説明

ICソケット

【課題】一つのICソケットで複数種のパッケージの電気的テストを行えるようにする。
【解決手段】ソケット本体7のパッケージ収容部3内には、モールドのサイズ及び端子の
形状が異なる第1〜第3のパッケージを収容できるようになっている。そして、パッケー
ジ収容部3に収容した第1〜第3のパッケージは、パッケージ収容部3の一側面側にパッ
ケージ片寄せ手段としてのソケットカバー2によって片寄せされ、端子がコンタクトピン
5,6に対して位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パッケージのバーンインテスト等の電気的テストに使用されるICソケッ
トに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICソケットは、測定対象となるパッケージをソケット本体のパッケージ収容部内に収
容し、そのパッケージの端子とソケット本体に装着したコンタクトピンとを接触させ、パ
ッケージの端子と外部の電気的テスト回路とをコンタクトピンを介して電気的に接続する
ようになっている。
【0003】
このようなICソケットは、パッケージ収容部にパッケージの位置規制面を形成し、パ
ッケージ収容部内に収容したパッケージのリード端子やパッケージのモールドをパッケー
ジ収容部の位置規制面に突き当てて、パッケージをパッケージ収容部内において位置決め
し、パッケージの端子をコンタクトピンに確実に接触させるようになっている(特許文献
1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2538116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のICソケットは、測定対象となる1種類のパッケージの形状にあ
わせてパッケージ収容部及び位置規制面を形成していたため、モールドのサイズ及び端子
の形状が異なる複数種のパッケージを測定できるようになっていなかった。そのため、モ
ールドのサイズ及び端子の形状が異なる複数種のパッケージを測定する場合、各パッケー
ジに対応するICソケットを複数種揃えておかなければならず、パッケージの電気的テス
トのためのコストが嵩むという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、一つのICソケットで複数種のパッケージの電気的テストを行える
ようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るICソケットは、図1乃至図11に示すように、モールド31a〜33a
の平面形状が矩形形状で且つ前記モールド31a〜33aの対向する一対の側面31a1
〜33a1,31a3〜33a3に沿って端子31b〜33b,31c〜33cが配置さ
れたパッケージ31〜33をソケット本体7のパッケージ収容部3に収容し、このパッケ
ージ収容部3に収容した前記パッケージ31〜33の前記端子31b〜33b,31c〜
33cと前記パッケージ収容部3に配置したコンタクトピン5,6とを接触させて、前記
パッケージ31〜33と外部電気的テスト回路とを前記コンタクトピン5,6を介して電
気的に接続するようになっている。このICソケット1において、前記パッケージ収容部
3は、前記モールド31a〜33aのサイズ及び前記端子31b〜33bの形状が異なる
第1乃至第3のパッケージ31〜33を収容できるようになっている。また、前記第1の
パッケージ31は、前記モールド31aにおける前記一対の側面を第1側面31a1と第
3側面31a3とし、これら第1側面31a1と第3側面31a3に直交する前記モール
ド31aの側面を第2側面31a2と第4側面31a4とすると、他のパッケージ32,
33の端子32b,33bよりも長い端子31bが前記第1側面31a1から等間隔で複
数突出し、前記端子31bの少なくとも先端部の平面形状が矩形形状であって、前記第2
側面31a2と前記第4側面31a4との間隔が他のパッケージ32,33よりも短くな
っている。また、前記第2のパッケージ32は、前記一対の側面を第1側面32a1と第
3側面32a3とし、これら第1側面32a1と第3側面32a3に直交する側面を第2
側面32a2と第4側面32a4とすると、前記第1のパッケージ31の前記端子31b
よりも短い端子32bであって、前記第1のパッケージ31の前記端子31bと同一のピ
ッチで且つ前記第1のパッケージ31の前記端子31bにおける前記先端部の平面形状と
同一の先端部の平面形状に形成された前記端子32bが前記第1側面32a1から複数突
出し、前記第2側面32a2と前記第4側面32a4との間隔が他のパッケージ31,3
3よりも長くなっている。また、前記第3のパッケージ33は、前記一対の側面を第1側
面33a1と第3側面33a3とし、これら第1側面33a1と第3側面33a3に直交
する側面を第2側面33a2と第4側面33a4とすると、前記第1のパッケージ31の
前記端子31bと同一のピッチの端子33bが前記第1側面33a1側の裏面に配置され
、前記第2側面33a2と前記第4側面33a4との間隔が前記第1のパッケージ31よ
りも長く且つ前記第2側面33a2と前記第4側面33a4との間隔が前記第2のパッケ
ージ32よりも短くなっている。
【0008】
前記パッケージ収容部3は、
(1)前記第1及び第2のパッケージ31,32における前記端子31b,32bの前記
先端部に係合する端子位置決め凹所36であって、前記端子31b,32bの前記先端部
の先端面31b1,32b1が突き当てられる端子突き当て面36a1と、前記端子31
b,32bの前記先端部の側面31b2,32b2に対向するように位置する端子位置規
制面36a2とを有し、前記第1及び第2のパッケージ31,32における前記端子31
b,32bの前記先端部を前記コンタクトピン5に対して位置決めする端子位置決め凹所
36を有している。また、
(2)前記端子位置決め凹所36に前記端子32bが係合された状態の前記第2のパッケ
ージ32における前記モールド32aの前記第2側面32a2と前記第4側面32a4に
対向するように位置し、前記モールド32aの前記第2側面32a2と前記第4側面32
a4の位置を規制する第1モールド位置規制面37を有している。また、
(3)前記第3のパッケージ33における前記モールド33aの前記第1側面33a1が
突き当てられるモールド突き当て面38を有している。また、(4)前記第3のパッケー
ジ33における前記モールド33aの前記第1側面33a1が前記モールド突き当て面3
8に突き当てられた状態で、前記第3のパッケージ33における前記モールド33aの前
記第2側面33a2と前記第4側面33a4に対向するように位置して、前記第3のパッ
ケージ33における前記モールド33aの第2側面33a2と第4側面33a4の位置を
規制し、前記モールド突き当て面38に前記モールド33aの第1側面33a1が突き当
てられた前記第3のパッケージ33の前記端子33bを前記コンタクトピン5に対して位
置決めする第2モールド位置規制面40と、を有している。そして、
前記パッケージ収容部3に収容された前記第1又は第2のパッケージ31,32におけ
る前記端子31b,32bの前記先端面31b1,32b1を前記端子位置決め凹所36
の前記端子突き当て面36a1に押し付け、前記パッケージ収容部3に収容された前記第
3のパッケージ33における前記モールド33aの前記第1側面33a1を前記モールド
突き当て面38に押し付けるパッケージ片寄せ手段(2,50)が前記ソケット本体7に
取り付けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、一つのICソケットで複数種のパッケージの電気的テストを行うこと
ができるため、各パッケージに対応するICソケットを複数種揃えておかなければならな
い場合と比較し、パッケージの電気的テストのためのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)がICソケットのソケットカバーを開いた状態の平面図であり、図1(b)が図1(a)のA1部を拡大して示す図であり、図1(c)がICソケットのソケットカバーを閉じた状態の平面図である。
【図2】図2(a)が図1(c)のB1−B1線に沿って切断して示すICソケットの断面図であり、図2(b)が図2(a)のA2部を拡大して示す図であり、図2(c)がICソケットのパッケージ収容部内に収容したパッケージとコンタクトピンとの接触状態を示す図である。
【図3】図3(a)が第1のパッケージをパッケージ収容部内に収容した状態を示す平面図であり、図3(b)が図3(a)のA3部を拡大して示す図である。
【図4】図4(a)が第2のパッケージをパッケージ収容部内に収容した状態を示す平面図であり、図4(b)が図4(a)のA4部を拡大して示す図である。
【図5】第3のパッケージをパッケージ収容部内に収容した状態を示す平面図である。
【図6】図6(a)が第1のパッケージの平面図であり、図6(b)が第1のパッケージの正面図であり、図6(c)が第1のパッケージの裏面図である。
【図7】図7(a)が第2のパッケージの平面図であり、図7(b)が第2のパッケージの正面図であり、図7(c)が第2のパッケージの裏面図である。
【図8】図8(a)が第3のパッケージの平面図であり、図8(b)が第3のパッケージの左側面図であり、図8(c)が第3のパッケージの裏面図である。
【図9】図9(a)がパッケージ収容部の平面図であり、図9(b)が図9(a)のB1−B1線に沿って切断して示す断面図であり、図9(c)が図9(a)のB2−B2線に沿って分断して示す図(第3のガイド壁の側面図)であり、図9(d)がD方向から見た第1のガイド壁21の側面図であり、図9(e)が図9(a)のA5部を拡大して示す図である。
【図10】ソケットカバーのパッケージ押圧突起とパッケージの接触状態を模式的に示す図である。
【図11】パッケージ片寄せ手段の変形例1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
【0012】
(ICソケットの全体構成)
図1乃至図2は、本発明の実施形態に係るクラムシェルタイプのICソケット1を示す
図である。ここで、図1(a)がICソケット1のソケットカバー2を開いた状態の平面
図であり、図1(b)が図1(a)のA1部を拡大して示す図であり、図1(c)がIC
ソケット1のソケットカバー2を閉じた状態の平面図である。また、図2(a)が図1(
c)のB1−B1線に沿って切断して示すICソケット1の断面図であり、図2(b)が
図2(a)のA2部を拡大して示す図であり、図2(c)がICソケット1のパッケージ
収容部3内に収容したパッケージ4とコンタクトピン5,6との接触状態を示す図である

【0013】
これらの図に示すように、ICソケット1は、絶縁性樹脂材料(例えば、PBT,PC
,PPS)で形成されたソケット本体7と、このソケット本体7に装着された導電性金属
(例えば、ベリリウム銅)製の複数のコンタクトピン5,6と、ソケット本体7の一端側
に回動できるように取り付けられたソケットカバー2と、を有している。
【0014】
(ソケット本体)
また、図1乃至図2に示すように、ソケット本体7は、平面形状が略矩形形状であって
、その長手方向(X軸に沿った方向)の一端側にカバー支持脚8が一対形成され、ソケッ
トカバー2の軸支持部10がカバー支持脚8,8間に係合され、ソケットカバー2の軸支
持部10がカバー支持脚8,8に軸11を介して回動可能に取り付けられている。
【0015】
また、図1乃至図2に示すように、ソケット本体7は、その長手方向の他端側にソケッ
トカバー2のフック12を引っ掛けるためのフック係止部13が形成されている。このソ
ケット本体7のフック係止部13は、軸11を中心として回動させられたソケットカバー
2がソケット本体7上に重ねられると、ソケットカバー2のフック12が引っ掛かり、ソ
ケットカバー2がソケット本体7の上面7a側を閉じる状態を保持するようになっている

【0016】
また、図1乃至図2に示すように、ソケット本体7は、その上面7a側の中心部にパッ
ケージ収容部3が形成されている。このパッケージ収容部3は、パッケージ31〜33を
コンタクトピン5,6上に案内するガイド壁(21〜29)がソケット本体7の上面7a
側に起立するように形成されており、そのガイド壁21〜29の内側にパッケージ収容空
間30が形成され、このパッケージ収容空間30に3種類(第1乃至第3)のパッケージ
31〜33を収容できるようになっている(図3乃至図5参照)。これら第1乃至第3の
パッケージ31〜33は、以下に説明するとおり、モールド31a〜33aのサイズ及び
端子31b〜33bの形状がそれぞれ異なっている。
【0017】
(パッケージ)
図6に示す第1のパッケージ31は、モールド31aにおける一対の側面を第1側面3
1a1と第3側面31a3とし、これら第1側面31a1と第3側面31a3に直交する
モールド31aの側面を第2側面31a2と第4側面31a4とすると、他のパッケージ
(第2及び第3のパッケージ)32,33よりも長い端子(リード)31bが第1側面3
1a1から等間隔で複数突出している。そして、この第1のパッケージ31は、端子31
bの少なくとも先端部の平面形状が矩形形状であって、第2側面31a2と第4側面31
a4との間隔が他のパッケージ(第2及び第3のパッケージ)32,33よりも短くなっ
ている。また、この第1のパッケージ31の裏面側で且つモールド31aの第3側面31
a3に沿った領域には、板状端子31cが設置されている。
【0018】
図7に示す第2のパッケージ32は、モールド32aにおける一対の側面を第1側面3
2a1と第3側面32a3とし、これら第1側面32a1と第3側面32a3に直交する
側面を第2側面32a2と第4側面32a4とすると、第1のパッケージ31の端子(リ
ード)31bよりも短い端子(リード)32bであって、第1のパッケージ31の端子3
1bと同一のピッチで且つ第1のパッケージ31の端子31bにおける先端部の平面形状
と同一の先端部の平面形状に形成された端子32bが第1側面32a1から複数突出して
いる。そして、この第2のパッケージ32は、第2側面32a2と第4側面32a4との
間隔が他のパッケージ(第1及び第3のパッケージ)31,33よりも長くなっている。
また、この第2のパッケージ32の裏面側で且つモールド32aの第3側面32a3に沿
った領域には、板状端子32cが設置されている。
【0019】
図8に示す第3のパッケージ33は、モールド33aの一対の側面を第1側面33a1
と第3側面33a3とし、これら第1側面33a1と第3側面33a3に直交する側面を
第2側面33a2と第4側面33a4とすると、第1のパッケージ31の端子31bと同
一のピッチの端子33bがモールド33aの第1側面33a1側の裏面に複数設置されて
いる。そして、この第3のパッケージ33は、第2側面33a2と第4側面33a4との
間隔が第1のパッケージ31よりも長く且つ第2側面33a2と第4側面33a4との間
隔が第2のパッケージ32よりも短くなっている。また、この第3のパッケージ33は、
モールド33aの第1側面33a1と第3側面33a3との間隔が第1及び第2のパッケ
ージ31,32よりも長くなっている。また、この第3のパッケージ33の裏面側で且つ
モールド33aの第3側面33a3に沿った領域には、板状端子33cが設置されている

【0020】
(パッケージ収容部)
図9は、パッケージ収容部3の平面図である。この図9において、パッケージ収容部3
を構成する第1乃至第5のガイド壁21〜25は、第1乃至第3のパッケージ31〜33
におけるモールド31a〜33aの第1側面31a1〜33a1側に位置している(図3
乃至図5参照)。また、この図9において、パッケージ収容部3を構成する第6乃至第9
のガイド壁26〜29は、第1乃至第3のパッケージ31〜33におけるモールド31a
〜33aの第3側面31a3〜33a3側に位置している(図3乃至図5参照)。また、
第1乃至第5のガイド壁21〜25と第6乃至第9のガイド壁26〜29とが対向するよ
うに位置している。そして、第1乃至第5のガイド壁21〜25は、ソケットカバー2の
回動中心となる軸11からの距離が第6乃至第9のガイド壁26〜29よりも遠くに位置
し、ソケットカバー2の軸11に沿った方向(図1のY軸方向)と平行となるように位置
している(図1参照)。
【0021】
また、図9に示すパッケージ収容部3において、第1のガイド壁21と第2のガイド壁
22の間,第2のガイド壁22と第3のガイド壁23の間,第3のガイド壁23と第4の
ガイド壁24の間,及び第4のガイド壁24と第5のガイド壁25の間には、第1のコン
タクトピン5をパッケージ収容空間30内に設置することを可能にし、且つ第1のコンタ
クトピン5の端子支持部5aの弾性変形(撓み変形)を可能にする隙間34が設けられて
いる(図1(b)、図2(b)〜(c)参照)。
【0022】
また、図9に示すパッケージ収容部3において、第6のガイド壁26と第7のガイド壁
27の間,第7のガイド壁27と第8のガイド壁28の間,及び第8のガイド壁28と第
9のガイド壁29の間には、第2のコンタクトピン6をパッケージ収容空間30内に設置
することを可能にし、且つ第2のコンタクトピン6の端子支持部6aの弾性変形(撓み変
形)を可能にする隙間35が設けられている(図1(b)、図2(b)〜(c)参照)。
【0023】
また、図9に示すように、第1乃至第5のガイド壁21〜25は、パッケージ収容空間
30内に収容された第1及び第2のパッケージ31,32におけるモールド31a,32
aの第1側面31a1,32a1に対向する面側に、第1及び第2のパッケージ31,3
2における端子31b,32bの先端部に係合する端子位置決め凹所36が形成されてい
る(図3及び図4参照)。この端子位置決め凹所36は、モールド31a,32aの第1
側面31a1,32a1側から突出する端子31b,32bの先端部の先端面31b1,
32b1が突き当てられる端子突き当て面36a1と、端子31b,32bの先端部の側
面31b2,32b2に対向するように位置する端子位置規制面36a2とを有している
(図3及び図4参照)。そして、第1のガイド壁21と第2のガイド壁22の対向する箇
所に設けられた端子位置決め凹所36,36、第2のガイド壁22と第3のガイド壁23
の対向する箇所に設けられた端子位置決め凹所36,36、第3のガイド壁23と第4の
ガイド壁24の対向する箇所に設けられた端子位置決め凹所36,36、及び第4のガイ
ド壁24と第5のガイド壁25の対向する箇所に設けられた端子位置決め凹所36,36
は、第1及び第2のパッケージ31,32における端子31b,32bの先端部を第1の
コンタクトピン5に対して位置決めすることができるようになっている(図1(b)、図
3及び図4参照)。
【0024】
また、図4及び図9に示すように、第1のガイド壁21及び第6のガイド壁26には、
パッケージ収容空間30内に収容され且つ端子位置決め凹所36に端子32bが係合され
た状態の第2のパッケージ32におけるモールド32aの第2側面32a2に対向するよ
うに位置し、モールド32aの第2側面32a2の位置を規制する第1モールド位置規制
面37が形成されている。また、第5のガイド壁25及び第9のガイド壁29には、端子
位置決め凹所36に端子32bが係合された状態の第2のパッケージ32におけるモール
ド32aの第4側面32a4に対向するように位置し、モールド32aの第4側面32a
4の位置を規制する第1モールド位置規制面37が形成されている。
【0025】
また、図5及び図9に示すように、第1乃至第5のガイド壁21〜25には、パッケー
ジ収容空間30内に収容した第3のパッケージ33におけるモールド33aの第1側面3
3a1を突き当てるようになっているモールド突き当て面38が形成されている。
【0026】
また、図5及び図9に示すように、第1のガイド壁21及び第6のガイド壁26には、
パッケージ収容空間30内に収容され且つモールド突き当て面38に突き当てられた状態
の第3のパッケージ33におけるモールド33aの第2側面32a2に対向するように位
置し、モールド33aの第2側面33a2の位置を規制する第2モールド位置規制面40
が形成されている。また、第5のガイド壁25及び第9のガイド壁29には、パッケージ
収容空間30内に収容され且つモールド突き当て面38に突き当てられた状態の第3のパ
ッケージ33におけるモールド33aの第4側面33a4に対向するように位置し、モー
ルド33aの第4側面33a4の位置を規制する第2モールド位置規制面40が形成され
ている。
【0027】
なお、図9に示すように、第1乃至第9のガイド壁21〜29は、その上端部で且つパ
ッケージ収容空間30に面した部分が面取りされ、第1乃至第3のパッケージ31〜33
をパッケージ収容空間30内に円滑にガイドできるように工夫されている。
【0028】
(パッケージの端子とコンタクトピンとの位置決め)
図1(a)〜(b)及び図3に示すように、第1のパッケージ31は、パッケージ収容
部3内(パッケージ収容空間30内)の第1及び第2のコンタクトピン5,6上に乗せ、
モールド31aの第1側面31a1から突出する各端子31bの先端部を第1乃至第5の
ガイド壁21〜25に形成された端子位置決め凹所36に係合し、且つ各端子31bの先
端部の先端面31b1を端子位置決め凹所36の端子突き当て面36a1に突き当てるこ
とにより、パッケージ収容部3内の第1乃至第5のガイド壁21〜25寄りに片寄せされ
、モールド31aの第1側面31a1から突出する端子31bが第1のコンタクトピン5
に対して位置決めされ、モールド31aの裏面に設置された板状端子31cが第2のコン
タクトピン6と接触する。
【0029】
図1(a)〜(b)及び図4に示すように、第2のパッケージ32は、パッケージ収容
部3内(パッケージ収容空間30内)の第1及び第2のコンタクトピン5,6上に乗せ、
モールド32aの第1側面32a1から突出する各端子32bの先端部を第1乃至第5の
ガイド壁21〜25に形成された端子位置決め凹所36に係合し、且つ各端子32bの先
端部の先端面32b1を端子位置決め凹所36の端子突き当て面36a1に突き当てるこ
とにより、パッケージ収容部3内の第1乃至第5のガイド壁21〜25寄りに片寄せされ
、モールド32aの第2側面32a2が第1のガイド壁21及び第6のガイド壁26の第
1モールド位置規制面37で位置規制され、モールド32aの第4側面32a4が第5の
ガイド壁25及び第9のガイド壁29の第1モールド位置規制面37で位置規制される。
その結果、第2のパッケージ32は、モールド32aの第1側面32a1から突出する端
子32bが第1のコンタクトピン5に対して位置決めされ、モールド32aの裏面に設置
された板状端子32cが第2のコンタクトピン6と接触する。
【0030】
図1(a)〜(b)及び図5に示すように、第3のパッケージ33は、パッケージ収容
部3内(パッケージ収容空間30内)の第1及び第2のコンタクトピン5,6上に乗せ、
モールド33aの第1側面33a1を第1乃至第5のガイド壁21〜25に形成されたモ
ールド突き当て面38に突き当てることにより、パッケージ収容部3内の第1乃至第5の
ガイド壁21〜25寄りに片寄せされ、モールド33aの第2側面33a2が第1のガイ
ド壁21及び第6のガイド壁26の第2モールド位置規制面40で位置規制され、モール
ド33aの第4側面33a4が第5ガイド壁25及び第9ガイド壁29の第2モールド位
置規制面40で位置規制される。その結果、第3のパッケージ33は、モールド33aの
第1側面33a1側の裏面に設置された端子33bが第1のコンタクトピン5に対して位
置決めされ、モールド33aの裏面に設置された板状端子33cが第2のコンタクトピン
6と接触する。
【0031】
(コンタクトピン)
図1乃至図2に示すように、第1及び第2のコンタクトピン5,6は、基部5b,6b
がソケット本体7に固定され、基部5b,6bから分岐して片持ち梁状に延びる端子支持
部5a,6aが弾性変形(撓み変形)できるようになっている。なお、第1及び第2のコ
ンタクトピン5,6は、隣り合う他の第1及び第2のコンタクトピン5,6と絶縁された
状態でソケット本体7に装着されている。
【0032】
第1のコンタクトピン5の端子支持部5aは、パッケージ収容部30内において片寄せ
された状態で位置決めされた第1乃至第3のパッケージ31〜33の第1側面31a1〜
33a1側に設置された端子31b〜33bと接触できる長さに形成され、その一部がパ
ッケージ収容空間30内に延出している(図1乃至図5参照)。
【0033】
第2のコンタクトピン6の端子支持部6aは、パッケージ収容部30内において片寄せ
された状態で位置決めされた第1乃至第3のパッケージ31〜33の裏面側に設置された
板状端子31c〜33cと接触できる長さに形成され、その一部がパッケージ収容空間3
0内に延出している。なお、第2のコンタクトピン6の端子支持部6aは、第1乃至第3
のパッケージ31〜33がパッケージ収容部3内で第1乃至第5のガイド壁21〜25寄
りに片寄せされることを考慮し、パッケージ収容空間30内への延出長さが第1のコンタ
クトピン5の端子支持部5aよりも長くなっている(図1乃至図5参照)。
【0034】
(ソケットカバー)
図1乃至図2に示すように、ソケットカバー2は、ソケット本体7と同様の材料で形成
されており、その一端側に位置する軸支持部10がカバー支持脚8,8に軸11を介して
回動可能に取り付けられ、開方向(ソケット本体7の上面7aから離間する方向)にばね
41で常時付勢されている。また、ソケットカバー2の他端側には、フック12が軸42
を介して回動可能に取り付けられ、そのフック12がソケット本体7のフック係止部13
に係合する方向(図2(a)の反時計回り方向)にばね43で常時付勢されている。なお
、ソケットカバー2を閉じた状態は、図1(c)及び図2(a)に示すように、ソケット
カバー2の裏面をソケット本体7の上面7a側に重ねるように位置させ、フック12をソ
ケット本体7のフック係止部13に引っ掛け、ソケット本体7の上面側をソケットカバー
2で覆うようにした状態である。また、ソケットカバー2を開いた状態は、図1(a)に
示すように、ソケット本体7の上面7a側を開放した状態である。
【0035】
また、図1乃至図2に示すように、ソケットカバー2は、その裏面の中央部にパッケー
ジ押圧突起44を形成してある。このソケットカバー2のパッケージ押圧突起44は、閉
じる過程において、パッケージ収容部3内に収容した第1乃至第3のパッケージ31〜3
3のいずれかをコンタクトピン5,6の端子支持部5a,6aの弾性力に抗して押し下げ
、モールド31a〜33aの第1側面31a1〜33a1側の端子31b〜33bと第1
のコンタクトピン5の端子支持部5aとを所望の接触圧で確実に接触させ、モールド31
a〜33aの裏面に設置した端子31c〜33cと第2のコンタクトピン6の端子支持部
6aとを所望の接触圧で確実に接触させるようになっている。
【0036】
図10は、図1(c)と同様に、ソケット本体7のパッケージ収容部3内に第2のパッ
ケージ32を収容し、その第2のパッケージ32を第1乃至第5のガイド壁21〜25側
に片寄せしてある状態(図4に示す状態)を例にして、ソケットカバー2のパッケージ押
圧突起44と第2のパッケージ32との接触状態を模式的に示す図である。
【0037】
この図10に示すように、ソケットカバー2が軸11を中心として閉じる方向に回動す
る過程において、パッケージ押圧突起44と第2のパッケージ32の接触部45には、第
2のパッケージ32を第1乃至第5のガイド壁21〜25側へ付勢する分力Pxが生じる
ようになっている。ここで、ソケットカバー2の回動中心をCLとし、この回動中心CL
から−X軸方向に沿って延びる直線をL1とし、回動中心CLからパッケージ押圧突起4
4とパッケージ32との接触部45に向かって延びる直線をL2とし、直線L1と直線L
2のなす角をθとすると、ソケットカバー2のパッケージ押圧突起44が第2のパッケー
ジ32を押圧する力PのX軸に沿った方向の分力Pxは、Px=P・sinθとなる。な
お、ソケットカバー2のパッケージ押圧突起44が第2のパッケージ32を押圧する力P
のZ軸に沿った方向の分力Pvは、Pv=P・cosθとなる。その結果、第2のパッケ
ージ32をパッケージ収容部3内に収容した際に、第2のパッケージ32を第1乃至第5
のガイド壁21〜25側に片寄せするのが不十分であったとしても、ソケットカバー2を
閉じる過程において、第2のパッケージ32はソケットカバー2によって第1乃至第5の
ガイド壁21〜25側へ向けて確実に片寄せされ、モールド32aの第1側面32a1側
の端子32bの先端面32b1が第1乃至第5のガイド壁21〜25に形成された端子突
き当て面36a1に突き当てられ、モールド32aの第1側面32a1側の端子32bが
第1のコンタクトピン5の端子支持部5aに確実に位置決めされる(図1(c),図4参
照)。また、ソケットカバー2は、第2のパッケージ32に代えて第1又は第3のパッケ
ージ31,33をパッケージ収容部3内に収容しても、第2のパッケージ32の場合と同
様に、第1又は第3のパッケージ31,33を第1乃至第5のガイド壁21〜25側へ片
寄せすることができ、第1のパッケージ31の端子31bの先端面31b1を第1乃至第
5のガイド壁21〜25に形成された端子突き当て面36a1に突き当てることが可能と
なり(図3参照)、第3のパッケージ33におけるモールド33aの第1側面33a1を
第1乃至第5のガイド壁21〜25のモールド突き当て面38に突き当てることが可能に
なる。このように、ソケットカバー2は、第1乃至第3のパッケージ31〜33をコンタ
クトピン5,6の端子支持部5a,6aに向けて押圧するだけでなく、第1乃至第3のパ
ッケージ31〜33の片寄せ手段としても機能する。
【0038】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態によれば、一つのICソケット1で複数種のパッケージ31
〜33の電気的テストを行うことができるため、各パッケージ31〜33に対応するIC
ソケットを複数種揃えておかなければならない場合と比較し、パッケージ31〜33の電
気的テストのためのコストを低減することができる。
【0039】
(変形例1)
図11は、パッケージ片寄せ手段の変形例1を示すものである。この図11に示すパッ
ケージ片寄せ手段50は、パッケージ収容部3に収容された第1乃至第3のパッケージ3
1〜33のいずれかにおけるモールド31a〜33aの第3側面31a3〜33a3に当
接するモールド押圧部材51と、パッケージ収容部3に収容された第1乃至第3のパッケ
ージ31〜33のいずれかにおけるモールド31a〜33aの第3側面31a3〜33a
3にモールド押圧部材51を押し付けて、パッケージ収容部3に収容された第1乃至第3
のパッケージ31〜33のいずれかを端子突き当て面36a1及びモールド突き当て面3
8に向けて付勢する伸縮可能なパッケージ片寄せばね52と、を有している。ここで、図
11に示したパッケージ片寄せ手段50は、パッケージ収容部3内に収容した第2のパッ
ケージ32を片寄せする場合を例示したが、パッケージ収容部3内に収容した第1又は第
3のパッケージ31,33の片寄せを行うこともできる。なお、モールド押圧部材51は
、第7及び第8のガイド壁27,28に代えて配置されるものであり(図9参照)、ソケ
ット本体7の上面7aに沿ってスライド移動できるようになっている。
【0040】
図11に示したパッケージ片寄せ手段50は、ソケットカバー2がパッケージ片寄せ手
段としての機能を発揮し得ない場合、及びソケットカバー2におけるパッケージ片寄せ手
段が不十分な場合に適用される。
【符号の説明】
【0041】
1……ICソケット、2……ソケットカバー(パッケージ片寄せ手段)、3……パッケ
ージ収容部、5,6……コンタクトピン、7……ソケット本体、31〜33……第1〜第
3のパッケージ、31a,32a,33a……モールド、31a1,32a1,33a1
……第1側面、31a2,32a2,33a2……第2側面、31a3,32a3,33
a3……第3側面、31a4,32a4,33a4……第4側面、31b,32b,33
b……端子、31c,32c,33c……板状端子、36……端子位置決め凹所、36a
1……端子突き当て面、36a2……端子位置規制面、37……第1モールド位置規制面
、38……モールド突き当て面、40……第2モールド位置規制面、50……パッケージ
片寄せ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールドの平面形状が矩形形状で且つ前記モールドの対向する一対の側面に沿って端子
が配置されたパッケージをソケット本体のパッケージ収容部に収容し、このパッケージ収
容部に収容した前記パッケージの前記端子と前記パッケージ収容部に配置したコンタクト
ピンとを接触させて、前記パッケージと外部電気的テスト回路とを前記コンタクトピンを
介して電気的に接続するICソケットにおいて、
前記パッケージ収容部は、前記モールドのサイズ及び前記端子の形状が異なる第1乃至
第3のパッケージを収容できるようになっており、
前記第1のパッケージは、前記モールドにおける前記一対の側面を第1側面と第3側面
とし、これら第1側面と第3側面に直交する前記モールドの側面を第2側面と第4側面と
すると、他のパッケージよりも長い端子が前記第1側面から等間隔で複数突出し、前記端
子の少なくとも先端部の平面形状が矩形形状であって、前記第2側面と前記第4側面との
間隔が他のパッケージよりも短くなっており、
前記第2のパッケージは、前記一対の側面を第1側面と第3側面とし、これら第1側面
と第3側面に直交する側面を第2側面と第4側面とすると、前記第1のパッケージの前記
端子よりも短い端子であって、前記第1のパッケージの前記端子と同一のピッチで且つ前
記第1のパッケージの前記端子における前記先端部の平面形状と同一の先端部の平面形状
に形成された前記端子が前記第1側面から複数突出し、前記第2側面と前記第4側面との
間隔が他のパッケージよりも長くなっており、
前記第3のパッケージは、前記一対の側面を第1側面と第3側面とし、これら第1側面
と第3側面に直交する側面を第2側面と第4側面とすると、前記第1のパッケージの前記
端子と同一のピッチの端子が前記第1側面側の裏面に配置され、前記第2側面と前記第4
側面との間隔が前記第1のパッケージよりも長く且つ前記第2側面と前記第4側面との間
隔が前記第2のパッケージよりも短くなっており、
前記パッケージ収容部は、
(1)前記第1及び第2のパッケージにおける前記端子の前記先端部に係合する端子位置
決め凹所であって、
前記端子の前記先端部の先端面が突き当てられる端子突き当て面と、前記端子の前記先
端部の側面に対向するように位置する端子位置規制面とを有し、前記第1及び第2のパッ
ケージにおける前記端子の前記先端部を前記コンタクトピンに対して位置決めする端子位
置決め凹所と、
(2)前記端子位置決め凹所に前記端子が係合された状態の前記第2のパッケージにおけ
る前記モールドの前記第2側面と前記第4側面に対向するように位置し、前記モールドの
前記第2側面と前記第4側面の位置を規制する第1モールド位置規制面と、
(3)前記第3のパッケージにおける前記モールドの前記第1側面が突き当てられるモー
ルド突き当て面と、
(4)前記第3のパッケージにおける前記モールドの前記第1側面が前記モールド突き当
て面に突き当てられた状態で、前記第3のパッケージにおける前記モールドの前記第2側
面と前記第4側面に対向するように位置して、前記第3のパッケージにおける前記モール
ドの第2側面と第4側面の位置を規制し、前記モールド突き当て面に前記モールドの第1
側面が突き当てられた前記第3のパッケージの前記端子を前記コンタクトピンに対して位
置決めする第2モールド位置規制面と、を有し、
前記パッケージ収容部に収容された前記第1又は第2のパッケージにおける前記端子の
前記先端面を前記端子位置決め凹所の前記端子突き当て面に押し付け、前記パッケージ収
容部に収容された前記第3のパッケージにおける前記モールドの前記第1側面を前記モー
ルド突き当て面に押し付けるパッケージ片寄せ手段が前記ソケット本体に取り付けられた

ことを特徴とするICソケット。
【請求項2】
前記ICソケットがクラムシェルタイプのICソケットであって、
前記パッケージ片寄せ手段がソケット本体に回動可能に取り付けられたソケットカバー
であり、
前記ソケットカバーは、閉じる過程において、前記パッケージを前記コンタクトピンの
弾性力に抗して押圧する際に生じる力の分力によって、前記パッケージ収容部に収容され
た前記第1又は第2のパッケージにおける前記端子の前記先端面を前記端子位置決め凹所
の前記端子突き当て面に押し付け、前記パッケージ収容部に収容された前記第3のパッケ
ージにおける前記モールドの前記第1側面を前記モールド突き当て面に押し付けるように
なっている、
ことを特徴とする請求項1に記載のICソケット。
【請求項3】
前記パッケージ片寄せ手段は、
前記パッケージ収容部に収容された前記第1乃至第3のパッケージのいずれかにおける
前記モールドの第3側面に当接するモールド押圧部材と、
前記パッケージ収容部に収容された前記第1乃至第3のパッケージのいずれかにおける
前記モールドの前記第3側面に前記モールド押圧部材を押し付けて、前記パッケージ収容
部に収容された前記第1乃至第3のパッケージのいずれかを前記端子突き当て面及び前記
モールド突き当て面に向けて付勢する伸縮可能なパッケージ片寄せばねと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のICソケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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