説明

HDラジオ装置

【課題】デジタル放送あるいはアナログ放送に基づいて出力される音声情報が、受信状況に応じて頻繁に切り替わる場合であっても、表示部に表示されるテキスト情報が頻繁に点消灯表示を繰り返すことを防止すること。
【解決手段】HDラジオ装置1の表示制御手段5は、放送判断手段2bにより受信された放送がデジタル放送であると判断され、かつ、デジタル音声抽出判断手段2bによりデジタル放送からデジタル音声情報を抽出可能と判断された場合にのみ、表示手段7にテキスト情報を表示させ、表示手段7にテキスト情報を表示させた後であって、デジタル音声抽出判断手段2bによりデジタル放送からデジタル音声情報を抽出できないと判断された状態が所定時間だけ継続された場合、または、放送判断手段2bにより受信された放送がアナログ放送であると判断された場合に、表示手段7に表示されたテキスト情報を消去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はHDラジオ装置に関し、より詳細には、デジタル放送あるいはアナログ放送に基づいて出力される音声情報が、放送の受信状況に応じてデジタル音声情報とアナログ音声情報とに頻繁に切り替わる場合において、表示部に表示されるテキスト情報が繰り返し点消灯表示されてしまうことを防止するHDラジオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両には、運転時にラジオ等を聴くことができるように、車載用のラジオ装置が設置されている。日本国内において放送されるラジオ放送は、一般的なアナログ方式のAM放送、あるいはアナログ方式のFM放送であることが多い。一方で、米国においては、AM放送やFM放送などの一般的なアナログ方式による放送(以下、アナログ放送という。)だけでなく、アナログ信号と同じ周波数において同時にデジタル信号で放送(以下、デジタル放送という)を行うハイブリッドデジタルラジオ放送(以下、HD(Hybrid Digital)ラジオ放送という)が実用化されている。また、HDラジオ放送を受信するためのHDラジオ装置を、車室内に設置する車両も増えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
HDラジオ装置を用いてHDラジオ放送を受信する場合、アナログ放送しか受信できない地域においては、アナログ信号によるラジオ放送がHDラジオ装置から出力されることになる。しかしながら、アナログ放送だけでなくデジタル放送も受信することが可能な地域においては、ラジオ放送が、自動的にアナログ放送からデジタル放送へと切り替えられる。
【0004】
このようにして、デジタル放送が受信され難い地域においては、従来通りにアナログ放送を出力することによって、確実にラジオ放送を受信することができる。一方で、デジタル放送を受信することが可能な地域においては、デジタル放送をアナログ放送よりも優先させて受信することにより、明瞭な音声とラジオ番組に関する付加的な情報(放送中の音楽の曲名などの情報、この情報をテキスト情報という。)をユーザに提供することが可能となる。
【0005】
さらに、自動的にアナログ放送とデジタル放送とが切り替えられるので、ユーザはデジタル放送の受信電波状況に応じて手動でアナログ放送とデジタル放送とを切り替える作業を行う必要がない。このため、ユーザは、受信感度に応じたデジタル・アナログ切り替え操作を、HDラジオ装置において行う必要がなくなり、運転に集中することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010―28386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したデジタル放送には、デジタル信号による音声情報(以下、デジタル音声情報という)とテキスト情報(例えば、放送局名情報、音楽ジャンル情報、マルチキャスト情報、アーティスト情報、タイトル情報等が該当する)とが含まれている。このため、HDラジオ装置でデジタル放送を受信した場合には、HDラジオ装置の表示部にデジタル放送を受信した旨のアイコンが表示され、また、受信されたテキスト情報の内容が表示される。
【0008】
しかしながら、デジタル放送が受信し難い状況となると、上述したようにデジタル音声情報は自動的にアナログ信号による音声情報(以下、アナログ音声情報という)に切り替えられるが、HDラジオ装置の表示部に一度表示されたテキスト情報は、アナログ放送に切り替わっても、そのまま表示され続けてしまう場合があった。従って、ユーザは、HDラジオ装置の表示部の表示からは、現在出力されている音声情報がデジタル放送に基づく音声情報(デジタル音声情報)であるのか、アナログ放送に基づく音声情報(アナログ音声情報)であるのかを、容易に判断することができないという問題があった。
【0009】
このため、HDラジオ装置でデジタル放送を受信した場合であっても、出力される音声情報がデジタル音声情報でない場合(つまりアナログ音声情報である場合)には、HDラジオ装置の表示部にテキスト情報を表示させず、出力される音声情報がデジタル音声情報となる場合にのみテキスト情報を表示させる方法が提案されている(例えば、特願2010−163833号など参照)。
【0010】
この方法を用いることにより、テキスト情報が表示される場合には、必ず出力される音声信号がデジタル音声情報に基づく信号となる。このため、ユーザは表示部にテキスト情報が表示されているか否かにより、出力される音楽情報がデジタル放送に基づくものであるかアナログ放送に基づくものであるかを確実かつ容易に判断することが可能となる。
【0011】
しかしながら、デジタル放送の受信状況が不安定な場合には、出力される音声情報が、アナログ放送に基づく音声情報とデジタル放送に基づく音声情報とに、短期間の間で頻繁に切り替わってしまう場合がある。このような状況においては、頻繁にテキスト情報が表示されたり消去されたりするので、テキスト情報がフラッシュのように点消灯表示を繰り返すことになり、ユーザに不快感を与えるおそれがあるという問題があった。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、デジタル放送あるいはアナログ放送に基づいて出力される音声情報が、受信状況に応じて頻繁に切り替わる場合であっても、表示部に表示されるテキスト情報が頻繁に点消灯表示を繰り返すことを防止することが可能なHDラジオ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明に係るHDラジオ装置は、受信された放送がデジタル放送であるかアナログ放送であるかを判断する放送判断手段と、該放送判断手段により前記放送が前記デジタル放送であると判断された場合に、取得された前記デジタル放送からデジタル音声情報を抽出できるか否かを判断するデジタル音声抽出判断手段と、前記デジタル放送から当該デジタル放送の内容に関する情報であるテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出手段と、該テキスト情報抽出手段により抽出された前記テキスト情報を表示可能な表示手段と、該表示手段に表示させる内容の制御を行う表示制御手段とを有し、前記表示制御手段は、前記放送判断手段により前記放送が前記デジタル放送であると判断され、かつ、前記デジタル音声抽出判断手段により前記デジタル放送から前記デジタル音声情報を抽出できると判断された場合にのみ、前記表示手段に前記テキスト情報を表示させ、前記表示手段に前記テキスト情報を表示させた後であって、前記デジタル音声抽出判断手段により前記デジタル放送から前記デジタル音声情報を抽出できないと判断された状態が所定時間だけ継続された場合、または、前記放送判断手段により前記放送が前記アナログ放送であると判断された場合に、前記表示手段に表示された前記テキスト情報を消去することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るHDラジオ装置の表示制御手段は、放送判断手段により受信された放送がデジタル放送に基づくものであると判断され、かつ、デジタル音声抽出判断手段によりデジタル放送からデジタル音声情報を抽出できると判断された場合にのみ、表示手段にテキスト情報を表示させる。このため、デジタル音声情報に基づく放送がスピーカなどから出力された場合には、表示手段にテキスト情報が表示されることになる。ユーザは、表示手段にテキスト情報が表示されている場合には、少なくとも所定時間以内に、デジタル音声情報に基づく放送がスピーカから出力されたものと判断することが可能となる。
【0015】
一方で、表示手段にテキスト情報を表示させた後には、デジタル音声抽出判断手段によりデジタル放送からデジタル音声情報を抽出できないと判断された場合であっても、抽出できないと判断されてから所定時間だけ経過しないと(抽出できないと判断された状態が所定時間だけ継続されないと)、表示手段に表示されたテキスト情報が消去されない。このため、例えば、短時間(所定時間以内)に、デジタル放送からデジタル音声情報が抽出可能な状況と、抽出不可能な状況とが受信状況に応じて頻繁に繰り返される場合であっても、表示手段に表示されたテキスト情報が表示され続ける。従って、テキスト情報を表示させたり消去させたりする点消灯状態が短時間に繰り返されることを防止することが可能となり、テキスト情報の点消灯状態によりユーザに不快感を与えてしまうことを避けることが可能となる。
【0016】
一方で、表示手段にテキスト情報を表示させた後であって、デジタル音声抽出判断手段によりデジタル放送からデジタル音声情報を抽出できないと判断されたときから所定時間経過する前であっても、受信した放送がアナログ放送であると放送判断手段により判断された場合(デジタル放送が受信できなくなった場合)には、表示手段に表示されたテキスト情報が消去される。従って、ユーザは、表示手段にテキスト情報が表示されていない場合には、スピーカから出力される放送がアナログ音声情報に基づくものであると、確実かつ容易に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るHDラジオ装置を用いることにより、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出可能な状況と不可能な状況とが受信状況に応じて頻繁に繰り返される場合であっても、表示手段に表示されるテキスト情報が頻繁に点消灯表示を繰り返すことを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る車載用オーディオ装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る車載用オーディオ装置の本体部を示した正面図である。
【図3】本実施の形態に係る制御部の処理内容を示したフローチャートである。
【図4】図3に示したフローチャートによる処理内容を電波状況に応じて時系列的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るHDラジオ装置を備えた車載用オーディオ装置について、添付図面を参照して説明を行う。
【0020】
図1は、車載用オーディオ装置の概略構成を示したブロック図である。車載用オーディオ装置1は、HDモジュール部2と、信号処理部3と、スピーカ4と、制御部(表示制御手段)5と、ユーザ入力部6と、表示部(表示手段)7とを有している。
【0021】
車載用オーディオ装置1において、HDモジュール部2と、信号処理部3と、制御部5とは本体部10を構成し、車室内のインストルメントパネル中央部などに設置される。本体部10の正面には、図2に示すように、ユーザ入力部6と表示部7とが設けられている。
【0022】
HDモジュール部2は、HDラジオ放送(アナログ放送およびデジタル放送の両方の放送)を受信するためのアンテナ2aと、受信する放送の周波数設定やテキスト情報の抽出処理等を行うチューナー部(放送判断手段、デジタル音声抽出判断手段、テキスト情報抽出手段)2bとを有している。アンテナ2aを介してチューナー部2bで受信されたラジオ放送がアナログ放送である場合、チューナー部2bは、アナログ信号によるラジオ放送を信号処理部3へ出力する。
【0023】
一方で、チューナー部2bで受信されたラジオ放送がデジタル放送である場合、チューナー部2bは、デジタル放送からデジタル音声情報と、テキスト情報とを抽出する。そして、チューナー部2bは、デジタル音声情報をアナログ化した後に、オーディオ信号を信号処理部3へ出力する。また、チューナー部2bは、制御部5に対して、テキスト情報と、デジタル信号(デジタル放送)が受信されたか否かの情報(以下、デジタル信号受信情報とする)と、デジタル信号(デジタル放送)が受信された状態において、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出することができたか否かを示す情報(以下、デジタル音声抽出情報とする)とを出力する。
【0024】
一方で、チューナー部2bには、ユーザによって設定された周波数に関する情報(以下、チューニング情報とする)が、制御部5より入力されており、このチューニング情報に応じて、受信するラジオ放送の周波数設定が行われる。
【0025】
信号処理部3は、チューナー部2bより受信したラジオ放送に対して、制御部5より受信する音量設定情報に対応する音量調整処理を施す。そして、信号処理部3は、音量調整が施されたオーディオ信号をスピーカ4へ出力する。
【0026】
スピーカ4は、車室内に複数個、例えば、左右の前席ドアや左右の後席ドアなどに設けられている。図1では、便宜上、スピーカ4が1つの機能ブロックで示されているが、スピーカ4の設置個数は1つに限定されるものではなく、必要に応じて複数個設置することも可能である。さらに、スピーカ4の設置位置に関しても、ユーザの嗜好や車両メーカー側の音響設定などに応じて様々な位置に設置することが可能である。
【0027】
図2は、本体部10の正面図である。本体部10の正面には、上述したように、ユーザ入力部6と表示部7とが設けられている。
【0028】
ユーザ入力部6は、ユーザがラジオ放送の番組選択を行う選択ボタン6aや、音量調節を行うための操作ツマミ6bを有している。ユーザは、表示部7の表示内容に応じてユーザ入力部6の操作を行うことにより、所望のラジオ放送の選択を行うことが可能となっている。
【0029】
表示部7は、ユーザ入力部6で設定されたラジオ放送に関する情報(例えば、予め放送局が選択ボタン6aにプリセットされている場合には、選択された選択ボタン6aに対応するラジオ放送の周波数情報)を表示し、さらに、デジタル放送を受信した場合には、デジタル放送から抽出したテキスト情報を表示することが可能となっている。
【0030】
表示部7に表示される情報は、例えば、HDアイコン7a、周波数情報7b、放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7gなどである。
【0031】
ここで、HDアイコン7aは、デジタル放送を受信していない場合には消灯(消灯表示)され、デジタル放送が受信可能な状態であるが、デジタル音声情報が確実に受信できていない場合(上述したように、チューナー部2bにおいて、デジタル信号受信情報に基づいて受信された信号がデジタル信号(デジタル放送)であると判断され得るが、デジタル音声抽出情報によって、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出することができないと判断された場合)には点滅表示される。
【0032】
さらに、HDアイコン7aは、デジタル放送が受信可能な状態であって、さらに、デジタル音声情報が受信できている場合(上述したように、チューナー部2bにおいて、デジタル信号受信情報とデジタル音声抽出情報とにより、受信したデジタル信号(デジタル放送)からデジタル音声情報を抽出することができると判断された場合)に点灯表示される。このようにしてHDアイコン7aの表示状態が変化することにより、ユーザにデジタル放送の受信電波状況を知らせることが可能となっている。
【0033】
周波数情報7bは、ユーザがユーザ入力部6を操作して選択したラジオ放送の周波数を示している。この周波数情報7bは、アナログ放送を受信している場合であっても、デジタル放送を受信している場合であっても、常に表示部7に表示される。
【0034】
放送局名情報7cと、音楽ジャンル情報7dと、マルチキャスト情報7eと、アーティスト情報7fと、タイトル情報7gとは、上述したテキスト情報として、デジタル放送に含まれる情報である。HDモジュール部2でデジタル放送(デジタル信号)が受信されると、上述したように、チューナー部2bにおいて、デジタル放送からテキスト情報が抽出される。このテキスト情報は、デジタル音声情報に比べて情報量が少ない。このため、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出することが困難な受信電波状況であっても、テキスト情報のみを抽出することが可能となる場合が多い。
【0035】
放送局名情報7cは、受信しているラジオ放送の放送局名を示し、音楽ジャンル情報7dは、ラジオ放送を発信している放送局における音楽番組のジャンルなどを示している。マルチキャスト情報7eとは、同一周波数において聴取することが可能な異なるラジオ放送の種類を示した情報である。HDラジオ放送では、アナログ放送と共通するデジタル放送の放送局を主局とし、異なる放送局をサブ局として、同一周波数でありながら複数のラジオ放送を受信することができる。従って、ユーザは、マルチキャスト情報7eにおいて、複数の番号が表示されている場合には、該当する番号を選択することによって、番号に対応した異なるラジオ放送を楽しむことができる。
【0036】
アーティスト情報7fとタイトル情報7gとは、放送されている音楽を演奏している(あるいは、歌っている)アーティストの情報と、その音楽(楽曲)のタイトルの情報とを示している。
【0037】
制御部5は、車載用オーディオ装置1における様々な処理を行っている。制御部5は、CPU(Central Processing Unit)5aと、ROM(Read Only Memory)5bとRAM(Random Access Memory)5cとを有している。ROM5bには、様々なプログラムや情報が記録されており、CPU5aは、ROM5bに記録されるプログラムに基づいて後述する処理を行う。RAM5cは、一時的な作業領域として使用され、処理作業においてデータを一時的に記録する場合などに用いられる。例えば、チューナー部2bより受信したテキスト情報などは、RAM5cに一時的に記録される。また、RAM5cには後述する処理において利用されるフラグ情報が記録される。
【0038】
CPU5aは、ROM5bに記録されるプログラムに基づいて様々な処理を行う。具体的に、CPU5aは、ユーザ入力部6より入力されるユーザの設定情報に基づいて、チューナー部2bへチューニング情報を出力する処理を行う。また、CPU5aは、チューナー部2bより受信したデジタル信号受信情報、デジタル音声抽出情報およびテキスト情報に基づいて、表示部7の表示制御を行う。さらに、CPU5aは図示を省略したタイマ機能を備えており、所定のタイミングでタイマをスタートさせてタイマによる時間経過判断を行うことが可能となっている。
【0039】
図3は、制御部5のCPU5aが行う表示部7の表示制御内容を示したフローチャートである。このフローチャートの処理内容を示したプログラムはROM5bに記録されている。CPU5aは、ROM5bから図3のフローチャートに対応するプログラムを読み出して、表示制御処理を実行する。
【0040】
まず、制御部5のCPU5aは、ユーザ入力部6においてユーザが設定した周波数に基づいて、チューナー部2bへチューニング情報を出力する。チューナー部2bでは、制御部5によって出力されたチューニング情報を受信し、受信したチューニング情報に基づいてラジオ放送の周波数設定を行う。
【0041】
チューナー部2bで周波数設定が行われることにより、アンテナ2aを介して該当する周波数のラジオ放送が受信され、受信された信号が信号処理部3へ出力される。また、チューナー部2bでは、受信されたラジオ放送がアナログ信号(アナログ放送)であるかデジタル信号(デジタル放送)であるか否かを判断して、デジタル信号受信情報を制御部5に出力する。また、デジタル信号(デジタル放送)を受信できた場合であって、テキスト情報を抽出できた場合、チューナー部2bは、テキスト情報を制御部5に出力する。さらに、デジタル放送を受信できた場合に、チューナー部2bは、デジタル音声情報をデジタル放送から抽出できたか否かを示すデジタル音声抽出情報を制御部5へ出力する。
【0042】
CPU5aでは、RAM5cのフラグ情報をクリアにする処理(フラグの値として0をセットする処理)を行う(ステップS.1)。このフラグ情報は、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出可能な状況になった場合にセットされる情報である。
【0043】
次に、CPU5aは、チューナー部2bよりデジタル信号受信情報を取得し(ステップS.2)、チューナー部2bにおいてデジタル放送を受信できたか否かを判断する(ステップS.3)。デジタル放送を受信できなかった場合(つまり、チューナー部2bにおいてアナログ放送だけしか受信できなかった場合、ステップS.3においてNoの場合)、CPU5aは、表示部7に、周波数情報7bだけを表示させ、他の情報(HDアイコン7a、放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)を表示部7に表示させない(もし、既に表示されている場合には消去する)(ステップS.4)。
【0044】
その後、CPU5aは、フラグ情報をクリアにする処理(フラグの値として0をセットする処理)を行うと共に、後述するタイマが稼働状態である場合には、タイマをストップする処理を行う(ステップS.5)。そして、CPU5a、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行する。
【0045】
一方で、デジタル放送を受信できた場合(ステップS.3においてYesの場合)、CPU5aは、チューナー部2bよりテキスト情報を取得して、RAM5cに一時的に記録する(ステップS.6)。
【0046】
そして、CPU5aは、チューナー部2bよりデジタル音声抽出情報を取得し(ステップS.7)、デジタル音声抽出情報に基づいて、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出できたか否かの判断を行う(ステップS.8)。
【0047】
デジタル音声情報を抽出できた場合(ステップS.8においてYesの場合)、CPU5aは、RAM5cよりテキスト情報を読み出す(ステップS.9)。その後、CPU5aは、HDアイコン7aを表示部7に点灯表示させ、周波数情報7bを表示させると共に、テキスト情報に基づいて放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7gを表示部7に表示させる(ステップS.10)。
【0048】
その後、CPU5aは、フラグ情報をセットする処理(フラグの値として1をセットする処理)を行うと共に、後述するタイマが稼働状態である場合には、タイマをストップする処理を行う(ステップS.11)。そして、CPU5a、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行する。
【0049】
一方で、デジタル音声情報を抽出できなかった場合(ステップS.8においてNoの場合)、CPU5aは、RAM5cよりフラグ情報を取得し(ステップS.12)、フラグ情報がクリアであるか否か(フラグの値が0であるか否か)の判断を行う(ステップS.13)。
【0050】
フラグ情報がクリアである場合(ステップS.13においてYesの場合)、CPU5aは、表示部7にHDアイコン7aを点滅表示させると共に、周波数情報7bを表示させ、他の情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)を表示部7に表示させない(もし、既に表示されている場合には消去する)処理を行う(ステップS.14)。そして、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行する。
【0051】
上述したように、フラグ情報がセットされる(ステップS.11)のは、既にデジタル音声情報がデジタル放送から抽出された場合(ステップS.8においてYesの場合)であって、表示部7に、HDアイコン7a、周波数情報7b、テキスト情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)が表示された場合である。従って、フラグ情報がクリアである場合(ステップS.13においてYesの場合)は、未だにデジタル音声情報が抽出されていない(ステップS.8においてNoの場合)か、あるいは、チューナー部2bにおいてデジタル放送を受信できなかった場合(チューナー部2bにおいてアナログ放送だけしか受信できなかった場合、ステップS.3においてNoの場合)が該当する。
【0052】
このように、未だにデジタル音声情報を受信できない場合、あるいはアナログ放送しか受信できない場合には、点滅表示されるHDアイコン7aと、周波数情報7bとが表示部7に表示され、テキスト情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)が表示されないことにより、ユーザに対して、スピーカ4より出力される音楽がアナログ放送であると知らせることが可能となる。
【0053】
フラグ情報がクリアでない場合(つまり、フラグの値として1がセットされている場合、ステップS.13においてNoの場合)、CPU5aは、タイマが稼働状態であるか否かの判断を行う(ステップS.15)。タイマが稼働状態でない場合(ステップS.15においてNoの場合)、CPU5aは、タイマをスタートさせる(ステップS.16)。
【0054】
ここで、フラグ情報がクリアでない場合(ステップS.13においてNoの場合)とは、デジタル音声情報が抽出され(ステップS.8においてYesの場合)、フラグ情報がセットされた(ステップS.11)後に、少なくとも、チューナー部2bにおいてデジタル放送を受信できなかったとの判断がなされていない状態が該当する。つまり、フラグ情報がセットされた(ステップS.11)後であって、デジタル放送は受信可能である(ステップS.3においてYesの場合)が、デジタル音声情報を抽出することができない場合(ステップS.8においてNoの場合)に該当する。
【0055】
このように、デジタル放送が受信可能な状態であって、デジタル音声情報が受信可能な状態から受信不可能な状態へと変わったときに、表示部7におけるテキスト情報を非表示(消去)にする処理を行うと、その後に、デジタル音声情報が受信可能な状態に変わったり、受信不可能な状態に変わったりするタイミングでテキスト表示が表示・非表示を繰り返すことになり、フラッシュのように点消灯表示されることになってしまうおそれがある。
【0056】
このため、CPU5aは、デジタル放送が受信可能な状態において、デジタル音声情報が受信可能な状態から受信不可能な状態へと変わったときに、いきなりテキスト表示を非表示に(消去)するのではなく、タイマをスタートさせ、
(1)タイマが所定時間経過するまで(次述するステップS.17においてYesの場合)、
(2)タイマが所定時間経過する前にデジタル放送が受信不可能な状態(ステップS.3においてNoの場合)となるまで、あるいは、
(3)タイマが所定時間経過する前にデジタル音声情報が受信可能な状態となって(ステップS.8においてYesの場合)、表示部7に新たにテキスト情報が表示されるまで、
表示部7に既に表示されているテキスト情報を表示させたまま維持する。
【0057】
タイマをスタートさせた後(ステップS.16)、CPU5aは、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行する。一方で、タイマが稼働状態である場合(ステップS.15においてYesの場合)、CPU5aは、タイマが所定時間、本実施の形態においては30秒経過したか否かを判断する(ステップS.17)。
【0058】
30秒経過していない場合(ステップS.17においてNoの場合)、CPU5aは、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行することにより、
(1)タイマが30秒(所定時間)経過するか(ステップS.17においてYesの場合)、
(2)タイマが30秒経過する前にデジタル放送が受信不可能な状態(ステップS.3においてNoの場合)となるか、あるいは、
(3)タイマが30秒経過する前にデジタル音声情報が受信可能な状態(ステップS.8においてYesの場合)となるか
を繰り返し判断する。
【0059】
タイマが30秒経過した場合(ステップS.17においてYesの場合)、CPU5aは、デジタル放送が受信可能な状態であって、さらに、デジタル音声情報を抽出できない状態が、30秒間続いたものと判断して、フラグ情報をクリアにする処理(フラグの値として0をセットする処理)を行うと共に、タイマをストップする処理を行う(ステップS.18)。そして、CPU5a、表示部7に表示されていたテキスト情報の表示を消去して、表示部7にHDアイコン7aを点滅表示させると共に、周波数情報7bを表示させ、他の情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)を表示部7に表示させない処理を行う(ステップS.19)。そして、CPU5aは、上述したデジタル信号受信情報の受信処理(ステップS.2)を繰り返し実行する。
【0060】
なお、上述した処理(ステップS.1〜ステップS.19)は、ユーザにより車載用オーディオ装置1がOFFされた場合(あるいは、ラジオチューナがOFFされた場合や、他の音源(CDなど)に切り替えが行われた場合)などにおいて、何らかの割り込み処理が行われることにより、処理を終了する構成となっている。
【0061】
図4は、デジタル放送およびアナログ放送の受信電波の変化を時系列的に示した図である。この図において、デジタル信号受信情報に基づくデジタル放送の受信有無、デジタル音声抽出情報に基づくデジタル音声情報の抽出有無、HDアイコン7aの表示状態、およびスピーカ4から出力される音楽(オーディオ信号)の種類(アナログ放送に基づくオーディオ信号かデジタル放送(デジタル音声情報)に基づくオーディオ信号か)を示し、さらに、それぞれの状況における表示部7の表示状態を示している。
【0062】
まず、HDモジュール部2においてアナログ放送だけが受信され、デジタル放送が受信できない状況(図4に示すA区間(矢印区間))では、デジタル放送を受信できない。このため、デジタル信号受信情報により判断されるデジタル放送の受信状況は「無」の状態となり、また、デジタル音声抽出情報による判断はデジタル音声情報が抽出できない「無」の状態となる。さらに、デジタル放送を受信できないため、HDアイコン7aが「消灯」状態となり、スピーカ4から出力されるオーディオ信号も「アナログ(アナログ放送に基づくオーディオ信号)」となる。
【0063】
このA区間の状態は、上述した図3のフローチャートにおいて、デジタル放送が受信できないと判断され(ステップS.3においてNoの場合)、表示部7に周波数情報7bのみが表示され、他の情報が表示されない状態(ステップS.4)を示している。
【0064】
図4に示すB区間は、A区間に示す状況から受信電波状況が少し改善されて、デジタル放送を受信することは可能であるが、デジタル音声情報を抽出することができない状態へと電波状況が変化した状態を示している。B区間の状態では、デジタル放送を受信することは可能であるため、デジタル放送の受信状況は「有」の状態となる。一方で、B区間では、デジタル音声情報の抽出ができない状況であるため、デジタル音声抽出情報により判断されるデジタル音声情報の抽出状況は「無」の状態となる。また、HDアイコン7aの表示は、デジタル放送が受信可能であるため、消灯表示状態から点滅表示状態へと変化する。なお、HDアイコン7aは、デジタル音声情報の抽出状況が「無」の状態であることから、点灯表示状態には変化せず、点滅表示状態を維持することになる。また、デジタル音声情報を抽出することができないことから、スピーカ4から出力されるオーディオ信号は「アナログ」となる。
【0065】
このB区間の状態は、上述した図3のフローチャートにおいて、デジタル放送が受信できると判断された(ステップS.3においてYesの場合)が、デジタル音声情報の抽出が不可能であると判断され(ステップS.8においてNoの場合)、ステップS.14において、表示部7にHDアイコン7aを点滅表示させると共に、周波数情報7bを表示させ、他の情報が表示されない状態を示している。
【0066】
図4に示すC区間は、B区間に示す状況から受信電波状況が改善されて、デジタル放送を受信することができ、さらに、デジタル音声情報を抽出することができる状態へと電波状況が変化した状態を示している。
【0067】
C区間の状態では、デジタル放送を受信することは可能であるため、デジタル信号受信情報により判断されるデジタル放送の受信状況は「有」の状態となる。また、C区間では、デジタル音声情報の抽出を行うことが可能であるため、デジタル音声抽出情報により判断されるデジタル音声情報の抽出状況は「有」の状態となる。さらに、HDアイコン7aの表示は、デジタル放送が受信可能であると共に、デジタル音声情報の抽出が可能であるため、点滅表示状態から点灯表示状態へと変化する。さらに、デジタル音声情報を抽出することが可能であるため、スピーカ4から出力されるオーディオ信号は「デジタル(デジタル放送に基づくオーディオ信号)」となる。
【0068】
このC区間の状態は、上述した図3のフローチャートにおいて、デジタル放送が受信できると判断され(ステップS.3においてYesの場合)、さらに、デジタル音声情報の抽出が可能と判断されて(ステップS.8においてYesの場合)、ステップS.10において、表示部7にHDアイコン7aを点灯表示させると共に、周波数情報7bと全てのテキスト情報を表示させた状態を示している。
【0069】
図4に示すD区間は、C区間に示す状況から受信電波状況が少し悪化して、B区間に示す状況と同じ状況に変化した場合を示している。B区間の状態では、デジタル放送を受信することは可能であるため、デジタル放送の受信状況が「有」の状態となり、デジタル音声情報の抽出ができない状況であるため、デジタル音声情報の抽出状況が「無」の状態となる。HDアイコン7aの表示は、デジタル放送が受信可能である一方で、デジタル音声情報の抽出が不可能であるため点滅表示状態となり、また、デジタル音声情報を抽出することができないことから、スピーカ4から出力されるオーディオ信号は「アナログ」となる。
【0070】
ただし、C区間に示す状況から受信電波状況が悪化してD区間の状況になると同時に、タイマがスタートされ(図3におけるステップS.16)、D区間の状況が30秒間維持された場合には、表示部7に表示されていた周波数情報7bおよびテキスト情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)が、30秒の間そのまま表示される。
【0071】
そして、D区間において30秒経過後に、表示部7に表示されていたテキスト情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)が消去され、点滅表示されるHDアイコン7aと周波数情報7bだけが、表示部7に表示されることになる。
【0072】
このD区間の状態は、上述した図3のフローチャートにおいて、デジタル放送が受信できると判断された(ステップS.3においてYesの場合)が、デジタル音声情報の抽出が不可能であると判断された後に(ステップS.8においてNoの場合)、タイマが30秒経過して(ステップS.17においてYesの場合)、表示部7に表示されていたテキスト情報(放送局名情報7c、音楽ジャンル情報7d、マルチキャスト情報7e、アーティスト情報7f、タイトル情報7g)が消去され、点滅表示されるHDアイコン7aと周波数情報7bだけが表示された状態(ステップS.19)を示している。
【0073】
図4に示すE区間は、D区間に示す状況から受信電波状況が少し悪化して、A区間に示す状況と同じ状況に変化した場合を示している。E区間の状態では、アナログ放送だけ受信され、デジタル放送が受信できないため、デジタル放送の受信状況が「無」の状態となり、デジタル音声情報が抽出できないためデジタル音声情報の抽出状況が「無」の状態となる。さらに、デジタル放送を受信できないため、HDアイコン7aが消灯表示状態となり、スピーカ4から出力されるオーディオ信号も「アナログ」となる。
【0074】
このE区間の状態は、上述した図3のフローチャートにおいて、デジタル放送が受信できないと判断され(ステップS.3においてNoの場合)、表示部7に周波数情報7bのみが表示され、他の情報が表示されない状態(ステップS.4)を示している。
【0075】
このように、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1を用いる場合には、HDアイコン7aの表示状態によって、
(1)アナログ放送のみが受信されている状況であるか、
(2)デジタル放送が受信可能な状態であって、デジタル音声情報を抽出することが不可能な状況であるか、
(3)デジタル音声情報を抽出することが可能な状況であるか
を容易に判断することができる。
【0076】
さらに、テキスト情報が表示される場合には、デジタル放送が受信不可能な状況にならない限り、オーディオ信号がデジタル音声情報とアナログ音声情報とに何度切り替わっても、オーディオ信号がデジタル音声情報であったとき(デジタル音声情報からアナログ音声情報へ最後に切り替わったとき)から30秒経過するまでは、テキスト情報が表示部7に表示され続ける。このため、オーディオ信号がデジタル音声情報とアナログ音声情報とで切り替わるタイミングで、表示部7のテキスト表示が点消灯を繰り返してしまうことを防止することが可能となる。
【0077】
以上、本発明に係るHDラジオ装置の一例として、車載用オーディオ装置1を示して説明を行ったが、本発明に係るHDラジオ装置は、上述した車載用オーディオ装置1のみに限定されるものではない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0078】
例えば、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、CPU5aにおいてタイマの判断時間を30秒に設定したが、タイマの設定時間は30秒には限定されない。タイマの設定時間は、ユーザによってあるいは車載用オーディオ装置1の設計者によって変更できるようにすることも可能である。例えば、30秒には限定されず、一例として0秒〜255秒の間で自由に設定を変更することが可能な構成としてもよい。
【0079】
また、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出可能であるか否かの情報として、デジタル音声抽出情報をチューナー部2bから制御部5へ出力し、さらに、デジタル放送から抽出された放送局名情報などの情報をテキスト情報としてチューナー部2bから制御部5へ出力する構成について説明を行った。
【0080】
しかしながら、デジタル音声抽出情報とテキスト情報とは必ずしも別々の情報にしなければならない訳ではない。デジタル音声抽出情報にテキスト情報に該当する情報を含めることによって、デジタル音声抽出情報からテキスト情報に該当する情報を読み取ることができる場合には、デジタル音声情報の抽出が可能な状況であると判断し、テキスト情報に該当する情報を読み取ることができない場合には、デジタル音声情報の抽出が不可能な状況であると判断する構成にしてもよい。このような処理内容とすることにより、テキスト情報の取得処理およびRAM5cに対する記録処理(図3に示すステップS.6)や、RAM5cからテキスト情報を読み出す処理(図3に示すステップS.9)を省略することが可能となり、処理の簡略化を図ることが可能となる。
【0081】
さらに、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、デジタル信号受信情報と、デジタル音声抽出情報と、テキスト情報とをそれぞれ別々の情報として説明したが、全ての情報を含む1種類の情報をチューナー部2bから制御部5へ出力することにより、一度の情報取得処理により、複数の判断処理(図3に示すステップS.3およびステップS.8)に必要な判断情報と、表示部7の表示処理に必要な表示情報(テキスト情報)とを取得する構成とすることも可能である。
【0082】
また、本実施の形態に係る車載用オーディオ装置1では、デジタル信号受信情報に基づいてデジタル放送を受信できた(ステップS.3においてYesの場合)後すぐに、テキスト情報を取得する処理を行い、そのテキスト情報をRAM5cに一時的に記録させる(ステップS.6)構成について説明を行ったが、デジタル音声抽出情報に基づいてデジタル音声情報をデジタル放送から抽出できた場合(ステップS.8においてYesの場合)に、受信したデジタル放送からテキスト情報を取得して、表示部7に表示させる(ステップS.10に該当する処理)構成とすることも可能である。
【0083】
このような処理内容とすることにより、テキスト情報を取得してRAM5cに記録する処理(ステップS.6)と、RAM5cからテキスト情報を読み出す処理(ステップS.9)との2つの処理を、デジタル放送からデジタル音声情報を抽出できた場合(ステップS.8においてYesの場合)にテキスト情報を受信する1つの処理にまとめることができ、処理の簡略化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0084】
1 …車載用オーディオ装置(HDラジオ装置)
2 …HDモジュール部
2a …アンテナ
2b …チューナー部(放送判断手段、デジタル音声抽出判断手段、テキスト情報抽出手段)
3 …信号処理部
4 …スピーカ
5 …制御部(表示制御手段)
5a …CPU
5b …ROM
5c …RAM
6 …ユーザ入力部
6a …選択ボタン
6b …操作ツマミ
7 …表示部(表示手段)
7a …HDアイコン
7b …周波数情報
7c …放送局名情報(テキスト情報)
7d …音楽ジャンル情報(テキスト情報)
7e …マルチキャスト情報(テキスト情報)
7f …アーティスト情報(テキスト情報)
7g …タイトル情報(テキスト情報)
10 …本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信された放送がデジタル放送であるかアナログ放送であるかを判断する放送判断手段と、
該放送判断手段により前記放送が前記デジタル放送であると判断された場合に、取得された前記デジタル放送からデジタル音声情報を抽出できるか否かを判断するデジタル音声抽出判断手段と、
前記デジタル放送から当該デジタル放送の内容に関する情報であるテキスト情報を抽出するテキスト情報抽出手段と、
該テキスト情報抽出手段により抽出された前記テキスト情報を表示可能な表示手段と、
該表示手段に表示させる内容の制御を行う表示制御手段と、
を有し、
前記表示制御手段は、
前記放送判断手段により前記放送が前記デジタル放送であると判断され、かつ、前記デジタル音声抽出判断手段により前記デジタル放送から前記デジタル音声情報を抽出できると判断された場合にのみ、前記表示手段に前記テキスト情報を表示させ、
前記表示手段に前記テキスト情報を表示させた後であって、前記デジタル音声抽出判断手段により前記デジタル放送から前記デジタル音声情報を抽出できないと判断された状態が所定時間だけ継続された場合、または、前記放送判断手段により前記放送が前記アナログ放送であると判断された場合に、前記表示手段に表示された前記テキスト情報を消去すること
を特徴とするHDラジオ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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