説明

CDMA信号解析装置及び解析方法

【課題】CDMA信号の各時間位置における各チャネルの信号解析を容易にする。
【解決手段】被測定信号aの所定期間TA内の経時特性21における指定された単位時間TB領域に対応する被測定信号のチップデータI、Qを、チャネル毎の拡散ファクターに対応する拡散コードで逆拡散することによって、各チャネルのシンボルデータを得る。チャネル解析部27、28、30、32、33、34で、各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを解析し、解析結果を解析結果メモリ29に書込む。各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性35と表示器20に表示する。さらに、表示されたパワー特性における操作指定されたチャネルのコンスタレーション31を解析結果メモリから読出して表示器にグラフィック表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおける信号を解析するCDMA信号解析装置、及びCDMA信号解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第3世代の移動通信システムにおける無線通信方式の一つとして、W―CDMA(Wideband Code Division Multiple Access 広帯域符号分割多元接続)が提唱されている。この通信方式を用いる場合、基地局と移動局(携帯電話)との間で送受される信号内には、W―CDMAの通信規格(3GPP)に従って送受信される多数のデータが多重化されて組込まれている。
【0003】
図10に、W―CDMAにおける送信側の各送信データD0〜Dnの多重化手法を示す。各送信データD0〜Dnは、コード拡散部1においてそれぞれ異なる拡散コード(直交可変拡散符号)w0〜wnでコード拡散されたのち、加算器2で加算された後、乗算器3にてスクランブルコードが乗算されて、3.84MHzのチップ(chip)データとして高周波回路で高周波信号に変換されて電波出力される。
【0004】
次に、コード拡散部1において各送信データD0〜Dnを拡散する拡散コードの構成を図11を用いて説明する。このCDMA方式の拡散コードは図示するようにツリー構造に構成されており、拡散コード4の拡散コード長4、8、16、32、64、128、256、512に応じてそれぞれ拡散ファクター(Spreading Factor)5(SF4、SF8、SF16、SF32、SF64、SF128、SF256、SF512)が定義されている。なお、図11においては、SF32〜SF512の各拡散ファクター5は省略されている。
【0005】
それぞれの拡散ファクター5には、所属する拡散コード4の拡散コード長分の拡散コード4が割付られている。例えば、拡散ファクターSF8には、チャネルCH0〜CH7のそれぞれ符号長を8で構成する合計8個の拡散コード4が一定法則に従って割付られている。
【0006】
W―CDMAにおいて送信側から出力されるデータの伝送速度は固定(3.84Mcpsであり、1フレーム長(時間)も固定(10ms)であるので、この1フレームに含まれるチップデータ数も一定(=38400)である。したがって、送信側において、送信すべきデータの数と、データ(情報)の種類(英数データ、音声、画像etc)によって、採用する拡散コード4の符号長(拡散ファクター5)を選択設定する。
【0007】
この場合、選択された拡散コード4から分岐した(枝分かれした)下位の拡散ファクター5に所属する全部の拡散コード4、及び選択された拡散コード4の上位の系列の各拡散コード4は選択禁止となる。これは、自己の拡散コード4と自己から枝分かれした下位の拡散ファクター5の拡散コード4又は自己の上位の系列の拡散コード4とが同時に選択されると、逆拡散した場合に、どの拡散コード4で拡散された送信データであるかの区別が付かないからである。
【0008】
したがって、このツリー構造に構成された拡散コード群におけるコード拡散部1に採用可能な拡散コード4の最大数は512となる。
【0009】
W―CDMAにおける送信側の各送信データD0〜DnはQPSK(Quadrature phase shift keying 4位相偏移変調)の変調方式で変調されている。さらに、近年、このW―CDMAを基礎として、パケット通信速度を上昇させた第3.5世代の移動通信システム(3.5G)のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)の規格が検討されている。このHSDPAにおいては、各送信データD0〜DnはQPSKの他に16QAM(Quadrature amplitude modulation)の変調方式が採用可能である。
【0010】
したがって、このようなW―CDMAの無線通信方式を採用した移動通信システムおける基地局から各移動局(携帯電話)へ送信される電波の信号が上述した規格を満たしていることを試験する必要がある。
【0011】
なお、特許文献1には、CDMA信号における各チャネルのコード・ドメインパワーを求めて、基地局側で各送信データが割付られた(採用した)チャネルを特定する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000―36802号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、W―CDMAの規格を採用した第3世代の移動通信システムやHSDPAの規格を採用した第3.5世代の移動通信システムにおける基地局から各移動局(携帯電話)へ送信される電波の信号が上述した規格を満たしていることを簡単に検証できるCDMA信号解析装置の開発が望まれている。
【0013】
また、CDMA信号の各チャネルの特性値は、このCDMA信号全体の振幅誤差や周波数誤差に応じて、大きく変動すると考えられるが、この振幅誤差や周波数誤差の各チャネルの特性に与える影響度を把握することも、CDMA信号の品質管理上で非常に重要である。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、入力された被測定信号における所定期間内の経時特性における指定した時間領域の各チャネルにおける信号の解析が簡単に実施でき、かつ各チャネルの信号解析結果を表示画面上で簡単に選択して閲覧でき、操作性を大幅に向上できるCDMA信号解析装置及びCDMA信号解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおけるコンスタレーションを表示するCDMA信号解析装置である。
【0016】
そして、このCDMA信号解析装置は、被測定信号の所定時間内の振幅又は周波数に関する経時特性と、経時特性において単位時間領域を指定する時間マーカと、時間マーカで指定され単位時間領域に対応する各チャネルのコード・ドメインパワーを示すパワー特性と、パワー特性においてチャネルを指定するチャネルマーカと、チャネルマーカで指定されたチャネルのコンスタレーションとを表示する。
【0017】
さらに、本発明のCDMA信号解析方法においては、被測定信号の所定時間内の振幅又は周波数に関する経時特性を表示するステップと、表示された経時特性において単位時間領域を指定するステップと、指定された単位時間領域に対応する各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性として表示するステップと、パワー特性においてチャネルを指定するステップと、指定されたチャネルのコンスタレーションを解析し表示するステップとを備えている。
【0018】
さらに、本発明は、入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおける信号を解析するCDMA信号解析装置に適用される。
【0019】
そして、上記課題を解消するために、本発明のCDMA信号解析装置においては、入力された被測定信号の所定期間内の振幅又は周波数に関する経時特性を求めて表示器にグラフィック表示する経時特性測定手段と、入力された被測定信号からフレーム同期がとれたチップデータを作成する入力処理部と、グラフィック表示された経時特性における操作指定された単位時間領域に対応する入力処理部から出力されたチップデータを、チャネル毎の拡散ファクターに対応する拡散コードで逆拡散することによって、各チャネルのシンボルデータを順次抽出するシンボルデータ抽出部と、このシンボルデータ抽出部で順次抽出される各チャネルのシンボルデータに基づいて、少なくとも各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを解析するチャネル解析部と、チャネル解析部で解析された各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを含む解析結果を記憶する解析結果メモリと、この解析結果メモリに記憶された各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性として表示器にグラフィック表示するパワー特性表示手段と、表示器に表示されたパワー特性における操作指定されたチャネルのコンスタレーションを解析結果メモリから読出して表示器にグラフィック表示するコンスタレーション表示手段とを備えている。
【0020】
このように構成されたCDMA信号解析装置においては、入力された被測定信号の所定期間内の振幅又は周波数に関する経時特性が求められて表示器にグラフィック表示される。
【0021】
操作者(測定者)は、この表示された経時特性の測定しようとする単位時間領域を指定すると、指定された単位時間領域に対応する入力処理部から出力されたチップデータを、チャネル毎の拡散ファクターに対応する拡散コードで逆拡散することによって、各チャネルのシンボルデータが得られる。このシンボルデータに基づいて、各チャネルの信号に対して、コード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーション等の解析が実施可能である。
【0022】
このチャネル解析部で解析された各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを含む解析結果は解析結果メモリに書込まれる。この解析結果メモリに書込まれた各チャネルのコード・ドメインパワーは表示器の表示画面にパワー特性としてグラフィック表示される。そして、例えば操作者が表示されたパワー特性の任意のチャネルを指定すると、指定されたチャネルのコンスタレーションが表示器にグラフィック表示される。
【0023】
したがって、このCDMA信号解析装置の操作者は、入力された被測定信号における所定期間内の経時特性における指定した時間領域の各チャネルにおける信号の解析が簡単に実施でき、かつ各チャネルの信号解析結果を表示画面上で簡単に選択して閲覧できる。すなわち、CDMA信号の解析を時間軸及びチャネルの両方を指定して実施できる。
【0024】
また、別の発明は、上述した発明のCDMA信号解析装置において、経時特性として振幅誤差特性又は周波数誤差特性を採用しており、経時特性測定手段は、入力処理部から出力されたチップデータから被測定信号の経時特性を求めるようにしている。
【0025】
さらに、別の発明は、上述した発明のCDMA信号解析装置において、経時特性、パワー特性、コンスタレーションは表示器における互いに異なる領域に同時に表示される。したがって、操作者は、表示器上でCDMA信号における代表的な3つの特性を同時に確認できる。
【0026】
さらに、別の発明は、上述した発明のCDMA信号解析装置において、チャネル解析部は、各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションの他に、各チャネルの変調精度、位相誤差、オフセット量を解析する。また、解析結果メモリは、各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションの他に、各チャネルの変調精度、位相誤差、オフセット量をも解析結果として記憶する。そして、表示器に表示されたパワー特性における操作指定されたチャネルの変調方式、変調精度、位相誤差、オフセット量を含む各特性値を解析結果メモリから読出して表示器に表示する特性値表示手段を備えている。
【0027】
このように構成されたCDMA信号解析装置においては、各チャネルの変調精度、位相誤差、オフセット量をも解析されて表示器に自動的に表示される。
【発明の効果】
【0028】
本発明においては、入力された被測定信号の所定期間内の経時特性を測定して表示し、経時特性の指定した時間領域の各チャネルにおける信号の解析を実施している。そして、かつ信号解析結果を表示すべきチャネルを指定可能としている。
【0029】
したがって、CDMA信号の解析を時間軸及びチャネルの両方を指定して実施でき、操作性を大幅に向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の一実施形態を図面を用いて説明する。
【0031】
図1は本発明の一実施形態に係るCDMA信号解析方法が適応されるCDMA信号解析装置の概略構成を示すブロック図である。
【0032】
この実施形態のCDMA信号解析装置には、基地局から出力されたHSDPAの通信方式を採用した被測定信号aが入力される。このHSDPAの通信方式を採用した被測定信号aは、図10で説明したように、QPSK又は16QAMの変調方式で変調された例えば各送信データD0〜Dnをコード拡散部1において、それぞれ図11で示した規格を有する各拡散コード4でコード拡散されて、加算器2で加算され、スクランブルコードで再度拡散され、搬送波周波数に周波数変換されて、基地局から出力された一つの信号である。
【0033】
CDMA信号解析装置に入力された被測定信号aは、入力処理部6内の周波数変換部7で局部発振部(LOOSC)8からの周波数信号に基づいて中間周波数に周波数変換された後、A/D変換部9でA/D変換される。A/D変換されたデジタルの被測定信号aはI、Q分離部10でI(同相)成分とQ(直交)成分とに直交復調され、検波部11へ入力される。検波部11はI成分とQ成分とをクロック抽出部2で抽出したクロックでチップ単位のデータI、Qへ検波して次の周波数補正部13へ送出する。
【0034】
周波数補正部13は、キャリア抽出部14で抽出されたキャリアを用いて、先に中間周波数に変換した時点における周波数誤差を修正する。周波数誤差が修正されたチップ単位のデータI、Qは、次のスクランブル同期部15でデスクランブルコードを乗算することにより、スクランブルが解除され、この入力処理部6からフレーム同期がとれた新たなチップデータI、Qとして、データメモリ16へ順次書込まれる。
【0035】
データメモリ16内には、被測定信号aにおける所定期間TA分のチップデータI、Qが記憶される。振幅誤差算出部17は、データメモリ16内に記憶されている所定期間TA分のチップデータI、Qから被測定信号aにおける経時特性としての図2(a)に示す振幅誤差特性を算出する。周波数誤差算出部18は、キャリア抽出部14で抽出されたキャリアを用いて、データメモリ16内に記憶されている所定期間TA分のチップデータI、Qに変換された被測定信号aにおける経時特性としての周波数補正前の図2(b)に示す周波数誤差特性を算出する。
【0036】
算出された振幅誤差特性及び周波数誤差特性は、表示編集部19を介して図6に示す表示器20に経時特性21としてグラフィック表示される。表示器20にグラフィック表示された所定期間TA分の経時特性21内には、単位時間幅(領域)TBを有する時間マーカ22が表示されている。この時間マーカ22は操作者が操作部23で時間軸方向へ任意に移動可能である。
【0037】
この時間マーカ22で指定された単位時間幅(領域)TBは解析区間選択部24へ入力される。解析区間選択部24は、データメモリ16内に記憶されている所定期間TA分のチップデータI、Qのうち、時間マーカ22で指定された単位時間幅(領域)TB分のチップデータI、Qをフレーム単位で選択してシンボルデータ抽出部25へ送出する。
【0038】
シンボルデータ抽出部25は、単位時間幅(領域)TB分のチップデータI、Qをフレームの先頭位置から順番に取出して、拡散コード設定部26から入力された拡散コード4で逆拡散することによって、該当拡散コード4に対応する拡散ファクター5のチャネル(CH/SF)の新たなシンボルデータI、Qを抽出して、それぞれコード・ドメインパワー算出部27、変調方式判定部28へ送出する。
【0039】
コード・ドメインパワー算出部27は、入力された単位時間幅(領域)TB分のシンボルデータI、Qのパワー(コード・ドメインパワー)Pを算出して拡散コード設定部26、変調方式判定部28へ送出する。拡散コード設定部26は、コード・ドメインパワー算出部27から新たにコード・ドメインパワーPが出力される毎に、図11で定義された各拡散ファクター5の各チャネル(CH/SF)の拡散コード4を順番にシンボルデータ抽出部25へ送出する。
【0040】
変調方式判定部28は、現在のチャネル(CH/SF)における信号の有無、信号有りの場合における信号の変調方式がQPSKであるか16QAMであるかを判定する。具体的には、現在のチャネル(CH/SF)が信号有りで、かつ、現在チャネル(CH/SF)のシンボルデータI、Qの分散値と、枝先チャネルのシンボルデータI、Qの分散値との関係に基づいて、現在のチャネル(CH/SF)における信号のQPSKか16QAMかの変調方式を判定する。
【0041】
変調方式判定部28は、現在のチャネル(CH/SF)における信号の有無、信号有りの場合における信号の変調方式を解析結果メモリ29へ書込む。変調方式判定部28は、現在のチャネル(CH/SF)における信号の変調方式をコンスタレーション算出部30へ送出する。コンスタレーション算出部30は、変調方式に対応する図3(a)に示す各シンボルデータI、QをIQ座標上に示したコンスタレーション31を算出する。コンスタレーション算出部30は、算出したコンスタレーション31を解析結果メモリ29へ書込むとともに、変調精度算出部32、オフセット量算出部33、及び位相誤差算出部34へ送出する。
【0042】
変調精度算出部32は、図3(b)に示すように、測定(算出)したコンスタレーション31における各象限における各シンボルデータI、Qの合成点(測定点)のばらつきの程度を示す変調精度(EVM)を算出して、解析結果メモリ29へ書込む。
【0043】
オフセット量算出部33は、図3(c)に示すように、算出(測定)されたコンスタレーション31のIQ座標の原点Oと、論理的なコンスタレーションのIQ座標の原点O’との間の距離を示すオフセット量を算出して、解析結果メモリ29へ書込む。
【0044】
位相誤差算出部34は、図3(c)に示すように、算出(測定)されたコンスタレーション31における各シンボルデータI、Qの合成点(測定点)と、論理的なコンスタレーションにおける各シンボルデータI、Qの合成点(論理点)との間の位相誤差を算出して、解析結果メモリ29へ書込む。
【0045】
したがって、解析結果メモリ29内には、図4に示すように、SF4〜SF512の各拡散ファクター(SF)5の各チャネル(CH)毎に、信号の有無、信号有りの場合におけるQPSK又は16QAMの変調方式、コード・ドメインパワーP(信号パワー又は雑音パワー)、変調方式がある場合におけるシンボルデータI、Qの各値、変調方式がある場合における変調方式のコンスタレーション、変調精度、オフセット量、位相誤差等が記憶されている。
【0046】
表示編集部19は、解析結果メモリ29内から各チャネルのコード・ドメインパワーPを読出して、図6に示すように、表示器20の表示画面の下部にパワー特性35としてグラフィック表示する。
【0047】
このパワー特性35の詳細を図5に示す。図示するように、このパワー特性35においては、横軸にコード・ドメインパワーPが測定されたチャネルを示し、縦軸に測定されたチャネルのコード・ドメインパワーPのレベルを示す。幅の広いチャネルほど、図11に示すツリー状に構成された拡散ファクター(SF)における上位の拡散ファクター(SF)に所属するチャネル(CH)であることを示す。この例においては、SF4のCH1(1/4と表記する)のチャネル(1/4)が最も広い。逆にSF512のCH0(0/512と表記する)のチャネル(0/512)が最も狭い。さらに、チャネル(0/512)のコード・ドメインパワーPのレベルは、パワーしきい値より小さいので、このチャネル(0/512)は信号無しである。また、チャネル(1/4)のコード・ドメインパワーPのレベルは、パワーしきい値より大きいので、このチャネル(1/4)は信号有りである。
【0048】
なお、この例においては、信号有り状態の使用チャネルの数は44である。
【0049】
図6に示すように、表示器20に表示されたパワー特性35には、チャネルCH/SFを表示画面上で選択するためのチャネルマーカ36が表示される。このチャネルマーカ36の位置は、操作者がキーボード等の操作部23を操作して任意のチャネル位置へ移動させることが可能である。
【0050】
チャネル選択部35は、チャネルマーカ36で指定されたチャネルCH/SFの信号の有無、信号有りの場合におけるQPSK又は16QAMの変調方式、コード・ドメインパワーP(信号パワー又は雑音パワー)、変調方式がある場合におけるシンボルデータI、Qの各値、変調方式がある場合における変調方式のコンスタレーション、変調精度、オフセット量、位相誤差等の解析結果を読出して、図6に示すように、表示器20に表示出力する。
【0051】
その結果、表示器20には、前述した経時特性21、指定チャネルCH/SFのコンスタレーション31、パワー特性35、指定チャネルCH/SFの、チャネルCH/SF、信号の有無、変調方式、コード・ドメインパワー、シンボルデータI、Qの各値、変調精度、オフセット量、位相誤差等の特性値38が同時に表示される。
【0052】
図6は、チャネル(6/16)が指定された状態を示し、このチャネル(6/16)は信号有りで、変調方式はQPSKであることを示す。また、図7は、チャネル(5/16)が指定された状態を示し、このチャネル(5/16)は信号有りで、変調方式は16QAMであることを示す。さらに、図8は、チャネル(0/512)が指定された状態を示し、このチャネル(0/512)は信号無しであり、通信に使用されていない。よって、変調方式、変調解析結果(コンスタレーション)31は表示されていなくて、コード・ドメインパワーPの値は雑音パワーの値を示す。
【0053】
このような構成のCDMA信号解析装置の全体動作を図9の流れ図を用いて説明する。
【0054】
被測定信号aが入力され、データメモリ16に、被測定信号aにおける所定期間TA分のチップデータI、Qが書込まれると、振幅誤差算出部17にて、振幅誤差特性を算出して、表示器20に経時特性21として表示出力する(ステップS1)。操作部23から周波数切換指示が入力されると(S2)、周波数誤差算出部18にて、周波数誤差特性を算出して、表示器20に経時特性21として表示出力する(S3)。
【0055】
時間マーカ22で経時特性21上における単位時間幅(領域)TBが指定されると(S4)、この指定された単位時間幅(領域)TB分の被測定信号aのチップデータI、Qを用いて、指定された単位時間幅(領域)TB(測定領域)における各チャネルの解析を実行し、各チャネルの解析結果を解析結果メモリ29へ書込む(S5)。そして、各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性35として、表示器20に表示出力する(S6)。
【0056】
パワー特性35上においてチャネルマーカ36で一つのチャネルCH/SFが指定されると、指定されたチャネルCH/SFのコンスタレーション31及び各特性値38を表示器20に表示出力する(S8)。そして、チャネルマーカ36で次のチャネルCH/SFが指定されるのを待つ(S7)。
【0057】
S7にて、チャネルマーカ36で次のチャネルCH/SFが指定されずに、S4にて、時間マーカ22で経時特性21上における次の単位時間幅(領域)TBが指定されると、この指定された単位時間幅(領域)TBにおける各チャネルの解析を実行する。
【0058】
そして、S9にて、操作部23にて表示終了操作が実施されると、今回入力された被測定信号aに対する解析操作を終了する。
【0059】
このように構成されたCDMA信号解析装置においては、このCDMA信号解析装置に入力された被測定信号aの所定期間内TAの振幅誤差特性又は周波数誤差特性に関する経時特性21が求められて表示器21にグラフィック表示される。操作者(測定者)は、この表示された経時特性21における例えば特性不良時間等の測定しようとする単位時間TB領域を時間マーカ22で指定すると、被測定信号aにおける指定された単位時間TB領域における各チャネルの解析が自動実行され、解析結果が解析結果メモリ29へ書込まれる。同時に各チャネルのコード・ドメインパワーはパワー特性35として表示される。
【0060】
そして、操作者が表示されたパワー特性35の任意のチャネルをチャネルマーカ36で指定すると、指定されたチャネルのコンスタレーション31及び各特性値38が表示器20に表示される。
【0061】
したがって、このCDMA信号解析装置の操作者は、入力された被測定信号aにおける所定期間TA内の経時特性21における指定した時間領域TBの各チャネルにおける信号の解析が簡単に実施でき、かつ各チャネルの信号解析結果を表示画面上で簡単に選択して閲覧できる。すなわち、CDMA信号の解析を時間軸及びチャネルの両方を指定して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係るCDMA信号解析装置の概略構成を示すブロック図
【図2】同実施形態のCDMA信号解析装置で測定された経時特性を示す図
【図3】同実施形態のCDMA信号解析装置で測定されたコンスタレーション及び特性値を示す図
【図4】同実施形態のCDMA信号解析装置に設けられた解析結果メモリの記憶内容を示す図
【図5】同実施形態のCDMA信号解析装置で解析されたパワー特性を示す図
【図6】同実施形態のCDMA信号解析装置の表示器に表示されたパワー特性、コンスタレーション、経時特性及び特性値を示す図
【図7】同じく同実施形態のCDMA信号解析装置の表示器に表示されたパワー特性、コンスタレーション、経時特性及び特性値を示す図
【図8】同じく同実施形態のCDMA信号解析装置の表示器に表示されたパワー特性、コンスタレーション、経時特性及び特性値を示す図
【図9】同実施形態のCDMA信号解析装置における全体動作を示す流れ図
【図10】一般的なW−CDMAにおける送信側の各送信データの多重化手法を示す図
【図11】ツリー構造に設定された拡散ファクターと各チャネルにおける拡散コードとの関係を示す図
【符号の説明】
【0063】
1…コード拡散部、4…拡散コード、5…拡散ファクター、6…入力処理部、7…周波数変換部、9…A/D変換部、14…キャリア抽出部、15…スクランブル同期部、16…データメモリ、17…振幅誤差算出部、18…周波数誤差算出部、19…表示編集部、20…表示器、21…経時特性、22…時間マーカ、23…操作部、24…解析区間選択部、25…シンボルデータ抽出部、26…拡散コード設定部、27…コード・ドメインパワー算出部、28…変調方式判定部、29…解析結果メモリ、30…コンスタレーション算出部、31…コンスタレーション、32…変調誤差算出部、33…オフセット量算出部、34…位相誤差算出部、35…パワー特性、36…チャネルマーカ、37…チャネル選択部、38…特性値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおけるコンスタレーションを表示するCDMA信号解析装置において、
前記被測定信号の所定時間内の振幅又は周波数に関する経時特性(21)と、前記経時特性において単位時間領域を指定する時間マーカ(22)と、前記時間マーカで指定され単位時間領域に対応する前記各チャネルのコード・ドメインパワーを示すパワー特性(35)と、前記パワー特性においてチャネルを指定するチャネルマーカ(36)と、前記チャネルマーカで指定されたチャネルのコンスタレーション(31)とを表示する手段を備えたことを特徴とするCDMA信号解析装置。
【請求項2】
入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおけるコンスタレーションを解析するCDMA信号解析方法において、
前記被測定信号の所定時間内の振幅又は周波数に関する経時特性(21)を表示するステップ(S1、S3)と、
前記表示された経時特性において単位時間領域を指定するステップ(S4)と、
前記指定された単位時間領域に対応する前記各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性(35)として表示するステップ(S6)と、
前記パワー特性においてチャネルを指定するステップ(S7)と、
前記指定されたチャネルのコンスタレーションを解析し表示するステップ(S8)と
を備えたことを特徴とするCDMA信号解析方法。
【請求項3】
入力された被測定信号であるCDMA信号の各拡散ファクターの各チャネルにおける信号を解析するCDMA信号解析装置において、
前記入力された被測定信号の所定期間内の振幅又は周波数に関する経時特性を求めて表示器にグラフィック表示する経時特性測定手段(17、18、19)と、
前記入力された被測定信号からフレーム同期がとれたチップデータを作成する入力処理部(6)と、
前記グラフィック表示された経時特性における操作指定された単位時間領域に対応する前記入力処理部から出力されたチップデータを、チャネル毎の拡散ファクターに対応する拡散コードで逆拡散することによって、各チャネルのシンボルデータを順次抽出するシンボルデータ抽出部(25)と、
このシンボルデータ抽出部で順次抽出される各チャネルのシンボルデータに基づいて、少なくとも各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを解析するチャネル解析部(27、28、30、32、33、34)と、
このチャネル解析部で解析された各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションを含む解析結果を記憶する解析結果メモリ(29)と、
この解析結果メモリに記憶された各チャネルのコード・ドメインパワーをパワー特性(35)として前記表示器にグラフィック表示するパワー特性表示手段(19)と、
前記表示器に表示されたパワー特性における操作指定されたチャネルのコンスタレーション(31)を前記解析結果メモリから読出して前記表示器にグラフィック表示するコンスタレーション表示手段(19)と
を備えたことを特徴とするCDMA信号解析装置。
【請求項4】
前記経時特性は振幅誤差特性又は周波数誤差特性の経時特性であり、経時特性測定手段は、前記入力処理部から出力されたチップデータから前記被測定信号の経時特性を求めることを特徴とする請求項3記載のCDMA信号解析装置。
【請求項5】
前記経時特性、前記パワー特性、前記コンスタレーションは前記表示器における互いに異なる領域に同時に表示されることを特徴とする請求項3又は4記載のCDMA信号解析装置。
【請求項6】
前記チャネル解析部は、各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションの他に、各チャネルの変調精度、位相誤差、オフセット量を解析し、
前記解析結果メモリは、各チャネルのコード・ドメインパワー、変調方式、コンスタレーションの他に、各チャネルの変調精度、位相誤差、オフセット量をも解析結果として記憶し、
前記表示器に表示されたパワー特性における操作指定されたチャネルの変調方式、変調精度、位相誤差、オフセット量を含む各特性値を前記解析結果メモリから読出して前記表示器に表示する特性値表示手段を
備えたことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項記載のCDMA信号解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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