説明

HPPOからのポリオール及びそれらから製造されるポリウレタン生成物

ポリウレタン生成物の製造に使用するためのポリオールブレンドを記載する。このポリオールブレンドは、ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物;及びポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つの自己触媒ポリオールを含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、発明の名称「POLYOLS FROM HPPO AND POLYURETHANE PRODUCTS」の2009年3月5日に出願された米国特許仮出願第61/157,634号の優先権を享受し、この文献を参照として本明細書に組み込む。
【0002】
本発明の実施形態は、一般にHPPO(過酸化水素系プロピレンオキシド)から製造されるポリオール、及びこのポリオールから製造される低VOC(揮発性有機化合物)ポリウレタン生成物;より詳細には低アミンVOCのポリウレタンに関する。
【背景技術】
【0003】
アルキレンオキシドの重合に基づくポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又はこれらの組み合わせは、イソシアネートと共に、ポリウレタン系の主要構成成分である。ポリエーテルポリオールは、有機オキシドと2つ以上の活性水素原子を含有する開始剤化合物との重合反応によって製造できる。開始剤化合物は、適切な触媒の存在下で、有機オキシドの開環を開始し、続いてオキシドが開始剤化合物に付加される。オキシドの付加は、所望の分子量が得られるまで継続される。ポリウレタンフォーム用のポリエーテルポリオールを製造するために使用される一般的な有機オキシドは、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、及びブチレンオキシドである。これらの有機オキシドの製造中には、不純物、例えば揮発性有機化合物(VOC)も形成される。これらの不純物は、ポリオールの製造及び後続のポリウレタン製造においても有機オキシドに付随し得る。さらに、不安定アミン系触媒もポリウレタン製造に使用され得る。不純物及びアミン触媒は、悪臭ポリウレタン生成物をもたらし得る。そのため、アミンVOC放出が低減したポリウレタン生成物が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、HPPOポリエーテルポリオールから製造され、VOCが少ないポリオールに基づくポリウレタンフォームを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態では、ポリオールブレンドが提供される。ポリオールブレンドは、約2〜約8の公称始動官能数(nominal starter functionality)及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物をこのポリオールブレンドの約50〜約99重量%、及び少なくとも1つの自己触媒ポリオールをこのポリオールブレンドの約1〜約50重量%で含む。
【0006】
別の実施形態において、ポリウレタン生成物が提供される。ポリウレタン生成物は、少なくとも1つの有機ポリイソシアネートと;約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物をポリオールブレンドの約50〜約99重量%、及び少なくとも1つの自己触媒ポリオールをポリオールブレンドの約1〜約50重量%で含む少なくとも1つのポリオールブレンドとの反応生成物である。
【0007】
別の実施形態において、ポリウレタン生成物を製造するための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの有機ポリイソシアネートと、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物をポリオールブレンドの約50〜約99重量%、及び少なくとも1つの自己触媒ポリオールをポリオールブレンドの約1〜約50重量%で含む少なくとも1つのポリオールブレンドとの反応を含む。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、アミンVOC放出が低減したポリウレタン生成物を提供する。ポリウレタン生成物は、少なくとも1つのイソシアネートと、少なくとも1つのポリオールブレンドとの反応生成物である。ポリオールブレンドは、少なくとも1つのヒドロペルオキシド系プロピレンオキシド(HPPO)ポリエーテルポリオール及び少なくとも1つの自己触媒ポリオール及び/又は反応性アミン触媒を含んでいてもよい。ポリオールブレンドはまた、少なくとも1つのエステル基含有ポリオールを含んでいてもよい。
【0009】
少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオールは、少なくとも1つのヒドロペルオキシドを用いたプロペンのエポキシド化を通して製造されたプロピレンオキシドから誘導されてもよい。少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオールは、当分野において公知の方法、例えば米国特許第6,284,213号及び米国特許出願公開第2004/0249107号に記載されるような方法によって誘導されることができ、Dow Chemical Companyから商標名VORANOL及びBASFから商標名LUPRANOLの下で利用可能であり得る。HPPOポリオールは、2つの工程プロセスを通して誘導できる。第1の工程において、プロペンは、少なくとも1つのヒドロペルオキシドでエポキシド化され、ヒドロペルオキシド系プロピレンオキシドが得られる。ヒドロペルオキシドは、実施形態では過酸化水素であってもよい。プロペンと、少なくとも1つのヒドロペルオキシドとの反応は、触媒の存在下で行われてもよい。触媒は、多孔性の酸化物材料、例えばゼオライトを含むものであってもよい。多孔性酸化物材料として、チタン−、バナジウム−、クロム−、ニオブ−、スズ−、ゲルマニウム−、又はジルコニウム−含有ゼオライトを含む触媒を使用するのが好ましい。特定実施形態において、触媒は、アルミニウムを含有せず、Ti(IV)としてのチタンがケイ酸塩格子中の一部のSi(IV)の代わりに存在するゼオライトであってもよい。
【0010】
第2の工程において、ヒドロペルオキシド系プロピレンオキシドは、開始剤と反応して、HPPOポリエーテルポリオールを形成できる。開始剤は、約2〜約8個の活性水素原子を有していてもよい。一実施形態では開始剤は、約2〜約6個の活性水素原子を有していてもよい。この重合反応のための触媒作用は、触媒、例えばKOH、CsOH、三フッ化ホウ素、又は複シアン化物錯体(DMC)触媒、例えばヘキサシアノコバルト酸亜鉛又は四級ホスファゼニウム化合物によって、アニオン性又はカチオン性のいずれかであってもよい。
【0011】
好適な開始剤分子の例は、水、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、アジピン酸、フタル酸及びテレフタル酸、並びに多価、特に2価から8価アルコール又はジアルキレングリコール、例えばエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール及びスクロース又はそれらのブレンドである。他の開始剤としては、化合物、最終的には三級アミンを含有する線状及び環状アミン化合物、例えばエタノールジアミン、トリエタノールジアミン、及びトルエンジアミンの種々の異性体、エチレンジアミン、N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン、アミノプロピル−イミダゾールが挙げられる。
【0012】
ヒドロペルオキシド系プロピレンオキシドは、開始剤単独又は少なくとも1つのさらなるアルキレンオキシドと共に組み合わせられてもよい。原理上、当業者に公知のすべてのアルキレンオキシドが、HPPOに加えて、ポリエーテルアルコールの調製のために使用できる。特に、2〜24個の炭素原子を有する置換又は非置換アルキレンオキシド、例えばハロゲン、ヒドロキシル、非環状エーテル又はアンモニウム置換基を有するアルキレンオキシドが使用されてもよい。例えばエチレンオキシド、1,2−エポキシプロパン、1,2−エポキシブタン、2,3−エポキシブタン、スチレンオキシド、ビニルオキシラン及び互いに合わせたそれらのいずれかの混合物が使用されてもよい。
【0013】
HPPOに加えて、少なくとも1つのさらなるアルキレンオキシドが使用される場合、HPPO及び少なくとも1つのさらなるアルキレンオキシドの混合物を使用できる。しかし、HPPO、少なくとも1つのさらなるアルキレンオキシドを連続して添加して、ブロックポリマーを形成できる。
【0014】
HPPOに加えて、POを製造するために、他のプロセス、例えば米国特許第5,424,458号に記載されるようなクロロヒドリンプロセス又はMTBEプロセスを使用できる。これらの慣用のPOは、CHPOと称される。これらの過去のプロセスは、国際公開第2003/020787号に記載されるように、ポリウレタンフォーム中にVOC(揮発性有機化合物)を生じ得る副生成物が得られる。
【0015】
得られたHPPOポリエーテルポリオールは、約2〜約8の官能数を有していてもよい。約2〜約8のすべての個々の値及び部分範囲が本明細書に含まれ、本明細書に開示される:例えば官能数は、約2、3、4、5、又は6の下限から、約4、5、6、7、又は8の上限までであることができる。例えば、HPPOポリエーテルポリオールは、約2〜約7の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約2〜約6の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約2〜約5の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約2〜約4の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約3〜約8の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約3〜約7の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約3〜約6の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは、約3〜約5の官能数を有していてもよい;又は別の可能性として、HPPOポリエーテルポリオールは約4〜約6の官能数を有していてもよい。
【0016】
得られたHPPOポリエーテルポリオールは、約15〜約800のヒドロキシル数、好ましくは約20〜約150mgKOH/gを有していてもよい。一部の実施形態において、HPPOポリエーテルポリオールは、約28〜100mgKOH/gのヒドロキシル数を有していてもよい。
【0017】
可撓性ポリウレタンフォームの製造において、HPPOポリエーテルポリオールは、2〜5、好ましくは2〜4の範囲の平均官能数、及び20〜100mgKOH/g、好ましくは20〜70mgKOH/gの範囲の平均ヒドロキシル数を有してもよい。さらなる改良として、特定のフォーム用途が同様に、ベースポリオールの選択に影響する。例として、成型されるフォームのために、ベースポリオールのヒドロキシル数は、エチレンオキシド(EO)キャップに関して20〜60の順であってもよく、スラブ材フォームのために、ヒドロキシル数は25〜75の順であってもよく、混合フィードEO/PO(プロピレンオキシド)であるか、又はわずかにだけEOでキャップされているか、又は100%PO系であるかのいずれかである。粘弾性フォームのために、100を超えるOHを有するポリオールを配合物中に含むことができる。
【0018】
エラストマー用途のためには、例えば20〜50の相対的に低いヒドロキシル数を有する、約2,000〜約8,000の相対的に高分子量系のポリオールを利用するのが望ましい場合がある。
【0019】
典型的には、硬質ポリウレタンを調製するのに好適なポリオールとしては、約100〜約10,000、及び好ましくは約200〜約7,000の平均分子量を有するものが挙げられる。こうしたポリオールはまた、有利なことには、分子あたり少なくとも約2、好ましくは約3、及び約8まで、好ましくは約6個までの活性水素原子の官能数を有する。硬質フォームのために使用されるポリオールは、一般に約200〜約1,200、及びより好ましくは約300〜約800のヒドロキシル数を有する。
【0020】
半硬質フォームの製造のために、約30〜約80のヒドロキシル数を有する三官能性ポリオールを使用するのが好ましい場合がある。
【0021】
HPPOポリエーテルポリオールは、総ポリオールブレンドの約40〜約99重量%を構成してもよい。約40〜約99重量%のすべての個々の値及び部分範囲は、本明細書に含まれ、本明細書に開示される。例えば、HPPOポリエーテルポリオールの量は、約40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、又は95重量%の下限から、約60、65、70、75、80、85、90、95、97、又は99重量%の上限までであってもよい。例えばこの範囲は約50〜約97重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約50〜約95重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約50〜約90重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約50〜約80重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約50〜約70重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約50〜約65重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約60〜約99重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約60〜約95重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約60〜約90重量%であってもよい。
【0022】
HPPOポリエーテルポリオールに加えて、ポリオールブレンドは、少なくとも1つの自己触媒ポリオールを含んでいてもよい。自己触媒ポリオールはまた、アミン開始ポリオール、すなわち一級又は二級アミンのアルコキシル化から製造されるポリオール又は場合によりアミノアルコールから製造されるポリオールであってもよい。アミン開始ポリオールは、固有の自己触媒活性を有し、一般に可撓性ポリウレタンフォームの製造に使用されるアミン触媒の一部又はすべてを置き換えることができる。自己触媒ポリオールは、三級アミンを含有する開始剤、ポリオール鎖中に三級アミン基を含有するポリオール又は三級アミン基で部分的にキャップされたポリオールから製造されてもよい。自己触媒ポリオールは、ポリウレタンフォームを製造するための同じ反応プロファイルを維持しながら、少なくとも20重量%の従来のアミン触媒を置き換えるために添加されてもよく、別の可能性として、自己触媒ポリオールは、同じ反応プロファイルを維持しながら、少なくとも30重量%のアミン触媒を置き換えるために添加されてもよい。こうしたアミン開始ポリオールはまた、同じ反応プロファイルを維持しながら、少なくとも50重量%のアミン触媒を置き換えるために添加されてもよく、別の可能性として、自己触媒ポリオールは、少なくとも75重量%のアミン触媒を置き換えるために添加されてもよく、又は別の可能性として、自己触媒ポリオールは、同じ反応プロファイルを維持しながら、少なくとも90重量%のアミン触媒を置き換えるために添加されてもよい。別の可能性として、こうした自己触媒ポリオールは、離型時間を向上させるために添加されてもよい。
【0023】
一実施形態では、自己触媒ポリオールは、約1000〜約12,000の重量平均分子量を有し、次式の少なくとも1つの開始剤分子のアルコキシル化によって調製される。
A−(CH−N(R)−(CH−AH (I)
式中、n及びpは、独立して、2〜6の整数である、
Aは、各出現時に独立に、酸素、窒素、硫黄又は水素であるが、ただしAの1つだけは一時期に水素であることができる。
Rは、C−Cアルキル基である。
mは、Aが水素である場合は0に等しく、Aが酸素である場合は1であり、Aが窒素である場合は2である、又は
N−(CH−N−(R)−H (II)
式中、qは、2〜12の整数であり、
Rは、C−Cアルキル基である。
【0024】
本発明の種々の実施形態において、自己触媒ポリオールを製造するための開始剤としては、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、2,2’−ジアミノ−N−メチルジエチルアミン、2,3−ジアミノ−N−メチル−エチル−プロピルアミン N−メチル−1,2−エタンジアミン及びN−メチル−1,3−プロパンジアミンが挙げられる。
【0025】
他の開始剤としては、アミンを含有する線状及び環状化合物が挙げられる。代表的なポリアミン開始剤としては、エチレンジアミン、ネオペンチルジアミン、1,6−ジアミノヘキサン;ビスアミノメチルトリシクロデカン;ビスアミノシクロヘキサン;ジエチレントリアミン;ビス−3−アミノプロピルメチルアミン;トリエチレンテトラミン トルエンジアミンの種々の異性体;ジフェニルメタンジアミン;N−メチル−1,2−エタンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N−ジメチルエタノールアミン、3,3’−ジアミノ−N−メチルジプロピルアミン、N,N−ジメチルジプロピレントリアミン、アミノプロピル−イミダゾールが挙げられる。
【0026】
代表的なアミノアルコールとしては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0027】
開始剤分子のアルコキシル化は、HPPOを含むHPPOポリエーテルポリオールに関連して記載されたものと同じアルキレンオキシド、触媒、及び方法並びに従来通り製造されたアルキレンオキシドを用いて行われてもよい。
【0028】
自己触媒ポリオールはまた、PO及びEOとのコモノマーとして、例えばアルキル−アジリジンを用いることによって、鎖中に三級窒素を含有することができる。
【0029】
三級アミン末端キャップされた自己触媒ポリオールは、ポリオール鎖の少なくとも1つの先端に連結した三級アミノ基を含有するものである。これらの三級アミンは、N,N−ジアルキルアミノ、N−アルキル脂肪族又は環状アミン、ポリアミンであることができる。
【0030】
自己触媒ポリオールは、総ポリオールブレンドの約1〜約50重量%を構成できる。約1〜約50重量%の間のすべての個々の値及び部分範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示される。例えば、自己触媒ポリオールの量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、又は40重量%の下限から、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%の上限までであってもよい。例えば、この範囲は約5〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約10〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約15〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約20〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約25〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約10〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約15〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約20〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約25〜約45重量%であってもよい。
【0031】
イソシアネート反応性アミン触媒は、ポリオール、水、架橋剤などとのイソシアネート反応のための触媒機能を与える三級アミン部分、及びアルコール又は二級若しくは一級アミンのいずれかとしての反応性水素を有する。こうしたイソシアネート反応性アミンの例は、DMEA(N,N−ジメチルエタノールアミン)又はDMAPA(N,N−ジメチルアミノプロピルアミン)である。
【0032】
ポリオールブレンドは、場合により、少なくとも1つのエステル基ポリオールを含んでいてもよい。エステル基ポリオールは、少なくとも1つのエステル基を含むポリオールである。少なくとも1つのエステル基を含むポリオールの例は、天然油系ポリオール(NOBP)である。天然油系ポリオールは、再生可能な原料資源、例えば天然及び/又は遺伝子組み換え(GMO)野菜種油及び/又は動物源脂肪に基づく又はそれらから誘導されるポリオールである。こうした油及び/又は脂肪は、一般にトリグリセリド、すなわちグリセロールと共に連結した脂肪酸で構成される。こうした植物油は、トリグリセリド中に少なくとも約70%不飽和脂肪酸を有していてもよい。天然生成物は、少なくとも約85重量%の不飽和脂肪酸を含有していてもよい。植物油の例としては、ヒマシ、大豆、オリーブ、ピーナッツ、菜種、トウモロコシ、ゴマ、綿、キャノーラ、ベニバナ、亜麻仁、パーム、グレープシード、キャラウェイ、カボチャの実、ボラージ種、木材胚芽(wood germ)、アプリコットの実、ピスタチオ、アーモンド、マカダミアナッツ、アボガド、シーバックソーン、麻、ヘーゼルナッツ、マツヨイグサ、野バラ、アザミ、ウォルナット、ヒマワリ、ジャトロファ種子油、又はこれらの組み合わせからのものが挙げられる。さらに有機体、例えば藻から得られる油も使用できる。動物生成物の例としては、ラード、牛脂、魚油及びこれらの混合物が挙げられる。植物系及び動物系油/脂肪の組み合わせも使用できる。
【0033】
ポリウレタンフォームの製造に使用するため、天然材料は、実質的なイソシアネート反応性基を与えるために、又は材料上のイソシアネート反応性基の数を増大させるために改質されてもよい。好ましくは、こうした反応性基はヒドロキシル基である。いくつかの化学反応が、天然油系ポリオールを調製するために使用できる。こうした再生可能資源の改質としては、例えばエポキシド化、ヒドロキシル化、オゾン分解、エステル化、ヒドロホルミル化、又はアルコキシル化が挙げられる。こうした改質は、一般に当分野において公知であり、例えば米国特許第4,534,907号、同第4,640,801号、同第6,107,433号、同第6,121,398号、同第6,897,283号、同第6,891,053号、同第6,962,636号、同第6,979,477号、及びPCT公開番号国際公開第2004/020497号、同第2004/096744号、及び同第2004/096882号に記載されている。
【0034】
天然油の改質によるこうしたポリオールの製造後、改質された生成物は、さらにアルコキシル化されてもよい。エチレンオキシド(EO)又はEOと他のオキシドとの混合物の使用により、ポリオールに親水性部分を導入する。一実施形態では、改質生成物は、十分なEOとアルコキシル化を行い、約10重量%〜約60重量%のEO;好ましくは約20重量%〜約40重量%のEOを有する天然油系ポリオールを製造する。
【0035】
別の実施形態において、天然油系ポリオールは、多工程プロセスによって得られ、このプロセスでは、動物又は植物油/脂肪が、エステル交換に供され、構成脂肪酸が回収される。この工程の後に、構成脂肪酸中の炭素−炭素二重結合のヒドロホルミル化が続き、ヒドロキシメチル基が形成され、次いでヒドロキシメチル化脂肪酸と適切な開始剤化合物との反応によってポリエステル又はポリエーテル/ポリエステルが形成される。こうした多工程プロセスは、一般に当分野において公知であり、例えばPCT公開番号国際公開第2004/096882号及び同第2004/096883号に記載されている。多工程プロセスは、結果として疎水性及び親水性部分の両方を有するポリオールを製造し、その結果水及び従来の石油系ポリオールの両方に対する混和性が向上する。
【0036】
天然油系ポリオールの製造のための多工程プロセスにおいて使用するための開始剤は、先行して記載されたポリオールの製造に使用されるいずれかの開始剤であってもよい。
【0037】
エステル基ポリオールは、総ポリオールブレンドの約1〜約50重量%を構成してもよい。約1〜約50重量%の間のすべての個々の値及び部分範囲は、本明細書に包含され、本明細書に開示される。例えば、エステル基ポリオールの量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、又は40重量%の下限から、約10、15、20、25、30、35、40、45、又は50重量%の上限までであってもよい。例えば、この範囲は約5〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約10〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約15〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約20〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約25〜約50重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約10〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約15〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約20〜約45重量%であってもよく;又は別の可能性として、この範囲は約25〜約45重量%であってもよい。
【0038】
自己触媒ポリオール及びエステル基ポリオールとHPPOポリエーテルポリオールとの重量比は、反応混合物に添加されることが所望される場合がある追加の触媒及び/又は架橋剤の量に依存し、及び特定用途に必要とされる反応プロファイルに依存して変動し得る。この重量比はまた、配合物に添加される反応性触媒のレベル及びタイプに依存する。少なくとも1つの自己触媒ポリオールのポリウレタン反応混合物への添加は、従来の不安定三級アミン触媒又は有機金属触媒を含む必要性を低減又は排除できる。一般に、反応混合物は、特定レベル(ベースレベル)の触媒濃度を有していてもよく、それが反応混合物のベースレベルの硬化時間を生じる。本発明の実施形態によれば、自己触媒ポリオール及び反応性触媒は、反応性触媒の量を、ベースレベルの少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、99、又は100重量%低減でき、同時にベースレベル反応混合物と同じベースレベル硬化時間を有する反応混合物をもたらすような量で、ポリオールブレンド中にて組み合わされてもよい。他の実施形態において、自己触媒ポリオール及び/又は反応性触媒のレベルは、従来の、不安定三級アミン触媒又は有機金属又は架橋剤塩の必要性が排除されるようなものである。
【0039】
別の可能性として自己触媒ポリオール及びエステル基ポリオールとHPPOポリエーテルポリオールとの重量比は、ポリウレタンフォームを製造するための同じ反応プロファイルを維持しながら、従来のアミン触媒の少なくとも20、30、40、50、60、65、70、75、80、85、90、95、97、99、又は100重量%を置き換えるように配合されてもよい。
【0040】
ポリオールブレンドは、少なくとも1つのイソシアネートと反応して、ポリウレタン生成物を形成できる。使用できるイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、アリール脂肪族及び芳香族イソシアネートが挙げられる。好適な芳香族イソシアネートの例としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の4,4’−、2,4’及び2,2’−異性体、それらのブレンド及びポリマー性及びモノマー性MDIブレンド トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、m−及びp−フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ジフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネート−3,3’−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニル−メタン−4,4’−ジイソシアネート及びジフェニルエーテルジイソシアネート及び2,4,6−トリイソシアナトトルエン及び2,4,4’−トリイソシアナトジフェニルエーテルが挙げられる。
【0041】
イソシアネートの混合物、例えばトルエンジイソシアネートの2,4−及び2,6−異性体の市販の混合物が使用されてもよい。粗製ポリイソシアネート、例えばトルエンジアミンの混合物のホスゲン化によって得られる粗製トルエンジイソシアネート又は粗製メチレンジフェニルアミンのホスゲン化によって得られる粗製ジフェニルメタンジイソシアネートが、本発明の実施において使用されてもよい。TDI/MDIブレンドも使用されてもよい。MDI又はTDI系プレポリマーも使用されてもよい;HPPOポリエーテルポリオール、自己触媒ポリオール又はこれまで記載されたようないずれかの他のポリオールのいずれかを用いて製造される。イソシアネート−末端処理プレポリマーは、過剰のポリイソシアネートと、アミン化ポリオール又はそれらのイミン/エナミン又はポリアミンを含むポリオールを反応させることによって調製されてもよい。
【0042】
脂肪族ポリイソシアネートの例としては、エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、上述の芳香族イソシアネートの飽和類縁体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
硬質又は半硬質フォームの製造のために、多くの場合、ポリメチレンポリフェニレンイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネートの2,2’、2,4’及び4,4’異性体及びこれらの混合物が使用できる。可撓性フォームの製造のために、多くの場合、トルエン−2,4−及び2,6−ジイソシアネート又はMDI又はTDI/MDIの組み合わせ又はそれらから製造されたプレポリマーを使用できる。HPPOポリエーテルポリオール及び/又は自己触媒ポリオールに基づくイソシアネート先端処理プレポリマーも、ポリウレタン配合に使用されてもよい。
【0044】
硬質フォームに関して、有機ポリイソシアネートとイソシアネート反応性化合物とは、NCO基の数又は当量をイソシアネート反応性水素原子当量の総数で除し、100を乗じたものとして定義されるイソシアネート指数が、ポリウレタンフォームの場合に、約80〜約500未満、好ましくは約90〜約100、及び組み合わせたポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの場合、約100〜約300の範囲のような量で反応させてもよい。可撓性フォームに関して、このイソシアネート指数は、約50〜約120、好ましくは約75〜約110であってもよい。エラストマー、コーティング、及び接着剤に関して、イソシアネート指数は、約80〜約125、好ましくは約100〜約110であってもよい。
【0045】
ポリウレタン系フォームを製造するために、発泡剤が必要とされる場合がある。可撓性ポリウレタンフォームの製造のために、水が発泡剤として使用されてもよい。水の量は、ポリオール100重量部に基づいて、約0.5〜約10重量部、好ましくは約2〜約7重量部の範囲であってもよい。カルボン酸又は塩も、反応性発泡剤として使用されてもよい。他の発泡剤は、液体又は気体状二酸化炭素、塩化メチレン、アセトン、ペンタン、イソペンタン、メチラール又はジメトキシメタン、炭酸ジメチルであることができる。人工的に低減又は増大した大気圧の使用もまた、本発明で想定できる。
【0046】
硬質ポリウレタンフォームの製造のために、発泡剤としては、水、及び水と炭化水素との混合物、又は完全又は部分的にハロゲン化された脂肪族炭化水素を挙げることができる。水の量は、ポリオール100重量部に基づいて約2〜約15重量部、好ましくは約2〜約10重量部の範囲であってもよい。炭化水素、ヒドロクロロフルオロカーボン、又は水と組み合わせるべきヒドロフルオロカーボンの量は、フォームの所望の密度に依存して選択されてもよく、ポリオール100重量部に基づいて、約40重量部未満、好ましくは約30重量部未満であってもよい。水が追加の発泡剤として存在する場合、それは、総ポリオール組成物の総重量に対して約0.5〜約10、好ましくは約0.8〜約6及びより好ましくは約1〜約4、及びより好ましくは約1〜約3重量部の量で存在してもよい。
【0047】
炭化水素発泡剤は、揮発性C−C炭化水素である。炭化水素の使用は、欧州特許第421269号及び欧州特許第695322号に開示されるように当分野において公知である。一部の実施形態において、炭化水素発泡剤は、ブタン及びそれらの異性体、ペンタン及びそれらの異性体(シクロペンタンを含む)、及びこれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
フルオロカーボンの例としては、フッ化メチル、ペルフルオロメタン、フッ化エチル、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、ペルフルオロエタン、2,2−ジフルオロプロパン、1,1,1−トリフルオロプロパン、ペルフルオロプロパン、ジクロロプロパン、ジフルオロプロパン、ペルフルオロブタン、ペルフルオロシクロブタンが挙げられる。本発明の実施形態に使用するための部分的にハロゲン化されたクロロカーボン及びクロロフルオロカーボンとしては、塩化メチル、塩化メチレン、塩化エチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(FCFC−141b),1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(HCFC−142b),1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCHC−123)及び1−クロロ−1,2,2,2−テトラフルオロエタン(HCFC−124)が挙げられる。
【0049】
完全にハロゲン化されたクロロフルオロカーボンとしては、トリクロロモノフルオロメタン(CFC−11) ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、トリクロロトリフルオロエタン(CFC−113)、1,1,1−トリフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン(CFC−114)、クロロヘプタフルオロプロパン、及びジクロロヘキサフルオロプロパンが挙げられる。ハロカーボン発泡剤が、低沸点炭化水素、例えばブタン、ペンタン(それらの異性体を含む)、ヘキサン、又はシクロヘキサン又は水と組み合わせて使用されてもよい。
【0050】
前述の重要な構成成分に加えて、ポリウレタンポリマーの調製には特定の他の成分が使用されるのが望ましい場合がある。これらの追加成分のうち、界面活性剤、防腐剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、強化剤、安定化剤及び充填剤(リサイクルされたポリウレタンフォームを含む)がある。
【0051】
ポリウレタンフォームの製造において、発泡反応混合物が硬化するまで安定化するためにある量の界面活性剤を使用するのが好ましい場合がある。こうした界面活性剤は、液体又は固体オルガノシリコーン界面活性剤を含んでいてもよい。他の界面活性剤としては、長鎖アルコールのポリエチレングリコールエーテル、三級アミン又は長鎖アルキル酸スルファートエステルのアルカノールアミン塩、アルキルスルホン酸エステル及びアルキルアリールスルホン酸が挙げられる。こうした界面活性剤は、破裂及び大きく不均一なセルの形成に対して、発泡反応混合物を安定化するのに十分な量で使用される。通常、100重量部の総ポリオールあたり、約0.2〜約3重量部の界面活性剤がこの目的のために使用されてもよい。
【0052】
ポリオール(及び水、存在する場合)とポリイソシアネートとの反応のために1つ以上の触媒が使用されてもよい。三級アミン化合物、イソシアネート反応性基を有するアミン、及び有機金属化合物を含むいずれかの好適なウレタン触媒が使用されてもよい。好ましくは、反応は、上述のように不安定アミン又は有機金属触媒の不存在下又は低減された量で行われる。代表的な三級アミン化合物としては、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルエチレンジアミン,ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチル−4−ジメチルアミノエチル−ピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N−エチルモルホリン、ジメチルエタノールアミン、N−ココモルホリン、N,N−ジメチル−N’,N’−ジメチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N−ジエチル−3−ジエチルアミノ−プロピルアミン及びジメチルベンジルアミンが挙げられる。代表的な有機金属触媒としては、有機水銀、有機鉛、有機鉄及び有機スズ触媒が挙げられる。好適なスズ触媒としては、塩化スズ、カルボン酸のスズ塩、例えばジブチルスズジラウレート、並びに他の有機金属化合物、例えば米国特許第2,846,408号に開示される化合物が挙げられる。結果としてポリイソシアヌレートを生じるポリイソシアネートの三量化のための触媒、例えばアルカリ金属アルコキシドも場合により本明細書において使用されてもよい。アミン触媒の量は、配合物中で0.02〜5%で変動でき、又は配合物中で0.001〜1%の有機金属触媒が使用できる。
【0053】
架橋剤又は鎖伸長剤が、必要により添加されてもよい。架橋剤又は鎖伸長剤としては、低分子多価アルコール、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、及びグリセリン;低分子アミンポリオール、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミン;ポリアミン、例えばエチレンジアミン、キシレンジアミン(xlylenediamine)、及びメチレン−ビス(o−クロロアニリン)が挙げられる。こうした架橋剤又は鎖伸長剤の使用は、米国特許第4,863,979号及び同第4,963,399号及び欧州特許第549,120号に開示されるように当分野において公知である。
【0054】
建築に使用するための硬質フォームを調製する場合、難燃剤が添加剤として含まれていてもよい。いずれかの公知の液体又は固体難燃剤は、本明細書に記載されるポリオールと共に使用されてもよい。一般にこうした難燃剤は、ハロゲン置換されたホスフェート及び無機防火剤である。一般的なハロゲン−置換されたホスフェートは、トリクレシルホスフェート、トリス(1,3−ジクロロプロピルホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート及びテトラキス(2−クロロエチル)エチレンジホスフェートである。無機難燃剤としては、赤リン、酸化アルミニウム水和物、三酸化アンチモン、硫酸アンモニウム、膨張グラファイト、尿素又はメラミンシアヌレート又は少なくとも2つの難燃剤の混合物が挙げられる。一般に、存在する場合、難燃剤は、存在する総ポリオール100重量部に対して、約5〜約50重量部、好ましくは約5〜約25重量部の難燃剤のレベルにて添加される。
【0055】
本発明の実施形態によって製造されるフォームのための用途は、産業界で公知の用途である。例えば硬質フォームは、建築業において、並びに電気器具及び冷蔵庫の断熱のために使用されてもよい。可撓性フォーム及びエラストマーは、用途、例えば家具、靴底、自動車シート、サンバイザー、ステアリングホイール、アームレスト、ドアパネル、防音部品及びダッシュボードに有用である。
【0056】
ポリウレタン生成物を製造するための処理は、当分野において周知である。一般にポリウレタン−形成反応混合物の構成成分は、いずれかの都合の良い様式において、例えばG.Oertel,Hanser出版社による「ポリウレタンハンドブック」に記載されるような、その目的のために先行技術において記載される混合装置のいずれかを用いて共に混合されてもよい。
【0057】
ポリウレタン生成物は、注入、流し込み、噴霧、キャスティング、カレンダー加工などによって連続又は不連続に製造されてもよい;これらは、フリーライズ又は成型条件下で、離型剤、インモールドコーティング、又はモールド中に置かれたいずれかのインサート若しくは表面層を使用して又は使用せずに、製造されてもよい。可撓性フォームにおいて、それらは単一又は二重硬度であることができる。
【0058】
硬質フォームを製造するために、公知のワンショットプレポリマー又はセミプレポリマー技術が、衝突混合を含む従来の混合方法と共に使用できる。硬質フォームはまた、スラブ材、成型品、キャビティ充填、吹付けフォーム、起泡フォーム又は他の材料、例えば紙、金属、プラスチック若しくは木質ボードとのラミネートの形態で製造されてもよい。可撓性フォームは、フリーライズ及び成型のいずれかであるが、マイクロセル状エラストマーが通常成型される。
【0059】
本発明の実施形態に従って製造されるポリウレタン生成物は、それらが曝されるビニルフィルムを染色し、それらが曝されるポリカーボネートシートを劣化させる傾向が低く、優れた接着特性を示し(適切な配合物にて)、特定の揮発性三級アミン触媒の使用に関連する「ブルーヘーズ」視覚を生じる傾向が低く、有機金属触媒の低減/排除により環境により優しい。
【0060】
製造されるフォームは、本発明の実施形態によれば、ドイツ自動車工業会VDA278試験方法によって測定される場合に、100万部あたり100部(ppm)未満の総VOC放出を有する。VDA278試験方法は、現実的な条件下で、ポリウレタンフォームからの放出を評価するために自動車産業において使用される標準ポリウレタンフォーム放出試験方法である。100ppm未満のすべての個々の値及び部分範囲は、本明細書に包含され、及び本明細書に開示される;例えば総VOC放出は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、9、10、12.5、15、17.5、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、80、85、90、又は95pmの下限から、5、7、9、10、12.5、15、17.5、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、75、80、85、90、95、96、97、98、又は99ppmの上限までであってもよい。
【0061】
フォームは、本発明の実施形態に従って、VDA278試験方法によって測定される場合に、100万部あたり10部(ppm)未満の総VOCアミン含有量を有していてもよい。10ppm未満のすべての個々の値及び部分範囲は、本明細書に包含され、及び本明細書に開示される;例えばVOCアミン含有量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、又は7.0ppmの下限から、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、又は9.5ppmの上限までであってもよい。
【実施例】
【0062】
次の実施例は、本発明の実施形態を例示するために与えられるが、本発明の範囲を限定することを目的としない。すべての部及びパーセンテージは、特に指示のない限り重量による。
【0063】
次の材料を使用した:
DEOA85% 85%純粋ジエタノールアミン及び15%水。
TEGOSTAB B−8715LF Goldschmidtから入手可能な低曇りのシリコーン系界面活性剤
DABCO 33 LV Air Products and Chemicals Inc.から入手可能なTEDA(トリエチレンジアミン)に基づく三級アミン触媒
NIAX A−1 Crompton Corporationから入手可能な三級アミン触媒。
JEFFCAT ZF−10 Huntsmanから入手可能なヒドロキシル基を含有する三級アミン触媒
JEFFCAT ZR−50 Huntsmanから入手可能なヒドロキシル基を含有する三級アミン触媒
VORANOL CP−4711 The Dow Chemical Companyから入手可能なCHPOプロセスを用いて製造されたPOに基づくEOキャップされた5,000MWのトリオール
VORANOL CP 1421 The Dow Chemical Companyから入手可能な高EO系プロポキシル化トリオールである
ポリオールA HPPOプロセスを用いて製造されたPOに基づく、EOキャップされた5,000MWのトリオール。故にこのポリオールは、HPPOプロセスに基づく以外、Voranol CP 4711と同様である。
ポリオールB 3,3’−N−メチル−ジ−プロピルアミンを用いて開始され、15%のエチレンオキシドを含有する1,700EWのプロポキシル化クアドロールである。POはCHPOプロセスによって製造された。
VORANATE T−80 The Dow Chemical Companyから入手可能なトルエンジイソシアネート(80重量%の2,4−トルエンジイソシアネート及び20重量%の2,6−トルエンジイソシアネート)組成物
SPECFLEX NE−134 The Dow Chemical Companyから入手可能な29.5%のNCO含有量のMDIプレポリマー
SPECFLEX、VORANOL、及びVORANATEは、The Dow Chemical Companyの商標である。
【0064】
すべてのフォームは、25℃に調整された、ポリオール、界面活性剤、架橋剤、触媒及び水を予備ブレンドすることによって製造される。イソシアネートも25℃に調整され、3,000RPMの撹拌下で5秒間添加される。混合後、反応体は、60℃に加熱された30cm×30cm×10cmのアルミニウムモールドに注がれ、続いて閉じられる。このモールドは、予め、Chem−Trendから入手可能な離型剤Klueber41−2013を用いて噴霧されている。5分でのフォーム硬化は、部品を手動でモールドから離型し、内部及び外部欠陥を探すことによって評価される。欠陥がない場合、部品はOKと評価される。反応性は、モールドからの流出時間、すなわち発泡物がモールドベントホールに見え始める時間から測定される。
【0065】
製造から1時間後、フォームは、表面層を排除するために切断され、アルミニウム箔及びプラスチックバッグに包装され、VDA278試験方法に従ってVOC放出について試験される。他のフォーム特性は、ASTM D−3574試験方法に従って試験される。
実施例1、2及び比較例3
【0066】
3つの成型されたフォームを製造する;実施例1〜2のフォーム(E1〜E2)は、ポリオールAに基づくが、比較例フォームCE3は、本発明の一部ではなく、VORANOL CP 4711に基づく。
【0067】
【表1】

【0068】
これらのデータは、HPPO系ポリオールと共に自己触媒ポリオール及び/又は反応性触媒を使用することにより、アミンVOCを含まないフォームを製造できることを示している。
【0069】
実施例4及び比較例5
実施例4のフォーム(E4)は、低レベルでの反応性触媒を有するポリオールA及びポリオールBとの組み合わせに基づく。比較例5のフォーム(CE5)は、本発明の一部ではなく、VORANOL CP 4711及び反応性触媒に基づく。両方のフォームは、同様の反応性を示し、良好なフォーム物理的特性を示す。
【表2】

【0070】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考慮し、本明細書に開示された本発明の実施から当業者に明らかである。明細書及び実施例は、続く特許請求の範囲によって示される本発明の真の範囲及び趣旨に関する例示としてのみ考慮されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオールブレンドであって:
前記ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物;及び
前記ポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つの自己触媒ポリオール及び/又はイソシアネート反応性アミン触媒を含む、前記ポリオールブレンド。
【請求項2】
少なくとも:
少なくとも1つの有機ポリイソシアネート;並びに
少なくとも1つのポリオールブレンドであって:
前記ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物、及び
前記ポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つの自己触媒ポリオールを含む前記ポリオールブレンド、との反応生成物を含むポリウレタン生成物。
【請求項3】
ポリウレタン生成物の製造方法であって:
少なくとも:
少なくとも1つの有機ポリイソシアネートと;
少なくとも1つのポリオールブレンドであって:
前記ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物、及び
前記ポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つの自己触媒ポリオールを含む前記ポリオールブレンド、とを反応させる工程を含む前記方法。
【請求項4】
少なくとも:
少なくとも1つの有機ポリイソシアネートと;
少なくとも1つのポリオールブレンドであって:
前記ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物、及び
前記ポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性アミン触媒を含む前記ポリオールブレンド、との反応生成物を含むポリウレタン生成物。
【請求項5】
前記ポリウレタン生成物の製造方法であって:
少なくとも:
少なくとも1つの有機ポリイソシアネートと;
少なくとも1つのポリオールブレンドであって:
前記ポリオールブレンドの約50〜約99重量%の、約2〜約8の公称始動官能数及び約20〜約800のヒドロキシル数を有する少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール化合物、及び
前記ポリオールブレンドの約1〜約50重量%の、少なくとも1つのイソシアネート反応性アミン触媒を含む前記ポリオールブレンド、とを反応させる工程を含む、前記方法。
【請求項6】
前記ポリオールブレンドがさらに少なくとも1つのエステル基ポリオールを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの自己触媒ポリオールが、少なくとも1つのヒドロペルオキシド系の少なくとも1つのプロピレンオキシドを用いて製造される、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの自己触媒ポリオールが、ヒドロキシル末端キャップ基を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの自己触媒ポリオールが、少なくとも1つの一級及び二級アミン末端キャップ基を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオールがアミン開始される、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの自己触媒ポリオールが、少なくとも2つのポリオールと三級アミン部分とのブレンドを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリオールブレンド、ポリウレタン生成物、又は方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの有機ポリイソシアネートが、過剰のポリイソシアネートと、前記少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオール及び前記少なくとも1つの自己触媒ポリオールの少なくとも1つとの反応生成物であるポリイソシアネートを含む、請求項2から11のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポリオールブレンドが、前記少なくとも1つの自己触媒ポリオール及び前記少なくとも1つのHPPOポリエーテルポリオールの過剰の少なくとも1つと、ポリイソシアネートとの反応生成物であるポリオールを含む、請求項2から12のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。
【請求項14】
前記ポリウレタン生成物が、前記VDA278試験方法によって測定される場合に、100万部あたり100部未満(ppm)の総VOC放出を有する、請求項2から13のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。
【請求項15】
前記ポリウレタン生成物が、前記VDA278試験方法によって測定される場合に、85部ppm未満の総VOC放出を有する、請求項2から13のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。
【請求項16】
前記ポリウレタン生成物が、VDA278試験方法によって測定される場合に、70部ppm未満の総VOC放出を有する、請求項2から13のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。
【請求項17】
ポリウレタン生成物が、VDA278試験方法によって測定される場合に、10部ppm未満の総アミンVOC放出を有する、請求項2から13のいずれか一項に記載のポリウレタン生成物又は方法。

【公表番号】特表2012−519749(P2012−519749A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−552960(P2011−552960)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/023558
【国際公開番号】WO2010/101700
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】