説明

ICタグ

【課題】客の忘れ物管理用として用いることが可能なICタグを提供する。
【解決手段】ICタグは、例えば、航空機に積み込まれる荷物などに取り付けられるICタグであり、本体部と、本体部より切り離し可能とされた小タグと、を有する。本体部は、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、小タグは、ICチップと、ICチップに格納された情報を外部の装置と送受信するアンテナと、を有する。このようにすることで、小タグを忘れ物管理用のタグとして管理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば航空機に積み込まれる荷物などに取り付けられるICタグに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空機に積み込まれる荷物などに取り付けられる荷物用タグとして、ICタグが用いられることが多くなっている。一般的な荷物用タグとして用いられるICタグは、シートの一方の面の一部の領域に、ICチップとアンテナとベース基材とより構成されたICチップ実装体を有している。例えば、以下の特許文献1には、このような荷物用のICタグの一例が記載されている。この荷物用のICタグでは、シートの一方の面の全面に粘着剤が塗布されることで粘着層が形成されており、当該粘着層はセパレータにより覆われている。ICタグの実際の使用時には、ICタグを、例えば荷物の手持ち部分に一回りさせた後、ICタグの一端のセパレータの一部を剥がして、剥き出しになった粘着層の粘着面を、ICタグの他端のセパレータに貼付ける。このようにすることで、ICタグは、荷物の手持ち部分にループ状に取り付けられることとなる。
【0003】
このようなICタグの役割としては、ICタグが取り付けられた荷物の搬送時におけるトレーサビリティ(追跡可能性)が主な目的であった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−317544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際には、ICタグは、荷物が客に渡った段階で廃棄されるのが現状であり、その後の役割については考慮されていなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、例えば、客の忘れ物管理用として用いることが可能なICタグを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点では、ICタグ本体部と、前記ICタグ本体部より切り離し可能とされた小タグと、を有するICタグにおいて、前記ICタグ本体部は、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、前記小タグは、ICチップと、前記ICチップに格納された情報を外部の装置と送受信するアンテナと、を有する。
【0008】
上記のICタグは、例えば、航空機に積み込まれる荷物などに取り付けられる航空用タグであり、ICタグ本体部と、前記ICタグ本体部より切り離し可能とされた小タグと、を有する。前記ICタグ本体部は、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、前記小タグは、ICチップと、前記ICチップに格納された情報を外部の装置と送受信するアンテナと、を有する。このようにすることで、前記小タグを忘れ物管理用のタグとして管理することができる。
【0009】
上記のICタグの他の一態様は、前記アンテナの送受信可能な範囲は、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離された後の方が、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離される前よりも、狭くなるように構成されている。このようにすることで、他の小タグの識別情報を読み込もうとしている読み取り装置が、誤って、前記小タグの識別情報を読み込むのを防ぐことができ、前記小タグの管理を容易にすることができる。
【0010】
上記のICタグの好適な実施例は、前記アンテナが取り付けられたシートを備え、前記シートの前記小タグに対応する部分は、前記シートの前記ICタグ本体部に対応する部分より切り離し可能とされ、前記アンテナは、前記シートの前記小タグに対応する部分と前記シートの前記ICタグ本体部に対応する部分との境界に跨って取り付けられ、前記境界で切り離し可能とされている。このようにすることで、前記アンテナの面積は、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離された後の方が、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離される前よりも、小さくなるので、前記アンテナの送受信可能な範囲も、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離された後の方が、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離される前よりも、狭くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0012】
[ICタグの構成]
まず、本発明の実施形態に係るICタグの構成ついて、図1及び図2を用いて述べる。図1は、本実施形態に係るICタグ10を荷物に取り付けたときの模式図である。図1に示すように、ICタグ10は、荷物20の手持ち部20aを囲んでループ状に取り付けられる。
【0013】
図2(a)は、ICタグ10の平面図を示し、図2(b)は、図2(a)の切断線A−A’に沿ったICタグ10の断面図を示している。
【0014】
ICタグ10は、図2(b)に示すように、主に、シート16と、粘着層15と、ICチップ実装体18と、より構成される。具体的には、シート16は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などで作製されたフィルムと、当該フィルムの一方の面の全面に接着された感熱紙と、より構成される。シート16の一方の面(フィルム側の面)の全面には粘着剤が塗布されることにより粘着層15が形成され、当該粘着層15を介して、シート16にICチップ実装体18が取り付けられている。粘着層15及びICチップ実装体18は、セパレータ17によって覆われている。なお、シート16のICチップ実装体18が取り付けられている面とは反対側の面(感熱紙側の面)には、航空機の便名や客の識別情報等が印刷されている。
【0015】
ICチップ実装体18は、ICチップ14と、アンテナ13と、ベース基材11と、より構成される。ICチップ14及びアンテナ13は、ベース基材11の一方の面に実装されている。シート16は、ICチップ14及びアンテナ13を覆うようにして、粘着層15を介して、ベース基材11と貼り合わされている。このようにして、シート16には、ICチップ14及びアンテナ13が取り付けられている。
【0016】
ICチップ14は、所要のデータを格納している。所要のデータとは、例えば、荷物20の持ち主を示す識別番号等である。アンテナ13は、ベース基材11の面上に、導電性を有するアルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属で形成され、ICチップ14と電気的に接続されている。アンテナ13は、ICチップ14に格納されたデータを、外部の装置、例えば、税関等に装備された読み取り書き取り装置(不図示)に対し送受信する。図2(a)では、アンテナ13は、一例としてH字状のアンテナであるとしているが、アンテナ13の形状としては、これに限られないのは言うまでもない。
【0017】
[ICタグの各部分の機能]
次に、ICタグ10の各部分の機能について説明する。
【0018】
ICタグ10は、ICタグ本体部10aと小タグ10b、10cの各部分に切り離すことができる。具体的には、小タグ10bは、小タグ10cより切り離し可能に構成され、小タグ10cは、ICタグ本体部10aより切り離し可能に構成されている。図2(a)において、破線C1は、小タグ10bと小タグ10cとの間の境界の切断予定線を示し、破線C2は、ICタグ本体部10aと小タグ10cとの間の境界の切断予定線を示している。
【0019】
また、ICタグ本体部10aと小タグ10b、10cとの夫々の位置に対応して、シート16は、シート本体部16aとシート切り離し部16b、16cとより構成されている。シート切り離し部16bは、シート切り離し部16cより切り離し可能に構成され、シート切り離し部16cは、シート本体部16aより切り離し可能に構成されている。また、ICタグ本体部10aと小タグ10cとの夫々の位置に対応して、アンテナ13は、アンテナ13aとアンテナ13cとより構成されている。アンテナ13cは、アンテナ13aより切り離し可能に構成されている。ベース基材11、粘着層15、セパレータ17の夫々も、ICタグ本体部10aと小タグ10b、10cとの夫々の位置に対応して切り離し可能に構成されている。以下では、ICタグ本体部10aと小タグ10b、10cの夫々について、具体的に述べることとする。
【0020】
小タグ10bは、例えば、航空用タグの場合におけるお客様用の控えである。小タグ10bは、シート切り離し部16bと、小タグ10bの位置に対応する粘着層15の部分及びセパレータ17の部分と、より構成される。
【0021】
ICタグ本体部10aと小タグ10bの夫々に対応するシート16の感熱紙の部分には、例えば、客を識別するための識別番号が記載されている。税関などでは、ICタグ本体部10aに対応する感熱紙の部分に記載された識別番号と、小タグ10bに対応する感熱紙の部分に記載された識別番号とを照らし合わせることで、客の荷物かどうかを確認する。
【0022】
小タグ10cは、例えば、忘れ物管理用のタグである。小タグ10cは、シート切り離し部16cと、ICチップ14と、アンテナ13cと、ベース基材11のアンテナ13cが実装されている部分と、小タグ10cの位置に対応する、粘着層15の部分及びセパレータ17の部分と、より構成される。
【0023】
ICタグ本体部10aは、荷物20の手持ち部20aをループ状に囲んで取り付けられる。ICタグ本体部10aは、シート本体部16aと、アンテナ13aと、ベース基材11のアンテナ13aが実装されている部分と、シート本体部16aの位置に対応する、粘着層15の部分及びセパレータ17の部分と、より構成される。
【0024】
つまり、ICタグ10において、ICチップ14は、シート切り離し部16cに取り付けられており、アンテナ13は、シート本体部16aとシート切り離し部16cとの境界に跨って取り付けられている。また、アンテナ13は、当該境界で切り離し可能とされている。これにより、ICタグ本体部10aより小タグ10cが切り離されると、小タグ10cは、ICチップ14と、アンテナ13の一部であるアンテナ10cと、を有することとなる。
【0025】
例えば、空港などの忘れ物係は、客が荷物20を引き取りに来なかった場合には、荷物そのものを倉庫に保管すると共に、荷物20に取り付けられたICタグ本体部10aより小タグ10cを切り離す。そして、忘れ物係は、小タグ10cを、引き取り手がなかった他の荷物に取り付けられていた他の小タグ(小タグ10cと同様の構成を有する)と共にまとめて管理する。
【0026】
忘れ物係は、読み取り装置を用いて、小タグ10cのICチップ14より荷物20の識別情報を読み込み、当該識別情報をコンピュータ上で管理することで、荷物20が倉庫に保管されているか、また、荷物20がどこの倉庫に保管されているか、といった情報を一括で管理することができる。更には、識別情報を基に、客の氏名や電話番号等が判明すれば、忘れ物係は、荷物20の持ち主に迅速に連絡することが可能となる。
【0027】
以上に述べたことから分かるように、本実施形態に係るICタグ10は、ICタグ本体部10aと、ICタグ本体部10aより切り離し可能な小タグ10cと、を有し、ICタグ本体部10aは、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、小タグ10cは、ICチップとアンテナとを有している。このようにすることで、小タグ10cを忘れ物管理用のタグとして管理することができる。
【0028】
なお、本実施形態では、小タグ10cは、先にも述べたように、アンテナ13ではなく、アンテナ13の一部であるアンテナ13cを有するとしている。アンテナ13cの面積は、アンテナ13の面積よりも小さいため、アンテナ13cの送受信可能な範囲は、アンテナ13の送受信可能な範囲よりも狭くなる。つまり、小タグ10cのアンテナの面積は、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離された後の方が、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離される前よりも、小さくなるので、小タグ10cのアンテナの送受信可能な範囲も、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離された後の方が、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離される前よりも、狭くなる。
【0029】
このようにする理由は、以下の通りである。即ち、荷物の搬送時においては、読み取り装置は、ICタグ10を荷物20に取り付けた状態で、ICタグ10の情報を読み込む必要があるため、ICタグ本体部10aと切り離されていない小タグ10cの、即ち、ICタグ10のアンテナの送受信可能な範囲は広い方が望ましいのに対し、ICタグ本体部10aより切り離された小タグ10cは、小タグ10cと同様の構成を有する他の小タグと一括して管理されるため、小タグ10cのアンテナの送受信可能な範囲が広いと(例えば、小タグ10cのアンテナの送受信可能な範囲が、ICタグ本体部10aと切り離される前と同じ範囲だと)、読み取り装置が、他の小タグの識別情報を読み込もうとしている場合において、誤って、小タグ10cの識別情報を読み込んでしまう恐れがあるからである。
【0030】
そのため、本実施形態では、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離された後の方が、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離される前よりも、小タグ10cのアンテナの面積が小さくなるように構成されている、即ち、小タグ10cのアンテナの送受信可能な範囲が狭くなるように構成されている。このようにすることで、他の小タグの識別情報を読み込もうとしている読み取り装置が、誤って、小タグ10cの識別情報を読み込むのを防ぎことができ、小タグ10cの管理を容易にすることができる。
【0031】
[ICタグの取付方法]
次に、本実施形態に係るICタグの取付方法について、図3を用いて説明する。図3は、ICタグの取付方法を示す模式図である。図3(a)は、ICタグ10の断面図を示し、図3(b)は、ICタグ10及び荷物20の手持ち部20aの断面図を示している。なお、図3(a)、(b)において、ベース基材11の図示は省略している。
【0032】
まず、図3(a)に示すように、(1)小タグ10bは、ICタグ10(ICタグ本体部10a及び小タグ10b)より切り離され、お客様控えとして、客に渡される。(2)ICタグ10(ICタグ本体部10a及び小タグ10b)は、荷物20の手持ち部分20aを囲んでループ状に一回りされた後、ICタグ本体部10aの一端のセパレータ17の一部が剥がされる。(3)そして、剥き出しになった粘着層15の粘着面は、ICタグ本体部10aの他端に対応するセパレータ17の部分に貼付けられる。具体的には、当該粘着面は、小タグ10cの位置に対応するセパレータ17の部分にはかからないように、ICタグ本体部10aの他端に対応するセパレータ17の部分に貼り付けられる。このようにすることで、図3(b)に示すように、ICタグ10(ICタグ本体部10a及び小タグ10b)は、荷物20の手持ち部20aをループ状に囲んで取り付けられる。
【0033】
ここで、例えば、客が荷物20を引き取りに来なかった場合には、(4)忘れ物係は、小タグ10cをICタグ本体部10aより切り離して、小タグ10cのICチップ14からの情報を読み取り装置に読み込ませて、先に述べたように、荷物20を管理することとする。このようにすることで、小タグ10cを忘れ物管理用のタグとして管理することができる。
【0034】
以上に述べたことから分かるように、本実施形態に係るICタグ10は、ICタグ本体部10aと小タグ10cとを有し、ICタグ本体部10aは、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、小タグ10cは、ICチップとアンテナとを有する。このようにすることで、小タグ10cを忘れ物管理用のタグとして管理することができる。また、本実施形態に係るICタグ10では、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離された後の方が、小タグ10cがICタグ本体部10aより切り離される前よりも、小タグ10cのアンテナの送受信可能な範囲が狭くなるように構成されている。これにより、他の小タグの識別情報を読み込もうとしている読み取り装置が、誤って、小タグ10cの識別情報を読み込むのを防ぐことができ、小タグ10cの管理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】ICタグを荷物に貼り付けるときの様子を示す模式図である。
【図2】ICタグの構造を示す模式図である。
【図3】ICタグの取付方法を示す模式図である。
【符号の説明】
【0036】
10 ICタグ、 11 ベース基材、 13 アンテナ、 14 ICチップ、 15 粘着層、 16 シート、 17 セパレータ、 18 ICチップ実装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグ本体部と、前記ICタグ本体部より切り離し可能とされた小タグと、を有するICタグにおいて、
前記ICタグ本体部は、ループ状にすることで荷物に取り付けられ、前記小タグは、ICチップと、前記ICチップに格納された情報を外部の装置と送受信するアンテナと、を有することを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記アンテナの送受信可能な範囲は、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離された後の方が、前記小タグが前記ICタグ本体部より切り離される前よりも、狭くなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記アンテナが取り付けられたシートを備え、
前記シートの前記小タグに対応する部分は、前記シートの前記ICタグ本体部に対応する部分より切り離し可能とされ、
前記アンテナは、前記シートの前記小タグに対応する部分と前記シートの前記ICタグ本体部に対応する部分との境界に跨って取り付けられ、前記境界で切り離し可能とされていることを特徴とする請求項2に記載のICタグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−26037(P2009−26037A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188048(P2007−188048)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】