説明

ICタグ管理システム

【課題】ICタグの検出の効率化を図りつつも、物品を精度良く管理することが可能なシステムを提供する。
【解決手段】通信端末は、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定手段と、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定手段と、を備え、各ICタグは、前記リーダライタからの検出コマンドを受信する受信手段と、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品などを管理する際に利用されるICタグ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユビキタス社会への発展に伴い、ICタグを利用したRFID(Radio Frequency IDentification)技術が広く利用されている。例えば、工場や物流拠点では、ベルトコンベア、台車等により様々な物品が移送されるが、このような物品にICタグを付することによって、移送される物品の識別、管理等を行うことができる。
【0003】
物品に付されたICタグには、タグごとにユニークなIDが割り振られており、ICタグは、アンテナを備えたリーダライタ(RW)と無線によりIDを含むデータの授受を行う。リーダライタは、各ICタグに割り振られたIDを検知し、IDを判別することで物品の個別認識が可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図16は、一般的なICタグを用いた物品の管理方法を説明するための図であり、化学薬品工場100で生産される薬品をICタグによって管理する場合を想定している。
化学薬品工場100で生産された薬品は、ICタグが付された各容器に入れて出荷される。
【0005】
各ICタグには、工場内のリーダライタ110によってユニークなタグIDと、付属情報として製品名、生産日時、製品型番、ロットNoなどが紐付けされた情報が書き込まれる。各薬品の品質管理を行う端末のデータベースDB1には、各タグIDと付属情報とが対応づけて格納されている。
【0006】
医薬生産ライン200で作業に従事する作業者は、届いた薬品の容器に付されたICタグをリーダライタ210で読み取り、データベースDB1にアクセスすると、各容器に封入されている薬品の生産日時などを瞬時に把握することができる。このため、例えば化学薬品工場から医薬生産ライン200に薬品が搬入されている間に、特定ロットに異物が入ったことが判明した場合には、データベースDB1にアクセスし、特定ロットのロットNoを検索キーとして検索する。これにより、該当する薬品(すなわち異物が混入された薬品の容器)を特定し、直ちに取り除くことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−257003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の如く容器にICタグを付しただけでは、ICタグが付されている容器から薬品(すなわち、容器の中身)を小分けした場合には、ICタグの管理が及ばず、小分けした中身を保証できないという問題が生ずる。ここで、小分けした中身(例えば、粉末や液体の薬品)を保証する方法としては、例えば中身の粉末や液体に直接、ICタグを混ぜて管理する方法が考えられる。
【0009】
図17は、容器に入った中身をICタグで直接管理する方法を説明するための図である。
図17に示す容器1には、複数のICタグを混ぜ合わせた薬品Aが入っている。この状態において、小容器1a〜1dなどに小分けしたとしても、各小容器の薬品Aには複数のICタグが含まれるため、リーダライタ3によって物品の中身の製品名、生産日時、製品型番、ロットNoなどを瞬時に把握することができる(なお、各小容器に入った薬品Aを使用する際には、フィルタやふるいなどを使ってICタグを取り除く)。
【0010】
しかしながら、容器に入った粉末や液体の中身に大量のICタグを混ぜて管理する場合には、次のような問題があった。
【0011】
まず、従来のICタグは、タグごとにユニークなタグIDが割り当てられているため、大量のICタグを利用するためには大量のタグIDが必要(すなわちICタグの数だけタグIDを用意する必要)がある。
【0012】
また、リーダライタは、異なるタグIDが割り当てられた各ICタグとそれぞれ個別に通信を行う必要があるため、リーダライタの電波エリア内にあるICタグの個数分だけ通信が発生し、ICタグの検出に時間がかかる。
【0013】
さらに、異なるタグが割り当てられた各ICタグがリーダライタに対してほぼ同時に応答(レスポンス)を返す事態が生ずると、リーダライタ側ではICタグのレスポンスに関してコリジョン(衝突)が発生してしまう、という問題があった。
【0014】
本発明は以上説明した事情を鑑みてなされたものであり、ICタグの検出の効率化を図りつつも、物品を精度良く管理することが可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るICタグ管理システムは、リーダライタからの検出コマンドに応じて応答する複数のICタグと、前記リーダライタへの応答に関わるデータを前記各ICタグに設定する通信端末と、を備えたICタグ管理システムであって、前記通信端末は、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定手段と、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定手段と、を備え、前記各ICタグは、前記リーダライタからの検出コマンドを受信する受信手段と、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する送信手段とを備える。
【0016】
また、本発明に係るICタグは、リーダライタからの検出コマンドに応じて応答するICタグであって、管理対象のグループを識別する識別子と、前記識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を記憶する記憶手段と、前記リーダライタからの検出コマンドを受信する受信手段と、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する返信手段とを具備する。
【0017】
また、本発明に係るICタグの管理方法は、リーダライタからの検出コマンドに応じて応答する複数のICタグの管理方法であって、通信端末が、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定するステップと、前記通信端末が、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定するステップと、前記各ICタグが、前記リーダライタからの検出コマンドを受信するステップと、前記ICタグが、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信するステップとを備える。
【0018】
また、本発明に係る通信端末は、ICタグに対してデータの書き込みが可能な通信端末であって、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定手段と、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定手段とを備える。
【0019】
また、本発明に係るICタグ管理プログラムは、ICタグに対してデータの書き込みが可能なコンピュータに、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定機能と、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、ICタグの検出の効率化を図りつつも、物品を精度良く管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るICタグ管理システムの概略構成を示す図である。
【図2】同実施形態に係るICタグの詳細構成を示す図である。
【図3】同実施形態に係るタグ制御データを例示した図である。
【図4】同実施形態に係るICタグ管理システムの処理を示すフローチャートである。
【図5】同実施形態の変形例1に係るタグ制御データを例示した図である。
【図6】同実施形態の変形例2に係るタグ制御データを例示した図である。
【図7】同実施形態の変形例3に係るタグ制御データを例示した図である。
【図8】同実施形態の変形例5に係るICタグの登録例を示す図である。
【図9】同実施形態の変形例5に係るタグ制御データを例示した図である。
【図10】第2実施形態に係るICタグ管理システムの概略構成を示す図である。
【図11】同実施形態に係るタグ制御データを例示した図である。
【図12】同実施形態に係るICタグ管理システムの処理を示すフローチャートである。
【図13】第3実施形態に係るICタグの詳細構成を示す図である。
【図14】同実施形態に係るタグ制御データを例示した図である。
【図15】同実施形態に係るICタグ管理システムの処理を示すフローチャートである。
【図16】一般的なICタグを用いた物品の管理方法を説明するための図である。
【図17】容器に入った中身をICタグで直接管理する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0023】
A.第1実施形態
(1)実施形態の構成
図1は、第1実施形態に係るICタグ管理システム10の概略構成を示す図である。本実施形態のICタグ管理システム10は、家庭内の各部屋や工場内建物内等の空間でICタグ40−1〜40−k(k≧2)を混在させた物品(例えば薬品など)をリーダライタ20などの情報管理機器で管理するシステムである。なお、本実施形態では、各ICタグを特に区別する必要がない場合には単にICタグ40と呼ぶ。
【0024】
各ICタグ40は、リーダライタ(RW)20と無線通信することができる物理デバイスである。各ICタグ40には、タグIDと、製品名、生産日時、製品型番、ロットNoなどが紐付けされたID関連情報が書き込まれている。
リーダライタ(RW)20は、ICタグ40との無線通信により、ICタグ40に格納されたタグIDやID関連情報を読み込んだり、書込んだりすることができる物理デバイスである。本実施形態では、タグIDやリーダライタ20との間で通信を行う際の制御方式(以下、タグ制御方式)など、各ICタグ40に格納されている様々な情報がリーダライタ20によって書き換え(変更)可能となっている。
【0025】
アプリケーション30は、例えばパーソナルコンピュータ(図示略;以下、PCと略称)のメモリなどに格納されたソフトウェアである。PC(通信端末)の制御部(図示略)がアプリケーション30を実行することにより、各ICタグ40の様々な情報の読み書きや、タグ制御方式の変更が可能となる。なお、アプリケーション30は、様々な記録媒体や各種通信ネットワークを通じてPCに提供しても良い。
【0026】
図2は、ICタグ40の詳細構成を示す図である。
ICタグ40は、タグID部41、ユーザメモリ42、制御部43、記録部44、RF部45、アンテナ46を備えて構成されている。
タグID部41は、特定のbit長で表すことができるタグIDを保持している。本実施形態では、ICタグごとではなく、管理する物品のグループごとにユニークなID(本実施形態では識別子の役割を果たすもの)が割り当てられる。本実施形態では、2つのグループG1,G2が存在し(図1参照)、ICタグ40−1〜40−3が属するグループG1と、ICタグ40−4、40−5が属するグループG2とに分けられている。本実施形態では、リーダライタ(第1の設定手段)20によって、同一グループに属する複数のICタグ40には、同一のタグIDが割り当てられる。具体的には、グループG1に属するICタグ40−1〜40−3には、タグID=「0001」が割り当てられ、グループ2に属するICタグ40−4、40−5には、タグID=「0002」が割り当てられている。
【0027】
ユーザメモリ42は、利用者がリーダライタ20を利用して自由に情報を読み書きできる記憶エリアを有している。
【0028】
制御部43は、ICタグ40に格納されている各種情報にアクセスすることができ、リーダライタ20から送信される各種コマンドの解釈や、レスポンスデータの生成などが可能となっている。また、制御部43は、RF部45を制御することにより、リーダライタ20へレスポンスデータを送信するタイミング(応答タイミング)などを自由に設定・変更することが可能となっている。制御部43は、記録部44に格納されているタグ制御方式などをあらわすデータに従って、動的にレスポンスデータの生成やレスポンスデータの応答タイミングの生成、搬送波の周波数設定など、リーダライタ20に対するレスポンスを制御することが可能となっている。
【0029】
また、制御部43の内部には、図示せぬ応答カウンタが保持されている。応答カウンタは、タイミングをカウントする手段であり、制御部43によって管理される。本実施形態では、ICタグ40からリーダライタ20へのレスポンスデータの応答タイミングをカウントするために、応答カウンタが利用される。この応答カウンタは、内部クロック(図示略)などを用いて一定のタイミングでカウント値をインクリメントするように構成されている。なお、内部クロックを用いる代わりに、リーダライタ20から送信される同期信号を受信するごとに、カウント値をインクリメントするように構成しても良い。
【0030】
記録部44には、リーダライタ20との通信時に利用されるタグ制御方式などのデータが格納されている。記録部44に格納されているタグ制御方式などのデータは、利用者がリーダライタ20に格納されているアプリケーション30を利用することで自由に書き換え可能となっている。
【0031】
RF部(受信手段、送信手段)45は、アンテナ46を介してリーダライタ20と無線によるデータの授受を行う。RF部45は、リーダライタ20からアンテナ46を介して受信されるアナログ信号をデジタル信号に変換する一方、制御部43で生成されたレスポンスデータをアナログ信号に変換し、アンテナ46を介してリーダライタ20に無線送信する。
【0032】
本実施形態では、事前に利用者がリーダライタ(第1の設定手段)20に格納されたアプリケーション(第1の設定手段)30を実行することにより、ICタグ40−1〜40−3のタグID部41には、タグID=「0001」が書き込まれ(設定され)、ICタグ40−4、40−5のタグID部41には、タグID=「0002」が書き込まれる(設定される)。また、全てのICタグ40−1〜40−5の記録部44には、同一のタグ制御方式をあらわすデータが書き込まれている。
【0033】
図3は、各ICタグ40の記録部44に格納されているタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データと、タグIDとの関係を例示した図である。
図3に示すように、各ICタグ40−1〜40−5には、同一のタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データ(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子、識別子=タグID、応答タイミングT=f(識別子))が書き込まれている。
【0034】
レスポン制御スデータは、応答を返すデータを指定するタグ指定データ(図3に示す、レスポンスデータ[タグ検出]=識別子)と、識別子として用いるデータをあらわす識別子指定データ(図3に示す、識別子=タグID)と、応答タイミングをあらわすタイミングデータ(図3に示す、応答タイミングT=f(識別子))とを含んで構成される。
【0035】
タグ指定データは、リーダライタ20から送信される特定のコマンドに対して応答を返すデータを指定する。図3に示すように、レスポンスデータ[タグ検出]=識別子の場合には、リーダライタ20からタグ検出コマンドが送信された場合に、レスポンスデータとして識別子がリーダライタ20に返信される。
【0036】
識別子指定データは、ICタグ40を区別するためのデータであり、識別子として用いるデータをあらわすものである。図3に示すように、識別子=タグIDの場合には、識別子としてタグIDが用いられ、同一の識別子(タグID)が指定されている全てのICタグ40は、同一のICタグとして機能する。従って、図3の例ではICタグ40−1〜40−3が同じICタグとして機能し、ICタグ40−4、40−5が同じICタグとして機能する。
【0037】
タイミングデータ(タイミング生成情報)は、リーダライタ20から送信される検出コマンドに対してレスポンスデータを返すタイミングを指定するためのものである。図3に示すように、応答タイミングT=f(識別子)の場合には、識別子を関数fに入力することによって得られるタイミングが応答タイミングとして設定される。
【0038】
ここで、関数fは、任意に設定可能であるが、本実施形態では識別子を元にランダムな値を生成する関数fを想定する。ただし、識別子が同じ場合には、関数fによって生成される値は常に同一になるものとする。
【0039】
記録部44には、上記レスポンス制御データの他、リーダライタ20との通信で利用する周波数チャネルや任意のパラメータなどが格納されている。前述したように、これら記録部44に格納されている応答タイミング(タイミング生成情報)Tを含むレスポンス制御データは、利用者がPCに格納されているアプリケーション(第2の設定手段)30を利用することで自由に書き換え可能となっている。
以下、図4などを参照しながら、本実施形態の動作について説明する。
【0040】
(2)実施形態の動作
図4は、ICタグ管理システム10の動作を示すフローチャートである。当該システム10の動作は、大きく前処理段階と運用処理段階に分けられる。
【0041】
2−1.前処理段階
まず、利用者は、PC(第1の設定手段)にインストールされたアプリケーション30を実行することにより、ICタグ40−1〜40−5に必要なデータを事前に書き込む(ステップS1)。具体的には、図3に示すように、ICタグ40−1〜40−3にタグID=「0001」、ICタグ40−4、40−5にタグID=「0002」を書き込む。
【0042】
さらに、PC(第2の設定手段)は、各ICタグ40の記録部44にタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データを書き込む(図3参照)。具体的には、タグ指定データ(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子)、識別子指定データ(識別子=タグID)、タイミングデータ(応答タイミングT=f(識別子))を記録部44に書き込む(図3参照)。前述したように、本実施形態で採用する関数fは、同じ識別子から同じ応答タイミングをあらわすタイミングデータ(タイミング生成情報)が生成されるため、ICタグ40−1〜40−3の応答タイミングT(以下、T01)は全て同一となり、ICタグ40−4、40−5の応答タイミングT(以下、T02)は全て同一となる。
【0043】
2−2.運用処理段階
リーダライタ20は、ICタグ40のタグIDを検出するために、各ICタグ40にタグ検出コマンドを無線通信データとして送信する(ステップS2)。各ICタグ(受信手段)40は、アンテナ46を介して無線通信データを受信すると、これをRF部(受信手段)45において復調し、これを制御部43に送る。
【0044】
各ICタグ40の制御部43は、RF部45から送出される無線通信データを解析することにより、リーダライタ20から送信されたコマンドの内容を把握する(ステップS3)。コマンドの内容がタグ検出コマンドである場合、制御部43は、記録部44にアクセスし、タグ制御方式をあらわすレスポンス制御データの読み取りを試みる(ステップS4)。制御部43は、読み取りができなかった場合(ステップS5;NO)、ステップS11に進む。この場合、従来と同様にタグID等を含んだレスポンスデータを生成する。
【0045】
一方、読み取りができた場合には(ステップS5;YES)、読み取ったレスポンス制御データに基づき、図3に示すようなタグ制御方式の内容(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子、識別子=タグID、応答タイミングT=f(識別子))を把握し、ステップS6に進む。なお、タグ検出コマンド以外であった場合には、従来と同様の処理を実行する。
【0046】
制御部43は、ステップS6に進むと、読み取ったレスポンス制御データに基づいてレスポンスの制御を開始する。詳述すると、制御部43は、まず応答カウンタのカウント値を「0」にリセットしてスタートする。
【0047】
そして、制御部43は、制御に必要な内部データをタグID部41やユーザメモリ42、記録部44から取得する(ステップS7)。本実施形態では、識別子としてタグIDを用いるので、制御部43はタグID部41からタグIDを取得する。
【0048】
制御部43は、取得した内部データを用いて、レスポンスデータや応答タイミングを生成する(ステップS8)。図3に示すように、本実施形態では、タグ制御方式がレスポンス制御データに含まれるタグ指定データ、識別子指定データ、タイミングデータによって、それぞれレスポンスデータ[タグ検出]=識別子、識別子=タグID、応答タイミングT=f(識別子)のように指定されているため、ICタグ40−1〜40−3においては、レスポンスデータ[タグ検出]=識別子=「0001」、応答タイミングT1=f(0001)で指定されるレスポンスデータが生成される。一方、ICタグ40−4、40−5においては、レスポンスデータ[タグ検出]=識別子=「0002」、応答タイミングT2=f(0002)で指定されるレスポンスデータが生成される。
【0049】
次に制御部43は、応答カウンタのカウント値と応答タイミングT=f(識別子)を比較することで、応答タイミングが到来したか否かを判断する(ステップS9)。制御部43は、応答カウンタのカウント値と応答タイミングTが一致している場合には(ステップS9;YES)、レスポンスデータとして識別子(=タグID)をリーダライタ20に送信するためにステップS11に進む。制御部43は、応答カウンタのカウント値と応答タイミングTが異なる場合には(ステップS9;NO)、ステップS10に進み、内部クロック(図示略)などを用いて一定のタイミングで応答カウンタのカウント値を1ずつインクリメントするなどして応答待ちをする。制御部43は、応答カウンタのカウント値が増加すると、ステップS9に戻り、応答カウンタのカウント値と応答タイミングTとの比較を再度行う。
【0050】
詳述すると、図3に示す例では、ICタグ40−1〜40−3は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT1=f(0001)になった時にステップS11に進む。一方、ICタグ40−4、40−5は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT2=f(0002)になった時にステップS11に進む。
【0051】
ステップS11に進むと、制御部(送信手段)43は、生成したレスポンスデータをRF部(送信手段)45に送る。RF部45は、レスポンスデータを応答信号に変換して、アンテナ46を介してリーダライタ20に無線送信する(ステップS11)。
【0052】
リーダライタ20は、各ICタグ40からレスポンスデータを受信する (ステップS12)。上述したように、同一のタグIDが付されているICタグ40からは、同一の応答タイミングで、同一のレスポンスデータが送信される。すなわち、ICタグ40−1〜40−3については、同一のレスポンスデータ(タグID=0001)が同一の応答タイミングT1=f(0001)でリーダライタ20に送信される。一方、ICタグ40−4、40−5については、同一のレスポンスデータ(タグID=0002)が同一の応答タイミングT2=f(0002)でリーダライタ20に送信される。
【0053】
ここで、応答タイミングT1≠応答タイミングT2に設定されるため、リーダライタ20はタグID=0001、0002の2種類のタグIDが存在することが確認できる。
リーダライタ20は、各ICタグ40からレスポンスデータを正常に受信することができれば(ステップS13;YES)、各ICタグ40に対して正常に受け取った旨(ACK)を返信し、処理を終了する。一方、リーダライタ20は、コリジョンの発生などにより各ICタグからレスポンスデータを正確に受信できない場合は(ステップS13;NO)、ステップS2に戻り、再度タグ検出コマンドを各ICタグ40に送信する。但し、正常にレスポンスデータを受信できない場合には、エラーとして終了しても良い。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、同一グループに存在する複数のICタグについては、同一のタグIDが付され、同一のレスポンスデータ、同一の応答タイミングが生成される。別言すれば、異なるタグIDが付されたICタグについては、異なる応答タイミングが生成されるため、コリジョンの発生を防止することが可能となり、また、リーダライタは異なるタグIDが付されたICタグを誤りなく、確実に検出することが可能となる。これにより、ICタグの検出の効率化を図りつつも、ICタグに関連付けられた物品をグループごとに精度良く管理することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係るICタグ管理システムを用いることで、粉末や液体状態の物品の管理精度を向上することが可能となる。従来においては、容器などにICタグを用いた場合、中身の入れ替えや小分けすることより、物品のトレースができなくなるが、本実施形態に係るICタグ管理システムを用いた場合には、同一グループに属する物品については、同一のタグIDを付与することで、粉末や液体状態の薬品や化学物質、医薬品などのトレースを精度良く行なうことができる。また、複数の原材料を混ぜた場合でも、原材料ごとに同一のタグIDを付しておくことで、全ての中身の識別を同時に行うことができる。
【0056】
また、本実施形態に係るICタグ管理システムを用いることで、タグIDの検出速度を向上することが可能となる。本実施形態に係るICタグ管理システムによれば、同一のタグIDが付与されたICタグについては、同じタイミングでリーダライタにレスポンスデータを返す。この場合は異なるタグIDの数だけ、ICタグとリーダライタの通信が行われることになるから、全てのICタグが個別にリーダライタにレスポンスデータを返していた従来例(別言すれば、ICタグの数だけ、ICタグとリーダライタの通信が行われていた従来例)に比して、ICタグとリーダライタの通信回数を大幅に低減することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態に係るICタグ管理システムを用いた場合には、ICタグからの電波強度が強くなるため、リーダライタでの検出精度が向上する。一般的にパッシブタイプのICタグは、リーダライタからの電波強度の1/100以下の電波出力でレスポンスデータを返している。そのため1つのICタグからの電波強度は非常に小さいが、本実施形態によれば、同じIDタグの付された複数のICタグが、同じタイミングで同じレスポンスデータを返すためリーダライタに届く電波強度はICタグの数だけ増加し、これによりリーダライタでの検出精度が向上する。
【0058】
また、本実施形態に係るICタグ管理システムを用いた場合には、効率的にタグIDを利用することができる。従来のように、ICタグごとに異なるタグIDを割り振ると、すぐにタグIDが枯渇してしまうことが懸念される。これに対し、本実施形態によれば、同一グループに存在する複数のICタグについて、同一のタグIDを割り当てるため、すぐにタグIDが枯渇してしまう等の問題を未然に防ぐことが可能となる。
【0059】
(3)変形例
<変形例1>
記録部44に設定するタグ制御データに、リーダライタ20との通信時に利用する周波数チャネルの設定を追加しても良い。ICタグ40とリーダライタ20との間の無線通信においては、周波数チャネルを複数使用することができるため、例えばタグIDごとに異なる周波数チャネルを割り当てても良い。
【0060】
図5は、タグIDごとに異なる周波数チャネルを割り当てたときのレスポンス制御データを例示した図である。リーダライタ(第3の設定手段)20は、記録部44にレスポンス制御データを書き込む際、タグ指定データ(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子)、識別子指定データ(識別子=タグID)、タイミングデータ(応答タイミングT=f(識別子))のほか、周波数チャネルを設定する。具体的には、ICタグ40−1〜40−3には周波数=Aが設定され、ICタグ40−4、40−5には周波数=Bが設定される。各ICタグ40の制御部(送信手段)43は、記録部44に設定された制御方式でRF部45を制御し、指定された周波数チャネルを利用してレスポンスデータを返す。リーダライタ20からタグ検出コマンドが送信され、タグ検出コマンドが各ICタグ40によって受信されると、ICタグ40−1〜40−3は周波数=Aの周波数チャネル、ICタグ40−4、40−5は周波数=Bの周波数チャネルを利用してリーダライタ20にレスポンスデータを返信する。
【0061】
この場合、ICタグ40−1〜40−3の応答タイミングT1と、ICタグ40−4、40−5の応答タイミングT2とが偶然に一致した(あるいは、近似しているために判別が難しい)場合でも、応答する電波の周波数はAとBで異なるため、レスポンスデータのコリジョンは発生しない。そのため、大量のICタグ40が存在する環境でも、タグIDを精度良く検出することが可能となる。
【0062】
<変形例2>
本実施形態では、タグIDを識別子やレスポンスデータとしたが、タグIDの代わりに、例えばユーザメモリ44に格納されている情報(より広い概念はタグID以外の情報)を使用しても良い。
【0063】
図6は、ユーザメモリ42のデータを識別子として利用した場合のレスポンス制御データを例示した図である。ICタグ40−1〜40−3のユーザメモリ42には、識別子として利用するユーザデータ=AAAA(=識別子)が格納され、ICタグ40−4、40−5のユーザメモリ42には、ユーザデータ=BBBB(=識別子)が格納されている。
【0064】
そして、記録部44に格納されているレスポンス制御データには、識別子としてユーザメモリ42に格納されているユーザデータを使用すべき指示を書き込んでおく。識別子としてユーザメモリ42のユーザデータを使用した場合には、同一のユーザデータが付されたICタグについては、リーダライタ20によって確実に検出することができる。
【0065】
この場合、通信開始前に個別のタグID(すなわち、ユニークなタグID)が各ICタグ40に割り当てられていたとしても、同一グループに存在する複数のICタグについては、識別子として同一のユーザデータを利用することで、本実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、タグIDの変更が禁止されているような場合に有効である。
【0066】
また、更なる変形として、タグIDやユーザメモリのデータの一部を(すなわち全部でなく)、識別子やレスポンスデータとして使用しても良い。図7はタグIDの一部を識別子として使用した場合のレスポンス制御データを例示した図である。ICタグ40−1〜40−3には、それぞれタグID=1101、1102、1103が登録されている。ICタグ40−4、40−5には、それぞれタグID=1201、1202が登録されている。記録部44のレスポンス制御データには、識別子としてタグIDの上位3桁を使用すべき指示を書き込んでおく。
【0067】
かかる構成において、リーダライタ20からタグ検出コマンドが送信され、ICタグ40によって受信されると、ICタグ40−1〜40−3は、識別子=タグID(上位3桁)としてレスポンスデータ=110を送信する一方、ICタグ40−4、40−5は、識別子=タグID(上位3桁)としてレスポンスデータ=120を送信する。なお、図7に示すように、識別子が同じものについては、レスポンスデータの応答タイミング、周波数、内容はそれぞれ同じになる。
【0068】
かかる構成によれば、識別子=タグID(全桁)として使用することで個別にICタグを判断する一方、識別子=タグID(上位3桁)として使用することでグループ化してICタグを判断するなど、状況に応じて使い分けることが可能となる。
【0069】
特に、複数の物品を混ぜ合わせた場合、タグ制御データ(すなわち制御方式)を変更することにより、新しい識別子を後から生成できる。そのため、例えば薬品Aと薬品Bを混ぜ合わせた物品を薬品Cとして定義して、新しい識別子(例えば、識別子=タグID(上位3桁)など)を動的に生成することができる。この場合、元の原材料の識別子(例えば、識別子=タグIDなど)は変わっていないため、原材料のトレースについても可能となる。
【0070】
以上説明した変形例の応用として、識別子やレスポンスデータを共通化した新しいデータを使用しても良い。元々は違う物品を混合させたものを新しい物品として登録する場合などに用いる。図8は複数の物品を混ぜ合わせて、新しい物品としてICタグを登録した場合の例を示す。
【0071】
図8は、薬品Aと薬品Bを混ぜ合わせた薬品Cを作成する場合を想定している。薬品Aと薬品Bは原材料が違うため、薬品Aと薬品Bにはそれぞれ異なるタグIDが割り当てられている。具体的には、薬品AにはタグID=0001、薬品BにはタグID=0002が割り当てられており、これらを混ぜ合わせた薬品Cを作ったときに、薬品Cの中にある各ICタグ40のユーザメモリ42のユーザデータをCCCCと書き換える(あるいは新規に設定する)。
【0072】
さらに、図9に示すように、ユーザメモリ42のユーザデータCCCCを識別子として利用するべく、記録部44に登録されているタグ制御データも変更し、識別子をユーザメモリ42に格納されているユーザデータとする。これによりリーダライタ20からタグ検出コマンドが送信されると、薬品Cの中にある全てのICタグ20は、同じタイミング、同じ内容、同じ周波数のレスポンスデータをリーダライタ20に返信する。
【0073】
以上説明したように、新しい薬品Cというグループを作成し、そのレスポンスのタグID=CCCCと定義すれば、複数の薬品が混ざった新しい薬品を容易に識別できる。
なお、レスポンス制御データについて、タグ指定データ(レスポンスデータ[特別コマンド]=識別子)、識別子指定データ(識別子=ユーザメモリ)と設定すれば、特別コマンドの場合のみ、協調した制御方式でICタグ20は応答できる。この場合、特別コマンドを用いて新しい薬品Cを容易に検出できるし、通常のタグ検出コマンドを用いて、個別のタグIDも検出できる。そのため、薬品Cに何か問題があった場合に、元の原材料が薬品A、Bであること特定も容易に行える。
【0074】
<変形例3>
リーダライタ20から送信されるタグ検出コマンドについて、専用のグループタグ検出コマンドを設定しても良い。具体的には、通常検出コマンドなど、既に規格化されたコマンド以外に、拡張としてグループ検出コマンドを定義する。そして、ICタグ40の記録部44には、グループ検出コマンドの場合には、特定のタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データ(レスポンスデータ[グループ検出]=識別子、識別子=タグID、応答タイミングT=f(識別子))に基づき、レスポンスデータを返信すべき旨を規定しておく。ICタグ40の制御部(判断手段)43は、リーダライタ20からタグを検出すべきコマンドを受信すると、受信した検出コマンドが通常検出コマンドであるか、グループ検出コマンドであるかを判断する。制御部(送信手段)43は、グループ検出コマンドであると判断した場合には、記録部44に記録されているレスポンス制御データを参照し、タイミングデータに基づき応答タイミングを生成する。そして、応答タイミングが到来したと判断すると、制御部(送信手段)43は、RF部45、アンテナ46を介してレスポンスデータをリーダライタ20へ返信する。
【0075】
<変形例4>
また、応答タイミングを計算する関数fを変更しても良い。但し、協調するICタグ40は同じタイミングで同じレスポンスデータを返信しなければならない。本実施形態では、関数fとして、インプット値が0001の場合には、必ず応答タイミングT1が得られる関数を採用した。ここで、別のインプット値1111を入力した場合にも、偶然に応答タイミングT1=応答タイミングT11となった場合には、コリジョンが発生する。これを回避するために、応答タイミングを計算する関数として、T1=f1(識別子)+f2(現時刻)などのようにチェーン法やランダム法などの関数を採用し、応答タイミングを動的に生成し、検出コマンドのたびに応答タイミングを変更しても良い。
【0076】
かかる構成によれば、異なる識別子、レスポンスデータを有するICタグでコリジョンが発生したとしても、再度、検出コマンドを実行した場合には、応答タイミングが動的に生成されるため、各ICタグで生成される応答タイミングは、それぞれ違う値となる。これにより、コリジョンの発生を未然に防止することができ、検出精度の向上を図ることが可能となる。
【0077】
B.第2実施形態
以下に示す第2実施形態では、第1実施形態のシステム構成に電波強度のしきい値判定を追加して、より協調的にICタグを検出する方法を示す。
【0078】
(1)実施形態の構成
図10は、第2実施形態に係るICタグ管理システム10aの構成を示す図である。図10に示すように、ICタグ40の中でICタグ40−3だけが、リーダライタ20から大きく離れた場所に配置されている。なお、以下の説明では、各ICタグ40−1〜40−5において検知されるリーダライタ20の電波の強度(以下、検知電波強度)を、それぞれ検知電波強度L1〜L5とあらわす。
【0079】
ここで、図11は、各ICタグ40の記録部44に格納されているレスポンス制御データと、タグIDとの関係を例示した図であり、図3に対応している。
本実施形態に係るタグ制御データは、図3に示すレスポンス制御データに対してしきい値[電波強度]=L以上が追加されている点で異なる。ICタグ40の制御部43は、リーダライタ20の電波強度を検知するとともに、検知電波強度が、レスポンス制御データに示される電波強度のしきい値L以上であるか否かを判定する機能を有している。ICタグ40の制御部43は、検知電波強度が電波強度しきい値以上である場合には、リーダライタ20に対してレスポンスデータを返す一方、検知電波強度が電波強度のしきい値を下回っている場合には、リーダライタ20に対してレスポンスデータを返さない。図10を例に説明すると、ICタグ40−3は、リーダライタ20から大きく離れているため、検知電波強度L3は電波強度しきい値Lを下回る(L3<L)。一方、その他のICタグ40−1、40−2、40−4、40−5の検知電波強度は電波強度しきい値Lを超える(L1,L2,L4,L5>L)。この結果、ICタグ40−3についてのみ、その他のICタグ40−1、40−2、40−4、40−5と協調的に通信できないと判断する。このように、協調的に応答できないICタグについては電波を発信しないようにして、レスポンスデータのコリジョンを抑制することにより、ICタグの検出の精度や効率をあげることが可能となる。以下、図12などを参照しながら、第2実施形態の動作について説明する。
【0080】
(2)実施形態の動作
図12は、第2実施形態に係るICタグ管理システム10の動作を示すフローチャートであり、図4に示すフローチャートに電波強度のしきい値判定ステップ(ステップS15)を追加したものである。従って、図12に示すステップのうち、図4に示すステップと対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0081】
まず、利用者は、PCにインストールされたアプリケーション30を実行することにより、ICタグ40−1〜40−5に必要なデータを事前に書き込む(ステップS1)。具体的には、図11に示すように、ICタグ40−1〜40−3にタグID=「0001」、ICタグ40−4、40−5にタグID=「0002」を書き込む。
【0082】
さらに、PC(第3の設定手段)は、各ICタグ40の記録部44にタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データを書き込む。具体的には、PC(第3の設定手段)20は、レスポンス制御データとして、タグ指定データ(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子)、識別子指定データ(識別子=タグID)、タイミングデータ(応答タイミングT=f(識別子))のほか、しきい値データ(しきい値[電波強度]=L以上)を記録部44に書き込む(図11参照)。このしきい値データ(しきい値[電波強度]=L)は、リーダライタ20との通信を許可(O.K)するか否かを判断するためのしきい値であり、判断検知電波強度がL以上の場合にリーダライタ20との通信が許可される。なお、しきい値[電波強度]=L以上は、予め実験などによって求めておけば良い。また、本実施形態で採用する関数fは、第1実施形態と同様、同じ識別子からは同じ応答タイミングが生成される。
【0083】
制御部44は、ステップS1〜ステップS9を実行し、応答カウンタのカウント値と生成した応答タイミングT=f(識別子)を比較することで、応答タイミングが到来したか否かを判断する(ステップS9)。ここで、応答カウンタのカウント値については、第1実施形態とは異なり、リーダライタ20から一定間隔で発信される同期信号を検知するたびに、1ずつインクリメントされる。もちろん、第1実施形態と同様、内部クロックなどを利用して一定間隔で1ずつインクリメントしても良い。
【0084】
制御部44は、ステップS9において応答タイミングが到来したと判断すると、ステップS14に進む。具体的には、ICタグ40−1〜40−3は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT1=f(0001)になった時にステップS14に進む。一方、ICタグ40−4、40−5は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT2=f(0002)になった時にステップS14に進む。
【0085】
ステップS14に進むと、制御部(判断手段)44は、リーダライタ20から送信される電波の強度を検知するとともに、検知電波強度がレスポンス制御データに示される電波強度のしきい値L以上であるか否かを判断する(ステップS14)。
【0086】
本実施形態では、ICタグ40−3は、リーダライタ20から大きく離れているため、検知電波強度L3は電波強度しきい値Lを下回る(L3<L)。この場合、ICタグ40−3は、検知電波強度が電波強度しきい値Lを超えていないと判断し(ステップS15;NO)、ステップS10に戻る。
【0087】
一方、その他のICタグ40の検知電波強度L1、L2、L4、L5は電波強度しきい値Lを超えるため(L1,L2,L4,L5>L)、ICタグ40−1、40−2、40−4〜40−5は、ステップS11に進む。
【0088】
ステップS11に進むと、ICタグ40−1、40−2、40−4、40−5の制御部(送信手段)43は、生成したレスポンスデータをRF部(送信手段)45に送る。RF部45は、レスポンスデータを応答信号に変換して、アンテナ46を介してリーダライタ20に無線送信する。前述したように、タグID=0001の付されたICタグ40−1、40−2と、タグID=0002の付されたICタグ40−4、40−5は、応答タイミングが異なるため、リーダライタ20は、タグID=0001、0002の2種類のタグIDの存在を確認することができるとともに、リーダライタ20から離れたICタグ40−3からレスポンスデータを受けることはない。なお、ステップS11以降の処理については、第1実施形態と同様に説明することができるため、これ以上の説明は割愛する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、電波強度のしきい値判定を追加することにより、協調的にレスポンスできないICタグ(本実施形態ではICタグ40−3)についてはレスポンスデータを返信しないように構成する。これにより、レスポンスデータのコリジョンの発生を極力抑えることが可能となり、ICタグの検出精度や検出効率を高めることが可能となる。
【0090】
C.第3実施形態
(1)実施形態の構成
以下に示す第3実施形態では、第2実施形態に示す電波強度のしきい値判定に代えて、時間のしきい値判定を用いる場合を示す。なお、第3実施形態に係るICタグ管理システム10aの構成は、図10と同様であるため、図示及び詳細な説明を割愛する。
【0091】
図13は、本実施形態に係るICタグ40の構成を示す図である。このICタグ40は、図に示すICタグ40に内部クロック47が設けたものである。内部クロック47は、制御部43による制御のもと、内部時刻を計時する。その他の構成は、図2に示すICタグ40と同様であるため、対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0092】
図14は、各ICタグ40の記録部44に格納されているレスポンス制御データと、タグIDとの関係を例示した図であり、図11に対応している。
本実施形態に係るレスポンス制御データは、図11に示すレスポンス制御データに含まれるしきい値データ(しきい値[電波強度]=L以上)の代わりに、しきい値データ(しきい値[時間]=S以内)が設けられている点で異なる。
【0093】
ICタグ40の制御部(導出手段、判断手段)43は、リーダライタ20からの同期信号に含まれる時刻情報に基づいてリーダライタ20によって示される時刻(以下、RW時刻)を把握するとともに、把握したRW時刻と内部クロック47が示す時刻(以下、内部時刻)とのずれ(すなわち、リーダライタ20から電波が届くまでの時間)が、しきい値[時間]=S以内に収まっているか否かを判断する機能を有している。制御部43は、RW時刻と内部時刻とのずれが、時間のしきい値Sを超えている場合には、リーダライタ20に対してレスポンスデータを返さない。図10を例に説明すると、ICタグ40−3はリーダライタ20から大きく離れているため、RW時刻と内部時刻とのずれ(以下、時刻ずれ)Δsは大きくなる。よってこの場合、時刻ずれΔsはしきい値Tを超える(Δs3>S)。一方、その他のICタグ40−1、40−2、40−4、40−5の時刻ずれΔs1、Δs2、Δs4、Δs5はしきい値Sに収まる(Δs1、Δs2、Δs4、Δs5<T)。
【0094】
この結果、ICタグ40−3についてのみ、その他のICタグ40−1、40−2、40−4、40−5と協調的に通信できないと判断する。このように、協調的に応答できないICタグについては電波を発信しないようにして、レスポンスデータのコリジョンを抑制することにより、ICタグの検出の精度や効率をあげることが可能となる。以下、図15などを参照しながら、第3実施形態の動作について説明する。
【0095】
(2)実施形態の動作
図15は、第3実施形態に係るICタグ管理システム10の動作を示すフローチャートであり、図11に示すフローチャートに電波強度のしきい値判定ステップ(ステップS14)の代わりに、時間のしきい値判定ステップ(ステップS14a)を追加したものである。従って、図15に示すステップのうち、図11に示すステップと対応する部分には同一符号を付し、詳細な説明は割愛する。
【0096】
まず、利用者は、PCにインストールされたアプリケーション30を実行することにより、ICタグ40−1〜40−5に必要なデータを事前に書き込む(ステップS1)。具体的には、図11に示すように、ICタグ40−1〜40−3にタグID=「0001」、ICタグ40−4〜40−5にタグID=「0002」を書き込む。
【0097】
さらに、PCは、各ICタグ40の記録部44にタグ制御方式をあらわすレスポンス制御データを書き込む。具体的には、PCは、レスポンス制御データとしてタグ指定データ(レスポンスデータ[タグ検出]=識別子)、識別子指定データ(識別子=タグID)、タイミングデータ(応答タイミングT=f(識別子))のほか、しきい値データ(しきい値[時間]=S以内)を書き込む(図14参照)。このしきい値[時間]=S以内は、リーダライタ20との通信を許可(O.K)するか否かを判断するためのしきい値であり、RW時刻と内部時刻とのずれ(時刻ずれ)Δsがしきい値Sに収まっている場合にリーダライタ20との通信が許可される。なお、しきい値[時間]=S以下は、予め実験などによって求めておけば良い。また、本実施形態で採用する関数fは、第1実施形態と同様、同じ識別子から同じ応答タイミングTが生成される。
【0098】
制御部44は、ステップS1〜ステップS9を実行し、応答カウンタのカウント値と生成した応答タイミングT=f(識別子)を比較することで、応答タイミングが到来したか否かを判断する(ステップS9)。ここで、応答カウンタのカウント値については、第1実施形態とは異なり、リーダライタ20から一定間隔で発信される同期信号を検知するたびに、1ずつインクリメントされる。もちろん、第1実施形態と同様、内部クロックなどを利用して一定間隔で1ずつインクリメントしても良い。
【0099】
制御部44は、ステップS9において応答タイミングが到来したと判断すると、ステップS14aに進む。具体的には、ICタグ40−1〜40−3は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT1=f(0001)になった時にステップS14に進む。一方、ICタグ40−4〜40−5は、応答カウンタのカウント値が応答タイミングT2=f(0002)になった時にステップS14に進む。
【0100】
ステップS14に進むと、制御部(導出手段)44は、リーダライタ20からの同期信号に含まれる時刻情報に基づいてリーダライタ20によって示されるRW時刻を把握するとともに、把握したRW時刻と内部クロック47が示す内部時刻との時刻ずれ(すなわち、リーダライタ20から電波が届くまでの時間)を導出する。そして、制御部(判断手段)44は、導出した時刻ずれΔsが、しきい値[時間]=S以内に収まっている場合には、リーダライタ20に対してレスポンスデータを返さない。図10を例に説明すると、ICタグ40−3はリーダライタ20から大きく離れているため、時刻ずれΔsはしきい値[時間]Sを超える(Δs3>S)。この場合、ICタグ40−3は、時刻ずれΔsはしきい値Sを超えたと判断し(ステップS14a;NO)、ステップS10に戻る。
【0101】
一方、その他のICタグ40−1、40−2、40−4、40−5については、リーダライタ20からの離間距離がほぼ等しく、かつ、ICタグ40−3ほどリーダライタ20から離れていないため、時刻ずれΔt1、Δt2、Δt4、Δt5はしきい値S以内に収まる(Δt1、Δt2、Δt4、Δt5<T)。よって、この場合、ICタグ40−1、40−2、40−4、40−5の制御部43は、時刻ずれΔt1、Δt2、Δt4、Δt5はしきい値S以内であると判断し(ステップS14a;YES)、ステップS11に進む。
【0102】
ステップS11に進むと、ICタグ40−1、40−2、40−4、40−5の制御部(送信手段)43は、生成したレスポンスデータをRF部(送信手段)45に送る。RF部45は、レスポンスデータを応答信号に変換して、アンテナ46を介してリーダライタ20に無線送信する。前述したように、タグID=0001の付されたICタグ40−1、40−2と、タグID=0002の付されたICタグ40−4、40−5は、応答タイミングが異なるため、リーダライタ20は、タグID=0001、0002の2種類のタグIDの存在を確認することができるとともに、リーダライタ20から離れたICタグ40−3からレスポンスデータを受けることはない。なお、ステップS11以降の処理については、第1実施形態と同様に説明することができるため、これ以上の説明は割愛する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態によれば、時間のしきい値判定を追加することにより、協調的にレスポンスできないICタグ(本実施形態ではICタグ40−3)についてはレスポンスデータを返信しないように構成する。これにより、レスポンスデータのコリジョンの発生を極力抑えることが可能となり、ICタグの検出精度や検出効率を高めることが可能となる。
【0104】
また、しきい値として時刻情報を用いることにより、しきい値として電波強度を用いる場合と比較して検出精度を高めることが可能となる。例えば、ICタグを粉末に混ぜて検知する場合、しきい値として電波強度を用いると電波強度が不安定になり、一定ではなくなるという可能性や、電波強度が急激に弱くなるという可能性が生じる。これに対して、しきい値として時刻情報を用いた場合には、上記問題を生ずる恐れを抑えることができ、正確にしきい値判定を行うことが可能となる。
【0105】
(3)変形例
<変形例1>
しきい値として用いるパラメータは、電波強度(第2実施形態)、時間(第3実施形態)のほか、他のパラメータであっても良く、またこれらパラメータを複数組み合わせても良い。
【0106】
<変形例2>
時刻情報を用いてレスポンスデータの発信タイミングを自動的に調整しても良い。第3実施形態においては、リーダライタ20からの同期信号の中に時刻情報が入っているため、ICタグ4からのレスポンスデータがリーダライタ20に届くまでの時間が正確に測定可能である。よって、逆算して、ICタグ40ごとに、リーダライタ20にレスポンスデータが届くまでの時間を求め、IDタグが同じICタグ40については同じタイミングでリーダライタ20にレスポンスデータが届くように、応答タイミング等を補正しても良い。
【0107】
このように、ICタグ40ごとに応答タイミング等の時間を補正することにより、ICタグ40ごとにリーダライタ20からの距離にバラツキがあっても、多数のICタグ40からのレスポンスデータを、同時かつ正確にリーダライタ20に届けることが可能となる。
これにより、ICタグ40から送信されるレスポンスデータの検出精度、強度を高めることが可能となる。
【0108】
また、各実施形態および各変形例において示した各処理のステップは処理内容に矛盾を生じない範囲で任意に順番を変更して又は並列に実行することができる。さらに本明細書等において、手段とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その手段が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。さらにまた、1つの手段が有する機能が2つ以上の物理的手段により実現されても、2つ以上の手段の機能が1つの物理的手段により実現されてもよい。また、本発明に係るソフトウェアの開発支援プログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の光学ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの各種の記録媒体を通じて、又は通信ネットワークなどを介してダウンロードすることにより、コンピュータにインストール又はロードすることができる。
【符号の説明】
【0109】
10,10a…ICタグ管理システム、20…リーダライタ、30…アプリケーション、40…ICタグ、41…タグID部、42…ユーザメモリ、43…制御部、44…記録部、45…RF部、46…アンテナ、47…内部クロック。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーダライタからの検出コマンドに応じて応答する複数のICタグと、前記リーダライタへの応答に関わるデータを前記各ICタグに設定する通信端末と、を備えたICタグ管理システムであって、
前記通信端末は、
同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定手段と、
識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定手段と、を備え、
前記各ICタグは、
前記リーダライタからの検出コマンドを受信する受信手段と、
前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する送信手段と
を備える、ICタグ管理システム。
【請求項2】
前記通信端末は、
前記リーダライタの電波強度のしきい値を、前記各ICタグに設定する第3の設定手段をさらに備え、
前記各ICタグは、
前記リーダライタの電波強度を検知する検知手段と、
検知された前記リーダライタの電波強度と前記電波強度のしきい値との比較結果に基づいて、応答するか否かを判断する判断手段とをさらに備え、
前記送信手段は、
前記判断手段によって応答すると判断され、かつ、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する、請求項1に記載のICタグ管理システム。
【請求項3】
前記通信端末は、
時間のしきい値を、前記各ICタグに設定する第4の設定手段をさらに備え、
前記各ICタグは、
前記リーダライタから電波が届くまでの時間を導出する導出手段と、
導出された前記電波が届くまでの時間と前記時間のしきい値との比較結果に基づいて、応答するか否かを判断する判断手段とをさらに備え、
前記送信手段は、
前記判断手段によって応答すると判断され、かつ、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する、請求項1に記載のICタグ管理システム。
【請求項4】
前記通信端末は、
前記リーダライタとの通信時に利用する周波数チャネルであって、識別子ごとに異なる周波数チャネルを前記各ICタグに設定する第5の設定手段をさらに備え、
前記各ICタグの送信手段は、
前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、設定された周波数チャネルを利用して前記リーダライタに返信する、請求項1に記載のICタグ管理システム。
【請求項5】
前記各ICタグは、
受信した検出コマンドが、通常検出コマンドであるか、グループ検出コマンドであるかを判断する判断手段をさらに備え、
前記送信手段は、
受信した検出コマンドがグループ検出コマンドであると判断された場合に、前記応答タイミングを生成し、生成した応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する、請求項1に記載のICタグ管理システム。
【請求項6】
リーダライタからの検出コマンドに応じて応答するICタグであって、
管理対象のグループを識別する識別子と、前記識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を記憶する記憶手段と、
前記リーダライタからの検出コマンドを受信する受信手段と、
前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信する返信手段と
を具備する、ICタグ。
【請求項7】
リーダライタからの検出コマンドに応じて応答する複数のICタグの管理方法であって、
通信端末が、同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定するステップと、
前記通信端末が、識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定するステップと、
前記各ICタグが、前記リーダライタからの検出コマンドを受信するステップと、
前記ICタグが、前記タイミング生成情報に基づき生成される応答タイミングが到来した場合に、設定された前記識別子を含むレスポンスデータを、前記リーダライタに返信するステップと
を備える、ICタグの管理方法。
【請求項8】
ICタグに対してデータの書き込みが可能な通信端末であって、
同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定手段と、
識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定手段と
を備える、通信端末。
【請求項9】
ICタグに対してデータの書き込みが可能なコンピュータに、
同一グループに属する複数のICタグに同一識別子を設定する第1の設定機能と、
識別子ごとに異なる応答タイミングを生成するためのタイミング生成情報を、前記各ICタグに設定する第2の設定機能と
を実現させるためのICタグ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−100209(P2011−100209A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253224(P2009−253224)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】