説明

ICカードのデータ表示方法及びICカード

【課題】ICカードのデータ表示方法及びICカードに関し、既存の高セキュリティのICチップを用いてリーダライタの機構変更を伴うことなくICカード上で所有者の保持データを表示可能とする。
【解決手段】情報管理装置からの保持データの要求に対して第1制御部21が第1アンテナ部22を介して記憶部23上の保持データを送信し、情報管理装置に対して所有者から保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データが当該情報管理装置より送信されて第1アンテナ部22で受信し、第1制御部21が更新保持データに基づき記憶部23の保持データを更新する。情報管理装置から第1制御部21に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを第2アンテナ部26で受信し、第2制御部24が当該表示データを表示部27に表示する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別毎に所有されるICカードに記憶されている当該所有者の保持データを表示させるICカードのデータ表示方法及びICカードに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、プリペイドや電子マネーの保持データを記憶している非接触のICカードは、所有者にとっては当該保持データがどのくらいであるかを視認できることを望むものであるが、一方で、ICカードは不正使用を防止するために、リーダライタに対してISO18092対応の通信を行うことによりデータ授受だけの単独機能で高セキュリティを確保しているICチップが使用されることが多く、このようなICチップが使用されるICカード上の表示をリーダライタの機構的な変更を伴うことなく可能とすることが望ましい。
【0003】
従来、プリペイドや電子マネーの保持データを記憶している非接触のICカードはアンテナ部と制御部(ICチップ)で構成され、情報管理装置が当該ICカードに対して通信を行い、当該ICカードに記憶されている保持データを所有者のデータ変動(入金等)の要求に対して演算を行い、ICカードに記憶されていた保持データを更新させるものである。この情報管理装置は、ICカードのアンテナ部に対応し、所定周波数の電波を用いて通信を行うもので、当該通信のための周波数に応じた一のアンテナ部が備えられる。
【0004】
ところで、非接触のICカードとして、以下の特許文献等で提案されているものがある。特許文献1では、第1チップ及び第1HFコイルの組と、第2チップ及び第2LFコイルの組とで構成した、異なる2組の周波数アンテナコイルとICチップを内蔵させた2つの機能ユニットのICカードが提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、アンテナコイルに接続されたICチップと、異なるアンテナコイルに接続された有機EL制御用チップで構成され、ICチップの出力ポートと有機EL制御用チップの入力ポートが接続され、当該有機EL制御用チップの出力ポートに有機ELパネルが接続されたもので、ICチップのメモリ上の情報を有機EL制御用チップにより有機ELパネルに表示させるICカードが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4016762号公報
【特許文献2】特開2008−217215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1で提案されているICカードに表示機能を備えさせる場合、当該情報管理装置では、当該ICカードの第1HFコイルと第2LFコイルの異なる周波数に対応させたアンテナ部を備えなければならず、装置構成の変更によるコスト増を招くという問題がある。
【0008】
また、上記特許文献2で提案されているICカードは、表示機能を有するものの、通信によるデータ授受だけの単独機能で高セキュリティを確保している既存のICチップを使用することができないという問題がある。すなわち、特許文献2におけるICカードでセキュリティを確保するためにはICチップが通信状態であるときには有機EL制御用チップの動作を停止させ、当該有機EL制御用チップを動作させているときにはICチップの通信動作を停止させなければならず、そのためのプログラムをICチップに含ませる必要があり、別途製品化させなければならないこととなるものである。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みなされたもので、既存の高セキュリティのICチップを用いてリーダライタの機構変更を伴うことなくICカード上で所有者の保持データを表示可能とさせるICカードのデータ表示方法及びICカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、所有者の更新自在な保持データを記憶部に記憶するもので、第1アンテナ部に接続されて所定の周波数で通信自在な第1制御部、第2アンテナ部に接続されて上記周波数で通信自在な第2制御部、及び、当該第2制御部により制御される所定数の表示部を備えるICカードと、当該ICカードの第1アンテナ部及び第2アンテナ部と通信自在とする一のリーダライタアンテナ部を備え、上記ICカードの記憶部に記憶されている保持データを更新する情報管理装置とにより、上記ICカードの表示部に、当該記憶部に記憶されている保持データを表示させるICカードのデータ表示方法であって、前記情報管理装置からの少なくとも保持データの要求を前記ICカードの第1アンテナ部で受信するステップと、前記情報管理装置からの要求に応じて、前記ICカードの第1制御部が前記記憶部に記憶されている保持データを、第1アンテナ部を介して送信するステップと、前記情報管理装置に対して所有者から前記取得させた保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データが当該情報管理装置より送信され、前記ICカードの第1アンテナ部で受信するステップと、前記ICカードの第1制御部が前記第1アンテナ部で受信した更新保持データに基づき記憶部に記憶している保持データを更新するステップと、前記情報管理装置から前記第1制御部に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを、前記ICカードの第2アンテナ部で受信するステップと、前記ICカードの第2制御部が前記第2アンテナ部で受信した表示データを前記表示部に表示させるステップと、を含む構成とする。
【0011】
請求項2の発明では、一の周波数で通信自在な一のリーダライタアンテナ部を備えて表示データの送信可能な情報管理装置に対して非接触で通信自在なICカードであって、所有者の保持データを記憶する記憶部を備えて前記情報管理装置との通信を制御するものであり、前記情報管理装置からの保持データの要求を受信したときに当該記憶部に記憶している保持データを当該情報管理装置に送信し、また、当該情報管理装置に対して所有者から当該取得させた保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データを当該情報管理装置より受信したときに当該更新保持データに基づき記憶部に記憶している保持データを更新する第1制御部と、前記情報管理装置に対して前記第1制御部の処理を行うためのデータ授受の通信を行う第1アンテナ部と、前記情報管理装置から前記第1制御部に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを受信する第2アンテナ部と、前記第2アンテナ部で受信した表示データに基づいて表示制御を行う第2制御部と、前記第2制御部により表示制御されて前記表示データを表示する所定数の表示部と、を有する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、情報管理装置からの保持データの要求を第1アンテナ部で受信し、第1制御部が記憶部に記憶している保持データを要求の情報管理装置に当該第1アンテナ部を介して送信し、情報管理装置に対して所有者から取得させた保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データが当該情報管理装置より送信されて第1アンテナ部で受信し、第1制御部が第1アンテナ部で受信した更新保持データに基づき記憶部に記憶している保持データを更新し、情報管理装置から第1制御部に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを第2アンテナ部で受信し、第2制御部が当該表示データを所定数の表示部に表示する構成とすることにより、第1制御部を既存の高セキュリティのICチップとし、情報管理装置の制御部のプログラムの変更だけでリーダライタ部分の機構変更を伴うことなくICカード上の第1制御部及び第2制御部が情報管理装置と通信を可能とすることができ、ICカードの表示部上で所有者の保持データを表示可能とさせることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1の本発明に係るICカードの構成図である。
【図2】情報管理装置の構成説明図である。
【図3】本発明に係る保持データのカード表示の処理フローチャート(1)である。
【図4】本発明に係る保持データのカード表示の処理フローチャート(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図により説明する。本発明は全般的に個別毎に所有されるICカードに当該所有者の保持データを表示させる場合に適用できるものであるが、本実施形態では、所有者の保持データをプリペイドや電子マネーの保持データとして説明する。
【0015】
図1に、図1の本発明に係るICカードの構成図を示す。図1(A)は内部を示したもので、ICカードとして少なくともは表示部を表出させて表装部が設けられるものであり、図1(B)はブロック構成図を示したものである。図1において、ICカード11は情報管理装置と非接触で通信自在とされる。なお、情報管理装置については図2で説明する。
【0016】
図1(A)、(B)において、ICカード11は、後に示す情報管理装置に挿入されたときに一のリーダライタアンテナ部の位置に対応して第1アンテナ部22が設けられ、当該第1アンテナ部22に第1制御部21が電気的に接続されたものである。第1アンテナ部22は、例えば円形螺旋状のアンテナコイルを、例えば公知の導電性の印刷インキにより形成され、その両端に第1制御部21が接続されたものである。
【0017】
上記第1アンテナ部22は後述の情報管理装置に対して上記第1制御部21で処理を行うためのデータ授受を行う。上記第1制御部21は、個別のIDコードを保持して情報管理装置との通信を制御するものであり、記憶部23にプリペイドや電子マネーの保持データを記憶する。当該第1制御部21は、第1アンテナ部22で受信した当該情報管理装置からのIDコード及び保持データの要求に対し、当該保持しているIDコードに、記憶部23に記憶している保持データを付帯させて当該情報管理装置に当該第1アンテナ部22を介して送信するICチップ(第1ICチップ)である。
【0018】
上記第1ICチップは、通信によるデータ授受だけの単独機能で高セキュリティを確保している既存のもので、例えば、ISO18092規格に対応したものである。当該第1ICチップは、具体的には、制御回路、IDコードや制御プログラムが記憶されているROM、プログラム実行のためのメモリ、検波回路、変復調回路、電源回路及び保持データを記憶する記憶部23を有してなる。
【0019】
上記電源回路は、第1アンテナ部22で受信した所定周波数の電波を検波回路で検波し、アンテナコイルで発生した誘導起電力を適宜昇圧して他の回路等の電力を生成するものである。周波数としては、例えば13.56MHzが採用される。また、受信した電波には当該周波数の搬送波にデータ信号が重畳されており、変復調回路で当該データ信号を復調し、一方、第1制御部21より送信するときには、制御回路が当該変復調回路に対して当該周波数の搬送波に送信データ信号(本発明の場合にはIDコードや記憶部23に記憶している保持データ)を重畳させて変調させ、第1アンテナ部22より送信するものである。
【0020】
上記第1制御部21及び第1アンテナ部22の、例えば外側に第2アンテナ部26が設けられ、当該第2アンテナ部26に第2制御部24が電気的に接続されたものである。第2アンテナ部26は、例えば長方形螺旋状のアンテナコイルを、第1アンテナ部22と同様に導電性の印刷インキにより形成され、その両端に第2制御部24が接続されたものである。
【0021】
上記第2アンテナ部26は後述の情報管理装置からの後述する表示データを受信する。上記第2制御部24は、情報管理装置との通信を制御するものであり、第2アンテナ部26で受信した当該情報管理装置からの表示データを表示制御するICチップ(第2ICチップ)である。
【0022】
上記第2ICチップは、具体的には、制御回路、制御プログラムが記憶されているROM、プログラム実行や表示データの一時記憶のためのメモリ、検波回路、変復調回路、電源回路及び表示制御部25としての表示制御回路を有してなる。
【0023】
上記電源回路は、第2アンテナ部26で受信した所定周波数の電波を検波回路で検波し、アンテナコイルで発生した誘導起電力を第2ICチップの電力とし、また、後述する表示部27で表示させるに必要な電圧に昇圧して電力を生成するものである。周波数としては、上記同様の13.56MHzである。また、受信した電波には当該周波数の搬送波に表示データが重畳されており、変復調回路で当該表示データを復調し、一方、第2制御部24より表示終了の終了信号を送信するときには、制御回路が当該変復調回路に対して当該周波数の搬送波に当該表示終了信号を重畳させて変調させ、第2アンテナ部26より送信するものである。
【0024】
上記表示部27は、第2制御部24(表示制御回路25)により表示制御されるもので、その電力は上記のように電源回路で生成される。当該表示部27は、例えば、公知の電気泳動方式のもので、電力供給が停止されても、表示された像が残る残映状態となり、いつでも視認可能なものである。例えば、表示部27には、プリペイドや電子マネーの残金用として表示される。
【0025】
続いて、図2に、情報管理装置の構成説明図を示す。図2(A)において、情報管理装置12は、上記ICカード11に対応するものとして、挿入部31、一のリーダライタアンテナ部32、制御部33、表示部34及び操作部35を適宜備える。
【0026】
上記挿入部31は、上記ICカード11を挿入させる部分である。なお、完全挿入型とする場合には、排出機構も備えられる。上記リーダライタアンテナ部32は、当該ICカード11に対して第1アンテナ部22及び第2アンテナ部26を介して上記周波数(13.56MHz)で通信自在とするもので、当該ICカード11が挿入部31に挿入されたときに第1アンテナ部22及び第2アンテナ部26と対向する位置に配置される。すなわち、当該リーダライタアンテナ部32は、単一で、ICカード11の第1アンテナ部22及び第2アンテナ部26の両方に対して通信を行う役割をなす。
【0027】
上記制御部33は、当該装置を統括的に制御するもので、具体的には、図示しないROMに記憶されているプログラムがメモリ上に展開されて実行されることにより制御を行う制御回路、メモリ、電源回路、発信回路、変復調回路、電力増幅回路、検波回路を適宜備えるICチップである。上記挿入部31、リーダライタアンテナ部32及び制御部33により広義のリーダライタが構成される。
【0028】
すなわち、制御部33は、挿入部31に挿入されたICカード11の第1制御部21に対してIDコード及び保持データを要求して取得する。そして、当該情報管理装置12に対して所有者から取得させた保持データの変動(例えば入金)の要求に応じて、演算を行い、その結果を更新された更新保持データとしてICカード11の第1制御部21に対して送信する。
【0029】
また、制御部33は、当該更新保持データを表示データとしてICカード11の第2制御部24に対して送信するもので、その際には、第1制御部21に対する更新保持データの送信とは別のものとして、例えば第1制御部21に対する通信プロトコルと異なるプロトコルで第2制御部24に対して通信を行う。
【0030】
上記表示部34は、制御部33で取得された当該ICカード11の保持データを表示させ、また、保持データの変動による更新保持データを表示する、例えばLED表示部である。なお、表示部34は、視覚的表示に限らず、音声表示を含ませてもよい。また、上記操作部35は、少なくとも入金操作を行う操作ボタンや真贋判別を行う入金機構を備える。この操作部35における操作ボタンは、ボタン機構、タッチパネル式を問わない。
【0031】
すなわち、上記情報管理装置12は、ICカード11の第1アンテナ部22及び第2アンテナ部26と通信自在とし、所有者から取得させた保持データの変動の要求に応じて、演算を行い、その結果を更新された更新保持データをICカード11の第1制御部21に送信すると共に、表示データとしてICカード11の第2制御部24に送信する処理を少なくとも行うものである。上記保持データの変動とは、例えば、カード所有者の入金による加算であり、情報管理装置12が自動販売機に搭載される場合には、入金による加算の他に使用による減算である。
【0032】
そこで、図3及び図4に本発明に係る保持データのカード表示の処理フローチャートを示す。まず、図3において、情報管理装置12の制御部33が、リーダライタアンテナ部32より周波数F(13.56MHz)の搬送波に重畳させたIDコード要求及び保持データ要求のコマンドをICカード11の第1制御部21に対する通信プロトコルで送信状態とする(ステップ(S)1)。挿入部31にICカード11が挿入されると、第1アンテナ部22が当該IDコード要求及び保持データ要求のコマンドを受信する(S2)。
【0033】
ICカード11の第1制御部21では第1アンテナ部22で受信した搬送波による誘導起電力により第1ICチップが起動され、保持しているIDコード及び記憶部23に記憶している保持データを情報管理装置12側に上記通信プロトコルで送信する(S3)。情報管理装置12では取得した保持データを表示部34に表示する(S4)。
【0034】
続いて、所有者が操作部35により例えば入金の操作ボタンを操作して入金が行われると、制御部33が、入金データ(残金変動データ)を取得し(S5)、上記取得している保持データとの加算演算を行い、更新保持データとする(S6)。また、制御部33は、上記演算値の更新保持データを表示部35に表示すると共に、当該更新保持データにパリティチェックフラグを付帯させ、ICカードに対してリーダライタアンテナ部32より周波数Fの搬送波に重畳させた更新保持データによる記憶部の保持データ更新のコマンドを送信する(S7)。
【0035】
ICカード11では、第1アンテナ部22で受信した搬送波から電力が生成されて第1制御部21が起動され、受信した更新保持データをパリティチェックしてその結果を情報管理装置12側に上記通信プロトコルで送信する(S8)。パリティチェックの結果(S9)、不一致の場合には否定応答(NAK)を情報管理装置12側に送信することで、当該情報管理装置12より表示データが再送され、第1制御部21がこれに対してもパリティチェックを行ってその結果を情報管理装置12側に送信する(S7、S8)。
【0036】
パリティチェックの結果(S9)、一致した場合には応答(ACK)を情報管理装置12側に送信し、取得した更新保持データに基づいて記憶部23の保持データを更新するものである(S10)。
【0037】
情報管理装置12の制御部33が、図5に示すように、パリティチェックの応答(ACK)を受信すると(S11)、演算した更新保持データを第1制御部21に対する更新保持データとは別に表示データとし、挿入されているICカード11に対して当該表示データにパリティチェックフラグを付帯させ、周波数F(13.56MHz)の搬送波に重畳させて上記第1制御部21に対する通信プロトコルと異なるプロトコルで送信する(S12)。
【0038】
ICカード11の第2アンテナ部26では、異なるプロトコルで送信されてきた表示データを受信し、当該受信した搬送波による誘導起電力を生成させて第2制御部24の第2制御部24を起動させ、受信した表示データを付帯されているパリティチェックフラグよりパリティチェックを行い、その結果を情報管理装置12側に送信する(S13)。
【0039】
パリティチェックの結果(S14)、不一致の場合には否定応答(NAK)を情報管理装置12側に送信することで、当該情報管理装置12より表示データが再送され、第2制御部24がこれに対してもパリティチェックを行ってその結果を情報管理装置12側に送信する(S12、S13)。
【0040】
パリティチェックの結果(S14)、一致した場合には応答(ACK)を情報管理装置12側に送信し、表示制御部25により表示部27に対する記憶部23に記憶されている更新保持データと同一の更新保持データの内容(残金)の表示を書き換える(S15)。そして、第2制御部24が、情報管理装置12側にタイミング等による表示書き換えの終了信号を送信する(S16)。
【0041】
情報管理装置12の制御部33では、表示書き換えの終了信号を受信し、表示部34に挿入部31からのICカード11の取り出し許可を表示するものである(S17)。この場合、取り出し許可を音声で表示させることとしてもよい。また、挿入部31が、完全挿入型の場合には、自動的に排出させることとしてもよいものである。
【0042】
このように、第1制御部21の第1ICチップを、上記のようにISO18092対応の既存の高セキュリティのICチップとして、情報管理装置12の制御部33のプログラムの変更だけでアンテナ部などのリーダライタ部分の機構変更を伴うことなく第1制御部21及び第2制御部24が当該情報管理装置12と通信を可能とすることができ、ICカード11の記憶部23に記憶している保持データを表示部27に表示させることができるものである。
【0043】
ところで、情報管理装置12の挿入部31が完全挿入型の場合、操作部35にイジェクトボタンを処理中止用として設けてもよく、この場合には、イジェクトボタンが操作されたときに、制御部33において、取得した保持データが更新されていなければそのままの状態で取り出し許可の表示をさせ、更新されている場合には図3のS7〜S10及び図4の処理を行わせることとすればよい。なお、挿入部31が完全挿入型のものでなく、単に挿入するだけのもので操作部35に処理中止の操作ボタンを設けた場合であっても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のICカードのデータ表示方法及びICカードは、個別毎に所有されるICカードに当該所有者の保持データを表示させるICカード産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
11 ICカード
12 情報管理装置
21 第1制御部
22 第1アンテナ部
23 記憶部
24 第2制御部
25 表示制御部
26 第2アンテナ部
27 表示部
31 挿入部
32 リーダライタアンテナ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所有者の更新自在な保持データを記憶部に記憶するもので、第1アンテナ部に接続されて所定の周波数で通信自在な第1制御部、第2アンテナ部に接続されて上記周波数で通信自在な第2制御部、及び、当該第2制御部により制御される所定数の表示部を備えるICカードと、当該ICカードの第1アンテナ部及び第2アンテナ部と通信自在とする一のリーダライタアンテナ部を備え、上記ICカードの記憶部に記憶されている保持データを更新する情報管理装置とにより、上記ICカードの表示部に、当該記憶部に記憶されている保持データを表示させるICカードのデータ表示方法であって、
前記情報管理装置からの少なくとも保持データの要求を前記ICカードの第1アンテナ部で受信するステップと、
前記情報管理装置からの要求に応じて、前記ICカードの第1制御部が前記記憶部に記憶されている保持データを、第1アンテナ部を介して送信するステップと、
前記情報管理装置に対して所有者から前記取得させた保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データが当該情報管理装置より送信され、前記ICカードの第1アンテナ部で受信するステップと、
前記ICカードの第1制御部が前記第1アンテナ部で受信した更新保持データに基づき記憶部に記憶している保持データを更新するステップと、
前記情報管理装置から前記第1制御部に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを、前記ICカードの第2アンテナ部で受信するステップと、
前記ICカードの第2制御部が前記第2アンテナ部で受信した表示データを前記表示部に表示させるステップと、
を含むことを特徴とするICカードのデータ表示方法。
【請求項2】
一の周波数で通信自在な一のリーダライタアンテナ部を備えて表示データの送信可能な情報管理装置に対して非接触で通信自在なICカードであって、
所有者の保持データを記憶する記憶部を備えて前記情報管理装置との通信を制御するものであり、前記情報管理装置からの保持データの要求を受信したときに当該記憶部に記憶している保持データを当該情報管理装置に送信し、また、当該情報管理装置に対して所有者から当該取得させた保持データの変動の要求に応じて更新された更新保持データを当該情報管理装置より受信したときに当該更新保持データに基づき記憶部に記憶している保持データを更新する第1制御部と、
前記情報管理装置に対して前記第1制御部の処理を行うためのデータ授受の通信を行う第1アンテナ部と、
前記情報管理装置から前記第1制御部に対する更新保持データとは別に表示データとして送信される更新保持データを受信する第2アンテナ部と、
前記第2アンテナ部で受信した表示データに基づいて表示制御を行う第2制御部と、
前記第2制御部により表示制御されて前記表示データを表示する所定数の表示部と、
を有することを特徴とするICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−76151(P2011−76151A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223847(P2009−223847)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】