説明

FPC用コネクタ及びFPC

【課題】FPCに無理な応力をかけずにFPCの挿抜が可能なFPC用コネクタ及びFPCを提供する。
【解決手段】略直方体状のハウジング2は、FPC9の突起部9−aと係合する角部6−bを含む左右一対のサイドロック6を有し、サイドロックは開閉軸10でハウジングへ回転可能に取り付ける。FPCの挿入時に突起部の斜辺部分がサイドロックの角部に当接し、FPCが奥へと挿入されるに従って突起部に押されるとサイドロックが開閉軸を中心に外側に開き、FPCが完全に挿入されるとサイドロックの角部がFPCの突起部の角部に係合し、サイドロックがFPCを両側からロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FPC(Flexible Printed Circuit;フレキシブルプリント基板)に着脱可能に接続されるFPC用コネクタ及びFPCに関する。
【背景技術】
【0002】
小型化が要求される携帯電話機に代表される可搬性のある携帯機器では、その回路にFPC用コネクタが用いられる場合がある。この場合、携帯機器では、落下による衝撃や持ち運ぶ際の振動が携帯機器に加えられる恐れがあることから、かかる衝撃及び振動の対策を考慮した設計が求められている。
【0003】
しかしながら、現在、携帯機器に用いられるFPC用コネクタは、小型で構造が簡略であるため、FPC用コネクタがFPCを保持する力は十分とは言い難く、落下による衝撃や持ち運ぶ際の振動等によってFPCがFPC用コネクタから外れやすいという問題があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、FPCに抜け止め用突起を形成し、FPC用コネクタ側の突起と嵌合させる抜け防止構造を有するFPC用コネクタが提案されている。即ち、特許文献1には、端末部の両翼に抜け止め防止用の一対の係合凸部13、14を有するFPC1が挿入される凹部21が形成された略直方体状のハウジング2に、FPC1の一対の係合凸部13、14にそれぞれ係止する一対の係合突起21a、21bを有し、且つ、一対の係合突起21a、21bに隣接してその係合突起を保護する金属補強板2a、2bを有するFPC用コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−196424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明は、FPCをFPC用コネクタから挿抜する際には、FPCの端末部の両翼に設けられた一対の係合突起によりこの一対の係合突起に係止するFPC用コネクタ側の係合突起が破損し易く、FPCに無理な応力がかかるという課題があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、FPCに無理な応力をかけずに挿抜が可能なFPC用コネクタを提供することを目的とする。また、本発明はこのFPC用コネクタに対応したFPCを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明に係るFPC用コネクタは、先端両側に抜け止め用突起部を有するFPC(フレキシブルプリント基板)を接続するためのFPC用コネクタであって、略直方体状のハウジングを備え、前記ハウジングは、前記FPCが挿入される挿入口と、前記挿入口の奥にあって、前記挿入口から挿入された前記FPCの端子と接触するFPC接触端子と、前記FPCの抜け止め用突起部と係合し、前記FPCを左右両側からロックするための左右一対のサイドロックと、を有し、前記FPCの先端両側に形成された抜け止め用突起部は、先端部から後側に向けて徐々に傾斜する斜辺部と、前記抜け止め用突起部の後端部に形成され、前記サイドロックと係合するための角部とを有し、前記サイドロックは、前記ハウジングに開閉軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部に当接して前記開閉軸を中心に回転する当接部と、前記サイドロックの角部と係合する角部とを有し、前記FPCの挿入時には、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部により前記サイドロックの当接部が押され、前記FPCが挿入されるに従って前記サイドロックが前記開閉軸を中心に外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックが前記開閉軸を中心に内側に回転して前記サイドロックの角部が、前記抜け止め用突起部の後端の角部と係合し、前記FPCを両側からロックすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、FPCを両側から保持するサイドロック機構を設けているため、確実にFPCの抜けを防止できると共に、サイドロック機構はFPCの先端両側に形成された突起部に当接し、FPCの挿抜動作に応じて回転する構造であるため、FPCに無理な応力をかけずに挿抜することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1−1】本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタの上面側の外観図である。
【図1−2】本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタの正面側の外観図である。
【図1−3】本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタの側面側の外観図である。
【図2−1】図1−1に示すAのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図である。
【図2−2】図1−1に示すBのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図である。
【図3−1】図2−1においてロックを解除(ロックレバーを開放)した状態を示す図である。
【図3−2】図2−2においてロックを解除(ロックレバーを開放)した状態を示す図である。
【図4】図1−2に示すCのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図である。
【図5】図4の状態から、FPCが挿入される状態を示す図である。
【図6】図5の状態から、FPCが完全に挿入された状態を示す図である。
【図7】図6の状態から、ロックレバーを閉じた状態を示す図である。
【図8】図7の状態から、FPCを抜去した時を示す図である。
【図9】図7に示すロック状態での本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタの側面図である。
【図10】ロックを解除した本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタの側面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るFPC用コネクタを、図1−1に示すCのラインに相当する個所で切断した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1−1及び図1−2に示すように、FPC用コネクタ1の外装は略直方体状の合成樹脂等で作製されたコネクタハウジング2であり、コネクタハウジング2は、ロックレバー3と、FPC9(図2−1)が挿入される挿入口20(図1−2)と、FPC9の先端部に接触することで、FPC9と電気的に導通するFPC接触端子5と、FPC接触端子5と電気的に接続され、他のケーブル又は機器と電気的に接続される端子4とを有する。ロックレバー3は、その内側部分であるインナーロックレバー3−aと、その外側部分であるアウターロックレバー3−bと、開閉用ツメ3−cとを含む。
【0013】
図1−3に示すように、アウターロックレバー3−bは、コネクタハウジング2の側面まで覆う形状であって、側面下部でロックが掛かるようにするための突起であるロック用フック7−aが設けられている。後述するようにロック用フック7−aとハウジング凹部7−b(図10)との係合によりロックレバー3−bはハウジング2にロックされる。更に、アウターロックレバー3−bは、ロックレバー3の開閉を容易にするための開閉用ツメ3−cを有している。
【0014】
ロックレバー3の外側部分であるアウターロックレバー3−bは、コネクタハウジング2の上面のみならず側面まで覆う形状であることから、図1−2に示すように正面から見ると略コの字型を呈している。また、図1−2及び図2−1に示すようにスリット状を呈するFPCの挿入口20には、ガイドの役目を果たすガイドバー2−aを有する。
【0015】
なお、本実施の形態では、ロックレバー3を、インナーロックレバー3−aとアウターロックレバー3−bとに分けたが、インナーロックレバー3−aとアウターロックレバー3−bとが一体であってもよい。
【0016】
図2−1は、図1−1に示すAのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図であり、図2−2は、図1−1に示すBのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図であり、それぞれ、FPCコネクタ1にFPC9を挿入した状態を表している。
【0017】
図2−1に示す断面Aはロックレバー3のアクチュエータ部、図2−2に示す断面BはFPC接触端子部5を詳細に示す。図2−1に示すように、断面Aでは、回転軸8がヒンジとなってロックレバー3が開閉可能に取り付けられている。
【0018】
また、図2−2に示すように、ロック状態(ロックレバー3が閉じている状態)では、インナーロックレバー3−aがFPC接触端子5に潜り込む形となり、FPC9の端子部のFPC接触端子5への接圧が確保される。この機構は一般のFPC用コネクタの構造を踏襲している。
【0019】
図3−1は、図2−1においてロックを解除(ロックレバー3を開放)した状態を示す図であり、図3−2は、図2−2においてロックを解除(ロックレバー3を開放)した状態を示す図である。図3−1、図3−2では、ロックレバー3が開放されることにより、FPC9のFPCコネクタ1への圧接が解除されている。
【0020】
図4は、図2−1に示すCのラインで本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタを切断した断面図である。図4に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るFPC用コネクタは、コネクタハウジング2の挿入口20(図1−2)からFPC接触端子5に至るまでの中途に、FPC9を側面から固定する左右一対のサイドロック6と、サイドロック6の開閉軸10とを有する。
【0021】
左右一対のサイドロック6は略L字型で、開閉軸10を中心に回転可能であり、図4に示すように略L字型のサイドロック6のFPC接触端子5側に略円弧状の円弧状部6−aが形成され、略L字型の内側に相当する円弧状部6−aの上方位置に角部6−bが形成されている。本実施の形態では、FPC9の突起部9−aに当接するサイドロック6の当接部として略円弧状の円弧状部6−aを形成しているが、本発明はこれに限ることなく、例えば、直線状、多角形状等であってもよい。
【0022】
図5は、FPC用コネクタ1にFPC9が挿入される途中の状態を示す図である。FPC9は先端両側に略台形状の突起部9−aがあり、略台形状の突起部9−aの斜辺部分がサイドロック6の円弧状部6−bに当接する。FPC9の突起部9−aの後端には角部9−bが形成され、この角部9−bにサイドロック6の角部6−bが係合し、FPC9を両側からロックする構造である(図9参照)。
【0023】
開閉軸10はコネクタハウジング2と一体に形成され、弾性を有する合成樹脂等で作製されたサイドロック6が開閉軸10と接合されている。この構造により、FPC9の先端部の突起部9−aにサイドロック6の円弧状部6−aが押されると、サイドロック6は開閉軸10を中心に時計回り回転する。その際、本例では、サイドロック6は開閉軸10と共にねじれる形となる。FPC9の突起部9−aの押す力がなくなると、サイドロック9は自身の復元力で開閉軸10を中心に反時計回りに回転し、元の状態に戻る。
【0024】
FPC9の挿入時等にサイドロック6が開閉軸10を中心に徐々に時計回りに回転するためには、図5に拡大して示すようにサイドロック6の円弧状部9−aの径(開閉軸10からの距離)は、外側の径をR1、内側の径をR2とすると、R1>R2となるように外側から内側に向けて徐々に径が短くなるようにしておく。
【0025】
次に、FPC9の挿入時の動作を説明する。図4に示す状態から図5に示すようにFPC9がFPC用コネクタ1に挿入されると、FPC9の突起部9−aの斜辺部がサイドロック6の円弧状部6−aに当接し、FPC9が挿入されるに従ってサイドロック6の円弧状部6−aが突起部9−aの斜辺部分に押され、サイドロック6は開閉軸10を中心に時計回りに回転しながら徐々に外側に開いていく。
【0026】
図6は図5の状態からFPC9が完全に挿入された状態を示す。図5に示す状態からFPC9が完全に挿入され、FPC接触端子5と導通するまで完全に挿入され、FPC9の突起部9−aがサイドロック6の円弧状部6−aを通り過ぎると、図6に示すようにサイドロック6は開閉軸10を中心に自身の復元力で元の状態に戻り、FPC9の突起部9−aの後端の角部9−bにサイドロック6の内側の角部6−bが係合する。このようにして左右一対のサイドロック6は再び閉じた状態となり、FPC9はサイドロック6により両側からロックされた状態となる。なお、FPC9の突起部9−aは略台形状であるが、その斜辺は直線以外に略円弧状等の曲線であってもよい。
【0027】
図7は図6の状態からロックレバー3を閉じた状態を示す。ロックレバー3を閉じると、ロックレバー3は図1−3に示すロック用フック7−aがコネクタハウジング2に形成されたハウジング凹部7−bに嵌合し、サイドロック6はFPC9に係合した状態で固定され、FPC9がサイドロック6によりロックされた状態を保持する。ロック用フック7−aとハウジング凹部7−bはそれぞれ2個形成されている。図7に示すロック状態のFPC用コネクタ1の側面図を図8に示す。
【0028】
仮にコネクタハウジング2の側面からサイドロック6が若干飛び出している状態、即ち、サイドロック6とFPC9の突起部9−aとの係合が不十分な場合であっても、ロックレバー3を閉じることにより、飛び出し気味のサイドロック6は、ロックレバー3の内側壁面で押し込まれ、完全に固定される。飛び出し気味のサイドロック6を押し込むために、コネクタハウジング2を覆うアウターロックレバー3−bの側面は、その下方が外側に広がっていてもよい。
【0029】
次に、FPC9をFPC用コネクタ1から引き抜く場合の動作を説明する。図9は図7の状態から、FPC9を抜去する途中の状態を示す図である。図1−3に示す開閉用ツメ3−cを持ち上げることにより、ロックレバー3が開放され、サイドロック6は固定状態から可動可能な状態へ変わる。
【0030】
次いで、FPC9を引き抜く場合には、図9に示すようにFPC9の引き抜き動作に応じてサイドロック6の角部6−bがFPC9の突起部9−aの後端の角部9−bに押され、サイドロック6は開閉軸10を中心に反時計回りに回転して外側に開いていく。そのため、FPC9の突起部9−aとサイドロック6との係合が解除され、FPC9はFPC用コネクタ1から引き抜くことが可能となる。FPC9を引き抜いた後は、左右一対のサイドロック6は図4に示すように元の状態に戻る。ロックを解除したFPC用コネクタ1の側面図を図10に示す。
【0031】
図10に示すようにハウジング凹部7−bは、ロック用フック7−aが嵌合する凹部であり、上述のようにロックレバー3を閉じるとロックレバー3のロック用フック7−aがハウジング凹部7−bに嵌合する。ロック用フック7−aとハウジング凹部7−bは、FPC用コネクタ1の両側面にそれぞれ2個形成され、ロック用フック7−aとハウジング凹部7−bがFPC用コネクタ1の両側面で各々2箇所で嵌合することで、ロックレバー3による保持力を高めている。
【0032】
一般にFPC用コネクタでは、ロックレバーの開閉機構だけでFPCを保持する構造となっている。携帯機器等では、落下衝撃等によりロックレバーが開き、FPCが外れてしまったり、振動によりFPCが徐々に引っ張られ、FPCが抜けてしまうという不具合も少なくない。即ち、FPC用コネクタは厚み方向から押さえるだけの構造となっているため、挿入方向からの力には比較的弱く、抜けてしまうことがあり、接触不良の原因となっている。
【0033】
本実施の形態では、一般的なFPC用コネクタの基本構造は踏襲しながら、振動によるFPCの抜け防止としてサイドロック6を設け、FPC9を保持している。更に衝撃でロックレバー3が不用意に開くことを防止するために、FPC用コネクタの両側面をアウターロックレバー3−bで覆う形状にし、ロック用フック7−aでコネクタハウジング2に固定するようにした。
【0034】
また、ロック用フック7−aはFPC用コネクタの両側面にそれぞれ2カ所配置し、保持力を高めている。これにより、衝撃や振動に対し、強固なコネクタ構造を実現した。加えて、製造性にも配慮しており、挿入口20にはガイドバー2−aを設けることにより、挿入するFPCの位置決めをしやすくした。
【0035】
サイドロック6は、上述のように略L字型で開閉軸10を中心に回転可能であり、図4に示すように略L字型のサイドロック6のFPC接触端子5側が略円弧状に形成されている。一方、FPC9の先端に略台形状の突起部9−aを形成することで、FPC9の挿入時にサイドロック6が突起部9−aに外側に押し出され、その結果、サイドロック6が外側に開く構造としている。このサイドロック機構により、FPC9に無理な応力がかかることなく、FPC9の挿抜が可能となる。
【0036】
FPC9の挿入後には、サイドロック6が自動的に閉じて仮ロックされ、ロックレバー3を閉じることによりコネクタは完全にロックされる。作業手順として一般のFPC用コネクタと差異は少ない。更に、ロックレバー3を閉じた際にはロック用フック7−aがハウジング凹部7−bに嵌合し、カチッと音を出す。ロック状態を音で作業者へ伝え、作業上のミスも防げるようになっている。
【0037】
(第2の実施の形態)
図11は、本発明の第2の実施の形態に係るFPC用コネクタを、図1−1に示すCのラインに相当する個所で切断した場合の断面図である。図11では図1〜図9等と同一部分には同一符号を付している。図11に示すように、本実施の形態では、サイドロック6の開閉軸10にコイルバネ11を組み込んでいる。コイルバネ11を組み込んだ以外は、構成や動作は図1〜図10と同様である。なお、開閉軸10はコネクタハウジング2と一体に形成され、サイドロック6は開閉軸10に固定されておらず、開閉軸10に対して回転可能である。FPC9が挿入されていない通常時にはサイドロック6はコイルバネ11のバネ圧力により図11に示す状態にある。
【0038】
第1の実施の形態では、上述のようにFPC9が挿入されるに従ってサイドロック6の円弧状部6−bが突起部9−aの斜辺部分に押され、開閉軸10を中心に時計回りに回転してサイドロック6が外側に開き、FPC9が完全に挿入されるとサイドロック6は元の状態に戻るものである。
【0039】
第2の実施の形態の基本動作は第1の実施の形態と同様であるが、開閉軸10に弱い弾性を有するコイルバネ11を配置することにより、サイドロック6の開閉の可動性を高め、FPC9の挿抜性能を向上させている。即ち、FPC9の挿入時にはサイドロック6がコイルバネ11の力に抗して開閉軸10を中心に回転して外側に開き、FPC9が完全に挿入されるとサイドロック6がコイルバネ11のバネ圧力により内側に閉じるようにすることでFPC9をスムーズに挿入することが可能となる。
【0040】
また、FPC9を引き抜く場合には、図9に示すようにFPC9の引き抜き動作に応じてサイドロック6はFPC9の突起部9−aの後端の角部9−bに押され、コイルバネ11のバネ圧力に抗して開閉軸10を中心に反時計回りに回転して外側に開いていく。そのため、FPC9の突起部9−aとサイドロック6との係合が解除され、FPC9はFPC用コネクタ1から引き抜くことが可能となる。FPC9を引き抜いた後はサイドロック6はコイルバネ11のバネ圧力により元の状態に戻る。このようにしてFPC9を引き抜く場合もスムーズに引き抜くことが可能となる。
【0041】
本実施の形態では、第1の実施の形態に比べて弱い力でFPC9を挿抜することが可能となり、FPC9の突起部9−aへ掛かる負荷を軽減でき、製造・保守時の作業性も改善することが可能となる。本構成においてコイルバネ11は、バネと同じ効果を得られる機構や材料であればよく、コイルバネ11に限定されない。
【0042】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限らない。
【0043】
(付記1)先端両側に抜け止め用突起部を有するFPC(フレキシブルプリント基板)を接続するためのFPC用コネクタであって、
略直方体状のハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記FPCが挿入される挿入口と、
前記挿入口の奥にあって、前記挿入口から挿入された前記FPCの端子と接触するFPC接触端子と、
前記FPCの抜け止め用突起部と係合し、前記FPCを左右両側からロックするための左右一対のサイドロックと、を有し、
前記FPCの先端両側に形成された抜け止め用突起部は、先端部から後側に向けて徐々に傾斜する斜辺部と、前記抜け止め用突起部の後端部に形成され、前記サイドロックと係合するための角部とを有し、
前記サイドロックは、前記ハウジングに開閉軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部に当接して前記開閉軸を中心に回転する当接部と、前記サイドロックの角部と係合する角部とを有し、
前記FPCの挿入時には、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部により前記サイドロックの当接部が押され、前記FPCが挿入されるに従って前記サイドロックが前記開閉軸を中心に外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックが前記開閉軸を中心に内側に回転して前記サイドロックの角部が、前記抜け止め用突起部の後端の角部と係合し、前記FPCを両側からロックすることを特徴とするFPC用コネクタ。
【0044】
(付記2)前記サイドロックの当接部は円弧状に形成され、前記FPCの挿入時に前記FPCの突起部の斜辺部分が前記サイドロックの円弧状部に当接することを特徴とする付記1に記載のFPC用コネクタ。
【0045】
(付記3)前記ハウジングは、その上部に、前記ハウジングの上面と側面とを覆う正面からは略コの字型のロックレバーを更に備え、
前記ロックレバーは、その一端をヒンジとして、前記ハウジングの上部に開閉可能に取り付けられ、前記ハウジングの上面及び側面を覆うように閉じることで、前記サイドロックが前記FPCをロックした状態を保持することを特徴とする付記1又は2に記載のFPC用コネクタ。
【0046】
(付記4)前記ロックレバーは、前記ハウジングの側面に形成されたハウジング凹部と嵌合するロック用フックを、左右の両側面に備えることを特徴とする付記3に記載のFPC用コネクタ。
【0047】
(付記5)前記サイドロックは前記開閉軸に接合され、前記FPCの挿入時に前記サイドロックの当接部が前記抜け止め用突起部に押された時には、前記サイドロックが前記開閉軸と共に前記開閉軸を中心にねじれることによって外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックの復元力によって前記サイドロックが前記開閉軸を中心に回転して元の状態に戻ることを特徴とする付記1乃至4に記載のFPC用コネクタ。
【0048】
(付記6)前記サイドロックは、前記開閉軸に回転可能に取り付けられ、且つ、前記回転軸にはバネが取り付けられ、前記FPCの挿入時に前記FPCの抜け止め用突起部により前記サイドロックの当接部が押された時には、前記バネのバネ圧力に抗して前記サイドロックが前記開閉軸を中心に回転して外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックが前記バネのバネ圧力によって前記開閉軸を中心に内側に回転して元の状態に戻ることを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載のFPC用コネクタ。
【0049】
(付記7)付記1乃至6のいずれか1項に記載のFPC用コネクタに接続され、先端両側に前記抜け止め用突起部を有することを特徴とするFPC。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、特に、各種携帯機器等のFPCの接続用コネクタとして好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 FPC用コネクタ
2 コネクタハウジング
2−a ガイドバー
3 ロックレバー
3−a インナーロックレバー
3−b アウターロックレバー
3−c 開閉用ツメ
4 端子
5 FPC接触端子
6 サイドロック
6−a 円弧状部
6−b 角部
7−a ロック用フック
7−b ハウジング凹部
8 回転軸
9 FPC
9−a 突起部
9−b 角部
10 開閉軸
11 コイルバネ
20 挿入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端両側に抜け止め用突起部を有するFPC(フレキシブルプリント基板)を接続するためのFPC用コネクタであって、
略直方体状のハウジングを備え、
前記ハウジングは、
前記FPCが挿入される挿入口と、
前記挿入口の奥にあって、前記挿入口から挿入された前記FPCの端子と接触するFPC接触端子と、
前記FPCの抜け止め用突起部と係合し、前記FPCを左右両側からロックするための左右一対のサイドロックと、を有し、
前記FPCの先端両側に形成された抜け止め用突起部は、先端部から後側に向けて徐々に傾斜する斜辺部と、前記抜け止め用突起部の後端部に形成され、前記サイドロックと係合するための角部とを有し、
前記サイドロックは、前記ハウジングに開閉軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部に当接して前記開閉軸を中心に回転する当接部と、前記サイドロックの角部と係合する角部とを有し、
前記FPCの挿入時には、前記FPCの抜け止め用突起部の斜辺部により前記サイドロックの当接部が押され、前記FPCが挿入されるに従って前記サイドロックが前記開閉軸を中心に外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックが前記開閉軸を中心に内側に回転して前記サイドロックの角部が、前記抜け止め用突起部の後端の角部と係合し、前記FPCを両側からロックすることを特徴とするFPC用コネクタ。
【請求項2】
前記サイドロックの当接部は円弧状に形成され、前記FPCの挿入時に前記FPCの突起部の斜辺部分が前記サイドロックの円弧状部に当接することを特徴とする請求項1に記載のFPC用コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、その上部に、前記ハウジングの上面と側面とを覆う正面からは略コの字型のロックレバーを更に備え、
前記ロックレバーは、その一端をヒンジとして、前記ハウジングの上部に開閉可能に取り付けられ、前記ハウジングの上面及び側面を覆うように閉じることで、前記サイドロックが前記FPCをロックした状態を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載のFPC用コネクタ。
【請求項4】
前記ロックレバーは、前記ハウジングの側面に形成されたハウジング凹部と嵌合するロック用フックを、左右の両側面に備えることを特徴とする請求項3に記載のFPC用コネクタ。
【請求項5】
前記サイドロックは前記開閉軸に接合され、前記FPCの挿入時に前記サイドロックの当接部が前記抜け止め用突起部に押された時には、前記サイドロックが前記開閉軸と共に前記開閉軸を中心にねじれることによって外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックの復元力によって前記サイドロックが前記開閉軸を中心に回転して元の状態に戻ることを特徴とする請求項1乃至4に記載のFPC用コネクタ。
【請求項6】
前記サイドロックは、前記開閉軸に回転可能に取り付けられ、且つ、前記回転軸にはバネが取り付けられ、前記FPCの挿入時に前記FPCの抜け止め用突起部により前記サイドロックの当接部が押された時には、前記バネのバネ圧力に抗して前記サイドロックが前記開閉軸を中心に回転して外側に開き、前記FPCが前記FPC接触端子と導通するまで挿入された時には、前記サイドロックが前記バネのバネ圧力によって前記開閉軸を中心に内側に回転して元の状態に戻ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のFPC用コネクタ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のFPC用コネクタに接続されるFPCであって、先端両側に前記抜け止め用突起部を有することを特徴とするFPC。

【図10】
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【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−9329(P2012−9329A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145067(P2010−145067)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】