説明

HLA結合ペプチド及びその使用

本発明は、1以上のMHC分子と結合することができ、また系に免疫応答を誘導することができるものとして同定されている特定の病原体及び/又はヒトもしくはネズミの蛋白質中のペプチドを提供する。また、1以上のペプチドを含む組成物、及び当該組成物を系に投与することにより、当該系に免疫応答を誘導する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要組織適合性(MHC)分子に結合するペプチド、及び免疫応答を誘導し、調節する当該ペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫系による、異質病原菌、異質細胞(例えば癌)又は自己細胞の認識は、概して、主要組織適合性(MHC)分子を経て生じる。MHC分子は、種々の免疫エフェクタ、すなわちB及びTリンパ球の認識を可能にし、好適には当該エフェクタの刺激を可能にする、異質分子及び自己分子の特定の分子断片に存在する。MHC分子は、クラスI又はクラスIIのいずれかに分類される。MHCクラスII分子は、活性リンパ球及び抗原提示細胞上に一次的に発現する。CD4陽性Tリンパ球は、通常、マクロファージ又は樹状細胞等の抗原提示細胞上に見られるMHCクラスII分子によって提供される特定のペプチド断片を認識して活性化される。しばしばヘルパーTリンパ球(HTL)として知られるCD4陽性リンパ球は、IL−4及びIL−10の産生を経る抗体介在応答を支持するか、あるいはIL−2及びIFN−γの産生を経る細胞介在応答を支持するサイトカインを増殖させ、分泌する。一方、MHCクラスI分子は、実質的には、全ての有核細胞上に発現する。MHCクラスI分子の文脈で提供されるペプチド断片は、CD8陽性Tリンパ球によって認識される。CD8陽性Tリンパ球は、しばしば、刺激抗原を発現する細胞を溶解することができる細胞毒性エフェクタに成熟する。別名、細胞傷害性Tリンパ球(CTLs)のCTLsは、腫瘍細胞の除去及びウイルス感染への対抗に特に効果がある。
【0003】
Tリンパ球は、異質抗原そのものよりも、MHCクラスI分子又はクラスII分子に結合したペプチド断片の形態で、抗原を認識する。MHCクラスI分子によって提供される抗原は、典型的には、細胞(例えば細胞内病原菌)によって内生的に合成される抗原である。得られた細胞質抗原は、細胞中で、プロテオソームによって小断片に分解する(Niedermann et al., Immunity, 2: 289-99 (1995))。当該小断片の中には、当該断片がクラスIの重鎖と相互作用して、好適な折りたたみを促進し、またサブユニットβ2マクログロブリンと関連した結果、当該断片、MHCクラスI鎖及びβ2マクログロブリン間で安定な複合体を形成する小胞体に移送されるものもある。次いで、当該複合体は、発現と特定のCTLsによる潜在的な認識のために、細胞表面に移送される。MHCクラスII分子によって提供される抗原は、通常、食作用、飲作用又は受容体介在エンドサイトーシスによって抗原提示細胞に入る可溶性抗原である。一旦細胞中で、抗原は、エンドソーム中の酸依存的プロテアーゼによって部分的に分解される。得られたペプチド断片は、CLIP断片の放出後、MHCクラスII分子と結合し、その後に特定のHTLsによる潜在的な認識のために表面に移送される安定な複合体を形成する。Blum et al., Crit Rev. Immunol., 17: 411-17 (1997); Arndt et al., Immunol. Res., 16: 261-72 (1997)を参照されたい。
【0004】
あるMHC複合体に結合するペプチドは、酸溶出法(Buus et al., Science 242: 1065(1988))、クロマトグラフィー法(Jardetzky et al, Nature 353: 326 (1991)及びFalk et al., Nature 351: 290 (1991))及び質量分析法(Hunt et al., Science 225: 1261 (1992))によって確認できる。MHCクラスI分子と結合する自然処理ペプチドの総説は、Rotzschke and Falk, Immunol. Today 12: 447 (1991)に記載されている。
【0005】
特定のMHCアレルと高頻度で結合するペプチドは、モチーフ内に適合し、ペプチド内の特定の位置で特定の生化学的性質を有するアミノ酸残基を有する。当該残基は、通常、MHCアレルの生化学的性質の影響を受ける。ペプチド配列モチーフは、MHC分子と結合することができるペプチドを選別するために用いることができ(Settle et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 3296 (1989))、クラスI結合モチーフは動物モデルで潜在的な免疫原性ペプチドを同定したことが報告されている(De Bruijn et al., Eur. J. Immunol. 21: 2963-2970 (1991); Pamer et al., Nature 353: 852-955 (1991))。また、特定のペプチドとMHC分子との結合は、当該ペプチドの免疫原性に関連している(Schaeffer et al., Proc. Natl. Sci. USA 86: 4649 (1989))。
【0006】
複雑な異質病原菌によってコードされる可能性のある多数のペプチドの中で、小分画のみが、MHCクラスI又はII抗原と結合することができるペプチドの形態に達し、そのためT細胞によって認識され得る。当該現象は、免疫優性として知られている(Yewdell et al., Ann. Rev. Immunol., 17: 51-88 (1997))。すなわち、どのようにして全体的に天然抗原に対する免疫又は暴露が、天然抗原が有するあらゆるエピトープよりも、抗原の一つ又はいくつかの「主要」エピトープに対する免疫応答になるのかという現象を、免疫優性は説明するものである。免疫優性は、MHCペプチド親和性、抗原処理及び抗原有用性を含む種々の要因によって影響を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、MHC結合ペプチドの中には確認されているものもあるが、当該分野では、MHC結合ペプチドが由来する病原体に対するワクチンにおいて、免疫応答を起こさせるために使用できる病原体由来の新規MHC結合ペプチドを発見することが求められている。更に、当該分野では、多数の異種MHC分子と結合することができるペプチドであって、ヒト異系交配群の広い範囲で、免疫原性であるようなペプチドを発見することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ウイルス性疾患及び癌等の多数の病状を予防、治療又は診断するための組成物、及び方法に関する。従って、本明細書では、選ばれた主要組織適合性(MHC)複合体分子と結合することができ、かつ免疫応答を誘導又は調節することができる新規ペプチドを提供する。開示のペプチドの中には、HLA−DR及びHLA−DQアレル等のヒトMHCクラスII(HLA)分子と結合することができるものがある。本明細書に開示の他のペプチドは、次の1以上を含み、ヒトクラスI分子に結合することができる;HLA−A1、HLA−A2.1、HLA−A3.2、HLA−A11、HLA−A24.1、HLA−B7及びHAL−B44分子。開示の他のペプチドは、ネズミのクラスI分子に結合することができる。
【0009】
また、本発明は、MHC分子に特異的な結合モチーフを有する免疫原性ペプチドを含む組成物を提供する。開示のペプチドと組成物は、免疫応答、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答又はヘルパーTリンパ球(HTL)応答、特に系に投与した場合に、当該応答を誘導するための方法に使用できる。本明細書に開示のペプチド及び組成物は、診断試薬としても有用である(例えば、四量体試薬;Beckman Coulter)。
【0010】
定義
次の定義は、本明細書に開示された発明の好ましい態様のいくつかを当業者が理解できるように提供するものである。しかしながら、当該定義は例にすぎず、請求の範囲に記載の本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことが理解できよう。当業者は、以下の定義に若干の変更をすることができ、本明細書に開示の発明を理解し、実施するためにかかる変更した定義を使用できよう。当業者にとって明白であり、上記の請求の範囲に適用することができる当該変更は、本発明の範囲内にあると考えられる。この項に記載の定義は、特許、公表特許出願及び他の刊行物に記載の定義、並びに本明細書に参考として記載したGenBank及び他のデータベースにある配列と、反対あるいは不一致であるとしても、当該項に記載の定義は参考として記載した定義より優先する。
【0011】
本明細書で使用するように、「HLAスパータイプ又はHLAファミリー」の語は、共通のペプチド結合特性に基いて群分けされたHLA分子の集合を言う。HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、HLAファミリー及びHLAxx型分子(xxは特定のHLAタイプを示す)の語は、同義語である。
【0012】
本明細書で使用するように、「IC50」の語は、対照ペプチドの結合の50%阻害が観察される、結合試験におけるペプチド濃度を言う。試験を実施する条件によって(例えば制限MHC蛋白質及び標識ペプチドの濃度)、当該値はK値に近づくだろう。
【0013】
本明細書で使用するように、「ペプチド」の語は、一連の残基、典型的には一般的には隣接アミノ酸のα−アミノ基及びカルボキシル基間のペプチド結合によって互いに結合している一般的にはL−アミノ酸を示すために、本明細書で「エピトープ」と交換して使用し、これは指定されたMHCアレルと結合する。
【0014】
本明細書で使用するように、「薬学的に許容される」の語は、一般的に、非毒性で、不活性で、及び/又は生理学的に適合でき組成物を言う。
【0015】
本明細書で使用するように、「保護免疫応答」又は「治療免疫応答」の語は、感染試薬又は癌抗原から得られる抗原に対するCTL及び/又はHTL応答であって、疾患の症状、副作用又は進行を、場合によっては回避し、あるいは少なくとも部分的には抑える応答を言う。免疫応答は、ヘルパーT細胞の刺激によって促進される抗体応答を含んでもよい。
【0016】
本明細書で使用するように、「残基」の語は、アミド結合又は模倣アミド結合によってペプチドに組み込まれたアミノ酸又は模倣アミノ酸を言う。
【0017】
本明細書で使用するように、「モチーフ」の語は、確定した長さのペプチド、通常、MHCクラスIモチーフに関しては約8〜13のアミノ酸のペプチド、MHCクラスIIモチーフに関しては約6〜25のアミノ酸のペプチド、における残基の型を言い、特定のMHC分子によって認識される。ペプチドモチーフは、典型的には、各MHCアレルによってコードされる各蛋白質によって異なり、高保存され、かつ陰性(negative)の残基の型の点で異なる。
【0018】
本明細書で使用するように、「スーパーモチーフ」の語は、2以上のMHCアレルによってコードされるMHC分子によって共有される結合特性を付与するペプチドのアミノ酸配列を言う。好ましくは、スーパーモチーフ生成ペプチドは、2以上のMHC抗原によって、高度又は中等度の親和性(本明細書で定義されているように)で認識される。
【0019】
本明細書で使用するように、「保存された残基」は、ペプチドの特定の位置でのランダム分布によって予想されるよりも、著しく高頻度で生成するアミノ酸を言う。典型的には、保存された残基は、MHC構造が免疫原性ペプチドとの接触点を提供できる残基である。確定した長さのペプチド内の少なくとも1〜3以上、好ましくは2つの保存された残基は、免疫原性ペプチドのモチーフを特徴付ける。当該ペプチドは、典型的には、溝と結合するペプチドと近接し、その側鎖は、溝そのものの特定のポケットに埋まっている。典型的には、免疫原性ペプチドは、3つまでの保存された残基、より一般的には2つの保存された残基からなる。
【0020】
本明細書で使用するように、「陰性の結合残基」は、仮に一定の位置(例えば9マーの1、3、6及び/又は7の位置)に存在するならば、非結合体又は低結合体であるペプチドを生じ、かつCTL応答を誘導するなどの免疫原性を示さないアミノ酸である。
【0021】
本明細書で使用するように、「合成ペプチド」の語は、天然から得られず、化学的合成又は組換えDNA技術のような方法を用いて人為的に作られるペプチドである。
【0022】
本明細書で使用するように、「免疫原性ペプチド」は、当該ペプチドがMHC分子に結合し、CTL又はHTL応答を誘導するようなアレル特異的モチーを含むペプチドを言う。免疫原性応答は、in vitro及び/又はin vivoでCTL及び/又はHTL応答を刺激し、並びに特定のT細胞群での細胞死(又はアポトーシス)に関する指示された誘発によって、進行中の免疫応答を調節する応答、を含む。
【0023】
本明細書で使用するように、「単離された」又は「生物学的に純粋な」の語句は、その材料の天然の状態で見られるような通常含まれる成分を、実質的に又は基本的に有さない材料を言う。従って、本発明のペプチドは、例えば抗原提示細胞上のMHC I分子等の、材料そのままの環境と一般的に関連する材料を含まない。蛋白質が同質又は主要なバンドとして単離される場合でさえも、所望の蛋白質を使って共精製される天然蛋白質の5〜10%の範囲でわずかにコンタミが起こる。本発明の単離ペプチドは、このような内生的に共精製された蛋白質を含まない。
【0024】
ペプチド化合物を記載するために用いる命名法では、一般的な慣例に従い、アミノ基は、各アミノ酸残基の左側(N末端)に、カルボキシル基は右側(C末端)に示す。本発明の選択された特定の具体例を表す式では、アミノ−及びカルボキシル末端基は、特に示さないが、特に断らない限り、生理的pHで想定される形態にある。アミノ酸の構造式では、各残基は、一般的に、標準的な3文字記号又は1文字記号で表す。アミノ酸残基のL型は、大文字の1文字記号又は3文字記号の最初の大文字で表し、D型アミノ酸残基のD型は、小文字の1文字記号又は3文字記号の最初の小文字で表す。グリシンは不整炭素原子を有さず、単に「Gly」又はGと表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
A.ペプチド及びモチーフの同定
本発明は、アレル特異的ペプチド、及びヒトやネズミのMHCアレルの結合ペプチドに関する。本発明のペプチド結合モチーフが各アレルにかなり特異的であることは、本発明に画されている。本発明の態様では、アレル特異的モチーフ及び結合蛋白質は、ヒト MHC(又はHLA)クラスIアレルに関するものである。HLAアレルは、HLA−A、HLA−B及びHLA−Cアレルを含む。本発明の別の態様では、アレル特異的モチーフ又は結合蛋白質は、ヒト MHC(又はHLA)クラスIIアレルに関するものである。当該HLAアレルは、HLA−DR及びHLA−DQアレルを含む。一定のアミノ酸モチーフを生成するペプチドに対して類似した結合親和性を共有するHLA分子は、HLAスーパータイプに群分けする。例えば、Stites, et al., Immunology, 8 th ED., Lange Publishing, Los Altos, CA (1994)を参照されたい。1以上のスーパータイプの1以上のアレルと結合するペプチドは、本発明の一部として画される。HLA−A及びHLA−B分子内のスーパータイプの例を図2に示す。更に別の態様では、アレル特異的モチーフ及び結合ペプチドは、ネズミのクラスI(又はH−2)MHCアレルである。当該H−2アレルは、H−2Dd、H−2Kb、H−2Kd、H−2Db、H−2Ld及びH−2Kkを含む。アレル特異的モチーフについて記載した具体的な表を以下に示す。ネズミのMHCアレルの特定のスーパータイプ内の結合もまた、本発明に画されている。
【0026】
本発明のぺプチドを特定するために、MHCペプチド複合体の単離、及び自然処理ペプチドの単離とアミノ酸配列決定は、関連出願に記載されているとおりにして実施できる。かかる出願は、11/10/95に出願されたU.S.S.N. 09/189,702であって、3/4/94に出願されたU.S.S.N. 08/205,713のCIP出願、11/29/93に出願の08/159,184のCIP出願で現在は放棄されている、6/4/93に出願の08/073,205のCIP出願で現在は放棄されている、3/5/93に出願の08/027,146のCIP出願で現在は放棄されている出願に関連している。本出願はまた、U.S.S.N. 09/226,775であって、U.S.S.N. 08/815,396のCIP出願であり、U.S.S.N. 60/013,113の利益を主張しているが、現在は放棄されている出願に関連している。
更に、本出願は、U.S.S.N. 09/017,735であって、放棄されたU.S.S.N. 08/589,108のCIP出願;U.S.S.N. 08/753,622、放棄されたU.S.S.N. 08/822,382、放棄されたU.S.S.N. 60/013,980、U.S.S.N. 08/454,033、U.S.S.N. 09/116,424、U.S.S.N. 08/349,177に関連している。本出願はまた、U.S.S.N. 09/017,524、U.S.S.N. 08/821,739、放棄されたU.S.S.N. 60/013,833、U.S.S.N. 08/758,409、U.S.S.N. 08/589,107、U.S.S.N. 08/451,913、U.S.S.N. 08/186,266、U.S.S.N. 09/116,061及びU.S.S.N. 08/347,610であって、U.S.S.N. 08/159,339のCIP出願、放棄されたU.S.S.N. 08/103,396のCIP出願、放棄されたU.S.S.N. 08/027,746のCIP出願、放棄されたU.S.S.N. 07/926,666のCIP出願に関連している。本出願はまた、U.S.S.N. 09/017,743、U.S.S.N. 08/753,615;U.S.S.N. 08/590,298、U.S.S.N. 09/115,400、及びU.S.S.N. 08/452,843であって、U.S.S.N. 08/344,824のCIP出願、放棄されたU.S.S.N. 08/278,634のCIP出願に関連している。本出願は、仮出願U.S.S.N. 60/087,192及びU.S.S.N. 09/009,953であって、放棄されたU.S.S.N. 60/036,713及び放棄されたU.S.S.N. 60/037,432のCIP出願にも関連している。
更に、本出願は、いずれも懸案の5/30/00に出願されたU.S.S.N. 09/583,200、3/1/99に出願されたU.S.S.N. 09/260,714、及び10/6/00に出願された、米国仮出願「異語幹変化アナローグ及び関連する方法」(代理人事件整理番号018623−015810US)にも関連している。上記出願の全てについて参考として本明細書に記載した。
【0027】
次に、かかるペプチドは、次のアレルA3.2、A1、A11及びA24.1の各々に特異的に結合するモチーフを明らかにするために使用する。当該モチーフは、前に記載した。以下の表1〜4の記載のモチーフは、関連出願に記載の自然処理ペプチドの蓄積アミノ酸配列決定データより明らかとなる。指摘されたHLAスーパータイプのアンカー位置と関連する好適な(すなわち標準的)及び許容される(すなわち伸張された)残基を、図1及び表5に示す。
【0028】
一つの態様では、HLA−A3.2のモチーフは、2の位置に、第一の保存された残基L、M、I、V、S、A、T及びFをN末端からC末端に含み、第二の保存された残基K、R又はYをC末端に含む。他の第一の保存された残基は、C、G又はD及び他にEである。他の第二の保存された残基は、H又はFである。第一及び第二の保存された残基は、好ましくは6〜7残基離れている。他の態様では、HLA−A1のモチーフは、N末端からC末端に、第一の保存された残基T、S又はM、第二の保存された残基D又はE、そして第三の保存された残基はYを含む。他の第二の保存された残基は、A、S又はTである。第一及び第二の残基は、隣接し、好ましくは第三の保存された残基から5〜6残基離れている。第二のモチーフは、第一の保存された残基E又はD及び第二の保存された残基Yからなる。第一及び第二の保存された残基は、5〜6残基離れている。
【0029】
他の態様では、HLA−A11のモチーフは、2の位置に、T、V、M、L、I、S、A、G、N、C、D又はFをN末端からC末端に含み、さらにC末端の保存された残基K、R、Y又はHを含む。第一及び第二の保存された残基は、好ましくは6又は7残基離れている。一つの態様では、HLA−A24.1のモチーフは、2の位置に、Y、F又はWをN末端からC末端に含み、更にC末端の保存された残基F、I、W、M又はLを含む。第一及び第二の保存された残基は、好ましくは6〜7残基離れている。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】

【0033】
【表4】

【0034】
本明細書で特定されたMHC結合ペプチドは、天然抗原のエピトープを表す。特定のアミノ酸配列に関し、エピトープは、特定の抗体又はT細胞受容体によって認識される一組のアミノ酸残基である。かかるエピトープは、一般的に、MHCペプチド複合体を経てリンパ球に提供される。エピトープは、抗体、T細胞又はMHC分子によって認識される部位を一緒に形成する、一次、二次及び四次ペプチド構造、並びに電荷等の分子の全体的な特徴を有する。しかしながら、本発明のエピトープよりも大きく、本発明のエピトープを含む単離された又は精製された蛋白質あるいはペプチド分子もやはり、本発明の範囲内であることは理解できよう。更に、合成ペプチドに、その免疫的効果を増大させる種々の生化学的変化を組み込めることは、本発明で画されている。
【0035】
本発明のエピトープは、主要エピトープ、準主要エピトープ又はクリプティック(cryptic)エピトープである。主要エピトープは、天然抗原全体による免疫に対して免疫応答を誘導するエピトープである。例えば、Sercarz et al., Ann. Rev. Immunol. 11: 729-766 (1993)を参照されたい。かかるペプチドは、全抗原に対して応答を誘導するので、免疫原性と考えられる。一方、準主要エピトープは、エピトープを含む全抗原による免疫に対してほとんど又は全く応答を示さないエピトープであるが、応答は単離されたエピトープでの免疫によって得られる。準主要エピトープによる免疫は、天然抗原そのものに対する二次的応答を亢進する。クリプティック(cryptic)エピトープは、単離ペプチドによる免疫によって応答を示すが、全抗原を用いる次のチャレンジに対する二次的応答を亢進しない。
【0036】
本発明のエピトープは、MHCアレル及びアレルのサブタイプとの相互作用では交差反応的でも非交差反応的でもよい。エピトープ(又はペプチド)の交差反応性により、エピトープは2以上のHLA分子と結合する。かかる交差反応性は、縮重結合としても知られている。非交差反応性エピトープは、特定のMHCアレル又はアレルのサブタイプとの結合に限定されるだろう。
【0037】
本発明のエピトープは好適な長さであればいずれの長さでもよい。クラスI分子結合ペプチドは、典型的には、約8〜13のアミノ酸長であり、しばしば約9、10、11又は12のアミノ酸長である。かかるペプチドは、N末端からの第二の位置及びC末端位等の一定の位置に保存されたアミノ酸を含む。また、当該ペプチドは、ペプチドとHLA分子との結合に悪影響を与える特定の位置では、アミノ酸を含まないことがある。例えば、当該ぺプチドは、しばしば、9アミノ酸長のペプチドの1、3、6及び/又は7の位置に、10アミノ酸長のペプチドの1、3、4、5、7、8及び/又は9の位置にはアミノ酸を含まない。更に、HLA結合ペプチドを選択する基準として利用できるペプチド配列内の位置は、本明細書で定義されている。当該定義された位置は、本明細書では結合「モチーフ」と言うことがある。
【0038】
異なったMHCアレルに特異的なモチーフの定義により、アミノ酸配列が周知の抗原性蛋白質由来の潜在的ペプチドエピトープを同定することができる。典型的には、潜在的ペプチドエピトープの同定は、まず、コンピュータを使って、モチーフの存在に対する所望の抗原のアミノ酸配列をスキャンすることによって実施する。次いで、当該エピトープ配列を合成する。
【0039】
一般的に、クラスIペプチド結合モチーフは、通常、N末端(N末端残基は位置1である)から2番目の位置に第一の保存された残基を、C末端位(しばしば9又は10)に第二の保存された残基を含む。特例として、HLA A0201クラスIペプチド結合モチーフは、N末端(N末端残基は位置1である)から2番目の位置に、I、V、A及びTからなる群より選ばれる第一の保存された残基を、C末端位に、V、L、I、A及びMからなる群より選ばれる第二の保存された残基を含む。あるいは、当該ペプチドは、N末端(N末端残基は位置1である)から2番目の位置に、I、M、I、V、A及びTからなる群より選ばれる第一の保存された残基を、C末端位に、A及びMからなる群より選ばれる第二の保存された残基を有してもよい。当該ペプチドが10残基を有する場合には、N末端(N末端残基は位置1である)から2番目の位置に、L、M、I、V、A及びTからなる群より選ばれる第一の保存された残基を、C末端位に、V、I、L、A及びMからなる群より選ばれる第二の保存された残基を含み、第一の保存された残基及び第二の保存された残基は7残基離れている。
【0040】
HTL誘導ペプチドの一つの態様は、約50残基長未満であり、一般的には約6〜約30残基、より一般的には約12〜25残基、しばしば例えば15、16、17、18、19又は20のような約15〜20残基からなる。CTL誘導ペプチドの一つの態様は、13残基長以下であり、一般的には約8、9、10又は11残基、好ましくは9又は10残基である。一つの態様では、HLA−DR3 a結合は、位置1のL、I、V、M、F又はY残基、及び位置4のD又はE残基を特徴とする。別の態様では、HLA−DR3 b結合は、位置1のL、I、V、M、F、Y又はA残基、及び位置6のK、R又はH残基を特徴とする。別の態様では、DRスーパータイプ結合モチーフの鍵アンカー残基は、位置1のL、I、V、M、F、W又はY残基、及び位置6のL、I、V、M、S、T、P、C又はA残基である。表5を参照されたい。
【0041】
【表5】

【0042】
更に、別の態様では、ネズミのDb結合は、位置5のN残基、及びC末端位のL、I、V又はM残基を特徴とする。更に別の態様では、ネズミのKb結合は、位置5のY又はF残基、及びC末端位のL、I、V又はM残基を特徴とする。更に別の態様では、ネズミのKd結合は、位置2のY又はF残基、及びC末端位のL、I、V又はM残基を特徴とする。更に別の態様では、ネズミのKk結合は、位置2のE又はD残基、及びC末端位のL、I、M、V、F、W、Y又はA残基を特徴とする。更に別の態様では、ネズミのLd結合は、位置2のP残基、及びC末端位のL、I、M、V、F、W又はY残基を特徴とする。表6を参照されたい。
【0043】
【表6】

【0044】
本発明のペプチドは、任意の好適な方法によって同定できる。例えば、ペプチドは、懸案の米国特許出願公開第09/894,018号明細書に記載の発明のアルゴリズムを用いて一般的に同定できる。当該アルゴリズムは、免疫原性ペプチドの選択を可能にする、評点を作る数学的手法である。典型的には、結合閾値を有するアルゴリズムの評点を使用して、一定の親和性で結合する高い可能性を有しその後免疫原性になるペプチドを選択することができる。当該アルゴリズムは、ペプチドの特定の位置の特定のアミノ酸のMHCへの結合に与える効果、又はペプチドを含むモチーフの特定の置換のMHCへの結合に与える効果のいずれかに基く。
【0045】
分子結合試験や捕獲試験では、ペプチド配列を特徴付けることができ、ペプチド配列は種々の技術を用いて同定することができる。モチーフポジティブ配列は、Epimmune社で作られた特別注文のアプリケーションを用いて同定できる。配列は、マトリックス系アルゴリズムを用いても同定することができ、予測50%阻害濃度(PIC)値を生じる「パワー」モデルと組み合わせて使用する。後者の方法は、Epimmune社のHTML系エピトープ情報システム(EIS)データベース上で操作する。記載の方法はすべて、結合試験を用いるIC50測定のためのペプチド配列選択において、実行可能な選択肢である。
【0046】
本発明のペプチドの同定に有用な別の手段は、通常、Falk et al., Nature 351: 290 (1991)に開示された方法である。すなわち、当該方法は、好適な細胞又は細胞株から、典型的には、免疫沈降法又はアフィニティクロマトグラフィーによるMHCクラスI分子の大規模な単離を含む。当業者に同様によく知られた所望のMHC分子の他の単離方法の例は、イオン交換クロマトグラフィー、レクチンクロマトグラフィー、サイズ排除法、高速液体クロマトグラフィー及び上記技術のいくつか又は全ての組み合わせを含む。
【0047】
例えば、MHCクラスI分子に結合したペプチドの単離は、終夜、37℃から26℃に培地温度を下げて、βマイクログロブリンを不安定化し、穏やかな酸処理を用いて細胞から内生ペプチドを剥ぎ取ることを含む。当該方法は、前もって結合されたペプチドを細胞外環境に放出し、新規な外因性ペプチドを空のクラスI分子に結合させることができる。低温インキュベーション法は、内生ペプチドをMHC複合体に効率的に結合させることができるが、細胞の代謝速度を遅くできる26℃で、終夜インキュベーションをする必要がある。MHC分子を活発に合成しない細胞(例えば休止期のPBMC)は、当該低温手段によって、高含量の空の表面MHC分子を産生しない可能性もある。
【0048】
免疫沈降法は、所望のアレルを単離するためにも使用できる。使用する抗体の特異性によって、多数のプロトコールが使用できる。例えば、アレル特異的mAb試薬は、HLA−A、HLA−B及びHLA−C分子のアフィニティー精製のために使用できる。HLA−A分子の単離のための種々のmAb試薬が入手できる(表5)。モノクローナル抗体BB7.2はHLA−A2分子の単離に好適である。従って、標的HLA−Aアレルの各々について、HLA−A分子の直接単離のために使用できる試薬が入手可能である。標準的方法により当該mAbsで調製したアフィニティカラムは、各HLA−Aアレル産物を精製するために首尾よく使用できる。
【0049】
アレ特異的mAbsに加えて、W6/32及びB9.12.1等の広域反応性抗HLA−A、B、C mAbs及び1種の抗HLA−B、CmAb、B1.23.2は、本明細書に記載の特許及び特許出願に記載された代わりのアフィニティー精製プロトコールで使用できる。
【0050】
【表7】

【0051】
単離MHC分子のペプチド結合溝に結合されたペプチドは、典型的には、酸処理を用いて溶出できる。当該ペプチドは、例えば熱、pH、界面活性剤、塩、カオトロピック剤、あるいは酸処理及び/又は更なる変性手段の組み合わせなどの種々の標準的変性手段によって、MHC分子から解離することもできる。
【0052】
ペプチド分画は、逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって、MHC分子から更に分離でき、アミノ酸配列を決定できる。ペプチドは、濾過、限外濾過、電気泳動、サイズクロマトグラフィー、特定の抗体を用いる沈降法、イオン交換クロマトグラフィー、等電点電気泳動法など、当業者によく知られた種々の他の手段によって分離できる。
【0053】
単離ペプチドのアミノ酸配列決定は、エドマン分解(Hunkapiller, M. W., et al., Methods Enzymol. 91, 399 (1983))等の標準的技術に従って実施できる。アミノ酸配列決定のための他の好適な方法は、先述したように(Hunt, et al., Science 225: 1261 (1992))、各ペプチドの質量分析配列決定法を含む。異なったMHC分子由来の大量の異質ペプチド(例えばプールしたHPLC分画)のアミノ酸配列決定法は、典型的に、各MHCアレルに特徴的な配列モチーフを明らかにする。確定したMHC分子、特にMHCクラスI分子を有する多数の細胞が知られ、実際に入手可能である。例えば、ヒトEBV形質転換B細胞株は、MHCクラスI及びクラスII分子の単離のための優れた起源であることが判明している。非常に特徴的な細胞株は、American Type Culture Collection (“Catalogue of Cell Lines and Hybridomas”, 6th edition (1988) Manassas, Virginia, U.S.A.);National Institute of General Medical Sciences 1990/1991 Catalogue of Cell Lines (NIGMS) Human Genetic Mutant Cell Repository, Camden, NJ; and ASHI Repository, Brigham and Woman’s Hospital, 75 Francis Street, Boston, MA 02115等の私的な商業源から入手できる。表5は、HLAアレルの起源としての使用に適した数種のB細胞株を記載する。当該細胞株はすべて、大量に生育することができるため、MHC分子の大規模生産に有用である。当業者であれば、当該細胞株が単なる細胞株の例示に過ぎず、他の多くの細胞起源が使用できることが理解できよう。本明細書に開示されたクラスII及びネズミペプチドを測定するために用いる特定の細胞株及び抗体は、表8及び9に記載されている。
【0054】
【表8】

【0055】
【表9】

【0056】
本発明のペプチドは、合成的に、あるいは組換えDNA技術によって又は全ウイルス又は癌等の天然起源から調製できる。当該ペプチドは、他の天然起源の宿主細胞蛋白質及びその断片が実質的に存在しないことが好ましいが、ある態様では、当該ペプチドは、天然蛋白質断片又は粒子に合成的に又は自然に結合している。本発明のペプチドは、幅広い方法で調製できる。その比較的短いサイズのため、当該ペプチドは、一般的な技術に従って溶液中又は固相上で合成できる。種々の自動合成機は市販されており、公知のプロトコールに従って使用できる。例えば、Stewart and Young, 「固相ペプチド合成」, 2d. ed., Pierce Chemical Co. (1984), ラテン語を参照されたい。
【0057】
B.MHC結合試験
MHC分子の結合能は、種々の異なった方法で測定できる。一つの方法は、上記の関連出願に記載のMHC結合試験である。文献に記載の他の方法は、抗原提示阻害を含む(Settle, et al., J. Immunol. 141: 3893 (1991), in vitro アセンブリ試験 (Townsend, et al., Cell 62: 285 (1990), 及びRMA.S等の変異細胞を使用するFACS系試験 (Melief, et al., Eur. J. Immunol. 21: 2963 (1991))を含む。
【0058】
捕獲試験:上記のHPLC系分子結合試験とは異なり、ハイスループット・スクリーニング(「HTS」)捕獲試験は、結合放射活性マーカーを非結合放射活性マーカーから分離するためのサイズ排除シリカカラムを使用しない。あるいは、乳白色の96ウェルOptiplate(Packard)のウェルを3μg(100μl@30μg/ml)のHLA特異的抗体(Ab)で被覆し、分子結合試験プレートから、放射性同位体で標識したMHC及び非標識ペプチドの「捕獲」複合体を100μlの0.05%NP40/PBSで移す。3時間インキュベーション後、上清をろ過し、シンチレーション液(Microscint 20)を加える。捕獲複合体は、マイクロプレート・シンチレーション及び発光カウンター(TopCountNXTTM; Packard)で測定する。
【0059】
結合測定の別の試験は、例えばPCT出願の国際公開第94/20127号パンフレット及び同94/03205号パンフレットに詳細に記載されている。結合データの結果は、IC50値で表されることが多い。IC50は、対照ペプチドの結合を50%阻害する、結合試験でのペプチド濃度である。試験を行う条件が与えられていると(例えば、MHC蛋白質及び標識ペプチドの濃度の制限など)、当該値はK値に近似する。試験条件が使用する特定の試薬によって変化するならば(例えばMHC調製など)、IC50値は劇的に変化することがある。例えば、MHC分子の過剰濃度は、特定のリガンドの見かけ測定IC50値を増加させるだろう。あるいは、結合は対象ペプチドに関連して表すことができる。特定の試験の感度が上がる又は下がると、試験したペプチドのIC50値は若干変化するが、対照ペプチドに比較した結合は著しく変化しないだろう。例えば、対照ペプチドのIC50が10倍に増加するような条件下で行われる試験では、試験ペプチドのIC50値も約10倍に増加するだろう。そのため、あいまいさを避けるため、あるペプチドが完全な結合体であるか、中等度の結合体であるか、弱い結合体であるか、あるいは非結合性の結合体であるかの評価は、一般的に、標準的ペプチドのIC50に対する当該ペプチドのIC50に基く。
【0060】
結合は、生細胞(例えば、Ceppellini et al., Nature 339: 392. 1989; Christnick et al., Nature 352: 67, 1991; Busch et al., Int. Immunol. 2: 443, 1990; Hill et al., J. Immunol. 147: 189, 1991; del Guercio et al., J. Immunol. 154: 685, 1995)、界面活性剤溶解物を用いる無細胞系(例えば、Cerundolo et al., J. Immunol. 21: 2069, 1991)、固定化精製MHC(例えば、Hill et al., , 152, 2890, 1994; Marshall et al., J. Immunol. 152: 4946, 1994)、ELISAシステム(例えば、Reay et al., EMBO J. 11: 2829, 1992)、表面プラスモン共鳴法(例えば、Khilko et al., J. Biol. Chem. 268: 15425, 1993)、高フラックス溶解相試験法(例えば、Hammer et al., J. Exp. Med. 180: 2353, 1994)、及びMHCクラスIの安定化又はアセンブリの測定(例えば、Ljunggren et al., Nature 346: 476, 1990; Schumacher et al., Cell 62: 563, 1990; Townsend et al., Cell 62: 285, 1990; Parker et al., J. Immunol. 149: 1896, 1992)の使用を含む他の試験システムを用いて測定してもよい。
【0061】
HLAクラスI分子に関する高親和性は、50nM以下のIC50値又はK値を有する結合と定義され;HLAクラスI分子に関する中等親和性は、約50〜約500nMのIC50値又はK値を有する結合と定義される。HLAクラスII分子の結合に関する高親和性は、100nM以下のIC50値又はK値を有する結合と定義され;HLAクラスII分子の結合に関する中等親和性は、約100〜約1000nMのIC50値又はK値を有する結合と定義される。当該値は、上で引用した関連特許及び出願で前もって定義されているとおりである。
【0062】
C.ペプチド組成物
本発明のポリペプチド又はペプチドは、いずれの長さでもよく、中性(非電荷)でもあるいは塩の形態でもよく、グリコシル化、側鎖の酸化等の修飾がなくてもあるいはホスホリル化又は当該修飾の1以上を含んでもよいが、当該修飾は、本明細書に記載のポリペプチドの生物活性を破壊しない条件に供するものである。
【0063】
当該ペプチドは、できるだけ小さく、その上、なお大きなペプチドの生物活性の全てを実質的に維持していることが好ましい。一つの態様では、本発明のペプチドを、細胞表面上のMHCクラス分子に結合された内生的に処理されたウイルス性ペプチド又は癌細胞ペプチドと大きさの点で釣り合いのとれた、9又は10のアミノ酸残基の長さに最適化することが望ましい。別の態様では、本発明のペプチドを、細胞表面上のMHCクラス分子に結合されたペプチドと釣り合いのとれた、約15〜20のアミノ酸残基に最適化することが望ましい。
【0064】
所望の活性を有するペプチドは、例えば改善された薬理特性等の特定の所望特性を付与するように、必要に応じて修飾され、同時に、所望のMHC分子に結合し、好適なT細胞を活性化するように、非修飾ペプチドの生物活性の全てが増加され又は少なくとも実質的に維持される。例えば、当該ペプチドは、保存的又は非保存的のいずれかの置換等の種々の変化に供することができ、かかる変化は、改善MHC結合等のペプチドの使用に一定の利点を与える。「保存的置換」は、アミノ酸残基を、生物学的に及び/又は化学的に類似した他の残基に例えば親水性残基を別の残基に、あるいは極性残基を別の残基に置き換えることを言う。当該置換は、Gly、Ala;Val、Ile、Leu、Met;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;及びPhe、Tyr等の組み合わせを含む。一つのアミノ酸置換の効果は、D−アミノ酸を用いて精査してもよい。当該修飾は、例えば、Merrifield, Science 232: 341-347 (1986), Barany and Merrifield, 「ペプチド」, Gross and Meienhofer, eds, (N.Y., Academic Press), pp. 1-284 (1979); and Stewart and Young, 「固相ペプチド合成」, (Rockford, III., Pierce), 2d Ed. (1984)。
【0065】
本発明のペプチドは、化合物のアミノ酸配列を伸張又は減少させること、例えばアミノ酸の付加又は削除等によっても修飾できる。本発明のペプチド又はアナローグは、特定の残基の順序又は組成物を変えることにより修飾することができるが、生物活性に必須の特定のアミノ酸残基、例えば重大な接触部位又は保存された残基が生物活性に逆効果を及ぼすことなく、通常変化することはできないことは容易に理解できる。重要でないアミノ酸は、L−α−アミノ酸又はそれらのD−異性体等の蛋白質中の天然由来のアミノ酸に限定される必要はないが、β−、γ−、δ−アミノ酸等の非天然アミノ酸、及びL−α−アミノ酸の多くの誘導体が含まれる。
【0066】
典型的には、一つのアミノ酸置換を有する一連のペプチドは、結合に及ぼす帯電、疎水性等の効果を測定するために用いることができる。例えば、一連の正電荷アミノ酸(例えばLys又はArg)あるいは負電荷アミノ酸(例えばGlu)置換は、種々のMHC分子及びT細胞受容体について異種の感受性を呈するペプチドの長さに従って行う。更に、Ala、Gly、Pro又は類似の残基等の小さく、比較的中性の部分を用いる多置換も使用できる。当該置換は、ホモ−オリゴマー又はヘテロ−オリゴマーでもよい。置換する又は付加する残基の数及び型は、必須の接触点間に必要な間隔と、求められている一定の機能特性(例えば疎水性対親水性)に依拠する。親ペプチドの親和性に比べてMHC分子又はT細胞受容体に対して増加した結合親和性は、かかる置換によって取得してもよい。いずれにしても、かかる置換は、例えば結合を阻む立体的及び電荷的な障害を避けるべく選ばれたアミノ酸残基又は他の分子断片を使用する必要がある。
【0067】
置換、削除、挿入又はその任意の組み合わせは、最終ペプチドに到達するために組み合わせることができる。置換体は、ペプチドの少なくとも一つの残基が除去され、その位置に異なった残基が挿入されたものである。ペプチドの特性を最終的に修飾することが望ましい場合には、かかる置換は、一般的に、次の表10に従って行う。
【0068】
【表10】

【0069】
当該ペプチドは、MHC結合ペプチド中に、2以上の等量線を含んでもよい。本明細書で定義する等量線とは、第一の配列の立体配置が第二の配列に特異的な結合部位に適合するために、第二の配列に置換され得る2以上の残基の配列である。特に当該語は、当業者によく知られたペプチド骨格の修飾を含む。当該修飾は、アミドの窒素原子、α−炭素原子、アミドカルボニルの修飾、アミド結合の完全な置換、伸張、削除又は骨格の架橋を含む。一般的には、Spatola, 「アミノ酸の化学及び生物化学、ペプチド及び蛋白質」, Vol. VII (Weinstein ed., 1983)を参照されたい。
【0070】
種々の模倣アミノ酸又は非天然アミノ酸を有するペプチドの修飾は、in vivoのペプチドの安定性の増加に特に有用である。安定性は多数の方法で試験できる。例えば、ペプチダーゼやヒト血漿及び血清等の種々の生物的媒質が、安定性を試験するために使用されている。Verhoef et al., Eur. J. Drug Metab. Pharmacokin. 11: 291-302 (1986)参照されたい。本発明のペプチドの半減期は、通常、25%ヒト血清(v/v)試験を用いて測定できる。プロトコールは、一般的に以下のとおりである。プールしたヒト血清(AB型、非加熱不活性化)は、使用前に遠心することにより脱脂される。次いで、当該血清をRPMI組織培養培地で25%に希釈し、ペプチド安定性を試験するために使用した。所定の時間間隔で、少量の反応溶液をとり、6%水溶性トリクロロ酢酸又はエタノールのいずれかに加える。不透明反応試料は15分間(4℃で)冷却し、次いで、回転して、沈殿血清蛋白質をペレット成形した。次いで、ペプチドの存在は、安定性特異的クロマトグラフィーの条件を使用する逆相HPLCによって測定する。
【0071】
CTL及び/又はHTL刺激活性を有する本発明のペプチド又はそのアナローグは、修飾して、改良血清半減期以外の所望の特性を付与してもよい。例えば、ペプチドのCTL活性を誘導する能力は、HTL応答を誘導することができる少なくとも一つのエピトープを含む配列への結合によって増大できる。特に好ましい免疫原性ペプチド/Tヘルパー複合体は、スペーサー分子によって結合できる。当該スペーサーは、典型的には、実質的に生理的条件下で変化しない、アミノ酸又は模倣アミノ酸等の比較的小さな中性分子を含む。当該スペーサーは、典型的には、例えばAla、Gly、又は非極性アミノ酸もしくは中性の極性アミノ酸の他の中性スペーサーから選択できる。場合により、本スペーサーが同一の残基を含む必要がなく、ヘテロ−又はホモ−オリゴマーであってもよいことは理解できるだろう。スペーサーが存在する場合には、当該スペーサーは、一般的に少なくとも1又は2残基、より一般的には3〜6残基、例えば3、4、5又は6残基である。あるいは、CTLペプチドは、スペーサーなしでHTLペプチドに結合することができる。免疫原性ペプチドは、CTLペプチドのアミノもしくはカルボキシ末端に、直接に又はスペーサーを介してHTLペプチドに結合することができる。免疫原性ペプチド又はHTLペプチドのいずれかのアミノ末端はアシル化することができる。具体的なHTLペプチドは、破傷風トキソイド 830−843、インフルエンザ 307−319、マラリア・スポロゾイト 382−398及び378−389を含む。
【0072】
更に、互いのペプチド結合の簡便さ、担体又はより大きなペプチドへの結合、ペプチドもしくはオリゴペプチドの物理的又は化学的性質の修飾などを提供すために、別のアミノ酸をペプチドの末端に付加することができる。チロシン、システイン、リジン、グルタミン酸又はアスパラギン酸等のアミノ酸は、ペプチド又はオリゴペプチドのC−もしくはN−末端に導入することができる。C−末端での修飾は、ペプチドの結合特性を変化させることがある。更に、ペプチド又はオリゴペプチド配列は、例えばアルカノイル(C−C20)もしくはチオグリコシルアセチル化等の末端−NH−アシル化、例えばアンモニア、メチルアミン等の末端−カルボキシルアミデート化によって修飾されることにより、天然配列と区別することができる。ある例では、当該修飾は、担体又は他の分子に結合する部位を提供することができる。
【0073】
あるいは、組換えDNA技術、すなわち注目する免疫原性ペプチドをコードするヌクレオチド配列を、発現ベクターに挿入し、好適な宿主細胞に形質転換又は導入し、発現のための好適な条件下で培養する、技術を使用してもよい。当該手段は、通常、Sambrook et al., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, Cold Spring Harbor, New York (1982)に記載されているように、当該分野で一般的に知られている。従って、本発明の1以上のペプチド配列を含む融合蛋白質は、好適なT細胞エピトープを提供するために使用することができる。
【0074】
本明細書で画されている長さのペプチドのコード配列は、好適な塩基を天然ペプチド配列をコードする塩基に単に置換することによって修飾しながら、例えばMatteucci et al., J. Am. Chem. Soc. 103: 3185 (1981)のホスホトリエステル法を用いる化学的手法によって合成することができる。次いで、当該コード配列は、好適なリンカーを付け、当該分野で一般的に入手可能な発現ベクター及び所望の融合蛋白質を産生する好適な宿主に形質転換するために使用されるベクターにライゲートすることができる。かかるベクター及び好適な宿主系の多くを現在では入手できる。融合蛋白質の発現のために、当該コード配列は、実施可能な結合開始コドンや停止コドン、プロモーターや終了領域、及び一般的には、所望の細胞性宿主中での発現のための発現ベクターを提供する複製系と共に与えられる。例えば、バクテリアの宿主と適合するプロモーター配列は、所望のコード配列の挿入のための簡易な制限酵素部位を含むプラスミド中に提供することができる。得られた発現ベクターは、好適なバクテリア宿主に形質転換することができる。勿論、当該分野で周知の好適なベクター及び制御配列を用いて、酵母又は哺乳動物細胞の宿主を使用してもよい。
【0075】
本発明のペプチド組成物は、MHC標的配列に実施可能に結合されたMHCエピトープをコードすることができる。MHC標的配列の使用は、ペプチドエピトープをMHC分子アセンブリ部位に導き、細胞表面に運ぶことによって、抗原そのものをデリバリーするよりも、抗原に対する免疫応答を増大させることができ、そのため、T細胞への結合及び活性化に利用できる、多数のMHC分子ペプチドエピトープ複合体を提供することができる。例えば細胞質ゾル経路又は小胞体にMHCクラスIエピトープペプチドをターゲットする配列などのMHCクラスI標的配列は、本発明で使用することができる(例えばRammensee et al., Immunogenetics 41: 178-228 (1995)を参照されたい)。かかるMHCクラスI標的配列は当該分野で周知であり、例えばIg、組織プラスミノーゲン又はインシュリン等のシグナル配列を含む。例えばBonnerot et al., Immunity 3: 335-347 (1995)を参照されたい。好ましいシグナルペプチドは、ヒトIgκ鎖配列である。
【0076】
小胞体シグナル配列は、MHCクラスIIエピトープを小胞体、MHCクラスI分子アセンブリ部位を標的とするために使用することもできる。例えば細胞質ゾル経路に対するペプチドを標的とする配列等のMHCクラスII標的配列も、本発明で使用することができる。当該標的配列は、典型的に、細胞外抗原を細胞質ゾル経路に入るように指令され、当該抗原がMHCクラスII分子に結合するための抗原ペプチドに蛋白質分解的に開裂されるリソソーム区画に、当該抗原が運ばれることになる。例えば、MHCクラスII標的配列群は、ポリペプチドをリソソームに局在化するリソソーム標的配列である。リソソーム標的配列は、当該分野で周知であり、米国特許第5,633,234号明細書及びCopier et al., J. Immunol. 157: 1017-1027 (1996)に記載されている具体的な配列を含む。
【0077】
機能の実質的な置換は(例えばMHC分子又はT細胞受容体の親和性)は、表10に記載の置換よりも保存性が低い置換を選択することによって可能となる。例えば、(a)例えばシート構造又は螺旋構造等の、置換領域におけるペプチド骨格の構造、(b)標的部位での分子の電荷又は疎水性、あるいは(c)側鎖の嵩、の維持に与える置換効果が著しく相違する残基を選択することである。ペプチドの特性に最も大きな変化を生じると一般的に予測される置換は、(a)セリル等の親水性残基を、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリル又はアラニル等の疎水性残基に(又はによって)置換し;(b)リジル、アルギニル、又はヒスチジル等の陽極側鎖を有する残基を、グルタミル又はアスパルチル等の陰極残基に(又はによって)置換し;あるいは、(c)フェニルアラニン等の嵩高い側鎖を有する残基を、グリシン等の側鎖を有さない残基に(又はによって)置換、である。
【0078】
潜在的な標的蛋白質のいくつかのエピトープは、同定することができる。好適な抗原の例は、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、B型肝炎ウイルスコア抗原及び表面抗原(HBVc、HBVs)、C型肝炎抗原、悪性黒色腫抗原(MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3)、EBウイルス、ヒト免疫不全1型(HIV−1)、ヒト免疫不全2型(HIV−2)、乳頭腫ウイルス、ラッサ熱ウイルス、マイコバクテリウム・チューバキュロウセス(MT)抗原、p53及びネズミp53(mp53)抗原、CEA、HER2/neu、並びにチロシンキナーゼ関連蛋白質ファミリー(TKP)のメンバーを含む。そのため、当該蛋白質は、in vivo及びex vivoでの治療的及び診断的応用のための医薬組成物に有用である。
【0079】
D.in vitro及びin vivoのペプチド免疫原性
当該抗原由来のエピトープを含むペプチドは、合成することができ、次いで、例えば精製MHC分子及び放射性ヨウ素化ペプチド及び/又は空のMHC分子を発現する細胞を使用するアッセイにおいて、例えば免疫蛍光染色法及びフロー・微蛍光測定法、ペプチド依存的クラスIアセンブリ試験並びにペプチド組成物によるCTL又はHTLの認識の阻害により、好適なMHC分子に結合するその能力を試験することができる。MHC分子に結合する当該ペプチドは、更に、感染又は免疫された個体由来のCTLs及び/又はHTLsの標的として役立つ能力、並びに可能な治療剤として、ウイルスによって感染した標的細胞又は癌細胞を反応させることができるCTL及び/又はHTL群を産生することができるin vitro又はin vivoでの一次T細胞応答を誘導する能力を評価することができる。
【0080】
突然変異体細胞株は、ヒトMHCアレルごとに存在しないので、抗原提示細胞(APC)(例えば穏やかな酸処理)の表面から内生的MHC関連ペプチドを除去し、次いで得られた空のMHC分子を注目する免疫原性ペプチドを取り込むために、種々の技術を使用することが有利である。抗原提示細胞は、抹消血単核細胞又は樹状細胞等の標準的な細胞でよい(Inaba, et al., J. Exp. Med. 166: 182 (1987);Boog, Eur. J. Immunol. 18:219 (1988))。Ex vivoCTL及び/又はHTL治療の開発に向けたT細胞誘導プロトコールの設計には、APC起源として、非形質転換(非発癌性)細胞、非感染細胞、好ましくは患者の自系細胞を使用することが望ましい。
【0081】
あるいは、マウス細胞株RMA−S(Karre, et al., Nature, 319: 675 (1986); Ljunggren, et al., Eur. J. Immunol. 21: 2963-2970 (1992))及びヒトT体細胞ハイブリッド、T−2(Cerundo. et al., Nature 345-449-452 (1990))等の内生的ペプチドでクラスI分子を取り込む能力に欠けた突然変異哺乳動物細胞株であって、好適なヒトクラスI遺伝子が導入された当該細胞株は、ペプチドをそこに添加する場合には、in vitroで一次CTL応答を誘導するペプチドの能力を試験するために簡便に使用することができる。蚊の幼虫(例えば、ATCC細胞株CCL 125、126、1660、1591、6585、6586)、カイコ(例えば、ATTC CRL 8851)、アルニカ(例えば、ATCC CRL 1711)、蛾(例えば、ATCC CCL 80)及びショウジョウバエ細胞株(例えば、Schneider細胞株(Schneider, J. Embryol. Exp. Morphol., 27: 353-365 (1927)を参照されたい))等の種々の昆虫細胞株を含む他の真核細胞株も使用することができる。
【0082】
CTL又はHTLの特異性及びMHC限界は、好適な又は不適切なMHC分子を発現する異なったペプチド標的細胞に対する試験によって測定することができる。MHC結合試験で陽性を示し、特定のCTL及び/又はHTL応答を生じるペプチドは、本明細書では免疫原性ペプチドと言う。
【0083】
免疫原及び通常のリコール抗原に対するCTL及びHTL応答の解析法は、一般的に利用することができ、当該分野で知られている。使用する試験は、クロミウム遊離、リンホカイン分泌及びリンパ増殖試験を含む。当該測定で有用な試験は、Current Protocols in Immunology, J. E. Coligan, et al., eds., John Wiley & Sons Press (2000), Chapters 3, 4, 6, and 7に記載されている。
【0084】
一つの態様では、好適な抗原提示細胞は、無血清培地で、好適な培養条件下で4時間、10〜100μMのペプチドと共にインキュベートする。次いで、当該ペプチド取り込み抗原提示細胞は、最適培養条件下、in vitroで7〜10日間、応答(responder)細胞群と共にインキュベートする。MHCクラスI提供ペプチドをスクリーニングする場合には、陽性CTL活性化は、放射性標識標的細胞、特定のペプチドパルス標的、及び当該ペプチドが由来する関連ウイルス又は癌抗原の内生的形態を発現する標的細胞を殺すCTLsの存在を、培養物を試験することによって測定することができる。MHCクラスII提供ペプチドをスクリーニングする場合には、陽性HTL活性化は、サイトカイン産生又は増殖を、培養物を試験することによって測定することができる。
【0085】
一つの態様では、活性化される細胞、例えば前駆体CD8陽性細胞での促進細胞のインキュベーションの前に、抗原性ペプチドを、促進細胞表面上に発現する予定のヒトクラスI分子上に取り込むために十分な量で促進細胞培養液に添加する。本発明で、ペプチドの十分な量とは、約200、好ましくは200以上のヒトクラスIMHC分子を、各促進細胞表面上に発現する予定のペプチドを取り込むことができる量である。好ましくは、当該促進細胞は20μg/mlを越えるペプチドでインキュベートすることができる。
【0086】
次いで、静止又は前駆CD8陽性細胞は、CD8陽性細胞を活性化するために十分な時間、培地中で、好適な促進細胞と共にインキュベートする。好ましくは、CD8陽性細胞は抗原特異的な方法で活性化する。静止又は前駆CD8陽性エフェクタ細胞の刺激細胞に対する割合は、個体によって相違し、培養条件及び疾患症状の性質や重大さ又は記載した範囲内の治療系が使用される他の条件に個体のリンパ球を順応させるなどの変動に、更に依拠する。しかしながら、好ましくは、リンパ球:刺激細胞の割合は、約30:1〜300:1の範囲である。エフェクタ/刺激細胞の培養は、CD8陽性細胞の治療上使用可能又は有効な数を刺激するために必要な時間、維持することができる。
【0087】
本発明のペプチドは、HLA形質転換マウスを用いるin vivo免疫原性のために同定し、試験することができる。エピトープ同定の目的のためのHLA形質転換マウスの有用性(Settle et al., J Immunol, 153: 5586-92 (1994); Wentworth et al., Int Immunol, 8: 651-9 (1996); Engelhard et al., J Immunol, 146: 1226-32 (1991); Man et al., Int Immunol, 7: 597-605 (1995); Shirai et al., J Immunol, 154: 2733-42 (1995)及びワクチン開発(Ishioka et al., J Immunol,162: 3915-25 (1999))は、確立されている。公表論文のほとんどは、HLA A2.1/Kマウスの使用を研究したものであるが、B27及びB3501マウスも利用できることに注目するべきである。
【0088】
更に、HLA A11/Kマウス(Alexander et al., J. Immunol., 159: 4753-61 (1997)及びHLA B7/KやHLA A1/Kマウスも作製されている。38種の可能なエピトープからのデータを解析し、A2.1/K形質転換マウス及びA2.1+ヒトのA2.1制限CTLレパートリー間の重複レベルを決定する(Wentworth et al., Eur J Immunol, 26: 97-101 (1996))。ヒト及びマウスでは、約500nMのMHCペプチド結合親和性閾値は、in vivoでCTL応答を誘導するペプチド能力と関連がある。In vivoのヒトのデータとin vivoのマウスのデータとの高レベルの一致は、高結合ペプチドの85%、中等結合体の58%、そして低/負の結合体の83%について観察できた。同様な結果は、HLA A11及びHLA B7形質転換マウスでも観察できた(Alexander et al., J Immunol, Vol. 159 (10): 4753-61 (1997))。従って、HLA形質転換マウス及びヒトCTLsのT細胞受容体レパートリー間に存在する広範囲の重複のため、形質転換マウスは、本明細書に記載の多エピトープ・コンストラクトの免疫原性を評価するために有益である。MHCクラスIIアレルに結合するペプチドは、HLA−DR形質転換マウスを用いて試験することができる(例えば、Taneja V., David C. S., Immunol Rev, 169: 67-79 (1999)を参照されたい)。
【0089】
ELISPOT試験、細胞内サイトカイン染色及び四量体染色等のより感度の高い技術は、リンパ球抗原応答性を測定するために当該分野で利用可能になっている。古典的方法は、in vitroで増殖するT細胞の一部のみを測定し、事実、メモリーT細胞区画の1分画のみを代表するにすぎないので(Ogg G.S., McMichael A. J., Curr Opin Immunol, 10: 393-6 (1998))、かかる新しい方法は、一般的なCTL及びHTL試験よりも10〜100倍の感度を有する(Murali-Krishna et al., Immunity, 8: 177-87 (1998))と推定できる。特にHIVの場合には、当該技方法、以前の方法では検出不可能であった患者由来の抗原特異的CTL応答を測定するために使用することができる(Ogg et al., Science, 279: 2013-6 (1988); Gray et al., J Immunol, 162: 1780-8 (1999); Ogg et al., J Virol, 73: 9153-60 (1999); Kalams et al., J Virol, 73: 6721-8 (1999); Larsson et al., AIDS, 13: 767-77 (1999); Corne et al., J Acquir Immune Defic Syndr Hum Retrovirol, 20: 442-7 (1999))。
【0090】
本発明のペプチド、その医薬組成物及びワクチン組成物は、哺乳動物、特にヒトに投与して、ウイルス感染及び癌を治療及び/又は予防するのに有用である。本発明の免疫原性ペプチドを用いて治療することができる疾患の例は、前立腺癌、B型肝炎、C型肝炎、AIDS、腎癌、頚癌、リンパ腫、CMV及び尖圭コンジロームを含む。保護(又は予防)ワクチンは、病原体又は癌への将来的暴露に対して保護するものを含む。治療ワクチンは、病原体もしくは悪性腫瘍によって又はそれらに関連するものによって誘導される症候又は疾患症状を改善し、緩和しあるいは除去するものを含む。
【0091】
保護ワクチンの効力が、長期間続くメモリー応答の誘導と主に関連する状況下では、休眠性試験は、ワクチン誘導免疫的応答をモニターするための最も好適で感度のよい方法である。反対に、治療ワクチンの場合には、活性の主な免疫的相関は、一次試験によって最も適切に測定されるエフェクタT細胞機能を誘導する。従って、感度の高い試験を使用すると、ワクチン効力の免疫的モニタリングのための最も好適な試験計画が可能になる。
【0092】
ある態様では、本発明の医薬組成物中には、CTLを亢進する少なくとも一つの成分を含むことが望ましい。脂質は、ウイルス抗原に対してin vivoでCTLを亢進することができる試薬として特定されている。次いで、脂質化されたポリヌクレオチドは、ミセル形態で直接注射することができ、リポソーム中にとりこまれるか、あるいは例えば不完全フロイントアジュバント等のアジュバント中に乳化される。
【0093】
医薬組成物に関し、本発明の免疫原性ペプチドは、既に癌を患っている又は注目するウイルスに感染された個体に投与することができる。培養相又は急性の感染相にある個体は、別々にあるいは必要に応じて他の治療と併せて、免疫原性ペプチドで治療することができる。治療上の適用では、組成物は、ウイルスもしくは癌抗原に対して効率的なCTL及び/又はHTL応答を呈し、症状及び/又は病訴を治療あるいは少なくとも部分的に抑えるに十分な量で、患者に投与することができる。このようなことを成し遂げるに十分な量は、「治療上有効量」と定義される。当該使用のための有効量は、例えばペプチド組成物、投与方法、治療される疾患の段階及び重大さ、患者の体重及び一般的健康状態、並びに処方する医師の判断に依拠するだろうが、一般的には、70kgの患者に対して約1.0μg〜約5000μgのペプチド(例えば、1.0μg、1.5μg、2.0μg、2.5μg、3.0μg、3.5μg、4.0μg、4.5μg、5.0μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、75μg、100μg、250μg、500μg、750μg、1000μg、1500μg、2000μg、2500μg、3000μg、3500μg、4000μg、4500μg又は5000μg)の初期免疫(治療的又は予防的投与のためのものである)の範囲を定め、次いで、患者の血液中の特定のT細胞活性を測定することによる患者の応答及び症状に基いた、数週間から数ヶ月の後押し投与計画に従って、約1.0μg〜約1000μgのペプチド(例えば、1.0μg、2.0μg、2.5μg、3.0μg、3.5μg、4.0μg、4.5μg、5.0μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、75μg、100μg、250μg、500μg、750μg、1000μg、1500μg、2000μg、2500μg、3000μg、3500μg、4000μg、4500μg又は5000μg)の後押し投薬を行う。
【0094】
本発明のペプチド及び組成物は、一般的に、深刻な疾患症状、すなわち命にかかわる状態又は命にかかわる可能性がある状態に用いることができることを記憶に止めておく必要がある。当該ケースでは、異物の最小化及び比較的非毒性のペプチドの観点で、当該ペプチド組成物の実質的過剰量を投与することは可能であり、当該ペプチド組成物の実質的過剰量を投与することが治療する医師によって切に望まれている。
【0095】
ペプチド組成物は、慢性感染症の治療に、及び免疫系を刺激して、担体中のウイルス感染細胞を除去するためにも使用することができる。好適な応答を効率的に刺激するに十分な調合法及び投与方法で、ある免疫増強ペプチド量を提供することは重要である。従って、慢性感染症の治療においては、代表的な用量は、70kgの患者について、約1.0μg〜約5000μg、好ましくは約5μg〜1000μg(例えば、5.0μg、7.5μg、10μg、12.5μg、15μg、17.5μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、75μg、100μg、250μg、300μg、350μg、400μg、450μg、500μg、550μg、600μg、650μg、700μg、750μg、800μg、900μg、950μg又は1000μg)/用量の範囲にある。
【0096】
免疫用量、それに続く、決められた間隔、例えば1〜4週間での後押し用量は、おそらく、個体を効率的に免疫するのに十分な長時間が必要である。慢性感染症の場合には、少なくとも臨床症状あるいは臨床検査が、ウイルス感染が消失し又は実質的に弱まったことを示すまでは、投与は継続するべきであり、従って長期間継続するべきである。
【0097】
治療のための医薬組成物は、非経口、局所、経口又は局部投与を意図している。好ましくは、医薬組成物は、例えば静脈内、皮下、皮内、筋肉内等の非経口的に投与する。従って、本発明は、許容される担体、好ましくは水溶性担体に溶解又は懸濁された免疫原性ペプチドの溶液を含む非経口投与のための組成物を提供する。水、緩衝液、0.8%生理食塩水、0.3%グリシン、ヒアルロン酸等の種々の水溶性担体を使用することができる。当該組成物は、慣用的な周知の滅菌技術を用いて滅菌してもよく、滅菌ろ過してもよい。得られた水溶液は、使用のために梱包してもよく、凍結乾燥してもよく、凍結乾燥調製物は、投与前に滅菌溶液で混合して調製する。組成物は、pH調整剤、緩衝剤、弾力調整剤、湿潤剤等の生理的条件に近づけるために必要とされる薬学的に許容される補助物質、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタン・モノラウレート、トリエタノールアミン・オレエート等を含有してもよい。
【0098】
本発明の医薬組成物は、本発明の1以上のT細胞促進ペプチドを含む。例えば、医薬組成物は、本発明の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれを越えるT細胞促進ペプチドを含む。更に、本発明の医薬組成物は、本発明の1以上のT細胞促進ペプチドを、1以上の他のT細胞促進ペプチドを組み合わせて含む。
【0099】
医薬組成物中の本発明の特異な各T細胞促進ペプチドの濃度は、幅広く異なっていてもよく、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.025重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.1重量%、約1.2重量%、約1.3重量%、約1.4重量%、約1.5重量%、約1.6重量%、約1.7重量%、約1.8重量%、約1.9重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約20重量%未満から約50重量%以上であり、選択する特定の投与様式に従い、液量、粘度等により主に選択する。
【0100】
好ましい態様では、医薬組成物中の本発明の特異な各T細胞促進ペプチドの濃度は、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.025重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%である。
【0101】
更に好ましい態様では、医薬組成物中の本発明の特異な各T細胞促進ペプチドの濃度は、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.025重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%である。
【0102】
本発明のペプチドは、リンパ球又は選択的に標的とされた感染細胞等の特定の組織に対して当該ペプチドを標的とするために役立ち、また当該ペプチド組成物の半減期を増加させるために役立つリポソームによって投与してもよい。リポソームは、エマルション、泡、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散、ラメラ層等を含む。当該調製物において、デリバリーされるペプチドは、リポソームの一部に、単独で、あるいは例えば、CD45抗原に結合するモノクローナル抗体等のリンパ系細胞の間で一般的な受容体に結合する分子と結合して、又は他の治療的又は免疫原性組成物と結合して取り込まれる。従って、本発明の所望のペプチドで満たされた又は装飾されたリポソームは、リポソームが選ばれた治療的/免疫原性ペプチド組成物を後でデリバリーする、リンパ系細胞の部位に導くことができる。本発明で使用するためのリポソームは、通常、コレステロール等の中性及び負電荷のリン脂質及びステロールを含む、標準的な小胞形成脂質から得られる。脂質の選択は、一般的に、例えばリポソームの大きさ、酸不安定性及び血中のリポソーム安定性を考慮して行える。例えば、Szola et al., Ann. Rev. Biophys. Bioeng. 9: 467 (1980)、米国特許第4,235,871号明細書、同4,501,728号明細書、同4,837,028号明細書及び同5,019,369号明細書に記載のように(これらの各々は本明細書に参考として記載しているが)、リポソームを調製ために多数の方法が利用できる。
【0103】
免疫細胞を標的とするためには、リポソームに取り込まれることになるリガンドは、例えば、所望の免疫系細胞の細胞表面決定基に特異的な抗体又はその断片等を含む。ペプチドを含むリポソーム懸濁液は、特に、投与方法、デリバリーされるペプチド及び治療される疾患の段階によって、変化する投薬量で、静脈内、局所(locally)、局所(topically)などに投与することができる。
【0104】
固体組成物に関しては、例えば製薬等級のマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン・ナトリウム、滑石粉、セルロース、グルコース、スクロース、マグネシウム・カーボネート等の一般的な非毒性固形担体を用いることができる。経口投与に関しては、薬学的に許容される非毒性組成物は、前に挙げた担体等の通常使用される任意の賦形剤を、一般的には、本発明の1以上のペプチドである活性成分の10〜95%、より好ましくは25%〜75%の濃度で取り込むことによって製造することができる。
【0105】
エアゾール投与に関しては、免疫原性ペプチドは、界面活性剤及び発射薬と共に細かく割いた形態で供給することができる。ペプチドの典型的な割合は、0.01重量%〜20重量%であり、好ましくは1重量%〜10重量%である。勿論、界面活性剤は、非毒性で、好ましくは発射薬に溶解性である。かかる薬剤の代表例は、カプロン酸、オクタン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、オレステリン酸、オレイン酸等の6〜22の炭素原子を含む脂肪酸と脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は部分エステルである。混合グリセリド又は天然グリセリド等の混合エステルを使用することができる。界面活性剤は、組成物の0.1重量%〜20重量%、好ましくは0.25〜5重量%を構成する。組成物の平衡は、通常発射薬である。必要ならば、鼻腔内デリバリーのためのレクチン等の担体を含むこともできる。
【0106】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の免疫原性ペプチドの免疫原性的に有効な量を活性成分として含むワクチンに関する。当該ペプチド(ペプチド類)は、ヒトを含む宿主に導入してもよく、それ自身の担体にあるいは活性ペプチド単位のホモポリマー又はヘテロポリマーとして結合してもよい。かかるポリマーは、増大した免疫学的反応という利点を有し、異種のペプチドをポリマーを形成するために使用する場合には、ウイルス又は癌細胞の異なった抗原決定基と反応する抗体及び/又はCTLsを誘導する別の能力という利点を有する。有用な担体は、当該分野で周知であり、例えばチログロブリン、ヒト血清アルブミン等のアルブミン、破傷風トキソイド、ポリ(リジン:グルタミン酸)等のポリアミノ酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコア蛋白質、B型肝炎ウイルス組換えワクチン等を含む。当該ワクチンは、水、リン酸緩衝生理食塩水又は食塩水等の生理的に寛容される(許容される)希釈剤を含んでもよく、更に典型的にはアジュバントを含む。不完全フロイントアジュバント(IFA)、リン酸アルミニウム、水酸化アルミニウム等のアジュバント又はアルムは、当該分野で周知の材料である。上記のように、CTL応答は、PCSS等の脂質に本発明のペプチドを結合させることによって、亢進することができる。注射、エアゾール、経口、皮下又は他の方法によって本明細書に記載のペプチドで免疫した場合には、宿主の免疫系は、所望の抗原に特異的なCTLsの大容量を産生することによりワクチンに反応し、当該宿主はその後の感染に対して少なくとも部分的には免疫となるか、あるいは進行する慢性的感染に抵抗性になる。
【0107】
本発明のペプチドを含むワクチン組成物は、ウイルス感染もしくは癌に対する感受性が高いか又はその危険にある患者に投与して、抗原に対する免疫応答を誘導し、それによって患者の自己免疫応答能力を増大させることができる。かかる量は、「免疫的有効量」と定義する。当該使用では、その正確な量は、やはり、患者の健康状態及び体重、投与方法、製剤の性質等に依拠するが、一般的には患者70kg当たり約1.0μg〜約5000μg、より一般的には体重70kg当たり約10〜約500μg(例えば、体重70kg当たり10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、60μg、70μg、80μg、90μg、100μg、125μg、150μg、175μg、200μg、225μg、250μg、275μg、300μg、325μg、375μg、400μg、425μg、450μg、475μg又は500μg)の範囲である。
【0108】
治療又は免疫の目的のために、本発明の1以上のペプチドをコードする核酸も患者に投与することができる。患者に当該核酸をデリバリーするために、多数の方法を簡便に使用することができる。例えば、当該核酸は、「裸のDNA」として直接デリバリーすることができる。例えば、当該方法は、Wolff et al., Science 247: 1465-1468 (1990)及び米国特許第5,580,859号明細書及び同5,589,466号明細書に記載されている。DNAを単に含む粒子も投与することができる。あるいは、DNAは、金粒子等の粒子に接着させることもできる。核酸もまた、カチオン性脂質等のカチオン性化合物に複合してデリバリーすることができる。脂質介在遺伝子デリバリー法は、例えば、国際公開第96/18372号パンフレット;同93/24640号パンフレット;Mannino and Gould-Fogerite (1988) BioTechniques 6 (7): 682-691;Rose 米国特許第5,279,833号明細書;国際公開第91/06309号パンフレット;and Felgner et al., (1987) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 7413-7414に記載されている。本発明のペプチドは、ワクシニア又は鶏痘等の弱毒化ウイルス性宿主によって発現することもできる。当該方法は、ワクシニアウイルスを使用して、本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現することを含む。急性又は慢性の感染宿主にあるいは非感染宿主に導入した場合には、組換えワクシニアウイルス、免疫原性ペプチドを発現し、それによって宿主CTL応答を誘導する。免疫プロトコールに有用なワクシニアベクター及び方法は、例えば、本明細書に参考として記載した米国特許第4,722,848号明細書に記載されている。別の好適なベクターは、BCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、例えばStover et al., (Nature 351: 456-460 (1991))に記載されている。本発明のペプチドの治療的投与又は免疫に有用な多数の他のベクター、例えばSalmonella typhiベクターなどは、本明細書の詳細な説明から当業者には明らかであろう。
【0109】
本発明のペプチドをコードする核酸の好ましい投与方法は、本発明の複数エピトープをコードするミニ遺伝子コンストラクトを使用する。ヒト細胞中に、発現のための、選ばれたCTLエピトープ(ミニ遺伝子)をコードするDNA配列を作るために、エピトープのアミノ酸配列は逆翻訳することができる。ヒトコドン用法表は、各アミノ酸についてのコドン選択を可能にするために使用できる。DNA配列コードペプチドがない、あるいはいくつかの又は全てのDNA配列コードペプチド間の種々のスペーサーをコードするDNA配列を含む、かかるエピトープコードDNA配列は、隣接して連続ポリペプチド配列を作る。発現及び/又は免疫原性を最適化するために、別の要素をミニ遺伝子の設計に取り込むことができる。逆翻訳され、ミニ遺伝子配列に含まれるアミノ酸配列の例は、ヘルパーTリンパ球エピトープ、リーダー(シグナル)配列及び小胞体保持シグナルを含む。更に、CTLエピトープのMHC提示は、合成的配列(例えばポリアラニン)又はCTLエピトープに隣接した天然由来のフランキング配列を含むことによって改善することができる。
【0110】
ある態様では、ミニ遺伝子コードエピトープ、及び免疫原性を増大させ又は減少させるために含有された第二蛋白質の生成を可能にするために、2シストロン性発現ベクターも使用することができる。共発現の場合には、免疫応答を有利に増大させるペプチド又はポリペプチドの例は、サイトカイン(例えばIL2、IL12、GM−CSF)、サイトカイン誘導分子(例えばLeIF)又は共促進分子を含む。ヘルパー(HTL)エピトープは、細胞内標的シグナルに結合し、CTLエピトープから離れて発現することができる。このことは、CTLエピトープとは異なった細胞区画に、HTLエピトープを導くことができる。必要ならば、MHCクラスII経路へのHTLエピトープのより効率的な導入を促進し、それによってCTL誘導を改善することができる。CTL誘導に比較して、免疫抑制分子(例えばTGF−β)の共発現によって免疫応答を特に減ずることは、特定の疾患では有益であろう。
【0111】
本発明の免疫原性ペプチドは、モノクローナル抗体を作製するために使用してもよい。かかる抗体は、可能性のある診断剤又は治療剤として有用である。
【0112】
当該ペプチドは、診断試薬(例えば四量体;Beckman Coulter, San Diego, CA)としても有用である。例えば、本発明のペプチドは、当該ペプチド又は関連するペプチドを使用する治療計画に対する特定の個体の感受性を測定するために使用することができ、現行の治療プロトコールを修飾することに、あるいは患者の予後診断をすることに役立つ。更に、当該ペプチドは、個体が慢性的感染にかかる相当の危険があることを予測するためにも使用することができる。
【0113】
本発明は、ヒト及びネズミのMHCアレルサブタイプのアレル特異的ペプチドモチーフの決定に関する。次いで、当該モチーフは、可能な抗原又は自己抗原の標的のアミノ酸配列が周知である任意の所望の抗原、特にヒトウイルス性疾患、癌又は自己免疫疾患に関連する抗原由来のT細胞エピトープを特徴付けるために用いることができる。上で引用した全ての文献の内容は本明細書に参考として記載した。
【0114】
表11〜29の簡単な説明
表11:特定されたHLA−A1アレル結合ペプチド。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0115】
表12:HLA−A1結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−A1アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0116】
表13:特定されたHLA−A2アレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0117】
表14:HLA−A2結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−A2アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0118】
表15:特定されたHLA−A3アレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0119】
表16:HLA−A3結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−A3アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0120】
表17:特定されたHLA−A24アレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0121】
表18:HLA−A24結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−A24アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0122】
表19:特定されたHLA−B7アレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0123】
表20:HLA−B7結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−B7アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0124】
表21:特定されたHLA−B44アレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0125】
表22:HLA−B44結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−B44アレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0126】
表23:特定されたHLA−DQアレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0127】
表24:HLA−DQ結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−DQアレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0128】
表25:特定されたHLA−DRアレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0129】
表26:HLA−DR結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−DRアレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0130】
表27:HLA−DR結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたHLA−DRアレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0131】
表28:特定されたネズミのMHCクラスIアレル結合ペプチド。ペプチドは、ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号、ペプチド(AA)中のアミノ酸の数、ペプチドの起源(生物)、起源蛋白質の確認、蛋白質配列内のペプチドの位置及アナローグ状況によって特定できる。ここで、アナローグは、任意の天然起源のペプチド配列のアミノ酸配列が1以上のアミノ酸残基の置換によって修飾される、本発明のペプチドである。
【0132】
表29:ネズミのMHCクラスI結合ペプチドの結合親和性。ペプチドは、アミノ酸配列、配列番号及び指定されたネズミのMHCクラスIアレルに対する結合親和性(IC50として表わされる)によって特定できる。
【0133】
【表11】

【0134】
【表12】

【0135】
【表13】

【0136】
【表14】

【0137】
【表15】

【0138】
【表16】

【0139】
【表17】

【0140】
【表18】

【0141】
【表19】

【0142】
【表20】

【0143】
【表21】

【0144】
【表22】

【0145】
【表23】

【0146】
【表24】

【0147】
【表25】

【0148】
【表26】

【0149】
【表27】

【0150】
【表28】

【0151】
【表29】

【0152】
【表30】

【0153】
【表31】

【0154】
【表32】

【0155】
【表33】

【0156】
【表34】

【0157】
【表35】

【0158】
【表36】

【0159】
【表37】

【0160】
【表38】

【0161】
【表39】

【0162】
【表40】

【0163】
【表41】

【0164】
【表42】

【0165】
【表43】

【0166】
【表44】

【0167】
【表45】

【0168】
【表46】

【0169】
【表47】

【0170】
【表48】

【0171】
【表49】

【0172】
【表50】

【0173】
【表51】

【0174】
【表52】

【0175】
【表53】

【0176】
【表54】

【0177】
【表55】

【0178】
【表56】

【0179】
【表57】

【0180】
【表58】

【0181】
【表59】

【0182】
【表60】

【0183】
【表61】

【0184】
【表62】

【0185】
【表63】

【0186】
【表64】

【0187】
【表65】

【0188】
【表66】

【0189】
【表67】

【0190】
【表68】

【0191】
【表69】

【0192】
【表70】

【0193】
【表71】

【0194】
【表72】

【0195】
【表73】

【0196】
【表74】

【0197】
【表75】

【0198】
【表76】

【0199】
【表77】

【0200】
【表78】

【0201】
【表79】

【0202】
【表80】

【0203】
【表81】

【0204】
【表82】

【0205】
【表83】

【0206】
【表84】

【0207】
【表85】

【0208】
【表86】

【0209】
【表87】

【0210】
【表88】

【0211】
【表89】

【0212】
【表90】

【0213】
【表91】

【0214】
【表92】

【0215】
【表93】

【0216】
【表94】

【0217】
【表95】

【0218】
【表96】

【0219】
【表97】

【0220】
【表98】

【0221】
【表99】

【0222】
【表100】

【0223】
【表101】

【0224】
【表102】

【0225】
【表103】

【0226】
【表104】

【0227】
【表105】

【0228】
【表106】

【0229】
【表107】

【0230】
【表108】

【0231】
【表109】

【0232】
【表110】

【0233】
【表111】

【0234】
【表112】

【0235】
【表113】

【0236】
【表114】

【0237】
【表115】

【0238】
【表116】

【0239】
【表117】

【0240】
【表118】

【0241】
【表119】

【0242】
【表120】

【0243】
【表121】

【0244】
【表122】

【0245】
【表123】

【0246】
【表124】

【0247】
【表125】

【0248】
【表126】

【0249】
【表127】

【0250】
【表128】

【0251】
【表129】

【0252】
【表130】

【0253】
【表131】

【0254】
【表132】

【0255】
【表133】

【0256】
【表134】

【0257】
【表135】

【0258】
【表136】

【0259】
【表137】

【0260】
【表138】

【0261】
【表139】

【0262】
【表140】

【0263】
【表141】

【0264】
【表142】

【0265】
【表143】

【0266】
【表144】

【0267】
【表145】

【0268】
【表146】

【0269】
【表147】

【0270】
【表148】

【図面の簡単な説明】
【0271】
【図1】好ましいモチーフの表である。
【図2】HLA−A及びHLA−Bアレルのスーパーファミリーである。HLA−A及びHLA−Bの種々のアレルは、配列決定解析又は結合試験(確認されたスーパータイプメンバー)に基くスーパーファミリーに従って、あるいはB及びFポケット構造(予測スーパータイプメンバー)に基いて分類できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表11〜29のいずれかに記載の1以上のペプチドを含む組成物。
【請求項2】
表11〜29のいずれかに記載の1以上のペプチドをコードする核酸を含む組成物。
【請求項3】
前記1以上のペプチドの少なくとも一つが、HTLエピトープである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
前記1以上のペプチドの少なくとも一つが、CTLエピトープである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項5】
更にHTLエピトープを含む、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
更にスペーサー分子を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項7】
更に担体を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項8】
更にMHC標的配列を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項9】
更に脂質を含む、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項10】
前記1以上のペプチドが、リポソームの一部として組み込まれている、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項11】
前記1以上のペプチドの少なくとも一つが、ヘテロポリマーである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項12】
前記1以上のペプチドの少なくとも一つが、ホモポリマーである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項13】
前記1以上のペプチドの少なくとも一つが、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSM)、B型肝炎ウイルス(HBV)抗原、C型肝炎ウイルス(HCV)抗原、悪性黒色腫抗原(MAGE)、EBウイルス、ヒト免疫不全1型(HIV−1)、ヒト免疫不全2型(HIV−2)、乳頭腫ウイルス、ラッサ熱ウイルス、マイコバクテリウム・チューバキュロウセス(MT)、p53、ネズミp53(mp53)、CEA、HER2/neu及びチロシンキナーゼ関連蛋白質(TKP)からなる群より選ばれる抗原由来のペプチドである、請求項1又は2記載の組成物。
【請求項14】
活性成分を含む医薬組成物であって、当該活性成分が請求項1又は2記載の組成物を含む、前記組成物。
【請求項15】
活性成分を含むワクチン組成物であって、当該活性成分が請求項1又は2記載の組成物を含む、前記組成物。
【請求項16】
請求項1、2、14又は15のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、前記組成物がウイルス感染又は癌の予防のための予防組成物である、前記使用。
【請求項17】
請求項1、2、14又は15のいずれか1項に記載の組成物の使用であって、前記組成物がウイルス感染又は癌の治療のための治療組成物である、前記使用。
【請求項18】
請求項1又は2記載の組成物を含む診断試薬。
【請求項19】
前立腺癌、B型肝炎、C型肝炎、AIDS、腎癌、頚癌、リンパ腫、CMV又は尖圭コンジロームの治療のための、請求項17記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−512300(P2006−512300A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−542073(P2004−542073)
【出願日】平成15年10月3日(2003.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2003/031308
【国際公開番号】WO2004/031211
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(500521038)エピミューン インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】