説明

BiMO微粒子の製造方法および光導電層

【課題】強酸を使用することなく、安定な水溶性ビスマス化合物溶液を用いて形状や組成が安定なBiMO微粒子(ただし、MはSi、Ge、TiまたはSn)を製造する。
【解決手段】ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合して反応させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、BiMO微粒子の製造方法およびこの微粒子を利用した放射線撮像パネルを構成する光導電層に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Bi−M−O原子で構成される微粒子(以下、BiMO微粒子という)、例えばBi12SiO20、Bi12GeO20、Bi12TiO20、BiGe12、BiTi12、BiTiなどは光導電性、誘電性を有するため、電子写真材料、X線検出材料、セラミックコンデンサーなどの用途が検討されている。これらの用途にBiMOから成るセラミックを用いる場合、その原料となるBiMO微粒子の製造は、従来構成元素の単独酸化物を混合、焼成するという固相法によって行われており、例えば非特許文献1に記載されている。
【0003】
しかし、固相法により得られる微粒子は組成が不均一であったり、粒子形状やサイズが不均一であるために、均一で高密度の成型体あるいは良好なセラミックを形成するには限界がある。また、固相法の実施には粉砕、混合工程が不可欠であるが、この工程の際に容器から不純物が混入することが避けられず、充分な性能をもった完成品を得ることができないという問題がある。
【0004】
このような固相法に対して、液相法によりBiMO微粒子を製造する方法が知られている。例えば、非特許文献2にはBi(NO33と、Si源としてNa2O・xSiO2や、Ge源としてGeO2を酸に溶解させ、水酸化アルカリ金属を添加して沈殿させ、pHを調製後、適当な温度にしてBi12MO20を合成する方法が記載されている。
【0005】
しかし、非特許文献2に記載されている製造方法により製造されるBi12MO20粉体の粒子径は10μm程度の大きな粒子であるため、緻密な成型体あるいは高密度のセラミックを形成することはできず、例えば、このような粒子径の大きなBi12MO20粉体によって製造された光導電層は充填密度が低いために発生電荷の捕集効果が悪いという問題がある。
【0006】
この問題を解決すべく、液相法による粒子径の小さなBi12MO20粉体の製造方法、およびこのBi12MO20粉体を使用した放射線撮像パネルを構成する光導電層が特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−248820号公報
【特許文献2】特開2007−63100号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.Am.Ceram.Soc 84(12), p2900(2001)
【非特許文献2】Solid State Ionics 32/33(1989) p678-690
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記非特許文献2、特許文献1および2で用いられている、硝酸ビスマス、三塩化ビスマス、酸化ビスマスなどのビスマス化合物は、いずれも強酸性条件でのみ水溶性であり、しかも加水分解により難溶性のオキシビスマス化合物を生成しやすいため、得られるBi12MO20微粒子の形状や組成が変化しやすく、反応容器などから金属性不純物も混入しやすいという問題があることがわかった。
【0010】
特に、高濃度で大量に製造する場合に用いるステンレスなどの一般的な反応容器、攪拌羽根などは硝酸などの強酸で腐食するため使用することができず、テフロン(登録商標)など耐酸性の素材でその表面をコートしたり、高価なチタン製容器などを代用せざるを得ない。このため、設備コストの増大を招き製造適性上大きな支障となることがわかった。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、強酸を使用することなく、形状や組成が安定なBiMO微粒子を高濃度で製造する方法、およびこのBiMO微粒子を用いた放射線撮像パネルを構成する光導電層を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のBiMO微粒子(ただし、MはSi、Ge、TiまたはSn、以下、この記載は省略する)の製造方法は、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合して反応させることを特徴とするものである。
【0013】
前記アミノ化合物は水溶性の脂肪族アミノ化合物であることが好ましく、前記脂肪族アミノ化合物はアルカノールアミンであることがより好ましい。
前記アルカリ水溶液中には、さらに多価の有機酸またはその塩を含有することが好ましい。
前記ビスマス化合物は、多価の有機酸ビスマス化合物であることが好ましい。
【0014】
前記ケイ素化合物は、アルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩、もしくはテトラアルコキシシランであることが好ましい。
前記ゲルマニウム化合物は、酸化ゲルマニウム(IV)またはゲルマニウム(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
前記チタニウム化合物は、塩化チタン(IV)またはチタニウム(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
前記スズ化合物は、塩化スズ(IV)またはスズ(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
【0015】
前記アルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物、NR4OH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、アミジン、グアニジンからなる群より選ばれる少なくとも1つの水溶液であることが好ましい。
反応温度は40℃以上であって前記アルカリ水溶液の沸点以下であることが好ましい。
上記の製造方法で製造したBiMO微粒子を、さらに400〜700℃で焼成することが好ましい。
【0016】
本発明の光導電層は、放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、該光導電層が本発明のBiMO微粒子の製造方法によって得られたBiMO微粒子を用いて製造されたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のBiMO微粒子の製造方法は、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合して反応させるので、固相法や強酸を用いる公知の液相合成法に比べて不純物の混入が少ない微粒子を得ることが可能である。また、アミノ化合物存在下で溶解を行うことによって、水に可溶なビスマス塩の高濃度溶液を調製することができるので、形状や組成が安定なBiMO微粒子を高濃度で製造することができる。
【0018】
さらに、強酸を使用する必要がないので、従来の液相法では不純物の混入の問題があって使用することが難しかった安価なステンレス製容器などを使用して製造することができるので、大幅な製造コストダウンを図ることができる。加えて、不純物の混入を抑制することができるので品質の向上を図ることができ、格段に粒子サイズ、形状、組成が安定した微粒子を得ることが可能である。
【0019】
そして、このように純度の高いサイズの揃ったBiMO微粒子を用いて製造された光導電層は、発生電荷の捕集効果が高まり、電気ノイズが小さくなるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の製造方法で得たBi12SiO20粒子のXRDパターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のBiMO微粒子の製造方法は、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合して反応させることを特徴とする。
【0022】
本発明で用いるビスマス化合物はIII価の化合物が望ましく、硝酸ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマス、酸化ビスマス、ビスマス(III)アルコキシド(例えば、ビスマス(III)エトキシド、ビスマス(III)イソプロポキシドなど)、有機酸ビスマス等を用いることができる。不純物となりやすい無機アニオンの混入を避けるため、これらの中でも有機酸ビスマスがより好ましい。
【0023】
有機酸ビスマス化合物を構成する有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、コハク酸、トリカルバリル酸などの多価の有機酸、グリシン、アラニン、バリン、セリン、トレオニン、リシンアルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、β−アミノプロピオン酸などの脂肪族アミノ酸などが挙げられる。有機酸は水溶性の高いものが好ましい。可溶性のビスマス化合物を形成しやすい多価の有機酸が特に好ましい。なかでもクエン酸ビスマス(III)は最適である。
【0024】
本発明のBiMO微粒子の製造方法においては、水に可溶なビスマス塩の高濃度溶液を調製するために、アミノ化合物存在下で反応を行う。アミノ化合物としては、沸点が100℃以上で水溶性が高いアルカノールアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ジアセトンアミン、ジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミン、アミジン、グアニジンなどの脂肪族アミノ化合物が好ましい。アミジンやグアニジンなどは塩基性が強いので、後述のアルカリとして使用することもできる。
【0025】
脂肪族アミノ化合物の中でもモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールなどのアルカノールアミンがより好ましい。特にトリエタノールアミンはBi(III)イオンと安定なキレートを形成しやすいのでより好ましい。
【0026】
水に可溶なビスマス塩溶液は、上記有機酸ビスマス化合物とアミノ化合物を混合して水に溶解してもよいし、他のビスマス化合物にアミノ化合物、もしくは有機酸(またはその塩)およびアミノ化合物を混合して水に溶解して調製してもよい。有機酸は、前述の化合物から選択できるが、特にビスマス化合物を溶解しやすい多価の有機酸が好ましい。ビスマス化合物に対するアミノ化合物のモル比は1〜10、好ましくは1〜5、さらに好ましくは1.5〜3である。モル比が1よりも小さいとビスマス化合物の溶解濃度が低下し、モル比が10より大きいと微粒子の生成速度が遅くなるので好ましくない。また、有機酸に対するアミノ化合物のモル比も1〜10、好ましくは1〜5、さらには1.5〜3が好ましい。
【0027】
ケイ素化合物としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸テトラメチルアンモニウムなどのアルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩、もしくは、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトライソプロポキシシランなどのテトラアルコキシシランであることが好ましい。
ゲルマニウム化合物としては、酸化ゲルマニウム(IV)、もしくはゲルマニウム(IV)エトキシド、ゲルマニウム(IV)イソプロポキシドなどのゲルマニウム(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
【0028】
チタニウム化合物としては、塩化チタン(IV)、もしくはチタニウム(IV)エトキシド、チタニウム(IV)イソプロポキシドなどのチタニウム(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
スズ化合物としては、塩化スズ(IV)、もしくはスズ(IV)エトキシド、スズ(IV)イソプロポキシド、スズ(IV)−t−ブトキシドなどのスズ(IV)テトラアルコキシドであることが好ましい。
【0029】
アルカリ水溶液は、アルカリ金属の水酸化物(LiOH、NaOH、KOH、RbOH、CsOH)、NR4OH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、アミジン、グアニジンからなる群より選ばれる少なくとも1つの水溶液であることが好ましい。特にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどのNR4OHは、水溶液中での安定性が良く、本発明の微粒子にアルカリ金属が残留し、目的とする光導電性を劣化させることが無い点でより好ましい。反応液中のアルカリ濃度はpH9〜14が望ましく、pH10〜14がさらに好ましく、緻密な結晶が得られるという観点からはpH11〜14が特に好ましい。
【0030】
本発明において、反応液中には微粒子のサイズや形状を制御するなどの目的で種々の有機化合物を添加することができる。特に高分子化合物は微粒子のサイズや形状を制御する上で大きな効果を有するので好ましく、特にヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースはそれぞれを単独で用いてもあるいは適宜混合して用いてもよい。ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースの使用量は、反応させる温度、反応容器の容量、アルカリ水溶液の容量などによって異なるため一概には言えないが、生成する微粒子の質量当たり5質量%〜50質量%の割合で用いることが、反応効率、経済性の観点から好ましい。また、使用するヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースの分子量は1万〜50万の範囲であることが好ましい。
【0031】
本発明において、反応液中には反応温度調節や前述のビスマス化合物、ケイ素化合物等の反応種の溶解性向上などの目的で親水性有機溶媒を加えることができる。かかる親水性有機溶媒としては種々の化合物が使用できる。例えば、メタノール、エタノール、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジオキサンなどが好ましく挙げられる。
【0032】
反応温度は40℃以上であってアルカリ水溶液(ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種、ビスマス化合物と、アミノ化合物を含む反応溶液)の沸点以下であることが望ましく、50℃以上100℃以下がより好ましく、さらには60℃以上90℃以下が好ましい。40℃以下では結晶化の速度が遅く生産性が悪い。反応時間は反応温度によって異なり任意に設定することができるが、例えば、10分〜3日、好ましくは20分〜20時間、さらに好ましくは30分〜10時間である。また、加熱手段としては通常の熱水やオイルバスの他、マイクロ波やオートクレーブなどを用いることができる。
【0033】
本発明の微粒子の合成は様々の方法を採用することができる。最も簡易な方法は、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合しながら所定の温度まで昇温して反応させる方法が挙げられる。別法として、所定の温度のアルカリ母液(アルカリ水溶液)を撹拌しながら、この中に、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種、ビスマス化合物およびアミノ化合物からなる混合溶液を添加しながら行ってもよい。あるいは、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種、ビスマス化合物およびアミノ化合物からなる混合溶液を所定の温度に加熱し、この中にアルカリ水溶液を添加しながら行ってもよい。本発明において使用する反応装置としては、例えば特開2006−248820号の図1に記載のものが挙げられる。
【0034】
本発明のBiMO微粒子の製造方法は、前述のように様々な原子比の化合物に適用可能であるが、フォトコンダクター(光導電層)として特に好ましい組成はBi12MO20である。また、Mとして好ましくはSiまたはGeである。ただし、必ずしも上記原子比に厳密である必要はなく、10%以内程度であれば変動してもよい。また、Mは単独であっても、2種以上の混合物(例えば、SiとGe、SiとTi、GeとSnなど)であってもよい。
【0035】
上記反応で得られた分散物(分散液)をデカンテーションすることにより、または減圧濾過法あるいは遠心分離法により液成分を除去することにより、目的とする微粒子を得ることができる。なお、ここで得られる微粒子は合成に伴う副生成物を含む粗精製のものであるため、水およびアルコールなどの洗浄により精製することが好ましい。
【0036】
有機物の除去、結晶化の促進などのために微粒子を焼結温度以下、好ましくは400℃以上700℃以下、さらに好ましくは450℃以上650℃以下の温度で焼成することが好ましい。400℃よりも低温では、有機物の分解が十分進行しなかったり、吸着水の脱着が不十分であるため、後述の光導電層を形成したとき感度が低下したり、暗電流が大きいなどの問題が生じる。一方、700℃よりも高温では、焼結が起こりやすく光導電層が均一に作製しにくくなることがわかった。なお、焼成時間は、焼成温度、粒子サイズ、粒子組成、残存有機物量などに依存するため広い範囲で任意に設定することができる。
【0037】
上記製造方法で得られたBiMO微粒子は、構成する元素以外の無機イオンの含有量が100ppm以下、好ましくは10ppm以下であることが好ましい。不純物である無機イオンの含有量が100ppm以上であると、後述の光導電層として用いた場合に暗電流が大きくなるので望ましくない。かかる無機イオンは、BiMO微粒子の合成に使用する各種原料や製造容器や送液系の材質に起因するものである。例えば、カチオンとしては、Li+、Na+、K+などのアルカリ金属イオン、Ca2+、Mg2+などのアルカリ土類金属イオンなどが、また、アニオンとしては、硝酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、臭化物イオンなどが該当する。
【0038】
得られた微粒子を用いて光導電層を製造する具体的な方法としては、例えば、真空中でBi12MO20微粒子をキャリアガスで巻き上げて、その微粒子の混じったキャリアガスを真空中で支持体に吹き付けてBi12MO20微粒子を堆積させるエアロゾルデポジション法、Bi12MO20微粒子を一軸プレス機あるいは冷間等方圧プレス機を用いて高圧力で膜状に成型した後、高温で焼結させるプレス焼結法、数100℃の高温と数10〜数100MPaの等方的な圧力をBi12MO20微粒子に同時に加えて処理するHIP法(Hot Isostatic Pressing:熱間等方圧加工法)、Bi12MO20微粒子に対して、数100℃の高温と一軸方向からのみの加圧によってプレスするホットプレス法、Bi12MO20微粒子とバインダーを用いて塗布してグリーンシート(バインダーを含んだ膜)を作製し、このグリーンシートを焼成して脱バインダー化および微粒子の焼結化を行う方法(以下、グリーンシート法)などの公知の方法を用いることができる。なお、ここでは、好ましい組成であるBi12MO20微粒子を例にとって説明したが、上記方法はBi12MO20微粒子以外のBiMO微粒子に適用可能である。
【0039】
上記グリーンシート法に用いられるバインダーとしては、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、ポリアルキルメタアクリレート、ポリウレタン、ポリビニルブチラール、ポリエステル、ポリスリレン、ポリアミド、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニルコポリマー、セルロースアセテート、ポリビニルアルコール、線状ポリエステル等が好ましい。
【0040】
また、得られた微粒子を用いて光導電層を製造する別の方法としては、Bi12MO20微粒子をバインダーに分散させ、これを仮支持体上に公知のディップ法、スプレー塗布法等の塗布法によって塗布する方法が挙げられる。この塗布法に用いられるバインダーとしては、上記グリーンシート法に用いられるバインダーを用いることができる。
【0041】
続いて本発明の微粒子を用いて製造される光導電層を有する放射線撮像パネルについて説明する。放射線撮像パネルには、放射線を直接電荷に変換し電荷を蓄積する直接変換方式と、放射線を一度CsIなどのシンチレータで光に変換し、その光をa−Siフォトダイオードで電荷に変換し蓄積する間接変換方式があるが、本発明の微粒子を用いて製造される光導電層は前者の直接変換方式に用いることができる。なお、放射線としてはX線の他、γ線、α線などについて使用することが可能である。
【0042】
また、本発明の微粒子を用いて製造される光導電層は、光の照射により電荷を発生する半導体材料を利用した放射線画像検出器により読み取る、いわゆる光読取方式にも、放射線の照射により発生した電荷を蓄積し、その蓄積した電荷を薄膜トランジスタ(thin film transistor:TFT)などの電気的スイッチを1画素ずつON・OFFすることにより読み取る方式(以下、TFT方式という)にも用いることができる。
【0043】
前者の光読取方式に用いられる放射線撮像パネルは、例えば特開2006−248820号の図2に示すものである。この図2の記録用放射線導電層22に、本発明の微粒子を用いて製造される光導電層を使用することができる。すなわち、本発明の製造方法によって得られたBiMO微粒子を用いて製造される光導電層は記録用放射線導電層である。
後者のTFT方式については、例えば特開2006−248820号の図7に示すものである。この図7の記録用放射線導電層104に、本発明の微粒子を用いて製造される光導電層を使用することができる。
【0044】
なお、記録読取システムにおける静電潜像記録過程や放射線検出器(部)、アクティブマトリックスアレイ基板(AMA基板)などの詳細は特開2006−248820号に記載されており、本発明の光導電層にも適用することができる。
以下に本発明のBiMO微粒子の製造方法および放射線撮像パネルを構成する光導電層の製造例を示す。
【実施例1】
【0045】
(実施例1)
クエン酸ビスマス(純度99.99%)47.8g、トリエタノールアミン35.8gを水360mlに溶解し、これにケイ酸カリウム溶液(28%)2.4mlおよび4N−KOH溶液200mlを添加した。この溶液のpHは13.7であった。特開2006−248820号の図1に示す攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2(ステンレス製)にこの溶液を注入した。送液漕4および送液漕5は使用しなかった。ジャケット3により反応漕2を加熱して溶液の温度を40℃とした。モーター9の回転速度を毎分800回転に設定して攪拌機8により反応溶液を攪拌した。90℃に加温して5時間攪拌を継続した後、常温まで冷却した。得られた白色の沈殿物をろ過、精製した。沈殿物を乾燥させて得た粒子をX線回折(XRD)法で測定したところ、図1に示すようにBi12SiO20のシレナイト構造の結晶が得られた。プラズマ誘導発光分析(ICP)法で組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は11.9であった。さらに、粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察で、得られたSEM像より、各粒子について同一面積を持つ円形の粒子とみなして平均粒径を求めた。その結果、平均粒径は約2μm、変動係数16%の立方体の粒子であることがわかった。なお、この変動係数は、粒子サイズの標準偏差を平均値で除して百分率で表わした値である。
【0046】
(実施例2)
実施例1において、トリエタノールアミンの代わりにジエタノールアミンを等モル添加して実施例1と同様に操作し、平均粒子径約8μm、変動係数18%のBi12SiO20結晶構造を有する粒子を得た。
【0047】
(実施例3)
実施例1において、トリエタノールアミンの代わりに2−ジエチルアミノエタノールを等モル添加して実施例1と同様に操作し、平均粒子径約8μm、変動係数19%のBi12SiO20結晶構造を有する粒子を得た。
【0048】
(実施例4)
実施例1において、4N−KOHの代わりに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を等モル添加して実施例1と同様に操作し、平均粒子径約3μm、変動係数16%のBi12SiO20結晶構造を有する粒子を得た。
【0049】
(実施例5)
実施例1において、ケイ酸カリウム溶液の代わりにゲルマニウムイソプロポキシドを等モル添加して実施例1と同様に操作した。ただし、反応温度は80℃にした。得られた粒子のXRDを測定したところBi12GeO20の結晶構造が得られた。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は12.1であった。さらに、粒子のSEM観察では平均粒子径が約3μm、変動係数16%の立方体の粒子であることが確認された。
【0050】
(実施例6)
テトラエトキシオルソシラン(TEOS)2.5mlに、エタノール10ml、酢酸1mlおよび水37mlを添加してTEOS溶液を調製した。クエン酸ビスマス(純度99.99%)47.8g、テトラメチルエチレンジアミン28.0gを水360mlに溶解し、これにTEOS溶液42mlを添加して母液を調製した。特開2006−248820号の図1に示す攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2にこの母液を注入し、送液漕4に8N−KOH溶液100mlを注入した。送液槽5は使用しなかった。反応槽、送液槽はいずれもステンレス製容器を使用した。ジャケット3により反応漕2を加熱して母液の温度を85℃とした。モーター9の回転速度を毎分800回転に設定して攪拌機8により母液を攪拌した。この状態を維持して、送液漕4から8N−KOH溶液を毎分4mlの速度で反応漕2に添加し、そのまま5時間加熱撹拌した。室温に冷却後、得られた白色の沈殿物を遠心分離し、精製した。得られた粒子を実施例1と同様にICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は11.7であった。また、粉末のXRDを測定したところ結晶構造は目的とするBi12SiO20の結晶構造であった。さらに、粒子のSEM観察では約5μm、変動係数17%の粒子であることが確認された。
【0051】
(実施例7)
チタンテトライソプロポキシド2.28gとトリエタノールアミン2.38gを混合した。これに水76mlを加え100℃で24時間加熱した。クエン酸ビスマス(純度99.99%)38.2g、トリエタノールアミン38.6gを水280mlに溶解し、これに上記チタンテトライソプロポキシド溶液全量と4N−KOH溶液80mlを添加して反応溶液とした以外は実施例1と同様な操作を行った。沈殿物を乾燥させて得られた粒子のXRDを測定したところBi12TiO20の結晶構造が得られた。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Tiの原子比は11.6であった。さらに、粒子のSEM観察では平均粒子径が約2μm、変動係数20%の粒子であることが確認された。
【0052】
(実施例8)
実施例7において、チタンテトライソプロポキシドの代わりにスズ(IV)−t−ブトキシドを等モル添加して実施例7と同様に操作したところ、平均粒子径約4μm、変動係数18%のBi12SnO20結晶構造を有する粒子を得た。
【0053】
(実施例9)
実施例1において、ケイ酸カリウム溶液の60%をゲルマニウムイソプロポキシドに等モル置換して実施例1と同様に操作した。ただし、反応温度は80℃にした。得られた粒子のXRDを測定したところシレナイトの結晶構造が得られた。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は19.6、Bi/Siの原子比は30.2であった。さらに、粒子のSEM観察により平均粒子径が約3μm、変動係数19%の粒子であることが確認された。
【0054】
(実施例10)
クエン酸ビスマス(純度99.99%)32g、トリエタノールアミン24gを水360mlに溶解し、これにゲルマニウムイソプロポキシド18.6mlおよび4N−KOH溶液200mlを添加して反応溶液とした以外は実施例1と同様な操作を行った。ただし、反応条件は80℃5時間とした。沈殿物を乾燥させて得た粒子の組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は1.30(BiGe12型結晶構造)であった。さらに、粒子のSEM観察では平均粒子径が約4μm、変動係数19%の粒子であることが確認された。
【0055】
(比較例1)
硝酸ビスマス・五水塩(純度99.9%)48.2gを1N硝酸水溶液80mlに溶解し、水を加えて100mlとして添加液aを調製した。別に、メタケイ酸カリウム1.29gと水酸化カリウム32.5gを水に溶解し100mlとして添加液bを調製した。一方、水450mlにメタケイ酸カリウム0.77gと水酸化カリウム28.1gを溶解し、さらに水を加えて全量を500mlとして母液Pを調製した。特開2006−248820号の図1に示す攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2に母液Pを注入し、送液漕4に添加液aを送液漕5に添加液bをそれぞれ注入した。反応槽、送液槽はいずれもステンレス製容器を使用した。ジャケット3により母液Pを加熱して母液Pの温度を40℃とした。モーター9の回転速度を毎分800回転に設定して攪拌機8により母液Pを攪拌した。この状態を維持して、送液漕4から添加液aを送液漕5から添加液bをそれぞれ毎分20mlの速度で反応漕2に添加した。添加終了後、pHを14に調整した後、75℃に加温して2日間攪拌を継続した後、常温まで冷却し生成した薄黄色の分散物を濾過した。濾過後、0.1Nの水酸化カリウム溶液で3回、さらに水で数回洗浄した後、エタノール洗浄してBi12SiO20の結晶構造を有する微粒子を得た。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は11.2であった。さらに、粒子のSEM観察により平均粒子径が約10μm、変動係数28%の粒子であることが確認された。なお、送液槽は若干の腐食が見られた。
【0056】
(比較例2)
比較例1において、添加液bをチタンテトライソプロポキシド2.36gにメタノールを加えて50mlに調液した。また、母液Pは、水酸化カリウム60.6gを水に溶解して全量を550mlとした。反応槽2に母液Pを注入し撹拌しながら、この中に送液漕4から添加液aを毎分20mlの速度で、送液漕5から添加液bをそれぞれ毎分10mlの速度で反応漕2に添加した以外は比較例1と同様の操作でBi12TiO20の結晶構造を有する微粒子を得た。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Tiの原子比は12.2であった。さらに、粒子のSEM観察により平均粒子径が約8μm、変動係数30%の粒子であることが確認された。
【0057】
(比較例3)
比較例2において、添加液b中のチタンテトライソプロポキシドを等モルのゲルマニウムイソプロポキシドに代えた以外は比較例2と同様の操作によりBi12GeO20の結晶構造を有する微粒子を得た。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は11.9であった。さらに、粒子のSEM観察により平均粒子径が約15μm、変動係数27%の粒子であることが確認された。
【0058】
(光導電層の製造)
実施例1〜10、および比較例1〜3で得られた微粒子それぞれ50gにエタノール50mlを加え、さらにバインダーとして0.4%のポリビニルブチラールを加え、軽く素分散した後、3.7%のポリビニルブチラールと0.8質量%のフタル酸ジオクチルを加え、自公転式ミキサーを用いて充分混合分散してスラリーを得た。コータを用いて得られたスラリーを離型剤が塗設されたフィルムベース上に塗布してグリーンシートを調製した。成型体は室温下で24時間かけて乾燥した後、平面性の良いサファイア製セッター上に移し、これを大気雰囲気下10時間かけて450℃まで昇温してバインダーを取り除いた。これをガス置換型のマッフル炉でアルゴンガス流通下、850℃で2時間焼成して500μm厚の光導電層を得た。
【0059】
(評価方法および評価結果)
上記で製造した光導電層の両面に金を600nmの厚みで蒸着し、この両電極間に1kVの電圧を印加した状態で、医療用X線源により1mremの線量率で0.1秒間X線を照射し、発生するX線光電流から単位線量当たりに発生した電荷量と暗電流を測定し、比較例1の測定値を1とした相対比で表1に示した(発生電荷量は相対比が大きいほど、暗電流は相対比が小さいほど望ましい)。
【0060】
【表1】

【0061】
表1に示すように、実施例1〜4および実施例6のBiMO微粒子は比較例1のBiMO微粒子と比べて、高い発生電荷量と低い暗電流を得ることが可能な光導電層を製造することができた。また、実施例5のBi12GeO20の構造を有する微粒子、実施例7のBi12TiO20の構造を有する微粒子もそれぞれ比較例3、比較例2の微粒子と比べて高い発生電荷量と低い暗電流を得ることが可能な光導電層を製造することができた。さらに、実施例10の粒子も高い発生電荷量と低い暗電流を得ることが可能な光導電層を製造することができた。なお、Bi12TiO20、Bi12SnO20やBi4Ge312の結晶構造を有する微粒子は、Bi12SiO20やBi12GeO20の構造を有する微粒子と比較して発生電荷量が低い結果を得た。光導電層用の微粒子としては、Bi12MO20(MはSiまたはGe)の構造を有する化合物が好ましいことがわかった。
【0062】
(実施例11)
クエン酸ビスマス(純度99.99%)47.8g、トリエタノールアミン35.8gを水360mlに溶解し、これにケイ酸カリウム溶液(28%)2.4mlを添加して母液を調液した(pHは約7)。特開2006−248820号の図1に示す攪拌機を備えた製造装置1の反応漕2(ステンレス製)にこの溶液を注入した。ジャケット3により反応漕2を加熱して溶液の温度を85℃とした。モーター9の回転速度を毎分800回転に設定して攪拌機8により反応溶液を攪拌した。送液漕4に4N−KOH溶液200mlを入れ毎分20mlの速度で反応漕2に添加した。送液漕5は使用しなかった。添加終了後、5時間攪拌を継続した後、常温まで冷却した。得られた白色の沈殿物をろ過、精製した。沈殿物を乾燥させて得た粒子をX線回折(XRD)法で測定したところ、Bi12SiO20のシレナイト構造の結晶が得られた。粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)観察で平均粒子径が約5μm、変動係数15%の立方体の粒子であることが確認された。ICP法で組成分析を行ったところ、Bi/Siの原子比は11.6であった(粒子A)。得られた粒子Aを300℃で4時間、500℃で2時間、650℃で2時間、850℃で1時間焼成してそれぞれ、粒子B、粒子C、粒子Dおよび粒子Eを調製した。
【0063】
(実施例12)
実施例1において、ケイ酸カリウム溶液の代わりに酸化ゲルマニウム(IV)を、また、4N−KOHの代わりに水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液をそれぞれ等モル添加して実施例1と同様に操作した。ただし、反応温度は80℃にした。得られた粒子のXRDを測定したところBi12GeO20の結晶構造が得られた。ICPで組成分析を行ったところ、Bi/Geの原子比は12.0であった。さらに、粒子のSEM観察では平均粒子径が約6μm、変動係数17%の立方体の粒子であることが確認された(粒子F)。得られた粒子Fを500℃で2時間焼成して粒子Gを調製した。
【0064】
上記実施例11および12で得られた粒子A,B,C,D,E,F,Gを用いて、上記と同様に光導電層を製造して同様の評価を行った。結果を表2に示す。なお、発生電荷量、暗電流は比較例1の測定値を1とした相対比で示した。
【0065】
【表2】

【0066】
表2から明らかなように、得られたBiMO微粒子を、さらに400〜700℃で焼成した粒子C,D,Gを用いて製造した光導電層は、焼成を行わなかった粒子A,Fを用いて製造した光導電層に比べて発生電荷量が増加するとともに、格段に暗電流が抑制された。この結果から、得られたBiMO微粒子を400〜700℃で焼成することにより、有機物の除去、結晶化の促進が図られ、製造する光導電層の特性を向上させることが可能であることがわかる。なお、400℃よりも低い焼成温度で焼成した粒子Bを用いて製造した光導電層は、粒子C,Dを用いて製造した光導電層よりも暗電流の抑制効果は低減するものの、焼成を行わなかった粒子Aを用いて製造した光導電層や、本発明の製造方法によらない比較例1に比べて暗電流は低減していた。なお、粒子Eは焼成の段階で焼結が起こり光導電層を製造することができなかった。
【0067】
以上のように、本発明の製造方法によれば、アミノ化合物存在下で反応を行うことによって、水に可溶なビスマス塩の高濃度溶液を調製することができるので、従来の液相法に比べて格段に粒子サイズ、形状、組成が安定した微粒子を大量に簡易に得ることが可能である。そして、本発明の製造方法で得られたBi12MO20(MはSiまたはGe)の結晶構造を有する微粒子を、放射線撮像パネルを構成する光導電層に用いると、上記したように粒子サイズ、形状、組成が安定した微粒子により構成されるので、発生電荷の捕集効果が高く、電気ノイズを小さくすることができるため、画像の粒状性を改善することが可能となり、感度の高い光導電層とすることができる。また、得られたBiMO微粒子を所定の温度で焼成することにより、有機物の除去、結晶化の促進が図られ、暗電流がより小さく、感度の高い光導電層を製造することが可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物またはスズ化合物から選ばれる少なくとも1種と、ビスマス化合物とを、アミノ化合物存在下、アルカリ水溶液中で攪拌混合して反応させることを特徴とするBiMO微粒子(ただし、MはSi、Ge、TiまたはSn)の製造方法。
【請求項2】
前記アミノ化合物が水溶性の脂肪族アミノ化合物であることを特徴とする請求項1記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記脂肪族アミノ化合物がアルカノールアミンであることを特徴とする請求項2記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記アルカリ水溶液中に、さらに多価の有機酸またはその塩を含有することを特徴とする請求項1、2または3記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記ビスマス化合物が、多価の有機酸ビスマス化合物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記ケイ素化合物が、アルカリ金属または四級アンモニウムのケイ酸塩、もしくはテトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記ゲルマニウム化合物が、酸化ゲルマニウム(IV)またはゲルマニウム(IV)テトラアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記チタニウム化合物が、塩化チタン(IV)またはチタニウム(IV)テトラアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記スズ化合物が、塩化スズ(IV)またはスズ(IV)テトラアルコキシドであることを特徴とする請求項1〜8いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記アルカリ水溶液が、アルカリ金属の水酸化物、NR4OH(Rは炭素数1〜4のアルキル基)、アミジン、グアニジンからなる群より選ばれる少なくとも1つの水溶液であることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項11】
反応温度が、40℃以上であって前記アルカリ水溶液の沸点以下であることを特徴とする請求項1〜10いずれか1項記載のBiMO微粒子の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜11いずれか1項記載の製造方法で製造したBiMO微粒子を、さらに400〜700℃で焼成することを特徴とするBiMO微粒子の製造方法。
【請求項13】
放射線画像情報を静電潜像として記録する放射線撮像パネルを構成する光導電層であって、該光導電層が請求項1〜12いずれか1項記載の製造方法によって得られたBiMO微粒子を用いて製造されたものであることを特徴とする光導電層。

【図1】
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【公開番号】特開2010−150118(P2010−150118A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58423(P2009−58423)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【復代理人】
【識別番号】100111040
【弁理士】
【氏名又は名称】渋谷 淑子
【Fターム(参考)】