説明

C型肝炎ウイルスの遺伝子型の決定方法

本発明は、HCV配列を検出し、特徴づけるための組成物および方法を提供する。さらに特に、本発明は、侵襲的切断構造アッセイ(例えば、INVADERアッセイ)を使用して、核酸試料、例えば、患者の核酸試料をスクリーニングしてHCV遺伝子型を決定するための組成物、方法およびキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、基礎研究、臨床研究に使用するためおよび臨床検出アッセイを開発するための核酸検出アッセイに関する方法および組成物を提供する。特に、本発明は、C型肝炎ウイルスの遺伝子型を決定するための方法を提供する。
【0002】
本願は、共に全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、2004年1月7日提出の米国暫定出願第60/534,618号および2004年4月20日提出の米国暫定出願第60/563,629号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景
C型肝炎ウイルス(HCV)は非A型、非B型肝炎(NANBH)のほぼ全ての症例の原因となっており(Choo, Q. -L., et al. , Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 2451-2455 (1988))、世界中で永続的な健康への脅威であり、年間百万超の新規症例が報告されている(Zein, N. N. Clin. Micro. Rev. 13: 223-235 (2000))。HCV感染は、ほとんどいつも慢性的で永続的である。HCV感染の最も重症の結果は慢性肝疾患および死亡であり、HCV感染は米国において肝移植の主要な推進力である(Zein, 上記)。
【0004】
HCVは、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属する長さ約10 kbのプラス鎖の1本鎖RNAウイルスである(Zein,上記)。異なる地理的領域において見つけられる単離株にはかなりの異種性が存在する。これらの差は多数の遺伝子型およびサブタイプに分類されている。これらの遺伝子型を特徴づけるために種々の異なる基準が使用されているが、2つの主な様式の分類が採用されている。これらのうち広範に使用されているものはPeter Simmondsによって作製され、アラビア数字を使用して異なる遺伝子型を示し、ラテンモチリンを使用してサブタイプを示す、例えば、1a、1b、2a等である(Simmonds, P. Hepatology. Feb; 21 (2): 570-83 (1995)および Simmonds, P. JHepatol. ; 31 Suppl 1: 54-60 (1999)に概略されている)。このシステムによると、遺伝子型1〜3は北米、欧州および日本に見られる流行型であり、残りの型はアジアおよびアフリカの一部において種々の頻度で見られる。従って、HCV遺伝子型は、例えば、感染症の病因を決定する際に疫学的に重要となる場合もある。
【0005】
異なる遺伝子型の臨床的重要性を解明する努力に着手されている。1型、特に1b型の感染症は重症の疾病および早期再発に関連することを示唆している検討もある(Zein, N. N. et al., Liver Transplant. Surg. l:354-357(1995); Gordon et al., Transplantation 63: 1419-1423(1997))。1型(例えば、1aまたは1b)以外の遺伝子型は種々の治療、例えば、インターフェロンに対する応答が望ましいことを示している検討もある(McHutchison, J. G., et al., N. Engl. J. Med., 339:1485-1492(1998))。ウイルス量(viral load)などの他の診断マーカーとHCV遺伝子型の決定の併用は、疾病の予後に達した際(Zein, N. N. 上記)および治療経過を判定する際(National Institutes of Health Consensus Development Conference Statement; Management of Hepatitis C: 2002; June 10-11, 2002)に有用であることも示唆されている。
【0006】
異なる領域のHCVゲノムは遺伝子型を決定するために使用されている。HCVゲノムは、5'および3'未翻訳領域(UTR)などの比較的保存されている領域、可変領域(例えば、E1および非構造的(NS)5B)ならびにエンベロープタンパク質をコードするものなどの超可変領域を含む(Halfon, P. CLI, April 2002)。保存領域における特定の配列の存在と可変領域、特にNS-5Bの配列を相関させるための検討が実施されている(Stuyver, L., et al., J. Clin. Micro., 34: 2259-2266 (1996))。このような検討の結果として、どのウイルス型が試料に存在するかを同定する作業を簡単にするために、保存領域、特に5' UTRに基づいた遺伝子型特定アッセイが開発されている。5' UTRの全てまたは一部の増幅を使用する市販のウイルス量アッセイの存在を考慮すると、この保存領域の別個の配列差に基づいてHCV遺伝子型を決定することができることは、増幅された1つの核酸、例えば、RT-PCRまたは転写媒介性増幅(TMA)アンプリコンから広範な診断情報を得る便利な手段を提供している。
【0007】
種々の分子生物学的方法が、5' UTRを使用するHCV遺伝子型決定作業に適用されている。これらには、逆ドット-ブロット分析(例えば、Stuyver, L. et al., J Clin Microbiol. 1996 Sep; 34(9):2259-66、米国特許第6495670号ならびに関連する米国および国際特許および同時係属出願に記載されている、Inno LIPA, Innogenetics, Ghent, Belgium);直接DNA配列決定(例えば、Germer, J. J. et al. J Clin Microbiol. 2003 Oct;41(10): 4855-7に記載されている、TRUEGENE HCV 5'NC遺伝子型特定キット)およびピロシーケンス法(米国特許第6258568号ならびに関連する米国および国際特許および同時係属出願に記載されている、Pyrosequencing AB, Uppsala, Sweden)が挙げられる。
【0008】
これらの分子学的方法以外に、遺伝子型を決定する血清学的方法、例えば、RIBA SIA 試験 (Chiron Corp., Emeryville, CA)およびMurex HCV血清型別酵素免疫アッセイ(Murex Diagnostics Ltd, Dartford, UK)が導入されている。血清型分けは、特異性および感度に関して制限されることがあることを示している検討もある(Zein,上記)。
【0009】
従って、電気泳動またはドット-ブロット技法の必要性なしに、臨床試料、例えば、血液または血液分画におけるHCV遺伝子型を正確に決定するための迅速で、感度が高く、正確で、均一な方法の必要性が存在する。分子学的な方法の現在の信頼性を考慮すると、HCV遺伝子型を決定するためのこのような拡張可能で、自動化可能な方法の必要性は継続しており、増加していると思われる。
【発明の開示】
【0010】
概要
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型を決定するための組成物および方法を提供する。さらに特に、本発明は、侵襲的切断構造アッセイ(例えば、INVADERアッセイ)を使用して、例えば、患者の、HCV配列を含有する核酸試料をスクリーニングして、存在するウイルスの遺伝子型を同定する組成物、方法およびキットを提供する。本発明を使用して、一ウイルス感染症または2つ以上のHCV遺伝子型を含む混合感染を検出することができる。
【0011】
他の態様において、本発明の方法および組成物に使用するのに好適な合成DNAは、各々全ての目的のために全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、例えば、米国特許第6,291,187号および同第6,323,009号ならびにPCT出願国際公開公報第01/88190号および国際公開公報第02/00934号に提供されているように、多重プライミング(multiply-primed)ゲノムDNAの精製ポリメラーゼを使用して作製される。これらの態様において、ゲノムDNAなどのDNAの増幅は、高度進行性(highly processive)Φ29ポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ(例えば、各々全ての目的のために全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,198,543号および同第5,001,050号に記載されている)をヘキサマーなどのエキソヌクレアーゼ耐性ランダムプライマーと併用使用して実施される。
【0012】
本発明の方法は、標的核酸の性質によって制限されない。いくつかの態様において、標的核酸は1本鎖または2本鎖DNAまたはRNAである。いくつかの態様において、2本鎖核酸は、切断構造の形成前に(例えば、熱によって)1本鎖にされる。いくつかの態様において、標的核酸の起源は、ゲノムDNAを含む試料を含む。試料には、組織切片、血液、血液分画(例えば、血漿、血清)、唾液、脳脊髄液、胸水、乳汁、リンパ液、痰および精液が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0013】
いくつかの態様において、標的核酸はゲノムDNAまたはmRNAを含む。他の態様において、標的核酸は合成DNAまたはRNAを含む。いくつかの好ましい態様において、試料内の合成DNAまたはRNAは、精製ポリメラーゼを使用して作製される。いくつかの好ましい態様において、精製ポリメラーゼを使用する合成DNAの作製はPCRの使用を含む。特に好ましいいくつかの態様において、作製される合成DNAは、HCVゲノムの5' UTRの全てまたは一部を含む。いくつかの好ましい態様において、合成DNAの作製は、精製逆転写酵素を使用してPCR前にcDNAを作製することによって実施される。特に好ましいいくつかの態様において、このようなRT-PCRは、COBAS AMPLICORまたはCOBAS TAQMAN(Roche Molecular Systems)などの市販のキットを用いて実施される。本発明の方法はHCVゲノムの特定の領域に限定されない。いくつかの好ましい態様において、本発明のオリゴヌクレオチドは5' UTRに存在するヌクレオチドに関する。他の態様において、遺伝子型分析を実施することができる別の領域、例えば、NS-5A、NS-5B、コア領域または3'UTRを検出することができる。いくつかの好ましい態様において、合成DNAの作製は、RNA-DNAコンポジットプライマーを使用して増幅するための方法および組成物の使用を含む(全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,251,639号に開示されている)。他の好ましい態様において、本発明の方法に使用するのに好適な精製DNAポリメラーゼを使用する合成DNAの作製はローリングサークル増幅の使用を含む(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,210,884号、同第6,183,960号および同第6,235,502号におけるように)。他の好ましい態様において、合成DNAの作製は、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、例えば、米国特許第6,410,278号に記載されているループ-形成配列を含む核酸を使用する増幅を含む。他の態様において、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,554,516号および関連特許および係属出願にあるように、例えば、転写媒介性増幅(TMA)によりRNAポリメラーゼを使用してRNAアンプリコンを作製する。
【0014】
本発明に提供されるHCV遺伝子型分けアッセイは、酵素ミスマッチ切断方法(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、Variagenics, 米国特許第6,110,684号、同第5,958,692号、同第5,851,770号);ポリメラーゼ連鎖反応;分岐(branched)ハイブリダイゼーション方法(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、Chiron, 米国特許第5,849,481号、同第5,710,264号、同第5,124,246号および同第5,624,802号);ローリングサークル複製(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,210,884号、同第6,183,960号および同第6,235,502号);NASBA(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,409,818号);モレキュラービーコン技術(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,150,097号);E-センサー技術(全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、Motorola, 米国特許第6,248,229号、同第6,221,583号、同第6,013,170号および同第6,063,573号);サイクリングプローブ技術(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,403,711号、同第5,011,769号および同第5,660,988号);Dade Behringシグナル増幅方法(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,121,001号、同第6,110,677号、同第5,914,230号、同第5,882,867号および同第5,792,614号);リガーゼ連鎖反応(Barnay Proc. Natl. Acad. Sci USA 88, 189-93(1991));およびサンドイッチハイブリダイゼーション方法(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,288,609号)を含むが、これらに限定されない検出アッセイと併用して用途を見出すことができる。
【0015】
いくつかの態様において、本発明は、少なくとも1つのHCV遺伝子型配列を検出するために構成された非増幅オリゴヌクレオチド検出アッセイを含むキットまたは組成物を提供する。他の態様において、非増殖オリゴヌクレオチド検出アッセイは、侵襲的切断構造を形成するように構成されている第1および第2のオリゴヌクレオチド(例えば、INVADERアッセイ)を、少なくとも1つのHCV遺伝子型配列を含む標的配列を合わせて含む。特定の態様において、第1のオリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、3'部分は標的配列にハイブリダイズするように構成されており、5'部分は標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。他の態様において、第2のオリゴヌクレオチドは5'部分および3'部分を含み、5'部分は標的配列にハイブリダイズするように構成されており、3'部分は標的配列にハイブリダイズしないように構成されている。
【0016】
いくつかの態様において、検出されるHCV 5'UTR配列は、Genbank、NCBI、肝炎ウイルスデータベース(Hepatitis Virus Database)またはその変種に見出されるもののいずれかである。配列は経時的に分岐することならびに現在公知もしくは最近発見された他のHCV変種は本発明の方法および組成物に容易に適応可能であることが本明細書の説明によって理解される。
【0017】
ある態様において、オリゴヌクレオチド検出アッセイは、配列決定アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、突然変異に相補的なプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイアッセイ、ビーズアレイアッセイ、プライマー伸張アッセイ、酵素ミスマッチ切断アッセイ、分岐(branched)ハイブリダイゼーションアッセイ、ローリングサークル複製アッセイ、NASBAアッセイ、モレキュラービーコンアッセイ、サイクリングプローブアッセイ、リガーゼ連鎖反応アッセイ、侵襲的切断構造アッセイ、ARMSアッセイおよびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイから選択される。
【0018】
いくつかの態様において、本発明は、a)i)被験者の試料;ii)HCVゲノムから2本鎖DNAを作製するための手段;iii)(例えば、本明細書に記載されている)オリゴヌクレオチド検出アッセイを含む組成物を提供する段階;およびb)少なくとも1つのHCV遺伝子型の有無が判定されるように、試料と組成物を接触させる段階を含む方法を提供する。いくつかの態様において、試料は、血液試料もしくは血液分画試料(例えば、血漿、血清、赤血球細胞)、口腔スワブ試料、例えば、口腔内細胞、子宮頸部スワブ、便、唾液試料または胸水、痰、尿、羊膜、脳請求項基髄液もしくは汗などの被験者の他の生体液試料である。
【0019】
さらに他の態様において、本発明はまた、a)HCV試料の5' UTRから増幅された核酸の1つ以上(例えば、2つ以上、5つ以上)の一塩基多型を検出する段階;b)段階aから誘導される情報に基づいて5' UTR遺伝子型プロファイルを作製する段階;およびいくつかの態様において、被験者のHCV遺伝子型が決定されるように、5' UTR遺伝子型プロファイルを所定のHCV情報マトリックスと比較する段階を含む、HCVを含む試料の遺伝子型を特定する方法を提供する。いくつかの態様において、所定のHCV情報マトリックスはコンピュータメモリに記憶されている。いくつかの好ましい態様において、いくつかの好ましい態様において、本発明の方法は、さらに、被験者の治療を選択する(例えば、適当な薬剤を選択する、薬剤の適当な用量を選択する、ある薬剤を回避する、ある薬剤の投与をある日数の間継続する)際にHCV遺伝子型を使用する段階を含む。
【0020】
いくつかの態様において、本発明は、-245、-167、-163、-155、-144、-118および-80からなる群より選択されるHCVの5' UTR配列の位置の一塩基多型を検出するように構成されている侵襲的切断検出アッセイを含む組成物を提供する。
【0021】
他の態様において、本発明は、a)i)HCVを含むことが疑われる患者の試料、およびii) -245、-167、-163、-155、-144、-118および-80からなる群より選択されるHCVの5' UTR配列の位置の一塩基多型を検出するように構成されている侵襲的切断検出アッセイを含む組成物を提供する段階;ならびにb)一塩基多型の少なくとも1つが検出される条件下において組成物と試料を接触させる段階を含む方法を提供する。ある態様において、接触させる段階が、その位置の塩基のアイデンティティー(例えば、「G」、「C」、「A」または「T」)を判定する。他の態様において、試料は被験者由来である。
【0022】
ある態様において、侵襲的切断アッセイは、5'部分および3'部分を含む第1のオリゴヌクレオチドを含み、3'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、5'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている。他の態様において、第1のヌクレオチドは、SEQ ID NO:2〜4、7、8、10、14、16、17、19、22、24、 26、30、33、34、36、42、43、45〜47、49、50、55、57、59および63からなる群より選択される配列である。
【0023】
特定の態様において、侵襲的切断アッセイは、5'部分および3'部分を含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、5'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、3'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている。他の態様において、第2のオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO:l、5、6、9、11〜13、15、18、20、 21、23、25、29、31、32、35、37〜41、44、48、51〜54、56および58からなる群より選択される配列である。
【0024】
いくつかの態様において、HCVの5'UTR配列はRNAを含む(例えば、HCVウイルスのRNAはcDNAに変換しないで検出される)。ある態様において、HCVの5'UTR配列はDNAを含む(例えば、HCVのRNAは、検出前にcDNAに変換される)。
【0025】
いくつかの態様において、本発明は、a)i)C型肝炎ウイルスを含むことが疑われる被験者の試料、およびii)各々が、HCVの5' UTR配列の一塩基多型を検出するように構成されている複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイを提供する段階、ならびにb)該一塩基多型の各々の少なくとも部分的な遺伝子型情報が決定される条件下で該試料と該複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイを接触させ、それによってC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定するのに十分な5' UTR遺伝子型プロファイルを作製する段階を含む方法を提供する。
【0026】
ある態様において、本発明の方法は、c)5' UTR遺伝子型プロファイルに基づいたC型肝炎ウイルスの遺伝子型を遺伝子型I、II、III、IV、VまたはVIと特定する段階をさらに含む。好ましい態様において、遺伝子型を特定する段階が、C型肝炎ウイルスを遺伝子型I、IVまたはVであると分類する。他の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイが侵襲的切断構造型アッセイを含む。特定の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは以下の種類のアッセイの少なくとも1つを含む:TAQMANアッセイ、配列決定アッセイ、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、突然変異に相補的なプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイアッセイ、ビーズアレイアッセイ、プライマー伸張アッセイ、酵素ミスマッチ切断アッセイ、分岐(branched)ハイブリダイゼーションアッセイ、ローリングサークル複製アッセイ、NASBAアッセイ、モレキュラービーコンアッセイ、サイクリングプローブアッセイ、リガーゼ連鎖反応アッセイおよびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ。特定の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは非増幅オリゴヌクレオチド型検出アッセイを含む。
【0027】
いくつかの態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイの少なくとも1つは、5'部分および3'部分を含む第1のオリゴヌクレオチドを含み、3'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、5'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている。他の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイの少なくとも1つが、5'部分および3'部分を含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、5'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、3'部分はHCVの5' UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている。追加の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは、5'UTR配列とハイブリダイズするとき、少なくとも1つのミスマッチを含むオリゴヌクレオチドを含む。
【0028】
他の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは少なくとも2つのオリゴヌクレオチド検出アッセイ(例えば、2または3)を含む。さらに別の態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは少なくとも4つのオリゴヌクレオチド検出アッセイ(例えば、4、5、6または7)を含む。いくつかの態様において、複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイは少なくとも8つのオリゴヌクレオチド検出アッセイ(例えば、8、9または10)を含む。
【0029】
追加の態様において、HCVの5'UTR配列の一塩基多型は、以下の位置:-245、-167、-163、-155、-144、-118および-80の少なくとも2つに位置している。他の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-163に「A」が存在する;ii)位置-144に「C」が存在しない;およびiii)任意に位置-167に「C」が存在しない;または位置-167に「T」が存在することを意味し;本発明は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0030】
ある態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-163に「A」が存在する;ii)位置-80に「T」が存在する;および任意にiii)位置-167に「C」が存在しない;または位置-167に「T」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。さらに別の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-163に「A」が存在する;ii)位置-72に「C」が存在する;および任意にiii)位置-167に「C」が存在しない;または位置-167に「T」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0031】
他の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「T」が存在する;ii)位置-144に「C」が存在しない;および任意にiii)位置-167に「C」が存在しないことを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。追加の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「T」が存在する;ii)位置-80に「T」が存在す;および任意にiii)位置-167に「C」が存在しないことを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0032】
特定の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「T」が存在する;ii)位置-72に「C」が存在する;および任意にiii)位置-167に「C」が存在しないことを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Iとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。ある態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-132に「A」が存在する;および任意にii)位置-163に「G」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型IIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0033】
さらに別の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-119に「Y」(「C」または「T」)が存在する;および任意にii)位置-167に「C」が存在しない、または位置-167に「T」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型IIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。いくつかの態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-245に「T」が存在する;およびii)位置-167に「C」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型IVとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0034】
追加の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-245に「T」が存在する;およびii)位置-118に「A」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型IVとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。ある態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-167に「T」が存在する;ii)位置-163に「G」が存在する;およびiii)位置-155に「C」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Vとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0035】
他の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「C」が存在する;および位置-117に「G」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型Vとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。特定の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-117に「G」が存在する;およびii)位置-80に「C」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型VIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0036】
いくつかの態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-118に「A」が存在する;およびii)位置-80に「C」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型VIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。さらに別の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「T」が存在する;およびii)位置-80に「C」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型VIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。他の態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、i)位置-122に「T」が存在する;およびii)位置-72に「T」が存在することを意味し;本発明の方法は、遺伝子型VIとして5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいてC型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する段階をさらに含む。
【0037】
定義
本発明の理解を容易にするために、数多くの用語およびフレーズを以下に規定する。
【0038】
本明細書において使用する「被験者」および「患者」という用語は、植物、微生物および動物(例えば、イヌ、ネコ、家畜およびヒトなどの哺乳類)を含む任意の生物をいう。
【0039】
本明細書において使用する「INVADERアッセイ試薬」という用語は、標的配列の存在下において侵襲的切断構造物を形成することができるオリゴヌクレオチドを含む、標的配列を検出するための1つ以上の試薬をいう。いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は、侵襲的切断構造物(例えば、切断試薬)の存在を検出するための物質をさらに含む。いくつかの態様において、オリゴヌクレオチドは第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドは標的核酸の第1の領域に相補的な5'部分を含み、第2のオリゴヌクレオチドは3'部分および5'部分を含み、5'部分は第1の部分の下流に隣接する標的核酸の第2の領域に相補的である。いくつかの態様において、第2のオリゴヌクレオチドの3'部分は標的核酸に相補的でない3'末端ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、第2のヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的でない一ヌクレオチドからなる。
【0040】
いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は、2本鎖領域を含む介在領域によって分離されている第1および第2の非連続1本鎖領域を含む標的核酸配列を検出するように構成されている。好ましい態様において、INVADERアッセイ試薬は、標的核酸配列の第1および第2の非連続1本鎖領域に結合することができる架橋オリゴヌクレオチドを含む。特に好ましい態様において、INVADERアッセイ試薬の第1または第2のオリゴヌクレオチドのどちらかまたは両方は架橋オリゴヌクレオチドである。
【0041】
いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は固相支持体をさらに含む。例えば、いくつかの態様において、アッセイ試薬の1つ以上のオリゴヌクレオチド(例えば、架橋されていてもいなくてもよい第1および/または第2のオリゴヌクレオチド)は固相支持体に結合されている。いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は緩衝液をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、緩衝液は2価陽イオン(例えば、Mn2+および/またはMg2+イオン)源を含む。組み合わせてINVADERアッセイ試薬を形成する個々の成分(例えば、オリゴヌクレオチド、酵素、緩衝液、標的核酸)を「INVADERアッセイ試薬成分」と呼ぶ。
【0042】
いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は、第1の標的核酸の第1の部分の上流の標的核酸の第3の部分に相補的な第3のオリゴヌクレオチドをさらに含む。さらに他の態様において、INVADERアッセイ試薬は、標的核酸をさらに含む。いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬は第2の標的核酸をさらに含む。さらに他の態様において、INVADERアッセイ試薬は、第2の標的核酸の第1の領域に相補的な5'部分を含む第3のオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの特定の態様において、第3のオリゴヌクレオチドの3'部分は第2の標的核酸に共有結合されている。他の特定の態様において、第2の標的核酸は5'部分をさらに含み、第2の標的核酸の5'部分は第3のオリゴヌクレオチドである。さらに他の態様において、INVADERアッセイ試薬はARRESTOR分子(例えば、ARRESTORオリゴヌクレオチド)をさらに含む。
【0043】
いくつかの好ましい態様において、INVADERアッセイ試薬は核酸切断産物を検出するための試薬をさらに含む。いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬の1つ以上のオリゴヌクレオチドは標識を含む。いくつかの好ましい態様において、第1のオリゴヌクレオチドは標識を含む。他の好ましい態様において、第3のオリゴヌクレオチドは標識を含む。特に好ましい態様において、特に好ましい態様において、試薬は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)効果を生ずる部分で標識された第1および/または第3のオリゴヌクレオチドを含む。
【0044】
いくつかの態様において、1つ以上のINVADERアッセイ試薬は事前分配された形態で提供することができる(すなわち、再測量または再分配しないで手法の段階に使用するために事前測量されている)。いくつかの態様において、選択したINVADERアッセイ試薬成分を混合して、事前分配する。他の態様において、好ましい態様において、事前分配したアッセイ試薬成分を事前分配して、(反応管または例えば、マイクロタイタープレートのウェルを含むが、これらに限定されない)反応容器に提供する。特に好ましい態様において、事前分配したINVADERアッセイ試薬成分を反応容器に乾燥して付着させる(例えば、乾燥させるまたは凍結乾燥させる)。
【0045】
いくつかの態様において、INVADERアッセイ試薬はキットとして提供される。本明細書において使用する「キット」という用語は、材料を運搬するための任意の送達システムをいう。反応アッセイに関連して、このような送達システムは、反応試薬の保存、輸送または送達(例えば、適当な容器内のオリゴヌクレオチド、酵素)を可能にするシステムおよび/または1つの場所から別の場所までサポートする材料(例えば、緩衝液、アッセイを実施するための書面の取扱説明書等)を含む。例えば、キットは関連する反応試薬および/またはサポート材料を含む1つ以上の包み(例えば、箱)を含む。本明細書において使用する「細分化(fragmented)キット」は、各々総キット成分のサブポーションを含む2つ以上の別個の容器を含む送達システムをいう。容器は意図されたレシピエントに一緒にまたは別個に運搬することができる。例えば、第1の容器はアッセイに使用するための酵素を含んでもよいが、第2の容器はオリゴヌクレオチドを含む。「細分化キット」という用語は、連邦食品薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)のセクション520(e)に準拠して規制されている分析物特異的試薬(ASR)を含むキットを含むことが意図されているが、これに限定されない。実際、各々総キット成分のサブポーションを含む2つ以上の別個の容器を含む送達システムが「細分化キット」という用語に含まれる。一方「一体化(combined)キット」は、1つの容器(例えば、望ましい成分の各々を収容する1つの箱)に反応アッセイの全ての成分を含む送達システムをいう。「キット」という用語は細分化キットおよび一体化キットの両方を含む。
【0046】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な成分の1つ以上を含むINVADERアッセイ試薬キットを提供する。例えば、本発明は、INVADERアッセイを実施するのに必要な酵素および/または反応成分を保存または運搬するためのキットを提供する。キットは、試薬自体、緩衝液、対照試薬(例えば、組織試料、陽性および陰性対照標的オリゴヌクレオチド等)、固相支持体、ラベル、書面および/または画像取扱説明書および製品情報、阻害剤、ラベリングおよび/または検出試薬、包装環境コントロール材(例えば、氷、乾燥剤等)等を含むが、これらに限定されない、アッセイに必要なまたはアッセイに望ましい任意のおよび全ての成分を含んでもよい。いくつかの態様において、キットは必要とされる成分のサブセットを提供し、ユーザーは残りの成分を供給することが期待される。いくつかの態様において、キットは2つ以上の別個の容器を含み、各容器は運搬される成分のサブセットを収容する。例えば、第1の容器(例えば、箱)は酵素(例えば、好適な保存緩衝液および容器に入れた構造特異的切断酵素)を含んでもよく、第2の箱はオリゴヌクレオチド(例えば、INVADERオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、対照標的オリゴヌクレオチド等)を含んでもよい。
【0047】
本明細書において使用する「ラベル」という用語は、検出可能な(好ましくは、定量可能な)効果を提供するために使用することができ、核酸またはタンパク質に結合することができる任意の原子または分子をいう。ラベルには、染料;32Pなどの放射性標識;ビオチンなどの結合部分;ジゴキシゲニン(digoxgenin)などのハプテン;発光、リン光または蛍光部分;質量タグ;および蛍光染料単独または蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって発光スペクトルを抑制もしくはシフトすることができる部分との併用が挙げられるが、それに限定されるわけではない。ラベルは、蛍光、放射能、比色、重力測定、X-線回折または吸収、磁力、酵素活性、質量によって影響される質量または挙動の特徴(例えば、MALDI時間飛行型質量分析法)等によって検出可能なシグナルを提供することができる。ラベルは荷電部分(正もしくは負荷電)または別の場合には、中性荷電であってもよい。ラベルは、ラベルを含む配列が検出可能である限り、核酸またはタンパク質配列を含んでもまたはそれからなってもよい。
【0048】
シグナルに言及する際に本明細書において使用する「別個の」という用語は、例えば、蛍光発光波長、色、吸光度、質量、サイズ、蛍光偏光特性、荷電等などのスペクトル特性によってまたは化学的試薬、酵素、抗体等などの別の部分と相互作用する能力によって互いに識別することができるシグナルをいう。
【0049】
本明細書において使用する「相補的な」または「相補性」という用語は、塩基対形成則によって結合されるポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸などのヌクレオチドの配列)に言及する際に使用される。例えば、配列「5'-A-G-T-3'」は配列「3'-T-C-A-5'」に相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部だけが塩基対形成則により一致している「部分的」であってもよい。または、核酸間には「完全な」または「総」相補性が存在してもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸差間のハイブリダイゼーション効率および強度に大きな影響を与える。これは、核酸間の結合に依存する増幅反応および検出方法において特に重要である。どちらの用語も、特にポリヌクレオチドに関連して個々のヌクレオチドに言及する際に使用することができる。例えば、オリゴヌクレオチド内の特定のヌクレオチドは、ヌクレオチドの残りと核酸差間の相補性と対比または比較する際に、別の核酸鎖内のヌクレオチドとの相補性についてまたは相補性の欠損について注釈されることがある。
【0050】
「相同性」および「相同の」という用語は同一性の程度をいう。部分的な相同性または完全な相同性が存在することがある。部分的に相同な配列は、別の配列との同一性が100%未満である配列である。
【0051】
本明細書において使用する「ハイブリダイゼーション」という用語は相補的な核酸の塩基対形成に言及する際に使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強さ(すなわち、核酸間の結合の強さ)は、核酸間の相補性の程度、関与する条件の緊縮度および形成されるハイブリッドのTmのような因子に影響される。「ハイブリダイゼーション」方法は、別の相補的な核酸、すなわち相補的ヌクレオチド配列を有する核酸への一核酸のアニーリングに関係する。相補的配列を含む2つの核酸ポリマーが互いを見つけて、塩基対形成相互作用によりアニーリングする能力は十分に認識されている現象である。Marmur and Lane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46: 453(1960)および Doty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46: 461(1960)による「ハイブリダイゼーション」方法の最初の観察は、引き続き改良されて現代の生物学の必須ツールとなっている。
【0052】
本明細書において使用する核酸配列の相補鎖は、1つの配列の5'末端が他の配列の3'末端と塩基対形成するように核酸配列に整列させるとき、「逆平行関係」にあるオリゴヌクレオチドをいう。天然の核酸には通常見られないある種の塩基も本発明の核酸に含むことができ、例えば、イノシンおよび7-デアザグアニンが挙げられる。相補性は完璧である必要はない;安定な2本鎖はミスマッチ塩基対および非対応塩基を含んでもよい。核酸技術の当業者は、例えば、オリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度ならびにミスマッチ塩基対の発現頻度を含む数多くの変数を考慮して2本鎖の安定性を経験的に判定することができる。
【0053】
本明細書において使用する「Tm」という用語は「融解温度」に言及する際に使用される。融解温度は、2本鎖核酸分子集団が半分解離して1本鎖になる温度である。核酸のTmを算出するためのいくつかの等式が当技術分野において公知である。標準的な参照文献によって示されるように、Tm値の簡単な推定は、核酸が1 M NaClにおいて水溶液で存在する場合、等式Tm=81.5 + 0.41(% G + C)によって算出することができる(例えば、Nucleic Acid Hybridization(1985)のAnderson and Young, Quantitative Filter Hybridization参照)。他の参照文献(例えば、Allawi, H. T. & SantaLucia, J., Jr. Thermodynamics and NMR of internal G. T mismatches in DNA. Biochemistry 36, 10581-94 (1997))は、構造的および環境的ならびに配列の特徴をTmの算出のために考慮する最新のコンピュータ化を含む。
【0054】
「遺伝子」という用語は、非コード機能を有するRNA(例えば、リボソームまたはトランスファーRNA)、ポリペプチドまたは前駆体を作製するのに必要な制御およびコード配列を含むDNA配列をいう。RNAまたはポリペプチドは、望ましい活性または機能が維持される限り、完全長のコード配列またはコード配列の任意の部分によってコードされてもよい。
【0055】
「野生型」という用語は、天然起源から単離したとき、その遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物をいう。野生型遺伝子は、集団で観察される頻度が非常に高く、従って「通常の」または「野生型」の遺伝子と任意に指定されるものである。一方、「改変された」、「突然変異体」または「多型」は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較するとき、配列および/または機能的特性の改変(すなわち、特徴の変更)を示す遺伝子または遺伝子産物をいう。天然型突然変異体が単離されることがあることが注目される;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較するとき、変更のある特徴を有するということによって識別される。
【0056】
本明細書において使用する「組換えDNAベクター」という用語は、望ましい異種配列を含むDNA配列をいう。例えば、この用語は発現される配列または発現産物をコードする配列の用途に限定されないが、いくつかの態様において、異種配列は宿主生物におけるコード配列の複製または特定の宿主生物において機能的に結合しているコード配列の発現に必要なコード配列および適当なDNA配列である。原核生物における発現に必要なDNA配列には、プロモーター、任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位およびおそらく他の配列が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが公知である。
【0057】
本明細書において使用する「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは、少なくとも5つのヌクレオチド、さらに好ましくは、少なくとも約10〜15ヌクレオチド、さらに好ましくは、少なくとも約15〜30ヌクレオチドを含む分子として規定されている。正確なサイズは、オリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途に依存する多数の因子に依存する。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCRまたはそれらの組み合わせを含む任意の方法で作製することができる。
【0058】
モノヌクレオチドは、モノヌクレオチドの1つのペントース環の5'ホスフェートが、ホスホジエステル結合により一方向の隣接基の3'酸素に結合するような方法でオリゴヌクレオチドを作製するように反応されるので、オリゴヌクレオチドの末端は、5'ホスフェートがモノヌクレオチドのペントース環の3'酸素に結合しない場合には「5'末端」といわれ、3'酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5'ホスフェートに結合しない場合には「3'末端」といわれる。本明細書において使用する核酸配列は、長いオリゴヌクレオチドの内側であったとしても、5'末端および3'末端を有するといってもよい。核酸鎖の第1の領域は、核酸鎖の5'から3'方向に移動するとき、第1の領域の3'末端が第2の領域の5'末端の手前に存在する場合には、別の領域の上流であるといわれる。
【0059】
2つの異なる重複しないオリゴヌクレオチドが同じ直鎖状の相補的核酸配列の異なる領域にアニーリングし、1つのオリゴヌクレオチドの3'末端が他のオリゴヌクレオチドの5'末端方向を指す場合、前者は「上流の」オリゴヌクレオチドと呼ばれ、後者は「下流の」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。同様に、2つの重複しているオリゴヌクレオチドが同じ直鎖状の相補的核酸配列にハイブリダイズし、第1のオリゴヌクレオチドは、5'末端が第2のオリゴヌクレオチドの5'末端の上流であり、第1のオリゴヌクレオチドの3'末端が第2のオリゴヌクレオチドの3'末端の上流であるように位置決めされる場合、第1のオリゴヌクレオチドは「上流の」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができ、第2のオリゴヌクレオチドは「下流の」オリゴヌクレオチドと呼ぶことができる。
【0060】
「プライマー」という用語は、プライマー伸長が開始される条件下におかれるとき、合成開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドをいう。オリゴヌクレオチド「プライマー」は精製制限消化におけるように天然に生じてもまたは合成により作製されてもよい。
【0061】
プライマーは、鋳型の特定の配列鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が生じるために鋳型鎖とハイブリダイズするように十分に相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。例えば、相補的でないヌクレオチド断片がプライマーの5'末端に結合し、プライマー配列の残りが鎖に実質的に相補的であってもよい。プライマー配列が、ハイブリダイズして、プライマーの伸長産物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するのに十分な鋳型配列との相補性を有する場合には、相補的でない塩基または長い配列がプライマーに散在してもよい。
【0062】
本明細書において使用する「切断構造」という用語は、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸の相互作用によって形成され、2本鎖を含む構造物を形成する構造をいい、得られた構造は、酵素を含むが、これらに限定されない切断手段によって切断可能である。二次構造に関係なく(すなわち、2本鎖構造の形成は必要ない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼなどの物質による非特異的切断の基質である核酸分子と異なり、切断構造は切断手段による特異的な切断の基質である。
【0063】
本明細書において使用する「切断手段」または「切断物質」という用語は、酵素を含むが、これらに限定されない切断構造を切断することができる任意の手段をいう。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」は、核酸分子の特異的な二次構造を認識し、これらの構造を切断する酵素である。本発明の切断手段は、切断構造の形成に応答して核酸分子を切断する;切断手段は、切断構造内の任意の特定の位置において切断構造を切断することは必要ない。
【0064】
切断手段は、Cleavase酵素、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)、Taq DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIを含む種々の起源から提供されるヌクレアーゼ活性を含んでもよい。切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含んでもよい(例えば、Taq DNAポリメラーゼ(DNAP)、大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼI)。切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性を欠損する改変されたDNAポリメラーゼも含んでもよい。本発明の方法およびキットに使用するのに好適な切断手段の例は、各々が全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,614,402号;同第5,795,763号;同第5,843,669号;同第6,090,606号;PCT出願番号国際公開公報第98/23774号;国際公開公報第02/070755A2号および国際公開公報第0190337A2号に提供されている。
【0065】
5'ヌクレアーゼなどの酵素に言及して使用される「熱安定性」という用語は、酵素が高温において、すなわち約55℃以上において機能的または活性である(すなわち、触媒作用を発揮することができる)ことを示している。
【0066】
本明細書において使用する「切断産物」という用語は、切断手段と切断構造の反応(すなわち、切断手段による切断構造の処理)によって作製される産物をいう。
【0067】
「標的核酸」という用語は、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的な相補性を有し、INVADERオリゴヌクレオチドとも少なくとも部分的な相補性も有することができる配列を含む核酸分子をいう。標的核酸は1本鎖または2本鎖DNAまたはRNAを含んでもよい。
【0068】
「非標的切断産物」という用語は、標的核酸から誘導されない切断反応産物をいう。上記に考察されるように、本発明の方法において、切断構造の切断は、一般に、プローブオリゴヌクレオチド内に生じる。この標的核酸-依存的切断によって作製されるプローブオリゴヌクレオチドの断片は「非標的切断産物」である。
【0069】
「プローブオリゴヌクレオチド」という用語は、INVADERオリゴヌクレオチドの存在下または非存在下において標的核酸と相互作用して切断構造を形成するオリゴヌクレオチドをいう。標的核酸にアニーリングすると、プローブオリゴヌクレオチドおよび標的は切断構造を形成し、プローブオリゴヌクレオチド内に切断が生じる。
【0070】
「INVADERオリゴヌクレオチド」という用語は、プローブと標的核酸のハイブリダイゼーション領域付近の位置の標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをいい、INVADERオリゴヌクレオチドは、プローブと標的のハイブリダイゼーション領域に重複する部分(例えば、その標的に相補的であるかどうかにかかわらず、化学的部分またはヌクレオチド)を含む。いくつかの態様において、INVADERオリゴヌクレオチドは、プローブオリゴヌクレオチドの5'末端に位置する配列と実質的に同じ配列を3'末端に含む。
【0071】
本明細書において使用する「カセット」という用語は、INVADERアッセイにおいてプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能なシグナルを生じるように構成されているオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせをいう。好ましい態様において、カセットは、プローブオリゴヌクレオチドの切断により非標的切断産物にハイブリダイズして、次いでカセットを切断することができるように、第2の侵襲的切断構造を形成する。
【0072】
いくつかの態様において、カセットは、ヘアピン部分 (すなわち、カセットオリゴヌクレオチドの一部分が反応条件下において同じオリゴヌクレオチドの第2の部分にハイブリダイズして2本鎖を形成する領域)を含む一オリゴヌクレオチドである。他の態様において、カセットは、反応条件下において2本鎖を形成することができる相補的部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様において、カセットは標識を含む。特に好ましい態様において、カセットは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)効果を生じる標識部分を含む。
【0073】
核酸基質に言及する際に使用される「実質的に1本鎖」という用語は、鎖間塩基対形成相互作用によって互いに支えあっている2本鎖の核酸として存在する2本鎖基質と異なり、基質分子が主に1本鎖の核酸として存在することを意味する。
【0074】
本明細書において使用する「非増幅型(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」というフレーズは、(例えば、PCRによって)増幅されておらず、標的配列のコピーを作製しない標的配列(例えば、ゲノムDNA)における特定の多型(例えば、SNP、反復配列等)の有無を検出するように構成されている検出アッセイをいう。「非増幅型(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、標的配列がコピーされない限り、例えば、標的配列の特定の多型の有無を示すために使用されるシグナルを増幅してもよい。
【0075】
本明細書において使用する「非増幅的(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」というフレーズは、標的配列のコピーを作製しないで、標的配列(例えば、ゲノムDNA、または増幅されたDNAもしくは他の合成DNA)における特定の多型(例えば、SNP、反復配列等)の有無を検出するように構成されている検出アッセイをいう。「非増幅的(non-amplifying)オリゴヌクレオチド検出アッセイ」は、、標的配列がコピーされない限り、例えば、標的配列の特定の多型の有無を示すために使用されるシグナルを増幅してもよい。
【0076】
本明細書において使用する「配列の変異」は、2つの核酸間の核酸配列の差をいう。例えば、野生型構造遺伝子およびこの野生型構造遺伝子の突然変異型は、一塩基置換および/または欠損もしくは1つ以上のヌクレオチドの挿入の存在によって配列が異なる場合がある。これら2つの型の構造遺伝子は、互いに配列が異なるといわれる。構造遺伝子の第2の突然変異型が存在してもよい。この第2の突然変異型は、野生型遺伝子およびこの遺伝子の第1の突然変異型と配列が異なるといわれる。
【0077】
本明細書において使用する「遊離する」という用語は、放出された断片がオリゴヌクレオチドの残りに共有結合しないように、例えば、5'ヌクレアーゼの作用によってオリゴヌクレオチドなどの大きい核酸断片から核酸断片を放出することをいう。
【0078】
本明細書において使用する「Km」は、酵素のミカエリスメンテン定数をいい、酵素触媒反応において所定の酵素が最大速度の1/2を生じる特定の基質の濃度と規定される。
【0079】
本明細書において使用する「ヌクレオチドアナログ」という用語は、7-デアザプリンなどのスタッキング相互作用が改変されているアナログ(すなわち、7-デアザ-dATPおよび7-デアザ-dGTP);別の水素結合構成を有する塩基アナログ(例えば、Iso-CおよびIso-GおよびBennerに付与された米国特許第6,001,983号に記載されている他の非標準塩基対など);非水素結合アナログ(例えば、B. A. Schweitzer and E. T. Kool, J. Org. Chem., 1994,59,7238-7242、 B. A. Schweitzer and E. T. Kool, J. Am. Chem. Soc., 1995,117,1863-1872によって記載されている2,4-トルオロトルエンなどの非極性芳香族ヌクレオシドアナログ);5-ニトロインドールおよび3-ニトロピロールなどの「不偏的な」塩基;ならびに不変的なプリンおよびピリミジン(それぞれ、「K」および「P」ヌクレオチドなど;P. Kong, et al., Nucleic Acids Res., 1989, 17,10373-10383、P. Kong et al., Nucleic Acids Res., 1992,20, 5149-5152)を含むが、これらに限定されない改変型または非天然型ヌクレオチドをいう。ヌクレオチドアナログは、改変型のデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。
【0080】
「多型座」という用語は、集団のメンバー間の変異を示す集団に存在する座である(例えば、最も共通性の高い対立遺伝子は0.95未満の頻度を有する)。一方、「単型座(monomorphic locus)」は集団のメンバー間にほとんどまたは全く変異が見られない遺伝子座である(一般に、最も共通性の高い対立遺伝子は集団の遺伝子プールにおいて0.95の頻度を超える遺伝子座であると考慮される)。
【0081】
本明細書において使用する「微生物」という用語は、あまりにも小さいので肉眼で観察されない生物を意味し、細菌、ウイルス、原虫、真菌および繊毛虫が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
【0082】
「微生物遺伝子配列」という用語は、微生物由来の遺伝子配列をいう。
【0083】
「細菌」という用語は、真正細菌および古細菌種を含む任意の細菌種をいう。
【0084】
「ウイルス」という用語は、自己複製できない偏性で、限外顕微鏡的な細胞内寄生体をいう(すなわち、複製は宿主細胞の機構を使用する必要がある)。
【0085】
「多剤(multi-drug)耐性」または「多剤(multiple-drug)耐性」は、微生物の治療に使用される2つ以上の抗生物質または抗菌剤に耐性を示す微生物をいう。
【0086】
本発明の明細書および特許請求の範囲における「試料」という用語は広義的な意味で使用される。一方、それは検体または培養物(例えば、微生物培養物)を含むことを意味する。一方、それは生物試料および環境試料を含むことを意味する。試料は合成起源の検体を含んでもよい。
【0087】
生物試料はヒトを含む動物、液体、固体(例えば、便)または組織ならびに液体および固体食品および飼料製品ならびに乳製品、野菜、肉および肉以外の有用物、および廃棄物の成分であってもよい。生物試料は、種々の科の家畜の全てならびに有蹄動物、クマ、サカナ、ウサギ目(lagamorph)、げっ歯類等などの動物を含むが、これらに限定されない野生(feral)または野生(wild)動物から入手してもよい。
【0088】
環境試料には、表面物質、土、水および工業試料、ならびに食品および乳製品加工機械、装置、器具、用具、使い捨ておよび廃棄不要項目から入手される試料などの環境材料が挙げられる。これらの例は、本発明に適用可能な試料の種類を限定すると考慮されるべきではない。
【0089】
「標的核酸源」という用語は、核酸(RNAまたはDNA)を含む任意の試料をいう。特に好ましい標的核酸源は、血液、唾液、脳脊髄液、胸水、乳汁、リンパ液、痰および精液を含むが、これらに限定されない生物試料である。
【0090】
オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドが他のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)より高いモル濃度で存在する場合には、別のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)と比較して「過剰に」存在するといわれる。プローブオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドが、相補的な標的核酸配列の濃度と比較して過剰に切断反応に存在する場合には、反応は存在する標的核酸の量を示すために使用することができる。典型的には、プローブオリゴヌクレオチドは、過剰に存在する場合には、少なくとも100倍モル過剰量で存在する;典型的には、標的核酸配列が約10 fmole以下で存在する場合には、各プローブオリゴヌクレオチドは少なくとも1 pmoleが使用されると思われる。
【0091】
第1および第2の標的核酸を「含有することが疑われる」試料は、標的核酸分子のどちらかを含んでも、両方含んでもまたはどちらも含まなくてもよい。
【0092】
「反応物質」という用語は本明細書において広義的な意味で使用される。反応物質は、例えば、酵素的反応物質、化学的反応物質または光線を含んでもよい(例えば、紫外線、特に短波長紫外線はオリゴヌクレオチド鎖を切断することが公知である)。オリゴヌクレオチドと反応してオリゴヌクレオチドを短くする(すなわち、切断する)または伸長することができる物質は「反応物質」という用語に含まれる。
【0093】
本明細書において使用する「精製された」または「精製すること」は試料から夾雑物を除去することをいう。例えば、組換えCLEAVASEヌクレアーゼは細菌宿主細胞において発現され、ヌクレアーゼは宿主細胞タンパク質を除去することによって精製される;それによって、これらの組換えヌクレアーゼのパーセントは試料中で増加される。
【0094】
(「所定のタンパク質の一部」におけるように)タンパク質に言及する際に本明細書において使用する「部分」という用語はそのタンパク質の断片をいう。断片は、サイズが4アミノ酸残基からアミノ酸配列全体マイナス1アミノ酸(例えば、4、5、6、...、n-1)までの範囲であってもよい。
【0095】
本明細書において使用する「核酸配列」という用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、およびそれらの断片または一部、および1本鎖または2本鎖であってもよく、センス鎖またはアンチセンス鎖であってもよいゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAをいう。同様に、本明細書において使用する「アミノ酸配列」はペプチドまたはタンパク質配列をいう。
【0096】
本明細書において使用する「精製された」または「実質的に精製された」という用語は、天然の環境から取り出されて、単離または分離されて、天然において関連していた他の成分を少なくとも60%含まない、好ましくは75%含まない、最も好ましくは90%含まない核酸またはアミノ酸配列の分子をいう。従って、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
【0097】
本明細書において使用する「連続鎖の核酸」という用語は、ニックまたは他の破損のない、連続した共有結合骨格構造を有する核酸鎖を意味する。各ヌクレオチドの塩基部分の配置は、塩基対形成している、1本鎖鎖またはミスマッチであるかどうかにかかわらず、連続鎖の定義の要素ではない。連続鎖の骨格は、天然型の未改変核酸に見られるリボース-ホスフェートまたはデオキシリボース-ホスフェート組成に限定されない。本発明の核酸は、ホスホロチオエート残基、ホスホネート残基、2'置換リボース残基(例えば、2'-O-メチルリボース)および別の糖(例えば、アラビノース)含有残基を含むが、これらに限定されない骨格構造の改変を含んでもよい。
【0098】
本明細書において使用する「連続2本鎖」という用語は、2本鎖内の塩基対の進行に破損がない2本鎖核酸領域をいう(すなわち、2本鎖の塩基対は、連続2本鎖領域の範囲において、ギャップ、バルジまたはミスマッチを入れるように変形されていない)。本明細書において使用する用語は2本鎖内の塩基対の配列だけをいい、核酸鎖の骨格部分の連続性に関係しない。中断されていない塩基対形成を有するが、一方の鎖または両方の鎖にニックを有する2本鎖核酸は連続2本鎖の定義の範囲内である。
【0099】
「2本鎖」という用語は、一方の鎖のヌクレオチドの塩基部分が、水素結合を介して、第2の鎖に配列されている相補的な塩基に結合している核酸の状態をいう。2本鎖形態にある状態は核酸の塩基状態に反映している。塩基対形成により、核酸鎖は、一般に、主溝および副溝を有する二重らせんという三次構造も取る。らせん型を取るのは、2本鎖になる活動に絶対である。
【0100】
「鋳型」という用語は、鋳型-依存的核酸ポリメラーゼの活性によりヌクレオシド三リン酸から相補的なコピーが構築される核酸鎖をいう。2本鎖内では、鋳型鎖は、慣例により、「ボトム」ストランドとして図示され、記載される。
【0101】
「5'UTR遺伝子型プロファイル」という用語は、C型肝炎ウイルスの5'UTR配列の一塩基多型を検出するように構成されている少なくとも2つのオリゴヌクレオチド検出アッセイの合わせた結果をいい、各一塩基多型位置の少なくとも部分的な遺伝子型情報を提供する。5'UTR遺伝子型プロファイルは非5'UTR HCV配列の配列情報(例えば、コード領域の配列情報)を含まない。5'UTR遺伝子型プロファイルの例は図4、5C、6Cおよび9において各試料について示されている。好ましい態様において、5'UTR遺伝子型プロファイルは、C型肝炎ウイルスの非5'UTR配列の追加の配列情報なしに、C型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定する(例えば、遺伝子型I、II、III、IV、IVおよびVIに分類する)のに十分である。
【0102】
本明細書において使用する、特定の5'UTR HCV一塩基多型に関する「部分的遺伝子型情報」というフレーズは、検出される特定の塩基は、検出されるHCVの可能な遺伝子型を、標準的な6つのHCV遺伝子型のうちの2〜5に狭める情報を明らかにすることを意味する(すなわち、部分的遺伝子型情報は正確な遺伝子型を提供するのではなく、6つのHCV遺伝子型の少なくとも1つを最小限排除して、それを2つの可能な遺伝子型に狭めることができる)。部分的遺伝子型情報を提供するアッセイの一例はアッセイA(位置-118を検出する)によって提供され、陽性の結果(「G」を検出する)は遺伝子型I、VまたはVIの存在の可能性を示す(遺伝子型I、VおよびVIだけがこの位置に「G」を有することを示す図10の位置-118参照)。特定のオリゴヌクレオチド検出アッセイが「少なくとも」部分的遺伝子型情報を提供する場合には、このアッセイは6つの標準的なHCV遺伝子型の1つを少なくとも排除して、この一塩基多型により正確な遺伝子型を提供することができる(例えば、図7のアッセイHは、検出される場合には、遺伝子型VIの存在を明らかにする;遺伝子型VIだけが位置-144/5に「C」[CA挿入断片]を有することを示す図10も参照)。
【0103】
発明の説明
本発明は、標的核酸の存在に依存する核酸切断構造を形成し、独特の切断産物を放出するように核酸切断構造を切断する手段を提供する。5'ヌクレアーゼ活性は、例えば、標的-依存的切断構造を切断するために使用され、得られる切断産物は、試料中の特定の標的核酸配列の存在を示す。2つの鎖の核酸またはオリゴヌクレオチドが、重複する侵襲的切断構造を形成するように標的核酸鎖にハイブリダイズすると、侵襲的切断が生じうる。切断物質(例えば、5'ヌクレアーゼ)と上流のオリゴヌクレオチドの相互作用により、切断物質は、独特の断片が作製されるような方法で下流のオリゴヌクレオチドの内側部位を切断することができる。このような態様はINVADERアッセイ(Third Wave Technologies)と呼ばれ、各々が全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,846,717号、同第5,985,557号、同第5,994,069号、同第6,001,567号、同第6,090,543号、同第6,348,314号および同第6,458,535号、国際公開公報第97/27214号、国際公開公報第98/42873号、Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17: 292(1999)、Hall et al., PNAS, USA, 97: 8272(2000)に記載されている。
【0104】
INVADERアッセイは、構造特異的酵素による特異的構造の酵素的切断によるプローブの標的へのハイブリダイゼーションを検出する(例えば、各々が全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,846, 717号;同第6,090,543号;同第6,001,567号;同第5,985, 557号;5,994,069号;6,090,543号;6,348,314号;同第6,458,535号;米国特許出願第20030186238 号(Ser. No.10/084839);同第20030104378A1号(Ser. No. 09/864636); Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17: 292 (1999)、Hall et al., PNAS, USA, 97: 8272 (2000)、国際公開公報第97/27214号および国際公開公報第98/42873号参照)。
【0105】
INVADERアッセイは、構造特異的酵素(例えば、FENエンドヌクレアーゼ)を使用して、重複するオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションによって形成される複合体を切断することによって、特異的なDNAおよびRNA配列を検出する(例えば、図1参照)。高温およびプローブの1つの過剰量により、温度サイクルを使用しないで、各標的配列のための多数のプローブを切断することができる。いくつかの態様において、これらの切断されたプローブは、次いで、第2の標識プローブの切断を誘導する。二次的なプローブオリゴヌクレオチドは、内部染料によって消光されているフルオレセインで5'末端標識されてもよい。切断されると、標準的な蛍光プレートリーダーを使用して発光フルオレセイン標識産物を検出することができる。
【0106】
INVADERアッセイは、ゲノムDNAを含む未増幅および増幅RNAおよびDNAの特定の配列、突然変異およびSNPを検出する。図1に概略図で示す態様において、INVADERアッセイは2つのカスケード段階(一次および二次反応)を使用して、標的特異的シグナルを作製し、次いで増幅する。便宜上、この用語は全ての遺伝的変異に適用しないとしても、以下の考察における対立遺伝子は野生型(WT)および突然変異型(MT)と記載する。一次反応(図1、パネルA)において、WT一次プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドは標的核酸にタンデムにハイブリダイズして、重複構造を形成する。WT一次プローブの5'末端に不対「フラップ」が含まれる。構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE酵素、Third Wave Technologies)は重複を認識して、不対フラップを切断し、それを標的特異的産物として放出する。二次反応において、この切断産物はWT蛍光共鳴エネルギー移動(WT-FRET)プローブのINVADERオリゴヌクレオチドとして働いて、構造特異的酵素によって認識される構造を再度作製する(パネルA)。1つのFRETプローブの2つの染料が(図1において矢印で示される)切断によって分離されると、バックグラウンド蛍光を上回る検出可能な蛍光シグナルが作製される。結果として、この2番目の構造の切断により蛍光が増加し、WT対立遺伝子(または、突然変異型対立遺伝子が検出可能なシグナルを作製するようにアッセイが構成されている場合には、突然変異型対立遺伝子)の存在を示す。いくつかの態様において、1つの反応において異なる対立遺伝子または遺伝子座を検出することができるように、(例えば、発光もしくは励起波長の差によって分離可能な、または時間分解蛍光検出によって分離可能な)異なる標識を有するFRETプローブを検出対象の各対立遺伝子または遺伝子座に提供する。このような態様では、一次プローブセットおよび異なるFRETプローブが1つのアッセイにおいて組み合わされて、同一試料の各対立遺伝子または遺伝子座のシグナルを比較することができる。
【0107】
一次プローブオリゴヌクレオチドおよび標的ヌクレオチド配列が切断部位においてマッチしない場合には(例えば、MT一次プローブおよびWT標的の場合のように、図1、パネルB)、重複構造は形成せず、切断は抑制される。使用する構造特異的酵素(例えば、CLEAVASE VIII酵素、Third Wave Technologies)は、非重複構造より効率的に(例えば、少なくとも340倍)重複構造を切断して、対立遺伝子のすぐれた識別を可能にする。
【0108】
プローブは温度サイクルなしにターンオーバーして、標的あたり多数のシグナルを作製する(すなわち、線形シグナル増幅(linear signal amplification))。同様に、各標的特異的産物は多数のFRETプローブの切断を可能にすることができる。
【0109】
一次INVADERアッセイ反応は、検出される標的DNA(またはRNA)に対して誘導される。INVADERおよび一次プローブは過剰モルで供給されるので、標的DNAは第1の侵襲的切断の限定的な成分である。第2の侵襲的切断において、限定的であるのは放出されるフラップである。これら2つの切断反応が逐次的に実施されると、複合反応の蛍光シグナルは、標的DNA量に対して線形に蓄積する。
【0110】
二次反応において、放出される各5'-フラップは、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)カセットのINVADERオリゴヌクレオチドとして働いて、CLEAVE酵素によって認識されて切断される別の重複構造を作製することができる(図1)。FRETカセットが切断されると、フルオロフォア(F)およびクエンチャー(Q)が分離されて、検出可能な蛍光シグナルを作製する。最初の反応と同様に、5'-フラップおよびFRETカセットの放出が周期化して、蛍光シグナルが増幅される。最初の反応および二次反応は同一ウェルにおいて同時に進行する。
【0111】
INVADER DNAアッセイのバイプレックス(biplex)フォーマットは1つのウェルにおける2つのDNA配列の同時検出を可能にする。これは、特定の多形の2つの変異体の検出に関係することが非常に多い。バイプレックスフォーマットは、各々独自の5'-フラップを有する2つの異なる識別的な一次プローブおよび各々スペクトル的に異なるフルオロフォアを有する2つの異なるFRETカセットを使用する。デザインによって、放出される5'-フラップはそれぞれのFRETカセットにのみ結合して、標的特異的シグナルを作製する。
【0112】
いくつかの態様において、本発明は、本発明を実施するのに必要な1つ以上の成分を含むキットを提供する。例えば、本発明は、本発明の酵素および/または切断アッセイを実施するのに必要な反応成分(例えば、INVADERアッセイ)を保存または運搬するためのキットを提供する。例としてであり、本発明のキットを任意の特定の構成または成分の組み合わせに限定する意図ではなく、以下のセクションは、本発明を実施するためのキットの一態様を記載する。
【0113】
いくつかの態様において、本発明のキットは以下の試薬を提供する。

【0114】
いくつかの態様において、本発明のキットは以下の試薬を提供する。

【0115】
本発明の方法に使用するのに好適な一次オリゴヌクレオチド、二次オリゴヌクレオチドおよびFRETカセットの例を図2、3および8に提供する。そこに示すオリゴヌクレオチドは本発明の数多くの方法および方法の形態において用途を見出すことができるが、これらのINVADERアッセイオリゴヌクレオチドセットは本発明のキットとの特定の用途を見出す。図2、3および8に示すオリゴヌクレオチドセットは、個々のセットとして使用して個々の標的DNAを検出しても、または1つの反応において2つ以上の分析物もしくは対照を検出するためのバイプレックスまたはマルチプレックス反応において組み合わせてもよい。
【0116】
ある態様において、INVADERアッセイまたは他のヌクレオチド検出アッセイは、接近可能な部位がデザインされたオリゴヌクレオチドおよび/または架橋オリゴヌクレオチドを用いて実施される。このような方法、手法および組成物は、全てが全体として参照により具体的に組み入れられる、米国特許第6,194,149号、国際公開公報第9850403号および国際公開公報第0198537号に記載されている。
【0117】
ある態様において、(例えば、合成核酸が作製されるように)標的核酸配列は検出前に増幅される。いくつかの態様において、標的核酸はゲノムDNAを含む。他の態様において、標的核酸は合成DNAまたはRNAを含む。いくつかの好ましい態様において、試料内の合成DNAは精製ポリメラーゼを使用して作製される。いくつかの好ましい態様において、精製ポリメラーゼを使用する合成DNAの作製はPCRの使用を含む。他の好ましい態様において、本発明の方法に使用するのに好適な精製DNAポリメラーゼを使用する合成DNAの作製はローリングサークル増幅の使用を含む(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第6,210,884号、同第6,183,960号および同第6,235,502号)。他の好ましい態様において、合成DNAの作製は、ゲノムDNA試料の複数の部位からのプライミングによりゲノムDNAをコピーすることを含む。いくつかの態様において、ゲノムDNA試料の複数の部位からのプライミングは、短い(例えば、約8より短いヌクレオチド)オリゴヌクレオチドプライマーの使用を含む。他の態様において、ゲノムDNAの複数の部位からのプライミングは、ニックのある2本鎖ゲノムDNAの3'末端の伸長を含む(すなわち、DNAの2本鎖領域の一方の鎖の切断(breakage)または切断(cleavage)による伸長に3'ヒドロキシル基が利用されているところ)。本発明の方法および組成物に使用するのに好適なニックのあるゲノムDNAに精製ポリメラーゼを使用して合成DNAを作製するいくつかの例は、全ての目的のために各々全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、2000年9月12日公布の米国特許第6,117,634号および2001年3月6日公布の米国特許第6,197,557号ならびにPCT出願国際公開公報第98/39485号に提供されている。
【0118】
いくつかの態様において、本発明は、a)標的配列を含むことが疑われるニックのある2本鎖ゲノムDNAの3'末端の伸長によって増幅されるDNAを含有する試料;b)標的配列の存在下において侵襲的切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを提供する段階;およびc)試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階を含む、標的配列を検出する方法を提供する。いくつかの態様において、物質は切断物質を含む。特に好ましいいくつかの態様において、本発明の方法は、切断生成物を検出する段階をさらに含む。
【0119】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階は、標的配列が試料中に存在する場合には標的配列とオリゴヌクレオチドの間に侵襲的切断構造が形成され、侵襲的切断構造が切断物質によって切断されて切断生成物を形成する条件下において試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階を含む。
【0120】
特に好ましいいくつかの態様において、標的配列は第1の領域および第2の領域を含み、第2の領域は第1の領域の下流に連続しており、オリゴヌクレオチドは第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は標的配列の第1の部分に完全に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドは3'部分および5'部分を含み、5'部分は標的核酸の第2の部分に完全に相補的である。
【0121】
他の態様において、本発明の方法および組成物に使用するのに好適な合成DNAは、各々が全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み入れられる、例えば、米国特許第6,291,187号および同第6,323,009号ならびにPCT出願国際公開公報第01/88190号および国際公開公報第02/00934号に提供されているように、多重プライミングゲノムDNAに精製ポリメラーゼを使用して作製される。これらの態様において、ゲノムDNAなどのDNAの増幅は、高度進行性(highly processive)Φ29ポリメラーゼなどのDNAポリメラーゼ(例えば、各々全ての目的のために全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,198,543号および同第5,001,050号に記載されている)をヘキサマーなどのエキソヌクレアーゼ耐性ランダムプライマーと併用使用して実施される。
【0122】
いくつかの態様において、本発明は、a)標的配列を含むことが疑われるゲノムDNAのマルチプルプライマーの伸長によって増幅されるDNAを含有する試料;b)標的配列の存在下において侵襲的切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを提供する段階;およびc)試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階を含む、標的配列を検出する方法を提供する。いくつかの態様において、物質は切断物質を含む。いくつかの好ましい態様において、プライマーはランダムプライマーである。特に好ましいいくつかの態様において、プライマーはエキソヌクレアーゼ耐性である。特に好ましいいくつかの態様において、本発明の方法は、切断生成物を検出する段階をさらに含む。
【0123】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階は、標的配列が試料中に存在する場合には標的配列とオリゴヌクレオチドの間に侵襲的切断構造が形成され、侵襲的切断構造が切断物質によって切断されて切断生成物を形成する条件下において試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階を含む。
【0124】
いくつかの好ましい態様において、試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階は、標的配列が試料中に存在する場合には標的配列とオリゴヌクレオチドの間に侵襲的切断構造が形成され、侵襲的切断構造が切断物質によって切断されて切断生成物を形成する条件下において試料をオリゴヌクレオチドおよび物質に接触させる段階を含む。
【0125】
特に好ましいいくつかの態様において、標的配列は第1の領域および第2の領域を含み、第2の領域は第1の領域の下流に連続しており、オリゴヌクレオチドは第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部は標的配列の第1の部分に完全に相補的であり、第2のオリゴヌクレオチドは3'部分および5'部分を含み、5'部分は標的核酸の第2の部分に完全に相補的である。
【0126】
ある態様において、本発明は、INVADER検出試薬(例えば、一次プローブ、INVADERプローブおよびFRETカセット)を使用してプール試料(例えば、プールした血液試料)をアッセイするキットを提供する。好ましい態様において、キットは、INVADERアッセイを実施する方法、具体的には、INVADER検出アッセイを多数の個体由来のプール試料に適用する方法または1人の被験者由来の多数の細胞(例えば、生検試料由来)から「プールした」試料に適用する方法についての取扱説明書をさらに含む。
【0127】
本発明は、温度サイクル(すなわち、標的核酸鎖の周期的な変性のため)または核酸合成(すなわち、標的またはプローブ核酸鎖の重合に基づいた置換のため)を使用する必要のない多数ラウンドのオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションおよびプローブの切断中に標的核酸が再使用またはリサイクルされるアッセイをさらに提供する。切断反応が、プローブが標的鎖上で連続して置換される(例えば、プローブ-プローブ置換によってまたはプローブ/標的の結合および解離の平衡によって、またはこれらの機序を含む組み合わせによって[The kinetics of oligonucleotide replacement. Luis P. Reynaldo, Alexander V. Vologodskii, Bruce P. Neri and Victor I. Lyamichev. J. Mol. Biol. 97: 511-520 (2000)])条件下で進行される場合には、多数のプローブが同じ標的にハイブリダイズして、多数の切断および多数の切断生成物の作製を可能にすることができる。
【0128】
いくつかの態様において、本発明の検出アッセイは1つ以上のHCV配列を検出するように設計されている。いくつかの態様において、HCV遺伝子型は、1つ以上の検出アッセイの合わせた結果によって決定される。いくつかの好ましい態様において、各試料に2つ以上の検出アッセイが実施される。さらに他の好ましい態様において、各試料に2つ以上の検出アッセイが実施されて、5'UTR遺伝子型プロファイルを作製する。いくつかの態様において8つの検出アッセイを使用して5'UTR遺伝子型プロファイルを作製する。特に好ましいいくつかの態様において、アッセイを実施して、内部対照アッセイとして使用するための共通の配列を検出する。さらに他の態様において、本発明は、a)HCV試料から増幅された核酸の1つ以上(例えば、2つ以上、5つ以上)の一塩基多型を検出する段階;b)段階aから誘導される情報に基づいて5'UTR遺伝子型プロファイルを作製する段階;およびいくつかの態様において、被験者のHCV遺伝子型が決定されるように、5'UTR遺伝子型プロファイルと所定のHCV情報マトリックスを比較する段階を含む、HCVを含む試料の遺伝子型を特定する方法も提供する。いくつかの態様において、所定のHCV情報マトリックスはコンピュータメモリに記憶されている。いくつかの好ましい態様において、本発明は、被験者の治療を選択する(例えば、適当な薬剤を選択する、適当な薬剤用量を選択する、ある種の薬剤を回避する、ある薬剤の投与をある日数の間継続する)際にHCV遺伝子型を使用する段階をさらに含む。
【0129】
いくつかの態様において、検出アッセイに使用するオリゴヌクレオチドは目的のHCV標的配列に完全に相補的である。他の態様において、オリゴヌクレオチドは、関心対象のHCV標的配列に対する1つ以上のミスマッチを含む。ミスマッチは、(いくつかの検出アッセイフォーマットにおいて望ましい場合がある)ハイブリダイゼーション効率を低下することができること、(例えば、2つ以上の株または変異体を検出するために)縮重を追加することができることおよび試料中に存在する可能性のある配列の変異を代償することができることを含むが、これらに限定されない多数の用途を見出している。特定のヌクレオチド位置の変異が試験した集団のいくつかのメンバーにおいて同定されるいくつかの態様において、集団内の各変異が検出されるように、その位置の配列が異なる多数のオリゴヌクレオチドが提供される。侵襲的切断アッセイに使用するための例示的な検出アッセイ要素が、HCVのある遺伝子型について以下の実施例に提供されている。これらのプローブセットのデザイン(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/またはそれらの配列)は、本明細書に提供される反応デザインおよび最適化のガイドラインを使用して、RNA検出アッセイに使用するために適合することができることが考慮されている。
【0130】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法を実施するために、ユーザーによって供給される追加の要素(例えば、試薬、供給品および/または器具)のリストを提供する。例としてであって、このような追加の要素リストを任意の特定の要素に限定する意図ではなく、このようなリストの一態様は以下を含む。
・透明なCHILLOUT-14液体ワックス(MJ Research)またはRNaseフリー、光学用鉱物油(Sigma, Cat. No. M-5904)
・96ウェルポリプロピレンマイクロプレート(MJ Research, Cat. No. MSP-9601)
・滅菌1.5mlまたは2.0ml微小遠心管
・滅菌、DNase/RNaseフリー使い捨てエアゾールバリヤーピペットチップ
・マルチチャンネルピペット0.5〜10μl、2.5〜20μl)
・サーマルサイクラーまたは他の熱源(例えば、実験室用オーブンまたは加熱ブロック)
・種々の実験器具(試験管ラック、マイクロピペッター、マルチチャンネルピペット、微小遠心管、ボルテックスミキサー)
・蛍光マイクロプレートリーダー(好ましいプレートリーダーは、以下の特徴を有する光フィルターを備えたトップリーディングである。)

【0131】
いくつかの態様において、本発明のキットは、本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーによって供給される任意の要素(例えば、試薬、供給品および/または器具)のリストを提供する。例としてであって、このような任意の要素リストを任意の特定の要素に限定する意図ではなく、このようなリストの一態様は以下を含む。
・滅菌8チューブストリップまたはマイクロプレート(任意)
・使い捨てプラスチックボール(任意)
・プレート密封テープ(任意)
【0132】
いくつかの態様において、本発明のキットは、多数の代替物が許容される本発明の方法の実施を容易にするためにユーザーによって供給される必要な要素のリストを提供する(例えば、試料調製キット)。例としてであって、このような任意の要素リストを任意の特定の要素に限定する意図ではなく、このようなリストの一態様は以下を含む。
・QIAGEN QIAamp(登録商標)Blood Kit
・Gentra Systems PUREGENE(商標)Kit
・Gentra Systems GENERATION(登録商標)Products
【0133】
キットのいくつかの態様において、詳細なプロトコールが提供される。好ましい態様において、INVADERアッセイ反応を集成するプロトコール(例えば、反応混合物を作製する処方および好ましい手法)が提供される。特に好ましい態様において、反応混合物を集成するプロトコールは、本発明の方法を実施する際のエラーのリスクを低下するためのコンピュータ支援または絵図的支援を含む(例えば、多数の反応に必要とされる試薬の容量の算出を容易にするための表および数多くのアッセイ反応を含むマルチウェルアッセイプレートを構成する際に助力となるプレート-レイアウトガイド)。例としてであって、このような追加の要素リストを任意の特定の要素に限定する意図ではなく、本発明のキットは以下のプロトコールを含んでもよい。
【0134】
I. 詳細なDNAバイプレックスINVADERアッセイプロトコール
1. 試験する試料および対照の数を決定する。
2. 各実験操作(例えば、試料、対照)のマイクロプレートレイアウトを計画する.
標的なしの対照(tRNAキャリアのヌクレアーゼを含有しない緩衝液溶液)を含むことが有効な結果に必要である。
3. バイプレックスアッセイフォーマットのためのINVADER DNAアッセイ反応ミックスを調製する。アッセイに必要な反応成分の容量を産出するために(容量X)、反応の総数(試料および対照)に1.25を乗じる[容量X(μl)=#反応×1.25]。最後の試薬を添加したら、INVADER DNAアッセイ反応ミックスを短時間ボルテックスして十分に混合する。
INVADER DNAアッセイ反応ミックス
バイプレックスアッセイフォーマット

4. 10μlの各対照またはDNA試料(>150 ng DNA)を適当なウェルに添加して、1〜2回ピペットで上下させて混合する。各反応に20μlの透明なCHILLOUTまたは鉱物油を積層する。マイクロプレートをThermasealウェルテープで密封する(任意)。
5. サーマルサイクラーまたはオーブンで98℃において10分反応をインキュベーションする。
6. サーマルサイクラー内の温度を63℃に低下するかまたはプレートを63℃の熱ブロックに移し、次いで10μlのINVADER(登録商標)DNAアッセイ反応ミックスを各ウェルに添加し、ピペットで3〜5回上下させて十分に混合する。マルチチャンネルピペットを使用し、8チューブストリップまたはマイクロプレートを使用して、INVADER(登録商標)DNAアッセイ反応ミックスの添加を容易にしてもよい。INVADER(登録商標)DNAアッセイ反応ミックスを添加するとき、鉱物油またはChill-out(商標)14液体ワックスのレベルより下方でミックスを添加するようにする。
7. マイクロプレートをプレート密封テープでカバーして(任意)、63℃において4時間インキュベーションする。
8. 4時間のインキュベーション後、マイクロプレートを蛍光プレートリーダーのプレートホルダーに置く。使用する場合には、プレート密封テープを除去する。
9. 2つの異なる波長設定でプレートを読む(WTおよびMutシグナルに対応する染料は全てのバイプレックスアッセイで必ずしも同じでない)。
10. 各スキャンについて、対照4が100〜200の間で読まれるようにゲインを設定すべきである。対照4の値は、FおよびR染料スキャンについて同一である必要はない。
注記:マイクロプレートを読む前にマイクロプレートシールを除去する。
・この手法は、多数のデータセットコレクションをアッセイのダイナミックレンジに拡大することを可能にする。二次INVADER反応中に、トップリーディング蛍光マイクロプレートリーダーでマイクロプレートを直接読む。
注記:最適なゲイン設定は装置間で異なることがあるので、最良のシグナル/バックグラウンド比(試料の未処理シグナルを標的なしの対照シグナルで除する)または〜100 RFUの標的なしの対照試料読み値を得るように適宜ゲインを調節する。キセノンランプ光源を使用する蛍光マイクロプレートリーダーは、一般に、高RFUを生ずる。マイクロプレートを直接読むためには、製造業者の推奨により、蛍光マイクロプレートリーダーのプローブ高さおよびプレートの位置決め方法を調節する必要がある場合がある。
【0135】
比の算出および解釈のためのガイドライン
キットのいくつかの態様において、遺伝子型を決定するために2つの蛍光シグナルの比を使用するガイドラインが提供されている。例えば、所定の多型の各対立遺伝子については、真の(net)シグナル/バックグラウンドすなわちネットフォールドオーバーゼロ(Net Fold Over Zero)(FOZ-1)の値は各染料を用いて得られるシグナルについて以下のように算出することができる。

各試料の2つのFOZ値(すなわち、内部対照および遺伝子型特異的読み)を使用して、以下のように、アッセイ出力比を算出した。

式中、真のFOZ=FOZ-1である。
【0136】
いくつかの態様において、例えば、追加の試薬を調製するためまたは本発明の方法に使用する試料の調製のための補助的な手法のプロトコールなどの補助的な説明書が提供される。好ましい態様において、補助的な説明書は、熟練していないユーザーまたは経験の浅いユーザーによる方法およびキットの使用の成功を容易にするために提供されるガイドラインおよび注意書きのリストを含む。特に好ましい態様において、補助的な説明書は、トラブルシューティングガイド、例えば、ユーザーが遭遇する可能性のある問題を記載しており、このような問題を解決または回避する際にユーザーを助ける意図で示唆される解決法または修正法を提供するガイドを含む。
【0137】
実施例
以下の実施例は本発明のある好ましい態様および局面を実証し、さらに例示するために提供されており、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0138】
以下の実験の開示において、以下の略語が提供される:N(規定);M(モル);mM(ミリモル);μM(マイクロモル);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);pmol(ピコモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);DS(硫酸デキストラン);および℃(セ氏度)。
【0139】
実施例1
多数のHCV株を検出するためのオリゴヌクレオチドのデザイン
これらの実験の目的は、HCVの5'UTRの特定の配列を検出するためのINVADERアッセイに使用するのに好適なオリゴヌクレオチドデザインに達することであった。第1の段階として、HCV DNA配列をGenbank(NCBI)および肝炎ウイルスデータベース(Hepatitis Virus Database)(s2as02.genes.nig.ac.jpで見られる)から入手して、Clustal W (DNA Star, Madison, WI)を使用して整列させた。好適な配列保存と好ましくは、1つまたは数ヌクレオチドの遺伝子型間の限定された配列の相違を合わせた領域をINVADERアッセイの候補標的として同定した。候補プローブオリゴヌクレオチドは、限られた数のミスマッチを含む配列ストレッチを検索することによって設計した。いくつかの配列に対するセンス鎖またはアンチセンス鎖のデザインを作製した。好適なINVADERオリゴヌクレオチドは、それぞれのプローブオリゴヌクレオチド候補を伴うように設計される。いくつかのこのようなプローブおよびINVADERオリゴヌクレオチド対は、HCV遺伝子型1〜6の各々に関連する特定の配列を検出するように設計された。5'UTRアンプリコンの存在について陽性内部対照として作用するために、分析される全ての配列の高配列保存領域においてもプローブセットが設計された。
【0140】
次いで、以下に記載するように、患者試料から作製されたCOBAS AMPLICORウイルス量PCRアンプリコンについて候補プローブセットを評価し、Inno-LiPAアッセイにより遺伝子型に関して特徴づけた。>5 FOZおよび約<25〜30 FOZのシグナルを生じたプローブセットを増幅DNA試料にさらに使用するために選択した。
【0141】
候補プローブセットのスクリーニング
96ウェルMJ SkirtedマイクロタイタープレートにおいてINVADERアッセイを実施した。プレートはMJ Research PTC100 ThermocyclerまたはThermoHybaid PCR Express(Molecular Biology Instrumentation, Needham Heights, MA)を使用してインキュベーションし、Applied Biosystems CYTOFLUOR(登録商標)400シリーズマルチウェルプレートリーダーを用いて読んだ。
【0142】
プローブセットのFOZを測定するためのINVADERアッセイは、7.5μlの希釈した鋳型および7.5μlのINVADERマスター反応ミックスまたは10μlの希釈した鋳型および10μlのINVADERマスター反応ミックスを使用して、上記の一次および二次反応マスターミックスを調製することによって準備した。この実験に使用したオリゴヌクレオチドを図3に示す。反応はマイクロタイタープレートにおいて平行して実施した。マスターミックスは以下のように組み合わせた。
添加容量
4.67μLのFRET緩衝液ミックス(1.4μMの各FRETカセット;10.8% PEG;43 mM MOPS pH 7.4)
4.00μLのPIミックス(3.5μM 1°プローブ;0.35μM INVADERオリゴ)*
1.33μL CLEAVASE X酵素/MgCl2(30 ng/μL CLEAVASE X酵素;210 mM MgCl2)

10μLマスターミックス濃度
FRETカセット(各々):0.65μM
PEG(8000 MW):5%
MOPS(pH 7.4):20 mM
1°プローブ:1.4μM*
INVADERオリゴ:0.14μM*
CLEAVASE酵素:40 ng
MgCl2:28 mM

*例外(10μLマスターミックスにおける最終濃度)
アッセイ8T:各プローブは5×(7μM)濃度である
アッセイ1C:INVADERオリゴは10×(1.4μM)濃度である
アッセイ2C:プローブは5×(7μM)濃度である
【0143】
種々の濃度の各標的の7.5μlまたは10μlの分量(ウイルス量に応じて希釈した、典型的にはCOBAS AMPLICOR MONITORもしくはウイルス量試料には1:100希釈またはTAQMAN試料には1:500希釈したPCR産物)をマイクロタイタープレートの適当なウェルに入れて、20μlの鉱物油を積層した;20μlの10 ng/μlのtRNAを標的なしの対照反応に使用した。標的を98℃において10分加熱変性し、20℃に冷却し、次いで一次ミックスの7.5μlまたは10μlの分量を各ウェルに添加した(標的の量に容量が等しいマスターミックスの量を各反応に添加した)。マイクロタイタープレートを63℃において60分インキュベーションした。
【0144】
標的なしのブランクが50〜150の相対的蛍光単位(Relative Fluorescence Unit)(RFU)を生ずるように、装置のゲインを設定した。
【0145】
最適ゲイン設定は機器間で異なることがあるので、形成される蛍光シグナルが使用する特定の機器の線形範囲内になるように適宜ゲインを調節する。キセノンランプ光源を使用する蛍光マイクロプレートリーダーは、一般に、高RFUを生ずる。マイクロプレートを直接読むためには、製造業者の推奨により、蛍光マイクロプレートリーダーのプローブ高さおよびプレートの位置決め方法を調節する必要がある場合がある。
【0146】
装置/機器によって作製される未処理データを使用して、アッセイ性能を測定する(リアル-タイムまたはエンドポイントモード)。以下の式は、FOZ(Fold Over Zero)および他の値を算出する方法を提供する。以下の式のNTCは標的なしの対照のシグナルを示す。
FOZまたはシグナル/標的なし
FOZ染料1=(未処理シグナル染料1/NTC染料1)
【0147】
各遺伝子型を同定するための候補プローブセットは、これらの実験において形成される相対的シグナルに基づいて選択した。特に、望ましいプローブセットは、適当に希釈したPCR産物について>5のFOZを示す。図2は、公知の遺伝子型の試料について遺伝子型3を検出するように設計した6つのプローブセットを試験することにより得られた例示的なデータを示す。残りの遺伝子型1、2、4〜6の候補プローブセットについて同様の実験を実施した。5'UTR内の選択したサブセットの多型を使用することによってHCV遺伝子型を識別することが可能であることをこれらの結果は示している。十分な遺伝子型特異的シグナルを生じたプローブセットを図3に示す。
【0148】
実施例2
AMPLICORおよびTAQMANアンプリコンからの遺伝子型の決定
合計8つの別個のINVADER反応を、1〜4の異なるHCV遺伝子型間で特異的であると同定した。図4は、HCV遺伝子型マトリックスを使用して、8つの選択したプローブセットから得られた結果に基づいて遺伝子型を同定することができる方法の略図による例示を示す。9番目のINVADER反応は、5'UTRから増幅したDNAの存在について陽性対照として使用した。
【0149】
反応は、10μlの容量の希釈した標的およびINVADER反応マスターミックスを使用して、実施例2に記載するように準備した。反応を63℃においてインキュベーションして、30分および60分後に上記のように蛍光マイクロタイタープレートリーダーで読んだ。例示的なデータを、AMPLICOR MONITOR試料は図5に、TAQMAN試料は図6に示す。各場合において、パネルAは、内部対照(FAMシグナル)から得られたFOZデータを示し;パネルBは、遺伝子型特異的プローブセット(REDシグナル)のデータ;ならびにパネルCは、REDおよびFAMシグナルの真のFOZ(すなわち、FOZ-1)の比を示す。これらの8つのプローブセットは、HCV試料の遺伝子型を決定するために併用使用できることをこれらのデータは示唆している。合計115試料を試験し、他の遺伝子型特定方法(すなわち、Inno-LiPAリバースドットブロットまたはTruGeneシケンシング)で得られた結果と一致する遺伝子型結果を生じた。合計3つの試料が、混合感染または不適当な試料の可能性を示すと思われる結果を示した。残りの試料のうち、合計4つは試験した全てのプローブセットにおいて低いシグナルを生じた。これらの試料は、ヌクレアーゼフリーの水で種々の程度に再希釈して最適の希釈係数を決定し、再試験した。再試験の結果、これらの試料は、別の遺伝子型特定方法によって得られる結果に一致する解釈可能な結果を生じた。
【0150】
実施例3
1つの試料における2つのHCV遺伝子型の同時検出
例えば、多数の株による同時感染によって、試料が2つ以上のHCV遺伝子型を含むことがありうる場合がある。INVADERアッセイが混合感染の存在を識別して、存在する遺伝子型を同定する能力を試験した。
【0151】
公知の遺伝子型の試料から作製されるAMPLICORアンプリコンの分量を以下の比で混合した。

遺伝子型1および遺伝子型3試料、ならびに遺伝子型2および遺伝子型3試料からのアンプリコンを合わせるためにもこのような混合物を作製した。
【0152】
実施例2に記載するように、これらの人工的に混合した試料にINVADER反応を実施した。例示的な結果を図7に示し、2つの異なる遺伝子型が1:1または1:3比以下で存在する感染を識別することが可能になる場合もあることを示唆している。
【0153】
実施例4
多数のHCV株を検出するための別のオリゴヌクレオチドのデザイン
実施例1と同様に、これらの実験の目的は、HCVの5'UTRにおける特定の配列を検出するためにINVADERアッセイに使用するのに好適なオリゴヌクレオチドデザインに達することであった。候補配列は実施例1に記載するように同定し、当技術分野において標準的な手法により合成して、HPLCによって精製した。次いで、患者試料から作製したCOBAS AMPLICOR、AMPLICOR MONITORおよびTAQMANウイルス量PCRアンプリコンについて、実施例1のように候補プローブセットを評価し、Inno-LiPAまたはTRUE-GENE HCV 5'NC遺伝子型特定キットアッセイによって遺伝子型について特徴づけた。>5 FOZおよび約<45〜50 FOZの遺伝子型特異的シグナルを生じたプローブセットを増幅DNA試料にさらに使用するために選択した。
【0154】
候補プローブセットのスクリーニング
96ウェルMJ SkirtedマイクロタイタープレートにおいてINVADERアッセイを実施した。プレートはMJ Research PTC100 ThermocyclerまたはThermoHybaid PCR Express(Molecular Biology Instrumentation, Needham Heights, MA)を使用してインキュベーションし、Applied Biosystems CYTOFLUOR(登録商標)4000シリーズマルチウェルプレートリーダーまたはTECAN GENios FL pureマイクロプレートフルオロメーターを用いて読んだ。
【0155】
プローブセットのFOZを測定するためのINVADERアッセイは、7.5μlの希釈した鋳型および7.5μlのINVADERマスター反応ミックスまたは10μlの希釈した鋳型および10μlのINVADERマスター反応ミックスを使用して、上記の一次および二次反応マスターミックスを調製することによって準備した。この実験に使用したオリゴヌクレオチドを図8に示す。反応はマイクロタイタープレートにおいて平行して実施した。マスターミックスは以下のように組み合わせた。
添加容量
5.00μLのFRET緩衝液ミックス(3.33μMの各FRETカセット;10 nM MOPS pH 7.4)
4.00μLのPIミックス(3.5μL 1°プローブ;0.35μL INVADERオリゴ)*
1.00μL CLEAVASE X酵素/MgCl2(30 ng/μL CLEAVASE X酵素;210 mM MgCl2)

10μLマスターミックス濃度
FRETカセット(各々):0.65μM
PEG(8000 MW):5%
MOPS(pH 7.4):40 mM
1°プローブ:1.4μM*
INVADERオリゴ:0.14μM*
CLEAVASE X酵素:40 ng
MgCl2:56 mM

*例外(10μLマスターミックスにおける最終濃度)
アッセイ6G:プローブは5×(17.5μM)濃度である
アッセイ8T:プローブは0.5×(1.75μM)濃度である
アッセイ3T:INVADERオリゴは10×(3.5μM)濃度である
アッセイ1C:プローブは0.5×(1.75μM)濃度である;INVADERオリゴは10×(3.5μM)濃度である
アッセイ2C:プローブは5×(17.5μM)濃度である
【0156】
種々の濃度の各試料アンプリコンの7.5μlまたは10μlの分量(ウイルス量に応じて希釈した、典型的には分析方法およびHCVウイルス量に基づいて1:20〜1:500に希釈したPCR産物)をマイクロタイタープレートの適当なウェルに入れて、20μlの鉱物油を積層した;20μlの10 ng/μlのtRNAを標的なしの対照反応に使用した。標的を98℃において10分加熱変性し、63℃に冷却し、次いでINVADER HCV遺伝子型特定オリゴマスターミックスの7.5μlまたは10μlの分量を各ウェルに添加した(標的の量に容量が等しいマスターミックスの量を各反応に添加した)。マイクロタイタープレートを63℃において60分インキュベーションして、
Applied Biosystems CYTOFLUOR(登録商標)4000シリーズマルチウェルプレートリーダーで30分および60分間隔で読んだ。
【0157】
標的なしのブランクが50〜150の相対的蛍光単位(Relative Fluorescence Unit)(RFU)を生ずるように、装置のゲインを設定した。データは、実施例1に記載するように分析した。
【0158】
例示的な結果を図9に示し、8つのプローブセットの反応から得られるデータから6つ全てのHCV遺伝子型間を識別することができることを実証している。上記のこれらの実験において形成される相対的シグナルに基づいて各プローブセットを選択した。特に、望ましいプローブセットは、適当に希釈したPCR産物について、>5の遺伝子型特異的FOZおよび<5の非特異的FOZを示した。図9において、「RED」および「FAM/RED比」グラフにおける8つのプローブセットの組み合わせは、未処理データ結果から得られる遺伝子型の決定を提供した。各アッセイの陽性の結果は以下のようであることが注目される:アッセイA-位置-118に「G」を検出する;アッセイB-位置-163に「A」を検出する;アッセイC-位置-80に「C」を検出する;アッセイD-位置-80に「T」を検出する;アッセイE-位置-155に「T」を検出する;アッセイF-位置-245に「C」を検出する;アッセイG-位置-167に「C」を検出する;およびアッセイH-位置-144/5に「C」(CA挿入配列)を検出する。図9の図の説明に示すようにおよび図10の配列に示すように、これらの8つのアッセイは、以下の遺伝子型が試料中に存在する場合には陽性のシグナルを示す:アッセイA-タイプ1、5および6が陽性;アッセイB-タイプ1および6が陽性;アッセイC-タイプ2および6が陽性;アッセイD-タイプ1、3、4および5が陽性;アッセイE-タイプ2が陽性;アッセイF-タイプ3が陽性;アッセイG-タイプ3および4が陽性;ならびにアッセイH-タイプ6が陽性。
【0159】
各試料について作製された結果は各試料について蓄積された5'UTR遺伝子型プロファイルを明らかにしており(図9参照)、HCVの5'UTRのSNPを調査することだけに基づいて、各試料に存在するHCV遺伝子型の決定を可能にする。例えば、これら3つ全てが共通して有する唯一の遺伝子型は遺伝子型Iであるので、アッセイA(遺伝子型1、5および6が陽性)、アッセイB(遺伝子型1および6が陽性)およびアッセイD(遺伝子型1、3、4および5が陽性)の陽性結果を考慮して、試料1(図9に示す)は遺伝子型Iであると決定された。アッセイC(遺伝子型2および6が陽性)、アッセイE(遺伝子型2が陽性)、アッセイF(遺伝子型3が陽性)、アッセイG(遺伝子型3および4が陽性)およびアッセイH(遺伝子型6が陽性)の陰性結果は、この試料が遺伝子型Iを含むという決定を確認している。言い換えると、この複数のアッセイの結果を合わせたもの(例えば、排除過程による)は、この試料が遺伝子型Iを含む決定を可能にする。この決定は、図4に提供する遺伝子型マトリックスおよび以下の表1の塩基特異的遺伝子型マトリックスを眺めることによって(ならびに図10の検出された位置の各遺伝子型の塩基位置を眺めることによって)単純化することができる。この同じ手法を図9に示す残りの10試料に使用して、以下の結果を生じることができる:試料2は遺伝子型1を含む;試料3は遺伝子型4を含む;試料4は遺伝子型2を含む;試料5は遺伝子型2を含む;試料6は遺伝子型4を含む;試料7は遺伝子型6を含む;試料8は遺伝子型3を含む;試料9は遺伝子型3を含む;試料10は遺伝子型5を含む;および試料11は遺伝子型6を含む。当然のことながら、アッセイの他の組み合わせ(全8アッセイ以外)を使用して、5'UTR遺伝子型プロファイルを作製することができ、検出されたHCVに遺伝子型を割り付けるために使用することができる。従って、5'UTR内の多型の選択されたサブセットにより、プローブセットは、図9に示すように適当な遺伝子型特異的シグナルを生じることができる。
【0160】
【表1】

【0161】
実施例5
遺伝子型特異的SNPセットの同定
遺伝子型を同定するために使用することができる5'UTR内の限られたサブセットの一塩基多型(SNP)を同定することが可能である場合がある。公共のデータベースから得られる約200配列のアラインメントに基づいて、表2の以下のSNPまたはSNPセットは、示した遺伝子型を同定するのに十分であると同定された。
【0162】
【表2】


【0163】
上記の明細書に記載する全ての刊行物および特許は、本明細書に明確に記載されているかのように参照により本明細書に組み入れられる。本発明の範囲および精神から逸脱しないで、記載されている本発明のアッセイの種々の改良および変更は当業者に明らかである。本発明は特定の好ましい態様に関連して記載されているが、本発明はこのような特定の態様に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際、本発明を実施するための記載されている様式の、関連分野の当業者に明らかである種々の改良は添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】1つの反応において2つの異なる対立遺伝子(例えば、1ヌクレオチドが異なる)を検出するためのINVADERオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチドおよびFPETカセットの概略図を示す。
【図2】HCV配列を検出するために設計されたCOBAS AMPLICORウイルス量アッセイで作製されたPCRアンプリコンに実施した侵襲的切断アッセイの結果を示す。
【図3】本発明のいくつかの態様における検出アッセイ要素の配列を示す。プローブは、3'末端にヘキサンジオールブロック基(ブロック基)を含む。小文字は非相補的フラップを示す。
【図4】本発明のアッセイ要素を使用するHCV 5'UTR遺伝子型プロファイルの略図を示す。
【図5】COBAS AMPLICOR MONITOR試薬を用いて作製されたHCVの5'UTRのPCRアンプリコンに実施した侵襲的切断アッセイの結果を示す。11試料の各々の5'UTR遺伝子型プロファイルを図5Cに示す。
【図6】COBAS TAQMAN試薬を用いて作製されたHCVの5'UTRのPCRアンプリコンに実施した侵襲的切断アッセイの結果を示す。11試料の各々の5'UTR遺伝子型プロファイルを図6Cに示す。
【図7】HCV配列を検出するために設計されたCOBAS AMPLICORウイルス量アッセイを用いて作製されたPCRアンプリコン混合物に実施した侵襲的切断アッセイの結果を示す。
【図8】本発明のいくつかの態様における検出アッセイ要素の配列を示す。プローブは、3'末端にヘキサンジオールブロック基を含む。小文字は非相補的フラップを示す。
【図9】HCVの5'UTRのPCRアンプリコンに別のオリゴヌクレオチドを用いて実施した侵襲的切断アッセイの結果を示す。11試料の各々の5'UTR遺伝子型プロファイルをこの図に示す。
【図10】HCVの5'UTRの-274〜-31の領域の6つのHCV遺伝子型の各々のコンセンサス配列のアラインメントを示す。6つの遺伝子型の各々の配列は以下のように呼ぶ:遺伝子型I(SEQ ID NO:64);遺伝子型II(SEQ ID NO:65);遺伝子型III(SEQ ID NO:66);遺伝子型IV(SEQ ID NO:67);遺伝子型V(SEQ ID NO:68);および遺伝子型VI(SEQ ID NO:69)。本発明のある態様において検出されて、少なくとも部分的な遺伝子型情報を提供する(この図を参照することによって判定することができる)、-245;-188(対照);-167;-163;-155;-144/5;-118;および-80を含む、種々の一塩基多型位置も示す。この図はまた、HCVの5'UTRのこの領域を増幅するために使用することができる例示的なプライマーの位置も示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
-245、-167、-163、-155、-144、-118、および-80からなる群より選択されるHCVの5'UTR配列の位置の一塩基多型を検出するように構成されている侵襲的切断検出アッセイを含む組成物。
【請求項2】
侵襲的切断アッセイが、5'部分および3'部分を含む第1のオリゴヌクレオチドを含み、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1のヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜4、7、8、10、14、16、17、19、22、24、 26、30、33、34、36、42、43、45〜47、49、50、55、57、59、および63からなる群より選択される配列である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
侵襲的切断アッセイが、5'部分および3'部分を含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
第2のオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:l、5、6、9、11〜13、15、18、20、 21、23、25、29、31、32、35、37〜41、44、48、51〜54、56、および58からなる群より選択される配列である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
HCVの5'UTR配列がRNAを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
HCVの5'UTR配列がDNAを含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
a)i)患者の、HCVを含むことが疑われる試料、および
ii) -245、-167、-163、-155、-144、-118、および-80からなる群より選択されるHCVの5'UTR配列の位置の一塩基多型を検出するように構成されている侵襲的切断検出アッセイを含む組成物
を提供する段階;ならびに
b)該一塩基多型の少なくとも1つが検出される条件下において該組成物と該試料を接触させる段階
を含む方法。
【請求項9】
接触させる段階が、その位置の塩基のアイデンティティーを判定する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
試料が患者由来である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
侵襲的切断アッセイが、5'部分および3'部分を含む第1のオリゴヌクレオチドを含み、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項8記載の方法。
【請求項12】
第1のヌクレオチドが、SEQ ID NO:2〜4、7、8、10、14、16、17、19、22、24、 26、30、33、34、36、42、43、45〜47、49、50、55、57、59、および63からなる群より選択される配列である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
侵襲的切断アッセイが、5'部分および3'部分を含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項8記載の方法。
【請求項14】
第2のオリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO:l、5、6、9、11〜13、15、18、20、 21、23、25、29、31、32、35、37〜41、44、48、51〜54、56、および58からなる群より選択される配列である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
a)i)患者の、C型肝炎ウイルスを含むことが疑われる試料、および
ii)各々が、HCVの5'UTR配列の一塩基多型を検出するように構成されている複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイ
を提供する段階、ならびに
b)該一塩基多型の各々の少なくとも部分的な遺伝子型情報が決定される条件下で該試料と該複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイを接触させ、それによって該C型肝炎ウイルスの遺伝子型を特定するのに十分な5'UTR遺伝子型プロファイルを作製する段階
を含む方法。
【請求項16】
c)5'UTR遺伝子型プロファイルに基づいて、C型肝炎ウイルスの遺伝子型を遺伝子型I、II、III、IV、V、またはVIと特定する段階をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
遺伝子型を特定する段階が、C型肝炎ウイルスを遺伝子型I、IV、またはVであると分類する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイが侵襲的切断構造型アッセイを含む、請求項15記載の方法。
【請求項19】
複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイが非増幅オリゴヌクレオチド型検出アッセイを含む、請求項15記載の方法。
【請求項20】
複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイの少なくとも1つが、5'部分および3'部分を含む第1のオリゴヌクレオチドを含み、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項15記載の方法。
【請求項21】
複数のオリゴヌクレオチド検出アッセイの少なくとも1つが、5'部分および3'部分を含む第2のオリゴヌクレオチドを含み、該5'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズするように構成されており、該3'部分はHCVの5'UTR配列にハイブリダイズしないように構成されている、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−517525(P2007−517525A)
【公表日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549422(P2006−549422)
【出願日】平成17年1月7日(2005.1.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/000452
【国際公開番号】WO2005/067643
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(500228791)サード・ウェーブ・テクノロジーズ・インク (10)
【Fターム(参考)】