説明

C型肝炎ウイルスの検出及び定量方法

【課題】生体サンプルにおけるC型肝炎ウイルス(HCV)の検出及び定量方法及び試薬と、前記方法を実施するためのキットを提供する。
【解決手段】HCVゲノム核酸を含む疑いのある試験サンプルに、HCV核酸配列を含む既知量の内部対照オリゴヌクレオチドと;内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンに特異的な第1の標識プローブと;HCVゲノム核酸のアンプリコンに特異的な第2の標識プローブを添加し、これを競合的に同時増幅し、プローブとアプリコンにハイブリッドを形成し、ハイブリッドを検出することによりC型肝炎ウイルスを定量する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体サンプルにおけるC型肝炎ウイルス(HCV)の検出及び定量方法及び試薬と、前記方法を実施するためのキットに関する。
【0002】
本明細書に引用する文献については、明細書の末尾に参考文献の項目で包括目録を添付する。本明細書に引用する全文献は参考資料として本明細書に組込む。
【背景技術】
【0003】
C型肝炎ウイルス(HCV)は約9,400ヌクレオチドのゲノムを含む1本鎖RNAウイルスである。Clark(1997)参照。HCVは輸血後非A、非B肝炎の主要な病因物質として世界中で同定されている。Rosen & Gretch(1999)参照。HCV感染個体の約85%が慢性肝炎を発症し、慢性感染個体の約20%が肝硬変を発症している。Rosen & Gretch(1999)。肝硬変患者における肝細胞癌の発生率は年間約1%〜4%である。Consensus Statement(1999)参照。
【0004】
抗HCV抗体の検出用血清試験が開発されている。Clark(1997)参照。しかし、終息した感染を活動中の感染から区別することができないので、抗HCVの存在がHCVウイルス血症の直接指標となる訳ではない。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)活性が活動中のHCV感染の代用指標として使用されているが、ALT活性もHCVウイルス血症の直接指標にはならない。例えば、米国特許第5,279,944号参照。
【0005】
HCV RNAの検出及び定量用核酸試験はHCVウイルス血症の直接指標となるので、血液安全性を改善し、治療中の患者をモニターするために益々重要になっている。HCVの定性試験は輸血後HCV感染症例数を低下させるのに役立っている。これらの定性試験の典型例はNational Genetics Institute(Los Angeles,California)の製品であるUltraQual(登録商標)HCV−RT−PCRアッセイである。この試験はヒト血漿プールにおけるHCVの存在の定性試験として米国食品医薬品局により認可されている。1996年6月18日発行米国特許第5,527,669号も参照。
【0006】
同様に、HCV RNAの定量試験もインターフェロン単独療法及びインターフェロン/リバビリン併用療法等の治療に対する抗ウイルス応答の効力を把握するのに役立っている。McHutchisonら(1998)及びDavisら(1998)参照。抗ウイルス剤の投与前、投与中及び投与後にHCVウイルス負荷試験が実施されている。投与前の基線測定時における低レベルのウイルス血症がインターフェロン療法に対する高応答に有意に相関したことから、このような療法に対する個々の患者の応答を予測するためにHCVウイルス負荷が使用された。Izopetら(1998);Kakumuら(1997);及びToyodaら(1996)参照。HCVウイルス負荷試験により治療をモニターすると、医師は治療に応答する患者と応答しない患者を区別することができ、治療期間を決定し、個々の患者に治療を調整することができる。Izopetら(1998);Kakumuら(1997);Yamakawaら(1998);及びTongら(1997)参照。治療の終了後にHCV RNAレベルを使用して再発を予測し、長期応答者を確認している。Pawlotskyら(1996)及びChemelloら(1996)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,279,944号
【特許文献2】米国特許第5,527,669号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Clarke(1997)、J.Gen.Virol.78:2397−2410
【非特許文献2】Rosen & Gretch(1999)、Mol.Med.Today 5:393−99
【非特許文献3】Consensus Statement(1999)、patol.30:956−61
【非特許文献4】McHutchison,Gordon, & Stuart,et al.(1998)、Engl.J.Med.339:1485−92
【非特許文献5】Davis,Esteban Mur, & Rustgi,et al.(1998)、N.Eng.J.Med.339:1493−99
【非特許文献6】Izopet,Payen, & Alric,et al.(1998)、J.Med.Virol.54:86−91
【非特許文献7】Kakumu,Toshiyuki, & Okumura,et al.(1997)、J.Gastroenterol.Hepatol.12:468−72
【非特許文献8】Toyoda,Nakano, & Kumada,et al.(1996)、J.Med.Virol.48:354−59
【非特許文献9】Yamakawa,Sata, & Suzuki(1998)、Hepato−Gastroenterol.45:133−36
【非特許文献10】Tong,Blatt, & McHutchison,et al.(1997)、Hepatol.26:1640−45
【非特許文献11】Pawlotsky,Roudot−Thoraval, & Bastie A,et al.(1996)、J.Infect.Dis.174:1−7
【非特許文献12】Chemello,Cavaletto, & Casarin,et al.(1996)、Ann.Intern.Med.124:1058−60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は生体サンプルにおけるC型肝炎ウイルス(HCV)の改善定量方法、試薬及びキットを提供する。本方法は適切な任意核酸増幅法、好ましくは逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)と得られたアンプリコンの示差標識及び捕獲を併用して生体サンプル中のHCV RNAの量を定量的に測定する。本方法はサンプル中にHCV RNAが存在する場合にこれと同時増幅される内部対照HCV RNA転写産物を使用する。内部対照とサンプル中に存在するHCV RNAは競合的に同時増幅される。従って、内部対照の増幅量とHCV RNAの増幅量を比較することにより、試験サンプル中に存在するHCV RNAの量を正確且つ精密に計算することができる。また、本方法は内部対照に基づいて校正するので、校正曲線を予め作成し、アッセイキットに同梱することができるため、使用者が実施しなければならない校正実験数を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
好適方法は一般に次のように実施される。まず当分野で現在公知であるか又は将来開発される任意手段により生体検体からRNAを抽出する。好適態様では、市販キット「QI amp(登録商標)ウイルス核酸抽出キット(Viral Nucleic Acid Extraction Kit)」(Qiagen GmbH,Hilden,ドイツ)を使用してRNAを抽出する。“QI amp7Viral RNA Mini Kit Handbook”,January 1999参照。好ましくはプロテイナーゼKの存在下にイソチオシアン酸グアニジニウム(GuSCN)等のカオトロープでビリオンを溶解させ、ウイルスRNAを放出させると同時にサンプル中に存在している可能性のあるRNアーゼによる分解から保護する。
【0011】
カオトロープをサンプルに添加すると同時に、既知量の内部対照HCV RNA転写産物もサンプルに添加する。内部対照は内部対照の示差検出を可能にする修飾プローブ結合領域以外はHCV RNAと同一配列である。内部対照は(ユニークなプローブ結合領域以外は)HCV RNAと同一であるので、内部対照は野生型HCV RNAと同一のプライマー結合部位をもつ。
【0012】
次に、現在公知であるか又は将来開発される適切な手段により(例えばエタノールを添加することにより)RNA(即ちサンプル中に存在する場合にはHCV RNAと内部対照の両者)を沈殿させることが好ましい。次にRNAをシリカメンブレン等のメンブレンに接着させる。接着したRNAを次に洗浄して非RNA成分を除去する。例えば、メンブレンに接着したRNAを高濃度塩洗浄液で洗浄後に低濃度塩洗浄液で洗浄し、非RNA汚染物質をメンブレンから除去することができる。次にRNAをメンブレンから溶出させる。本方法では、内部対照核酸をサンプル中に存在するHCV核酸と同時抽出する点に注目すべきである。要約すると、内部対照を方法全体に介在させ、HCV RNAと厳密に同一操作を行う。このため、本方法により得られる結果の精度が増す。
【0013】
単離したRNA(HCV RNAと内部対照)を次に好ましくは本明細書に記載する新規プライマーを使用して慣用RT−PCRプロトコールにより同時増幅する。RT−PCRで使用する慣用増幅試薬に加え、HCVアンプリコンに特異的な第1のプローブと内部対照アンプリコンに特異的な第2のプローブの2種の別個の標識オリゴヌクレオチドプローブ(プライマーではない)も反応に加える。第2のプローブは内部対照上のユニークなプローブ結合領域を介して内部対照アンプリコンと結合する。従って、まず逆転写酵素(好ましくはrTth)の作用によりRNAをRNA−DNAヘテロデュプレクスに変換する(即ちcDNA鎖を生産する)。次にcDNAを慣用PCRにより増幅し、2本鎖DNAアンプリコンを得る。cDNAを生産する逆転写反応は後続増幅反応で使用するポリメラーゼとは異なる転写酵素を使用して触媒してもよい。しかし、好適態様では、組換え熱安定性DNAポリメラーゼrTth(Thermus thermophilusから単離)を使用する。この酵素は逆転写反応と後続増幅反応の両者を触媒することができる。
【0014】
内部対照とプライマーの濃度は2種のターゲット配列(サンプル中に存在するHCV RNAと内部対照)がプライマーを競合するように最適化させる。従って、この競合は試験サンプル中に存在するHCV RNAの量を測定する基礎である。サンプル中のHCV RNAの濃度が高いほどHCV RNAアンプリコンを生産するのに多量のプライマーが使用される。同時に、これに対応して内部対照から生産されるアンプリコンの数は減少する。従って、患者に由来するアンプリコンと内部対照アンプリコンの比から患者に由来するHCVと内部対照の初期比を決定することができる。従って、本発明は特に患者に由来するサンプル等のサンプル中のHCV核酸の量の定量方法を提供する。
【0015】
上述のように、RT−PCRで使用される慣用増幅試薬に加え、HCVアンプリコンに特異的な第1のプローブと内部対照アンプリコンに特異的な第2のプローブの2種のオリゴヌクレオチドプローブも反応に添加する。これらのプローブは相互に検出及び区別できるように示差的に標識する。最終加熱冷却段階によりこれらのプローブを夫々のアンプリコンにハイブリダイズさせる。次に(当分野で現在公知であるか又は将来開発される任意手段により)プローブを検出し、夫々のプローブ上の夫々のラベルにより発生されたシグナルに基づいてHCV RNAアンプリコンと内部対照アンプリコンの量を計算する。詳細な説明の欄に詳細に記載するように、好適態様では、Abbott Laboratories製品である「LCx」(登録商標)自動分析器を使用して微粒子酵素免疫測定法(MEIA)フォーマットでプローブ−アンプリコンデュプレクスを検出する。
【0016】
本発明の好適態様では、HCV RNAと内部対照の両者を増幅するために使用するプライマーの一方又は両方に捕獲部分、好ましくはカルバゾールに由来するハプテンを含むように修飾する。本発明で使用するのに適した数種のカルバゾール及びジベンゾフランハプテンを記載した米国特許第5,464,746号参照。好適態様では、リバースプライマーのみに捕獲部分を加えるように修飾する。
【0017】
第1及び第2のオリゴヌクレオチドプローブ(即ち夫々HCV RNAアンプリコンと内部対照アンプリコンにハイブリダイズするように設計されたプローブ)を相互に区別できるようにする別個のラベルで標識する。好適態様では、プローブの一方をアダマンタンで標識し、他方のプローブをダンシルで標識する。(これらはラベルの例に過ぎない。本発明で使用することができる適切なラベルのより詳細なリストについては「略語と定義」の欄を参照されたい)。
【0018】
RT−PCRと最終加熱冷却段階で第1及び第2のプローブを夫々のアンプリコンにハイブリダイズさせた後、アンプリコン中に存在する捕獲部分を認識する捕獲試薬(例えば抗体)で被覆した微粒子と増幅産物のアリコートを接触させる。例えば、リバースプライマー上の捕獲部分がカルバゾールである場合には、プライマー上のカルバゾール部分を特異的に認識してこれと結合する抗カルバゾール捕獲試薬(好ましくは抗カルバゾール抗体)で微粒子を被覆する。こうして、微粒子は増幅産物と遊離リバースプライマーに存在する捕獲部分を認識し、これと結合する。こうして、アンプリコン(及び未反応プライマー)は微粒子に固相化し、(第1又は第2のプローブを含むものとハイブリダイズしたアンプリコンのみに存在する)ラベルは自由に反応する。
【0019】
好適態様では、次に「LCx」(登録商標)分析器を使用して微粒子をグラスファイバーマトリックスに接着させる(不可逆的が好ましいが、不可逆的結合が不要な場合もある)。結合した微粒子を次に第1及び第2のプローブ上の異なるラベルを検出するのに適した試薬と共にインキュベートする。これはサンドイッチ型イムノアッセイにより実施することが好ましい。例えば、HCV RNAプローブをアダマンタンで標識し、内部対照プローブをダンシルで標識する場合には、(例えば)抗アダマンタン抗体/アルカリホスファターゼコンジュゲートと抗ダンシル抗体/β−ガラクトシダーゼコンジュゲートを含む反応混合物と共に微粒子複合体をインキュベートする。アルカリホスファターゼコンジュゲートは(HCV RNAアンプリコン上の)アダマンタンで標識したプローブと特異的に結合し、β−ガラクトシダーゼコンジュゲートは(内部対照上の)ダンシルで標識したプローブと特異的に結合する。アルカリホスファターゼ基質MUPを反応に添加するとMUPが開裂し、蛍光シグナルが発生するので、測定及び保存する。シグナルの測定後、グラスファイバーマトリックスを洗浄し、β−ガラクトシダーゼ基質AUGを添加する。β−ガラクトシダーゼコンジュゲートはAUGを開裂し、第1の蛍光シグナルとは異なる第2の蛍光シグナルを発生する。この第2のシグナルも測定及び保存する。各シグナルの量はRT−PCRプロトコール中にHCV RNAと内部対照から競合的に生産されるアンプリコンの夫々の量に比例する。次に、試験サンプルから発生されたシグナルを標準校正曲線と比較することによりサンプル中に存在するHCV RNAの量を決定することができる。校正曲線は本方法を使用して一連の校正サンプルを分析し、2種のラベルにより発生されるシグナル出力の関数としてHCV濃度を表す曲線を作成することにより作成される。一連のサンプル内の各校正サンプルは固定既知量の内部対照を含む。適切な任意量の内部対照を使用することができる。例えば、校正サンプル当たり1000、500、又は場合により50コピー程度の少数の内部対照を多数の態様で使用することができる。同様に、校正サンプル当たり3,000、10,000、又は場合により30,000コピーといった多数の内部対照も使用できる。従って、サンプルは各試験に含まれる患者又はサンプルに由来するHCV RNAの量が異なる。方法のダイナミック検出レンジ全体をカバーするように十分なサンプルを試験する。例えば、比:{HCV RNAアンプリコンのカウント率(即ちカウント/秒/秒(「c/s/s」))と内部対照アンプリコンのカウント率(c/s/s)の比}の対数を求め、実験値を校正曲線上の対応値と比較することによりウイルスRNAのコピー数を計算することができる。こうして、試験サンプルからのシグナル出力を試験サンプル中に存在するHCVの濃度値に変換する。
【0020】
まとめると、本発明の最適方法は、HCVゲノム核酸を含む疑いのある試験サンプルに、(i)HCV核酸の転写産物を含む既知量の内部対照と;(ii)内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンに特異的な第2の標識プローブと;(iii)HCVゲノム核酸のアンプリコンに特異的な第1の標識プローブを添加する段階を含む。次に、フォワードプライマーとリバースプライマーを使用して内部対照転写産物とHCVゲノム核酸が試験サンプル中に存在する場合にはこれを競合的に同時増幅することにより、内部対照転写産物のアンプリコンとHCVゲノム核酸が試験サンプル中に存在する場合にはそのアンプリコンを生産する。次に、第1の標識プローブを内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンにハイブリダイズさせると共に第2の標識プローブをHCVゲノム核酸のアンプリコンにハイブリダイズさせる条件下で試験サンプルをインキュベートすることにより、ハイブリッドを形成する。次に、第1の標識プローブと内部対照転写産物のアンプリコンの間で形成されたハイブリッドと、第2の標識プローブとHCVゲノム核酸のアンプリコンの間で形成されたハイブリッドを検出する。これらの結果を校正曲線と比較すると、試験サンプル中に存在するHCVゲノム核酸の量を定量することができる。
【0021】
本発明はHCV負荷を測定する現行手段に勝る多数の利点がある。例えば、現在市販されているHCVアッセイはダイナミックレンジと感度に制限がある。これに対して、本発明は遺伝子型に依存せず、10〜10以上のダイナミックレンジにわたってHCV RNAレベルを測定することが可能なHCV RNAの検出定量法に関する。本方法は100コピー/ml未満までのHCVレベルを正確に測定することができる。
【0022】
上記利点は本明細書に記載するユニークなRT−PCRプライマーによる所が大きい。これらのプライマーは従来技術のプライマーに比較してHCV RNAに対する特異性と親和性が非常に高い。本明細書に開示するこれらのプライマーはHCV遺伝子型1〜6の全てを遺伝子型による変動なしにより安定的に定量する。
【0023】
本方法は更にフォワードRT−PCRプライマーの親和性と特異性が高いため、高濃度の競合内部対照を利用できる。即ち、サンプル容量に応じて、本方法は反応当たり約10,000コピーの内部対照を利用する場合であっても、約200コピー/mlのHCV RNAを含むサンプルを高い信頼性で検出する。各反応は比較的高濃度のターゲット配列を含む(即ち、HCV RNAを含まないサンプルでも好適態様では約10,000コピーの内部対照を含む)ので、増幅と検出がより安定し、従って、最終結果は他のHCV検出フォーマットよりも高精度になる。
【0024】
本発明の方法は、逆転写、増幅及びオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション反応が単一反応容器で実施されるという利点もある。反応容器を手で開く必要なしに検出を自動的に実施することができる。ターゲット配列と産物配列の操作が1段階添加まで減るので、試験サンプルの汚染の可能性が最小限になる。
【0025】
更に、後述するように、本方法はプライマーの特異性と内部対照配列の添加により予め校正することができる。従って、個々の任意試験から発生されるシグナルを予め作成した校正曲線に比較評価し、HCV負荷値を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
略語と定義
「増幅試薬」とは選択したPCR又はRT−PCR増幅法を実施するために使用される各種緩衝液、酵素、プライマー、デオキシヌクレオシド三リン酸、及びオリゴヌクレオチドの総称である。
【0027】
「増幅する」又は「増幅」とは特定オリゴヌクレオチドプローブ又はプライマーを使用する適切な任意核酸増幅法を意味する。当分野で公知の適切な技術としては、NASBA、転写介在増幅法(TMA)、オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA)、リガーゼ連鎖反応(LCR)等が挙げられる。但し、これらの用語は特定ターゲット配列を増幅するように設計されたPCRの結果としてのターゲット配列の任意の本質的に量的及び対数的な増加を意味することが好ましい。
【0028】
「アンプリコン」とは増幅産物を意味する。
【0029】
「アニール」とはオリゴヌクレオチドとターゲット配列の相補的ハイブリダイゼーションを意味し、逆転写酵素もしくはDNAポリメラーゼに所望のプライミングを達成するため又はハイブリダイゼーションシグナルを検出するためにハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを下げることにより導入される可能性がある多少のミスマッチも含む。
【0030】
「AUG」とは基質7−β−ガラクトピラノシルオキシ−クマリン−4−酢酸−(2−ヒドロキシエチルアミド)を意味する。この基質はβ−ガラクトシダーゼコンジュゲートにより開裂され、蛍光シグナルを発生する。
【0031】
「捕獲試薬/捕獲部分」とは相互に特異的に認識し、結合する化合物又は部分の任意組み合わせを意味する。本発明の範囲に含まれる捕獲試薬/捕獲部分組み合わせの典型例としてはハプテンとハプテンに特異的反応性の抗体(例えばカルバゾールと抗カルバゾール抗体)が挙げられる。例えば、ビオチンとアビジンや、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼ等の周知捕獲反応も明白に該当する。本明細書で使用する「ハプテン」なる用語は抗体と結合することができるが、キャリヤー蛋白質と結合しない限り、抗体形成を誘導することができない部分抗原又は非蛋白質結合メンバーを意味する。ハプテンの例としてはビオチン、アビジン、アダマンタン及びカルバゾールが挙げられる。
【0032】
「ラベル」とは検出可能な性質又は特性をもつ分子又は部分を意味する。ラベルは例えば放射性同位体、蛍光物質、化学発光物質、酵素、コロイド粒子、蛍光微粒子等のように直接検出可能なものでもよいし、例えば特異的結合メンバーのように間接検出可能なものでもよい。上記例は明白に「ラベル」の定義に含まれる。当然のことながら、直接検出可能なラベルがラベルを検出できるようにするために例えば基質、トリガー試薬、光等の付加成分を必要とする場合もある。間接検出可能なラベルを使用する場合には、「コンジュゲート」と併用するのが一般的である。コンジュゲートは一般に直接検出可能なラベルに付着又は結合されている特異的結合メンバーである。コンジュゲートを合成するためのカップリング化学は当分野で周知であり、例えば特異的結合メンバーの特異的結合性又はラベルの検出能を損なわない任意化学的手段及び/又は物理的手段が挙げられる。本明細書で使用する「特異的結合メンバー」とは結合対、即ち一方の分子が例えば化学的又は物理的手段により他方の分子と特異的に結合する2個の異なる分子のメンバーを意味する。抗原と抗体に特異的な結合対以外に他の特異的結合対としては限定されないが、アビジンとビオチン、ハプテンとハプテンに特異的な抗体、相補的ヌクレオチド配列、酵素補因子又は基質と酵素等が挙げられる。
【0033】
ハプテンをオリゴヌクレオチドプローブに添加する方法は多数のものが文献から公知である。このようなコンジュゲートに関する文献としてはGoodchild(1990)が挙げられる。米国特許第5,464,746号;5,424,414号;及び4,948,882号に記載されているようにラベル、ハプテン等をオリゴヌクレオチドに添加することもできる。
【0034】
「MEIA」とは微粒子酵素免疫測定法を意味する。例えば、Fioreら(1988)、米国特許第5,358,691号(MEIAプロトコールを実施するための自動装置について記載)及び5,507,410号(自動MEIA装置用カートリッジフィーダーについて記載)参照。MEIAフォーマットでは、不活性微粒子(通常はラテックスビーズ)を所与分析物(この場合にはRT−PCR反応からのプローブ標識アンプリコン)に特異的な捕獲抗体と共有結合する。所与分析物を含む疑いのあるサンプルと接触させた後に、微粒子を次に例えばアルカリホスファターゼ−抗体コンジュゲート又はβ−ガラクトシダーゼ−抗体コンジュゲートと接触させる。未吸着材料を各段階で毛管作用と緩衝液洗浄により除去する。未結合コンジュゲートの除去後に、酵素基質(例えばMUP及び/又はAUG)を順次添加し、基質添加後毎に蛍光増加率を測定する。本発明では、MEIAフォーマットが好ましい。MEIAはAbbott Laboratories製品である「LCx」(登録商標)分析器(Abbott Laboratories,Abbott Park,Illinois)等の自動装置を使用して実施することが好ましい。自動装置を使用すると、手動操作による試験サンプルの汚染の可能性が少なくなる。固相微粒子は磁性でも非磁性でもよい。例えば、公開EPO出願第EP 0 425 633号及びEP 0 424 634号参照。
【0035】
「MUP」とは基質4−メチルウンベリフェリルリン酸を意味する。この基質はアルカリホスファターゼコンジュゲートにより開裂され、蛍光シグナルを発生する。
【0036】
「核酸」とは1本鎖又は2本鎖形のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを意味し、特に限定しない限り、天然ヌクレオチドと同一又は同様に機能することができる天然ヌクレオチドの公知類似体も含む。
【0037】
「オリゴヌクレオチド」とは、プライマー、プローブ、検出すべき核酸フラグメント、及び核酸対照等の2個以上のデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドから構成される分子を意味する。オリゴヌクレオチドの厳密なサイズは多数の因子とオリゴヌクレオチドの最終機能又は用途によって異なる。オリゴヌクレオチドは当分野で現在公知又は将来開発される適切な任意方法により作製することができ、例えば周知慣用ヌクレオチドホスホロアミダイト化学や、Applied Biosystems,Inc,(Foster City,California);DuPont,(Wilmington,Delaware);又はMilligen,(Bedford,Massachusetts)から市販されている装置の使用が挙げられる。
【0038】
「PCR」とはポリメラーゼ連鎖反応を意味する。
【0039】
「プライマー」とは核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成を誘導する条件下、即ち適当な緩衝液中で適切な温度にて4種の異なるヌクレオシド三リン酸と重合剤(即ちDNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在下にDNA合成の開始点として作用することが可能な天然又は合成オリゴヌクレオチドを意味する。プライマーは1本鎖オリゴデオキシリボヌクレオチドが好ましい。プライマーの適切な長さはプライマーの所期用途によって異なるが、一般に15〜30ヌクレオチドであり、8ヌクレオチド程度でもよいし、50又は100ヌクレオチドでもよい。短いプライマー分子は一般に鋳型と共に十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために低温が必要である。プライマーは鋳型の厳密な配列を示す必要はないが、鋳型とハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。
【0040】
「プローブ」とは配列特異的なストリンジェント条件下で指定ターゲット配列とハイブリダイズすることが可能な天然又は合成オリゴヌクレオチドを意味する。プローブは鋳型の厳密な配列を示す必要はないが、鋳型とハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。プローブの適切な長さはプローブの所期用途によって異なり、8ヌクレオチド程度でもよいし、50又は100ヌクレオチドでもよいが、一般には15〜30ヌクレオチドである。
【0041】
「RT−PCR」とは逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応を意味する。
【0042】
「逆転写酵素」とはリボ核酸鋳型に相補的なプライマー伸長産物を形成するためにデオキシリボヌクレオシド三リン酸の重合を触媒する酵素を意味する。この酵素はRNA鋳型にアニールされるプライマーの3’末端で合成を開始し、合成が終了するまでRNA鋳型の5’末端に向かって進行する。RNAターゲット配列を相補的DNA(cDNA)配列に変換する適切な重合剤の例はトリ骨髄芽球症ウイルス逆転写酵素、Thermococcus litoralis(Tli)DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素活性をもつ熱安定性DNAポリメラーゼであるThermus thermophilus DNAポリメラーゼ(好適例)である。組換えThermus thermophilus DNAポリメラーゼ(rTth)はApplied Biosystems(カタログ番号N808−0098,Foster City,California)から市販されている。
【0043】
「ストリンジェント条件」とは配列依存的ハイブリダイゼーション及び/又は増幅条件を意味し、状況によって異なる。一般に、ストリンジェント条件は規定イオン強度及びpHで特定配列の熱融点(Tm)よりも約5℃低温に選択される。Tmは(規定イオン強度及びpH下で)ターゲット配列の50%が完全一致プローブとハイブリダイズする温度である。一般に、PCR増幅のストリンジェント条件は緩衝液が50mM KCl,10mM TrisCl,及び1.5mMmgClを含有するような条件である。このような緩衝液は室温でpH約8.3であるが、pHは72℃で約7.2まで低下する。例えば、Sambrookら(1989),Chapter 14参照。
【0044】
「ターゲット配列」又は「ターゲット領域」とは同義語であり、検出及び/又は増幅されるか、あるいは本明細書に記載するプライマー又はプローブの1種とストリンジェント条件下でアニールする核酸配列(1本鎖又は2本鎖)を意味する。ターゲット配列は多型とすることができる。
【0045】
「試験サンプル」とはターゲット配列を含む疑いのあるものを意味する。試験サンプルは無制限任意生物源に由来するものとすることができる。試験サンプルは(i)資源から得られたまま直接使用してもよいし;(ii)試験サンプルの特性を改変するように前処理後に使用してもよい。即ち、試験サンプルは使用前に例えば細胞及び/又はビリオンの破砕、固体試験サンプルから液体の調製、粘性液体の希釈、液体濾過、液体蒸留、液体濃縮、妨害成分の不活化、試薬添加、核酸精製等により前処理することができる。
【0046】
「熱安定性ポリメラーゼ」とは熱に比較的安定であり、ターゲット配列の核酸鎖の1つと相補的なプライマー伸長産物を形成するためにヌクレオシド三リン酸の重合を触媒する酵素を意味する。この酵素は鋳型にアニールされるプライマーの3’末端で合成を開始し、合成が終了するまで鋳型の5’末端に向かって進行する。精製熱安定性ポリメラーゼ酵素は米国特許第4,889,818号及び5,079,352号により詳細に記載されている。この用語は逆転写酵素活性をもつポリメラーゼも含む。Applied BiosystemsやPromega Corporation,Madison,Wisconsin等の製造業者から多数の熱安定性ポリメラーゼが市販されている。
【0047】
「転写産物」とはRNAポリメラーゼ、一般にDNA依存性RNAポリメラーゼの産物を意味する。
【0048】
説明:
一般に、ゲノムRNAからcDNAを作製し、cDNAをポリメラーゼ連鎖反応により増幅し、同時又は後続段階として配列特異的オリゴヌクレオチドでHCV cDNAアンプリコンの存在をプローブすることにより、(限定しないが)血清又は血漿等の生体サンプル中のHCVゲノムRNAを検出することができる。
【0049】
更に、内部対照を使用し、サンプル中に存在するサンプル由来HCV RNAと厳密に同一の実験室操作(例えば、RNA精製、逆転写、増幅、支持体固相化等)を内部対照に実施することにより、本発明の方法は信頼性の高い結果が得られる。要約すると、内部対照とサンプル中に存在するHCV RNAの両者を同一反応容器で同時分析する。従って、サンプル調製効率の僅かな変動も容易に補償することができる。
【0050】
方法の好適態様の基本段階は発明の開示の欄に記載した通りである。以下、方法の各段階を順に説明し、各段階で使用することができる種々の好適及び代替試薬について記載する。
【0051】
検体調製:
検体調製の目的は検体を非感染性にし、検体から潜在的増幅阻害剤を除去し、ターゲットRNA分子を濃縮して増幅できるようにすることである。本発明ではこれらの目的を達成する任意手段を使用することができる。例えば、RT−PCR反応用核酸製造方法はSambrookら(1989)に記載されている。このようなRNA製造方法は当分野で周知であるので、これ以上詳細に記載しない。
【0052】
好適アプローチでは、検体を蛋白質消化によりプロセシングした後にこの目的に特別に設計された市販カラムを使用して試験サンプル中に存在する他の成分から核酸を分離することにより上記目的を達成する。好適市販製品はQiagen,GmbH製品である「QI amp」(登録商標)ウイルス核酸抽出キットである。キットの詳細とその使用方法については、1999年1月発行“QI amp7 Viral RNA Mini Kit Handbook”参照。
【0053】
要約すると、「QI amp」(登録商標)キットはシリカベースの「QI amp」(登録商標)スピンカラムの結合性を利用して変性試薬の存在下にサンプル溶解液からウイルスRNA及びDNAを単離する。特別に処方された試薬を使用して試験サンプルを溶解させてウイルス粒子を破砕し、核酸を遊離させ、RNAとDNAをヌクレアーゼ消化から保護する。試験サンプル溶解物(溶解液)を「QI amp」(登録商標)核酸結合用スピンカラムに移す。「QI amp」カラムマトリックスに結合したら、洗浄用緩衝液を使用して核酸を精製し、PCRを妨げる汚染物質を除去する。サンプル溶解液と洗浄用試薬のカラム処理には、Abbott Laboratories(Abbott Park,Illinois)製品である「LCx」(登録商標)真空システム等の真空システムを使用する。あるいは、遠心を使用して各種洗浄用試薬をカラムに流すこともできる。「LCx」(登録商標)真空システムは48個のサンプルを同時に処理することができるので好ましい。「QI amp」カラムを遠心することにより精製核酸を水で溶出させる。蛋白質、ヌクレアーゼ、及び他の汚染物質を含まない溶出液からウイルス核酸を回収する。「QI amp」カラムから溶出後に、試験サンプルからの精製核酸(HCV RNAと内部対照の両者)はそれ以上精製又は調製せずに増幅することができる。
【0054】
PCRにより増幅反応を実施する場合には、最初の変性段階後までPCR反応を開始しないことが好ましい。これを行うのに適した方法としては限定されないが、最初の変性段階で反応混合物を加熱するまで反応成分を冷温に維持する方法や、高温に暴露しないと活性化されない酵素の使用や、酵素と結合して重合を阻害する(非熱安定)抗体の存在下に反応に酵素を添加する方法が挙げられる。
【0055】
プライマー:
上述のように、本方法で使用するプライマーは15〜30ヌクレオチド長が好ましく、試験サンプル中に存在するHCV RNAと内部対照のみの逆転写と増幅を特異的に開始する必要がある。
【0056】
本発明者らは表1に記載するサブ配列(又はその相補配列)のいずれかを含むフォワードプライマーがHCVゲノムRNAに特に特異的であることを発見した。
【0057】
【表1】


表中、NはA、C、T、又はGとすることができる。
【0058】
これらのサブ配列のうちで、好適フォワードプライマーは配列番号1、配列番号22、配列番号30、及び配列番号35に示すようなサブ配列(又はその相補配列)を含むものである。
【0059】
リバースプライマーの種類はフォワードプライマーほど本発明の実施に重要ではない。即ち、一般に、本発明はHCVRNと内部対照を特異的に増幅するためにフォワードプライマーと共働する任意リバースプライマーを使用して実施され、許容可能な結果が得られる。但し、選択したフォワードプライマーとリバースプライマーの組み合わせにより少なくとも20ヌクレオチド長で好ましくは250ヌクレオチド長未満の増幅産物が得られることが好ましい。
【0060】
本発明のPCR態様で使用するのに好適なリバースプライマーは、
配列番号44:CGAGACCTCC CGGGGCACTC GC、及び
配列番号45:ATGTGCACGG TCTACGAGAC CTCCである。
【0061】
フォワードプライマーは(限定しないが)カルバゾール等の捕獲試薬をその5’末端に含むように修飾したリバースプライマーで標識しないことが好ましい。
【0062】
内部対照核酸:
内部対照は、好ましくはHCVゲノムの5’非翻訳領域(utr)に由来するHCVゲノム核酸の転写産物である。内部対照は内部対照のアンプリコンに特異的なプローブと配列が相補的なユニークプローブ結合領域を含むように修飾する。他方、他の全点において、内部対照はHCVゲノムの一部と配列が一致する。従って、内部対照はHCVゲノム核酸自体の内側の対応する位置と同一のプライマー結合部位をもつ。
【0063】
内部対照とHCV RNAは同時逆転写され、同時増幅されるので、本発明では逆転写及び増幅反応の効率の有害な変動を補償することができる。従って、内部対照は逆転写及び増幅中にHCV RNAと厳密に同一条件下におかれる。
【0064】
本方法は内部対照のアンプリコンに特異的にハイブリダイズする第2のプローブと、HCVゲノムRNAのアンプリコンに特異的にハイブリダイズする第1のプローブの2種の別個のオリゴヌクレオチドプローブを使用する。どちらのプローブもアダマンタンやダンシル等の検出可能なラベル(即ちハプテン)を含むように修飾される。プローブはアッセイの検出段階で相互に区別できるように異なるハプテンで標識する必要がある。
【0065】
HCV RNAアンプリコンの好適プローブは、
配列番号46:GCC TTG TGG TAC TGC CTGである。
【0066】
ラベルと捕獲試薬(ハプテン):
上述のように、本発明で使用する2種のプローブは相互に検出及び区別できるように示差的に標識する。ラベルの検出は直接又は間接手段により実施することができる。ラベルがプローブと夫々のアンプリコンのハイブリダイゼーションを妨げず、アッセイの他の成分に有害でない限り、ラベルの厳密な種類は本発明の総合機能性に重要ではない。本発明で使用するのに最も好適な2種の示差検出可能なラベルはアダマンタン由来ラベル(本明細書では単に「アダマンタン」と総称する)とダンシルである。好適アダマンタンラベルは米国特許第5,424,414号に記載されている。
【0067】
このようなラベルをオリゴヌクレオチドに付着することは当分野で公知である。適切な標識法については、例えば、米国特許第5,464,746号;5,424,414号;及び4,948,882号参照。
【0068】
所定の好適捕獲試薬は米国特許第5,464,746号に記載されている。
【0069】
増幅:
RT−PCR増幅は好ましくは上記標識プライマーを使用して常法通りに実施される。
【0070】
内部対照とサンプル中に存在するゲノムHCV RNA内の増幅ターゲット配列はHCVゲノムの5’utr領域内にある。この領域はHCVに特異的であり、全公知HCV遺伝子型で高度に保存されている。好適プライマーは各種HCV遺伝子型間のミスマッチが最少になるように5’utr内のターゲット領域とハイブリダイズするように設計される。この結果、遺伝子型変動が最少になり、本方法により全公知HCV遺伝子を正確に検出及び定量することが可能になる。本明細書に記載するように、リバースプライマーは部分で標識し、HCV特異的プローブは第1のラベルで標識し、内部対照特異的プローブは第2のラベルで標識することが好ましい。
【0071】
逆転写反応は増幅反応と別個に実施してもよい。しかし、熱安定性rTth等の逆転写酵素活性を含むポリメラーゼを使用して2反応を単一プロトコールとして実施することが好ましい。
【0072】
従って、好適態様では、熱安定性ポリメラーゼは二重酵素機能をもち、逆転写酵素とDNA依存性DNAポリメラーゼの両者として機能する。長期インキュベーション期間中に逆転写酵素活性はRNAターゲット(HCV RNAと内部対照)とハイブリダイズしたリバースプライマーからcDNA伸長産物を生産する。このcDNA産物はその後、PCR増幅中に鋳型として直接作用する。第2のプライマーはcDNA産物の領域に相補的であり、DNA産物からのPCR伸長のプライマーとして作用する。
【0073】
熱サイクル中に、ハイブリダイズした産物の融点よりも反応温度を上げると鎖は解離する。温度を下げると、過剰のプライマーは解離した鎖とアニールし、新規産物を生産する。高温と低温の反復サイクルにより産物の指数的増幅が達成される。45熱サイクルでターゲット配列を10倍以上に増幅するのに十分である。両者ターゲット(存在する場合にはHCVと内部対照)の増幅は同一反応で同時に実施される。
【0074】
高温変性と低温インキュベーションを含む付加サイクルにより、HCV特異的プローブと内部対照特異的検出プローブを夫々のアンプリコンにアニールすることができる。
【0075】
増幅試薬の適切な混合物は以下の成分を指定濃度で含む:50mM bicine,115mM K,150μM dNTP,125nM捕獲部分修飾リバースプライマー,50nMフォワードプライマー,内部対照(〜10,000コピー/RT−PCR),50nM標識HCV核酸特異的プローブ,50nM標識内部対照核酸特異的プローブ,rTthポリメラーゼ2.5単位,アセチル化BSA0.01mg/ml,0.02%アジ化ナトリウム,8%グリセロール,0.5mM MnCl,0.225%アジ化ナトリウム,及び0.005%キシレノールオレンジ色素,pH8.25に場合により0.3125% Tween−20を添加。
【0076】
逆転写反応と増幅反応の両者を実施するための典型的熱サイクル条件セットは以下の通りである:
cDNA合成:94℃,1分;62℃,30分;94℃,2分;1サイクル。
増幅:94℃,1分;62℃,1分;45サイクル。
プローブハイブリダイゼーション:97℃,5分;15℃,5分;1サイクル。
【0077】
使用する熱サイクル装置がより完全にプログラム可能である場合には、次の条件が好ましい:
cDNA合成:94℃,1分;62℃,30分;94℃,2分;1サイクル。
増幅:94℃,15秒;58℃,20秒;サイクル毎に1秒の伸長を挟んで5サイクル;次いで94℃,15秒;62℃,25秒;サイクル毎に1秒の伸長を挟んで40サイクル。
プローブハイブリダイゼーション:97℃,5分;15℃,5分;1サイクル。
【0078】
アンプリコンは後期分析前に96時間まで15℃で増幅試薬混合物に浸漬することができる。
【0079】
プライマーと内部対照は2種のターゲット(HCVゲノムRNAと内部対照)がプライマーを競合するように最適化させる。従って、増幅プロトコールは競合的であると言う。HCVゲノムRNA濃度が内部対照の量に比較して高い場合には、これに対応して内部対照から生産されるアンプリコンの数は減少する。そこで、内部対照から生産されるアンプリコンの量とHCVゲノムRNAから生産されるアンプリコンの量の比を使用して試験サンプル中に存在するHCVゲノムRNAの量を定量する。
【0080】
検出:
増幅反応が完了し、HCV RNAと内部対照プローブのハイブリダイゼーションが完了した後に、サンプルを検出できるようになる。増幅プロトコールの最終段階で、反応体を検出プローブの融点未満に冷却する最終サイクル中にHCVプローブと内部対照プローブは夫々の増幅産物とハイブリダイズする。検出プローブはターゲット鎖の内部配列に相補的であるので、偽増幅産物(例えばプライマーダイマー)を検出から排除することによりアッセイの特異性が増す。2プローブフォーマットデザインによりHCVアンプリコンと内部対照アンプリコンの両者の二重検出が可能になる。
【0081】
従って、好適態様では、HCVプローブと内部対照プローブを示差的に標識し、プライマーの一方又は両方(好ましくはリバースプライマーのみ)に捕獲部分を加えるように修飾する。検出段階において、捕獲試薬で被覆した不活性支持体にアンプリコンと未反応プライマーを固相化し、アンプリコンの後記分析を容易にする。従って、例えば、リバースプライマーにカルバゾール捕獲部分を加えるように修飾する場合には、不活性支持体、好ましくは微粒子を抗カルバゾール抗体(ウサギ)で被覆する。捕獲部分を含むアンプリコンと未反応プライマーの両者を微粒子に固相化することに留意すべきである。しかし、未反応プライマーは後記検出段階で検出されない(プライマーは標識しない)ので、分析結果に悪影響はない。
【0082】
被覆微粒子を含む反応ウェルに増幅産物のアリコートを移す。被覆微粒子は増幅産物と未反応遊離リバースプライマー上に存在する捕獲部分を認識してこれと結合する。好適態様では、「LCx」(登録商標)分析器を使用して微粒子複合体が不可逆的に結合するグラスファイバーマトリックスに反応混合物を自動移送する。洗浄後に、HCVアンプリコンと内部対照アンプリコンの量を検出及び定量することが可能な試薬と共に結合微粒子複合体をインキュベートする。これはHCVプローブと内部対照プローブ上に存在する示差ラベルを検出することにより実施される。
【0083】
好適態様では、HCVプローブをアダマンタンで標識し、内部対照プローブをダンシルで標識する。これらのラベルを検出するためには、ラベルに特異的な抗体を直接検出可能な酵素とコンジュゲートする。その後、コンジュゲートを微粒子と接触させると、コンジュゲートは夫々のラベルと結合する。次に、酵素基質を添加すると、HCVアンプリコンの明白なシグナルと内部対照アンプリコンの明白なシグナルが発生する。次にこれらの2値を比較して比を求め、元の試験サンプル中のHCV核酸の量を決定する。
【0084】
例えば、(本例ではアダマンタンで標識した)HCVプローブを検出するためには、抗アダマンタン抗体を(例えば)アルカリホスファターゼ酵素とコンジュゲートする。抗アダマンタン/アルカリホスファターゼコンジュゲートはHCV特異的プローブのみと結合する。コンジュゲートの抗体部分がアダマンタンプローブと結合するために十分な条件と時間で微粒子を抗アダマンタン/アルカリホスファターゼコンジュゲートと共にインキュベートする。次に、アルカリホスファターゼ基質MUPをインキュベーション反応に添加する。その結果、MUP基質がコンジュゲートのアルカリホスファターゼ部分により開裂され、蛍光産物を生産する反応が生じる。蛍光産物は光度計等の周知光学蛍光検出手段により検出される。蛍光シグナルの大きさはHCVアンプリコン結合量に比例する。
【0085】
同様に、(本例ではダンシルで標識した)内部対照プローブを検出するためには、抗ダンシル抗体を(例えば)β−ガラクトシダーゼ酵素とコンジュゲートする。抗ダンシル/β−ガラクトシダーゼコンジュゲートは内部対照特異的プローブのみと結合する。コンジュゲートの抗体部分がダンシルプローブと結合するために十分な条件と時間で微粒子を抗ダンシル/β−ガラクトシダーゼコンジュゲートと共にインキュベートする。次に、β−ガラクトシダーゼ基質AUGをインキュベーション反応に添加する。その結果、AUG基質がコンジュゲートのβ−ガラクトシダーゼ部分により開裂され、蛍光産物を生産する反応が生じる。蛍光産物は光度計等の周知光学蛍光検出手段により検出される。この第2の蛍光シグナルの大きさは内部対照アンプリコン結合量に比例する。
【0086】
プローブ検出順は重要ではない。プローブ上の特異的ラベルの種類も本発明の機能に重要ではないが、以下の3点に注意すべきである。
【0087】
1.ラベルは逆転写又は増幅反応を妨げないことが好ましい。
【0088】
2.選択する2種のラベル(HCVプローブのラベルと内部対照プローブのラベル)は必ず相互に異なっていなければならず、2種のシグナルを相互に区別できるように示差的に検出可能でなければならない。
【0089】
3.2種の異なるラベルを検出するために必要な化学反応は相互に干渉しないことが好ましい。
【0090】
これらの3点を満足するならば、本発明は放射性、蛍光、色素、及び酵素ラベル等の任意2種の示差検出可能なラベルを用いて実施することができる。
【0091】
こうして作製された抗体とアルカリホスファターゼ等の酵素をコンジュゲートするには、当分野で周知の手段により実施される。例えば、以下のスキームによりアルカリホスファターゼを抗体とコンジュゲートすることができる。
【0092】
1.5mg/ml抗体溶液を0.1M PBS(pH6.8)2Lで4℃にて透析する。
【0093】
2.抗体溶液を透析メンブレンから除去し、PBSで3mg/mlに調整する。
【0094】
3.1.5ml遠心管でアルカリホスファターゼ90μlに透析抗体溶液100μlを加える。
【0095】
4.グルタルアルデヒド5mlを加えて静かに混合する。室温で放置する。
【0096】
5.25μlサンプルを0、5、10、15、30、60、及び120分に取出し、別々の1.5mlマイクロ遠心管に加える。PBS125μlを各サンプルに加えた後、Tris/オボアルブミン溶液1.1mlを加える。時間経過が完了するまで各サンプルを氷上に保存する。
【0097】
6.サンプルを段階1に記載したようにPBSで透析する。各サンプルのアルカリホスファターゼ活性を試験し、最高活性酵素コンジュゲートが得られたコンジュゲーション時間を決定する。
【0098】
7.段階1〜4を繰返すが、段階4では段階6で決定された最適コンジュゲーション時間にわたって反応を進行させる。
【0099】
8.アジ化ナトリウムを0.1%まで加え、コンジュゲートを4℃で遮光保存する。1年まで活性に維持されるべきである。あるいは、等容量のグリセロールを加えてコンジュゲートを−20℃で凍結保存する。
【0100】
校正曲線:
本発明の顕著な利点の1つは、内部対照がRT−PCRからアンプリコンの単離分析に至る全工程に介在するので、1組の校正曲線を使用して方法を先験的に校正できる点にある。従って、末端使用者が実施しなければならない校正操作数が最小限になる。要約すると、使用者はアッセイを実施し、比:{HCV RNAアンプリコンのカウント率(即ちc/s/s)と内部対照アンプリコンのカウント率(c/s/s)の比}の対数を計算し、得られた値を試験サンプル中のHCVの濃度に到達するまで対応する予備作成校正曲線と比較するだけでよい。
【0101】
適切な校正曲線を作成するために使用される校正サンプルは各々固定既知濃度の内部対照(例えば、10,000コピー/RT−PCR)を含む。校正サンプルは更に方法のダイナミックレンジ全体にわたる系統的変動レベルのHCV転写産物を含む。従って、典型的な校正サンプル系列は以下のサンプルを含む(内部対照2,000又は10,000コピー/サンプル)。
【0102】
【表2】

異なる数組の校正サンプルを集めて好適方法により試験した。校正サンプルを作成するために使用したHCV転写産物はSanquin Blood Supply Foundation,Plesmanlaan 125,1066CX Amsterdam,オランダ(旧名称CLB)から入手した世界保健機構候補基準物質に準じた。
【0103】
従って、例えば各サンプルが内部対照10、000コピーとHCV転写産物0、log2.50、log3.02、log3.59、log4.09、log6.15及びlog7.19コピー/mlを含む一連の校正サンプルに対する本方法の反復試験(n>100)では、以下の標準偏差が得られた。
【0104】
【表3】

0の校正サンプルとlog2.5の校正サンプルの前後の3個の標準偏差範囲はオーバーラップしないことに留意されたい。従って、陰性サンプルは「弱陽性」サンプル即ちHCV約log2.50コピー/mlを含むサンプルから容易に区別される。
【0105】
10人の既知HCV陰性患者から採取した血清血漿を使用する試験で各患者から3種のサンプル(血清サンプル、EDTA血漿サンプル、及びACD血漿サンプル)を調製した。各サンプルをlog3.00コピーHCV/mlでスパイクした後に本方法の好適態様に従って試験した。これらの30個のサンプルの標準偏差は0.116であり、表3のlog3.02コピー/mlキャリブレーターサンプルの標準偏差0.133と非常に近似する値であった。
【0106】
陰性血清サンプルと「弱陽性」血清サンプル(log3.5HCVコピー/ml)も潜在干渉化合物でスパイクし、これらの化合物がサンプル中のHCVの正確な測定を妨害するか否かを調べた。蛋白質(合計90mg/ml−アルブミン55mg/mlとγグロブリン35mg/ml)、ヘモグロビン(10mg/ml)、ビリルビン(0.4mg/ml)、脂質(30mg/ml及び20%リポシンII)、又はHCV抗ウイルス剤(273IU/mlインターフェロンα−2b又は273IU/mlインターフェロンα−2bと0.05μg/mlリバビリンの併用)をサンプルに添加したが、スパイクしたサンプルから得られる結果は対照に比較して有意変化がなかった。
【0107】
キット:
本発明は本発明の方法を実施するために必要なプライマー、プローブ、ラベル、試薬等の全部又はサブセットを含むキットにも関する。従って、キットの好適態様はフォワード及びリバースプライマー、内部対照、HCV特異的プローブ、及び内部対照特異的プローブを含む1個以上の容器を含む。これらの成分は適切な緩衝液に溶かす又は凍結乾燥して供給することができる。キットは場合によりHCV検出法を実施するための説明書を添付してもよい。キットは場合により予備作成校正曲線を添付してもよい。
【0108】
キットの他の態様は緩衝液、dNTP、rTth酵素、停止試薬、コンジュゲート試薬混合物等の更に広範な試薬群を含む。これらの成分は末端使用者が本方法をより簡便に実施できるように複数の容器に収容される。従って、本発明によるこのようなキットの1例はそれ自体の容器に各々収容された以下の混合物を含むことができる。
【0109】
1.2x増幅試薬ミックス:100mM bicine,230mM K,300μM dNTP,250nMリバースプライマー,本質的に配列番号1〜43から構成される配列をもつ100nMフォワードプライマー,100nM標識HCV核酸特異的プローブ,100nM標識内部対照核酸特異的プローブ,rTthポリメラーゼ5単位,アセチル化BSA0.02mg/ml,0.04%アジ化ナトリウム,16%グリセロール,内部対照(10,000コピー/RT−PCR)(pH8.25)。これを100%希釈して1x増幅試薬ミックスとする。
【0110】
2.活性化試薬ミックス:10mM MnCl,0.45%アジ化ナトリウム,0.010%キシレノールオレンジ色素。活性化試薬ミックスを1x増幅試薬ミックスに添加し、RT−PCR反応を開始する。従って、サンプルを増幅できるようになるまでこのミックスは添加しない。
【0111】
3.内部対照核酸試薬ミックス:あるいは、内部対照RNA転写産物(10,000コピー/RT−PCR)(上記増幅試薬ミックスの欄に記載)を別成分として添付してもよい。内部対照は10mM HEPES,0.2mM EDTA,アセチル化BSA100μg/ml,10mM DTT,RNアーゼインヒビター0.5U/μl,poly−A8725μg/ml,0.045%アジ化ナトリウムの溶液で提供される。
【0112】
4.抗カルバゾール微粒子:0.265%トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン溶液中ウサギ抗カルバゾール抗体で被覆した直径0.400μm粒子。
【0113】
5.コンジュゲート試薬ミックス:抗ダンシル/β−ガラクトシダーゼコンジュゲートと抗アダマンタン/アルカリホスファターゼコンジュゲート;各々抗体1ml当たり〜1μg。
【0114】
6.夫々アルカリホスファターゼとβ−ガラクトシダーゼの酵素基質であるMUP(緩衝液中1.2mM)とAUG(緩衝液中3.0mM)。
【0115】
【表4】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離オリゴヌクレオチドを含む化合物であって、
当該オリゴヌクレオチドは、(a)配列番号1〜21、23〜25または27−43のいずれか1つ;又は(b)(a)と長さが同一である(a)の相補配列から成る前記化合物。
【請求項2】
(a)のオリゴヌクレオチドが配列番号1〜8のいずれか1つから成る請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)のオリゴヌクレオチドが配列番号9〜21のいずれか1つから成る請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
(a)のオリゴヌクレオチドが配列番号23〜25または27〜43のいずれか1つから成る請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
オリゴヌクレオチドが標識されている請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
オリゴヌクレオチドがハプテンで標識されている請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
(a)HCVゲノム核酸を含む疑いのある試験サンプルに、(i)HCV核酸配列を含む既知量の内部対照オリゴヌクレオチドと;(ii)内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンに特異的な第1の標識プローブと;(iii)HCVゲノム核酸のアンプリコンに特異的な第2の標識プローブを添加する段階と;次に
(b)(i)配列番号1〜21、23〜25または27−43のいずれか1つ;又は(i)と長さが同一である(i)の相補配列から成るフォワードプライマーとリバースプライマーを使用して段階(a)からの試験サンプル中に存在する内部対照オリゴヌクレオチドとHCVゲノム核酸が存在する場合にはこれを競合的に同時増幅することにより、試験サンプル中に存在する内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンとHCVゲノム核酸のアンプリコンを生産する段階と;次に
(c)第1の標識プローブを内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンにハイブリダイズさせると共に第2の標識プローブをHCVゲノム核酸のアンプリコンにハイブリダイズさせる条件下で段階(b)からの試験サンプルをインキュベートすることにより、ハイブリッドを形成する段階と;次に
(d)第1の標識プローブと内部対照オリゴヌクレオチドのアンプリコンの間で形成されたハイブリッドと、第2の標識プローブとHCVゲノム核酸のアンプリコンの間で形成されたハイブリッドを検出することにより、試験サンプル中に存在するHCVゲノム核酸の量を定量する段階を含む試験サンプル中のC型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム核酸の量の定量方法。
【請求項8】
段階(a)において第1の標識プローブが配列番号46又は配列番号46と長さが同一である配列番号46の相補配列から構成されるオリゴヌクレオチドを含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
段階(b)(i)の配列が配列番号1〜8のいずれか1つである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
HCVゲノム核酸を特異的に増幅することが可能であるプライマー対を収容する第1の容器であって、
一方のプライマーは、(a)配列番号1〜21、23〜25または27〜43のいずれか1つ;又は(b)(a)と長さが同一である(a)の相補配列から成る配列を有する前記第1の容器と;
HCVゲノムの5’非翻訳領域からの核酸転写産物を含む内部対照HCVオリゴヌクレオチドを収容する第2の容器と;
HCVゲノムRNAのアンプリコンに特異的な第1のプローブと内部対照HCVオリゴヌクレオチドのアンプリコンに特異的な第2のプローブを収容する第3の容器を併有する、試験サンプル中のC型肝炎ウイルス(HCV)ゲノム核酸の量の定量用キット。

【公開番号】特開2010−246555(P2010−246555A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−136824(P2010−136824)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【分割の表示】特願2004−524884(P2004−524884)の分割
【原出願日】平成15年7月25日(2003.7.25)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】