説明

CO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒及びその製造方法

【課題】CO又はHCを含む排ガスの酸化活性に優れた排ガス浄化触媒及びその製造方法を提供する。
【解決手段】パラジウムと銀を含む合金を有し、且つ、当該合金が担体に担持されている。パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質を混合し、当該混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を合成し、該金属微粒子を担体に担持させる。合金中の元素モル比は、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にCO又はHCを含む排ガスの酸化活性に優れた排ガス浄化触媒及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に用いられる内燃機関からの排出ガスには、一酸化炭素や、未燃焼炭化水素等の、人体にとって有害な成分が含まれている。このため、一般的な車両の排気部分には、有害な成分を分解除去する排ガス浄化装置が設けられており、当該装置には、アルミナ等の金属酸化物に担持された白金、ロジウム、パラジウム等の白金族元素を主成分とする排ガス浄化触媒が備えられている。
これら白金族元素のうち、パラジウムは、一酸化炭素及び未燃焼炭化水素等の酸化浄化に優れることが知られており、ガソリンエンジン用三元触媒を始めとして、ディーゼルエンジン用酸化触媒、リーンバーンエンジン用触媒として広く使用されている。
【0003】
パラジウムを含み、且つ、担体に担持された金属担持触媒に関する技術は、これまでにも開発されている。特許文献1には、金属酸化物から成る担体の表面に、原子比でPd:Au=3:1の組成を有するPd−Au合金のクラスターが触媒活性種として担持されて成ることを特徴とする合金クラスター触媒の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−011951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、実施例に、Pd−Au合金のTiO担体上における吸着エネルギーのシミュレーションの結果が開示されているものの、排ガス浄化効果については実質的にまったく開示されておらず、したがって、当該文献1に開示された合金クラスター触媒がどの程度の活性を示すかについては、全く考察されていない。
本発明は、上記実状を鑑みて成し遂げられたものであり、特にCO又はHCを含む排ガスの酸化活性に優れた排ガス浄化触媒及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、パラジウムと銀を含む合金を有し、且つ、当該合金が担体に担持されていることを特徴とする。
【0007】
このような構成のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、パラジウムと銀とを組み合わせた合金を有することによって、銀がパラジウムの炭化水素被毒を防ぐ結果、パラジウムによる排ガス浄化効果を高く保つことができる。また、このような構成のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、銀自体も高い排ガス浄化能を有するため、パラジウムと銀により相乗的に排ガス浄化効果を発揮することができる。
【0008】
本発明のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、前記合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%であることが好ましい。
【0009】
このような構成のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、パラジウムと銀との好ましい組成比を有することによって、パラジウムによる排ガス浄化能、及び、銀によるパラジウムの炭化水素被毒防止能をバランスよく発揮することができる。
【0010】
本発明のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒製造方法は、少なくとも、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質を混合し、当該混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を合成する工程、並びに、前記金属微粒子を担体に担持させる工程を含むことを特徴とする。
【0011】
このような構成の排ガス浄化触媒製造方法によって、本発明に係るCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒を製造することができる。また、このような構成のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒製造方法は、金属微粒子合成工程において、前記保護物質を混合することによって、パラジウム元素を含む化合物と銀元素を含む化合物のみを混合する場合と比較して、金属微粒子の分散度をより高め、より均一な合金を作製することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パラジウムと銀とを組み合わせた合金を有することによって、銀がパラジウムの炭化水素被毒を防ぐ結果、パラジウムによる排ガス浄化効果を高く保つことができる。また、本発明によれば、銀自体も高い排ガス浄化能を有するため、パラジウムと銀により相乗的に排ガス浄化効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1の金属クラスター、及び実施例3の金属クラスター担持触媒に係るSTEM観察像である。
【図2】実施例2の金属クラスター、及び実施例4の金属クラスター担持触媒に係るSTEM観察像である。
【図3】実施例3の金属クラスター担持触媒の、EDXによる組成分析の6つの測定点を示した図、及び、EDXによる組成分析結果のうち、パラジウムと銀の元素組成比を示した棒グラフである。
【図4】実施例1及び2、及び比較例1の金属クラスター、並びに、実施例3及び4、及び比較例4の金属クラスター担持触媒のXRDプロファイルである。
【図5】実施例3及び4、並びに比較例4の金属クラスター担持触媒の昇温評価実験結果を示すグラフである。
【図6】実施例5及び6、並びに比較例5の金属クラスター担持触媒の昇温評価実験結果を示すグラフである。
【図7】実施例5及び6、並びに、比較例5の金属クラスター担持触媒の昇温評価実験結果を含む評価結果を、銀含有量を横軸にとってまとめたグラフである。
【図8】比較例5乃至7の金属クラスター担持触媒の昇温評価実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
1.CO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒
本発明のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒は、パラジウムと銀を含む合金を有し、且つ、当該合金が担体に担持されていることを特徴とする。
【0015】
内燃機関から排出される有害ガスの浄化反応を進行させる白金族元素は、酸化され、その浄化活性が低下することが以前から知られている。
触媒の活性点である白金族元素の酸化を抑制する従来の方法としては、例えば、還元雰囲気運転を利用した内燃機関制御を行うことで、排気中の還元剤成分により触媒を還元する方法が知られているが、このような方法は燃費の悪化に繋がるというデメリットがあった。
一方、排ガス浄化触媒を始めとする担持触媒の活性点に他の第2、第3成分を添加することにより、触媒活性や排ガスの酸化選択性が劇的な向上を示すことがこれまでにも知られている。例えば、触媒成分の作用を促進させたり、安定化させたりするために、鉄、ニッケル等の第VIII族元素等を助触媒成分として添加する技術が過去に提案されている。
【0016】
発明者らは、酸素との親和力が弱い銀に着目し、鋭意努力の結果、パラジウムと銀を組み合わせた合金を担体に担持させた担持触媒を、排ガス浄化触媒として利用することにより、銀がパラジウムの炭化水素被毒を防ぐことができ、その結果、長時間にわたりパラジウムによる触媒活性状態を保つことができることを見出した。また発明者らは、本発明に係る排ガス浄化触媒中において、銀がパラジウムと酸素原子との結合を抑制し、パラジウムのメタル状態(0価金属状態)を維持する働きを持つことも見出した。さらに発明者らは、銀自体も高い排ガス浄化能を有するため、結果的にパラジウムと銀を含む合金は、これら2種の金属元素により相乗的に排ガス浄化効果を発揮できることを見出した。
【0017】
なお、上述した特許文献1には、パラジウム−金合金クラスター触媒についての記載がある。発明者らは、パラジウム−金合金についても検討した結果、当該合金は、炭化水素を含む排ガスの浄化能が特に低いという知見を得た。詳細な実験結果は後述する実施例において示す。炭化水素を含む排ガスに対する、パラジウム−金合金の浄化活性が低い理由は明らかではないが、おそらく、金がパラジウムの炭化水素被毒を防ぐ働きを持たないことや、金が排ガス中の炭化水素を酸化した結果、一酸化炭素を生成してしまい、結果的に排ガス濃度の低減に寄与できないこと等が理由として考えられる。
【0018】
本発明において排ガスとは、一酸化炭素、窒素酸化物、飽和炭化水素及び不飽和炭化水素からなる群から選ばれる1又は2以上の気体の混合物を指す。なお、これらの気体の他にも、酸素、二酸化炭素、水蒸気等を含むものも、本発明でいう排ガスに含まれる。本発明に係る排ガス浄化触媒は、上記気体のうち少なくとも1種類、特にCO(一酸化炭素)又はHC(炭化水素)を酸化し、浄化する能力を有する。
【0019】
本発明の排ガス浄化触媒は、合金内におけるパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%であることが好ましい。仮に合金内におけるパラジウムの元素比が10mol%未満であると、十分な排ガス酸化作用が得られなくなり、また、仮に合金内における銀の元素比が0.1mol%未満であると、パラジウムにおける炭化水素被毒を十分に抑制することができなくなってしまう。
なお、合金内におけるパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99mol%:1mol%〜10mol%:90mol%であることがさらに好ましく、Pd:Ag=99mol%:1mol%〜20mol%:80mol%であることが特に好ましく、Pd:Ag=90mol%:10mol%〜25mol%:75mol%であることが最も好ましい。
【0020】
本発明において用いることができる担体は、触媒粒子を担持できる担体であれば特に限定されることはなく、例えば、シリカや、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、イットリア、マグネシア、及び、これらの複合酸化物等を用いることができる。
なお、排ガス浄化触媒の全質量に対する合金の含有割合は、0.1〜10.0質量%であるのが好ましい。
【0021】
2.CO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒製造方法
本発明のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒製造方法は、少なくとも、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質を混合し、当該混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を合成する工程、並びに、前記金属微粒子を担体に担持させる工程を含むことを特徴とする。
【0022】
本発明の排ガス浄化触媒製造方法は、上記のように金属微粒子合成工程及び担持工程を含むが、必ずしもこれら2工程のみには限定されない。
以下、金属微粒子合成工程及び担持工程について、順を追って説明する。
【0023】
本発明でいう金属微粒子合成工程とは、少なくとも、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質を混合し、当該混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を合成する工程のことである。
パラジウム元素の担体への担持は、一般的に、硝酸塩又は錯塩の溶液を酸化物担体に含浸させて担体表面に金属化合物を分散させ、次いで乾燥及び焼成することにより行われている。しかしながらこのような従来の方法では、熱劣化などで粒子が肥大する過程において部分的に複数の触媒成分が合金を形成することはあるものの、組成が均一な合金粒子を形成させることは困難である。本発明でいう金属微粒子合成工程のように、保護物質をさらに加えることによって、2種類の異なる金属元素を高分散させることができ、これを還元することによって合金微粒子を作製し、後の担持工程において保護物質を焼成除去することにより、均一な組成の合金微粒子担持触媒を形成することができる。
【0024】
本発明の製造方法で使用できるパラジウム元素を含む化合物及び銀元素を含む化合物は、パラジウム−銀合金の作製に支障なく用いることができる化合物であれば、いずれも特に限定されない。
パラジウム元素を含む化合物の具体例としては、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、硫酸パラジウム、リン酸パラジウム、塩化パラジン酸、テトラニトロパラジウム酸、硝酸パラジウム、ジクロロジアンミンパラジウム、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム水銀塩、トランス−ジアクアジアンミンパラジウム硝酸塩、ジニトロジアンミンパラジウム、ビス(エチレンジアンミン)パラジウム硝酸塩、ジアクア(エチレンジアンミン)パラジウム硝酸塩、パラジウムベンゾニトリル錯体、パラジウムシクロオクタジエン錯体、パラジウムトリフェニルホスフィン錯体等を用いることができる。
銀元素を含む化合物の具体例としては、過塩素酸銀及び塩素酸銀等のオキシ酸銀、塩化銀や臭化銀等のハロゲン化銀、硝酸銀、硫酸銀、乳酸銀、酸化銀、炭酸銀、酢酸銀並びにシュウ酸銀等を用いることができる。
【0025】
本発明の製造方法で使用できる保護物質は、上述した金属微粒子分散の役割を果たすものであれば特に限定されないが、配位性の物質であり、且つ、パラジウム元素及び銀元素のいずれにも配位能を有する物質であることが好ましい。本発明で用いることのできる保護物質としては、たとえば、親水性高分子等の高分子化合物や両親媒性分子が例示できる。
親水性高分子としては、ポリビニルアルコール(PVA)等の水酸基含有化合物、ポリビニルピロリドン(以下、PVPと略す)等の環状アミド含有化合物、環状イミド含有化合物、ポリアクリル酸(PAA)、ポリ(アクリル酸ナトリウム)、ポリ(アクリル酸カリウム)、ポリアクリル酸部分水和物架橋体、アクリル酸・イタコン酸アミド共重合体等のカルボキシル基含有化合物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物等のカルボン酸エステル化合物、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミド部分加水分解物、ポリアクリルアミド部分加水分解物のアミド基含有化合物、アクリロニトリル共重合体等のニトリル基含有化合物、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリアリルアミン、ポリアミン、N−(3−アミノプロピル)ジエタノールアミン、ポリアミノ酸、ポリリン酸、ヘテロポリ酸等の水溶性または親水性の高分子及びこれらの共重合体、若しくは、シクロデキストリン、アミノペクチン、メチルセルロース、ゼラチンなどの天然物等が例示できる。この中でも、PVPを用いるのが好ましい。
両親媒性分子としては、溶質分子が親水性基と親油性基とを有すればよく、ステアリン酸ナトリウム等の高級脂肪酸アルカリ塩、ドデシル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のアルキルスルホン酸塩、エチルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドの高級アミンハロゲン酸塩、ヨウ化メチルピリジニウム等のハロゲン化アルキルピリジニウム、ヨウ化テトラアルキルアンモニウム等のテトラアンモニウム塩等の陽イオン活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノラウレート等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン活性剤、アミノ酸等の両性表面活性剤等が例示できる。
【0026】
上記パラジウム元素を含む化合物、上記銀元素を含む化合物及び上記保護物質を少なくとも含む混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を得る方法は、特に限定されないが、具体的には、パラジウム及び銀を還元する還元反応が例示できる。ここでいうパラジウム及び銀を還元する還元反応とは、上述したパラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物中の、パラジウム及び銀を、0価のパラジウム及び0価の銀にそれぞれ還元できる還元反応であれば、特に限定されない。
還元反応としては、具体的には、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質の混合物に還元剤を加えることによって生じさせる反応と、当該混合物に還元手段を実行することにより生じさせる反応が挙げられる。
還元剤としては、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質の混合物を分散させる分散媒にもなる液体を用いることが好ましい。分散媒となる液体は、室温(15〜25℃)において液体であれば特に限定されないが、具体的には、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、イソアミルアルコール、n−アミルアルコール、sec−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アリルアルコール、n−プロピルアルコール、2−エトキシアルコール、1,2−ヘキサデカンジオール、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びこれらの水溶液等を用いることができる。この中でも、安価で取り扱いの容易なエタノール水溶液を用いるのが好ましい。
また、これらの分散媒となる液体以外にも、還元剤としては、水素、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、ギ酸、ホルムアルデヒド、ヒドラジンを例示することができる。
還元手段としては、加熱、可視光、紫外線、γ線、超音波を例示することができる。
本発明で使用できる還元反応は、上記還元剤及び還元手段を単独で用いてもよいし、2以上の還元剤及び還元手段を併用してもよい。
【0027】
本発明でいう担持工程とは、上述した金属微粒子を担体に担持させる工程のことである。担体に金属粒子を担持させる際には、通常は加熱、好ましくは焼成を行うが、結果として金属微粒子を担体に担持させることができれば、必ずしも加熱操作を行う必要はない。
本工程において加熱操作を行う場合、加熱温度は、200〜600℃が好ましく、250〜350℃が最も好ましい。
上記温度で加熱(通常は焼成)を行うことによって、金属原子を保護していた保護物質を焼成除去し、且つ、金属微粒子を担体へと担持させることができる。
【0028】
パラジウム元素を含む化合物と銀元素を含む化合物とを好ましいモル比で混合することによって、得られる排ガス浄化触媒が、パラジウム元素による排ガス浄化能、及び、銀元素によるパラジウム元素の炭化水素被毒防止能をバランスよく発揮することができるという観点から、本発明の排ガス浄化触媒製造方法は、パラジウム元素を含む化合物と、銀元素を含む化合物とのモル比が、99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%であることが好ましい。なお、パラジウム元素を含む化合物と、銀元素を含む化合物とのモル比が99mol%:1mol%〜10mol%:90mol%であることがさらに好ましく、99mol%:1mol%〜20mol%:80mol%であることが特に好ましく、90mol%:10mol%〜25mol%:75mol%であることが最も好ましい。
【実施例】
【0029】
1.金属クラスターの合成
[実施例1]
反応容器にPVP K−25(関東化学株式会社製。平均分子量35,000)3.33g(30.0mmol)を加え、エタノール700gで完全に溶解させ、加熱還流した。次いで、別の反応容器に硝酸銀0.255g(1.50mmol)を加え、15mLの蒸留水に溶解させ、さらに、エタノール50mLに酢酸パラジウム0.337g(1.50mmol)を溶解させた溶液を加えた。このパラジウム−銀のエタノール水溶液を、PVPのエタノール溶液に加え、バス温110℃で3時間加熱還流させ、Pd及びAgを還元した後、反応溶液を室温まで放冷した。液量が50mL程度になるまで濃縮し、微粒子分散液(Pd/Ag(5/5)クラスター分散液)を得た。
【0030】
[実施例2]
反応容器にPVP K−25(関東化学株式会社製。平均分子量35,000)3.33g(30.0mmol)を加え、エタノール700gで完全に溶解させ、加熱還流した。次いで、別の反応容器に硝酸銀0.153g(0.90mmol)を加え、15mLの蒸留水に溶解させ、さらに、エタノール50mLに酢酸パラジウム0.471g(2.10mmol)を溶解させた溶液を加えた。このパラジウム−銀のエタノール水溶液を、PVPのエタノール溶液に加え、バス温110℃で3時間加熱還流させ、Pd及びAgを還元した後、反応溶液を室温まで放冷した。液量が50mL程度になるまで濃縮し、微粒子分散液(Pd/Ag(7/3)クラスター分散液)を得た。
【0031】
[比較例1]
反応容器にPVP K−25(関東化学株式会社製。平均分子量35,000)2.75g(24.8mmol)を加え、イオン交換水375gで完全に溶解させた。次いでPdCl水溶液(Pd含有量:14.9質量%)3.54g(4.95mmol)及びエタノール375gを加えた。これをバス温110℃で3時間加熱・還流させ、Pdを還元した後、反応溶液を室温まで放冷した。その後、液量が50ml程度になるまで濃縮し、微粒子分散液(Pdクラスター分散液)を得た。
【0032】
[比較例2]
反応容器にPVP K−25(関東化学株式会社製。平均分子量35,000)2.75g(24.8mmol)を加え、イオン交換水375gで完全に溶解させた。次いで、HAuCl水溶液(Au含有量:30.4質量%)0.96g(1.49mmol)、PdCl水溶液(Pd含有量:14.9質量%)2.47g(3.46mmol)及びエタノール375gを加えた。これをバス温110℃で3時間加熱・還流させ、Au及びPdを還元した後、反応溶液を室温まで放冷した。その後、液量が50ml程度になるまで濃縮し、微粒子分散液(Pd/Au(7/3)クラスター分散液)を得た。
【0033】
[比較例3]
反応容器にPVP K−25(関東化学株式会社製。平均分子量35,000)2.75g(24.8mmol)を加え、イオン交換水375gで完全に溶解させた。次いで、HAuCl水溶液(Au含有量:30.4質量%)0.32g(0.50mmol)、PdCl水溶液(Pd含有量:14.9質量%)3.20g(4.50mmol)及びエタノール375gを加えた。これをバス温110℃で3時間加熱・還流させ、Au及びPdを還元した後、反応溶液を室温まで放冷した。その後、液量が50ml程度になるまで濃縮し、微粒子分散液(Pd/Au(9/1)クラスター分散液)を得た。
【0034】
2.金属クラスター担持触媒の合成
2−1.球状シリカを担体として用いた担持触媒の合成
[実施例3]
実施例1で作製したPd/Ag(5/5)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A1)。
一方、他の反応容器に所定量の担体粉末(球状シリカ)を加え、水を50mL加えて分散させた(分散液B)。分散液Bを分散液A1に加えて150℃で加熱攪拌することにより分散媒(すなわちエタノール水溶液)を除去した。分散媒除去後の固体を120℃の温度条件下で12時間乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、空気中5時間300℃で焼成することにより、担持触媒粉末を得た。これらの粉末を、196MPaで高圧成型することにより、パラジウム含有割合が1質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0035】
[実施例4]
実施例2で作製したPd/Ag(7/3)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A2)。
後は、実施例3と同様に、上記分散液Bを分散液A2に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウム含有割合が1質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0036】
[比較例4]
比較例1で作製したPdクラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A3)。
後は、実施例3と同様に、上記分散液Bを分散液A3に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウム含有割合が1質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0037】
2−2.針状γアルミナを担体として用いた担持触媒の合成
[実施例5]
実施例1で作製したPd/Ag(5/5)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A1)。
一方、他の反応容器に所定量の担体粉末(針状γアルミナ)を加え、水を50mL加えて分散させた(分散液C)。分散液Cを分散液A1に加えた後、150℃で加熱攪拌することにより分散媒(すなわちエタノール水溶液)を除去した。分散媒除去後の固体を120℃の温度条件下で12時間乾燥させた後、乳鉢で粉砕し、空気中5時間300℃で焼成することにより、担持された総金属重量が0.5質量%である担持触媒粉末を得た。これらの粉末を、196MPaで高圧成型することにより、パラジウムと銀の合計の含有割合が0.5質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0038】
[実施例6]
実施例2で作製したPd/Ag(7/3)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A2)。
後は、実施例5と同様に、上記分散液Cを分散液A2に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウムと銀の合計の含有割合が0.5質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0039】
[比較例5]
比較例1で作製したPdクラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A3)。
後は、実施例5と同様に、上記分散液Cを分散液A3に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウムの含有割合が0.5質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0040】
[比較例6]
比較例2で作製したPd/Au(7/3)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A4)。
後は、実施例5と同様に、上記分散液Cを分散液A4に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウムと金の合計の含有割合が0.5質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0041】
[比較例7]
比較例3で作製したPd/Au(9/1)クラスター分散液を反応容器に加え、水を加えて100mLに希釈した後、攪拌子を容器に入れてマグネチックスターラーで攪拌した(分散液A5)。
後は、実施例5と同様に、上記分散液Cを分散液A5に加えて加熱攪拌、乾燥、焼成、高圧成型することにより、パラジウムと金の合計の含有割合が0.5質量%となるペレット状の試料を作製した。
【0042】
以下、金属クラスター担持触媒の分析及び触媒活性評価を行った。下記表1に、各分析及び評価に用いた試料についてまとめた。なお、比較例2及び比較例3の金属クラスター分散液は、それぞれ比較例6又は比較例7の金属クラスター担持触媒の原料であり、比較例2及び比較例3の金属クラスター分散液自体は、分析及び評価には用いなかった。
【0043】
【表1】

【0044】
3.金属クラスター担持触媒の分析
3−1.STEM分析
実施例1及び2の金属クラスター、並びに、実施例3及び4の金属クラスター担持触媒について、HD−2000(日立製。加速電圧:200kV)を用いてSTEM分析を行った。
実施例1及び2の微粒子分散液は、エタノールで希釈し、モリブデングリッドに滴下後、乾燥させたものを測定した。
【0045】
図1は、実施例1の金属クラスター等に係るSTEM観察像である。
図1(a)は、実施例1の金属クラスターのSTEM観察像、図1(b)は、実施例3の金属クラスター担持触媒のSTEM観察像である。実施例1の金属クラスター(すなわち担持前)の平均径は4.2nmであり、当該金属クラスターの粒径の標準偏差は2.6nmであった。
【0046】
図2は、実施例2の金属クラスター等に係るSTEM観察像である。
図2(a)は、実施例2の金属クラスターのSTEM観察像、図2(b)は、実施例4の金属クラスター担持触媒のSTEM観察像である。実施例2の金属クラスター(すなわち担持前)の平均径は4.0nmであり、当該金属クラスターの粒径の標準偏差は2.9nmであった。
【0047】
図3(a)は、実施例3の金属クラスター担持触媒の、STEM−EDXによる組成分析の6つの測定点を示した図であり、図3(b)はEDXによる組成分析結果のうち、パラジウムと銀の元素組成比を示した棒グラフである。図3(b)に示すように、いずれの測定点においてもパラジウム元素(棒グラフ中の白い領域)と銀元素(棒グラフ中の黒い領域)が存在し、且つ、その存在比を平均すると、おおよそ50対50に近い値であることが分かる。
【0048】
3−2.XRD分析
実施例1及び2、及び比較例1の金属クラスター、並びに実施例3及び4、及び比較例4の金属クラスター担持触媒について、RINT2000(リガク製)を用いてXRD分析を行った。詳細な測定条件は以下のとおりである。
X線源:CuKα
サンプリング間隔:0.02deg.
スキャン速度:2.4deg./min
発散スリット(DS):2/3deg.
散乱スリット(SS):2/3deg.
受光スリット(RS):RS(mm)
管電圧:50kV
管電流:300mA
【0049】
図4(a)は、実施例1及び2、並びに比較例1の金属クラスターのXRDプロファイルである。図4(a)の上から、比較例1、実施例2、実施例1のXRDプロファイルをそれぞれ示す。
比較例1のXRDプロファイル(上段)において、Pd(111)面回折ピークが39.9°に現れたのに対し、実施例1(下段)及び実施例2(中段)のXRDプロファイルにおいては、(111)面回折ピークが38.8°(実施例1)又は39.1°(実施例2)にそれぞれ現れた。これら39°近傍の値は、Pd(111)面回折ピークの値(39.9°)と、Ag(111)面回折ピークの値(38.2°)の間の値であることから、実施例1及び実施例2の微粒子分散液においては、いずれもパラジウムと銀の合金微粒子が得られたことが示唆される。
【0050】
図4(b)は、実施例3及び4、並びに比較例4の金属クラスター担持触媒のXRDプロファイルである。図4(b)の上から、比較例4、実施例4、実施例3のXRDプロファイルをそれぞれ示す。
比較例4のXRDプロファイル(上段)においては、比較例1のXRDプロファイル(図4(a)上段)には現れていなかったPdO(101)面回折ピークが33.8°に強く現れたのに対し、実施例3(下段)及び実施例4(中段)のXRDプロファイルにおいては、33.8°のピークの強度は比較的弱いものであった。これらの結果から、比較例4の金属クラスター担持触媒においては、焼成工程においてパラジウムが完全に酸化されてしまったのに対し、実施例3及び実施例4の金属クラスター担持触媒においては、クラスター内に銀を含むことにより、パラジウムの酸化が若干抑制されたことが示唆される。
【0051】
4.触媒活性評価1
実施例3及び4、並びに比較例4の金属クラスター担持触媒のペレット2gを用いて、一酸化炭素1%+酸素10%(窒素バランス)、総流量10L/minのサンプルガスを流通させ、昇温評価を実施した。このような昇温評価実験は、触媒の一酸化炭素酸化活性を評価するものであり、一酸化炭素が酸化される温度が低いほど、触媒活性が高いものであると評価することができる。
図5は、触媒の昇温評価実験結果を示すグラフであり、縦軸に一酸化炭素浄化率(%)を、横軸に温度(℃)を取ったグラフである。グラフからも分かるように、比較例4(グラフ中の「Pdコロイド」)の一酸化炭素酸化開始温度は210℃、50%一酸化炭素酸化温度が300℃以上であったのに対し、実施例3(グラフ中の「Ag:Pd=5:5」)及び実施例4(グラフ中の「Ag:Pd=3:7」)の一酸化炭素酸化開始温度は、いずれも200℃未満であり、両実施例の50%一酸化炭素酸化温度は250℃未満であった。以上より、パラジウムと銀との合金を含む実施例3及び実施例4の触媒は、パラジウムを含んで銀を含まない比較例4の触媒と比較して、いずれも、より低い温度から一酸化炭素を酸化できることが確認できた。このことは、銀の存在により触媒活性が向上したことを示唆している。
【0052】
5.触媒活性評価2
実施例5及び6、並びに、比較例5乃至7の金属クラスター担持触媒のペレット2gを用いて、下記表2に示す組成(窒素バランス)、且つ、総流量10L/minのサンプルガスを流通させ、昇温評価を実施した。なお下記表2中の「C」はプロピレンを指す。
【0053】
【表2】

【0054】
図6は、実施例5及び6、並びに、比較例5の触媒の昇温評価実験結果を示すグラフであり、縦軸に一酸化炭素浄化率(%)(図6(a))又は全炭化水素浄化率(%)(図6(b))を、横軸に温度(℃)を取ったグラフである。また、図8は、比較例5乃至7の触媒の昇温評価実験結果を示すグラフであり、縦軸に一酸化炭素浄化率(%)を、横軸に温度(℃)を取ったグラフである。
図6(a)及び図8のグラフから分かるように、比較例5(図6(a)中の「Pdコロイド」)の一酸化炭素浄化率は、昇温に伴って著しく低下し、また、比較例6(図8中の「Au:Pd=3:7」)、及び、比較例7(図8中の「Au:Pd=1:9」)の一酸化炭素浄化率は、昇温してもほぼ0%のままであった。これに対し、実施例5(図6(a)中の「Ag:Pd=5:5」)及び実施例6(図6(a)中の「Ag:Pd=3:7」)の一酸化炭素浄化率は、昇温に伴って向上し、特に250℃付近を境にして一酸化炭素酸化特性の急激な向上が見られた。なお、特に300℃以上の高温域においては、実施例5の金属クラスター担持触媒の一酸化炭素浄化率は、実施例6の金属クラスター担持触媒の一酸化炭素浄化率よりも高い結果となった。
図6(b)のグラフから分かるように、比較例5(グラフ中の「Pdコロイド」)の全炭化水素酸化開始温度は300℃近傍であり、400℃まで昇温しても全炭化水素浄化率は60%に満たなかった。これに対し、実施例5(グラフ中の「Ag:Pd=5:5」)及び実施例6(グラフ中の「Ag:Pd=3:7」)の全炭化水素酸化開始温度は、いずれも250℃近傍であり、400℃まで昇温したところ全炭化水素浄化率はいずれも60%以上となった。特に、実施例5の金属クラスター担持触媒の全炭化水素浄化率は、400℃において80%を超える値となった。
以上より、パラジウムのみを触媒金属として含む従来の触媒や、パラジウムと金を含む合金を有する従来の触媒は、実際のディーゼルエンジンから排出されるガスに近い組成を持つ混合ガス雰囲気下において、ほとんど酸化活性を示さないことが分かった。これら従来の触媒は、混合ガス中のプロピレンによってパラジウムが被毒されることにより、酸化活性が低下したと考えられる。一方、パラジウムと銀を含む合金を有する本発明の排ガス浄化触媒は、当該混合ガス雰囲気下でも、パラジウムが炭化水素被毒されることなく、優れた酸化活性を示すことが見出された。
【0055】
図7は、実施例5及び6、並びに、比較例5の金属クラスター担持触媒の昇温評価実験結果を含む評価結果を、銀含有量を横軸にとってまとめたグラフである。図7(a)は、一酸化炭素1%+酸素10%(窒素バランス)、総流量10L/minのサンプルガスを流通させたときの結果を、図7(b)及び(c)は、上記表2の組成、総流量10L/minのサンプルガスを流通させたときの結果を、それぞれまとめたグラフである。また、図7(a)及び(b)は、縦軸に50%一酸化炭素浄化温度(℃)を取ったグラフであり、図7(c)は、縦軸に50%炭化水素浄化温度(℃)を取ったグラフである。さらに、図7(a)乃至(c)のいずれのグラフにおいても、銀含有量0mol%のプロットは比較例5の触媒を用いた実験結果を示しており、また、50%排ガス浄化温度が低い程、排ガス浄化能が高い触媒であることを示している。
図7(a)から分かるように、合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=90mol%:10mol%〜25mol%:75mol%である場合には、銀含有量0mol%の場合(比較例5)よりも優れた一酸化炭素浄化能を有することが分かる。また、図7(b)から分かるように、炭化水素共存下においては、パラジウムと銀の合金触媒が、いずれの組成比においても、銀含有量0mol%の場合(比較例5)よりも優れた一酸化炭素浄化能を有することが分かる。
以上の結果から、優れた一酸化炭素酸化活性が得られるという観点からは、本発明の排ガス浄化触媒は、合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜20mol%:80mol%であることが好ましい。
一方、図7(c)から分かるように、合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=90mol%:10mol%〜25mol%:75mol%である場合には、銀含有量0mol%の場合(比較例5)よりも優れたプロピレン浄化能を有することが分かる。
以上の結果から、優れた炭化水素酸化活性が得られるという観点からは、本発明の排ガス浄化触媒は、合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%であることが好ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラジウムと銀を含む合金を有し、且つ、当該合金が担体に担持されていることを特徴とする、CO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒。
【請求項2】
前記合金中のパラジウムと銀の元素モル比が、Pd:Ag=99.9mol%:0.1mol%〜10mol%:90mol%である、請求項1に記載のCO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒。
【請求項3】
少なくとも、パラジウム元素を含む化合物、銀元素を含む化合物及び保護物質を混合し、当該混合物を用いて、いずれも還元されたパラジウム及び銀を含む金属微粒子を合成する工程、並びに、
前記金属微粒子を担体に担持させる工程を含むことを特徴とする、CO又はHC浄化用の排ガス浄化触媒製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−78857(P2011−78857A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230643(P2009−230643)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】