説明

II型糖尿病のための血清マーカー

2型糖尿病を発現する増加した危険性を有する、またはII型糖尿病に罹患している人々を、本明細書に記述される選択されたバイオマーカーを単独でまたは併用して利用して識別する方法。本開示は、大規模な集団ベースの広範囲に基づく信頼性が高いスクリーニングを可能とし、様々な条件下で複数のサンプルの種類からのデータを特徴づけて、記録保管して、対比するための効果的な戦略の策定を含む他の利点を提供する。また、そのような方法を実施するのに用いることができるアレイとキットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示は、一般に、病気のスクリーニングおよび検出のための方法とシステムに関し、特に、II型糖尿病を発症する危険性があるヒトのスクリーニングおよび検出のための方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
II型糖尿病は、何百万もの人々に影響を与える生活を変える病気である。この病気は臨床的に診断され、そして、場合によっては、かなり簡単に確認されると同時に、より早期の発見は、臨床症状の発症を変えたり、または軽減したりする、あるいは試みるべき他の形の予防処置を可能とする介入(1つまたは複数)につながることがある。
【0003】
現在では、誰が臨床症状の発症の前にII型糖尿病を発症する危険性があるかを予測するための最高のアプローチの1つは、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)によるものである。このOGTTは面倒であり、絶食を必要として再現性が高いとは言えない。空腹時血糖値(FBG)は、それほど重荷とならないが、特に糖尿病と糖尿病前症の最高有病率を有する年配のアメリカ人では、それほど感度がよくない。血液からのヘモグロビンA1c(ヘモグロビンの糖化された形態)の定量化は、血糖コントロールの適切性と糖尿病患者の合併症の危険性を評価する試験として広く使われてきたが、この試験は、糖尿病前症または新発症型II型糖尿病で典型的に見られるグルコース値の範囲を検出するためには十分に敏感ではない。さらにまた、血液中にはヘモグロビンの多くの異形がある。これは特に不釣り合いに糖尿病に冒された少数人口に当てはまり、そして、これはさらなる不確実性をこの試験の使用に加える。糖尿病と糖尿病前症の診断の簡略化された、より重荷とならないアプローチは、こうした人々のさらなる認識と改善されたケアを容易にするであろう。II型糖尿病を発症する危険性が高い人々を予測する代用バイオマーカーの測定の正確性と再現性を改善するための進歩がなされてきたが、特にそのような代用バイオマーカーがより高い感度と特異性をもたらすならば、一連の候補バイオマーカーは臨床社会に利益を与えるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、必要なのは、大規模な集団ベースについて、広範囲に基づく信頼性が高いスクリーニングを可能とする候補バイオマーカーを利用して、II型糖尿病を発症する危険性が増加した人々をスクリーニングする方法とシステムである。そのうえ、様々な状況下(例えば、対照対病気)で複数のサンプルの種類からデータを特徴づけて、記録保管し、そして対比するための効果的戦略もまた必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、単独または併用で本明細書に記述される選択されたII型糖尿病関連バイオマーカーを利用して、II型糖尿病を発症する危険性が増加したヒト(またはII型糖尿病に罹患しているヒト)を、識別する方法を記述する。本方法は、大規模な集団ベースの広範囲に基づく信頼性が高いスクリーニングを可能とし、様々な条件下で複数のサンプルの種類からのデータを特徴づけて、記録保管し、対比するための効果的な戦略の策定を含む他の利点を提供する。
【0006】
1つの例では、II型糖尿病関連のマーカーは、表3または4に示されるものなどの表1〜4のいずれかに示されるものから選択される。マーカーの検出は、表(例えば、抗体または質量分析を用いて)で示される全長タンパク質または個々のペプチドの検出を含むことができる。いくつかの例では、試験サンプル中のマーカーは、対照または値(II型糖尿病に罹患しているか、または罹患していないか、あるいはそのような障害を発症する素因のある対象で予想される値または値の範囲)と比較して定量化される。
【0007】
本明細書で記述されるマーカーの存在は、いろいろな方法論を使用し、そしていろいろなサンプルの種類を利用して、様々な方法で判定され、利用されうる。したがって、血清または血漿中の本発明のマーカーの適用に関連した1つの実施形態が記述されるけれども、この説明は例示的なだけであり、決して排他的でないことが意図される。そのような方法は、また、適切に修正して他のサンプルの種類で利用されてもよい。これで、そして、少なくとも1つの血清成分のレベルの量をこの成分のレベルの標準化された範囲と比較して、正常な範囲と比較されたときの血清成分のレベルがII型糖尿病の素因を示すかどうかを判定する。本発明の方法を実行するためのシステムは、そのような方法が実行されるのを可能とする必要な部品と部分から成り立つ。
【0008】
開示されたII型糖尿病関連のマーカーを検出するためのプローブを含むアレイとキットもまた提供される。
【0009】
本開示のさらなる特徴は、以下のように記述されて、本明細書に記述される説明と証明から容易に明らかになる。したがって、本開示の以下の説明は、本開示の例示としてであって、決して制限されるものとしてではないものとみなされるべきである。
【0010】
配列表
添付配列表に記載されたタンパク質配列は、アミノ酸の標準3文字略語を使用して示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
いくつかの実施形態の詳細な説明
略号および用語
用語と方法についての以下の説明は、本開示をよりよく記述して、本開示の実施に際して当業者を案内するために提供される。単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、そうではないことが文脈で別に明白に規定されていない限り、1つまたは1つより多いことを意味する。例えば、「タンパク質を含む(comprising a protein)」という用語は、単数または複数のタンパク質を含み、「少なくとも1つのタンパク質を含む(comprising at least one protein)」の句と等しいと考えられる。「または(or)」という用語は、文脈が別段に明らかに示されない限り、述べられた代替要素の単一要素または2つ以上の要素の組み合わせを指す。本明細書で使用されるように、「含む(comprises)」は、「含む(includes)」を意味する。したがって、「AまたはBを含む(comprising A or B)」は、さらなる要素を排除することなく、「A、B、またはAとBを含む(including A,B,or A and B)」を意味する。
【0012】
他に定義しない限り、本明細書中で用いられる全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と同様なまたは等価な方法および材料を本開示の実施形態の実施または試験において用いることができるが、好適な方法および材料は以下に記載される。材料、方法、および実施例はあくまで例示であり、限定されるものではない。方法が説明されてきて、試験において利用されたけれども、本開示は、利用された試験のどの特定の形態にも限定されるものではなく、特許請求の範囲において述べられる物質を検出することができるすべての方法を含むことが意図されることを明確に理解すべきである。
【0013】
抗体:内皮マーカーまたはその断片などの、抗原のエピトープを特異的に認識および結合する少なくとも軽鎖または重鎖免疫グロブリン可変領域を含むポリペプチドリガンド。抗体は、重鎖および軽鎖から成り、それぞれ可変重(V)領域および可変軽(V)領域と呼ばれる可変領域を有する。V領域およびV領域はともに、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。1例では、抗体は表1〜4に記載されたタンパク質またはペプチドのうちの1つと特異的に結合するが、他のタンパク質(例えば、ヒト血清または血漿で見られる他のタンパク質)とは結合しない。
【0014】
これは、正常な免疫グロブリンおよび当該技術分野でよく知られるそれらの変異体と部分(例えば、Fab’フラグメント、F(ab’)フラグメント、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィド安定化Fvタンパク質(「dsFv」))を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域および免疫グロブリンの重鎖可変領域が、リンカーによって結合される融合タンパク質であるが、dsFvsにおいて、鎖は突然変異してジスルフィド結合を導入し、鎖の結合を安定化している。この用語は、また、キメラ抗体(例えば、ヒト化マウス抗体)、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、2重特異性抗体)などの遺伝子組み換え形態も含む。Pierce Catalog andHandbook,1994−1995(Pierce Chemical Co.,Rockford,IL);Kuby,J.,Immunology,3rdEd.,W.H.Freeman & Co.,New York,1997も参照されたい。
【0015】
典型的には、天然の免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互に連結された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には2つのタイプ、ラムダ(λ)およびカッパ(κ)がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス(またはアイソタイプ):IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEがある。
【0016】
各々の重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域を含む(これらの領域は、「ドメイン」としても公知である)。重鎖および軽鎖の可変領域は、組み合わされて抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDRs」とも呼ばれる、3つの超可変領域で分断された「フレームワーク」領域を含む。フレームワーク領域およびCDRsの範囲は規定されている(引用により本明細書に取り込まれる、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest,U.S.Department of Health and Human Services,1991を参照のこと)。Kabatデータベースは現在、オンラインで運営されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、種の中で比較的保存されている。抗体のフレームワーク領域、すなわちその構成要素である軽鎖および重鎖の総フレームワーク領域は、3次元空間においてCDRsを配置および整列させる働きをする。
【0017】
CDRsは主として、抗原のエピトープへの結合を担う。各々の鎖のCDRsは、典型的には、N末端側から順番に番号を付されてCDR1、CDR2、およびCDR3と呼ばれ、また典型的には特定のCDRが位置する鎖によって識別される。従って、V CDR3は、それが発見された抗体の重鎖の可変ドメインに位置し、V CDR1はそれが発見された抗体の軽鎖の可変ドメイン由来のCDR1である。RETに結合する抗体は、特有のV領域配列およびV領域配列を有する、つまり特有のCDR配列を有する。異なる特異性(すなわち、異なる抗原に対する異なる結合部位)を有する抗体は、異なるCDRsを有する。CDRsは抗体によって異なるが、CDRs内の限られた数のアミノ酸位置のみが、抗原結合に直接的に関与する。CDRs内のこれらの位置は、特異性決定残基(SDRs)と呼ばれる。
【0018】
「V」または「VH」に対する言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの可変領域を含む、免疫グロブリン重鎖の可変領域を表す。「V」または「VL」に対する言及は、Fv、scFv、dsFv、またはFabの可変領域を含む免疫グロブリン軽鎖の可変領域を表す。
【0019】
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによりまたは単一の抗体の軽鎖および重鎖の遺伝子をトランスフェクトされた細胞により産生される抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば骨髄腫細胞と免疫脾細胞との融合によりハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって生成される。モノクローナル抗体にはヒト化モノクローナル抗体が含まれる。
【0020】
「ポリクローナル抗体」は、異なるB細胞株に由来する抗体である。ポリクローナル抗体は、特異性抗原に対して分泌される免疫グロブリン分子の混合物であり、各々が異なるエピトープを認識する。これらの抗体は、例えば、抗原に特異的なIgG免疫グロブリンを生産するためにB−リンパ球を誘導する適切な哺乳動物(例えばマウス、ウサギまたはヤギ)に抗原を注入し、次いで哺乳動物の血清から精製することによる当業者に公知の方法によって産生される。
【0021】
「キメラ抗体」は、ヒトなどの1つの種由来のフレームワーク残基、および内皮マーカーに特異的に結合するマウス抗体などの別の種由来のCDRs(一般的に抗原結合性を付与する)を有する。
【0022】
「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域および非ヒト(例えば、マウス、ラット、または合成の)免疫グロブリン由来の1つ以上のCDRsを含む免疫グロブリンである。CDRsを提供する非ヒト免疫グロブリンは、「ドナー」と呼ばれ、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と呼ばれる。1つの実施形態において、ヒト化免疫グロブリンにおけるCDRは全て、ドナー免疫グロブリン由来である。定常領域は必要ないが、それらが存在する場合、それらはヒト免疫グロブリン定常領域と実質的に同一、例えば、少なくとも約85〜90%、例えば約95%以上の同一性である。従って、ヒト化免疫グロブリンの全ての部分(場合によりCDRsを除く)は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子操作により構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
【0023】
アレイ:生体高分子(ペプチドまたは核酸分子など)などの、基板上あるいは基板内のアドレス可能な位置にある分子の配列。「マイクロアレイ」は、評価あるいは分析のために、顕微鏡検査を必要とするか、または補助されるように小型化されたアレイである。
【0024】
分子(「フィーチャー」)のアレイは、試料に対して一度に非常に多くの分析を実施することを可能とする。特定のアレイの例において、例えば、内部標準を提供するために、1つ以上の分子(例えば、オリゴヌクレオチドプローブまたは抗体)が、複数回(例えば、2回)アレイ上に存在するであろう。アレイ上のアドレス可能な位置の数は、例えば、少なくとも4個から少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも50個、少なくとも75個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも300個、少なくとも500個、少なくとも550個、少なくとも600個、少なくとも800個、少なくとも1,000個、少なくとも10,000個、またはそれ以上変えることができる。特定の例においては、アレイは、長さが少なくとも15ヌクレオチド(例えば、長さが約15〜40ヌクレオチド)であるオリゴヌクレオチドの配列などの核酸分子を含む。
【0025】
特定の例では、アレイは、II型糖尿病関連核酸を検出するために使用できるオリゴヌクレオチドプローブまたはプライマーを含む。タンパク質ベースのアレイとしては、プローブ分子がタンパク質であるかまたはタンパク質を含むか、あるいは標的分子がタンパク質であるかまたはタンパク質を含む場合が挙げられ、アレイは、タンパク質が結合した核酸、またはその逆のものを含む。例えば、表1〜4のいずれかに記載されたII型糖尿病関連タンパク質(または、そのようなタンパク質をコードする核酸)の少なくとも4つの任意の組み合わせ、例えば、表1、2、3、または4に記載された分子の少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、または、少なくとも45の組み合わせを検出するためにこのようなアレイを使用することができる。
【0026】
アレイ内部で、アレイに配置されたサンプルはそれぞれ、アレイの少なくとも2次元内で確実かつ一貫してその位置を決定することができるという点でアドレス可能である。アレイ上のフィーチャー適用部位は、さまざまな形をとることができる。例えば、アレイは規則的(例えば、均一な行および列に配置されている)であっても不規則であってもよい。すなわち、規則的なアレイ内では、各サンプルの位置は、それがアレイに適用された時点でそのサンプルに割り当てられ、それぞれの位置を適当な標的部位またはフィーチャー部位と関連づけるためにキーが提供されていてもよい。しばしば、規則的なアレイは、対称なグリッドパターン状に並べられるが、別のパターンで(例えば、放射線状、渦巻線状、または規則的クラスター状に)サンプルを並べることもできる。アドレス可能なアレイは、通常、コンピューターをプログラムして、アレイ上の特定のアドレスを、その位置にあるサンプルに関する情報(例えば、シグナル強度などを含む、ハイブリダイゼーションまたは結合のデータ)と関連づけることができるという点でコンピューター可読型である。コンピューター可読型フォーマットのいくつかの例では、アレイ内の個々のフィーチャーは、例えば、デカルト格子のパターンに規則的に並べられているため、コンピューターによってアドレス情報を関連づけることができる。
【0027】
結合親和性:抗原(例えば、表1〜4に示されるタンパク質)に対する抗体などの1つの分子の他の分子に対する親和性。1つの例において、親和性は、Frankelら、Mol.Immunol.,16:101−106,1979に記載されたScatchard法の修正により算出される。別の例においては、結合親和性は、抗原/抗体解離速度により測定される。さらに別の例においては、高い結合親和性は、競合的放射免疫測定により測定される。いくつかの例では、高い結合親和性は、少なくとも約1×10−8Mである。他の例では、高い結合親和性は、少なくとも約1.5×10−8M、少なくとも約2.0×10−8M、少なくとも約2.5×10−8M、少なくとも約3.0×10−8M、少なくとも約3.5×10−8M、少なくとも約4.0×10−8M、少なくとも約4.5×10−8M、または少なくとも約5.0×10−8Mである。
【0028】
糖尿病:制御されていない炭水化物の代謝に至るインスリンの相対的または絶対的な不足によって引き起こされる疾患であって、一般的に「糖尿病」と簡略化されているが、糖尿病は尿崩症と混同すべきではない。本明細書で使用される場合、「糖尿病」は、断りが無い限り、(真性)糖尿病を指す。「糖尿病の状態」は、糖尿病前症と糖尿病を含む。1型糖尿病(しばしば、「インスリン依存性糖尿病」または「若年型糖尿病」と呼ばれる)は、インスリンの全欠乏または殆ど完全な欠乏に至る膵臓β細胞の破壊に特徴付けられる自己免疫疾患である。2型糖尿病(T2DM;しばしば、「非インスリン依存性糖尿病」または「成人型糖尿病」と呼ばれる)では、インスリンが存在していても、体がインスリンに応答しない。
【0029】
糖尿病の徴候は、以下のものを含む:過度の口渇(多渇症);頻尿(多尿);極端な飢餓または続けざまの食事(多食症);説明のつかない体重減少;尿グルコースの存在(糖尿);倦怠または疲労;視力の変化;末端のしびれまたはうずき(手、足);創傷または傷の遅い治癒;および異常に高い感染頻度。糖尿病は、7.0mmol/L以上(126mg/dL)の空腹時血漿グルコース(FPG)濃度、または75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の約2時間後における11.1mmol/L以上(200mg/dL)の血漿グルコース濃度により臨床的に診断されうる。糖尿病についてのさらに詳細な説明は、Cecil Textbook of Medicine,J.B.Wyngaarden,et al.,eds.(W.B.Saunders Co.,Philadelphia,1992,19th ed.)に見ることが可能である。
【0030】
本明細書に開示された方法は、II型糖尿病またはII型糖尿病前症に罹患している対象を識別するための手段を提供する。「非糖尿病」または「正常な」対象は、II型糖尿病や糖尿病前症などの糖尿病のどんな形態も有しない。
【0031】
発現:遺伝子にコードされた情報が、タンパク質の合成などの、細胞の機能的な部分、非機能的な部分、または構造上の部分に変換されるプロセス。外部信号(ホルモンなど)は遺伝子発現に影響を及ぼすことができる。遺伝子の発現は、また、DNAからRNAへのタンパク質経路のどこででも調節できる。それらが生産された後に、mRNAなどの中間分子の転写、翻訳、RNA輸送と処理、分解についてのコントロール、または具体的なタンパク質分子の活性化、不活性化、区画化、または分解によるコントロールを調節は含むことができる。
【0032】
II型糖尿病関連核酸分子またはタンパク質の発現は、正常(野生型)な核酸分子またはタンパク質(例えば、II型糖尿病に罹患していない対象または糖尿病前症の対象で)に比較して変化させることができる。差次的発現などの遺伝子発現における変化は、以下のものを含むが、これらに限定されない:(1)過剰発現(例えば、上方制御);(2)過小発現(例えば、下方制御);または(3)発現の抑制。核酸分子の発現の変化は、対応したタンパク質の発現の変化に関連する可能性があり、そして実際にその原因となる。
【0033】
正常な(野生型)状態にあるタンパク質の発現と異なるように、タンパク質発現は、いくつかの様式で変化させることができる。これには、必ずしも限定されるわけではないが、以下のものを含む:(1)1つ以上のアミノ酸残基が異なるようなタンパク質の突然変異;(2)タンパク質配列に対する1つまたはいくつか(例えば、10〜20以下)のアミノ酸残基の短い欠失または付加;(3)タンパク質ドメインまたはサブドメイン全体が除去または付加されるような、アミノ酸残基(例えば、少なくとも20残基)のより長い欠失または付加;(4)対照量または標準量(例えば、上方制御)と比較した増加した量のタンパク質発現;(5)対照量または標準量(例えば、下方制御)と比較した減少した量のタンパク質発現;(6)タンパク質の細胞内局在の変化または標的化;(7)タンパク質の時間的に調節された発現の変化(通常発現しない場合に、タンパク質が発現するように、または代替的には、通常発現する場合に発現しないように);(8)細胞中でタンパク質が局在したままでいる時間が延長されることによる、タンパク質の安定性の変化、;および(9)各々対照または標準と比較した、タンパク質の発現の局在化(例えば、器官または組織特異性または細胞内局在化)の変化(通常は発現するような場所に発現しない、または、タンパク質が通常は発現しないような場所に発現する)。差次的発現の決定のための、サンプルとの比較のための対照または標準には、正常と考えられるサンプル(所望の特徴に関して変化がない、例えば、II型糖尿病に罹患していない対象からのサンプルであるという点で)、ならびに検査値が含まれ、これは任意の組み合わせでありうるが、そのような値は各検査室間で変化することに留意されたい。
【0034】
検査室標準および検査値は、公知のまたは決定された集団値に基づいて設定されてもよく、そして測定された、実験的に決定された値と比較できるようなグラフまたは表の形式で提供されうる。
【0035】
標識:検出し得る化合物。いくつかの例では、その分子の検出を容易にするために、標識が別の分子(例えば、抗体またはタンパク質)に、直接または間接的に結合される。例えば、標識は、ELISA、分光分析法、フローサイトメトリー、または顕微鏡検査によって検出可能とすることができる。標識の特定の非限定的な例は、フルオロフォア、化学発光剤、酵素的結合、および放射性同位元素を含む。いろいろな目的に適した標識を選択する際の標識化とガイダンスは、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York,1989)およびAusubelら(In Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1998)で議論されている。特定の例では、標識は、II型糖尿病の検出/スクリーニングを可能とするために、表1〜4のいずれかに開示されたタンパク質またはペプチドに特異的な抗体に結合される。
【0036】
側方流動装置:液体サンプル(例えば、血清または血漿サンプル)を吸収または吸着し、その液体サンプルを検出ゾーンに送り、特異的抗原(例えば、タンパク質または糖タンパク質)またはレクチン結合生体分子(例えば、糖タンパク質または糖脂質)の存在または非存在に応じて可視信号を生成するために抗体またはレクチン・ベースの検出方法を使用する装置。装置は側方流動クロマトグラフィーで使われる検査ストリップとすることができ、そこでは、検査サンプル流体(分析物を含む疑いがある)は、検査ストリップ(それは、紙、ニトロセルロース、およびセルロースなどの吸水性材料で作られていることが多い)の中を流れる(例えば、毛管作用によって)。検査流体と任意の懸濁分析物は、ストリップに沿って検出ゾーンに流動することができ、そこでは、分析物(存在するならば)が検出剤と相互作用して分析物の存在、非存在および/または量を示す。
【0037】
多数の側方流動分析装置が開示されており、米国特許第4,313,734号;同4,435,504号;同4,775,636号;同4,703,017号;同4,740,468号;同4,806,311号;同4,806,312号;同4,861,711号;同4,855,240号;同4,857,453号;同4,943,522号;同4,945,042号;同4,496,654号;同5,001,049号;同5,075,078号;同5,126,241号;同5,451,504号;同5,424,193号;同5,712,172号;同6,258,548号;同6,555,390号;同6,699,722号;および同6,368,876号;EP0810436;ならびにWO92/12428;WO94/01775;WO 95/16207;およびWO97/06439で示されるものを含む。
【0038】
多くの側方流動装置は、生体液体が吸水性ストリップ(しかし、非吸水性材料を使うことができ、材料に界面活性剤を適用することによって吸水性を付与することができる)のサンプル領域に置かれ、液体が特定の結合パートナー(例えば、レクチンまたは抗体)と接触するまで、ストリップに沿って移動して液体中の分析物(例えば、糖タンパク質、糖脂質、または抗原)と相互に作用することができる1ステップ側方流動アッセイである。一旦分析物が結合パートナーと相互作用すると、信号(例えば、蛍光であるかさもなければ可視染料)は、相互作用が起きたことを示す。複数の別々の結合パートナーは、ストリップ上に置いて(例えば、平行して)、液体中の複数の分析物(例えば、II型糖尿病関連タンパク質)を検出することができる。検査ストリップは、また、対照指示薬を取り込むことができ、それは、たとえ分析物の存在(または非存在)を示している陽性信号がストリップ上で見られないとしても、検査が適切に実施されたという信号を提供する。
【0039】
哺乳類:この用語は、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物を含む。哺乳動物の例は、以下に限られないが、ヒト、ブタ、ウシ、ヤギ、ネコ、イヌ、ウサギ、およびマウスを含む。
【0040】
基準値:所定の状態を代表すると判定された活性または発現の量。基準値は、一定の条件の下で起こると予想された実際の、または相対的なさまざまな値を含むことができる。これらの値は、所定の分子が、例えば特定のサンプルで上方制御されるか、または下方制御されるかどうかを決定するために実験値と比較することができる。
【0041】
ある例では、基準値または値の範囲は、サンプル(例えば、非II型糖尿病患者からのサンプル)中のII型糖尿病関連核酸分子またはタンパク質の活性または発現の量を表す。この値は、次に、この発現基準値と試験サンプルで検出された発現レベルとを比較することによって、試験サンプルが得られた対象がII型糖尿病に罹患しているか、あるいはII型糖尿病の素因があるかどうかを決定するために使用することができる。特定の例では、そのような基準値と比較した試験サンプル中のII型糖尿病関連分子(例えば、表1〜4のいずれかの分子)の発現または活性における変化は、対象がII型糖尿病に罹患していることを示す。
【0042】
サンプル:末梢血、尿、唾液、精液、組織生検、外科的標本、吸引細針、羊水穿刺サンプルおよび生検材料に存在するものなどの対象の細胞から得られたゲノムDNA、cDNA、RNA、またはタンパク質を含む生物学的検体。ある例では、サンプルは哺乳動物の対象から得た血漿を含む。
【0043】
固体支持体(または基板):不溶性であるか、または以降の反応によって不溶性とすることができる任意の材料。II型糖尿病関連の分子を検出するための、本明細書に開示されたアレイと側方流動装置は、固体支持体を含むことができる。多くの様々な固体支持体が、当該分野で公知であり、限定されることなく、ニトロセルロース、反応トレイのウェルの壁、複数ウェルプレート、試験管、ポリスチレンビーズ、磁気ビーズ、膜、および微粒子(例えば、ラテックス粒子)を含む。検出器薬剤により接近が可能な十分な多孔性と、捕捉薬剤(例えば、レクチンまたは抗体)を固定するための適切な表面親和性とを有する任意の適切な多孔性の材料が、この用語により意図される。例えば、ニトロセルロースの多孔質構造は、多種多様な薬剤、例えば、捕捉薬剤に対して優れた吸収および吸着特性を有する。ナイロンは類似した特徴を備えており、これもまた適切である。細孔構造は、水和状態のゲル構造を有する材料のように役に立つ。
【0044】
有用な固体支持体のさらなる例は、以下のものを含む:天然重合性炭水化物とそれらの合成的に修飾、架橋、または置換された誘導体(例えば、寒天、アガロース、架橋アルギン酸、置換および架橋グアーガム、セルロースエステル(特に硝酸とカルボン酸による)、混合セルロースエステル、およびセルロースエーテル;窒素を含む天然ポリマー(例えば、タンパク質および誘導体などであり、架橋または修飾ゼラチンを含む);天然炭化水素ポリマー(例えば、ラテックスおよびゴム);適切に多孔質の構造体で調製されうる合成ポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルアセテートおよびその部分的に加水分解した誘導体を含むビニルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、前記重縮合物のコポリマーおよびターポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、および他のポリマー、例えばポリウレタンまたはポリエポキシド;多孔性無機物質、例えば、アルカリ土類金属およびマグネシウムの硫酸塩または炭酸塩、例えば硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムおよびマグネシウムのケイ酸塩;アルミニウムまたはシリコンの酸化物または水和物、例えばクレー、アルミナ、タルク、カオリン、ゼオライト、シリカゲルまたはガラス(これらの物質は前述のポリマー物質と共にフィルターとして使用し得る);ならびに前述のコポリマー類の混合物、例えば、既存の天然ポリマー上で合成ポリマーの重合を開始させることによって得たグラフトコポリマー。
【0045】
本明細書に記述されたニトロセルロースなどの多孔質固体支持体は、シートまたはストリップの形状で使用されるのが好ましいと考えられる。そのようなシートまたはストリップの厚みは、広い限定範囲内で、例えば、約0.01〜0.5mm、約0.02〜0.45mm、約0.05〜0.3mm、約0.075〜0.25mm、約0.1〜0.2mm、または、約0.11〜0.15mmで変動しうる。そのようなシートまたはストリップの孔径は、同様に広い限定範囲内で、例えば、約0.025〜15ミクロン、または、より具体的には、約0.1〜3ミクロンで変動しうる;しかし、孔径は、固体支持体の選択の制限因子であることを意図するものではない。例えば、固体支持体の流量はまた、該当する場合、広い限度範囲内で約12.5〜90秒/cm(すなわち、50〜300秒/4cm)、約22.5〜62.5秒/cm(すなわち、90〜250秒/4cm)、約25〜62.5秒/cm(すなわち、100〜250秒/4cm)、約37.5〜62.5秒/cm(すなわち、150〜250秒/4cm)、または約50〜62.5秒/cm(すなわち、200〜250秒/4cm)で変動することもできる。本明細書に記述される装置の特定の実施形態では、流量は約62.5秒/cm(すなわち、250秒/4cm)である。本明細書に記述される装置の他の特定の実施形態では、流量は約37.5秒/cm(すなわち、150秒/4cm)である。
【0046】
固体支持体の表面は、支持体への薬剤(例えば、捕捉試薬)の共有結合をもたらす化学プロセスによって活性化されうる。しかし、イオン相互作用、疎水性相互作用、共有結合相互作用などを含むが、これに限定されるものではない他の任意の適切な方法も、固体支持体に試薬(例えば、捕捉試薬)を固定するために使用されうる。固相に試薬を固定させる特定の力は、本明細書に記述される方法と装置にとって重要ではない。
【0047】
固相は、捕捉薬剤(例えば、抗体またはオリゴヌクレオチドプローブ)などの薬剤を引きつけて、固定するその固有の能力に関して選択することができる。代替的に、固相は、薬剤(例えば、捕捉試薬)を引きつけて、固定する能力がある要素を所持することができる。要素は、例えば、捕捉試薬自体に関して、または捕捉試薬に結合された荷電物質に関して、反対に荷電された荷電物質を挙げることができる。別の実施形態において、特定の結合メンバーは、その結合パートナー(例えば、捕捉試薬)を固定するために、固相に固定されうる。この例では、したがって、特定の結合メンバーは、固相材料への捕捉試薬の間接的な結合を可能とする。
【0048】
さもなければ物理的に制限される場合を除いて、固体支持体は、任意の適切な形態(例えば、フィルム、シート、ストリップ、またはプレート)で使用されうるか、または、それは適切な不活性担体(例えば、紙、ガラス、プラスチックフィルム、または布地)上にコーティング、結合、または積層されてもよい。
【0049】
「側方流動基板」は、側方流動装置に役立つ任意の固体支持体または基板である。
【0050】
対象:生きている多細胞脊椎動物有機体、すなわちII型糖尿病の診断などの所望の診断が必要であるヒトおよび動物の両方の対象を含むカテゴリー。例としては、ヒト、サル、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、ブタ、およびウシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
II型糖尿病関連分子
本発明者らは、少なくとも45の異なるタンパク質を特定したが、II型糖尿病の罹患患者におけるその発現が、II型糖尿病に罹患していない患者または糖尿病前症患者と比較して、変更(例えば、上方制御または下方制御された)されている(参照:表1〜4)。これらのタンパク質と対応する核酸分子は、本明細書では「II型糖尿病関連分子」と称され、II型糖尿病関連核酸分子(DNA、RNA、例えばcDNAまたはmRNAなど)とタンパク質を含む。その用語は、表1〜4に記載されたそれらの分子を含む。特定されたタンパク質の数は、データを解析するのに用いられる方法に依存した。
【0052】
この観察に基づいて、これらのタンパク質(またはそのペプチド断片)を検出するか、あるいは代替的に、これらのタンパク質をコードするDNAまたはRNA核酸分子を検出することにより、II型糖尿病をスクリーニングするための方法が提供される。開示された方法は、II型糖尿病の診断(例えば、対象がII型糖尿病を発症する素因があるかどうかを決定する)をするための1つのアッセイで実施される、迅速で、直接的で、正確なスクリーニング方法を提供する。それは、II型糖尿病の治療を必要とするかもしれない対象の識別を可能とする。例えば、個人がII型糖尿病に罹患していると確認することによって、効果的な治療対策(例えば、インスリン療法または食事制限)を構築することができる。そのような方法で使用することができるアレイとキットもまた提供される。
【0053】
非糖尿病、糖尿病、および対照のサンプルを用いて本明細書で示される結果は、II型糖尿病と診断されたヒトでの有意に上昇または減少したレベルでこれらのタンパク質のそれぞれの存在を示したが、一方、正常な対照サンプルは、こうした変化したレベルを有しなかった。このように、このリストからの少なくとも1つのタンパク質についてヒト血清または血漿を試験する方法は、II型糖尿病に対する効果的な予測または診断用スクリーニングまたは検査として役に立つ。さらに、開示されたII型糖尿病関連タンパク質は、同位元素が標識されたペプチド内部標準を絶対計量のために利用して、標的とされたプロテオミクス研究においてさらに調べることができ、そして、それは盲検サンプルでの研究所で特定された感度と特異性の決定を可能にする。本開示のさらなる実施形態は、いろいろなこれらのII型糖尿病関連タンパク質を単独で、または他のバイオマーカーもしくはハウスキーピング遺伝子と併用して、組み合わせることによって作られうる。
【0054】
II型糖尿病関連タンパク質(または対応する核酸分子)の定量的および定性的な解析を実施するいろいろな方法が、利用されてもよい。1つの実施形態において、LC−MS/MS分析が実施されたが、本開示はそれに限定されないことを明確に理解すべきである。本明細書に記述され、議論されているあらかじめ選択されたII型糖尿病関連バイオマーカーのいずれかの存在と量に対して、サンプルの定量的または定性的な解析を実施するための任意の信頼できる方法が利用されうる。
【0055】
特定の例では、以下のタンパク質が、上方制御されることが分かった:APCS血清 アミロイドP成分前駆体、APOBアポリポタンパク質B−100前駆体、C4A捕体成分4A、C4A;C4B、C4B C4B1、C4B捕体C4−B前駆体、C4BPA 未同定タンパク質C4BPA、HPハプトグロビン前駆体、HP HPタンパク質、ハプトグロビン関連タンパク質前駆体のHPRアイソフオーム1、ハプトグロビン関連タンパク質前駆体のHPRアイソフオーム2、RBP4血漿レチノール結合タンパク質前駆体、RBP4レチノール結合タンパク質4;血漿、RBP4未同定タンパク質RBP4、およびVTNビトロネクチン前駆体、そして以下のタンパク質が、下方制御されることが分かった:A2M 19kDaのタンパク質、A2Mアルファ−2−マクログロブリン前駆体、PON1 32kDaのタンパク質、PON1血清パラオキソナーゼ/アリールエステラーゼ1、PZP妊娠ゾーンタンパク質前駆体、PZPおよび正常(非糖尿病)対象と比較されたII型糖尿病罹患患者の未同定タンパク質PZP(表5を参照)。
【0056】
当業者は、全長タンパク質またはその個々のペプチドを検出できることを理解するであろう。例えば、α−2−マクログロブリンが、II型糖尿病に罹患していない対象と比較して、II型糖尿病に罹患している対象では、下方制御されることが分かった。したがって、α−2−マクログロブリンの発現が、試験サンプルで減少するかどうかを決定するために、例えば質量分析法を使用して、全長α−2−マクログロブリンタンパク質を検出(例えば、抗体を使用して)することができるか、あるいは、個々のα−2−マクログロブリンペプチド配列の1つ以上を検出することができる(例えば、SASNMAIVDVK(配列番号:6)、NQGNTWLTAFVLK(配列番号:195)、HYDGSYSTFGER(配列番号:208)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)、ALLAYAFALAGNQDK(配列番号:209)、VGFYESDVMGR(配列番号:210)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、LVHVEEPHTETVRK(配列番号:1)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、VGFYESDVMGR(配列番号:210)、AIGYLNTGYQR(配列番号:211)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、LPPNVVEESAR(配列番号:205)、LSFVKVDSHFR(配列番号:206)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、TVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:207)、LLIYAVLPTGDVIGDSAK(配列番号:79)、TGTHGLLVKQEDMK(配列番号:80)、TEVSSNHVLIYLDK(配列番号:81)、KDNSVHWERPQKPK(配列番号:82)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)、FEVQVTVPK(配列番号:83)、SVSGKPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:77)、IAQWQSFQLEGGLK(配列番号:84)、KDTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:85)、SGGRTEHPFTVEEFVLPK(配列番号:86)、LLLQQVSLPELPGEYSMK(配列番号:87)、TEHPFTVEEFVLPKFEVQVTVPK(配列番号:88)、VSVQLEASPAFLAVPVEK(配列番号:89)、VDLSFSPSQSLPASHAHLR(配列番号:90)、VTAAPQSVCALR(配列番号:91)、GVPIPNKVIFIR(配列番号:92)、KPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:78)、ALLAYAFALAGNQDKR(配列番号:93)、TAQEGDHGSHVYTK(配列番号:94)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)、VVSMDENFHPLNELIPLVYIQDPK(配列番号:95)、SSGSLLNNAIK(配列番号:96)、AAQVTIQSSGTFSSK(配列番号:97)、GGFSSTQDTVVALHALSK(配列番号:98)、LLLQQVSLPELPGEYSMK(配列番号:87)、TGTHGLLVKQEDMK、RKEYEMK(配列番号:11)、FQVDNNNR(配列番号:9)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DLKPAIVK(配列番号:3)、TTVMVK(配列番号:8)、またはその組み合わせ)。さらに、そのようなペプチドをコードする核酸分子もまた、検出することができる。
【0057】
II型糖尿病の診断
II型糖尿病を診断する方法が本明細書で提供される。II型糖尿病を診断する特定の例は、それ以外は健常者などの対象、またはII型糖尿病に罹患している疑いもしくは危険のある対象、あるいはII型糖尿病に過去に罹患していたか、現在II型糖尿病に罹患しているか、もしくはII型糖尿病を発症する素因を有する対象であるかどうかを決定することを含む。いくつかの例では、哺乳動物(例えばヒト)から得られるサンプル(例えば、血清または血漿サンプル)は、特定のII型糖尿病関連分子(表1〜4にある分子)の存在を検出するために分析される。いくつかの例では、検出は定量化を含む。
【0058】
特定の例では、方法は表1〜4のいずれかに記載されたタンパク質(またはそのようなタンパク質をコードする核酸)のうちの少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも22、または少なくとも40の任意の組み合わせでの発現(例えば、遺伝子またはタンパク質発現の増加または減少)を検出することを含む。1つの例では、方法は、表1、2、3、または4中のタンパク質(またはそのようなタンパク質をコードする核酸)の全てを検出することを含む。検出されるタンパク質(またはそのようなタンパク質をコードする核酸)の量は、定量化されることができる。発現レベルの検出または判定は、対象由来のサンプル中のII型糖尿病関連分子の量を測定することを含むことができる。いくつかの例では、検出されるタンパク質(またはそのようなタンパク質をコードする核酸)の量は、対照サンプル(例えば、II型糖尿病に罹患していない対象からのサンプル)中に存在する、または予想される同じタンパク質の量と比較される。例えば、対照サンプルと比較して、対象での表1〜4に記載されたII型糖尿病関連分子(例えば、表3または4に記載される分子)のうちの少なくとも5または少なくとも22のレベルの違い(例えば、それぞれ、上方制御または下方制御を反映している増加または減少など)は、対象がII型糖尿病に罹患していることを示す。いくつかの例では、検出されたタンパク質(またはそのようなタンパク質をコードする核酸)の量は、対象がII型糖尿病に罹患しているか、罹患していないか、あるいはII型糖尿病を発症する素因がある(またはその組み合わせ)かどうか、基準値または予想される値の範囲と比較される。例えば、非II型糖尿病対照(またはそのようなサンプルで予想される量)の同じII型糖尿病関連のタンパク質または核酸の量と比較して、試験サンプル中のII型糖尿病関連のタンパク質または核酸の少なくとも30%(例えば、少なくとも33%、少なくとも35%、少なくとも40%、または少なくとも45%)の減少は、特定のII型糖尿病関連のタンパク質または核酸が試験サンプル中では下方制御されることを示す。例えば、II型糖尿病に罹患していない対象と比較して、II型糖尿病に罹患している対象では、α−2−マクログロブリンが下方制御されることがここに証明される(表3を参照)。対照的に、非II型糖尿病対照での同じII型糖尿病関連タンパク質または核酸の量(またはそのようなサンプルで予想される量)と比較して、試験サンプル中のII型糖尿病関連タンパク質または核酸の少なくとも1.5倍(例えば、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、または少なくとも10倍)の増加は、特定のII型糖尿病関連タンパク質または核酸が試験サンプル中で上方制御されることを示す。例えば、II型糖尿病に罹患していない対象と比較してII型糖尿病に罹患している対象では、アポリポタンパク質B−100が、上方制御されることがここに証明される(表3を参照)。
【0059】
特定の例では、表1〜4に記載された少なくとも5つのII型糖尿病関連核酸分子(または、タンパク質)における差次的発現の検出は、例えば、表1〜4(表3のものまたはそのペプチド中のそれら)に記載された少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも22、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、または少なくとも44のII型糖尿病関連分子の任意の組み合わせでの遺伝子(または、タンパク質)発現における変化などは、対象がII型糖尿病に罹患しているか、あるいはII型糖尿病を発症する素因があることを示す。それから、II型糖尿病を治療または予防するために、適切な処置を選択または開始することができる。差次的発現は、II型糖尿病関連分子(例えば、核酸またはタンパク質)における増加した発現または減少した発現により表すことができる。例えば、差次的発現は、核酸分子またはタンパク質の量の増加または減少、核酸分子またはタンパク質の安定性、核酸分子またはタンパク質の局在化、または核酸分子またはタンパク質の生物学的活性を含むが、これらに限定されない。
【0060】
特定の例では、スクリーニングされるII型糖尿病関連分子の数は、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも31個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、または少なくとも45個のII型糖尿病関連分子である。他の例では、45個以下、44個以下、35個以下、30個以下、25個以下、22個以下、20個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下、7個以下、6個以下、または5個以下のII型糖尿病関連分子のスクリーニングを本方法は使用する。
【0061】
特定の例では、対象がII型糖尿病に罹患しているか、またはII型糖尿病の発症の素因があるかどうかを判定するために、II型糖尿病を診断する開示された方法は、少なくとも70%感受性(例えば、少なくとも80%感受性あるか、少なくとも85%感受性であるか、少なくとも90%感受性であるか、少なくとも95%感受性であるか、少なくとも98%感受性であるか、または少なくとも99%感受性である)であり、そして、少なくとも70%特異的(例えば、少なくとも80%特異的であるか、少なくとも85%特異的であるか、少なくとも90%特異的であるか、少なくとも95%特異的であるか、少なくとも98%特異的であるか、または少なくとも99%特異的である)である。例えば、ここに提供される方法を使用して、盲検サンプルは、II型糖尿病関連分子の特定の組み合わせに対する感受性と特異性を決定するのに使用することができる。
【0062】
臨床検体
II型糖尿病を診断する際に本開示で使用するための適切な検体は、任意の従来の臨床サンプル(例えば、血液または血液分画物(例えば、血清または血漿))を含む。特定の例では、サンプルは、II型糖尿病関連バイオマーカーを検出するために処理されたヒト血漿または血清サンプルである。そのようなサンプルを取得する技術は、当該分野で周知の技術である(例えば、血清の回収のための、Schlugerら、J.Exp.Med.176:1327−33,1992を参照されたい)。血清または他の血液分画物は、従来の方法で調製することができる。例えば、血清の5μL〜1000μlは、使用される検出方法(例えば、免疫親和性方法または標的質量分析)に依存して、タンパク質の存在をスクリーニングするために使用することができる。発見ベースのプロテオミクス法については、より多くの材料を必要とする(例えば、>100μl血清)が、その理由は、免疫除去が典型的に大多数の血漿蛋白の塊を除去するために使用され、そして、それ以降のサンプル処理(例えば、特定のペプチドの消化または濃縮)は、サンプル損失を本質的に招くからである。
【0063】
例えば、迅速なDNA調製は、市販のキットを使用して実施することができる(例えば、InstaGene Matrix,BioRad,Hercules,CA;the NucliSens isolation kit,Organon Teknika,Netherlands。1つの例では、DNA調製方法は、核酸増幅にとって受け入れやすく、扱いやすいヌクレオチド調製物を与える。同様に、RNAは市販のキット(例えば、RNeasy Mini Kit,Qiagen,Valencia,CA)を使用して調製することができる。
【0064】
一旦サンプルが得られると、サンプルは、直接使用され、濃縮(例えば、遠心分離または濾過によって)され、精製され、増幅され、酵素(例えば、トリプシンなどのプロテアーゼ)で処理されるか、またはその組み合わせで処理することができる。特定の例では、サンプルは、関心の無いタンパク質(例えば、本明細書に開示された方法を実施するためには検出する必要がないタンパク質)を除去するために免疫除去される。特定の例では、質量分析(例えば、ヒト血漿および血清サンプルのタンパク質消化物の毛管液体クロマトグラフィー−Fourier変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析)を用いて、サンプルをII型糖尿病関連分子の存在に対して分析することができるように、サンプルは処理される。いくつかの例では、データは正確な質量および時間標識アプローチ(AMTタグ)を使って分析される。
【0065】
発現を検出するためのアレイ
特定の例では、表1〜4に記載され、開示されたII型糖尿病タンパク質の発現における変化を検出するための方法は、本明細書に開示されたアレイを使用する。アレイは、例えば、特定のオリゴヌクレオチドプローブまたは抗体プローブを使用して、その発現が上方制御または下方制御される分子の存在を検出するのに用いることができる。アレイは、II型糖尿病を診断(例えば、ヒトがその病気を発症する素因があるかどうかを判定する)するのに用いることができる。特定の例では、開示されたアレイは、核酸分子(例えば、DNAもしくはRNA分子または抗体)を含むことができる。
【0066】
核酸アレイ
1つの例では、アレイは、表1〜4に記載されたタンパク質をコードするII型糖尿病遺伝子の少なくとも4つの任意の組み合わせとハイブリダイズすることができる核酸オリゴヌクレオチドプローブを含み、例えば、表1、2、3、または4に記載されたタンパク質の、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも31個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個またはすべてまでもが挙げられる。特定の例では、アレイは、表3で記載された22個すべてのII型糖尿病関連タンパク質、表2で記載された9個すべてのタンパク質、または表4で記載された45個すべてのタンパク質をコードする核酸分子を認識できるオリゴヌクレオチドを含む。そのようなアレイ(本明細書に記述された方法と同様に)のあるものは、表1〜4に記載されていないII型糖尿病関連分子、例えば、内部標準(例えば、βアクチン、グリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GADPH)、コハク酸デヒドロゲナーゼ(SDHA)、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ1(HRPTI)、HBS1様タンパク質(HBS1L)、シクロフィリンファミリーメンバータンパク質、およびα−ヘモグロビン安定化タンパク質(AHSP)のうちの1つ以上などのハウスキーピング遺伝子)をさらに含むことができる。
【0067】
1つの例では、1組のオリゴヌクレオチドプローブは、対象から得られたそれらの核酸配列(例えば、cDNAまたはmRNA)などのII型糖尿病関連配列の検出で使用するために、固体支持体の表面に付着される。さらに、内部標準核酸配列(例えば、II型糖尿病に罹患していないか、あるいは糖尿病前症である対象から得られた核酸分子など)が使用されているなら、オリゴヌクレオチドプローブは、この標準核酸分子の存在を検出するために含ませることができる。
【0068】
アレイに結合したオリゴヌクレオチドプローブは、対象から得られるか、または対象から増幅(例えば、高ストリンジェンシー条件下で)される配列に特異的に結合することができる。したがって、その方法で使用する配列は、表1〜4で記載される遺伝子配列(または対応するタンパク質)などのII型糖尿病関連配列を認識するオリゴヌクレオチドプローブである。そのような配列は、異なる種の配列を調べて、他でなく、特定のII型糖尿病関連配列(例えば、表1〜4に記載されたもの)に特異的にアニールされるオリゴヌクレオチド配列を選択することで決定することができる。当業者は、他のII型糖尿病関連の核酸配列の検出のために固体支持体の表面に付着することができる他のII型糖尿病関連のオリゴヌクレオチド分子を識別することができる。
【0069】
本開示に従う方法と装置は、オリゴヌクレオチドが適切な条件下で相補的な塩基配列を有する核酸分子と塩基対2重鎖を形成するという事実を利用する。2重鎖の安定性は、多くの要因に依存し、それは、オリゴヌクレオチドの長さ、塩基組成、およびハイブリダイゼーションを実施する溶液組成を含む。2重鎖の安定性に対する塩基組成の影響は、特定の溶液でハイブリダイゼーションを実施する(例えば、高濃度の第3級アミンまたは第4級アミンの存在下で)ことによって減らすことができる。
【0070】
2重鎖の熱安定性は、配列間の配列類似性の程度にも依存する。標的配列とアレイに結合したオリゴヌクレオチドとの間で形成されることが予想される2重鎖のタイプのTの近くの温度でハイブリダイゼーションを実施することにより、ミスマッチ2重鎖の形成割合を実質的に減少させることが可能である。
【0071】
アレイで使用される各々のオリゴヌクレオチド配列の長さは、標的とするII型糖尿病関連核酸配列の結合を最適化するために選択することができる。特定のスクリーニング条件下での特定のII型糖尿病関連核酸配列用としての最適の長さは、経験的に決定することができる。このように、アレイ中に含むオリゴヌクレオチド配列のセットの各々の個々の要素のための長さは、スクリーニングのために最適化することができる。ある例では、オリゴヌクレオチドプローブは、約20個から約35個のヌクレオチドの長さまたは約25個から約40個のヌクレオチドの長さである。
【0072】
アレイを形成するオリゴヌクレオチドプローブ配列は、直接支持体に結合させることができる。代替的に、オリゴヌクレオチドプローブは、例えば、固体支持体へのスペーサーまたはリンカーとして用いられるオリゴヌクレオチドまたは他の分子などの非II型糖尿病関連配列によって支持体に付着させることができる。オリゴヌクレオチドプローブは、1つ以上の検出しうる標識をさらに含むことができ、それは、プローブと標的配列の間でハイブリダイゼーション信号の検出を可能とする。
【0073】
タンパク質配列
別の例では、アレイはタンパク質配列(または、そのようなタンパク質、またはそのようなタンパク質もしくはそのタンパク質断片に特異的な抗体)を含み、それは、表1〜4のいずれかに記載されたII型糖尿病関連タンパク質の少なくとも4個を含み、例えば、表1、2、3、または4に記載されたタンパク質の、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも31個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、少なくとも45個、またはすべてまでもが挙げられる。特定の例では、アレイは、表3で記載された22個すべてのII型糖尿病関連タンパク質、表2で記載された9個すべてのタンパク質、または表4で記載された45個すべてのタンパク質を認識できる抗体を含む。1つの例では、アレイは、表3のタンパク質に特異的な表4中のペプチドのすべてに対して特異的な抗体を含む。そのようなアレイ(本明細書に記述された方法と同様に)のあるものは、表1〜4に記載されていないII型糖尿病関連タンパク質、例えば、内部標準(例えば、β−アクチンなどのハウスキーピング遺伝子)を検出する分子をさらに含むことができる。
【0074】
アレイを形成するタンパク質または抗体は、固体支持体に直接結合することができる。代替的に、タンパク質や抗体は、固体支持体に対するスペーサーやリンカーによって支持体に付着させることができる。例えば、本明細書に記述されるII型糖尿病関連タンパク質に特異的な抗体は、側方流動装置の一部とすることができる。
【0075】
II型糖尿病関連タンパク質の発現の変化は、例えば、II型糖尿病タンパク質の特異的結合剤(それは、いくつかの例では、検出可能薬剤で標識される)を使用して検出することができる。ある例では、タンパク質の発現における変化の検出は、対象の血清または血漿から得たタンパク質サンプルをII型糖尿病タンパク質の特異的結合剤(例えば、アレイ上に存在することができる)と接触させ;そして、結合剤がサンプルにより結合しているかどうかを検出し、それにより、サンプルに存在するII型糖尿病関連タンパク質のレベルを測定することを含む。II型糖尿病に罹患していないか、または糖尿病前症である対象からの類似サンプルで見られるII型糖尿病タンパク質のレベルと比較して、サンプル中のII型糖尿病タンパク質のレベルの違いは、特定の例においては、試験対象がII型糖尿病に罹患しているか、またはII型糖尿病の発症の素因があるかどうかを示す。
【0076】
アレイ基板
固体支持体は、有機ポリマーから作ることができる。固体支持体のための適切な材料は、制限されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリビニルピロリジン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンジフルオライド(difluroide)、ポリフルオロエチレン−プロピレン、ポリエチレンビニルアルコール、ポリメチルペンテン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリスルホン、ヒドロキシル化2軸配向ポリプロピレン、アミノ化2軸配向ポリプロピレン、チオール化2軸配向ポリプロピレン、エチレンアクリル酸、エチレンメタアクリル酸(thylene methacrylic acid)およびこれらのコポリマーのブレンド(参照:米国特許第5,985,567号)。
【0077】
一般的に、固体支持体表面を形成するために用いることができる材料に適した特性には以下のものが含まれる:すなわち、表面活性化されやすいため、活性化されると、支持体の表面がオリゴヌクレオチドなどの生体分子をそれに共有結合させることができること;生体分子の「インシチュ」合成に適していること;化学的に不活性であるため、オリゴヌクレオチドに占領されていない支持体上の領域において、非特異的結合を起こしにくいか、または非特異的結合が生じたときには、オリゴヌクレオチドを除去することなく、そのような物質を表面から容易に除去することができることなどである。
【0078】
1つの例では、固体支持体の表面は、ポリプロピレンである。ポリプロピレンは、化学的に不活性であって、疎水性である。一般に、非特異的結合は、回避可能であり、そして、検出感度が改善される。ポリプロピレンは、さまざまな有機酸(例えば、蟻酸)、有機薬品(例えば、アセトンまたはエタノール)、塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、塩(例えば、塩化ナトリウム)、酸化剤(例えば、過酢酸)、および鉱酸(例えば、塩酸)に対して良好な耐化学薬品性を有する。ポリプロピレンは、また、低い蛍光バックグラウンドを提供して、それは、バックグラウンド干渉を最小にし、そして、興味がある信号の感度を増加させる。
【0079】
別の例では、表面活性化有機ポリマーは、固体支持体表面として使用される。表面活性化有機ポリマーの1つの例は、無線周波数血漿放電でアミノ化されたポリプロピレン材料である。そのような材料は、ヌクレオチド分子の付着に容易に利用される。活性化された有機ポリマー上のアミン基は、ヌクレオチド分子がポリマーに結合されることができるようにヌクレオチド分子と反応性である。カルボキシル化された基、ヒドロキシル化された基、チオール化された基、または活性エステル基などの他の反応性基も使用できる。
【0080】
1つの例では、アレイは、糸、膜またはフィルムである、ポリマー媒体上に形成される。有機ポリマー媒体の1例は、フィルムの厚さは、重要ではなく、かなり幅広い範囲で変更できるが、約1mil(0.001インチ)から約20milの厚さのポリプロピレンシートである。特に、2軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルムが、アレイの調製に開示される;それらの耐久性に加えて、BOPPフィルムは、低バックグラウンド蛍光を示す。
【0081】
側方流動装置に適した基板もまた、使用することができる。
【0082】
アレイ形態
多様なアレイ形態を本開示に従って使用することができる。1つの例は、当該分野において、一般的にディップスティックと称される、オリゴヌクレオチドまたは抗体のバンドの直線配列を含む。別の適切な形態は、分離したセルになった2次元パターン(64×64アレイで4096個の四角形など)を含む。当業者が認めるように、これに制限されるものではないが、スロット状(長方形)および円形アレイなどを含む他のアレイ形態は、等しく使用に適している(米国特許第5,981,185号を参照)。
【0083】
本開示のアレイ形態には、多様な異なるタイプの形態を含むことができる。「形態」は、マイクロタイタープレート、試験管、無機シート、ディップスティック等のような、固体支持体が付着できる任意の形態を含む。例えば、固体支持体がポリプロピレン糸の場合、1つ以上のポリプロピレン糸は、プラスチック製のディップスティック型デバイスに付着させることができ;ポリプロピレン膜は、ガラスのスライドに付着させることができる。特定の形態自体は、重要でない。必要なことは、固体支持体が、固体支持体またはそれに吸収された任意の生体ポリマーの機能的作用に影響を与えることなく付着でき、形態(例えば、ディップスティックまたはスライド)が、装置が導入される任意の材料(例えば、臨床サンプルおよびハイブリダイゼーション溶液)において安定していることである。
【0084】
本開示のアレイは、多様なアプローチで調製することができる。1つの例においては、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質(例えば、抗体)の配列は、個々に合成して、それから固体支持体に付着させる(米国特許第6,013,789号を参照)。別の例では、支持体上で配列を直接合成して所望のアレイを提供する(米国特許第5,554,501号を参照)。オリゴヌクレオチドおよびタンパク質を固体支持体に共有結合させるのに適した方法、および支持体上でオリゴヌクレオチドまたはタンパク質を直接合成するのに適した方法は、当業者に公知であり;適切な方法の要約は、Matsonら、Anal.Biochem.217:306−10,1994に見出すことができる。1つの例において、固体支持体上でオリゴヌクレオチドを調製するための通常の化学的技術を用いて、支持体上でオリゴヌクレオチドを合成する(例えば、PCT出願WO85/01051およびWO89/10977、または米国特許第5,554,501号を参照)。
【0085】
適切なアレイは、アレイのセル内でオリゴヌクレオチドを合成する自動的手段を用いて、予め定められたパターンで4種類の塩基の前駆体を固着させることによって、作成することができる。要するに、多重チャネル型自動的化学物質送達系を用いて、基板全面に(送達系のチャネル数と同じ数の)平行な列にプローブ集団を作出する。第1の方向に合成が完了した後、基板を90度回転させて、第1の組に垂直な2組目(2°)の列の内部で合成を進行させることができる。このプロセスにより、交点に複数の分離したセルを生じさせる多重チャネル型アレイが作出される。
【0086】
オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの3’末端またはオリゴヌクレオチドの5’末端により、固体支持体に結合させることができる。1つの例では、オリゴヌクレオチドは、3’末端によりポリプロピレン支持体に結合される。しかしながら、当業者は、オリゴヌクレオチドの3’末端または5’末端の使用が、固体支持体への結合に適切かどうかを判定することができる。一般的に、3’末端および5’末端の領域でのオリゴヌクレオチドプローブの内部相補性は、支持体への結合を決定する。
【0087】
特定の例では、アレイ上のプローブは、プローブ:標的配列複合体の検出を可能とする1つ以上の標識を含む。
【0088】
核酸とタンパク質分子の検出
対象から入手したサンプル(例えば、血清または血漿サンプル)は、II型糖尿病に関連している1つ以上の核酸またはタンパク質(例えば、表1〜4に記載されたもの)の変えられたレベルを含むことができる。対象がII型糖尿病を発症する素因があるか、あるいはII型糖尿病に罹患しているかどうかを決定するために、発現における変化を検出することができる。本開示は、タンパク質または核酸分子を検出する特定の方法に限定されない。物理的または機能的なアッセイなどの、核酸分子またはタンパク質を検出するどんな方法も使用することができる。例えば、遺伝子発現レベルは、当該分野で周知であって、本明細書に開示された方法(例えば、ノーザンブロット法、RNaseプロテクションアッセイ、核酸または抗体プローブアレイ法、定量的PCR法(例えば、TaqManアッセイ)、ドットブロットアッセイ、インシチュハイブリダイゼーション法、またはそれらの組み合わせ)を利用して定量化できる。さらに、タンパク質は、抗体プローブアレイ法、定量的な分光法(例えば、表面増強レーザー脱離/イオン化(SELDI)ベース−質量分析などの質量分析)、またはそれらの組み合わせを使用して検出できる。
【0089】
核酸分子とタンパク質を標識して、それによりそれらを検出できる方法は、周知である。そのような標識の例は、非放射能標識と放射能標識を含む。非放射能標識は、酵素、化学発光化合物、フルオロフォア、金属錯体、ハプテン、比色分析薬剤、染料、またはそれらの組み合わせを含むが、これに限定されるものではない。放射能標識は、125Iおよび35Sを含むが、これに限定されるものではない。放射能標識および蛍光標識の方法は、当該分野で公知の他の方法と同様に、本開示で使用するのに適している。1つの例において、対象の核酸を増幅するために使用されるプライマーは、標識(例えば、ビオチン、放射能標識、またはフルオロフォアで)される。別の例では、増幅された核酸のサンプルは、末端標識されて標識された増幅材料を生成する。例えば、標識ヌクレオチドを増幅反応に含ませることによって増幅された核酸分子を標識できる。別の例では、対象から得た核酸分子は、標識されて、オリゴヌクレオチドを含むアレイに適用される。特定の例では、対象から得たタンパク質は、標識されて、その後、例えば、それらをアレイに適用することによって分析される。
【0090】
そのような手順に対して、対象の生体サンプルは、表1〜4に記載されたものなどのII型糖尿病関連分子の発現の増加または減少についてアッセイされる。適切な生体サンプルは、DNAもしくはRNA(mRNAを含む)またはタンパク質を含む血液サンプルを含む。特定の例では、サンプルは、免疫除去された、血清または血漿サンプルである。
【0091】
複数のII型糖尿病関連核酸分子(例えば、表3または4に記載されたもの)の発現の増加または減少についての生体サンプルでの検出は、当該分野で公知の方法により達成できる。例えば、II型糖尿病関連分子の増加または減少した発現は、II型糖尿病関連核酸分子−特異的mRNAの細胞内レベルを測定することで検出できる。mRNAは、例えば、ノーザン解析、RT−PCR、およびmRNAインシチュハイブリダイゼーションを含む、当該技術分野で周知の手法で測定することができる。mRNA解析手順の詳細は、例えば、提供された実施例に、およびSambrookら(ed.),Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,vol.1−3,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1989に記載されている。
【0092】
II型糖尿病関連配列に特異的なオリゴヌクレオチドは、市販の装置を使用して化学的に合成することができる。次に、これらのオリゴヌクレオチドを、例えば、放射性同位元素(32Pなど)によって、またはビオチン(WardおよびLangerら、Proc. Natl.Acad.Sci.USA 78:6633−57,1981)やフルオロフォアなどの非放射能標識によって標識し、膜または他の固体支持体上に固定された個々のDNAサンプルにドットブロットによってハイブリダイズさせるか、または電気泳動法後にゲルから移動させることができる。これらの特定の配列は、例えば、オートラジオグラフィーや蛍光定量(Landegrenら、Science 242:229−37,1989)、または比色反応(Gebeyehuら、Nucleic Acids Res.15:4513−34,1987)などの方法で可視化される。
【0093】
血液サンプルから分離された核酸分子は、核酸増幅生成物を形成するために通常の方法を使用して増幅できる。これらの核酸増幅生成物は、それから、ストリンジェントな条件下でII型糖尿病関連核酸とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させることができる。そして、プローブとハイブリダイズする核酸増幅生成物は、それから、検出されて、定量化される。オリゴヌクレオチドプローブは、表1〜4のいずれかに記載されたタンパク質をコードする核酸分子に特異的に結合することができる。
【0094】
II型糖尿病に関連する対象から得た核酸分子は、ハイブリダイゼーション複合体を形成するのに適したハイブリダイゼーション条件下で、II型糖尿病検出アレイに加えることができる。特定の例では、増幅核酸分子は標識を含む。1つの例では、有機化合物の前処理溶液、有機化合物を含む溶液、または熱水をハイブリダイゼーションの前に加えることができる(引用により本明細書に取り込まれる米国特許第5,985,567号を参照のこと)。
【0095】
アレイと標的材料の所定の組み合わせのためのハイブリダイゼーション条件は、予想される2本鎖のTに近い実験的方法でルーチン的に最適化し、これにより、この方法の識別力を最大にすることができる。結合が起こる細胞などのアレイ内の位置を識別することにより、迅速かつ正確な、増幅材料中に存在するII型糖尿病関連配列の識別を可能にする(下記参照)。
【0096】
ハイブリダイゼーション条件は、マッチしたオリゴヌクレオチドとミスマッチしたオリゴヌクレオチド間の識別を可能にするように選択される。ハイブリダイゼーション条件は、フィルターへのハイブリダイゼーションのための標準的な手順に適することが知られているものに対応するように選択し、そして、次に、本開示のアレイと共に使用するために最適化することができる。例えば、1種類の標的のハイブリダイゼーションに適した条件は、アレイ用のその他の標的の使用のために調整されるであろう。特に、厳密に相補的なII型糖尿病関連配列以外の配列間の2本鎖の形成を実質的に除去するために、温度が制御される。様々な既知のハイブリダイゼーション溶媒を用いることができるが、選択は当業者の判断次第である(参照:米国特許第5,981,185号)。
【0097】
一旦、対象からのII型糖尿病に関連する核酸分子が、II型糖尿病検出アレイ中に存在するオリゴヌクレオチドとハイブリダイズした後は、ハイブリダイゼーション複合体の存在を、例えば、その複合体を検出することによって解析できる。
【0098】
オリゴヌクレオチドプローブのアレイにおけるハイブリダイズした複合体を検出することは、以前に説明されている(参照:引用により本明細書に取り込まれる米国特許第5,985,567号)。1つの例では、検出は、オリゴヌクレオチド上に存在する1つ以上の標識、対象から得られた配列、または両方を検出することを含む。特定の例では、発現させることは、緩衝液を加えることを含む。1つの例では、緩衝液は、クエン酸ナトリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液、塩化テトラメチルアンモニウム、クエン酸ナトリウム緩衝液含有エチレンジアミン四酢酸、クエン酸ナトリウム緩衝液含有ドデシル硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム緩衝液含有エチレンジアミン四酢酸、リン酸ナトリウム緩衝液含有ドデシル硫酸ナトリウム、塩化テトラメチルアンモニウム含有エチレンジアミン四酢酸、塩化テトラメチルアンモニウム含有ドデシル硫酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。しかし、その他の適切な緩衝溶液もまた使用できる。
【0099】
検出は、ハイブリダイズした複合体をコンジュゲート溶液と処理して、ハイブリダイズした複合体を検出標識とコンジュゲーションまたは結合させ、そして、コンジュゲートされてハイブリダイズされた複合体を検出試薬で処理することをさらに含むことができる。1つの例では、コンジュゲート溶液は、ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ、アビジンアルカリフォスファターゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼを含む。コンジュゲート溶液の、特定の非限定的な例には、ストレプトアビジンアルカリフォスファターゼ、アビジンアルカリフォスファターゼ、または西洋ワサビペルオキシダーゼが含まれる。コンジュゲートされてハイブリダイズした複合体を検出試薬で処理することができる。1つの例では、検出試薬は、酵素標識蛍光試薬、または比色試薬を含む。1つの特定の非限定的な例では、検出試薬は、Molecular Probes,Inc.(Eugene,OR)の酵素標識蛍光試薬(ELF)である。その後、ハイブリダイズした複合体を検出装置、例えば、紫外線(UV)トランスイルミネーター(Upland,CAのUVP,Inc製)に設置できる。シグナルが発現し、シグナル強度の増強を記録装置、例えば、電荷結合素子(CCD)カメラ(Tucson,AZのPhotometrics,Inc製)で記録できる。特定の例では、これらの工程はフルオロフォーレまたは放射能標識を使用する場合には行わない。
【0100】
特定の例では、方法は、例えばハイブリダイゼーションの量を決定することによる定量化をさらに含む。
【0101】
タンパク質の発現は、抗体を用いて全長タンパク質またはその一部を検出すること、あるいは質量分析などの他の方法を用いることなどの当該分野で公知の任意の方法を用いて検出することができる。対照(例えば、II型糖尿病に罹患していないか、または糖尿病前症である対象)におけるそのような発現と比べて、増加または減少したII型糖尿病関連タンパク質のレベルの判定は、上記で概要を述べた方法によるII型糖尿病関連の核酸配列の発現レベルの直接的な判定に対する代替的または相補的な手法である。II型糖尿病関連タンパク質(1つまたは複数)に特異的な抗体を利用することにより、当該技術分野で周知の多くの免疫アッセイ法、例えば、HarlowおよびLane(Antibodies,A Laboratory Manual,CSHL,New York,1988)に記載されるものなどの1つによる、そのようなタンパク質(1つまたは複数)の検出と定量化が容易になる。さらに、そのような抗体が入手できない場合には、抗体を構築する方法は当該技術分野で常套的である。
【0102】
II型糖尿病関連タンパク質レベルを測定するために、標準的な免疫アッセイフォーマット(例えば、ELISA、ウエスタンブロット法、またはRIAアッセイ)のいずれかを用いることができる。対照(例えばII型糖尿病に罹患していない対象)との比較およびII型糖尿病関連ペプチドレベル(例えば、表3または4に記載された少なくとも10個のタンパク質または少なくとも20個のタンパク質の任意の組み合わせにおける増加または減少)は、II型糖尿病を示唆するものである。免疫組織化学技術もまた、タンパク質の検出および定量に利用することができる。例えば、ある対象から組織サンプルを採取し、適切なタンパク質特異的結合剤と任意の標準的な検出系(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされた2次抗体を含むもの)を用いて、II型糖尿病関連タンパク質の存在に関して切片を染色できる。そのような技術に関する一般的な手引きは、BancroftおよびStevens(Theory and Practice of Histological Techniques,Churchill Livingstone,1982)およびAusubelら(Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,1998)に見つけることができる。
【0103】
II型糖尿病関連タンパク質を定量する目的で、細胞タンパク質を含む対象の生体サンプルを用いることができる。II型糖尿病関連タンパク質の定量は、免疫アッセイによって行うことができ、その量をII型糖尿病に罹患していないか、または糖尿病前症である対象からの細胞中に認められたタンパク質のレベルと比較する。正常サンプル中で認められる同じII型糖尿病関連タンパク質の量と比較した、対象の血清もしくは血漿(または他のサンプル)中の5つ以上のII型糖尿病関連タンパク質の量の有意な増加または減少は、通常は少なくとも1.5倍の、少なくとも2倍の、少なくとも3倍の、少なくとも4倍の、もしくは、それ以上の増加、または少なくとも20%の、少なくとも30%の、少なくとも35%の、もしくは40%の減少である。5個以上のII型糖尿病関連タンパク質(1つまたは複数)の実質的な過剰発現または過小発現は、II型糖尿病または糖尿病前症の存在を暗示している場合がある。
【0104】
タンパク質発現を検出する代替的方法は、分光学的方法、例えば、SELDIなどの定量的な分光学的アプローチを使用することである。1つの例では、表面増強レーザー脱離−イオン化飛行時間型(SELDI−TOF)質量分析によって、例えばProteinChip(登録商標)(Ciphergen Biosystems,Palo Alto,CA)を使用して、タンパク質発現の変化が検出される。このような方法は、当該技術分野で周知である(例えば、米国特許第5,719,060号;米国特許第6,897,072号;および米国特許第6,881,586号を参照のこと)。SELDIは、分析物が、分析物の捕捉または脱離を高める表面上のエネルギー流に提示される、脱着に関する固相法である。
【0105】
つまり、SELDIの変形の1つは、II型糖尿病関連タンパク質などの興味のある分析物を選択的に取り込む、化学的性質を用いるクロマトグラフ表面を使用する。クロマトグラフ表面は、疎水性、親水性、イオン交換、固定化金属、または他の化学的性質からなることができる。例えば、表面の化学的性質は、分析物の共有結合的固定または非共有結合的固定の酸素依存性、炭素依存性、硫黄依存性、および/または窒素依存性の手段に基づく結合機能を含むことができる。活性化された表面は、タンパク質−タンパク質およびタンパク質−DNA相互作用などの生体分子相互作用の研究にしばしば使用される、抗体、受容体、またはオリゴヌクレオチドなどの特定の「ベイト」分子を共有結合的に固定するために使用される。
【0106】
表面の化学的性質は、結合した分析物を保持し、結合していない物質を洗い流す。続いて、表面に結合した分析物(例えば、II型糖尿病関連タンパク質)は、脱着され、例えば、質量分析を使用するなど、いくつかの手段のいずれかにより分析することができる。分析物が、レーザー脱離/イオン化質量分析などの脱着の過程でイオン化される場合、検知器は、イオン検知器とすることができる。質量分析器は、一般的に、脱着イオンの飛行時間を判定するための手段を含む。この情報は、質量に変換される。しかし、イオンを分析および検知するために、脱着したイオンの質量を判定する必要はない。イオン化された分析物が様々な時点で検出器に当たることにより、イオンの検知および分析が提供される。代替的に、分析物は、検知可能なように標識することができる(例えば、フルオロフォアまたは放射性同位元素を用いて)。これらの場合において、検知器は、フルオロフォアまたは放射性同位元素検知器である。複数の検知手段を、アレイの各位置で保持された分子に関連する分析物成分および機能を完全に識別するために、連続で実施することができる。
【0107】
従って、特定の例において、クロマトグラフ表面は、II型糖尿病関連タンパク質を認識する抗体を含む。1つの例において、抗体は、細菌Fc結合支持体を使用して表面上に固定される。クロマトグラフ表面は、血清または血漿タンパク質を含むサンプルなどの、対象からのサンプルを用いて培養される。サンプルに存在する抗原は、クロマトグラフ表面上の抗体を認識することができる。結合されないタンパク質および質量分析妨害化合物は、洗い流され、クロマトグラフ表面上に保持されるタンパク質は、SELDI−TOFにより分析され、検出される。サンプルからのMSプロファイルは、次に、差次的タンパク質の発現マッピングを使用して比較することができ、それにより、特定の分子量でのタンパク質の相対的発現レベルは、様々な統計手法および生体情報科学ソフトウェアシステムにより比較される。
キット
本開示は、II型糖尿病を診断するために、例えば、対象がII型糖尿病に罹患しているか、あるいはII型糖尿病を発現する増加した素因を有するかどうかを判定するために使用することができるキットを提供する。そのようなキットは、対象が表1〜4に記載されたものの4つ以上の任意の組み合わせ(例えば、表3もしくは4に記載されたものの10以上の任意の組み合わせ、または表3もしくは4に記載されたものの20以上の任意の組み合わせ)などの、II型糖尿病関連遺伝子における差次的発現を有するかどうかを判定することを可能とする。
【0108】
開示されたキットは、結合分子(例えば、キットの標的であるII型糖尿病関連分子と選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブ、あるいはII型糖尿病関連分子に特異的に結合する抗体)を含む。特定の例では、オリゴヌクレオチドプローブまたは抗体は、バイオチップまたはディップスティックなどのアレイに付着される。そのようなアレイは、例えば、陰性または陽性対照として機能するように、他のオリゴヌクレオチドまたは抗体を含むことができる。1つの例では、キットは、表1〜4の分子の少なくとも4つの任意の組み合わせを認識するオリゴヌクレオチドプローブもしくはプライマー(または抗体)を含み、例えば、表1〜4のいずれかに記載されたII型糖尿病関連分子の、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも31個、少なくとも31個、少なくとも32個、少なくとも33個、少なくとも34個、少なくとも35個、少なくとも36個、少なくとも37個、少なくとも38個、少なくとも39個、少なくとも40個、少なくとも41個、少なくとも42個、少なくとも43個、少なくとも44個、または少なくとも45個が挙げられる。
【0109】
キットは、緩衝液、興味ある信号を開発するコンジュゲート溶液、または興味ある信号を検出するための検出試薬の1つ以上をさらに含むことができ、それぞれは、容器などの別々のパッケージである。キットは、使用説明書、例えば、決定された(実験的に測定された)値と比較する検量線またはチャートを提供する使用説明書を含むことができる。例えば、使用説明書は、II型糖尿病関連の発現レベルが、対照サンプルと比較して、上昇するか、減少するか、あるいは不変であるかを検査者が判定するのを可能とする。
【実施例】
【0110】
実施例1
この実施例は、31個のII型糖尿病マーカーを識別するのに用いられる方法を記述する。
【0111】
正常耐糖能(NGT;対照)、耐糖能異常(IGT;糖尿病前症)および2型糖尿病の個体からの血漿(120μL)の一定分量を、6つの最も豊富な血漿タンパク質を除去するためにAgilent MARS−6カラムを用いて免疫除去に付した。例えば、トップ50〜60の最も豊富なタンパク質を血漿から除去するSuperMixカラム(GenWay Biotech)を用いて、他の免疫除去方法が使用できることを当業者は理解するであろう。以降のLC−MSとデータ解析は、下記のように進められる。
【0112】
サンプルはそれからトリプシンで消化され、そして、それぞれ個々のサンプルの一定分量は、共通の参照サンプルを作るためにプールされた。参照サンプルは、その後18Oで標識され、そして、それぞれ個々のサンプルは16Oで標識された。参照サンプルの一定分量は、それぞれ個々のサンプル(1:1、w/w)と混合し、そして、サンプルは9.4TのFourier変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計と連結した毛管液体クロマトグラフィーによって分析された。生データは、PRISMデータ解析システムを使用して処理され、そして、同位体のペア比率情報は、データマトリックスに入れられた。ペア比率はLoess正規化に付されて、そして、タンパク質の量は、ANOVAによって分析された。
【0113】
同定された31個のタンパク質は、表1に示される。それらのサブセットは表2に示され、そして、いくつかの例において、表2のタンパク質が分析される。同定された個々のペプチドもまた記載される。II型糖尿病関連タンパク質を検出するとき、表1と2に記載された全長タンパク質(例えば、α−2−マクログロブリン)または示されたペプチド(例えば、α−2−マクログロブリンのために記載された12個のペプチドのうちの1つ以上)が、ルーチンの方法を使用して検出できることを当業者は理解するであろう。
【0114】
表1:II型糖尿病と関連した31個のタンパク質
(1)163kDaのタンパク質;ペプチド配列:LVHVEEPHTETVRK(配列番号:1)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、DLKPAIVK(配列番号:3)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、SASNMAIVDVK(配列番号:6)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、TTVMVK(配列番号:8)、FQVDNNNR(配列番号:9)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、RKEYEMK(配列番号:11)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)
(2)45kDaのタンパク質;ペプチド配列:DKVNSFFSTFK(配列番号:13)、LTPYADEFKVK(配列番号:14)
(3)アファミン;ペプチド配列:RHPDLSIPELLR(配列番号:15)、HFQNLGK(配列番号:16)
(4)アルファ−2−マクログロブリン;ペプチド配列:SASNMAIVDVK(配列番号:6)、RKEYEMK(配列番号:11)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、FQVDNNNR(配列番号:9)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、DLKPAIVK(配列番号:3)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、LVHVEEPHTE
TVRK(配列番号:1)、TTVMVK(配列番号:8)
(5)アポリポタンパク質A−I;ペプチド配列:AHVDALR(配列番号:17)、SGRDYVSQFEGSALGK(配列番号:18)、PYLDDFQKK(配列番号:19)、YVSQFEGSALGK(配列番号:20)、LHELQEK(配列番号:21)、VSFLSALEEYTK(配列番号:22)、QKLHELQEK(配列番号:23)
(6)アポリポタンパク質A−IV;ペプチド配列:DKVNSFFSTFK(配列番号:13)、LTPYADEFKVK(配列番号:14)
(7)アポリポタンパク質B−100;ペプチド配列:MLETVR(配列番号:24)、AVSMPSFSILGSDVR(配列番号:25)、TEVIPPLIENR(配列番号:26)、SVGFHLPSR(配列番号:27)
(8)補体C4B1;ペプチド配列:GQIVFMNREPK(配列番号:28)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)
(9)セルロプラスミン;ペプチド配列:AETGDKVYVHLK(配列番号:33)、GPEEEHLGILGPVIWAEVGDTIR(配列番号:34)
(10)クラステリンアイソフォーム1;ペプチド配列:TLLSNLEEAK(配列番号:35)、FMETVAEK(配列番号:36)
(11)クラステリン;ペプチド配列:TLLSNLEEAK(配列番号35)、FMETVAEK(配列番号:36)
(12)補体C3;ペプチド配列:FYYIYNEK(配列番号:37)、LMNIFLK(配列番号:38)、IPIEDGSGEVVLSR(配列番号:39)、IWDVVEK(配列番号:40)、TIYTPGSTVLYR(配列番号:41)、KGYTQQLAFR(配列番号:42)、RIPIEDGSGEVVLSR(配列番号:43)、VQLSNDFDEYIMAIEQTIK(配列番号:44)、RQGALELIKK(配列番号:45)、AAVYHHFISDGVRK(配列番号:46)、YYTYLIMNK(配列番号:47)
(13)補体C4;ペプチド配列:GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)
(14)補体C4A;ペプチド配列:GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)
(15)補体C4B;ペプチド配列:YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)、SHALQLNNR(配列番号:30)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)
(16)FGAタンパク質;ペプチド配列:DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)、LKNSLFEYQK(配列番号:50)
(17)ゲルソリンアイソフォームb;ペプチド配列:HVVPNEVVVQR(配列番号:51)、TASDFITK(配列番号:52)
(18)ゲルソリン;ペプチド配列:HVVPNEVVVQR(配列番号:51)、TASDFITK(配列番号:52)
(19)ヘモペキシン;ペプチド配列:LWWLDLK(配列番号:53)、RLWWLDLK(配列番号:54)、GDKVWVYPPEKK(配列番号:55)
(20)ヒスチジンリッチ糖タンパク質;ペプチド配列:DSPVLIDFFEDTER(配列番号:56)、ADLFYDVEALDLESPK(配列番号:57)
(21)仮想タンパク質DKFZp779N0926;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
(22)インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H2前駆体;ペプチド配列:FYNQVSTPLLR(配列番号:60)、SLAPTAAAK(配列番号:61)、TILDDLR(配列番号:62)
(23)妊娠ゾーンタンパク質;ペプチド配列:MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、DLKPAIVK(配列番号:3)、ATVLNYLPK(配列番号:10)
(24)フィブリノーゲン類似Aαポリペプチド;ペプチド配列:LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)
(25)インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H4のスプライスアイソフォーム1;ペプチド配列:NVVFVIDK(配列番号:63)、LGVYELLLK(配列番号:64)、ETLFSVMPGLK(配列番号:65)
(26)インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H4のスプライスアイソフォーム2;ペプチド配列:LGVYELLLK(配列番号:64)、ETLFSVMPGLK(配列番号:65)、NVVFVIDK(配列番号:63)
(27)フィブリノーゲンα/α−E鎖のスプライスアイソフォームα;ペプチド配列:MELERPGGNEITR(配列番号:66)、LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、TVIGPDGHKEVTK(配列番号:67)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)
(28)フィブリノーゲンα/α−E鎖のスプライスアイソフォームα−E;ペプチド配列:LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、MELERPGGNEITR(配列番号:66)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)、TVIGPDGHKEVTK(配列番号:67)
(29)フィブリノーゲンγ鎖のスプライスアイソフォームγ−A;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
(30)フィブリノーゲンγ鎖のスプライスアイソフォームγ−B;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
(31)ビタミンD結合タンパク質;ペプチド配列:ELPEHTVK(配列番号:68)、KFPSGTFEQVSQLVK(配列番号:69)、THLPEVFLSK(配列番号:70)、HLSLLTTLSNR(配列番号:71)
表2:II型糖尿病関連の9個のタンパク質
(1)163kDaのタンパク質;ペプチド配列:LVHVEEPHTETVRK(配列番号:1)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、DLKPAIVK(配列番号:3)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、SASNMAIVDVK(配列番号:6)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、TTVMVK(配列番号:8)、FQVDNNNR(配列番号:9)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、RKEYEMK(配列番号:11)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)
(2)45kDaのタンパク質;ペプチド配列:DKVNSFFSTFK(配列番号:13)、LTPYADEFKVK(配列番号:14)
(3)α−2−マクログロブリン;ペプチド配列:SASNMAIVDVK(配列番号:6)、RKEYEMK(配列番号:11)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、FQVDNNNR(配列番号:9)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、DLKPAIVK(配列番号:3)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、LVHVEEPHTETVR
K(配列番号:1)、TTVMVK(配列番号:8)
(4)アポリポタンパク質B−100;ペプチド配列:MLETVR(配列番号:24)、AVSMPSFSILGSDVR(配列番号:25)、TEVIPPLIENR(配列番号:26)、SVGFHLPSR(配列番号:27)
(5)補体C4B1;ペプチド配列:GQIVFMNREPK(配列番号:28)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)
(6)セルロプラスミン;ペプチド配列:AETGDKVYVHLK(配列番号:33)、GPEEEHLGILGPVIWAEVGDTIR(配列番号:34)
(7)補体C3;ペプチド配列:FYYIYNEK(配列番号:37)、LMNIFLK(配列番号:38)、IPIEDGSGEVVLSR(配列番号:39)、IWDVVEK(配列番号:40)、TIYTPGSTVLYR(配列番号:41)、KGYTQQLAFR(配列番号:42)、RIPIEDGSGEVVLSR(配列番号:43)、VQLSNDFDEYIMAIEQTIK(配列番号:44)、RQGALELIKK(配列番号:45)、AAVYHHFISDGVRK(配列番号:46)、YYTYLIMNK(配列番号:47)
(8)補体C4;ペプチド配列:GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)
(9)補体C4B;ペプチド配列:YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)、SHALQLNNR(配列番号:30)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)。
【0115】
実施例2
この実施例は、31個のII型糖尿病マーカーを識別するのに用いられる方法を記述する。
【0116】
正常耐糖能(NGT;対照)、耐糖能異常(IGT;糖尿病前症)および2型糖尿病の個体からの血漿(120μL)の一定分量を、6つの最も豊富な血漿タンパク質を除去するためにAgilent MARS−6カラムを用いて免疫除去に付した。例えば、トップ50〜60の最も豊富なタンパク質を血漿から除去するSuperMixカラム(GenWay Biotech)を用いて、他の免疫除去方法が使用できることを当業者は理解するであろう。以降のLC−MSとデータ解析は、下記のように進められる。
【0117】
サンプルはそれからトリプシンで消化され、そして、それぞれ個々のサンプルの一定分量は、共通の参照サンプルを作るためにプールされた。参照サンプルは、その後、18Oで標識され、それぞれ個々のサンプルは、16Oで標識された。参照サンプルの一定分量は、それから、それぞれ個々のサンプル(1:1、w/w)と混合し、そして、サンプルは9.4TのFourier変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計と連結した毛管液体クロマトグラフィーによって分析された。生データは、PRISMデータ解析システムを使用して処理され、そして、同位体のペア比率情報がデータマトリックスに入れられた。ペア比率は線形回帰正規化に付されて、そして、タンパク質の量は、ANOVAによって分析された。
【0118】
同定されたこのタンパク質は、表3に示される。同定された個々のペプチドは、表4(表4は、また、実施例1で検出されたペプチドも含む)に記載される。II型糖尿病関連タンパク質を検出するとき、表3に記載された全長タンパク質(例えば、アポリポタンパク質B−100)または表4に示されるペプチド(例えば、アポリポタンパク質B−100のために記載された55個のペプチドのうちの1つ以上)のいずれかが、ルーチンの方法を使用して検出できることを当業者は理解するであろう。表3において、IPI番号は、記載された特定のタンパク質に対する国際タンパク質インデックス番号である。IPI番号は、EMBL−EBIウェブサイト(例えば、www.ebi.ac.uk/IPI/IPIhelp.htmlにおいて)で参照できる。
【0119】
表3において、量はタンパク質の量を指し、任意の単位である。非欠測の数は、どれだけ多くの個体(対照(C)、糖尿病前症(PD)、または2型糖尿病(D))の中で、可能性のある10の対照、10の糖尿病前症、または9の2型糖尿病の個体からマーカーが観察されるかを意味する。負の量は、必ずしも下方制御を意味するものではない。これは、log2スケールにあるので、負の値は、元の量がゼロ未満であったことを示す。タンパク質が上方制御または下方制御されるかどうかは、倍率変化の欄で示される。
【0120】
【表3−1】

【0121】
【表3−2】

【0122】
【表3−3】

【0123】
【表3−4】

【0124】
【表3−5】

したがって、開示された方法を使用して、表4に示される45個のタンパク質(実施例1および2で同定されたタンパク質の組み合わせ)は、II型糖尿病に関連していることが分かった。同定された個々のペプチドもまた列挙される。
【0125】
表4:II型糖尿病に関連した45個のタンパク質
1.163kDaタンパク質;ペプチド配列:LVHVEEPHTETVRK(配列番号:1)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、DLKPAIVK(配列番号:3)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、SASNMAIVDVK(配列番号:6)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、TTVMVK(配列番号:8)、FQVDNNNR(配列番号:9)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、RKEYEMK(配列番号:11)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12);
2.32kDaのタンパク質;ペプチド配列:IQNILTEEPK(配列番号:72)、YVYIAELLAHK(配列番号:73)、ILLMDLNEEDPTVLELGITGSK(配列番号:74)、PTVLELGITGSK(配列番号:75)、
3.45kDaのタンパク質;ペプチド配列:DKVNSFFSTFK(配列番号:13)、LTPYADEFKVK(配列番号:14);
4.A2M 19kDaのタンパク質(IPI:IPI00878729.1);ペプチド配列:NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)、SVSGKPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:77)、KPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:78)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)
5.A2M 19kDaのタンパク質(IPI:IPI00789547.1);ペプチド配列:LLIYAVLPTGDVIGDSAK(配列番号:79)、TGTHGLLVKQEDMK(配列番号:80)、DLSFSPSQSLPASHAHLR(配列番号:212)、VTAAPQSVCALR(配列番号:91)、TGTHGLLVKQEDMK(配列番号:80)
6.α−2−マクログロブリン;ペプチド配列:SASNMAIVDVK(配列番号:6)、NQGNTWLTAFVLK(配列番号:195)、HYDGSYSTFGER(配列番号:208)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:12)、ALLAYAFALAGNQDK(配列番号:209)、VGFYESDVMGR(配列番号:210)、DMYSFLEDMGLK(配列番号:4)、LVHVEEPHTETVRK(配列番号:1)、MVSGFIPLKPT
VK(配列番号:2)、VGFYESDVMGR(配列番号:210)、AIGYLNTGYQR(配列番号:211)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、TEHPFTVEEFVLPK(配列番号:7)、LPPNVVEESAR(配列番号:205)、LSFVKVDSHFR(配列番号:206)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、TVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:207)、LLIYAVLPTGDVIGDSAK(配列番号:79)、TGTHGLLVKQEDMK(配列番号:80)
、TEVSSNHVLIYLDK(配列番号:81)、KDNSVHWERPQKPK(配列番号:82)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)、FEVQVTVPK(配列番号:83)、SVSGKPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:77)、IAQWQSFQLEGGLK(配列番号:84)、KDTVIKPLLVEPEGLEK(配列番号:85)、SGGRTEHPFTVEEFVLPK(配列番号
:86)、LLLQQVSLPELPGEYSMK(配列番号:87)、TEHPFTVEEFVLPKFEVQVTVPK(配列番号:88)、VSVQLEASPAFLAVPVEK(配列番号:89)、VDLSFSPSQSLPASHAHLR(配列番号:90)、VTAAPQSVCALR(配列番号:91)、GVPIPNKVIFIR(配列番号:92)、KPQYMVLVPSLLHTETTEK(配列番号:78)、ALLAYAFALAGNQDKR(配列番号:93)、TAQEGDHGSHVYTK(配列番
号:94)、SSSNEEVMFLTVQVK(配列番号:76)、VVSMDENFHPLNELIPLVYIQDPK(配列番号:95)、SSGSLLNNAIK(配列番号:96)、AAQVTIQSSGTFSSK(配列番号:97)、GGFSSTQDTVVALHALSK(配列番号:98)、LLLQQVSLPELPGEYSMK(配列番号:87)、TGTHGLLVKQEDMK(配列番号:80)、RKEYEMK(配列番号:11)、FQVDNNNR(配列番号:9)、NEDSLVFVQTDK(配列番号:5)、DLKPAIVK(配列番号:3)、TTVMVK(配列番号:8)
7.血清アミロイドP−成分;ペプチド配列:IVLGQEQDSYGGK(配列番号:99)、IVLGQEQDSYGGKFDR(配列番号:100)、AYSLFSYNTQGR(配列番号:101)、DNELLVYK(配列番号:102)
8.アポリポタンパク質B−100、ペプチド配列:EKLTALTK(配列番号:103)、IYSLWEHSTK(配列番号:104)、SEILAHWSPAK(配列番号:105)、YGMVAQVTQTLK(配列番号:106)、EFQVPTFTIPK(配列番号:107)、IDDIWNLEVK(配列番号:108)、GFEPTLEALFGK(配列番号:109)、ATGVLYDYVNK(配列番号:110)、TSSFALNLPTLPEVK(配列番号:111)、IEGNLIFDPNNYLPK(
配列番号:112)、STSPPKQAEAVLK(配列番号:113)、VNWEEEAASGLLTSLKDNVPK(配列番号:114)、AVSMPSFSILGSDVR(配列番号:25)、SVSLPSLDPASAK(配列番号:115)、NRNNALDFVTK(配列番号:116)、VLVDHFGYTK(配列番号:117)、SKPTVSSSMEFK(配列番号:118)、GIISALLVPPETEEAK(配列番号:119)、KLTISEQNIQR(配列番号:120)、SVGFHLPSR(
配列番号:27)、LLSGGNTLHLVSTTK(配列番号:121)、LTISEQNIQR(配列番号:122)、SPAFTDLHLR(配列番号:123)、EIQIYKK(配列番号:124)、IADFELPTIIVPEQTIEIPSIK(配列番号:125)、YHWEHTGLTLR(配列番号:126)、TGISPLALIK(配列番号:127)、KSISAALEHK(配列番号:128)、KMGLAFESTK(配列番号:129)、VQGVEFSHR(配列番号:130)、SLHMYAN
R(配列番号:131)、LSLESLTSYFSIESSTKGDVK(配列番号:132)、MTSNFPVDLSDYPK(配列番号:133)、DAVEKPQEFTIVAFVK(配列番号:134)、AHLDIAGSLEGHLR(配列番号:135)、ATLYALSHAVNNYHK(配列番号:136)、TLQGIPQMIGEVIR(配列番号:137)、IAELSATAQEIIK(配列番号:138)、EVYGFNPEGK(配列番号:139)、DLKVEDIPLAR(配列番号:140)、TSSFALNLPTLPEVKFPEVDVLTK(配列番号:141)、KGNVATEISTER(配列番号:142)、NNALDFVTK(配列番号:143)、VSALLTPAEQTGTWK(配列番号:144)、FVTQAEGAK(配列番号:145)、NLQNNAEWVYQGAIR(配列番号:146)、ILGEELGFASLHDLQLLGK(配列番号:147)、NHLQLEGLFFTNGEHTSK(配列番号:148)、SGGNTLHLVSTTK(配列番号:149)、DKIGVELT
GR(配列番号:150)、FPEVDVLTK(配列番号:151)、SISAALEHK(配列番号:152)、MLETVR(配列番号:24)、TEVIPPLIENR(配列番号:26)、SVGFHLPSR(配列番号:27)
9.アポリポタンパク質A−I;ペプチド配列:AHVDALR(配列番号:17)、SGRDYVSQFEGSALGK(配列番号:18)、PYLDDFQKK(配列番号:19)、YVSQFEGSALGK(配列番号:20)、LHELQEK(配列番号:21)、VSFLSALEEYTK(配列番号:22)、QKLHELQEK(配列番号:23)
10.アポリポタンパク質A−IV;ペプチド配列:DKVNSFFSTFK(配列番号:13)、LTPYADEFKVK(配列番号:14)
11.捕体C4B1;ペプチド配列:GSFEFPVGDAVSK(配列番号:153)、YVLPNFEVK(配列番号:154)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)、ITQVLHFTK(配列番号:155)、GLEEELQFSLGSK(配列番号:156)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、KYVLPNFEVK(配列番号:157)、LVNGQSHISLSK(配列番号:158)、LNMGITDLQGLR(配列番号:15
9)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、DHAVDLIQK(配列番号:160)、VGDTLNLNLR(配列番号:161)、LGQYASPTAKR(配列番号:164)、SHALQLNNR(配列番号:30)、SHKPLNMGK(配列番号:162)、LGQYASPTAK(配列番号:163)、EAPKVVEEQESR(配列番号:165)、EMSGSPASGIPVK(配列番号:166)、GSSTWLTAFVLK(配列番号:167)、FGLLDEDGKK(配列番号:168)、VFALDQK(配列番号:169)、TTNIQGINLLFSSR(配列番号:170)、PNMIPDGDFNSYVR(配列番号:171)、YLDKTEQWSTLPPETK(配列番号:172)、HLVPGAPFLLQALVR(配列番号:173)、AEMADQAAAWLTR(配列番号:174)、YRVFALDQK(配列番号:175)、TLGSEGALSPGGVASLLR(配列番号:176)、AEFQDALEKLNMGITDLQGLR(配列番号:177)、VGLSGMAIADVTLLSGFHALR(配列番号:178)、VDFTLSSER(配列番号:179)、ASAGLLGAHAAAITAYALTLTK(配列番号:180)、EVYMPSSIFQDDFVIPDISEPGTWK(配列番号:181)、EFHLHLR(配列番号:182)、SCGLHQLLR(配列番号:183)
12.セルロプラスミン;ペプチド配列:AETGDKVYVHLK(配列番号:33)、GPEEEHLGILGPVIWAEVGDTIR(配列番号:34)
13.クラステリンアイソフォーム1;ペプチド配列:TLLSNLEEAK(配列番号:35)、FMETVAEK(配列番号:36)
14.クラステリン;ペプチド配列:TLLSNLEEAK(配列番号:35)、FMETVAEK(配列番号:36)
15.捕体C3;ペプチド配列:FYYIYNEK(配列番号:37)、LMNIFLK(配列番号:38)、IPIEDGSGEVVLSR(配列番号:39)、IWDVVEK(配列番号:40)、TIYTPGSTVLYR(配列番号:41)、KGYTQQLAFR(配列番号:42)、RIPIEDGSGEVVLSR(配列番号:43)、VQLSNDFDEYIMAIEQTIK(配列番号:44)、RQGALELIKK(配列番号:45)、AAVYHHFISDGVRK(配列番号:46)、YYTYLIMNK(配列番号:47)
16.捕体C4;ペプチド配列:GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、SHALQLNNR(配列番号:30)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)
17.捕体C4A;ペプチド配列:GSFEFPVGDAVSK(配列番号:153)、YVLPNFEVK(配列番号:154)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)、DSSTWLTAFVLK、ITQVLHFTK(配列番号:155)、GLEEELQFSLGSK(配列番号:156)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、KYVLPNFEVK(配列番号:157)、LVNGQSHISLSK(配列番号:158)、LNMGITDL
QGLR(配列番号:159)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、DHAVDLIQK(配列番号:160)、VGDTLNLNLR(配列番号:161)、LGQYASPTAKR(配列番号:164)、SHALQLNNR(配列番号:30)、SHKPLNMGK(配列番号:162)、LGQYASPTAK(配列番号:163)、PVAFSVVPTAAAAVSLK(配列番号:213)、EAPKVVEEQESR(配列番号:165)、EMSGSPASGIPVK(配列番号:166)、FGLLDEDGKK(配列番号:168)、VFALDQK(配列番号:169)、TTNIQGINLLFSSR(配列番号:170)、PNMIPDGDFNSYVR(配列番号:171)、YLDKTEQWSTLPPETK(配列番号:172)、HLVPGAPFLLQALVR(配列番号:173)、AEMADQAAAWLTR(配列番号:174)、YRVFALDQK(配列番号:175)、TLGSEGALSPGGVASLLR(配列番号:176)、AEFQDALEKLNMGITDLQGLR(配列番号:177)、VGLSGMAIADVTLLSGFHALR(配列番号:178)、VDFTLSSER(配列番号:179)、ASAGLLGAHAAAITAYALTLTK(配列番号:180)、EVYMPSSIFQDDFVIPDISEPGTWK(配列番号:181)、EFHLHLR(配列番号:182)、SCGLHQLLR(配列番号:183)、
18.捕体C4B;ペプチド配列:GSFEFPVGDAVSK(配列番号:153)、YVLPNFEVK(配列番号:154)、GQIVFMNREPK(配列番号:28)、DSSTWLTAFVLK、ITQVLHFTK(配列番号:155)、GLEEELQFSLGSK(配列番号:156)、GPEVQLVAHSPWLK(配列番号:29)、DFALLSLQVPLKDAK(配列番号:31)、KYVLPNFEVK(配列番号:157)、LVNGQSHISLSK(配列番号:158)、LNMGITDL
QGLR(配列番号:159)、YIYGKPVQGVAYVR(配列番号:32)、DHAVDLIQK(配列番号:160)、VGDTLNLNLR(配列番号:161)、LGQYASPTAKR(配列番号:164)、SHALQLNNR(配列番号:30)、SHKPLNMGK(配列番号:162)、LGQYASPTAK(配列番号:163)、PVAFSVVPTAAAAVSLK(配列番号:213)、EAPKVVEEQESR(配列番号:165)、EMSGSPASGIPVK(配列番号:166)、FGLLDEDGKK(配列番号:168)、VFALDQK(配列番号:169)、TTNIQGINLLFSSR(配列番号:170)、PNMIPDGDFNSYVR(配列番号:171)、YLDKTEQWSTLPPETK(配列番号:172)、HLVPGAPFLLQALVR(配列番号:173)、YRVFALDQK(配列番号:175)、TLGSEGALSPGGVASLLR(配列番号:176)、AEFQDALEKLNMGITDLQGLR(配列番号:177)、VGLSGMAIADVTLLSGFHALR(配列番号:178)、VDFTLSSER(配列番号:179)、EVYMPSSIFQDDFVIPDISEPGTWK(配列番号:181)、EFHLHLR(配列番号:182)、SCGLHQLLR(配列番号:183)
19.未特定タンパク質C4BPA;ペプチド配列:LSLEIEQLELQR(配列番号:184)、TWYPEVPK(配列番号:185)、KPDVSHGEMVSGFGPIYNYK(配列番号:186)、KPDVSHGEMVSGFGPIYNYKDTIVFK(配列番号:187)
20.FGAタンパク質;ペプチド配列:DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)、LKNSLFEYQK(配列番号:50)
21.ゲルソリンアイソフォームb;ペプチド配列:HVVPNEVVVQR(配列番号:51)、TASDFITK(配列番号:52)
22.ゲルソリン;ペプチド配列:HVVPNEVVVQR(配列番号:51)、TASDFITK(配列番号:52)
23.ハプトグロビン;ペプチド配列:VTSIQDWVQK(配列番号:188)、ILGGHLDAK(配列番号:189)、TEGDGVYTLNDKK(配列番号:190)、LRTEGDGVYTLNDKK(配列番号:191)、TEGDGVYTLNNEK(配列番号:192)、HYEGSTVPEKK(配列番号:193)、LRTEGDGVYTLNNEK(配列番号:194)
24.HPタンパク質;ペプチド配列:VTSIQDWVQK(配列番号:188)、ILGGHLDAK(配列番号:189)、TEGDGVYTLNNEK(配列番号:192)、HYEGSTVPEKK(配列番号:193)、LRTEGDGVYTLNNEK(配列番号:194)
25.ハプトグロビン関連タンパク質のアイソフォーム1;ペプチド配列:VTSIQDWVQK(配列番号:188)、ILGGHLDAK(配列番号:189)、TEGDGVYTLNDKK(配列番号:190)、LRTEGDGVYTLNDKK(配列番号:191)
26.ハプトグロビン関連タンパク質のアイソフォーム2;ペプチド配列:VTSIQDWVQK(配列番号:188)、ILGGHLDAK(配列番号:189)、TEGDGVYTLNDKK(配列番号:190)、LRTEGDGVYTLNDKK(配列番号:191)
27.ヘモペキシン;ペプチド配列:LWWLDLK(配列番号:53)、RLWWLDLK(配列番号:54)、GDKVWVYPPEKK(配列番号:55)
28.ヒスチジンリッチ糖タンパク質;ペプチド配列:DSPVLIDFFEDTER(配列番号:56)、ADLFYDVEALDLESPK(配列番号:57)
29.仮想タンパク質DKFZp779N0926;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
30.インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H2前駆体;ペプチド配列:FYNQVSTPLLR(配列番号:60)、SLAPTAAAK(配列番号:61)、TILDDLR(配列番号:62)
31.血清パラオキソナーゼ/アリールエステラーゼ1;ペプチド配列:IQNILTEEPK(配列番号:72)、YVYIAELLAHK(配列番号:73)、ILLMDLNEEDPTVLELGITGSK(配列番号:74)、PTVLELGITGSK(配列番号:75)
32.妊娠ゾーンタンパク質;ペプチド配列:NQGNTWLTAFVLK(配列番号:195)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号2)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、TEPQYMVLVPSLLHTEAPK(配列番号:196)、SSGSLLNNAIK(配列番号:96)
33.未特定タンパク質PZP;ペプチド配列:NQGNTWLTAFVLK(配列番号:195)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、MVSGFIPLKPTVK(配列番号:2)、ATVLNYLPK(配列番号:10)、SSGSLLNNAIK(配列番号:96)
34.血漿レチノール結合タンパク質;ペプチド配列:YWGVASFLQK(配列番号:197)、FSGTWYAMAK(配列番号:198)、DPNGLPPEAQK(配列番号:199)、MKYWGVASFLQK(配列番号:200)
35.レチノール結合タンパク質4(血漿);ペプチド配列:YWGVASFLQK(配列番号:197)、FSGTWYAMAK(配列番号:198)、DPNGLPPEAQK(配列番号:199)、MKYWGVASFLQK(配列番号:200)
36.フィブリノーゲン類似Aαポリペプチド;ペプチド配列:LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)
37.インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H4のスプライスアイソフォーム1;ペプチド配列:NVVFVIDK(配列番号:63)、LGVYELLLK(配列番号:64)、ETLFSVMPGLK(配列番号:65)
38.インター−α−トリプシン阻害剤重鎖H4のスプライスアイソフォーム2;ペプチド配列:LGVYELLLK(配列番号:64)、ETLFSVMPGLK(配列番号:65)、NVVFVIDK(配列番号:63)
39.フィブリノーゲンα/α−E鎖のスプライスアイソフォームα;ペプチド配列:MELERPGGNEITR(配列番号:66)、LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、TVIGPDGHKEVTK(配列番号:67)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)
40.フィブリノーゲンα/α−E鎖のスプライスアイソフォームα−E;ペプチド配列:LKNSLFEYQK(配列番号:50)、DSHSLTTNIMEILR(配列番号:48)、MELERPGGNEITR(配列番号:66)、GLIDEVNQDFTNR(配列番号:49)、TVIGPDGHKEVTK(配列番号:67)
41.フィブリノーゲンγ鎖のスプライスアイソフォームγ−A;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
42.フィブリノーゲンγ鎖のスプライスアイソフォームγ−B;ペプチド配列:RLDGSVDFK(配列番号:58)、TSTADYAMFK(配列番号:59)
43.未特定タンパク質RBP4;ペプチド配列:YWGVASFLQK(配列番号:197)、FSGTWYAMAK(配列番号:198)、DPNGLPPEAQK(配列番号:199)、MKYWGVASFLQK(配列番号:200)
44.ビタミンD結合タンパク質;ペプチド配列:ELPEHTVK(配列番号:68)、KFPSGTFEQVSQLVK(配列番号:69)、THLPEVFLSK(配列番号:70)、HLSLLTTLSNR(配列番号:71)
45.ビトロネクチン;ペプチド配列:DVWGIEGPIDAAFTR(配列番号:201)、IYISGMAPRPSLAK(配列番号:202)、DWHGVPGQVDAAMAGR(配列番号:203)、FEDGVLDPDYPR(配列番号:204)。
【0126】
実施例3
この実施例は、II型糖尿病を発症する素因と関連付けられる、遺伝子またはタンパク質の発現などの発現における特定の変化を説明する。特定のII型糖尿病関連分子がこの実施例で記載されているが、当業者は、本開示の教示に基づいて他の分子を使用することができることを理解するであろう。
【0127】
特定の例では、核酸またはタンパク質の発現を検出することは、発現における違い(例えば、増加、減少、またはその両方)を検出することを含む。この方法はさらに、例えば、正常のサンプルと比較して、発現の違いの大きさを測定することができる。II型糖尿病の診断に関連して差次的に発現されるII型糖尿病関連分子の特定の例、ならびに変化のそれらの方向(上方制御または下方制御された)、および変化の大きさ(パーセントおよび倍率変化として表記される)は表5に提供される。当業者であれば、他の範囲は、表3(倍率変化の欄、例えば糖尿病前症または糖尿病のサンプルに対する対照または糖尿病前症のサンプル)から求めることができることを理解するであろう。
【0128】
【表5】

上記の目的は、米国特許商標庁および一般大衆、特に特許、法律用語または専門用語に精通していない本技術分野に属する科学者、技術者、医師などが、本出願の技術的な開示の性質と本質を簡易な調査で速やかに判断し得るようにするものである。要約書は、本出願の発明を定義することを意図したものではなく、それは特許請求の範囲の記載により評価されるべきであり、また、本発明の範囲を限定することを意図したものでは決してない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
II型糖尿病を発症する素因のあるヒトを識別する方法であって、前記ヒトの血清または血漿サンプルを分析して、表1〜4のいずれかに記載されたそれらのタンパク質およびペプチド、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分の量を判定することを含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの成分が、表1に記載されたそれらのタンパク質およびペプチドからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの成分が、表2に記載されたそれらのタンパク質およびペプチドからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの成分が、表3に記載されたそれらのタンパク質およびペプチドからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの成分が、表4に記載されたそれらのタンパク質およびペプチドからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つの成分が、表4に記載されたペプチドのすべてを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの成分が、表3に記載されたタンパク質のすべてを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、少なくとも90%の特異性と少なくとも90%の感受性を有する請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
II型糖尿病関連の遺伝子配列と相補的なオリゴヌクレオチド、またはII型糖尿病関連のタンパク質配列に特異的な抗体を含むアレイであって、II型糖尿病関連の遺伝子配列およびタンパク質配列が、表1〜4に記載されたもののうちの少なくとも10の任意の組み合わせを含む、アレイ。
【請求項10】
前記アレイが、表3に記載されたII型糖尿病関連のタンパク質配列のうちの少なくとも10個または全22個に対して特異的な抗体を含む請求項9に記載のアレイ。
【請求項11】
前記アレイが、表3に記載されたII型糖尿病関連のタンパク質配列のうちの全22個に対して特異的な抗体からなる請求項9に記載のアレイ。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれかのアレイ;および別々のパッケージの緩衝液を含む、II型糖尿病を診断するためのキット。

【公表番号】特表2011−524002(P2011−524002A)
【公表日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509656(P2011−509656)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/043794
【国際公開番号】WO2009/140390
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(510300991)バテル メモリアル インスティチュート (1)
【Fターム(参考)】