説明

ICタグ及びICタグ着脱用治具

【課題】ICタグ及びICタグ着脱用治具に関し、ICタグを紙管の内側に容易に着脱することができるようにする。
【解決手段】原紙ロールの紙管の内周に装着されるICタグであって、ICチップと無線アンテナとが埋め込まれたICタグ本体41と、可撓性を有し弾性変形によって紙管の内周に沿うように湾曲可能であって、ICタグ本体を装備した弾性体プレート42と、をそなえ、弾性体プレート42における紙管の内周の周方向に沿う両端部には、紙管の内周への装着時に紙管中心方向に突出する把持用突起部42bが形成されるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、段ボールシートや段ボールケース等の紙製品を製造するための原紙ロールの管理に用いて好適の、ICタグ、及びこのICタグを原紙ロールに対して着脱するための、ICタグ着脱用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
紙製品を製造する際には、原紙の管理が重要になる。
例えば図6は原紙から段ボールケースを製造する流れを模式的に示す図である。図6に示すように、段ボールケースを製造する場合、オーダーに応じた複数の原紙ロール10がコルゲートマシン1に供給され、コルゲートマシン1によりこれらの原紙ロール10を用いてオーダーに応じた段ボールシート20を製造する。コルゲートマシン1の下流には、通常幾つかの製函機2が備えられ、段ボールシート20を罫入れ,切断及び糊付け等を施して組み立て前のフラットな段ボールケース21を製造する。製造された段ボールケース21は所定単位の山に積重されてトラック等の搬送手段に荷積みされて出荷される。
【0003】
原紙の流れに着目すると、段ボールケース工場では、必要な種類の原紙ロール10を製紙メーカー或いは原紙メーカーに注文し、これに応じて搬入された原紙ロール10をストックヤードに一時ストックし、その中からオーダーに応じた原紙ロール10を選択してはコルゲートマシン1のミルロールスタンド等に供給する。コルゲートマシン1で使用された原紙ロール10は、完全に使用されれば紙管のみとなる(符合10a参照)が、途中まで使用されたものはまだ原紙が残っている(符合10b参照)ため、次オーダーの製品を製造するために使用される。
【0004】
したがって、原紙管理の観点からは、注文に応じた原紙ロール10が搬入された段階から、原紙ロール10の種類を、それが途中まで使用した場合にはさらに残りの量を、それぞれ把握した上で、所定の保管箇所に保管するなど、保管位置についても把握しておかなくては、原紙を円滑に使用することができない。このような原紙ロール10を管理する一般的な手法としては、各原紙ロール10に固有の番号を着けてコンピュータにこの番号に応じた原紙ロール10の属性(種類等)をデータ登録することができるが、各原紙ロール10に固有の番号を外観しやすい位置に表示すること自体が困難であるうえ、この手法では、どうしても人力(目視)に頼らなくてはならない。
【0005】
これに対して、非特許文献1には、次のような技術が提案されている。
つまり、図7に示すように、原紙ロール10は紙管11の外周に原紙12が巻回されたものである。紙管11は、ミルロールスタンドにチャッキングする関係から内部は中空に構成されているため、この紙管11の内側に脱着、再使用可能なICタグ31を取り付け、原紙の工場内の管理に使用するのみならず、原紙装着時間の短縮や自動化の推進あるいはコルゲータの自動調整による最適運転により製品のシートの均質化、品質向上やコスト削減等幅広く役立てることが図るようにすることが提案されている。
【0006】
この技術において、紙管11の内側にICタグ31を取り付けるようにしているのは、原紙ロール10の外周では原紙ロール10が転がったりするため、原紙ロール10の側面では段積みする時に圧接するため、いずれも、ICタグ31が損傷を受けるおそれがあり取り付けには向かず、紙管11の内側であれば、ICタグ31が損傷を受けるおそれもないためである。また、段ボール工場内では、上述のように原紙ロール10は使い切りとは限らないので、使いかけの状態で何度も使用することを前提とすると、紙管11の内側は好適である。なお、使用後には紙管11と残原紙は廃棄物となる。
【0007】
紙管11の内側にICタグ31を取り付ける場合も、取付け位置としては、紙管の内側でミルロールスタンドによりチャッキングしても問題にならない所とすることが必要であり、また、紙管の内側はチャッキングする時の原紙の芯の検知に光電管の光を通すので空けておく必要がある。また、ICタグ31を再使用できるようにする必要もある。
そこで、この技術では、ICタグ31を紙管11の内側に着脱可能とし、原紙到着時に装着し、廃棄する前に回収し再使用するようにしている。
【0008】
具体的には、図7に示すように、内径が約80mmの紙管11の内面に沿って曲がるような樹脂板32を便用し、樹脂板32の内面にICタグ31を接着あるいはテープで貼り付け、基本的には樹脂板32の真っ直ぐになろうとする力で紙管11の内面にへばり付くようにするが、樹脂板32の外面は紙管11内でずれないように滑り止めにする。滑り止めとしては例えば、筋を入れたり、突起物を付けたりする。
【0009】
樹脂板32の装着時には、樹脂板32を丸めて紙管11の内径よりも小さくし、紙管11内に挿入し所定の位置に達した後広げて固定し、便用後は湾曲した樹脂板32の径を紙管11の内径より小さくして外す。このように紙管の内側に沿って装着すれば、チャッキング時の芯の検出の邪魔にもならない。
【非特許文献1】月刊カートンボックス(2006年2月号)第26〜28頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、ICタグ31を樹脂板32の内面に貼り付け、紙管11の内側に樹脂板32をその弾性的な復元力により固定すれば、ICタグ31が損傷を受けないようにしながら、ICタグ31を原紙ロール10に取り付けることができるが、ICタグ31の紙管11の内側への着脱が容易ではない。
つまり、紙管11の内側に樹脂板32を装着する時には、樹脂板32を紙管11の内径よりも小さく丸めて保持した状態で紙管11の内側に挿入し、その後、樹脂板32を開放することで、その弾性的な復元力により紙管11の内側に圧着させることになるが、この作業は、素手で行なうのは容易ではないものと考えられ、何らかの道具を用意したり、或いは樹脂板32に工夫をしたりしなくてはならない。
【0011】
また、紙管11の内側から樹脂板32を取り出すときには、紙管11の内側に樹脂板32が圧着しているほど困難であり、この点でも、何らかの道具を用意したり、或いは樹脂板32に工夫をしたりしなくてはならない。
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、ICタグを紙管の内側に対して容易に着脱することができるようにした、ICタグ及びICタグ着脱用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目標を達成するため、本発明のICタグは、原紙ロールの紙管の内周に装着されるICタグであって、ICチップと無線アンテナとが埋め込まれたICタグ本体と、可撓性を有し弾性変形によって前記紙管の内周に沿うように湾曲可能であって、前記ICタグ本体を装備した弾性体プレートと、をそなえ、前記弾性体プレートにおける前記紙管の内周の周方向に沿う両端部には、前記紙管の内周への装着時に紙管中心方向に突出する把持用突起部が形成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0013】
前記ICタグ本体は、前記弾性体プレートに埋設されているか(請求項2)、或いは、前前記弾性体プレートの前記紙管の内周への装着時に紙管中心方向に向く面に貼り付けられている(請求項3)ことが好ましい。この貼り付けには、接着剤による貼り付けでもよく、両面テープ等のテープによる貼り付けでもよい。
前記紙管の内周への装着時に前記紙管の前記内周面に接触する弾性体プレートの面には、前記内周面に対する摩擦を増大させる摩擦増大処理が施されていることが好ましい(請求項4)。摩擦増大処理としては、例えば、弾性体プレートの面を粗面化(ざらつかせる)加工をしたり、弾性体プレートの面を高摩擦材料で被覆したりすることができる。
【0014】
本発明のICタグ着脱用治具は、請求項1〜4の何れか1項に記載のICタグを把持して、前記ICタグを前記紙管の内周に対して着脱するためのICタグ着脱用治具であって、基端を結合されて先端部が開閉動作する一対のアーム部と、前記アーム部の各先端に互いに対向するように設けられ、互いに協働して前記弾性体プレートの両端部の前記把持用突起部を把持するグリップ部と、前記一対のアーム部の前記先端部を開閉動作させるハンドル部を有する本体部とをそなえていることを特徴としている(請求項5)。
【0015】
前記各アーム部は板状に形成され、前記本体部は、中間部を鋏状に数着された一対のロッド部と、前記各ロッド部の一端側に形成されて指を差し入れる前記ハンドル部と、前記一対のロッド部の他端側が開放するように前記一対のロッド部間に介装されたばねと、をそなえ、前記一対のロッド部のうち、一方のロッド部の他端側には、前記各アーム部の基端が固定される固定部がそなえられると共に、他方のロッド部の他端側には、板状の前記各アーム部の中間部を両面から移動可能に支持する2対の支持部が一定間隔をあけてそなえられ、前記他方のロッド部の他端側が前記一方のロッド部の他端側から離隔するのに伴って生じる、前記固定部に対する前記2対の支持部の開き角度の減少を利用して、前記各アーム部を閉鎖させることが好ましい(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
本発明のICタグ(請求項1)によれば、弾性体プレートの紙管内周の周方向に沿う両端部に、紙管の内周への装着時に紙管中心方向に突出する把持用突起部が形成されているので、この把持用突起部を把持することにより、弾性体プレートを紙管内周に挿入し装着することや、紙管内周に装着された弾性体プレートを取り外すことを容易に行なうことができる。また、把持用突起部が、弾性体プレートのICタグ本体を装備した箇所を保護する機能もあり、ICタグ本体の損傷防止効果もある。
【0017】
ICタグ本体を弾性体プレートに埋設させるようにすれば(請求項2)、ICタグ本体の損傷防止効果があり、ICタグ本体を弾性体プレートの紙管の内周への装着時に紙管中心方向に向く面に貼り付けるようにすれば(請求項3)、ICタグ本体を弾性体プレートに容易に装備することができる。
紙管の内周への装着時に紙管の内周面に接触する弾性体プレートの面に、内周面に対する摩擦を増大させる摩擦増大処理を施せば(請求項4)、弾性体プレートを紙管の内周への確実に固定させることができる。
【0018】
本発明のICタグ着脱用治具(請求項5)によれば、本体部のハンドル部を操作して一対のアーム部の先端部を開動作させて、請求項1〜4の何れか1項に記載のICタグの弾性体プレートの両把持用突起部を挿し込んで、その後、ハンドル部を操作して一対のアーム部の先端部を閉動作させることにより、一対のアーム部の先端部で弾性体プレートの両把持用突起部を把持することができる。したがって、ICタグを紙管の内周への装着する時には、アーム部の先端部で弾性体プレートの両把持用突起部を把持してICタグを保持した状態で、アーム部の先端部を紙管の内部に挿入し、紙管の端部から所定の深さに達したら、一対のアーム部の先端部を開動作させて弾性体プレートを開放すれば、弾性体プレートの弾性的な復元力によって、ICタグが紙管の内部に固定される。また、ICタグを紙管の内周から取り外す時には、アーム部の先端部を紙管の内部に挿入し、アーム部の先端部で弾性体プレートの両把持用突起部を把持すれば、弾性体プレートを紙管の内周よりも小径に弾性変形させて、容易にICタグを紙管の内周から取り外すことができる。
【0019】
さらに、本発明のICタグ着脱用治具(請求項6)によれば、前記一対のロッド部間に介装されたばねにより、外力が加わらない状態では、一対のロッド部の他端側が開放しており、この状態では、固定部に対する2対の支持部の開き角度が最小になっていて、各アーム部は閉鎖している。ここで、各ロッド部の一端側に形成されたハンドル部に指を差し入れて、一対のロッド部の他端側を閉動させれば、固定部に対する2対の支持部の開き角度が大きくなって、各アーム部は開放する。したがって、ハンドル部に操作力を加えればアーム部は開放し、ハンドル部の操作力を解除すればアーム部は閉動することになり、ICタグを紙管の内周に対して着脱する際に、弾性体プレートの両把持用突起部を把持しようとする瞬間や、把持している性体プレートの両把持用突起部を外そうとする瞬間のみだけ、ハンドル部に操作力を加えればよく、良好な作業性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面により、本発明の実施の形態について説明する。
〔実施形態の構成〕
図1〜図5は本発明の一実施形態に係るICタグ及びICタグ着脱用治具を説明する図である。
まず、本実施形態に係るICタグを説明すると、図1(a),(b),図2に示すように、本ICタグ40は、原紙ロールの紙管11の内周に装着されるものであり、ICタグ本体41と、ICタグ本体41を装備した弾性体プレート42とをそなえている。
【0021】
ICタグ本体41は、ビニール等の樹脂材料により形成されたプレート状の基材の中にICチップと無線アンテナとが埋め込まれたものである。
弾性体プレート42は、弾性変形によって前記紙管の内周に沿うように湾曲可能な可撓性を有する材料(ここでは、プラスチック等の樹脂材料)で構成され、この弾性体プレート42の一面(即ち、弾性体プレート42の紙管11の内周への装着時に紙管中心方向に向く面)42aに、ICタグ本体41が接着剤により貼り付けられている。なお、ICタグ本体41を弾性体プレート42接着するには、両面テープ等の粘着テープを用いたりしてもよく、ICタグ本体41を弾性体プレート42に埋設されてもよい。
【0022】
この場合、弾性体プレート42自体にICチップと無線アンテナとを直接埋め込むようにしてもよい。この構成では、ICタグ本体41の基材の部分は弾性体プレート42自体で構成されることになる。
なお、ICタグ本体41を弾性体プレート42に埋設させるようにすると、ICタグ本体41の損傷防止効果があり、ICタグ本体41を弾性体プレート42の紙管の内周への装着時に紙管中心方向に向く面に貼り付けるようにすると、ICタグ本体41を弾性体プレート42に容易に装備することができる。
【0023】
このような弾性体プレート42の両端(つまり、弾性体プレート42を紙管11の内周に装着する際に、紙管11の内周の周方向に沿う両端部)には、紙管11の内周への装着時に紙管中心方向に突出する把持用突起部42bがそれぞれ形成されている。本実施形態の把持用突起部42bは、弾性体プレート42の各端部を、ICタグ本体41が貼り付けられる面42aの側に屈曲した形状に形成されており、ここでは、把持用突起部42bは、面42aに対して直角よりもやや鋭角な角度αで屈曲形状されている。
【0024】
このように角度αをやや鋭角にしているのは、ICタグ40を紙管11の内周に装着する際に、図4(b)に示すように、弾性体プレート42を円筒状に弾性変形させて両端の把持用突起部42bを一体に把持する必要があり、角度αが直角よりもやや鋭角な方がこの一体的な把持を容易にするためである。
また、本実施形態では、弾性体プレート42は平面視で矩形に形成されるが、平面視形状は矩形に限るものではなく、図1(b)に二点鎖線で示すように、両端の把持用突起部42bに近づくに従って幅狭となるように形成してもよい。この場合、両端の把持用突起部42bの幅が狭くなるため、把持用突起部42bの把持を容易に行なえる効果がある。
【0025】
また、弾性体プレート42の他面42cには、紙管11の内周面11aに対する摩擦を増大させる摩擦増大処理が施されている。この摩擦増大処理としては、面42cを粗面化する(ざらついた状態とする)加工や、面42cを高摩擦材料で被覆したりすることが考えられる。これにより、弾性体プレート42を紙管11の内周への装着した時に、紙管11の内周面とこれに圧接する弾性体プレート42の面42cとの間に大きな摩擦力が生じるようになっている。
【0026】
次に、本実施形態に係るICタグ着脱用治具を説明する。図2,図3に示すように、このICタグ着脱用治具50は、鋏状に形成された本体部53と、この本体部53に装着された一対のアーム部51a,51bと、アーム部51a,51bの各先端に互いに対向するように設けられたグリップ部52a,52bと、を備えて構成され、アーム部51a,51bの両先端部を開閉動作させてグリップ部52a,52bを互いに協働させて弾性体プレート42の両端部の把持用突起部42b,42bを把持するようになっている。
【0027】
本体部53は、中間部をピン59により枢着され鋏状に数着された一対のロッド部54a,54bと、各ロッド部54a,54bの一端側に形成されて指を差し入れるハンドル部55a,55bと、一対のロッド部54a,54bの他端側が開放するように一対のロッド部54a,54b間(ここでは、ハンドル部55a,55bの近傍)に介装されたばね58と、をそなえている。
【0028】
各アーム部51a,51bは板状に形成されており、一対のロッド部54a,54bのうち、一方のロッド部54aの他端側には、各アーム部の51a,51bの基端が固定される固定部56がそなえられ、他方のロッド部54bの他端側には、各アーム部51a,51bの中間部に両面から摺接して各アーム部51a,51bの中間部を移動可能に支持する2対の支持部57a,57b及び57c,57dが一定間隔をあけてそなえられている。
【0029】
ロッド部54a,54bの一端側のハンドル部55a,55bを離接させると、ロッド部54a,54bの他端側の固定部56と支持部57a,57b,57c,57dとの間も離接する。ここで、アーム部51aの中間部の位置をガイドする支持部57a,57bの中間点と、アーム部51bの中間部の位置をガイドする支持部57c,57dの中間点と、固定部56の中心とがなす開き角度βに着目する。図3(a1),(a2)に示すように、固定部56と支持部57a,57b,57c,57dとを離隔させると、開き角度βは狭まり、図3(b1),(b2)に示すように、固定部56と支持部57a,57b,57c,57dとを接近させると開き角度βは拡がる。
【0030】
アーム部51aは支持部57a,57bによりガイドされ、アーム部51bは支持部57c,57dによりガイドされるので、図3(a1),(a2)に示すように、開き角度βが減少するのに伴ってアーム部の51a,51bの先端のグリップ部52a,52bは接近し、最終的には互いに圧接する。また、図3(b1),(b2)に示すように、開き角度βが増大するのに伴ってアーム部51a,51bの先端のグリップ部52a,52bは離隔する。
【0031】
したがって、ロッド部54a,54bの一端側のハンドル部55a,55bを離接させることにより、アーム部51a,51bの先端のグリップ部52a,52bを離接させることができる。
また、ばね58は、ロッド部54a,54bの各端を離隔させる方向に付勢力を発揮するように装備されているので、ハンドル部55a,55bを何ら操作しなければ、ロッド部54a,54bの他端側は相互に離隔し、アーム部51a,51bの先端のグリップ部52a,52bは互いに圧接した状態となり、ハンドル部55a,55bを互いに接近するように操作すれば、ロッド部54a,54bの他端側は相互に接近し、アーム部51a,51bの先端のグリップ部52a,52bは互いに離隔した状態となる。
【0032】
なお、グリップ部52a,52bについては、適度な弾性と表面摩擦係数が必要であり、合成ゴム材又は表面にゴム材をコーティングしたプラティックを適用することが好ましい。
【0033】
〔実施形態の作用,効果〕
本発明の一実施形態にかかるICタグ及びICタグ着脱用治具は上述のように構成されているので、次のように、ICタグ40の原紙ロールの紙管11の内周への着脱を行なうことができる。
【0034】
まず、ICタグ40の原紙ロールの紙管11の内周への装着時には、ICタグ着脱用治具50のハンドル部55a,55bにそれぞれ指を挿入して、図3(b1),(b2)に示すように、ハンドル部55a,55bを互いに接近するように操作し、アーム部51a,51bの先端のグリップ部52a,52bを互いに離隔させる。このグリップ部52a,52b間に、図4(a)に示すように、ICタグ40の弾性体プレート42の一端に形成された把持用突起部42bを差し込んで、把持用突起部42bが内側に来るように弾性体プレート42を湾曲させて、弾性体プレート42の他端に形成された把持用突起部42bを差し込んだ上で、ハンドル部55a,55bの操作力を抜いて、図3(a1),(a2)に示すように、ばね58の付勢力によってロッド部54a,54bの各端を離隔させ、図4(b)に示すように、両把持用突起部42b,42bをグリップ部52a,52bにより把持する。
【0035】
この状態で、ICタグ着脱用治具50の先端のアーム部51a,51b及びICタグ40を、図5(a)に示すように、紙管11の内周へ挿入する。この挿入時には、紙管11をミルロールスタンドに搭載する際に、紙管11の内側端部に挿入されるチャッキングにICタグ40が干渉しないように、紙管11の端部から所定距離だけ奥にICタグ40が達するように配置する。
【0036】
この状態で、ハンドル部55a,55bを互いに接近するように操作し、グリップ部52a,52b間を開放させて、両把持用突起部42b,42bによるグリップ部52a,52bの把持を解放する。これにより、弾性体プレート42はその弾性による復元力によって拡径して、図5(b)に示すように、紙管11の内周面11aに圧接する。
特に、本実施形態では、紙管11の内周面11aに圧接する弾性体プレート42の面42cには、紙管11の内周面11aに対する摩擦を増大させる摩擦増大処理が施されているので、弾性体プレート42の復元力によって弾性体プレート42の面42cと紙管11の内周面11aとの間に大きな摩擦力が発生することになるため、原紙ロール10を移動させる際などに紙管11に衝撃力が加わっても、ICタグ40が紙管11の内周で移動し紙管11の内周から外れたりし難い。
【0037】
したがって、ひとたび、ICタグ40を紙管11の内周面11aに装着すれば、原紙ロール10の取り扱いに支障を生じることなく、ICタグ40を通じた無線による原紙ロール10の管理を実施することができる。
なお、弾性体プレート42の面42cに摩擦増大処理をしなくても、弾性体プレート42の面42cと紙管11の内周面11aとの間に必要な摩擦力が発生する場合には、摩擦増大処理は不要となる。
【0038】
そして、紙管11の廃棄時など、ICタグ40を通じた無線による原紙ロール10の管理が不要になった場合には、図5(b)に示すように、弾性体プレート42が圧接してICタグ40が装着されている紙管11の内周に、ICタグ着脱用治具50の先端のアーム部51a,51bを挿入して、ハンドル部55a,55bを互いに接近するように操作し、グリップ部52a,52b間を開放させて、両把持用突起部42b,42bによりグリップ部52a,52bをあてがって、ハンドル部55a,55bの操作力を抜いて、図5(a)に示すように、両把持用突起部42b,42bをグリップ部52a,52bにより把持する。これにより、弾性体プレート42は紙管11の内周面11aよりも小径に弾性変形して、紙管11の内周から取り外すことができる。
【0039】
このように本ICタグ40によれば、弾性体プレート42の両端部に把持用突起部42bが形成されているので、この把持用突起部42bを把持することにより、弾性体プレート42を紙管11内周に挿入し装着することや、紙管11内周に装着された弾性体プレート42を取り外すことを、容易に行なうことができる。
また、把持用突起部42bが、弾性体プレート42のICタグ本体41を装備した箇所を囲むように形成されるので、ICタグ本体41を保護する機能もあり、ICタグ本体の損傷防止効果もある。
【0040】
また、本ICタグ着脱用治具50によれば、ICタグ40を紙管11の内周への装着する時には、アーム部51a,51bの先端部で弾性体プレート42の両把持用突起部42b,42bを把持してICタグ40を保持した状態で、アーム部51a,51bの先端部を紙管11の内部に挿入し、紙管11の端部から所定の深さまでに達したら、一対のアーム部51a,51bの先端部を開動作させて弾性体プレート42を開放すれば、弾性体プレートの弾性的な復元力によって、ICタグ40が紙管の内部に固定されるため、ICタグ40の紙管の内部への装着、固定を容易に行なえる。また、ICタグ40を紙管11の内周から取り外す時には、アーム部51a,51bの先端部を紙管11の内部に挿入し、アーム部51a,51bの先端部で弾性体プレート42の両把持用突起部42b,42bを把持すれば、弾性体プレート42ga紙管11の内周よりも小径に弾性変形して、ICタグ40を紙管11の内周から容易に取り外すことができる。
【0041】
さらに、本ICタグ着脱用治具50によれば、一対のロッド部54a,54b間に介装されたばね58により、ハンドル部55a,55bに操作力を加えればアーム部51a,51bは開放し、ハンドル部55a,55bの操作力を解除すればアーム部51a,51bは閉動するので、ICタグ40を紙管の内周に対して着脱する際に、弾性体プレート42の両把持用突起部42b,42bを把持しようとする瞬間や、把持している性体プレート42の両把持用突起部42b,42bを外そうとする瞬間のみだけ、ハンドル部55a,55bに操作力を加えればよく、良好な作業性を得ることができる。
【0042】
〔その他〕
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
例えば、弾性体プレート42に対する把持用突起部42bの角度αをやや鋭角にしているが、角度αはこれに限らず、直角であっても直角よりもやや鈍角であってもよい。
また、把持用突起部42b自体は、弾性体プレート42を折り曲げたようなプレート状でなくてもよい。
【0043】
ICタグ着脱用治具50について、アーム部51a,51bを開閉させる機構も上記の実施形態に限定されるものではなく、最もシンプルには、アーム部51a,51b自体を鋏状又はピンセット状に形成し、アーム部51a,51b自体を直接開閉操作するものでもよい。
なお、ハンドル部55a,55bからロッド部54a,54bの先端までの長さは、紙管11の内側端部に挿入されるチャッキングにICタグ40が干渉しない位置までICタグ40を差し込めるように、十分な長さが必要であるが、この長さを必要量確保した上で、ロッド部54a,54bの先端を紙管11の内周に挿入して、ハンドル部55a,55bが紙管11の端面に当接したところで、把持用突起部42bの把持を解除し、この位置(紙管11の端面からの深さ)にICタグ40を装着すれば、ICタグ40を所定の位置に容易に位置決めすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態にかかるICタグを示す図であり、(a)はその側面図、(b)はその平面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかるICタグ着脱用治具を説明する斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかるICタグ着脱用治具を説明する図であり、(a1),(a2)はその治具の両グリップ部が接近した状態を示すもので、(b1),(b2)はその治具の両グリップ部が離隔した状態を示すものであって、(a1),(b1)はその治具の要部上面図、(a2),(b2)はその治具の正面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかるICタグ及びICタグ着脱用治具を説明する紙管の端面図であり、(a)はそのICタグ着脱用治具によるICタグの把持状態を示す図、(b)はそのICタグ着脱用治具からのICタグの開放状態を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかるICタグ着脱用治具を説明する斜視図である。
【図6】段ボールケースの製造を例に紙製品の製造に用いる原紙の一般的な流れを示す模式図である。
【図7】従来技術の原紙ロール用のICタグを説明する原紙ロール側面図である。
【符号の説明】
【0045】
40 ICタグ
41 ICタグ本体
42 弾性体プレート
42a 弾性体プレート42の一面
42b 把持用突起部
42c 弾性体プレート42の他面
50 ICタグ着脱用治具
51a,51b アーム部
52a,52b グリップ部
53 本体部
54a,54b ロッド部
55a,55b ハンドル部
56 固定部
57a,57b,57c,57d 支持部
58 ばね
59 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙ロールの紙管の内周に装着されるICタグであって、
ICチップと無線アンテナとが埋め込まれたICタグ本体と、
可撓性を有し弾性変形によって前記紙管の内周に沿うように湾曲可能であって、前記ICタグ本体を装備した弾性体プレートと、をそなえ、
前記弾性体プレートにおける前記紙管の内周の周方向に沿う両端部には、前記紙管の内周への装着時に紙管中心方向に突出する把持用突起部が形成されている
ことを特徴とする、ICタグ。
【請求項2】
前記ICタグ本体は、前記弾性体プレートに埋設されている
ことを特徴とする、請求項1記載のICタグ。
【請求項3】
前記ICタグ本体は、前記弾性体プレートの前記紙管の内周への装着時に紙管中心方向に向く面に貼り付けられている
ことを特徴とする、請求項1記載のICタグ。
【請求項4】
前記紙管の内周への装着時に前記紙管の前記内周面に接触する前記弾性体プレートの面には、前記内周面に対する摩擦を増大させる摩擦増大処理が施されている
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のICタグ。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のICタグを把持して、前記ICタグを前記紙管の内周に対して着脱するためのICタグ着脱用治具であって、
基端を結合されて先端部が開閉動作する一対のアーム部と、
前記アーム部の各先端に互いに対向するように設けられ、互いに協働して前記弾性体プレートの両端部の前記把持用突起部を把持するグリップ部と、
前記一対のアーム部の前記先端部を開閉動作させるハンドル部を有する本体部とをそなえている
ことを特徴とする、ICタグ着脱用治具。
【請求項6】
前記各アーム部は板状に形成され、
前記本体部は、中間部を鋏状に数着された一対のロッド部と、
前記各ロッド部の一端側に形成されて指を差し入れる前記ハンドル部と、
前記一対のロッド部の他端側が開放するように前記一対のロッド部間に介装されたばねと、をそなえ、
前記一対のロッド部のうち、一方のロッド部の他端側には、前記各アーム部の基端が固定される固定部がそなえられると共に、他方のロッド部の他端側には、板状の前記各アーム部の中間部を両面から移動可能に支持する2対の支持部が一定間隔をあけてそなえられ、前記他方のロッド部の他端側が前記一方のロッド部の他端側から離隔するのに伴って生じる、前記固定部に対する前記2対の支持部の開き角度の減少を利用して、前記各アーム部を閉鎖させる
ことを特徴とする、請求項5記載のICタグ着脱用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−186422(P2008−186422A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21945(P2007−21945)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(596182645)三菱重工印刷紙工機械販売株式会社 (9)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【出願人】(592247595)株式会社神戸製作所 (19)
【Fターム(参考)】