説明

DNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法

【課題】DNAマイクロアレイの蛍光画像を効率かつ迅速に行うことができ、スポット位置の特定等の解析処理のスピードを向上させる。
【解決手段】そこで、蛍光画像解析方法は、DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略ステップと、前記概略ステップで、各検出エリアにおいて輝度が検出された枠から上下各nピクセル、左右各nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細ステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDNAマイクロアレイの蛍光画像を解析する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1にあるようなDNAマイクロアレイのスポット位置の特定方法があった。この方法は、スキャン画像に2次元の画像フーリエ変換を施し、基本周波数からスポットの間隔を求めるものであり、概略のスポット位置を確定した後で、個々のスポットの位置に関して詳細な位置合わせを行うという処理をする。
【0003】
この方法の利点は、いわゆるピン法と呼ばれるようなDNAマイクロアレイの製造方法で作製されるプローブ位置が不安定なDNAマイクロアレイであっても、非常に柔軟にスポットの位置が特定できる、というところにある。しかしながら、特許文献1にあるような従来方法では、スポットの位置の特定に非常に多くの時間がかかるという欠点があった。
【0004】
一方、特許文献2に記載のインクジェットは非常に印字精度が高く、DNAマイクロアレイの製造に好適に用いることができる。しかし、DNAマイクロアレイ基板の表面には、プローブ以外にごみや汚れ等の異物が付着している場合があり、この異物はノイズ輝度として検出されてしまう。このようなDNAマイクロアレイに特許文献1にあるような従来方法を適用してプローブの位置情報を得ようとすると、スポットの近傍に存在する高い輝度のノイズに引きずられてスポットの間隔や概略位置、詳細位置などがずれてしまうことがあるという欠点があった。
【特許文献1】米国特許第6498863号明細書
【特許文献2】特許第3507462号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ハイブリダイゼーションや洗浄のプロセスを制御することは非常に難しいので、このスポット近傍の輝度の高いゴミ、ノイズは除去するのが非常に困難となる。また、この輝度の高いゴミ、ノイズによるスポット位置のずれは、スポット位置特定方法の信頼性を非常に下げる要因となっており、人の目で見るとずれていることが一目瞭然にもかかわらず、特許文献1に記載の方法ではどうしても解決できない課題であった。つまり、ゴミや汚れに起因するノイズがあるDNAマイクロアレイの蛍光画像に対して、特許文献1に記載の従来方法を適用すると、正確なスポット間隔にもかかわらず、スポットの位置を誤って特定してしまう、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本発明に係るDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法は、
DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、
検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、
前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略ステップと、
前記概略ステップで、各検出エリアにおいて輝度が検出された枠から上下各nピクセル、左右各nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細ステップと、
を有することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法は、
DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、
検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、
前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略位置特定ステップと、
前記概略位置特定ステップで、各検出エリアにおいて最も高い輝度値が検出された枠を中心としてn×nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細位置特定ステップと、
を有し、前記詳細位置特定ステップで最も高い輝度値が検出された枠をスポットの中心位置として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、DNAマイクロアレイの蛍光画像を効率かつ迅速に行うことができる。したがって、スポット位置の特定等の解析処理のスピードを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明について詳述する前に、本発明の蛍光画像解析方法が適用される装置構成及びスキャンした蛍光画像の例を以下に示し、説明する。
【0010】
まず、図2は本発明に係わる蛍光画像解析方法が適用される情報処理装置の構成の例を示すブロック図である。蛍光画像解析方法は、例えば、外部記憶装置201、中央処理装置(CPU)202、メモリ203、入出力装置204から構成される装置によって実行される。外部記憶装置201は、本発明の蛍光画像解析方法を実現するプログラムや、スキャンした蛍光画像等を保持する。また、生物種類判定結果を保持する機能を持たせることもできる。中央処理装置(CPU)202は蛍光画像解析方法のプログラムを実行したり、すべての装置の制御を行なったりする。メモリ203は中央処理装置(CPU)202が使用するプログラム、及びサブルーチンやデータを一時的に記録する。入出力装置204は、ユーザーとのインタラクションを行う。多くの場合、本発明の蛍光画像解析方法を実現するプログラム実行のトリガーはこの入出力装置を介してユーザーが出す。また、ユーザーが結果を見たり、プログラムのパラメータ制御をこの入出力装置を介して行う。
【0011】
蛍光画像は、DNAマイクロアレイをスキャナーで画像として取り込むことにより得られる。DNAマイクロアレイに対して所定波長のレーザー光を照射して走査することにより、各スポットの蛍光を測定でき、スキャンして得られたDNAマイクロアレイの蛍光画像は、画像ファイルとして記憶装置に格納される。そして、解析処理において、その画像ファイルが読み込まれ、本発明の蛍光画像解析方法が実行される。なお、画像ファイルを介さずに、スキャナーにより読み込まれたDNAマイクロアレイの蛍光画像が順次解析システムに入力されてもよい。前記所定波長のレーザー光は、蛍光測定用の励起光源である。このレーザー光の波長は、例えば蛍光色素Cy3,Cy5に対応する励起波長を挙げることができる。また、画像ファイルは、例えば、グレイスケールTiffフォーマット、Multi−ImageTiffフォーマット、JPEGフォーマットなどを用いることができる。
【0012】
次に、蛍光画像の一例を図3に示す。なお、図3では、蛍光強度の強いスポット程、より白い色で示している。図3に示すように、DNAマイクロアレイは、その基板上に、行方向および列方向に所定数、マトリクス状に個々のプローブが印字されてなる。図3では、縦12×横16(合計192個)のマトリックス状に、個々のプローブが印字されている。また、左右の横の列と上の行に存在する(16+11+11)=38個のスポットが位置マーカーとしての役割を果たしている。なお、位置マーカーの基板上における配置位置は予め定められている。
【0013】
一般に、近年の技術により作製されたDNAマイクロアレイのスポット配置は非常に正確である。例えば特許文献2に記載のインクジェットは印字精度が高いため、このインクジェットにより作製されたDNAマイクロアレイのスポットの配置位置は非常に正確である。このため、アレイの作製時の位置制御から逆算して、蛍光画像におけるスポット間(隣接するスポット同士の中心間)のピクセル値、スポットの直径のピクセル値などを求めることができる。ここで、、例えばアレイ基板の大きさが3cm×3cm、蛍光画像のスキャンの解像度が5μmだとすると、入力画像のピクセル数は6000×6000となる。そして、例えばスポット間隔(隣接するスポットの中心の間隔)が250μm、スポットの直径が50μmだとすると、図3のDNAマイクロアレイ(縦12×横16個)(合計192個)の全体は縦560ピクセル、横760ピクセルのスポットの相対位置を示すテンプレート(以下スポット配置テンプレートと呼ぶ)になる。
【0014】
次に、図4を用いて、枠を1ピクセルずつ移動させながら、スポット位置を探索する従来の方法について説明する。なお、以下の説明におけるスポット位置とは、スポットに属するピクセルのうち最も輝度値が高いピクセルの位置(座標)として説明する。
【0015】
一番左上のスポット位置を基準位置として、そこからそれぞれのスポット位置をオフセット計算して、そこにスポットがあるとする。オフセット計算とはスポット配置テンプレートの位置を基準(普通は左上)として、スポット配置テンプレートに従い、スポットの絶対位置(=スポット配置テンプレートの位置+スポット間の相対位置)を導き出すことをいう。そして、例えば位置マーカー(図3の例だと38個のスポット)に相当するピクセルの平均輝度や輝度中央値をそのスポット配置テンプレート位置のスコアとする。例えば、図4のように位置マーカーが4つある場合は、1つのスポット配置テンプレートにつき、4つのピクセルの平均輝度又は輝度中央ちをそのスポット配置テンプレート位置のスコアとする。そして、スポット配置テンプレートを1ピクセルずつ移動しながら前記スコアを計算していって、最もスコアが高い位置をスポット位置とする。なお、本発明の説明では、プローブの最も輝度が高い中央のピクセル位置を特定する方法について記述するが、特にこの方法に限定されるものではない。勿論、円形のプローブ形状を反映した複数ピクセルの計算をしてスコアを求めてもよいが、それだけ計算時間が必要となる。なお、スポット位置のデータは、ピクセル位置の座標、蛍光輝度の情報を含む。
【0016】
図3に示したスポット配置と基板構成について、図4に示した従来方法でスポット位置を計算をすると、移動のループが5440×5240となり、非常に多くの計算時間が必要となる。更に、スキャン画像には微小な回転があるので、それを考慮すると更にその10倍以上の時間が必要になる場合もある。この枠を1ピクセルずつ移動させながらスポット位置を求める従来の方法は、DNAマイクロアレイの品質が非常に高い場合、非常に信頼できるスポット位置の特定方法であるが、前記の説明の通り、計算時間が非常に必要となるという欠点があった。
【0017】
本発明はこの欠点を克服するためになされたものであり、図5に示すように、枠の位置をnピクセルずつジャンプしながらスポットに関する情報を概略的に求めておいて、次にその上下左右で1ピクセルずつずらしながら詳細に情報を求めるという方法である。
【0018】
したがって、本発明に係る蛍光画像解析方法は、
DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、
検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、
前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略ステップと、
前記概略ステップで、各検出エリアにおいて輝度が検出された枠から上下各nピクセル、左右各nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細ステップと、
を有することを特徴とする。
【0019】
本発明により、DNAマイクロアレイの蛍光画像の解析時間を短縮することができる。
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
(実施形態1)
図9は、DNAマイクロアレイの蛍光画像の概略図を示している。また、図10は、解析処理において、DNAマイクロアレイの画像ファイルに対して適用されるテンプレートの一例を、図9に示した蛍光画像にあてはめた場合について示している。図10に示すように、テンプレートは、例えば複数の検出エリア(803)に分けられており、この検出エリアの形状や間隔は、DNAマイクロアレイの個々のスポット(801)に対応するように適宜決定することができる。図10では、縦9×横6(計54個)のスポットの配置に対応するように、形状を四角形として検出エリアが配置されているが、特にこの例に限定されるものではない。各スポットの推定される位置(推定される配置位置)を基準として、スポットの検出エリアを設定する。検出エリアの形状は、たとえば、円形、楕円形、正方形、長方形でもよく、特に限定されるものではない。この検出エリアの間隔や大きさ、形状等は、印字するスポットの間隔や大きさ、形状等から適宜決定することができる。なお、図10では、全てのスポットが各検出エリア内に入っている場合について示している。また、検出エリアの位置は、例えばXY両方向において、例えば(m、n)(m、nは整数)と表すことができる。
【0022】
印字するスポットの形状を、例えば、半径rの円形とし、各スポット間隔(隣接するスポットの中心の間隔)をDsとする。その際、各スポットの検出エリアの形状を、例えば、正方形とし、その一辺のサイズLaは、r<La<Dsの範囲に選択することが好ましい。
【0023】
図11は、図10における検出エリア(803)があてはめられたスポットの4箇所(804)を拡大した図である。そして、図12は、検出エリアがあてはめられたスポットの1箇所を拡大表示した図である。検出エリアはピクセルに対応する枠(805)に分割されており、各枠の位置は例えば(x、y)(x、yは整数)と表すことができる。
【0024】
上述のように、本発明の蛍光画像の解析処理においては、読みとられたDNAマイクロアレイの蛍光画像中の個々のスポットが、解析ツールが提供するテンプレートの検出エリアに当てはめられる。そして、本発明では、その検出エリアにある全部の枠について蛍光輝度を測定するのではなく、まず、枠をnピクセルずつジャンプしながら概略のスポットの形状や輝度等を把握してから、次に詳細にスポットの形状、輝度等について計算していく。
【0025】
つまり、本発明の蛍光画像解析方法は、個々のスポットについて、概略の情報を取得する概略ステップと、詳細に情報を取得する詳細ステップから構成される。情報としては、スポットの位置や輝度、形状等が含まれる。以下、概略ステップ、詳細ステップについて説明する。
【0026】
概略ステップでは、個々のスポットの情報について大まかに情報を取得するため、検出エリアの枠をnピクセルずつ飛ばしながら情報(例えば、輝度)を取得する。図13は、図12を例に挙げた場合において、概略ステップでnを5とした場合に測定する枠を示す。図13では、あるスポットの検出エリアについて、概略ステップにおいて測定した121枠のうち、49枠において輝度が観測されている。なお、図13では、測定を開始する位置を検出エリアの一番左上にある枠としたが、とくにこれに限定されるものではなく、どの枠でもよい。ここで、この概略ステップにおけるジャンプするピクセル数(n)は少なくとも2以上の整数である。そして、少なくともスポットの直径(2r)に相当するピクセル数以下であることが望ましい。なぜならば、nをスポットの直径(2r)を超えるピクセル数に設定して概略ステップを実行すると、スポットをまたがって枠が移動する可能性があるからである。nの値としては、スポットに内接する正方形の一辺(2r/√2)に対応するピクセル数より小さい値とすることがより好ましく、スポットの半径(r)に対応するピクセル数より小さい値とすることがさらに好ましい。
【0027】
各ピクセルにおいて、「輝度が検出される」とは、スポット以外の領域で観測される「バックグランド値」を基準として、その「バックグランド値」を超える「輝度」が観測される状態を意味する。
【0028】
また、他の例として、図14には、図12の場合において、概略ステップでnを8とした場合に測定する枠を示す。
【0029】
そして、次に、詳細ステップにおいて、概略ステップで輝度が観測された全ての枠について、その枠から(その枠を含んで)上下各nピクセル、左右各nピクセルの中にある枠について輝度を測定する。なお、重複する枠については1回測定すればよい。概略ステップで輝度が観測された枠から上下各nピクセル、左右各nピクセルのブロックを測定すれば、スポット内にある全ての枠について情報を得ることができるからである。
【0030】
スポットに関して得られた情報はどのような形で出力されても構わない。例えば、スポットの蛍光輝度は、平均輝度や輝度中央値として表示することができる。また、例えば、スポット位置は、スポットに属する枠のうち中央部にある枠のピクセル座標として表示することができる。
【0031】
このような概略ステップと詳細ステップを組み合わせて画像を解析することにより、スポット内に属する枠全てについて、効率的に情報を得ることができ、蛍光画像の解析時間の短縮を図ることができる。
【0032】
(実施形態2)
次に、図面に基づいて本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、最も高い輝度を示すスポットの中心の座標(以下、スポット中心位置と略す)を求めるのに好適な本発明に係る実施形態である。一般にスポットの中心になるほど輝度が高くなる。
【0033】
図15は、第2の実施形態によるDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法の処理手順を説明するフローチャートである。
【0034】
システムの入力は、例えば蛍光画像をスキャンして得られた画像データにより行われる。出力は、スポット中心位置、つまり、個々のスポットにおいて最も輝度が高い枠のピクセル座標となる。例えば、{検出エリア(m、n)、ピクセル位置(x、y)}というように出力することができる。
【0035】
次に、スポット中心位置の概略位置を求めるループ(以下、概略位置特定ループと略す)について説明する。
【0036】
この概略位置特定ループ(102)では、枠をnピクセルずつジャンプさせ移動させながら、その枠の輝度を求める(図5)。そして、位置の評価(103)で、現在測定対象となっている枠の輝度値とそれまでに得られた概略位置特定ループにおける最大輝度値とを比較する。そして、測定対象となっている枠の輝度値がそれまでに得られている最大輝度値を超えた場合は、概略位置の更新(104)となる。つまり、最終的に、概略位置特定ループの終了(106)時点で、最も高い輝度値を示す枠の位置(座標)が概略位置(105)に格納されることになる。
【0037】
このようにすることで、概略位置(最大スコアを示したピクセルの座標)から上下左右nピクセルの範囲内に、スポット中心位置が入ることになる。ここで、上下左右nピクセルとは、概略位置を中心とする縦n×横nのブロックに入るピクセルのことである。
【0038】
例えば、図13を例に挙げて説明する。図13では、概略位置特定ループにおいて輝度値を測定した121枠のうち、輝度が観測された枠(807)は49枠であり、そのうち最も中心(809)に近い枠(808)は、最大輝度値を示す。そして、最大輝度値を示した枠(808)を中心に縦5×横5のピクセルからなるブロック内にスポットの中心が入っている。
【0039】
この概略位置特定ループにおけるジャンプするピクセル数(n)については、少なくともスポットの直径(2r)に相当するピクセル数以下であることが望ましい。なぜならば、nをスポットの直径(2r)を超えるピクセル数に設定して概略位置特定ループ(102)を実行すると、スポットをまたがって枠が移動する可能性があるからである。nの値としては、スポットに内接する正方形の一辺(2r/√2)に対応するピクセル数より小さい値とすることがより好ましく、プローブの半径(r)に対応するピクセル数より小さい値とすることがさらに好ましい。例えば、上述した例のようにスポットの直径が50μm(2r=10)の場合においては、nは10〜2とすることができ、7〜3とすることが好ましく、5〜4とすることがより好ましい。
【0040】
次に、詳細位置特定ループ(107)について説明する。
【0041】
位置の評価(108)は、概略位置特定ループにおける位置の評価(103)のステップと同じ論理ルーチンとなる。また、109のベスト位置の更新は104のステップと同じ論理ルーチンとなる。
【0042】
具体的に説明すると、詳細位置特定ループ(107)では、概略位置特定ループで確定した概略位置から上下左右nピクセルの範囲で、1ピクセルずつ枠を移動させ、輝度を測定する。つまり、合計n×nピクセル数、枠を移動させることになる。前述したように、概略位置特定ループで求めた概略位置を中心に上下左右nピクセルの範囲にスポット中心位置が入っている。したがって、この範囲において最大スコアを示すピクセルの座標(ベスト位置)を求めることにより、スポット中心位置を詳細に求めることができる。なお、上下左右nピクセルとは、概略位置を中心とする縦n×横nのブロックに入るピクセルのことである。
【0043】
最終的に、詳細位置特定ループを終了し(111)終了すると、正確なスポット中心位置がベスト位置(110)に格納されていることになる。なお、概略位置特定ループで行う処理内容を概略位置特定ステップと、詳細位置特定ループで行う処理内容を詳細位置特定ステップと表現することもできる。
【0044】
例えば、表13に示した検出エリアは、縦が54個、横が52個の枠からなっている。この検出エリアについて従来の方法により各枠の輝度を測定すると、2808個の枠について測定しなければならない。一方、本発明に係る解析方法を利用すると(測定開始枠は一番左上の枠)、概略位置特定ループでは11×11=121枠、詳細位置特定ループでは5×5−1=24枠、計121+24=145枠を測定するのみで済む。したがって、本発明に係る画像解析方法は従来方法よりも格段に解析スピードを向上させることができる。
【0045】
(実施形態3)
図1は、第3の実施形態によるDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法の処理手順を説明するフローチャートである。第3の実施形態は、前記第2の実施形態に回転ループを加え回転補正を行う形態である。出力は、第2の実施形態と同様に、スポット中心位置(110)、つまり、個々のスポットについて、もっとも輝度が高いスポットの中心の位置を示すピクセル座標となる。
【0046】
本実施形態のDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法は3つのネストしたループで構成される。3つのループとは、回転ループ(101)、概略位置特定ループ(102)及び詳細位置特定ループ(107)である。基本的にはこの3つのループを全部巡回した後で、スポット中心位置が決定される。実施形態2にさらに回転ループを加えることで回転補正を行うことができ、より正確なスポット中心位置を求めることができる。スキャン画像は微小な回転成分を含んでいる場合が多いので、正確なスポット中心位置の特定には回転のループ(101)が必要となる場合が多い。つまり、DNAマイクロアレイ上の各スポットの蛍光強度を算出し、正確な解析を実行するためには、画像上の個々のスポットに対して、予め定義されている、DNAマイクロアレイに配置された個々の検出エリアが正しく設定される必要がある。つまり、読み取られた画像を正しく解析するためには、個々のスポットに対して対応する個々の検出エリアが正しく当てはめられる必要がある。しかし、何らかの理由によりずれが生ずる場合があるため、このズレを回転補正し、対応するテンプレートの検出エリアに個々のスポットが正しく設定されるようにすることが好ましい。例えば、画像データを例えば0.1度ずつ20回ループすることによって、マイナス1度からプラス1度の回転補正ができる。
【0047】
従来は、例えば縦軸、横軸の画像ピクセル値の加算を行い、ヒストグラムを解析することによって、予め画像の回転を行う方法が主流だった。しかしながら、この方法は位置マーカーが図3のように一列に並んでいる場合しか適用できない。例えば斜めに位置マーカーが並んでいるプローブレイアウトや、非常に少ない数の位置マーカーしか含んでないプローブレイアウトだと利用できないという欠点があった。これに対して、本発明の方法であれば、どんな位置マーカーレイアウトでも正確に位置が求められる。
【0048】
次に、本発明に係るスポット中心位置の特定方法について、図1のフローチャートを用いて説明する。
【0049】
まず、システムの入力は、例えば蛍光画像をスキャンして得られた画像データにより行われ、解析処理が開始される。
【0050】
次に、102のスポット中心位置の概略位置を求めるループ(概略位置特定ループ)について説明する。この概略位置特定ループでは、枠をnピクセルずつジャンプさせて移動させ、その枠の輝度値を求める。各枠について輝度値を求めるステップは103である。そして、現在測定対象となっている枠の輝度値とそれまでに得られた概略位置特定ループにおける最大輝度値とを比較するステップが概略位置の更新(104)となる。こうすることで、最終的に、概略位置特定ループの終了(106)時点で、最も高い輝度値を示す枠の位置(ピクセル座標)が概略位置(105)に格納されることになる。このようにすることで、概略位置(最大スコアを示したピクセルの座標)から上下左右nピクセルの範囲内に、スポット中心位置(そのスポットに属する枠のうち最大輝度値を示すピクセルの位置)が入ることになる。ここで、上下左右nピクセルとは、概略位置を中心とする縦n×横nのブロックに入るピクセルを示す。
【0051】
この概略位置特定ループにおけるジャンプするピクセル数(n)については、少なくともスポットの直径(2r)に相当するピクセル数以下であることが望ましい。なぜならば、nをスポットの直径(2r)を超えるピクセル数に設定して概略位置特定ループ(102)を実行すると、スポットをまたがって枠が移動する可能性があるからである。nの値としては、スポットに内接する正方形の一辺(2r/√2)に対応するピクセル数より小さい値とすることがより好ましく、プローブの半径(r)に対応するピクセル数より小さい値とすることがさらに好ましい。例えば、上述した例のようにスポットの直径が50μm(2r=10)の場合においては、nは10〜2とすることができ、7〜3とすることが好ましく、5〜4とすることがより好ましい。
【0052】
次に、詳細位置特定ループ(107)について説明する。
【0053】
位置の評価(108)は、概略位置特定ループにおける位置の評価(103)のステップと同じ論理ルーチンとなる。また、109のベスト位置の更新は104のステップと同じ論理ルーチンとなる。
【0054】
具体的に説明すると、詳細位置特定ループ(107)では、概略位置特定ループで確定した概略位置から上下左右nピクセルの範囲で、1ピクセルずつ枠を移動させ、輝度を測定する。つまり、合計n×nピクセル数、枠を移動させることになる。前述したように、概略位置特定ループで求めた概略位置から上下左右nピクセルの範囲にスポット中心位置が入っている。したがって、この範囲において最大輝度値を示すピクセルの座標(ベスト位置)を求めることにより、スポット中心位置を詳細に求めることができる。
【0055】
最終的に、詳細位置特定ループを終了し(111)、回転ループを終了する(112)と、正確なスポット位置がベスト位置(110)に格納されていることになる。
【0056】
DNAマイクロアレイ上に配置した位置マーカーの配置は、前もって決定されている。また、各スポット間隔(隣接するスポットの中心の間隔)Dsも決まったいる。従って、DNAマイクロアレイ上に配置した位置マーカーの位置に対して、上述するオフセット計算によって、推定された配置位置(所定の配置位置)が算定される。
【0057】
なお、回転ループを終了させるか否かは、例えば、DNAマイクロアレイ上に配置した位置マーカーが所定の配置位置に正しく検出されたか否かを判定することにより、判断することができる。
【0058】
なお、位置マーカーとしては、DNAマイクロアレイをスキャナーによりスキャンした際に、蛍光シグナルを発する物質によるマークであればよい。例えば、自家蛍光物質、核酸吸着物質、あるいはハウスキーピングジーン、該ハウスキーピングジーンの断片、またはその塩基配列の一部にハウスキーピングジーン若しくはその断片を含む核酸を用いることができる。その際、これら核酸に施されている蛍光標識による蛍光シグナルが利用される。
【0059】
例えば、位置マーカーのパターン配列や位置座標等の情報は、予めテンプレートに関する属性情報の1つとして、ファイルに登録することができる。これら位置マーカーの蛍光強度および位置座標の判定を実行することによって、終了(112)するか否かを判断することができる。
【0060】
(実施形態4)
次に、実施形態1のプローブ位置の特定方法における計算速度を更に高速化する方法について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
図6では、図1と比べて、概略位置特定ループにおいてある値(=十分信頼できるスコア。例えばバックグラウンドが50だった時、1000など)以上のスコアを得た場合には、概略位置特定ループを抜けて詳細位置特定ループへ移るステップ「概略位置チェック」601が加わっている。ここで述べたスコアとは、「位置の評価」で得られたスコアであり、図5で説明した位置マーカープローブに相当する場所のピクセルの平均輝度や輝度中央値である。
【0062】
つまり、概略位置特定ループにおいて得られたスコアがある閾値を超えた場合には、必ず概略位置がプローブの中のどこかに存在することが保証されるならば、詳細位置特定ループへ移動してもよいわけである。例えば、ハイブリダイゼーションの条件が非常に良く、ノイズが非常に少ない場合や、位置マーカーの数が非常に多い場合などは、103の位置の評価ステップで求めるスコアが高くなることは非常に稀となる。この場合、ある値よりスコアが高くなると図5のようにプローブの円の中のどこかに105の概略位置が存在する可能性が高くなる。
【0063】
(実施形態5)
さらに、実施形態1におけるプローブ位置の特定を更に正確にする方法について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0064】
図7では、詳細位置特定ループで求めたスポット位置についてその適合性の評価を行い、正確なスポット位置が特定できたと判断された場合は、全てのループ(回転ループ、概略位置特定ループ、詳細位置特定ループ)を抜ける処理「プローブ形状チェック」701が加わっている。この「プローブ形状チェック」について、図8を用いて詳しく説明する。
【0065】
図8において、901はスポットの中心が属する枠(以下、スポット中心枠)で、902はスポットの周辺位置にある枠(以下、スポット周辺枠と略す)である。例えば、スポット周辺枠(902)は、輝度が観測されなかった枠に接っしている輝度が観測された枠とすることができる。
【0066】
例えば、スポット周辺枠(902)の輝度の(標準偏差/平均)が0.1以下で、かつ、(スポット中心枠の輝度値/スポット周辺枠の輝度値の平均)が3以上5未満である場合、スポット中心位置は正確であると判定することができる。例えば、全ての位置マーカーのスポットにおいて、上記判定条件に適合したら、スポット中心位置は正確だと判断し、全てのループを抜ける。
【0067】
なお、実施形態4(図6)又は実施形態5(図7)のような割り込み処理を入れた場合、枠を移動する方法で全体の計算時間が大きく変わってくる。多くの場合、蛍光画像をスキャンする条件として、大体枠がスポット中央にくるようにスキャンする。このような条件の元では、図1の102のループの開始位置を中央しておいて、それから上下、左右に±nピクセルずつずらす方がトータルの計算時間が早くなる。
【0068】
C++言語でそれを説明すると横方向をx軸、縦方向をy軸とした場合
for(int x=0; x<X#Max; x+=n)
[ for(int y=0; y<Y#Max; y+=n)
[
処理
]
]
というループではなく、
for(int i=0; i<X#Max/n; i++)
[
int x = X#Max/2 + ((i%2)*2)-1)*i/2*n;
for(int j=0; j<Y#Max/n; j++)
[
int y = Y#Max/2 + ((j%2)*2)-1)*j/2*n;
処理
]
]
という処理をする。なお、X#Max、Y#Maxはそれぞれ横方向、縦方向の最大値である。
【0069】
また、移動に関して概略位置を特定し、その後で詳細位置を特定する方法を説明してきたが、この処理を回転に関して同じように応用することも可能である。つまり、例えば0.1度ずつ回転させてベストな回転角度を求めた後で、ベストな回転角度の(±0.02度×n)ずつ回転させながら詳細な回転角度を求めることもできる。図1の場合、101の回転ループが102、105の2重のネストになることになる。また、図6、図7で述べた割り込み処理を入れることも可能である。
【0070】
次に、正確なプローブ位置を実現するDNAマイクロアレイの作製方法および実験手法の一例について記載する。
【0071】
<DNAマイクロアレイの作製>
[1]ガラス基板の洗浄
合成石英のガラス基板(サイズ:25mmx75mmx1mm、飯山特殊ガラス社製)を耐熱、耐アルカリのラックに入れ、所定の濃度に調製した超音波洗浄用の洗浄液に浸した。一晩洗浄液中で浸した後、20分間超音波洗浄を行った。続いて基板を取り出し、軽く純水ですすいだ後、超純水中で20分超音波洗浄をおこなった。次に80℃に加熱した1N水酸化ナトリウム水溶液中に10分間基板を浸した。再度純水洗浄と超純水洗浄を行い、DNAチップ用の石英ガラス基板を用意した。
【0072】
[2]表面処理
シランカップリング剤KBM−603(信越シリコーン社製)を、1%の濃度となるように純水中に溶解させ、2時間室温で攪拌した。続いて、先に洗浄したガラス基板をシランカップリング剤水溶液に浸し、20分間室温で放置した。ガラス基板を引き上げ、軽く純水で表面を洗浄した後、窒素ガスを基板の両面に吹き付けて乾燥させた。次に乾燥した基板を120℃に加熱したオーブン中で1時間ベークし、カップリング剤処理を完結させ、基板表面にアミノ基を導入した。次いで同仁化学研究所社製のN−マレイミドカプロイロキシスクシイミド(N−(6−Maleimidocaproyloxy)succinimido)(以下EMCSと略す)を、ジメチルスルホキシドとエタノールの1:1混合溶媒中に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解したEMCS溶液を用意した。ベークの終了したガラス基板を放冷し、調製したEMCS溶液中に室温で2時間浸した。この処理により、シランカップリング剤によって表面に導入されたアミノ基とEMCSのスクシイミド基が反応し、ガラス基板表面にマレイミド基が導入された。EMCS溶液から引き上げたガラス基板を、先述のMCSを溶解した混合溶媒を用いて洗浄し、さらにエタノールにより洗浄した後、窒素ガス雰囲気下で乾燥させた。
【0073】
[3]プローブDNA
作製した微生物検出用プローブを純水に溶解し、それぞれ、最終濃度(インク溶解時)10μMとなるように分注した後、凍結乾燥を行い、水分を除いた。
【0074】
[4]BJプリンターによるDNA吐出、および基板への結合
グリセリン7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、尿素7.5wt%、アセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)1.0wt%を含む水溶液を用意した。続いて、先に用意したプローブを上記の混合溶媒に規定濃度なるように溶解した。得られたDNA溶液をバブルジェットプリンター(商品名:BJF−850 キヤノン社製)用インクタンクに充填し、印字ヘッドに装着した。
【0075】
なお、ここで用いたバブルジェットプリンターは平板への印刷が可能なように改造を施したものである。またこのバブルジェットプリンターは、所定のファイル作成方法に従って印字パターンを入力することにより、約5ピコリットルのDNA溶液を約120マイクロメートルピッチでスポッティングすることが可能となっている。
【0076】
続いて、この改造バブルジェットプリンターを用いて、1枚のガラス基板に対して、印字操作を行い、アレイを作製した。印字が確実に行われていることを確認した後、30分間加湿チャンバー内に静置し、ガラス基板表面のマレイミド基と核酸プローブ末端のチオール基とを反応させた。
【0077】
[5]洗浄
30分間の反応後、100mMのNaClを含む10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)により表面に残ったDNA溶液を洗い流し、ガラス基板表面に一本鎖DNAが固定したDNAマイクロアレイを得た。
【0078】
<検体の増幅と標識化(PCR増幅&蛍光標識の取り込み)>
検体となる微生物DNAの増幅、および、標識化反応を以下に示す。
Premix PCR 試薬(TAKARA ExTaq) 25μl
Template Genome DNA 2μl (100ng)
Forward Primer mix 2μl (20pmol/tube each)
Reverse Primer mix 2μl (20pmol/tube each)
Cy-3 dUTP (1mM) 2μl (2nmol/tube)
H20 17μl
Total 50μl
上記組成の反応液を以下のプロトコールに従って、市販のサーマルサイクラーで増幅反応を行った。
95℃ 10 min.
92℃ 45 sec.
55℃ 45 sec.
72℃ 45 sec.
72℃ 10 min.
反応終了後、精製用カラム(QIAGEN QIAquick PCR Purification Kit)を用いてPrimerを除去した後、増幅産物の定量を行い、標識化検体(2nd PCR Products)とした。
【0079】
<ハイブリダイゼーション>
<DNAマイクロアレイの作製>で作製したDNAマイクロアレイと<検体の増幅と標識化(PCR増幅&蛍光標識の取り込み)>で作製した標識化検体を用いて検出反応を行った。
【0080】
(DNAマイクロアレイのブロッキング)
BSA(牛血清アルブミンFraction V:Sigma社製)を1wt%となるように100mM NaCl/10mM Phosphate Bufferに溶解し、この溶液に<DNAマイクロアレイの作製>で作製したDNAマイクロアレイを室温で2時間浸し、ブロッキングを行った。ブロッキング終了後、0.1wt%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)を含む2xSSC溶液(NaCl 300mM、Sodium Citrate(trisodium citrate dihydrate,C65Na3・2H2O) 30mM、p.H.7.0)で洗浄を行った後、純水でリンスしてからスピンドライ装置で水切りを行った。
【0081】
(ハイブリダイゼーション)
水切りしたDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions Inc. Hybridization Station)にセットし、以下に示すハイブリダイゼーション溶液、条件でハイブリダイゼーション反応を行った。
【0082】
<ハイブリダイゼーション溶液>
6 x SSPE / 10% Form amide / Target (2nd PCR Products 全量)
(6xSSPE: NaCl 900mM、NaH2PO4・H2O 60mM、EDTA 6mM、p.H. 7.4)
<ハイブリダイゼーション条件>
65 ℃ 3min → 92℃ 2min → 45℃ 3hr → Wash 2xSSC / 0.1% SDS at 25℃ → Wash 2 x SSC at 20℃ → (Rinse with H2O : Manual) → Spin dry
<蛍光測定>
ハイブリダイゼーション反応終了後のDNAマイクロアレイをDNAマイクロアレイ用蛍光検出装置(Axon社製、GenePix 4000B)を用いで蛍光測定を行った。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の第3の実施形態を表すフローチャートである。
【図2】本発明のDNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法が適用される情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】DNAマイクロアレイ蛍光画像解析方法で扱う蛍光画像の一例を表す図である。
【図4】従来のスポット位置の特定方法を説明する図である。
【図5】本発明の概略位置特定ループを説明する図である。
【図6】本発明の実施形態4を表すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態5を表すフローチャートである。
【図8】スポット形状の適合度を数値化するステップを説明する図である。
【図9】DNAマイクロアレイの蛍光画像の一例を示す概略図である。
【図10】DNAマイクロアレイの画像ファイルに対して適用されるテンプレートの一例を、図9に示した蛍光画像にあてはめた場合について示す概略図である。
【図11】図10における検出エリアがあてはめられたスポットの4箇所を拡大した図である。
【図12】図11における検出エリアがあてはめられたスポットの1箇所を拡大表示した図である。
【図13】図12の場合において、概略ステップでnを5とした場合に測定する枠を示す図である。
【図14】図12の場合において、概略ステップでnを8とした場合に測定する枠を示す図である。
【図15】本発明の実施形態2を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0084】
101 回転ループ
102 概略位置特定ループ
103 位置の評価(概略位置特定ループ)
104 概略位置の更新
105 概略位置
106 概略位置特定ループ終了
107 詳細位置特定ループ
108 位置の評価(詳細位置特定ループ)
109 ベスト位置の更新
110 ベスト位置
111 詳細位置特定ループの終了
112 回転ループの終了
201 外部記憶装置
202 中央処理装置(CPU)
203 メモリ
204 入出力装置
601 概略位置チェック
701 プローブ形状チェック
801 スポット
802 アレイ基板
803 検出エリア
804 検出エリアがあてはめられたスポットの4箇所
805 枠(1ピクセルに相当)
806 概略ステップで測定対象となる枠
807 概略ステップで輝度を示した枠
808 概略ステップで最も高い輝度を示した枠
809 スポットの中心にあたる枠
901 スポット中心枠
902 スポット周辺枠
903 スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、
検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、
前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略ステップと、
前記概略ステップで、各検出エリアにおいて輝度が検出された枠から上下各nピクセル、左右各nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細ステップと、
を有することを特徴とするDNAマイクロアレイの蛍光画像解析方法。
【請求項2】
DNAマイクロアレイの蛍光画像を解析処理する方法であって、
検出エリアを有するテンプレートを前記蛍光画像のスポットにあてはめるステップと、
前記検出エリアにおいて枠をnピクセルずつジャンプさせながら輝度を測定する概略位置特定ステップと、
前記概略位置特定ステップで、各検出エリアにおいて最も高い輝度値が検出された枠を中心としてn×nピクセルのブロック内にある枠について輝度を測定する詳細位置特定ステップと、
を有し、前記詳細位置特定ステップで最も高い輝度値が検出された枠をスポットの中心位置として出力することを特徴とするDNAマイクロアレイの蛍光画像解析方法。
【請求項3】
前記概略位置特定ステップと前記詳細位置特定ステップを実行した後に、位置マーカーのスポットの中心位置が、推定される該位置マーカーの配置位置に検出されたか否かを判定する判定ステップを有することを特徴とする請求項2に記載のDNAマイクロアレイの蛍光画像解析方法。

【請求項4】
前記判定ステップにおいて位置マーカーのスポットの中心位置が、推定される該位置マーカーの配置位置にないと判断された場合は、前記テンプレートを回転補正して再び検出エリアをスポットにあてはめ、再度、前記概略位置特定ステップと前記詳細位置特定ステップを行うことを特徴とする請求項3に記載のDNAマイクロアレイの蛍光画像解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−204414(P2009−204414A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−46251(P2008−46251)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】