説明

HIVワクチン

本発明はDNAワクチン接種のためのポリヌクレオチドに関し、該ポリヌクレオチドは、非構造タンパク質またはカプシドタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体から選択される追加のHIVタンパク質と融合したHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントまたは免疫原性誘導体をコード化する。好ましくは、HIVエンベロープ分子はgp120であり、好ましい融合物は1以上のHIV Nef、Gag、RTまたはTatを含む。好ましくは、HIVエンベロープ分子は哺乳動物細胞においてグリコシル化されていない。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(技術分野)
本発明は核酸構築物、かかる構築物を含むベクター、該ベクターおよび構築物を調製する方法ならびに予防または治療、特に治療用ワクチンにおけるその使用に関する。本発明はさらに、該構築物およびベクターを含む宿主細胞および該構築物によりコード化されるポリペプチドならびにポリペプチドそれ自体に関する。本発明はさらに構築物およびベクターを含む医薬処方ならびに医学における該構築物およびベクターの使用に関する。本発明は特に、HIV感染症の予防および治療において、さらに詳細には粒子性送達により投与された場合に有用なDNAワクチンに関する。
【0002】
(背景技術)
HIV−1は世界の主要な健康上の問題の1つと見なされる後天性免疫不全症候群(エイズ)の主な原因である。世界中でワクチンを作り出すための大規模な研究が行われてきたが、このような努力はこれまでのところ成功していなかった。
HIVエンベロープ糖タンパク質gp120は宿主細胞に結合させるために用いられるウイルスタンパク質である。CD4および2つのケモカインレセプターCCR−4またはCXCR−5の1つとして知られるヘルパーT細胞とマクロファージと2つの表面分子を結合させることによりこの結合が行われる。gp120タンパク質をまず大きな前駆体分子(gp160)として発現し、これを次いで翻訳後開裂させて、gp120およびgp41を得る。gp120タンパク質はgp41分子と結合させることによりビリオンの表面上に保持され、これはウイルス膜中に挿入される。
【0003】
gp120タンパク質は、中和抗体の主要な目標であるが、残念なことに該タンパク質の最免疫原性領域(V3ループ)はタンパク質の最も可変的な部分でもある。そのために、ワクチン抗原として中和抗体を惹起するためのgp120(またはその前駆物質gp160)の使用は概して保護のワクチンに関して限られた効果しかないと考えられる。gp120タンパク質は、細胞毒性Tリンパ球(CTL)により認識されるエピトープも含有している。これらのエフェクター細胞はウイルスに感染した細胞を排除することができ、その結果第二の主要な抗ウイルスの免疫機構を構成する。中和抗体の標的領域と対照的に、あるCTLエピトープは異なるHIV株間で比較的保存されるようである。この理由のために、gp120およびgp160は細胞性免疫反応(特にCTL)を惹起することを目的とするワクチンにおいて有用な抗原性成分である可能性がある。
HIV−1の非エンベロープタンパク質は記載されており、例えば、gagおよびpol遺伝子の産物などの内部構造タンパク質およびRev、Nef、VifおよびTatなどの他の非構造タンパク質を含む(Greenら、New England J.Med、324、5、308以下参照(1991)およびBryantら、(Ed.Pizzo)、Pediatr.Infect.Dis.J.、11、5、390以下参照(1992)。
【0004】
HIV TatおよびNefタンパクは初期タンパク質である。すなわち、これらは感染の初期に、構造タンパク質の不在下で発現される。
Nefタンパク質は細胞表面からのCD4、HIVレセプターの除去を引き起こすことが知られているが、この機能の生物学的重要性が論議されている。さらに、NefはT細胞のシグナル経路と相互作用し、活性状態を誘発し、これは次いでより有効な遺伝子発現を促進し得る。あるHIV単離物はこの領域において突然変異を有し、これにより機能的タンパク質をコード化しなくなり、そのインビボでの複製および病原性を非常に犠牲にする。
【0005】
Tat遺伝子は感染中のいろいろな時に多くの差別的にスプライスされた転写物を生じさせる。最初のエクソンは感染の初期に優勢である86アミノ酸タンパク質をコード化する。第二のエクソンはさらに14のアミノ酸をコード化し、このTatの部分的にスプライスされた形態は感染の後期において見られる。両方の形態は完全に機能的なトランスアクチベーターであるが、さらに長い形態もαβおよびαβインテグリンとの結合に重要なRGDモチーフを含有する。Tatは、HIV RNAの5’末端に位置し、HIV LTRからの転写を少なくとも1000倍増加調節するトランス活性化反応エレメント(TAR)として知られるショートステムループ構造と結合する。TatはHIV感染の延長期の促進に関与し、完全長ウイルス転写物の産生を刺激する。Tatは多くの細胞遺伝子の発現に影響を与えることができ、TNF、IL−2およびIL−6をはじめとする多くの細胞の遺伝子の発現を活性化することができ、p53およびBcl−2の発現を調節する。Tatは過剰で生産され、感染した細胞から分泌される。この細胞外Tatは他の細胞に侵入でき、HIVによる感染について細胞をプライムするか、または新たに感染した細胞においてHIV複製の速度を加速させることができる。
【0006】
会議の発表(C.David Pauza、Tat毒素での免疫化はアカゲザルにおけるSHIV89.6PD感染を弱毒化する(Immunization with Tat toxoid attenuates SHIV89.6PD infection in rhesus macaques)、第12回Cent Gardes会議、Marnes−La−Coquette、26.10.1999)において、アカゲザルをTat毒素単独またはエンベロープ糖タンパク質gp160ワクチンコンビネーション(1回量の組み換えワクシニアウイルスと1回量の組み換えタンパク質)との組み合わせで免疫化した実験が説明された。観察された結果から、エンベロープ糖タンパク質の存在はTat単独で行われた実験よりも有利でないことが示された。
Gag遺伝子は完全長RNAから翻訳されて前駆体ポリタンパク質を生じ、これをつづいて3〜5のカプシドタンパク質;マトリックスタンパク質、カプシドタンパク質およびタンパク質およびプロテアーゼを結合する核酸に開裂させる。(1.Fundamental Virology、Fields BK、Knipe DMおよびHowley M 1996 2.Fields Virology第2巻、1996)。
【0007】
gag遺伝子は55キロダルトン(kD)のGag前駆体タンパク質(p55とも称する)を生じさせ、これは未スプライスウイルスmRNAから発現される。翻訳中、p55のN末端はミリストイル化され、細胞膜の細胞質性と関連させる。膜結合Gagポリタンパク質は2コピーのウイルスゲノムRNAを、感染した細胞の表面からのウイルス粒子の出芽を引き起こす他のウイルスおよび細胞タンパク質とともに利用する。出芽後、MA(マトリックス[p17])、CA(カプシド[p24])、NC(ヌクレオカプシド[p9])、およびp6(4)で表される4つの小さなタンパク質中へのウイルス成熟のプロセス中、p55はウイルスによりコード化されたプロテアーゼ(pol遺伝子の産物)により開裂される。
3つの主要なGagタンパク質に加えて、すべてのGag前駆体は、開裂して、様々なサイズのペプチドとしてビリオン中に残存するいくつかの他の領域を含む。これらのタンパク質は異なる役割を果たす。例えば、p2タンパク質はプロテアーゼの活性の調節において提案されている役割を果たし、タンパク分解処理の的確な時間調節に寄与する。
【0008】
MAポリペプチドは p55のN−末端ミリストイル化末端から誘導される。ほとんどのMA分子はビリオン脂質二重層の内部表面と結合したままであり、粒子を安定化する。MAのサブセットはビリオンの深い方の層の内部に補充され、ここでウイルスDNAを核へと送り届ける複合体の一部になる。MA上の求核シグナルは細胞核輸入機構により認識されるので、これらのMA分子はウイルスゲノムの核輸送を促進する。この現象は、HIVが非分裂細胞に感染することを許容し、これはレトロウイルスについては通常でない性質である。
p24(Ca)タンパク質はウイルス粒子の円錐コアを形成する。シクロフィリンAはp55のp24領域と相互作用して、HIV粒子中に組み入れられることが証明されている。シクロスポリンAによるこの相互作用の中断はウイルス複製を阻害するので、GagとシクロフィリンA間の相互作用は最も重要である。
【0009】
GagのNC領域は、HIVのいわゆるパッケージングシグナルの特異的認識に関与する。パッケージシグナルはウイルスRNAの5’末端付近に位置する4ステムループ構造からなり、ヘテロローガスなRNAのHIV−1ビリオン中への組み入れを媒介するために十分である。NCは2つの亜鉛フィンガー(zinc−finger)モチーフによって媒介される相互作用によりパッケージングシグナルと結合する。NCはまた逆転写を促進する。
p6ポリペプチド領域はp55 Gagと補助タンパク質Vpr間の相互作用を媒介し、Vprをアセンブリングビリオンに組み込むことにまでに至る。p6領域はまた、感染した細胞からの出芽ビリオンの有効な放出に必要ないわゆる後期ドメインも含有する。
【0010】
Pol遺伝子は、初期感染においてウイルスにより必要とされる2つの活性を含有する2つのタンパク質、ウイルスDNAの細胞DNA中への組み込みに必要なRTおよびインテグラーゼタンパク質をコード化する。Polの主な生成物は、ビリオンプロテアーゼにより開裂されて、DNA合成(RNAおよびDNA依存性DNAポリメラーゼ、リボヌクレアーゼH)に必要な活性を含有するアミノ末端RTペプチドおよびカルボキシ末端インテグラーゼタンパク質を得る。HIV RTは、完全長RT(p66)およびカルボキシ末端Rnaseインテグラーゼドメインが欠損した開裂産物(p51)のヘテロダイマーである。
RTはレトロウイルスゲノムによりコード化された最も高度に保存されたタンパク質の1つである。RTの2つの主な活性は、DNA PolおよびリボヌクレアーゼHである。RTのDNA Pol活性はRNAおよびDNAをテンプレートとして交換可能に使用し、公知の全てのDNAポリメラーゼのように新たにDNA合成を開始することができないが、既存の分子がプライマー(RNA)としての役割をすることを必要とする。
【0011】
DNA合成が進行するにつれ、RNAゲノムを除去する複製の初期において、全RTタンパク質に固有のRnase H活性は不可欠な役割を果たす。これはすべてのRNA−DNAハイブリッド分子からRNAを選択的に分解する。構造的にポリメラーゼおよびriboHは、PolがPolの3分の2のアミノの範囲に及ぶ別々の非重複ドメインを占める。
p66触媒サブユニットは5つの独立したサブドメイン中に折り畳まれている。これらのアミノ末端23はRT活性を有する部分を有する。これらのカルボキシ末端はRnase Hドメインである。
【0012】
宿主細胞の感染の後に、レトロウイルスRNAゲノムは感染粒子中に存在する逆転写酵素によって直線状ds DNAの中にコピーされる。インテグラーゼ(Skalka AM’99 Adv in Virus Res 52 271−273に概論)はウイルスDNAの両端を認識し、これらを切断し、ウイルスDNAを宿主染色体部位に同伴して組み入れを触媒する。宿主DNA中の多くの部位が組み込みのための目標であり得る。インテグラーゼはインビトロでの組み入れを触媒するために十分であるが、これはインビボでウイルスDNAと結合した唯一のタンパク質−大タンパク質−ではなく、感染した細胞から単離されたウイルスDNA複合体は組み込み前複合体を意味する。これは子孫ウイルスのゲノムによる宿主細胞遺伝子の獲得を容易にする
【0013】
インテグラーゼは3つの別のドメイン、N末端ドメイン、触媒コアおよびC末端ドメインで構成されている。触媒コアドメインはポリヌクレオチド移動の化学的性質のための必要条件のすべてを含む。
DNAワクチンは通常、強力なプロモーターがその中へ挿入されたバクテリアプラスミドベクター、抗原性ペプチドをコード化する興味のある遺伝子およびポリアデニル化/転写末端配列からなる。興味のある遺伝子は、完全タンパク質または単に病原体、腫瘍またはそれに対して防御することを意図される他の因子に関連する抗原性ペプチド配列をコード化し得る。プラスミドはバクテリア、例えばイー・コリ中で成長し、次いで単離され、宿主に投与される前に意図される投与経路に応じて適当な培地中で調製することができる。投与後にプラスミドは宿主の細胞に取り込まれるか、または直接宿主細胞中に送達され、ここでコード化されたペプチドが産生される。プラスミドベクターは好ましくは哺乳動物の宿主におけるプラスミド複製および関連する動物の染色体DNA内の組み入れを防止するために、真核細胞において有効な複製の起源無しに構成される。
【0014】
伝統的なワクチン接種技術に対してDNAワクチン接種には利点が数多くある。第一に、DNA配列によってコード化されるタンパク質は宿主において合成されるので、タンパク質の構造または立体構造は疾患状態と関連する本来のタンパク質に類似するであろうと予測される。保存されたタンパク質からエピトープを認識する細胞毒性Tリンパ球反応を生成することにより、DNAワクチン接種が異なった種類のウイルスに対して防御を提供することも同様にあり得る。技術により多くの疾患状態に関して同時免疫化を促進するために単一製剤中に多様な免疫原を組み合わせる可能性も提供される。
DNAワクチン接種に関連する有用な背景情報は、Donnelyら、「DNAワクチン」Ann.Rev Immunol.1997 15:617−648(その開示は全体として出典明示により本発明の一部として参照される)に記載されている。
Doeら(1994)Eur J Immunol、24:2369−2376は、グリコシル化における多様性がどのようにgp120に対するCD8+CTL反応に影響を及ぼすかを調査し、哺乳動物CHO細胞において産生されたgp120は、N−結合オリゴ糖が免疫化の前に除去されなければ昆虫または酵母細胞由来のエンベロープタンパク質と比較した場合にCTL反応をプライムする能力が減少していることを見いだした。
【0015】
この度、HIVのワクチンにおいて、非グリコシル化HIVエンベロープタンパク質をコード化するポリヌクレオチドを使用することにより得られる利益があることが見いだされた。意外にも、分泌シグナルなしでgp120を発現し、従ってグリコシル化されないかまたは細胞から分泌されないDNAベクターは、その本来の分泌シグナルを有するgp120を発現するDNAベクターよりも、さらに有効なCTL反応の刺激物質である。分泌シグナルが、糖鎖形成が起きる細胞内部位へgp120を導くことに関与するので、その本来の分泌シグナルが欠損したgp120はグリコシル化されない。さらに、非グリコシル化gp120との融合タンパク質において非構造HIVタンパク質、例えばTatが存在すると、gp120に対するCTL反応が増大する。対照的に、正常なgp120との融合タンパク質におけるTatは分泌を防止するが、免疫反応の増大には至らない。非グリコシル化gp120は他のHIV抗原(構造および非構造の両方)との融合タンパク質においてもうまく発現することができる。
【0016】
(発明の開示)
従って、本発明はHIV感染症およびAIDSの予防および治療用の核酸またはポリペプチドワクチンにおいて用いられる新規構築物を提供する。
一態様において、本発明は、ヘテロローガスなプロモーターと操作可能に連結した、哺乳動物の標的細胞にて発現した場合に、グリコシル化されていないか、または実質的にグリコシル化されていない、HIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列を含むポリヌクレオチドを提供する。
好ましくは、HIVエンベロープタンパク質はgp120である。あるいは、gp160またはgp140などのエンベロープタンパク質の他の形態であり得る。
【0017】
哺乳動物細胞において発現されたgp120などのHIVエンベロープタンパク質は通常グリコシル化されるであろう。本発明によれば、gp120コード化配列を用いて、哺乳動物標的細胞、特にヒト標的細胞におけるグリコシル化を軽減または防止する。グリコシル化は多くの異なる方法で、例えばグリコシル化部位の除去または突然変異によるか、または本来の分泌シグナルを除去することにより軽減または防止することができる。好ましくは、本発明のポリヌクレオチド構築物において、gp120またはHIVエンベロープタンパク質の他の形態は機能的分泌シグナルが欠損している。分泌シグナルはHIV単離物間で長さが異なる。例えば、本明細書において記載されるW61D単離物においては30アミノ酸長であるが、異なる単離物についてはこれ以上またはこれ以下であり得る。一般に、分泌シグナルは明らかに表され、その全体が除去されるが、必ずしもそうではない場合もある。エンベロープタンパク質をグリコシル化に関与する細胞機構に取り込むその機能を防止するために十分な量のシグナルが除去されるであろう。これは容易に試験することができる。
【0018】
エンベロープタンパク質は機能的分泌シグナルを有しないが、まだわずかなグリコシル化が起こる可能性もあり、このことは本発明から排除されていない。かくして、本発明のエンベロープタンパク質は、哺乳動物細胞にて、実質的にグリコシル化されておらず、その結果として、その大部分、例えば、その50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上が細胞より分泌されていない。
HIVエンベロープタンパク質、特にgp120は、好ましくはNef、Tatおよび逆転写酵素(RT)などの非構造タンパク質ならびに構造タンパク質、特にGagまたはフラグメントあるいはこれらのいずれかの免疫原性誘導体などのカプシドタンパク質より選択される少なくとも1つのHIVタンパク質を含む融合タンパク質として発現されることが好ましい。
【0019】
一具体例において、融合タンパク質はgp120およびRT−含有融合タンパク質であり、所望によりGagおよび/またはNefも含んでもよい。
もう1つの具体例において、融合タンパク質は所望によりRTおよび/またはNefを含んでもよいgp120およびGag含有融合タンパク質である。
さらに別の具体例において、融合タンパク質は所望によりRTおよび/またはGagも含んでもよいgp120およびNef含有融合タンパク質である。
次の好ましい具体例において、融合タンパク質は、gp120、RT、NefおよびGagまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体の融合物である。
gp120−RT−Nef−Gag
RT−Nef−Gag−gp120
【0020】
もう1つの具体例は、gp120およびTatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体を含む融合物である。このような具体例において、本発明のポリヌクレオチドは、gp120およびTat含有融合タンパク質をコード化するためにTatコード化配列と結合したgp120コード化配列を含む。
特定の具体例において、gp120およびTat配列は、gp120、TatおよびNef含有融合タンパク質、最も好ましくはgp120−Nef−Tat融合物をコード化するために、Nefコード化配列とさらに結合される。
追加のHIV配列、例えばGagコード化配列を含めることができる。
もう1つの特定の具体例において、本発明のポリヌクレオチドによりコード化された融合はgp120−Gag−Nef−Tat融合である。
好ましくは、本発明において用いられるTat配列は、トランス活性化活性が欠失しているが、その免疫原性エピトープを保持する生物学的に不活性なTatをコード化するように突然変異させられる。Tatトランス活性化活性は、HIV LTRレポーター系、例えばクロラムフェニコール−アセチルトランスフェラーゼレポーター遺伝子がHIV−1の長い末端繰り返しの制御下にあるCAT分析系により測定することができる。好適な特定のCAT分析系は、FelberおよびPavlakis(1988)Science 239:184−187において記述され、Mischiatiら(2001)Antisense Nucleic Acid Drug Dev Aug 11(4):209−17においても用いられるHL3T1細胞系を使用する。HL3T1は、CAT遺伝子と結合したHIV−1 LTRプロモーターの安定に組み入れられたサイレントコピーを含有するHeLa細胞系である。これらの細胞はTat遺伝子を含有するDNAベクター(修飾または未修飾)でトランスフェクトされる。CATは活性Tatの存在により産生され、ELISAにより測定される。
【0021】
好ましい突然変異Tat配列(BH10分子クローン起源)は活性部位領域(Lys41→Ala)およびRGDモチーフ(Arg78→LysおよびAsp80→Glu)
において突然変異を有する(Virology 235:48−64、1997)。
所望により、本発明において用いられるNef配列は、N末端領域をコード化する配列を除去するために、すなわち30〜85、好ましくは60〜85、好ましくはN末端65アミノ酸の除去のために切除される(後者の切除は本発明においてtrNefと称する)。有利には、Nefは1以上のミリスチル化部位を除去するために修飾することができる。例えば、Gly2ミリスチル化部位は、欠失または置換により除去することができる。別法として、あるいはさらには、一方または両方のロイシンの欠失または置換によりLeu174およびLeu175のジロイシンモチーフを変更するためにNefを修飾することができる。CD4減少調節におけるジロイシンモチーフの重要性は、Bresnahan P.A.ら(1998)Current Biology、8(22):1235−8に記載されている。
【0022】
好ましくは本発明において用いられるGagはGag P6ポリペプチドをコード化しない。
本発明において用いられる好ましいGag配列はP17および/または24を含む。
本発明において用いられるRTポリヌクレオチドは好ましくは突然変異をコード化して逆転写酵素活性を実質的に不活化する。好ましい不活化突然変異体は、KリシンのWトリプトファン229の置換を含む。WO03/025003参照。
好ましくは、例えばgp120、Nef、Tat、GagまたはRTをコード化する本発明のポリヌクレオチド中に含まれる1以上のHIV配列は哺乳動物細胞に関して、最も好ましくは、そのコドン使用において高度に発現されたヒト遺伝子に類似するように最適化されたコドンである。
【0023】
融合物はさらなるHIV配列を含み得る。本発明に含まれるHIV配列すべてに関して、これらは必ずしも完全長または本来のタンパク質をコード化する配列を表すとは限らないと理解される。少なくとも1つのHIVエピトープ、好ましくはCTLエピトープ、典型的には少なくとも8個のアミノ酸のペプチドをコード化するフラグメントのように、免疫原性誘導体、例えば切形または他の方法で変更された、例えば突然変異タンパク質も含まれる。フラグメントの免疫原性誘導体も予想される。免疫原性誘導体は未変性抗原またはそのフラグメントと架橋反応する。少なくとも8、例えば8〜10のアミノ酸または最高20、50、60、70、100、150または200のアミノ酸の長さのフラグメントをコード化するポリヌクレオチドは、コード化されたオリゴまたはポリペプチドがHIV抗原性を示す限り本発明の範囲内に含まれると考えられる。本発明のポリヌクレオチド配列によりコード化されたHIVポリペプチド分子は、天然のタンパク質の少なくとも50%の長さのフラグメントを表し、該フラグメントは突然変異を含み得るが、少なくとも1つのHIVエピトープを保持し、HIV抗原性を示す。同様に、本発明の免疫原性誘導体はHIV抗原性を示さなければならない。本発明の好ましい免疫原性誘導体は、酵素活性(RT)、トランス活性化活性(Tat)、またはCD4減少調節(Nef)などの、ワクチン抗原において望ましくない本来のタンパク質の機能の軽減または除去など、本来のタンパク質よりもいくつかの潜在的な利点を提供する。ポリヌクレオチド配列は好ましくは本発明の好ましい態様に従って哺乳動物細胞に関して最適化されたコドンである。
【0024】
好ましいポリヌクレオチド配列は次の群から選択される:
1.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル
2.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−trNef
3.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−trNef−mTat
4.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−Nef−mTat
5.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−trNef
6.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−trNef−mTat
7.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−Nef−mTat
8.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mNef−mTat
9.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−L1Nef−mTat
10.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−L2Nef−mTat
【0025】
11.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−LLNef−mTat
12.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mLLNef−mTat
13.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mL1Nef−mTat
14.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mL2Nef−mTat
15.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−mRT−trNef−p17/24Gag
16.最適化されたmRT−trNef−p17/24Gag−gp120コドン、マイナス分泌シグナル
【0026】
mNef=非ミリストイル化Nefを得るためのG2の欠失
L1 Nef=NefにおけるL174A突然変異
L2Nef=NefにおけるL175A突然変異
LLNef=NefにおけるL174AおよびL175A突然変異
TrNef=末端アミノ酸1−65をコード化するヌクレオチドが欠損したNef
mRT=生物学的活性(W229K)を除去するために突然変異した逆転写酵素。RTは最適化されたコドンである。
Gag=最適化されたGagコドン
【0027】
発明は好ましくはHIV−1に関する。本明細書において記載される構築物はHIVクレードVまたはクレードC、特にクレードBから誘導されるのが好ましい。
好ましくは、プロモーターはHCMV IE遺伝子からのプロモーターであり、さらに詳細には、WO02/36792に記載されているようにエクソン1を含むHCMV IE遺伝子の5’未翻訳領域が含まれているプロモーターである。
【0028】
もう1つ別の態様において、本発明は本明細書に記載されるポリヌクレオチド配列を含むベクターを提供する。ポリヌクレオチド配列は好ましくはDNAであり、好ましくは二本鎖DNAプラスミドであるベクター内に含まれる。別のベクターを以下に記載し、これは特定のアデノウイルスベクター、例えばチンパンジー由来のアデノウイルスベクターPan9またはPan5、6および7を含み、好ましくは、これらは複製欠損である場合、標的細胞において複製できない。
本発明のもう一つ別の態様はHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体、特にgp120と、別個に1またはそれ以上のHIVタンパク質、例えばRT、Gag、Nef、Tatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する一組のポリヌクレオチドに関する。
すなわち、本発明は、gp120のような本明細書中に記載のポリヌクレオチドまたは他の形態のHIVエンベロープタンパク質と、少なくとも1つのHIV Nef、Gag、RTまたはTatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する少なくとも1つのさらなるポリヌクレオチドとを含む、所望により追加のプロモーターに連結されていてもよい、一組のポリヌクレオチドを提供する。
【0029】
本明細書に記載されるアデノウイルスなどの他のベクターも意図するものであるが、その一組のポリヌクレオチドは、シングルベクターに含まれ、特にDNAプラスミドに含まれることが好ましい。好ましくは、該ポリヌクレオチドは2つまたはそれ以上の別々のプロモーターの制御下にあることが好ましい。別法として、2つのポリヌクレオチドはシングルプロモーターの制御下にあってもよく、所望により第2のポリヌクレオチドの翻訳をポリヌクレオチドの間に内部リボソーム侵入部位を入れることで強化してもよい。
好ましくは一組のポリヌクレオチドは、本明細書に記載のgp120ポリヌクレオチドと、RT−Nef−Gagの融合体またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化するさらなるポリヌクレオチドとを含む。
【0030】
好ましい一組のポリヌクレオチドは以下の群より選択される:
1.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+trNef−mTat
2.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+P17/24Gag−trNef
3.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+P17/24Gag−Nef−mTat
4.最適化されたmRT−trNef−P17/24Gag+gp120コドン、マイナス分泌シグナル
5.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+mRT−trNef−P17/24Gag
【0031】
これらの好ましい2つのポリヌクレオチドの組が、2つの別個のプロモーターの制御下、シングルベクターに含まれる場合には、このベクターをデュアルプロモーターと言うこともできる。
本発明の一組のポリヌクレオチドの一方または両方のタンパク質あるいは融合タンパク質の好ましいプロモーターは、より詳細には、5’非翻訳リーダー配列がWO02/36792に記載され、本明細書にも記載されるように、エクソン1を含む場合の、HCMV IE遺伝子から由来のプロモーターである。
【0032】
さらにもう一つ別の態様において、本発明は本明細書に記載のポリヌクレオチドによりコード化されるポリペプチドおよびベクターを提供する。
一の具体例において、本発明は、実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体と、少なくとも1つの追加のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体とを含み、該追加のHIVタンパク質がNef、Gag、RTおよびTatから選択されるところの、融合タンパク質を提供する。
もう一つ別の具体例において、本発明は、実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体と、少なくとも1つの追加のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体とを含み、当該少なくとも1つの追加のHIVタンパク質がNef、Gag、RTおよびTatから選択されるところの組成物を提供する。
【0033】
もう一つ別の具体例において、本発明は、哺乳動物の細胞について最適化されるコドンであるポリヌクレオチドから発現される、実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体を提供する。
さらに別の態様において、本発明は、本明細書に記載のヌクレオチド配列およびベクターおよびポリペプチドを、医薬的に許容される賦形剤、希釈剤、担体またはアジュバントと共に含む医薬組成物を提供する。好ましい具体例において、ポリヌクレオチドであって、好ましくはDNAベクターの形態で、好ましくは少なくとも1つのコドン最適化HIV配列を含むものが、複数の粒子、好ましくは金ビーズなどのビーズであって、その上にDNAがコートされているものを含む組成物中に存在する。
本発明のポリヌクレオチドの送達は、好ましくは粒子性送達、特に衝撃法により行われる。
本発明のベクターは免疫刺激剤と共に使用することができ、必ずしもそうとは限らないが、ベクターと同時に投与されるのが好ましく、本発明の組成物中に一緒に処方されるのが好ましい。
【0034】
本発明において用いられる免疫刺激剤は次のものを包含するが、これらは排他的ではなく、他の薬剤を排除するものではない:合成イミダゾキノリン、例えば、イミキモド(imiquimod)[S−26308、R−837](Harrisonら、「イミキモドを単独または糖タンパクワクチンとの組み合わせにおいて使用する再発性HSV疾患の軽減(Reduction of recurrent HSV disease using imiquimod alone or combined with a glycoprotein vaccine)」、Vaccine 19:1820−1826、(2001));およびレシキモド(resiquimod)[S−28463、R−848](Vasilakosら「免疫反応修飾剤R−848のアジュバント活性:CpG ODNとの比較(Adjuvant activities of immune response modifier R−848:Comparison with CpG ODN)」、Cellular immunology 204:64−74(2000))、抗原提示細胞およびT細胞表面上で構成的に発現されるカルボニルおよびアミンのシッフ塩基、例えばツカレソール(Rhodes,J.ら「共刺激シッフ塩基形成薬による免疫系の治療的増強作用(Therapeutic potentiation of the immune system by costimulatory Schiff−base−forming drugs)」、Nature 377:71−75(1995))、サイトカイン、ケモカインおよびタンパク質またはペプチドまたはDNAのいずれかとしての共刺激分子(これは炎症性サイトカイン、例えばGM−CSF、IL−1アルファ、IL−1ベータ、TGF−アルファおよびTGF−ベータを包含する)、Th1インデューサー、例えばインターフェロンガンマ、IL−2、IL−12、IL−15およびIL−18、Th2インデューサー、例えばIL−4、IL−5、IL−6、IL−10およびIL−13および他のケモカインおよび共刺激遺伝子、例えばMCP−1、MIP−1アルファ、MIP−1ベータ、RANTES、TCA−3、CD80、CD86およびCD40L、他の免疫刺激ターゲティングリガンド、例えばCTLA−4およびL−セレクチン、アポトーシス刺激タンパク質およびペプチド、例えばFas、(49)、合成脂質ベースのリガンド、例えばバクスフェクチン(vaxfectin)、(Reyesら、「バクスフェクチンは抗原特異性抗体価を向上させ、プラスミドDNA免疫化に対するTh1タイプの免疫反応を維持する(Vaxfectin enhances antigen specific antibody titres and maintains Th1 type immune responses to plasmid DNA immunization)」、Vaccine 19:3778−3786)、スクアレン、アルファ−トコフェロール、ポリソルベート80、DOPCおよびコレステロール、エンドトキシン、[LPS](Beutler,B.,「エンドトキシン、Toll様レセプター4、および先天性免疫の求心性四肢(Endotoxin,‘Toll−like receptor 4,and the afferent limb of innate immunity)」、Current Opinion in Microbiology 3:23−30(2000));CpG oligo−およびジヌクレオチド、Sato,Y.ら、「有効な皮内遺伝子免疫化に必要な免疫刺激DNA配列(Immunostimulatory DNA sequences necessary for effective intradermal gene immunization)」,Science 273(5273):352−354(1996)。Hemmi、Hら、「Toll様レセプターはバクテリアDNAを認識する(A Toll−like receptor recognizes bacterial DNA)」、Nature 408:740−745、(2000)およびTollレセプターが適当なTh−1誘発サイトカイン、例えば合成マイコバクテリアリポタンパク質、マイコバクテリアタンパク質p19、ペプチドグリカン、タイコ酸およびリピッドAを産生する引き金となる他の潜在的なリガンド。
【0035】
本発明に関して用いられる好ましい免疫刺激剤はGM−CSFである。これは本発明のDNAワクチンと共に同時投与されるGM−CSFを発現するポリヌクレオチドの形態で用いることができる。GM−CSFをコード化するDNAプラスミドは本発明のポリヌクレオチドを含む医薬組成物中に存在していてもよい。
主にTh−1型反応を惹起するための好ましいアジュバントとしては、例えば、リピッドA誘導体、例えばモノホスホリルリピッドA、または好ましくは3−デ−O−アシル化モノホスホリルリピッドAが挙げられる。MPLアジュバントは、Corixa Corporation(シアトル、WA;例えば、米国特許第4,436,727号;第4,877,611号;第4,866,034号および第4,912,094号参照)から入手可能である。CpG含有オリゴヌクレオチド(CPGジヌクレオチドがメチル化されていない)も主にTh1反応を惹起する。このようなオリゴヌクレオチドはよく知られていて、例えば、WO96/02555、WO99/33488および米国特許第6,008,200号および第5,856,462号において記載されている。免疫刺激DNA配列も、例えばSatoら、Science 273:352、1996により記載されている。もう一つ別の好ましいアジュバントは、サポニン、例えばQS21およびQS7(Aquila Biopharmaceuticals Inc.、Framingham、MA)をはじめとするQuil A、またはその誘導体;Escin;ジギトニン;またはGypsophilaまたはChemopodium quinoaサポニンを含む。
【0036】
本発明のさらに別の態様によると、ポリヌクレオチド配列を含む宿主細胞、または本発明の発現ベクターが提供される。宿主細胞は例えばバクテリア、例えばイー/コリ、哺乳動物、例えばヒトであってもよいし、あるいは昆虫細胞であってもよい。本発明のベクターを含む哺乳動物細胞はインビトロでトランスフェクトされた培養された細胞であってもよいし、あるいはベクターを哺乳動物に投与することによりインビボでトランスフェクトされた細胞であってもよい。
コドン最適化とは、DNA配列が哺乳動物における遺伝子のコドン使用に類似するように最適化されることを意味する。特に、配列におけるコドン使用は高度に発現されたヒト遺伝子と類似するように最適化される。
DNAコードは4文字(A、T、CおよびG)を有し、生物の遺伝子におけるコード化されたアミノ酸タンパク質を表す3文字「コドン」を表すためにこれらを使用する。DNA分子に沿ったコドンの直線状配列を、これらの遺伝子によりコード化されるタンパク質におけるアミノ酸の直線状配列に翻訳する。コードは非常に縮重し、61コドンが20の天然のアミノ酸をコードし、3コドンが「停止」シグナルを表す。従って、ほとんどのアミノ酸は1以上のコドンによりコードされ、実際いくつかは4以上の異なるコドンによりコードされる。
【0037】
所定のアミノ酸をコードするために1以上のコドンが利用可能である場合、生物のコドン使用パターンは非常に非無作為であることが観察されている。異なる種はそのコドン選択において異なった傾向を示し、さらにコドンの利用は高レベルおよび低レベルで発現される遺伝子間の一つの種において著しく異なる。この傾向は、ウイルス、植物、バクテリアおよび哺乳動物細胞において異なり、ある種は他よりもランダムなコドン選択からより強力な偏りを示す。例えば、ヒトおよび他の哺乳動物はある種のバクテリアまたはウイルスほど強力に偏っていない。これらの理由のために、イー・コリにおいて発現される哺乳動物遺伝子または哺乳動物細胞において発現される組み換え遺伝子が有効な発現のために不適当なコドンを有する顕著な可能性がある。コドンのクラスターまたは多量のコドンのヘテロローガスなDNA配列における存在は、発現顔凝る宿主においてほとんど観察されず、該宿主における低いヘテロローガスな発現レベルの前兆である。
本発明の一具体例において、実質的に非グリコシル化gp120アミノ酸配列をコード化するgp120ポリヌクレオチド配列が提供され、ここにおいて、ポリヌクレオチド配列のコドン使用パターンは高度に発現された哺乳動物遺伝子と類似している。好ましくは、ポリヌクレオチド配列はDNA配列である。望ましくは、ポリヌクレオチド配列のコドン使用パターンは高度に発現されたヒト遺伝子に典型的である。
【0038】
本発明のポリヌクレオチドにおいて、コドン使用パターンはヒト免疫不全ウイルスに典型的なものから変更されて、標的生物、例えば哺乳動物、特にヒトのコドン傾向をさらに厳密に対応する。「コドン使用係数(codon usage coefficient)」は、所定のポリヌクレオチド配列のコドンパターンが標的種のものとどれほど厳密に類似しているかの尺度である。コドン頻度は多くの種の高度に発現された遺伝子に関して文献から得ることができる(例えば、Nakamuraら、Nucleic Acids Research 1996、24:214−215参照)。61コドンのそれぞれについてのコドン頻度(選択された種類の遺伝子の1000コドンあたりの発生数として表す)を20の天然のアミノ酸のそれぞれについて標準化し、各アミノ酸について最も頻繁に使用されるコドンについての値を1に設定し、それほど頻繁でないコドンにつての頻度を0から1の間になるように評価する。このようにして、61コドンのそれぞれを標的種の高度に発現された遺伝子について1またはそれ以下に割り当てる。特定のポリヌクレオチドについてのコドン使用係数を、該種の高度に発現された遺伝子に対して計算するために、特定のポリヌクレオチドの各コドンについての評価された値を記録し、これらの値全ての幾何平均を取る(これらの値の自然対数の合計をコドンの総数で割り、真数を取る)。係数は0から1の間の値を有し、係数が高いほど、ポリヌクレオチドにおいてより多くのコドンが頻繁に用いられるコドンである。ポリヌクレオチド配列がコドン使用係数1を有するならば、コドンのすべては標的種の高度に発現された遺伝子の「最も頻繁な」コドンである。
【0039】
本発明によると、ポリヌクレオチドのコドン使用パターンは好ましくは希少なコドンを排除する。希少コドンは、標的生物の高度に発現された遺伝子において特定のアミノ酸に関して用いられるコドンの<20%以上、またはさらに好ましくは<10%に対応するコドンとして定義される。あるいは、希少コドンは、標的生物の高度に発現された遺伝子において<0.3、またはさらに好ましくは<0.2の比較的同義のコドン使用(RSCU)値を有するコドンとして定義することができる。RSCU値は、該アミノ酸についての全コドンが等しい頻度で使用される場合に予想される数で観察されるコドン数を割ったものである。希少コドンの適当な定義は当業者には明かであろう。
本発明のポリヌクレオチドは一般に、0.3以上、好ましくは0.4以上、最も好ましくは0.5以上の高度に発現されたヒト遺伝子のコドン使用係数を有する。好ましくは、コドン使用係数は1.0未満、好ましくは0.9未満、さらに好ましくは0.8未満である。従って、0.5から0.9の間、または0.5から0.8の間のコドン使用係数が最も好ましい。ヒトについてのコドン使用表はGenbankにおいて見いだすことができる。
比較として、高度に発現されたβアクチン遺伝子は0.747のコドン使用係数を有する。
【0040】
人類のコドン使用表を以下に示す:
ヒト(高度に発現された)遺伝子のコドン使用 1/24/91(human_high.cod)

アミノ酸 コドン 数 /1000 フラクション

Gly GGG 905.00 18.76 0.24
Gly GGA 525.00 10.88 0.14
Gly GGT 441.00 9.14 0.12
Gly GGC 1867.00 38.70 0.50

Glu GAG 2420.00 50.16 0.75
Glu GAA 792.00 16.42 0.25
Asp GAT 592.00 12.27 0.25
Asp GAC 1821.00 37.75 0.75

Val GTG 1866.00 38.68 0.64
Val GTA 134.00 2.78 0.05
Val GTT 198.00 4.10 0.07
Val GTC 728.00 15.09 0.25

Ala GCG 652.00 13.51 0.17
Ala GCA 488.00 10.12 0.13
Ala GCT 654.00 13.56 0.17
Ala GCC 2057.00 42.64 0.53

Arg AGG 512.00 10.61 0.18
Arg AGA 298.00 6.18 0.10
Ser AGT 354.00 7.34 0.10
Ser AGC 1171.00 24.27 0.34

Lys AAG 2117.00 43.88 0.82
Lys AAA 471.00 9.76 0.18
Asn AAT 314.00 6.51 0.22
Asn AAC 1120.00 23.22 0.78

Met ATG 1077.00 22.32 1.00
Ile ATA 88.00 1.82 0.05
Ile ATT 315.00 6.53 0.18
Ile ATC 1369.00 28.38 0.77

Thr ACG 405.00 8.40 0.15
Thr ACA 373.00 7.73 0.14
Thr ACT 358.00 7.42 0.14
Thr ACC 1502.00 31.13 0.57

Trp TGG 652.00 13.51 1.00
End TGA 109.00 2.26 0.55
Cys TGT 325.00 6.74 0.32
Cys TGC 706.00 14.63 0.68

End TAG 42.00 0.87 0.21
End TAA 46.00 0.95 0.23
Tyr TAT 360.00 7.46 0.26
Tyr TAC 1042.00 21.60 0.74

Leu TTG 313.00 6.49 0.06
Leu TTA 76.00 1.58 0.02
Phe TTT 336.00 6.96 0.20
Phe TTC 1377.00 28.54 0.80

Ser TCG 325.00 6.74 0.09
Ser TCA 165.00 3.42 0.05
Ser TCT 450.00 9.33 0.13
Ser TCC 958.00 19.86 0.28

Arg CGG 611.00 12.67 0.21
Arg CGA 183.00 3.79 0.06
Arg CGT 210.00 4.35 0.07
Arg CGC 1086.00 22.51 0.37

Gln CAG 2020.00 41.87 0.88
Gln CAA 283.00 5.87 0.12
His CAT 234.00 4.85 0.21
His CAC 870.00 18.03 0.79

Leu CTG 2884.00 59.78 0.58
Leu CTA 166.00 3.44 0.03
Leu CTT 238.00 4.93 0.05
Leu CTC 1276.00 26.45 0.26

Pro CCG 482.00 9.99 0.17
Pro CCA 456.00 9.45 0.16
Pro CCT 568.00 11.77 0.19
Pro CCC 1410.00 29.23 0.48
【0041】
本発明のさらに別の態様に従って、本発明の第一の態様のポリヌクレオチド配列の発現を行うことができる発現ベクターであって、特にgp120ポリヌクレオチド配列のコドン使用パターンが高度に発現された哺乳動物遺伝子、好ましくは高度に発現されたヒト遺伝子に典型的である発現ベクターが提供される。ベクターはバクテリア、昆虫または哺乳動物の細胞、特にヒトの細胞においてヘテロローガスなDNAの発現を行うのに好適である。一具体例において、発現ベクターはp7313である(図1参照)。
さらに別の態様において、本発明は、HIV感染症、これに関連する任意の症状または疾患を治療または予防する方法であって、安全かつ有効な量の本発明のポリヌクレオチド、ベクター、ポリペプチドまたは医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0042】
医薬組成物の投与は、1または1以上の個々の投与形態、例えば同じDNAプラスミドの繰り返し量として、またはヘテロローガスな「プライムブースト」ワクチン接種レジメにおいて、特に治療用ワクチン接種レジメの形態をとることができる。ヘテロローガスなプライムブーストレジメは、プライムおよびブーストにおける異なる形態のワクチンの投与を使用し、そのそれぞれはそれ自体が2回以上の投与を含む。必ずしもそうでなくてよいが、好ましくは、プライミングおよびブースティング組成物は同じ抗原または同じ抗原の異なる形態を含む。プライミング組成物およびブースティング組成物は、いずれにしても少なくとも1つの抗原を共通に有するが、これは必ずしも同じ抗原の形態である必要はなく、同じ抗原の異なる形態であってもよい。同じ抗原の異なる形態の一例は、機能的シグナル配列が欠失し、哺乳動物細胞において実質的にグリコシル化されていないgp120をコード化するポリヌクレオチド、およびそのシグナル配列を有するgp120であり、グリコシル化されているポリペプチドの場合である。同じタンパク質の完全長および切形バージョン、または同じタンパク質の突然変異および非突然変異形態も、本発明のプライム−ブーストフォーマットの目的に関して同じ抗原の異なる形態と見なすことができる。
【0043】
プライム−ブーストレジメの一例において、「プライム」ワクチン接種は、好ましくはプラスミドベクター中に組み入れられた、本発明のポリヌクレオチドまたは一組のポリヌクレオチドを含むプライミング組成物の粒子媒介DNA送達によることができ、一方、「ブースト」投与は、同じポリヌクレオチド配列またはプライミング組成物によりコード化される同じ抗原の少なくとも1つをコード化するポリヌクレオチド配列を含む組み換えウイルスベクターを含むブースティング組成物のものであってもよい。あるいは、ブースティングは、アジュバント中タンパク質の形態において同じ抗原の少なくとも1つを用いて行うことができる。反対に、プライミングは、ウイルスベクターを含むプライミング組成物またはタンパク質処方、典型的にはアジュバント中に処方されたタンパク質を用いて行うことができ、ブーストは本発明のDNAワクチンを用いて行うことができる。
【0044】
本発明のポリヌクレオチドに関して用いられる好ましいプライム−ブーストフォーマットは次のものから選択される:
いる使用のための優先の主要なブーストのフォーマットが本発明によれば選択される:
タンパク質プライム/生ベクターブースト
生ベクタープライム/タンパク質ブースト
タンパク質プライム/DNAプラスミドブースト
DNAプラスミドプライム/タンパク質ブースト
生ベクタープライム/DNAプラスミドブースト
DNAプラスミドプライム/生ベクターブースト
【0045】
好ましい生ベクターは、生ウイルスベクター、特に本明細書に記載するようなアデノウイルスベクターを包含する。
好ましくは、プライミングおよびブースティング組成物は、抗原に加えて、特定の組成物によっては異なっていてもよい適当なアジュバントを含む。
プライミング組成物およびブースティング組成物はどちらも1以上の用量で送達することができる。さらに、初回プライミングおよびブースティング用量に引き続いてさらなる投与を行い、これを交互に行って、その結果、例えば、DNAプラスミドプライム/タンパク質ブースト/さらなるDNAプラスミド用量/さらなるタンパク質用量となる。
本発明はさらに、本明細書に記載するようなポリヌクレオチドの産生法であって、実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープ分子、好ましくはgp120またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化するヌクレオチド配列と、所望により追加のHIVタンパク質、例えばTatなどのHIV非構造タンパク質またはGagなどのHIVカプシドタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列とをヘテロローガスなプロモーター配列と結合させることを含む方法を提供する。
【0046】
前記のように、本発明は、本発明のヌクレオチド配列を含む発現ベクターを包含する。このような発現ベクターは、分子生物学の分野において日常的に構築され、例えば、プラスミドDNAおよび適当な開始剤、プロモーター、エンハンサーおよび他のエレメント、例えば、タンパク質発現を可能にするために必要である可能性があり、正しい方向に配置されたポリアデニル化シグナルの使用を含む。他の適当なベクターおよびこれの構築法は当業者には明らかである。この点に関するさらなる例としては、Sambrookら、Molecular Cloning:a Laboratory Manual第2版CSH Laboratory Press(1989)参照。
好ましくは、本発明のポリヌクレオチドまたはベクター中で本発明において使用するためのポリヌクレオチドは宿主細胞によるコーディング配列の発現を提供することができる調節配列と操作可能に結合している。すなわち、ベクターは発現ベクターである。「操作可能に結合」なる用語は、記載される成分が、それらが意図される方法で機能することを許容する関係にある並置を意味する。コーディング配列と「操作可能に結合」した調節配列、例えばプロモーターは、コーディング配列の発現が調節配列と適合する条件下で達成されるような位置にある。
【0047】
本発明の核酸配列は、遺伝子治療において有用な専門的なデリバリーベクターにより投与することができる。遺伝子治療法は、例えば、Vermeら、Nature 1997、389:239−242により論議されている。ウイルスおよび非ウイルスベクター系のいずれも使用できる。ベクターは、例えば、プラスミド、人工染色体(例えばBAC,PAC、YAC)、複製の起源を備えたウイルスまたはファージベクター、所望によりポリヌクレオチドの発現のためのプロモーターおよび所望によりプロモーターのレギュレーターであってもよい。ベクターは1以上の選択マーカー遺伝子、例えば、バクテリアプラスミドの場合においてはアンピシリンまたはカナマイシン耐性遺伝子あるいは真菌ベクターの耐性遺伝子を含有することができる。ベクターは、例えばDNAまたはRNAの産生のためにインビトロで使用できるか、またはベクターによりコード化されるタンパク質の産生に関しては宿主細胞、例えば哺乳動物細胞をトランスフェクトまたは形質転換するために使用できる。ベクターはまた、例えばDNAワクチン接種法または遺伝子治療法において、インビトロで使用するために適用することもできる。
適当なウイルスベクターの例は、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルスを含む)、アルファ−ウイルス、水痘ウイルス、例えばカナリア痘およびワクシニアウイルス系を包含する。これらのウイルスを使用する遺伝子導入技術は当業者には周知である。例えば、本発明のポリヌクレオチドを宿主ゲノム中に安定に組み入れるためにレトロウイルスベクターを使用できるが、このような組み換えは好ましくない。複製−欠失アデノウイルスベクターは対照的にエピソームであり、従って一過性発現を許容する。例えばサブユニットワクチンとしてまたはイムノアッセイにおいて使用するための、本発明のポリヌクレオチドによりコード化される多量のHIVタンパク質を産生するために、昆虫細胞(例えばバクロウイルスベクター)、ヒト細胞、酵母またはバクテリアにおける発現を行うことができるベクターを用いることができる。
【0048】
好ましい具体例において、生ベクターとして用いられるアデノウイルスは複製欠失類人猿アデノウイルスである。典型的には、これらのウイルスはE1欠失を含み、E1遺伝子で形質転換された細胞系上で増殖させることができる。好ましい類人猿アデノウイルスは、チンパンジーから単離されたウイルスである。特に、C68(Pan9としても知られる)(米国特許第6083716号参照)およびPan5、6およびPan7(WO03/046124)が本発明における使用に好ましい。従って、これらのベクターは本発明のヘテロローガスな遺伝子を挿入して、遺伝子産物が発現されるように操作することができる。このような組み換えアデノウイルスの使用、処方および製造は、WO03/046142において詳細に記載されている。
【0049】
プロモーターおよび他の発現調節シグナルは、それに対して発現がデザインされる宿主細胞と適合するように選択することができる。例えば、哺乳動物プロモーターは、カドミウムなどの重金属に反応して誘発することができるメタロチオネインプロモーター、およびβ−アクチンプロモーターを包含する。ウイルスプロモーター、例えばSV40ラージT抗原プロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期(IE)プロモーター、ラウス肉腫ウイルスLTRプロモーター、アデノウイルスプロモーター、またはHPVプロモーター、特にHPV上流調節領域(URR)も使用できる。これらのプロモーターは全てよく記載され、当該分野において容易に入手可能である。
好ましいプロモーターエレメントは、イントロンAが欠損しているが、エクソン1を含むCMV前初期プロモーターである。従って、HCMV IE初期プロモーターの制御下で本発明のポリヌクレオチドを含むベクターが提供される。適当なHCMV IEプロモーターはWO02/36792に記載されている。
【0050】
非ウイルスベースの系は、核酸、微小球カプセル化技術、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)およびリポソームベースの系の直接投与を包含する。
本発明のポリヌクレオチドはコード化されたタンパク質の発現による産生において有用性を有し、発現はインビトロ、インビボまたはエクスビボで行うことができる。従って、ヌクレオチドは、例えば収率を増大させるために組み換えタンパク質合成に関与することができるか、または実際それ自体が治療薬として有用であり、DNAワクチン接種技術において用いられる。本発明のポリヌクレオチドがインビトロまたはエクスビボでコード化されたタンパク質の産生において用いられる場合、例えば細胞培養物における細胞は発現されるポリヌクレオチドを含むように修飾される。このような細胞は一過性、または好ましくは安定な哺乳動物細胞系を包含する。本発明のポリペプチドをコード化するベクターの挿入により修飾することができる細胞の特定の例は、哺乳動物HEK293T、CHO、HeLa、293およびCOS細胞を包含する。好ましくは、選択される細胞系は安定なものである。発現は形質転換された卵母細胞において達成することができる。ポリペプチドは、トランスジェニック非ヒト動物、好ましくはマウスの細胞において本発明のポリヌクレオチドから発現することができる。本発明のポリヌクレオチドからポリペプチドを発現するトランスジェニック非ヒト動物は本発明の範囲内に含まれる。
【0051】
本発明はさらに、哺乳動物患者にワクチン接種する方法であって、有効量の本発明のワクチンまたはワクチン組成物を投与することを含む方法を提供する。好ましくは、DNAワクチン、ワクチン組成物および免疫療法において用いられる発現ベクターはプラスミドベクターまたは生ウイルスベクターである。
DNAワクチンは、「裸の(naked)DNA」の形態、例えばシリンジまたは高圧ジェットを用いて投与される液体処方において、またはリポソームまたは刺激トランスフェクションエンハンサーとともに処方されたDNA、または本明細書においてさらに詳細に記載するような粒子性DNA送達(PMDDまたは粒子性免疫治療送達PMID)により投与することができる。これらの送達系はすべて当該分野において周知である。ベクターは、例えばウイルスベクター送達システムにより哺乳動物に導入することができる。
【0052】
本発明の組成物は、例えば筋肉内、皮下、腹腔内、静脈内または経粘膜などの多くの経路により送達することができる。
本発明はさらに本明細書に記載するような医薬組成物を含む皮内送達装置を提供する。
好ましい具体例において、組成物は皮内送達される。特に、組成物は、特に、ベクターをビーズ(例えば金ビーズ)上にコートし、これを高圧下で表皮中に投与することを含む粒子衝撃投与技術を用いた遺伝子銃により送達される。これは、例えば、Haynesら、J.Biotechnology44:37−42(1996)に記載されている。
【0053】
粒子衝撃法を行うための多くの方法が知られている。例えばWO91/07487参照。一例において、ガスで作動する粒子加速は、Powderject Pharmaceuticals PLC(Oxford、UK)により製造されるものなどの装置を用いて達成することができ、その例のいくつかは、米国特許第5,846,796号;第6,010,478号;第5,865,796号;第5,584,807号;および欧州特許番号0500799に記載されている。この方法は、注射針不要の送達法を提供し、該方法において、ポリヌクレオチドなどの微細粒子の乾燥粉末処方は、携帯型装置により生じるヘリウムガスジェット内で高速に加速され、興味のある標的組織、典型的には皮膚中に粒子を推進させる。粒子は好ましくは0.4〜4.0μm、さらに好ましくは0.6〜2.0μmの直径の金ビーズ、およびこれらの上にコートされ、その後送達装置中に入れられるカートリッジまたはカセット中に入れられるDNA接合体である。
【0054】
関連する具体例において、本発明の組成物のガスで作動するニードルレス注入に有用である他の装置および方法は、Bioject,Inc.(Portland,OR)により提供されるものを包含し、その例のいくつかは、米国特許第4,790,824号;第5,064,413号;第5,312,335号;第5,383,851号;第5,399,163号;第5,520,639号および第5,993,412号に記載されている。
抗原ペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含むベクターは、予防的または治療的に有効であるような量において投与される。投与される量は一般に、粒子性送達については1ピコグラムから1ミリグラム、好ましくは1ピコグラムから10マイクログラムの範囲であり、他の経路については100ナノグラムから10ミリグラムの範囲(ヌクレオチド/用量)である。正確な量は免疫化される患者の体重および投与経路によってかなり変化し得る。
【0055】
抗原ペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含む免疫原成分を単発で投与するか、または例えば1〜7回の間、好ましくは1〜4回の間、約1日〜約18日の間の間隔で繰り返し投与することが可能である。患者の一生涯免疫反応を維持するために必要ならばさらなる投与を行うこともできる。しかしながら、この治療形態は、関連する患者の大きさ、投与されるヌクレオチド配列の量、投与経路、および熟練した医師には自明であろう他の要因によって著しく変わるであろう。患者は1以上の他の抗HIVレトロウイルス薬を全体的な治療レジメの一部として受けることができる。さらに、核酸免疫源をアジュバントと共に投与することができる。
本明細書において指定されるアジュバント成分を、例えば、経口、鼻、肺、筋肉内、皮下、皮内または局所経路などの様々な異なる投与経路により同様に投与することができる。好ましくは、アジュバント成分は、皮内または局所経路、最も好ましくは局所経路により投与される。この投与はヌクレオチド配列の投与前約14日から投与後約14日の間、好ましくはヌクレオチド配列の投与前約1日から投与後約3の間で行うことができる。
【0056】
アジュバント成分は、一具体例において、ヌクレオチド配列の投与と実質的に同時に投与される。「実質的に同時」とは、アジュバント成分の投与が好ましくはヌクレオチドの投与と同時であるか、またはもしそうでなければ、ヌクレオチド配列投与の前後何れかの少なくとも数時間以内であることを意味する。最も好ましい治療プロトコルにおいて、アジュバント成分はヌクレオチド配列の投与と実質的に同時に投与される。明らかに、このプロトコルは必要に応じて、前記の種類の変数にしたがって変化し得る。アジュバントは1H−イミダゾ[4,5c]キノリン−4−アミン誘導体、例えばイミキモドであるのが好ましい。典型的には、イミキモドは局所クリーム処方として提供され、前記プロトコルにしたがって投与される。
【0057】
ここでも、このような変数によって、誘導体の投与量も変化するが、例えば約0.1mg/kgから約100mg/kgの範囲であり、ここにおいて「/kg」とは関連する哺乳動物の体重を意味する。1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体の投与は、それぞれの後にまたは追加のヌクレオチド配列投与を伴って繰り返される。最も好ましくは、投与量は約1m/kgから約50mg/kgの間である。本明細書に記載するような「プライム−ブースト」スキームの場合において、イミキモドまたは他の1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体をプライムまたはブーストの何れかまたはプライムとブーストの両方で投与することができる。
【0058】
アジュバント成分が未処理の化学状態で投与される1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体のみを含むことができる場合、投与は医薬処方の形態であるのが好ましい。すなわち、アジュバント成分は好ましくは1以上の医薬的に許容される担体、および所望により他の治療成分との組み合わせで1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンを含む。担体は処方内の他の成分と適合性であり、その受容者に対して有害でないという意味で「許容され」なければならない。処方の性質は意図される投与経路に従って当然変わり、製薬分野において周知の方法により調製することができる。全ての方法は、1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体を適当な担体と結合させる工程を含む。一般に、処方は、誘導体を液体担体または微粉化された固体担体または両者と均一かつ密接に結合させ、次いで必要ならば所望の処方に生成物を成形することにより調製される。経口投与に好適な本発明の処方は、それぞれがあらかじめ決められた量の活性成分を含有するカプセル、カシェ剤または錠剤などの個別の単位として;粉末または顆粒として;水性液体または非水性液体中溶液または懸濁液として;または水中油液体エマルジョンまたは油中水エマルジョンとして提供することができる。活性成分はまた、ボーラス、舐剤、またはペーストとして提供することもできる。
【0059】
錠剤は所望により1以上の補助成分と共に圧縮または成形することにより調製できる。圧縮錠剤は、適当な機械で、所望によりバインダー、滑剤、不活性希釈剤、潤滑剤、界面活性剤または分散剤と混合した粉末または顆粒などの易流動性形態において活性成分を圧縮することにより調製できる。成形された錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適当な機械で成形することにより製造できる。
錠剤は所望によりコートするかまたはスコアリングすることができ、活性成分の遅延または制御放出を提供できるように処方できる。
【0060】
例えば、筋肉内、腹腔内、皮内、または皮下投与経路による注射用処方は、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤および意図される受容者の血液と等張な処方にする溶質を含有する水性および非水性無菌注射液;および懸濁化剤および増粘剤を含み得る水性および非水性無菌懸濁液を含む。処方は、1回量または複数回量容器、例えば密封されたアンプルおよびバイアル中で提示することができ、使用直前に、無菌液体担体、例えば注射用水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態において貯蔵することができる。即席の注射溶液および懸濁液は、既に記載したような種類の無菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。口腔または鼻腔を経由した肺投与に適した処方は、活性成分を含有し、望ましくは0.5〜7ミクロンの範囲の直径を有する粒子が受容者の気管支樹中に送達されるように提示される。かかる処方は、好都合には、吸入装置において使用するための、適当には例えばゼラチンなどの穿孔可能なカプセルにおいて、あるいは活性成分、適当な液体プロペラントおよび所望により他の成分、例えば界面活性剤および/または固体希釈剤を含む自己推進性処方としてのいずれかで提示できる微粉砕された粉末の形態であり得る。活性成分が溶液または懸濁液の液滴の形態中に分配されている自己推進処方も用いることができる。自己推進性処方は当該分野において公知のものと類似であり、確立された手順により調製することができる。これらは適当には所望の噴霧特性を有する手動で作動可能かまたは自動的に機能するバルブの何れかを備え;有利には該バルブはそのそれぞれの操作により例えば50〜100μLの一定体積を送達する定量タイプのものである。
【0061】
さらなる可能性において、アジュバント成分は、アトマイザーまたはネブライザーにおいて用いられる溶液の形態であり、これにより気流または超音波撹拌を用いて、吸入用の微細液滴のミストが生じる。
鼻内投与に適した処方は、一般に肺投与について既に記載したものと類似した形態を包含するが、鼻腔内での停留を可能にするためには、このような処方は約10〜約200ミクロンの範囲の粒子直径を有するのが好ましい。これは、必要に応じて、適当な粒子サイズの粉末を使用するか、または適当なバルブを選択することにより達成できる。他の適当な処方は、鼻に近づけて保持された容器から鼻道を通って迅速に吸入することによる投与については、約20〜約500ミクロンの範囲の粒子直径を有する粗粉末、および水性または油性溶液中約0.2〜5重量%の活性成分を含む点鼻薬を包含する。本発明の一具体例において、抗原性ペプチドをコード化するヌクレオチド配列を含むベクターを1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体と同じ処方内で投与することが可能である。従って、この具体例において、免疫原性およびアジュバント成分は同じ処方内で見いだされる。
【0062】
一具体例において、アジュバント成分は、バイオリスティック投与に好適な形態において調製され、ヌクレオチド配列の投与と実質的に同時に該経路により投与される。この方法での使用に適した処方の調製について、1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン誘導体を凍結乾燥し、例えばバイオリスティック投与に適した金ビーズなどの粒子上に付着させることが必要とされる。
別の具体例において、アジュバント成分は乾燥粉末として、高圧ガス推進により投与することができる。
一緒に処方されないとしても、アジュバント成分をヌクレオチド配列と同じ投与部位またはその付近に投与することが適当である。
製剤の他の詳細は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennysylvania(1985)において見いだすことができる(この開示は全体として本発明の一部として参照される)。
【0063】
裸のポリヌクレオチドまたはベクターを患者に導入するための適当な技術はまた、適当なビヒクルを用いた局所適用を包含する。核酸は皮膚に、または粘膜表面に、例えば鼻内、経口、膣内または直腸内投与により局所投与することができる。裸のポリヌクレオチドまたはベクターは、医薬的に許容される賦形剤、例えばリン酸塩緩衝塩溶液(PBS)とともに存在し得る。DNA取込みは、促進剤、例えばブピバカインをDNA処方と別にまたはDNA処方中に含めてのいずれかで使用することによりさらに促進することができる。核酸を直接受容者に投与する他の方法は、超音波、電気刺激、エレクトロポレーションおよび米国特許第5,697,901号に記載されているマイクロシーディングを包含する。
核酸構築物の取込みは、いくつかの公知トランスフェクション技術、例えばトランスフェクション剤の使用を含むものにより向上させることができる。これらの薬剤の例としては、カチオン剤、例えばリン酸カルシウムおよびDEAE−デキストランおよびリポフェクタント、例えばリポフェクタムおよびトランスフェクタムが挙げられる。投与される核酸の用量は変更することができる。
【0064】
本発明の核酸配列はまた、遺伝子治療において有用な専門のデリバリーベクターにより投与することもできる。遺伝子治療法は、例えば、Vermeら、Nature 1997、389:239−242により論じられる。ウイルスおよび非ウイルスベクター系の両方とも使用でき、前記のとおりである。ウイルスおよび非ウイルス送達系は、初回ワクチン接種後にブースター注射を提供することが望ましい場合に組み合わせることができる。例えば、プラスミドなどの非ウイルスベクターを用いて初回「プライム」DNAワクチン接種をし、続いてウイルスベクターまたは非ウイルスベースの系を用いて1回以上「ブースト」ワクチン接種を行う。同様に、本発明は、本発明のポリヌクレオチドでのプライムブースト系と、それに続いてアジュバント中タンパク質を追加抗原投与すること、またはその逆を意図する。
【0065】
本発明の核酸配列は形質転換された細胞によっても投与することができる。このような細胞は、対象から収穫される細胞を包含する。本発明の裸のポリヌクレオチドまたはベクターをインビトロでこのような細胞中に導入することができ、形質転換された細胞を後に対象に戻すことができる。本発明のポリヌクレオチドはホモローガスな組み換え事象により細胞中に既に存在する核酸中に組み入れることができる。形質転換された細胞は、所望により、インビトロで成長させることができ、1以上の結果として得られる細胞を本発明において使用できる。細胞を公知の外科または顕微鏡手術技術(例えば、グラフティング、微量注射など)により患者における適当な部位に提供することができる。
【0066】
本発明の医薬組成物は、前記のようなアジュバント化合物、またはDNAによりコード化されるタンパク質により誘発される免疫反応を増大させる働きをする他の物質を含むことができる。これらは、抗原と別にあるいは抗原との融合物としてのいずれかでDNAによりコード化することができるか、または処方の非DNAエレメントとして含めることができる。本発明の処方中に含めることができるアジュバントタイプの物質の例としては、ユビキチン、リソソーム関連膜タンパク質(LAMP)、B型肝炎ウイルスコア抗原、FLT3−リガンド(プロフェッショナル抗原提示細胞、特に樹状細胞の生成において重要なサイトカイン)および他のサイトカイン、例えばIFN−γおよびGMCSFが挙げられる。他の好ましいアジュバントとしては、イミキモドおよびレスイミキモドおよびツカラソールが挙げられ、イミキモドが特に好ましい。
【0067】
本発明の特定の具体例において、イミキモドと共に投与される、HIV感染症の治療または予防のための本明細書に記載されている核酸分子の使用が提供される。イミキモドは好ましくは局所投与されるが、核酸分子は粒子性送達により投与されるのが好ましい。
従って、本発明はさらにHIV感染症にかかっている患者またはかかりやすい患者の治療法であって、本明細書に記載するような核酸分子およびイミキモドを投与することを含む方法も提供する。
【0068】
本発明を以下の実施例を用いて説明する:
実施例1
プラスミド構築
1 gp120含有プラスミドの構築
以下の実施例において記載されている組み換えgp120糖タンパク質は、HIV−1単離株W61Dのgp120エンベロープタンパク質の合成形態である。
最適化コドン(pgp120c)
遺伝子配列はHIV−1単離株W61Dからのgp120配列に基づくものであった。これは、0.297のコドン使用係数を有する。最適化はSynGene2dを用いて行われ、その結果、0.749のCUCが得られた(Ertl、PF.、Thomsen、LL.核酸ワクチンの構築における技術的問題(Technical issues in construction of nucleic acid vaccines.)(2003)Methods31(3);199−206)。SynGeneは使用の相対頻度に基づくコドン最適化のための数学的方法を使用する。簡単に言うと、コドンは、より頻度の高いコドンがより広い範囲を有するように、その頻度に従って割り当てられた値の範囲であり、頻度の昇順に並べられる。値の範囲は、>=0.000、>=0.0??、>=0.???などとして表される。0から0.99999の間に乱数が生じる。次いでコドンを選択するためにこれを使用し、これは乱数がその中に収まるような範囲を割り当てられたコドンであろう。希少コドンを排除するために、0.1−1.09999の範囲に収まるように、値0.1を乱数に加える。
gp120配列は40の重複オリゴヌクレオチドに開裂され、PCR構築され、エンドプライマーを用いて回収される。遺伝子をNotI−BamHIフラグメントとしてベクターp7313−ie(図1に示す)中にクローンし、配列化させる。3つの当初のクローンからの制限フラグメントを組み合わせて、単一の適当なクローンを得た。アミノ酸配列およびコドン最適化DNA配列を図2に示す。
【0069】
1.2 Nef/Tat含有プラスミドの生成
Nef/Tat(pNTmおよびptrNTm)
Nef/Tat融合タンパク質の遺伝子がプラスミドpRIT15244(図3)において供給された。プラスミドpRIT15244はHisテイルが欠失している以外は以下に記載するpRIT14913と同じである。
【0070】
総論
Bru/Lai単離株からのNef遺伝子(Cell 40:9−17、1985)はコンセンサスNefに最も密接に関連するものに含まれるので、これを構築物に関して選択した。
Bru/Lai Nef遺伝子の出発物質は、哺乳動物発現ベクターpcDNA3上でクローンされた1170bpのDNAフラグメント(pcDNA3/Nef)であった。
Tat遺伝子はBH10分子クローンに由来する。この遺伝子はpCV1と称し、Science、229、p69−73、1985に記載されているHTLV III cDNAクローンとして受容される。このTat遺伝子は、活性部位領域(Lys41→Ala)およびRGDモチーフ(Arg78→LysおよびAsp80→Glu)において突然変異を有する(Virology 235:48−64、1997)。
突然変異tat遺伝子は、CMV発現プラスミド(pCMVLys41/KGE)内のEcoRIおよびHindIII部位間でサブクローンされたcDNAフラグメントとして受容された。
【0071】
ベクターpRIT14597(Nef−Hisタンパク質をコード化する)の構築
nef遺伝子はプライマー01および02でpcDNA3/NefプラスミドからPCRにより増幅された。
NcoI
プライマー01:5’ATCGTCCATG.GGT.GGC.AAG.TGG.T3[配列番号1]
SpeI
プライマー02:5’CGGCTACTAGTGCAGTTCTTGAA3[配列番号2 ]された
【0072】
組み込み(integrative)ベクターPHIL−D2(INVITROGEN)を使用した。このベクターはヘテロローガスなタンパク質の発現が、AOX1遺伝子の本来のATGコドンの直後で始まり、1つのグリシンおよび6つのヒスチジン残基のテールを有する組み換えタンパク質を産生するように修飾された。PHILE−D2ベクターの隣接するAsuIIおよびEcoRI部位間にオリゴヌクレオチドリンカーをクローンすることにより、このPHIL−D2−MODベクターを構築した。Hisテールに加えて、このリンカーはnef、tatおよびnef−tat融合物がその間に挿入されたNcoI、SpeIおよびXbaI制限部位を有する。
得られたnefPCRフラグメントおよび組み込みPHIL−D2−MODベクターはどちらもNcoIおよびSpeIによって制限され、アガロースゲル上で精製され、結紮されて、組み込みプラスミドpRIT14597を形成する。
【0073】
ベクターpRIT14913(融合Nef−Tat突然変異体−Hisをコード化する)の構築
pRIT14913を構築するために、プライマー03および04でpCMVLys41/KGEプラスミドからPCRによりtat突然変異遺伝子を増幅した。
SpeI
プライマー03:5’ATCGTACTAGT.GAG.CCA.GTA.GAT.3[配列番号3]
SpeI
プライマー04:5’CGGCTACTAGTTTCCTTCGGGCCT3’[配列番号4]
得られたPCRフラグメントおよびプラスミドpRIT14597(Nef−Hisタンパク質を発現する)はどちらもSpeI制限酵素によって消化され、アガロースゲル上で精製され、結紮されて、組み込みプラスミドpRIT14913を形成した。
【0074】
gp120およびNef/TatのPMIDベクターの生成
gp120:コドン最適化gp120は前記のようにして提供された。
Nef/Tat(pNTmおよびptrNTm):
Nef/Tat融合タンパク質の遺伝子は前記のプラスミドpRIT15244において提供された。このプラスミドにおけるTatはトランス活性化機能を不活化する3つの突然変異を含有する。融合物は、N−末端切断により排除される、免疫調節機能を有する完全長Nef(CollinsおよびBoltimore(1999))を含有する。従って、構築物は完全長Nef/突然変異体Tat(pNTm)および切形Nef/突然変異体Tat(ptrNTm)(Nefの最初の65アミノ酸が除去されている)の両方について生成した。これらの配列を、次のプライマーを使用してpRIT15244からPCR増幅した:
5’Nef GAATTCGCGGCCGCCATGGGTGGCAAGTGGTCAAAAAG
5’trNef GAATTCGCGGCCGCCATGGTGGGTTTTCCAGTCACACC
3’Tat GAATTCGGATCCTTATTCCTTCGGGCCTGTCGGG[配列番号:5,6,7]
NotI−BamHIフラグメントとして遺伝子をベクターp7313−ie中にクローンし、配列化した。PNTmおよびptrNTmおよびNef/Tatおよび切断Nef/Tat配列を図4および5に示す。
【0075】
二重発現ベクター:(pRIX1およびpRIX2)
Nef/TatおよびtrNef/Tat発現カセットをClaI−XmnI制限フラグメントとして切除し、コドン最適化gp120(pgp120c)を含有するベクターのClaIおよび平滑化されたSse8387I部位中に結紮して、両タンパク質の発現のためのシングルプラスミド(それぞれpRIX1およびpRIX2)を得た。
【0076】
プラスミドp7313−ieの組成(図1)
pUC19のEam1105I−Pst1フラグメントを含有するベータ−ラクタマーゼ遺伝子(Amersham Pharmacia Biotech UK Ltd.、Amersham Place、Little Chalfont、Bucks、HP7 9NAから入手可能)を、カナマイシン耐性遺伝子を含有するpUC4KのEcoRIフラグメント(Amersham−Pharmacia)と置換し、続いてT4DNAポリメラーゼを用いて両フラグメントを平滑末端にすることにより、プラスミドを構築した。ヒトサイトメガロウイルスIE1プロモーター/エンハンサー、イントロンAは、Harriet Robinson博士(マサチューセッツ大学)から入手し、XhoI−Sal1フラグメントとしてpUC19のSal1部位中に挿入されたプラスミドJW4303から誘導され、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを組み入れている。プロモーターからの5’SalI−BanIフラグメントの欠失により、ベクターにおいて用いられる最小プロモーターが生じた(WO00/23592−Powderject Vaccines Inc.)。HBV表面抗原3’UTRは、ベクターpAM6においてB型肝炎ウイルス、血清型adwから誘導された(Moriartyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、78、2606−10、1981)。pAM6(pBR322ベースのベクター)はAmerican Type Culture Collection(カタログ番号ATCC 45020)から入手した。3’UTRを、BamHI部位を除去するために挿入のために平滑末端化した1.4kb BamHIフラグメントとしてポリアデニル化シグナルに対して5’に挿入した。一連の工程(Bgl II、クレノウポリメラーゼ処理、BstX Iでの消化、Nco Iでの消化、オーバーハングを除去するためのマング・ビーンヌクレアーゼでの処理、およびBstX Iでのさらなる消化を含む)において、X遺伝子プロモーターとbGHpAシグナル間の5コドンよりも大きなオープンフィーディングフレームをすべて除去するためにHBV S遺伝子の3’未翻訳領域およびbGHpAシグナルの間の領域に修飾を施した。この結果、Xタンパク質の翻訳可能な部分(9アミノ酸)をコード化する配列およびX遺伝子開始コドンが欠失した。ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナルを、ウサギベータグロブリンポリアデニル化シグナルと置換した。S抗原の5’非コーディングおよびコーディング配列を切除し、オリゴヌクレオチドリンカーと置換すると、図示するような複数のクローニング部位が提供され、プラスミドp7313−PLが産生された。
Hind−−−NotI―― EcoRV− −NdeI− −BamHI
AGCTTGCGGCCGCTAGCGATATCGGTACCATATGTCGACGGATCC ・・・
... ACGCCGGCGATCGCTATAGCCATGGTCTACAGCTGCCTAGGCCGG
−NheI− −KpnI− −SalI− ΔNotI
[配列番号:8]
【0077】
このポリリンカーはKpnIおよびSalI部位間の追加のオリゴヌクレオチドリンカーの挿入によってさらに伸長された:
AspI− −MunI− NaeI− NdeI−− BglII−
GTACCGGTCAATTGGCGCCGGCGCGCCATATGACGTCAGATCTG−−−−
GCCAGTTAACCGCGGCCGCGCGGTATACTGCAGTCTAGACAGCT
AgeI− −NarI―― AatII− SalI
[配列番号9]
【0078】
ColE1 cer配列を、David Hodgeson(Warwick University)から得たプラスミドpDAH212からのサブクローンから得、プライマーを用いてPCRにより増幅して、配列の末端にEcoRI制限部位を配置した。cer配列は次いでp7313−PLのEcoRI部位中に挿入されて、プラスミドp7313−PLcを生じる。増幅されたcerの配列をGenbankエントリーM11411に対して検証した。
プロモーターおよびポリアデニル化シグナル間のHBV 3’UTR配列を、プライマー:
センス:CCATGGATCCGATCTTTTTCCCTCTGCC[配列番号10]
アンチセンス:GTTAGGGTGAAAAGCTTCCGAGTGAGAGACAC[配列番号11]
を用いてポリアデニル化シグナルのPCR増幅により除去した。
結果として得られる生成物を、BamHIおよびXmnIで切断し、ポリアデニル化シグナルおよび3’UTRの両方を含有する対応するフラグメントを置換するために使用した。
プライマー:
センス:GCTAGCCTGCAGGCTGACCGCCCAACGAC[配列番号12]
アンチセンス:GTTCTCCATCGCGGCCGCACTCTTGGCACGGGG[配列番号13]
を用いたCMVプロモーター/エンハンサーのPCR増幅により、イントロンA配列をプラスミドから除去した。
結果として得られる生成物をSse8387IおよびNotIで切断し、親ベクターのSse8387IおよびNotI部位中に挿入した。
【0079】
実施例2
gp120およびNef/Tat(mut)発現ベクターの修飾
gp120構築物を修飾して、タンパク質の分泌を減少させた。
構築物の生成:
分泌シグナルがないgp120(dsgp120、pRix12 図2および6参照)
次のプライマーを使用してgp120遺伝子をpgp120cからPCR増幅した:
5’120ds:5’GAATTCGCGGCCGCCATGGCCGAGCAGCTGTGGGTCACC[配列番号14]
L01:5’GAATTCGGATCCTCATCTCTGCACGACGCGGCGCTTGGCCCGGGTGGGGGCCACG[配列番号:15]
PWO DNAポリメラーゼ(Roche)およびサイクル:
95℃(30秒)95℃(30秒)50℃(30秒)72℃(90秒)72℃(120秒)4℃(保持) \____ 20回繰り返し____/
を使用してフラグメントを増幅した。
生成物をNotIおよびBamHIで切断し、p7317中にクローンして、pRix12を得た(図6)。
結果
293T細胞において、分泌シグナルが欠失したベクターpRIX12は、良好な量の分泌されない60kDaの非グリコシル化タンパク質を形成する。
【0080】
実施例3
シングルプラスミドからのgp120およびNef/Tat(mut)の発現のためのベクターの構築
ベクター構築:
pg120およびNer/Tat(m)またはtrNef/Tat(m)orfsをステッチするPCRにより、gp120Nef/Tat(m)構築物を得た。
5’および3’Gp120、5’および3’Nef/Tat(m)および5’trNef/TatをpRix1から増幅した。3’trNef/Tat(m)をpNTmから増幅した。次のプライマーを使用した:
3’120:(アンチセンス):GCCAAGCGCCGCGTCGTGCAGAGA[配列番号16]
5’120/NT:
GCCAAGCGCCGCGTCGTGCAGAGAATGGGTGGCAAGTGGTCAAAAAGT[配列番号17]
3’NT(アンチセンス):GGGGAGCCGACAGGCCCGAAGGAA[配列番号18]
5’NT/120:
GGGGAGCCGACAGGCCCGAAGGAAATGAAGGTCAAGGAGACCAGAAAG[配列番号19]
5’120/trN:
GCCAAGCGCCGCGTCGTGCAGAGAATGGTGGGTTTTCCAGTCAC[配列番号20]
5’trNef:
GAATTCGCGGCCGCCATGGTGGGTTTTCCAGTCACACC [配列番号21]
L01:
GAATTCGGATCCTCATCTCTGCACGACGCGGCGCTTGGCCCGGGTGGGGGCCACG[配列番号:22]
L02:
ACCACCTTGTACTTGTACAGCTCGCTCCGCCAGTTATCCCTCATGTCGCCGCCGCCGGGC[配列番号23]
【0081】
フラグメントを、PWO DNAポリメラーゼ(Roche)およびサイクル:
95℃(60秒)95℃(30秒)55℃(30秒)72℃(120秒)72℃(120秒)4℃(保持) \____ 20回繰り返し____/
を使用して増幅した。
プライマーL1を3’gp120の3’プライマーとして使用した。しかしながら、Nef/TatまたはtrNef/Tをgp120の5’末端とステッチする場合にこのプライマーを使用すると問題があったので、プライマーL2を代わりに使用した。
ステッチされたgp120−N/Tmおよびgp120−trN/TmフラグメントをNot1およびBamHIで切断し、同様に切断されたp7313−ie中にクローンした。L1ではなくプライマーL2を使用することにより、N/Tm−gp120およびtrN/Tm−gp120フラグメントはBamHI部位が欠失するので、これらをNotIおよびAccIで切断し、同様に切断されたpgp120c中にクローンした。すべての挿入物をシーケンシングにより完全に検証した。プラスミドはpRix6(gp120c NefTat)およびpRix11(gp120c trNefTat)で表される。
【0082】
実施例4
グリコシル化および分泌、Tatの包含およびGag(p17/24)およびNefおよびRTの包含のgp120およびgp120融合物に対する影響を調査するためのベクターの構築
図29および30(概略図)に示すようにベクターを構築した。
pRix28およびpRix29(図7および8)
pRix6(2315bp)およびpRix11(2123bp)からのAccI−BamHIフラグメントを同様に切断されたRix12(ds gp120c)中に移すことにより、ds gp120c NefTatおよびds gp120c trNefTatを含有するpRix28および29が生成した。
pRix30およびpRix31(図9)
Tatがないgp120c Nefのグリコシル化および非グリコシル化融合ベクターを生成するために、NotI−KpnIフラグメントをpRix11(1580bp)またはpRix29(1496bp)から同様に切断されたpRix15、Tat/trNefを含有するベクター中に移した。
【0083】
(pRix15)−Tat(mut)trNef
TatおよびtrNefの遺伝子は次のプライマーを使用してpNTmからPCR増幅された:
5’Tat:5’GAATTCGCGGCCGCCATGGAGCCAGTAGATCCTAGAC[配列番号24]
3’Tat:’TTCCTTCGGGCCTGTCGGC[配列番号25]
5’trTN:GCCGACAGGCCCGAAGGAAATGGTGGGTTTTCCAGTCACAC[配列番号26]
3’Nef:GAATTCGGATCCTTAGCAGTTCTTGAAGTACTCCGG[配列番号27]
個々の遺伝子をゲル精製し、次いでエンドプライマーを使用してTmtrNを得るためにPCRステッチした。融合物を次いでNotIおよびBamHIで消化し、p7313−ie中にクローンした。
【0084】
pRix32
p17/24を含有する融合物を生成するために、プライマーU1および3’120を用いてpgp120cからgp120をPCR増幅し、プライマー5’120Gおよび3’Nefを使用してp73i−GN2からp17/24−Nefを増幅し、U1および3’Nefを使用して両者をPCRステッチした。p73I−GN2はHXB2(GenBankエントリーK03455)に基づくp17/p24の合成コドン最適化配列を含有し、SynGeneを使用して設計され、前記のコドン最適化gp120について記載したように重複オリゴヌクレオチドから組み立てられ、プラスミドpHXBΔPr(B.Maschera、E FurfineおよびE.D.Blair 195 J.Virol 69 5431−5436)からPCRにより得たHXB2 Nefと融合させた。このプラスミドにおけるHXB2 nef遺伝子は早期終止コドンを含有するので、2つの重複するPCRを使用してコドン(TGA[stop]からTGG[Trp])を修復した。修復されたコドンの位置は配列において下線を施した。p17/p24/Nef遺伝子をプラスミドp7313ieのNotIおよびBamHI部位中に挿入した。コーディング配列およびマップを図10位示す。*はp24/trNef接合点を表わす。
【0085】
プライマー:
U1:
GAATTCGCGGCCGCAATGAAGGTCAAGGAGACCAGAAAGAACTACCAGCATCTGTG[配列番号28]
3’120:TCTCTGCACGACGCGGCGCTTGGC[配列番号29]
5’120G:
GCCAAGCGCCGCGTCGTGGAGAGAATGGGTGCCCGAGCTTCGGTAC[配列番号30]
3’Nef:GAATTCGGATCCTTAGCAGTTCTTGAAGTACTCCGG[配列番号31]
初期サイクル:
94℃(30秒)20x[94℃(30秒)50℃(30秒)68℃(180秒)]68℃(120秒)4℃(0秒)
pfxポリメラーゼと1×エンハンサーを使用。
ステッチ:
94℃(30秒)20x[94℃(30秒)50℃(30秒)72℃(180秒)]72℃(120秒)4℃(0秒)
標準条件においてVentポリメラーゼ+2mM MgClを使用。
【0086】
生成物をNotIおよびBamHIで切断し、p7313−i3中にクローンした。
配列化すると、構築物はシグナルペプチドにおいて誤差を有することが見いだされ、これはgp120の後部からNefの前部までを含有する2560bp BstEII−KpnIフラグメントをpRix30中に移すことにより修正された。
pRix33(図11)、pRix34およびpRix35(図12)
Nefの後部からNefの前部までを含有する2560bpのBstEII−KpnIフラグメントをpRix31、pRix11およびpRix29に移して、それぞれベクターpRix33(図11)、34および35(図12)を形成した。
pRix39(最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24gag−Nef−Tat−図13)およびpRix40−47(構築物pRix40−47は非グリコシル化gp120、gag−p17/24、Nefおよび、ミリスチル化部位において突然変異および/またはNefのジロイシンモチーフを有するTat(m)融合物を含有する)
プライマー:
5’120G:GCCAAGCGCCGCGTCGTGGAGAGAATGGGTGCCCGAGCTTCGGTAC[配列番号32]
および
p24AS:CAACACTCTGGCTTTGTGTCC[配列番号33]
を用いて、gag p17/24を含有するフラグメントをベクターpRix35からPCR増幅した。
【0087】
プライマー:
5’p24−N:GGACACAAAGCCAGAGTGTTGATGGGCAAGTGGTCAAAAAGTAG[配列番号34]
および
3’Nef:GAATTCGGATCCTTAGCAGTTCTTGAAGTACTCCGG[配列番号35]
を使用して、完全長NefをpNTmからPCR増幅した。
エンドプライマー(5’120Gおよび3’Nef)を使用して2つのフラグメントをPCRステッチした。生成物をSalIおよびKpnIで切断し、pRix35における対応するフラグメントを置換してpRix39を形成するために、p24およびNefの部分を含有する423bpフラグメントを使用した(図13)。
プライマー5’p24−Nをプライマー:
5’p24−Ndm:
GGACACAAAGCCAGAGTGTTGATGGGCAAGTGGTCAAAAAGTAG[配列番号36]
G H K A R V L| M G K W S K S
と置換する以外は同様にしてpRix40(図14)を構築した。
このプライマーは1つのGが欠失し、Nefの開始点でミリストイル化部位を破壊する。
【0088】
pRix41〜44、46および47(図15〜20)
Nef(L174L175)におけるジロイシンモチーフに対する突然変異をPCR により行った:
突然変異を挿入するために、5’NefプライマーおよびasNefLLを使用して、LLモチーフに対するNef5’の部分をPCR増幅した。
5’Nef GAATTCGCGGCCGCCATGGGTGGCAAGTGGTCAAAAAG[配列番号37]
asNefLL(アンチセンス)
GCCAATAAAGGAGAGAACACCAGC[配列番号38]
A N K G E N T S
L174、L175または174および175の両方に対する突然変異は、順プライマー
sNefL1 (L174A)
GCCAATAAAGGAGAGAACACCAGCGCCTTACACCCTGTGAGCCTGCATG
A N K G E N T S| A L H P V S L H
[配列番号39]
sNefL2 (L175A)
GCCAATAAAGGAGAGAACACCAGCTTGGCACACCCTGTGAGCCTGCATG
A N K G E N T S| L a H P V S L H
[配列番号40]
SnefLL(LL174/5AA)
GCCAATAAAGGAGAGAACACCAGCGCCGCACACCCTGTGAGCCTGCATG
A N K G E N T S| A A H P V S L H
[配列番号41]
および3’NTプライマー:
3’NT(アンチセンス):GGGGAGCCGACAGGCCCGAAGGAA [配列番号42]
を使用して、Nefの3’部分を増幅するために生じた。5’および3’産物のそれぞれを、5’Nefおよび3’NTプライマーを使用してPCRステッチした。これらをKpnIおよびSpeIで切断し、同様に切断されたpRix39中に挿入して、pRix41(L174A)、pRix42(L175A)およびpRix43(LL174/175A)がミリストイル化部位突然変異の不在下で生じるか、あるいはpRix40中に挿入されて、ミリストイル化突然変異を有するpRix44(mLL174/175AA)pRix46(mL174A)およびpRix47(mL175A)が生じた。
【0089】
pRix50、51および52ならびに53、54および60(図23ないし27)
非グリコシル化gp120を含有するデュアルプロモーターベクターを生成するために、まずpRix12をSse837Iで切断し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端にしてオーバーハングを除去し、ClaIで切断した。4573bpの生成物をゲル精製に付した(フラグメントA)。
pRix50:プラスミドpNTmをClaIおよびXmnIで切断し、1897bpのフラグメントをゲル精製に付し、フラグメントAとライゲートした。
pRix51:プラスミドp73i−GN2をClaIおよびXmnIで切断し、2533bpのフラグメントをゲル精製に付し、フラグメントAとライゲートした。
pRix52:プラスミドp73i−GN2およびpNTmをBglIIおよびEcoRIで切断し、4090bpおよび1060bpのフラグメントを個々の消化物より単離した。これらのフラグメントをライゲートし、ベクターpRix52を得た。
【0090】
pRix53:プラスミドpRix52をClaIおよびXmnIおよびApaLIで切断し、2794bpのフラグメントをゲル精製に付し、フラグメントAとライゲートした。
pRix54:プラスミドpT−rng(PG5035に記載)をClaIおよびXmnIで切断し、4219bpのフラグメントをゲル精製に付し、フラグメントAとライゲートした。
pRix60:pT−mgをSse8387Iで切断し、T4DNAポリメラーゼで平滑末端にしてオーバーハングを除去し、ClaIで切断した。ラージフラグメントをゲル精製に付した。プラスミドpRix12をClaIおよびDraIで切断し、2476bpのフラグメントをゲル精製に付し、pT−mgからのフラグメントとライゲートした。
【0091】
pRix58(図21)
シグナル配列がないgp120フラグメントを、プライマー:
5’ds120:GAATTCGCGGCCGCCATGGCCGAGCAGCTGTGGGTCACC[配列番号43]
3’120:(アンチセンス):GCCAAGCGCCGCGTCGTGCAGAGA [配列番号44]
を使用してpgp120cからPCR増幅した。
RTの5’末端(最適化され、W229K不活化突然変異を含むコドン)を、3’120とホモローガスな配列を挿入するために5’プライマー、およびRT内のプライマーを用いて、pt−rng(図28−WO03/025003を参照)からPCR増幅した。
120RTf:GCCAAGCGCCGCGTCGTGCAGAGAATGGGCCCCATCAGTCCCATC[配列番号45]
RT3SR1:CGTCACGATGTTCACCTCCAGGCC[配列番号46]
エンドプライマーを用いて2つの生成物をPCRステッチし、NotIおよびNheIで切断した。フラグメントをゲル精製し、pT−rngからNotI−NheIフラグメントを置換するために使用した。
【0092】
pRix59(図22):3’Gagフラグメントは、p24におけるMunI部位に対するプライマー5’およびdsgp120の開始をコード化する3’プライマーを用いてpT−rngからPCR増幅され、5’末端に近いBstEII部位の位置に及ぶ
GagMunf
GTGGCCCGAGAGCTGCATCCG [配列番号47]
GAG120R(アンチセンス:)
Gag −−−−−−−−−−−−−−−−−− ds120
GGACACAAAGCCAGAGTGTTGATGGCCGAGCAGCTGTGGGTCACCGTC
[配列番号48]
生成物をMunIおよびBstEIIで切断し、MunI−BstEII切断pRix54からの7113bpフラグメント中に挿入した。
【0093】
結果
発現データを図29、30および31に示す。
24ウェルプレートにおける293T細胞単層を、製造業者が提供したプロトコルにしたがってリポフェクトアミン2000を用いて表示されたそれぞれのDNA1μgでトランスフェクトした。24時間後、細胞を分離し、遠心分離により培地から分離した。1×10細胞または12μlの培地と等しいサンプルをPAGEまたはウェスタンブロットにより調べた。
gp120c構築物は、高度にグリコシル化され、よく分泌されたタンパク質をもたらした。c−末端Nef/Tat融合物(pRix6およびpRix11)の添加の結果、細胞内タンパク質レベルが低下し、分泌が失われた。gp120c(pRix12)から分泌シグナルを除去すると、タンパク質の非グリコシル化非分泌形態が得られた。
予想されるように、分泌シグナルpRix28、29、31、33および35がない融合構築物は非グリコシル化細胞内タンパク質を同様の量で形成した。驚くべきことに、分泌シグナルは構築物pRix30、32および34中に存在していたが、pRix34のみが分泌されなかった。融合物におけるTatの存在はタンパク質の分泌を阻害するようである。初期pRix32.1構築物は点突然変異を有し、その結果発現が不十分であった。これはpRix32.7において修正され、これは非常に向上された発現を示した。
【0094】
pRix40−47に関して、図31におけるウェスタンブロットは、表示されたプラスミドでのトランスフェクション後24時間で293T細胞におけるNefにおける突然変異を有するdsgp120/Gag/Nef/Tat融合物の発現を示す。約1x10細胞と等しい全細胞抽出物をゲル上にロードした。ブロットを抗nef抗血清でプローブし、ライトブロットを抗−gp120抗血清でプローブした。
【0095】
参考文献:
Andre S.Seed B.Eberle J.Schraut W.Bultmann A.Haas J.(1998)最適化されたコドン使用を有する合成gp120配列を用いたDNAワクチン接種により惹起される増大した免疫反応(Increased immune response elicited by DNA vaccination with a synthetic gp120 sequence with optimized codon usage.)Journal of Virology.72(2):1497−503.
Vinner L.Nielsen HV.Bryder K.Corbet S.Nielsen C.Fomsgaard A.(1999)哺乳動物コドンを使用したRev−非依存性合成HIV−1gp160エンベロープ遺伝子での遺伝子銃DNAワクチン接種(Gene gun DNA vaccination with Rev−independent synthetic HIV−1 gp160 envelope gene using mammalian codons.)Vaccine.17(17):2166−75
Collins KL.Baltimore D.(1999)細胞免疫反応のHIVの回避(HIV’s evasion of the cellular immune response.)Immunological Reviews.168:65−74.
【0096】
実施例5
プラスミドDNA(約1μg/μl)、例えば100ug、および2μgの金粒子、例えば50mg、(PowderJect)を、0.05Mスペルミジン、例えば100ul、(Sigma)中に懸濁させた。1M CaCl、たとえば100ul(Americal Pharnaceutial Partners,Inc.,USA)の添加により金粒子上に沈殿させた。DNA/金複合物を10分間室温でインキュベートし、無水エタノール中で3回、例えば1mlで3回洗浄した(モレキュラシーブ3A(BDH)上であらかじめ乾燥)。0.05mg/mlのポリビニルピロリドン(PVP、Sigma)を含有する無水エタノール中にサンプルを再懸濁させ、1.5mlのミクロ遠心管(Eppendorf)中に、3の等しいアリコートに分けた。アリコートは、(a)「金スラリー」、(b)(a)から溶出された溶出物−プラスミドの分析のため、および(c)「遺伝子銃」の金/プラスミドコートされたTefzelカートリッジを調製するためのものであった。(下記の実施例3参照)。サンプル(a)および(b)の調製に関して、エタノール/PVP中プラスミドDNA/「金スラリー」を含有する試験管をEppendorfミクロ遠心管中、最高速度で2分間スピンさせ、上清を除去し、「金スラリー」を10分間室温で乾燥させた。サンプル(a)を0.5〜1.0ug/ulのTE中プラスミドDNA(pH8.0)に再懸濁させ、コーティングの約50%と推定される。溶出に関して、サンプル(b)をTEpH8.0中0.5〜1.0ug/ulのプラスミドDNAに再懸濁させ、37℃で30分間インキュベートし、激しく振とうし、次いでEppendorf5418ミクロ遠心管中、最高速度で2分間スピンさせ、上清、溶出液を除去し、−20℃で貯蔵した。溶出された正確なDNA濃度を、GenequantII(Pharmacia Biotech)を用いた分光光度定量化により決定した。
【0097】
実施例6
DNA免疫化用カートリッジの調製
Accell遺伝子導入装置のカートリッジの調製は既に記載されたとおりであった(Eisenbraunら、DNA and Cell Biology、1993 第12巻 No.9 791−797ページ;Pertnerら)。簡単に言うと、プラスミドDNAを2μm金粒子(DeGussa Corp.,South Plainfield,N.J.、USA)上にコートし、Tefzel管中にロードし、これをカートリッジとしての働きをするように次いで1.27cmの長さに切断し、使用するまで4℃で乾燥保存した。典型的なワクチン接種において、各カートリッジは0.5mgの合計0.5μgのDNA/カートリッジでコートされた金を含有していた。
【0098】
実施例7
gp120分泌シグナルが欠失したgp120−Nef−Tat三重融合物を含むPMID免疫化
プロトコル:PMIDに関して、実施例5および6に記載するような標準法を使用するために免疫化(DNA)カートリッジを調製した。約0.5μgのDNA/カートリッジをもたらすDNAローディング速度2を使用し、各免疫化は2回の注射からなっていた。Balb/cマウスにDNAの一次免疫を行った(PMIDを使用)。マウスに28日後DNAで追加抗原投与を行った(PMIDを使用)。マウスを7日後に処分し、血清および脾臓を集めた。脾臓細胞を抽出することにより、脾臓細胞を収穫し、赤血球を溶解させた。脾臓細胞を洗浄し、計数した。特殊ELIspotプレート(インターフェロン−ガンマ捕捉抗体でコートされ、ブロックされたもの)を使用した。脾臓細胞をこれらのプレートに移し、gp120ペプチド、RTペプチドまたはGagペプチドの存在下、37℃/5%COで一夜インキュベートした。脾臓細胞を溶解させ、存在するインターフェロン−ガンマ分泌細胞の数を示すために標準的手順を用いてプレートを展開させた。特定の抗体を検出するためのELISA分析により血清を分析した。結果を図32〜34に示す。
【0099】
結論
意外にも、構築物を発現するdsgp120(分泌シグナルが欠失したgp120)で免疫化された細胞性免疫反応は、gp120構築物で免疫化されたマウスの約2倍であった(図32および33参照)。これは、インビトロトランスフェクション研究において、degp120の発現は関連する細胞の大部分は残存していたが、gp120は排出されたという観察と一致した。
dsgp120構築物中にTat(突然変異したTat)を含めることにより細胞性免疫反応が、Tatのないdsgp120構築物の2倍に増大した(図32および33)。Tat自体はgp120に対する免疫反応に影響を及ぼさなかったが、degp120と共に相乗作用して細胞反応を最適化した。
他のHIV抗原を構築物中に含めることにより、含まれる異なる抗原全てに対してバランスのとれた細胞反応が生じ、その結果、gp120のみのベクターと比較して拡大された免疫反応が生じた(図34)。
【図面の簡単な説明】
【0100】
(原文に記載なし)
【図1】

【図2−1】

【図2−2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7−1】

【図7−2】

【図8−1】

【図8−2】

【図9−1】

【図9−2】

【図10】

【図11−1】

【図11−2】

【図12−1】

【図12−2】

【図13−1】

【図13−2】

【図14−1】

【図14−2】

【図15−1】

【図15−2】

【図16−1】

【図16−2】

【図17−1】

【図17−2】

【図18−1】

【図18−2】

【図19−1】

【図19−2】

【図20−1】

【図20−2】

【図21−1】

【図21−2】

【図21−3】

【図22−1】

【図22−2】

【図22−3】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28−1】

【図28−2】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘテロローガスなプロモーターに操作可能に結合した、哺乳動物標的細胞において発現される場合に実質的にグリコシル化されていない、HIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列を含むポリヌクレオチド。
【請求項2】
HIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体がgp120またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体であるところの請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
エンベロープタンパク質が機能的分泌シグナルに欠けているところの請求項1または請求項2記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
gp120が少なくとも1つの他のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体を含む融合タンパク質として発現されるところの請求項2または請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
少なくとも1つの他のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体が、Nef、Gag、RTまたはTatから選択されるところの請求項4記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
gp120コード化配列が、gp120、RT、GagおよびNef−含有融合タンパク質をコード化する、HIV RTまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列およびHIV Gagまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列およびHIV Nefまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列と結合しているところの請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
融合がgp120−RT−Nef−GagおよびRT−Nef−Gag−gp120から選択されるところの請求項6記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
gp120配列が、HIV Tatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列およびHIV Nefまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列に結合し、gp120、NefおよびTat−含有融合タンパク質をコード化するところの請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
融合がgp120−Nef−Tat融合であるところの請求項8記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
gp120がさらに、HIV Gagまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列と結合し、gp120、Nef、TatおよびGag−含有融合タンパク質をコード化するところの請求項8記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
融合がgp120−Gag−Nef−Tat融合であるところの請求項10記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
GagがP17および/または24を含むところの請求項5、6、7、10または11のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
gp120、Nef、Gag、RTまたはTatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する1つまたはそれ以上の配列が、高度に発現されたヒト遺伝子におけるコドン用途に類似するように最適化されたコドンであるところの請求項1〜12のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
次の群から選択されるポリヌクレオチド配列:
1.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル
2.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−trNef
3.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−trNef−mTat
4.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−Nef−mTat
5.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−trNef
6.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−trNef−mTat
7.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−Nef−mTat
8.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mNef−mTat
9.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−L1Nef−mTat
10.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−L2Nef−mTat
11.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−LLNef−mTat
12.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mLLNef−mTat
13.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mL1Nef−mTat
14.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−p17/24Gag−mL2Nef−mTat
15.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル−mRT−trNef−p17/24Gag
16.最適化されたmRT−trNef−p17/24Gag−gp120コドン、マイナス分泌シグナル(RTおよびGagは最適化されたコドンである)。
【請求項15】
プロモーターがHCMV IE遺伝子からのプロモーターであるところの請求項1〜14のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド。
【請求項16】
プロモーターとコーディングポリヌクレオチド間の5’未翻訳領域がエクソン1を含むところの請求項15記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、および少なくとも1つのHIV Nef、Gag、RTまたはTatまたはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する少なくとも1つのさらなるポリヌクレオチドを含む一組のポリヌクレオチド。
【請求項18】
ポリヌクレオチドが2つまたはそれ以上の別々のプロモーターの制御下でシングルベクター上に含まれるところの請求項17記載の一組のポリヌクレオチド。
【請求項19】
gp120またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体およびRT−Nef−Gagの融合体またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体の融合体をコード化する、請求項17または18記載の一組のポリヌクレオチド。
【請求項20】
以下の群より選択される請求項17または請求項18記載の一組のポリヌクレオチド:
1.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+trNef−mTat
2.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+P17/24Gag−trNef
3.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+P17/24Gag−Nef−mTat
4.最適化されたmRT−trNef−P17/24Gag+gp120コドン、マイナス分泌シグナル
5.最適化されたgp120コドン、マイナス分泌シグナル+mRT−trNef−P17/24Gag(RTおよびGagは最適化されたコドンである)
【請求項21】
請求項1ないし20のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド(複数でも可)を含むベクター。
【請求項22】
二本鎖DNAプラスミドである請求項21記載のベクター。
【請求項23】
複製能欠損アデノウイルスベクターである請求項21記載のベクター。
【請求項24】
Pan9、5、6または7から誘導される請求項23記載のベクター。
【請求項25】
実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体および少なくとも1つの追加のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体を含み、該追加のHIVタンパク質がNef、Gag、RTおよびTatから選択されるところの、融合タンパク質。
【請求項26】
実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体および少なくとも1つの追加のHIVタンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体を好ましくは融合タンパク質の形態にて含み、該少なくとも1つの追加のHIVタンパク質がNef、Gag、RTおよびTatから選択されるところの組成物。
【請求項27】
請求項1〜24のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドまたはベクターによりコード化されるポリペプチド。
【請求項28】
請求項1〜20のいずれか1つに記載のヌクレオチド配列または一組のヌクレオチド配列、請求項21〜24記載のベクター、請求項25記載の融合タンパク質、請求項26記載の組成物あるいは請求項27記載のポリペプチド、および医薬上許容される賦形剤、希釈剤、担体またはアジュバントを含む医薬組成物。
【請求項29】
担体が金ビーズなどの複数の粒子である請求項28記載の医薬組成物。
【請求項30】
プライムブーストフォーマットにおいて送達される請求項28または29記載の医薬組成物。
【請求項31】
請求項28〜30のいずれか1つに記載の医薬組成物を含む皮内送達装置。
【請求項32】
安全で有効な量の請求項28〜30のいずれか1つに記載の医薬組成物を投与することを含む病気にかかっているかまたはかかりやすい患者を治療する方法。
【請求項33】
医学にて用いられる請求項1〜27のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ベクター、融合タンパク質、組成物またはポリペプチド。
【請求項34】
疾患の治療用医薬の製造における請求項1〜27のいずれか1つに記載のポリヌクレオチド、ベクター、融合タンパク質、組成物またはポリペプチドの使用。
【請求項35】
実質的にグリコシル化されていないHIVエンベロープ分子またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化するヌクレオチド配列、所望によりHIV調節タンパク質またはフラグメントあるいはその免疫原性誘導体をコード化する配列をヘテロローガスなプロモーター配列と結合させることを含む、請求項1〜20のいずれか1つに記載のポリヌクレオチドの産生法。

【公表番号】特表2006−520185(P2006−520185A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−549136(P2004−549136)
【出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012402
【国際公開番号】WO2004/041852
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】