説明

HPVの検出法

【課題】ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に関連した配列の検出および特性付けのための組成物および方法を提供する。
【解決手段】HPV配列の集団のいずれか一つの存在について、たとえば患者由来の核酸試料をスクリーニングするための侵入型切断構造アッセイ法(たとえば、INVADERアッセイ法)を使用するための組成物、方法、およびキット。また、単一反応容器中でHPV配列のセットをスクリーニングするための組成物、方法、およびキット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、基礎研究、臨床研究に使用するための、および臨床的検出アッセイ法の開発のための核酸検出アッセイ法に関連した、方法および組成物を提供する。特に、本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)配列を特徴づけるための方法を提供する。なお本出願は、2003年9月25日に出願された米国仮出願第60/505,786号(その全体が本明細書に参照として組み入れられる)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
子宮頚癌は、全ての女性の癌のほぼ10%の原因であり、開発途上国における女性の癌の主因である(Franco, E.L. et al., Can Med Assoc J. 2001; 164: 1017-25(非特許文献1))。本疾患で発病率が最も高い地域とは、一般に死亡率が最も高い地域であり、中央アメリカ、アフリカ、およびカリブ海諸国(Carribean)を含む(Ferlay, J. et al., 1998. IARC CancerBase no. 3. Lyon: IARCPress(非特許文献2))。欧州および北米での発病率は、おそらくパパニコロー(Pap)スメア試験によるルーチンのスクリーニングの出現により、過去50年を通して急激に低下した(Franco et al., ibid(非特許文献1)に概説)。子宮頚癌は、最も予防可能な癌のうちの1つであり、生存は、診断時の疾患の段階に直接関連している。5年生存率は、遠隔疾患と診断された女性について13%であるのに対し、局在疾患の初診である女性について88%である(Report of the Gynecologic Cancers Progress Review Group, November 2001, National Cancer Institute(非特許文献3))。米国において子宮頚癌と診断される50%以上の女性は、過去3年にPapスメア試験を受けていなかった(Wright, T.C. et al., JAMA. 2000;283:81-6(非特許文献4))。
【0003】
Papスクリーニングは、未だ、癌性および前癌性の子宮頚部の病変を検出する主な方法であり、米国において50,000,000人以上の女性が、各年にPapスクリーニングを受ける(Wright, T.C. et al., JAMA 2002;287:2120-29(非特許文献5))。その広範囲にわたる使用にもかかわらず、Papスメア試験は、部分的に有効であるだけで、いくつかの評価では、従来のPapスメア試験の感受性が50〜60%(Lorincz, A.T. and Richart, R.M., (Arch Pathol Lab Med. 2003;127:959-68(非特許文献6); Nanda, K. et al., 2000. Ann Intern Med 132:810.(非特許文献7); Fahey MT, et al., Am J Epidemiol. 1995;141:680-9(非特許文献8); Myers ER, McCrory DC, Subramanian S, et al., Obstet Gynecol. 2000;96:645-52.(非特許文献9))または70〜80% (Clavel, C. et al., 2001. Br J Cancer 84:1616(非特許文献10))になる。液体に基づいた試験などの、細胞学的スクリーニングおよびサンプリングにおける最近の革新により、これらの方法の感受性が75〜95%に改善された(Lorincz, A.T. et al., ibid(非特許文献6); Nanda, K. et al., ibid(非特許文献7); Hutchinson ML, Zahniser DJ, Sherman ME, et al., Cancer. 1999;87:48-55.(非特許文献11))。それにもかかわらず、これらの改善された方法でさえ、かなりの部分の異常、および多くの場合は前癌性細胞を検出することができない。一旦同定されれば、特定の付随する危険因子および臨床症状に応じて、有意性(ASCUS)が未決定の非典型的扁平細胞をもつ患者は、種々のレベルのモニタリングおよび治療に供される(Wright, T. C. et al., JAMA 2002, ibid(非特許文献5)に概説)。
【0004】
ヒト乳頭腫ウイルス属(HPV)は、原発性、およびおそらく子宮頚癌のみの原因として同定され(Munoz N、Bosch FX、de Sanjose S、et al., Int J Cancer 1992;52:743-9(非特許文献12);Bosch FX, Lorincz A, Munoz N, Meijer Shah KV., Clin Pathol 2002;55:244-65(非特許文献13))、全症例の99.7%にも関係している(Wallboomers, J. M. et al., 1999. J Pathol 189:12-19(非特許文献14))。HPVゲノムは、8つの遺伝子を含む、8kbの、環状の二本鎖DNAであり、全てが同じ鎖上にコードされる。200もの異なるHPV型がヒトにおいて同定されており(Burd, E. M. Clin Microbiol Rev. 2003;16:1-17(非特許文献15))、これらの約40の型が生殖器官に感染することができることが見いだされた(Munoz, N. N Engl J Med 2003;348:518-27.(非特許文献16))。なおさらなる分類により、子宮頚癌の発症に関して高リスクおよび低リスクのウイルス型が同定された。高リスク型の数は13〜19株の間であると推定され、中でも2つの株、HPV 16および18が、被検者の年齢および地理的位置に応じて、共に55〜85%もの感染を占めている(Munoz、N., ibid(非特許文献16))。主な低リスク株は、HPV 6および11であり、これらにより、生殖器いぼを生じる可能性がある(Burd、E. M., ibid(非特許文献15)に概説)。
【0005】
分子生物学的方法の進歩と併せて、子宮頚癌の原因物質としての一定の高リスクHPV株の解明により、HPV感染の防止および検出の両方に利用できる方法の範囲が拡大された。最も一般的な高リスクHPV株のためのワクチンは、現在臨床試験中である(Koutsky, LA. et al., 2002. NEJM 347:1645-51(非特許文献17))。そのうえ、一部の当局は、従来の細胞学的方法と併せて、またはいくつかの場合において、その代わりに使用するためのHPV DNAスクリーニングを必要としている(Wright, T.C. and Schiffman, M. N. Engl. J. Med, 2003; 348: 489-90(非特許文献18))。1999年3月におけるFDAによって承認されたHYBRID CAPTURE II(HCII)試験(Digene, Gaithersburg, MD)を含む種々の代わりのDNAに基づいた検査法が導入された。HYBRID CAPTURE法は、相補RNAプローブに対する標的DNAのハイブリダイゼーションに依存する。生じるRNA-DNAハイブリッドを、表面結合抗体、およびアルカリホスファターゼ抱合抗体によって認識して、適切な基質の存在下において化学発光シグナルを生じさせる(Lorincz, A. T. J Obstet Gynaecol Res. 1996;22:629-36(非特許文献19);および米国特許第4,908,306号(特許文献1)、並びに関連特許および出願)。さらに代わりの方法は、米国特許第6,583,278号(特許文献2)に記載されているものなどの、PCRまたはサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ法に使用するための配列特異的プローブの使用を含む。その他の方法は、米国特許第5,447,839号(特許文献3)および関連出願のように、特異的な株の選択的増幅のための種々のPCRプライマーに依存する。さらに他の方法は、国際公開公報第00/24760A1号(特許文献4)に記載された、単離された子宮頚部細胞に対する配列特異的プローブのインサイチューハイブリダイゼーションに依存する(たとえば、INFORM HPV, Ventana Medical Systems, Inc., Tuscon, AZ(非特許文献20); Qureshi MN et al., Diagn. Cytopathol. 2003;29:149-155(非特許文献21))。
【0006】
従って、子宮頚部試料における高リスク株によるHPV感染を検出するための、迅速な、感受性の、かつ高度に定量的な、直接検出アッセイ法の必要が存在する。現在の分子的方法に対する信頼性を考えると、HPV感染を検出する、迅速な定量的方法に対する持続的かつ増加する必要が存在する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,908,306号
【特許文献2】米国特許第6,583,278号
【特許文献3】米国特許第5,447,839号
【特許文献4】国際公開公報第00/24760A1号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Franco, E.L. et al., Can Med Assoc J. 2001; 164: 1017-25
【非特許文献2】Ferlay, J. et al., 1998. IARC CancerBase no. 3. Lyon: IARCPress
【非特許文献3】Report of the Gynecologic Cancers Progress Review Group, November 2001, National Cancer Institute
【非特許文献4】Wright, T.C. et al., JAMA. 2000;283:81-6
【非特許文献5】Wright, T.C. et al., JAMA 2002;287:2120-29
【非特許文献6】Lorincz, A.T. and Richart, R.M., Arch Pathol Lab Med. 2003;127:959-68
【非特許文献7】Nanda, K. et al., 2000. Ann Intern Med 132:810.
【非特許文献8】Fahey MT, et al., Am J Epidemiol. 1995;141:680-9
【非特許文献9】Myers ER, McCrory DC, Subramanian S, et al., Obstet Gynecol. 2000;96:645-52.
【非特許文献10】Clavel, C. et al., 2001. Br J Cancer 84:1616
【非特許文献11】Hutchinson ML, Zahniser DJ, Sherman ME, et al., Cancer. 1999;87:48-55.
【非特許文献12】Munoz N、Bosch FX、de Sanjose S、et al., Int J Cancer 1992;52:743-9
【非特許文献13】Bosch FX, Lorincz A, Munoz N, Meijer Shah KV., Clin Pathol 2002;55:244-65
【非特許文献14】Wallboomers, J. M. et al., 1999. J Pathol 189:12-19
【非特許文献15】Burd, E. M. Clin Microbiol Rev. 2003;16:1-17
【非特許文献16】Munoz, N. N Engl J Med 2003;348:518-27.
【非特許文献17】Koutsky, LA. et al., 2002. NEJM 347:1645-51
【非特許文献18】Wright, T.C. and Schiffman, M. N. Engl. J. Med, 2003; 348: 489-90
【非特許文献19】Lorincz, A. T. J Obstet Gynaecol Res. 1996;22:629-36
【非特許文献20】INFORM HPV, Ventana Medical Systems, Inc., Tuscon, AZ
【非特許文献21】Qureshi MN et al., Diagn. Cytopathol. 2003;29:149-155
【発明の概要】
【0009】
本発明は、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV)に関連した配列の検出および特性付けのための組成物および方法を提供する。より詳細には、本発明は、HPVに関連した一まとまりの配列の任意の1つまたは複数の存在について、たとえば患者からの核酸試料をスクリーニングするための侵入型切断構造アッセイ法(たとえば、INVADER アッセイ法、Third Wave Technologies, Madison, Wisconsin)を使用するための組成物、方法、およびキットを提供する。また、本発明は、単一反応容器中で異なるHPV配列のセットをスクリーニングするための組成物、方法、およびキットを提供する。本発明は、組み込まれた、および/または組み込まれていないウイルス配列を検出するために使用してもよい。
【0010】
その他の態様において、本発明の方法および組成物で使用するために適した合成DNAは、たとえば、米国特許第6,291,187号および第6,323,009号、並びにPCT出願国際公開公報第01/88190号および国際公開公報第02/00934号(それぞれ、その全体が全ての目的のために本明細書に参照として組み入れられる)に提供されたように、多重プライミングされたゲノムDNAに対して精製したポリメラーゼを使用して作製される。これらの態様では、ゲノムDNAなどのDNAの増幅は、高度に進化性のΦ29ポリメラーゼ(たとえば、米国特許第5,198,543号および第5,001,050号(それぞれ、その全体が全ての目的のために本明細書に参照として組み入れられる)に記載されている)などのDNAポリメラーゼを、六量体などのエキソヌクレアーゼ耐性ランダムプライマーと併せて使用して達成される。
【0011】
本方法は、標的核酸の性質によって限定されない。一部の態様において、標的核酸は、一本鎖もしくは二本鎖DNAまたはRNAである。一部の態様において、二本鎖核酸は、切断構造の形成の前に一本鎖として与えられる(たとえば、熱によって)。一部の態様において、標的核酸の供与源は、ゲノムDNAを含む試料を含む。試料は、組織切片、血液、唾液、大脳髄液、胸腔内液、乳、リンパ液、痰、および精液を含が、これらに限定されるわけではない。
【0012】
一部の態様において、本発明は、以下の工程を含むHPV配列を検出する方法または癌を診断するための方法を提供する:a)i)被検者からの試料;およびii)オリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含む組成物(たとえば、本明細書に記載されている)を提供する工程;並びにb)少なくとも1つのHPV配列の有無が決定されるように、該組成物と該試料を接触させる工程。一部の態様において、試料は、組織切片、血液試料、口スワブ試料、唾液試料、または被検者からのその他の体液試料である。
【0013】
一部の態様において、本発明は、第1および第2のオリゴヌクレオチドの使用を含む、試料中の少なくとも1つのHPV配列を検出するための方法を提供するが、ここでオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのHPV配列を含む標的配列をもつ侵入型切断構造を形成するように構成される。一部の態様において、第1のオリゴヌクレオチドが、5'部分および3'部分を含み、3'部分が、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ5'部分が、標的配列にハイブリダイズしないように構成される。一部の態様において、第2のオリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ3'部分が、標的配列にハイブリダイズしないように構成される。好ましい態様において、第1および第2のオリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1〜5、7〜62、64〜67、69〜70、73〜116、および122〜193からなる群より選択される。
【0014】
一部の態様において、本発明は、以下の工程を含む試料中のHPV核酸の有無を検出するための方法を提供する:核酸を含む試料と少なくとも1つのHPV核酸を検出するように構成された侵入型切断アッセイ法とを提供する工程、および少なくとも1つのHPV核酸を検出することができるような条件下で検出アッセイ法に試料を曝露する工程、および試料中のHPV核酸の有無を検出する工程。一部の態様において、検出する工程は、試料中に存在するHPV1つまたは複数の株を同定する工程を含む。他の好ましい態様において、HPV株は、HPV 16、16Ty2、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、58iso、59、66、67、68、68var、69、70、または82からなる群より選択されるが、これらに限定されるわけではない。一部の態様において、核酸は、該曝露工程の前に増幅される。
【0015】
一部の態様において、本発明は、以下の工程を含む試料中のHPV核酸の有無を検出するための方法を提供する:第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを使用して試料を処置する工程であって、オリゴヌクレオチドが、侵入型切断反応を形成するように構成される工程、およびHPV核酸の有無を検出する工程。特定の態様において、オリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 1〜5、7〜62、64〜67、69〜70、73〜116、および122〜193からなる群より選択されるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、標的HPV核酸と1つまたは複数のミスマッチを個々に含む。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、非HPV核酸配列にハイブリダイズするか、または2つがHPVの2以上の株にハイブリダイズするように構成される。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドとHPV標的核酸との間の安定なハイブリダイゼーション二重鎖が形成されないように構成される。
【0016】
一部の態様において、標的核酸は、ゲノムDNAまたはmRNAを含む。その他の態様において、標的核酸は、合成DNAまたはRNAを含む。いくつかの好ましい態様において、試料内の合成DNAまたはRNAは、精製したポリメラーゼを使用して作製される。いくつかの好ましい態様において、精製したポリメラーゼを使用する合成DNAの作製は、PCRの使用を含む。いくつかの好ましい態様において、合成DNAの作製は、RNA-DNA複合体プライマー(たとえば、米国特許第6,251,639号(その全体が本明細書に参照として組み入れられる)に開示されたように)を使用する増幅のための方法および組成物の使用を含む。その他の好ましい態様において、本発明の方法で使用するために適した精製されたDNAポリメラーゼを使用する合成DNAの作製は、(たとえば、米国特許第6,210,884号、第6,183,960号、および第6,235,502号(その全体が本明細書に参照として組み入れられる)記載の)ローリングサークル増幅(rolling circle amplification)の使用を含む。その他の好ましい態様において、合成DNAの作製は、たとえば米国特許第6,410,278号(その全体が、本明細書に参照として組み入れられる)に記載されているように、ループ形成配列を含む核酸を使用する増幅を含む。
【0017】
一部の態様において、本発明は、単一反応容器中で複数のHPV株を検出するように構成された方法およびキットを提供する(たとえば、4回以下の反応で全ての高リスク株を検出するキットおよび方法)。従って、本発明は、プールされた検出アッセイ法構成要素を含むキットおよび方法を提供する。いくつかの好ましい態様において、プールされた検出アッセイ法構成要素中の単一のオリゴヌクレオチドは、2以上のHPV標的株の存在下において侵入型切断構造に加わるように構成される。また、プールされた検出アッセイ法構成要素は、侵入型切断技術以外の検出技術を使用する方法およびキットにおける使用も見いだされる。たとえば、本発明に提供されるHPV配列の検出のためのプールされた検出アッセイ法(たとえば1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを、単一反応で複数のHPV配列を検出する際に使用することが見いだされる場合)は、酵素ミスマッチ切断法(たとえば、Variagenics、米国特許第6,110,684号、第5,958,692号、第5,851,770号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);ポリメラーゼ連鎖反応法;分枝ハイブリダイゼーション法(branched hybridization methods)(たとえば、Chiron、米国特許第5,849,481号、第5,710,264号、第5,124,246号、および第5,624,802号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);ローリングサークル複製(たとえば、米国特許第6,210,884号、第6,183,960号、および第6,235,502号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);NASBA(たとえば、米国特許第5,409,818号、その全体が本明細書に参照として組み入れられる);分子ビーコン技術(たとえば、米国特許第6,150,097号、その全体が本明細書に参照として組み入れられる);Eセンサー技術(Motorola、米国特許第6,248,229号、第6,221,583号、第6,013,170号、および第6,063,573号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);サイクリングプローブ技術(cycling probe technology)(たとえば、米国特許第5,403,711号、第5,011,769号、および第5,660,988号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);ダデベーリングシグナル増幅法(Dade Behring signal amplification methods)(たとえば、米国特許第6,121,001号、第6,110,677号、第5,914,230号、第5,882,867号、および第5,792,614号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる);リガーゼ連鎖反応(Barnay Proc. Natl. Acad. Sci USA88, 189-93(1991));並びにサンドイッチハイブリダイゼーション法(たとえば、米国特許第5,288,609号、その全体が本明細書に参照として組み入れられる)を非限定的に含む検出アッセイ法における使用を見いだしてもよい。
【0018】
一部の態様において、本発明は、少なくとも1つのHPV配列を検出するために構成された非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキットまたは組成物を提供する。その他の態様において、非増幅オリゴヌクレオチド検出アッセイ法は、該少なくとも1つのHPV配列を含む標的配列と併せて、侵入型切断構造を形成するように構成された第1および第2のオリゴヌクレオチドを含む(たとえば、INVADERアッセイ法)。特定の態様において、第1のオリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、3'部分は、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ5'部分は、標的配列にハイブリダイズしないように構成される。その他の態様において、第2のオリゴヌクレオチドは、5'部分および3'部分を含み、5'部分は、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ3'部分は、標的配列にハイブリダイズしないように構成される。
【0019】
一部の態様において、本発明は、SEQ ID NO: 1〜193からなる群より選択される1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含む、HPV配列を検出するために構成されたオリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキットを提供する。特定の態様において、1つまたは複数の反応に1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを併用することにより、複数のHPV株が同時に検出される。好ましい態様において、HPV核酸配列に対して完全に相補的なオリゴヌクレオチドは存在しない。一部の態様において、オリゴヌクレオチドが、検出される任意の標的配列に対して完全に相補的ではない配列を含む。好ましい態様において、全ての高リスクHPV株が、4回以下の反応で検出される。その他の好ましい態様において、全ての高リスクHPV株を、3回以下の反応で検出することができる。
【0020】
一部の態様において、本発明は、全ての高リスクHPV株を検出するために構成されたオリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキットを提供する。好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、HPV株の核酸配列に対して完全に相補的ではない。さらなる好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、単一のHPV核酸の複数領域にハイブリダイズする(たとえば、検出における重複性を提供する)。さらなる好ましい態様において、オリゴヌクレオチドは、SEQ ID NO: 77〜116および122〜193からなる群より選択される。
【0021】
一部の態様において、検出されるHPV配列は、下記の表1に見いだされるものまたはこれらの変異体のいずれかである。配列が経時的に発散していくと考えられること、および、現在知られているまたは後に発見されるその他のHPV多様性が、本明細書における記述に従って容易に本発明の方法および組成物に適応できることが理解される。
【0022】
【表1】



【0023】
ある態様において、オリゴヌクレオチド検出アッセイ法は、シーケンシングアッセイ法、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイ法、ハイブリダイゼーションアッセイ法、突然変異に相補的なプローブを使用するハイブリダイゼーションアッセイ法、マイクロアレイアッセイ法、ビーズアレイアッセイ法、プライマー伸長アッセイ法、酵素ミスマッチ切断アッセイ法、分枝ハイブリダイゼーションアッセイ法、ローリングサークル複製アッセイ法、NASBAアッセイ法、分子ビーコンアッセイ法、循環プローブアッセイ法、リガーゼ連鎖反応アッセイ法、侵入型切断構造アッセイ法、ARMSアッセイ法、およびサンドイッチハイブリダイゼーションアッセイ法から選択される。
【0024】
また、本発明は、完全に標的核酸に対して相補的ではないプローブ配列を使用することによって標的核酸を検出する方法を提供する。たとえば、本発明は、以下の工程を含むミスマッチプローブ配列を使用することによって標的配列を検出するためのキットおよび方法を提供する:a)標的核酸を含むことが疑われる試料を提供する工程;b)該標的核酸に対して相補的である領域を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドに対して試料を曝露する工程であって、該領域は、該標的核酸に対して完全に相補的な第1の部分、該標的核酸に対して相補的ではない(たとえば、ミスマッチ)該第1の部分に隣接する第2の部分、および標的核酸に対して完全に相補的である該第2の部分に隣接する第3の部分を有する工程;並びにc)1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である配列または1つもしくは複数のオリゴヌクレオチドの該領域が検出されない(すなわち、完全にオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの領域に対して相補的ではない配列のみが検出される)ような条件下で、標的核酸を検出する工程。従って、試料がオリゴヌクレオチドに、または領域に完全に相補物を含む場合でさえも、このような完全な相補物は、検出されない。これは、たとえば、2つ以上のオリゴヌクレオチドであって、これらの協調された作用を介して非一致標的配列に対して特異性を提供するが、完全な補体を検出しないオリゴヌクレオチドの使用を介して実施することができる。INVADERアッセイ法、ライゲーションを使用する方法、ポリメラーゼ連鎖反応法、その他は、このような検出を可能にする方法の例である。また、プローブが、検出されるかもしれない試料中のいずれの配列に対しても完全に相補的ではないことを保証するのに十分な長さである場合、これは、ハイブリダイゼーション法において単一のプローブ配列で実施することができる。
【0025】
一部の態様において、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドの領域は、標的核酸に対して2つ以上(たとえば、3、4、5、6...)のミスマッチを含む。一部の態様において、領域は、標的核酸に対して完全に相補的である20よりも少ない(たとえば、15、12、10、9、8、7、6...よりも少ない)連続したヌクレオチドを含む。一部の態様において、1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、鋳型として標的核酸を使用する酵素伸張反応でプライマーを伸長することによって(たとえば、ポリメラーゼ連鎖反応法で)作製される。一部の態様において、標的核酸は、ウイルスの標的核酸(たとえば、HPV)である。一部の態様において、標的核酸は、ウイルスゲノムの保存された領域である(すなわち、ウイルスの異なる株またはファミリーメンバー間で高度に保存された領域)。たとえば、HPVゲノムのLCR、E6、およびE7領域は、保存された配列を含む。
【0026】
定義
本発明の理解を容易にするために、多くの用語および表現を下記に定義する。
【0027】
本明細書に使用される「被検者」および「患者」という用語は、植物、微生物、および動物(たとえば、イヌ、ネコ、家畜、およびヒトなどの哺乳類)を含む任意の生物体を指す。
【0028】
本明細書に使用される、「INVADERアッセイ試薬」という用語は、標的配列を検出するための1つまたは複数の試薬であって、標的配列の存在下において侵入型切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを含む該試薬を指す。一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、侵入型切断構造の存在を検出するための薬剤(たとえば、切断薬剤)をさらに含む。一部の態様において、オリゴヌクレオチドは、第1および第2のオリゴヌクレオチドを含み、該第1のオリゴヌクレオチドは、標的核酸の第1の領域に対して相補的な5'部分を含み、かつ該第2のオリゴヌクレオチドは、3'部分および5'部分を含み、該5'部分は、第1の部分の下流の、および隣接した標的核酸の第2の領域に対して相補的である。一部の態様において、第2のオリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に相補的ではない3'末端ヌクレオチドを含む。好ましい態様において、第2のオリゴヌクレオチドの3'部分は、標的核酸に対して相補的ではない単一のヌクレオチドからなる。
【0029】
一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、二本鎖領域を含む介在領域によって分離された第1および第2の不連続一本鎖領域を含む標的核酸配列を検出するように構成される。好ましい態様において、INVADERアッセイ試薬は、標的核酸配列の該第1および第2の不連続一本鎖領域に対して結合することができる架橋オリゴヌクレオチドを含む。特に好ましい態様において、該INVADERアッセイ試薬の該第1もしくは該第2のオリゴヌクレオチドのいずれか、または両方ともが、架橋オリゴヌクレオチドである。
【0030】
一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、固体支持体をさらに含む。たとえば、一部の態様において、アッセイ試薬の1つまたは複数のオリゴヌクレオチド(たとえば、架橋または非架橋であるかにかかわらず、第1および/または第2のオリゴヌクレオチド)は、該固体支持体に付着されている。一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、緩衝液をさらに含む。いくつかの好ましい態様において、緩衝液は、二価の陽イオン(たとえば、Mn2+および/またはMg2+イオン)の供与源を含む。ひとまとめにしてINVADERアッセイ試薬を構成する個々の構成要素(たとえば、オリゴヌクレオチド、酵素、緩衝液、標的核酸)は、「INVADERアッセイ試薬構成要素」である。
【0031】
一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、第1の標的核酸の第1の部分の上流の標的核酸の第3の部分に対して相補的な第3のオリゴヌクレオチドをさらに含む。さらにその他の態様において、INVADERアッセイ試薬は、標的核酸をさらに含む。一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、第2の標的核酸をさらに含む。さらにその他の態様において、INVADERアッセイ試薬は、第2の標的核酸の第1の領域に対して相補的な5'部分を含む第3のオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの特定の態様において、第3のオリゴヌクレオチドの3'部分は、第2の標的核酸に対して共有結合性に連結されている。その他の特定の態様において、第2の標的核酸は、5'部分をさらに含み、第2の標的核酸の5'部分は、第3のオリゴヌクレオチドである。さらに他の態様において、INVADERアッセイ試薬は、ARRESTOR分子(たとえば、ARRESTORオリゴヌクレオチド)をさらに含む。
【0032】
いくつかの好ましい態様において、INVADERアッセイ試薬は、核酸切断産物を検出するための試薬をさらに含む。一部の態様において、INVADERアッセイ試薬の1つまたは複数のオリゴヌクレオチドは、標識を含む。いくつかの好ましい態様において、該第1のオリゴヌクレオチドは、標識を含む。その他の好ましい態様において、該第3のオリゴヌクレオチドは、標識を含む。特に好ましい態様において、本試薬は、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる部分で標識された第1のおよび/または第3オリゴヌクレオチドを含む。
【0033】
一部の態様において、1つまたは複数のINVADERアッセイ試薬は、予め分配された(すなわち、再測定または再分配を伴わずに手順の工程に使用するために予め測定された)形式で提供されてもよい。一部の態様において、選択されたINVADERアッセイ試薬構成要素は、共に混合されて、予め分配される。好ましい態様において、予め分配されたアッセイ試薬構成要素は、予め分配され、反応器に(たとえば、マイクロタイタープレートと同様に、反応チューブまたはウェルを含むが、これらに限定されるわけではない)提供される。特に好ましい態様において、予め分配されたINVADERアッセイ試薬構成要素は、反応器中で乾燥される(たとえば、乾燥保存または凍結乾燥される)。
【0034】
一部の態様において、INVADERアッセイ試薬は、キットとして提供される。本明細書に使用される、「キット」という用語は、材料を送達するための任意の送達系を指す。反応アッセイ法に関して、このような送達系は、1つの位置から別の位置に反応試薬(たとえば、適切な容器内のオリゴヌクレオチド、酵素、その他)および/または補助材料(たとえば、アッセイ法、その他を行うための緩衝液、書面の説明書)の貯蔵、輸送、または送達を可能にする系含む。たとえば、キットは、関連した反応試薬および/または補助材料を含む1つもしくは複数の封入物(たとえば、箱)を含む。本明細書に使用される「細分化キット」という用語は、2つ以上の別々の容器であって、それぞれが総キット構成要素の一部分(subportion)を含む容器を含む送達系を指す。容器は、共に、または別々に、企図されたレシピエントに送達してもよい。たとえば、第1の容器は、アッセイ法に使用するための酵素を含んでもよく、一方、第2の容器は、オリゴヌクレオチドを含む。「細分化キット」という用語は、米連邦食品医薬品化粧品法(Federal Food, Drug, and Cosmetic Act)のセクション520(e)により規制された検体特異試薬(Analyte specific reagents)(ASR's)を含むキットを包含することが企図されるが、これらに限定されるわけではない。実際に、全キット構成要素の下位部分をそれぞれに含む2つ以上の別々の容器を含む任意の送達系は、「細分化キット」という用語に含まれる。対照的に、「組み合わせキット」は、単一の容器に反応アッセイ法の構成要素の全てを含む送達系を指す(たとえば、所望の構成要素のそれぞれを収納する単一の箱)。「キット」という用語は、細分化および組み合わせの両方のキットを含む。
【0035】
一部の態様において、本発明は、本発明を実施するために必要な構成要素の1つまたは複数を含むINVADERアッセイ試薬キットを提供する。たとえば、本発明は、INVADERアッセイ法を実施するために必要な酵素および/または反応構成要素を格納し、または送達するためのキットを提供する。キットは、試薬自体、緩衝剤、対照試薬(たとえば、組織試料、陽性および陰性対照標的オリゴヌクレオチド、その他)、固体支持体、標識、書面のおよび/または画像の説明書並びに製品情報、ソフトウェア(たとえば、データを収集し、解析するため)、阻害剤、ラベリングおよび/または検出試薬、パッケージ環境調節物(たとえば、氷、乾燥剤、その他)などを含む(しかし、これらに限定されるわけではない)アッセイ法のために必要であるか、または要求される任意のおよび全ての構成要素を含んでもよい。一部の態様において、キットは、使用者が残りの構成要素を供給することが予想されるサブセットの必要とされる構成要素を提供する。一部の態様において、キットは、それぞれの容器が送達される構成要素のサブセットを収容する2つ以上の別々の容器を含む。たとえば、第1の容器(たとえば、箱)は、酵素を含んでもよく(たとえば、適切な貯蔵緩衝液および容器中の構造特異的切断酵素)、一方、第2の箱は、オリゴヌクレオチドを含んでもよい(たとえば、INVADERオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、対照標的オリゴヌクレオチド、その他)。
【0036】
本明細書に使用される「標識」という用語は、検出可能な(好ましくは、定量化可能な)効果を提供するために使用することができ、かつ核酸またはタンパク質に付着することができる任意の原子または分子を指す。標識は、色素;32pなどの放射標識;ビオチンなどの結合部分;ジゴキシゲニン(digoxgenin)などのハプテン;燐光発生性(luminogenic)、リン光性、または蛍光発生性部分;質量タグ;および蛍光色素を単独で、または蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)による発光スペクトルを抑制もしくは変化することができる部分と併せて含むが、これらに限定されるわけではない。標識により、蛍光、放射能、比色、重量測定、X線回折または吸収、磁気、酵素活性、質量または質量による影響を受ける挙動の特徴(たとえば、MALDI飛行時間型質量分析)などによって検出可能なシグナルを提供してもよい。標識は、荷電した部分(正または負電荷)であってもよく、または代わりに、電荷中性であってもよい。標識は、標識を含む配列が検出可能である限り、核酸もしくはタンパク質配列を含むことができ、またはこれらからなることができる。
【0037】
本明細書に使用される、シグナルに関して「別の」という用語は、たとえば蛍光放射波長、色、吸光度、質量、大きさ、蛍光偏光性質、電荷などにより、または化学試薬、酵素、抗体などとのような、別の部分との相互作用の能力により、別のものから識別されたものであり得るシグナルを指す。
【0038】
本明細書に使用される「相補的な」または「相補性」という用語は、塩基対形成ルールにより関係づけられたポリヌクレオチド(すなわち、オリゴヌクレオチドまたは標的核酸などのヌクレオチドの配列)に関して使用される。たとえば、配列「5'-A-G-T-3'」については、配列「3'-T-C-A-5'」に相補的である。相補性は、核酸の塩基の一部のみが塩基対形成ルールに従って一致している「部分的」でもあり得る。または、核酸間に「完全な」もしくは「全体の」相補性があり得る。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率および強度に対して有意な効果を生じる。これは、核酸間の結合に依存する増幅反応、および検出法において特に重要である。どちらの用語も、個々のヌクレオチドに関して、特にポリヌクレオチドの関係の中で使用することができる。たとえば、オリゴヌクレオチド内の特定のヌクレオチドを、残りのオリゴヌクレオチドと核酸鎖との間の相補性と対比または比較して、別の核酸鎖内のヌクレオチドに対するその相補性、またはその欠如について注目してもよい。
【0039】
「相同性」および「相同的な」という用語は、同一性の程度を指す。部分的な相同性または完全な相同性があり得る。部分的に相同的な配列は、別の配列と100%未満同一であるものである。
【0040】
本明細書に使用される、「ハイブリダイゼーション」という用語は、相補的核酸の対形成に関して使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、核酸間の会合の強度)は、核酸間の相補性の程度、関係する条件のストリンジェンシー、および形成されるハイブリッドのTmなどの因子による影響を受ける。「ハイブリダイゼーション」法は、一つの核酸の、もう一つの相補的核酸、すなわち相補的ヌクレオチド配列を有する核酸に対するアニーリングを含む。相補的配列を含む核酸の2つの重合体が、互いに見出して塩基対形成を通してアニールする能力は、十分に認識された現象である。Marmur and Lane, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:453 (1960)およびDoty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 46:461 (1960)による「ハイブリダイゼーション」過程の最初の観察は、その後にこの過程を現代生物学の必須のツールへと改良されることになった。
【0041】
本明細書に使用される核酸配列の相補体は、一方の配列の5'末端が他方の3'末端と対形成されるように核酸配列と整列される場合、「逆平行会合」にあるオリゴヌクレオチドを指す。天然の核酸に一般には見出されない特定の塩基が、本発明の核酸に含まれてもよく、たとえばイノシンおよび7-デアザグアニンを含む。相補性は、完全である必要はなく;安定な二重鎖は、ミスマッチのある塩基対または一致していない塩基を含んでもよい。核酸技術の当業者であれば、たとえばオリゴヌクレオチドの長さ、オリゴヌクレオチドの塩基組成および配列、イオン強度、並びにミスマッチする塩基対の出現率を含む多くの変数を経験的に考慮して、二重鎖安定性を決定することができる。
【0042】
本明細書に使用される「Tm」という用語は、「融解温度」に関して使用される。融解温度は、二本鎖核酸分子の集団の半分が一本鎖に解離する温度である。核酸のTmを計算するためのいくつかの方程式が当技術分野において周知である。標準的な参照文献により示されるように、Tm値の簡単な推定値は、核酸が1 M NaClの水溶液中にある場合、方程式:Tm=81.5+0.41(% G+C)により計算され得る(たとえば、Anderson and Young, Quantitative Filter Hybridization, in Nucleic Acid Hybridization (1985)を参照されたい)。他の参照文献(たとえば、Allawi, H.T. & SantaLucia, J., Jr. Thermodynamics and NMR of internal G.T mismatches in DNA. Biochemistry 36:10581-94 (1997))は、Tmの計算のために構造的および環境的、並びに配列の特徴を考慮に入れて、より精巧な計算を含む。
【0043】
「遺伝子」という用語は、非コード機能を有するRNA(たとえば、リボソームRNAまたは転移RNA)、ポリペプチド、または前駆体の産生に必要な制御配列およびコード配列を含むDNA配列を指す。RNAまたはポリペプチドは、全長コード配列により、または望ましい活性もしくは機能が保持されている限りは、コード配列の任意の部分により、コードされ得る。
【0044】
「野生型」という用語は、天然に存在する供与源から単離されたときは、その遺伝子もしくは遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察され、したがって、遺伝子の「正常」型または「野生型」と適宜名付けられる。対照的に、「修飾された」、「突然変異体」、または「多型の」という用語は、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、配列および/または機能的特性に修飾(すなわち、変化した特徴)を示す遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体を単離することができること;これらは、野生型遺伝子または遺伝子産物と比較したときに、これらが変化した特徴をもつという事実により同定されることに留意されたい。
【0045】
本明細書に使用される「組換えDNAベクター」という用語は、所望の異種性配列を含むDNA配列を指す。たとえば、本用語は、発現される配列または発現産物をコードする配列の使用に限定されわけではないが、一部の態様において、異種配列は、コード配列、および宿主生物体におけるコード配列の複製か、または特定の宿主生物体に作動可能に連結されたコード配列の発現のいずれかに必要な適切なDNA配列である。原核生物における発現に必要なDNA配列は、プロモーター、任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位、および場合により他の配列を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。
【0046】
本明細書に使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、2つ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド、好ましくは少なくとも5つのヌクレオチド、より好ましくは少なくとも約10〜15のヌクレオチド、およびより好ましくは少なくとも約15〜30のヌクレオチドを含む分子として定義される。正確な大きさは、多くの因子に依存し、これらの因子もまた、オリゴヌクレオチドの究極的な機能または使用に依存すると考えられる。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、PCR、またはこれらの組み合わせを含む任意の方法で作製してもよい。一部の態様において、侵入型切断構造を形成するオリゴヌクレオチドが、反応中に作製される(たとえば、酵素の伸張反応においてプライマーの伸張によって)。
【0047】
モノヌクレオチドは、1つのモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸が、その隣の3'酸素に対して、ホスホジエステル結合を介して一方向に付着されるような様式でオリゴヌクレオチドを作製するように反応するため、オリゴヌクレオチドの末端は、その5'リン酸が、モノヌクレオチドペントース環の3'酸素に連結されていない場合には、「5'末端」と呼ばれ、その3'酸素が次のモノヌクレオチドペントース環の5'リン酸に連結されていない場合には「3'末端」と呼ばれる。また、本明細書に使用される核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部にあったとしても、5'末端および3'末端を有すると言ってもよい。核酸鎖に沿った第1の領域は、5'から3'方向に核酸の鎖に沿って移動するときに、第1の領域の3'末端が第2の領域の5'末端の前にある場合には、別の領域の上流であると言われる。
【0048】
2つの異なる、重複していない、オリゴヌクレオチドが、同じ直鎖状相補的核酸配列の異なる領域にアニールし、かつ一方のオリゴヌクレオチドの3'末端が他方の5'末端の方を指すときは、前者を「上流」オリゴヌクレオチド、後者を「下流」オリゴヌクレオチドと呼んでもよい。同様に、2つの重複するオリゴヌクレオチドが、同じ直鎖状相補的核酸配列にハイブリダイズし、第1のオリゴヌクレオチドは、その5'末端が第2のオリゴヌクレオチドの5'末端の上流にあり、かつ第1のオリゴヌクレオチドの3'末端が第2のオリゴヌクレオチドの3'末端の上流にあるように位置しているときは、第1のオリゴヌクレオチドを「上流」オリゴヌクレオチドと呼んでもよく、第2のオリゴヌクレオチドを「下流」オリゴヌクレオチドと呼んでもよい。
【0049】
「プライマー」という用語は、プライマー伸長が惹起される条件下に置かれたときに、合成の開始点として作用することができるオリゴヌクレオチドを指す。オリゴヌクレオチド「プライマー」は、精製された制限消化物と同様に天然に存在してもよく、または合成で作製してもよい。
【0050】
プライマーは、鋳型の特定の配列の鎖に「実質的に」相補的であるように選択される。プライマーは、プライマー伸長が生じるために鋳型鎖とハイブリダイズするのに十分なほど相補的でなければならない。プライマー配列は、鋳型の正確な配列を反映する必要はない。たとえば、非相補的ヌクレオチド断片が、プライマーの5'末端に付着されて、プライマー配列の残部が、鎖と実質的に相補的であってよい。非相補的塩基またはより長い配列をプライマーに散在させてもよいが、プライマー配列は、ハイブリダイズして、これによりプライマーの伸長産物の合成のための鋳型プライマー複合体を形成するために十分なほど鋳型の配列と相補性を有することを条件とする。
【0051】
本明細書に使用される「切断構造」という用語は、二重鎖を含む構造を形成し、その結果生じた構造が酵素を含む(しかし、これに限定されるわけではない)切断手段によって切断可能である、少なくとも1つのプローブオリゴヌクレオチドと標的核酸との相互作用により形成される構造を指す。切断構造は、二次構造に関係なく(すなわち、二重鎖構造の形成は、必要とされない)核酸分子を切断するホスホジエステラーゼなどの作用物質による非特異的切断のための基質である核酸分子とは対照的に、切断手段による特異的切断のための基質である。
【0052】
本明細書に使用される「切断手段」または「切断剤」という用語は、酵素を含む(しかし、これに限定されるわけではない)切断構造を切断することができる任意の手段を指す。「構造特異的ヌクレアーゼ」または「構造特異的酵素」は、核分子の特異的二次構造を認識し、これらの構造を切断する酵素である。本発明の切断手段は、切断構造の形成に応答して核酸分子を切断し;切断手段は、切断構造内の任意の特定の位置で切断構造を切断することは必要ではない。
【0053】
切断手段は、切断酵素、FEN-1エンドヌクレアーゼ(RAD2およびXPGタンパク質を含む)、Taq DNAポリメラーゼおよび大腸菌(E. coli)DNAポリメラーゼIを含む種々の供与源から供給されるヌクレアーゼ活性を含んでもよい。切断手段は、5'ヌクレアーゼ活性を有する酵素を含んでもよい(たとえば、Taq DNAポリメラーゼ(DNAP)、大腸菌DNAポリメラーゼI)。切断手段はまた、5'ヌクレアーゼ活性を有するが、合成活性を欠く修飾されたDNAポリメラーゼを含んでもよい。本発明の方法およびキットにおける使用に適した切断手段の例は、米国特許第5,614,402号;第5,795,763号;第5,843,669号;第6,090号;PCT出願国際公開公報第98/23774号;国際公開公報第02/070755A2号;および国際公開公報第0190337A2に提供されており、これらのそれぞれが、参照としてその全体が本明細書に組み入れられる。
【0054】
「耐熱性」という用語は、5'ヌクレアーゼなどの酵素に関して使用されるときは、酵素が高温で、すなわち約55℃またはそれ以上で、機能的または活性である(すなわち、触媒作用を行うことができる)ことを示す。
【0055】
本明細書に使用される「切断産物」という用語は、切断構造と切断手段の反応(すなわち、切断構造の切断手段での処置)により生じる産物を指す。
【0056】
「標的核酸」という用語は、少なくともプローブオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的相補性を有し、またINVADERオリゴヌクレオチドと少なくとも部分的相補性を有し得る配列を含む核酸分子を指す。標的核酸は、一本鎖もしくは二本鎖DNAまたはRNAを含んでもよい。
【0057】
「非標的切断産物」という用語は、標的核酸に由来しない切断反応の産物を指す。上で議論したとおり、本発明の方法において、切断構造の切断は、一般的にプローブオリゴヌクレオチド内で生じる。この標的核酸依存的切断によって生じたプローブオリゴヌクレオチドの断片は、「非標的切断産物」である。
【0058】
「プローブオリゴヌクレオチド」という用語は、INVADERオリゴヌクレオチドの有無において標的核酸と相互作用して切断構造を形成するオリゴヌクレオチドを指す。標的核酸にアニールされたときに、プローブオリゴヌクレオチドと標的とが切断構造を形成し、プローブオリゴヌクレオチド内に切断が生じる。
【0059】
「INVADERオリゴヌクレオチド」という用語は、プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションの領域の近くの位置で標的核酸にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをいい、INVADERオリゴヌクレオチドは、プローブと標的との間のハイブリダイゼーション領域と重複する部分(たとえば、化学的部分、または標的に相補的であってもなくてもよいヌクレオチド)を含む。一部の態様において、INVADERオリゴヌクレオチドは、その3'末端にプローブオリゴヌクレオチドの5'末端に位置する配列と実質的に同じである配列を含む。
【0060】
本明細書に使用される「カセット」という用語は、INVADERアッセイ法においてプローブオリゴヌクレオチドの切断に応答して検出可能なシグナルを生じるように構成されたオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドの組み合わせを指す。好ましい態様において、カセットは、プローブオリゴヌクレオチドの切断からの非標的切断産物に対してハイブリダイズして、第2の侵入型切断構造を形成し、その結果、カセットはその後に切断され得る。
【0061】
一部の態様において、カセットは、ヘアピン部分(すなわち、カセットオリゴヌクレオチドの一部が、反応条件下で同じオリゴヌクレオチドの第2の部分にハイブリダイズして、二重鎖を形成する領域)を含む単一のオリゴヌクレオチドである。他の態様において、カセットは、反応条件下において二重鎖を形成することができる相補的部分を含む少なくとも2つのオリゴヌクレオチドを含む。好ましい態様において、カセットは、標識を含む。特に好ましい態様において、カセットは、蛍光共鳴エネルギー移転(FRET)効果を生じる標識部分を含む。
【0062】
「実質的に一本鎖の」という用語は、核酸基質に関して使用されるときは、基質分子が鎖間の塩基対形成相互作用によって共に保持されている核酸の2つの鎖として存在する二本鎖基質とは対照的に、主に核酸の一本鎖として存在することを意味する。
【0063】
本明細書に使用される「非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ法」という用語は、標的配列のコピーを作製することなく、(たとえば、PCRにより)増幅されていない標的配列(たとえば、ゲノムDNA)の特定の多型(たとえば、SNP、反復配列など)の有無を検出するように構成された検出アッセイ法を指す。「非増幅オリゴヌクレオチド検出アッセイ法」は、たとえば標的配列がコピーされない限り、特定の標的配列内の多型の有無を示すために使用されるシグナルを増幅することができる。
【0064】
本明細書に使用される「配列変異」という用語は、2つの核酸間の核酸配列における相違を示す。たとえば、野生型構造遺伝子とこの野生型構造遺伝子の突然変異型とは、単一の塩基置換および/または1つもしくは複数のヌクレオチドの欠失または挿入の存在によって配列が異なっていてもよい。構造遺伝子のこれらの2つの型は、互いに配列が異なると言われる。構造遺伝子において第2の突然変異型が存在してもよい。この第2の突然変異型は、野生型遺伝子およびその遺伝子の第1の突然変異型の両方と配列が異なると言われる。
【0065】
本明細書に使用される「遊離する」という用語は、たとえば5'ヌクレアーゼの作用により、オリゴヌクレオチドなどのより大きな核酸断片から核酸断片が解離し、その結果、解離した断片がもはやオリゴヌクレオチドの残部に対して共有結合性に付着しないことを指す。
【0066】
本明細書に使用される「Km」という用語は、酵素についてのミカエリス-メンテン定数をいい、所与の酵素が酵素触媒反応においてその最大速度の2分の1を生じる特定の基質の濃度として定義される。
【0067】
本明細書に使用される「ヌクレオチド類似体」という用語は、7-デアザプリン(すなわち、7-デアザ-dATPおよび7-デアザ-dGTP);代替の水素結合立体配置をもつ塩基類似体(S. Bennerに対する米国特許第6,001,983号に記載された、イソ-Cおよびイソ-G、並びにその他の非標準的塩基対);非水素結合類似体(たとえば、B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Org. Chem., 1994, 59, 7238-7242, B.A. Schweitzer and E.T. Kool, J. Am. Chem. Soc., 1995, 117, 1863-1872により記載された、2,4-ジフルオロトルエンなどの非極性芳香族ヌクレオチド);5-ニトロインドールおよび3-ニトロピロールなどの「汎用」塩基;並びにユニバーサルプリンおよびピリミジン(それぞれ、「K」および「P」ヌクレオチドなど;P. Kong, et al., Nucleic Acids Res., 1989, 17, 10373-10383, P. Kong et al., Nucleic Acids Res., 1992, 20, 5149-5152)などのスタッキング相互作用を変化させた類似体を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)、修飾されたか、または天然に存在しないヌクレオチドを指す。ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドの修飾型を含む。
【0068】
「多型遺伝子座」という用語は、集団のメンバー間で変異を示す集団に存在する遺伝子座である(たとえば、最も一般的な対立遺伝子は、0.95未満の頻度を有する)。対照的に、「単型遺伝子座」は、集団のメンバー間でほとんどまたは全く変異が見られない遺伝子遺伝子座である(一般的に、最も一般的な対立遺伝子は、集団の遺伝子プールにおいて0.95の頻度を超える遺伝子座であると解釈される)。
【0069】
本明細書に使用される「微生物」という用語は、小さすぎて裸眼で観察され得ない生物体を意味し、細菌、ウイルス、原生動物、真菌、および繊毛虫を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0070】
「微生物遺伝子配列」という用語は、微生物由来の遺伝子配列を指す。
【0071】
「細菌」という用語は、真正細菌および古細菌種を含む任意の細菌種を指す。
【0072】
本明細書で使用される「高リスクのHPV株」または「高リスクのHPV型」という用語は、癌(たとえば、癌腫)において見いだされたHPVの株を指す。これらのHPV株は、HPV型16、18、30、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、67、68、69、および70を含む。
【0073】
「ウイルス」という用語は、自律複製ができない(すなわち、複製には、宿主細胞の機構を使用することが必要である)偏性超顕微鏡的細胞内寄生体を指す。
【0074】
「多種薬剤耐性」または「多剤耐性」という用語は、該微生物の治療に使用される抗生物質または抗菌薬のうちの1つ以上に耐性である微生物を指す。
【0075】
本明細書および添付の特許請求の範囲における「試料」という用語は、その最も広い意味で使用される。一方では、検体または培養物(たとえば、微生物学的培養物)を含むことが企図される。他方では、生物学的および環境的の両方の試料を含むことが企図される。試料は、合成起源の検体を含んでもよい。
【0076】
生物学的試料は、ヒトを含む動物の、液体、固体(たとえば、便)、または組織、並びに乳製品種目、野菜、肉、および肉副産物などの液体および固体の食物並びに飼料の製品および材料、並びに廃棄物であってもよい。生物学的試料は、有蹄動物、クマ、魚類、ウサギ目動物、齧歯類などを含む(がこれらに限定されない)任意の様々な科の家畜、並びに野生動物または野生動物から得ることができる。
【0077】
環境的試料は、表面物質、土壌、水、および産業試料などの環境材料、並びに食物および乳加工道具、装置、設備、器具、使い捨て、および非使い捨て商品から得られる試料を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料型を限定するものと解釈されるべきではない。
【0078】
「標的核酸の供与源」という用語は、核酸(RNAまたはDNA)を含む任意の試料を指す。標的核酸の特に好ましい供与源は、血液、唾液、脳脊髄液、胸腔内液、乳、リンパ液、痰、および精液を含む(しかし、限定されるわけではない)生物学的試料である。
【0079】
オリゴヌクレオチドは、そのオリゴヌクレオチドが、その他のオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)よりも高いモル濃度で存在する場合に、もう一つのオリゴヌクレオチド(または標的核酸配列)に対して「過剰」に存在すると言われる。プローブオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドが、切断反応において相補的標的核酸配列の濃度と比較して過剰に存在する場合、存在する標的核酸の量を示すために反応を使用してもよい。典型的には、過剰に存在するときは、プローブオリゴヌクレオチドが、少なくとも100倍のモル過剰で存在すると考えられ;典型的には、標的核酸配列が約10 fmol以下で存在する場合は、少なくとも1pmolのそれぞれのプローブオリゴヌクレオチドが使用されると考えられる。
【0080】
第1および第2の標的核酸を「含むことが疑われる」試料は、標的核酸分子のいずれかを含むか、両方を含むか、またはいずれも含まなくてもよい。
【0081】
「反応物」という用語は、その最も広い意味で本明細書に使用される。反応物は、たとえば酵素的反応物、化学的反応物、または光(たとえば、紫外線、特に短波長紫外線は、オリゴヌクレオチド鎖を切断することが公知である)を含むことができる。オリゴヌクレオチドと反応して、オリゴヌクレオチドを短くする(すなわち、切断する)か、または伸長するかのいずれかをすることができるいずれの薬剤も、「反応物」という用語内に含まれる。
【0082】
本明細書に使用される「精製された」または「精製すること」という用語は、試料からの混入物を除去することを指す。たとえば、組換えCLEAVASEヌクレアーゼを細菌の宿主細胞に発現させ、ヌクレアーゼを宿主細胞タンパク質を除去することによって精製し;これにより、試料中のこれらの組換えヌクレアーゼの割合が増加する。
【0083】
本明細書で使用される「一部」という用語は、タンパク質に関するとき(「所与のタンパク質の一部」など)は、そのタンパク質の断片を指す。断片は、4アミノ酸残基〜全アミノ酸配列マイナス1アミノ酸の大きさの範囲(たとえば、4、5、6、・・・n-1)であってもよい。
【0084】
本明細書に使用される「核酸配列」という用語は、オリゴヌクレオチド、ヌクレオチド、またはポリヌクレオチド、およびこれらの断片または一部を、並びに一本鎖または二本鎖で、かつセンス鎖またはアンチセンス鎖を示し得るゲノムもしくは合成起源のDNAまたはRNAを指す。同様に、本明細書に使用される「アミノ酸配列」は、ペプチドまたはタンパク質の配列を指す。
【0085】
本明細書で使用される「精製された」または「実質的に精製された」という用語は、これらの天然の環境から取り出され、単離され、または分離され、かつこれらが天然に付随しているその他の構成要素を少なくとも60%含まない、好ましくは75%含まない、および最も好ましくは90%含まない核酸またはアミノ酸のいずれかの配列を指す。したがって、「単離されたポリヌクレオチド」または「単離されたオリゴヌクレオチド」は、実質的に精製されたポリヌクレオチドである。
【0086】
本明細書に使用される「核酸の連続鎖」という用語は、切れ目またはその他の破損を伴わずに、連続して共有結合性に連結されたバックボーン構造を有する核酸の鎖を意味する。それぞれのヌクレオチドの塩基部分の配置は、塩基対形成されているか、一本鎖であるか、またはミスマッチされているかにかかわらず、連続鎖の定義の要素ではない。連続鎖のバックボーンは、天然に存在する非修飾核酸において見出されるリボース-リン酸またはデオキシリボース-リン酸組成物に限定されるわけではない。本発明の核酸は、ホスホロチオアート残基、ホスホナート残基、2'置換型リボース残基(たとえば、2'-O-メチルリボース)、および代替糖(たとえば、アラビノース)含有残基を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)、バックボーンの構造に修飾を含んでもよい。
【0087】
本明細書に使用される「連続二重鎖」という用語は、二重鎖内の塩基対の連鎖に破損がない(すなわち、二重鎖に沿った塩基対が歪んでおらず、ギャップ、隆起、またはミスマッチを吸収して、連続二重鎖の領域を限定している)二本鎖核酸の領域を指す。本明細書に使用される本用語は、核酸鎖のバックボーン部分の連続を意味するのではなく、二重鎖内の塩基対の配列のみを指す。連続した塩基対形成をもつが、一方または両方の鎖に切れ目を含む二重鎖核酸も連続二重鎖の定義内である。
【0088】
「二重鎖」という用語は、一方の鎖のヌクレオチドの塩基部分が、水素結合を介して、第2の鎖に配列されたそれらに相補的な塩基に結合している核酸の状態を指す。二重鎖型である条件は、核酸の塩基の状態を反映する。塩基対形成によって、核酸の鎖はまた、一般的にメジャーおよびマイナーグルーブを有する二重らせんの三次構造を呈する。らせん型を呈することは、二重鎖になることの証拠を暗に意味する。
【0089】
「鋳型」という用語は、鋳型依存性核酸ポリメラーゼの活性によってヌクレオシド三リン酸から相補的コピーが構築される核酸の鎖を指す。二重鎖内において、鋳型鎖は、慣例により、「下部」鎖として描写および記載される。同様に、非鋳型鎖は、「上部」鎖として描写および記載されることが多い。
【0090】
本発明の説明
本発明は、特有の切断産物を放出するために、標的核酸の存在に依存的な核酸切断構造を形成して、核酸切断構造を切断するための手段を提供する。たとえば、標的依存的切断構造を切断するために5'ヌクレアーゼ活性が使用され、生じる切断産物は、試料中の特異的標的核酸配列の存在を表す。核酸、またはオリゴヌクレオチドの2つの鎖が、両方とも、以下に記載したように、これらが重複する侵入型切断構造を形成するように標的核酸鎖にハイブリダイズするときに、侵入型切断を生じることができる。切断剤(たとえば、5'ヌクレアーゼ)と上流オリゴヌクレオチドとの相互作用を介して、切断剤は、特有の断片が生成されるような様式で下流オリゴヌクレオチドを内部部位で切断するように作製されてもよい。このような態様は、INVADERアッセイ法(Third Wave Technologies)と名付けられ、米国特許第5,846,717号、第5,985,557号、第5,994,069号、第6,001,567号、および第6,090,543号、国際公開公報第97/27214号、国際公開公報第98/42873号、Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17:292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97:8272 (2000)に記載されており、これらのそれぞれが、全ての目的のために参照としてこれらの全体が本明細書に組み入れられている。
【0091】
INVADERアッセイ法は、構造特異的酵素による特定の構造の酵素的切断によって、プローブの標的に対するハイブリダイゼーションを検出する(INVADERアッセイ法、Third Wave Technologiesを参照されたい;たとえば米国特許第5,846,717号;第6,090,543号;第6,001,567号;第5,985,557号;第6,090,543号;第5,994,069号;Lyamichev et al., Nat. Biotech., 17:292 (1999), Hall et al., PNAS, USA, 97:8272 (2000)、国際公開公報第97/27214号、国際公開公報第98/42873号を参照されたい、これらのそれぞれが、全ての目的のため参照としてその全体が本明細書に組み入れられている)。
【0092】
INVADERアッセイは、重複するオリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションによって形成された複合体を切断するための構造特異的酵素(たとえば、FENエンドヌクレアーゼ)を使用することによって特定のDNAおよびRNA配列を検出する(たとえば、図1を参照されたい)。高温およびプローブのうちの1つの過剰により、温度サイクリングを伴わずに、存在するそれぞれの標的配列について、複数のプローブを切断することができる。一部の態様において、次いで、これらの切断されたプローブが第2の標識プローブの切断を指揮する。第2のプローブオリゴヌクレオチドは、内部色素によってクエンチされるフルオレセインで5'末端標識してもよい。切断により、脱クエンチされたフルオレセイン標識産物を標準的蛍光プレートリーダーを使用して検出することができる。
【0093】
INVADERアッセイ法は、増幅されていないおよび増幅された、RNAおよびゲノムDNAを含むDNAの特定の突然変異およびSNPを検出する。図1に模式的に示した態様において、INVADERアッセイ法では、標的特異的シグナルを発生するため、および次いでそのシグナルを増幅するための2カスケードの工程(一次および二次反応)を使用する。便宜上、以下の考察において対立遺伝子を野生型(WT)および突然変異体(MT)として記載しているが、この用語が、すべての遺伝的変異に適用されるわけではない。一次反応では(図1、パネルA)、WT一次プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチドが重複する構造を形成するように標的核酸に直列にハイブリダイズする。不対の「フラップ」は、WT一次プローブの5'末端上に含まれる。構造特異的酵素(たとえば、CLEAVASE酵素、Third Wave Technologies)は、重複を認識し、不対のフラップを切断し、それを標的特異的産物として放出する。二次反応では、この切断産物が、WT蛍光共鳴エネルギー移転(WT-FRET)プローブに対してINVADERオリゴヌクレオチドとして働き、構造特異的酵素により認識される構造を再び生じる(パネルA)。単一のFRETプローブ上の2つの色素が、切断(図1では矢印によって示している)によって分離されるときに、バックグラウンド蛍光以上の検出可能な蛍光シグナルを生じる。結果的に、この第2の構造の切断により、蛍光の増大を生じ、WT対立遺伝子(または、突然変異対立遺伝子が検出可能なシグナルを生じるようにアッセイ法が構成されている場合には、突然変異対立遺伝子)の存在を示す。一部の態様において、異なる標識(たとえば、発光もしくは励起波長の相違によって分解可能か、または時間分解型蛍光検出により分解可能)を有するFRETプローブが、検出されるそれぞれの対立遺伝子または遺伝子座に対して提供され、その結果異なる対立遺伝子または遺伝子座を単一反応で検出することができる。このような態様において、一次プローブセットおよび異なるFRETプローブを単一のアッセイ法と組み合わせることができ、同じ試料中でそれぞれの対立遺伝子または遺伝子座からのシグナルを比較することができる。
【0094】
一次プローブオリゴヌクレオチドおよび標的ヌクレオチド配列が、切断部位で完全に一致しない場合は(たとえば、MTプライマープローブおよびWT標的と同様に、図1、パネルB)、重複構造を形成せず、切断が抑制される。使用した構造特異的酵素(たとえば、CLEAVASE VIII酵素、Third Wave Technologies)は、重複していない構造よりも効率的に(たとえば、少なくとも340倍)重複した構造を切断し、対立遺伝子の優れた識別が可能である。
【0095】
プローブは、温度サイクリングを伴わずに代謝回転して、標的あたり多くのシグナルを生じる(すなわち、直線的シグナル増幅)。同様に、それぞれの標的特異的産物により、多くのFRETプローブの切断を可能にすることができる。
【0096】
一次INVADERアッセイ反応は、検出される標的DNA(またはRNA)に対して向けられる。INVADERおよび一次プローブは、モル過剰に供給されるため、標的DNAは、第1の侵入型切断において限定的構成要素である。第2の侵入型切断では、放出されるフラップが限定される。これらの2つの切断反応が連続して行われるときに、複合反応からの蛍光シグナルが、標的DNA量に対して直線的に集積する。
【0097】
特定の態様において、INVADERアッセイ法、または他のヌクレオチド検出アッセイ法は、接近可能部位を設計したオリゴヌクレオチドおよび/または架橋オリゴヌクレオチドを用いて行われる。このような方法、手順、および組成物は、米国特許第6,194,149号、国際公開公報第9850403号、および国際公開公報第0198537号に記載されており、これらの全てが、参照としてその全体が具体的に組み入れられる。
【0098】
特定の態様において、標的核酸配列は、検出の前に増幅される(たとえば、その結果、合成核酸が産生される)。一部の態様において、標的核酸は、ゲノムDNAを含む。その他の態様において、標的核酸は、合成DNAまたはRNAを含む。いくつかの好ましい態様において、試料の範囲内の合成DNAは、精製されたポリメラーゼを使用して作製される。いくつかの好ましい態様において、精製されたポリメラーゼを使用する合成DNAの作製は、PCRの使用を含む。他の好ましい態様において、精製されたDNAポリメラーゼ(本発明の方法の用途に、適切な)を使用する合成DNAの作製は、ローリングサークル増幅の使用を含む(たとえば、米国特許第6,210,884号、第6,183,960号、および第6,235,502号、これらの全体が本明細書に参照として組み入れられる)。その他の好ましい態様において、合成DNAの作製は、ゲノムDNA試料に対する複数部位からのプライミングによるゲノムDNAの複製を含む。一部の態様において、ゲノムDNA試料に対する複数部位からのプライミングは、短い(たとえば、約8ヌクレオチド足らずの)オリゴヌクレオチドプライマーの使用を含む。その他の態様において、ゲノムDNAに対する複数部位からのプライミングは、切れ目の入った二本鎖ゲノムDNAの3'末端の伸張を含む(すなわち、DNAの二本鎖領域の一方の鎖の破損または切断によって、3'ヒドロキシル基が伸張のために利用できた)。本発明の方法および組成物で使用するために適した、切れ目の入ったゲノムDNAに対して精製されたポリメラーゼを使用して合成DNAを作製するいくつかの例は、2000年9月12日に発行された米国特許第6,117,634号、および2001年3月6日に発行された第6,197,557号、並びに、PCT出願国際公開公報第98/39485号に提供されており、それぞれ、全ての目的のために本明細書にその全体が参照として組み入れられる。
【0099】
一部の態様において、本発明は、a)切れ目の入った二本鎖ゲノムDNAの3'末端の伸張によって増幅されるDNAを含む試料であって、該ゲノムDNAは、該標的配列を含むことが疑われる試料;b)該標的配列の存在下において侵入型切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを提供する工程;並びにc)オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程を含む、標的配列を検出するための方法を提供する。一部の態様において、薬剤は、切断剤を含む。いくつかの特に好ましい態様において、本発明の方法は、該切断産物を検出する工程をさらに含む。
【0100】
いくつかの好ましい態様において、オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程は、該標的配列が該試料中に存在する場合に該標的配列と該オリゴヌクレオチドとの間で侵入型切断構造を形成し、該侵入型切断構造は、該切断薬剤によって切断されて、切断産物を形成する条件下で、オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程を含む。
【0101】
いくつかの特に好ましい態様において、標的配列は、第1の領域および第2の領域を含み、該第2の領域は、該第1の領域の下流で、かつ近接しており、該オリゴヌクレオチドは、第1のおよび第2のオリゴヌクレオチドを含み、該第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、該標的配列の該第1の部分に対して完全に相補的であり、かつ該第2のオリゴヌクレオチドは、3'部分および5'部分を含み、該5'部分は、該標的核酸の該第2の部分に対して完全に相補的である。
【0102】
その他の態様において、本発明の方法および組成物のための使用に適した合成DNAは、たとえば米国特許第6,291,187号、および第6,323,009号、並びにPCT出願国際公開公報第01/88190号および国際公開公報第02/00934号(それぞれが、全ての目的のために、その全体が本明細書に参照として組み入れられる)において提供されるとおり、多重プライミングされたゲノムDNAに対して精製されたポリメラーゼを使用して行われる。これらの態様では、ゲノムDNAなどのDNAの増幅は、高度に前進型のΦ29ポリメラーゼ(たとえば、米国特許第5,198,543号および第5,001,050号に記載されており、それぞれが、全ての目的のためにその全体が本明細書に参照として組み入れられる)などのDNAポリメラーゼを、六量体などのエキソヌクレアーゼ耐性ランダムプライマーと組み合わせて使用して達成される。
【0103】
一部の態様において、本発明は、a)ゲノムDNAに対する複数のプライマーの伸張によって増幅されたDNAを含む試料であって、該ゲノムDNAは、該標的配列を含むことが疑われる試料;b)該標的配列の存在下において侵入型切断構造を形成することができるオリゴヌクレオチドを提供する工程;並びにc)オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程含む、標的配列を検出するための方法を提供する。一部の態様において、薬剤は、切断剤を含む。いくつかの好ましい態様において、該プライマーは、ランダムプライマーである。特に好ましい態様において、該プライマーは、エキソヌクレアーゼ耐性である。いくつかの特に好ましい態様において、本発明の方法は、該切断産物を検出する工程をさらに含む。
【0104】
いくつかの好ましい態様において、オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程は、該標的配列が該試料中に存在する場合に該標的配列と該オリゴヌクレオチドとの間で侵入型切断構造を形成し、該侵入型切断構造は、該切断薬剤によって切断されて、切断産物を形成する条件下で、オリゴヌクレオチドおよび薬剤に対して試料を曝露する工程を含む。
【0105】
いくつかの特に好ましい態様において、標的配列は、第1の領域および第2の領域を含み、該第2の領域は、該第1の領域の下流で、かつ近接しており、該オリゴヌクレオチドは、第1のおよび第2のオリゴヌクレオチドを含み、該第1のオリゴヌクレオチドの少なくとも一部分は、該標的配列の該第1の部分に対して完全に相補的であり、かつ該第2のオリゴヌクレオチドは、3'部分および5'部分を含み、該5'部分は、該標的核酸の該第2の部分に対して完全に相補的である。
【0106】
特定の態様において、本発明は、INVADER検出試薬(たとえば、一次プローブ、INVADERプローブ、およびFRETカセット)を使用してプールされた試料(たとえば、プールされた血液試料)をアッセイするためのキットを提供する。好ましい態様において、キットは、INVADERアッセイ法を行う方法、および特異的にINVADER検出アッセイ法を多くの個体由来のプールされた試料に適用する方法、または単一の被験体からの多くの細胞から(たとえば、生検試料から)の「プールされた」試料に適用する方法についての使用説明書をさらに含む。
【0107】
本発明は、標的核酸が、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションおよびプローブの切断の複数のラウンド中に、温度サイクリング(すなわち、標的核酸鎖の周期的な変性のため)または核酸合成(すなわち、標的またはプローブ核酸鎖の重合に基づく置換のため)を使用する必要性を伴わずに、再使用またはリサイクルされるアッセイ法をさらに提供する。プローブが標的鎖上で連続的に置換される条件下で切断反応が実行されるときは(たとえば、プローブ-プローブ置換を介して、またはプローブ/標的の会合と解離の間の平衡を介して、またはこれらの機構を含む組み合わせを介して(The kinetics of oligonucleotide replacement. Luis P. Reynaldo, Alexander V. Vologodskii, Bruce P. Neri and VictorI. Lyamichev. J. Mol. Biol. 97: 511-520 (2000))、複数のプローブが同じ標的にハイブリダイズすることができ、複数の切断、および複数の切断産物を生じさせることができる。
【0108】
一部の態様において、本発明の検出アッセイ法は、1つまたは複数のHPV配列を検出するために設計されている(たとえば、実施例5を参照されたい)。一部の態様において、複数のHPV配列は、単一反応で検出される(たとえば、実施例5、図9、反応10-658、10-662、10-677、および10-682を参照されたい)。いくつかの好ましい態様において、検出アッセイ法に使用される単一のオリゴヌクレオチドは、複数のHPV配列を単一の検出アッセイ試薬のセットで検出することができるように、2つ以上のHPV配列に対してハイブリダイズするように構成される(たとえば、実施例5、図9を参照されたい)。一部の態様において、検出アッセイ法に使用されるオリゴヌクレオチドは、企図されるHPV標的配列に対して完全に相補的である。その他の態様において、オリゴヌクレオチドは、関心対象のHPV標的配列に対して1つまたは複数のミスマッチを含む。ミスマッチは、ハイブリダイゼーション効率を減少させる能力(これは、いくつかの検出アッセイ形式で要求される可能性がある)、縮重を付加する能力(たとえば、2つ以上の株または変異体を検出する)、および試料中に存在するかもしれない配列変異を代償する能力を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)複数の用途が見いだされる。一部の態様において、試験した集団のいくつかのメンバーにおいて特定のヌクレオチド位置の変異が同定される場合に、集団内のそれぞれの変異体が検出されるような位置の配列が異なる複数のオリゴヌクレオチドが、提供される。侵入型切断アッセイ法に使用するための例示的検出アッセイ法構成要素は、一定の好ましいHPVの株について、下記の実施例の節において提供される。
【0109】
実施例
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を実証かつさらに例証するために提供され、これらの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0110】
続く実験の開示では、以下の略語が適用される:N(正常な);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(μモル濃度);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);pmol(ピコモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);DS(デキストラン硫酸);℃(程度摂氏);およびSigma(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)。
【0111】
実施例1
複数のHPV株を検出するオリゴヌクレオチドの設計
これらの実験の目的は、複数の標的HPV株を含むINVADERアッセイ法に使用するために適したオリゴヌクレオチド設計で達することであった。第1の工程として、HPV DNA配列をGenbankから得て、SEQ WEB GAPおよびPRETTYプログラム(Accelrys, San Diego, CA)を使用して整列させた。染色体の組込み後に無処置のままであることが報告されているHPVの領域のみを解析して、組み込みおよび非組み込みHPV配列を検出するためのアッセイ法をおこなった。適切な配列保存領域を株の選択群について選択した。本実施例では、LCR、E6、およびE7遺伝子内の領域が、HPV 18と59との間でかなりの相同性を有することが見いだされた。
【0112】
候補プローブオリゴヌクレオチドは、いずれの一対においても2つの標的間に限られた数のミスマッチを含む配列範囲を検索することによって設計した。設計は、センスまたはアンチセンス鎖上のいくつかの配列について作製した。適切なINVADERオリゴヌクレオチドは、それぞれのプローブオリゴヌクレオチド候補に付随するように設計した。最初のINVADERオリゴヌクレオチド設計では、単一の標的のみ、たとえばHPV 18、HPV 45、またはHPV 59と会合し;その後の設計は、複数のHPV株にハイブリダイズするように選択した。次いで、候補プローブセットを2つのタイプの実行基準について評価した:(1)選ばれた反応温度におけるシグナルの生成、および(2)検出限界、すなわち低レベルでの標的DNAのバックグラウンド比以上のシグナル。次いで、所望の性能のカットオフ、この場合63℃における最適シグナル生成および1000コピーのHPV DNAのLODに応じたプローブセットをさらなる評価のために選択した。
【0113】
温度最適化
INVADERアッセイ法は、96ウェルのMJ Skirtedマイクロタイタープレートで行った。プレートをMJ Research PTC 100 ThermocyclerまたはThermoHybaid PCR Express(Molecular Biology Instrumentation, Needham Heights, MA)のいずれかを使用してインキュベートしおよびApplied Biosystems CYTOFLUOR(登録商標)4000シリーズのマルチウェルプレートリーダーで読んだ。
【0114】
プローブセットの最適温度を決定するためのINVADERアッセイ法は、一次および二次反応マスター混合物を調製することによって準備した。これらの実験では、2つの異なるINVADERオリゴヌクレオチドを、それぞれの反応の単一のプローブオリゴヌクレオチドと組み合わせて試験した。たとえば、HPV 18および59のための試験プローブセットのために設計した実験では、HPV 18およびHPV 59の両方のためのINVADERオリゴヌクレオチドを、両方のHPV株と会合するよう設計した単一のプローブオリゴヌクレオチドと共にそれぞれの反応に含めた。これらの反応混合物をHPV18(18cl)配列の一部(ATCCカタログ番号:45152D)とHPV 59配列(SEQ ID NO: 42)の一部を含む合成標的とを含むプラスミドDNAに対して別々に試験した。同様に、HPV 45および59を検出するように設計した実験では、両方の株のためのINVADERオリゴヌクレオチドを、対応するプローブオリゴヌクレオチドおよび適切な対照と共にそれぞれの反応に含めた。
【0115】
一次反応構成要素を含むマスター混合物は、温度最適化反応のそれぞれのセットについて以下の通りに構築した。反応は、マイクロタイタープレートで並行して実施した。

【0116】
20fMの濃度のそれぞれの標的のアリコート15μlをマイクロタイタープレートの適切なウェルに置き、20μlの鉱油で覆い;20μlの10ng/μl tRNAを標的のない対照反応のために使用した。全ての反応は、複製して実行した。標的を95℃で5分間熱変性させ、20℃に冷却し、次いで4μlの一次混合物のアリコートをそれぞれのウェルに添加した。マイクロタイタープレートを勾配熱ブロックをもつThermoHybaid thermocyclerにおいて、10度にわたって2時間インキュベートし(すなわち、反応は、58、58.3、58.9、59.8、60.9、62.2、63.5、64.9、66.4、67.3、67.8、68.1℃にて実行した)、次いで20℃に戻した。
【0117】
二次マスター混合物(SM)は、以下の通りに構築した。

【0118】
次いで、3μlの二次混合物のアリコートをそれぞれのウェルに添加し、プレートを63℃において10分間インキュベートし、次いで4℃に冷却したした後、CYTOFLUOR 4000蛍光プレートリーダー(Applied Biosystems, Foster City, CA)で走査した。使用した設定は、485/20 nm励起/バンド幅およびFAM色素検出のための530/25nm発光/バンド幅。典型的な二重INVADER反応とは異なり、これらのアッセイ法は、単一のプローブ分子のみを含むので、単一の対応するFRETカセットだけが必要であった。機器ゲインは、標的のないブランクが50〜150の相対蛍光ユニット(RFU)間で生じるようにそれぞれの色素をセットした。
【0119】
最適なゲイン設定は、機器間で変化しうるので、ゲインは、必要に応じて、最適シグナル/バックグラウンド比(標的のない対照シグナルによって分けられる試料生シグナル)または標的のない対照試料が〜100RFUの読みを与えるように調整される。キセノン灯供与源を使用する蛍光マイクロプレートリーダーでは、一般により高いRFUを生じる。直接マイクロプレートを読み込むためには、蛍光マイクロプレートリーダーのプローブ高さ、およびプレートが配置される方法により、製造業者の説明書に従って調整することが必要かもしれない
【0120】
装置/機器によって作製される生データは、アッセイ性能を測定するために使用される(リアルタイムまたは端点モード)。下記の方程式は、FOZ(Fold Over Zero)、その他の値を算出する方法を提供する。下記の方程式におけるNTCは、標的のない対照からのシグナルを表す。
FOZまたはシグナル/標的なし
FOZ色素1 =(生シグナル色素1/NTC色素1
【0121】
候補プローブセットは、これらの実験で作製された温度プロフィールに基づいて選択した。特に、望ましいプローブセットは、共に試験した、温度の増大に関して同様の傾向を示す2つの標的(たとえば、HPV 18および59)での温度プロフィールを、典型的にはベル型曲線を示し、選択した反応温度にて、この場合63℃にそのピークをもつ。さらなる望ましい特徴は、ピークが63℃からプラスマイナス1または2度よりも急激に低くないことである。候補プローブセットの30%未満で適切な温度プロフィールを得た。
【0122】
単一の反応温度における反応条件を統一するために、温度に応答して同様の傾向を生じたプローブ設計をさらに設計を最適化するために選択した。プローブ長を変更して再設計したプローブを試験した。図2は、プローブT3elb(SEQ ID NO: 39)、並びにHPV 18プラスミドおよびHPV 59(T3rT59)合成標的(SEQ ID NO: 42)の両方について、それぞれHPV 18(T3e4i)(SEQ ID NO: 40)およびHPV 59(T3e6i)(SEQ ID NO: 41)を検出するために設計したINVADERオリゴヌクレオチドで実施した温度最適化実験の結果を示す。
【0123】
同様の温度最適化および再設計手順を、図3および7に示したオリゴヌクレオチドの全てに対して実施した。
【0124】
検出限界(LOD)解析
温度に応答して同じ一般的な傾向を生じ、かつ標的反応温度のすぐ近くに急勾配が存在しない温度プロフィールを最適化することに加えて、また解析感受性または検出限界(LOD)についてプローブセットを最適化することも望ましい。LOD測定は、標的濃度を変化させると共に単一の反応温度でINVADERアッセイ法を行うことによって達成される。
【0125】
温度が最適化されたプローブセットのLODを決定する反応は、以下の通りに設定した。標的DNA(HPV 18プラスミドおよび合成標的SEQ ID NO: 42)の段階希釈をdH2Oに10ng/μl tRNAに行い;本明細書に示した実施例では、アッセイ法あたりの標的量を125コピー/rxn〜8000コピー/rxnの範囲にして、それぞれの逐次反応で倍にした。希釈した標的または標的対照なしのための10ng/μl tRNAのdH2O溶液のアリコート15μlをマイクロタイタープレートの適切なウェルに配置し、20μlの鉱油で覆った。全ての反応は、4回実行した。緩衝液、CLEAVASE X酵素、MgCl2、両方のINVADERオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO: 40-41)、一次プローブT3elb(SEQ ID NO: 39)、およびFRETカセットオリゴヌクレオチド(SEQ ID NO: 63)を含むマスター混合物(MM)は、以下の通りに作製した。

【0126】
マイクロタイタープレートを被履し、95℃で5分間インキュベートして標的を変性させ、次いで20℃に冷却した。マスター混合液のアリコート5μlを添加して、反応を63℃で4分間加熱した。完了と同時に、プレートをCYTOFLUORプレートリーダーに移して、上記のとおりに解析した。代表的な結果を図2に示す。これらの結果は、本実験で試験した設計が、250コピーほどの対応するHPV18および59配列の検出のために適していることを証明する。
【0127】
実施例2
HPV16を検出するためのオリゴヌクレオチドの設計
HPV16および31の両方内の領域を検出するために、前述の実施例に記載した手順を使用して候補オリゴヌクレオチドセットを設計した。設計は、HPVのE7遺伝子に向けられた。実施例1に示したとおり、異なるINVADERオリゴヌクレオチド配列を単一のプローブ配列と組み合わせて試験して、所望の反応温度(63℃)において、および検出限界(FOZ)に関して最適な実行特性を持つプローブセットを見いだした。温度最適化実験およびLOD(FOZ)実験は両方とも、15μlのHPV16プラスミド(ATCCカタログ番号:45113D)の20fM貯蔵液を使用して上記のとおりに行った。合計24の異なるINVADERオリゴヌクレオチドをSEQ ID NO: 1(Alg3p)で試験して;これらのうち一つを、HPV16:SEQ ID NO: 2(Alg10ci)を検出するためのアッセイ法に使用するために、その温度最適化プロフィールおよびFOZに基づいて選択した。
【0128】
HPV 16およびヒトゲノムの内部対照配列の同時検出
いくつかの適用では、たとえば試料阻害効果またはオペレーターに誤りがあるか否かを決定するためには、内部標準配列を同時検出することが望ましい。オリゴヌクレオチドセットを3つの異なるヒトゲノム配列を検出するために設計し、HPV 16プラスミドを検出するためにSEQ ID NO: 1および2と組み合わせて3つの異なる二重化INVADERアッセイ法で試験した。ヒトゲノムの領域は、αアクチン(Genbankアクセッション番号NM_001100)、CFTRの3'非翻訳領域(UTR)(Genbankアクセッション番号NM_000492)、およびhIGF(Genbankアクセッション番号AY260957)であった。これらの設計のために使用したオリゴヌクレオチドは、以前に開発されており、以前の実施例に記載されているように最適化し、以下の通りであった:αアクチンプローブSEQ ID NO: 64、INVADERオリゴ、SEQ ID NO: 65、FRETカセット68;3'UTR CFTRプローブSEQ ID NO: 66、INVADERオリゴSEQ ID NO: 67、FRETカセットSEQ ID NO: 68;hIGFプローブSEQ ID NO: 69、INVADERオリゴSEQ ID NO: 70、FRETカセットSEQ ID NO: 71。
【0129】
検量線は、ヒトゲノムDNAの一定量に対して、HPV 16プラスミドの異なる量を使用して作製した。HPV 16プラスミドの0、250、500、1000、2500、5000、10,000、または20,000コピーおよび100ng(hIGFおよびCFTRについて)または250ng(αアクチンについて)のいずれかのヒトゲノムDNAを含む反応。DNAは、Gentra PUREGENE(登録商標)Autopure LS系(Gentra, Inc., Minneapolis, MN)またはマニュアルの調製方法を使用して単離した。他の全ての反応構成要素および検出は、いずれの場合においても第2のFRETオリゴを使用したことを除いては、以前の実施例にて説明したとおりであった(hIGFのためにSEQ ID NO: 71、赤い色素;CFTRの3'UTRおよびαアクチンのために、SEQ ID NO: 68、赤い色素)。結果を図4に示すが、これは、試験したヒトゲノム配列の全てが、様々なレベルのHPV 16プラスミドDNAと組み合わせた二重検出のために適していたことを示す。さらに、これらの実験は、可変量のHPV16DNAの存在下においてICプローブを使用して作製されたシグナルが不変であることおよびHPV16プラスミドDNAの非存在下においてHPV 16プローブを使用して作製される検出可能なシグナルが無いことによって示されたとおり、HPV 16を検出するように設計したプローブセットとヒトゲノム配列を検出するために設計したプローブセットとの間に明らかな交叉反応性がないことを証明する。
【0130】
実施例3
HPV 18の検出に対するゲノムDNAの効果
HPV 18の検出に対する外来ヒトゲノムDNAの効果を評価するための実験を実施した。INVADER反応は、以下の通りに設定した。15μlをマイクロタイタープレートの適切なウェルにピペットで移したときに図5のX軸に示したとおりの標的分子数を生じるように、合成HPV 18標的B1T18(SEQ ID NO: 72)の段階希釈を作製した。それぞれの反応が1μgのヒトゲノムDNAを含むように、実施例2に記載したように精製したヒトゲノムDNAを組み込んだ段階希釈の第二のセットをそれぞれの希釈に作製した。標的のない対照は、15μlの10ng/μl tRNAの蒸留水溶液を含んだ。全ての反応は、複製して実行した。標的アリコートを20μl鉱油で覆い、95℃で5分間変性させ、次いで20℃に冷却した。INVADER反応構成要素を含むマスター混合物は、以下の通りに作製した。

【0131】
マスター混合物のアリコート5μlをそれぞれのウェルに添加した。反応を62℃で4時間インキュベートし、次いで上記の通りにCYTOFLUORを読み取った。
【0132】
結果を図5に示すが、これは、1μgのヒトゲノムDNAが存在しても、HPV18配列を検出するために設計したINVADERアッセイ法に対して有意な阻害作用を及ぼさないことを証明する。
【0133】
実施例4
単一のプールされた反応における複数のHPV株の同時検出
いくつかの状況では、単一の反応器において多くのHPV株の検出を組み合わせることが望ましいことが分かる。たとえば、単一の反応混合物において全ての高リスクHPV株または全ての低リスク株を検出することが要求されるかもしれない。いくつかの場合において、プールされた反応の結果は、1つもしくは複数のHPV株の存在を示す陽性結果、またはHPVの非存在を示す陰性結果などの定性的な答えである。
【0134】
単一のウェルに複数のINVADER反応をプールするための好ましいオリゴヌクレオチド設計は、以下の特徴を有してもよい。
【0135】
オリゴヌクレオチドは、互いに相互作用して、特異的な標的の非存在下で過剰のシグナル生成を促進しない。INVADERアッセイ法におけるバックグラウンドが、いくつかのオリゴ合成混合物の内因性構成要素である一定のオリゴヌクレオチドの断片から生じてもよい。しかし、異なるオリゴヌクレオチドの群に対して、標的の非存在下でINVADERアッセイ法の間に認識されて切断される構造が想定される可能性もある。
【0136】
オリゴヌクレオチドは、互いに相互作用して、特異的な標的の存在下でのシグナル生成で有意に妨害しない。
【0137】
所与のオリゴヌクレオチドセットの性能は、プールされた混合物において、および個々に試験したときに相当する。
【0138】
プールされたアッセイ法は、サブコンビネーションにおいてプローブとINVADERオリゴヌクレオチドとを組み合わせ、次いでプールにおけるオリゴヌクレオチドのシグナル生成およびFOZを、これを検出するために設計したプローブとINVADERオリゴヌクレオチドのみを含む反応においてその標的の検出に対して比較することによって、それぞれの標的についての性能を評価することによって作製される。所与のオリゴヌクレオチドセットが、単一の反応器内のその他のオリゴセットとの組み合わせによって悪影響を受ける、たとえば過剰のバックグラウンドを生じるか、または予想されるレベルの標的特異的シグナルを生じることができないイベントにおいては、いくつかの場合において、同じHPV株の存在を決定するために有用な代わりのオリゴヌクレオチドセットに交換することができる。その他の場合において、特定のプローブオリゴヌクレオチドが非特異的バックグラウンド生成またはシグナル阻害を減少させるためには、単に異なる5'アームを選択することもできる。いくつかの場合において、特定の標的配列の別の鎖を検出し、これによりオリゴヌクレオチドの組成を変更し、これらをプールされたアッセイ法における標的の検出のために適するようにすることができる。それぞれの場合において、首尾よく行われるアッセイ法の基準では、所望の標的の存在下においてバックグラウンド(FOZ)以上に統計学的に有意なシグナル、たとえば隣接<.05からのt検定で1.15が得られる。
【0139】
最終的に、候補オリゴヌクレオチド設計を種々の組み合わせでプールして、精製したHPV DNAまたは部分的HPV配列を含む試料に対して試験する。至適には、試験される全てのHPV株の試料をプールされたオリゴヌクレオチドセットで個々に評価して、それぞれの所望の株について標的特異的シグナルが作製されることを確認する。同様に、HPV陰性試料、または試験されることが要求されないHPV株(たとえば、低リスク株、HPV 1、またはその他の非頚部株)を含む試料もプールに対して試験して、これらが統計学的に有意なFOZを生じないことを確認する。
【0140】
実施例5
子宮頚部試料における複数のHPV株の検出
子宮頚部試料におけるHPVの複数の株を検出するために、実施例4に記載されているように、本発明の方法および組成物を使用した。
【0141】
INVADERオリゴヌクレオチド設計
16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、67、68、および70を含む高リスクHPV株を検出するために、INVADERアッセイ法を設計した。プローブセットは、HPV遺伝の系統発生学に基づいて3つのプールに組み合わせた。プローブセット(たとえば、プローブとINVADERオリゴヌクレオチド)は、配列多型に対応し、および解析感受性を増大するために、それぞれのHPV株について少なくとも2つの異なる標的領域にハイブリダイズするように設計した(たとえば、図6を参照されたい)。INVADERアッセイ法を使用して各々の3つのプールによって複数のHPV株を検出する(たとえば、図6を参照されたい)。プローブおよびINVADERオリゴヌクレオチド配列は、図7の一覧表に記載している。また、図10のプローブおよびINVADERオリゴヌクレオチド配列を使用してもよい。試料におけるゲノムDNAレベルの相対量を測定して、HPV力価についての半定量的方法を提供するために、内部対照アッセイ法(α-アクチン)をそれぞれのプールに含めてある。A7およびA9プールにおけるHPV特異的プローブは、アーム1(CGCGCCGAGG;SEQ ID NO: 85、88、91、94、97、101、105、108、110、および114)を含み、対応するFAM FRETカセット(Fam-TCT-Z28-AGCCGGTTTTCCGGCTGAGACCTCGGCGCG-hex(SEQ ID NO: 119))を利用した。A5/A6プールにおけるHPV特異的プローブは、アームAH9(GGCAGTCTGGGAGT;SEQ ID NO: 77、79、81、および83)を含み、FAM FRETカセット(Fam-TCT-Z28-AGCCGGTTTTCCGGCTGAGAACTCCCAGACTGCC-hex(SEQ ID NO: 120))を利用した。α-アクチンアッセイ法は、アーム3(ACGGACGCGGAG;SEQ ID NO: 117)を含み、RED FRETカセット(Red-TCT-Z28-TCGGCCTTTTGGCCGAGAGACTCCGCGTCCGT-hex、SEQ ID NO: 121)を利用した。
【0142】
INVADERアッセイ試薬および方法
子宮頚部試料からのゲノムDNAの調製:DNAは、PUREGENE(Gentra Systems)DNA精製キットを使用して臨床検査室から得られる子宮頚部試料から単離した。抽出手順は、以下の手順を使用してこの種の検体からDNA収量および純度を増大するように修飾した:
1. 1mlの子宮頚部検体を取り出して、1.5mlのチューブに移す。
2. 16000gで5分間細胞を遠心する。
3. 上清を除去し、細胞溶解溶液にペレットを再懸濁する。
4. 99℃で10分間可溶化液を温める。室温に冷却させる。
5. プロテイナーゼKを添加し、55にて1時間インキュベートする。
6. 100μlのタンパク質沈澱溶液を添加する。
7. 試料を勢いよく20秒間ボルテックスする。10分間氷上におく。
8. 16000gで5分間遠心する。
9. 1.5μlのグリコーゲン(20mg/ml)を含む清潔な1.5mlチューブに上清を注ぐ。
10. 300μlの100% イソプロパノールを添加する。
11. 試料を50回逆にすることによって穏やかに混合する。
12. 16000gで5分間遠心する。
13. 上清を注いで、清潔な吸収紙上にチューブ排出する。
14. 500μlの70%エタノールを添加して、チューブを逆にしてDNAペレットを洗浄する。
15. 16000gで2分間遠心する。慎重に上清を注ぐ。
16. 清潔な吸収紙上にチューブを逆にして排出し、10〜15分間風乾させる。
17. ペレットに100μlの蒸留水を添加する。
18. 一晩室温で静置する。
【0143】
それぞれのゲノムDNA試料または標的のない対照(10ng/μl tRNA)のアリコート10μlを96ウェルマイクロタイタープレートに添加した。試料を20μlの鉱油で覆い、99℃で10分間変性させ、次いで63℃に冷却した。次いで、INVADER反応混合物のアリコート10μlをそれぞれのウェルに添加し、ピペット操作によって混合した。INVADERアッセイ反応に含まれるものの実施例を以下に示す。

【0144】
INVADERアッセイ反応
反応を、63℃にて4時間インキュベートし、次いで、CYTOFLUOR 4000蛍光プレートリーダー(Applied Biosystems, Foster City, CA)での走査の前に4℃に冷却した。使用した設定は、以下の通りであった:FAM色素検出については、485/20nm励起/バンド幅および530/25nm発光/バンド幅、並びに赤色色素検出については、560/20nm励起/バンド幅および620/40nm発光/バンド幅。機器ゲインは、標的のないブランクが100〜250の相対蛍光ユニット(RFU)間で生じるようにそれぞれの色素をセットした。また、マイクロプレートは、Genios FL プレートリーダーで読み込んだ(Tecan, Research Triangle Park, NC)。使用した設定は、以下の通りであった:FAM色素検出については、485/535nm励起/発光、および赤色色素検出については560/612nm励起/発光。機器ゲインは、標的のないブランクが1000〜2000の相対蛍光ユニット(RFU)間で生じるようにそれぞれの色素をセットした。至適なゲイン設定は、機器間で変化しうるので、ゲインは、最適シグナル/バックグラウンド比(たとえば、標的のない対照シグナルによって分けられる試料生シグナル)または標的のない対照試料の読みを与えるように調整される。直接マイクロプレートを読み込むためには、マイクロプレートリーダーのプローブ高さ、およびプレートの配置により、製造業者の説明書に従って調整することが必要かもしれない。
【0145】
Fam色素および赤色色素からの蛍光シグナルを使用して、下記に示したようにFOZ(Fold Over Zero)値を評価した。
FOZFam色素=(生シグナルFam/NTCFam
FOZRed =(生シグナルRed/NTCRed
Fam FOZは、HPVアッセイ法からのシグナルに対応し、RED FOZは、α-アクチンシグナルに対応する(たとえば、図9を参照されたい)。
【0146】
子宮頚部試料におけるHPV検出のためのINVADERアッセイ法の結果
子宮頚部試料におけるDNA濃度の定量は、種々の方法を使用して達成してもよい。たとえば、DNA濃度は、OliGreen ssDNA定量キット(Molecular probes)またはα-アクチンINVADERアッセイ法を使用して測定することができる(たとえば、図8を参照されたい)。INVADERアッセイ法を使用してそれぞれの試料中に存在するDNAの量を決定するために、対照ゲノムDNA試料を段階希釈して、検量線を作製した。直線回帰解析を使用してそれぞれの試料中に存在するDNAの量を決定するために、α-アクチンINVADERアッセイ法の検量線を使用した。両方の方法が、子宮頚部試料中のDNAの濃度を決定するために有用である。α-アクチンINVADERアッセイ法からのシグナルにより、HPV INVADERアッセイ法と同じウェルにおいて検出することができるので、OliGreenによる別の定量化工程または260nmにおける吸光度測定は、必要とされない。
【0147】
子宮頚部試料におけるHPV(たとえば、高リスクHPV株)の有無を検出するために、INVADERアッセイ法を使用した(たとえば、図9を参照されたい)。それぞれの試料を、A5/A6、A7、またはA9 INVADER反応混合物のいずれかを含むマイクロタイタープレートの3つの別々のウェルで試験した。全てのウェルは、α-アクチンオリゴヌクレオチドおよびFRETカセットを含んだ。試料は、FAM FOZ値が3以上である場合にHPV陽性であるとみなし、FAM FOZ値が2よりも少ない場合にHPV陰性とみなし、およびFAM FOZ値が2〜3の間であった場合に曖昧とみなした。試験した45の頚の試料の中には、21の陽性試料、23の陰性試料、および1つの曖昧な試料があった。試料のうちの4つが、本発明の方法を用いて複数のHPV株で同時感染していることが決定された(たとえば、図9、試料10-658、10-662、10-677、および10-682を参照されたい)。
【0148】
上記明細書に挙げられたすべての刊行物および特許は、あたかも本明細書に記載され化のごとく、参照として本明細書に組み入れられる。本発明の記載された様々な修飾および変化は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者に明らかであると思われる。本発明は、特定の好ましい態様に関連して記載されているが、請求した本発明は、このような特定の態様に不当に限定されるものではないことを理解されるべきである。実際に、当業者に明らかである、本発明を行うための記載された様式の様々な修飾は、添付の特許請求の範囲の範囲内であるものと企図される。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】単一反応における2つの異なる対立遺伝子(たとえば、単一ヌクレオチドだけ異なる)を検出するためのINVADERオリゴヌクレオチド、プローブオリゴヌクレオチド、およびFRETカセットの概略図を示す。
【図2】本発明の一部の態様において実施される温度最適化実験の結果を示す。
【図3】本発明の一部の態様における検出アッセイ法構成要素を示す。配列の下線部分は、プローブオリゴヌクレオチドの5'アーム部分を指す。
【図4】本発明の一部の態様において行ったHPV株16の検出実験を示す。
【図5】本発明の一部の態様において行ったHPV株18の検出実験を示す。
【図6】Invaderアッセイ法プールA9、A7、およびA5/A6で検出されるHPV株を示す。
【図7】本発明の一部の態様における検出アッセイ法構成要素を示す。配列の下線部分は、プローブオリゴヌクレオチドの5'アーム部分を指す。
【図8】Oligreen定量キットまたはαアクチンInvaderアッセイ法を使用する子宮頚部試料ゲノムDNAの定量化を示す。
【図9】本発明の一部の態様において行った子宮頚部試料のHPVおよびαアクチンの検出を示す。
【図10】本発明のいくつかの態様における検出アッセイ法構成要素を示す。配列の下線部分は、プローブオリゴヌクレオチドの5'アーム部分を指す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2のオリゴヌクレオチドの使用を含む、試料中の少なくとも1つのHPV配列を検出するための方法であって、該オリゴヌクレオチドが、該少なくとも1つのHPV配列を含む標的配列をもつ侵入型切断構造を形成するように構成される方法。
【請求項2】
第1のオリゴヌクレオチドが、5'部分および3'部分を含み、該3'部分が、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が、該標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第2のオリゴヌクレオチドが、5'部分および3'部分を含み、該5'部分が標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が、該標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
オリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO: 1〜5、7〜62、64〜67、69〜70、73〜116、および122〜193からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
試料中のHPV核酸の有無を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)i)核酸を含む試料;およびii)少なくとも1つのHPV核酸を検出するように構成された侵入型切断アッセイ法を提供する工程;
b)該少なくとも1つのHPV核酸が検出することができるような条件下で該検出アッセイ法に該試料を曝露する工程、並びに
c)試料中のHPV核酸の有無を検出する工程。
【請求項6】
検出工程が、試料中に存在するHPVの1つまたは複数の株を同定する工程を含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
HPV株が、HPV 16、16Ty2、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、58iso、59、66、67、68、68var、69、70、または82である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
核酸が、曝露工程の前に増幅される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
試料中のHPV核酸の有無を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
a)第1のオリゴヌクレオチドと第2のオリゴヌクレオチドとを使用して該試料を処置する工程であって、該オリゴヌクレオチドが、侵入型切断反応を形成するように構成される工程;および
b)HPV核酸の有無を検出する工程。
【請求項10】
オリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO: 1〜5、7〜62、64〜67、69〜70、73〜116、および122〜193からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
オリゴヌクレオチドが、HPV核酸と2つ以上のミスマッチを含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
オリゴヌクレオチドが、優先的に非HPV核酸配列にハイブリダイズする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
オリゴヌクレオチドが、該オリゴヌクレオチドとHPV核酸との間に安定な二重鎖が形成されないように構成される、請求項9記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つのHPV配列を検出するために構成された、非増幅(non-amplified)オリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキット。
【請求項15】
非増幅オリゴヌクレオチド検出アッセイ法が、少なくとも1つのHPV配列を含む標的配列と併せて、侵入型切断構造を形成するように構成された第1および第2のオリゴヌクレオチドを含む、請求項14記載のキット。
【請求項16】
第1のオリゴヌクレオチドが、5'部分および3'部分を含み、該3'部分が、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該5'部分が、該標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項15記載のキット。
【請求項17】
第2のオリゴヌクレオチドが、5'部分および3'部分を含み、該5'部分が、標的配列にハイブリダイズするように構成され、かつ該3'部分が、該標的配列にハイブリダイズしないように構成される、請求項15記載のキット。
【請求項18】
SEQ ID NO: 1〜193からなる群より選択される1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを含む、HPV配列を検出するために構成された、オリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキット。
【請求項19】
1つの反応に1つまたは複数のオリゴヌクレオチドを併用することにより、複数のHPV株を同時に検出することができる、請求項18記載のキット。
【請求項20】
HPV核酸配列に対して完全に相補的なオリゴヌクレオチドが存在しない、請求項18記載のキット。
【請求項21】
オリゴヌクレオチドが、検出される任意の標的配列に対して完全に相補的ではない配列を含む、請求項20記載のキット。
【請求項22】
全ての高リスクHPV株を、4回以下の反応で検出することができる、請求項18記載のキット。
【請求項23】
全ての高リスクHPV株を、3回以下の反応で検出することができる、請求項18記載のキット。
【請求項24】
全ての高リスクHPV株を検出するために構成されたオリゴヌクレオチド検出アッセイ法を含むキット。
【請求項25】
オリゴヌクレオチドが、HPV株の核酸配列に対して完全に相補的ではない、請求項24記載のキット。
【請求項26】
オリゴヌクレオチドが、単一のHPV核酸の複数領域にハイブリダイズする、請求項24記載のキット。
【請求項27】
オリゴヌクレオチドが、SEQ ID NO: 77〜193からなる群より選択される、請求項24記載のキット。
【請求項28】
ミスマッチプローブ配列を使用することによって標的配列を検出する方法であって、以下の工程を含む方法:
a)標的核酸を含むことが疑われる試料を提供する工程;
b)該標的核酸に対して相補的である領域を含む1つまたは複数のオリゴヌクレオチドに該試料を曝露する工程であって、該領域が、該標的核酸に対して完全に相補的な第1の部分を有し、該第1の部分に隣接する第2の部分が、該標的核酸に対して相補的ではなく、かつ該第2の部分に隣接する第3の部分が、該標的核酸に対して完全に相補的である、工程;並びに
c)該1つまたは複数のオリゴヌクレオチドに対して完全に相補的である配列が検出されないような条件下で該標的核酸を検出する工程。
【請求項29】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドの領域が、標的核酸に対して2つ以上のミスマッチを含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドの領域が、標的核酸に対して3つ以上のミスマッチを含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
領域が、標的核酸に対して完全に相補的である10個以下の隣接するヌクレオチドのみを含む、請求項28記載の方法。
【請求項32】
領域が、標的核酸に対して完全に相補的である7個以下の隣接するヌクレオチドのみを含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドの少なくとも1つが、鋳型として標的核酸を用いた酵素伸張反応でプライマーを伸長することによって作製される、請求項28記載の方法。
【請求項34】
標的核酸が、ウイルス標的核酸を含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
ウイルス標的核酸が、HPV標的核酸を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
標的核酸が、ウイルスゲノムの保存された領域を含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドが、標的核酸上の侵入型切断構造を形成するように構成された2つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項28記載の方法。
【請求項38】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドが、標的核酸の存在下で互いに連結するように構成された2つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項28記載の方法。
【請求項39】
1つまたは複数のオリゴヌクレオチドが、ポリメラーゼ連鎖反応法において標的核酸に含まれる配列を増幅するように構成された2つのオリゴヌクレオチドを含む、請求項28記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【公開番号】特開2009−291199(P2009−291199A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173904(P2009−173904)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【分割の表示】特願2006−528294(P2006−528294)の分割
【原出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【出願人】(500228791)サード・ウェーブ・テクノロジーズ・インク (10)
【Fターム(参考)】