説明

K端イメージング

イメージングシステムは、検査領域を横切る多色放射線を放出する放射線源110と、検査領域を横切る放射線を検出し、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する検出器116と、を有する。システムは更に、複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、信号をエネルギー分解するエネルギー弁別器122を有する。エネルギー閾値のうち少なくとも2つが、検査領域に配される混合物中の2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有する。システムは更に、エネルギー分解された信号を、少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表わす少なくとも複数K端成分に区別する信号区別器132を有する。1つの例において、造影剤の2つの異なる元素の理論混合比は、知られており、実質的に一定である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、K端イメージングに関する。本発明は、コンピュータトモグラフィ(CT)の特定の用途に関して記述されるが、他の医用イメージング及び非医用イメージングアプリケーションにも関する。
【背景技術】
【0002】
通常のコンピュータトモグラフィ(CT)スキャナは、回転可能なガントリの、1又は複数の検出器の反対側に取り付けられるX線管を有する。X線管は、X線管と1又は複数の検出器との間に位置する検査領域の周囲を回転し、検査領域に配置される検査領域及び被検体及び/又は対象を横切る多色放射線を放出する。1又は複数の検出器は、検査領域を横切る放射線を検出し、検査領域及び検査領域に配置された被検体及び/又は対象を示す信号又は投影データを生成する。投影データは、そのボリュメトリック画像データを再構成するために使用され、ボリュメトリックデータは、被検体及び/又は対象の1又は複数の画像を生成するために使用されることができる。結果として得られる(複数の)画像は、相対放射線濃度に対応するグレースケール値に関して一般に表現されるピクセルを有する。
【0003】
グレースケール値は、スキャンされた被検体及び/又は対象の減衰特性を反映し、概して、例えば患者内の解剖学的構造、無生物対象内の物理的構造等の構造を示す。しかしながら、物質による光子の吸収は、物質を横切る光子のエネルギーに依存するので、検出された放射線は、スペクトル情報をも含み、これは、被検体及び/又は対象の組織及び/又は物質の基本的な又は材料組成(例えば原子番号)を示す情報のような、付加の情報を提供する。残念ながら、通常のCT投影データは、1又は複数の検出器によって出力される信号が、エネルギースペクトルにわたって積分されるエネルギーフルエンスに比例するので、スペクトル特性を反映しない。スペクトルCTでは、スペクトル特性が、例えば元素組成を示す情報のような詳細情報を提供するために活用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スペクトルCTシステムは、例えば直接変換CZT検出器(又はCdTe、Si、GaAs等)のようなエネルギー分解光子計数検出器を有することができ、かかる検出器は、それが検出する各光子の電気信号を生成し、電気信号は、当該光子のエネルギーを示す。パルス整形器は、信号を処理し、検出された光子のエネルギーを示すピーク振幅を有する電圧又は電流パルスを生成する。弁別器は、パルスの振幅を、異なるエネルギーレベルに従ってセットされる1又は複数の閾値と比較する。カウンタは、各閾値ごとに、振幅が閾値を越える回数を計数する。ビニング器は、計数に基づいて、エネルギーウィンドウに検出された光子をビニングし又は割り当てる。結果として得られるエネルギー分解された検出光子は、検出された光子の信号のスペクトル再構成のために使用されることができる情報を提供する。
【0005】
K端イメージングは、高Z元素が、K端エネルギーより低く光子を減衰するのではなく、所与の元素のK端エネルギーのような特定のエネルギーより非常に高い程度に光子を減衰させる傾向があるという事実を活用する。元素の減衰挙動の不連続性は、例えば上述のエネルギー分解光子計数検出器を使用して、検出されることができる。概して、ヨウ素のK端は、約33keVのかなり低いエネルギーに位置するので、総減衰が大きく、X線スペクトルが患者を通過するときに大幅にハードニングされる場合、ヨウ素は、K端イメージングにはあまり適さない。感度を改善する1つのやり方は、50keV付近にK端を有するガドリニウムのようなヨウ素より高い原子番号Zを有する元素を使用することである。このエネルギーでのビームハードニングは、それほど深刻ではなく、高い減衰がある場合であっても相対的に良好な結果をもたらす。
【0006】
しかしながら、K端イメージングの感度を一層改善するための解決されていないニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の見地は、上述した問題及び他の問題に対処する。
【0008】
1つの見地によれば、イメージングシステムは、検査領域を横切る多色放射線を放出する放射線源と、検査領域を横切る放射線を検出し、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する検出器と、を有する。システムは更に、複数の異なるエネルギー閾値に基づいて信号をエネルギー分解するエネルギー弁別器を含み、エネルギー閾値のうちの少なくとも2つは、検査領域に配置される混合物中の2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有する。システムは更に、エネルギー分解された信号を、少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表す少なくとも複数K端成分(a multi K-edge component)に区別する信号区別器を有する。
【0009】
別の見地において、方法は、検査領域を横切る放射線源によって放出される多色放射線を検出するステップと、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成するステップと、を含む。方法は更に、複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、信号をエネルギー分解するステップを含み、ここで、エネルギー閾値のうちの少なくとも2つは、検査領域に配置されている混合物の2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有し、混合物の2つの異なる元素の理論混合比は知られている。方法は更に、エネルギー分解された信号を、少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表す少なくとも複数K端成分に区別するステップを含む。方法は更に、2つの異なる元素を示すボリュメトリック画像データを生成するために、複数K端成分及び理論混合比に基づいて、複数K端画像を再構成するステップを含む。
【0010】
別の見地において、コンピュータ可読記憶媒体は、検査領域を横切る多色放射線を検出するステップと、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成するステップと、複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、信号をエネルギー弁別するステップであって、エネルギー閾値のうちの少なくとも2つは、検査領域に配置される2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有する、ステップと、エネルギー分解された信号を、少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表わす複数K端成分に区別するステップと、をコンピュータによって実行されるとき該コンピュータに実施させる命令を含む。
【0011】
本発明の更に別の見地は、以下の詳細な説明を読み、理解することにより、当業者に理解されるであろう。
【0012】
本発明は、さまざまな構成要素及び構成要素の取り合わせ並びにさまざまなステップ及びステップの取り合わせの形をとりうる。図面は、好適な実施形態を説明する目的のみであり、本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】イメージングシステムを示す図。
【図2】例示のパルスエネルギー弁別器を示す図。
【図3】例示の成分区別器を示す図。
【図4】例示の複数K端減衰曲線を示す図。
【図5】方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1を参照して、コンピュータトモグラフィ(CT)システム100は、一般に静止しているガントリ102及び回転ガントリ104を有し、回転ガントリ104は、静止ガントリ102によって回転可能に支持される。回転ガントリ104は、長軸又はz軸108を中心に検査領域106の周囲を回転する。例えばX線管のようなX線源110は、回転ガントリ104によって支持され、多エネルギー放射線を放出する。コリメータ112は、検査領域106を横切る概してコーン、扇形、くさび形又は他の形状の放射線ビームを生成するために、放射線ビームをコリメートする。
【0015】
放射線感受性の検出器アレイ116が、検査領域106を横切る光子を検出する。図示される検出器116は、例えば直接変換検出器(例えばSi、Ge、GaAs、CdTe、CdZnTe、その他)、又は光検知器と光学的に通信するシンチレータを有するシンチレータベースの検出器のようなエネルギー分解検出器、である。検出器116は、各々の検出された光子ごとに、例えば電流又は電圧のような電気信号を生成する。
【0016】
プリアンプ118は、検出器116によって出力された電気信号を増幅する。パルス整形器120は、増幅された電気信号を処理し、例えば検出された光子のエネルギーを示す電圧又は他のパルスのようなパルスを生成する。エネルギー弁別器122は、パルスをエネルギー弁別する。図示される例において、エネルギー弁別器122は、パルスの振幅を、関心のある異なるエネルギーに対応する2又はそれ以上の異なるエネルギー閾値と比較する比較器124を有する。比較器124は、比較に基づいて、光子のエネルギーを示す出力信号を生成する。
【0017】
閾値セッタ126が、閾値をセットする。後で詳しく述べるように、閾値セッタ126は、例えば、スキャンされるべき患者に投与される造影剤中のそれぞれ異なるコントラスト元素のような、関心のある元素のK端エネルギーに従って、閾値の2又はそれ以上をセットするために使用されることができる。所与の造影剤中の2又はそれ以上の異なるZ元素のK端にあわせられる2又はそれ以上の閾値を使用することは、K端イメージング技法の感度を増大させることができる。従って、システム100が、調整可能な閾値に関して構成される場合、閾値をK端エネルギーにあわせることが望ましくなりうる。当然ながら、閾値は、更にコンプトン効果及び光電効果成分を区別するようにもセットされることができる。
【0018】
カウンタ128は、エネルギー弁別器122の出力に基づいて、各々の閾値ごとに、計数値をインクリメントする。例えば、特定の閾値に関する比較器124の出力が、パルスの振幅が対応する閾値を越えることを示す場合、当該閾値の計数値が、インクリメントされる。ビニング器130は、計数に基づいて、信号及びゆえに光子を、2又はそれ以上のエネルギービンにエネルギービニングする。エネルギービンは、エネルギーレンジ又はウインドウを含む。例えば、ビンは、2つの閾値の間のエネルギーレンジについて規定されることができ、その場合、高いほうの閾値ではなく、低いほうの閾値について計数を生じさせた光子が、当該ビンに割り当てられる。
【0019】
信号区別器132は、エネルギー分解された信号を、さまざまなエネルギー依存の成分に区別する。例えば、1つの例において、検出されたエネルギー分解された信号は、コンプトン成分、光電成分、及び造影剤中の2又はそれ以上のK端物質を表わす複数K端成分に、区別される。最大尤度又は別の区別方法が代替として使用されることができることが理解されるべきである。
【0020】
再構成器134は、検出された信号を選択的に再構成する。1つの例において、これは、コンプトン成分、光電成分及び/又は複数K端成分を、個別に又は組み合わせで再構成することを含む。複数K端成分に関して、造影剤中のコントラスト元素の理論混合比は、エネルギーの関数として元素の減衰を特徴付けるために、知られているべきであり、一定であるべきである。
【0021】
特徴付けバンク136は、複数K端成分に寄与する元素をそのようなものとして特徴付ける情報を含む。この情報は、2又はそれ以上の元素のK端エネルギー、元素の理論混合比、その他を含む。このような情報は、より詳しく後述されるように、複数K端成分を再構成する際に使用される。
【0022】
汎用コンピュータが、オペレータコンソール138として機能する。コンソール138は、モニタ又はディスプレイのような人間可読の出力装置、及びキーボード及びマウスのような入力装置を有する。コンソール138に常駐するソフトウェアは、オペレータが、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)を介して又はその他のやり方で、スキャナ100と対話することを可能にする。このような対話は、複数K端イメージングプロトコルのようなスキャンプロトコルを選択すること、エネルギー弁別閾値をセットすること、等を含む。
【0023】
寝台のような対象支持体140は、検査領域106内の患者又は他の対象を支持する。対象支持体140は、スキャニングプロシージャを実施するために、検査領域106に対して対象をガイドするように移動可能である。
【0024】
手短に上述したように、スキャナ100は、被検体又は対象内の造影剤中の少なくとも2つの異なるコントラスト元素の複数K端成分イメージングのために使用されることができ、この場合、元素の理論混合比は知られており、一定である。このようなアプリケーションによって、比較器124の閾値のうち少なくとも2つが、少なくとも2つの異なるコントラスト元素のK端エネルギーに従ってセットされる。以下は、説明及び簡潔さの目的で、ヨウ素及びガドリニウムを含む造影剤に関する例を記述する。同じ又はより多くの及び/又は同様の又は異なるコントラスト物質を含む他の造影剤が更に企図されることが理解されるべきである。
【0025】
図2は、造影剤中の2つの異なる元素に関する2つの異なるK端エネルギーに従ってセットされる2つの閾値をもつ比較器124の非限定的な例を示す。図示されるように、比較器124は、N個のサブ比較器124、…、124、…、124、…、124を有し、ここで、Nは、4に等しい又はそれより大きい整数である。サブ比較器124の各々は、パルス整形器120の出力信号を受け取る第1の入力部を有する。比較器124の各々は更に、対応する限界値TH、…、TH、…、TH、…、THを受け取る第2の入力部を有する。
【0026】
この例において、閾値のうちの2つが、ヨウ素(K端≒33keV)及びガドリニウム(K端≒50keV)のK端エネルギーにそれぞれ基づいてセットされる。2つの他の閾値は、コンプトン効果及び光電効果を識別するようにセットされる。所望のK端を有するより多くの又は異なる元素が造影剤中に存在する場合、1又は複数の他の閾値が、相応にセットされることができる。例えば、造影剤が、金(K端≒80keV)を含む場合、閾値は、相応にセットされることができる。概して、K端エネルギーは、約25keV乃至約150keVの診断イメージングレンジ内にあるべきである。1つの例において、閾値セッタ126は、選択されたスキャンプロトコルに基づいて、閾値の少なくとも1つをセットする。別の例において、オペレータは、閾値の少なくとも1つをセットするために閾値セッタ126を使用する。
【0027】
比較器124、…、124、…、124、…、124の各々について、入力パルスの振幅が、対応する閾値を越える場合、比較器124、…、124、…、124、…、124の出力は状態を変化させ、例えば低いほうから高いほうへ、0から1へ遷移し、又は他の遷移を示す。比較器124の出力は、カウンタ128に供給され、カウンタ128は、状態遷移に基づいて、閾値ごとに計数をインクリメントする。
【0028】
図3は、例示の信号区別器132を示す。以下は、コンプトン効果及び光電効果を識別するために使用されうる2つの閾値である、第1のK端エネルギーに関する閾値及び第2のK端エネルギーに関する閾値を含む4つの閾値の例を提供する。この例において、信号区別器132は、少なくとも3つのエネルギー分解された検出信号dを受け取る。ここで、iは、それぞれ異なるエネルギービンについての整数である。検出信号dは、i番目のエネルギービンbのスペクトル感度D(E)を示す。更に、多色放射線源110の放出スペクトルT(E)は、一般に知られている。
【0029】
信号区別器132は、スペクトルP(E)をもつ光電効果、スペクトルC(E)をもつコンプトン効果及びスペクトルK(E)をもつ複数K端造影剤の組み合わせとして、情報をモデル化する。特に光電効果成分p、コンプトン効果成分c及び複数K端成分kの各成分についての密度と長さの積は、各検出信号dにおいて、式1に従って離散的なシステムにおいてモデル化される:
式1:
dn = ∫d(E)T(E)Dn(E)exp(-(pP(E) + cC(E) + kK(E)))
【0030】
少なくとも3つの検出信号d、d及びdが、少なくとも3つのエネルギービンb、b及びbに関して利用可能であるので、少なくとも3つの式のシステムが、3つの未知数を有して形成され、これは、既知の数値方法によって解かれることができる。概して、この例では、3つのエネルギービンで十分である。しかしながら、より多くのエネルギービンについてより多くの検出信号を使用することは、感度及び雑音ロバストネスを増大させることができる。3より多くのエネルギービンが利用可能である場合、測定の雑音統計を考慮する最大尤度アプローチが使用されることができる。適切な最大尤度アプローチは、「K-edge imaging in x-ray computed tomography using multi-bin photon counting detectors」(E. Roessl and R. Proksa, 2007 Phys. Med. Biol. 52 4679-4696)に関連して記述されている。
【0031】
特に成分p、c及びkのような結果は、通常の再構成方法により所望の成分画像を再構成するために、具体的には複数K端成分画像を再構成するために、使用されることができる。通常のCT画像並びにコンプトン成分画像及び/又は光電効果成分画像も、再構成されることができる。
【0032】
造影剤中の元素の理論混合比が知られていない場合、式1は、例えば、ヨウ素のK端、ガドリニウムのK端のような、各々のK端ごとのK端成分を含むように変形されることができる。個別のK端成分の適切な分解は、2007年12月14日出願の国際出願第PCT/IB2007/055105号明細書に記述されており、この国際出願は、2006年12月20日に出願の欧州仮出願第06126653.2号の利益を主張する。これら出願の内容はともに、参照によってすべて本願明細書に盛り込まれる。
【0033】
造影剤中の元素の理論混合比が知られており、実質的に一定である場合、造影剤中の元素の理論混合比は、そのK端エネルギーとともに、エネルギーの関数として、元素の組み合わせの減衰を特徴付ける。結果として、理論混合比及びK端エネルギーは、複数K端成分画像を生成するために、再構成の間使用される。理論混合比及びK端エネルギー情報は、再構成器134による使用のために、特徴付けバンク136に記憶されることができる。
【0034】
概して、理論混合比及びK端エネルギーは、元素の組み合わせに関して固有のシグネチャ又はフィンガープリントを提供する。これは図4に関連して図示される。図4は、ヨウ素及びガドリニウムを含む1:1混合物の光子エネルギーの関数としての減衰曲線400を示している。当然ながら、他の混合比率(例えば最大1:5又はそれ以上)、物質の別の数及び/又は他の物質が、ここで企図され、ヨウ素及びガドリニウムを含む混合物が、説明の目的で示されている。
【0035】
図4において、x軸の軸402は、エネルギー(E)をkeV単位で表わし、y軸の軸404は、エネルギー(E)の関数として減衰(μ)を表わす。ヨウ素(K端≒33keV)のK端は406に示され、ガドリニウム(K端≒50keV)のK端は408に示されている。このように、造影剤の減衰は、固定の個々の高さをもつ個々のK端エネルギーにおける2つの不連続性によって特徴付けられることができる。理論混合比が、例えばヨウ素の2単位(例えば、原子、その他)及びガドリニウムの1単位のように異なる(1:1でない)場合、図4のK端406及び408の高さ比率は、2倍高くなる。結果として、曲線400は、元素の特定の組み合わせについて固有のシグネチャとして使用されることができる。
【0036】
図5は、複数K端成分イメージング方法を示している。ステップ502において、放射線源によって放出され、検査領域を横切る多色放射線が、検出される。ステップ504において、検出された放射線は、エネルギー分解され、異なるエネルギーに対応する複数の閾値に基づいて、異なるエネルギーウィンドウにわたってビニングされる。ここで、閾値のうちの少なくとも2つは、患者をスキャンする前に患者に与えられる造影剤中の少なくとも2つの元素のK端エネルギーに従ってセットされる。上述したように、これは、4つのエネルギー閾値を含むことができ、閾値のうちの2つが、2つのK端物質の造影剤に従って、2つの異なるK端エネルギーにあわせられる。ステップ506において、エネルギー分解されたデータは、造影剤中の少なくとも2つの元素に対応する2又はそれ以上のK端エネルギーを表わす複数K端成分を含む構成成分に区別される。ステップ508において、少なくともK端成分が、複数K端成分画像を生成するために、造影剤中の元素の理論混合比を使用して再構成される。
【0037】
本発明は、好適な実施形態に関して記述されている。当業者であれば、変形例及び変更例が、先行する詳細な説明を読み理解することにより思い付くであろう。本発明は、すべてのこのような変形例及び変更例が添付の請求項又はその等価なものの範囲内にある限り、それらを含むものとして構成されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域を横切る多色放射線を放出する放射線源と、
前記検査領域を横切る放射線を検出し、検出された光子のエネルギーを示す信号を生成する検出器と、
複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、前記信号をエネルギー分解するエネルギー弁別器であって、前記エネルギー閾値のうちの少なくとも2つは、前記検査領域に配される混合物中の2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有する、エネルギー弁別器と、
前記エネルギー分解された信号を、前記少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表わす少なくとも複数K端成分に分解する信号区別器と、
を有するイメージングシステム。
【請求項2】
前記造影剤中の2つの異なる元素の理論混合比は、知られており、実質的に一定である、請求項1に記載のイメージングシステム。
【請求項3】
前記理論混合比に基づいて、前記異なる元素を表わす複数K端画像を生成するために、前記複数K端成分を再構成する再構成器を更に有する、請求項2に記載のイメージングシステム。
【請求項4】
前記理論混合比は、約1:1乃至約1:5のレンジにある、請求項2又は3のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項5】
前記理論混合比及び前記K端エネルギーは、前記2つの異なる元素の前記混合物について固有のフィンガープリントを与える、請求項2乃至4のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項6】
前記2つの異なる元素は、単一造影剤の一部である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項7】
前記信号区別器は更に、前記エネルギー分解された信号を、コンプトン成分及び光電成分に区別する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項8】
前記再構成器は、コンプトン成分画像及び光電成分画像を生成するために、前記コンプトン成分及び前記光電成分を再構成する、請求項7に記載のイメージングシステム。
【請求項9】
前記K端エネルギーは、約25keV乃至約150keVのレンジ内にある、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項10】
前記K端エネルギーのうち少なくとも1つは約33keVである、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項11】
前記K端エネルギーのうち少なくとも1つは約50keVである、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のイメージングシステム。
【請求項12】
放射線源によって放出され、検査領域を横切る多色放射線を検出するステップと、
検出された光子のエネルギーを示す信号を生成するステップと、
複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、前記信号をエネルギー分解するステップであって、前記エネルギー閾値のうち少なくとも2つは、前記検査領域に配される混合物の2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有し、前記混合物の前記2つの異なる元素の理論混合比は知られている、ステップと、
前記エネルギー分解された信号を、前記少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表わす少なくとも複数K端成分に区別するステップと、
前記2つの異なる元素を示すボリュメトリック画像データを生成するために、前記複数K端成分及び前記理論混合比に基づいて、複数K端画像を再構成するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記理論混合比が実質的に一定である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記理論混合比は、約1:1乃至約1:5のレンジにある、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記理論混合比及び前記K端エネルギーは、光子エネルギーの関数として、前記元素の減衰挙動を一意的に特徴付ける、請求項12乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記エネルギー分解された信号を、コンプトン効果成分及び光電効果成分に区別するステップを更に含む、請求項12乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
コンプトン成分及び光電成分を示すボリュメトリック画像データを生成するために、前記コンプトン成分及び前記光電成分を再構成するステップを更に含む、請求項12乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記混合物が、少なくとも第3の元素を含み、前記エネルギー閾値が更に、前記少なくとも第3の元素に対応する第3の閾値を含み、前記方法が、
前記エネルギー分解された信号を、前記少なくとも3つの異なるK端エネルギーを表わす少なくとも複数K端成分に区別するステップと、
前記3つの異なる元素を示すボリュメトリック画像データを生成するために、前記複数K端成分及び前記理論混合比に基づいて複数K端画像を再構成するステップと、
を含む、請求項12乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
コンピュータによって実行されるとき、
検査領域を横切る多色放射線を検出するステップと、
検出された光子のエネルギーを示す信号を生成するステップと、
複数の異なるエネルギー閾値に基づいて、前記信号をエネルギー弁別するステップであって、前記エネルギー閾値のうちの少なくとも2つは、前記検査領域に配される2つの異なる元素の少なくとも2つの異なるK端エネルギーに対応する値を有する、ステップと、
前記エネルギー分解された信号を、前記少なくとも2つの異なるK端エネルギーを表わす複数K端成分に区別するステップと、
を前記コンピュータに実施させる命令、を含むコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記命令は、前記コンピュータによって実行されるとき、造影剤中の前記2つの異なる元素の理論混合比に基づいて、前記複数K端成分を再構成するステップを前記コンピュータに実施させ、前記理論混合比は知られており、実質的に一定である、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−527223(P2011−527223A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517274(P2011−517274)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/IB2009/052670
【国際公開番号】WO2010/004460
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】