説明

ICタグ取付具

【課題】 簡単に取付けができ、かつICタグのデータを正確に読み書きできるICタグ取付具を提供すること。
【解決手段】 ICタグ取付具10は、地面に立設する柱の側面に設けられた穴に装着可能な棒状部11と、棒状部11の端部に設けられ、棒状部11を穴に装着したときに柱の外側に位置してなるICタグ13とを備えたことを特徴とする。また、柱の外方に突出し柱の側面に滑らかに沿うように形成された頭部12を有し、この頭部12にICタグ13を埋設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱にICタグを取付けるためのICタグ取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品に取付けて、物品に関する各種情報をその場で読み書きし最新の情報に更新できるICタグが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなICタグは様々な用途に利用可能であり、例えば電柱等の通信設備に用いて、電柱等に関する情報の管理システムに利用する提案がなされている。このICタグによって、現場で情報を簡単に得ることができると同時に新たな情報を簡単に入力することができる。
ところで、上記ICタグを電柱に取付ける場合には、荒天や地震等の天災、あるいはいたずら等の人為的行為による脱落を防止するためにこれを強固に固定しなければならない。
【特許文献1】特開2004−102947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ICタグを取付けるために電柱にベルト等により固定すると作業が面倒であるという問題がある。また、ICタグが取付けられた状態でICタグのデータを読み書きする際、電柱に内在する例えば鉄芯等の部材がICタグのデータの読み書き時に発信される電波に影響を与えデータの読み書きにエラーを引き起こし、その結果、ICタグのデータを正確に読み書きできなくなるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、簡単に取付けができ、かつICタグのデータを正確に読み書きできるICタグ取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。すなわち請求項1に係る発明のICタグ取付具は、地面に立設する柱の側面に設けられた穴に装着可能な棒状部と、前記棒状部の端部に設けられ、前記棒状部を前記穴に装着したときに前記柱の外側に位置してなるICタグとを備えたことを特徴とする。
このような構成とすることで、棒状部を穴に挿入するだけで取付けができ、かつICタグから発信される電波が柱および柱に内在する部材から悪影響を与えられることなくICタグのデータを読み書きすることが可能となる。
【0006】
また、請求項2に係る発明のICタグ取付具は、前記柱の外方に突出し前記柱の側面に滑らかに沿うように形成された頭部を有し、この頭部に前記ICタグを埋設したことを特徴とする。
このような構成とすることで、ICタグに障害物から衝撃等の外力が加わったとしても、その障害物は滑らかな表面に沿って移動でき、ICタグに大きな荷重が作用するのを防止できる。
【0007】
また、請求項3に係る発明のICタグ取付具は、地面に立設する柱の側面に設けられた穴に装着可能な棒状部と、この棒状部の端部に取付けた板状部を有する柱取付具を備えてなり、前記柱と前記板状部との間に位置するICタグを設けたことを特徴とする。
このような構成とすることで、ICタグを柱の外側に取付け可能でICタグを保護することが可能な柱取付具が簡易な形状に製造可能となる。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る発明のICタグ取付具によれば、ICタグから発信される電波が柱および柱に内在する部材から悪影響を与えられることなくICタグのデータを読み書きすることが可能となるので、ICタグのデータを正確に読み書きすることができる。
【0009】
請求項2に係る発明のICタグ取付具によれば、ICタグに障害物から衝撃等の外力が加わったとしても、その障害物は柱の表面に滑らかに沿うように形成された頭部に沿って移動でき、ICタグに大きな荷重が作用するのを防止できるので、ICタグの破損および欠落を防止することができる。
【0010】
請求項3に係る発明のICタグ取付具によれば、ICタグを柱の外側に取付け可能でICタグを保護することが可能な柱取付具が簡易な形状に製造可能となるので、ICタグ取付具の製造コストを削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1〜3に基づいて本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本発明を適用したICタグ取付具を取付ける電柱の概略構成図である。
地面Eに立設する電柱1には、その側面に、電柱1の延長方向と交差する方向に延び内壁をネジ切りされた足場取付用の穴2が、電柱1の延長方向に所定の間隔をおいて設けられている。これら穴2の内部には、ICタグ取付具10が締め付け可能に取付けられる。
【0012】
ICタグ取付具10は、図2,3に示すように、穴2に螺合するようにネジ切りされた円筒状の金属製の棒状部11と、棒状部11の端部に取付けられ電柱1の外表面に滑らかに沿うように形成された、キノコの傘状の頭部12とを有している。この頭部12は、棒状部11の延長外方に突出するように形成されている。この頭部12は、棒状部11を穴2に挿入して取付けたときに電柱1の外側に位置する。
【0013】
また、この頭部12内には、管理データ類を読み書き可能なICタグ13、およびICタグ13を装着しICタグ13の管理データ類を送受信可能とするリング状のアンテナ14が埋設されている。具体的には、図3に示すように、ICタグ取付具10は、端部にフランジ部11aが形成された棒状部11と、このフランジ部11aに係止するリング状の頭部12とを有していて、頭部12内には透明なベース15に設けられたICタグ13およびアンテナ14が埋設されている。
【0014】
ここで、ICタグ13には、読み書き可能な管理データ類として、例えば電柱番号、電柱種別、地権者情報、建設年度、不良設備情報、点検者、および点検年月日が入力されている。このように通信設備の点検記録等が記録されることで、電柱1のメンテナンス管理に活用することができる。
なお、その他のデータ類として、複数設置された電柱1を用いた行政等との提携による住所情報、安全情報が入力されてもよい。このように当該場所に関する情報が記録されることで、例えば身体障害者への情報提供に利用することができ、また、道路案内、危険情報を提供する等の福祉活動にも利用することができる。また、データ類として観光情報を入力して、観光案内情報の提供に利用してもよい。なお、これら管理データ類には、第3者によって読み書きできないように暗号化される等、確実な情報セキュリティがなされている。
【0015】
上記の構成からなるICタグ取付具10を用いて、電柱1の点検時等において電柱1の情報を得るとともに、その情報を更新する際には、以下のような手順を用いて行う。すなわち、点検する電柱1に取付けられたICタグ取付具10に携帯可能な端末を有するICタグ読取装置(図示せず)を接近させ、ICタグ13の管理データ類をICタグ13から非接触で読み取り、端末に入力して情報を確認する。その後、電柱1の点検等によって管理データ類の既存の情報を更新した場合、その更新された情報についての管理データ類を端末から出力して、ICタグ取付具10にICタグ読取装置を接近させてICタグ13に非接触で書き込む。また、ICタグ読取装置から遠隔の位置に据え置きされているホストコンピュータ(図示せず)に、端末を用いてその管理データ類を送受信する。なお、このホストコンピュータには通信設備の各電柱についての情報が管理されており、電柱番号を入力検索することにより過去に実施されたメンテナンス情報や工事履歴・電柱の種別・地権者等の情報を得ることができる。したがって、電柱1が設置された現場で各電柱についての情報を得ることができるとともに、電柱1の情報を更新することができる。
【0016】
ここで、ICタグ13およびアンテナ14が頭部12とともに電柱1の外側に位置しているため、ICタグ13からアンテナ14を介して発信される電波が、電柱1および電柱1に内在する鉄芯等の部材によって磁界が作用して発信できなくなる等の悪影響を与えられることなく、ICタグ13の管理データ類を読み書きすることが可能となる。したがって、ICタグ13の管理データ類を正確に読み書きすることができる。
【0017】
また、ICタグ13に、障害物から衝撃等の外力が加わったとしても、電柱1の外表面に滑らかに沿って設けた頭部12によりその障害物はスムーズに移動でき、ICタグ13に大きな荷重が作用するのを防止できる。したがって、ICタグ13を外力から保護することができ、ICタグ13の破損および欠落を防止できる。
【0018】
次に、本発明の第2の実施形態を図4に基づいて説明する。この実施の形態のICタグ取付具20は、電柱1の前記穴2に螺合する棒状部21およびその棒状部21の端部に一体成形された円板状の板状部22を有する柱取付具23と、管理データ類を読み書き可能なICタグ24とで構成されている。ICタグ24は、透明なベース26にリング状のアンテナ25とともに設けられている。このアンテナ25は、その中心に棒状部21が貫通され、ICタグ取付具20を電柱1の穴2に装着したときにこれら電柱1の側面と板状部22とで挟持されるように取付けられている。すなわち、これらICタグ24およびアンテナ25は、電柱1の側面と板状部22との間に位置してなる。なお、柱取付具23は、上述の棒状部21および板状部22を有する既存の電柱表示用具を用いてもよい。
【0019】
上記の構成からなるICタグ取付具20においては、第1の実施形態と同様に、ICタグ24から発信される電波が電柱1および電柱1に内在する鉄芯等の部材から悪影響を与えられることなくICタグ24の管理データ類を読み書きすることが可能となるので、ICタグ24の管理データ類を正確に読み書きすることができる。
また、このICタグ取付具20においては、棒状部21を穴2に挿入するだけで、簡単に取付けができるとともに、ICタグ24を電柱1の外側に取付け可能でICタグ24を保護することが可能な柱取付具23が、簡易な形状で製造可能となる。したがって、ICタグ取付具20の製造コストを削減することができる。
【0020】
なお、上記第1および第2の実施の形態において、側面に足場取付用の穴を有する電柱を実施例として説明したが、柱についてはこれに限るものではなく、地面に立設し、側面に穴が設けられた柱であればよい。
また、上記第1および第2の実施の形態において、ICタグ取付具を取付ける方法として、ネジ込み形式のみならず、押込み形式を用いてもよい。例えば、上記第1の実施の形態において、ICタグ取付具10を取付ける方法として、ネジ切りされた棒状部11をネジ切りされた穴2に差し込んでICタグ取付具10を電柱1に装着するネジ込み形式のみならず、棒状部11を穴2に押込んでICタグ取付具10を電柱1に装着する押込み形式を用いてもよい。この場合、ICタグ取付具10の棒状部11はネジ切りされなくてもよく、穴2の内壁もネジ切りされなくてもよい。また、押込み形式を用いてICタグ取付具10を電柱1に装着した場合、ドライバでねじるようにしてICタグ取付具10を電柱1から取り外す。
また、上記第1および第2の実施の形態において、電柱1の穴2にICタグ取付具を1本のみ装着することに限定することはなく、電柱1の側面に穴2が複数設けられている場合には、それら複数の穴2のそれぞれにICタグ取付具を装着してもよい。
また、上記第1の実施の形態において、ICタグ13およびアンテナ14は、頭部12に覆われて設けられていれば、頭部12内に設けられていなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るICタグシステムの概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ取付具の斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るICタグ取付具の分解側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係るICタグ取付具の斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
E 地面
1 電柱(柱)
2 穴
10 ICタグ取付具
11 棒状部
12 頭部
13 ICタグ
20 ICタグ取付具
21 棒状部
22 板状部
23 柱取付部
24 ICタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に立設する柱の側面に設けられた穴に装着可能な棒状部と、
前記棒状部の端部に設けられ、前記棒状部を前記穴に装着したときに前記柱の外側に位置してなるICタグと
を備えたことを特徴とするICタグ取付具。
【請求項2】
前記柱の外方に突出し前記柱の側面に滑らかに沿うように形成された頭部を有し、
この頭部に前記ICタグを埋設したことを特徴とする請求項1記載のICタグ取付具。
【請求項3】
地面に立設する柱の側面に設けられた穴に装着可能な棒状部と、
この棒状部の端部に取付けた板状部を有する柱取付具を備えてなり、
前記柱と前記板状部との間に位置するICタグを設けたことを特徴とするICタグ取付具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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