説明

DNA様ヌクレオチドおよびRNA様ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド二重鎖およびその使用

1つ以上のRNA様ヌクレオチド(例えば、2’-置換リボヌクレオチド(RNA)および/またはロックされた核酸ヌクレオチド(LNA))と組み合わせて、1つ以上のDNA様ヌクレオチド(例えば、2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA))を含む二重鎖を形成できる新規なヌクレオチド対が開示される。例えば、低分子干渉 RNA(siRNA)技術を使用して目的の核酸または遺伝子の発現をサイレンシングするなどのためのこのようなオリゴヌクレオチドの使用もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年6月5日に出願された米国仮出願番号61/059,186、2008年6月17日に出願されたカナダ国出願番号2,635,187、および2008年12月19日に出願されたPCT出願番号PCT/CA2008/002259の利益/優先権を主張し、この内容全体は、引用により本願明細書の一部をなす。
【0002】
配列表
本願は、40.0Koのサイズを有する、2009年6月5日に作製した「11168_354 Seq listing」という標題のコンピュータ読み取り可能な型の配列表を含み、この配列表は、引用により本願明細書の一部をなす。
【0003】
本発明は、低分子干渉RNA(siRNA)技術を使用して、細胞中の標的核酸のレベルを減少させること、および/または目的の核酸もしくは遺伝子の発現をサイレンシングすることなどのための、オリゴヌクレオチド、それらの調製のための方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0004】
遺伝子サイレンシング、すなわち、目的の遺伝子の発現を選択的に遮断することは、生物へのアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)または低分子干渉RNA(siRNA)の導入を経由してもたらされてもよい(Uhlmann,E. and Peyman, A. Chem. Rev. 1990, 90: 543-84; Braasch,D.A. and Corey,D.R. Biochemistry 2002,41: 4503-4510; Opalinska,J.B. and Gewirtz,A.M. Nat. Rev. Drug Discov. 2002,1: 503-14; Dorsett,Y. and Tuschl,T. Nat. Rev. Drug Discov.2004,3: 318-329)。あいにく、他の核酸を主体とする薬物と同様に、siRNAは、乏しい血清安定性、乏しい細胞取り込みを有し、標的を外れ、免疫刺激性である副作用を有する可能性がある。これらの短所を矯正するための努力は、siRNAの送達媒体の開発および薬物プロフィールが改善された化学修飾されたオリゴヌクレオチドの開発に焦点を合わせている。
【0005】
はるかに最近の研究は、siRNAの化学修飾に焦点を当ててきた。Dowler et al.(Dowler,T.et al. Nucl.Acids Res. 2006,34: 1669-1675)は、2’-デオキシ-2’F-アラビノ核酸(2’F-ANA)がセンス鎖の全体を通して取り込み可能であり、これには完全に修飾されたセンス鎖が含まれることを最初に示した。2’F-ANAでのアンチセンス鎖3’−突出の修飾は、効力の有意な増加をもたらし、いくつかの2’F-ANA修飾二重鎖は効力の点でネイティブのsiRNAを上回ることが可能であった。さらに、広範な2’F-ANA修飾を有するsiRNA二重鎖は、非修飾siRNAよりも有意に長い血清半減期を有することが見い出された。2’-フルオロ-4’-チオアラビノヌクレオチド(4’S-FANA)単位を含む修飾siRNA二重鎖はRNAi経路に入ることができた(Watts,J.K.et al. Nucl. Acids Res 2007,35: 1441-1451)。いずれかの鎖の内部の1つまたは2つの挿入が、対照の効力と同等の二重鎖の効力を与えた。4’S-FANA修飾もまた、修飾2’F-ANA−RNAセンス鎖を有する二重鎖において良好な効力で作用することが可能であり、2’F-ANA(サザンまたはイースタンコンホメーションについての優先度を伴う)が、RNAi遺伝子サイレンシングにおいて4’S-2’F-ANA(ノーザンコンホメーションについてのその優先度を伴う)とともに相乗作用を達成できることを実証した。
【0006】
2’F-RNAは別のsiRNA修飾であり;部分的2’F-RNA修飾はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方を通して耐容性であり、いくつかの完全に修飾された2’F-RNA siRNAもまた活性を有する。2’F-RNA修飾siRNA二重鎖は血清安定性が有意に増加している(Layzer,J.M. et al. RNA,2004,10:766-771)。2’F-RNAはまた、二重鎖の結合親和性もまた増加する。
【0007】
効力の増加の1つの例は、2’-O-Meおよび2’F-RNA修飾ヌクレオチドの組み合わせから作られる完全に修飾されたsiRNAについて観察され、これは、非修飾RNAよりも500倍強力であった(Allerson,CR. et al. J.Med.Chem. 2005,48: 901-904; Koller,E.et al. Nucl.Acids Res. 2006 34:4467-4476)。しかし、このような高度な改善は他の配列については観察されなかった。
【0008】
これらの技術は顕著な困難を提示しており、例えば、効力、インビボ安定性の改善、および「標的を外れた」作用(例えば、意図された標的以外の遺伝子のサイレンシング)の減少の必要が存在している。従って、オリゴヌクレオチドを主体とするアプローチの改善のための継続される必要性が存在している。
【0009】
本願明細書は多数の文献を引用し、これにより、その内容全体は本願明細書の一部をなす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国仮出願番号61/059,186号
【特許文献2】カナダ国出願番号2,635,187号
【特許文献3】PCT出願番号PCT/CA2008/002259号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Uhlmann,E. and Peyman, A. Chem. Rev. 1990, 90: 543-84
【非特許文献2】Braasch,D.A. and Corey,D.R. Biochemistry 2002,41: 4503-4510
【非特許文献3】Opalinska,J.B. and Gewirtz,A.M. Nat. Rev. Drug Discov. 2002,1: 503-14
【非特許文献4】Dorsett,Y. and Tuschl,T. Nat. Rev. Drug Discov.2004,3: 318-329
【非特許文献5】Dowler,T.et al. Nucl.Acids Res. 2006,34: 1669-1675
【非特許文献6】Watts,J.K.et al. Nucl. Acids Res 2007,35: 1441-1451
【非特許文献7】Layzer,J.M. et al. RNA,2004,10:766-771
【非特許文献8】Allerson,CR. et al. J.Med.Chem. 2005,48: 901-904
【非特許文献9】Koller,E.et al. Nucl.Acids Res. 2006 34:4467-4476
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、低分子干渉 RNA(siRNA)技術を使用して、細胞中の標的核酸のレベルを減少させること、および/または目的の核酸もしくは遺伝子の発現をサイレンシングすることなどのための、オリゴヌクレオチド、それらの調製のための方法、およびそれらの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対を提供し、これは以下を含む:
(a)(i)1つ以上のDNA様残基、(ii)1つ以上のRNA様残基、または(iii)(i)と(ii)の両方を含むセンス鎖;ならびに
(b)センス鎖に対して相補的なアンチセンス鎖であって、(i)1つ以上のDNA様残基、(ii)1つ以上のRNA様残基、または(iii)(i)と(ii)の両方を含むアンチセンス鎖。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、センス鎖および上記センス鎖に相補的なアンチセンス鎖を含む二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対は、(a)1つ以上の2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA);ならびに(b)(i)1つ以上の2’-置換リボヌクレオチド(RNA)、(ii)1つ以上のロックされた核酸ヌクレオチド(LNA)、または(i)および(ii)の組み合わせを含む。
【0015】
1つの実施形態において、上記オリゴヌクレオチド対は1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上の2’-置換RNAを含む。別の実施形態において、上記オリゴヌクレオチド対は1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上のLNAを含む。別の実施形態において、上記オリゴヌクレオチド対は1つ以上の2’置換ANA、1つ以上の2’-置換RNA、および1つ以上のLNAを含む。
【0016】
1つの実施形態において、上記2’-置換基はハロゲンである。さらなる実施形態において、上記ハロゲンはフッ素(F)である。
【0017】
1つの実施形態において、上記センス鎖は、(i)2’F-ANAのみ;(ii)2’F-RNAのみ;(iii)2’F-RNAと2’F-ANAの組み合わせ;(iv)RNAのみ;(v)2’F-ANAとRNAの組み合わせ;(vi)2’F-ANA、RNA、およびLNAの組み合わせ;または(vii)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせを含む。
【0018】
1つの実施形態において、上記アンチセンス鎖は、(i)2’F-RNAのみ;(ii)RNAのみ;(iii)2’F-ANAのみ;(iv)2’F-ANAと2’F-ANAの組み合わせ;(v)2’F-ANAとRNAの組み合わせ;(vi)2’F-ANA、RNA、およびLNAの組み合わせ;または(vii)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせを含む。
【0019】
1つの実施形態において、上記センス鎖およびアンチセンス鎖は19~23残基長である。さらなる実施形態において、上記センス鎖およびアンチセンス鎖は21残基長である。
【0020】
別の実施形態において、上記センス鎖、アンチセンス鎖、または両方は、3’末端に突出を含む。さらなる実施形態において、上記突出は1~5残基、さらなる実施形態において、2残基である。
【0021】
1つの実施形態において、上記突出はデオキシリボヌクレオチド(DNA)、2’F-ANA、またはその組み合わせを含む。
【0022】
1つの実施形態において、上記センス鎖、前記アンチセンス鎖、または両方は5’末端でリン酸化されている。さらなる実施形態において、上記アンチセンス鎖は5’末端でリン酸化されている。
【0023】
別の態様において、本発明は、上記のオリゴヌクレオチド対を含む二本鎖siRNA様分子を提供する。
【0024】
1つの実施形態において、上記のセンス鎖およびアンチセンス鎖は15~80ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの中にあり、その結果、オリゴヌクレオチドまたはその部分は、上記センス鎖およびアンチセンス鎖がヘアピン構造のステムを形成するsiRNA様ヘアピン構造を採用することが可能である。
【0025】
別の態様において、本発明は、上記のオリゴヌクレオチド対または上記の二本鎖siRNA様分子、および薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物を提供する。
【0026】
別の態様において、本発明は、細胞中で、標的核酸のレベルを減少させるため、または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドのレベルを減少させるための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0027】
別の態様において、本発明は、被験体において、標的核酸の発現または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現に関連する疾患または病態を予防または治療するための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0028】
別の態様において、本発明は、細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生もしくはそのレベルを減少させる方法を提供し、上記方法は、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物と細胞とを接触させる工程を包含し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0029】
別の態様において、本発明は、被験体において、標的核酸の発現または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療する方法を提供し、上記方法は、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の有効量を上記被験体に投与する工程を包含し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0030】
別の態様において、本発明は、細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生もしくはそのレベルを減少させるための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の使用を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0031】
別の態様において、本発明は、医薬の調製のための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の使用であって、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0032】
別の態様において、本発明は、被験体において、標的核酸の発現または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療するための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の使用を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0033】
別の態様において、本発明は、被験体において、標的核酸の発現または上記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療するための医薬品の調製のための、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の使用を提供し、ここで、上記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む。
【0034】
別の態様において、本発明は、医薬品としての、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物の使用を提供する。
【0035】
別の態様において、本発明は、上記のオリゴヌクレオチド対、上記の二本鎖siRNA様分子、または上記の組成物を含むキットを提供する。1つの実施形態において、上記のキットは、細胞中で標的核酸の発現を阻害するため、標的核酸を分解するためもしくは標的核酸のレベルを減少させるため、または標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生もしくはそのレベルを減少させるための説明書をさらに含む。
【0036】
本発明の他の目的、利点、および特徴は、添付の図面への参照とともに、例示としてのみ与えられる、以下の本発明の特定の実施形態の非限定的な記載を読む際により明らかとなる。
【0037】
添付の図面の説明は以下の通りである:
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ホタルルシフェラーゼのヌクレオチド1818~1836を標的とする2’-フッ素化二重鎖のsiRNA活性を示す。(A)初期の結果;(B)より低い濃度における(A)からの最も強力な二重鎖の確認された活性(2回のトランスフェクションの平均)。(A)において、黒いバー=2nMであり、灰色のバー=10nMであり、白いバー=40nMである。(B)において、黒いバー=0.4nMであり、灰色のバー=2nMであり、白いバー=10nMである。
【図2−1】オリゴヌクレオチド二重鎖jg1-jg15の円二色性(CD)スペクトルを示す。(A)両方の鎖が同じ化学を有するjg1〜jg5;(B)2つの鎖の一方が完全修飾されたキメラ鎖であるjg6〜jg9。比較のために、対照二重鎖jg-1(二重鎖RNA)がすべてのスペクトルに含められている。(A)において、黒線=jg-1、破線=jg-2、薄い灰色の線=jg-3、濃い灰色の線=jg-4、点線=jg-5である。(B)において、黒線=jg-1、濃い灰色の線=jg-6、薄い灰色の線=jg-7、点線=jg-8、破線=jg-9である。
【図2−2】オリゴヌクレオチド二重鎖jg1-jg15の円二色性(CD)スペクトルを示す。(C)2つの鎖の一方が単一の化学の完全修飾された鎖であるjg10〜jg13;および(D)完全に修飾されたヘテロ二重鎖jg14〜jg15。比較のために、対照二重鎖jg-1(二重鎖RNA)がすべてのスペクトルに含められている。(C)において、濃い黒線=jg-1、破線=jg-10、薄い黒線=jg-11、濃い灰色の線=jg-12、点線=jg-13である。(D)において、黒線=jg-1、点線=jg-14、破線=jg-15である。
【図3】ホタルルシフェラーゼのヌクレオチド515~533を標的とする2’-フッ素化二重鎖のsiRNA活性を示す。黒いバー=40nM、灰色のバー=10nM、および白色のバー=2nMである。
【図4】elF4E結合タンパク質(4E-BP)1または4E-BP2の発現に対する低分子干渉RNA(siRNA)トランスフェクションの効果を示す。(A)siRNAトランスフェクションは、24ウェルプレート中に70~80%コンフルエンスでプレートした細胞に対して、Lipofectamine Plus(登録商標)を使用して、HEK293T細胞中で実施した。各ウェルについて、2.5μl(1)または5μlのsiRNA二重鎖(20μM アニールした二重鎖)を、50μlのOPTI-MEM(登録商標)および1μlのPlus(登録商標)試薬とともに混合し、5分間室温(RT)でインキュベートした。次いで、あらかじめ複合体化したRNA混合物に、4μlのLipofectamine(登録商標)試薬および50μlのOPTI-MEM(登録商標)を加え、細胞を加える前に、20分間、RTでインキュベートした。5時間後、トランスフェクション培地を完全培地によって置き換えた。トランスフェクションの48時間後に細胞を収集し、4E-BP1、4E-BP2、またはβ−アクチンに対する抗体を使用するウェスタンブロッティングによる分析のためにタンパク質を抽出した。(B)(A)において使用したsiRNAの配列(以下の表Xにおいてもまた示される)。
【図5】ポリ(I:C)を用いる刺激後のHEK293T細胞によるIFN産生に対するsiRNAトランスフェクションの効果を示す。siRNAトランスフェクションは、24ウェルプレート中に70~80%コンフルエンスでプレートした細胞に対して、Lipofectamine Plus(登録商標)を使用して、HEK293T細胞中で実施した。各ウェルについて、5μlの4E-BP1と4E-BP2の両方のsiRNA二重鎖(修飾H-611または非修飾)(20μM アニールした二重鎖)を、75μlのOPTI-MEM(登録商標)および1μlのPlus(登録商標)試薬とともに混合し、5分間室温(RT)でインキュベートした。次いで、あらかじめ複合体化したRNA混合物に、5μlのLipofectamine(登録商標)試薬および75μlのOPTI-MEM(登録商標)を加え、細胞を加える前に、20分間、RTでインキュベートした。5時間後、トランスフェクション培地を完全培地によって置き換えた。トランスフェクションの48時間後、細胞は、24時間、未処理のまま放置するか、または1μg/mlのポリ(l:C)で処理するかのいずれかであった。未処理細胞および処理細胞からの上清を収集し、製造業者のプロトコールに従ってHEK-Blue(登録商標)IFN-α/β細胞(InvivoGen,San Diego,USA)を使用して、IFNの量を定量した。
【図6】2’F-ANA突出およびLNA挿入物を含む、2’F-ANAセンス鎖およびアンチセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド二重鎖を使用するルシフェラーゼノックダウン実験を示す。
【図7】2’F-ANAとLNAの両方を含むセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド二重鎖を使用するルシフェラーゼノックダウン実験を示す。
【図8】完全な2’F-RNAアンチセンス鎖とアニールした2’F-ANAとLNAの両方を含むセンス鎖を含むオリゴヌクレオチド二重鎖を使用するルシフェラーゼノックダウン実験を示す。
【図9】2’F-ANA/2’F-RNA/LNA siRNAを使用するcmybノックダウン実験を示す。(A)示された用量の種々のsiRNAとの処理後のモック処理と比較した遺伝子発現%。(B)siRNA処理後の白血病細胞の生存割合(y軸は、示されたsiRNAを用いる処理後の示された時間後になお生存している白血病細胞の数を表す)。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、例えば、種々の型の遺伝子サイレンシングアプローチにおける、オリゴヌクレオチドおよびそれらの使用に関する。本願明細書に記載される研究において、本発明者らは、化学修飾されたsiRNA、およびより特定には、1つ以上のDNA様ヌクレオチドおよび/または1つ以上のRNA様ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド二重鎖が、遺伝子サイレンシングを媒介可能であることを示した。
【0040】
従って、第1の態様において、本発明は、二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対を提供し、このオリゴヌクレオチド対は:
(a)(i)1つ以上のDNA様残基、(ii)1つ以上のRNA様残基、または(iii)(i)と(ii)の両方を含むセンス鎖;ならびに
(b)センス鎖に対して相補的なアンチセンス鎖であって、((i)1つ以上のDNA様残基、(ii)1つ以上のRNA様残基、または(iii)(i)と(ii)の両方を含むアンチセンス鎖を含む。
【0041】
コンホメーションに関連して本願明細書において使用される場合、「DNA様残基」とは、例えば、対応する非修飾DNA単位のコンホメーションに類似している修飾ヌクレオシドまたはヌクレオチドのコンホメーションをいう。DNA様コンホメーションは、例えば、サザンまたはイースタン擬似回転(P)値を有するように表現されてもよい。DNA様ヌクレオチドには、例えば、2’-デオキシリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-フルオロアラビノヌクレオチド(2’F-ANAまたはFANA)などの2’-デオキシ-2’-置換アラビノヌクレオチド、および対応するホスホロチオエートアナログが含まれる。コンホメーションに関連して本願明細書において使用される場合、「RNA様残基」とは、対応する非修飾RNA単位のコンホメーションに類似している、例えば、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのコンホメーションをいう。RNA様コンホメーションは、例えば、ノーザンP値を有するように表現されてもよい。さらに、RNA様分子はA型ヘリックスを採用する傾向がある一方、DNA様分子はB型ヘリックスを採用する傾向がある。RNA様ヌクレオチドには、例えば、RNAヌクレオチド、2’-置換ヌクレオチド、例えば、2’フルオロ-RNA(2’F-RNA)ヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド(架橋核酸または二環式ヌクレオチドとも定義される)、2’-フルオロ-4’-チオアラビノヌクレオチド(4’S-FANAヌクレオチド)、2’-O-アルキル-RNA、および対応するホスホロチオエートアナログが含まれる。
【0042】
代表的なDNA様残基(2’F-ANA)の構造は以下に図示される:
【0043】
【化1】

【0044】
RNA様残基(RNA、LNA、および2’F-RNA)の例の構造は以下に図示される:
【0045】
【化2】

【0046】
本発明のさらなる態様において、例えば、以下のような二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対が提供される:
センス:DNA様ヌクレオチド、RNA様ヌクレオチド、または両方
アンチセンス:DNA様ヌクレオチド、RNA様ヌクレオチド、または両方

センス:DNA様ヌクレオチド、RNA様ヌクレオチド、または両方
アンチセンス:RNA様ヌクレオチド

センス:DNA様ヌクレオチド
アンチセンス:DNA様ヌクレオチド、RNA様ヌクレオチド、または両方

センス:RNA様ヌクレオチド
アンチセンス:DNA様ヌクレオチド、RNA様ヌクレオチド、または両方

センス:DNA様ヌクレオチド
アンチセンス:RNA様ヌクレオチド。
【0047】
別の態様において、本発明は、センス鎖(例えば最初の)およびセンス鎖(または最初の)に相補的なアンチセンス鎖(例えばもう1つの)を含む二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対を提供し、ここで、オリゴヌクレオチド二重鎖は、
(a)1つ以上の2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA);ならびに
(b)(i)1つ以上の2’-置換リボヌクレオチド(RNA)、(ii)1つ以上のロックされた核酸ヌクレオチド(LNA)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせを含む。
【0048】
1つの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は、DNA様残基および/またはRNA様残基の任意の組み合わせをさらに含む。
【0049】
本発明のオリゴヌクレオチドは、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、短鎖アルキルもしくはシクロアルキル糖間連結または短鎖ヘテロ芳香環もしくはヘテロ炭素環糖間連結、ホスホロチオエート、ならびに、ホルムアセタール(O−CH−O)、CH−−NH−O−−CH、CH−−N(CH)−−O−−CH(メチレン(メチルイミノ)またはMMIバックボーンとして知られる)、CH−−O−−N(CH)−−CH、CH−−N(CH)−−N(CH)−−CH、およびO−−N(CH)−CH−−CHバックボーン(ここでホスホジエステルはO−−PO−−O−CHである)を有するものなどの糖間バックボーン連結を含有するものを含んでもよい。ホスホリノバックボーン構造を有するオリゴヌクレオチドもまた使用されてもよい(米国特許第5,034,506号)。代替的な実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸(PNA、時折、「タンパク質核酸」とも呼ばれる)バックボーンを有していてもよく、ここでは、オリゴヌクレオチドのホスホジエステルバックボーンはポリアミドバックボーンで置き換えられてもよく、ヌクレオシド塩基は、ポリアミドバックボーン中のアザ窒素原子またはメチレン基に直接的または間接的に結合される(Nielsen et al., Science 1991 254(5037): 1497-1500および米国特許第5,539,082号)。ホスホジエステル結合は、キラル的におよびエナンチオマー的に特異的である構造で置き換えられてもよい。当業者は、本発明の実施における使用のために他の連結を選択することが可能である。
【0050】
「ヌクレオシド」とは、塩基がNグリコシド結合を介して糖に結合されている、塩基−糖の組み合わせをいう。「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に結合されているリン酸基をさらに含むヌクレオシドをいう。「塩基」、「核酸(nucleic acid)塩基」、または「核酸(nucleo)塩基」とは、複素環式塩基部分をいい、これは、ヌクレオシドまたはヌクレオチドの中で、一般的には、アノマー位としても知られている糖部分の1’位において、その糖部分に結合される。この用語は、天然に存在する塩基と修飾塩基の両方を含む。天然に存在する塩基の最も一般的な2つのクラスはプリンおよびピリミジンであり、これには、例えば、グアニン、シトシン、チミン、アデニン、およびウラシルが挙げられる。多数の他の天然に存在する塩基ならびに修飾塩基、例えば、イノシン、5−メチルシトシン、2−チオチミン、4−チオチミン、7−デアザアデニン、9−デアザアデニン、3−デアザアデニン、7−デアザグアニン、9−デアザグアニン、6−チオグアニン、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および6−チオヒポキサンチンが当該分野において知られている。
【0051】
本発明のオリゴヌクレオチドはまた、少なくとも1つの修飾ヌクレオチド塩基を含む種を含んでもよい。従って、天然において通常見い出されるもの以外のプリンおよびピリミジンが使用されてもよい。同様に、ヌクレオチドサブユニットのペントフラノシル部分上の修飾もまた生じてもよい。このような修飾の例には、2−置換/修飾、例えば、2’-O−アルキル−および2’-ハロゲン−置換ヌクレオチドが含まれる。本発明において有用である糖部分の2’位における修飾のある特定の例は、OH、SH、SCH、F、OCN、O(CH)nNH、またはO(CHCHであって、ここで、nは1から約10までであり;C〜C10低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、もしくはアラルキル;Cl;Br;CN;CF;OCF;O−、S−、もしくはN−アルキル;O−、S−、もしくはN−アルケニル;SOCH;SO CH;ONO;NO;N;NH;ヘテロシクロアルキル;ヘテロシクロアルカリル;アミノアルキルアミノ;ポリアルキルアミノ;置換シリル;RNA切断基;レポーター基;インターカレーター;オリゴヌクレオチドの薬物動態学的特性を改善するための基;またはオリゴヌクレオチドおよび類似の特性を有する他の置換基の薬物動態学的特性を改善するための基である。1つ以上のペントフラノシル基は、別の糖によって、非環式基によって、シクロブチルなどの糖模倣物によって、または6炭素ヘキソースもしくは7炭素オキサパンなどの糖の位置を占める別の部分によって置き換えられてもよい。
【0052】
LNAは、一般的には、二環式ヌクレオチドをいい、例えば、β−Dおよびα−Lビシクロヌクレオチド、キシロロックされた核酸(米国特許第7,084,125号)、L−リボロックされた核酸(米国特許第7,053,207号)、1’-2’-ロックされた核酸(米国特許第6,734,291号および同第6,639,059号)、3’-5’ロックされた核酸(米国特許第6,083,482号)ならびに2’-4’ロックされた核酸などのビシクロヌクレオチドが挙げられる。
【0053】
ある実施形態において、本発明に従うオリゴヌクレオチドは、約4〜約100ヌクレオチド単位を含んでもよく、さらなる実施形態において、約10〜約100、約4〜約30、約10〜約30、約18〜約27、約19〜約27、約18〜約25、約19〜約25、または約19〜約23ヌクレオチド単位、例えば、19、21、または23ヌクレオチド単位を含んでもよい。認められるように、ヌクレオチド単位は、ホスホジエステル結合またはバックボーン構造を形成する他の結合を通しての隣接するヌクレオチド単位に適切に結合される塩基−糖の組み合わせ(または類似の構造の組み合わせ)である。
【0054】
本願明細書に記載される任意のヌクレオチドの複素環塩基部分は、DNAまたはRNAの標準的な塩基、例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、またはウラシルの1つであり得る。本発明の他の実施形態において、複素環塩基部分のいくつかは、修飾されているか、または標準的ではない塩基、例えば、イノシン、5−メチルシトシン、2−チオチミン、4−チオチミン、7−デアザアデニン、9−デアザアデニン、3−デアザアデニン、7−デアザグアニン、9−デアザグアニン、6−チオグアニン、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、および6−チオヒポキサンチンから構成されてもよい。
【0055】
本発明の他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、a)ホスホジエステル結合;b)ホスホトリエステル結合;c)ホスホロチオエート結合;d)メチルホスホネート結合;e)ボラノホスフェート結合;またはf)2’,-5’-ホスホジエステル結合のヌクレオチド間結合の1つ以上を含む。複数の実施形態において、ヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合、またはその組み合わせである。
【0056】
1つの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上の2’-置換RNAを含む(一方または両方の鎖において)。
【0057】
別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上のLNAを含む(一方または両方の鎖において)。
【0058】
別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、1つ以上の2’-置換ANA、1つ以上の2’-置換RNA、および1つ以上のLNAを含む(一方または両方の鎖において)。
【0059】
複数の実施形態において、DNA様残基およびRNA様残基は、例えば、不規則な様式にあり(それによって、セグメントあたりの残基の数の違いが存在する可能性がある)、または規則的な様式にあり(それによって、各セグメントは同じ数の残基を有する)、またはそれらの組み合わせにある、1本の鎖の中の交互のセグメントである。1つの実施形態において、各交互のセグメントは1つの残基を含む(1-1アルチマー設計または構成と呼ばれる)。別の実施形態において、各交互セグメントは2つの残基を含む(2−2アルチマー設計と呼ばれる)。別の実施形態において、各交互セグメントは3つの残基を含む(3−3アルチマーと呼ばれる)。なお別の実施形態において、上記の交互セグメントはセンス鎖にある。
【0060】
1つの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は、少なくとも1つの2’F-RNA残基を(一方または両方の鎖において)含む。さらなる実施形態において、上記2’F-RNA残基は2’F-RNAピリミジンである。別の実施形態において、上記少なくとも1つの2’F-RNA残基はアンチセンス鎖にある。
【0061】
さらなる実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、1つ以上の2’F-RNA残基および2’F-ANA残基で完全に修飾されている。別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は、(一方または両方の鎖に)1つ以上の、2’F-RNAピリミジンおよび2’F-ANAプリンの組み合わせを含む。別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は、(一方または両方の鎖に)規則的な様式または不規則的な様式で、2’F-RNA残基および2’F-ANA残基の1つ以上の交互のセグメント(アルチマー)を含む。さらなる実施形態において、各セグメントは1〜5残基を含む。さらなる実施形態において、各セグメントは1つの残基を含む(1-1アルチマー設計)。別の実施形態において、各セグメントは3つの残基を含む(3−3アルチマー設計)。別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は、1-1アルチマー設計および3−3アルチマー設計の混合物を含む。別の実施形態において、2’F-RNA残基および2’F-ANA残基の上記交互のセグメント(アルチマー)はセンス鎖にある。
【0062】
別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、1つ以上の2’F-RNA残基、2’F-ANA残基、およびLNA残基で完全に修飾されている。1つの実施形態において、1つ以上のLNA残基は、センス鎖とアンチセンス鎖の両方にある。別の実施形態において、1つ以上のLNA残基はアンチセンス鎖にある。別の実施形態において、1つ以上のLNA残基はセンス鎖にある。
【0063】
1つの実施形態において、上記のセンス鎖は(i)2’F-ANA;(ii)2’F-RNA;(iii)RNA;(iv)LNA;(v)DNA;または(vi)(i)〜(v)の任意の組み合わせを含む。
【0064】
1つの実施形態において、上記のセンス鎖は(i)2’F-ANA;(ii)2’F-RNA;(iii)RNA;(iv)LNA;(v)DNA;または(vi)(i)〜(v)の任意の組み合わせを含む。
【0065】
1つの実施形態において、上記のセンス鎖は、
(i)2’F-ANAのみ;
(ii)2’F-RNAのみ;
(iii)2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ;
(iv)RNAのみ;
(v)2’F-ANAおよびRNAの組み合わせ;または
(vi)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせ;
(vii)2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
を含む。
【0066】
さらなる実施形態において、上記のセンス鎖は、
(i)2’F-ANAのみ;
(ii)2’F-RNAのみ;
(iii)2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ;
(iv)RNAのみ;
(v)2’F-ANAおよびRNAの組み合わせ;
(vi)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせ;または
(vii)2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
からなる。
【0067】
別の実施形態において、上記のアンチセンス鎖は
(i)2’F-RNAのみ;
(ii)RNAのみ;
(iii)2’F-ANAのみ;
(iv)2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ;
(v)RNAおよびLNAの組み合わせ;または
(vi)2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
を含む。
【0068】
さらなる実施形態において、上記のアンチセンス鎖は
(i)2’F-RNAのみ;
(ii)RNAのみ;
(iii)2’F-ANAのみ;
(iv)2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ;
(v)RNAおよびLNAの組み合わせ;または
(vi)2’F-ANA、RNA、およびLNAの組み合わせ
からなる。
【0069】
別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は
(a)センス:2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(b)センス:2’F-RNAピリミジンおよび2’F-ANAプリンの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(c)センス:1-1アルチマー設計での2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(d)センス:2’F-ANAのみ
アンチセンス:2’F-RNAのみ;
(e)センス:3−3アルチマー設計での2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(f)センス:3−3および1-1アルチマー設計での2’F-RNA+2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(g)センス:2’F-ANAおよびRNAの組み合わせ
アンチセンス:2’F-RNAのみ;
(h)センス:3−3アルチマー設計での2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:2’F-RNAのみ;
(i)センス:3−3および1-1アルチマー設計での2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:2’F-RNAのみ;
(J)センス:1-1アルチマー設計での2’F-RNAおよび2’F-ANAの組み合わせ
アンチセンス:2’F-RNAのみ;
(k)センス:2’F-ANAのみ
アンチセンス:RNAおよびLNAの組み合わせ;
(I)センス:2’F-ANAおよびRNAの組み合わせ
アンチセンス:RNAおよびLNAの組み合わせ;
(m)センス:2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
アンチセンス:RNAのみ;
(n)センス:2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
アンチセンス:RNAおよびLNAの組み合わせ;または
(o)センス:2’F-ANA,RNAおよびLNAの組み合わせ
アンチセンス:2’F-RNAのみ
を含む。
【0070】
さらなる実施形態において、19残基コア(さらなる突出を伴うかまたは伴わない)を含むセンス鎖の場合、このセンス鎖は3位、11位、16位、および/または17位にLNA残基を含む。さらなる実施形態において、19残基コア(さらなる突出を伴うかまたは伴わない)を含むアンチセンス鎖の場合、このアンチセンス鎖は19位(5’から3’に読む場合)にLNA残基を含む。
【0071】
さらなる実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は
(a)センス:(2’F-RNAピリミジン)x(2’F-ANAプリン)y
アンチセンス:(RNA)
ここで、センス鎖においてxはピリミジンの数であり、yはプリンの数であり、ここでx+y=zである。1つの実施形態において、z=19である。
(b)センス:[(2’F-ANA)(2’F-RNA)](2’F-ANA)
アンチセンス:(RNA)19
(c)センス:(2’F-ANA)19
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(d)センス:[(2’F-ANA)3(2’F-RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(RNA)19
(e)センス:[(2’F-ANA)(2’F-RNA)[(2’F-ANA)(2’F-RNA)](2’F-ANA)
アンチセンス:(RNA)19
(f)センス:(2’F-ANA)14(RNA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(g)センス:[(2’F-ANA)(2’F-RNA)](2’F-ANA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(h)センス:[(2’F-ANA)(2’F-RNA)][(2’F-ANA)(2’F-RNA)](2’F-ANA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(i)センス:[(2’F-ANA)(2’F-RNA)](2’F-ANA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(j)センス:(2’F-ANA)19
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(k)センス:(2’F-ANA)19
アンチセンス:(LNA)(RNA)(LNA)(RNA)16
(l)センス:(2’F-ANA)19
アンチセンス:(RNA)11(LNA)(RNA)
(m)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(RNA)19
(n)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(RNA)19
(o)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(RNA)19
(p)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(q)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(r)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(s)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(t)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(LNA)(RNA)18
(u)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(v)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(LNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(w)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
(x)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19または
(y)センス:(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)(LNA)(RNA)(2’F-ANA)(RNA)
アンチセンス:(2’F-RNA)19
を含む。
【0072】
1つの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖は突出(例えば、一方の鎖または両方の鎖上の5’および/または3’突出)を含む。さらなる実施形態において、上記の突出は、1〜5残基(例えば、ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド)突出である。さらなる実施形態において、上記の突出は、2残基(例えば、ヌクレオチドまたは修飾ヌクレオチド)突出である。例えば、19残基のセンス鎖および/またはアンチセンス鎖は、さらなる1〜5残基の突出を含んでもよい。このような例において、両方の鎖における2残基の突出は、各21残基のセンス鎖およびアンチセンス鎖を生じ、この19残基が塩基対形成に関与して二重鎖を形成する(各々の場合において残りの2残基は突出を表す)。
【0073】
別の実施形態において、上記の突出はDNA、2’F-ANA、および/または2’F-RNA残基を含む。さらなる実施形態において、上記の突出は2つの2’F-ANA残基を含む。さらなる実施形態において、2つの2’F-ANA残基を含む上記の突出はセンス鎖上にある。
【0074】
別の実施形態において、上記の突出は2つの2’F-RNA残基を含む。さらなる実施形態において、2つの2’F-RNA残基を含む上記の突出はアンチセンス鎖上にある。
【0075】
別の実施形態において、上記の突出3’突出である。
【0076】
別の実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、一方または両方の鎖において5’リン酸化されている。さらなる実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド対または二重鎖は、アンチセンス鎖が5’リン酸化されている。
【0077】
複数の実施形態において、センス鎖とアンチセンス鎖の間の配列(例えば、核酸塩基)相補性、またはセンス鎖と標的核酸(例えば、mRNA)もしくはその部分との間の配列(例えば、核酸塩基)同一性は、「完全」または「完璧」であってもよい(100%の相補性または同一性)。
【0078】
複数の実施形態において、センス鎖とアンチセンス鎖との間の相補性、またはセンス鎖と標的核酸(例えば、mRNA)もしくはその部分との間の同一性は、実質的に、例えば、約70%よりも大きい。例えば、19塩基対からなる二重鎖領域について、1つのミスマッチは94.7%の相補性を生じ、2つのミスマッチは約89.5%の相補性を生じ、3つのミスマッチは約84.2%の相補性を生じ、4つのミスマッチは約79%の相補性を生じ、5つのミスマッチは約74%の相補性を生じる。従って、本願明細書で使用される場合、「相補性」という用語は、2つの配列間の完全な相補性と実質的な相補性をいい、例えば、配列間で約70%よりも大きな相補性をいう。1つの実施形態において、センス鎖は少なくとも12ヌクレオチドの同一性を有し、さらなる実施形態において、標的核酸(例えば、mRNA)の少なくとも一部に対して、少なくとも12個の連続するヌクレオチドの同一性を有する。1つの実施形態において、センス鎖は少なくとも13ヌクレオチドの同一性を有し、さらなる実施形態において、標的核酸の少なくとも一部に対して14、15、16、17、または18ヌクレオチド(連続しているかまたは連続していない)の同一性を有する。別の実施形態において、センス鎖は、突出ヌクレオチド(3’突出)を例外として、標的mRNAの一部に対して完全な同一性を有する。
【0079】
また、本願明細書で使用される場合、相補性および同一性とは、「塩基対形成」と一般的に呼ばれる、核酸塩基部分(例えば、A、C、G、T、またはU)の相補性および同一性をいい、例えば、本願明細書に記載されるものなどの糖部分の修飾とは独立している。例えば、任意の糖部分のある(すなわち、修飾されているかまたは修飾されていない)グアニンヌクレオシド残基は、任意の糖部分を同様に有するシトシンヌクレオシド残基と塩基対を形成する可能性がある。
【0080】
「同一性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性をいう。同一性は、整列させた配列における各々の位置を比較することによって決定できる。核酸配列間またはアミノ酸配列間の同一性の程度は、それらの配列によって共有される位置における同一のまたは一致するヌクレオチドまたはアミノ酸の数の関数である。この用語が本願明細書で使用される場合、配列の機能的活性が保存されるならば、ある核酸配列は別の配列に対して「実質的に同一」である。2つの核酸配列は、最適に整列され(ギャップが許容される)、これらが少なくとも約70%の配列類似性または同一性を共有する場合、またはこれらの配列が規定された機能的モチーフを共有する場合に、これらは実質的に同一であると見なされる。代替的な実施形態において、最適に整列された実質的に同一である配列における配列類似性は、少なくとも75%、80%、85%、90%、または95%であり得る。「関係のない」配列は、所定の参照配列(例えば、標的核酸)と40%未満の同一性を共有するが、好ましくは25%よりも少ない同一性である。
【0081】
実質的に相補的な核酸は、1つの分子の相補物が他の分子と実質的に同一である核酸である。2つの核酸配列またはタンパク質配列は、最適に整列されたときに、これらが少なくとも約70%の配列同一性を共有する場合に、実質的に同一であると見なされる。代替的な実施形態において、配列同一性は、例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%であり得る。同一性の比較のための最適な配列の整列は、SmithおよびWaterman, 1981, Adv.Appl.Math 2: 482の局所的相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch,1970, J.MoI.Biol.48:443の相同性整列アルゴリズム、PearsonおよびLipman,1988, Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444の類似性の検索方法、ならびにこれらのアルゴリズムのコンピュータによる実行(例えば、the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,Madison,WI,U.S.A.におけるGAP,BESTFIT,FASTAおよびTFASTA)などの種々のアルゴリズムを使用して実施されてもよい。配列同一性はまた、Altschul et al.,1990,J.Mol.Biol.215:403-10において記載されたBLASTアルゴリズムを使用して(公開されたデフォルト設定を使用して)決定されてもよい。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、the National Center for Biotechnology Informationから利用可能であり得る。BLASTアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列させたとき、ある程度の正の値の閾値スコアTに一致するかまたはそれを満足するかのいずれかである問い合わせ配列における長さWの短いワードを同定することによって、高スコア配列対(HSP)を最初に同定する。Tは、隣接ワードスコア閾値と呼ばれる。最初の隣接ワードヒットは、より長いHSPを見つけるための検索を開始するための種として働く。このワードヒットは、累積整列スコアが増加可能である限り、各配列に沿って両方の方向で伸長される。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下のパラメーターが満足される場合に停止される:累積整列スコアがその最大達成値から量X低下する場合;1つ以上の負のスコアを与える残基整列の蓄積により累積スコアが0以下になる場合;またはいずれかの配列が末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムは、パラメーターW、T、およびXが整列の感度および速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11のワート長(W)、50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(HenikoffおよびHenikoff,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915-10919)アラインメント(B)、10(または1または0.1または0.01または0.001または0.0001)の予測値(E)、M=5、N=4、および両方の鎖の比較を使用してもよい。BLASTアルゴリズムを使用する2つの配列間の統計学的類似性の1つの尺度は、最小合計確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチド配列間またはアミノ酸配列間の一致が偶然によって起こる確率の表示を提供する。本発明の代替的な実施形態において、ヌクレオチド配列またはアミノ酸配列は、試験配列との比較において最小合計確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、より好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満である場合に、実質的に同一であると見なされる。
【0082】
2つの核酸配列が実質的に相補的であることの代替的な指標は、中程度にストリンジェントな条件下で、または好ましくはストリンジェントな条件下で、2つの配列が互いにハイブリダイズすることである。フィルターに結合した配列への中程度にストリンジェントな条件下でのハイブリダイゼーションは、例えば、0.5M NaHPO、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1mM EDTA中、65°Cにおいて実施されてもよく、洗浄は0.2×SSC/0.1% SDS中、42°Cにおいて行われてもよい(Ausubel,et al.(編),1989,Current Protocols in Molecular Biology,Vol.1,Green Publishing Associates,Inc.,and John Wiley&Sons,Inc.,New York,2.10.3ページを参照のこと)。あるいは、ストリンジェントな条件下でのフィルター結合した配列へのハイブリダイゼーションは、例えば、0.5M NaHPO、7% SDS、1mM EDTA、65°Cにおいて実施されてもよく、洗浄は0.1×SSC/0.1% SDS、68°Cにおいて行われてもよい(Ausubel,et al.(編),1989,前出を参照のこと)。ハイブリダイゼーション条件は、目的の配列に依存して、既知の方法に従って修飾されてもよい(Tijssen,1993, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, Part I, Chapter 2”Overview of principles of hybridizationおよびthe strategy of nucleic acid probe assays”,Elsevier,New Yorkを参照のこと)。一般的には、ストリンジェントな条件は、所定のイオン強度およびpHにおける特定の配列についての融点よりも約5°C低くなるように選択される。
【0083】
センス鎖およびアンチセンス鎖は、とりわけ、ポリエチレングリコールなどの非核酸ポリマーから構成されてもよいループ構造によって連結されてもよい。あるいは、このループ構造は、修飾および被修飾リボヌクレオチド、ならびに修飾および被修飾デオキシリボヌクレオチドを含む核酸から構成されてもよい。
【0084】
1つの実施形態において、オリゴヌクレオチド二重鎖のセンス鎖の5’末端はアンチセンス鎖の3’末端に連結されてもよく、またはセンス鎖の3’末端はセンス鎖の5’末端に連結されてもよく、上記連結は、典型的には2から100ヌクレオチド(または修飾ヌクレオチド)の間の長さ、好ましくは、約2〜約30核酸塩基である核酸リンカーを通してである。
【0085】
1つの実施形態において、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖はヘアピン二重鎖であり、これは、センス鎖およびアンチセンス鎖を含み、自己相補性でありかつそれ自体に折りたたまれるヘアピン二重鎖である。
【0086】
本発明はさらに、適用可能な場合、上記の化合物(例えば、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子)のいずれかの薬学的に受容可能な塩などの塩を提供する。
【0087】
本発明はまた、種々の遺伝子の発現をダウンレギュレートする、すなわち、コードされたポリペプチドの産生を減少する化合物にも関する。本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオチド二重鎖およびsiRNA/RNAi適用におけるその使用を提供し、それによって、目的のポリペプチドまたはそのフラグメントをコードする核酸の発現が、転写後遺伝子サイレンシングの1つの型であるRNA干渉(RNAi)技術を使用して、阻害または抑制されてもよい。RNAiは、偽「ノックアウト」、すなわち、目的の遺伝子またはそのコード領域によってコードされる産物の発現が減少しており、その系の中でコードされた生成物の活性全体的な減少を生じる系を作製するために使用されてもよい。このようなものとして、RNAiが、目的の核酸またはそのフラグメントまたはその改変体を標的とし、次には、その発現、およびそれがコードしている産物の活性のレベルを減少するために実施されてもよい。このような系は、産物の機能研究のため、ならびにこのような産物の活性に関連する障害を治療するために使用されてもよい。RNAiは、例えば、米国特許公開番号2002/0173478(Gewirtz;2002年11月21日公開)および2002/0132788 (Lewis et al.2002年11月7日公開)において記載されている。RNAiを実施するための試薬およびキットは、例えば、Ambion Inc.(Austin,TX,USA),New England Biolabs Inc.(Beverly,MA,USA)およびInvitrogen(Carlsbad,CA,USA)から市販されている。
【0088】
いくつかの系におけるRNAiの最初の試薬は、標的核酸に対応するdsRNAまたは修飾dsRNA分子であると考えられている。次いで、dsRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)に切断されると考えられており、これらは、例えば、21〜23ヌクレオチド長である(19〜21bp二重鎖、各々2ヌクレオチドの3’突出を有する)。この最初の切断段階をもたらすと考えられている酵素(Drosophilaバージョンは「Dicer」と呼ばれている)は、dsRNA特異的リボヌクレアーゼのRNAseIIIファミリーのメンバーとして分類されている。あるいは、RNAiは、細胞に直接的に導入することを介して、またはsiRNAもしくはsiRNA様分子もしくはその適切な前駆体(例えば、前駆体をコードしているベクターなど)を細胞に導入することによって、もたらされてもよい。次いで、siRNAは、他の細胞内成分を結合して、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)を形成してもよい。このようにして形成したRISCは、引き続いて、相同性による、そのsiRNA成分と標的転写物との間の塩基対形成相互作用を介して、目的の転写物を標的とする可能性があり、siRNAの3’末端からおよそ12ヌクレオチド、標的転写物の切断を生じる。従って、標的mRNAは切断され、それがコードするタンパク質産物のレベルが減少する。
【0089】
RNAiは、適切なインビトロ合成されたsiRNAまたはsiRNA様分子の細胞への導入によってもたらされてもよい。RNAiは、例えば化学合成されたRNAまたは修飾されたRNA分子を使用して実施されてもよい。あるいは、適切な発現ベクターが使用されて、このようなRNAをインビトロまたはインビボのいずれかで転写してもよい。センス鎖およびアンチセンス鎖(同じベクターまたは別個のベクター上に存在する配列によってコードされる)のインビトロ転写は、例えば、T7 RNAポリメラーゼを使用してもたらされてもよく、この場合においては、ベクターは、T7プロモーターに作動可能に連結された適切なコード配列を含んでもよい。インビトロ転写されたRNAは、複数の実施形態において、RNAiに誘導性であるサイズまでインビトロで処理されてもよい(例えば、E.coli RNaseIIIを使用する)。センスおよびアンチセンス転写物は合わせられてRNA二重鎖を形成し、これは、目的の標的細胞に導入される。他のベクターが使用されてもよく、これは、siRNA様分子に処理できる低分子ヘアピンRNA(shRNA)を発現する。種々のベクターを主体とする方法が記載されている(例えば、Brummelkamp et al.[2002]Science 296 550)。インビトロまたはインビボ(例えば、遺伝子治療)のいずれかで、このようなベクターを細胞に導入するための種々の方法は当該分野において公知である。
【0090】
従って、本発明の1つの実施形態において、非コードRNA(ncRNA)と、目的のポリペプチドをコードするRNAのいずれかである核酸、またはそのフラグメントは、目的の核酸、またはそのフラグメント、またはそれに相同である核酸(時折、本願明細書では、集合的に「標的核酸」と呼ばれる)に対応する、本発明のオリゴヌクレオチドに基づくsiRNAまたはsiRNA様分子を細胞に導入すること、または細胞内でこれらを生成することにより、阻害されてもよい。本願明細書で使用される場合、「標的核酸」とは、ポリペプチドをコードしている核酸(例えば、mRNAのようなコードRNA)、ならびに非コード核酸、例えば、非コードRNA(ncRNA)、すわなち、タンパク質に翻訳されず、転写後修飾、遺伝子調節、および増殖(ウイルス)を含む様々な細胞の機能に関与するRNAをいう。ncRNAの例には、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、および核内低分子RNA(snRNA)が含まれる。このようにして、標的核酸の分解およびそのレベルの減少がもたらされてもよく、ポリペプチドをコードする標的核酸の場合において、ポリペプチドの産生またはそのレベルの減少がもたらされてもよい。
【0091】
「siRNA様分子」とは、siRNAに類似し(例えば、サイズおよび構造)、かつsiRNA活性を誘発可能である、すなわち、ポリペプチドの産生のRNAi媒介性阻害をもたらす、核酸分子をいう。種々の実施形態において、このような方法は、細胞へのsiRNAまたはsiRNA様分子の直接的投与を伴ってもよい。1つの実施形態において、siRNAまたはsiRNA様分子は約30ヌクレオチド長未満である。さらなる実施形態において、siRNAまたはsiRNA様分子は約19〜23ヌクレオチド長である。1つの実施形態において、siRNAまたはsiRNA様分子は19〜21二重鎖部分を含み、各鎖は3’突出に2ヌクレオチドを有する。他の実施形態において、一方または両方の鎖が平滑末端を有してもよい。複数の実施形態において、siRNAまたはsiRNA様分子は、目的のポリペプチドをコードする核酸、またはそのフラグメントまたは改変体(または改変体のフラグメント)と実質的に同一である。このような改変体は、目的のポリペプチドに類似する活性を有するタンパク質をコードすることが可能である。
【0092】
従って、本発明はさらに、本発明のオリゴヌクレオチド二重鎖を含む二本鎖siRNAまたはsiRNA様分子(または修飾siRNA)を提供する。
【0093】
本発明の状況において、本願明細書に開示される任意のオリゴヌクレオチド二重鎖もしくはsiRNA/siRNA様分子、または本願明細書に開示されるsiRNA分子を形成するために内因性細胞複合体(Dicerまたはその対応物など、上記を参照のこと)によって処理される任意の長さの二本鎖RNA分子(典型的には、25〜500ヌクレオチド長)、または本願明細書に開示されるオリゴヌクレオチド二重鎖もしくはsiRNA分子を含む分子が本発明の範囲にあることが理解される。長いオリゴヌクレオチド(例えば、ステム領域が本発明のオリゴヌクレオチドを含んでいる、1つ以上のステムおよびループ構造を含む約80〜500ヌクレオチド長のヌクレオチド)がキャリア中で、好ましくは、薬学的に受容可能なキャリア中で送達されてもよいこと、および本発明の1つ以上のより低分子の二本鎖オリゴヌクレオチド(siRNA/siRNA様分子)を産生するために内因性細胞複合体によって細胞内でプロセシングされてもよいことが想定される。このオリゴヌクレオチドは、典型的には、タンデムshRNA構築物と呼ばれる。
【0094】
1つの実施形態において、上記のsiRNAは25〜30ヌクレオチドであり、これは、Dicerエンドヌクレアーゼの基質であり得る(Kim D.-M.et al. Nature Biotechnology, vol.23, pp.222-226 (2005))。
【0095】
本発明はまた、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド二重鎖、またはsiRNA様分子、ならびに、生物学的または薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤などの賦形剤またはキャリアを含む組成物(例えば、薬学的組成物)もまた提供する。1つの実施形態において、このような組成物は、標的核酸の発現(例えば、過剰発現)、および/または標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する病態/疾患を治療するために十分な治療的または予防的な有効量で、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド二重鎖、またはsiRNA様分子を含む。この治療組成物は、生理学的に受容可能なpHで水溶液中に可溶性であり得る。
【0096】
本願明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能なキャリア」または「賦形剤」には、生理学的に適合可能である、任意のまたは全ての、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤、および吸収遅延剤などが含まれる。1つの実施形態において、キャリアは非経口投与のために適切である。あるいは、キャリアは、静脈内、腹腔内、筋肉内、局所的、舌下、もしくは経口投与のために、または吸入による投与のために適切であり得る。薬学的に受容可能なキャリアは、滅菌注射液または分散液の即時調製のための滅菌水溶液または分散液、および滅菌粉末を含む。このような媒体および薬学的に活性な物質の使用は、当該分野において周知である。任意の従来の媒体または剤が活性化合物と適合性ではない場合を除いて、本発明の薬学的組成物におけるその使用が意図される。補助的な活性化合物もまた、これらの組成物に組み入れることができる。
【0097】
治療組成物は、典型的には、製造および保存の条件下で無菌性かつ安定でなければならない。この組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適合性である他の秩序付けられた構造として製剤化できる。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびこれらの適切な混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合においては必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって維持できる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖類、多価アルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを組成物中に含めることによって行うことができる。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、持続放出製剤、例えば、徐放性ポリマーを含む組成物の形で投与できる。活性化合物は、急速な放出に対して化合物を保護するキャリア、例えば、埋め込み物およびマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤とともに調製できる。生物分解可能な、生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸およびポリ乳酸−ポリグリコール酸共重合体(PLG)が使用できる。このような製剤の調製のための多くの方法が特許になっているかまたは一般的に当業者に公知である。
【0098】
滅菌注射溶液は、活性化合物(例えば、本発明のオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子)を、適切な溶媒中、必要とされる量で、上記に列挙した成分の1つまたは組み合わせとともに組み入れることによって調製でき、その後、濾過滅菌を行う。一般的には、分散液は、基本分散媒および上記に列挙されたものからの必要とされる他の成分を含む滅菌媒体に活性化合物を組み入れることによって調製される。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、有効成分およびあらかじめ濾過滅菌したその溶液からの任意のさらなる所望の成分の粉末を生じる、真空乾燥および凍結乾燥である。本発明の代替の態様に従って、本発明のオリゴヌクレオチドは、その溶解性を高める1種以上のさらなる化合物とともに製剤化されてもよい。
【0099】
複数の実施形態に従うRNAiをもたらすためのsiRNA送達のための適切な方法には、本願明細書に記載されるような、または当業者に公知であるような、オルガネラ、細胞、組織、または生物体にsiRNAが導入できる任意の方法が含まれる。このような方法には、例えば、マイクロインジェクションを含む注射、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン、その後のポリエチレングリコールの使用、直接的音波ローディング、リポソーム媒介トランスフェクション、微粒子弾丸銃、シリコンカーバイドファイバーとの攪拌、アグロバクテリウム媒介トランスフェクション、PEG-媒介トランスフェクション、乾燥/阻害媒介性取り込みなどによるsiRNAの直接的送達が含まれるがこれらに限定されない。これらのような技術の使用を通して、オルガネラ、細胞、組織、または生物体は安定にまたは一過性に形質転換されてもよい。本発明のオリゴヌクレオチド、二本鎖分子/二重鎖、siRNA分子または組成物は、リポソームまたはリポフェクチン製剤などの中で送達されてもよく、これらは当業者に周知の方法によって調製される。このような方法は、例えば、米国特許第5,593,972号、同第5,589,466号、および同第5,580,859号に記載されている。
【0100】
哺乳動物細胞へのsiRNAの送達の増強および改善を具体的に目的としている送達系が開発されている(例えば、Shen et al. FEBS Let. 2003,539: 111-114; Xia et al., Nat.Biotech. 2002,20:1006-1010; Sorensen et al., J.Mol.Biol. 2003.327:761-766; Lewis et al., Nat.Gen. 2002,32:107-108およびSimeoni et al, Nucleic Acids Research 2003,31(11):2717-2724を参照のこと)。
【0101】
本発明の別の態様に従うと、本発明のオリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子を含む本発明の治療化合物は、キットまたは市販のパッケージで提供されてもよい。このキットは、標的遺伝子発現の阻害のため、ならびに/または標的核酸もしくは遺伝子の発現(例えば、過剰発現)と関連する疾患/病態の予防および/もしくは治療のための、オリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子の使用のための指示書をさらに含んでもよい。このキットはさらに、ハウスキーピング遺伝子を標的とする妥当性が確認済みのsiRNA陽性コントロール、および/または標的とされない妥当性が確認済みのsiRNA陰性コントロールを含んでもよい。このキットはさらに、1種以上の試薬、例えば、本発明のオリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子を細胞に導入するための試薬(例えば、トランスフェクション/形質転換試薬)および/あるいはは意図された標的遺伝子のノックダウンを評価するための試薬、例えば、免疫蛍光もしくはウェスタン分析によってタンパク質レベルでノックダウンをモニターするための抗体、レポータータンパク質の酵素活性もしくは存在を評価するための試薬、または細胞生存度を評価するための試薬を含んでもよい。RT-PCRプライマーおよびプローブは、標的またはレポーターmRNAの検出のために含めてもよい。このキットは、さらに、オリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子がそこに配置/分取されてもよい容器(例えば、バイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他のパッケージング手段)、ならびにオリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子を被験体に投与するためのデバイス(例えば、シリンジ)を備えてもよい。
【0102】
本発明はさらに、例えば、標的遺伝子/核酸によってコードされたポリペプチドの産生を阻害するために、生物学的系(例えば、細胞、組織、器官、被験体)において、標的核酸の発現を阻害し、または標的遺伝子/核酸を減少もしくはそののレベルを減少させる方法を提供し、この方法は、上記のオリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子をこの系に導入する工程を包含する。
【0103】
本発明の別の態様に従うと、その必要がある患者において、遺伝子の産物の産生を阻害する(例えば、有害な遺伝子の「遺伝子サイレンシング」)方法が提供される。本願明細書で使用される場合、「遺伝子サイレンシング」とは、特定の核酸配列または遺伝子(例えば、有害な遺伝子)によってコードされるタンパク質の発現の阻害または減少をいう。この方法は、本発明のオリゴヌクレオチド、二本鎖分子/二重鎖、siRNA分子、または組成物の治療有効量を患者に投与する工程を包含する。複数の実施形態において、標的遺伝子または核酸は、ウイルス、細菌、または哺乳動物(例えば、ヒト)の遺伝子である。
【0104】
本発明はさらに、例えば、標的遺伝子/核酸によってコードされるポリペプチドの産生と関連する、被験体における遺伝子/核酸の発現と関連する病態を治療する方法を提供し、この方法は、オリゴヌクレオチド二重鎖、siRNA、またはsiRNA様分子を被験体(または被験体からの細胞、組織、器官)に投与する工程を包含し、ここで、siRNAまたはsiRNA様分子はその遺伝子/核酸に標的化される(またはその遺伝子/核酸に特異的である)。
【0105】
本発明はさらに、医薬品の調製のためのsiRNAまたはsiRNA様分子の使用を提供する。
【0106】
本発明はさらに、(a)遺伝子サイレンシング;(b)生物学的系における遺伝子発現/ポリペプチド産生の阻害;(c)被験体における遺伝子発現/ポリペプチド産生の阻害;(d)生物学的系または被験体における標的遺伝子/核酸の分解またはそのレベルの減少;(d)被験体における遺伝子/核酸によってコードされているポリペプチドの産生と関連する疾患/病態の治療;および(e)医薬品、例えば、被験体における核酸/遺伝子の発現(例えば、過剰発現)と関連する疾患または病態を治療するための医薬品の調製から選択される方法のための上記のsiRNAまたはsiRNA様分子の使用を提供する。
【0107】
種々の実施形態において、本発明のオリゴヌクレオチド対、二重鎖、siRNA、および/またはsiRNA様分子は、標的核酸または遺伝子の発現と関連する疾患/病態を予防または治療するための製剤または医薬品において、予防的および/または治療的に使用されてもよい。本発明は、対応する医学的治療の方法を提供し、ここでは、本発明のオリゴヌクレオチドの治療用量は、例えば、その必要がある患者または被験体に、薬理学的に受容可能な製剤の形で投与される。
【0108】
「治療有効量」とは、所望の治療的結果、例えば、標的核酸または遺伝子によってコードされているポリペプチドの産生と関連する疾患の進行を低く抑えるか拮抗できるようにするために、必要な投薬量および時間で有効である量をいう。本発明のオリゴヌクレオチド対、二重鎖、siRNA、および/またはsiRNA様分子の治療有効量は、個体の病状、年齢、性別、および体重、ならびに化合物が個体において所望の応答を誘発する能力などの要因に従って変化する可能性がある。投薬量は、最適な治療応答を提供するために調整されてもよい。治療有効量はまた、化合物の任意の毒性または有害な作用よりも、治療的な有益な作用が上回る量である。「予防有効量」とは、所望の予防的結果、例えば、標的核酸または遺伝子によってコードされているポリペプチドの産生と関連する疾患の発症または進行の速度を予防または阻害することを達成するために、必要な投薬量および時間で有効である量をいう。予防有効量は、治療有効量について上記に記載されたのと同様に決定できる。特定の被験体については、特定の投薬量は、個々の必要性、および組成物の投与者または組成物の投与の監督者の専門的な判断に従って時間をかけて調整されてもよい。
【0109】
本発明はさらに、標的核酸を分解しもしくはそのレベルを減少させるため、または標的核酸もしくは遺伝子によってコードされているポリペプチドの産生もしくはレベルを減少させるため、または標的核酸もしくは遺伝子によってコードされているポリペプチドの産生と関連する疾患/病態の予防および/もしくは治療のための本発明のオリゴヌクレオチド対または二重鎖、または上記の組成物の使用を提供する。本発明はさらに、医薬品の調製のための本発明のオリゴヌクレオチドの使用を提供する。1つの実施形態において、この医薬品は、標的核酸または遺伝子の発現(例えば、過剰発現)と関連する疾患または病態の予防および/または治療のためである。
【0110】
標的遺伝子/核酸は、細胞に由来する遺伝子/核酸、内因性遺伝子、導入遺伝子、または、その感染後に細胞中に存在する、病原体、例えば、ウイルスの遺伝子などの外因性遺伝子であり得る。標的遺伝子を有する細胞は、生殖細胞系または体細胞、全能細胞または多能細胞、分裂細胞または非分裂細胞、柔細胞または上皮細胞、永久増殖細胞または形質転換細胞などの細胞からであってもよい。細胞は、配偶子または胚であり得る;胚である場合、これは、単細胞胚または多細胞胚からの構成要素である細胞であり得る。従って、「胚」という用語は胎児組織を包含する。標的遺伝子を有する細胞は、幹細胞などの未分化細胞、または器官もしくは組織の細胞から分化した細胞であってもよく、これには、胎児組織、または生物体中に存在する任意の他の細胞が含まれる。分化している細胞型には、脂肪細胞、線維芽細胞、筋細胞、心筋細胞、内皮細胞、神経細胞、神経膠、血液細胞、巨核球、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、好塩基球、肥満細胞、白血球、顆粒球、ケラチノサイト、軟骨細胞、骨細胞、破骨細胞、肝細胞、および内分泌腺または外分泌腺の細胞が含まれる。
【0111】
本発明のオリゴヌクレオチド対、二重鎖、siRNA分子、またはsiRNA様分子は、例えば、細胞標的化リガンドと関連付けられてもよい。本願明細書で使用される場合、「細胞標的化リガンド」とは、細胞表面受容体などの標的化部位に特異性を有する細胞指向性分子である。これは、例えば、特定の細胞/細胞型、組織、または器官へのオリゴヌクレオチド対、二重鎖、siRNA分子、またはsiRNA様分子のより特異的な送達を可能にする。
【0112】
別の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチド二重鎖の有効性、効力、および/または安定性を増強/改善するための方法を提供し、この方法は、上記二重鎖に、(a)1つ以上の2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA);および(b)(i)1つ以上の2’-置換リボヌクレオチド(RNA)、(ii)1つ以上のロックされた核酸ヌクレオチド(LNA)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせを組み入れる工程を包含する。
【0113】
別の態様において、本発明は、オリゴヌクレオチド二重鎖の標的を外れる影響を減少させるための方法を提供し、この方法は、上記二重鎖に、(a)1つ以上の2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA);および(b)(i)1つ以上の2’-置換リボヌクレオチド(RNA)、(ii)1つ以上のロックされた核酸ヌクレオチド(LNA)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせを組み入れる工程を包含する。
【0114】
本発明はさらに、本発明のオリゴヌクレオチドを合成する方法を提供し、この方法は、(a)5’脱ブロッキング;(b)カップリング;(c)キャッピング;および(d)酸化を包含し、ここで、(a),(b),(c)および(d)は、オリゴヌクレオチドの合成のために適切な条件下で反復され、ここで、合成は、本願明細書に記載される適切なヌクレオチドモノマー(例えば、RNA、DNA、2’F-ANA、2’F-RNA、LNA)の存在下で実行される。
【0115】
本発明はさらに、本発明のオリゴヌクレオチド二重鎖を調製するための方法を提供し、この方法は、本発明のオリゴヌクレオチドを含む第1鎖(センス鎖)および第1鎖に対して実質的に相補的である第2鎖(アンチセンス鎖)を、第1鎖と第2鎖の間の塩基対形成を介して二重鎖の形成を可能にする条件下で合わせる工程を包含する。
【0116】
複数の実施形態において、合成は、多孔性ガラス、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリビニル、シリカゲル、シリコンを主体とするチップ、セルロース紙、ポリアミド/珪藻土、およびポルアクロイルモルフォリドなどの固相上で実行される。さらなる実施形態において、モノマーは、オリゴヌクレオチドの液相合成またはイオン液体を主体とする合成のために使用されてもよい。
【0117】
本願明細書で使用される場合、「5’脱ブロッキング」とは、ヌクレオシドホスホルアミダイトまたはH-ホスホネートなどのヌクレオシド分子と反応可能である反応性ヒドロキシルを生成するために、あらかじめ加えたヌクレオシドから(または固体支持体に連結された化学基)から保護基を除去する、オリゴヌクレオチド合成における一工程をいう。
【0118】
本願明細書で使用される場合、「保護基」とは、1つ以上の合成の段階の間に望ましくない生成物の合成を抑制するために反応性化学基に一時的に結合された部分をいう。次いで、このような保護基は、所望の合成の工程を進行させるため、または所望の合成産物を生成するために除去されてもよい。保護基の例は、トリチル基(例えば、モノメトキシトリチル基、ジメトキシトリチル基)、シリル基、レブリニル基、およびアセチル基である。
【0119】
本願明細書で使用される場合、「カップリング」とは、例えば、溶液中の活性化されたヌクレオシドホスホルアミダイト、H-ホスホネート、ホスホトリエステル、ピロホスフェート、またはホスフェートの求核攻撃を介する、支持体に結合したヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの末端の5’ヒドロキシル基による、ヌクレオシドがオリゴヌクレオチドの末端のヌクレオシド残基に(または例えば適切なリンカーを介して固体支持体に)共有結合しているオリゴヌクレオチド合成における工程をいう。このような活性化は、テトラゾール、5-エチルチオ−テトラゾール、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI)、および/またはピバロイルクロリドなどの活性化試薬によってもたらされてもよい。
【0120】
本願明細書で使用される場合、「キャッピング」とは、化学的部分が、支持体に結合した核酸またはオリゴヌクレオチド上(または支持体に結合した化学リンカー上)の任意の遊離のまたは未反応ヒドロキシル基に共有結合している、オリゴヌクレオチド合成における工程をいう。このようなキャッピングは、例えば、所望の配列よりも短い長さの配列(例えば、欠失を含む)の形成を抑制するために使用される。このようなキャッピングにおいて使用されてもよい試薬の例は無水酢酸である。さらに、キャッピング工程は、ホスファイト結合の酸化の前後で実施されてもよい(以下を参照のこと)。
【0121】
本願明細書で使用される場合、「酸化」とは、新たに合成されたホスファイトトリエステルまたはH−ホスホネートジエステル結合が、五価ホスフェートトリエステルまたはジエステル結合に転換される、オリゴヌクレオチド合成における工程をいう。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合が所望される場合、「酸化」はまた、ホスホロチオエート結合を生成するための硫黄原子の付加もいう。
【0122】
以下の実施例は、本発明の種々の態様の例示であり、本願明細書に開示されるような本願明細書の最も広い態様を限定しない。
【実施例】
【0123】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに詳細に例証される。
【0124】
実施例1:材料および方法
オリゴヌクレオチド合成。固相オリゴヌクレオチド合成のための標準的な条件を、すべてのオリゴヌクレオチドについて、0.8〜1.0μmolスケールで使用した。4,5-ジシアノイミダゾール(アセトニトリル中0.50M)または5-エチルチオテトラゾール(アセトニトリル中0.25M)を活性化剤として使用し、1:2:10 ピリジン:水:THF中の0.10M ヨウ素を酸化剤として使用した(酸化工程の間の待ち時間は24秒であった)。ホスホルアミダイトは0.15M溶液(RNAアミダイト)または0.08〜0.10M溶液(DNA、2’-フルオロアミダイト)として調製した。カップリング時間は修飾ヌクレオチドについては10〜30分に延長した。オリゴヌクレオチドは、3:1 水酸化アンモニウム:エタノールで、55°Cで16時間処理して、これらを固相支持体から切断し、リン酸および塩基を脱保護した。リボヌクレオチドを含む配列は、EtN・3HF(100μL)で、室温にて48時間、濃縮および脱シリル化を行った。配列精製は、0〜0.2M LiClO溶液を溶出液として使用するアニオン交換HPLCによって、または調製用変性PAGEによって達成した。脱塩はSephadex G-25またはNAP-25カラム上で行った。配列の純度は変性PAGEを使用して確認した。
【0125】
オリゴヌクレオチドの5’リン酸化は、一般的には、新たに合成されたオリゴヌクレオチドを、ビス(2-シアノエチル)-ジイソプロピルアミノホスホルアミダイトおよびエチルチオテトラゾールで処理し、続いて通常の脱保護条件によって、CPG固体支持体上で達成した。ESI-MSは、リン酸化反応の成功を確認するために使用した。
【0126】
熱変性およびCD研究。等モル量の相補配列を合わせ、乾燥させ、140mM KCI、1mM MgCl、および5mM NaHPOを含むpH 7.2緩衝液(1mL)中で再希釈した。90°Cに加熱後、サンプルはゆっくりと室温まで冷却し、一晩冷蔵した。次いで、これらをCary(登録商標)300 UV分光光度計中の冷キュベットに移した。次いで、15°Cから90°Cまで加熱する際の260nmにおける吸光度の変化をモニターした。融解温度は、一次導関数の極大値として、または、Varian(登録商標)ソフトウェアにおいて実行されるようベースライン法を使用して決定した。
【0127】
CDスペクトルは、熱変性件腔と同じ緩衝液中、同じ条件下でアニールさせたサンプルを使用して、20°Cにて、Jasco(登録商標)J-720分光偏光計上で得た。スペクトルは、緩衝液を含むが二重鎖を含まないブランクに関してベースライン補正した。二重鎖濃度についてのスムージングおよび調整は、Spectra-Managerプログラム(Jasco)を使用して行った。
【0128】
siRNAアッセイ(ルシフェラーゼ阻害)。ホタルルシフェラーゼを安定して発現するHeLa X1/5細胞は以前に記載されたように増殖させた(Wu,H.et al. J.Biol.Chem. 1999,274: 28270-28278)。トランスフェクションの前日、24ウェルプレートの各ウェルに0.5×10細胞をプレートした。翌日、20pmolのsiRNAあたり(試験した最高濃度について)1μLのlipofectamineおよび4μLのplus試薬を使用して、lipofectamine-plus(登録商標)試薬(Invitrogen)とあらかじめ混合したsiRNAを増量させながら細胞をインキュベートした。siRNA力価測定のために、各siRNAは希釈緩衝液(30mM HEPES-KOH、pH 7.4、100mM KOAc、2mM MgOAc)で希釈し、siRNAに対して使用したlipofectamine-plus試薬の量は一定のままであった。トランスフェクションの24時間後、低張性溶解緩衝液(15mM KPO、1mM EDTA、1% Triton、2mM NaF、1mg/ml BSA、1mM DTT、100mM NaCI、4μg/mL アプロチイン、2μg/mL ロイペプチン、および2μg/mL ペプスタチン)中で細胞を溶解し、ホタル基質を使用して、Fluostar Optima 96ウェルプレート生物発光リーダー(BMG Labtech)を使用して、ホタル光単位を決定した(Novae,O.et al.J.Nucl.Acids Res.2004,32:902-915)。ルシフェラーゼ計数は、DCタンパク質アッセイ(BioRad)によって決定されるような細胞溶解物のタンパク質濃度に標準化した。エラーバーは少なくとも4回のトランスフェクションの標準偏差を表す。同じ細胞系統における、siRNAとRenillaルシフェラーゼmRNAを発現するプラスミドpCI-hRL-conの同時トランスフェクション(Pillai,R.S.et al. Science 2005,309:1573-1576)は、このレポーターの発現において違いが存在しないことを示し、RNAi効果の特異性を実証した。
【0129】
HEK-Blue(登録商標)IFN検出アッセイを使用するIFN産生の評価。siRNAトランスフェクションの48時間後、細胞は、未処理のまま放置するか、または24時間、1μg/mlのポリ(I:C)で処理した。上清中のIFNの量は、製造業者の指示書(InvivoGen)に従って測定した。手短に述べると、インターフェロン刺激性応答エレメント9(ISRE9)プロモーターの制御下で分泌性アルカリホスファターゼを発現するレポーター遺伝子を有するHEK-Blue(登録商標)細胞と上清を混合した。IFN曝露に応答して、HEK-Blue(登録商標)細胞は可溶性アルカリホスファターゼを放出し、これは、Quanti Blue(登録商標)(InvivoGen)試薬と上清を混合すること、および650nmにおける吸光度を測定することによって定量される。
【0130】
実施例2:2’F-ANAと2’F-RNAの組み合わせを含むsiRNA二重鎖
完全に修飾された2’F-ANA鎖および2’F-RNA鎖を含む一連の二重鎖を作製した(表1)。これらの二重鎖は、ホタルルシフェラーゼ遺伝子(RefSeqアクセッション番号M15077)の1818-1836位を標的とする。両方の2’-フルオロエピマーを含む一連のキメラ鎖もまた設計した。1つのキメラは、2’F-RNAピリミジンおよび2’F-ANAプリンからなった。別の鎖の対は、「1-1アルチマー」構造であり、交互の2’F-ANA残基および2’F-RNA残基を有した。これらの2’F-ANA/2’F-RNAキメラ鎖のすべてについて、3’突出は常に2’F-ANAから作られていた。
【0131】
【表1】

【0132】
すべての二重鎖のRNAi活性は上記と同じ条件下で試験した。結果は図1に示す。
【0133】
二重鎖のうちの4つ(jg-6、jg-8、jg-10、およびjg-12)が、RNAアンチセンス鎖と対合した修飾センス鎖を含んだ。これらの4つの二重鎖で最良のものはjg-6であり、プリン/ピリミジンキメラセンス鎖を含む。2番目によい二重鎖は二重鎖jg-8であり、センス鎖に1-1アルチマー構成を含む。従って、センス鎖で2つの2’-Fエピマーを合わせることは、いずれかの単独のケミストリーを使用するよりも良好な結果を生じ、驚くべきことに、天然のRNAと比較してより良好な結果であった(jg−1)。
【0134】
ける各々の型の修飾鎖構成(2’F-ANA、2’F-RNA、プリン/ピリミジン、および1-1アルチマー)の妥当性を評価することを可能にする。センス/アンチセンスの優先度は、4つすべての型の修飾鎖について観察される。二重鎖jg-6、jg-8、およびjg-12は、それぞれ、jg-7、jg-9、およびjg-13よりも活性が高く、両方のキメラ構築物および2’F-ANA鎖が、アンチセンス鎖よりもセンス鎖において耐容性に優れていることを明らかにする。違いは、1つの1-1アルチマー鎖を含む二重鎖jg-8とjg-9の間で特に顕著である;jg-8(センス鎖中1-1アルチマー)は試験した中で最も活性が高い二重鎖の1つであったのに対して、jg-9(アンチセンス鎖中1-1アルチマー)は不活性を示した。
【0135】
図1は、jg-11がjg-10よりも活性が高いことを示し、従って、2’F-RNAがセンス鎖よりもアンチセンス鎖において耐容性に優れていることを示唆する。完全に修飾されたかまたは重度に修飾された鎖は、センス鎖よりもアンチセンス鎖において耐容性に優れていることが観察されたのは初めてであると考えられている。
【0136】
2’F-ANAセンス鎖および2’F-RNAアンチセンス鎖は、同様に活性を有することが見い出された二重鎖を形成した。確かに、これらの修飾間の相乗効果は、二重鎖jg-14の場合に観察され、これは、二重鎖jg-11またはこれが由来する二重鎖jg-12のいずれよりも活性が高い。他方、センス/アンチセンスの組み合わせの逆転はjg-15を与え、本研究において試験したうちで最も効力が弱いsiRNAの1つであった。
【0137】
二重鎖の熱安定性は、アニールした二重鎖を生理学的緩衝液中で加熱すること、および260nm(A260)における吸光度の変化を測定することによって試験した。修飾二重鎖の結合親和性は広範に変化する。RNAi活性と結合親和性の間には相関が存在しない。例えば、本発明者らが試験した中で最も活性が高い二重鎖のうちの2つはjg−4およびjg−8であり、それぞれ、>90°Cおよび48.2°CのT値であった。最も強力な二重鎖、完全にフッ素化されたヘテロ二重鎖jg-14は、ネイティブなRNA二重鎖のそれよりも約20°C高いTを有した(80.1°C対61.8°C)。
【0138】
修飾二重鎖のCDスペクトルを調べて、ヘリックス構造とsiRNA活性の間の関連の可能性を探索した。結果を図2に示す。210-220nmにおけるコットン効果の変化は注目に値する。両方の鎖に同じケミストリーを有する二重鎖jg-2-jg-5で開始すると、2’F-RNA二重鎖jg-4について、このバンドは227nmにおいて最大強度であり、これは、対照二重鎖jg-1に関してわずかに赤方偏移する(224nm)ことは注目に値する。他方、2つのキメラ構造jg-2およびjg-3ならびにすべて2’F-ANA二重鎖jg-5ををはじめとする、2’F-ANAを含む3つの二重鎖については、このバンドは青方偏移し、約220nmの最大強度に達する。さらに、二重鎖jg-1およびjg-4は、210nmのより強力なネガティブバンドを特徴とする。これは、二重鎖のA型ヘリックスの程度と一致している(Ratmeyer,L.et al. Biochemistry 1994,33: 5298-5304)。2’F-RNA二重鎖jg-4もまた、その270nmバンドについて最高強度を有し、ネイティブRNA二重鎖jg-1が続き、次いで、2’F-ANA−含有鎖である。完全−2’F-ANA二重鎖jg-5は、その270nmバンドが最低の強度であり、かつ280nmよりも上ではショルダーを含み、その245nmのネガティブバンドは他の二重鎖よりも有意によりネガティブである(Ratmeyer,L.et al.1994,前出)という事実によって証明されるように、特徴において完全にB型である。
【0139】
二重鎖jg-6-jg-13については、修飾センス鎖は、ネイティブおよびアンチセンス修飾二重鎖について観察されたものよりも、220nmにおいてより高いモル楕円率に対応する。従って、種々のセンス アンチセンス対jg-6/jg-7、jg-8/jg-9、jg- 10/jg-11、およびjg-12/jg-13についての220nmバンドの強度は、各対の第1のメンバーについて常により高かった。なぜなら、センス修飾は、4つの修飾鎖構造のうちの3つについてより高い効力に導いたので、より高いこの強度はまた、より高い効力と一致し、アンチセンスにおいてセンスよりも2’F-RNA修飾鎖がより良好に受け入れられた二重鎖jg-10およびjg-11を例外とした。センス鎖を2’F-RNAで修飾するが、アンチセンス鎖で修飾しないことは、270nmにおけるコットン効果の強度の著しい増加に導いたこともまた興味深い。
【0140】
両方の鎖が修飾されている二重鎖jg-14およびjg-15については、より効力がある二重鎖jg-14は、その220nmバンドにおいて、および確かに、205-250nmの全範囲においてのより高い強度を特徴とする。より低い波長においてこれらの2つの二重鎖間でこのような大きな違いが観察された理由は明らかではない。二重鎖jg-15はよりA型の特徴を有するはずである。なぜなら、これは210nmにより強力なネガティブピークを有するが、jg-14のより高いTは、これがjg-15よりもよりA型特徴を有する(Ratmeyer,L et al.1994,前出)。
【0141】
2’F-ANA−2’F-RNAの組み合わせについて得られる効力および相乗効果が、他のsiRNA配列に適用可能であるか否かを調べるために、今回は515-533位を標的として、他の二重鎖が同じ遺伝子および細胞型に対して向けられた(Hoshika,S.et al. FEBS Lett. 2005,579: 3115-3118; Elbashir,S.M.et al. Nature 2001,411: 494-498)。一連の完全にまたは重度に2’-フッ素化した二重鎖を、以下の原理を考慮に入れて設計した。
(a)センス鎖については2’F-ANAおよび2’F-ANA−2’F-RNAキメラの優先度、アンチセンス鎖については2’F-RNAの優先度;
(b)2’F-ANAおよび2’F-RNAの1-1アルチマーの低い結合親和性(二重鎖jg-8およびjg-9は対照配列よりも13〜16°C低いTm値を有した。表1を参照のこと;
(c)完全に修飾された2’F-ANAセンス鎖の活性は、2’F-RNA アンチセンス鎖と対合した場合にその3’末端近くに5つのRNA挿入物を含む「fr型」2’F-ANAセンス鎖の活性と比較した。
【0142】
得られる二重鎖は表2に提示する。2つのアンチセンス鎖の各々(RNAまたは2’F-RNAのいずれか)は、6つの修飾センス鎖(2’F-ANAまたは2’F-ANA−2’F-RNAキメラ)の各々と対合した。これらの鎖のRNAiを誘導する効力を評価し、結果は図3に示す。
【0143】
【表2】

【0144】
いくつかの結果は、このセットの二重鎖から明確である。図3に示されるように、ほぼすべての二重鎖が対照siRNAよりも有効である。4つの完全に修飾された二重鎖(kl-7、kl-9、kl-10、kl-11)および5つの他の重度に修飾した二重鎖(kl-4、kl-5、kl-6、kl-8、kl-12)は、ホタルルシフェラーゼのこの第2の配列のための対照よりも高い効力を有している。
【0145】
さらに、2’F-RNAと2’F-ANAの間の相乗効果が再度見られる。これらの二重鎖は、2つのサブシリーズに属するものと考えることができ、第1のものはRNAアンチセンス鎖(kl-1〜kl-6)を有し、第2のものは2’F-RNAアンチセンス鎖(kl-7〜kl-12)を有する。各シリーズの対応するメンバーを比較すると(kl-1〜kl-7、kl-2〜kl-8、など)、すべての修飾センス鎖が、RNAアンチセンス鎖よりも、2F’-RNAアンチセンス鎖と対合した場合により良好な効力を示すことが明らかである。
【0146】
各サブシリーズを別々に取り、効力の順番に二重鎖をランク付けすると、1つのパターンを観察することができる:センス鎖は同じ順番に従い、いずれかのアンチセンス鎖を伴う。従って、「最も悪い」センス鎖はすべて2’F-ANA(kl-2およびkl-8)であり、5つのRNA挿入を含む「fr型」センス鎖が続く(kl-3およびkl-9)。しかし、それにも関わらず、kl-8とkl-9の両方が対照よりも強力であることが注目される。
【0147】
キメラ2’F-ANA−2’F-RNAセンス鎖の使用はより良好な効力に導き、これは、再度、使用したアンチセンス鎖に無関係であった。最良のセンス鎖は3-3/1-1アルチマー鎖(kl-5およびkl-11)であり、熱力学的なバイアスを調整するための合理的設計は確かに効力を改善することを示唆した。二重鎖kl-11は効力と有効性の両方を上回るものがなかった。この重鎖のIC50値を見積もることさえ不可能であった。なぜなら、これらのトランスフェクションにおいて使用した最低濃度である2nMにおいて、サイレンシングがなおその最高レベルにあるからである。
【0148】
最後に、二重鎖kl-7とkl-11の両方は、それらの最大限の効果でサイレンシングしているらしいことに注目する価値がある。なぜなら、用量応答は本質的に横ばいであるからである。従って、kl-11のキメラセンス鎖は、サイレンシングの効果を高めることができる(0.21-0.24の代わりに、0.12-0.15の相対的ルシフェラーゼレベル)。
【0149】
本願明細書に記載されるように、例えば、2’F-ANAおよび2’F-RNAは、siRNA二重鎖において種々の方法で合わせることができる。例えば、これらの2つの修飾の2つの組み合わせの型:センス鎖における両方のケミストリーを合わせること、および2’F-ANAまたはキメラセンス鎖と2’F-RNAアンチセンスを合わせることは効力の増加に導く。これら両方の型の相乗効果の組み合わせの例は効力の増加に導いた。
【0150】
実施例3:2’F-ANAおよび2’F-RNAの組み合わせを含む特定のsiRNA二重鎖を使用する4E-BP1/2のノックダウンならびにI型IFN産生に対する効果
本願明細書に記載される4E-BP阻害研究において使用されたsiRNAの配列は表3に提供される。
【0151】
【表3】

【0152】
図4Aに提示される結果は、ヒト4E-BP1および4E-BP2を標的とする非修飾siRNAが、強力な遺伝子サイレンシングを誘発していることを示す(2つのゲルにおける最も右のレーン)。その上、スクランブル(非標的化)siRNAは、4E-BP1の発現レベルにも4E-BP2の発現レベルにも影響を与えない。スクランブル修飾対照1および2は2’F-ANAおよび2’F-RNAで化学修飾されているので、これらのデータは、化学修飾単独では、4E−BP1または2の発現の変化の原因とはならないことを示す。_14修飾構成(完全2’F-ANAセンス鎖、完全2’F-RNAアンチセンス鎖)を用いる4E-BP1および2のノックダウンを見ると、この修飾を含むsiRNAは、4E-BP1と2の両方をサイレンシングすることが可能であるが、とりわけ、4E-BP1の場合において、24時間後には非修飾対照と同程度の強度ではなかったことが示される。_611修飾構成(交互の2’F-ANA/2’F-RNAセンス鎖、完全2’F-RNAアンチセンス鎖)は、両方の場合において、_14よりも強力に見え、4E−BP2についての非修飾対照の強度も上回ると考えられる。
【0153】
次に、化学修飾siRNAが4E-BP1/2二重ノックアウト表現型を再生する能力を、製造業者のプロトコール(InvivoGen)に従って、HEK-Blue(登録商標)系を使用して測定した。siRNAトランスフェクション後3日間、ポリ(I:C)の存在下または非存在下で、インターフェロンの相対レベルをモニターするために実施した実験の結果を図5に提示する。細胞を、修飾スクランブルsiRNAおよびポリ(I:C)で処理するとき、相対的IFNレベルは、非修飾スクランブル配列で処理した細胞のレベルと類似しており、修飾が有意な免疫刺激応答の引き金とはならないことを示す。同時に4E-BP1と2の両方を標的とする非修飾siRNAでの細胞の処理の場合、細胞中の相対的IFNレベルはポリ(I:C)の非存在下で約5単位まで上昇する。細胞をポリ(I:C)(RIG-IおよびMDA5受容体を経由するIFN産生のトリガー)で処理した場合、相対的IFNレベルは、スクランブルsiRNA処理細胞の約11に対して、約18であり、4E-BP1および2のサイレンシングはIFN応答を増加し、これは、4E-BP1/2ノックアウトマウスにおける本発明者らの観察と類似している。最後に、ポリ(I:C)の存在下での4E-BP1および2に対する完全修飾siRNA(_611構成に対応する)での処理は、約42単位の相対的IFNレベルを生じ、これは、スクランブル処理細胞の増加と比較して4倍であり、通常の非修飾4E-BP1および2 siRNAで処理した細胞の増加と比較して2倍である。
【0154】
実施例4:2’F-ANAおよびLNAを含むsiRNA二重鎖を使用するルシフェラーゼノックダウン
次に、2’F-ANAが、ノーザン糖パッカーを採用する別のRNAアナログ、すなわち、ロックされた核酸(LNA)と相乗的に作用できるか否かを試験した。LNAは、メチレン架橋によって、堅いノーザン糖コンホメーションにロックされている。
【0155】
「L-FL」と呼ばれる第1のシリーズは、2’F-ANAセンス鎖を、2’F-ANA突出を含み、RNAi活性を有することが以前に観察されている位置にLNA挿入物を含むアンチセンス鎖と組み合わせることによって設計した。L-FLシリーズの二重鎖の配列は表4に提供する。
【0156】
【表4】

【0157】
「L-FL2」と呼ばれる第2のシリース゛は、有意な効力改善相乗作用を有することが示された2’F-ANA/2’F-RNA構成に基づいて設計した(上記の実施例2および3を参照のこと)。L-FL2シリーズの二重鎖の配列は表5に提供する。
【0158】
【表5】

【0159】
「L-FL3」と呼ばれる第3のシリーズは、すべての2’F-RNAアンチセンス鎖とアニールされたL-FL2からの同じセンス鎖を利用する。L-FL3シリーズの二重鎖の配列は表6に提供する。
【0160】
【表6】

【0161】
各オリゴヌクレオチドは、ESI-TOF質量スペクトル分析装置によって(表7)、いくつかのオリゴヌクレオチドについては、分析用変性PAGE、続いて完全染色液で処理し特徴付けした。
【0162】
【表7】

【0163】
図6に提示されるデータの分析は、2つの3’FANA(2’F-ANA)突出、続いて単一のLNA残基を含むアンチセンス鎖GD2が、RNAi機構と適合可能であり、ある場合においては通常のRNAアンチセンス鎖と比較してsiRNAの効力を改善できる(L-FL1をL-FL4と比較のこと)ことを示す。ヌクレアーゼ分解に対して3’修飾RNAが一般的により安定であることを考慮すると、このアンチセンス構成は、さらなる研究を進めるために選択され、現在は、センス鎖における鎖内2’F-ANA/LNA相乗効果の探索に焦点を当てている。
【0164】
上記に示される通り(実施例2および3)、強力な遺伝子サイレンシングが、2’F-ANA/2’F-RNAキメラsiRNAを使用して達成されてもよい。次いで、L-FL2シリーズのsiRNAを含むキメラ2’F-ANA/LNA siRNA構成を設計し、研究した。センス鎖は、5’から3’に移動する2’F-ANAおよびLNAの交互の領域を用いて設計した。LNA取り込みは、周囲を取り囲む強力にノーザンパッカーされた、RNAを伴うLNA挿入物によって最小限に維持されている。センス鎖上の3’末端の化学修飾は、5’末端における最弱の結合親和性を有するsiRNA鎖のローディングのために、RISCの観察された熱力学的バイアスを利用するための試みにおいて変動させた。7つのセンス鎖GD21-GD25は、ヌクレオチド14まで同一であり、その後、いくつかの化学修飾のパターンを利用した。鎖GD21および22は、センス鎖中で並んでいる糖パッカー(ノーザン対サウスイースタン)を対比する配置の効果を探求するために設計した交互のLNA−2’F-ANA領域を特徴とする。GD23-25は、1-1アルチマー設計、2-2アルチマー設計、および完全なRNA3’領域、続いて、2’F-ANA突出を含む、未修飾RNAと合わせた2’F-ANA修飾の様々なパターンを特徴とする。L-FL2シリーズのオリゴヌクレオチド二重鎖のTは以下の表8において提供する。
【0165】
【表8】

【0166】
得られたTデータに従うと、3’化学修飾は、二重鎖結合親和性に有意な変化を生じておらず、適切なアンチセンス鎖のローディングのための鎖バイアスが導入されなかったことを示唆した。しかし、siRNA配列は、アンチセンス鎖の5’末端に高いA:U含量を有し、適切なRISCローディングを好み、、さらなる鎖バイアスは必要ではないと思われる。これらのLNA/2’F-ANAセンス鎖の遺伝子サイレンシング活性を調べるために、siRNAは、GD21-GD25を、通常のRNAアンチセンス鎖、またはL-FLシリーズからの強力なLNA/2’F-ANAアンチセンス鎖であるGD2のいずれかとアニーリングすることによって調製した。確かに、顕著な鎖バイアスを導入することの失敗にも関わらず、これらの修飾構成のいくつかは、ネイティブRISC基質,dsRNAとほぼ同じか、またはそれよりも、強力な遺伝子サイレンシングを誘発することができた。
【0167】
L-FL2シリーズを用いる初期のsiRNAアッセイは、未修飾対照よりも数倍良好な効力の増加を示した。実際、70〜90%のノックダウンが、ナノモル以下の範囲で、L-FL2-9およびL-FL2-10について観察され、これは、未修飾siRNAを用いる2nM処理でさえよりも強力なノックダウン条件であった。続くホタルルシフェラーゼノックダウンアッセイは、L-FL2シリーズからの強力なノックダウンを示す。図7に示すものは、L-FL2シリーズにおいて最良のsiRNAについてのノックダウン結果である。いくつかの構成はRISC機構によって十分に耐容性である。本発明で試験した構成のいくつかは、とりわけ、低用量で、未処理siRNAよりもはるかに強力な遺伝子サイレンサーであった。加えて、LNA含有設計は、上記の2’F-ANA/2’F-RNA siRNA設計のそれよりもより強力に見える(jg-14)。従って、これらのデータは、重度に修飾したsiRNA設計は遺伝子サイレンシングには有害な作用がないと思われる。
【0168】
L-FL2シリーズは、遺伝子ノックダウンと高度に適合性であるセンス鎖修飾計画を実証する。しかし、これらの場合において、アンチセンス鎖は未修飾のままか、または3’のみが修飾された。次に、これらの強力なセンス鎖構成と、RISC、例えば、2’F-RNAアンチセンス鎖と適合性であるアンチセンス鎖修飾とを組み合わせることが可能であるか否かを試験した。
【0169】
L−FL2シリーズからのLNA/2’F-ANAセンス鎖の効力に基づいて、および完全な2’F-RNAアンチセンス鎖の観察された効力に基づいて、7-11RNA挿入物のみを含む高度に修飾されたsiRNAを設計した(L-FL3シリーズ)。これらの化学修飾構成は、本願明細書に示される設計の組み合わせが、siRNAを主体とするサイレンシングと適合可能であることを表す(実施例2および3、L-FL1およびL-FL2シリーズ)。図8に示されるように、これらの重度に修飾されたsiRNA模倣物は、強力な遺伝子サイレンシング能を有することが明らかである。この修飾siRNAの一部は、中程度の0.08nM用量においてさえ、対照siRNAよりも顕著に強力であり、ここでは、L-FL2シリーズの修飾siRNAの効力は、未修飾siRNAとほぼ等しかった。
【0170】
実施例5:2’F-ANA/2’F-RNAおよび2’F-ANA/2’F-RNA/LNA構成に基づくsiRNA二重鎖を使用するC-mybノックダウン
C−mybは白血病に関与するプロトオンコジーンである。これは、造血細胞増殖に必須のタンパク質をコードしている。ルシフェラーゼ活性および/または4E-BP遺伝子サイレンシング活性を有することが示されている2’F-ANA/2’F-RNAおよび2’F-ANA/2’F-RNA/LNA構成を、別の標的、すなわち、c-mybに対して試験した。C-mybシリーズの二重鎖の配列は表9において提供する。
【0171】
【表9】

【0172】
図9Aにおいて示されるように、2’F-ANA/2’F-RNAおよび2’F-ANA/2’F-RNA/LNA修飾siRNAは、別の標的において遺伝子発現をサイレンシングすることが可能であり、より低い投薬量で、未修飾siRNAよりもc-mybをサイレンシングする際により良好である。2’F-ANA/2’F-RNA構成は、試験した実験条件においてより強力に見える。
【0173】
図9BはsiRNA治療後の生存率を示す(y軸は、c-mybを標的とし、白血病細胞増殖を予防するように設計されたsiRNAを用いる治療後の示された時間後になお生きている白血病細胞の数を表す)。興味深いことに、未処理siRNA処理白血病細胞は、処理後6日目でリバウンドを起こし、増殖を再開するのに対し、いくつかの修飾siRNAは6日後もなお増殖を抑制する。このことは、これらの時間後に未修飾siRNAほどには、修飾siRNAは分解されないことを示唆する。
【0174】
本願明細書に報告した新規なキメラsiRNA構成は、未修飾siRNAと比較して等価なまたは改善された効力を可能にする、以前には開発されていなかったsiRNA模倣物を表す。
【0175】
【表10−1】

【表10−2】

【表10−3】

【表10−4】

【表10−5】

【表10−6】

【0176】
本発明は、特定の実施形態によって本願明細書中上記のように記載されてきたが、本発明は、添付の特許請求の範囲において規定されるような本発明の技術思想および性質から逸脱することなく、改変することができる。特許請求の範囲において、「含む」という語は、オープンエンドの用語として使用され、実質的には「含むがこれに限定されない」という語と等価である。単数形は文脈が明確に反対の意味を指してしない限り、対応する複数形の言及を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センス鎖および前記センス鎖に相補的なアンチセンス鎖を含む二重鎖を形成できるオリゴヌクレオチド対であって、
(a)1つ以上の2’-置換アラビノヌクレオチド(ANA);ならびに
(b)(i)1つ以上の2’-置換リボヌクレオチド(RNA)、(ii)1つ以上のロックされた核酸ヌクレオチド(LNA)、または(iii)(i)および(ii)の組み合わせ
を含む、オリゴヌクレオチド対。
【請求項2】
1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上の2’-置換RNAを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項3】
1つ以上の2’-置換ANA、1つ以上の2’-置換RNA、および1つ以上のLNAを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項4】
1つ以上の2’-置換ANAおよび1つ以上のLNAを含む、請求項1に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項5】
2’-置換基がハロゲンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項6】
ハロゲンがフッ素(F)である、請求項5に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項7】
前記センス鎖が、
(i)2’F-ANAのみ;
(ii)2’F-RNAのみ;
(iii)2’F-RNAと2’F-ANAの組み合わせ;
(iv)RNAのみ;
(v)2’F-ANAとRNAの組み合わせ;
(vi)2’F-ANA、RNA、およびLNAの組み合わせ;または
(vii)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせ
を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項8】
前記アンチセンス鎖が、
(i)2’F-RNAのみ;
(ii)RNAのみ;
(iii)2’F-ANAのみ;
(iv)2’F-RNAと2’F-ANAの組み合わせ;
(v)2’F-ANAとRNAの組み合わせ;
(vi)2’F-ANA、RNA、およびLNAの組み合わせ;または
(vii)2’F-ANA、2’F-RNA、およびRNAの組み合わせ
を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項9】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖が19〜23残基長である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項10】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖が21残基長である、請求項9に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項11】
前記センス鎖、前記アンチセンス鎖、または両方が3’末端に突出を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項12】
前記突出が1〜5残基である、請求項11に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項13】
前記突出が2残基である、請求項12に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項14】
前記突出がデオキシリボヌクレオチド(DNA)、2’F-ANA、またはその組み合わせを含む、請求項11〜13のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項15】
前記センス鎖、前記アンチセンス鎖、または両方が5’末端でリン酸化されている、請求項1〜14のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項16】
前記アンチセンス鎖が5’末端でリン酸化されている、請求項15に記載のオリゴヌクレオチド対。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対を含む、二本鎖siRNA様分子。
【請求項18】
前記センス鎖および前記アンチセンス鎖が15〜80ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの中にあり、その結果、前記オリゴヌクレオチドまたはその部分が、前記センス鎖および前記アンチセンス鎖がヘアピン構造のステムを形成するsiRNA様ヘアピン構造を採用することが可能である、請求項17に記載の二本鎖siRNA様分子。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対または請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、ならびに薬学的に受容可能なキャリアを含む組成物。
【請求項20】
細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生を減少させるための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、オリゴヌクレオチド対、二本鎖siRNA様分子、または組成物。
【請求項21】
被験体において、標的核酸の発現または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現に関連する疾患または病態を予防または治療するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、オリゴヌクレオチド対、二本鎖siRNA様分子、または組成物。
【請求項22】
細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドのレベルを減少させるための方法であって、前記方法は、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物と、細胞とを接触させる工程を包含し、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、方法。
【請求項23】
被験体において、標的核酸の発現または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療する方法であって、前記方法は、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の有効量を前記被験体に投与する工程を包含し、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、方法。
【請求項24】
細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生を減少させるための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、使用。
【請求項25】
細胞中で、標的核酸の分解のためもしくはそのレベルを減少させるため、または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの産生を減少させるための医薬品の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、使用。
【請求項26】
医薬品の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、標的核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、使用。
【請求項27】
被験体において、標的核酸の発現または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、前記核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、使用。
【請求項28】
被験体において、標的核酸の発現または前記標的核酸によってコードされるポリペプチドの発現と関連する疾患または病態を予防または治療するための医薬品の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用であって、ここで、前記オリゴヌクレオチド対のセンス鎖は、前記核酸の核酸塩基配列と実質的に同一である核酸塩基配列を含む、使用。
【請求項29】
医薬品としての、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用。
【請求項30】
医薬品の調製のための、請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物の使用。
【請求項31】
請求項1〜16のいずれか一項に記載のオリゴヌクレオチド対、請求項17もしくは18に記載の二本鎖siRNA様分子、または請求項19に記載の組成物を含むキット。
【請求項32】
細胞中で標的核酸の発現を阻害するための説明書をさらに含む、請求項31に記載のキット。

【図3】
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【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−521652(P2011−521652A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−511949(P2011−511949)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【国際出願番号】PCT/CA2009/000789
【国際公開番号】WO2009/146556
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(508070769)ザ ロイヤル インスティチューション フォー ジ アドヴァンスメント オブ ラーニング/マギル ユニヴァーシティ (2)
【Fターム(参考)】