。ある場合において、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asp−265変異)を有する変異Fcドメインにより、野生型Fcドメインと比較してFcγ受容体への結合能力が減少した。他の場合、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asn−434変異)を有する変異Fcドメインにより、野生型Fcドメインと比較してMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)への結合能力が増加した。
【0066】
融合タンパク質の異なる要素を所望の機能性と一致する任意の様式で配置することができると理解される。例えば、ActRIIBポリペプチドを、異種ドメインに対してC末端に配置することができるか、異種ドメインをActRIIBポリペプチドに対してC末端に配置することができる。ActRIIBポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接する必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列をいずれかのドメインに対してC末端またはN末端またはドメイン間に含めることができる。
【0067】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドを安定化することができる1つまたは複数の修飾を含む。例えば、かかる修飾は、ActRIIBポリペプチドのin vitro半減期を増強するか、ActRIIBポリペプチドの循環半減期を増強するか、ActRIIBポリペプチドのタンパク質分解を減少させる。かかる安定化修飾には、融合タンパク質(例えば、ActRIIBポリペプチドおよび安定剤ドメインを含む融合タンパク質が含まれる)、グリコシル化部位の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチドのグリコシル化部位の付加が含まれる)、および炭水化物部分の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチド由来の炭水化物部分の除去が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。融合タンパク質の場合、ActRIIBポリペプチドを、IgG分子などの安定剤ドメイン(例えば、Fcドメイン)に融合する。本明細書中で使用する場合、用語「安定剤ドメイン」は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、Fc)をいうだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含まれる。
【0068】
ある実施形態では、本発明は、他のタンパク質から単離されているか、他のタンパク質を実質的に含まない単離および/または精製形態のActRIIBポリペプチドを利用可能である。
【0069】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチド(非修飾または修飾)を、種々の当該分野で公知の技術によって産生することができる。例えば、かかるActRIIBポリペプチドを、標準的なタンパク質化学技術(Bodansky、M.Principles of Peptide Synthesis、Springer Verlag、Berlin(1993)およびGrant G.A.(編)、Synthetic Peptides:A User’s Guide、W.H.FreemanおよいCompany、New York(1992)に記載の技術など)を使用して合成することができる。さらに、自動化ペプチド合成機は市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、当該分野で周知のとおり、ActRIIBポリペプチド、そのフラグメントまたはバリアントを、種々の発現系(例えば、E.coli、チャイニーズハムスター卵巣細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を使用して組換え的に産生することができる(下記も参照のこと)。さらなる実施形態では、修飾または非修飾ActRIIBポリペプチドを、例えば、プロテアーゼ(例えば、トリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対の塩基性アミノ酸変換酵素(PACE))の使用による天然に存在するか組換え的に産生された全長ActRIIBポリペプチドの消化によって産生することができる。コンピュータ分析(市販のソフトウェア(例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation、Inc.))を使用して、タンパク質分解部位を同定することができる。あるいは、かかるActRIIBポリペプチドを、当該分野で公知の標準的技術(化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミン)など)などによって天然に存在するか組換え的に産生された全長ActRIIBポリペプチドから産生することができる。
【0070】
3.ActRIIBポリペプチドをコードする核酸
ある態様では、本発明は、任意のActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)(本明細書中に開示の任意のバリアントが含まれる)をコードする単離および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号4は天然に存在するActRIIB前駆体ポリペプチドをコードし、配列番号3は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする。本核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNA分子またはRNA分子であり得る。これらの核酸を、例えば、ActRIIBポリペプチドの作製方法で使用するか、治療薬(例えば、遺伝子療法アプローチで)として直接使用することができる。
【0071】
ある態様では、ActRIIBポリペプチドをコードする本核酸は、配列番号3のバリアントである核酸を含むとさらに理解される。バリアントヌクレオチド配列には、1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失によって異なる配列(対立遺伝子バリアントなど)が含まれる。したがって、配列番号4中で指定されたコード配列のヌクレオチド配列と異なるコード配列が含まれるであろう。
【0072】
ある実施形態では、本発明は、配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号3および配列番号3のバリアントに相補的な核酸も本発明の範囲内であると認識するであろう。さらなる実施形態では、本発明の核酸配列は、単離核酸、組換え核酸、および/または異種ヌクレオチド配列と融合された核酸、またはDNAライブラリー中の核酸であり得る。
【0073】
他の実施形態では、本発明の核酸には、配列番号3中の指定されたヌクレオチド配列、配列番号3の相補配列、またはそのフラグメントに対して高度にストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するヌクレオチド配列も含まれる。上記で考察される通り、当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができると容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができると容易に理解するであろう。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリッド形成を行い、その後に50℃の2.0×SSCで洗浄することができる。例えば、洗浄工程における塩濃度を、50℃で約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。さらに、洗浄工程における温度を、室温(約22℃)での低ストリンジェンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件までに増加させることができる。温度および塩の両方を変化させることができるか、温度または塩濃度を一定に保持しながら、他の変数を変化させることができる。1つの実施形態では、本発明は、室温で6×SSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成させ、その後に室温の2×SSCで洗浄する核酸を提供する。
【0074】
遺伝コードの縮重によって配列番号3に記載の核酸と異なる単離核酸も本発明の範囲内である。例えば、多数のアミノ酸は、1つを超えるトリプレットによって指定される。同一のアミノ酸または同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンの同義語である)を特定するコドンにより、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異を得ることができる。しかし、本タンパク質のアミノ酸配列を変化させるDNA配列多型が哺乳動物細胞間で存在すると予想される。当業者は、天然の対立遺伝子異形に起因する特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3〜5%まで)のこれらの異形が所与の種の個体間に存在し得ることが認識されるであろう。任意および全てのかかるヌクレオチド異形および得られたアミノ酸多型は、本発明の範囲内である。
【0075】
ある実施形態では、本発明の組換え核酸を、発現構築物中の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に適切であろう。種々の宿主細胞のための多数の適切な発現ベクター型および適切な調節配列型は、当該分野で公知である。典型的には、この1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボゾーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、およびエンハンサー配列またはアクチベーター配列が含まれ得るが、これらに限定されない。当該分野で公知の構成性プロモーターまたは誘導性プロモーターは、本発明で意図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたは1つを超えるプロモーターの要素を組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドなどのエピソーム上の細胞中に存在することができるか、発現構築物を染色体中に挿入することができる。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞を選択するための選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は当該分野で周知であり、使用される宿主細胞内で変化するであろう。
【0076】
本発明のある態様では、本核酸を、ActRIIBポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供する。調節配列は当該分野で認識されており、ActRIIBポリペプチド発現を指示するように選択される。したがって、用語「調節配列」には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節要素が含まれる。例示的調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990)に記載されている。例えば、作動可能に連結した場合にDNA配列の発現を調節する任意の広範な種々の発現調節配列をこれらのベクター中で使用して、ActRIIBポリペプチドをコードするDNA配列を発現することができる。かかる有用な発現調節配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモーター、λファージの主なオペレーター領域およびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母α−接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、および原核細胞または真核細胞またはそのウイルスの遺伝子発現を調節することが公知の他の配列、ならびにその種々の組み合わせが含まれる。発現ベクターのデザインが形質転換すべき宿主細胞および/または発現が望まれるタンパク質の型の選択などの要因に依存し得ると理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を調節する能力、およびベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(抗生物質マーカーなど)の発現も考慮すべきである。
【0077】
本発明の組換え核酸を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳動物)、またはその両方のいずれかでの発現に適切なベクターへのクローン化した遺伝子またはその一部のライゲーションによって産生することができる。組換えActRIIBポリペプチド産生用の発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下の型のプラスミドが含まれる:E.coliなどの原核細胞中での発現のためのpBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、およびpUC由来プラスミド。
【0078】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を容易にするための原核生物配列および真核細胞中で発現される1つまたは複数の真核生物転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo、およびpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。いくつかのこれらのベクターを、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾して、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を容易にする。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来の、およびp205)などのウイルス誘導体を、真核細胞中のタンパク質の一過性発現のために使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスが含まれる)発現系の例を、以下の遺伝子療法送達系の説明で見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換で使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系ならびに一般的な組換え手順いついては、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)第16章および第17章を参照のこと。いくつかの例では、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましいかも知れない。かかるバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941など)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(β−gal含有pBlueBacIIIなど)が含まれる。
【0079】
好ましい実施形態では、CHO細胞中での本ActRIIBポリペプチドの産生のためのベクターをデザインするであろう(Pcmv−Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)、およびpCI−neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)など)。明らかなように、本遺伝子構築物を使用して培養物中で増殖した細胞中で本ActRIIBポリペプチドを発現させて、例えば、タンパク質(精製のための融合タンパク質またはバリアントタンパク質が含まれる)を産生することができる。
【0080】
本発明はまた、1つまたは複数の本ActRIIBポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号4)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本発明のActRIIBポリペプチドを、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現することができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0081】
したがって、本発明は、さらに、本ActRIIBポリペプチドの産生方法に関する。例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を、ActRIIBポリペプチドを発現させるのに適切な条件下で培養することができる。ActRIIBポリペプチドを分泌させ、細胞とActRIIBポリペプチドを含む培地との混合物から単離することができる。あるいは、ActRIIBポリペプチドを、細胞質または膜画分中に保持し、細胞を回収し、溶解し、タンパク質を単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞、培地、および他の副生成物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。本ActRIIBポリペプチドを、タンパク質精製のための当該分野で公知の技術(イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、限外濾過、電気泳動、およびActRIIBポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を使用した免疫親和性精製が含まれる)を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0082】
別の実施形態では、組換えActRIIBポリペプチドの望ましい部分のN末端でポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子を、Ni2+金属樹脂を使用したアフィニティクロマトグラフィによって発現した融合タンパク質を精製することができる。次いで、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼでの処理によって除去して、精製ActRIIBポリペプチドを得ることができる(例えば、Hochuliら、(1987)J.Chromatography 411:177;およびJanknechtら、PNAS USA 88:8972を参照のこと)。
【0083】
融合遺伝子の作製技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの連結を、ライゲーションのための平滑末端またはねじれた末端(stagger−ended termini)、適切な末端を得るための制限酵素消化、必要に応じた付着末端の穴埋め(filling−in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションを使用した従来の技術にしたがって行う。別の実施形態では、融合遺伝子を、従来の技術(自動化DNA合成機が含まれる)によって合成することができる。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅をアンカープライマーを使用して実施して2つの連続遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを得、その後にアニーリングしてキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、eds.Ausubelら、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。
【0084】
4.抗体
本発明の別の態様は、抗体に関する。ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)と特異的に反応し、ActRIIBポリペプチドと競合的に結合する抗体を、ActRIIBポリペプチド活性のアンタゴニストとして使用することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド由来の免疫原の使用により、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準プロトコルによって作製することができる(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual ed.by HarlowおよびLane(Cold Spring Harbor Press:1988)を参照のこと)。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物を、免疫原性形態のActRIIBポリペプチド、抗体応答を誘発することができる抗原フラグメント、または融合タンパク質で免疫化することができる。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術には、キャリアへの抱合または当該分野で周知の他の技術が含まれる。アジュバントの存在下でActRIIBポリペプチドの免疫原性部分を投与することができる。免疫化の進行を、血漿または血清中の抗体力価の検出によってモニタリングすることができる。標準ELISAまたは他の免疫アッセイを抗原としての免疫原と共に使用して、抗体レベルを評価することができる。
【0085】
ActRIIBポリペプチドの免疫原性調製物での動物の免疫化後、抗血清を得ることができ、必要に応じて、ポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫化動物から回収し、骨髄腫細胞などの不死化細胞を使用した標準的な体細胞融合手順によって融合して、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。かかる技術は当該分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、(1975)Nature、256:495−497によって最初に開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、(1983)Immunology Today、4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、(1985)Monoclaonal AntibodiesおよびCancer Therapy、Alan R.Liss、Inc.pp.77−96)が含まれる。ハイブリドーマ細胞を、免疫化学的に、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離したActRIIBポリペプチドおよびモノクローナル抗体と特異的に反応する抗体の産生についてスクリーニングすることができる。
【0086】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、本ActRIIBポリペプチドとも特異的に反応するそのフラグメントが含まれることを意図する。抗体を、従来の技術を使用して断片化し、フラグメントを上記の全抗体と同一の様式で有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2フラグメントを、ペプシンでの抗体の処理によって生成することができる。得られたF(ab)2フラグメントを、ジスルフィド架橋を還元するように処理して、Fabフラグメントを産生することができる。本発明の抗体は、さらに、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されるActRIIBポリペプチドに対する親和性を有する二重特異性分子、単鎖分子、キメラ分子、およびヒト化分子が含まれることを意図する。好ましい実施形態では、抗体は、さらに、抗体に結合し、検出することができる標識(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)を含む。
【0087】
ある好ましい実施形態では、本発明の抗体はモノクローナル抗体であり、ある実施形態では、本発明は新規の抗体生成方法を利用可能にする。例えば、ActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体の生成方法は、検出可能な免疫応答の刺激に有効なActRIIBポリペプチドを含む一定量の免疫原性組成物をマウスに投与する工程、マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓由来の細胞)を得る工程、抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、抗体産生ハイブリドーマを得る工程、および抗体産生ハイブリドーマを試験して、ActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する工程を含むことができる。一旦得られると、ハイブリドーマを、任意選択的に、ハイブリドーマ由来細胞がActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で、細胞培養物中で増殖させることができる。モノクローナル抗体を、細胞培養物から精製することができる。
【0088】
抗体に関して使用される場合、形容詞「〜と特異的に反応する」を、当該分野で一般に理解されているように、抗体が目的の抗原(例えば、ActRIIBポリペプチド)と目的でない他の抗原との間で十分な選択性を示し、それにより、抗体が最低でも特定の生体サンプル型での目的の抗原の存在の検出に有用であることを意味することを意図する。治療的適応などの抗体を使用したある方法で、結合特異性がより高いことが望ましいかも知れない。モノクローナル抗体は、一般に、所望の抗原と交差反応ポリペプチドとを有効に区別する傾向がより高い(ポリクローナル抗体と比較した場合)。抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす1つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性を異なる親和性範囲で到達することができるにもかかわらず、一般に好ましい抗体は、約10−6、10−7、10−8、10−9以下の親和性(解離定数)を有するであろう。
【0089】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングために使用される技術は、得られた抗体の性質に影響を受け得る。例えば、抗体を溶液中での抗原の結合に使用する場合、溶液結合を試験することが望ましいかもしれない。種々の異なる技術は、特に望ましい抗体を同定するための抗体と抗原との間の相互作用の試験に利用可能である。かかる技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore結合アッセイ、Bia−core AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International、Inc.、Gaithersburg、Md.の常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学が含まれる。
【0090】
ある態様では、本開示は、可溶性ActRIIBポリペプチドに結合する抗体を提供する。かかる抗体を、抗原として可溶性ActRIIBポリペプチドまたはそのフラグメントを使用して上記のように生成することができる。この抗原型を使用して、例えば、生体サンプル中でActRIIBポリペプチドを検出し、そして/または個体中の可溶性ActRIIBポリペプチドレベルをモニタリングすることができる。ある場合において、可溶性ActRIIBポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンドの活性を調整し、それにより、組織(骨、軟骨、筋肉、脂肪、およびニューロンなど)の成長を調節(促進または阻害)することができる。
【0091】
5.スクリーニングアッセイ
ある態様では、本発明は、ActRIIBポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための本ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物を、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/またはニューロンなどの組織で試験して、in vitroで組織成長を調整する能力を評価することができる。任意選択的に、これらの化合物を、動物モデルでさらに試験して、in vivoでの組織成長を調整する能力を評価することができる。
【0092】
ActRIIBポリペプチドのターゲティングによって組織成長を調整する治療薬をスクリーニングするためのアプローチが多数存在する。ある実施形態では、化合物の高処理スクリーニングを行って、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/またはニューロンの成長に及ぼすActRIIB媒介性の影響を混乱させる薬剤を同定することができる。ある実施形態では、アッセイを行って、ActRIIBポリペプチドの結合パートナー(ActRIIBリガンド(例えば、アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、またはBMP7)など)への結合を特異的に阻害または減少させる化合物をスクリーニングし、同定する。あるいは、アッセイを使用して、ActRIIBポリペプチドのその結合タンパク質(ActRIIBリガンドなど)への結合を増強する化合物を同定することができる。さらなる実施形態では、化合物を、ActRIIBポリペプチドと相互作用する能力によって同定することができる。
【0093】
種々のアッセイ形式で十分であるにもかかわらず、本開示に照らして、本明細書中に明確に記載されていない形式を当業者は理解するであろう。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)を、任意の組み合わせ化学法によって作製することができる。あるいは、本化合物は、in vivoまたはin vitroで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織成長のモジュレーターとして作用する能力について試験すべき化合物(薬剤)を、例えば、細菌、酵母、植物、または他の生物(例えば、天然物)によって産生することができるか、化学的に産生することができるか(例えば、小分子(ペプチド模倣物が含まれる))、組換え的に産生することができる。本発明によって意図される試験化合物には、非ペプチド有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子が含まれる。特定の実施形態では、試験薬は、分子量が2,000ダルトン未満の有機小分子である。
【0094】
本発明の試験化合物を、単一の個別の実体として提供することができるか、組み合わせ化学などによって作製されたより複雑な物質のライブラリー中に提供することができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハライド、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験系に対して試験化合物は、特に初期スクリーニング工程で化合物の単離形態または混合物のいずれかとして存在し得る。任意選択的に、化合物を、他の化合物を使用して誘導体化することができ、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有する。誘導体化基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁性ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性架橋剤、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0095】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多数の薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間で調査した化合物数を最大にするための高処理アッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質などを使用して誘導することができる無細胞系で行うアッセイは、開発が迅速で、試験化合物によって媒介される分子標的の変化を比較的容易に検出することができるという点で、しばしば、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の影響を、一般に、in vitro系では無視することができる。本アッセイは、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質(例えば、ActRIIBリガンド)との間の結合親和性の変化として出現し得るので、その代わりに分子標的に及ぼす薬物の影響について主に注目する。
【0096】
例示のみのために、本発明の例示的スクリーニングアッセイでは、目的の化合物を、必要に応じてアッセイのために通常はActRIIBリガンドに結合することができる単離および精製されたActRIIBポリペプチドと接触する。次いで、化合物とActRIIBポリペプチドとの混合物に、ActRIIBリガンドを含む組成物を添加する。ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の検出および定量により、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の阻害(または強化)複合体形成での化合物の有効性を決定するための手段が得られる。化合物の有効性を、種々の濃度の試験化合物を使用して得たデータからの用量応答曲線の作成によって評価することができる。さらに、比較のためのベースラインを得るためのコントロールアッセイも行うことができる。例えば、コントロールアッセイでは、単離および精製ActRIIBリガンドをActRIIBポリペプチドを含む組成物に添加し、ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般に、反応物を混合することができる順番を変化させることができ、同時に混合物ことができると理解されるであろう。さらに、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物を使用して、無細胞アッセイ系を適切にすることができる。
【0097】
ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の複合体形成を、種々の技術によって検出することができる。例えば、複合体形成の調整を、例えば、検出可能に標識されたタンパク質(放射性標識(例えば、32P、35S、14C、または3H)、蛍光標識(例えば、FITC)、または酵素的に標識したActRIIBポリペプチドまたはその結合タンパク質など)を使用するか、免疫アッセイ、またはクロマトグラフィ検出によって定量することができる。
【0098】
ある実施形態では、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用の程度の直接または間接的な測定における蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイの使用を意図する。さらに、他の検出様式(光導波路(PCT公開WO96/26432号および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づいた検出様式など)は、本発明の多数の実施形態と適合可能である。
【0099】
さらに、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を破壊または強化する薬剤の同定のための「2ハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用捕捉アッセイの使用を意図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら(1993)J Biol Chem 268:12046−12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920−924;およびIwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696を参照のこと)。特定の実施形態では、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を絶つ化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための逆2ハイブリッド系の使用を意図する。例えば、VidalおよびLegrain、(1999)Nucleic Acids Res 27:919−29;VidalおよびLegrain、(1999)Trends Biotechnol 17:374−81;および米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号を参照のこと。
【0100】
ある実施形態では、本化合物を、本発明のActRIIBポリペプチドと相互作用する能力によって同定する。化合物とActRIIBポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合または非共有結合であり得る。例えば、かかる相互作用を、in vitro生化学法(光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィ(Jakoby W Bら、1974、Methods in Enzymology 46:1)が含まれる)を使用してタンパク質レベルで同定することができる。ある場合において、化合物を、機構ベースのアッセイ(ActRIIBポリペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイなど)でスクリーニングすることができる。これには、固相または液相の結合事象が含まれ得る。あるいは、ActRIIBポリペプチドをコードする遺伝子を、細胞内にレポーター系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)でトランスフェクトし、好ましくは高処理スクリーニングによってライブラリーに対してスクリーニングするか、ライブラリーの個別のメンバーに対してスクリーニングすることができる。他の機構ベースの結合アッセイを使用することができる(例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイ)。結合アッセイを、ウェル、ビーズ、またはチップに固定しているか、固定抗体によって捕捉されているか、キャピラリー電気泳動によって分離した標的を使用して行うことができる。結合した化合物を、通常、比色分析、蛍光、または表面プラズモン共鳴を使用して検出することができる。
【0101】
ある態様では、本発明は、例えば、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンドの機能の拮抗によって筋肉成長を刺激して筋肉量を増加させる方法および薬剤を提供する。したがって、同定した任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、筋肉成長を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。例えば、ActRIIBリガンド(例えば、GDF8)への結合によって活性化されたActRIIBタンパク質によるシグナル伝達が減少または阻害されるように本発明の方法を行う。生物中での筋肉組織の成長によってActRIIBタンパク質によるシグナル伝達があまり達成されない対応する生物(または生物集団)の筋肉量と比較して生物中の筋肉量が増加することが認識されるであろう。
【0102】
例えば、筋肉細胞の成長/増殖に及ぼすActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の影響を、筋原細胞の増殖に関連するPax−3およびMyf−5の遺伝子発現ならびに筋肉分化に関連するMyoDの遺伝子発現の測定によって決定することができる(例えば、Amthorら、Dev Biol.2002、251:241−57)。GDF8がPax−3およびMyf−5の遺伝子発現を下方制御し、MyoDの遺伝子発現を防止することが公知である。ActRIIBポリペプチドまたは試験化合物は、GDF8のこの活性を拮抗すると予想される。細胞ベースのアッセイの別の例には、ActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の存在下での筋芽細胞(C(2)C(12)筋芽細胞など)の増殖の測定が含まれる(例えば、Thomasら、J Biol.Chem.2000、275:40235−43)。
【0103】
本発明はまた、筋肉の量および強度を測定するためのin vivoアッセイを意図する。例えば、Whittemoreら(Biochem Biophys Res Commun.2003、300:965−71)は、マウスの骨格筋量の増加および握力の増加の測定方法を開示している。任意選択的に、本方法を使用して、筋肉の疾患または容態(例えば、筋肉量が制限される疾患)に及ぼす試験化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)の治療効果を決定することができる。
【0104】
ある態様では、本発明は、骨形成の調整(刺激または阻害)および骨量の増加のための方法および薬剤を提供する。したがって、同定された任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、骨または軟骨の成長を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。
【0105】
例えば、骨または軟骨の成長に及ぼすActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の影響を、細胞ベースアッセイにおけるMsx2の誘導または骨前駆細胞の骨芽細胞への分化の測定によって決定することができる(例えば、Daluiskiら、Nat.Genet.2001、27(1):84−8;Hinoら、Front Biosci.2004、9:1520−9を参照のこと)。細胞ベースのアッセイの別の例には、間葉系前駆細胞および骨芽細胞中の本ActRIIBポリペプチドおよび試験化合物の骨形成活性の分析が含まれる。例示するために、C3H10T1/2多能性間葉系前駆細胞、C2C12前造骨性細胞、およびTE−85骨芽細胞に感染させるためのActRIIBポリペプチドを発現する組換えアデノウイルスを構築した。次いで、骨形成活性を、アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、基質ミネラル化の誘導の測定によって決定する(例えば、Chengら、J bone Joint Surg Am.2003、85−A(8):1544−52を参照のこと)。
【0106】
本発明はまた、骨または軟骨の成長を測定するためのin vivoアッセイを意図する。例えば、Namkung−Matthaiら、Bone、28:80−86(2001)は、骨折後初期の骨修復を研究するラット骨粗鬆症モデルを開示する。Kuboら、Steroid Biochemistry & Molecular Biology、68:197−202(1999)はまた、骨折後後期の骨修復を研究するラット骨粗鬆症モデルを開示する。これらの文献は、骨粗鬆症性骨折研究に関するラットモデルの開示についてその全体が本明細書中で参考として援用される。ある態様では、本発明は、当該分野で公知の骨折治癒アッセイを使用する。これらのアッセイには、骨折技術、組織学的分析、および生化学的分析が含まれ、これらは、例えば、米国特許第6,521,750号(骨折の原因、骨折範囲の測定、および治癒過程のための実験プロトコルの開示についてその全体が参考として援用される)に記載されている。
【0107】
ある態様では、本発明は、体重増加および肥満を調節するための方法および薬剤を提供する。細胞レベルで、脂肪細胞の増殖および分化は、肥満発症に極めて重要であり、さらなる脂肪細胞(脂肪細胞)を生成させる。したがって、同定した任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、脂肪細胞の増殖または分化の測定によって脂質生成を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。例えば、脂質生成に及ぼすActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)または試験化合物の影響を、細胞ベースのアッセイにおける3T3−L1前脂肪細胞の成熟脂肪細胞の分化の測定(Oil Red O染色ビヒクル中のトリアシルグリセロールの蓄積の観察およびFABP(aP2/422)およびPPARγ2などのある脂肪細胞マーカーの出現など)によって決定することができる。例えば、Reuschら、2000、Mol Cell Biol.20:1008−20;Dengら、2000、Endocrinology.141:2370−6;Bellら、2000、Obes Res.8:249−54を参照のこと。細胞ベースのアッセイの別の例には、ブロモデオキシウリジン(BrdU)陽性細胞のモニタリングなどによる脂肪細胞または脂肪細胞前駆細胞(例えば、3T3−L1細胞)の増殖におけるActRIIBポリペプチドおよび試験化合物の役割の分析が含まれる。例えば、Picoら、1998、Mol Cell Biochem.189:1−7;Masunoら、2003、Toxicol Sci.75:314−20を参照のこと。
【0108】
本発明のスクリーニングアッセイは、本ActRIIBポリペプチドおよびActRIIBポリペプチドのバリアントだけでなく、任意の試験化合物(ActRIIBポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストが含まれる)にも適用されると理解される。さらに、これらのスクリーニングアッセイは、薬物標的の検証および品質管理に有用である。
【0109】
6.治療への使用例
ある実施形態では、本発明の組成物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンド(例えば、GDF8)の異常な活性に関連する疾患または容態の治療または防止のために使用することができる。これらの疾患、障害、または容態を、本明細書中で一般に、「ActRIIB関連容態」という。ある実施形態では、本発明は、治療有効量の上記ActRIIBポリペプチドを個体に投与することによって必要とする個体を治療または防止する方法を提供する。これらの方法は、特に、動物、より詳細にはヒトの治療的処置および予防的処置を目的とする。
【0110】
本明細書中で使用する場合、障害または容態を「防止する」処置は、統計サンプルにおいて、未処置コントロールサンプルと比較して処置サンプルにおける障害または容態の発症を軽減するか、未処置コントロールサンプルと比較して障害または容態の1つまたは複数の症状の発症を遅延させるか重症度を低下させる化合物をいう。本明細書中で使用する場合、用語「治療」には、指定の容態の予防または一旦確立された容態の改善または消失が含まれる。
【0111】
ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体は、組織成長および初期発生過程(種々の構造正確な形成など)または1つまたは複数の発生後能力(性的発育、下垂体ホルモン産生、ならびに骨および軟骨の作製が含まれる)で不可欠な役割を果たす。したがって、ActRIIB関連容態には、異常な組織成長および発育障害が含まれる。さらに、ActRIIB関連容態には、炎症、アレルギー、自己免疫疾患、感染症、および腫瘍などの細胞の成長および分化の障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
例示的ActRIIB関連容態には、神経筋障害(例えば、筋ジストロフィおよび筋萎縮)、鬱血性閉塞性肺疾患(およびCOPDに関連する筋肉消耗)、筋肉消耗症候群、サルコペニア、悪液質、脂肪組織障害(例えば、肥満)、2型糖尿病、および骨変性疾患(例えば、骨粗鬆症)が含まれる。他の例示的ActRIIB関連容態には、筋肉変性障害および神経筋障害、組織修復(例えば、創傷治癒)、神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、免疫学的障害(例えば、リンパ球の異常な増殖または機能に関連する障害)、ならびに肥満、または脂肪細胞の異常な増殖に関連する障害が含まれる。
【0113】
ある実施形態では、本発明の組成物(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)を、筋ジストロフィ治療の一部として使用する。用語「筋ジストロフィ」は、骨格筋ならびに時折心筋および呼吸筋の段階的脆弱および悪化によって特徴づけられる変性筋疾患群をいう。筋ジストロフィは、筋肉の微視的変化から開始される進行性の筋肉の消耗および脆弱によって特徴づけられる全身障害である。筋肉が長期にわたって変性するにつれて、ヒトの筋肉の強度が減少する。本ActRIIBポリペプチドを含むレジメンを使用して治療することができる例示的筋ジストロフィには、ディシュンヌ型筋ジストロフィ(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィ(BMD)、エメリ・ドレフュシュ型筋ジストロフィ(EDMD)、肢帯型筋ジストロフィ(LGMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ(FSHまたはFSHD)(ランドゥジー・デジュリン型としても公知)、筋緊張性筋ジストロフィ(MMD)(シュタイネルト病としても公知)、眼咽頭型筋ジストロフィ(OPMD)、遠位型筋ジストロフィ(DD)、先天性筋ジストロフィ(CMD)が含まれる。
【0114】
ディシュンヌ型筋ジストロフィ(DMD)は、1860年代に、フランス人神経学者Guillaume Benjamin Amand Duchenneによって最初に記載された。ベッカー型筋ジストロフィ(BMD)は、1950年代にDMDのこのバリアントを最初に記載したゲルマン人医師Peter Emil Beckerの名をとって命名されている。DMDは、少年3500人に1人が罹患する最も頻繁な遺伝病の1つである。DMDは、X染色体の短腕に存在するジストロフィン遺伝子が破壊した場合に発症する。男性のみが1コピーのX染色体を保有するので、男性は1コピーのジストロフィン遺伝子のみを有する。ジストロフィンタンパク質がなければ、筋肉は、収縮および弛緩サイクル中に容易に損傷する。疾患初期では筋肉は再生によって補われるが、後期では筋前駆細胞が持続する損傷に対応することができず、健康な筋肉が非機能性線維脂肪組織に置換される。
【0115】
BMDは、ジストロフィン遺伝子の異なる変異に起因する。BMD患者は、いくつかのジストロフィンを有するが、量または質のいずれかが不十分である。いくつかのジストロフィンを有することにより、BMD患者の筋肉がDMD患者と同様の悪性度または速度での変性から防御される。
【0116】
例えば、最近の研究により、in vivoでのGDF8(ActRIIBリガンド)機能の遮断または消失がDMDおよびBMD患者における少なくとも一定の症状を有効に治療することができることが証明されている。したがって、本ActRIIBポリペプチドはGDF8インヒビター(アンタゴニスト)として作用することができ、DMDおよびBMD患者におけるin vivoでのGDF8および/またはActRIIBの機能の別の遮断手段を構成する。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、筋ジストロフィのマウスモデルの筋肉量を増加させることを示した。
【0117】
同様に、本ActRIIBポリペプチドは、筋肉成長が必要な他の病状で筋肉量を増加させるための有効な手段を提供する。例えば、ルー・ゲーリック病(運動ニューロン疾患)とも呼ばれるALSは、運動ニューロン(脳を骨格筋に連結するCNSの成分)を攻撃する慢性で不治の抑制できないCNS障害である。ALSでは、運動ニューロンが悪化し、最終的に死滅し、患者の脳は通常は完全な機能および警告を保持するにもかかわらず、移動の指令は決して筋肉に到達しない。ほとんどのALS患者は、40歳と70歳との間である。弱った第1の運動ニューロンは、腕または脚に至るものである。ALS患者は、歩行が困難であり得、物を落し得、倒れ、ろれつが回らず、笑いまたは叫び声を制御できない。最終的には、四肢中の筋肉が不使用から萎縮し始める。この筋力低下によって脆弱化するようになり、患者は車いすを必要とするか、ベッドから起き上がることができなくなる。ほとんどのALS患者は、呼吸不全または肺炎のような喚起補助の合併症によって疾患発症から3〜5年で死亡する。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、ALSのマウスモデルの外観、筋肉量、および寿命を改善することが示された。
【0118】
ActRIIBポリペプチド誘導性の筋肉量の増加は、筋肉消耗疾患を罹患した患者にも有利であり得る。Gonzalez−Cadavidら(前出)は、GDF8発現がヒトの除脂肪量と逆に相関し、GDF8遺伝子の発現の増加がAIDS消耗症候群の男性の体重減少に関連すると報告した。AIDS患者におけるGDF8機能の阻害により、完全に消失しない場合、AIDSの少なくとも一定の症状を緩和することができ、したがって、AIDS患者の生活の質を有意に改善することができる。
【0119】
GDF8(ActRIIBリガンド)機能の喪失も栄養摂取を減少することのない脂肪喪失に関連するので(Zimmersら、前出;McPherronおよびLee、前出)、本ActRIIBポリペプチドを、肥満およびII型糖尿病の発症を遅延または防止するための治療薬としてさらに使用することができる。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、肥満マウスの代謝状態を改善することを示した。
【0120】
癌食欲不振−悪液質症候群は、癌の最も衰弱性で致命的な態様である。癌食欲不振−悪液質症候群における進行性体重減少は、多数の癌型の共通の特徴であり、生活の質および化学療法に対する応答が不良なだけでなく、体重減少を伴わない類似の腫瘍患者で見出される生存期間よりも生存期間が短い。食欲不振、脂肪および筋肉組織の消耗、心理的苦痛、およびより低い生活の質に関連して、悪液質は、癌と宿主との間の複雑な相互作用から生じる。悪液質は癌患者の間で最も一般的な死因の1つであり、死因の80%を占める。悪液質は、タンパク質、炭水化物、および脂肪の代謝をもたらす代謝カオスの複雑な例である。腫瘍は、直接または間接的な異常の両方を生じ、それにより、食欲不振および体重増加が生じる。現在、この過程を調節または逆転するための治療は存在しない。癌食欲不振−悪液質症候群は、サイトカイン産生、脂質流動化因子およびタンパク質分解誘導因子の放出、ならびに中間代謝の変化をもたらす。食欲不振が一般的であるにもかかわらず、食物摂取の減少のみでは癌患者の身体組成の変化を説明することができず、栄養摂取の増加によって消耗症候群を逆転することはできない。発症前の体重の5%を超える無意識の体重減少が6ヶ月以内に起こる場合、癌患者の悪液質を疑うべきである。
【0121】
成体マウスにおけるGDF8の全身過剰発現がヒト悪液質症候群で認められるものと類似の最重度の筋肉および脂肪の減少を誘導することが見出されていたので(Zimmersら、前出)、筋肉成長が望ましい場合、薬学的組成物としての本ActRIIBポリペプチドを有利に使用して、悪液質症候群の症状を防止、治療、または改善することができる。
【0122】
他の実施形態では、本発明は、骨および/または軟骨形成の誘導、骨減少の防止、骨ミネラル化の増加、または骨脱ミネラル化の防止を行う方法を提供する。例えば、本発明で同定された本ActRIIBポリペプチドおよび化合物を、ヒトおよび他の動物における骨粗鬆症の治療ならびに骨折および軟骨欠損の治癒で適用する。ActRIIBポリペプチドは、骨粗鬆症発症に対する防御的測定としての無症候性低尾骨密度を用いて診断された患者で有用であり得る。
【0123】
1つの特定の実施形態では、本発明の方法および組成物は、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損の治癒で医学的に使用することができる。本方法および組成物はまた、本方法および組成物は、閉鎖骨折および開放骨折の軽減で予防的に使用することもでき、人工関節固定の改善で使用することもできる。骨形成薬によって誘導されたde novo骨形成は、先天性、外傷誘導性、または腫瘍切除誘導性頭蓋顔面欠損の修復に寄与し、美容成形手術でも有用である。さらに、本発明の方法および組成物を、歯周疾患の治療および他の歯の修復過程で使用することができる。ある場合において、本ActRIIBポリペプチドは、骨形成細胞を誘引し、骨形成細胞の成長を刺激し、骨形成細胞前駆体の分化を誘導するための環境を提供することができる。本発明のActRIIBポリペプチドはまた、骨粗鬆症治療で有用であり得る。さらに、ActRIIBポリペプチドを、軟骨欠損の修復および変形性関節症の防止/逆転で使用することができる。
【0124】
別の特定の実施形態では、本発明は、軟骨および/または骨欠損または歯周疾患に関連する骨折および他の容態のための治療方法および組成物を提供する。本発明は、さらに、創傷治癒および組織修復のための治療方法および組成物を提供する。創傷型には、熱傷、切創、および潰瘍が含まれるが、これらに限定されない。例えば、PCT公開番号WO84/01106号を参照のこと。かかる組成物は、薬学的に許容可能なビヒクル、キャリア、またはマトリックスと混合した治療有効量の少なくとも1つの本発明のActRIIBポリペプチドを含む。
【0125】
別の特定の実施形態では、本発明の方法および組成物を、骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、クッシング病、甲状腺中毒症、慢性下痢状態または吸収不良、細尿管性アシドーシス、または神経性食欲不振などの骨減少を生じる容態に適用することができる。女性であること、低体重であること、および座りがちな生活様式を招いていることが骨粗鬆症(骨折の危険につながる骨密度の喪失)の危険因子であることが広く知られている。しかし、骨粗鬆症はまた、一定の薬物の長期使用に起因し得る。薬物または別の病状に起因する骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症として公知である。クッシング病として公知の病状では、体内で産生された過剰量のコルチゾールにより、骨粗鬆症および骨折を引き起こす。続発性骨粗鬆症に関連する最も一般的な薬物は、コルチコステロイド(コルチゾールの用に作用する薬物クラスであって、副腎によって天然に産生されるホルモン)である。適切なレベルの甲状腺ホルモン(甲状腺によって産生される)が骨格の発達に必要であるにもかかわらず、過剰な甲状腺ホルモンは、長期にわたって骨量を減少させ得る。アルミニウムを含む制酸薬は、腎臓に問題のある患者、特に、透析を受けている患者が高用量の薬物を投与されている場合に骨減少を引き起こし得る。続発性骨粗鬆症を引き起こし得る他の薬物には、癲癇を予防するために使用されるフェニトイン(ジランチン)およびバルビツール酸塩;メトトレキサート(Rheumatrex、Immunex、Folex PFS)、関節炎、癌、および免疫障害のいくつかの型のための薬物;シクロスポリン(Sandimmune、Neoral)、臓器移植患者におけるいくつかの自己免疫疾患を治療し、免疫系を抑制するために使用される薬物;前立腺癌および子宮内膜癌を治療するために使用される黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Lupron、Zoladex);ヘパリン(Calciparine、Liquaemin)、抗凝固薬;ならびに高コレステロールを治療するために使用されるコレスチラミン(Questran)およびコレスチポール(Colestid)が含まれる。歯周病により、骨減少が引き起こされる。これは、口内のこれらの有害な細菌により、身体が細菌に対する防御を強いられるからである。細菌は、ガムライン下に毒素および酵素を産生し、慢性感染症を引き起こす。
【0126】
さらなる実施形態では、本発明は、異常なまたは望ましくない骨成長に関連する疾患または障害の治療方法および治療薬を提供する。例えば、進行性骨化性線維異形成(FOP)として公知の疾患を有する患者は、任意の運動を妨害する「第2の骨格」を成長させる。さらに、股関節置換手術後に異常な骨成長が起こり得るので、手術結果が台無しになる。これは、本方法および組成物が治療的に有用であり得る病理学的骨成長および状況のより一般的な例である。同一の方法および組成物は、異常な骨成長の他の形態(例えば、外傷、熱傷、または脊髄損傷後の病理学的骨成長)の治療および転移性の前立腺癌または骨肉種に関連して認められる異常な骨成長に関連する望ましくない容態の治療または防止にも有用であり得る。これらの治療薬の例には、ActRIIBリガンド(例えば、BMP7)の機能を拮抗するActRIIBポリペプチド、ActRIIBとそのリガンド(例えば、BMP7)との間の相互作用を破壊する化合物、およびActRIIBリガンド(例えば、BMP7)がActRIIB受容体に結合できないようにActRIIB受容体に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、動物の体脂肪含有量の調節および体脂肪含有量に関連する容態、特に、体脂肪含有量に関連する健康を脅かす容態の治療または防止のための組成物および方法を提供する。本発明によれば、「体重を制御(調節)する」は、体重の減少または増加、体重増加率の減少または増加、または体重減少率の増加または減少をいうことができ、(例えば、体重を増加または減少させ得る外部または内部の影響に対して)体重の積極的な維持または体重を有意に変化させないことも含まれる。本発明の1つの実施形態は、必要とする動物(例えば、ヒト)へのActRIIBポリペプチドの投与による体重の制御に関する。
【0128】
1つの特定の実施形態では、本発明は、動物における体重の減少および/または体重増加の減少ならびに、より詳細には、肥満のリスクがあるか罹患している患者の肥満の治療または改善のための方法および化合物に関する。別の特定の実施形態では、本発明は、体重を増加または維持できない動物(例えば、消耗症候群を罹患した動物)の治療のための方法および化合物に関する。かかる方法は、体重および/または質量の増加、体重および/または質量の減少、または望ましくなく(例えば、不健康に)低い体重および/または質量に関連するか起因する容態の改善に有効である。
【0129】
ActRIIBタンパク質を使用して治療することができる他の障害(高コレステロールが含まれる)を、実施例に記載している。
【0130】
7.薬学的組成物
ある実施形態では、本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を、薬学的に許容可能なキャリアを使用して処方する。例えば、ActRIIBポリペプチドを、単独で投与するか、薬学的処方物(治療組成物)の成分として投与することができる。本化合物を、ヒトまたは脊椎動物の薬物で用いる任意の都合の良い方法での投与のために処方することができる。
【0131】
ある実施形態では、本発明の治療方法は、組成物を局所、全身、または移植片もしくはデバイスとして局部に投与する工程を含む。投与する場合、本発明で使用する治療組成物は、勿論、発熱物質を含まない生理学的に許容可能な形態である。さらに、組成物を、望ましくは、標的組織部位(例えば、骨、軟骨、筋肉、脂肪、またはニューロン)(例えば、組織損傷を有する部位)への送達のための種々の形態でカプセル化または注射することができる。局所投与は、創傷治癒および組織修復に適切であり得る。任意選択的に上記組成物中に含めることもできるActRIIBポリペプチド以外の治療に有用な薬剤を、二者択一的または付加的に、本発明の方法において本化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)と同時または連続的に投与することができる。
【0132】
ある実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数の治療化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を標的組織部位に送達させて発生中の組成物の構造を得ることができ、任意選択的に身体に再吸収することができるマトリックスを含むことができる。例えば、マトリックスにより、ActRIIBポリペプチドの放出を遅延させることができる。かかるマトリックスを、現在他の医学的に移植で使用される材料から形成することができる。
【0133】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的性質、美容的外観、および界面特性に基づく。本組成物の特定の適用により、適切な処方物が明らかになるであろう。組成物の潜在的なマトリックスは、生分解性で化学的に定義された硫酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ酸無水物であり得る。他の潜在的な材料は、生分解性であり、且つ生物学的に十分に定義されている骨または皮膚コラーゲンなどである。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外基質成分から構成される。他の潜在的なマトリックスは、非生分解性であり、且つ化学的に定義された焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミナート、または他のセラミックスなどである。マトリックスは、任意の上記の材料型の組み合わせ(ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよび第三リン酸カルシウムなど)から構成され得る。バイオセラミックスを組成物中で変化させ(カルシウム−アルミナート−ホスファートなど)、処理して孔径、粒子サイズ、粒子の形状、および生分解性を変化させることができる。
【0134】
ある実施形態では、本発明の方法を、例えば、有効成分として所定量の薬剤をそれぞれ含むカプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(風味をつけた基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、粉末、顆粒、水性または非水性の溶液または懸濁液、水中油滴型または油中水滴型乳濁液、エリキシルまたはシロップ、香剤(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用)、および/または含嗽剤などの形態で経口投与することができる。薬剤を、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与することもできる。
【0135】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、および顆粒など)では、1つまたは複数の本発明の治療化合物を、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリア(クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなど)および/または任意の以下と混合することができる:(1)充填剤または増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなど);(3)保湿剤(グリセロールなど);(4)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、一定の径酸塩、および炭酸ナトリウムなど);(5)溶解遅延剤(パラフィンなど);(6)吸収促進剤(第四級アンモニウム化合物など);(7)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど);(8)吸収剤(カオリンおよびベントナイトクレイなど);(9)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物など);および(10)着色剤。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、薬学的組成物は緩衝剤も含むことができる。類似の型の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟および硬ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。
【0136】
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容可能な乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。有効成分に加えて、液体投薬形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(水または他の溶剤など)、溶解補助剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などを含むことができる。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント(湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤など)、甘味料、香味物質、着色料、香料、および防腐剤を含むことができる。
【0137】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤(エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステルなど)、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物を含むことができる。
【0138】
本明細書中に開示の一定の組成物を、皮膚または粘膜に局所投与することができる。局所処方物は、皮膚または角質層への浸透促進剤として有効であることが公知の1つまたは複数の広範な種々の薬剤をさらに含むことができる。これらの例は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルアルコールまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、およびアゾンである。さらなる薬剤をさらに含めて、美容的に許容可能な処方物を作製することができる。これらの例は、脂肪、ワックス、油、色素、香料、防腐剤、安定剤、および界面活性剤である。角質溶解薬(当該分野で公知の角質溶解薬など)も含めることができる。例は、サリチル酸および硫黄である。
【0139】
局所または経費投与のための投薬形態には、粉末、噴霧、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物を、滅菌条件下で薬学的に許容可能なキャリアおよび必要であり得る任意の防腐剤、緩衝液、または噴射剤と混合することができる。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)に加えて、賦形剤(動物および植物の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはその混合物など)を含むことができる。
【0140】
粉末および噴霧は、本化合物に加えて、賦形剤(ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物など)を含むことができる。噴霧は、さらに、慣習的噴射剤(クロロフルオロ炭化水素など)および揮発性非置換炭化水素(ブタンおよびプロパンなど)を含むことができる。
【0141】
ある実施形態では、非経口投与に適切な薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、処方物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁剤、または増粘剤を含むことができる1つまたは複数の薬学的に許容可能な滅菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、もしくは乳濁液、または使用直前に滅菌注射液または滅菌注射懸濁液に再構成することができる滅菌粉末と組み合わせた1つまたは複数のActRIIBポリペプチドを含むことができる。本発明の薬学的組成物中で使用することができる適切な水性および非水性のキャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、および注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が含まれる。例えば、コーティング物質(レシチンなど)の使用、分散液の場合の必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。
【0142】
本発明の組成物はまた、アジュバント(防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤など)を含むことができる。種々の抗生物質および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸など)を含めることによって微生物作用の防止を確実に行うことができる。等張剤(糖および塩化ナトリウムなど)を組成物に含めることも望ましいかもしれない。さらに、吸収を遅延する薬剤(モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど)を含めることによって注射用薬学的形態の吸収を遅延することができる。
【0143】
主治医が本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)の作用を改変する種々の要因を考慮することによって投薬レジメンを決定することが理解される。種々の要因は、治療すべき疾患に依存するであろう。筋肉障害では、要因には、形成が望まれる筋肉量、疾患に最も影響を及ぼす筋肉、悪化した筋肉の容態、患者の年齢、性別、および食事、投与期間、および他の臨床的要因が含まれるが、これらに限定されない。最終組成物への他の公知の成長因子の添加も投薬量に影響を及ぼし得る。筋肉の成長および/または修復の定期的評価(例えば、強度試験、筋肉サイズのMRI評価、および筋肉生検の分析)によって進行をモニタリングすることができる。
【0144】
本発明のある実施形態では、1つまたは複数のActRIIBポリペプチドを、共に(同時に)投与するか、異なる時間に(連続的または重複的に)投与することができる。さらに、ActRIIBポリペプチドを、別の型の治療薬(例えば、軟骨誘導薬、骨誘導薬、筋肉誘導薬、脂肪減少薬、またはニューロン誘導薬)と共に投与することができる。2つの型の化合物を、同時または異なる時間に投与することができる。本発明のActRIIBポリペプチドが別の治療薬が協力するか相乗的に作用することができると予想される。
【0145】
特定の例では、種々の骨形成因子、軟骨誘導因子、および骨誘導因子、特に、ビスホスホネートが記載されている。例えば、欧州特許出願番号148,155号および同第169,016号を参照のこと。例えば、本ActRIIBポリペプチドと組み合わせることができる他の因子には、種々の成長因子(上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF−αおよびTGF−β)、およびインスリン様成長因子(IGF)など)が含まれる。
【0146】
ある実施形態では、本発明はまた、ActRIIBポリペプチドのin vivo産生のための遺伝子療法を提供する。かかる療法は、上に列挙の障害を有する細胞または組織へのActRIIBポリヌクレオチド配列の導入によってその治療効果を達成するであろう。ActRIIBポリヌクレオチド配列の送達を、キメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を使用して行うことができる。ActRIIBポリヌクレオチド配列の治療的送達には、ターゲティングしたリポソームを使用することが好ましい。
【0147】
本明細書中に教示の遺伝子療法のために使用することができる種々のウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、好ましくは、RNAウイルス(レトロウイルスなど)が含まれる。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリのレトロウイルスの誘導体である。1つの外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるが、これらに限定されない。多数のさらなるレトロウイルスベクターを、複数の遺伝子に組み込むことができる。全てのこらのベクターを、形質導入された細胞を同定および生成することができるように、選択マーカー遺伝子を導入または組み込むことができる。レトロウイルスベクターを、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質の結合によって標的特異的にすることができる。抗体の使用によるターゲティングが好ましい。当業者は、特異的ポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムに挿入するかウイルスエンベロープに結合させて、ActRIIBポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターを標的特異的に送達させることができると認識している。1つの好ましい実施形態では、ベクターを、骨、軟骨、筋肉、またはニューロン細胞/組織にターゲティングする。
【0148】
あるいは、組織培養細胞を、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによってレトロウイルス構造遺伝子であるgag、pol、およびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトすることができる。ついで、これらの細胞を、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトする。得られた細胞は、培養培地にレトロウイルスベクターを放出する。
【0149】
ActRIIBポリヌクレオチドのための別のターゲティングされた送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフィア、ビーズ、および脂質ベースの系(水中油滴型乳濁液が含まれる)、ミセル、混合ミセル、およびリポソームが含まれる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、in vitroおよびin vivoでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンを、水性内部内にカプセル化し、生物活性形態で細胞に送達させることができる(例えば、Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、6:77、1981)。リポソームビヒクルを使用した有効な遺伝子導入方法は当該分野で公知であり、例えば、Manninoら、Biotechniques、6:682、1988を参照のこと。リポソームの組成物は、通常、リン脂質の組み合わせ(通常、ステロイド、特にコレステロールとの組み合わせ)である。他のリン脂質または他の脂質も使用することができる。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および2価の陽イオンの存在に依存する。
【0150】
リポソーム産生で有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物(ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドなど)が含まれる。例示的リン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。例えば、臓器特異性、細胞特異性、およびオルガネラ特異性に基づいたリポソームのターゲティングも可能であり、当該分野で公知である。
【実施例】
【0151】
本発明を、ここに一般的に記載し、以下の実施例を参照して本発明がより容易に理解されるであろう。実施例は、一定の実施形態および本発明の実施形態の例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
【0152】
(実施例1)
ActRIIB−Fc融合タンパク質の生成
出願人は、その間に最小のリンカー(3つのグリシンアミノ酸)を有するヒトまたはマウスのFcドメインに融合したヒトActRIIBの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIB融合タンパク質を構築した。この構築物を、それぞれ、ActRIIb−hFcおよびActRIIb−mFcという。
【0153】
CHO細胞株から精製したActRIIb−hFcを、以下に示す(配列番号5)。
【0154】
【化2】
ActRIIb−hFcタンパク質およびActRIIb−mFcタンパク質を、CHO細胞株中に発現させた。以下の3つの異なるリーダー配列を考慮した。
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号7)
(ii)組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号8)
(iii)未変性:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号9)。
【0155】
選択形態はTPAリーダーを使用し、以下の非プロセシングアミノ酸配列を有する。
【0156】
【化3】
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコード去れる(配列番号10)。
【0157】
【化4】
【0158】
【化5】
CHO細胞産生物質のN末端配列決定により、−GRGEAEの主な配列(配列番号11)が明らかになった。特に、文献に報告された他の構築物は、−SGR...配列から始まる。
【0159】
一連のカラムクロマトグラフィ工程(例えば、以下の3つを超える工程が任意の順序で含まれる:プロテインAクロマトグラフィ、Qセファロースクロマトグラフィ、フェニルセファロースクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および陽イオン交換クロマトグラフィ)によって精製することができる。ウイルス濾過および緩衝液の交換を使用して精製を完了することができる。
【0160】
ActRIIb−Fc融合タンパク質を、HEK293細胞およびCOS細胞中にも発現した。全細胞株由来の材料および妥当な培養条件によってin vivoで筋肉増強活性を有するタンパク質が得られたが、力価の変動が認められ、この変動は、おそらく細胞株の選択および/または培養条件に関連する。
【0161】
(実施例2)
ActRIIb−Fc変異体の生成
出願人は、ActRIIBの細胞外ドメインの一連の変異を作製し、細胞外ActRIIBとFcドメインとの間の可溶性融合タンパク質としてこれらの変異タンパク質を産生した。バックグラウンドActRIIB−Fc融合物は、以下の配列(Fc部分に下線)(配列番号12)を有する。
【0162】
【化6】
種々の変異(N末端およびC末端の短縮が含まれる)を、バックグラウンドActRIIB−Fcタンパク質に導入した。実施例1に示したデータに基づいて、これらの構築物は、TPAリーダーを用いて発現した場合、N末端セリンを欠くと予想される。PCR変異誘発によってActRIIB細胞外ドメインを変異させた。PCR後、フラグメントを、Qiagenカラムによって精製し、SfoIおよびAgeIで消化し、ゲル精製した。これらのフラグメントを、ライゲーション時にヒトIgG1を有する融合キメラが作製されるように発現ベクターpAID4(WO2006/012627を参照のこと)にライゲーションした。E.coli DH5αへの形質転換の際に、コロニーを選別し、DNAを単離した。マウス構築物(mFc)について、ヒトIgG1をマウスIgG2aと置換した。全変異体の配列を検証した。
【0163】
全変異体を、一過性トランスフェクションによってHEK293T細胞中に産生した。まとめると、500mlスピナ中に、6×105細胞/mlのHEK293T細胞を250mlのFreestyle(Invitrogen)培地中に準備し、一晩成長させた。翌日、これらの細胞を、最終DNA濃度0.5ug/mlにてDNA:PEI(1:1)複合体で処理した。4時間後、250mlの培地を添加し、細胞を7日間成長させた。馴化培地を細胞の遠沈によって回収し、濃縮した。
【0164】
変異体を、種々の技術(例えば、プロテインAカラムが含まれる)を使用して精製し、低pH(3.0)のグリシン緩衝液で溶離した。中和後、これらをPBSに対して透析した。
【0165】
また、類似の方法によってCHO細胞中に変異体を産生した。
【0166】
変異体を、下記の結合アッセイおよび/またはバイオアッセイで試験した。いくつかの例では、アッセイを、精製タンパク質よりもむしろ馴化培地を使用して行った。
【0167】
(実施例2)
GDF−11およびアクチビン媒介シグナル伝達のバイオアッセイ
A−204レポーター遺伝子アッセイを使用して、GDF−11およびアクチビンAによるシグナル伝達に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響を評価した。細胞株:ヒト横紋筋肉腫(筋肉由来)。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennlerら、1998、EMBO 17:3091−3100に記載)。図5を参照のこと。CAGA12モチーフは、TGF−β応答遺伝子(PAI−1遺伝子)中に存在するので、このベクターは、Smad2および3を介してシグナル伝達する因子に一般に使用される。
1日目:A−204細胞を48ウェルプレートに分割する。
2日目:10ugのpGL3(CAGA)12またはpGL3(CAGA)12(10 ug)+pRLCMV(1ug)、およびFugeneを使用してA−204細胞をトランスフェクトする。
3日目:因子(培地+0.1%BSAに希釈)を添加する。インヒビターを細胞への添加の1時間前に因子とプレインキュベーションする必要がある。6時間後、細胞をPBSで洗浄し、細胞を溶解する。
【0168】
これの後に、ルシフェラーゼアッセイを行う。いかなるインヒビターの非存在下でさえも、アクチビンAは、レポーター遺伝子発現の10倍の刺激およびED50〜2ng/mlを示した。GDF−11:16倍刺激、ED50:〜1.5ng/ml。
【0169】
ActRIIB(R64、20〜134)は、本アッセイで、アクチビン、GDF−8、およびGDF−11活性の強力なインヒビターである。バリアントを、このアッセイで同様に試験した。
【0170】
(実施例3)
N末端およびC末端短縮のGDF−11阻害
ActRIIB部分であるActRIIB−Fc(R64、20〜134)のN末端およびC末端を短縮し、GDF−11およびアクチビンのインヒビターとしての活性について試験した。活性を以下に示す(馴化培地中で測定)。
【0171】
C末端ActRIIb−hFc短縮:
【0172】
【化7】
認められるように、C末端の3つ(...PPTで終わる)、6つ(...YEPで終わる)、またはそれを超えるアミノ酸の短縮により、分子の活性が1/3以下に減少する。ActRIIB部分の最後の15アミノ酸の短縮により、より多くの活性が喪失する(WO2006/012627号を参照のこと)。
【0173】
ActRIIB−hFc(R64 20〜131)タンパク質のバックグラウンド中にアミノ末端短縮を作製した。活性を以下に示す(馴化培地中で測定)。
【0174】
N末端ActRIIb−hFc短縮:
【0175】
【化8】
【0176】
【化9】
したがって、N末端から2つ、3つ、または4つのアミノ酸の短縮により、全長細胞外ドメインを有するバージョンより活性の高いタンパク質が産生される。さらなる実験は、5つのアミノ酸を短縮したActRIIb−hFc(R64、25〜131)は非短縮形態と等価な活性を有し、N末端のさらなる欠失はタンパク質活性を破壊し続けることを示す。したがって、最適な構築物は、配列番号4のアミノ酸133〜134で終わるC末端と配列番号4のアミノ酸22〜24で始まるN末端との間を有するであろう。アミノ酸21または25に対応するN末端により、ActRIIb−hFc(R64、20〜134)構築物に類似の活性が得られるであろう。
【0177】
(実施例4)
ActRIIb−Fcバリアント、細胞ベースの活性
上記のように、ActRIIB−Fcタンパク質の活性を、細胞ベースのアッセイで試験した。結果を以下の表1にまとめている。異なるC末端短縮構築物中のいくつかのバリアントを試験した。上記で考察するように、5個または15個のアミノ酸短縮により、活性が減少した。著しいことに、L79DおよびL79Eバリアントはアクチビン結合の実質的な欠失を示す一方で、GDF−11のほとんどの野生型阻害を保持した。
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fc結合:
【0178】
【化10】
【0179】
【化11】
+低活性(約1×10−6KI)
++中程度の活性(約1×10−7KI)
+++良好な(野生型)活性(約1×10−8KI)
++++野生型より高い活性 。
【0180】
いくつかのバリアントを、ラット中で血清半減期について評価した。ActRIIB(R64 20〜134)−Fcの血清半減期は約70時間である。ActRIIB(R64 A24N 20〜134)−Fcの血清半減期は、約100〜150時間である。A24Nバリアントは、細胞ベースのアッセイ(上記)およびin vivoアッセイ(下記)で野生型分子と等価の活性を有する。より長い半減期と組み合わせて、これは、長期にわたってA24Nバリアントが野生型分子よりもタンパク質単位あたりの影響がより高いことを意味する。
【0181】
著しいことに、79位での酸性アミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸)の導入により、アクチビン結合が選択的に減少する一方で、GDF11/GDF8結合が保持される。下記で考察されるように、野生型ActRIIB−Fcタンパク質は、筋肉以外の組織に影響を及ぼすようであり、そのいくつかは望ましくないかもしれない。本明細書中に開示するように、これらの影響は、ActRIIB−Fcに結合して阻害する種々の異なるリガンド(おそらくアクチビンが含まれる)に関連すると予想される。最初のデータは、マウスでは、L79EおよびL79Dバリアントが筋肉以外の組織に及ぼす影響が減少する一方で、筋肉に及ぼすその影響が保持されることを示す。この型の異形をActRIIBのバリアントと見なすことができるにもかかわらず、これらのタンパク質はもはやアクチビン受容体として真に機能せず、したがって、俗称「ActRIIB」がこれらのポリペプチドの誘導の指標としてのみ適切であることに留意すべきである。79位の酸性残基がアクチビン結合を減少させる一方でGDF11結合を保持するにもかかわらず、この位置での他の変化ではこのような影響はない。L79A変化により、GDF11結合と比較してアクチビン結合が増加する。L79P変化により、アクチビンおよびGDF11結合の両方が減少する。
【0182】
(実施例5)
GDF−11およびアクチビンA結合
あるActRIIB−Fcタンパク質のリガンドへの結合を、BiaCore(商標)アッセイで試験した。
【0183】
ActRIIB−Fcバリアントまたは野生型タンパク質を、抗hFc活性を使用したシステムに捕捉した。リガンドを注入し、捕捉した受容体タンパク質に流した。結果を以下の表にまとめている。
【0184】
リガンド結合特異性IIBバリアント
【0185】
【化12】
これらのデータは細胞ベースのアッセイを確認し、A24NバリアントがActRIIb−hFc(R64 20〜134)分子に類似のリガンド結合活性を保持し、L79DまたはL79E分子がミオスタチンおよびGDF11結合を保持するが、アクチビンAへの結合の顕著な減少(定量不可能)を示すことを証明する。
【0186】
他のバリアントを生成し、WO2006/012627号に報告されているように、デバイスにカップリングしたリガンドを使用して試験し、カップリングしたリガンドに受容体を流した。これらのバリアントに関するデータの表を以下に再度示す。
【0187】
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fcバリアント結合(Biacoreアッセイ)
【0188】
【化13】
*結合は認められず
−−<1/5 WT結合
−約1/2 WT結合
+WT
++2倍未満の結合増加
+++約5倍の結合増加
++++約10倍の結合増加
+++++約40倍の結合増加 。
【0189】
(実施例6)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB−Fcタンパク質が野生型マウスの筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0190】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB(K74A 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、0日目および28日目にNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。ヒトActRIIB(R64 20〜134)−Fc処置マウスは、ビヒクルコントロール群と比較した場合、除脂肪組織の有意な31.1%の増加を示した。ヒトActRIIB(K74A 20〜134)−Fcタンパク質で処置したマウスは、コントロールコホートと比較して除脂肪組織量の有意な増加を示したが、ヒトActRIIB(R64 20〜134)処置群よりもその範囲は狭い。類似の研究では、マウスをPBS、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgのマウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcにて2回/週で腹腔内処置した。研究終了時に、大腿筋、腓腹筋、胸筋、および横隔膜筋を切開し、秤量した。結果を以下の表3にまとめている。
【0191】
【表3】
図3に示すように、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc融合タンパク質は、野生型マウスの筋肉量を有意に増加させる。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置マウスでは、腓腹筋は26.5%増加し、大腿筋は28.9%増加し、胸筋は40.0%増加した。本発明者らはまた、ビヒクル処置コントロールマウスと比較して63%増加した横隔膜筋の変化を認めた。横隔膜筋の減少は、種々の筋ジストロフィでよく見られる合併症である。したがって、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置後に認められる横隔膜重量の増加は、臨床的に重要であり得る。
【0192】
(実施例7)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼす長期半減期ActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、半減期が長いActRIIB−mFc(R64、A24N 20〜134)タンパク質のバリアントが野生型マウスの筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0193】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB−mFc(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB−mFc(R64、A24N 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、25日目までの種々の時点でNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。両分子によって総体重および筋肉量が等価に増加し、腓腹筋、大腿筋、および胸筋に及ぼす影響は、40〜70%増加の範囲であった。図5および6を参照のこと。
【0194】
これらのデータは、半減期増加型分子が短期間の研究で野生型分子と等価の効力で筋肉成長を促進することを証明する。
【0195】
(実施例8)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすアクチビン結合が減少したActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)タンパク質の長期半減期バリアントが野生型マウスの筋肉量を増加する能力を決定した。
【0196】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB−mFc(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、24日目までの種々の時点でNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。データを、以下の表に示す。
【0197】
【化14】
これらのデータは、ActRIIBのL79Dバリアント(アクチビンA結合の減少)がin vivoで筋肉成長に活性であるが、筋肉成長量は野生型ActRIIBより低いことを証明する。この影響の減少は、ミオスタチン結合のわずかな減少またはさらなる依然として未知の筋肉成長の負のレギュレーターへの結合の喪失に一部起因し得る。アクチビンAシグナル伝達に影響を及ぼすことなく筋肉成長を刺激する能力が非常に望ましい。これは、アクチビンが、生殖器系、骨、肝臓、および多数の他の組織に影響を及ぼすことが公知の広範に発現する調節分子であるからである。マウスでは、ActRIIB−mFc(R64 20〜134)が生殖器系に実質的に影響を及ぼし、いくつかの場合、脾臓サイズを増大させる。ActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)分子は、生殖組織および脾臓の両方に及ぼす影響を非常に弱め、この分子が生殖的に活動的であるか、生殖器系に及ぼす影響が最小であることが望ましい患者の筋肉成長の促進に特に適切であることが示された。
【0198】
(実施例9)
Mdxマウスにおける筋肉量および強度に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcタンパク質が罹患状態で筋肉量を増加させる能力を決定するために、出願人は、ActRIIB−Fcタンパク質が筋ジストロフィのmdxマウスモデルにおける筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0199】
成体Mdxマウスを、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcタンパク質(1、3、または10mg/kg;腹腔内)またはPBSビヒクルコントロールで2回/週にて処置した。力変換器を引いた場合に発揮するマウスの力を測定して、前肢の握力を測定する。コホート間の握力を比較するために、5回の平均牽引力を使用した。研究終了時に、大腿筋、腓腹筋、胸筋、および横隔膜筋を解剖し、秤量した。握力測定も有意な増加を示した。筋肉量の結果を、以下の表にまとめている。
【0200】
ビヒクルおよびマウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置mdxマウス由来の組織重量
【0201】
【化15】
表に示すように、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置群は、PBS処置マウスと比較してmdxマウスで除脂肪組織量が増加した。ActRIIB−Fc処置により、ビヒクルコントロール群と比較して、腓腹筋サイズが25.9%増加し、大腿筋サイズが31.8%増加し、胸筋サイズが85.4%増加した。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置マウスの横隔膜筋の重量がコントロールコホートと比較して34.2%増加することも見出されたことが臨床的に重要かもしれない。これらのデータは、筋ジストロフィ病態におけるActRIIB−Fcタンパク質の有効性を証明する。
【0202】
さらに、ActRIIB−Fcタンパク質で処置したmdxマウスは、ビヒクル処置コントロールと比較して握力が増加した。16週間後、1、3、および10mg/kgのActRIIB群は、それぞれ、ビヒクルコントロール群と比較して握力が31.4%、32.3%、および64.4%増加した。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置群の握力の改善は、処置群で見出された筋肉の増加が生理学的に関連するという概念を支持する。mdxマウスは、その野生型対応マウスよりも収縮誘導性障害に感受性を示し、有意により多数の分解再生サイクルを受ける。これらの筋肉表現型にもかかわらず、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置により、mdxマウスの握力が増加する。
【0203】
デュシェーヌ筋ジストロフィでは、幼少期に発症し、しばしば早ければ5歳で発症する。したがって、成体マウスに関して示した上記データは、必ずしもその影響を反映しておらず、ActRIIB分子は、DMDを有する小児が有するであろう。これに取り組むために、幼若mdxマウスを使用して研究を行った。
【0204】
ActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置は、幼若(4週齢)C57BL/10およびmdxマウスの体重を有意に増加させる。in vivoNMR顕微鏡法を使用した体組成分析により、より高い体重を伴う除脂肪組織量の増加が明らかとなった。各コントロールコホートよりActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置C57BL/10マウスは除脂肪組織量が35.2%増加し、処置mdx群は除脂肪組織量が48.3%増加した。さらに、強度に及ぼすActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置の影響を評価した。ビヒクル処置mdxマウスの握力スコアは、ビヒクルC57BL/10コホートよりも15.7%低く、それにより、ジストロフィン欠損に関連する筋力低下を示した。対照的に、ActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置mdxマウスは、mdxビヒクル群と比較してその握力が改善され、C57BL/10ビヒクルマウスを超え、処置C57BL/10握力スコアレベルに到達する握力に到達した(ビヒクルmdx:0.140±0.01 KgF;処置mdx:0.199±0.02 KgF;ビヒクルC57BL/10:0.166±0.03;0.205±0.02 KgF)。際立って、処置により、幼若mdxマウスが野生型の握力レベルに回復した。したがって、ActRIIB−mFc(R64、20〜134)分子は、特に、発症に近い年齢の若年患者におけるディシュンヌ型筋ジストロフィで臨床的に重要に適用される可能性が高い。
【0205】
(実施例7)
SOD1マウスの強度および生存に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
ActRIIBポリペプチドがALSマウスモデルの強度および生存を増大させる能力を決定するために、出願人は、SOD1マウスにおけるActRIIB−Fcタンパク質を試験した。
【0206】
B6.Cg−Tg(SOD1−G93A)1Gur/J(すなわちSOD1)マウスは、高コピー数のヒトスーパーオキシドジムスターゼ導入遺伝子の変異対立遺伝子を保有する。高レベルのこのタンパク質は、ヒト疾患ALSに匹敵する表現型をマウスに伝達する。SOD1マウスは、上行性麻痺を発症し、91日目までに初期の疾患の兆候を示す。この疾患により、19〜23週齢で早死にする。
【0207】
SOD1マウスに、ビヒクルコントロールまたはActRIIB−mFc(K74A 20〜134)(i.p.、5mg/kg、2回/週)を投与した。これを10週齢から開始した。力変換器を引いた場合に発揮するマウスの力を測定して、前肢の握力を測定する。コホート間の握力を比較するために、5回の平均牽引力を使用した。マウスの出生日とマウスが30秒以内に横倒しの状態を自ら正すことができない日の間の日数として生存を計算した。図7は握力の測定値を示し、図8は生存データを示す。
【0208】
疾患末期のマウスは、おそらく麻痺の進行によって毛繕いが困難であり、毛並が乱れている。マウスの大まかな観察により、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置群が、PBS群と比較して、疾患末期でさえも十分に毛繕いされているようであることが明らかとなった。この所見により、処置マウスがコントロールよりも良好な健康状態であり、高い生活の質を維持することが示唆される。
【0209】
図7に示すように、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置を受けたSOD1マウスは、PBSコントロールコホートと比較して有意に高い握力を示す。これは117日目(疾患初期)に認められ、149日目の疾患進行後にも認められた。図8は、ActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置マウスがビヒクルコントロールよりも有意に長期に生存することを示す。この研究は、マウスの強度および生存の改善に関するALSマウスモデルにおけるマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcの有用性を示す。
【0210】
SOD1マウスを使用して類似の実験を行ったが、有意な病徴の発生後のヒトALS治療をより良好に模倣するために、処置を肉眼で検出可能な発症の開始(130日目)まで遅延した。130日目に、SOD1マウスを、ビヒクル(改変TBS)処置群またはActRIIB(R64 20〜134)−mFc(10mg/kg)処置群のいずれかに分類した。マウスに、1週間に1回皮下投与した。マウスを、研究−1日目および27日目(それぞれ、129日齢および157日齢)にNMRスキャンした。0日目および20日目に握力測定を行った。研究終了時に、雄コントロール群は、研究0日目より体重が4.3%減少したのに対して、処置群は研究0日目より体重が7.8%増加した。雌コントロール群は、その研究0日目の体重より1.5%減少し、処置雌コホートは15%増加した。
【0211】
SOD1握力測定
【0212】
【化16】
雄および雌SOD1マウスにおける0日目および20日目の握力測定。上付文字の「a」は、各0日目の測定と比較した有意な相違を示す(p<0.05)。上付文字の「b」は、測定20日目のPBS(群1)およびActRIIB(R64 20〜134)−mFc(群2)との間の有意な相違を示す(p<0.05)。
【0213】
マウスをNMRスキャンして、治療に寄与した体組成の変化を決定した。雄コントロールマウスは、一連の研究にわたってその除脂肪組織量を6.0%喪失し(−1日目:18.2g±1.28;27日目:17.1g±1.10)、雄処置マウスは研究0日目のその除脂肪組織量を9.1%増加させた(−1日目:19.17g±0.77;27日目:20.92g±0.74)。雌コントロールマウスは、研究開始当初から除脂肪組織量が0.83%減少し(−1日目:13.18g±0.84;27日目:13.08 g±0.71)、雌処置マウスは研究0日目の体重が10.7%増加した(−1日目:13.66 g±0.83;27日目:15.12g±1.21)。雄および雌の処置群の両方は、その各コントロール群と比較して除脂肪組織量が有意に増加した(p<0.001)。
ActRIIB(R64 20〜134)−mFcのSOD1マウスの影響
【0214】
【化17】
これらのデータは、ActRIIB−Fc処置が、筋肉機能および生活の質の両方の改善のための能動性ALS患者の治療で有利であり得る。
【0215】
(実施例8)
肥満マウスの脂肪過多症および糖尿病に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、高脂肪食(HFD)摂取マウスにおいてActRIIB−mFcタンパク質を試験して、肥満マウスモデルにおいてActRIIB−Fcが脂肪過多症を軽減する能力を決定した。
【0216】
II型糖尿病は、肥満の主な合併症であり、インスリン抵抗性によって特徴づけられる。空腹時インスリンレベルの上昇は、インスリン抵抗性を示し、動物がインスリン抵抗状態であるかどうかを試験するための手段である。出願人は、肥満マウスモデルにおける正規化空腹時インスリンレベルでのマウスActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcでの処置の影響を決定した。
【0217】
HFD摂取C57BL/6マウスを、35%脂肪から構成される飼料で維持し、標準的な固形飼料(4.5%脂肪)を与えた年齢適合マウスより体重が約50%重い場合に肥満と見なした。肥満マウスに、ビヒクルコントロールまたはヒトActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fc(10mg/kg;i.p.)のいずれかを2回/週で投与した。肥満マウスをNMRスキャンして、投与開始時および投与3週間後の体組成を決定した。ベースラインからの体組成の変化を、図9にまとめている。
【0218】
マウスにHFDを与え、その体重が標準的な固形飼料を与えた対応マウスよりも50%重い場合に肥満と見なした。HFD摂取マウスに、ビヒクルコントロールまたはマウスActRIIB(R64 K74A 20−134)−Fc(5mg/kg 2回/週;i.p.)のいずれかを35週間投与した。研究終了時に、マウスを一晩絶食させた。絶食終了後、採血し、血清を処理した。次いで、血清を使用して、両コホートについての空腹時インスリンレベルを決定した。肥満マウスの空腹時インスリンレベルに及ぼすマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcの影響についての結果を、以下の表にまとめている。
【0219】
ビヒクルおよびマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置マウス由来の空腹時インスリンレベル
【0220】
【化18】
図9は、ビヒクル処置コントロールと比較した場合のマウスActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcコホートの脂肪過多症の減少を示す。処置マウスは、そのベースラインレベルと比較して、25.9%の脂肪量の減少が見出された。さらに、処置群は、そのベースラインレベルよりその除脂肪量が10.1%増加した。ActRIIB(R64 K74A 20〜134)−mFcの脂肪組織および除脂肪組織量の両方の変化率は、PBS処置群の変化率よりも有意に高かった。
【0221】
このモデルでは、マウスは、その固形飼料対応マウスより50%を超えて重くなるまで高脂肪食を維持した。この体重および脂肪過多症の顕著な増加に基づいて、このモデルが病的肥満として特徴づけられるヒトに対応し得るということは理にかなっている。したがって、ヒトActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcタンパク質での処置が肥満マウスの脂肪過多症を軽減するという所見は、病的肥満のヒトの治療に臨床的に関連し得る。
【0222】
表5にまとめた結果により、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcタンパク質での処置が肥満に関連する上昇した空腹時血清インスリンレベルを有意に低下させることができることが示唆される。この所見は、II型糖尿病治療におけるActRIIBポリペプチドの使用の臨床的に関連する可能性があることを支持する。
【0223】
さらなる実験を、肥満および糖尿病のHFDモデルにおいてActRIIB−mFc(R64 20〜134)を使用して行った。30週齢のHFD摂取C57BL/6マウスを2群(PBSおよび10mg/kg ActRIIB−mFc(R64 20〜134))に分けた。マウスを秤量し、2回/週にて12週間腹腔内投与した。マウスを、0日目および94日目にNMRによって評価した。
【0224】
処置マウスは、その実験0日目に1.9%の体重を喪失し、PBS処置マウスは、研究中の開始時体重より6.7%増加した。処置マウスはまた、研究中にPBS群よりも除脂肪組織が有意に増加した(21.1%±6.28対3.7%±4.08)。処置マウスはまた、PBS群(+10.2±10.18)と比較して、有意に脂肪組織を喪失した(−34%±10.95)。ActRIIB−mFc(R64 20〜134)処置群で各筋肉重量も増加した。
【0225】
【化19】
これらのマウスにおけるActRIIB−Fc処置に関連する脂肪および筋肉に及ぼす有利な影響に加えて、血清脂質に及ぼす正の影響が認められた。血清コレステロールレベルおよび血清トリグリセリドレベルの両方が顕著に減少し、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して患者のこれらの脂質レベルを低下させることができることが示唆された。
【0226】
(実施例9)
悪液質マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB(R64 20〜134)−mFcが糖質コルチコイド誘導性筋肉消耗のマウスモデルにおける筋肉喪失を弱める能力を試験した。
【0227】
マウスにPBSまたはデキサメタゾン(2mg/kg)のいずれかを13日間にわたって毎日皮下投与して、筋肉消耗を誘導した。同様に13日間にわたって、PBSおよびデキサメタゾン処置群に、治療の全ての組み合わせが示されるようにビヒクルまたはActRIIB(R64 20〜134)−mFc(10mg/kg;i.p.;2回/週)を投与した。マウスを、0日目および13日目にNMRスキャンして、群間の除脂肪組織量の変化を決定した。NMRの結果を、以下の表6に概説する。
【0228】
【表6】
NMRスキャニングは、PBS:PBSコホートと比較したデキサメタゾン:PBS群の除脂肪組織量の有意な2.5%減少を示した。対照的に、デキサメタゾン:ActRIIB(R64 20〜134)−mFc群は、除脂肪組織量が13.5%増加し、PBS:PBS群およびデキサメタゾン:PBS群の両方と比較した場合に有意な増加であった。悪液質は、種々の治療上の処置(慢性糖質コルチコイド療法が含まれる)の望ましくない副作用である。したがって、ヒトActRIIB(R64 20〜134)−mFcタンパク質での処置が悪液質関連筋肉消耗を弱めることができることが臨床的に重要であり得る。
【0229】
(実施例10)
高齢マウスまたは卵巣切除マウスにおける筋肉量および肥満に及ぼすActRIIB−Fcの影響
サルコペニアは、他の点では健康な高齢に関連する筋肉喪失型である。本障害は、進行性の骨格筋量の喪失ならびに強度および可動性の障害に関連する。サルコペニアの原因は、あまり理解されていない。女性では、更年期が筋肉喪失を加速させ、骨喪失も加速させる。したがって、ActRIIB(R64、20〜134)−mFcを、非常に高齢の(2歳)マウスおよび卵巣切除マウス(閉経後状態のモデル)で試験した。
【0230】
8週齢のC57BL/6雌マウスを、卵巣切除するか(OVX)、疑似手術を行い、16週間年をとらせた後に研究を介した。研究開始時に、偽マウスおよびOVXマウスを、処置群およびビヒクル群にそれぞれ分けた。全群を秤量し、ActRIIB(R64、20〜134)−mFcまたは緩衝液コントロールのいずれを11週間にわたって毎週投与した。全マウスを、0日目および83日目にNMRスキャンによって研究して、体組成を決定した。
【0231】
研究終了時に、偽PBSマウスがもとの除脂肪量の4.7%を喪失し、偽処置群は、一連の研究にわたって除脂肪量が21%増加した。研究終了までに、OVXコントロールはその除脂肪量の12.1%を喪失し(偽ビヒクルより有意)、処置OVXマウスは12.9%増加した。
【0232】
これらのデータは、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して閉経後の女性に一般的な筋肉喪失に反作用することができることを示す。
【0233】
自然に老化した集団に及ぼすActRIIB−Fcの影響を評価するために、雄C57BL/6マウスを、処置開始前に70週齢に老化させた。マウスを2群に分けた(PBSおよび10mg/kg ActRIIB(R64、 20〜134)−mFc)。各群を秤量し、2回/週で10週間投与した。一連の研究にわたり、処置群はPBS群より除脂肪組織量が有意に増加した。
【0234】
【化20】
処置群はまた、PBSマウスと比較して各筋肉重量が有意に高かった。
【0235】
【化21】
筋肉内脂肪が減少し、細胞構築が改善されたので、処置コホートにおける筋肉の完全性もまた、PBS群よりも高いようであった(図10を参照のこと)。
【0236】
これらのデータは、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して、男性および女性の高齢に関連する筋肉消耗を治療することができることを証明する。
【0237】
(実施例11)
去勢に関連する筋肉喪失に及ぼすActRIIB−Fcの影響。
【0238】
前立腺癌は、一般に、抗アンドロゲン療法を使用して治療する。治療の副作用には、筋肉喪失および肥満の増大が含まれる。去勢マウスで類似の変化が起こり、このことにより、去勢マウスがこの臨床背景でActRIIB−Fcが使用される可能性を研究するための良好なモデルとなる。
【0239】
8週齢の雄C57BL/6マウスを去勢するか疑似手術を行い、3週間回復させ、その後に研究を開始する。偽群および去勢群を、PBS群およびActRIIB(R64、 20〜134)−mFc(10mg/kg)群にさらに分けた。マウスを秤量し、1回/週にて12週間皮下投与した。マウスを、0日目および83日目の研究でNMRスキャンした。
【0240】
一連の研究にわたり、偽PBSマウスでは、研究0日目の除脂肪組織量より平均9.72%±3.67増加し、偽ActRIIB(R64、 20〜134)−mFcマウスでは35.79%±3.1増加した。去勢PBS処置マウスは、0日目除脂肪組織量の8.1%±4.22を喪失し、処置去勢マウスは17.77%±3.86増加した。さらに、去勢によって脂肪過多症が増加するが、ActRIIB(R64、 20〜134)−mFc処置は脂肪量増加の程度の減少に役立った。
【0241】
去勢ビヒクルマウス由来の腓腹筋および胸筋は、偽PBSマウスより小さかった(去勢腓腹筋:0.275±0.03g、去勢胸筋:0.196±0.06g;偽腓腹筋:0.313±0.02g、偽胸筋:0.254±0.03g)。ActRIIB(R64、20〜134)−mFc処置は、マウス体重のこの去勢誘導性の減少を有意に小さくする(去勢腓腹筋:0.421±0.03g、去勢胸筋:0.296±0.06g)。
【0242】
(実施例12)
癌悪液質に及ぼすActRIIB−Fcの影響
多数の腫瘍は、無食欲および重症筋肉喪失に関連する。悪液質を示す患者は、非悪液質患者よりも予後が不良である。結腸癌細胞株CT26は、マウスで重度の悪液質を誘導する。ActRIIB(R64 20〜134)を、このモデルで外植片誘導性悪液質に及ぼす影響について試験した。
【0243】
以下のように、6つのマウス群を実験で使用した。
【0244】
【化22】
【0245】
【化23】
群3〜6に、5×106腫瘍細胞を皮下投与した。群6に1週間に2回のActRIIB−Fcでの処置を直ちに開始した。腫瘍サイズが300〜500mm3に到達した研究28日目に群1〜5に投与を開始した。図11に示すように、ActRIIB−Fcは、腫瘍が確立したマウスおよび腫瘍導入前の予防モデルで使用した場合にCT26腫瘍に関連する筋肉喪失を顕著に減少させた。
【0246】
(実施例13)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcバリアントの影響
本研究は、6週齢のC57BL/6雄マウスにおける筋肉量および他の組織に及ぼす以下のActRIIB関連Fc構築物の影響を示した。マウスを秤量し、PBSまたはActRIIB関連Fc構築物(10mg/kg)のいずれかを2週間毎に腹腔内注射した。
ActRIIB(R64 20〜134)−Fc
ActRIIB(L79D 20〜134)−Fc
ActRIIB(L79E 20〜134)−Fc
ActRIIB(A24N 20〜134)−Fc
ActRIIB(R64K 20−134)−Fc 。
【0247】
研究開始時、中間、および研究終了時にマウスをNMRスキャンした。大腿筋、胸筋、腓腹筋、肝臓、腎臓、および脾臓を秤量し、ホルマリン中に保持した。
【0248】
最初のデータ分析は、ActRIIB(R64 20〜134)−Fcによって筋肉量および除脂肪体重が最も増加する一方で、他の組織にも最も高い影響を及ぼすことを示す。L79DおよびL79Eバリアントは、筋肉量をより低い程度に増加させる一方で、他の組織にほとんど影響を及ぼさない。A24NおよびR64K構築物は、筋肉および組織に中程度の影響を及ぼす。これらのデータは、アクチビン結合が減少したActRIIBのバリアントが望ましい性質、特に、筋肉組織に及ぼす選択的影響を有することが確認される。
【0249】
参照による引用
本明細書中に言及したすべての刊行物および特許は、各刊行物または特許が具体的且つ個別に参考として援用されることを示すように、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0250】
主題の特定の実施形態が考察されているが、上記明細書は例示であり本発明を制限しない。本明細書および以下の特許請求の範囲を再検討した際に多数の変形形態が当業者に明らかである。本発明の全範囲を、特許請求の範囲およびその等価物の全範囲ならびに明細書およびかかる変形形態を参照することによって決定すべきである。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2007年2月2日に出願された米国仮出願第60/899,304号、2007年5月1日に出願された米国仮出願第60/927,088号および2007年5月25日に出願された米国仮出願第60/931,880号の利益を主張する。上記で言及された出願の全ての教示は、参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
トランスフォーミング成長因子−β(TGF−β)スーパーファミリーは、共通の配列要素および構造モチーフを有する種々の成長因子を含む。これらのタンパク質は、脊椎動物および無脊椎動物において多種多様な細胞型に生物学的影響を及ぼすことが公知である。スーパーファミリーのメンバーは、パターン形成および組織特異化における胚発生中で重要な機能を果たし、種々の分化過程(脂質生成、筋形成、軟骨形成、心臓発生、血液生成、神経発生、および上皮細胞分化が含まれる)に影響を及ぼし得る。このファミリーは2つの一般的な種類(BMP/GDF類およびTGF−β/アクチビン/BMP10類)に分類され、このメンバーは、多様で、しばしば、補完性の効果がある。TGF−βファミリーメンバーの活性の操作により、しばしば、生物において有意に生理学的変化を起こすことが可能である。例えば、ピエモンテ牛およびビルギアンブルー牛は、筋肉量が顕著に増加するGDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)遺伝子の機能喪失型変異を有する。非特許文献1。さらに、ヒトでは、GDF8の不活性対立遺伝子は、筋肉量の増加、報告によれば、異常な強さに関連する。非特許文献2。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Grobetら、Nat.Genet.1997、17(1):71−4
【非特許文献2】Schuelkeら、N Engl J Med 2004、350:2682−8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
筋肉、骨、軟骨、および他の組織を、適切なTGF−βファミリーメンバーによって媒介されるシグナル伝達の刺激または拮抗によって変化させることができる。したがって、TGF−βシグナル伝達の強力なレギュレーターとして機能する作用薬が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の要旨
ある態様では、本開示は、ActRIIBポリペプチド、特に、ActRIIBバリアント(アミノ末端およびカルボキシ末端の短縮および配列の変化を含む)を提供する。かかるActRIIBポリペプチドを、種々の傷害または容態、特に筋肉および神経筋の障害(例えば、筋ジストロフィ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および筋萎縮)、脂肪組織障害(例えば、肥満)、代謝障害(例えば、2型糖尿病)、神経変性障害、ならびに高齢に関連する筋肉の消耗(サルコペニア)、前立腺癌療法、ならびに癌悪液質の治療のために使用することができる。特定の実施形態では、ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)は、ActRIIB活性に関連する任意の過程でActRIIB受容体を拮抗することができる。任意選択的に、本発明のActRIIBポリペプチドを、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンド(GDF8(ミオスタチンとも呼ばれる)、GDF11、アクチビンA、アクチビンB、アクチビンAB、Nodal、およびBMP7(OP−1とも呼ばれる)など)を優先的に拮抗するようにデザインすることができる。したがって、さらなる障害の治療で有用であり得る。ActRIIBポリペプチドの例には、天然に存在するActRIIBポリペプチドおよびその機能的バリアントが含まれる。開示はまた、GDF11への結合を保持しながらアクチビン親和性を著しく減少させたActRIIB由来のバリアント組を提供する。これらのバリアントは、他の組織に及ぼす影響を減少させながら筋肉に望ましい影響を及ぼす。
【0006】
ある態様では、本開示は、GDF8、GDF11、アクチビン、BMP7、またはNodalなどのActRIIBリガンドに結合する可溶性ActRIIBポリペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的調製物を提供する。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、10マイクロモル未満または1マイクロモル未満、100ナノモル、10ナノモル、または1ナノモルのKdでActRIIBリガンドに結合する。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、ActRIIBシグナル伝達(ActRIIBリガンドによって誘発される細胞内シグナル伝達事象など)を阻害する。かかる調製物で用いる可溶性ActRIIBポリペプチドは、本明細暑中に開示のいずれか(配列番号1、2、5、6、および12から選択されるアミノ酸配列または配列番号1、2、5、6、および12から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドなど)であり得る。可溶性ActRIIBポリペプチドには、天然のActRIIBポリペプチドの機能的フラグメント(配列番号1、2、5、6、および12から選択される配列の少なくとも10、20、または30個のアミノ酸またはC末端の1、2、3、4、5、もしくは10〜15個のアミノ酸を欠き、且つN末端の1、2、3、4、もしくは5個のアミノ酸を欠く配列番号1の配列を含むものなど)が含まれ得る。好ましいポリペプチドは、配列番号1と比較して、N末端に2個と5個との間のアミノ酸およびC末端に3個以下のアミノ酸が短縮しているであろう。別の好ましいポリペプチドは、配列番号12として示すポリペプチドである。可溶性ActRIIBポリペプチドは、天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較して、アミノ酸配列中(例えば、リガンド結合ドメイン中)に1つまたは複数の変化を含むことができる。アミノ酸配列の変化により、例えば、哺乳動物細胞、昆虫細胞、または他の真核生物細胞中で産生した場合にポリペプチドのグリコシル化を変化することができるか、天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較してポリペプチドのタンパク質切断を変えることができる。可溶性ActRIIBポリペプチドは、1つのドメインとしてActRIIBポリペプチド(例えば、ActRIIBのリガンド結合ドメインまたはそのバリアント)および望ましい性質(改善された薬物動態学、より容易な精製、特定組織へのターゲティングなど)をもたらす1つまたは複数のさらなるドメインを有する融合タンパク質であり得る。例えば、融合タンパク質のドメインは、1つまたは複数のin vivo安定性、in vivo半減期、取り込み/投与、組織の局在化または分布、タンパク質複合体の形成、融合タンパク質の多量体化、および/または精製を増強することができる。可溶性ActRIIB融合タンパク質は、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または変異体)または血清アルブミンを含むことができる。ある実施形態では、ActRIIB−Fc融合物は、Fcドメインと細胞外ActRIIBドメインとの間に存在する相対的に構造化されていないリンカーを含む。この非構造化リンカーは、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端(「テール」)のおよそ15個のアミノ酸非構造化領域に応答することができるか、相対的に二次構造を含まない5と15、20、30、50、またはそれを超えるアミノ酸との間の人工的配列であり得る。リンカーは、グリシン残基およびプロリン残基が豊富であり得、例えば、トレオニン/セリンおよびグリシンの反復配列(例えば、TG4またはSG4反復)を含むことができる。融合タンパク質は、精製サブシーケンス(エピトープタグ、FLAGタグ、ポリヒスチジン配列、およびGST融合物など)を含むことができる。任意選択的に、可溶性ActRIIBポリペプチドは、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂質部分に抱合したアミノ酸、および有機誘導体化剤に抱合したアミノ酸から選択される1つまたは複数の修飾アミノ酸残基を含む。薬学的調製物はまた、ActRIIB関連障害を治療するために使用される化合物などの1つまたは複数のさらなる化合物を含むことができる。好ましくは、薬学的調製物は、実質的に発熱物質を含まない。一般に、ActRIIBタンパク質を、ActRIIBタンパク質の適切に天然のグリコシル化を媒介する哺乳動物細胞株中で発現させて、患者の好ましくない免疫応答の可能性を減少させることが好ましい。ヒト細胞株およびCHO細胞株が首尾よく使用されており、他の一般的な哺乳動物発現ベクターが有用であると予想される。
【0007】
ある態様では、ヒト組織の成長の促進またはヒト組織喪失の減少もしくは防止で用いる本明細書中に記載され、ラベリングされた薬学的調製物を含むパッケージ化された医薬品を提供する。組織の例には、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および神経組織が含まれる。
【0008】
ある態様では、本開示は、変化したリガンド結合(例えば、GDF8結合)ドメインを含む可溶性ActRIIBポリペプチドを提供する。かかるActRIIB受容体の変化したリガンド結合ドメインは、アミノ酸残基に1つまたは複数の変異(ヒトActRIIBのE37、E39、R40、K55、R56、Y60、A64、K74、W78、L79、D80、F82、およびF101など)(ナンバリングは配列番号2に対する)を含む。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、ActRIIB受容体の野生型リガンド結合ドメインと比較してGDF8/GDF11などのリガンドに対する選択性を増加させることができた。例証するために、これらの変異によって、アクチビンを超えるGDF11(したがって、おそらくGDF8)の変化したリガンド結合ドメインの選択性を増加させることを本明細書中に証明する(ActRIIBに関して示す):K74Y、K74F、K74I、およびD80I。以下の変異は逆効果であり、GDF11に対するアクチビンの結合比が増加する:D54A、K55A、L79A、およびF82A。全ての(GDF11およびアクチビン)結合活性を、「テール」領域(おそらく、非構造化リンカー領域)の包含によって増加させることができ、K74A変異の使用によっても増加させることができる。リガンド結合親和性を全体的に減少させる他の変異には、以下が含まれる:R40A、E37A、R56A、W78A、D80K、D80R、D80A、D80G、D80F、D80M、およびD80N。変異を組み合わせて、所望の効果を達成することができる。例えば、GDF11:アクチビン結合比に影響を及ぼす多数の変異は、リガンド結合に全体として負の影響を及ぼし、したがって、これらを、一般にリガンド結合を増加させる変異と組み合わせてリガンド選択性を有する改良された結合タンパク質を産生することができる。
【0009】
任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、野生型リガンド結合ドメインの比と比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍のアクチビン結合のKdのGDF8結合のKdに対する比を有する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、野生型リガンド結合ドメインと比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍のアクチビン阻害についてのIC50のGDF8/GDF11阻害についてのIC50に対する比を有する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害についてのIC50の少なくとも1/2、1/5、1/10、またはさらに1/100のIC50でGDF8/GDF11を阻害する。これらの可溶性ActRIIBポリペプチドは、免疫グロブリンFcドメイン(野生型または変異体のいずれか)を含む融合タンパク質であり得る。ある場合において、本可溶性ActRIIBポリペプチドは、GDF8/GDF11のアンタゴニスト(インヒビター)である。
【0010】
ActRIIBの他のバリアント(以下など)を意図する。ActRIIB由来の部分が配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応し、ActRIIB融合タンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記のバリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり(任意選択的に、配列番号2の22〜25から始まり)、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号4のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。ActRIIB由来の部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、上記バリアントActRIIB融合タンパク質。驚いたことに、配列番号2の22〜25から始まる構築物の活性レベルが、ヒトActRIIBの全細胞外ドメインを有するタンパク質より高い。上記バリアントActRIIB融合タンパク質のいずれかを、ホモ二量体として産生することができる。上記ActRIIB融合タンパク質のいずれかは、IgG重鎖由来の定常領域(Fcドメインなど)を含む異種部分を有することができる。
【0011】
他のバリアントActRIIBタンパク質(以下など)を意図する。配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、配列番号2の64に対応する位置がRまたはKであり、バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケットの外側に位置する、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。上記配列番号2に関する少なくとも1つの変化がK74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質がActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、上記バリアントActRIIBタンパク質。
【0012】
他のバリアントActRIIBタンパク質(以下など)を意図する。タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むActRIIBタンパク質。タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。配列番号2に関する少なくとも1つの変化がK74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、上記バリアントActRIIBタンパク質。タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、上記バリアントActRIIBタンパク質。上記バリアントActRIIB融合タンパク質のいずれかを、ホモ二量体として産生することができる。上記ActRIIB融合タンパク質のいずれかは、IgG重鎖由来の定常領域(Fcドメインなど)を含む異種部分を有することができる。
【0013】
ある態様では、本開示は、完全なActRIIBポリペプチドをコードしない可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする核酸を提供する。単離ポリヌクレオチドは、可溶性ActRIIBポリペプチドのコード配列(上記のものなど)を含むことができる。例えば、単離核酸は、膜貫通ドメインまたは細胞質ドメイン内に存在するか、細胞外ドメインと膜貫通ドメインまたは細胞質ドメインとの間に存在する終止コドンを別にすれば、ActRIIBの細胞外ドメイン(例えば、リガンド結合ドメイン)をコードする配列およびActRIIBの膜貫通ドメインの一部もしくは全部および/またはActRIIB の細胞質ドメインをコードするであろう配列を含むことができる。例えば、単離ポリヌクレオチドは、全長ActRIIBポリヌクレオチド配列(配列番号4など)または部分短縮バージョンを含むことができ、この単離ポリヌクレオチドは、3’末端から少なくとも600ヌクレオチド前に転写終結コドンをさらに含むか、そうでなければ、任意選択的に全長ActRIIBの短縮部分に融合した細胞外ドメインに対してポリヌクレオチドの翻訳が起こるように存在する。本明細書中に開示の核酸を、発現用プロモーターに作動可能に連結することができ、本開示は、かかる組換えポリヌクレオチドで形質転換した細胞を提供する。好ましくは、細胞は、CHO細胞などの哺乳動物細胞である。
【0014】
ある態様では、本開示は、可溶性ActRIIBポリペプチドの作製方法を提供する。かかる方法は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの適切な細胞中での本明細書中に開示の任意の核酸(例えば、配列番号3)の発現を含むことができる。かかる方法は、a)可溶性ActRIIBポリペプチド発現に適切な条件下で細胞を培養する工程であって、細胞が可溶性ActRIIB発現構築物で形質転換される、工程;およびb)このようにして発現した可溶性ActRIIBポリペプチドを回収する工程を含むことができる。可溶性ActRIIBポリペプチドを、細胞培養物からタンパク質を得るための任意の周知の方法を使用して、粗画分、部分精製画分、または高度に精製された画分として回収することができる。
【0015】
ある態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体の治療方法で使用することができる。かかる障害には、筋萎縮、筋ジストロフィ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および筋消耗障害(例えば、悪液質、食欲不振、DMD症候群、BMD症候群、AIDS消耗症候群、筋ジストロフィ、神経筋疾患、運動ニューロン疾患、神経筋接合部疾患、および炎症性筋障害)が含まれる。本方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0016】
ある態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、体脂肪含有量を減少するか体脂肪含有量の増加速度を低下する方法、ならびに望ましくない体重増加に関連する障害(肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患など)を治療するための方法で使用することができる。これらの方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0017】
ある種の特定の態様では、本明細書中に開示の可溶性ActRIIBポリペプチドを、GDF8の異常な活性に関連する障害の治療方法で使用することができる。かかる障害には、代謝障害(2型糖尿病、耐糖能異常、代謝症候群(例えば、X症候群)、および(例えば、熱傷または窒素不均衡)によって誘導されるインスリン抵抗性など);脂肪組織障害(例えば、肥満);筋ジストロフィ(ディシュンヌ型筋ジストロフィが含まれる);筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋萎縮;臓器萎縮症;脆弱;手根管症候群;鬱血性閉塞性肺疾患;サルコペニア、悪液質、および他の筋消耗症候群;骨粗鬆症;糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症;骨減少症;変形性関節症;骨粗鬆症関連骨折;慢性糖質コルチコイド療法に起因する骨量低下、早発性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性副甲状腺機能亢進症、栄養失調、ならびに神経性食欲不振が含まれる。本方法は、有効量の可溶性ActRIIBポリペプチドを必要とする被験体に投与する工程を含むことができる。
【0018】
ある態様では、本開示は、骨、軟骨、筋肉、および脂肪などの組織の成長を刺激する薬剤の同定方法を提供する。本方法は、a)可溶性ActRIIBポリペプチドと競合してActRIIBポリペプチドのリガンド結合ドメインに結合する試験薬を同定する工程、およびb)組織成長に及ぼす薬剤の影響を評価する工程を含む。
【0019】
ある態様では、開示は、細胞中のActRIIBポリペプチドまたはActRIIBリガンド(例えば、GDF8、GDF11、アクチビン、BMP7、およびNodal)の活性を拮抗する方法を提供する。本方法は、細胞を可溶性ActRIIBポリペプチドと接触させる工程を含む。任意選択的に、ActRIIBポリペプチドまたはActRIIBリガンドの活性を、ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体によって媒介されるシグナル伝達によってモニタリングする(例えば、細胞増殖のモニタリングによる)。本方法の細胞には、骨芽細胞、軟骨細胞、筋細胞、脂肪細胞、および筋肉細胞が含まれる。
【0020】
ある態様では、本開示は、本明細書中に記載の障害または容態の治療薬の作製のための可溶性ActRIIBポリペプチドの使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、ヒトActRIIB可溶性(細胞外)ポリペプチド配列(配列番号1)を示す。C末端「テール」に下線を引いている。
【図2】図2は、ヒトActRIIB前駆体タンパク質配列(配列番号2)を示す。シグナルペプチドに下線を引いている。細胞外ドメインを太字で示している(配列番号1ともいう)。潜在的N結合グリコシル化部位を囲んでいる。
【図3】図3は、配列番号3と示したヒトActRIIB可溶性(細胞外)ポリペプチドをコードする核酸配列を示す。
【図4】図4は、配列番号4と示したヒトActRIIB前駆体タンパク質をコードする核酸配列を示す。
【図5】図5は、ビヒクル(菱形)、ActRIIB(R64 20−134)−mFc(四角)、または長半減期形態のActRIIB(R64A24N 20−134)(三角)で処置したマウスの体重増加を示す。
【図6】図6は、研究終了時の切開した筋肉の重量を示す。ビヒクル:各群の左のカラム(薄い陰影);ActRIIB(R64 20−134)−mFc:各群の中央のカラム(中間の陰影);ActRIIB(R64A24N 20−134):各群の右側のカラム(濃い陰影)。
【図7】図7は、PBSおよびマウスActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc(または「K74A+15テール」)で処置したSODマウスの握力測定(それぞれ白色および黒色のバー)を示す。図は、疾患の初期段階(117日目)および後期段階(149日目)におけるPBS群と比較したマウスActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc群の強度の増加を示す。*P<0.05、両側スチューデントt検定。
【図8】図8は、PBSおよびActRIIB(R64 K74A 20−134)−mFcで処置したSODマウスのカプラン・マイヤー生存比較(それぞれ、白色線および黒色線)を示す。ActRIIB(R64K74A 20−134)−mFc処置コホートは、PBS群と比較して、平均生存日数が増加した。
【図9】図9は、PBSおよびActRIIB(R64 20−134)−mFc HFDを与えたマウスの体組成の比率(それぞれ、白色および黒色のバー)を示す。マウスActRIIB(R64 20−134)−Fcタンパク質での処置により、脂肪量が有意に低下し、除脂肪組織が増加する。
【図10】図10は、高齢マウス(A)またはActRIIB(R64 20−134)−mFcで処置した高齢マウス(B)由来の大腿筋の断面(4倍)を示す。
【図11】図11は、CT26結腸癌細胞を使用した癌悪液質実験におけるマウスの平均体重を示す。菱形:非腫瘍化生理食塩水処置マウス;四角:非腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス;三角:腫瘍化生理食塩水処置マウス;「x」:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(10mg/kg);「*」:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(30mg/kg);円:腫瘍化ActRIIB(R64 20−134)−mFc処置マウス(10mg/kg)(予防方法のために腫瘍移植時に開始した処置)。
【図12】図12は、ボックスで示したリガンドに直接接触するための複数のActRIIBおよびActRIIA結晶構造(リガンド結合ポケット)の合成解析に基づいた本明細書中で予想される残基とのヒトActRIIAおよびActRIIBのアラインメントを示す。
【図13】図13は、種々の脊椎動物ActRIIBタンパク質およびヒトActRIIAのマルチプル配列アラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
1.概説
ある態様では、本発明は、ActRIIBポリペプチドに関する。本明細書中で使用される場合、用語「ActRIIB」は、任意の種由来のアクチビン受容体IIB型(ActRIIB)タンパク質およびActRIIB関連タンパク質のファミリーに関する。ActRIIBファミリーのメンバーは、一般に、全てがシステインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。ヒトActRIIA前駆体タンパク質(比較のために提供する)およびActRIIB前駆体タンパク質のアミノ酸配列を、それぞれ図1(配列番号1)および図2(配列番号2)に示す。
【0023】
用語「ActRIIBポリペプチド」を、ActRIIBファミリーメンバーの任意の天然に存在するポリペプチドおよび有用な活性を保持するその任意のバリアント(変異体、フラグメント、融合物、およびペプチド模倣物の形態が含まれる)を含むポリペプチドをいうために使用する。例えば、ActRIIBポリペプチドには、ActRIIBポリペプチド配列と少なくとも約80%同一、好ましくは、少なくとも85%、90%、95%、97%、99%、またはそれを超えて同一の配列を有する任意の公知のActRIIBの配列に由来するポリペプチドが含まれる。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、可溶性ActRIIBポリペプチドに関する。本明細書中で使用される場合、用語「可溶性ActRIIBポリペプチド」は、一般に、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインを含むポリペプチドをいう。本明細書中で使用される場合、用語「可溶性ActRIIBポリペプチド」には、任意の天然に存在するActRIIBタンパク質の細胞外ドメインおよび有用な活性を保持するその任意のバリアント(変異体、フラグメント、およびペプチド模倣物の形態が含まれる)が含まれる。例えば、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインは、リガンドに結合し、一般に可溶性である。可溶性ActRIIBポリペプチドの例には、図1(配列番号1)に示したActRIIB可溶性ポリペプチドが含まれる。可溶性ActRIIBポリペプチドの他の例は、ActRIIBタンパク質の細胞外ドメインに加えてシグナル配列を含む(実施例1を参照のこと)。シグナル配列は、ActRIIBの未変性のシグナル配列または別のタンパク質由来のシグナル配列(組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA)シグナル配列またはミツバチメラチン(HBM)シグナル配列など)であり得る。
【0025】
TGF−βシグナルは、I型およびII型セリン/トレオニンキナーゼ受容体のヘテロマー複合体によって媒介されるシグナルである。このシグナルは、リガンド刺激の際に下流Smadタンパク質をリン酸化および活性化する(Massague、2000、Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.1:169−178)。これらのI型およびII型受容体は、全てがシステインリッチ領域を有するリガンド結合細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および推定セリン/トレオニンキナーゼ特異性を有する細胞質ドメインから構成される膜貫通タンパク質である。I型受容体は、シグナル伝達に不可欠であり、II型受容体は、リガンド結合およびI型受容体発現に必要である。I型およびII型アクチビン受容体は、リガンド結合後に安定な複合体を形成し、II型受容体によってI型受容体がリン酸化される。
【0026】
2つの関連するII型受容体であるActRIIAおよびActRIIBは、アクチビンのII型受容体と同定されている(MathewsおよびVale、1991、Cell 65:973−982;Attisanoら、1992、Cell 68:97−108)。アクチビンに加えて、ActRIIAおよびActRIIBは、いくつかの他のTGF−βファミリータンパク質(BMP7、Nodal、GDF8、およびGDF11が含まれる)と生化学的に相互作用することができる(Yamashitaら、1995、J.Cell Biol.130:217−226;LeeおよびMcPherron、2001、Proc.Natl.Acad.Sci.98:9306−9311;YeoおよびWhitman、2001、Mol.Cell.7:949−957;Ohら、2002、Genes Dev.16:2749−54)。出願人は、可溶性ActRIIA−Fc融合タンパク質およびActRIIB−Fc融合タンパク質は、in vivoで実質的に異なる効果を有し、ActRIIA−Fcは主に骨に影響を及ぼし、ActRIIB−Fcは主に骨格筋に影響を及ぼすことを見出した。
【0027】
ある実施形態では、本発明は、本ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)でのActRIIB受容体のリガンド(ActRIIBリガンドとも呼ばれる)の拮抗に関する。したがって、本発明の組成物および方法は、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンドの異常な活性に関連する障害の治療に有用である。ActRIIB受容体の例示的リガンドには、いくつかのTGF−βファミリーメンバー(アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、およびBMP7など)が含まれる。
【0028】
アクチビンは、二量体ポリペプチド成長因子であり、TGF−βスーパーファミリーに属する。2つの密接に関連するβサブユニットのホモ/ヘテロ二量体(βAβA、βBβB、およびβAβB)である3つのアクチビン(A、B、およびAB)が存在する。TGF−βスーパーファミリーでは、アクチビンは、卵巣細胞および胎盤細胞中でのホルモン産生を刺激し、神経細胞生存を支持し、細胞型に正および負に依存する細胞周期の進行に影響を及ぼし、少なくとも両生類胚中で中葉胚分化を誘導することができる固有且つ多機能の因子である(DePaoloら、1991、Proc SocEp Biol Med.198:500−512;Dysonら、1997、Curr Biol.7:81−84;Woodruff、1998、Biochem Pharmacol.55:953−963)。さらに、刺激された単球性白血病細胞から単離した赤芽球分化誘導因子(EDF)は、アクチビンAと同一であることが見い出された(Murataら、1988、PNAS、85:2434)。アクチビンAが骨髄中で赤血球生成の天然のレギュレーターとして作用することが示唆された。いくつかの組織では、アクチビンシグナル伝達は、その関連するヘテロ二量体であるインヒビンによって拮抗される。例えば、下垂体からの濾胞刺激ホルモン(FSH)の放出中、アクチビンはFSHの分泌および合成を促進する一方で、インヒビンはFSHの分泌および合成を阻害する。アクチビンの生物活性を調節し、そして/またはアクチビンに結合することができる他のタンパク質には、下記のフォリスタチン(FS)、フォリスタチン関連タンパク質(FSRP)、α2−マクログロブリン、サーベラス、およびエンドグリンが含まれる。
【0029】
Nodalタンパク質は、中胚葉および内胚葉の誘導および形成ならびに初期胚形成におけるその後の軸構造(心臓および胃など)の組織化で機能する。発生中の脊椎動物胚中の背側組織が脊索および脊索前板の軸構造に主に寄与する一方で、周辺細胞を動員して非軸胚構造を形成することが証明された。Nodalは、I型とII型受容体との両方およびSmadタンパク質として公知の細胞内エフェクターを介してシグナル伝達するようである。最近の研究は、ActRIIAおよびActRIIBがNodalのII型受容体としての機能を果たすという概念を支持する(Sakumaら、Genes Cells.2002、7:401−12)。Nodalリガンドはその補因子(例えば、cripto)と相互作用して、アクチビンI型およびII型を活性化し、Smad2をリン酸化することが示唆される。Nodalタンパク質は、初期脊椎動物胚形成に極めて重要な多数の事象(中胚葉形成、前部パターン形成、および左右軸の特定化が含まれる)に関与する。実験的証拠により、Nodalシグナル伝達がpAR3−Lux(アクチビンおよびTGF−βに特異的に応答することが以前に示されているルシフェラーゼレポーター)を活性化することが証明されている。しかし、Nodalは、pTlx2−Lux(骨形成タンパク質に特異的に応答するレポーター)を誘導することができない。最近の結果は、Nodalシグナル伝達がアクチビン−TGF−β経路のSmadであるSmad2およびSmad3の両方によって媒介されるという直接的な生化学的証拠が得られている。さらなる証拠により、細胞外Criptoタンパク質がNodalシグナル伝達に必要であり、そのことがアクチビンまたはTGF−βのシグナル伝達と異ならせていることが示されている。
【0030】
成長分化因子8(GDF8)はまた、ミオスタチンとしても公知である。GDF8は、骨格筋量の負のレギュレーターである。GDF8は、発生中および成体の骨格筋で高度に発現される。トランスジェニックマウスにおけるGDF8ヌル変異は、骨格筋の顕著な肥大および過形成によって特徴づけられる(McPherronら、Nature、1997、387:83−90)。骨格筋量の類似の増加は、ウシ(Ashmoreら、1974、Growth、38:501−507;SwatlandおよびKieffer、J.Anim.Sci.、1994、38:752−757;McPherronおよびLee、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1997、94:12457−12461;およびKambadurら、Genome Res.、1997、7:910−915)および、特にヒト(Schuelkeら、N Engl J Med 2004;350:2682−8)でのGDF8の天然に存在する変異で明らかである。研究により、ヒトにおけるHIV感染に関連する筋肉消耗がGDF8タンパク質発現の増加を伴うことも示されている(Gonzalez−Cadavidら、PNAS、1998、95:14938−43)。さらに、GDF8は、筋肉特異的酵素の産生を調整し(例えば、クレアチンキナーゼ)、筋芽細胞増殖を調整することができる(WO00/43781号)。GDF8プロペプチドは、成熟したGDF8ドメイン二量体に非共有結合して、その生物活性を不活化することができる(Miyazonoら(1988)J.Biol.Chem.、263:6407−6415;Wakefieldら(1988)J.Biol.Chem.、263;7646−7654;およびBrownら(1990)Growth Factors、3:35−43)。GDF8または構造的に関連するタンパク質に結合し、その生物活性を阻害する他のタンパク質には、フォリスタチン、および潜在的には、フォリスタチン関連タンパク質が含まれる(Gamerら(1999)Dev.Biol.、208:222−232)。
【0031】
BMP11としても公知の成長分化因子11(GDF11)は、分泌タンパク質である(McPherronら、1999、Nat.Genet.22:260−264)。GDF11は、マウス成長において尾芽、肢芽、上顎弓および下顎弓、ならびに脊髄後根神経節中に発現する(Nakashimaら、1999、Mech.Dev.80:185−189)。GDF11は、中胚葉および神経組織の両方のパターン形成において固有の役割を果たす(Gamerら、1999、Dev Biol.、208:222−32)。GDF11は、ニワトリ肢の発生における軟骨形成および筋形成の負のレギュレーターであることが示された(Gamerら、2001、Dev Biol.229:407−20)。筋肉中でのGDF11の発現はまた、GDF8と類似の方法での筋肉成長調節でのその役割も示唆される。さらに、脳内でのGDF11の発現により、GDF11が神経系の機能に関連する活性も保有することが示唆される。興味深いことに、GDF11は、嗅上皮中の神経発生を阻害することが見出された(Wuら、2003、Neuron.37:197−207)。したがって、GDF11は、筋肉疾患および神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)などの疾患の治療においてin vitroおよびin vivoで適用することができる。
【0032】
骨形成タンパク質−1(OP−1)とも呼ばれる骨形成タンパク質(BMP7)は、軟骨および骨の形成を誘導することが周知である。さらに、BMP7は、広範な一連の生理学的過程を調節する。例えば、BMP7は、上皮骨形成現象を担う骨誘導因子であり得る。BMP7がカルシウム調節および骨ホメオスタシスで役割を果たすことも見出されている。アクチビンと同様に、BMP7はII型受容体ActRIIAおよびIIBに結合する。しかし、BMP7およびアクチビンは、異なるI型受容体をヘテロマー受容体複合体に動員する。認められている主なBMP7I型受容体はALK2である一方で、アクチビンはALK4(ActRIIB)に排他的に結合した。BMP7およびアクチビンは、異なる生物学的応答を誘発し、異なるSmad経路を活性化した(Macias−Silvaら、1998、J Biol Chem.273:25628−36)。
【0033】
ある態様では、本発明は、一般に、ActRIIB活性に関連する任意の過程においてActRIIBリガンドのシグナル伝達を拮抗するためのある種のActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)の使用に関する。任意選択的に、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIB受容体の1つまたは複数のリガンド(アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、およびBMP7など)を拮抗することができる。したがって、さらなる障害の治療で有用であり得る。
【0034】
したがって、本発明は、ActRIIBまたはActRIIBリガンドの異常な活性に関連する疾患または容態の治療または防止におけるActRIIBポリペプチドの使用を意図する。ActRIIBまたはActRIIBリガンドは、多数の極めて重要な生物学的過程の調節に関与する。これらの過程における重要な機能により、これらは、治療介入の望ましい標的であり得る。例えば、ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)を使用して、ヒトまたは動物の障害または容態を治療することができる。かかる障害または容態の例には、代謝障害(2型糖尿病、耐糖能異常、代謝症候群(例えば、X症候群)、および外傷(例えば、熱傷または窒素不均衡)によって誘導されるインスリン抵抗性など);脂肪組織障害(例えば、肥満);筋ジストロフィ(ディシュンヌ型筋ジストロフィが含まれる)などの筋肉および神経筋障害;筋萎縮性側索硬化症(ALS);筋萎縮;臓器萎縮症;脆弱;手根管症候群;鬱血性閉塞性肺疾患;ならびにサルコペニア、悪液質、および他の筋消耗症候群が含まれるが、これらに限定されない。他の例には、特に高齢女性および/または閉経後女性における骨粗鬆症;糖質コルチコイド誘導性骨粗鬆症;骨減少症;変形性関節症;および骨粗鬆症関連骨折が含まれる。なおさらなる例には、慢性糖質コルチコイド療法に起因する骨量低下、早発性性腺機能不全、アンドロゲン抑制、ビタミンD欠乏症、続発性副甲状腺機能亢進症、栄養失調、および神経性食欲不振が含まれる。これらの障害および容態は、以下の「治療への使用例」で考察している。
【0035】
本明細書中で使用される用語は、一般に、本発明の文脈内および各用語が使用される特定の文脈において、当該分野におけるその通常の意味を有する。ある種の用語を以下または本明細書中のほかの場所で考察しており、それにより、本発明の組成物および方法の説明およびこれらの作製および使用方法で実施者にさらなる助言が与えられる。用語の任意の使用範囲または意味は、用語が使用される特定の文脈から明らかであろう。
【0036】
「約」および「およそ」は、一般に、測定の性質または精度を考慮して、測定された量の許容可能な誤差の程度を意味するものとする。典型的には、誤差の程度の例は、所与の値または値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内である。
【0037】
あるいは、特に生体系では、用語「約」および「およそ」は、所与の値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内である値を意味し得る。本明細書中に記載の数量は、他で記載しない限り近似値であり、明示しない場合、用語「約」または「およそ」を推測することができることを意味する。
【0038】
本発明の方法は、配列を相互に比較する工程(野生型配列と1つまたは複数の変異体(配列バリアント)との比較が含まれる)を含むことができる。かかる比較は、典型的には、例えば、配列アラインメントプログラムおよび/または当該分野で周知のアルゴリズム(例えば、2〜3例を挙げると、BLAST、FASTA、およびMEGALIGN)を使用したポリマー配列のアラインメントを含む。当業者は、かかるアラインメントにおいて、変異が残基の挿入または欠失を含む場合、配列アラインメントは、挿入または欠失した残基を含まないポリマー配列中に「ギャップ」(典型的には、ダッシュ、または「A」で示す)を導入することを容易に認識することができる。
【0039】
「相同な」は、全てのその文法的形態および綴りの異形において、「共通の進化的起源」を保有する2つのタンパク質(同種の生物におけるスーパーファミリー由来のタンパク質および異種の生物由来の相同タンパク質が含まれる)の間の関係をいう。かかるタンパク質(およびそのコード核酸)は、配列相同性を有し、これは、その配列類似性(同一率の観点から)または特定の残基もしくはモチーフの存在および保存された位置を反映する。
【0040】
用語「配列類似性」は、全てのその文法的形態において、核酸配列間またはアミノ酸配列間の同一または対応の程度をいい、共通の進化的起源を含んでも含んでいなくても良い。
【0041】
しかし、一般的な用法および本願では、用語「相同な」は、「高度に」などの副詞で修飾した場合、配列類似性をいうことができ、共通の進化的起源に関連しても関連しなくても良い。
【0042】
2.ActRIIBポリペプチド
ある態様では、本発明は、ActRIIBバリアントポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)に関する。任意選択的に、フラグメント、機能的バリアント、および修飾形態は、その対応する野生型ActRIIBポリペプチドと類似または同一の生物活性を有する。例えば、本発明のActRIIBバリアントは、ActRIIBリガンド(例えば、アクチビンA、アクチビンAB、アクチビンB、Nodal、GDF8、GDF11、またはBMP7)に結合してその機能を阻害することができる。任意選択的に、ActRIIBポリペプチドは、骨、軟骨、筋肉、または脂肪などの組織の成長を調整する。ActRIIBポリペプチドの例には、ヒトActRIIB前駆体ポリペプチド(配列番号2)、および可溶性ヒトActRIIBポリペプチド(例えば、配列番号1、5、6、および12)が含まれる。
【0043】
本開示は、ActRIIBの機能的に活性な部分およびバリアントを同定する。出願人は、Fc融合タンパク質が、配列番号2のアミノ酸64(A64)に対応する部分にアラニンを有し、アクチビンおよびGDF−11に対する親和性が比較的低い、Hildenら(Blood.1994 Apr.15;83(8):2163−70)によって開示された配列を有することを確認した。それに反して、64位にアルギニンを有する(R64)同一のFc融合タンパク質は、低ナノモルから高ピコモルの範囲でアクチビンおよびGDF−11に対して親和性を有する。したがって、R64を有する配列を、本開示においてヒトActRIIBの野生型基準配列として使用する。
【0044】
Attisanoら(Cell.1992 Jan.10;68(1):97−108)は、ActRIIBの細胞外ドメインのC末端のプロリンノットの欠失がアクチビンに対する受容体の親和性を減少させることを示した。ここに示したデータは、配列番号2のアミノ酸20〜119を含むActRIIB−Fc融合タンパク質(「ActRIIB(20−119)−Fc」)が、プロリンノット領域および完全な膜近傍ドメインを含むActRIIB(20−134)−Fcと比較してGDF−11およびアクチビンへの結合が減少したことを示す。しかし、ActRIIB(20−129)−Fcタンパク質は、プロリンノット領域が破壊された場合でさえ、野生型と比較して、類似しているがいくらか減少した活性を保持する。したがって、アミノ酸134、133、132、131、130、および129で終結するActRIIB細胞外ドメインは全て活性であると予想されるが、134または133で終結する構築物がもっとも活性であり得る。同様に、残基129〜134のいずれかの変異は、大きなマージンによってリガンド結合親和性を変化させないと予想される。これの裏付けとして、P129およびP130は、リガンド結合を実質的に減少させない。したがって、ActRIIB−Fc融合タンパク質は、アミノ酸109(最終システイン)ほどの早期に終結し得るが、109および119またはその間で終結する形態はリガンド結合が減少したと予想される。アミノ酸119は不十分に保存されており、したがって、容易に変化または短縮される。128以後で終結する形態は、リガンド結合活性を保持する。119および127またはその間で終結する形態は、中程度の結合能力を有するであろう。任意のこれらの形態は、臨床的設定または実験的設定に応じて使用することが望ましいかもしれない。
【0045】
ActRIIBのN末端では、アミノ酸29以前から始まるタンパク質がリガンド結合活性を保持すると予想される。アミノ酸29は、最初のシステインを示す。24位でのアラニンからアスパラギンへの変異により、リガンド結合に実質的に影響を及ぼすことなくN結合グリコシル化配列が導入される。これにより、シグナル切断ペプチドとシステイン架橋領域(アミノ酸20〜29に対応する)との間の領域の変異が十分に許容されることが確認される。特に、20、21、22、23、および24位から始まる構築物は活性を保持し、25、26、27、28、および29位から始まる構築物も活性を保持することが予想される。実施例に示すデータは、驚いたことに、22、23、24、または25位から始まる構築物が最も活性が高いことを証明する。
【0046】
まとめると、ActRIIBの活性部分は配列番号2のアミノ酸29〜109を含み、構築物は、例えば、アミノ酸20〜29に対応する残基から始まり、アミノ酸109〜134に対応する位置で終了し得る。他の例には、20〜29または21〜29由来の位置から始まり、119〜134、119〜133、または129〜134、129〜133由来の位置で終了する構築物が含まれる。他の例には、20〜24(または21〜24または22〜25)由来の位置から始まり、109〜134(または109〜133)、119〜134(または119〜133)、または129〜134(または129〜133)由来の位置で終了する構築物が含まれる。これらの範囲内のバリアント、特に配列番号4の対応する部分と少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%同一のバリアントも意図する。
【0047】
本開示は、図22に示す複合ActRIIB構造の分析結果を含む。この結果は、リガンド結合ポケットが、残基Y31、N33、N35、L38〜T41、E47、E50、Q53〜K55、L57、H58、Y60、S62、K74、W78〜N83、Y85、R87、A92、およびE94〜F101によって定義されることを証明している。これらの位置では、K74A変異が十分に許容されるにも関わらず、保存的変異が許容され、R40A、K55A、F82A、およびL79位の変異も同様であると予想される。R40は、ツメガエルのKであり、この位置の塩基性アミノ酸が許容されることを示す。Q53は、ウシActRIIB中のRおよびツメガエルActRIIB中のKであり、したがって、アミノ酸(R、K、Q、N、およびHが含まれる)がこの位置で許容されるであろう。したがって、活性なActRIIBバリアントタンパク質の一般的形態は、アミノ酸29〜109を含むが、任意選択的に、20〜24または22〜25の範囲の位置から始まり、129〜134の範囲の位置で終了し、リガンド結合ポケット中にたった1、2、5、10、または15個の保存的アミノ酸変化を含み、リガンド結合ポケット中の40、53、55、74、79および/または82位に0、1つまたは複数の非保存的変化を含む、形態である。かかるタンパク質は、配列番号4のアミノ酸29〜109の配列と80%、90%、95%、または99%を超える配列同一性を保持することができる。特に、変化を十分に許容することができる結合ポケットの外側の部位には、細胞外ドメインのアミノ末端およびカルボキシ末端(上記)ならびに42〜46位および65〜73位が含まれる。65位でのアスパラギンからアラニンへの変化(N65A)は、A64バックグラウンド中でリガンド結合を実際に改善する。したがって、R64バックグラウンド中のリガンド結合に悪影響を及ぼさないと予想される。この変化は、おそらく、A64バックグランド中でN65のグリコシル化を排除する。したがって、この領域中の有意な変化が許容される可能性が高いことが証明される。R64Aの変化はあまり許容されない一方で、R64Kは十分に許容される。したがって、別の塩基性残基(Hなど)は、64位で許容され得る。
【0048】
ActRIIBは、ほぼ全ての脊椎動物で十分に保存されており、巨大な細胞外ドメインが完全に保存されている。ActRIIBに結合する多数のリガンドも高度に保存されている。したがって、種々の脊椎動物由来のActRIIB配列の比較により、変化することができる残基が洞察される。したがって、活性なヒトActRIIBバリアントは、別の脊椎動物ActRIIB配列由来の対応する位置に1つまたは複数のアミノ酸を含むことができるか、ヒトまたは他の脊椎動物中の残基に類似する残基を含むことができる。以下の例は、活性なActRIIBバリアントの定義のためのこのアプローチを示す。L46はツメガエルActRIIB中のバリンであるため、この位置を変化させることができ、任意選択的に別の疎水性残基(V、I、またはFなど)または非極性残基(Aなど)に変化させることができる。E52はツメガエル中でKであり、この部位は、広範な種々の変化(E、D、K、R、H、S、T、P、G、Yなどの極性残基、おそらくAが含まれる)を許容することができることを示す。T93は、ツメガエル中でKであり、好ましい極性残基(S、K、R、E、D、H、G、P、G、およびYなど)を用いた広範な構造の異形がこの位置で許容されることを示す。F108はツメガエル中でYである。したがって、Yまたは他の疎水性基(I、V、またはL)が許容されるはずである。E111はツメガエル中でKであり、残基の変化(D、R、K、およびH、ならびにQおよびNが含まれる)がこの位置で許容されることを示す。R112はツメガエル中でKであり、塩基性残基(RおよびHが含まれる)がこの位置で許容されることを示す。119位のAは相対的にあまり保存されず、げっ歯類中でPおよびツメガエル中でVとして出現しする。したがって、本質的に任意のアミノ酸がこの位置で許容されるはずである。
【0049】
開示は、さらなるN結合グリコシル化部位(N−X−S/T)の付加が、ActRIIB(R64)−Fc形態と比較してActRIIB−Fc融合タンパク質の血清半減期を増加させることを証明する。24位でのアスパラギンの導入により(A24N構築物)、より長い半減期を付与するNXT配列が作製される。他のNX(T/S)配列が42〜44(NQS)および65〜67(NSS)で見出されるが、後者は、64位でRと有効にグリコシル化できない。N−X−S/T配列を、一般に、図12に定義したリガンド結合ポケットの外側の位置に導入することができる。非内因性N−X−S/T配列の特に適切な導入部位には、アミノ酸20〜29、20〜24、22〜25、109〜134、120〜134、または129〜134が含まれる。N−X−S/T配列を、ActRIIB配列とFcまたは他の融合成分との間のリンカーに導入することもできる。かかる部位を、既存のSもしくはTに関して正確な位置にNを導入すること、または既存のNに対応する位置にSもしくはTを導入することによって最小の労力で導入することができる。したがって、N結合グリコシル化部位を作製するであろう望ましい変化は以下である:A24N、R64N、S67N(おそらくN65A変化と組み合わせた)、E106N、R112N、G120N、E123N、P129N、A132N、R112S、およびR112T。グリコシル化されると予想される任意のSを、免疫原性部位を作製することなくTに変化することができると予想される。これは、グリコシル化によって保護されるためである。同様にグリコシル化されると予想される任意のTを、Sに変化することができる。したがって、変化S67TおよびS44Tが示唆される。同様に、A24Nバリアントでは、S26T変化を使用することができる。したがって、ActRIIBバリアントは、1つまたは複数のさらなる非内因性N結合グリコシル化コンセンサス配列を含むことができる。
【0050】
L79位を、変化したアクチビン−ミオスタチン(GDF−11)結合特性が付与されるように変化することができる。L79AまたはL79Pは、アクチビン結合よりも広範にGDF−11結合を減少させる。L79EまたはL79Dは、GDF−11結合を保持する。際立って、L79EおよびL79Dバリアントは、アクチビン結合を大きく減少させた。in vivo実験により、これらの非アクチビン受容体は有意に筋肉量を増加させる能力を保持するが、他の組織に及ぼす影響が減少することが示されている。これらのデータは、アクチビンに及ぼす影響が減少したポリペプチドを得るための望ましさおよび実現可能性を示す。
【0051】
記載の異形を、種々の方法で組み合わせることができる。さらに、本明細書中に記載の変異誘発プログラムの結果は、ActRIIb中にしばしば保存に有利なアミノ酸位置が存在することを示す。これらの位置には、64位(塩基性アミノ酸)、80位(酸性または疎水性アミノ酸)、78位(疎水性、特にトリプトファン)、37位(酸性、特に、アスパラギン酸またはグルタミン酸)、56位(塩基性アミノ酸)、60位(疎水性アミノ酸、特に、フェニルアラニンまたはチロシン)が含まれる。したがって、本明細書中に開示の各バリアントでは、本開示は、保存することができるアミノ酸のフレームワークを提供する。保存することが望ましいかも知れない他の位置は以下である:52位(酸性アミノ酸)、55位(塩基性アミノ酸)、81位(酸性)、98(極性または荷電、特に、E、D、R、またはK)。
【0052】
ある実施形態では、ActRIIBポリペプチドの単離フラグメントを、ActRIIBポリペプチドをコードする核酸(例えば、配列番号3および4)の対応するフラグメントから組換え的に産生したポリペプチドのスクリーニングによって得ることができる。さらに、フラグメントを、従来のMerrifield固相f−Mocまたはt−Boc化学などの当該分野で公知の技術を使用して化学合成することができる。(組換えまたは化学合成によって)フラグメントを産生し、これを試験して、例えば、ActRIIBタンパク質またはActRIIBリガンドのアンタゴニスト(インヒビター)またはアゴニスト(アクチベーター)として機能することができるペプチジルフラグメントを同定することができる。
【0053】
ある実施形態では、ActRIIBポリペプチドの機能的バリアントは、配列番号3、4、および10から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%同一のアミノ酸配列を有する。ある場合において、機能的バリアントは、配列番号3、4、および10から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一のアミノ酸配列を有する。
【0054】
ある実施形態では、本発明は、治療効率または安定性(例えば、ex vivo有効期間およびin vivoでのタンパク質分解耐性)の増強などの目的のためのActRIIBポリペプチドの構造の修飾による機能的バリアントの作製を意図する。修飾ActRIIBポリペプチドを、例えば、アミノ酸の置換、欠失、または付加によって産生することもできる。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンとの単独の置換、アスパラギン酸のグルタミン酸との単独の置換、トレオニンのセリンとの単独の置換、またはアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸との類似の置換(例えば、保存的変異)は得られた分子の生物活性に大きな影響を及ぼさないと予想することが妥当である。保存的置換は、その側鎖中の関連するアミノ酸ファミリー内に起こるものである。ActRIIBポリペプチドのアミノ酸配列の変化によって機能的ホモログが得られるかどうかを、バリアントActRIIBポリペプチドが野生型ActRIIBポリペプチドに類似の様式で細胞中で応答するか、野生型に類似の様式でアクチビン、GDF−11、またはミオスタチンなどの1つまたは複数のリガンドに結合する能力の評価によって容易に決定することができる。
【0055】
ある種の特定の実施形態では、本発明は、バリアント(または変異)ActRIIBポリペプチドのリガンド結合活性(例えば、結合親和性または結合特異性)が変化するような、ActRIIBポリペプチドの細胞外ドメイン(リガンド結合ドメインともいわれる)の変異の作製を意図する。ある場合において、かかるバリアントActRIIBポリペプチドは、特異的リガンドに対する結合親和性が変化(上昇または低下)した。他の場合、バリアントActRIIBポリペプチドは、そのリガンドに対する結合親和性が変化した。
【0056】
例えば、本開示は、アクチビンと比較してGDF8/GDF11に優先的に結合するバリアントActRIIBポリペプチドを提供する。本開示は、さらに、的外れの影響を減少させるためのかかるポリペプチドの望ましさを確立するが、かかる選択的バリアントは、治療効果を得るために非常に大きな筋肉量の増加を必要とし得、いくらかのレベルの的外れの影響が許容可能な重症疾患の治療にはあまり望ましくないかもしれない。例えば、ActRIIBタンパク質のアミノ酸残基(E39、K55、Y60、K74、W78、D80、およびF101など)は、リガンド結合ポケット中に存在し、アクチビンおよびGDF8などのそのリガンドへの結合を媒介する。したがって、本発明は、アミノ酸残基に1つまたは複数の変異を含むActRIIB受容体の変化したリガンド結合ドメイン(例えば、GDF8結合ドメイン)を提供する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、ActRIIB受容体の野生型リガンド結合ドメインと比較してGDF8などのリガンドに対する選択性を増加させることができる。例えば、これらの変異により、アクチビンよりもGDF8の変化したリガンド結合ドメインの選択性が増加する。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインについてのアクチビン結合のKdのGDF8結合のKdに対する比は、野生型リガンド結合ドメインについての比と比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍である。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインについてのアクチビン阻害のIC50のGDF8阻害のIC50の比は、野生型リガンド結合ドメインと比較して少なくとも2、5、10、またはさらに100倍である。任意選択的に、変化したリガンド結合ドメインは、アクチビン阻害についてのIC50の少なくとも1/2、1/5、1/10、またはさらに1/100のIC50でGDF8を阻害する。
【0057】
特定の例として、ActRIIBのリガンド結合ドメインの正電荷のアミノ酸残基Asp(D80)を、バリアントActRIIBポリペプチドがGDF8に優先的に結合するが、アクチビンには結合しないように、異なるアミノ酸残基に変異することができる。好ましくは、D80残基を、無電荷アミノ酸残基、負のアミノ酸残基、および疎水性アミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基に変化させる。さらなる特定の例として、疎水性残基L79を、酸性アミノ酸であるアスパラギン酸またはグルタミン酸に変化させて、GDF11結合を保持しながらアクチビン結合を非常に減少させることができる。当業者に認識されるように、ほとんどの記載の変異体、バリアント、または修飾物を核酸レベルで作製することができるか、いくつかの場合、翻訳後修飾または化学合成によって作製することができる。かかる技術は、当該分野で周知である。
【0058】
ある実施形態では、本発明は、ポリペプチドのグリコシル化を変化させるためのActRIIBポリペプチドの特異的変異を意図する。ActRIIBポリペプチド中のグリコシル化部位の例を、図2に示す。かかる変異を、1つまたは複数のグリコシル化部位(O結合またはN結合グリコシル化部位など)を導入または排除するために選択することができる。アスパラギン結合グリコシル化認識部位は、一般に、適切な細胞グリコシル化酵素によって特異的に認識されるトリペプチド配列(アスパラギン−X−トレオニン(式中、「X」は任意のアミノ酸である))を含む。野生型ActRIIBポリペプチド配列(O結合グリコシル化部位のため)に対する1つまたは複数のセリン残基またはトレオニン残基の付加または置換によって変化させることもできる。グリコシル化認識部位の第1または第3のアミノ酸位置の一方または両方の種々のアミノ酸の置換または欠失(および/または第2の位置でのアミノ酸欠失)により、修飾トリペプチド配列でグリコシル化されない。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分数の別の増加手段は、ActRIIBポリペプチドへのグリコシドの化学的または酵素的カップリングによる手段である。使用したカプリング様式に応じて、糖を、(a)アルギニンおよびヒスチジン;(b)遊離カルボキシル基;(c)遊離スルフヒドリル基(システインの遊離スルフヒドリル基など);(d)遊離ヒドロキシル基(セリン、トレオニン、またはヒドロキシプロリンの遊離ヒドロキシル基など);(e)芳香族残基(フェニルアラニン、チロシン、またはトリプトファンの芳香族残基など);または(f)グルタミンのアミド基に結合することができる。これらの方法は、1987年9月11日公開のWO87/05330号およびAplinおよびWriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.、pp.259−306(本明細書中で参考として援用される)に記載されている。ActRIIBポリペプチド上に存在する1つまたは複数の炭水化物部分の除去を、化学的および/または酵素的に行うことができる。化学的脱グリコシル化は、例えば、化合物トリフルオロメタンスルホン酸または等価な化合物へのActRIIBポリペプチドの暴露を含むことができる。この処理により、結合糖(N−アセチルグルコサミンまたはN−アセチルガラクトサミン)以外のほとんどまたは全ての糖が切断される一方で、アミノ酸配列はインタクトなままである。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら(1987)Arch.Biochem.Biophys.259:52およびEdgeら(1981)Anal.Biochem.118:131によってさらに説明されている。ActRIIBポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断を、Thotakuraら(1987)Meth.Enzymol.138:350に記載のように、種々のエンドグリコシダーゼまたはエクソグリコシダーゼの使用によって行うことができる。哺乳動物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および植物細胞の全てがペプチドのアミノ酸配列に影響を受け得る異なるグリコシル化パターンを導入することができるので、ActRIIBポリペプチド配列を、必要に応じて、使用した発現系の型に依存して調整することができる。一般に、ヒトで用いるActRIIBタンパク質を、適切なグリコシル化が得られる哺乳動物細胞株(HEK293細胞株またはCHO細胞株など)中で発現するが、他の哺乳動物発現細胞株も同様に有用であると予想される。
【0059】
この開示は、さらに、バリアント、特に、ActRIIBポリペプチドの組み合わせバリアント組(任意選択的に、短縮バリアントが含まれる)を生成する方法を意図する。組み合わせ変異体のプールは、機能的バリアント配列の同定に特に有用である。かかる組み合わせライブラリーのスクリーニングの目的は、例えば、変化した薬物動態学または変化したリガンド結合などの変化した性質を有するActRIIBポリペプチドバリアントを生成することであり得る。種々のスクリーニングアッセイを以下に提供し、かかるアッセイを使用して、バリアントを評価することができる。例えば、ActRIIBポリペプチドバリアントを、ActRIIBポリペプチドに結合する能力(ActRIIBリガンドのActRIIBポリペプチドへの結合を防止する能力)についてスクリーニングすることができる。
【0060】
ActRIIBポリペプチドまたはそのバリアントの活性を、細胞ベースの活性またはin vivoアッセイで試験することもできる。例えば、骨芽細胞または前駆体中の骨産生に関与する遺伝子発現に及ぼすActRIIBポリペプチドバリアントの影響を評価することができる。これを、必要に応じて、1つまたは複数の組換えActRIIBリガンドタンパク質(例えば、BMP7)の存在下で行うことができ、細胞をトランスフェクトしてActRIIBポリペプチドおよび/またはそのバリアント、任意選択的にActRIIBリガンドを産生することができる。同様に、ActRIIBポリペプチドを、マウスまたは他の動物に投与し、密度または体積などの1つまたは複数の骨の性質を評価することができる。骨折の治癒率も評価することができる。同様に、筋肉細胞、脂肪細胞、および神経細胞中のActRIIBポリペプチドまたはそのバリアントの活性を、これらの細胞の成長に及ぼす任意の影響について、例えば、下記のアッセイによって試験することができる。かかるアッセイは当該分野で周知であり、日常的アッセイである。SMAD反応性レポーター遺伝子を、かかる細胞株で使用して、下流シグナル伝達に及ぼう影響をモニタリングすることができる。
【0061】
天然に存在するActRIIBポリペプチドと比較して選択能力を有する組み合わせ由来のバリアントを生成することができる。かかるバリアントタンパク質を、組換えDNA構築物から発現する場合、遺伝子療法プロトコルで使用することができる。同様に、変異誘発により、対応する野生型ActRIIBポリペプチドと劇的に異なる細胞内半減期を有するバリアントが生じ得る。例えば、変化したタンパク質により、未変性のActRIIBポリペプチドを破壊するか、そうでなければ、不活化するタンパク質分解または他の過程に対してより安定にするか、不安定にすることができる。かかるバリアントおよびバリアントをコードする遺伝子を使用して、ActRIIBポリペプチドの半減期の調整によって、ActRIIBポリペプチドレベルを変化させることができる。例えば、短い半減期により、より一過性の生物学的影響を得ることができ、誘導性発現系の一部である場合、細胞内の組換えActRIIBポリペプチドレベルの調節を強化することができる。
【0062】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチド中に天然に存在する任意のものに加えて、翻訳後修飾をさらに含むことができる。かかる修飾には、アセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、およびアシル化が含まれるが、これらに限定されない。結果として、修飾ActRIIBポリペプチドは、非アミノ酸成分(ポリエチレングリコール、脂質、ポリサッカリドまたはモノサッカリド、およびリン酸塩など)を含むことができる。ActRIIBポリペプチドの機能性に及ぼすかかる非アミノ酸成分の影響を、他のActRIIBポリペプチドバリアントについて本明細書中に記載のように試験することができる。ActRIIBポリペプチドをActRIIBポリペプチドの初期の形態の切断によって細胞中に産生する場合、翻訳後プロセシングはまた、本発明のタンパク質の正確な折り畳みおよび/または機能に重要であり得る。異なる細胞(CHO、HeLa、MDCK、293、W138、NIH−3T3、またはHEK293など)は、かかる翻訳後活性の特異的細胞機構および特徴的機構を有し、ActRIIBポリペプチドの正確な修飾およびプロセシングを確実にするように選択することができる。
【0063】
ある態様では、ActRIIBポリペプチドの機能的バリアントまたは修飾形態には、ActRIIBポリペプチドの少なくとも一部および1つまたは複数の融合ドメインを有する融合タンパク質が含まれる。かかる融合ドメインの周知の例には、ポリヒスチジン、Glu−Glu、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン重鎖定常領域(例えば、Fc)、マルトース結合タンパク質(MBP)、またはヒト血清アルブミンが含まれるが、これらに限定されない。融合ドメインを、所望の性質が付与されるように選択することができる。例えば、いくつかの融合ドメインは、アフィニティクロマトグラフィによる融合タンパク質の単離に特に有用である。アフィニティ精製のために、アフィニティクロマトグラフィのための関連マトリックス(グルタチオン、アミラーゼ、およびニッケルまたはコバルトに抱合した樹脂など)を使用する。多数のかかるマトリックスは、「キット」形態((HIS6)融合パートナーとともに使用するPharmacia GST精製システムおよびQIAexpress(商標)システム(Qiagen)など)で利用可能である。別の例として、ActRIIBポリペプチドの検出を容易にするために融合ドメインを選択することができる。かかる検出ドメインの例には、種々の蛍光タンパク質(例えば、GFP)ならびに特異的抗体が利用可能な通常は短いペプチド配列である「エピトープタグ」が含まれる。特異的モノクローナル抗体が容易に利用可能な周知のエピトープタグには、FLAG、インフルエンザウイルス赤血球凝集素(HA)、およびc−mycタグが含まれる。場合によっては、融合ドメインは、第Xa因子またはトロンビンなどのプロテアーゼ切断部位を有する。この部位により、関連プロテアーゼが融合タンパク質を部分的に消化し、それにより、融合タンパク質から組換えタンパク質が遊離する。次いで、その後のクロマトグラフィ分離によって、遊離タンパク質を融合ドメインから単離することができる。ある好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドを、in vivoでActRIIBポリペプチドを安定にするドメイン(「安定剤」ドメイン)と融合する。「安定化」は、破壊の減少、腎臓によるクリアランスの減少、または他の薬物動態作用に起因するかどうかと無関係に血清半減期を増加させる全てのものを意味する。免疫グロブリンのFc部分内の融合は、広範なタンパク質に望ましい薬物動態学的性質を付与することが公知である。同様に、ヒト血清アルブミンへの融合により、望ましい性質を付与することができる。選択することができる他の融合ドメイン型には、多量体化(例えば、二量体化、四量体化)ドメインおよび機能的ドメイン(筋肉成長のさらなる刺激などのさらなる生物学的機能を付与する)が含まれる。
【0064】
特定の例として、本発明は、Fcドメインに融合した細胞外(例えば、GDF8結合)ドメイン(例えば、配列番号13)を含むGDF8アンタゴニストとしての融合タンパク質を提供する。
【0065】
【化1】
好ましくは、Fcドメインは、Asp−265、リジン322、およびAsn−434などの残基に1つまたは複数の変異を有する。ある場合において、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asp−265変異)を有する変異Fcドメインにより、野生型Fcドメインと比較してFcγ受容体への結合能力が減少した。他の場合、1つまたは複数のこれらの変異(例えば、Asn−434変異)を有する変異Fcドメインにより、野生型Fcドメインと比較してMHCクラスI関連Fc受容体(FcRN)への結合能力が増加した。
【0066】
融合タンパク質の異なる要素を所望の機能性と一致する任意の様式で配置することができると理解される。例えば、ActRIIBポリペプチドを、異種ドメインに対してC末端に配置することができるか、異種ドメインをActRIIBポリペプチドに対してC末端に配置することができる。ActRIIBポリペプチドドメインおよび異種ドメインは、融合タンパク質中で隣接する必要はなく、さらなるドメインまたはアミノ酸配列をいずれかのドメインに対してC末端またはN末端またはドメイン間に含めることができる。
【0067】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチドは、ActRIIBポリペプチドを安定化することができる1つまたは複数の修飾を含む。例えば、かかる修飾は、ActRIIBポリペプチドのin vitro半減期を増強するか、ActRIIBポリペプチドの循環半減期を増強するか、ActRIIBポリペプチドのタンパク質分解を減少させる。かかる安定化修飾には、融合タンパク質(例えば、ActRIIBポリペプチドおよび安定剤ドメインを含む融合タンパク質が含まれる)、グリコシル化部位の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチドのグリコシル化部位の付加が含まれる)、および炭水化物部分の修飾(例えば、ActRIIBポリペプチド由来の炭水化物部分の除去が含まれる)が含まれるが、これらに限定されない。融合タンパク質の場合、ActRIIBポリペプチドを、IgG分子などの安定剤ドメイン(例えば、Fcドメイン)に融合する。本明細書中で使用する場合、用語「安定剤ドメイン」は、融合タンパク質の場合のように融合ドメイン(例えば、Fc)をいうだけでなく、炭水化物部分などの非タンパク質性修飾またはポリエチレングリコールなどの非タンパク質性ポリマーも含まれる。
【0068】
ある実施形態では、本発明は、他のタンパク質から単離されているか、他のタンパク質を実質的に含まない単離および/または精製形態のActRIIBポリペプチドを利用可能である。
【0069】
ある実施形態では、本発明のActRIIBポリペプチド(非修飾または修飾)を、種々の当該分野で公知の技術によって産生することができる。例えば、かかるActRIIBポリペプチドを、標準的なタンパク質化学技術(Bodansky、M.Principles of Peptide Synthesis、Springer Verlag、Berlin(1993)およびGrant G.A.(編)、Synthetic Peptides:A User’s Guide、W.H.FreemanおよいCompany、New York(1992)に記載の技術など)を使用して合成することができる。さらに、自動化ペプチド合成機は市販されている(例えば、Advanced ChemTech Model 396;Milligen/Biosearch 9600)。あるいは、当該分野で周知のとおり、ActRIIBポリペプチド、そのフラグメントまたはバリアントを、種々の発現系(例えば、E.coli、チャイニーズハムスター卵巣細胞、COS細胞、バキュロウイルス)を使用して組換え的に産生することができる(下記も参照のこと)。さらなる実施形態では、修飾または非修飾ActRIIBポリペプチドを、例えば、プロテアーゼ(例えば、トリプシン、サーモリシン、キモトリプシン、ペプシン、または対の塩基性アミノ酸変換酵素(PACE))の使用による天然に存在するか組換え的に産生された全長ActRIIBポリペプチドの消化によって産生することができる。コンピュータ分析(市販のソフトウェア(例えば、MacVector、Omega、PCGene、Molecular Simulation、Inc.))を使用して、タンパク質分解部位を同定することができる。あるいは、かかるActRIIBポリペプチドを、当該分野で公知の標準的技術(化学的切断(例えば、臭化シアン、ヒドロキシルアミン)など)などによって天然に存在するか組換え的に産生された全長ActRIIBポリペプチドから産生することができる。
【0070】
3.ActRIIBポリペプチドをコードする核酸
ある態様では、本発明は、任意のActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)(本明細書中に開示の任意のバリアントが含まれる)をコードする単離および/または組換え核酸を提供する。例えば、配列番号4は天然に存在するActRIIB前駆体ポリペプチドをコードし、配列番号3は可溶性ActRIIBポリペプチドをコードする。本核酸は、一本鎖または二本鎖であり得る。かかる核酸は、DNA分子またはRNA分子であり得る。これらの核酸を、例えば、ActRIIBポリペプチドの作製方法で使用するか、治療薬(例えば、遺伝子療法アプローチで)として直接使用することができる。
【0071】
ある態様では、ActRIIBポリペプチドをコードする本核酸は、配列番号3のバリアントである核酸を含むとさらに理解される。バリアントヌクレオチド配列には、1つまたは複数のヌクレオチドの置換、付加、または欠失によって異なる配列(対立遺伝子バリアントなど)が含まれる。したがって、配列番号4中で指定されたコード配列のヌクレオチド配列と異なるコード配列が含まれるであろう。
【0072】
ある実施形態では、本発明は、配列番号3と少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、または100%同一である単離または組換え核酸配列を提供する。当業者は、配列番号3および配列番号3のバリアントに相補的な核酸も本発明の範囲内であると認識するであろう。さらなる実施形態では、本発明の核酸配列は、単離核酸、組換え核酸、および/または異種ヌクレオチド配列と融合された核酸、またはDNAライブラリー中の核酸であり得る。
【0073】
他の実施形態では、本発明の核酸には、配列番号3中の指定されたヌクレオチド配列、配列番号3の相補配列、またはそのフラグメントに対して高度にストリンジェントな条件下でハイブリッド形成するヌクレオチド配列も含まれる。上記で考察される通り、当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができると容易に理解するであろう。当業者は、DNAハイブリッド形成を促進する適切なストリンジェンシー条件を変化させることができると容易に理解するであろう。例えば、約45℃で6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)でのハイブリッド形成を行い、その後に50℃の2.0×SSCで洗浄することができる。例えば、洗浄工程における塩濃度を、50℃で約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまでから選択することができる。さらに、洗浄工程における温度を、室温(約22℃)での低ストリンジェンシー条件から約65℃の高ストリンジェンシー条件までに増加させることができる。温度および塩の両方を変化させることができるか、温度または塩濃度を一定に保持しながら、他の変数を変化させることができる。1つの実施形態では、本発明は、室温で6×SSCの低ストリンジェンシー条件下でハイブリッド形成させ、その後に室温の2×SSCで洗浄する核酸を提供する。
【0074】
遺伝コードの縮重によって配列番号3に記載の核酸と異なる単離核酸も本発明の範囲内である。例えば、多数のアミノ酸は、1つを超えるトリプレットによって指定される。同一のアミノ酸または同義語(例えば、CAUおよびCACはヒスチジンの同義語である)を特定するコドンにより、タンパク質のアミノ酸配列に影響を及ぼさない「サイレント」変異を得ることができる。しかし、本タンパク質のアミノ酸配列を変化させるDNA配列多型が哺乳動物細胞間で存在すると予想される。当業者は、天然の対立遺伝子異形に起因する特定のタンパク質をコードする核酸の1つまたは複数のヌクレオチド(ヌクレオチドの約3〜5%まで)のこれらの異形が所与の種の個体間に存在し得ることが認識されるであろう。任意および全てのかかるヌクレオチド異形および得られたアミノ酸多型は、本発明の範囲内である。
【0075】
ある実施形態では、本発明の組換え核酸を、発現構築物中の1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列に作動可能に連結することができる。調節ヌクレオチド配列は、一般に、発現のために使用される宿主細胞に適切であろう。種々の宿主細胞のための多数の適切な発現ベクター型および適切な調節配列型は、当該分野で公知である。典型的には、この1つまたは複数の調節ヌクレオチド配列には、プロモーター配列、リーダー配列またはシグナル配列、リボゾーム結合部位、転写開始配列および転写終結配列、翻訳開始配列および翻訳終結配列、およびエンハンサー配列またはアクチベーター配列が含まれ得るが、これらに限定されない。当該分野で公知の構成性プロモーターまたは誘導性プロモーターは、本発明で意図される。プロモーターは、天然に存在するプロモーターまたは1つを超えるプロモーターの要素を組み合わせたハイブリッドプロモーターのいずれかであり得る。発現構築物は、プラスミドなどのエピソーム上の細胞中に存在することができるか、発現構築物を染色体中に挿入することができる。好ましい実施形態では、発現ベクターは、形質転換された宿主細胞を選択するための選択マーカー遺伝子を含む。選択マーカー遺伝子は当該分野で周知であり、使用される宿主細胞内で変化するであろう。
【0076】
本発明のある態様では、本核酸を、ActRIIBポリペプチドをコードし、少なくとも1つの調節配列に作動可能に連結されたヌクレオチド配列を含む発現ベクター中に提供する。調節配列は当該分野で認識されており、ActRIIBポリペプチド発現を指示するように選択される。したがって、用語「調節配列」には、プロモーター、エンハンサー、および他の発現調節要素が含まれる。例示的調節配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology、Academic Press、San Diego、CA(1990)に記載されている。例えば、作動可能に連結した場合にDNA配列の発現を調節する任意の広範な種々の発現調節配列をこれらのベクター中で使用して、ActRIIBポリペプチドをコードするDNA配列を発現することができる。かかる有用な発現調節配列には、例えば、SV40の初期および後期プロモーター、tetプロモーター、アデノウイルスまたはサイトメガロウイルス最初期プロモーター、RSVプロモーター、lac系、trp系、TACまたはTRC系、その発現がT7 RNAポリメラーゼによって指示されるT7プロモーター、λファージの主なオペレーター領域およびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼまたは他の糖分解酵素のプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター(例えば、Pho5)、酵母α−接合因子のプロモーター、バキュロウイルス系の多面体プロモーター、および原核細胞または真核細胞またはそのウイルスの遺伝子発現を調節することが公知の他の配列、ならびにその種々の組み合わせが含まれる。発現ベクターのデザインが形質転換すべき宿主細胞および/または発現が望まれるタンパク質の型の選択などの要因に依存し得ると理解すべきである。さらに、ベクターのコピー数、コピー数を調節する能力、およびベクターによってコードされる任意の他のタンパク質(抗生物質マーカーなど)の発現も考慮すべきである。
【0077】
本発明の組換え核酸を、原核細胞、真核細胞(酵母、トリ、昆虫、または哺乳動物)、またはその両方のいずれかでの発現に適切なベクターへのクローン化した遺伝子またはその一部のライゲーションによって産生することができる。組換えActRIIBポリペプチド産生用の発現ビヒクルには、プラスミドおよび他のベクターが含まれる。例えば、適切なベクターには、以下の型のプラスミドが含まれる:E.coliなどの原核細胞中での発現のためのpBR322由来プラスミド、pEMBL由来プラスミド、pEX由来プラスミド、pBTac由来プラスミド、およびpUC由来プラスミド。
【0078】
いくつかの哺乳動物発現ベクターは、細菌中でのベクターの増殖を容易にするための原核生物配列および真核細胞中で発現される1つまたは複数の真核生物転写単位の両方を含む。pcDNAI/amp、pcDNAI/neo、pRc/CMV、pSV2gpt、pSV2neo、pSV2−dhfr、pTk2、pRSVneo、pMSG、pSVT7、pko−neo、およびpHyg由来のベクターは、真核細胞のトランスフェクションに適切な哺乳動物発現ベクターの例である。いくつかのこれらのベクターを、pBR322などの細菌プラスミド由来の配列で修飾して、原核細胞および真核細胞の両方における複製および薬物耐性選択を容易にする。あるいは、ウシパピローマウイルス(BPV−1)またはエプスタイン・バーウイルス(pHEBo、pREP由来の、およびp205)などのウイルス誘導体を、真核細胞中のタンパク質の一過性発現のために使用することができる。他のウイルス(レトロウイルスが含まれる)発現系の例を、以下の遺伝子療法送達系の説明で見出すことができる。プラスミドの調製および宿主生物の形質転換で使用される種々の方法は、当該分野で周知である。原核細胞および真核細胞の両方に適切な他の発現系ならびに一般的な組換え手順いついては、Molecular Cloning A Laboratory Manual、第2版、Sambrook、FritschおよびManiatis編(Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989)第16章および第17章を参照のこと。いくつかの例では、バキュロウイルス発現系の使用によって組換えポリペプチドを発現することが望ましいかも知れない。かかるバキュロウイルス発現系の例には、pVL由来ベクター(pVL1392、pVL1393、およびpVL941など)、pAcUW由来ベクター(pAcUW1など)、およびpBlueBac由来ベクター(β−gal含有pBlueBacIIIなど)が含まれる。
【0079】
好ましい実施形態では、CHO細胞中での本ActRIIBポリペプチドの産生のためのベクターをデザインするであろう(Pcmv−Scriptベクター(Stratagene、La Jolla、Calif.)、pcDNA4ベクター(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)、およびpCI−neoベクター(Promega、Madison、Wisc.)など)。明らかなように、本遺伝子構築物を使用して培養物中で増殖した細胞中で本ActRIIBポリペプチドを発現させて、例えば、タンパク質(精製のための融合タンパク質またはバリアントタンパク質が含まれる)を産生することができる。
【0080】
本発明はまた、1つまたは複数の本ActRIIBポリペプチドのコード配列(例えば、配列番号4)を含む組換え遺伝子でトランスフェクトした宿主細胞に関する。宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。例えば、本発明のActRIIBポリペプチドを、E.coliなどの細菌細胞、昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス発現系を使用)、酵母、または哺乳動物細胞中で発現することができる。他の適切な宿主細胞は、当業者に公知である。
【0081】
したがって、本発明は、さらに、本ActRIIBポリペプチドの産生方法に関する。例えば、ActRIIBポリペプチドをコードする発現ベクターでトランスフェクトした宿主細胞を、ActRIIBポリペプチドを発現させるのに適切な条件下で培養することができる。ActRIIBポリペプチドを分泌させ、細胞とActRIIBポリペプチドを含む培地との混合物から単離することができる。あるいは、ActRIIBポリペプチドを、細胞質または膜画分中に保持し、細胞を回収し、溶解し、タンパク質を単離することができる。細胞培養物は、宿主細胞、培地、および他の副生成物を含む。細胞培養に適切な培地は、当該分野で周知である。本ActRIIBポリペプチドを、タンパク質精製のための当該分野で公知の技術(イオン交換クロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、限外濾過、電気泳動、およびActRIIBポリペプチドの特定のエピトープに特異的な抗体を使用した免疫親和性精製が含まれる)を使用して、細胞培養培地、宿主細胞、またはその両方から単離することができる。好ましい実施形態では、ActRIIBポリペプチドは、その精製を容易にするドメインを含む融合タンパク質である。
【0082】
別の実施形態では、組換えActRIIBポリペプチドの望ましい部分のN末端でポリ−(His)/エンテロキナーゼ切断部位配列などの精製リーダー配列をコードする融合遺伝子を、Ni2+金属樹脂を使用したアフィニティクロマトグラフィによって発現した融合タンパク質を精製することができる。次いで、精製リーダー配列を、エンテロキナーゼでの処理によって除去して、精製ActRIIBポリペプチドを得ることができる(例えば、Hochuliら、(1987)J.Chromatography 411:177;およびJanknechtら、PNAS USA 88:8972を参照のこと)。
【0083】
融合遺伝子の作製技術は周知である。本質的に、異なるポリペプチド配列をコードする種々のDNAフラグメントの連結を、ライゲーションのための平滑末端またはねじれた末端(stagger−ended termini)、適切な末端を得るための制限酵素消化、必要に応じた付着末端の穴埋め(filling−in)、望ましくない連結を回避するためのアルカリホスファターゼ処理、および酵素的ライゲーションを使用した従来の技術にしたがって行う。別の実施形態では、融合遺伝子を、従来の技術(自動化DNA合成機が含まれる)によって合成することができる。あるいは、遺伝子フラグメントのPCR増幅をアンカープライマーを使用して実施して2つの連続遺伝子フラグメント間に相補的オーバーハングを得、その後にアニーリングしてキメラ遺伝子配列を生成することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology、eds.Ausubelら、John Wiley & Sons:1992を参照のこと)。
【0084】
4.抗体
本発明の別の態様は、抗体に関する。ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)と特異的に反応し、ActRIIBポリペプチドと競合的に結合する抗体を、ActRIIBポリペプチド活性のアンタゴニストとして使用することができる。例えば、ActRIIBポリペプチド由来の免疫原の使用により、抗タンパク質/抗ペプチド抗血清またはモノクローナル抗体を、標準プロトコルによって作製することができる(例えば、Antibodies:A Laboratory Manual ed.by HarlowおよびLane(Cold Spring Harbor Press:1988)を参照のこと)。マウス、ハムスター、またはウサギなどの哺乳動物を、免疫原性形態のActRIIBポリペプチド、抗体応答を誘発することができる抗原フラグメント、または融合タンパク質で免疫化することができる。タンパク質またはペプチドに免疫原性を付与する技術には、キャリアへの抱合または当該分野で周知の他の技術が含まれる。アジュバントの存在下でActRIIBポリペプチドの免疫原性部分を投与することができる。免疫化の進行を、血漿または血清中の抗体力価の検出によってモニタリングすることができる。標準ELISAまたは他の免疫アッセイを抗原としての免疫原と共に使用して、抗体レベルを評価することができる。
【0085】
ActRIIBポリペプチドの免疫原性調製物での動物の免疫化後、抗血清を得ることができ、必要に応じて、ポリクローナル抗体を血清から単離することができる。モノクローナル抗体を産生するために、抗体産生細胞(リンパ球)を免疫化動物から回収し、骨髄腫細胞などの不死化細胞を使用した標準的な体細胞融合手順によって融合して、ハイブリドーマ細胞を得ることができる。かかる技術は当該分野で周知であり、例えば、ハイブリドーマ技術(KohlerおよびMilstein、(1975)Nature、256:495−497によって最初に開発された)、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozbarら、(1983)Immunology Today、4:72)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら、(1985)Monoclaonal AntibodiesおよびCancer Therapy、Alan R.Liss、Inc.pp.77−96)が含まれる。ハイブリドーマ細胞を、免疫化学的に、かかるハイブリドーマ細胞を含む培養物から単離したActRIIBポリペプチドおよびモノクローナル抗体と特異的に反応する抗体の産生についてスクリーニングすることができる。
【0086】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、本ActRIIBポリペプチドとも特異的に反応するそのフラグメントが含まれることを意図する。抗体を、従来の技術を使用して断片化し、フラグメントを上記の全抗体と同一の様式で有用性についてスクリーニングすることができる。例えば、F(ab)2フラグメントを、ペプシンでの抗体の処理によって生成することができる。得られたF(ab)2フラグメントを、ジスルフィド架橋を還元するように処理して、Fabフラグメントを産生することができる。本発明の抗体は、さらに、抗体の少なくとも1つのCDR領域によって付与されるActRIIBポリペプチドに対する親和性を有する二重特異性分子、単鎖分子、キメラ分子、およびヒト化分子が含まれることを意図する。好ましい実施形態では、抗体は、さらに、抗体に結合し、検出することができる標識(例えば、標識は、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子であり得る)を含む。
【0087】
ある好ましい実施形態では、本発明の抗体はモノクローナル抗体であり、ある実施形態では、本発明は新規の抗体生成方法を利用可能にする。例えば、ActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体の生成方法は、検出可能な免疫応答の刺激に有効なActRIIBポリペプチドを含む一定量の免疫原性組成物をマウスに投与する工程、マウスから抗体産生細胞(例えば、脾臓由来の細胞)を得る工程、抗体産生細胞を骨髄腫細胞と融合して、抗体産生ハイブリドーマを得る工程、および抗体産生ハイブリドーマを試験して、ActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを同定する工程を含むことができる。一旦得られると、ハイブリドーマを、任意選択的に、ハイブリドーマ由来細胞がActRIIBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を産生する培養条件で、細胞培養物中で増殖させることができる。モノクローナル抗体を、細胞培養物から精製することができる。
【0088】
抗体に関して使用される場合、形容詞「〜と特異的に反応する」を、当該分野で一般に理解されているように、抗体が目的の抗原(例えば、ActRIIBポリペプチド)と目的でない他の抗原との間で十分な選択性を示し、それにより、抗体が最低でも特定の生体サンプル型での目的の抗原の存在の検出に有用であることを意味することを意図する。治療的適応などの抗体を使用したある方法で、結合特異性がより高いことが望ましいかも知れない。モノクローナル抗体は、一般に、所望の抗原と交差反応ポリペプチドとを有効に区別する傾向がより高い(ポリクローナル抗体と比較した場合)。抗体:抗原相互作用の特異性に影響を及ぼす1つの特徴は、抗原に対する抗体の親和性である。所望の特異性を異なる親和性範囲で到達することができるにもかかわらず、一般に好ましい抗体は、約10−6、10−7、10−8、10−9以下の親和性(解離定数)を有するであろう。
【0089】
さらに、所望の抗体を同定するために抗体をスクリーニングために使用される技術は、得られた抗体の性質に影響を受け得る。例えば、抗体を溶液中での抗原の結合に使用する場合、溶液結合を試験することが望ましいかもしれない。種々の異なる技術は、特に望ましい抗体を同定するための抗体と抗原との間の相互作用の試験に利用可能である。かかる技術には、ELISA、表面プラズモン共鳴結合アッセイ(例えば、Biacore結合アッセイ、Bia−core AB、Uppsala、Sweden)、サンドイッチアッセイ(例えば、IGEN International、Inc.、Gaithersburg、Md.の常磁性ビーズシステム)、ウェスタンブロット、免疫沈降アッセイ、および免疫組織化学が含まれる。
【0090】
ある態様では、本開示は、可溶性ActRIIBポリペプチドに結合する抗体を提供する。かかる抗体を、抗原として可溶性ActRIIBポリペプチドまたはそのフラグメントを使用して上記のように生成することができる。この抗原型を使用して、例えば、生体サンプル中でActRIIBポリペプチドを検出し、そして/または個体中の可溶性ActRIIBポリペプチドレベルをモニタリングすることができる。ある場合において、可溶性ActRIIBポリペプチドに特異的に結合する抗体を使用して、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンドの活性を調整し、それにより、組織(骨、軟骨、筋肉、脂肪、およびニューロンなど)の成長を調節(促進または阻害)することができる。
【0091】
5.スクリーニングアッセイ
ある態様では、本発明は、ActRIIBポリペプチドのアゴニストまたはアンタゴニストである化合物(薬剤)を同定するための本ActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)の使用に関する。このスクリーニングによって同定された化合物を、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/またはニューロンなどの組織で試験して、in vitroで組織成長を調整する能力を評価することができる。任意選択的に、これらの化合物を、動物モデルでさらに試験して、in vivoでの組織成長を調整する能力を評価することができる。
【0092】
ActRIIBポリペプチドのターゲティングによって組織成長を調整する治療薬をスクリーニングするためのアプローチが多数存在する。ある実施形態では、化合物の高処理スクリーニングを行って、骨、軟骨、筋肉、脂肪、および/またはニューロンの成長に及ぼすActRIIB媒介性の影響を混乱させる薬剤を同定することができる。ある実施形態では、アッセイを行って、ActRIIBポリペプチドの結合パートナー(ActRIIBリガンド(例えば、アクチビン、Nodal、GDF8、GDF11、またはBMP7)など)への結合を特異的に阻害または減少させる化合物をスクリーニングし、同定する。あるいは、アッセイを使用して、ActRIIBポリペプチドのその結合タンパク質(ActRIIBリガンドなど)への結合を増強する化合物を同定することができる。さらなる実施形態では、化合物を、ActRIIBポリペプチドと相互作用する能力によって同定することができる。
【0093】
種々のアッセイ形式で十分であるにもかかわらず、本開示に照らして、本明細書中に明確に記載されていない形式を当業者は理解するであろう。本明細書中に記載されるように、本発明の試験化合物(薬剤)を、任意の組み合わせ化学法によって作製することができる。あるいは、本化合物は、in vivoまたはin vitroで合成された天然に存在する生体分子であり得る。組織成長のモジュレーターとして作用する能力について試験すべき化合物(薬剤)を、例えば、細菌、酵母、植物、または他の生物(例えば、天然物)によって産生することができるか、化学的に産生することができるか(例えば、小分子(ペプチド模倣物が含まれる))、組換え的に産生することができる。本発明によって意図される試験化合物には、非ペプチド有機分子、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド模倣物、糖、ホルモン、および核酸分子が含まれる。特定の実施形態では、試験薬は、分子量が2,000ダルトン未満の有機小分子である。
【0094】
本発明の試験化合物を、単一の個別の実体として提供することができるか、組み合わせ化学などによって作製されたより複雑な物質のライブラリー中に提供することができる。これらのライブラリーは、例えば、アルコール、アルキルハライド、アミン、アミド、エステル、アルデヒド、エーテル、および他のクラスの有機化合物を含むことができる。試験系に対して試験化合物は、特に初期スクリーニング工程で化合物の単離形態または混合物のいずれかとして存在し得る。任意選択的に、化合物を、他の化合物を使用して誘導体化することができ、化合物の単離を容易にする誘導体化基を有する。誘導体化基の非限定的な例には、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、緑色蛍光タンパク質、同位体、ポリヒスチジン、磁性ビーズ、グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)、光活性架橋剤、またはその任意の組み合わせが含まれる。
【0095】
化合物および天然抽出物のライブラリーを試験する多数の薬物スクリーニングプログラムでは、所与の期間で調査した化合物数を最大にするための高処理アッセイが望ましい。精製または半精製タンパク質などを使用して誘導することができる無細胞系で行うアッセイは、開発が迅速で、試験化合物によって媒介される分子標的の変化を比較的容易に検出することができるという点で、しばしば、「一次」スクリーニングとして好ましい。さらに、試験化合物の細胞毒性または生物学的利用能の影響を、一般に、in vitro系では無視することができる。本アッセイは、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質(例えば、ActRIIBリガンド)との間の結合親和性の変化として出現し得るので、その代わりに分子標的に及ぼす薬物の影響について主に注目する。
【0096】
例示のみのために、本発明の例示的スクリーニングアッセイでは、目的の化合物を、必要に応じてアッセイのために通常はActRIIBリガンドに結合することができる単離および精製されたActRIIBポリペプチドと接触する。次いで、化合物とActRIIBポリペプチドとの混合物に、ActRIIBリガンドを含む組成物を添加する。ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の検出および定量により、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の阻害(または強化)複合体形成での化合物の有効性を決定するための手段が得られる。化合物の有効性を、種々の濃度の試験化合物を使用して得たデータからの用量応答曲線の作成によって評価することができる。さらに、比較のためのベースラインを得るためのコントロールアッセイも行うことができる。例えば、コントロールアッセイでは、単離および精製ActRIIBリガンドをActRIIBポリペプチドを含む組成物に添加し、ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体の形成を試験化合物の非存在下で定量する。一般に、反応物を混合することができる順番を変化させることができ、同時に混合物ことができると理解されるであろう。さらに、精製タンパク質の代わりに、細胞抽出物および溶解物を使用して、無細胞アッセイ系を適切にすることができる。
【0097】
ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の複合体形成を、種々の技術によって検出することができる。例えば、複合体形成の調整を、例えば、検出可能に標識されたタンパク質(放射性標識(例えば、32P、35S、14C、または3H)、蛍光標識(例えば、FITC)、または酵素的に標識したActRIIBポリペプチドまたはその結合タンパク質など)を使用するか、免疫アッセイ、またはクロマトグラフィ検出によって定量することができる。
【0098】
ある実施形態では、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用の程度の直接または間接的な測定における蛍光偏光アッセイおよび蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)アッセイの使用を意図する。さらに、他の検出様式(光導波路(PCT公開WO96/26432号および米国特許第5,677,196号)、表面プラズモン共鳴(SPR)、表面電荷センサー、および表面力センサーに基づいた検出様式など)は、本発明の多数の実施形態と適合可能である。
【0099】
さらに、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を破壊または強化する薬剤の同定のための「2ハイブリッドアッセイ」としても公知の相互作用捕捉アッセイの使用を意図する。例えば、米国特許第5,283,317号;Zervosら(1993)Cell 72:223−232;Maduraら(1993)J Biol Chem 268:12046−12054;Bartelら(1993)Biotechniques 14:920−924;およびIwabuchiら(1993)Oncogene 8:1693−1696を参照のこと)。特定の実施形態では、本発明は、ActRIIBポリペプチドとその結合タンパク質との間の相互作用を絶つ化合物(例えば、小分子またはペプチド)を同定するための逆2ハイブリッド系の使用を意図する。例えば、VidalおよびLegrain、(1999)Nucleic Acids Res 27:919−29;VidalおよびLegrain、(1999)Trends Biotechnol 17:374−81;および米国特許第5,525,490号;同第5,955,280号;および同第5,965,368号を参照のこと。
【0100】
ある実施形態では、本化合物を、本発明のActRIIBポリペプチドと相互作用する能力によって同定する。化合物とActRIIBポリペプチドとの間の相互作用は、共有結合または非共有結合であり得る。例えば、かかる相互作用を、in vitro生化学法(光架橋、放射性標識リガンド結合、およびアフィニティクロマトグラフィ(Jakoby W Bら、1974、Methods in Enzymology 46:1)が含まれる)を使用してタンパク質レベルで同定することができる。ある場合において、化合物を、機構ベースのアッセイ(ActRIIBポリペプチドに結合する化合物を検出するためのアッセイなど)でスクリーニングすることができる。これには、固相または液相の結合事象が含まれ得る。あるいは、ActRIIBポリペプチドをコードする遺伝子を、細胞内にレポーター系(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、または緑色蛍光タンパク質)でトランスフェクトし、好ましくは高処理スクリーニングによってライブラリーに対してスクリーニングするか、ライブラリーの個別のメンバーに対してスクリーニングすることができる。他の機構ベースの結合アッセイを使用することができる(例えば、自由エネルギーの変化を検出する結合アッセイ)。結合アッセイを、ウェル、ビーズ、またはチップに固定しているか、固定抗体によって捕捉されているか、キャピラリー電気泳動によって分離した標的を使用して行うことができる。結合した化合物を、通常、比色分析、蛍光、または表面プラズモン共鳴を使用して検出することができる。
【0101】
ある態様では、本発明は、例えば、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンドの機能の拮抗によって筋肉成長を刺激して筋肉量を増加させる方法および薬剤を提供する。したがって、同定した任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、筋肉成長を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。例えば、ActRIIBリガンド(例えば、GDF8)への結合によって活性化されたActRIIBタンパク質によるシグナル伝達が減少または阻害されるように本発明の方法を行う。生物中での筋肉組織の成長によってActRIIBタンパク質によるシグナル伝達があまり達成されない対応する生物(または生物集団)の筋肉量と比較して生物中の筋肉量が増加することが認識されるであろう。
【0102】
例えば、筋肉細胞の成長/増殖に及ぼすActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の影響を、筋原細胞の増殖に関連するPax−3およびMyf−5の遺伝子発現ならびに筋肉分化に関連するMyoDの遺伝子発現の測定によって決定することができる(例えば、Amthorら、Dev Biol.2002、251:241−57)。GDF8がPax−3およびMyf−5の遺伝子発現を下方制御し、MyoDの遺伝子発現を防止することが公知である。ActRIIBポリペプチドまたは試験化合物は、GDF8のこの活性を拮抗すると予想される。細胞ベースのアッセイの別の例には、ActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の存在下での筋芽細胞(C(2)C(12)筋芽細胞など)の増殖の測定が含まれる(例えば、Thomasら、J Biol.Chem.2000、275:40235−43)。
【0103】
本発明はまた、筋肉の量および強度を測定するためのin vivoアッセイを意図する。例えば、Whittemoreら(Biochem Biophys Res Commun.2003、300:965−71)は、マウスの骨格筋量の増加および握力の増加の測定方法を開示している。任意選択的に、本方法を使用して、筋肉の疾患または容態(例えば、筋肉量が制限される疾患)に及ぼす試験化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)の治療効果を決定することができる。
【0104】
ある態様では、本発明は、骨形成の調整(刺激または阻害)および骨量の増加のための方法および薬剤を提供する。したがって、同定された任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、骨または軟骨の成長を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。
【0105】
例えば、骨または軟骨の成長に及ぼすActRIIBポリペプチドまたは試験化合物の影響を、細胞ベースアッセイにおけるMsx2の誘導または骨前駆細胞の骨芽細胞への分化の測定によって決定することができる(例えば、Daluiskiら、Nat.Genet.2001、27(1):84−8;Hinoら、Front Biosci.2004、9:1520−9を参照のこと)。細胞ベースのアッセイの別の例には、間葉系前駆細胞および骨芽細胞中の本ActRIIBポリペプチドおよび試験化合物の骨形成活性の分析が含まれる。例示するために、C3H10T1/2多能性間葉系前駆細胞、C2C12前造骨性細胞、およびTE−85骨芽細胞に感染させるためのActRIIBポリペプチドを発現する組換えアデノウイルスを構築した。次いで、骨形成活性を、アルカリホスファターゼ、オステオカルシン、基質ミネラル化の誘導の測定によって決定する(例えば、Chengら、J bone Joint Surg Am.2003、85−A(8):1544−52を参照のこと)。
【0106】
本発明はまた、骨または軟骨の成長を測定するためのin vivoアッセイを意図する。例えば、Namkung−Matthaiら、Bone、28:80−86(2001)は、骨折後初期の骨修復を研究するラット骨粗鬆症モデルを開示する。Kuboら、Steroid Biochemistry & Molecular Biology、68:197−202(1999)はまた、骨折後後期の骨修復を研究するラット骨粗鬆症モデルを開示する。これらの文献は、骨粗鬆症性骨折研究に関するラットモデルの開示についてその全体が本明細書中で参考として援用される。ある態様では、本発明は、当該分野で公知の骨折治癒アッセイを使用する。これらのアッセイには、骨折技術、組織学的分析、および生化学的分析が含まれ、これらは、例えば、米国特許第6,521,750号(骨折の原因、骨折範囲の測定、および治癒過程のための実験プロトコルの開示についてその全体が参考として援用される)に記載されている。
【0107】
ある態様では、本発明は、体重増加および肥満を調節するための方法および薬剤を提供する。細胞レベルで、脂肪細胞の増殖および分化は、肥満発症に極めて重要であり、さらなる脂肪細胞(脂肪細胞)を生成させる。したがって、同定した任意の化合物を、細胞全体または組織中にてin vitroまたはin vivoで試験して、脂肪細胞の増殖または分化の測定によって脂質生成を調整する能力を確認することができる。当該分野で公知の種々の方法を、この目的のために使用することができる。例えば、脂質生成に及ぼすActRIIBポリペプチド(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)または試験化合物の影響を、細胞ベースのアッセイにおける3T3−L1前脂肪細胞の成熟脂肪細胞の分化の測定(Oil Red O染色ビヒクル中のトリアシルグリセロールの蓄積の観察およびFABP(aP2/422)およびPPARγ2などのある脂肪細胞マーカーの出現など)によって決定することができる。例えば、Reuschら、2000、Mol Cell Biol.20:1008−20;Dengら、2000、Endocrinology.141:2370−6;Bellら、2000、Obes Res.8:249−54を参照のこと。細胞ベースのアッセイの別の例には、ブロモデオキシウリジン(BrdU)陽性細胞のモニタリングなどによる脂肪細胞または脂肪細胞前駆細胞(例えば、3T3−L1細胞)の増殖におけるActRIIBポリペプチドおよび試験化合物の役割の分析が含まれる。例えば、Picoら、1998、Mol Cell Biochem.189:1−7;Masunoら、2003、Toxicol Sci.75:314−20を参照のこと。
【0108】
本発明のスクリーニングアッセイは、本ActRIIBポリペプチドおよびActRIIBポリペプチドのバリアントだけでなく、任意の試験化合物(ActRIIBポリペプチドのアゴニストおよびアンタゴニストが含まれる)にも適用されると理解される。さらに、これらのスクリーニングアッセイは、薬物標的の検証および品質管理に有用である。
【0109】
6.治療への使用例
ある実施形態では、本発明の組成物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を、ActRIIBポリペプチドおよび/またはActRIIBリガンド(例えば、GDF8)の異常な活性に関連する疾患または容態の治療または防止のために使用することができる。これらの疾患、障害、または容態を、本明細書中で一般に、「ActRIIB関連容態」という。ある実施形態では、本発明は、治療有効量の上記ActRIIBポリペプチドを個体に投与することによって必要とする個体を治療または防止する方法を提供する。これらの方法は、特に、動物、より詳細にはヒトの治療的処置および予防的処置を目的とする。
【0110】
本明細書中で使用する場合、障害または容態を「防止する」処置は、統計サンプルにおいて、未処置コントロールサンプルと比較して処置サンプルにおける障害または容態の発症を軽減するか、未処置コントロールサンプルと比較して障害または容態の1つまたは複数の症状の発症を遅延させるか重症度を低下させる化合物をいう。本明細書中で使用する場合、用語「治療」には、指定の容態の予防または一旦確立された容態の改善または消失が含まれる。
【0111】
ActRIIB/ActRIIBリガンド複合体は、組織成長および初期発生過程(種々の構造正確な形成など)または1つまたは複数の発生後能力(性的発育、下垂体ホルモン産生、ならびに骨および軟骨の作製が含まれる)で不可欠な役割を果たす。したがって、ActRIIB関連容態には、異常な組織成長および発育障害が含まれる。さらに、ActRIIB関連容態には、炎症、アレルギー、自己免疫疾患、感染症、および腫瘍などの細胞の成長および分化の障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
例示的ActRIIB関連容態には、神経筋障害(例えば、筋ジストロフィおよび筋萎縮)、鬱血性閉塞性肺疾患(およびCOPDに関連する筋肉消耗)、筋肉消耗症候群、サルコペニア、悪液質、脂肪組織障害(例えば、肥満)、2型糖尿病、および骨変性疾患(例えば、骨粗鬆症)が含まれる。他の例示的ActRIIB関連容態には、筋肉変性障害および神経筋障害、組織修復(例えば、創傷治癒)、神経変性疾患(例えば、筋萎縮性側索硬化症)、免疫学的障害(例えば、リンパ球の異常な増殖または機能に関連する障害)、ならびに肥満、または脂肪細胞の異常な増殖に関連する障害が含まれる。
【0113】
ある実施形態では、本発明の組成物(例えば、可溶性ActRIIBポリペプチド)を、筋ジストロフィ治療の一部として使用する。用語「筋ジストロフィ」は、骨格筋ならびに時折心筋および呼吸筋の段階的脆弱および悪化によって特徴づけられる変性筋疾患群をいう。筋ジストロフィは、筋肉の微視的変化から開始される進行性の筋肉の消耗および脆弱によって特徴づけられる全身障害である。筋肉が長期にわたって変性するにつれて、ヒトの筋肉の強度が減少する。本ActRIIBポリペプチドを含むレジメンを使用して治療することができる例示的筋ジストロフィには、ディシュンヌ型筋ジストロフィ(DMD)、ベッカー型筋ジストロフィ(BMD)、エメリ・ドレフュシュ型筋ジストロフィ(EDMD)、肢帯型筋ジストロフィ(LGMD)、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィ(FSHまたはFSHD)(ランドゥジー・デジュリン型としても公知)、筋緊張性筋ジストロフィ(MMD)(シュタイネルト病としても公知)、眼咽頭型筋ジストロフィ(OPMD)、遠位型筋ジストロフィ(DD)、先天性筋ジストロフィ(CMD)が含まれる。
【0114】
ディシュンヌ型筋ジストロフィ(DMD)は、1860年代に、フランス人神経学者Guillaume Benjamin Amand Duchenneによって最初に記載された。ベッカー型筋ジストロフィ(BMD)は、1950年代にDMDのこのバリアントを最初に記載したゲルマン人医師Peter Emil Beckerの名をとって命名されている。DMDは、少年3500人に1人が罹患する最も頻繁な遺伝病の1つである。DMDは、X染色体の短腕に存在するジストロフィン遺伝子が破壊した場合に発症する。男性のみが1コピーのX染色体を保有するので、男性は1コピーのジストロフィン遺伝子のみを有する。ジストロフィンタンパク質がなければ、筋肉は、収縮および弛緩サイクル中に容易に損傷する。疾患初期では筋肉は再生によって補われるが、後期では筋前駆細胞が持続する損傷に対応することができず、健康な筋肉が非機能性線維脂肪組織に置換される。
【0115】
BMDは、ジストロフィン遺伝子の異なる変異に起因する。BMD患者は、いくつかのジストロフィンを有するが、量または質のいずれかが不十分である。いくつかのジストロフィンを有することにより、BMD患者の筋肉がDMD患者と同様の悪性度または速度での変性から防御される。
【0116】
例えば、最近の研究により、in vivoでのGDF8(ActRIIBリガンド)機能の遮断または消失がDMDおよびBMD患者における少なくとも一定の症状を有効に治療することができることが証明されている。したがって、本ActRIIBポリペプチドはGDF8インヒビター(アンタゴニスト)として作用することができ、DMDおよびBMD患者におけるin vivoでのGDF8および/またはActRIIBの機能の別の遮断手段を構成する。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、筋ジストロフィのマウスモデルの筋肉量を増加させることを示した。
【0117】
同様に、本ActRIIBポリペプチドは、筋肉成長が必要な他の病状で筋肉量を増加させるための有効な手段を提供する。例えば、ルー・ゲーリック病(運動ニューロン疾患)とも呼ばれるALSは、運動ニューロン(脳を骨格筋に連結するCNSの成分)を攻撃する慢性で不治の抑制できないCNS障害である。ALSでは、運動ニューロンが悪化し、最終的に死滅し、患者の脳は通常は完全な機能および警告を保持するにもかかわらず、移動の指令は決して筋肉に到達しない。ほとんどのALS患者は、40歳と70歳との間である。弱った第1の運動ニューロンは、腕または脚に至るものである。ALS患者は、歩行が困難であり得、物を落し得、倒れ、ろれつが回らず、笑いまたは叫び声を制御できない。最終的には、四肢中の筋肉が不使用から萎縮し始める。この筋力低下によって脆弱化するようになり、患者は車いすを必要とするか、ベッドから起き上がることができなくなる。ほとんどのALS患者は、呼吸不全または肺炎のような喚起補助の合併症によって疾患発症から3〜5年で死亡する。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、ALSのマウスモデルの外観、筋肉量、および寿命を改善することが示された。
【0118】
ActRIIBポリペプチド誘導性の筋肉量の増加は、筋肉消耗疾患を罹患した患者にも有利であり得る。Gonzalez−Cadavidら(前出)は、GDF8発現がヒトの除脂肪量と逆に相関し、GDF8遺伝子の発現の増加がAIDS消耗症候群の男性の体重減少に関連すると報告した。AIDS患者におけるGDF8機能の阻害により、完全に消失しない場合、AIDSの少なくとも一定の症状を緩和することができ、したがって、AIDS患者の生活の質を有意に改善することができる。
【0119】
GDF8(ActRIIBリガンド)機能の喪失も栄養摂取を減少することのない脂肪喪失に関連するので(Zimmersら、前出;McPherronおよびLee、前出)、本ActRIIBポリペプチドを、肥満およびII型糖尿病の発症を遅延または防止するための治療薬としてさらに使用することができる。このアプローチは本明細書中に示すデータによって確認および支持され、それにより、ActRIIB−Fcタンパク質は、肥満マウスの代謝状態を改善することを示した。
【0120】
癌食欲不振−悪液質症候群は、癌の最も衰弱性で致命的な態様である。癌食欲不振−悪液質症候群における進行性体重減少は、多数の癌型の共通の特徴であり、生活の質および化学療法に対する応答が不良なだけでなく、体重減少を伴わない類似の腫瘍患者で見出される生存期間よりも生存期間が短い。食欲不振、脂肪および筋肉組織の消耗、心理的苦痛、およびより低い生活の質に関連して、悪液質は、癌と宿主との間の複雑な相互作用から生じる。悪液質は癌患者の間で最も一般的な死因の1つであり、死因の80%を占める。悪液質は、タンパク質、炭水化物、および脂肪の代謝をもたらす代謝カオスの複雑な例である。腫瘍は、直接または間接的な異常の両方を生じ、それにより、食欲不振および体重増加が生じる。現在、この過程を調節または逆転するための治療は存在しない。癌食欲不振−悪液質症候群は、サイトカイン産生、脂質流動化因子およびタンパク質分解誘導因子の放出、ならびに中間代謝の変化をもたらす。食欲不振が一般的であるにもかかわらず、食物摂取の減少のみでは癌患者の身体組成の変化を説明することができず、栄養摂取の増加によって消耗症候群を逆転することはできない。発症前の体重の5%を超える無意識の体重減少が6ヶ月以内に起こる場合、癌患者の悪液質を疑うべきである。
【0121】
成体マウスにおけるGDF8の全身過剰発現がヒト悪液質症候群で認められるものと類似の最重度の筋肉および脂肪の減少を誘導することが見出されていたので(Zimmersら、前出)、筋肉成長が望ましい場合、薬学的組成物としての本ActRIIBポリペプチドを有利に使用して、悪液質症候群の症状を防止、治療、または改善することができる。
【0122】
他の実施形態では、本発明は、骨および/または軟骨形成の誘導、骨減少の防止、骨ミネラル化の増加、または骨脱ミネラル化の防止を行う方法を提供する。例えば、本発明で同定された本ActRIIBポリペプチドおよび化合物を、ヒトおよび他の動物における骨粗鬆症の治療ならびに骨折および軟骨欠損の治癒で適用する。ActRIIBポリペプチドは、骨粗鬆症発症に対する防御的測定としての無症候性低尾骨密度を用いて診断された患者で有用であり得る。
【0123】
1つの特定の実施形態では、本発明の方法および組成物は、ヒトおよび他の動物における骨折および軟骨欠損の治癒で医学的に使用することができる。本方法および組成物はまた、本方法および組成物は、閉鎖骨折および開放骨折の軽減で予防的に使用することもでき、人工関節固定の改善で使用することもできる。骨形成薬によって誘導されたde novo骨形成は、先天性、外傷誘導性、または腫瘍切除誘導性頭蓋顔面欠損の修復に寄与し、美容成形手術でも有用である。さらに、本発明の方法および組成物を、歯周疾患の治療および他の歯の修復過程で使用することができる。ある場合において、本ActRIIBポリペプチドは、骨形成細胞を誘引し、骨形成細胞の成長を刺激し、骨形成細胞前駆体の分化を誘導するための環境を提供することができる。本発明のActRIIBポリペプチドはまた、骨粗鬆症治療で有用であり得る。さらに、ActRIIBポリペプチドを、軟骨欠損の修復および変形性関節症の防止/逆転で使用することができる。
【0124】
別の特定の実施形態では、本発明は、軟骨および/または骨欠損または歯周疾患に関連する骨折および他の容態のための治療方法および組成物を提供する。本発明は、さらに、創傷治癒および組織修復のための治療方法および組成物を提供する。創傷型には、熱傷、切創、および潰瘍が含まれるが、これらに限定されない。例えば、PCT公開番号WO84/01106号を参照のこと。かかる組成物は、薬学的に許容可能なビヒクル、キャリア、またはマトリックスと混合した治療有効量の少なくとも1つの本発明のActRIIBポリペプチドを含む。
【0125】
別の特定の実施形態では、本発明の方法および組成物を、骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、クッシング病、甲状腺中毒症、慢性下痢状態または吸収不良、細尿管性アシドーシス、または神経性食欲不振などの骨減少を生じる容態に適用することができる。女性であること、低体重であること、および座りがちな生活様式を招いていることが骨粗鬆症(骨折の危険につながる骨密度の喪失)の危険因子であることが広く知られている。しかし、骨粗鬆症はまた、一定の薬物の長期使用に起因し得る。薬物または別の病状に起因する骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症として公知である。クッシング病として公知の病状では、体内で産生された過剰量のコルチゾールにより、骨粗鬆症および骨折を引き起こす。続発性骨粗鬆症に関連する最も一般的な薬物は、コルチコステロイド(コルチゾールの用に作用する薬物クラスであって、副腎によって天然に産生されるホルモン)である。適切なレベルの甲状腺ホルモン(甲状腺によって産生される)が骨格の発達に必要であるにもかかわらず、過剰な甲状腺ホルモンは、長期にわたって骨量を減少させ得る。アルミニウムを含む制酸薬は、腎臓に問題のある患者、特に、透析を受けている患者が高用量の薬物を投与されている場合に骨減少を引き起こし得る。続発性骨粗鬆症を引き起こし得る他の薬物には、癲癇を予防するために使用されるフェニトイン(ジランチン)およびバルビツール酸塩;メトトレキサート(Rheumatrex、Immunex、Folex PFS)、関節炎、癌、および免疫障害のいくつかの型のための薬物;シクロスポリン(Sandimmune、Neoral)、臓器移植患者におけるいくつかの自己免疫疾患を治療し、免疫系を抑制するために使用される薬物;前立腺癌および子宮内膜癌を治療するために使用される黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト(Lupron、Zoladex);ヘパリン(Calciparine、Liquaemin)、抗凝固薬;ならびに高コレステロールを治療するために使用されるコレスチラミン(Questran)およびコレスチポール(Colestid)が含まれる。歯周病により、骨減少が引き起こされる。これは、口内のこれらの有害な細菌により、身体が細菌に対する防御を強いられるからである。細菌は、ガムライン下に毒素および酵素を産生し、慢性感染症を引き起こす。
【0126】
さらなる実施形態では、本発明は、異常なまたは望ましくない骨成長に関連する疾患または障害の治療方法および治療薬を提供する。例えば、進行性骨化性線維異形成(FOP)として公知の疾患を有する患者は、任意の運動を妨害する「第2の骨格」を成長させる。さらに、股関節置換手術後に異常な骨成長が起こり得るので、手術結果が台無しになる。これは、本方法および組成物が治療的に有用であり得る病理学的骨成長および状況のより一般的な例である。同一の方法および組成物は、異常な骨成長の他の形態(例えば、外傷、熱傷、または脊髄損傷後の病理学的骨成長)の治療および転移性の前立腺癌または骨肉種に関連して認められる異常な骨成長に関連する望ましくない容態の治療または防止にも有用であり得る。これらの治療薬の例には、ActRIIBリガンド(例えば、BMP7)の機能を拮抗するActRIIBポリペプチド、ActRIIBとそのリガンド(例えば、BMP7)との間の相互作用を破壊する化合物、およびActRIIBリガンド(例えば、BMP7)がActRIIB受容体に結合できないようにActRIIB受容体に特異的に結合する抗体が含まれるが、これらに限定されない。
【0127】
他の実施形態では、本発明は、動物の体脂肪含有量の調節および体脂肪含有量に関連する容態、特に、体脂肪含有量に関連する健康を脅かす容態の治療または防止のための組成物および方法を提供する。本発明によれば、「体重を制御(調節)する」は、体重の減少または増加、体重増加率の減少または増加、または体重減少率の増加または減少をいうことができ、(例えば、体重を増加または減少させ得る外部または内部の影響に対して)体重の積極的な維持または体重を有意に変化させないことも含まれる。本発明の1つの実施形態は、必要とする動物(例えば、ヒト)へのActRIIBポリペプチドの投与による体重の制御に関する。
【0128】
1つの特定の実施形態では、本発明は、動物における体重の減少および/または体重増加の減少ならびに、より詳細には、肥満のリスクがあるか罹患している患者の肥満の治療または改善のための方法および化合物に関する。別の特定の実施形態では、本発明は、体重を増加または維持できない動物(例えば、消耗症候群を罹患した動物)の治療のための方法および化合物に関する。かかる方法は、体重および/または質量の増加、体重および/または質量の減少、または望ましくなく(例えば、不健康に)低い体重および/または質量に関連するか起因する容態の改善に有効である。
【0129】
ActRIIBタンパク質を使用して治療することができる他の障害(高コレステロールが含まれる)を、実施例に記載している。
【0130】
7.薬学的組成物
ある実施形態では、本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を、薬学的に許容可能なキャリアを使用して処方する。例えば、ActRIIBポリペプチドを、単独で投与するか、薬学的処方物(治療組成物)の成分として投与することができる。本化合物を、ヒトまたは脊椎動物の薬物で用いる任意の都合の良い方法での投与のために処方することができる。
【0131】
ある実施形態では、本発明の治療方法は、組成物を局所、全身、または移植片もしくはデバイスとして局部に投与する工程を含む。投与する場合、本発明で使用する治療組成物は、勿論、発熱物質を含まない生理学的に許容可能な形態である。さらに、組成物を、望ましくは、標的組織部位(例えば、骨、軟骨、筋肉、脂肪、またはニューロン)(例えば、組織損傷を有する部位)への送達のための種々の形態でカプセル化または注射することができる。局所投与は、創傷治癒および組織修復に適切であり得る。任意選択的に上記組成物中に含めることもできるActRIIBポリペプチド以外の治療に有用な薬剤を、二者択一的または付加的に、本発明の方法において本化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)と同時または連続的に投与することができる。
【0132】
ある実施形態では、本発明の組成物は、1つまたは複数の治療化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)を標的組織部位に送達させて発生中の組成物の構造を得ることができ、任意選択的に身体に再吸収することができるマトリックスを含むことができる。例えば、マトリックスにより、ActRIIBポリペプチドの放出を遅延させることができる。かかるマトリックスを、現在他の医学的に移植で使用される材料から形成することができる。
【0133】
マトリックス材料の選択は、生体適合性、生分解性、機械的性質、美容的外観、および界面特性に基づく。本組成物の特定の適用により、適切な処方物が明らかになるであろう。組成物の潜在的なマトリックスは、生分解性で化学的に定義された硫酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸、およびポリ酸無水物であり得る。他の潜在的な材料は、生分解性であり、且つ生物学的に十分に定義されている骨または皮膚コラーゲンなどである。さらなるマトリックスは、純粋なタンパク質または細胞外基質成分から構成される。他の潜在的なマトリックスは、非生分解性であり、且つ化学的に定義された焼結ヒドロキシアパタイト、バイオガラス、アルミナート、または他のセラミックスなどである。マトリックスは、任意の上記の材料型の組み合わせ(ポリ乳酸およびヒドロキシアパタイトまたはコラーゲンおよび第三リン酸カルシウムなど)から構成され得る。バイオセラミックスを組成物中で変化させ(カルシウム−アルミナート−ホスファートなど)、処理して孔径、粒子サイズ、粒子の形状、および生分解性を変化させることができる。
【0134】
ある実施形態では、本発明の方法を、例えば、有効成分として所定量の薬剤をそれぞれ含むカプセル、カシェ、丸薬、錠剤、ロゼンジ(風味をつけた基剤、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、粉末、顆粒、水性または非水性の溶液または懸濁液、水中油滴型または油中水滴型乳濁液、エリキシルまたはシロップ、香剤(ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤を使用)、および/または含嗽剤などの形態で経口投与することができる。薬剤を、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与することもできる。
【0135】
経口投与のための固体投薬形態(カプセル、錠剤、丸薬、糖衣錠、粉末、および顆粒など)では、1つまたは複数の本発明の治療化合物を、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリア(クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウムなど)および/または任意の以下と混合することができる:(1)充填剤または増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなど);(3)保湿剤(グリセロールなど);(4)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、一定の径酸塩、および炭酸ナトリウムなど);(5)溶解遅延剤(パラフィンなど);(6)吸収促進剤(第四級アンモニウム化合物など);(7)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど);(8)吸収剤(カオリンおよびベントナイトクレイなど);(9)潤滑剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物など);および(10)着色剤。カプセル、錠剤、および丸薬の場合、薬学的組成物は緩衝剤も含むことができる。類似の型の固体組成物を、ラクトースまたは乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用して、軟および硬ゼラチンカプセル中の充填剤として使用することもできる。
【0136】
経口投与のための液体投薬形態には、薬学的に許容可能な乳濁液、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルが含まれる。有効成分に加えて、液体投薬形態は、当該分野で一般に使用される不活性希釈剤(水または他の溶剤など)、溶解補助剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、オイル(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などを含むことができる。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、アジュバント(湿潤剤、乳化剤、および懸濁剤など)、甘味料、香味物質、着色料、香料、および防腐剤を含むことができる。
【0137】
懸濁液は、活性化合物に加えて、懸濁剤(エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステルなど)、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物を含むことができる。
【0138】
本明細書中に開示の一定の組成物を、皮膚または粘膜に局所投与することができる。局所処方物は、皮膚または角質層への浸透促進剤として有効であることが公知の1つまたは複数の広範な種々の薬剤をさらに含むことができる。これらの例は、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、プロピレングリコール、メチルアルコールまたはイソプロピルアルコール、ジメチルスルホキシド、およびアゾンである。さらなる薬剤をさらに含めて、美容的に許容可能な処方物を作製することができる。これらの例は、脂肪、ワックス、油、色素、香料、防腐剤、安定剤、および界面活性剤である。角質溶解薬(当該分野で公知の角質溶解薬など)も含めることができる。例は、サリチル酸および硫黄である。
【0139】
局所または経費投与のための投薬形態には、粉末、噴霧、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が含まれる。活性化合物を、滅菌条件下で薬学的に許容可能なキャリアおよび必要であり得る任意の防腐剤、緩衝液、または噴射剤と混合することができる。軟膏、ペースト、クリーム、およびゲルは、本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)に加えて、賦形剤(動物および植物の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、および酸化亜鉛、またはその混合物など)を含むことができる。
【0140】
粉末および噴霧は、本化合物に加えて、賦形剤(ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、およびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物など)を含むことができる。噴霧は、さらに、慣習的噴射剤(クロロフルオロ炭化水素など)および揮発性非置換炭化水素(ブタンおよびプロパンなど)を含むことができる。
【0141】
ある実施形態では、非経口投与に適切な薬学的組成物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、処方物を意図するレシピエントの血液と等張にする溶質、懸濁剤、または増粘剤を含むことができる1つまたは複数の薬学的に許容可能な滅菌等張水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液、もしくは乳濁液、または使用直前に滅菌注射液または滅菌注射懸濁液に再構成することができる滅菌粉末と組み合わせた1つまたは複数のActRIIBポリペプチドを含むことができる。本発明の薬学的組成物中で使用することができる適切な水性および非水性のキャリアの例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、および注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が含まれる。例えば、コーティング物質(レシチンなど)の使用、分散液の場合の必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。
【0142】
本発明の組成物はまた、アジュバント(防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤など)を含むことができる。種々の抗生物質および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、およびソルビン酸など)を含めることによって微生物作用の防止を確実に行うことができる。等張剤(糖および塩化ナトリウムなど)を組成物に含めることも望ましいかもしれない。さらに、吸収を遅延する薬剤(モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど)を含めることによって注射用薬学的形態の吸収を遅延することができる。
【0143】
主治医が本発明の化合物(例えば、ActRIIBポリペプチド)の作用を改変する種々の要因を考慮することによって投薬レジメンを決定することが理解される。種々の要因は、治療すべき疾患に依存するであろう。筋肉障害では、要因には、形成が望まれる筋肉量、疾患に最も影響を及ぼす筋肉、悪化した筋肉の容態、患者の年齢、性別、および食事、投与期間、および他の臨床的要因が含まれるが、これらに限定されない。最終組成物への他の公知の成長因子の添加も投薬量に影響を及ぼし得る。筋肉の成長および/または修復の定期的評価(例えば、強度試験、筋肉サイズのMRI評価、および筋肉生検の分析)によって進行をモニタリングすることができる。
【0144】
本発明のある実施形態では、1つまたは複数のActRIIBポリペプチドを、共に(同時に)投与するか、異なる時間に(連続的または重複的に)投与することができる。さらに、ActRIIBポリペプチドを、別の型の治療薬(例えば、軟骨誘導薬、骨誘導薬、筋肉誘導薬、脂肪減少薬、またはニューロン誘導薬)と共に投与することができる。2つの型の化合物を、同時または異なる時間に投与することができる。本発明のActRIIBポリペプチドが別の治療薬が協力するか相乗的に作用することができると予想される。
【0145】
特定の例では、種々の骨形成因子、軟骨誘導因子、および骨誘導因子、特に、ビスホスホネートが記載されている。例えば、欧州特許出願番号148,155号および同第169,016号を参照のこと。例えば、本ActRIIBポリペプチドと組み合わせることができる他の因子には、種々の成長因子(上皮成長因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF−αおよびTGF−β)、およびインスリン様成長因子(IGF)など)が含まれる。
【0146】
ある実施形態では、本発明はまた、ActRIIBポリペプチドのin vivo産生のための遺伝子療法を提供する。かかる療法は、上に列挙の障害を有する細胞または組織へのActRIIBポリヌクレオチド配列の導入によってその治療効果を達成するであろう。ActRIIBポリヌクレオチド配列の送達を、キメラウイルスなどの組換え発現ベクターまたはコロイド分散系を使用して行うことができる。ActRIIBポリヌクレオチド配列の治療的送達には、ターゲティングしたリポソームを使用することが好ましい。
【0147】
本明細書中に教示の遺伝子療法のために使用することができる種々のウイルスベクターには、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニア、または、好ましくは、RNAウイルス(レトロウイルスなど)が含まれる。好ましくは、レトロウイルスベクターは、マウスまたはトリのレトロウイルスの誘導体である。1つの外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例には、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、およびラウス肉腫ウイルス(RSV)が含まれるが、これらに限定されない。多数のさらなるレトロウイルスベクターを、複数の遺伝子に組み込むことができる。全てのこらのベクターを、形質導入された細胞を同定および生成することができるように、選択マーカー遺伝子を導入または組み込むことができる。レトロウイルスベクターを、例えば、糖、糖脂質、またはタンパク質の結合によって標的特異的にすることができる。抗体の使用によるターゲティングが好ましい。当業者は、特異的ポリヌクレオチド配列をレトロウイルスゲノムに挿入するかウイルスエンベロープに結合させて、ActRIIBポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターを標的特異的に送達させることができると認識している。1つの好ましい実施形態では、ベクターを、骨、軟骨、筋肉、またはニューロン細胞/組織にターゲティングする。
【0148】
あるいは、組織培養細胞を、従来のリン酸カルシウムトランスフェクションによってレトロウイルス構造遺伝子であるgag、pol、およびenvをコードするプラスミドで直接トランスフェクトすることができる。ついで、これらの細胞を、目的の遺伝子を含むベクタープラスミドでトランスフェクトする。得られた細胞は、培養培地にレトロウイルスベクターを放出する。
【0149】
ActRIIBポリヌクレオチドのための別のターゲティングされた送達系は、コロイド分散系である。コロイド分散系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフィア、ビーズ、および脂質ベースの系(水中油滴型乳濁液が含まれる)、ミセル、混合ミセル、およびリポソームが含まれる。本発明の好ましいコロイド系はリポソームである。リポソームは、in vitroおよびin vivoでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞である。RNA、DNA、およびインタクトなビリオンを、水性内部内にカプセル化し、生物活性形態で細胞に送達させることができる(例えば、Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、6:77、1981)。リポソームビヒクルを使用した有効な遺伝子導入方法は当該分野で公知であり、例えば、Manninoら、Biotechniques、6:682、1988を参照のこと。リポソームの組成物は、通常、リン脂質の組み合わせ(通常、ステロイド、特にコレステロールとの組み合わせ)である。他のリン脂質または他の脂質も使用することができる。リポソームの物理的特徴は、pH、イオン強度、および2価の陽イオンの存在に依存する。
【0150】
リポソーム産生で有用な脂質の例には、ホスファチジル化合物(ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、およびガングリオシドなど)が含まれる。例示的リン脂質には、卵ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、およびジステアロイルホスファチジルコリンが含まれる。例えば、臓器特異性、細胞特異性、およびオルガネラ特異性に基づいたリポソームのターゲティングも可能であり、当該分野で公知である。
【実施例】
【0151】
本発明を、ここに一般的に記載し、以下の実施例を参照して本発明がより容易に理解されるであろう。実施例は、一定の実施形態および本発明の実施形態の例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
【0152】
(実施例1)
ActRIIB−Fc融合タンパク質の生成
出願人は、その間に最小のリンカー(3つのグリシンアミノ酸)を有するヒトまたはマウスのFcドメインに融合したヒトActRIIBの細胞外ドメインを有する可溶性ActRIIB融合タンパク質を構築した。この構築物を、それぞれ、ActRIIb−hFcおよびActRIIb−mFcという。
【0153】
CHO細胞株から精製したActRIIb−hFcを、以下に示す(配列番号5)。
【0154】
【化2】
ActRIIb−hFcタンパク質およびActRIIb−mFcタンパク質を、CHO細胞株中に発現させた。以下の3つの異なるリーダー配列を考慮した。
(i)ミツバチメリチン(HBML):MKFLVNVALVFMVVYISYIYA(配列番号7)
(ii)組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA):MDAMKRGLCCVLLLCGAVFVSP(配列番号8)
(iii)未変性:MGAAAKLAFAVFLISCSSGA(配列番号9)。
【0155】
選択形態はTPAリーダーを使用し、以下の非プロセシングアミノ酸配列を有する。
【0156】
【化3】
このポリペプチドは、以下の核酸配列によってコード去れる(配列番号10)。
【0157】
【化4】
【0158】
【化5】
CHO細胞産生物質のN末端配列決定により、−GRGEAEの主な配列(配列番号11)が明らかになった。特に、文献に報告された他の構築物は、−SGR...配列から始まる。
【0159】
一連のカラムクロマトグラフィ工程(例えば、以下の3つを超える工程が任意の順序で含まれる:プロテインAクロマトグラフィ、Qセファロースクロマトグラフィ、フェニルセファロースクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、および陽イオン交換クロマトグラフィ)によって精製することができる。ウイルス濾過および緩衝液の交換を使用して精製を完了することができる。
【0160】
ActRIIb−Fc融合タンパク質を、HEK293細胞およびCOS細胞中にも発現した。全細胞株由来の材料および妥当な培養条件によってin vivoで筋肉増強活性を有するタンパク質が得られたが、力価の変動が認められ、この変動は、おそらく細胞株の選択および/または培養条件に関連する。
【0161】
(実施例2)
ActRIIb−Fc変異体の生成
出願人は、ActRIIBの細胞外ドメインの一連の変異を作製し、細胞外ActRIIBとFcドメインとの間の可溶性融合タンパク質としてこれらの変異タンパク質を産生した。バックグラウンドActRIIB−Fc融合物は、以下の配列(Fc部分に下線)(配列番号12)を有する。
【0162】
【化6】
種々の変異(N末端およびC末端の短縮が含まれる)を、バックグラウンドActRIIB−Fcタンパク質に導入した。実施例1に示したデータに基づいて、これらの構築物は、TPAリーダーを用いて発現した場合、N末端セリンを欠くと予想される。PCR変異誘発によってActRIIB細胞外ドメインを変異させた。PCR後、フラグメントを、Qiagenカラムによって精製し、SfoIおよびAgeIで消化し、ゲル精製した。これらのフラグメントを、ライゲーション時にヒトIgG1を有する融合キメラが作製されるように発現ベクターpAID4(WO2006/012627を参照のこと)にライゲーションした。E.coli DH5αへの形質転換の際に、コロニーを選別し、DNAを単離した。マウス構築物(mFc)について、ヒトIgG1をマウスIgG2aと置換した。全変異体の配列を検証した。
【0163】
全変異体を、一過性トランスフェクションによってHEK293T細胞中に産生した。まとめると、500mlスピナ中に、6×105細胞/mlのHEK293T細胞を250mlのFreestyle(Invitrogen)培地中に準備し、一晩成長させた。翌日、これらの細胞を、最終DNA濃度0.5ug/mlにてDNA:PEI(1:1)複合体で処理した。4時間後、250mlの培地を添加し、細胞を7日間成長させた。馴化培地を細胞の遠沈によって回収し、濃縮した。
【0164】
変異体を、種々の技術(例えば、プロテインAカラムが含まれる)を使用して精製し、低pH(3.0)のグリシン緩衝液で溶離した。中和後、これらをPBSに対して透析した。
【0165】
また、類似の方法によってCHO細胞中に変異体を産生した。
【0166】
変異体を、下記の結合アッセイおよび/またはバイオアッセイで試験した。いくつかの例では、アッセイを、精製タンパク質よりもむしろ馴化培地を使用して行った。
【0167】
(実施例2)
GDF−11およびアクチビン媒介シグナル伝達のバイオアッセイ
A−204レポーター遺伝子アッセイを使用して、GDF−11およびアクチビンAによるシグナル伝達に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響を評価した。細胞株:ヒト横紋筋肉腫(筋肉由来)。レポーターベクター:pGL3(CAGA)12(Dennlerら、1998、EMBO 17:3091−3100に記載)。図5を参照のこと。CAGA12モチーフは、TGF−β応答遺伝子(PAI−1遺伝子)中に存在するので、このベクターは、Smad2および3を介してシグナル伝達する因子に一般に使用される。
1日目:A−204細胞を48ウェルプレートに分割する。
2日目:10ugのpGL3(CAGA)12またはpGL3(CAGA)12(10 ug)+pRLCMV(1ug)、およびFugeneを使用してA−204細胞をトランスフェクトする。
3日目:因子(培地+0.1%BSAに希釈)を添加する。インヒビターを細胞への添加の1時間前に因子とプレインキュベーションする必要がある。6時間後、細胞をPBSで洗浄し、細胞を溶解する。
【0168】
これの後に、ルシフェラーゼアッセイを行う。いかなるインヒビターの非存在下でさえも、アクチビンAは、レポーター遺伝子発現の10倍の刺激およびED50〜2ng/mlを示した。GDF−11:16倍刺激、ED50:〜1.5ng/ml。
【0169】
ActRIIB(R64、20〜134)は、本アッセイで、アクチビン、GDF−8、およびGDF−11活性の強力なインヒビターである。バリアントを、このアッセイで同様に試験した。
【0170】
(実施例3)
N末端およびC末端短縮のGDF−11阻害
ActRIIB部分であるActRIIB−Fc(R64、20〜134)のN末端およびC末端を短縮し、GDF−11およびアクチビンのインヒビターとしての活性について試験した。活性を以下に示す(馴化培地中で測定)。
【0171】
C末端ActRIIb−hFc短縮:
【0172】
【化7】
認められるように、C末端の3つ(...PPTで終わる)、6つ(...YEPで終わる)、またはそれを超えるアミノ酸の短縮により、分子の活性が1/3以下に減少する。ActRIIB部分の最後の15アミノ酸の短縮により、より多くの活性が喪失する(WO2006/012627号を参照のこと)。
【0173】
ActRIIB−hFc(R64 20〜131)タンパク質のバックグラウンド中にアミノ末端短縮を作製した。活性を以下に示す(馴化培地中で測定)。
【0174】
N末端ActRIIb−hFc短縮:
【0175】
【化8】
【0176】
【化9】
したがって、N末端から2つ、3つ、または4つのアミノ酸の短縮により、全長細胞外ドメインを有するバージョンより活性の高いタンパク質が産生される。さらなる実験は、5つのアミノ酸を短縮したActRIIb−hFc(R64、25〜131)は非短縮形態と等価な活性を有し、N末端のさらなる欠失はタンパク質活性を破壊し続けることを示す。したがって、最適な構築物は、配列番号4のアミノ酸133〜134で終わるC末端と配列番号4のアミノ酸22〜24で始まるN末端との間を有するであろう。アミノ酸21または25に対応するN末端により、ActRIIb−hFc(R64、20〜134)構築物に類似の活性が得られるであろう。
【0177】
(実施例4)
ActRIIb−Fcバリアント、細胞ベースの活性
上記のように、ActRIIB−Fcタンパク質の活性を、細胞ベースのアッセイで試験した。結果を以下の表1にまとめている。異なるC末端短縮構築物中のいくつかのバリアントを試験した。上記で考察するように、5個または15個のアミノ酸短縮により、活性が減少した。著しいことに、L79DおよびL79Eバリアントはアクチビン結合の実質的な欠失を示す一方で、GDF−11のほとんどの野生型阻害を保持した。
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fc結合:
【0178】
【化10】
【0179】
【化11】
+低活性(約1×10−6KI)
++中程度の活性(約1×10−7KI)
+++良好な(野生型)活性(約1×10−8KI)
++++野生型より高い活性 。
【0180】
いくつかのバリアントを、ラット中で血清半減期について評価した。ActRIIB(R64 20〜134)−Fcの血清半減期は約70時間である。ActRIIB(R64 A24N 20〜134)−Fcの血清半減期は、約100〜150時間である。A24Nバリアントは、細胞ベースのアッセイ(上記)およびin vivoアッセイ(下記)で野生型分子と等価の活性を有する。より長い半減期と組み合わせて、これは、長期にわたってA24Nバリアントが野生型分子よりもタンパク質単位あたりの影響がより高いことを意味する。
【0181】
著しいことに、79位での酸性アミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸)の導入により、アクチビン結合が選択的に減少する一方で、GDF11/GDF8結合が保持される。下記で考察されるように、野生型ActRIIB−Fcタンパク質は、筋肉以外の組織に影響を及ぼすようであり、そのいくつかは望ましくないかもしれない。本明細書中に開示するように、これらの影響は、ActRIIB−Fcに結合して阻害する種々の異なるリガンド(おそらくアクチビンが含まれる)に関連すると予想される。最初のデータは、マウスでは、L79EおよびL79Dバリアントが筋肉以外の組織に及ぼす影響が減少する一方で、筋肉に及ぼすその影響が保持されることを示す。この型の異形をActRIIBのバリアントと見なすことができるにもかかわらず、これらのタンパク質はもはやアクチビン受容体として真に機能せず、したがって、俗称「ActRIIB」がこれらのポリペプチドの誘導の指標としてのみ適切であることに留意すべきである。79位の酸性残基がアクチビン結合を減少させる一方でGDF11結合を保持するにもかかわらず、この位置での他の変化ではこのような影響はない。L79A変化により、GDF11結合と比較してアクチビン結合が増加する。L79P変化により、アクチビンおよびGDF11結合の両方が減少する。
【0182】
(実施例5)
GDF−11およびアクチビンA結合
あるActRIIB−Fcタンパク質のリガンドへの結合を、BiaCore(商標)アッセイで試験した。
【0183】
ActRIIB−Fcバリアントまたは野生型タンパク質を、抗hFc活性を使用したシステムに捕捉した。リガンドを注入し、捕捉した受容体タンパク質に流した。結果を以下の表にまとめている。
【0184】
リガンド結合特異性IIBバリアント
【0185】
【化12】
これらのデータは細胞ベースのアッセイを確認し、A24NバリアントがActRIIb−hFc(R64 20〜134)分子に類似のリガンド結合活性を保持し、L79DまたはL79E分子がミオスタチンおよびGDF11結合を保持するが、アクチビンAへの結合の顕著な減少(定量不可能)を示すことを証明する。
【0186】
他のバリアントを生成し、WO2006/012627号に報告されているように、デバイスにカップリングしたリガンドを使用して試験し、カップリングしたリガンドに受容体を流した。これらのバリアントに関するデータの表を以下に再度示す。
【0187】
GDF11およびアクチビンAへの可溶性ActRIIB−Fcバリアント結合(Biacoreアッセイ)
【0188】
【化13】
*結合は認められず
−−<1/5 WT結合
−約1/2 WT結合
+WT
++2倍未満の結合増加
+++約5倍の結合増加
++++約10倍の結合増加
+++++約40倍の結合増加 。
【0189】
(実施例6)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB−Fcタンパク質が野生型マウスの筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0190】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB(K74A 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、0日目および28日目にNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。ヒトActRIIB(R64 20〜134)−Fc処置マウスは、ビヒクルコントロール群と比較した場合、除脂肪組織の有意な31.1%の増加を示した。ヒトActRIIB(K74A 20〜134)−Fcタンパク質で処置したマウスは、コントロールコホートと比較して除脂肪組織量の有意な増加を示したが、ヒトActRIIB(R64 20〜134)処置群よりもその範囲は狭い。類似の研究では、マウスをPBS、1mg/kg、3mg/kg、または10mg/kgのマウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcにて2回/週で腹腔内処置した。研究終了時に、大腿筋、腓腹筋、胸筋、および横隔膜筋を切開し、秤量した。結果を以下の表3にまとめている。
【0191】
【表3】
図3に示すように、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc融合タンパク質は、野生型マウスの筋肉量を有意に増加させる。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置マウスでは、腓腹筋は26.5%増加し、大腿筋は28.9%増加し、胸筋は40.0%増加した。本発明者らはまた、ビヒクル処置コントロールマウスと比較して63%増加した横隔膜筋の変化を認めた。横隔膜筋の減少は、種々の筋ジストロフィでよく見られる合併症である。したがって、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置後に認められる横隔膜重量の増加は、臨床的に重要であり得る。
【0192】
(実施例7)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼす長期半減期ActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、半減期が長いActRIIB−mFc(R64、A24N 20〜134)タンパク質のバリアントが野生型マウスの筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0193】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB−mFc(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB−mFc(R64、A24N 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、25日目までの種々の時点でNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。両分子によって総体重および筋肉量が等価に増加し、腓腹筋、大腿筋、および胸筋に及ぼす影響は、40〜70%増加の範囲であった。図5および6を参照のこと。
【0194】
これらのデータは、半減期増加型分子が短期間の研究で野生型分子と等価の効力で筋肉成長を促進することを証明する。
【0195】
(実施例8)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすアクチビン結合が減少したActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)タンパク質の長期半減期バリアントが野生型マウスの筋肉量を増加する能力を決定した。
【0196】
C57B110マウスに、ヒトActRIIB−mFc(R64 20〜134)タンパク質またはヒトActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)のいずれかを2回/週にて投与した(10mg/kg;腹腔内(i.p.))。マウスを、24日目までの種々の時点でNMRスキャンして、全身除脂肪組織量の変化率を決定した。データを、以下の表に示す。
【0197】
【化14】
これらのデータは、ActRIIBのL79Dバリアント(アクチビンA結合の減少)がin vivoで筋肉成長に活性であるが、筋肉成長量は野生型ActRIIBより低いことを証明する。この影響の減少は、ミオスタチン結合のわずかな減少またはさらなる依然として未知の筋肉成長の負のレギュレーターへの結合の喪失に一部起因し得る。アクチビンAシグナル伝達に影響を及ぼすことなく筋肉成長を刺激する能力が非常に望ましい。これは、アクチビンが、生殖器系、骨、肝臓、および多数の他の組織に影響を及ぼすことが公知の広範に発現する調節分子であるからである。マウスでは、ActRIIB−mFc(R64 20〜134)が生殖器系に実質的に影響を及ぼし、いくつかの場合、脾臓サイズを増大させる。ActRIIB−mFc(R64、L79D 20〜134)分子は、生殖組織および脾臓の両方に及ぼす影響を非常に弱め、この分子が生殖的に活動的であるか、生殖器系に及ぼす影響が最小であることが望ましい患者の筋肉成長の促進に特に適切であることが示された。
【0198】
(実施例9)
Mdxマウスにおける筋肉量および強度に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcタンパク質が罹患状態で筋肉量を増加させる能力を決定するために、出願人は、ActRIIB−Fcタンパク質が筋ジストロフィのmdxマウスモデルにおける筋肉量を増加させる能力を決定した。
【0199】
成体Mdxマウスを、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fcタンパク質(1、3、または10mg/kg;腹腔内)またはPBSビヒクルコントロールで2回/週にて処置した。力変換器を引いた場合に発揮するマウスの力を測定して、前肢の握力を測定する。コホート間の握力を比較するために、5回の平均牽引力を使用した。研究終了時に、大腿筋、腓腹筋、胸筋、および横隔膜筋を解剖し、秤量した。握力測定も有意な増加を示した。筋肉量の結果を、以下の表にまとめている。
【0200】
ビヒクルおよびマウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置mdxマウス由来の組織重量
【0201】
【化15】
表に示すように、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置群は、PBS処置マウスと比較してmdxマウスで除脂肪組織量が増加した。ActRIIB−Fc処置により、ビヒクルコントロール群と比較して、腓腹筋サイズが25.9%増加し、大腿筋サイズが31.8%増加し、胸筋サイズが85.4%増加した。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置マウスの横隔膜筋の重量がコントロールコホートと比較して34.2%増加することも見出されたことが臨床的に重要かもしれない。これらのデータは、筋ジストロフィ病態におけるActRIIB−Fcタンパク質の有効性を証明する。
【0202】
さらに、ActRIIB−Fcタンパク質で処置したmdxマウスは、ビヒクル処置コントロールと比較して握力が増加した。16週間後、1、3、および10mg/kgのActRIIB群は、それぞれ、ビヒクルコントロール群と比較して握力が31.4%、32.3%、および64.4%増加した。マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置群の握力の改善は、処置群で見出された筋肉の増加が生理学的に関連するという概念を支持する。mdxマウスは、その野生型対応マウスよりも収縮誘導性障害に感受性を示し、有意により多数の分解再生サイクルを受ける。これらの筋肉表現型にもかかわらず、マウスActRIIB(WT、20〜134)−Fc処置により、mdxマウスの握力が増加する。
【0203】
デュシェーヌ筋ジストロフィでは、幼少期に発症し、しばしば早ければ5歳で発症する。したがって、成体マウスに関して示した上記データは、必ずしもその影響を反映しておらず、ActRIIB分子は、DMDを有する小児が有するであろう。これに取り組むために、幼若mdxマウスを使用して研究を行った。
【0204】
ActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置は、幼若(4週齢)C57BL/10およびmdxマウスの体重を有意に増加させる。in vivoNMR顕微鏡法を使用した体組成分析により、より高い体重を伴う除脂肪組織量の増加が明らかとなった。各コントロールコホートよりActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置C57BL/10マウスは除脂肪組織量が35.2%増加し、処置mdx群は除脂肪組織量が48.3%増加した。さらに、強度に及ぼすActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置の影響を評価した。ビヒクル処置mdxマウスの握力スコアは、ビヒクルC57BL/10コホートよりも15.7%低く、それにより、ジストロフィン欠損に関連する筋力低下を示した。対照的に、ActRIIB−mFc(R64、20〜134)処置mdxマウスは、mdxビヒクル群と比較してその握力が改善され、C57BL/10ビヒクルマウスを超え、処置C57BL/10握力スコアレベルに到達する握力に到達した(ビヒクルmdx:0.140±0.01 KgF;処置mdx:0.199±0.02 KgF;ビヒクルC57BL/10:0.166±0.03;0.205±0.02 KgF)。際立って、処置により、幼若mdxマウスが野生型の握力レベルに回復した。したがって、ActRIIB−mFc(R64、20〜134)分子は、特に、発症に近い年齢の若年患者におけるディシュンヌ型筋ジストロフィで臨床的に重要に適用される可能性が高い。
【0205】
(実施例7)
SOD1マウスの強度および生存に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
ActRIIBポリペプチドがALSマウスモデルの強度および生存を増大させる能力を決定するために、出願人は、SOD1マウスにおけるActRIIB−Fcタンパク質を試験した。
【0206】
B6.Cg−Tg(SOD1−G93A)1Gur/J(すなわちSOD1)マウスは、高コピー数のヒトスーパーオキシドジムスターゼ導入遺伝子の変異対立遺伝子を保有する。高レベルのこのタンパク質は、ヒト疾患ALSに匹敵する表現型をマウスに伝達する。SOD1マウスは、上行性麻痺を発症し、91日目までに初期の疾患の兆候を示す。この疾患により、19〜23週齢で早死にする。
【0207】
SOD1マウスに、ビヒクルコントロールまたはActRIIB−mFc(K74A 20〜134)(i.p.、5mg/kg、2回/週)を投与した。これを10週齢から開始した。力変換器を引いた場合に発揮するマウスの力を測定して、前肢の握力を測定する。コホート間の握力を比較するために、5回の平均牽引力を使用した。マウスの出生日とマウスが30秒以内に横倒しの状態を自ら正すことができない日の間の日数として生存を計算した。図7は握力の測定値を示し、図8は生存データを示す。
【0208】
疾患末期のマウスは、おそらく麻痺の進行によって毛繕いが困難であり、毛並が乱れている。マウスの大まかな観察により、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置群が、PBS群と比較して、疾患末期でさえも十分に毛繕いされているようであることが明らかとなった。この所見により、処置マウスがコントロールよりも良好な健康状態であり、高い生活の質を維持することが示唆される。
【0209】
図7に示すように、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置を受けたSOD1マウスは、PBSコントロールコホートと比較して有意に高い握力を示す。これは117日目(疾患初期)に認められ、149日目の疾患進行後にも認められた。図8は、ActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置マウスがビヒクルコントロールよりも有意に長期に生存することを示す。この研究は、マウスの強度および生存の改善に関するALSマウスモデルにおけるマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcの有用性を示す。
【0210】
SOD1マウスを使用して類似の実験を行ったが、有意な病徴の発生後のヒトALS治療をより良好に模倣するために、処置を肉眼で検出可能な発症の開始(130日目)まで遅延した。130日目に、SOD1マウスを、ビヒクル(改変TBS)処置群またはActRIIB(R64 20〜134)−mFc(10mg/kg)処置群のいずれかに分類した。マウスに、1週間に1回皮下投与した。マウスを、研究−1日目および27日目(それぞれ、129日齢および157日齢)にNMRスキャンした。0日目および20日目に握力測定を行った。研究終了時に、雄コントロール群は、研究0日目より体重が4.3%減少したのに対して、処置群は研究0日目より体重が7.8%増加した。雌コントロール群は、その研究0日目の体重より1.5%減少し、処置雌コホートは15%増加した。
【0211】
SOD1握力測定
【0212】
【化16】
雄および雌SOD1マウスにおける0日目および20日目の握力測定。上付文字の「a」は、各0日目の測定と比較した有意な相違を示す(p<0.05)。上付文字の「b」は、測定20日目のPBS(群1)およびActRIIB(R64 20〜134)−mFc(群2)との間の有意な相違を示す(p<0.05)。
【0213】
マウスをNMRスキャンして、治療に寄与した体組成の変化を決定した。雄コントロールマウスは、一連の研究にわたってその除脂肪組織量を6.0%喪失し(−1日目:18.2g±1.28;27日目:17.1g±1.10)、雄処置マウスは研究0日目のその除脂肪組織量を9.1%増加させた(−1日目:19.17g±0.77;27日目:20.92g±0.74)。雌コントロールマウスは、研究開始当初から除脂肪組織量が0.83%減少し(−1日目:13.18g±0.84;27日目:13.08 g±0.71)、雌処置マウスは研究0日目の体重が10.7%増加した(−1日目:13.66 g±0.83;27日目:15.12g±1.21)。雄および雌の処置群の両方は、その各コントロール群と比較して除脂肪組織量が有意に増加した(p<0.001)。
ActRIIB(R64 20〜134)−mFcのSOD1マウスの影響
【0214】
【化17】
これらのデータは、ActRIIB−Fc処置が、筋肉機能および生活の質の両方の改善のための能動性ALS患者の治療で有利であり得る。
【0215】
(実施例8)
肥満マウスの脂肪過多症および糖尿病に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、高脂肪食(HFD)摂取マウスにおいてActRIIB−mFcタンパク質を試験して、肥満マウスモデルにおいてActRIIB−Fcが脂肪過多症を軽減する能力を決定した。
【0216】
II型糖尿病は、肥満の主な合併症であり、インスリン抵抗性によって特徴づけられる。空腹時インスリンレベルの上昇は、インスリン抵抗性を示し、動物がインスリン抵抗状態であるかどうかを試験するための手段である。出願人は、肥満マウスモデルにおける正規化空腹時インスリンレベルでのマウスActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcでの処置の影響を決定した。
【0217】
HFD摂取C57BL/6マウスを、35%脂肪から構成される飼料で維持し、標準的な固形飼料(4.5%脂肪)を与えた年齢適合マウスより体重が約50%重い場合に肥満と見なした。肥満マウスに、ビヒクルコントロールまたはヒトActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fc(10mg/kg;i.p.)のいずれかを2回/週で投与した。肥満マウスをNMRスキャンして、投与開始時および投与3週間後の体組成を決定した。ベースラインからの体組成の変化を、図9にまとめている。
【0218】
マウスにHFDを与え、その体重が標準的な固形飼料を与えた対応マウスよりも50%重い場合に肥満と見なした。HFD摂取マウスに、ビヒクルコントロールまたはマウスActRIIB(R64 K74A 20−134)−Fc(5mg/kg 2回/週;i.p.)のいずれかを35週間投与した。研究終了時に、マウスを一晩絶食させた。絶食終了後、採血し、血清を処理した。次いで、血清を使用して、両コホートについての空腹時インスリンレベルを決定した。肥満マウスの空腹時インスリンレベルに及ぼすマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcの影響についての結果を、以下の表にまとめている。
【0219】
ビヒクルおよびマウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fc処置マウス由来の空腹時インスリンレベル
【0220】
【化18】
図9は、ビヒクル処置コントロールと比較した場合のマウスActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcコホートの脂肪過多症の減少を示す。処置マウスは、そのベースラインレベルと比較して、25.9%の脂肪量の減少が見出された。さらに、処置群は、そのベースラインレベルよりその除脂肪量が10.1%増加した。ActRIIB(R64 K74A 20〜134)−mFcの脂肪組織および除脂肪組織量の両方の変化率は、PBS処置群の変化率よりも有意に高かった。
【0221】
このモデルでは、マウスは、その固形飼料対応マウスより50%を超えて重くなるまで高脂肪食を維持した。この体重および脂肪過多症の顕著な増加に基づいて、このモデルが病的肥満として特徴づけられるヒトに対応し得るということは理にかなっている。したがって、ヒトActRIIB(R64 K74A 20〜134)−Fcタンパク質での処置が肥満マウスの脂肪過多症を軽減するという所見は、病的肥満のヒトの治療に臨床的に関連し得る。
【0222】
表5にまとめた結果により、マウスActRIIB(K74A 20〜134)−Fcタンパク質での処置が肥満に関連する上昇した空腹時血清インスリンレベルを有意に低下させることができることが示唆される。この所見は、II型糖尿病治療におけるActRIIBポリペプチドの使用の臨床的に関連する可能性があることを支持する。
【0223】
さらなる実験を、肥満および糖尿病のHFDモデルにおいてActRIIB−mFc(R64 20〜134)を使用して行った。30週齢のHFD摂取C57BL/6マウスを2群(PBSおよび10mg/kg ActRIIB−mFc(R64 20〜134))に分けた。マウスを秤量し、2回/週にて12週間腹腔内投与した。マウスを、0日目および94日目にNMRによって評価した。
【0224】
処置マウスは、その実験0日目に1.9%の体重を喪失し、PBS処置マウスは、研究中の開始時体重より6.7%増加した。処置マウスはまた、研究中にPBS群よりも除脂肪組織が有意に増加した(21.1%±6.28対3.7%±4.08)。処置マウスはまた、PBS群(+10.2±10.18)と比較して、有意に脂肪組織を喪失した(−34%±10.95)。ActRIIB−mFc(R64 20〜134)処置群で各筋肉重量も増加した。
【0225】
【化19】
これらのマウスにおけるActRIIB−Fc処置に関連する脂肪および筋肉に及ぼす有利な影響に加えて、血清脂質に及ぼす正の影響が認められた。血清コレステロールレベルおよび血清トリグリセリドレベルの両方が顕著に減少し、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して患者のこれらの脂質レベルを低下させることができることが示唆された。
【0226】
(実施例9)
悪液質マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcタンパク質の影響
出願人は、ActRIIB(R64 20〜134)−mFcが糖質コルチコイド誘導性筋肉消耗のマウスモデルにおける筋肉喪失を弱める能力を試験した。
【0227】
マウスにPBSまたはデキサメタゾン(2mg/kg)のいずれかを13日間にわたって毎日皮下投与して、筋肉消耗を誘導した。同様に13日間にわたって、PBSおよびデキサメタゾン処置群に、治療の全ての組み合わせが示されるようにビヒクルまたはActRIIB(R64 20〜134)−mFc(10mg/kg;i.p.;2回/週)を投与した。マウスを、0日目および13日目にNMRスキャンして、群間の除脂肪組織量の変化を決定した。NMRの結果を、以下の表6に概説する。
【0228】
【表6】
NMRスキャニングは、PBS:PBSコホートと比較したデキサメタゾン:PBS群の除脂肪組織量の有意な2.5%減少を示した。対照的に、デキサメタゾン:ActRIIB(R64 20〜134)−mFc群は、除脂肪組織量が13.5%増加し、PBS:PBS群およびデキサメタゾン:PBS群の両方と比較した場合に有意な増加であった。悪液質は、種々の治療上の処置(慢性糖質コルチコイド療法が含まれる)の望ましくない副作用である。したがって、ヒトActRIIB(R64 20〜134)−mFcタンパク質での処置が悪液質関連筋肉消耗を弱めることができることが臨床的に重要であり得る。
【0229】
(実施例10)
高齢マウスまたは卵巣切除マウスにおける筋肉量および肥満に及ぼすActRIIB−Fcの影響
サルコペニアは、他の点では健康な高齢に関連する筋肉喪失型である。本障害は、進行性の骨格筋量の喪失ならびに強度および可動性の障害に関連する。サルコペニアの原因は、あまり理解されていない。女性では、更年期が筋肉喪失を加速させ、骨喪失も加速させる。したがって、ActRIIB(R64、20〜134)−mFcを、非常に高齢の(2歳)マウスおよび卵巣切除マウス(閉経後状態のモデル)で試験した。
【0230】
8週齢のC57BL/6雌マウスを、卵巣切除するか(OVX)、疑似手術を行い、16週間年をとらせた後に研究を介した。研究開始時に、偽マウスおよびOVXマウスを、処置群およびビヒクル群にそれぞれ分けた。全群を秤量し、ActRIIB(R64、20〜134)−mFcまたは緩衝液コントロールのいずれを11週間にわたって毎週投与した。全マウスを、0日目および83日目にNMRスキャンによって研究して、体組成を決定した。
【0231】
研究終了時に、偽PBSマウスがもとの除脂肪量の4.7%を喪失し、偽処置群は、一連の研究にわたって除脂肪量が21%増加した。研究終了までに、OVXコントロールはその除脂肪量の12.1%を喪失し(偽ビヒクルより有意)、処置OVXマウスは12.9%増加した。
【0232】
これらのデータは、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して閉経後の女性に一般的な筋肉喪失に反作用することができることを示す。
【0233】
自然に老化した集団に及ぼすActRIIB−Fcの影響を評価するために、雄C57BL/6マウスを、処置開始前に70週齢に老化させた。マウスを2群に分けた(PBSおよび10mg/kg ActRIIB(R64、 20〜134)−mFc)。各群を秤量し、2回/週で10週間投与した。一連の研究にわたり、処置群はPBS群より除脂肪組織量が有意に増加した。
【0234】
【化20】
処置群はまた、PBSマウスと比較して各筋肉重量が有意に高かった。
【0235】
【化21】
筋肉内脂肪が減少し、細胞構築が改善されたので、処置コホートにおける筋肉の完全性もまた、PBS群よりも高いようであった(図10を参照のこと)。
【0236】
これらのデータは、ActRIIB−Fc融合タンパク質を使用して、男性および女性の高齢に関連する筋肉消耗を治療することができることを証明する。
【0237】
(実施例11)
去勢に関連する筋肉喪失に及ぼすActRIIB−Fcの影響。
【0238】
前立腺癌は、一般に、抗アンドロゲン療法を使用して治療する。治療の副作用には、筋肉喪失および肥満の増大が含まれる。去勢マウスで類似の変化が起こり、このことにより、去勢マウスがこの臨床背景でActRIIB−Fcが使用される可能性を研究するための良好なモデルとなる。
【0239】
8週齢の雄C57BL/6マウスを去勢するか疑似手術を行い、3週間回復させ、その後に研究を開始する。偽群および去勢群を、PBS群およびActRIIB(R64、 20〜134)−mFc(10mg/kg)群にさらに分けた。マウスを秤量し、1回/週にて12週間皮下投与した。マウスを、0日目および83日目の研究でNMRスキャンした。
【0240】
一連の研究にわたり、偽PBSマウスでは、研究0日目の除脂肪組織量より平均9.72%±3.67増加し、偽ActRIIB(R64、 20〜134)−mFcマウスでは35.79%±3.1増加した。去勢PBS処置マウスは、0日目除脂肪組織量の8.1%±4.22を喪失し、処置去勢マウスは17.77%±3.86増加した。さらに、去勢によって脂肪過多症が増加するが、ActRIIB(R64、 20〜134)−mFc処置は脂肪量増加の程度の減少に役立った。
【0241】
去勢ビヒクルマウス由来の腓腹筋および胸筋は、偽PBSマウスより小さかった(去勢腓腹筋:0.275±0.03g、去勢胸筋:0.196±0.06g;偽腓腹筋:0.313±0.02g、偽胸筋:0.254±0.03g)。ActRIIB(R64、20〜134)−mFc処置は、マウス体重のこの去勢誘導性の減少を有意に小さくする(去勢腓腹筋:0.421±0.03g、去勢胸筋:0.296±0.06g)。
【0242】
(実施例12)
癌悪液質に及ぼすActRIIB−Fcの影響
多数の腫瘍は、無食欲および重症筋肉喪失に関連する。悪液質を示す患者は、非悪液質患者よりも予後が不良である。結腸癌細胞株CT26は、マウスで重度の悪液質を誘導する。ActRIIB(R64 20〜134)を、このモデルで外植片誘導性悪液質に及ぼす影響について試験した。
【0243】
以下のように、6つのマウス群を実験で使用した。
【0244】
【化22】
【0245】
【化23】
群3〜6に、5×106腫瘍細胞を皮下投与した。群6に1週間に2回のActRIIB−Fcでの処置を直ちに開始した。腫瘍サイズが300〜500mm3に到達した研究28日目に群1〜5に投与を開始した。図11に示すように、ActRIIB−Fcは、腫瘍が確立したマウスおよび腫瘍導入前の予防モデルで使用した場合にCT26腫瘍に関連する筋肉喪失を顕著に減少させた。
【0246】
(実施例13)
野生型マウスにおける筋肉量に及ぼすActRIIB−Fcバリアントの影響
本研究は、6週齢のC57BL/6雄マウスにおける筋肉量および他の組織に及ぼす以下のActRIIB関連Fc構築物の影響を示した。マウスを秤量し、PBSまたはActRIIB関連Fc構築物(10mg/kg)のいずれかを2週間毎に腹腔内注射した。
ActRIIB(R64 20〜134)−Fc
ActRIIB(L79D 20〜134)−Fc
ActRIIB(L79E 20〜134)−Fc
ActRIIB(A24N 20〜134)−Fc
ActRIIB(R64K 20−134)−Fc 。
【0247】
研究開始時、中間、および研究終了時にマウスをNMRスキャンした。大腿筋、胸筋、腓腹筋、肝臓、腎臓、および脾臓を秤量し、ホルマリン中に保持した。
【0248】
最初のデータ分析は、ActRIIB(R64 20〜134)−Fcによって筋肉量および除脂肪体重が最も増加する一方で、他の組織にも最も高い影響を及ぼすことを示す。L79DおよびL79Eバリアントは、筋肉量をより低い程度に増加させる一方で、他の組織にほとんど影響を及ぼさない。A24NおよびR64K構築物は、筋肉および組織に中程度の影響を及ぼす。これらのデータは、アクチビン結合が減少したActRIIBのバリアントが望ましい性質、特に、筋肉組織に及ぼす選択的影響を有することが確認される。
【0249】
参照による引用
本明細書中に言及したすべての刊行物および特許は、各刊行物または特許が具体的且つ個別に参考として援用されることを示すように、その全体が本明細書中で参考として援用される。
【0250】
主題の特定の実施形態が考察されているが、上記明細書は例示であり本発明を制限しない。本明細書および以下の特許請求の範囲を再検討した際に多数の変形形態が当業者に明らかである。本発明の全範囲を、特許請求の範囲およびその等価物の全範囲ならびに明細書およびかかる変形形態を参照することによって決定すべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、該タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項2】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、請求項1に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項3】
前記タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項4】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項5】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項6】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項7】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項8】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項7に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項9】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項7に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項10】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、前記タンパク質が配列番号2の79位に対応する位置に酸性アミノ酸を含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてミオスタチンおよび/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項11】
前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項10に記載のバリアント。
【請求項12】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含む、請求項11に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項13】
前記タンパク質が配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項14】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項15】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項16】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項17】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項10〜請求項16のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項18】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項17に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項19】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項17に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項20】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項21】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、請求項20に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項22】
前記タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項23】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項24】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項25】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項26】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項20〜請求項25のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項27】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項26に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項28】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項27に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項29】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が配列番号2の配列とは5個以下のさらなるアミノ酸位置で異なり、該ActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてミオスタチンおよび/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、ActRIIB融合タンパク質。
【請求項30】
前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項29に記載のバリアント。
【請求項31】
前記タンパク質が配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含む、請求項30に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項32】
前記タンパク質が配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項33】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項34】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項35】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項29〜請求項34のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項36】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項35に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項37】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項35に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項38】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が、配列番号2の64位にアルギニン(R)、リジン(K)、またはヒスチジン(H)を有し、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項39】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号4のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項40】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項41】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項42】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項43】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項44】
(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾をさらに含む、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項45】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が、配列番号2の64位にアルギニン(R)、リジン(K)、またはヒスチジン(H)を有し、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項46】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項47】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項48】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項49】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項50】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項51】
(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾をさらに含む、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項52】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項38〜51のいずれか1項に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項53】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項38〜51のいずれか1項に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント 。
【請求項54】
前記異種部分がFcドメインである、請求項53に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項55】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるが、100%同一ではないアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、配列番号4の64位に対応する位置がKであり、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項56】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケットの外側に位置する、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項57】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項58】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項59】
前記タンパク質が、配列番号2の内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項60】
前記タンパク質が、(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾を含む、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項61】
請求項1〜請求項60のいずれか1項に記載のタンパク質を含む薬学的調製物。
【請求項62】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項63】
前記被験体が筋萎縮を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記被験体が筋ジストロフィを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記筋ジストロフィがディシュンヌ型筋ジストロフィである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体が若年者であり、治療をディシュンヌ型筋ジストロフィの診断日から1〜5年以内に開始する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記筋ジストロフィがFSH筋ジストロフィである、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記被験体がALSを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記被験体がALSの診断後に治療を受ける、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記障害が癌または癌療法に関連する悪液質である、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記障害が前立腺癌療法に関連する筋肉喪失である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記障害が腫瘍に関連する筋肉喪失である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記腫瘍が結腸癌の腫瘍(colon cancer tumor)である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、神経変性に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項75】
前記障害が筋萎縮性側索硬化症である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための方法。
【請求項77】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の望ましくない体重増加に関連する障害を治療するための方法。
【請求項78】
前記障害が、肥満、重篤または病的な肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患からなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させるための方法。
【請求項80】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、サルコペニアを治療するための方法。
【請求項81】
配列番号5のアミノ酸配列を含むActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項82】
前記タンパク質が配列番号5の5位に対応する位置にNを有する、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項83】
前記タンパク質が配列番号5の60位に対応する位置にDまたはEを有する、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項84】
前記タンパク質が配列番号5の60位に対応する位置にDまたはEを有する、請求項82に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項85】
前記タンパク質が二量体である、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項86】
前記タンパク質が二量体である、請求項82に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項87】
前記タンパク質が二量体である、請求項83に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項88】
前記タンパク質が二量体である、請求項84に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項89】
請求項81〜請求項88のいずれか1項に記載のタンパク質を含む薬学的調製物。
【請求項90】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項91】
前記被験体が筋萎縮を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記被験体が筋ジストロフィを有する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記筋ジストロフィがディシュンヌ型筋ジストロフィである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記被験体が若年者であり、治療をディシュンヌ型筋ジストロフィの診断日から1〜5年以内に開始する、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記筋ジストロフィがFSH筋ジストロフィである、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記被験体がALSを有する、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記被験体がALSの診断後に治療を受ける、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記障害が癌または癌療法に関連する悪液質である、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
前記障害が前立腺癌療法に関連する筋肉喪失である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記障害が腫瘍に関連する筋肉喪失である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記腫瘍が結腸癌の腫瘍である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、神経変性に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項103】
前記障害が筋萎縮性側索硬化症である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための方法。
【請求項105】
有効量の請求項104に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の望ましくない体重増加に関連する障害を治療するための方法。
【請求項106】
前記障害が、肥満、重篤または病的な肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患からなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させるための方法。
【請求項108】
有効量の請求項107に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、サルコペニアを治療するための方法。
【請求項109】
筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項110】
筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項111】
神経変性に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項112】
神経変性に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項113】
被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための薬物の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項114】
被験体の体脂肪含有量を減少させるか、または体脂肪含有量の増加速度を低下させることに使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項115】
被験体の望ましくない体重増加に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項116】
被験体の望ましくない体重増加に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項117】
コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させる医薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項118】
コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させることに使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項119】
サルコペニアの治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項120】
サルコペニアの治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項1】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、該タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項2】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、請求項1に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項3】
前記タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項4】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項5】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項6】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項2に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項7】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項8】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項7に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項9】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項7に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項10】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、前記タンパク質が配列番号2の79位に対応する位置に酸性アミノ酸を含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてミオスタチンおよび/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項11】
前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項10に記載のバリアント。
【請求項12】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含む、請求項11に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項13】
前記タンパク質が配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項14】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項15】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項16】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項10に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項17】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項10〜請求項16のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項18】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項17に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項19】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項17に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項20】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項21】
前記タンパク質が、配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含み、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、請求項20に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項22】
前記タンパク質が、配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項23】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項24】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項25】
前記タンパク質が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかに対応するアミノ酸から始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかに対応するアミノ酸で終了するアミノ酸配列を含む、請求項21に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項26】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項20〜請求項25のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項27】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項26に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項28】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項27に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項29】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸22〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸133または134のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が配列番号2の配列とは5個以下のさらなるアミノ酸位置で異なり、該ActRIIBタンパク質が細胞ベースのアッセイにおいてミオスタチンおよび/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、ActRIIB融合タンパク質。
【請求項30】
前記タンパク質が、ActRIIBの内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項29に記載のバリアント。
【請求項31】
前記タンパク質が配列番号2の24位に対応する位置にNを含み、配列番号2の26位に対応する位置にSまたはTを含む、請求項30に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項32】
前記タンパク質が配列番号2の64位に対応する位置にRまたはKを含む、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項33】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項34】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項29に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項35】
前記タンパク質が異種部分をさらに含む融合タンパク質である、請求項29〜請求項34のいずれか1項に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項36】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項35に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項37】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項35に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント。
【請求項38】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が、配列番号2の64位にアルギニン(R)、リジン(K)、またはヒスチジン(H)を有し、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項39】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号4のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項40】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項41】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項42】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項43】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸21〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜134のいずれかで終了する配列に対応する、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項44】
(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾をさらに含む、請求項38に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項45】
配列番号2のActRIIB配列由来の部分および第2のポリペプチド部分を含むバリアントActRIIB融合タンパク質であって、該配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応し、該ActRIIB融合タンパク質が、配列番号2の64位にアルギニン(R)、リジン(K)、またはヒスチジン(H)を有し、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項46】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項47】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜29のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項48】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸109〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項49】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸118〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項50】
前記配列番号2に由来する部分が、配列番号2のアミノ酸20〜24のいずれかから始まり、配列番号2のアミノ酸128〜133のいずれかで終了する配列に対応する、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項51】
(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾をさらに含む、請求項45に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項52】
前記タンパク質がホモ二量体である、請求項38〜51のいずれか1項に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項53】
前記異種部分がIgG重鎖由来の定常領域を含む、請求項38〜51のいずれか1項に記載のActRIIB融合タンパク質のバリアント 。
【請求項54】
前記異種部分がFcドメインである、請求項53に記載のバリアントActRIIB融合タンパク質。
【請求項55】
配列番号2のアミノ酸29〜109の配列と少なくとも80%同一であるが、100%同一ではないアミノ酸配列を含むバリアントActRIIBタンパク質であって、配列番号4の64位に対応する位置がKであり、前記バリアントActRIIBタンパク質が、細胞ベースのアッセイにおいてアクチビン、ミオスタチン、および/またはGDF11によるシグナル伝達を阻害する、バリアントActRIIBタンパク質。
【請求項56】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化がリガンド結合ポケットの外側に位置する、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項57】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、リガンド結合ポケット内に位置する保存的変化である、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項58】
前記配列番号2の配列に関する少なくとも1つの変化が、K74、R40、Q53、K55、F82、およびL79からなる群から選択される1つまたは複数の位置での変化である、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項59】
前記タンパク質が、配列番号2の内因性N−X−S/T配列以外の位置およびリガンド結合ポケットの外側の位置に少なくとも1つのN−X−S/T配列を含む、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項60】
前記タンパク質が、(a)アクチビンシグナル伝達の阻害と比較してより高いGDF11またはGDF8シグナル伝達の阻害;(b)血清半減期の増加;および(c)(a)と(b)の両方からなる群から選択される性質を付与する配列番号2の配列に対する1つまたは複数の修飾を含む、請求項55に記載のバリアントActRIIBタンパク質。
【請求項61】
請求項1〜請求項60のいずれか1項に記載のタンパク質を含む薬学的調製物。
【請求項62】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項63】
前記被験体が筋萎縮を有する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記被験体が筋ジストロフィを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記筋ジストロフィがディシュンヌ型筋ジストロフィである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体が若年者であり、治療をディシュンヌ型筋ジストロフィの診断日から1〜5年以内に開始する、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
前記筋ジストロフィがFSH筋ジストロフィである、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
前記被験体がALSを有する、請求項62に記載の方法。
【請求項69】
前記被験体がALSの診断後に治療を受ける、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記障害が癌または癌療法に関連する悪液質である、請求項62に記載の方法。
【請求項71】
前記障害が前立腺癌療法に関連する筋肉喪失である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記障害が腫瘍に関連する筋肉喪失である、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記腫瘍が結腸癌の腫瘍(colon cancer tumor)である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、神経変性に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項75】
前記障害が筋萎縮性側索硬化症である、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための方法。
【請求項77】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の望ましくない体重増加に関連する障害を治療するための方法。
【請求項78】
前記障害が、肥満、重篤または病的な肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患からなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させるための方法。
【請求項80】
有効量の請求項61に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、サルコペニアを治療するための方法。
【請求項81】
配列番号5のアミノ酸配列を含むActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項82】
前記タンパク質が配列番号5の5位に対応する位置にNを有する、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項83】
前記タンパク質が配列番号5の60位に対応する位置にDまたはEを有する、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項84】
前記タンパク質が配列番号5の60位に対応する位置にDまたはEを有する、請求項82に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項85】
前記タンパク質が二量体である、請求項81に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項86】
前記タンパク質が二量体である、請求項82に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項87】
前記タンパク質が二量体である、請求項83に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項88】
前記タンパク質が二量体である、請求項84に記載のActRIIB−Fcタンパク質。
【請求項89】
請求項81〜請求項88のいずれか1項に記載のタンパク質を含む薬学的調製物。
【請求項90】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項91】
前記被験体が筋萎縮を有する、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記被験体が筋ジストロフィを有する、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記筋ジストロフィがディシュンヌ型筋ジストロフィである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
前記被験体が若年者であり、治療をディシュンヌ型筋ジストロフィの診断日から1〜5年以内に開始する、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記筋ジストロフィがFSH筋ジストロフィである、請求項92に記載の方法。
【請求項96】
前記被験体がALSを有する、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記被験体がALSの診断後に治療を受ける、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記障害が癌または癌療法に関連する悪液質である、請求項90に記載の方法。
【請求項99】
前記障害が前立腺癌療法に関連する筋肉喪失である、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記障害が腫瘍に関連する筋肉喪失である、請求項98に記載の方法。
【請求項101】
前記腫瘍が結腸癌の腫瘍である、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、神経変性に関連する障害を有する被験体を治療するための方法。
【請求項103】
前記障害が筋萎縮性側索硬化症である、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための方法。
【請求項105】
有効量の請求項104に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、被験体の望ましくない体重増加に関連する障害を治療するための方法。
【請求項106】
前記障害が、肥満、重篤または病的な肥満、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、心血管疾患、癌、高血圧症、変形性関節症、卒中、呼吸困難、および胆嚢疾患からなる群から選択される、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
有効量の請求項89に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させるための方法。
【請求項108】
有効量の請求項107に記載の薬学的調製物を被験体に投与する工程を含む、サルコペニアを治療するための方法。
【請求項109】
筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項110】
筋肉の喪失または不十分な筋肉成長に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項111】
神経変性に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項112】
神経変性に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項113】
被験体の体脂肪含有量を減少させるか、体脂肪含有量の増加速度を低下させるための薬物の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項114】
被験体の体脂肪含有量を減少させるか、または体脂肪含有量の増加速度を低下させることに使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項115】
被験体の望ましくない体重増加に関連する障害の治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項116】
被験体の望ましくない体重増加に関連する障害の治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項117】
コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させる医薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項118】
コレステロールおよび/またはトリグリセリドを低下させることに使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【請求項119】
サルコペニアの治療薬の製造のための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物の使用。
【請求項120】
サルコペニアの治療に使用するための請求項61または請求項89に記載の薬学的調製物。
【図10】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【図12】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図13】
【公表番号】特表2010−518009(P2010−518009A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548334(P2009−548334)
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/001506
【国際公開番号】WO2008/097541
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509125475)アクセルロン ファーマ, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月4日(2008.2.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/001506
【国際公開番号】WO2008/097541
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(509125475)アクセルロン ファーマ, インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】
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