EL素子の製造方法及びELパネルの製造方法
【課題】キャリア輸送層の膜厚むらを低減する。
【解決手段】略長方形状の開口部13aの短手方向に、複数の開口部13aが並んだ凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させて、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)となる材料が含有される液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することによって、略長方形状の開口部13aの長手方向に複数の開口部13aが並んだ凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させて、その液状体を開口部13aに塗布することに比べて、這い上がりといわれるキャリア輸送層の不均一な成膜を抑えることが可能になり、キャリア輸送層の膜厚をより均一にすることができる。
【解決手段】略長方形状の開口部13aの短手方向に、複数の開口部13aが並んだ凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させて、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)となる材料が含有される液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することによって、略長方形状の開口部13aの長手方向に複数の開口部13aが並んだ凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させて、その液状体を開口部13aに塗布することに比べて、這い上がりといわれるキャリア輸送層の不均一な成膜を抑えることが可能になり、キャリア輸送層の膜厚をより均一にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL素子の製造方法及びELパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられるEL素子の製造プロセスにおいて、キャリア輸送層を成膜する工程として、ガラス基板上に設けられた透明電極を囲むように形成された隔壁間の溝に、ノズルを通じて液体状のEL材料を流し込んで塗布するノズルプリント方式の技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−75640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、隔壁間に塗布されたEL材料を乾燥させて、キャリア輸送層として成膜する過程において、EL材料が隔壁面に付着して成膜された「這い上がり」といわれる隆起したような成膜層が生じて、キャリア輸送層の膜厚の均一性が損なわれてしまうことがあり、その膜厚むらに起因する発光むらが生じてしまうことがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、キャリア輸送層の膜厚むらを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様は、
基板の上面側に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成されたキャリア輸送層と、前記キャリア輸送層上に形成された第二電極と、前記第一電極を長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む開口部を有する隔壁と、を備えるEL素子の製造方法において、
前記隔壁の前記開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を前記開口部内の前記第一電極上に塗布する塗布工程を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記液状体は、前記開口部と短手方向沿いに隣接している前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を前記第一電極上に塗布するようにしてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、前記発光層は前記塗布工程により形成されてもよい。
また、好ましくは、前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によるものであってもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によるものであってもよい。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
基板に設けられた複数の電極を囲む隔壁を有するELパネルの製造方法において、
前記隔壁は、前記複数の電極をそれぞれ長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む複数の開口部を有し、
前記隔壁の前記開口部がその短手方向に並んだ開口部列に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を複数の開口部に亘って連続的に塗布する塗布工程を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布するようにしてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、前記発光層は前記塗布工程により形成されてもよい。
また、好ましくは、前記開口部の長手方向に沿って隣接する前記開口部間の前記隔壁には、前記液状体が塗布されていなくてもよい。
また、好ましくは、前記液状体は、前記開口部間の前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されてもよい。
また、好ましくは、前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によるものであってもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によるものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、這い上がりといわれるキャリア輸送層の不均一な成膜を抑えることで、膜厚むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0009】
図1は、ELパネル1における複数の画素Pの配置構成を示す平面図であり、図2は、ELパネル1の概略構成を示す平面図である。
【0010】
図1、図2に示すように、ELパネル1には、R(赤),G(緑),B(青)をそれぞれ発光する複数の画素Pが所定のパターンでマトリクス状に配置されている。
このELパネル1には、複数の走査線2が行方向に沿って互いに略平行となるよう配列され、複数の信号線3が平面視して走査線2と略直交するよう列方向に沿って互いに略平行となる配列されている。また、隣り合う走査線2の間において電圧供給線4が走査線2に沿って設けられている。そして、これら各走査線2と隣接する二本の信号線3と各電圧供給線4とによって囲われる範囲が、画素Pに相当する。
また、ELパネル1には、走査線2、信号線3、電圧供給線4の上方に覆うように、格子状の隔壁であるバンク13が設けられている。このバンク13によって囲われてなる略長方形状の複数の開口部13aが画素Pごとに形成されており、この開口部13a内に所定のキャリア輸送層(後述する正孔注入層8b、発光層8c)が設けられて、画素Pの発光領域となる。キャリア輸送層とは、電圧が印加されることによって正孔又は電子を輸送する層である。
【0011】
図3は、アクティブマトリクス駆動方式で動作するELパネル1の1画素に相当する回路を示した回路図である。
【0012】
図3に示すように、ELパネル1には、走査線2と、走査線2と交差する信号線3と、走査線2に沿う電圧供給線4とが設けられており、このELパネル1の1画素Pにつき、薄膜トランジスタであるスイッチトランジスタ5と、薄膜トランジスタである駆動トランジスタ6と、キャパシタ7と、EL素子8とが設けられている。
【0013】
各画素Pにおいては、スイッチトランジスタ5のゲートが走査線2に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの一方が信号線3に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの他方がキャパシタ7の一方の電極及び駆動トランジスタ6のゲートに接続されている。駆動トランジスタ6のソースとドレインのうちの一方が電圧供給線4に接続され、駆動トランジスタ6のソースとドレインのうち他方がキャパシタ7の他方の電極及びEL素子8のアノードに接続されている。なお、全ての画素PのEL素子8のカソードは、一定電圧Vcomに保たれている(例えば、接地されている)。
【0014】
また、このELパネル1の周囲において各走査線2が走査ドライバに接続され、各電圧供給線4が一定電圧源又は適宜電圧信号を出力するドライバに接続され、各信号線3がデータドライバに接続され、これらドライバによってELパネル1がアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。電圧供給線4には、一定電圧源又はドライバによって所定の電力が供給される。
【0015】
次に、ELパネル1と、その画素Pの回路構造について、図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、ELパネル1の1画素Pに相当する平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った面の矢視断面図、図6は、図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。なお、図4においては、電極及び配線を主に示す。
【0016】
図4に示すように、スイッチトランジスタ5及び駆動トランジスタ6は、信号線3に沿うように配列され、スイッチトランジスタ5の近傍にキャパシタ7が配置され、駆動トランジスタ6の近傍にEL素子8が配置されている。また、走査線2と電圧供給線4の間に、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7及びEL素子8が配置されている。
【0017】
図4〜図6に示すように、基板10上の一面にゲート絶縁膜となる層間絶縁膜11が成膜されており、その層間絶縁膜11の上に層間絶縁膜12が成膜されている。信号線3は層間絶縁膜11と基板10との間に形成され、走査線2及び電圧供給線4は層間絶縁膜11と層間絶縁膜12との間に形成されている。
【0018】
また、図4、図6に示すように、スイッチトランジスタ5は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。このスイッチトランジスタ5は、ゲート5a、半導体膜5b、チャネル保護膜5d、不純物半導体膜5f,5g、ドレイン電極5h、ソース電極5i等を有するものである。
【0019】
ゲート5aは、基板10と層間絶縁膜11の間に形成されている。このゲート5aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。また、ゲート5aの上に絶縁性の層間絶縁膜11が成膜されており、その層間絶縁膜11によってゲート5aが被覆されている。
層間絶縁膜11は、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。この層間絶縁膜11上であってゲート5aに対応する位置に真性な半導体膜5bが形成されており、半導体膜5bが層間絶縁膜11を挟んでゲート5aと相対している。
半導体膜5bは、例えば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンからなり、この半導体膜5bにチャネルが形成される。また、半導体膜5bの中央部上には、絶縁性のチャネル保護膜5dが形成されている。このチャネル保護膜5dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。
また、半導体膜5bの一端部の上には、不純物半導体膜5fが一部チャネル保護膜5dに重なるようにして形成されており、半導体膜5bの他端部の上には、不純物半導体膜5gが一部チャネル保護膜5dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜5f,5gはそれぞれ半導体膜5bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜5f,5gはn型半導体であるが、これに限らず、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜5fの上には、ドレイン電極5hが形成されている。不純物半導体膜5gの上には、ソース電極5iが形成されている。ドレイン電極5h,ソース電極5iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。
チャネル保護膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iの上には、保護膜となる絶縁性の層間絶縁膜12が成膜され、チャネル保護膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iが層間絶縁膜12によって被覆されている。そして、スイッチトランジスタ5は、層間絶縁膜12によって覆われるようになっている。層間絶縁膜12は、例えば、厚さが100nm〜200nm窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0020】
また、図4、図5に示すように、駆動トランジスタ6は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。この駆動トランジスタ6は、ゲート6a、半導体膜6b、チャネル保護膜6d、不純物半導体膜6f,6g、ドレイン電極6h、ソース電極6i等を有するものである。
【0021】
ゲート6aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなり、ゲート5aと同様に基板10と層間絶縁膜11の間に形成されている。そして、ゲート6aは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる層間絶縁膜11によって被覆されている。
この層間絶縁膜11の上であって、ゲート6aに対応する位置に、チャネルが形成される半導体膜6bが、例えば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンにより形成されている。この半導体膜6bは層間絶縁膜11を挟んでゲート6aと相対している。
半導体膜6bの中央部上には、絶縁性のチャネル保護膜6dが形成されている。このチャネル保護膜6dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。
また、半導体膜6bの一端部の上には、不純物半導体膜6fが一部チャネル保護膜6dに重なるようにして形成されており、半導体膜6bの他端部の上には、不純物半導体膜6gが一部チャネル保護膜6dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜6f,6gはそれぞれ半導体膜6bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜6f,6gはn型半導体であるが、これに限らず、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜6fの上には、ドレイン電極6hが形成されている。不純物半導体膜6gの上には、ソース電極6iが形成されている。ドレイン電極6h,ソース電極6iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。
チャネル保護膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iの上には、絶縁性の層間絶縁膜12が成膜され、チャネル保護膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iが層間絶縁膜12によって被覆されている。
【0022】
キャパシタ7は、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間に接続されており、図4、図6に示すように、基板10と層間絶縁膜11との間に一方の電極7aが形成され、層間絶縁膜11と層間絶縁膜12との間に他方の電極7bが形成され、電極7aと電極7bが誘電体である層間絶縁膜11を挟んで相対している。
【0023】
なお、信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート5a及び駆動トランジスタ6のゲート6aは、基板10に一面に成膜された導電膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで一括して形成されたものである。
また、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iは、層間絶縁膜11に一面に成膜された導電膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで形成されたものである。
【0024】
また、層間絶縁膜11には、ゲート電極5aと走査線2とが重なる領域にコンタクトホール11aが形成され、ドレイン電極5hと信号線3とが重なる領域にコンタクトホール11bが形成され、ゲート電極6aとソース電極5iとが重なる領域にコンタクトホール11cが形成されており、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cがそれぞれ埋め込まれている。コンタクトプラグ20aによってスイッチトランジスタ5のゲート5aと走査線2が電気的に導通し、コンタクトプラグ20bによってスイッチトランジスタ5のドレイン電極5hと信号線3が電気的に導通し、コンタクトプラグ20cによってスイッチトランジスタ5のソース電極5iとキャパシタ7の電極7aが電気的に導通するとともにスイッチトランジスタ5のソース電極5iと駆動トランジスタ6のゲート6aが電気的に導通する。コンタクトプラグ20a〜20cを介することなく、走査線2が直接ゲート電極5aと接触し、ドレイン電極5hが信号線3と接触し、ソース電極5iがゲート電極6aと接触してもよい。
なお、駆動トランジスタ6のゲート6aがキャパシタ7の電極7aに一体に連なっており、駆動トランジスタ6のドレイン電極6hが電圧供給線4に一体に連なっており、駆動トランジスタ6のソース電極6iがキャパシタ7の電極7bに一体に連なっている。
【0025】
画素電極8aは、層間絶縁膜11を介して基板10上に設けられており、画素Pごとに独立して形成されている。この画素電極8aは透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)からなる。なお、画素電極8aは一部、駆動トランジスタ6のソース電極6iに重なり、画素電極8aとソース電極6iが接続している。
画素電極8aを洗浄し、画素電極8a上に塗布されるキャリア輸送層に対して親液性を有するように、プラズマ表面処理が施されている。
そして、図4、図5に示すように、層間絶縁膜12が、走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8aの周縁部、キャパシタ7の電極7b及び層間絶縁膜11を覆うように形成されている。層間絶縁膜12には、各画素電極8aの中央部が露出するように開口部12aが形成されている。そのため、層間絶縁膜12は平面視して格子状に形成されている。
【0026】
そして、基板10の表面に走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7、画素電極8a及び層間絶縁膜12が形成されてなるパネルがトランジスタアレイパネルとなっている。
【0027】
EL素子8は、図4、図5に示すように、アノードとなる第一電極としての画素電極8aと、画素電極8aの上に形成された化合物膜である正孔注入層8bと、正孔注入層8bの上に形成された化合物膜である発光層8cと、発光層8cの上に形成された第二電極としての対向電極8dとを備えている。対向電極8dは全画素Pに共通の単一電極であって、全画素Pに連続して形成されている。
【0028】
正孔注入層8bは、例えば、導電性高分子であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)及びドーパントであるPSS(polystyrene sulfonate;ポリスチレンスルホン酸)からなる機能層であって、画素電極8aから発光層8cに向けて正孔を注入するキャリア注入層である。
発光層8cは、画素P毎にR(赤),G(緑),B(青)のいずれかを発光する材料を含み、例えば、ポリフルオレン系発光材料やポリフェニレンビニレン系発光材料からなり、対向電極8dから供給される電子と、正孔注入層8bから注入される正孔との再結合に伴い発光する層である。このため、R(赤)を発光する画素P、G(緑)を発光する画素P、B(青)を発光する画素Pは互いに発光層8cの発光材料が異なる。画素PのR(赤),G(緑),B(青)のパターンは、デルタ配列であってもよく、また縦方向に同色画素が配列されるストライプパターンであってもよい。
【0029】
対向電極8dは、画素電極8aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、インジウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金で形成されている。
この対向電極8dは全ての画素Pに共通した電極であり、発光層8cなどの化合物膜とともに後述するバンク13を被覆している。
【0030】
このように、層間絶縁膜12及びバンク13によって発光部位となる発光層8cが画素Pごとに仕切られている。
そして、開口部13a内において、キャリア輸送層としての正孔注入層8b及び発光層8cが、画素電極8a上に積層されている(図7〜図9参照)。
【0031】
具体的には、バンク13は、正孔注入層8bや発光層8cを湿式法により形成するに際して、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体が隣接する画素Pに滲み出ないようにする隔壁として機能する。
例えば、図7に示すように、層間絶縁膜12の上に設けられたバンク13には、層間絶縁膜12の開口部12aより内側に開口部13aが形成されている。
そして、図8に示すように、各開口部13aに囲まれた各画素電極8a上に、正孔注入層8bとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第1のキャリア輸送層である正孔注入層8bとなる。
さらに、図9に示すように、各開口部13aに囲まれた各正孔注入層8b上に、発光層8cとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第2のキャリア輸送層である発光層8cとなる。
なお、この発光層8cとバンク13を被覆するように対向電極8dが設けられている(図5参照)。
【0032】
そして、このELパネル1においては、画素電極8a、基板10及び層間絶縁膜11が透明であり、発光層8cから発した光が画素電極8a、層間絶縁膜11及び基板10を透過して出射する。そのため、基板10の裏面が表示面となる。
なお、基板10側ではなく、反対側が表示面となってもよい。この場合、対向電極8dを透明電極とし、画素電極8aを反射電極として、発光層8cから発した光が対向電極8dを透過して出射する。
【0033】
このELパネル1は、次のように駆動されて発光する。
全ての電圧供給線4に所定レベルの電圧が印加された状態で、走査ドライバによって走査線2に順次電圧が印加されることで、これら走査線2が順次選択される。
各走査線2が選択されている時に、データドライバによって階調に応じたレベルの電圧が全ての信号線3に印加されると、その選択されている走査線2に対応するスイッチトランジスタ5がオンになっていることから、その階調に応じたレベルの電圧が駆動トランジスタ6のゲート6aに印加される。
この駆動トランジスタ6のゲート6aに印加された電圧に応じて、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間の電位差が定まって、駆動トランジスタ6におけるドレイン−ソース電流の大きさが定まり、EL素子8がそのドレイン−ソース電流に応じた明るさで発光する。
その後、その走査線2の選択が解除されると、スイッチトランジスタ5がオフとなるので、駆動トランジスタ6のゲート6aに印加された電圧にしたがった電荷がキャパシタ7に蓄えられ、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6i間の電位差は保持される。
このため、駆動トランジスタ6は選択時と同じ電流値のドレイン−ソース電流を流し続け、EL素子8の輝度を維持するようになっている。
【0034】
次に、ELパネル1におけるEL素子8の製造方法について説明する。
【0035】
基板10上にゲートメタル層をスパッタリングで堆積させ、フォトリソグラフィーによりパターニングして信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート5a及び駆動トランジスタ6のゲート6aを形成する。次いで、プラズマCVDによって窒化シリコン等のゲート絶縁膜となる層間絶縁膜11を堆積する。層間絶縁膜11には、ELパネル1の一辺に位置する走査ドライバに接続するための各走査線2の外部接続端子を開口するコンタクトホール(図示せず)を形成する。
次いで、半導体膜5b、6bとなるアモルファスシリコン等の半導体層、チャネル保護膜5d、6dとなる窒化シリコン等の絶縁層を連続して堆積後、フォトリソグラフィーによってチャネル保護膜5d、6dをパターン形成し、不純物半導体膜5f,5g、6f,6gとなる不純物層を堆積後、フォトリソグラフィーによって不純物層及び半導体層を連続してパターニングして不純物半導体膜5f,5g、6f,6g、半導体膜5b、6bを形成する。
そして、フォトリソグラフィーによってコンタクトホール11a〜11cを形成する。次いで、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cを形成する。この工程は省略されてもよい。
スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iとなるソース、ドレインメタル層を堆積して適宜パターニングして、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iを形成する。その後、ITO膜を堆積してからパターニングして画素電極8aを形成する。
そして、スイッチトランジスタ5や駆動トランジスタ6等を覆うように、気相成長法により絶縁膜を成膜し、その絶縁膜をフォトリソグラフィーでパターニングすることで画素電極8aの中央部が露出する開口部12aを有する層間絶縁膜12を形成する。開口部12aとともに、図示しない走査線2の外部接続端子、ELパネル1の一辺に位置するデータドライバに接続するための各信号線3の外部接続端子及び電圧供給線4の外部接続端子をそれぞれ開口する複数のコンタクトホールを形成する。次いで、ポリイミド等の感光性樹脂を堆積後、露光して画素電極8a上の正孔注入層8bが露出する開口部13aを有する格子状のバンク13を形成する。このとき、バンク13は、上記外部接続端子を開口するコンタクトホールを露出している。
【0036】
そして、図2、図4、図5、図7に示すように、複数の画素電極8aを画素Pごとに開放する格子状のバンク13によって囲われた凹部が、平面視して略長方形状を呈する開口部13aとなっている。
そして、各画素Pの画素電極8aに対応する複数の開口部13aは、図10に示すように、例えば、略長方形状の開口部13aの短手方向(短辺方向)に沿って複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列を成すとともに、その開口部13aの長手方向(長辺方向)に沿って複数の開口部13aが並んだ縦方向の凹部の列を成して、升目状に並んでいる。
画素P(画素電極8aに対応する複数の開口部13a及びバンク13)に、プラズマ表面処理を施す。プラズマ処理としては、例えばプラズマ状態の酸素を照射する方法があげられる。
この開口部13aに、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布し、その液状体を乾燥させることによって、キャリア輸送層である正孔注入層8bや発光層8cを成膜することができる。
【0037】
そして、各開口部13aにキャリア輸送層となる材料が含有される液状体を塗布する場合、基板10を、基板10が載置されたステージとともに加熱してから、図10に示すように、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿ってノズルN及び基板10が載置されたステージの少なくともいずれか一方を相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布するノズルプリント方式による塗布工程が実行される。例えば、図示しないステージ移動装置によって、ノズルNが短手方向に配列された複数の画素P上を移動するように、基板10が載置されたステージを開口部13aの短手方向に沿って移動しながら、ノズルNが短手方向の複数の画素Pに液状体を流した後、図示しないノズル移動装置によってノズルNを長手方向に移動して、次の行の画素PにノズルNが液状体を流せる準備を行い、再びステージ移動装置によって、基板10が載置されたステージを開口部13aの短手方向に沿って前回とは逆方向に移動しながらノズルNが短手方向に配列された当該次の行の複数の画素P上に液状体を流す。ここで、ノズルNは、インクジェット方式のような個々に分離した液滴を吐出するのではなく、連続した液流を流すため、バンク13によって囲われた凹部内のみならず、図10に示すように、開口部13aが短手方向に並んだ凹部間のバンク13上に液状体が塗布されることとなるが、開口部13aが長手方向に並んだ凹部間のバンク13上には液状体は塗布されないようになっている。
【0038】
そして、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿い相対的に移動するノズルNを介してバンク13を跨ぎつつ開口部13a内に塗布された液状体が乾燥されて、化合物膜に成膜されることで、正孔注入層8bや発光層8cが形成される。なお、バンク13上に塗布された液状体は、ノズルNの移動方向の前方側あるいは後方側の開口部13a内に流れ込むようになるので、乾燥した際には開口部13a内にのみ化合物膜が成膜されることとなる。
なお、開口部13a内に正孔注入層8bが成膜された後(図8参照)に、発光層8cとなる液状体を開口部13a内に塗布し乾燥すること(図9参照)で、2層よりなるキャリア輸送層を形成することができる。
【0039】
そして、バンク13の上及び発光層8cの上に対向電極8dを一面に成膜することで、EL素子8、ELパネル1が製造される。
【0040】
このように、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら、キャリア輸送層となる液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布し、その液状体を乾燥させることによって、正孔注入層8bや発光層8cの膜厚をほぼ均一に成膜することができる。
【0041】
ここで、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿いノズルNを相対的に移動させながら、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することで、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の膜厚をより均一にすることができる理由について説明する。
【0042】
画素電極8aに対応する複数の開口部13aにプラズマ表面処理を施す過程で、バンク13にもプラズマ表面処理が施され親液性になっているため、その後のバンク13の開口部13a内に塗布された液状体を乾燥させて成膜する過程において、開口部13aとなるバンク13の側壁面はその上に僅かながら化合物膜が成膜されてしまい、その液状体が開口部13aの壁面を上に這い上がるようにして成膜されたように見える現象(這い上がり現象)が起こり、凹部の中央側に比べてその壁面寄りの膜厚が厚くなってしまいがちであることが知られている。
そこで、この這い上がりを低減することによって、より均一な膜厚を有する正孔注入層8bや発光層8cを成膜することを検討した。
【0043】
図11に示すように、バンク13と同様な材料によって形成された所定の隔壁(バンク)により仕切られて、平面視して略正方形状を呈する開口部88が複数連なる凹部の列に沿って、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布したのちに、その液状体を乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を計測することにより、膜厚に影響を及ぼす這い上がりに関する測定を行った。
【0044】
具体的には、キャリア輸送層(正孔注入層)となる材料(PEDOT/PSS)が含有される液状体であるBayer社製「BAYTRON P CH8000」を水で70%に希釈した液状体を用いて、ノズルNの移動速度2.5[m/sec]、ノズルNからの液状体の流量96.28[μl/min]、温度40[℃]という条件で、サイズ76μm×76μmの正方形状の開口部88が連なる凹部の列に沿って、その液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布し乾燥させて、開口部88内にキャリア輸送層の一部である正孔注入層を成膜した。
そして、その開口部88内に成膜した正孔注入層について、図12に示すように、ノズルNの移動方向に沿う横方向の膜厚と、ノズルNの移動方向に直交する縦方向の膜厚とを計測した。その測定結果を図13に示す。ここで、横方向の中心及び縦方向の中心は横軸における38μmとなり、横軸における10μm、70μmは、開口部88近傍に位置する。
【0045】
図13に示すように、開口部88内に成膜した正孔注入層の膜厚は、ノズルNの移動方向に直交する縦方向の膜厚よりも、ノズルNの移動方向に沿った横方向の膜厚の方が、ほぼ均一な厚さ(約20nmの膜厚)を有する平坦な領域が多いことがわかる。
つまり、図12中、ノズルNの移動方向に沿う上下の壁面88a側の方が、ノズルNの移動方向に交差する左右の壁面88b側よりも、這い上がりの程度が大きいということである。
このことより、略長方形状を呈する開口部13aの場合、図14に示すように、開口部13aの短手方向に沿った方向であって、複数の開口部13aがその短手方向に並んだ凹部の列に沿うようにノズルNを相対的に移動させながら、キャリア輸送層となる液状体を塗布した方が、這い上がりが生じる部分を少なくし、ほぼ均一な厚さを有する平坦な膜厚部分をより多くすることができるといえる。
【0046】
ここで、図12中、上下の壁面88a側の方が、左右の壁面88b側よりも這い上がりの程度が大きくなることについて考察する。
図11、図12に示すように、略正方形状を呈する開口部88が複数連なる凹部の列に沿って、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出して、液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布した場合、図11に示すように、図中、開口部88が横方向に並んだ凹部の間のバンク上に液状体が塗布されることとなるため、図12中、左右の壁面88b、88b間のバンク領域88c上にも液状体が塗布されてウェットな状態となる。また、そのバンク上に塗布された液状体は、ノズルNの移動方向の前方側あるいは後方側の開口部88内に流れ込むため、その左右の壁面88bは上下の壁面88a、88a間のバンク領域88d上に比べてよりウェットな状態となる。
【0047】
バンク領域88c上には、塗布された液状体の溶媒の蒸気圧が局所的に高く、且つ溶媒の気化熱によってわずかながら温度が低くなっているために乾燥しづらい。対してバンク領域88d上には、液状体が塗布されていないので溶媒の蒸気圧が局所的に低く、且つ溶媒の気化といったといった熱を下げる要因がないためバンク領域88cと比べてわずかながら温度が高く乾燥しやすい。このため、塗布された液状体が乾燥する過程において、バンク領域88d側の図中上下の壁面88aの方が、バンク領域88c側の図中左右の壁面88b側よりも、溶媒を乾燥させやすい状態になっている。つまり、開口部88内における壁面88a側での乾燥の進行が壁面88b側より速くなる。
従って、開口部88内における壁面88a側での乾燥が速いために、その乾燥過程において液状体は壁面88a側に僅かずつ流動しつつ乾燥することとなって、その液状体に含有されている溶質に相当する材料が壁面88a側に析出しやすい条件で成膜されるために、壁面88a側の膜厚が厚くなり、壁面88a側の這い上がりの程度が大きくなるといえる。
【0048】
そして、図14に示すように、這い上がりが相対的に大きい範囲つまり開口部13aの短手方向に沿った辺13axの長さは、這い上がりが相対的に小さい範囲、つまり開口部13aの長手方向に沿った辺13ayの長さよりも短いので、這い上がりの程度を抑えることができる。
【0049】
実際に、図10に示すように、長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ列に沿い、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布した後に、その液状体を乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を測定した。
具体的には、図15に示すように、バンク13の開口部13aのサイズは長辺13ay×短辺13axが75μm×25μmの長方形であり、ノズルNの移動速度2.5[m/sec]、ノズルNからの液状体の流量83.35[μl/min]、温度40[℃]という条件で、O2プラズマ処理(プラズマシステム社製バレル式アッシャ「DES−106−254AEH」を用い、真空度0.6[Torr]、RF出力250[W]、O2流量60[sccm]の条件)を5分間施した画素Pにおいて、その開口部13aが連なる凹部の列に沿ってPEDOT/PSSが含有される液状体(例えば、Bayer社製「BAYTRON P CH8000」を水で70%に希釈した液状体)を塗布し乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を測定した。その測定結果を図16に示す。
なお、膜厚の測定箇所は、図15に示すように、ノズルNの移動方向に沿う横方向に対しては、開口部13aの端部から端部に亘る25μmの範囲の膜厚を測定し、ノズルNの移動方向に直交する縦方向に対しては、開口部13aの端部から内側への25μmの範囲の膜厚を測定した。
こうして、図16に示す実際の測定結果からも、開口部13aの短辺13ax側より、開口部13aの長辺13ay側での這い上がりの程度が抑えられており、その平坦性が高いことがわかる。
【0050】
このように、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿い相対的に移動するノズルNを介して液状体を塗布することによって、這い上がりの程度を抑えることができ、より膜厚の均一性が良好な正孔注入層8bや発光層8cを成膜することができる。
つまり、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することによって、略長方形状の開口部13aの長手方向に複数の開口部13aが並んだ縦方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら液状体を開口部13aに塗布することに比べて、一画素Pにおける正孔注入層8b、発光層8cの平坦な部分の面積が増え、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の膜厚をより均一にすることができる。
【0051】
また、這い上がりを抑えることで、塗布した液状体の大部分を効率的にキャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の平坦な膜部分とすることができるので、形成するキャリア輸送層の膜厚の管理や調整を行いやすくなる。さらに、その這い上がり量が減るために相対的にキャリア輸送層の平坦な膜部分が厚くなりやすく、所定の膜厚を得るための液状体の使用量を従来より低減することも可能になる。
そして、キャリア輸送層である正孔注入層8b及び発光層8cの膜厚が均一である程、そのキャリア輸送層の発光効率が向上し、良好な発光が行われるようになるので、好適な膜厚を有する正孔注入層8bや発光層8cを形成することで、良好な発光が可能なEL素子8を製造することができる。
【0052】
なお、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿って、赤色のキャリア輸送層、緑色のキャリア輸送層、青色のキャリア輸送層が順に繰り返すように設けられてなる、赤色の画素(R)、緑色の画素(G)、青色の画素(B)を有するフルカラーのELパネルとする場合、略長方形状の開口部13aの長手方向に沿う縦方向の凹部の列に沿ってノズルNを相対的に移動させて、RGB各色に相当する発光層用の液状体を塗布し、縦方向に沿う赤色発光する発光層8c列、緑色発光する発光層8c列、青色発光する発光層8c列を形成するようにしてもよい。
この場合、各色発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体のみ、略長方形状の開口部13aの長手方向に沿って塗布するようにして、正孔注入層8bなどのキャリア注入層となる材料を含有する液状体は、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿って塗布することによって、這い上がりの程度を少しでも抑えて、より均一な膜厚を有するキャリア輸送層を形成することが好ましい。
【0053】
なお、以上の実施の形態においては、キャリア注入層である正孔注入層8bと、発光層8cとの2層よりなるキャリア輸送層を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、発光層1層のみからなるキャリア輸送層や、キャリア注入層として正孔注入層の他に電子注入層などを有する3層以上のキャリア輸送層を備えるEL素子であってもよい。
また、上記実施形態では、複数のキャリア輸送層がいずれも湿式成膜によってなされたが、1層以上が湿式成膜によって形成されれば、上述した効果を奏しうる。例えば、金属酸化物を含む材料を蒸着、スパッタ等の非湿式成膜を行うことによって正孔注入層8bを形成し、化合物液状体を上述した湿式成膜を行うことによって発光層8cを形成してもよい。
また上記実施形態では、ノズルプリント方式であったが、図17に示すように、インクジェット方式において、画素の短手方向に沿って画素のみならずバンク13上にも液滴を吐出してもよい。この場合、画素上の液滴とバンク13上の液滴を乾かない状態で連続するように吐出させればよい。
【0054】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ELパネルの画素の配置構成を示す平面図である。
【図2】ELパネルの概略構成を示す平面図である。
【図3】ELパネルの1画素に相当する回路を示した回路図である。
【図4】ELパネルの1画素を示した平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った面の矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。
【図7】ELパネルのバンクの開口部を示す断面図である。
【図8】開口部内に形成された正孔注入層を示す断面図である。
【図9】開口部内に形成された正孔注入層及び発光層を示す断面図である。
【図10】略長方形状の開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させて、液状体を連続的に塗布する工程を示す説明図である。
【図11】略正方形状の開口部の凹部の列に沿って、液状体を連続的に塗布する状態を示す説明図である。
【図12】略正方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層を示す拡大図である。
【図13】略正方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚の測定結果を示す説明図である。
【図14】略長方形状の開口部における這い上がりに関する説明図である。
【図15】長方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚測定に関する説明図である。
【図16】長方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚の測定結果を示す説明図である。
【図17】インクジェット方式によってノズルから液状体を連続的に塗布する状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ELパネル
8 EL素子
8a 画素電極(第一電極)
8b 正孔注入層(キャリア輸送層、キャリア注入層)
8c 発光層(キャリア輸送層)
8d 対向電極(第二電極)
10 基板
13 バンク(隔壁)
13a 開口部(凹部)
N ノズル
P 画素
【技術分野】
【0001】
本発明は、EL素子の製造方法及びELパネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられるEL素子の製造プロセスにおいて、キャリア輸送層を成膜する工程として、ガラス基板上に設けられた透明電極を囲むように形成された隔壁間の溝に、ノズルを通じて液体状のEL材料を流し込んで塗布するノズルプリント方式の技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−75640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、隔壁間に塗布されたEL材料を乾燥させて、キャリア輸送層として成膜する過程において、EL材料が隔壁面に付着して成膜された「這い上がり」といわれる隆起したような成膜層が生じて、キャリア輸送層の膜厚の均一性が損なわれてしまうことがあり、その膜厚むらに起因する発光むらが生じてしまうことがある。
【0004】
そこで、本発明の課題は、キャリア輸送層の膜厚むらを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、本発明の一の態様は、
基板の上面側に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成されたキャリア輸送層と、前記キャリア輸送層上に形成された第二電極と、前記第一電極を長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む開口部を有する隔壁と、を備えるEL素子の製造方法において、
前記隔壁の前記開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を前記開口部内の前記第一電極上に塗布する塗布工程を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記液状体は、前記開口部と短手方向沿いに隣接している前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を前記第一電極上に塗布するようにしてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、前記発光層は前記塗布工程により形成されてもよい。
また、好ましくは、前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によるものであってもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によるものであってもよい。
【0006】
本発明の他の態様によれば、
基板に設けられた複数の電極を囲む隔壁を有するELパネルの製造方法において、
前記隔壁は、前記複数の電極をそれぞれ長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む複数の開口部を有し、
前記隔壁の前記開口部がその短手方向に並んだ開口部列に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を複数の開口部に亘って連続的に塗布する塗布工程を備えることを特徴とする。
好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布するようにしてもよい。
また、好ましくは、前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、前記発光層は前記塗布工程により形成されてもよい。
また、好ましくは、前記開口部の長手方向に沿って隣接する前記開口部間の前記隔壁には、前記液状体が塗布されていなくてもよい。
また、好ましくは、前記液状体は、前記開口部間の前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されてもよい。
また、好ましくは、前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えてもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によるものであってもよい。
また、好ましくは、前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によるものであってもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、這い上がりといわれるキャリア輸送層の不均一な成膜を抑えることで、膜厚むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0009】
図1は、ELパネル1における複数の画素Pの配置構成を示す平面図であり、図2は、ELパネル1の概略構成を示す平面図である。
【0010】
図1、図2に示すように、ELパネル1には、R(赤),G(緑),B(青)をそれぞれ発光する複数の画素Pが所定のパターンでマトリクス状に配置されている。
このELパネル1には、複数の走査線2が行方向に沿って互いに略平行となるよう配列され、複数の信号線3が平面視して走査線2と略直交するよう列方向に沿って互いに略平行となる配列されている。また、隣り合う走査線2の間において電圧供給線4が走査線2に沿って設けられている。そして、これら各走査線2と隣接する二本の信号線3と各電圧供給線4とによって囲われる範囲が、画素Pに相当する。
また、ELパネル1には、走査線2、信号線3、電圧供給線4の上方に覆うように、格子状の隔壁であるバンク13が設けられている。このバンク13によって囲われてなる略長方形状の複数の開口部13aが画素Pごとに形成されており、この開口部13a内に所定のキャリア輸送層(後述する正孔注入層8b、発光層8c)が設けられて、画素Pの発光領域となる。キャリア輸送層とは、電圧が印加されることによって正孔又は電子を輸送する層である。
【0011】
図3は、アクティブマトリクス駆動方式で動作するELパネル1の1画素に相当する回路を示した回路図である。
【0012】
図3に示すように、ELパネル1には、走査線2と、走査線2と交差する信号線3と、走査線2に沿う電圧供給線4とが設けられており、このELパネル1の1画素Pにつき、薄膜トランジスタであるスイッチトランジスタ5と、薄膜トランジスタである駆動トランジスタ6と、キャパシタ7と、EL素子8とが設けられている。
【0013】
各画素Pにおいては、スイッチトランジスタ5のゲートが走査線2に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの一方が信号線3に接続され、スイッチトランジスタ5のドレインとソースのうちの他方がキャパシタ7の一方の電極及び駆動トランジスタ6のゲートに接続されている。駆動トランジスタ6のソースとドレインのうちの一方が電圧供給線4に接続され、駆動トランジスタ6のソースとドレインのうち他方がキャパシタ7の他方の電極及びEL素子8のアノードに接続されている。なお、全ての画素PのEL素子8のカソードは、一定電圧Vcomに保たれている(例えば、接地されている)。
【0014】
また、このELパネル1の周囲において各走査線2が走査ドライバに接続され、各電圧供給線4が一定電圧源又は適宜電圧信号を出力するドライバに接続され、各信号線3がデータドライバに接続され、これらドライバによってELパネル1がアクティブマトリクス駆動方式で駆動される。電圧供給線4には、一定電圧源又はドライバによって所定の電力が供給される。
【0015】
次に、ELパネル1と、その画素Pの回路構造について、図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、ELパネル1の1画素Pに相当する平面図であり、図5は、図4のV−V線に沿った面の矢視断面図、図6は、図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。なお、図4においては、電極及び配線を主に示す。
【0016】
図4に示すように、スイッチトランジスタ5及び駆動トランジスタ6は、信号線3に沿うように配列され、スイッチトランジスタ5の近傍にキャパシタ7が配置され、駆動トランジスタ6の近傍にEL素子8が配置されている。また、走査線2と電圧供給線4の間に、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7及びEL素子8が配置されている。
【0017】
図4〜図6に示すように、基板10上の一面にゲート絶縁膜となる層間絶縁膜11が成膜されており、その層間絶縁膜11の上に層間絶縁膜12が成膜されている。信号線3は層間絶縁膜11と基板10との間に形成され、走査線2及び電圧供給線4は層間絶縁膜11と層間絶縁膜12との間に形成されている。
【0018】
また、図4、図6に示すように、スイッチトランジスタ5は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。このスイッチトランジスタ5は、ゲート5a、半導体膜5b、チャネル保護膜5d、不純物半導体膜5f,5g、ドレイン電極5h、ソース電極5i等を有するものである。
【0019】
ゲート5aは、基板10と層間絶縁膜11の間に形成されている。このゲート5aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。また、ゲート5aの上に絶縁性の層間絶縁膜11が成膜されており、その層間絶縁膜11によってゲート5aが被覆されている。
層間絶縁膜11は、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。この層間絶縁膜11上であってゲート5aに対応する位置に真性な半導体膜5bが形成されており、半導体膜5bが層間絶縁膜11を挟んでゲート5aと相対している。
半導体膜5bは、例えば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンからなり、この半導体膜5bにチャネルが形成される。また、半導体膜5bの中央部上には、絶縁性のチャネル保護膜5dが形成されている。このチャネル保護膜5dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。
また、半導体膜5bの一端部の上には、不純物半導体膜5fが一部チャネル保護膜5dに重なるようにして形成されており、半導体膜5bの他端部の上には、不純物半導体膜5gが一部チャネル保護膜5dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜5f,5gはそれぞれ半導体膜5bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜5f,5gはn型半導体であるが、これに限らず、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜5fの上には、ドレイン電極5hが形成されている。不純物半導体膜5gの上には、ソース電極5iが形成されている。ドレイン電極5h,ソース電極5iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。
チャネル保護膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iの上には、保護膜となる絶縁性の層間絶縁膜12が成膜され、チャネル保護膜5d、ドレイン電極5h及びソース電極5iが層間絶縁膜12によって被覆されている。そして、スイッチトランジスタ5は、層間絶縁膜12によって覆われるようになっている。層間絶縁膜12は、例えば、厚さが100nm〜200nm窒化シリコン又は酸化シリコンからなる。
【0020】
また、図4、図5に示すように、駆動トランジスタ6は、逆スタガ構造の薄膜トランジスタである。この駆動トランジスタ6は、ゲート6a、半導体膜6b、チャネル保護膜6d、不純物半導体膜6f,6g、ドレイン電極6h、ソース電極6i等を有するものである。
【0021】
ゲート6aは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなり、ゲート5aと同様に基板10と層間絶縁膜11の間に形成されている。そして、ゲート6aは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる層間絶縁膜11によって被覆されている。
この層間絶縁膜11の上であって、ゲート6aに対応する位置に、チャネルが形成される半導体膜6bが、例えば、アモルファスシリコン又は多結晶シリコンにより形成されている。この半導体膜6bは層間絶縁膜11を挟んでゲート6aと相対している。
半導体膜6bの中央部上には、絶縁性のチャネル保護膜6dが形成されている。このチャネル保護膜6dは、例えば、シリコン窒化物又はシリコン酸化物からなる。
また、半導体膜6bの一端部の上には、不純物半導体膜6fが一部チャネル保護膜6dに重なるようにして形成されており、半導体膜6bの他端部の上には、不純物半導体膜6gが一部チャネル保護膜6dに重なるようにして形成されている。そして、不純物半導体膜6f,6gはそれぞれ半導体膜6bの両端側に互いに離間して形成されている。なお、不純物半導体膜6f,6gはn型半導体であるが、これに限らず、p型半導体であってもよい。
不純物半導体膜6fの上には、ドレイン電極6hが形成されている。不純物半導体膜6gの上には、ソース電極6iが形成されている。ドレイン電極6h,ソース電極6iは、例えば、Cr膜、Al膜、Cr/Al積層膜、AlTi合金膜又はAlTiNd合金膜からなる。
チャネル保護膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iの上には、絶縁性の層間絶縁膜12が成膜され、チャネル保護膜6d、ドレイン電極6h及びソース電極6iが層間絶縁膜12によって被覆されている。
【0022】
キャパシタ7は、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間に接続されており、図4、図6に示すように、基板10と層間絶縁膜11との間に一方の電極7aが形成され、層間絶縁膜11と層間絶縁膜12との間に他方の電極7bが形成され、電極7aと電極7bが誘電体である層間絶縁膜11を挟んで相対している。
【0023】
なお、信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート5a及び駆動トランジスタ6のゲート6aは、基板10に一面に成膜された導電膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで一括して形成されたものである。
また、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iは、層間絶縁膜11に一面に成膜された導電膜をフォトリソグラフィー法及びエッチング法等によって形状加工することで形成されたものである。
【0024】
また、層間絶縁膜11には、ゲート電極5aと走査線2とが重なる領域にコンタクトホール11aが形成され、ドレイン電極5hと信号線3とが重なる領域にコンタクトホール11bが形成され、ゲート電極6aとソース電極5iとが重なる領域にコンタクトホール11cが形成されており、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cがそれぞれ埋め込まれている。コンタクトプラグ20aによってスイッチトランジスタ5のゲート5aと走査線2が電気的に導通し、コンタクトプラグ20bによってスイッチトランジスタ5のドレイン電極5hと信号線3が電気的に導通し、コンタクトプラグ20cによってスイッチトランジスタ5のソース電極5iとキャパシタ7の電極7aが電気的に導通するとともにスイッチトランジスタ5のソース電極5iと駆動トランジスタ6のゲート6aが電気的に導通する。コンタクトプラグ20a〜20cを介することなく、走査線2が直接ゲート電極5aと接触し、ドレイン電極5hが信号線3と接触し、ソース電極5iがゲート電極6aと接触してもよい。
なお、駆動トランジスタ6のゲート6aがキャパシタ7の電極7aに一体に連なっており、駆動トランジスタ6のドレイン電極6hが電圧供給線4に一体に連なっており、駆動トランジスタ6のソース電極6iがキャパシタ7の電極7bに一体に連なっている。
【0025】
画素電極8aは、層間絶縁膜11を介して基板10上に設けられており、画素Pごとに独立して形成されている。この画素電極8aは透明電極であって、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)からなる。なお、画素電極8aは一部、駆動トランジスタ6のソース電極6iに重なり、画素電極8aとソース電極6iが接続している。
画素電極8aを洗浄し、画素電極8a上に塗布されるキャリア輸送層に対して親液性を有するように、プラズマ表面処理が施されている。
そして、図4、図5に示すように、層間絶縁膜12が、走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、画素電極8aの周縁部、キャパシタ7の電極7b及び層間絶縁膜11を覆うように形成されている。層間絶縁膜12には、各画素電極8aの中央部が露出するように開口部12aが形成されている。そのため、層間絶縁膜12は平面視して格子状に形成されている。
【0026】
そして、基板10の表面に走査線2、信号線3、電圧供給線4、スイッチトランジスタ5、駆動トランジスタ6、キャパシタ7、画素電極8a及び層間絶縁膜12が形成されてなるパネルがトランジスタアレイパネルとなっている。
【0027】
EL素子8は、図4、図5に示すように、アノードとなる第一電極としての画素電極8aと、画素電極8aの上に形成された化合物膜である正孔注入層8bと、正孔注入層8bの上に形成された化合物膜である発光層8cと、発光層8cの上に形成された第二電極としての対向電極8dとを備えている。対向電極8dは全画素Pに共通の単一電極であって、全画素Pに連続して形成されている。
【0028】
正孔注入層8bは、例えば、導電性高分子であるPEDOT(poly(ethylenedioxy)thiophene;ポリエチレンジオキシチオフェン)及びドーパントであるPSS(polystyrene sulfonate;ポリスチレンスルホン酸)からなる機能層であって、画素電極8aから発光層8cに向けて正孔を注入するキャリア注入層である。
発光層8cは、画素P毎にR(赤),G(緑),B(青)のいずれかを発光する材料を含み、例えば、ポリフルオレン系発光材料やポリフェニレンビニレン系発光材料からなり、対向電極8dから供給される電子と、正孔注入層8bから注入される正孔との再結合に伴い発光する層である。このため、R(赤)を発光する画素P、G(緑)を発光する画素P、B(青)を発光する画素Pは互いに発光層8cの発光材料が異なる。画素PのR(赤),G(緑),B(青)のパターンは、デルタ配列であってもよく、また縦方向に同色画素が配列されるストライプパターンであってもよい。
【0029】
対向電極8dは、画素電極8aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、インジウム、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金で形成されている。
この対向電極8dは全ての画素Pに共通した電極であり、発光層8cなどの化合物膜とともに後述するバンク13を被覆している。
【0030】
このように、層間絶縁膜12及びバンク13によって発光部位となる発光層8cが画素Pごとに仕切られている。
そして、開口部13a内において、キャリア輸送層としての正孔注入層8b及び発光層8cが、画素電極8a上に積層されている(図7〜図9参照)。
【0031】
具体的には、バンク13は、正孔注入層8bや発光層8cを湿式法により形成するに際して、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体が隣接する画素Pに滲み出ないようにする隔壁として機能する。
例えば、図7に示すように、層間絶縁膜12の上に設けられたバンク13には、層間絶縁膜12の開口部12aより内側に開口部13aが形成されている。
そして、図8に示すように、各開口部13aに囲まれた各画素電極8a上に、正孔注入層8bとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第1のキャリア輸送層である正孔注入層8bとなる。
さらに、図9に示すように、各開口部13aに囲まれた各正孔注入層8b上に、発光層8cとなる材料が含有される液状体を塗布し、基板10ごと加熱してその液状体を乾燥させ成膜させた化合物膜が、第2のキャリア輸送層である発光層8cとなる。
なお、この発光層8cとバンク13を被覆するように対向電極8dが設けられている(図5参照)。
【0032】
そして、このELパネル1においては、画素電極8a、基板10及び層間絶縁膜11が透明であり、発光層8cから発した光が画素電極8a、層間絶縁膜11及び基板10を透過して出射する。そのため、基板10の裏面が表示面となる。
なお、基板10側ではなく、反対側が表示面となってもよい。この場合、対向電極8dを透明電極とし、画素電極8aを反射電極として、発光層8cから発した光が対向電極8dを透過して出射する。
【0033】
このELパネル1は、次のように駆動されて発光する。
全ての電圧供給線4に所定レベルの電圧が印加された状態で、走査ドライバによって走査線2に順次電圧が印加されることで、これら走査線2が順次選択される。
各走査線2が選択されている時に、データドライバによって階調に応じたレベルの電圧が全ての信号線3に印加されると、その選択されている走査線2に対応するスイッチトランジスタ5がオンになっていることから、その階調に応じたレベルの電圧が駆動トランジスタ6のゲート6aに印加される。
この駆動トランジスタ6のゲート6aに印加された電圧に応じて、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6iとの間の電位差が定まって、駆動トランジスタ6におけるドレイン−ソース電流の大きさが定まり、EL素子8がそのドレイン−ソース電流に応じた明るさで発光する。
その後、その走査線2の選択が解除されると、スイッチトランジスタ5がオフとなるので、駆動トランジスタ6のゲート6aに印加された電圧にしたがった電荷がキャパシタ7に蓄えられ、駆動トランジスタ6のゲート電極6aとソース電極6i間の電位差は保持される。
このため、駆動トランジスタ6は選択時と同じ電流値のドレイン−ソース電流を流し続け、EL素子8の輝度を維持するようになっている。
【0034】
次に、ELパネル1におけるEL素子8の製造方法について説明する。
【0035】
基板10上にゲートメタル層をスパッタリングで堆積させ、フォトリソグラフィーによりパターニングして信号線3、キャパシタ7の電極7a、スイッチトランジスタ5のゲート5a及び駆動トランジスタ6のゲート6aを形成する。次いで、プラズマCVDによって窒化シリコン等のゲート絶縁膜となる層間絶縁膜11を堆積する。層間絶縁膜11には、ELパネル1の一辺に位置する走査ドライバに接続するための各走査線2の外部接続端子を開口するコンタクトホール(図示せず)を形成する。
次いで、半導体膜5b、6bとなるアモルファスシリコン等の半導体層、チャネル保護膜5d、6dとなる窒化シリコン等の絶縁層を連続して堆積後、フォトリソグラフィーによってチャネル保護膜5d、6dをパターン形成し、不純物半導体膜5f,5g、6f,6gとなる不純物層を堆積後、フォトリソグラフィーによって不純物層及び半導体層を連続してパターニングして不純物半導体膜5f,5g、6f,6g、半導体膜5b、6bを形成する。
そして、フォトリソグラフィーによってコンタクトホール11a〜11cを形成する。次いで、コンタクトホール11a〜11c内にコンタクトプラグ20a〜20cを形成する。この工程は省略されてもよい。
スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iとなるソース、ドレインメタル層を堆積して適宜パターニングして、走査線2、電圧供給線4、キャパシタ7の電極7b、スイッチトランジスタ5のドレイン電極5h,ソース電極5i及び駆動トランジスタ6のドレイン電極6h,ソース電極6iを形成する。その後、ITO膜を堆積してからパターニングして画素電極8aを形成する。
そして、スイッチトランジスタ5や駆動トランジスタ6等を覆うように、気相成長法により絶縁膜を成膜し、その絶縁膜をフォトリソグラフィーでパターニングすることで画素電極8aの中央部が露出する開口部12aを有する層間絶縁膜12を形成する。開口部12aとともに、図示しない走査線2の外部接続端子、ELパネル1の一辺に位置するデータドライバに接続するための各信号線3の外部接続端子及び電圧供給線4の外部接続端子をそれぞれ開口する複数のコンタクトホールを形成する。次いで、ポリイミド等の感光性樹脂を堆積後、露光して画素電極8a上の正孔注入層8bが露出する開口部13aを有する格子状のバンク13を形成する。このとき、バンク13は、上記外部接続端子を開口するコンタクトホールを露出している。
【0036】
そして、図2、図4、図5、図7に示すように、複数の画素電極8aを画素Pごとに開放する格子状のバンク13によって囲われた凹部が、平面視して略長方形状を呈する開口部13aとなっている。
そして、各画素Pの画素電極8aに対応する複数の開口部13aは、図10に示すように、例えば、略長方形状の開口部13aの短手方向(短辺方向)に沿って複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列を成すとともに、その開口部13aの長手方向(長辺方向)に沿って複数の開口部13aが並んだ縦方向の凹部の列を成して、升目状に並んでいる。
画素P(画素電極8aに対応する複数の開口部13a及びバンク13)に、プラズマ表面処理を施す。プラズマ処理としては、例えばプラズマ状態の酸素を照射する方法があげられる。
この開口部13aに、正孔注入層8bや発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布し、その液状体を乾燥させることによって、キャリア輸送層である正孔注入層8bや発光層8cを成膜することができる。
【0037】
そして、各開口部13aにキャリア輸送層となる材料が含有される液状体を塗布する場合、基板10を、基板10が載置されたステージとともに加熱してから、図10に示すように、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿ってノズルN及び基板10が載置されたステージの少なくともいずれか一方を相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布するノズルプリント方式による塗布工程が実行される。例えば、図示しないステージ移動装置によって、ノズルNが短手方向に配列された複数の画素P上を移動するように、基板10が載置されたステージを開口部13aの短手方向に沿って移動しながら、ノズルNが短手方向の複数の画素Pに液状体を流した後、図示しないノズル移動装置によってノズルNを長手方向に移動して、次の行の画素PにノズルNが液状体を流せる準備を行い、再びステージ移動装置によって、基板10が載置されたステージを開口部13aの短手方向に沿って前回とは逆方向に移動しながらノズルNが短手方向に配列された当該次の行の複数の画素P上に液状体を流す。ここで、ノズルNは、インクジェット方式のような個々に分離した液滴を吐出するのではなく、連続した液流を流すため、バンク13によって囲われた凹部内のみならず、図10に示すように、開口部13aが短手方向に並んだ凹部間のバンク13上に液状体が塗布されることとなるが、開口部13aが長手方向に並んだ凹部間のバンク13上には液状体は塗布されないようになっている。
【0038】
そして、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿い相対的に移動するノズルNを介してバンク13を跨ぎつつ開口部13a内に塗布された液状体が乾燥されて、化合物膜に成膜されることで、正孔注入層8bや発光層8cが形成される。なお、バンク13上に塗布された液状体は、ノズルNの移動方向の前方側あるいは後方側の開口部13a内に流れ込むようになるので、乾燥した際には開口部13a内にのみ化合物膜が成膜されることとなる。
なお、開口部13a内に正孔注入層8bが成膜された後(図8参照)に、発光層8cとなる液状体を開口部13a内に塗布し乾燥すること(図9参照)で、2層よりなるキャリア輸送層を形成することができる。
【0039】
そして、バンク13の上及び発光層8cの上に対向電極8dを一面に成膜することで、EL素子8、ELパネル1が製造される。
【0040】
このように、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら、キャリア輸送層となる液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布し、その液状体を乾燥させることによって、正孔注入層8bや発光層8cの膜厚をほぼ均一に成膜することができる。
【0041】
ここで、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿いノズルNを相対的に移動させながら、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することで、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の膜厚をより均一にすることができる理由について説明する。
【0042】
画素電極8aに対応する複数の開口部13aにプラズマ表面処理を施す過程で、バンク13にもプラズマ表面処理が施され親液性になっているため、その後のバンク13の開口部13a内に塗布された液状体を乾燥させて成膜する過程において、開口部13aとなるバンク13の側壁面はその上に僅かながら化合物膜が成膜されてしまい、その液状体が開口部13aの壁面を上に這い上がるようにして成膜されたように見える現象(這い上がり現象)が起こり、凹部の中央側に比べてその壁面寄りの膜厚が厚くなってしまいがちであることが知られている。
そこで、この這い上がりを低減することによって、より均一な膜厚を有する正孔注入層8bや発光層8cを成膜することを検討した。
【0043】
図11に示すように、バンク13と同様な材料によって形成された所定の隔壁(バンク)により仕切られて、平面視して略正方形状を呈する開口部88が複数連なる凹部の列に沿って、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布したのちに、その液状体を乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を計測することにより、膜厚に影響を及ぼす這い上がりに関する測定を行った。
【0044】
具体的には、キャリア輸送層(正孔注入層)となる材料(PEDOT/PSS)が含有される液状体であるBayer社製「BAYTRON P CH8000」を水で70%に希釈した液状体を用いて、ノズルNの移動速度2.5[m/sec]、ノズルNからの液状体の流量96.28[μl/min]、温度40[℃]という条件で、サイズ76μm×76μmの正方形状の開口部88が連なる凹部の列に沿って、その液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布し乾燥させて、開口部88内にキャリア輸送層の一部である正孔注入層を成膜した。
そして、その開口部88内に成膜した正孔注入層について、図12に示すように、ノズルNの移動方向に沿う横方向の膜厚と、ノズルNの移動方向に直交する縦方向の膜厚とを計測した。その測定結果を図13に示す。ここで、横方向の中心及び縦方向の中心は横軸における38μmとなり、横軸における10μm、70μmは、開口部88近傍に位置する。
【0045】
図13に示すように、開口部88内に成膜した正孔注入層の膜厚は、ノズルNの移動方向に直交する縦方向の膜厚よりも、ノズルNの移動方向に沿った横方向の膜厚の方が、ほぼ均一な厚さ(約20nmの膜厚)を有する平坦な領域が多いことがわかる。
つまり、図12中、ノズルNの移動方向に沿う上下の壁面88a側の方が、ノズルNの移動方向に交差する左右の壁面88b側よりも、這い上がりの程度が大きいということである。
このことより、略長方形状を呈する開口部13aの場合、図14に示すように、開口部13aの短手方向に沿った方向であって、複数の開口部13aがその短手方向に並んだ凹部の列に沿うようにノズルNを相対的に移動させながら、キャリア輸送層となる液状体を塗布した方が、這い上がりが生じる部分を少なくし、ほぼ均一な厚さを有する平坦な膜厚部分をより多くすることができるといえる。
【0046】
ここで、図12中、上下の壁面88a側の方が、左右の壁面88b側よりも這い上がりの程度が大きくなることについて考察する。
図11、図12に示すように、略正方形状を呈する開口部88が複数連なる凹部の列に沿って、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出して、液状体を複数の開口部88に亘って連続的に塗布した場合、図11に示すように、図中、開口部88が横方向に並んだ凹部の間のバンク上に液状体が塗布されることとなるため、図12中、左右の壁面88b、88b間のバンク領域88c上にも液状体が塗布されてウェットな状態となる。また、そのバンク上に塗布された液状体は、ノズルNの移動方向の前方側あるいは後方側の開口部88内に流れ込むため、その左右の壁面88bは上下の壁面88a、88a間のバンク領域88d上に比べてよりウェットな状態となる。
【0047】
バンク領域88c上には、塗布された液状体の溶媒の蒸気圧が局所的に高く、且つ溶媒の気化熱によってわずかながら温度が低くなっているために乾燥しづらい。対してバンク領域88d上には、液状体が塗布されていないので溶媒の蒸気圧が局所的に低く、且つ溶媒の気化といったといった熱を下げる要因がないためバンク領域88cと比べてわずかながら温度が高く乾燥しやすい。このため、塗布された液状体が乾燥する過程において、バンク領域88d側の図中上下の壁面88aの方が、バンク領域88c側の図中左右の壁面88b側よりも、溶媒を乾燥させやすい状態になっている。つまり、開口部88内における壁面88a側での乾燥の進行が壁面88b側より速くなる。
従って、開口部88内における壁面88a側での乾燥が速いために、その乾燥過程において液状体は壁面88a側に僅かずつ流動しつつ乾燥することとなって、その液状体に含有されている溶質に相当する材料が壁面88a側に析出しやすい条件で成膜されるために、壁面88a側の膜厚が厚くなり、壁面88a側の這い上がりの程度が大きくなるといえる。
【0048】
そして、図14に示すように、這い上がりが相対的に大きい範囲つまり開口部13aの短手方向に沿った辺13axの長さは、這い上がりが相対的に小さい範囲、つまり開口部13aの長手方向に沿った辺13ayの長さよりも短いので、這い上がりの程度を抑えることができる。
【0049】
実際に、図10に示すように、長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ列に沿い、ノズルNを相対的に移動させながら、そのノズルNから所定の液状体を流し出し、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布した後に、その液状体を乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を測定した。
具体的には、図15に示すように、バンク13の開口部13aのサイズは長辺13ay×短辺13axが75μm×25μmの長方形であり、ノズルNの移動速度2.5[m/sec]、ノズルNからの液状体の流量83.35[μl/min]、温度40[℃]という条件で、O2プラズマ処理(プラズマシステム社製バレル式アッシャ「DES−106−254AEH」を用い、真空度0.6[Torr]、RF出力250[W]、O2流量60[sccm]の条件)を5分間施した画素Pにおいて、その開口部13aが連なる凹部の列に沿ってPEDOT/PSSが含有される液状体(例えば、Bayer社製「BAYTRON P CH8000」を水で70%に希釈した液状体)を塗布し乾燥させて成膜したキャリア輸送層の膜厚を測定した。その測定結果を図16に示す。
なお、膜厚の測定箇所は、図15に示すように、ノズルNの移動方向に沿う横方向に対しては、開口部13aの端部から端部に亘る25μmの範囲の膜厚を測定し、ノズルNの移動方向に直交する縦方向に対しては、開口部13aの端部から内側への25μmの範囲の膜厚を測定した。
こうして、図16に示す実際の測定結果からも、開口部13aの短辺13ax側より、開口部13aの長辺13ay側での這い上がりの程度が抑えられており、その平坦性が高いことがわかる。
【0050】
このように、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿い相対的に移動するノズルNを介して液状体を塗布することによって、這い上がりの程度を抑えることができ、より膜厚の均一性が良好な正孔注入層8bや発光層8cを成膜することができる。
つまり、略長方形状の開口部13aの短手方向に複数の開口部13aが並んだ横方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら、液状体を複数の開口部13aに亘って連続的に塗布することによって、略長方形状の開口部13aの長手方向に複数の開口部13aが並んだ縦方向の凹部の列に沿いノズルNを相対的に移動させながら液状体を開口部13aに塗布することに比べて、一画素Pにおける正孔注入層8b、発光層8cの平坦な部分の面積が増え、キャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の膜厚をより均一にすることができる。
【0051】
また、這い上がりを抑えることで、塗布した液状体の大部分を効率的にキャリア輸送層(正孔注入層8b、発光層8c)の平坦な膜部分とすることができるので、形成するキャリア輸送層の膜厚の管理や調整を行いやすくなる。さらに、その這い上がり量が減るために相対的にキャリア輸送層の平坦な膜部分が厚くなりやすく、所定の膜厚を得るための液状体の使用量を従来より低減することも可能になる。
そして、キャリア輸送層である正孔注入層8b及び発光層8cの膜厚が均一である程、そのキャリア輸送層の発光効率が向上し、良好な発光が行われるようになるので、好適な膜厚を有する正孔注入層8bや発光層8cを形成することで、良好な発光が可能なEL素子8を製造することができる。
【0052】
なお、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿って、赤色のキャリア輸送層、緑色のキャリア輸送層、青色のキャリア輸送層が順に繰り返すように設けられてなる、赤色の画素(R)、緑色の画素(G)、青色の画素(B)を有するフルカラーのELパネルとする場合、略長方形状の開口部13aの長手方向に沿う縦方向の凹部の列に沿ってノズルNを相対的に移動させて、RGB各色に相当する発光層用の液状体を塗布し、縦方向に沿う赤色発光する発光層8c列、緑色発光する発光層8c列、青色発光する発光層8c列を形成するようにしてもよい。
この場合、各色発光層8cとなる材料が溶媒に溶解または分散された液状体のみ、略長方形状の開口部13aの長手方向に沿って塗布するようにして、正孔注入層8bなどのキャリア注入層となる材料を含有する液状体は、略長方形状の開口部13aの短手方向に沿って塗布することによって、這い上がりの程度を少しでも抑えて、より均一な膜厚を有するキャリア輸送層を形成することが好ましい。
【0053】
なお、以上の実施の形態においては、キャリア注入層である正孔注入層8bと、発光層8cとの2層よりなるキャリア輸送層を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、発光層1層のみからなるキャリア輸送層や、キャリア注入層として正孔注入層の他に電子注入層などを有する3層以上のキャリア輸送層を備えるEL素子であってもよい。
また、上記実施形態では、複数のキャリア輸送層がいずれも湿式成膜によってなされたが、1層以上が湿式成膜によって形成されれば、上述した効果を奏しうる。例えば、金属酸化物を含む材料を蒸着、スパッタ等の非湿式成膜を行うことによって正孔注入層8bを形成し、化合物液状体を上述した湿式成膜を行うことによって発光層8cを形成してもよい。
また上記実施形態では、ノズルプリント方式であったが、図17に示すように、インクジェット方式において、画素の短手方向に沿って画素のみならずバンク13上にも液滴を吐出してもよい。この場合、画素上の液滴とバンク13上の液滴を乾かない状態で連続するように吐出させればよい。
【0054】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ELパネルの画素の配置構成を示す平面図である。
【図2】ELパネルの概略構成を示す平面図である。
【図3】ELパネルの1画素に相当する回路を示した回路図である。
【図4】ELパネルの1画素を示した平面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った面の矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線に沿った面の矢視断面図である。
【図7】ELパネルのバンクの開口部を示す断面図である。
【図8】開口部内に形成された正孔注入層を示す断面図である。
【図9】開口部内に形成された正孔注入層及び発光層を示す断面図である。
【図10】略長方形状の開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させて、液状体を連続的に塗布する工程を示す説明図である。
【図11】略正方形状の開口部の凹部の列に沿って、液状体を連続的に塗布する状態を示す説明図である。
【図12】略正方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層を示す拡大図である。
【図13】略正方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚の測定結果を示す説明図である。
【図14】略長方形状の開口部における這い上がりに関する説明図である。
【図15】長方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚測定に関する説明図である。
【図16】長方形状の開口部内に成膜したキャリア輸送層の膜厚の測定結果を示す説明図である。
【図17】インクジェット方式によってノズルから液状体を連続的に塗布する状態を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ELパネル
8 EL素子
8a 画素電極(第一電極)
8b 正孔注入層(キャリア輸送層、キャリア注入層)
8c 発光層(キャリア輸送層)
8d 対向電極(第二電極)
10 基板
13 バンク(隔壁)
13a 開口部(凹部)
N ノズル
P 画素
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上面側に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成されたキャリア輸送層と、前記キャリア輸送層上に形成された第二電極と、前記第一電極を長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む開口部を有する隔壁と、を備えるEL素子の製造方法において、
前記隔壁の前記開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を前記開口部内の前記第一電極上に塗布する塗布工程を備えることを特徴とするEL素子の製造方法。
【請求項2】
前記液状体は、前記開口部と短手方向沿いに隣接している前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されることを特徴とする請求項1に記載のEL素子の製造方法。
【請求項3】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を前記第一電極上に塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載のEL素子の製造方法。
【請求項4】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、
前記発光層は前記塗布工程により形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のEL素子の製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えることを特徴とする請求項5に記載のEL素子の製造方法。
【請求項7】
前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項8】
前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項9】
基板に設けられた複数の電極を囲む隔壁を有するELパネルの製造方法において、
前記隔壁は、前記複数の電極をそれぞれ長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む複数の開口部を有し、
前記隔壁の前記開口部がその短手方向に並んだ開口部列に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を複数の開口部に亘って連続的に塗布する塗布工程を備えることを特徴とするELパネルの製造方法。
【請求項10】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布することを特徴とする請求項9に記載のELパネルの製造方法。
【請求項11】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、
前記発光層は前記塗布工程により形成することを特徴とする請求項9に記載のELパネルの製造方法。
【請求項12】
前記開口部の長手方向に沿って隣接する前記開口部間の前記隔壁には、前記液状体が塗布されていないことを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項13】
前記液状体は、前記開口部間の前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されることを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項14】
前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えることを特徴とする請求項9〜13の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項15】
前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えることを特徴とする請求項14に記載のELパネルの製造方法。
【請求項16】
前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によることを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項17】
前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によることを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項1】
基板の上面側に形成された第一電極と、前記第一電極上に形成されたキャリア輸送層と、前記キャリア輸送層上に形成された第二電極と、前記第一電極を長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む開口部を有する隔壁と、を備えるEL素子の製造方法において、
前記隔壁の前記開口部の短手方向に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を前記開口部内の前記第一電極上に塗布する塗布工程を備えることを特徴とするEL素子の製造方法。
【請求項2】
前記液状体は、前記開口部と短手方向沿いに隣接している前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されることを特徴とする請求項1に記載のEL素子の製造方法。
【請求項3】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を前記第一電極上に塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載のEL素子の製造方法。
【請求項4】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、
前記発光層は前記塗布工程により形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のEL素子の製造方法。
【請求項5】
前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項6】
前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えることを特徴とする請求項5に記載のEL素子の製造方法。
【請求項7】
前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項8】
前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載のEL素子の製造方法。
【請求項9】
基板に設けられた複数の電極を囲む隔壁を有するELパネルの製造方法において、
前記隔壁は、前記複数の電極をそれぞれ長手方向の側壁及び短手方向の側壁で囲む複数の開口部を有し、
前記隔壁の前記開口部がその短手方向に並んだ開口部列に沿いノズルを相対的に移動させながら、前記ノズルから前記キャリア輸送層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を流し出し、前記液状体を複数の開口部に亘って連続的に塗布する塗布工程を備えることを特徴とするELパネルの製造方法。
【請求項10】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記塗布工程において、少なくとも前記キャリア注入層となる材料が溶媒に溶解または分散された液状体を塗布することを特徴とする請求項9に記載のELパネルの製造方法。
【請求項11】
前記キャリア輸送層は、発光する発光層と、前記発光層にキャリアを注入するキャリア注入層と、を有し、
前記キャリア注入層は非湿式成膜法により形成され、
前記発光層は前記塗布工程により形成することを特徴とする請求項9に記載のELパネルの製造方法。
【請求項12】
前記開口部の長手方向に沿って隣接する前記開口部間の前記隔壁には、前記液状体が塗布されていないことを特徴とする請求項9〜11の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項13】
前記液状体は、前記開口部間の前記隔壁の前記長手方向の側壁上にも塗布されることを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項14】
前記塗布工程の後、塗布した前記液状体を乾燥させる乾燥工程を備えることを特徴とする請求項9〜13の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項15】
前記乾燥工程の後、前記キャリア輸送層及び前記隔壁を覆う前記第二電極を形成する第二電極形成工程を備えることを特徴とする請求項14に記載のELパネルの製造方法。
【請求項16】
前記液状体を塗布する塗布工程は、ノズルプリント方式によることを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【請求項17】
前記液状体を塗布する塗布工程は、インクジェット方式によることを特徴とする請求項9〜15の何れか一項に記載のELパネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−245928(P2009−245928A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334243(P2008−334243)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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